JP2010007018A - 共重合芳香族ポリエステルおよび二軸配向フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】芳香族ジカルボン酸成分とアルキレングリコール成分とからなり、全酸成分を基準として、5モル%以上80モル%以下が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸(ANA)成分である共重合芳香族ポリエステルであって、そして
厚み5μmのシート状に成型したときに、ナトリウム元素またはカリウム元素とイオウ元素とを有する表面高突起異物の数が、10個/100cm2以下である共重合芳香族ポリエステルおよびそれを用いた二軸配向フィルム。
【選択図】なし
Description
厚み5μmのシート状に成型したときに、アルカリ金属元素とイオウ元素とを有する表面高突起異物の数が、10個/100cm2以下である共重合芳香族ポリエステルが提供される。
前述の構造式(I)で示される具体的な酸成分としては、R1の部分が炭素数1〜10のアルキレン基であるものであり、好ましくは6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、6,6’−(トリメチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分および6,6’−(ブチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分などが挙げられ、これらの中でも本発明の効果の点からは、上記一般式(I)におけるR1の炭素数が偶数のものが好ましく、特にR1の炭素数が2である6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が好ましい。
まず、本発明の共重合芳香族ポリエステルは、酸成分として前記式(I)で表される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸もしくはそのエステル形成性誘導体(以下、原料Aと称することがある。)と前記式(II)で表わされる芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体(以下、原料Bと称することがある。)とを用い、グリコール成分としてアルキレングリコールとを反応させるものであり、通常は酸成分とグリコール成分とのエステル化反応もしくはエステル交換反応を第1反応とし、得られた前駆体を重縮合反応させる第2反応工程とからなる。なお、本発明における前述の構造式(I)で示される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸および前記構造式(II)で示される芳香族ジカルボン酸は、前述のとおり、エステル形成性誘導体であってもよい。具体的なエステル形成性誘導体としては、例えば炭素数1〜3の低級アルキルエステルが好ましく挙げられ、特にジメチルエステルやジエチルエステルなどが好ましく挙げられる。
得られたポリエステルの固有粘度はO−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いて、温度35℃で測定し求めた。
原料Aを乳鉢で微粉砕後攪拌子入りポリエチレン容器に入れ、超純水(イオン交換水)にて10重量%スラリー化し、1時間分散させ、放冷後、水層をフィルター分離して、イオンクロマト分析装置(Dionex社製ICS−2000、カラム:IonPacASII−HC)にてスラリー中のイオウ元素系イオン(硫酸、亜硫酸、メタンスルホン酸の各イオン)量を測定した。なお、検出されたイオウ元素系イオン量は、原料Aの重量を基準としたときのイオウ元素量に換算し、その値をイオウ元素イオン量に示した。
含有カリウムおよびナトリウム金属元素量については、得られた粉体あるいは共重合ポリエステルの試料を灰化後、0.5N塩酸に溶解して、原子吸光分析装置(日立製作所製 Z−2300)にて測定した。
得られた共重合芳香族ポリエステルを425μmパスまで粉砕したポリマーサンプルを1g用意し、それをヒドラジン一水和物(試薬)10mlに加えて、2時間加熱還流させて加水分解したのち放冷した。その後、上澄み部分をガスクロマトグラフィー(Hewlett Packard社製 6890series GC System)にて分析し、遊離したジアルキレングリコール量を測定した。
2枚のフィルムを重ねてNaランプ(波長589nm)を照射しながら5cm×10cmの範囲を観察し、突起によって形成されるニュートンリングの個数をカウントし1.5R以上のニュートンリングを有する突起数を粗大突起数とした。
ナトリウム(Na),カリウム(K)、イオウ(S)などの元素は、フィルムをエッチングして核を露出させたのちカーボン蒸着後、SEM(SEM 日立製作所製 S−2150 Scaning Electron Microscope)にて0.5μm以上の粗大粒子を確認しながら、無作為に100個以下の条件のもと100個の粗大粒子についてXMA(堀場製作所製 XRay microanalyzer EMAX 2770)分析を行い、その有無を確認した。なお、XMA分析では印加電圧20KV、2Aで100秒間電子線を照射し、20cps以上カウントされたものを検出金属元素とした。
(グリコール成分)試料10mgをp−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=3:1(容積比)混合溶液0.5mlに80℃で溶解し、イソプロピルアミンを加えて十分に混合した後に、600MHzの1H−NMRを日本電子株式会社製、JEOL A600を用いて80℃で測定し、それぞれのグリコール成分量を求めた。
(酸成分)試料60mgをp−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=3:1(容積比)混合溶液0.5mlに140℃で溶解し、150MHzの13C−NMRを日本電子株式会社製、JEOL A600を用いて140℃で測定し、それぞれの酸成分量を求めた。
容量10リットルの攪拌付きオートクレーブに2−ヒドロキシー6−ナフトエ酸1000重量部、水酸化カリウム597重量部、ジクロロエタン263重量部、水5000重量部を仕込み窒素置換後、窒素圧0.3Mpaを掛け攪拌下120℃〜130℃で反応した。反応後冷却・ろ過することにより6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸モノカリウム塩を主成分とする固体を得た。この生成物の乾燥重量は380重量部であった。この生成物を5Lのセパラブルフラスコに入れ、ついで水酸化カリウム100重量部、水5400重量部を加え100℃で加熱した。塩が完全に溶解したところで熱ろ過してエタノール5400重量部を加えた後、硫酸を加え温度75℃で酸析を行った。酸析後、析出した固体をろ過し水洗し減圧乾燥し、6,6−(エチレンジオキシ)−ジ−2−ナフトエ酸の粉体1を製造した。得られた粉体1をイオンクロマト分析にかけたところ、イオウ元素換算の遊離イオンは65ppmであった。また原子吸光分析で測定したカリウムとナトリウムの合計元素量(M)は264ppmだった。
容量10リットルの攪拌付きオートクレーブに2−ヒドロキシー6−ナフトエ酸1000重量部、水酸化カリウム597重量部、ジクロロエタン263重量部、水5000重量部を仕込み窒素置換後、窒素圧0.3Mpaを掛け攪拌下120℃〜130℃で反応した。反応後冷却・ろ過することにより6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸モノカリウム塩を主成分とする固体を得た。この生成物の乾燥重量は380重量部であった。この生成物を5Lのセパラブルフラスコに入れ、ついで水酸化カリウム50重量部、水5400重量部を加え100℃で加熱した。塩が完全に溶解したところで熱ろ過してエタノール5400重量部を加えた後、50%メタンスルホン酸水溶液を加え温度75℃で酸析を行った。酸析後、析出した固体をろ過し水洗し減圧乾燥し、6,6−(エチレンジオキシ)−ジ−2−ナフトエ酸の粉体2を製造した。得られた粉体2のイオウ元素換算の遊離イオンは17.1ppm、カリウムとナトリウムの合計元素量(M)は549ppmであった。また、さらにろ過および水洗を繰り返し、減圧乾燥して、6,6−(エチレンジオキシ)−ジ−2−ナフトエ酸の粉体3を製造した。得られた粉体3のイオウ元素換算の遊離イオンは8ppm、カリウムとナトリウムの合計元素量(M)は499ppmであった。
参考例2の方法で合成した6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸の粉体22200重量部、メタノール14000重量部、テトラ−n−ブチルチタネートをチタン元素として0.14重量部加えて、オートクレーブで220℃、5.5MPaにて5時間反応させて、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルエステルを合成し、それを再結晶化させて粉体4を製造した。得られた粉体4のイオウ元素換算の遊離イオンは0.3ppm、カリウムとナトリウムの合計元素量(M)は51ppmだった。
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル350部およびエチレングリコール180部とを攪拌機、精留塔、冷却管を備えた圧力容器に仕込み、150℃まで昇温した。その時点でトリメリット酸チタンをチタン元素として0.008部を加え、反応装置全体を窒素にて0.08MPaに加圧して、圧力容器内温を235℃へと徐々に昇温した。圧力は常に0.08MPaにコントロールさせ、精留塔の塔頂温度は還流比1にて反応を続けた。235℃まで昇温したのち圧力を10分間で常圧に戻し、放圧により低下した反応物を再度過熱し220℃とし燐酸トリメチル0.09部を加え更に昇温させてエチレングリコールの一部を留出させつつ240℃にて反応終了とした。
続いて30μmの金網フィルターを通過させて反応液を重縮合容器に移した。
その後反応容器内温を徐々に昇温しながら、ゆっくりと容器内を減圧し、290℃、50Paで所定の攪拌電力に到達するまで重縮合反応を続け、固有粘度0.62dl/g、DEG量0.80wt%の2,6−ポリエチレンナフタレート(以下PENと称す)を得た。
参考例1で得られた粉体1(6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸)30kg(74.6モル)と、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル7.8kg(32.0モル)およびエチレングリコール25kgとを攪拌機、精留塔、冷却管を備えた圧力容器に仕込み、150℃まで昇温した。その時点でトリメリット酸チタンをチタン元素として2.3g相当量加え、反応装置全体を窒素にて0.25MPaに加圧して、圧力容器内温を240℃へと昇温した。圧力は常に0.25MPaにコントロールさせ、精留塔の塔頂温度は200℃になると全還流とし、200℃以下では還流比1にて反応を続けた。反応の進行に従い容器内は徐々に透明になり最終的に内温を250℃まで昇温し、液が透明であることを確認して反応終了とした。
続いて圧力を常圧に戻しトリメチルフォスフェート9.0gを加え内温を250℃まで再度昇温、余分のエチレングリコールを留出させたのち、平均目開き30μmの金網フィルターを通過させて反応液を重縮合容器に移した。
その後反応容器内温を徐々に昇温しながら、ゆっくりと容器内を減圧し、290℃、50Paで所定の攪拌電力に到達するまで重縮合反応を続け、共重合芳香族ポリエステルを製造した。
得られた共重合芳香族ポリエステルの特性を表1に示す。
参考例1で得られた粉体1の代わりに、参考例2で得られた粉体2(6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸)30kg(74.6モル)を用いた以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。
得られた共重合芳香族ポリエステルの特性とフィルムの表面高突起数を表1に示すが、比較例1と同様の結果となった。
参考例1で得られた粉体1の代わりに、参考例2で得られた粉体3(6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸)30kg(74.6モル)を用いた以外は、比較例1と同様な操作を繰り返した。
得られた共重合芳香族ポリエステルの特性とフィルムの表面高突起数を表1に示すが、高突起数は8個と少なく、その核からイオウ元素とナトリウムあるいはカリウムを同時に検出した割合も30%と、イオウ元素換算の遊離イオンが低濃度の素原料を使用したことで、ナトリウムやカリウムの濃度が高いにもかかわらず、異物形成が抑制された。
参考例3で得られた粉体4(6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルエステル)32.1kg(74.6モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル7.8kg(32.0モル)、エチレングリコール25kgならびにトリメリット酸チタンをチタン元素として1.5g相当量加え、攪拌機、精留塔、冷却管を備えた圧力容器に仕込み、徐々に昇温しながら、塔頂温度が80℃で全還流でそれ以下は還流比1にて反応を続けた。反応の進行に従い容器内は徐々に透明になり、メタノールの留出が終了し塔頂温がメタノールの沸点以下に低下したことを確認したのち240℃まで昇温し、容器内の液が透明であることを最終確認した。
続いてトリメチルフォスフェート4.5gを加え、内温を250℃まで再度昇温し、余分のエチレングリコールを留出させたのち、30μmの金網フィルターを通過させて反応液を重縮合容器に移した。
その後反応容器内温を徐々に昇温しながら、ゆっくりと容器内を減圧し、290℃、50Paで所定の攪拌電力に到達するまで重縮合反応を続け、共重合芳香族ポリエステルを製造した。
続いて比較例1と同様に5μmのフィルムを得た。
得られた共重合芳香族ポリエステルの特性とフィルムの表面高突起数を表1に示す。
実施例2の共重合成分である2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルに代えて、テレフタル酸ジメチルエステルを6.2Kg(32モル)としたほかは、実施例2と同様な操作を繰り返して共重合芳香族ポリエステルを製造した。なお、得られた共重合ポリエステルはエチレングリコールと6、6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分とテレフタル酸成分との共重合体であった。このようにして得られた共重合芳香族ポリエステルと参考例4のPENとをブレンドして6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が20モル%となるようしたほかは、実施例1と同様な操作を繰り返して二軸配向フィルムとした。
得られた共重合芳香族ポリエステルの特性とフィルムの表面高突起数を表1に示す。
表1に示すとおり、ENAとNDAの割合を変更し、参考例4のPENを使用せずに二軸配向フィルムとしたほかは実施例1と同様な操作を繰り返した。
得られた共重合芳香族ポリエステルの特性とフィルムの表面高突起数を表1に示す。
Claims (2)
- 芳香族ジカルボン酸成分と下記(III)式で示されるアルキレングリコール成分とからなる芳香族ポリエステルであって、全酸成分を基準として、5モル%以上80モル%以下が、下記構造式(I)で表される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分で、20モル%以上95モル%以下が下記構造式(II)で表される芳香族ジカルボン酸成分であること、そして
厚み5μmのシート状に成型したときに、ナトリウム元素またはカリウム元素とイオウ元素とを有する表面高突起異物の数が、10個/100cm2以下であることを特徴とする共重合芳香族ポリエステル。
- 請求項1記載の共重合芳香族ポリエステルからなることを特徴とする二軸配向フィルム。
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JP2008170525A JP2010007018A (ja) | 2008-06-30 | 2008-06-30 | 共重合芳香族ポリエステルおよび二軸配向フィルム |
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Cited By (1)
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CN110505906A (zh) * | 2017-01-10 | 2019-11-26 | 得克萨斯州A&M大学系统 | 甲磺酸介导的共轭多孔聚合物网络的无溶剂合成 |
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2008
- 2008-06-30 JP JP2008170525A patent/JP2010007018A/ja active Pending
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