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JP5221115B2 - アンテナ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車のキーレスオペレーションシステム等の無線通信技術に好適なアンテナ装置に関する。
近年、自動車のキーレスオペレーションシステム等の無線通信を目的として、パターンアンテナを利用したアンテナ装置が検討されている。パターンアンテナを用いたアンテナ装置としては、従来、基板上にアンテナ動作波長の1/4の長さでアンテナエレメントをパターン配置したモノポールアンテナが一般的に用いられている。しかしながら、このモノポールアンテナは、アンテナ全体が一方向に長いため、このモノポールアンテナを途中で折り曲げて小型化した逆L型アンテナが開発されている。
さらに、この逆L型アンテナでは、基板のグランド(GND)面と平行になるアンテナエレメントの水平部分との間で発生するリアクタンス成分が容量性で、なおかつ大きい値となるために、50Ωの給電線に対して整合を取るのが困難であった。このため、従来、アンテナエレメントと50Ωの給電線との整合を容易にするために、いわゆる逆F型アンテナが考案されている。この逆F型アンテナは、アンテナエレメントの途中に設けられた給電部の近くに基板のグランド面と放射素子とを接続するスタブを設けたものである。これにより、上記リアクタンス成分による容量性を打ち消して50Ωの給電線との整合を取ることが容易となる。
この逆F型アンテナにおいて小型化を考えた場合、パターンアンテナでは特性改善が厳しいため、例えば特許文献1に記載の技術のように、誘電体を用いたチップアンテナを用いることも提案されている。しかしながら、このような逆Fアンテナであっても、小型化すると開放端部分のインピーダンスが高くなり、基板上のグランド面、アンテナ周辺に実装される部品及び人体等の影響を受け易くなってしまう。この点を改善するため、開放端部分を終端することにより、インピーダンスを低下させ、周辺の影響を受け難いループアンテナを採用することも考えられている(特許文献2参照)。
特開2005−210665号公報 特開2000−183631号公報
しかしながら、上記従来の技術においても、以下の課題が残されている。
すなわち、従来のループアンテナでは、低価格で周辺の影響を受け難いというメリットがあるものの、その開口面積や実効長により特性が決まるため、高利得化、指向性等の特性改善や小型化が困難であるという不都合があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、周辺の影響を受けてもインピーダンスをコントロールでき、所望の周波数チューニングが可能であると共に特性改善や小型化が可能なアンテナ装置を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明のアンテナ装置は、給電線が接続される給電部が設けられた基材と、前記給電部に接続されたアンテナエレメントと、前記給電部と前記アンテナエレメントとに接続されて前記アンテナエレメントと前記給電線とのリアクタンスを整合する整合回路部と、を備え、前記アンテナエレメントが、開放端とされた先端部分に、環状形状とされ受動部品が接続されたインピーダンスコントロール部を備えていることを特徴とする。
従来、開放型のアンテナエレメントは先端のインピーダンスが高くなることから、周辺部品等の影響を受け易いが、本発明のアンテナ装置では、アンテナエレメントが、開放端とされた先端部分に、環状(ループ状)形状とされコンデンサ又はインダクタの受動部品が接続されたインピーダンスコントロール部を備えているので、受動部品を含めたインピーダンスコントロール部全体がアンテナの開放エレメントの役割をし、先端のインピーダンスをコントロール可能になる。したがって、このアンテナ装置では、受動部品の設定やインピーダンスコントロール部の形状等に応じて所望の周波数チューニングが可能になると共に、特性改善や小型化が可能となる。
また、本発明のアンテナ装置は、前記インピーダンスコントロール部が、互いに間隔を空けて接続された複数の前記受動部品により複数に分割されて構成されていることを特徴とする。すなわち、このアンテナ装置では、インピーダンスコントロール部が、互いに間隔を空けて接続された複数の受動部品により複数に分割されて構成されているので、受動部品による分割位置を適宜設定することで延在方向や長さ等が適切に分割配置された複数のアンテナエレメントが得られ、さらにグランド面や周辺部品等の影響を低減することが可能になる。
また、本発明のアンテナ装置は、前記インピーダンスコントロール部が、前記基材上に設けられた他の回路を囲んで配されていることを特徴とする。すなわち、このアンテナ装置では、基材上に設けられた他の回路を囲むようにしてインピーダンスコントロール部が配されているので、開口面積を極力大きく設定することができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明のアンテナ装置によれば、アンテナエレメントが、開放端とされた先端部分に、環状形状とされ受動部品が接続されたインピーダンスコントロール部を備えているので、先端のインピーダンスコントロールができ、所望の周波数チューニングが可能になると共に、良好なアンテナ特性を得ることができる。
したがって、本発明のアンテナ装置は、周辺の影響を受け難く特性改善や小型化が可能なため、自動車等に搭載される無線通信システム、特にキーレスオペレーションシステムに使用される受信アンテナ装置、送信アンテナ装置、送受信アンテナ装置のいずれかの使用に好適である。
以下、本発明に係るアンテナ装置の一実施形態を、図1から図8を参照しながら説明する。
本実施形態におけるアンテナ装置1は、例えば自動車等に搭載される無線通信システム、特にキーレスオペレーションシステムに使用される受信アンテナ装置、送信アンテナ装置、送受信アンテナ装置とされるものであって、図1及び図2に示すように、50Ωの給電線(図示略)が接続される給電部2が設けられた基材3と、給電部2に接続され基材3上に銅箔等の導体でパターン形成されたアンテナエレメント4と、給電部2とアンテナエレメント4とに接続されて基材3上に設けられアンテナエレメント4と給電線とのリアクタンスを整合する整合回路部5と、を備えている。
また、上記アンテナエレメント4は、開放端とされた先端部分に、環状(ループ状)形状とされ受動部品6a〜6cが接続されたインピーダンスコントロール部7を備えている。
なお、上記キーレスオペレーションシステムとは、キーレスオペレーションキーと呼ばれる無線通信機能を有するキーを運転者等が携帯しているだけで、無線作動範囲まで自動車に近づいた際に、キーと自動車本体側に設置された受信アンテナ装置との間でIDコードの照合を無線通信で行うことで、自動車のドア及びテールゲート等の施錠・解錠操作(いわゆるキーレスエントリーシステム)、エンジンの始動操作などが可能になるシステムである。
上記基材2は、例えば配線基板や回路基盤であって、図示しない無線通信回路や電子制御ユニット(ECU)等の他の回路8が上面又は下面に形成されている。
上記整合回路部5は、図2に示すように、複数のインダクタンスL又はコンデンサCで構成されるπ型LC回路を一段又は複数段設けた回路構成とされている。この整合回路部5が、従来の逆F型アンテナにおける給電部からスタブまでの整合を図る部分に相当する。
上記インピーダンスコントロール部7は、アンテナエレメント4の開放エレメント部分であって、基材3上に設けられた他の回路8を囲んで長方形状に配されている。なお、インピーダンスコントロール部7は、所望の周波数の波長に対して長いことが好ましい。
上記インピーダンスコントロール部7は、互いに間隔を空けて接続された3つの受動部品6a〜6cにより複数に分割されて構成されている。すなわち、アンテナエレメント4は、図2に示すように、整合回路部5からインピーダンスコントロール部7までのアンテナパターンである第1エレメント9aと、インピーダンスコントロール部7と、で構成され、該インピーダンスコントロール部7は、受動部品6aと受動部品6bとの間のアンテナパターンである第2エレメント9bと、受動部品6bと受動部品6cとの間のアンテナパターンである第3エレメント9cと、受動部品6cと受動部品6aとの間のアンテナパターンである第4エレメント9dと、で構成されている。
すなわち、インピーダンスコントロール部7は、第2エレメント9b〜第4エレメント9dに3つに分割され、アンテナエレメント4は、第1エレメント9a〜第4エレメント9dに4つに分割されている。
上記受動部品6a〜6cは、一般的に使用されているインダクタ又はコンデンサの受動素子である。すなわち、これらの受動部品6a〜6cの接続によるインピーダンスコントロール部7のインダクタンス成分等の変化に伴い、所望の周波数にチューニングすることができる。
これらの受動部品6a〜6cは、インピーダンスコントロール部7の縦方向及び横方向の位置関係に対応して接続位置を設計する必要がある。本実施形態のように受動部品6a〜6cを3箇所に設ける場合は、図1に示すような位置関係で設計され、インピーダンスコントロール部7の縦方向及び横方向のそれぞれに接続される。なお、本実施形態では、受動部品6a〜6cをインピーダンスコントロール部7内に直列接続しているが、並列接続しても構わない。
次に、本実施形態のアンテナ装置において、実際の偏波及び指向性について測定した結果を示す。
なお、整合回路部5及び受動部品6a〜6cの静電容量は、図2に示すように、それぞれ13pF、8pF、5pF及び7pFとした。この場合の指向性パターンを図4に示す。
また、比較のため、図5に示すように、基材3上にパターンアンテナによる逆F型アンテナパターン11を形成した例で、同様に測定した結果を図6に示す。また、図7に示すように、基材3上にパターンアンテナによるループアンテナパターン21を形成した例で、同様に測定した結果を図8に示す。このループアンテナパターン21の開口面積及び形状は、本実施形態におけるインピーダンスコントロール部7のものと同様に設定した。
なお、これらの比較例における整合回路部5及びアンテナパターンに接続した受動部品6d、6eの静電容量又はインダクタンスは、それぞれ図5及び図7に示す。
上記逆F型アンテナパターン11の比較例では、図6に示すように、アンテナ利得が水平偏波で−15.67dBi、垂直偏波で−12.77dBiと低いレベルであることがわかる。
また、上記ループアンテナパターン21の比較例では、図8に示すように、アンテナ利得が水平偏波で−14.08dBi、垂直偏波で−12.68dBiと両偏波を踏まえた全体的なレベルでみると、逆F型アンテナパターン11の比較例に対してあまり改善されてはいない。
これら比較例に対して、本実施形態のアンテナ装置1では、図4に示すように、アンテナ利得が水平偏波で−8.78dBi、垂直偏波で−9.318dBiと両偏波とも−10dBiを切り、3〜5dBiも改善されていると共に、指向性も無指向性に近いレベルまで改善されていることがわかる。このように本実施形態では、開放部分におけるインピーダンスコントロール部7でインダクタンス成分等の設定を適宜行うことで、開口面積や実効長を拡大することなく、周辺の状況に応じた特性改善が可能になる。
したがって、本実施形態のアンテナ装置1では、アンテナエレメント4が、開放端とされた先端部分に、環状(ループ状)形状とされ受動部品6a〜6cが接続されたインピーダンスコントロール部7を備えているので、受動部品6a〜6cを含めたインピーダンスコントロール部7全体がアンテナの開放エレメントの役割をし、先端のインピーダンスをコントロール可能になる。したがって、このアンテナ装置1では、受動部品6a〜6cの設定やインピーダンスコントロール部7の形状等に応じて所望の周波数チューニングが可能になると共に、特性改善や小型化が可能となる。
また、インピーダンスコントロール部7が、互いに間隔を空けて接続された複数の受動部品6a〜6cにより複数に分割されて構成されているので、受動部品6a〜6cによる分割位置を適宜設定することで延在方向や長さ等が適切に分割配置された複数のアンテナエレメントとして第2エレメント9b〜第4エレメント9dが得られ、さらにグランド面や周辺部品等の影響を低減することが可能になる。
さらに、基材3上に設けられた他の回路8を囲むようにしてインピーダンスコントロール部7が配されているので、開口面積を極力大きく設定することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、上記第1エレメント9aは、その長さ調整によりアンテナ特性の改善が可能であるが、上記実施形態の第1エレメント9aのように直線状パターンだけでなく、ミアンダ形状等の長さが調整可能なパターンを採用しても構わない。
また、アンテナエレメントの形成方法としては、基材上に導体を貼り付けて形成する方法、基材上に導体粉を混ぜたインクで印刷して形成する印刷回路基板技術、基材上に導体を蒸着させ、その後にエッチング等で不要な箇所を除去するフォトリソグラフィ技術又は基材上に導線を立設して所望形状に折り曲げる技術等を採用しても構わない。
本発明に係るアンテナ装置の一実施形態において、アンテナ装置を示す平面図である。 本実施形態のアンテナ装置における等価回路図である。 本実施形態のアンテナ装置において、実際に偏波及び指向性を測定した際の等価回路図である。 本実施形態のアンテナ装置において、実際に偏波及び指向性を測定した際の指向性パターンを示すグラフである。 本発明に係るアンテナ装置の比較例として逆F型アンテナパターンを用いた例を示す装置の平面図及び偏波及び指向性を測定した際の等価回路図である。 逆F型アンテナパターンを用いた比較例において、実際に偏波及び指向性を測定した際の指向性パターンを示すグラフである。 本発明に係るアンテナ装置の比較例としてループアンテナパターンを用いた例を示す装置の平面図及び偏波及び指向性を測定した際の等価回路図である。 ループアンテナパターンを用いた比較例において、実際に偏波及び指向性を測定した際の指向性パターンを示すグラフである。
符号の説明
1…アンテナ装置、2…給電部、3…基材、4…アンテナエレメント、5…整合回路部、6a〜6c…受動部品、7…インピーダンスコントロール部、8…他の回路

Claims (3)

  1. 給電線が接続される給電部が設けられた基材と、
    前記給電部に接続されたアンテナエレメントと、
    前記給電部と前記アンテナエレメントとに接続されて前記アンテナエレメントと前記給電線とのリアクタンスを整合する整合回路部と、を備え、
    前記アンテナエレメントが、開放端とされた先端部分に、環状形状とされていると共に受動部品が接続されたインピーダンスコントロール部を備えていることを特徴とするアンテナ装置。
  2. 請求項1に記載のアンテナ装置において、
    前記インピーダンスコントロール部が、互いに間隔を空けて接続された複数の前記受動部品により複数に分割されて構成されていることを特徴とするアンテナ装置。
  3. 請求項1又は2に記載のアンテナ装置において、
    前記インピーダンスコントロール部が、前記基材上に設けられた他の回路を囲んで配されていることを特徴とするアンテナ装置。
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