JP2010247533A - 感熱記録体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体上に感熱記録層を設け、この感熱記録層上に設けた保護層に、ガラス転移点(Tg)が50℃より高く95℃以下であるアクリル系樹脂を含有させ、この保護層をカーテン塗工法により塗工することによって、十分な耐水性を有すると共に、塗工性が良好(即ち、塗工欠陥が無く、画質が良好)になる。この保護層は、更にアスペクト比が30以上であるカオリンなどの顔料を含んでもよい。
【選択図】なし
Description
保護層には、膜強度を高めるためにポリビニルアルコールやアクリル系樹脂(特許文献1)などの種々のバインダーを含有させることが一般に行われている。また、保護層に、アクリルエマルジョンのような疎水性樹脂エマルジョンを用いて耐水性を付与させることが行なわれている(特許文献2)。
更に、印字特性を向上させるために保護層にカオリンなどの種々の無機顔料を含有させることが行われている(特許文献3)。
本発明は、感熱記録層の上に保護層を設けた感熱記録体において、十分な耐水性を有すると共に、塗工性が良好で、かつ印字走行性(耐スティック性)、耐擦過性、耐可塑剤性、耐溶剤性、発色感度に優れた感熱記録体を提供することを課題とする。
更に、本発明者らは鋭意検討の結果、支持体上に感熱記録層と保護層とを設けた感熱記録体において、このガラス転移点(Tg)が50℃より高く95℃以下である非コアシェル型アクリル系樹脂を含有する保護層塗液は、カーテン塗工法における塗工性が良好、即ち塗工欠陥が無く、画質が良好であり、かつ得られる感熱記録体が十分な耐水性等を有することを見出し、本願発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、支持体上に、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層及び該感熱記録層上に保護層を有する感熱記録体において、該保護層がガラス転移点が50℃より高く95℃以下である非コアシェル型アクリル系樹脂を含有し、該保護層がカーテン法で塗工された感熱記録体である。
本発明におけるアクリル系樹脂のガラス転移点(Tg)は50℃より高く95℃以下である。Tgが50℃以下であると、耐水性は向上するが、十分な耐熱性が得られないため、スティックを生じやすくなる。一方、Tgが高いアクリル系樹脂を含有させると耐スティック性や耐擦過性は向上する傾向であるが、アクリル系樹脂のTgが高すぎると、保護層が脆くなり、耐水性、耐可塑剤性や耐溶剤性が十分ではなくなり、目的とする効果が得られない場合がある。アクリル系樹脂のTgは示差走査熱量測定(DSC)によって測定する。
このような顔料を加えることにより、発色感度を改善すると共に、Tgが高いアクリル系樹脂の欠点である耐可塑剤性や耐溶剤性を補うことができる。更に顔料を加えると耐スティック性も向上する効果もある。
本発明で使用する顔料としては、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの無機又は有機充填剤などが挙げられる。保護層中に用いる顔料としてはサーマルヘッドの摩耗性などを考慮した場合、カオリン、焼成カオリンや水酸化アルミニウムが好ましい。
特に、前記アクリル系樹脂とアスペクト比が30以上のカオリンを併用することにより、更に優れた品質の感熱記録体を得ることができる。
本発明において、顔料のアスペクト比とは、粉体を電子顕微鏡で撮影し、ランダムに抽出した粒子100個について、計算式(アスペクト比=直径/厚さ)を用いて算出し平均を求めた値であり、アスペクト比の値が大きい程、顔料の扁平度合いが大きいことになる。顔料のアスペクト比は、顔料粒子100個について、最も短い軸の長さ(厚さ)に対する直径の比の平均値である
本発明の保護層が顔料を含む場合、保護層中のバインダー(アクリル系樹脂を含む全バインダー)と顔料の総量は、固形分で、通常50〜100重量%、好ましくは60〜100重量%であり、顔料100重量部に対してバインダーは30〜300重量部程度であることが好ましい。
カーテン法の特徴は、塗液を掻き落とす工程が無いことから、ブレード法、ロールコーター法、エアーナイフ法などと比較して塗液にかかるシェア(せん断力)が極めて低く、均一な輪郭塗工(支持体表面の輪郭をなぞる状態で層を形成する塗工)が可能であり、固形物が分散したエマルジョンなどの塗液の塗工にも適している。また、低粘度、低保水性の塗液でも塗工可能である。一方、このカーテン法は、保護層塗液の粘度、表面張力、曳糸性等の性質を塗工可能な範囲に調整する必要があることや、塗液中に混入した泡による泡欠陥(塗工面に細長い楕円状の非塗工部が残る)などの塗工欠陥が発生しやすいこと、移動する支持体と自由落下してきた塗液が接触する際に空気を巻き込みやすく、塗工面の乱れが発生しやすいことなどの制約もある。これらの制約は一般的に塗工速度が速いほど厳しくなるため、保護層塗液の粘度等の性質を調整し、安定したカーテン膜を形成することが重要である。
本発明のアクリル系樹脂を含む保護層用塗液はカーテン法で塗工することによって被覆性が高くなり、良好な品質の保護層が形成される。特に保護層塗液に更に顔料を配合した場合、カーテン法では塗液に加わるシェアが小さいために、顔料とアクリル系樹脂が均一に分散した状態の塗工層が形成され、アクリル系樹脂の耐水性が有効に発揮される。これにより、耐水性、耐スティック性が良好となるので好ましい。
保護層の塗工量は特に限定されないが、通常は固形分で0.2〜5g/m2程度であり、0.5〜3g/m2の範囲とすると、特に良好な印字濃度、画質が得られるため好ましい。
保護層の塗液の表面張力を調整する手法は特に限定されるものではないが、界面活性剤を使用すると、表面張力を調整することが容易であるため好ましい。
界面活性剤の例としては、高級脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、アルキルアリルスルホン酸塩、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。界面活性剤の種類及び使用量は、必要に応じて所望の効果を阻害しない範囲で任意に選択可能である。
なお、保護層の塗液の表面張力は、協和界面科学社製CBVP−Zを使用して測定することができる。また、B型粘度は、(株)東京計器製BM型粘度計を使用し、塗液の温度を25℃にして、測定子Cローターを使用して、測定子の回転数が60rpmの条件によって測定することができる。
なお、本発明における曳糸性は、伸長粘度計(機器名:CaBER1、Thermo Haake社製)を使用し、塗液の温度が25℃の条件によって測定した、塗液の破断時間である。
このような粘度調整剤の例として、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロースなどのセルロースエーテル及びその誘導体(以下「セルロースエーテル類」という。)、ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、末端アルキル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミドなどのポリアクリルアミド類、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸塩、(メタ)アクリロニトリル、気相法シリカ、コロイダルシリカ、有機変成ベントナイト、水添加ヒマシ油、アマイドワックス、酸化ポリエチレン、金属石鹸、ジベンジリデンソルビトール、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。この中で、セルロースエーテル類、ポリビニルアルコール類、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸塩、(メタ)アクリロニトリルは、少量でも粘度調整効果が大きく、粘度調整が容易であるため好ましい。
本発明においては、これらの粘度調整剤の中で、特にエチレン性不飽和カルボン酸及び/又はエチレン性不飽和カルボン酸塩と(メタ)アクリロニトリルを重合体成分とし、かつ重量平均分子量が50万以上である粘度調整剤が好ましい。この重量平均分子量は、分子量既知のポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定することができる。
このような粘度調整剤中の重合体成分のうち(メタ)アクリロニトリルは、保護層に含有する前記アクリル系樹脂中の重合体成分と類似しており、印字走行性(耐スティック性)、耐可塑剤性を阻害しないと考えられる。一方、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸塩は粘度調整剤中の水溶性成分であり、粘度調整剤と保護層の塗液との相溶性を高め、保護層の塗液中での未溶解成分の発生による塗工ムラを抑制する効果があると考えられる。
また、保護層中の粘度調整剤の配合量は、固形分として、好ましくは3〜15重量%、より好ましくは4〜10重量%である。
本発明の感熱記録層に使用される各種材料を以下に例示するが、これらは上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で適宜保護層に使用してもよい。
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕; 3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアミノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−p−メチルアニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン;
3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔c〕フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−クロロフルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−p−メチルアニリノフルオラン; 3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン; 3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン; 3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン; 3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−キシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−(N−エチル−p−トルイディノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン; 2−(4−オキサヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 2−(4−オキサヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 2−(4−オキサヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2,4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン
3,6,6'−トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕; 3,6,6'−トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド; 3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド; 3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド; 3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド; 3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド; 3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド; 3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド; 3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3'−ニトロ)アニリノラクタム; 3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4'−ニトロ)アニリノラクタム; 1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン; 1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン; 1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン; ビス−〔2,2,2',2'−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
また、本発明においては、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、記録画像の耐油性効果などを示す画像安定剤として、4,4'−ブチリデン(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチル−4,4'−スルホニルジフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4−ベンジルオキシ−4'−(2,3−エポキシ−2−メチルプロポキシ)ジフェニルスルホン等を添加することもできる。
このほかにベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等を使用することができる。
ブレード法は、塗液を支持体に塗り広げた(展開した)あと、特定の角度と加重でブレード(刃)を押し付け、塗液をかき落として塗工面を形成する方法である。ブレード法の特徴は、塗液に高いシェア(せん断力)がかかること、塗工面が高平滑になること、塗液中に分散した固形物がブレード下で凝集、粒状化し、ストリーク(塗工面に細長い棒状の非塗工部が残る)やスクラッチ(塗工面に短く引っ掻いたような非塗工部が残る)などの塗工欠陥が発生し易いことなどである。
ロールコーター法は、アプリケーターロールに分布させた塗液を支持体に転写して、塗工面を形成する方法である。ロールコーター法の特徴は、塗液にシェア(せん断力)がかかること、輪郭塗工に近い塗工層となること、ロールの配置によっては両面同時に塗工可能なこと、転写の際に塗工パターン(塗工面の乱れ)が発生し易いことなどである。
グラビア法は、塗液を分布させるアプリケーターロールにエッチング模様の彫刻が入ったロールを用い、模様の溝に入った塗液を支持体転写して塗工面を形成する方法である。グラビア法の特徴は、ロールコーター法と同様に、塗液にシェア(せん断力)がかかること、ロールコーター法より塗工パターン(塗工面の乱れ)が発生しにくいこと、ロールの配置によっては両面同時に塗工可能なことなどである。
エアーナイフ法は、塗液を支持体に塗り広げた(展開した)あと、空気の吹付けによって塗液をかき落として塗工面を形成する方法である。エアーナイフ法の特徴は、ブレード法と比較すると、塗液にかかるシェア(せん断力)が低く、低粘度の塗液でも塗工可能なこと、空気の吹付けによる風紋パターン(さざ波状の塗工面の乱れ)が発生し易いことなどである。
顔料の平均直径は、顔料を電子顕微鏡で撮影し、粒子100個についてX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の長さを測定し、各粒子の最も長い軸と2番目に長い軸を平均して各粒子の直径を算出し、平均値を求めた。また顔料のアスペクト比は、粒子100個について、直径と最も短い軸の長さ(厚さ)の比(アスペクト比=直径/厚さ)から平均値を求めた。
下記配合からなる配合物を攪拌分散して、下塗層塗液を調製した。
U液(下塗層塗液)
焼成カオリン(エンゲルハード社製:アンシレックス90) 100部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(固形分48%) 40部
完全ケン化型ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA117)10%水溶液
30部
水 160部
この下塗層塗液を支持体(60g/m2の基紙)の片面に塗工した後、乾燥を行ない、塗工量10.0g/m2の下塗層塗工紙を得た。この塗工はブレードコーター(IHIフォイトペーパーテクノロジー社製)を用い、塗工速度500m/minで行った(ブレード法)。
A液(顕色剤分散液)
4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン 6.0部
ポリビニルアルコール10%水溶液 18.8部
水 11.2部
B液(染料分散液)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(ODB−2)
3.0部
ポリビニルアルコール10%水溶液 6.9部
水 3.9部
C液(増感剤分散液)
シュウ酸ジベンジル 6.0部
ポリビニルアルコール10%水溶液 18.8部
水 11.2部
感熱記録層用塗液
A液(顕色剤分散液) 36.0部
B液(染料分散液) 13.8部
C液(増感剤分散液) 36.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA117)10%水溶液
25.0部
次に下記の割合で混合して保護層の塗液とした。
保護層用塗液
アクリル系樹脂(三井化学社製:非コアシェル型アクリル系樹脂XNP4、固形分18%、Tg55℃) 30.0部
ステアリン酸亜鉛(中京油脂社製:ハイドリンZ−7−30、固形分30%)
2.0部
次に、保護層用塗液を前記感熱記録層塗工紙の感熱記録層上に塗工量3.0g/m2となるように塗工した後、乾燥を行なった。この塗工は上記と同様にカーテンコーター(IHIフォイトペーパーテクノロジー社製)を用い、塗工速度500m/minで行った(カーテン法)。このシートをスーパーカレンダーで平滑度が1000〜2000秒になるように処理して感熱記録体を得た。
保護層用塗液に更に粘度調整剤(サンノプコ社製:SNシックナー929S、重量平均分子量60万、固形分12%、粘度調整剤中の固形分100重量部中、エチレン性不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和カルボン酸塩の合計60重量部、(メタ)アクリロニトリル30重量部)を0.3重量部、界面活性剤(日信化学社製:サーフィノール104P、固形分50%)を0.1重量部加えたものを用いて、実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
[実施例3]
感熱記録層塗液の完全鹸化ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA117)10%水溶液の配合量を10部に変更し、カルボキシ変性ポリビニルアルコール(クラレ社製:KL118)10%水溶液を15部加え、更に、ポリアミドエピクロロヒドリン(星光PMC社製:WS4020、固形分25%、カチオン化度:2.7、分子量:220万、4級アミン)3重量部を加えた以外は、実施例2と同様に感熱記録体を作製した。
保護層用塗液にカオリン50%分散液(IMERYS社製:Contour1500、アスペクト比:60、平均粒子径:2.5μm)9.0部を加えた以外は、実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
[実施例5]
保護層用塗液に配合したカオリンを別のカオリン(IMERYS社製:Astra−Plate、アスペクト比:34、平均粒子径:2.0μm)に代えた以外は、実施例4と同様に感熱記録体を作製した。
[実施例6]
保護層用塗液に配合したカオリンを水酸化アルミニウム(マーティンスベルグ社製:マーティフィン、アスペクト比:5、平均粒子径:3.5μm)に代えた以外は、実施例4と同様に感熱記録体を作製した。
感熱記録層用塗液を調整するためのC液(増感剤分散液)中の増感剤をシュウ酸ジベンジルからジフェニルスルホンに代え、保護層用塗液にカオリン50%分散液(IMERYS社製:Contour1500、アスペクト比:60、平均粒子径:2.5μm)9.0部を加えた以外は、実施例3と同様に感熱記録体を作製した。
[実施例8]
保護層用塗液に配合したカオリンを別のカオリン(IMERYS社製:Astra−Plate、アスペクト比:34、平均粒子径:2.0μm)に代えた以外は、実施例7と同様に感熱記録体を作製した。
[実施例9]
保護層用塗液に配合したカオリンを水酸化アルミニウム(マーティンスベルグ社製:マーティフィン、アスペクト比:5、平均粒子径:3.5μm)に代えた以外は、実施例7と同様に感熱記録体を作製した。
保護層用塗液に配合したアクリル系樹脂を完全鹸化ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA117<重合度:約1700、鹸化度:98〜99モル%、酢酸ナトリウム:1%以下>)に代え、グリオキザール40%水溶液5.0部を配合した以外は実施例7と同様に感熱記録体を作製した。
[比較例2]
保護層用塗液に配合したアクリル系樹脂をTg45℃の非コアシェル型アクリル系樹脂(三井化学社製:XNP3)に代えた以外は、実施例7と同様に感熱記録体を作製した。
[比較例3]
保護層用塗液に配合したアクリル系樹脂をTg100℃のコアシェル型アクリル系樹脂(日本ペイント社製:N−538)に代えた以外は、実施例7と同様に感熱記録体を作製した。
[比較例4]
保護層用塗液を、カーテン法に代えて、ブレード法で塗工を行った以外は、実施例1と同様に行ったが、塗工面が形成できず、塗工量が制御不能で目的とする塗工量を確保することができず、感熱記録体を作製することができなかった(即ち、塗工不能)。
[比較例5]
保護層用塗液を、カーテン法に代えて、エアーナイフコーター(Metso社製)を用い、エアーナイフ法で塗工速度500m/minで塗工を行った以外は、実施例1と同様に行った。なんとか感熱記録体を作製することができたが、塗工面に生じた風紋パターンが著しく、塗工量が制御困難で目的とする塗工量を確保することが困難であった(即ち、塗工困難)。
[比較例6]
保護層用塗液を、カーテン法に代えて、エアーナイフコーター(Metso社製)を用い、エアーナイフ法で塗工速度500m/minで塗工を行った以外は、実施例4と同様に行ったが、塗工面の均一性が低く、塗工量の多い部分で張り付きが発生したため、感熱記録体を作製することができなかった(即ち、塗工不能)。
<記録感度評価>
作製した感熱記録体について、大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.41mJ/dot、印字速度は50mm/secと100mm/secの2種類で印字した。記録部の記録濃度は、マクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定した。
<耐水性評価>
記録感度評価(印字速度50mm/sec)で得られた記録後の感熱記録体の記録面に水を10μl垂らし、記録面が内側になるように二つ折りにし、水滴を滴下した記録体の上に100g/cm2の荷重をかけ40℃90%Rhの環境下で24時間放置し、その後記録面を剥がしブロッキングの評価を行なった。評価基準については下記に示す。
○:ブロッキングがなく、記録層の剥離もない
△:ブロッキングがわずかに発生
×:ブロッキングが生じ、記録層の一部が剥がれ記録部の判定が困難
<耐水浸漬性評価>
記録感度評価(印字速度50mm/sec)で得られた記録後の感熱記録体を水道水に24時間浸し、その後記録面を指で擦り下記の基準で評価した。
○:塗工層が剥落せず、印字が判読可能
△:塗工層が若干剥落するが、印字が判読可能
×:塗工層が剥落し、印字が判読不能
塗工表面を1000g/cm2加重を加えたスチールウールで擦り、線発色を目視評価した。
○:殆ど発色しない
△:薄く発色する
×:濃く発色する
<耐スティック性評価>
大倉電機社製のTH−PMDを使用し、感熱記録体に印加エネルギー0.41mJ/dot、印字速度50mm/sec、−10℃の環境下で印字を行なった際の、耐スティック性を次の基準で評価した。感熱記録体の最表層がプリンターのヘッドに粘着して、部分的に印字できないことを「白飛び」といい、感熱記録体の最表層がプリンターのヘッドに粘着することにより引き起こされるプリンターの騒音を「騒音」という。
○:白飛びの発生がなく、騒音もほとんどない
△:若干の白飛びはするが、騒音はほとんどない
×:白飛びが頻発し、騒音も大きい
<耐可塑剤性>
紙管に塩ビラップ(三井東圧製ハイラップKMA)を1重に巻き付け、この上に記録感度評価(印字速度50mm/sec)で得られた記録後の感熱記録体を貼り付け、更にこの上に塩ビラップを3重に巻き付けたものを23℃の環境下で24時間放置した後、印字部のマクベス濃度を測定した。
記録感度評価(印字速度50mm/sec)で得られた記録後の感熱記録体に酢酸エチル(99.5%)を綿棒で塗工し、24時間放置した後、印字部のマクベス濃度を測定した。
<画質>
作製した感熱記録体について、印字試験機(大倉電機社製:TH−PMD、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.27mJ/dotでベタ印字した。印字後の画質を目視にて下記の基準で評価した。
◎:殆どムラが見られず均一なベタが形成されている
○:少しムラは見られるがほぼ均一なベタが形成されている
△:局部にムラは見られるがベタは形成されている
×:ベタが形成されていない
<塗工欠陥>
作製した感熱記録体について、塗工面の塗工欠陥(ストリーク(細長い棒状)、スクラッチ(短く引っ掻いたような形状)、泡欠陥(細長い楕円状)、風紋パターン(さざ波状)などの非塗工部が残ること)を目視にて下記の基準で評価した。
◎:感熱記録体10m2あたりの塗工欠陥が2個未満
○:感熱記録体10m2あたりの塗工欠陥が2個以上4個未満
△:感熱記録体10m2あたりの塗工欠陥が4個以上8個未満
×:感熱記録体10m2あたりの塗工欠陥が8個以上
Claims (6)
- 支持体上に、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層及び該感熱記録層上に保護層を有する感熱記録体において、該保護層がガラス転移点が50℃より高く95℃以下である非コアシェル型アクリル系樹脂を含有し、該保護層がカーテン法で塗工された感熱記録体。
- 前記保護層が、更に顔料を含む請求項1に記載の感熱記録体。
- 前記顔料のアスペクト比が30以上である請求項2に記載の感熱記録体。
- 前記顔料がカオリンである請求項2又は3に記載の感熱記録体。
- 前記保護層において、バインダー(アクリル系樹脂を含む全バインダー)を顔料100重量部に対して30〜300重量部含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の感熱記録体。
- 前記感熱記録層が更にカルボキシ変成ポリビニルアルコール及びエピクロロヒドリン系樹脂の少なくとも一方を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の感熱記録体。
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