JP2009211956A - リチウムイオン電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハイレート放電に対する耐久性がより効果的に改善されたリチウムイオン電池を提供する。
【解決手段】本発明に係るリチウムイオン電池10は捲回電極体30を備え、その捲回軸方向の一端および他端には正負の電極端子がそれぞれ接続されている。電極体30のうち正負の電極シートの活物質層とセパレータとが重なって捲回された捲回コア部31の単位体積当たりの電解液保持量が、捲回軸方向の中央部312では上記一端側(正極端子側)313および上記他端側(負極端子側)311よりも多くなるように構成されている。
【選択図】図5
【解決手段】本発明に係るリチウムイオン電池10は捲回電極体30を備え、その捲回軸方向の一端および他端には正負の電極端子がそれぞれ接続されている。電極体30のうち正負の電極シートの活物質層とセパレータとが重なって捲回された捲回コア部31の単位体積当たりの電解液保持量が、捲回軸方向の中央部312では上記一端側(正極端子側)313および上記他端側(負極端子側)311よりも多くなるように構成されている。
【選択図】図5
Description
本発明はリチウムイオン電池に関し、詳しくは、ハイレート放電の繰り返しに対する耐久性が高められたリチウムイオン電池に関する。
正極と負極との間をリチウムイオンが行き来することによって充電および放電するリチウムイオン電池は、軽量で高出力が得られることから、車両搭載用電源あるいはパソコンや携帯端末の電源等として今後益々の需要増大が見込まれている。リチウムイオン電池に関する従来技術文献として例えば特許文献1が挙げられる。
特開2002−231316号公報
ところで、リチウムイオン電池の用途のなかには、ハイレートでの放電(急速放電)を繰り返す態様で使用されることが想定されるものがある。車両の動力源として用いられるリチウムイオン電池(例えば、動力源としてリチウムイオン電池と内燃機関等のように作動原理の異なる他の動力源とを併用するハイブリッド車両に搭載されるリチウムイオン電池)は、このような使用態様が想定されるリチウムイオン電池の代表例である。しかし、従来の一般的なリチウムイオン電池は、ローレートでの充放電サイクルに対しては比較的高い耐久性を示すものであっても、ハイレート放電を繰り返す充放電パターンでは性能劣化(内部抵抗の上昇等)を起こしやすいことが知られていた。
特許文献1には、特定構造の炭素材料に導電材を添加した組成の負極と所定濃度の電解液とを用いることによって充放電サイクル経過による内部抵抗の上昇を抑える技術が記載されている。しかしながら、かかる技術によってもハイレート放電(例えば、車両動力源用のリチウムイオン電池等において求められるレベルの急速放電)を繰り返す充放電パターンに対する耐久性を十分に向上させることはできなかった。
そこで本発明は、ハイレート放電に対する耐久性がより効果的に改善されたリチウムイオン電池を提供することを目的とする。
本発明者は、捲回型の電極体を備える従来のリチウムイオン電池では、車両動力源用のリチウムイオン電池において想定されるようなハイレートで短時間(パルス状)の放電と充電とを連続して繰り返すと内部抵抗が顕著に上昇する、という特有の事象がみられることに着目した。そこで、かかるハイレートパルス放電の繰り返しがリチウムイオン電池に及ぼす影響を詳細に解析した。その結果、ハイレートパルス放電を繰り返したリチウムイオン電池では、捲回電極体に浸透した電解液のリチウム塩濃度に場所による偏りが生じること、より詳しくは、捲回電極体の軸方向中央部のリチウム塩濃度が両端部に比べて低くなる(初期状態に比べてリチウム塩濃度がより大きく低下する)ことを新たに見出した。このようなリチウム塩濃度(リチウムイオン濃度としても把握され得る。以下「Li濃度」と表記する。)の偏りが存在すると、Li濃度が相対的に低い部分では電池反応が相対的に遅くなることから、電池全体としてのハイレート放電性能が低下する。また、Li濃度の高い部分に電池反応が集中するため当該部分の劣化が促進される。これらの事象は、いずれもハイレート放電を繰り返す充放電パターン(ハイレート充放電サイクル)に対するリチウムイオン電池の耐久性を低下させる(性能を劣化させる)要因となり得る。
本発明は、かかる知見に基づいて、上記Li濃度の偏り(ムラ)を解消または緩和する対策を講ずるという新たなアプローチによってハイレート充放電サイクルに対するリチウムイオン電池の耐久性を向上させるものである。
本発明により提供されるリチウムイオン電池は、長尺シート状の集電体上に活物質層を有する正負の電極シートが長尺シート状のセパレータを介して長手方向に捲回された捲回電極体と電解液とが容器に収容された構成を有する。前記電極体の捲回軸方向の一端には正極端子が、他端には負極端子がそれぞれ接続されている。そして、前記電極体は、該電極体のうち前記正負の電極シートの活物質層と前記セパレータとが重なって捲回された捲回コア部の単位体積当たりの電解液保持量(以下、単に「電解液保持量」ということもある。)が、前記捲回軸方向の中央部では前記一端側(すなわち、電極体に正極端子が接続された側。以下「正極端子側」ということもある。)および前記他端側(すなわち、電極体に負極端子が接続された側。以下「負極端子側」ということもある。)よりも多くなるように構成されている。
上述のように、従来のリチウムイオン電池では、捲回コア部の軸方向中央部と両端部(一端側および他端側)とで、ハイレート充放電サイクルを与えたときのLi濃度の変動幅に差異があった。すなわち、両端部に比べて中央部ではLi濃度の変動(低下)幅が大きかった。上記構成を有する本発明のリチウムイオン電池によると、捲回コア部の中央部に両端部よりも多くの電解液を含ませておくことができる。換言すれば、両端部に比べて多くのリチウム塩(リチウムイオン)を中央部にストックしておくことができる。中央部にあるリチウム塩の絶対量が多くなれば、そのなかから所定量のリチウム塩が失われた場合におけるLi濃度の変動(低下)幅は小さくなる。したがって、本発明の構成によると、上記中央部におけるLi濃度の変動幅を小さくし、これにより中央部と両端部とのLi濃度変動幅の差異(ひいては該変動後におけるLi濃度の差異、すなわちLi濃度の偏り)を解消または緩和することができる。このことによってハイレート充放電サイクルに対するリチウムイオン電池の耐久性を向上させることができる。すなわち、上記構成のリチウムイオン電池によると、ハイレート放電を繰り返す使用態様においても電池性能の劣化(例えば内部抵抗の上昇)を抑制することができる。ここに開示されるいずれかのリチウムイオン電池は、ハイレート放電に対する耐久性が求められる用途その他の各種用途に好ましく使用され得る。特に、自動車等の車両(典型的には、ハイブリッド車両または電気車両)の動力源としての用途に好適である。
ここに開示されるリチウムイオン電池では、上述のように捲回コア部中央部の電解液保持量が両端部よりも多くなるような種々の構成を、単独であるいは適宜組み合わせて採用することができる。
例えば、前記正負の電極シートの少なくとも一方(例えば負極シート)として、該電極シートの有する活物質層の空隙率が、前記中央部(該電極シートのうち前記捲回コア部の中央部を構成する部分、すなわち活物質層の幅の中央部)では前記一端側(正極端子側)および前記他端側(負極端子側)の少なくとも一方よりも高くなるように構成されたものを採用することができる。中央部における活物質層の空隙率が前記一端側および前記他端側のいずれよりも高くなるように構成された電極シートであってもよい。かかる構成の電極シートを用いることにより、中央部の電解液保持量が両端部よりも多くなるように構成された捲回電極体および該電極体を備えるリチウムイオン電池を容易に実現することができる。したがって本発明は、他の側面として、捲回電極体を備えるリチウムイオン電池用の電極シート(典型的には負極シート)であって、長尺シート状の集電体上に活物質層を有し、上記活物質層の幅の中央部における空隙率が該活物質層の両端部よりも高くなるように構成されたリチウムイオン電池用電極シートを提供する。該電極シートは、ここに開示されるいずれかのリチウムイオン電池の構成要素(部品)として好適に使用され得る。
また、前記セパレータとして、前記中央部における空隙率が前記一端側および前記他端側の少なくとも一方よりも高くなるように構成されたものを採用することができる。中央部の空隙率が前記一端側および前記他端側のいずれよりも高くなるように構成されたセパレータであってもよい。かかる構成のセパレータを用いることにより、中央部の電解液保持量が両端部よりも多くなるように構成された捲回電極体および該電極体を備えるリチウムイオン電池を容易に実現することができる。したがって本発明は、他の側面として、捲回電極体を備えるリチウムイオン電池用のセパレータであって、長尺シート状を呈し、その幅の中央部における空隙率が両端部よりも高くなるように構成されたリチウムイオン電池用セパレータを提供する。かかる構成のセパレータは、ここに開示されるいずれかのリチウムイオン電池の構成要素(部品)として好適に使用され得る。
ここに開示されるリチウムイオン電池の好ましい一態様では、前記セパレータは前記中央部の厚みが前記一端側および前記他端側の少なくとも一方(典型的には両方)よりも大きい。前記セパレータに対向する前記活物質層は、前記セパレータの厚み傾向とは逆に、前記中央部の厚みが前記一端側および前記他端側の少なくとも一方(典型的には両方)よりも小さい。そして、該セパレータの空隙率は、少なくとも前記中央部では(より好ましくは、前記捲回コア部の軸長全体に亘って)前記活物質層の空隙率よりも高い。
上記厚み傾向の活物質層を有する電極シートおよびセパレータによると、前記中央部における電極体の断面(捲回軸に垂直な断面)に占めるセパレータの断面積Asと活物質層の断面積Aaとの比(As/Aa)が、前記一端側および前記他端側の少なくとも一方(典型的には両方)における断面に占める上記面積比よりも大きい電極体が好適に形成され得る。したがって、中央部の電解液保持量が両端部よりも多くなるように構成された捲回電極体および該電極体を備えるリチウムイオン電池を容易に実現することができる。また、一般に活物質はリチウムイオンの出入り(挿入脱離)に伴って多少なりとも膨張収縮し、これにより特にハイレート充放電サイクルにおいては活物質層から電解液を押し出す作用(ポンピング作用)が生じ得るところ、上記構成によると中央部における活物質層の厚みが小さい(すなわち活物質量が少ない)ので、該中央部では上記ポンピング作用を軽減することができる。したがって、電極体(捲回コア部)の中央部に両端部よりも多くの電解液が保持されていることと相俟って、ハイレート充放電サイクル等によって電極体中における電解液保持量が偏る(典型的には、中央部における電解液保持量が両端部よりも大きく低下する)事象を緩和または解消することができる。このことによって、ハイレート充放電サイクルに対する耐久性をより高めることができる。
ハイレート充放電サイクルを行ったときのLi濃度の変動幅は、典型的には捲回コア部の他端側(負極端子側)よりも一端側(正極端子側)のほうが大きい。ここに開示されるリチウムイオン電池の好ましい一態様では、前記捲回コア部の単位体積当たりの電解液保持量が、前記他端側よりも前記一端側のほうが多くなるように(すなわち、電解液保持量が負極端子側、正極端子側、中央部の順に多くなるように)構成されている。このことによってLi濃度の偏りをよりよく緩和することができる。上記構成を実現するために、例えば、活物質層の空隙率が負極端子側、正極端子側、中央部の順に大きくなっている電極シート(正極シートおよび/または負極シート)を好ましく採用することができる。また、空隙率が負極端子側、正極端子側、中央部の順に大きくなっているセパレータシートを用いてもよい。
中央部の電解液保持量を両端部よりも多くする程度は、想定される使用態様や目標とする耐久性等を考慮して適宜設定することができる。一例として、前記他端側の単位体積当たりの電解液保持量を1として、前記中央部の電解液保持量が凡そ1.1〜2となるような構成を好ましく採用し得る。かかる構成は、例えば前記捲回コア部を互いの軸長が同等となるように前記一端側と前記中央部と前記他端側との三つの部分に分けたとき、それら各部分の軸長の中央における電解質保持量が、前記他端側部分の電解液保持量を1として、前記中央部分の電解液保持量が凡そ1.1〜2となるような構成であり得る。
他の一例として、前記他端側の単位体積当たりの電解液保持量を1として、前記一端側の電解液保持量が凡そ1〜1.5となるような構成を好ましく採用することができる。かかる構成は、例えば前記捲回コア部を互いの軸長が同等となるように前記一端側と前記中央部と前記他端側との三つの部分に分けたとき、それら各部分の軸長の中央における電解質保持量が、前記他端側部分の電解液保持量を1として、前記一端側部分の電解液保持量が凡そ1〜1.5となるような構成であり得る。
ここに開示されるいずれかのリチウムイオン電池は、車両に搭載される電池として適した性能(例えば軽量で高出力が得られること)を備え、特にハイレート充放電に対する耐久性に優れたものであり得る。したがって本発明によると、ここに開示されるいずれかのリチウムイオン電池を備えた車両が提供される。特に、該リチウムイオン電池を動力源(典型的には、ハイブリッド車両または電気車両の動力源)として備える車両(例えば自動車)が好ましい。
ここに開示される技術の好ましい適用対象として、50A以上(例えば50A〜250A)、さらには100A以上(例えば100A〜200A)のハイレート放電を含む充放電サイクルで使用され得ることが想定されるリチウムイオン電池;理論容量が1Ah以上(さらには3Ah以上)の大容量タイプであって10C以上(例えば10C〜50C)さらには20C以上(例えば20C〜40C)のハイレート放電を含む充放電サイクルで使用されることが想定されるリチウムイオン電池;等が例示される。
また、ここに開示される技術の好ましい適用対象として、電極体を捲回軸の側方からみたときに、捲回コア部の投影面のサイズが捲回軸方向(図3の横方向)について5cm以上(典型的には5cm〜25cm、例えば7cm〜20cm)であるリチウムイオン電池が挙げられる。このように捲回コア部の軸長が比較的長い(大型の)リチウムイオン電池では、従来の構成によってはハイレート充放電に起因するLi濃度の偏りが生じやすいことから、本発明を適用することが特に有益である。
また、ここに開示される技術は、正負の電極シートとセパレータとが扁平に捲回された電極体を備えるリチウムイオン電池に好ましく適用され得る。例えば、上記扁平面の法線方向から(捲回軸の横方向)からみて、捲回コア部の投影面のサイズが捲回軸方向について5cm以上(典型的には5cm〜25cm、例えば7cm〜20cm)であり、且つ高さ方向(図3の縦方向)について5cm以上(典型的には5cm〜25cm、例えば7cm〜20cm)であるリチウムイオン電池に好ましく適用され得る。このように捲回コア部の軸長が比較的長く且つ高さの大きい(大型の)リチウムイオン電池では、従来の構成によってはハイレート充放電に起因するLi濃度の偏りが生じやすいことから、本発明を適用することが特に有益である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明に係るリチウムイオン電池は、特に自動車等の車両に搭載されるモータ(電動機)用電源として好適に使用し得る。したがって本発明は、例えば図7に模式的に示すように、かかる電池10(当該電池10を複数個直列に接続して形成される組電池の形態であり得る。)を電源として備える車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車等のように電動機を備える自動車)1を提供する。
特に限定することを意図したものではないが、以下では扁平に捲回された電極体(捲回電極体)と非水電解液とを扁平な箱型(直方体形状)の容器に収容した形態のリチウムイオン電池を例として本発明を詳細に説明する。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。
<実施例1>
本発明の一実施例に係るリチウムイオン電池の概略構成を図1〜3に示す。このリチウムイオン電池10は、長尺状の正極シート32および負極シート34が長尺シート状のセパレータ35を介して扁平に捲回された形態の電極体(捲回電極体)30が、図示しない非水電解液とともに、該捲回電極体30を収容し得る形状(扁平な箱型)の容器11に収容された構成を有する。
本発明の一実施例に係るリチウムイオン電池の概略構成を図1〜3に示す。このリチウムイオン電池10は、長尺状の正極シート32および負極シート34が長尺シート状のセパレータ35を介して扁平に捲回された形態の電極体(捲回電極体)30が、図示しない非水電解液とともに、該捲回電極体30を収容し得る形状(扁平な箱型)の容器11に収容された構成を有する。
容器11は、一端に開口部を有する有底四角筒状の筐体12と、その開口部に取り付けられて該開口部を塞ぐ蓋体13とを備える。容器11を構成する材質としては、アルミニウム、スチール等の金属材料が好ましく用いられる。あるいは、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリイミド樹脂等の樹脂材料を成形してなる容器11であってもよい。例えば、筐体12および蓋体13がいずれもアルミニウム製である容器11を好ましく使用することができる。
本実施例に係る扁平形状の捲回電極体30は、後述する負極シートに具備される活物質層(負極活物質層)の構成を除いては通常のリチウムイオン電池の捲回電極体と同様に、長尺シート状の正極シート32と負極シート34とを典型的には二枚の長尺シート状のセパレータ(セパレータシート)35とともに積層して長手方向に捲回(典型的には略円形に捲回)し、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって作製され得る。このようにシートの積層物を捲回した後に扁平に押しつぶす態様に代えて、例えば上記積層物を当初から扁平な形状(略長円形、楕円形等)に捲回してもよい。
正極シート32および負極シート34は、それぞれ、長尺シート状の集電体上に活物質層が形成された構成を有する。該活物質層は、集電体の幅方向の一端(長手方向に沿う一方の端部)を除いた帯状の領域に形成されている。すなわち、上記幅方向の一端は上記活物質層が形成されない部分(活物質層非形成部分)となっている。正負の電極シート32,34とセパレータシート35とは、両電極シートの活物質層が重ね合わさり且つ正極シートの活物質層非形成部分と負極シートの活物質層非形成部分とがセパレータの幅方向の一端および他端からそれぞれはみ出すように、正負の電極シート32,34が幅方向に位置をややずらして積層された状態で捲回されている。その結果として、捲回電極体30の捲回軸方向の一端および他端には、正極シート32の活物質層非形成部分が捲回コア部分31(すなわち両電極シート32,34の活物質層とセパレータとが密に捲回された部分)から外方にはみ出した部分32Aと、負極シート34の活物質層非形成部分が捲回コア部分31から外方にはみ出した部分34Aとがそれぞれ形成されている。該はみ出し部分32A,34Aに外部接続用の正極端子14および負極端子16の一端が接続されている。電極端子14,16の他端は容器11(蓋体13)の外部に引き出されている。
捲回電極体30は、捲回コア部31のうち軸方向の中央部が、その正極端子側および負極端子側のいずれよりも単位堆積当たりの電解液保持量が多くなるように構成されている。本実施例では、負極シート34の有する活物質層の空隙率を該活物質層の幅方向(捲回コア部の軸方向)の一部と他部とで異ならせることにより(具体的には、負極活物質層の幅の中央部312における空隙率が両端部311,313よりも高くなっていることにより)上記構成が実現されている。本実施例では、正極シート32およびセパレータシート35の構成(空隙率や厚み)ならびに負極活物質層の厚みは、少なくとも捲回コア部の軸長の範囲内ではほぼ一定である。負極シート34の構成については後に詳しく述べる。
捲回電極体30を構成する材料および部材自体は、従来のリチウムイオン電池に備えられる電極体と同様のものを用いることができる。
例えば、正極集電体としては、導電性の良い金属からなる長尺シート状の部材(金属箔)が好ましく用いられる。特に、アルミニウム(Al)やアルミニウム合金(Alを主成分とする合金)等のアルミニウム材料を用いて構成された正極集電体が好ましい。例えば、厚さ5μm〜30μm(好ましくは10μm〜30μm、例えば15μm)程度のアルミニウム箔を正極集電体として好ましく用いることができる。一例として、上記厚みを有する長さ2m〜4m(例えば2.7m)、幅8cm〜15cm(例えば12cm)程度のアルミニウム箔を集電体として好ましく使用することができる。
正極活物質(典型的には粒子状)としては、一般的なリチウムイオン電池に用いられる層状構造の酸化物系正極活物質、スピネル構造の酸化物系正極活物質等を好ましく用いることができる。かかる正極活物質の代表例として、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO2)、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO2)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMn2O4)等の、リチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(リチウム遷移金属酸化物)を主成分とする正極活物質(実質的にリチウム遷移金属酸化物からなる正極活物質であり得る。)が挙げられる。
ここで「リチウムニッケル酸化物」とは、LiとNiとを構成金属元素とする酸化物のほか、LiおよびNi以外に他の少なくとも一種の金属元素(すなわち、LiおよびNi以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)をNiよりも少ない割合(原子数換算。LiおよびNi以外の金属元素を二種以上含む場合にはそれらの合計量としてNiよりも少ない割合)で含む酸化物をも包含する意味である。かかる金属元素は、例えば、Co,Al,Mn,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Zr,Nb,Mo,W,Cu,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上の元素であり得る。リチウムコバルト酸化物およびリチウムマンガン酸化物についても同様である。
このようなリチウム遷移金属酸化物(典型的には粒子状)としては、例えば、従来公知の方法で調製・提供されるリチウム遷移金属酸化物粉末(以下、活物質粉末ということもある。)をそのまま使用することができる。例えば、平均粒径が凡そ1μm〜25μm(典型的には凡そ2μm〜15μm)の範囲にある二次粒子によって実質的に構成されたリチウム遷移金属酸化物粉末を、ここに開示される技術における正極活物質として好ましく採用することができる。
正極活物質層は、好ましくは該正極活物質のほかに導電材を含有する。該導電材としてはカーボン粉末やカーボンファイバー等のカーボン材料が好ましく用いられる。あるいは、ニッケル粉末等の導電性金属粉末等を用いてもよい。これらのうち一種のみを用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末、等のカーボン粉末を用いることができる。これらのうちアセチレンブラックを好ましく採用することができる。例えば、構成粒子(典型的には一次粒子)の平均粒径が凡そ10nm〜200nm(例えば凡そ20nm〜100nm)の範囲にある粒状導電材(例えば、アセチレンブラック等の粒状カーボン材料)の使用が好ましい。
その他、正極活物質層には、一般的なリチウムイオン電池において正極活物質層の構成成分として使用され得る一種または二種以上の材料を必要に応じて含有することができる。そのような材料の例として、上記構成成分の結着材(バインダ)として機能し得る各種のポリマー材料が挙げられる。
特に限定するものではないが、正極活物質層全体に占める正極活物質の割合(典型的には、正極活物質組成物の固形分に占める正極活物質の割合と概ね一致する。)は凡そ50質量%以上(典型的には50〜95質量%)であることが好ましく、凡そ75〜90質量%であることがより好ましい。導電材を含む組成の正極活物質層では、該活物質層に占める導電材の割合を例えば凡そ3〜25質量%とすることができ、凡そ3〜15質量%とすることが好ましい。この場合において、該活物質層に占める正極活物質の割合は凡そ80〜95質量%(例えば85〜95質量%)とすることが適当である。
また、正極活物質および導電材以外の正極活物質層形成成分(例えばポリマー材料)を含有する組成物では、それら任意成分の合計含有割合(正極活物質層形成成分全体に占める割合)を凡そ7質量%以下とすることが好ましく、凡そ5質量%以下(例えば凡そ1〜5質量%)とすることがより好ましい。上記任意成分の合計含有割合が凡そ3質量%以下(例えば凡そ1〜3質量%)であってもよい。
正極活物質層の形成方法としては、正極活物質(典型的には粒子状)その他の正極活物質層構成成分が適当な溶媒(好ましくは水系溶媒)に分散した組成物(正極活物質組成物)を正極集電体の片面または両面(ここでは両面)に帯状に塗布して乾燥させる方法を好ましく採用することができる。特に限定するものではないが、正極活物質組成物の固形分濃度(不揮発分、すなわち活物質層形成成分の割合)は、例えば凡そ40〜60質量%程度であり得る。正極活物質組成物の乾燥後、必要に応じて適当なプレス処理(例えば、ロールプレス法、平板プレス法等の従来公知の各種プレス方法を採用することができる。)を施すことによって、正極活物質層35の厚みや密度を適宜調整することができる。
正極シート32および負極シート34と重ね合わせて使用されるセパレータシート35としては、捲回電極体を備える従来のリチウムイオン電池のセパレータと同様に、各種多孔質シートを用いることができる。正負極シートと重ね合わせて使用されるセパレータ50A,50Bとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂から成る多孔質樹脂シート(フィルム)を好適に使用し得る。かかる多孔質樹脂シートは、単層構造であってもよく、二層以上の複層構造(例えば、PP層の両面にPE層が積層された三層構造)であってもよい。例えば、長さ2m〜4m(例えば3.1m)、幅8cm〜12cm(例えば10cm)、厚さ5μm〜30μm(例えば20μm)程度の合成樹脂製(例えばポリエチレン等のポリオレフィン製)の多孔質セパレータシートを好ましく使用し得る。
特に限定するものではないが、好ましい多孔質シート(典型的には多孔質樹脂シート)の性状として、平均孔径が0.001μm〜30μm程度であり、厚みが5μm〜100μm(より好ましくは10μm〜30μm)程度である多孔質樹脂シートが例示される。該多孔質シートの気孔率(空隙率)は、例えば凡そ20〜90体積%(好ましくは30〜80体積%)程度であり得る。
負極集電体としては、導電性の良い金属からなる長尺シート状の部材(金属箔)が好ましく用いられる。特に、銅や銅合金(銅を主成分とする合金)等の銅材料製の正極集電体が好ましい。例えば、厚さ5μm〜30μm(好ましくは10μm〜30μm、例えば15μm)程度の銅箔を負極集電体として好ましく用いることができる。一例として、上記厚みを有する長さ2m〜4m(例えば2.9m)、幅8cm〜15cm(例えば12cm)程度の銅箔を負極集電体として好ましく用いることができる。
負極活物質としては、少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む炭素材料を好適に使用することができる。いわゆる黒鉛質のもの(グラファイト)、難黒鉛化炭素質のもの(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質のもの(ソフトカーボン)、これらを組み合わせた構造を有するもの等のいずれの炭素材料も使用可能である。例えば、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)等を用いることができる。上記負極活物質としては、例えば平均粒径が凡そ5μm〜50μmの粒子状炭素材料(黒鉛粒子等)を好ましく使用することができる。
負極活物質層は、上記負極活物質のほかに、一般的なリチウムイオン電池において負極活物質層の構成成分として使用され得る一種または二種以上の材料を必要に応じて含有することができる。そのような材料の例として、上記構成成分の結着材(バインダ)として機能し得る各種のポリマー材料が挙げられる。また、正極側と同様の導電材を含む負極活物質層であってもよい。
特に限定するものではないが、負極活物質層全体に占める負極活物質の割合は、例えば凡そ60質量%以上(典型的には凡そ60〜99.5質量%)とすることができ、凡そ70〜99質量%とすることが好ましく、凡そ80〜98質量%とすることがより好ましい。上述のようにポリマー材料を含有する組成の負極活物質層では、該活物質層全体に占めるポリマー材料の割合を例えば凡そ0.5〜10質量%とすることができ、凡そ2〜7質量%とすることが好ましい。
負極活物質層の形成方法としては、負極活物質(典型的には粒子状)その他の負極活物質層構成成分が適当な溶媒(好ましくは水系溶媒)に分散した負極活物質組成物を負極集電体の片面または両面(ここでは両面)に帯状に塗布して乾燥させる方法を好ましく採用することができる。特に限定するものではないが、負極活物質組成物の固形分濃度は、例えば凡そ40〜60質量%程度とすることができる。乾燥後、必要に応じて適当なプレス処理を施すことによって、負極活物質層の厚み、空隙率、密度等を適宜調整することができる。
図4は、本実施例に係る捲回電極体30の捲回軸に沿う断面の一部を拡大して示す模式的断面図であって、負極集電体342およびその一方の側に形成された負極活物質層344と、その活物質層344に対向するセパレータシート35とを示したものである。前述のように、本実施例に係る負極活物質層344は、捲回コア部31の軸方向中央部312における負極活物質層344の空隙率が、両端部311,313の空隙率よりも高くなるように構成されている。負極活物質層344の中央部312と両端部311,313との空隙率の高低は、大まかには、これらの部分の密度の高低と逆転する関係として把握され得る。すなわち、相対的に空隙率が高い部分は相対的に密度が低い部分に対応する。
かかる構成の負極活物質層を形成するには、例えば、負極集電体342に負極活物質組成物を塗布する際、中央部312よりも両端部311,313の塗布量(固形分換算)を多くしておく。したがって、塗布された負極活物質組成物が乾燥されたままの状態(未圧縮状態)では、中央部312よりも両端部311,313のほうが負極活物質層の厚みが大きくなる。これを負極活物質層の全体がほぼ同じ厚みとなるようにプレスすると、両端部311,313が中央部312よりも多く圧縮される結果、中央部312の空隙率が両端部311,313よりも高い負極活物質層344を形成することができる。
あるいは、複数種類の負極活物質組成物を塗り分ける(典型的には、集電体の長手方向に沿って帯状に塗り分ける)ことによって上記構成を実現してもよい。例えば、一般に粒子の粒径が大きくなるとその充填効率は低下する(空隙率が高くなる)ので、負極活物質粒子の平均粒径が異なる二種類の負極活物質組成物を用意し、それらのうち負極活物質粒子の平均粒径が相対的に大きな組成物を中央部に、該平均粒径が相対的に小さな組成物を両端部に塗布する。これにより、中央部の空隙率が両端部よりも高い負極活物質層を形成することができる。
その他、中央部312と両端部311,313とで空隙率を異ならせる手法としては、これらの部分の間で負極活物質組成物の乾燥条件を異ならせる方法、固形分濃度の異なる負極活物質組成物を塗り分ける方法、互いに粒径分布の広さが異なる負極活物質粒子を服務二種類の負極活物質組成物を用いる方法、等を単独であるいは適宜組み合わせて採用することができる。
負極端子側311と正極端子側313との関係では、図4に示すように、負極端子側311の空隙率が正極端子側313よりも高くなるように構成されていることが好ましい。これは、後述する比較例における試験結果に示されているように、厳しいハイレート充放電サイクルによるLi濃度(特に負極シート34に保持されている電解液のLi濃度、図9参照)の低下幅は、中央部312において両端部311,313のいずれよりも大きく、また負極端子側311と正極端子側313との比較では正極端子側313のほうが上記低下幅が大きくなる傾向にあるためである。空隙率が中央部312、正極端子側313、負極端子側311の順に高くなっている負極活物質層は、例えば、上述したいずれかの手法(中央部312と両端部311,313とで負極活物質層の空隙率を異ならせる手法)を適用して形成することができる。
中央部312と両端部311,313とで空隙率を異ならせる程度は、このリチウムイオン電池に想定される使用態様や目標とする耐久性等を考慮して適宜設定することができる。例えば、負極端子側311における負極活物質層344の空隙率(例えば40%)を1として、中央部312の空隙率が凡そ1.1〜1.5程度(例えば凡そ1.35程度。負極端子側311の空隙率が40%なら54%程度)となるような構成を好ましく採用することができる。また、負極端子側311における負極活物質層344の空隙率(例えば40%)を1として、正極端子側313の空隙率が凡そ1〜1.5(ただし、中央部312の空隙率と同等または該空隙率よりも小さい。例えば凡そ1.31程度。負極端子側311の空隙率が40%なら52%程度)となるような構成を好ましく採用することができる。
負極活物質層344の空隙率は、該空隙率が高い部分と低い部分との間でグラデーションをつけて(連続的に)に異ならせてもよく、段階的に(不連続に)異ならせてもよい。空隙率の変化にグラデーションをつけた負極活物質層(および該活物質層を有する負極)によると、Li濃度の偏りをよりよく緩和し得る。空隙率が段階的に変化する態様は、製造容易性や品質安定性等の観点から好ましく採用され得る。
かかる構成の捲回電極体30を筐体12に収容し、その筐体12内に適当な非水電解液を配置(注液)する。電解液としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。上記非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等からなる群から選択された一種または二種以上を用いることができる。また、上記支持塩としては、例えば、LiPF6,LiBF4,LiAsF6,LiCF3SO3,LiC4F9SO3,LiN(CF3SO2)2,LiC(CF3SO2)3等のリチウム塩を好ましく用いることができる。例えば、ECとDMCとEMCとを30.94:25.15:31.75の質量比で含む混合溶媒に支持塩としてのヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を約1mol/リットルの濃度で含有させた電解液等を好ましく用いることができる。
筐体12の開口部を当該筐体とそれに対応する蓋体13との溶接等により封止して、本実施例に係るリチウムイオン電池10の構築(組み立て)が完成する。なお、筐体12の封止プロセスや電解液の配置(注液)プロセスは、従来のリチウムイオン電池の製造で行われている手法と同様にして行うことができ、本発明を特徴付けるものではない。その後、該電池のコンディショニング(初期充放電)を行う。必要に応じてガス抜きや品質検査等の工程を行ってもよい。
本実施例に係る電池10は、図4に示すように中央部312における負極活物質層344の空隙率が正極端子側313および負極端子側311のいずれよりも大きくなるように構成されている。これにより、負極活物質層344(ひいては捲回コア部31)は、中央部312の単位面積当たりにストックされる電解液の量(したがってリチウム塩の量)が、両端部311,313のいずれよりも多くなるように構成されている。したがって、厳しい条件で行われるハイレート充放電サイクル(例えば、後述する比較例におけるような100A以上および/または20C以上のハイレート放電を繰り返す充放電パターン)が行われた場合等においても、電極体の軸方向位置によってリチウム塩の濃度に差が生じる事象を緩和して、該軸方向に対するLi濃度の偏りを抑えることができる。また、上記のように中央部312には両端部311,313よりも多くの電解液がストックされているので、上記ハイレート充放電等により電極体の軸方向位置によって電解液の減少量に差が生じる事象を緩和して、電解液量の偏りを抑えることができる。したがって、本実施例に係るリチウムイオン電池10によると、ハイレート充放電に対する優れた耐久性が実現され得る。
なお、ここでいう電解液保持量の関係(中央部312と両端部311,313との相対的な多少等)は、リチウムイオン電池が安定した状態にあるときの関係をいい、該関係を常に満たすことは要求されない。例えば、電池の使用を開始する時点や、電池の不使用状態がある程度の期間(例えば6時間程度またはそれ以上)継続したとき等に上記関係が実現され得るように構成されていればよい。一時的に厳しいハイレート充放電サイクルで使用されること等によって例えば電解液またはリチウム塩の一部が電極体30の中央部312から両端部311,313に移動し、あるいは両端部311,313から電極体30の外部に移動したとしても、かかる厳しいハイレート充放電の継続が止む(例えば電池が不使用状態におかれる)と、電極体の各部のLi濃度を拡散等により均一化し、また電極体各部の電解液保持量を毛管現象等によって初期の状態(ハイレート充放電サイクル前の平衡状態)まで補充(回復)しようとする作用が働く。このことによって次回のハイレート充放電に備えることができる。したがって、ここに開示されるいずれかのリチウムイオン電池によると、捲回コア部の中央部における電解液保持量が両端部よりも多くなるように構成されていることによって厳しいハイレート充放電サイクルに起因するLi濃度の偏りを緩和または解消し得るとともに、その効果が長期に亘って維持され得る。
<比較例>
本発明に係る構成を採用することの技術的意義をより明確に示すために、比較例として、捲回電極体(捲回コア部)の中央部の電解液保持量を両端部よりも多くするための意図的な対策が特に講じられていないリチウムイオン電池を作製した。この比較例に係るリチウムイオン電池に対し、厳しいハイレート充放電パターンでサイクル試験(ハイレート劣化促進試験)を行った後、これにより該電池に生じた変化を調べた。得られた結果を参照しつつ、かかる充放電パターンがリチウムイオン電池に及ぼす影響(変化)を具体的に説明する。
本発明に係る構成を採用することの技術的意義をより明確に示すために、比較例として、捲回電極体(捲回コア部)の中央部の電解液保持量を両端部よりも多くするための意図的な対策が特に講じられていないリチウムイオン電池を作製した。この比較例に係るリチウムイオン電池に対し、厳しいハイレート充放電パターンでサイクル試験(ハイレート劣化促進試験)を行った後、これにより該電池に生じた変化を調べた。得られた結果を参照しつつ、かかる充放電パターンがリチウムイオン電池に及ぼす影響(変化)を具体的に説明する。
上記比較例に係るリチウムイオン電池を以下のようにして作製した。
すなわち、LiNiO2で表されるニッケル酸リチウム粉末(正極活物質)と平均粒径48nmのアセチレンブラック(導電材)とカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これら材料の質量比が87:10:3となり且つ固形分濃度が約45質量%となるようにイオン交換水と混合して、水系の活物質組成物(正極活物質組成物)を調製した。正極集電体32としては、長さ4469mm、幅86.8mm、厚さ15μmの長尺状のアルミニウム箔を使用した。この正極集電体32のうち幅方向の一端を残し(正極はみ出し部32A)、それ以外の領域には両面に上記正極活物質組成物を幅70.9mm(捲回コア部の軸長に対応する。)の帯状に塗布し、熱風乾燥機により乾燥させた。正極活物質組成物の塗布量は、両面合わせて約11.9mg/cm2(固形分基準)となるように調節した。乾燥後、正極活物質層の密度が約2.5となるようにプレスした。上記塗布、乾燥およびプレスは、正極活物質層の幅方向のいずれの位置においても該活物質層の厚みが略一定(均一)となるように行った。プレス後における正極活物質層の空隙率を目付量と厚みから算出したところ、約49.6%であった。
また、天然黒鉛(粉末)とスチレンブタジエンゴム(SBR)とCMCとを、これら材料の質量比が98:1:1であり且つ固形分濃度が45質量%となるようにイオン交換水と混合して、水系の活物質組成物(負極活物質組成物)を調製した。負極集電体34としては、長さ4652mm、幅91.5mm、厚さ10μmの長尺状の銅箔を使用した。この負極集電体34のうち幅方向の一端を残し(負極はみ出し部34A)、それ以外の領域には両面に上記負極活物質組成物を幅76.2cmの帯状に塗布し、熱風乾燥機により乾燥させた。負極活物質組成物の塗布量は、両面合わせて約8mg/cm2(固形分基準)となるように調節した。上記負極活物質組成物を乾燥させたままの状態(未圧縮状態)において、負極活物質層の密度は約1.2g/cm3であった。これを負極活物質層の密度が約1.3g/cm3となるようにプレスした、上記塗布、乾燥およびプレスは、負極活物質層の幅方向のいずれの位置においても該活物質層の厚みが略一定(均一)となるように行った。プレス後における負極活物質層の空隙率を目付量と厚みから算出したところ、約40%であった。
セパレータシートとしては、長さ4929mm、幅82.5mm、厚さ20μmの多孔質ポリエチレンシート(空隙率 約42%)を二枚使用した。これらのセパレータシートと上記で得られた正極シート32および負極シート34とを、はみ出し部32A,34Aがそれぞれの幅方向の両側からはみ出すように積層して長手方向に捲回し(捲回の回数:約33回)、その捲回体を側方から押しつぶして扁平形状の捲回電極体30を得た。該電極体30の捲回コア部31の軸長は上述のように9cmであり、捲回コア部31の高さは10cmであった。
この電極体30の扁平方向の一端において、該電極体12の捲回軸方向の一端では正極はみ出し部32Aを構成する正極シート32を径方向に寄せ集めてアルミニウム製の正極端子14を溶接し、該電極体30の捲回軸方向の他端では負極はみ出し部34Aを構成する負極シート34を径方向に寄せ集めて銅製の負極端子16を溶接した。
容器11としては、高さ9.2cm、幅11cm、厚さ1.35cmの扁平な箱型の外形を有する容器を使用した。該容器11は、有底四角筒状の筐体12と、その開口部に取り付けられて該開口部を塞ぐ蓋体13とを備える。筐体12および蓋体13はいずれもアルミニウム製である。図2に示すように容器11の内部に捲回電極体30を収容し、ECとDMCとEMCとを30.94:25.15:31.75の質量比で含む混合溶媒に支持塩としてのヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を約1mol/リットルの濃度で含有させた電解液を注入した後に、筐体12と蓋体13との合わせ目を溶接することにより容器11を気密に封止した。このようにして比較例に係るリチウムイオン電池10を組み立てた。その後、常法により初期充放電処理(コンディショニング)を行って比較例に係るリチウムイオン電池を得た。なお、このリチウムイオン電池の理論容量は5Ahである。
このようにして得られたリチウムイオン電池に対し、150A(放電時間率30Cに相当する。)で10秒間のハイレートパルス放電を繰り返す厳しい充放電パターンを付与し、これによりリチウムイオン電池に生じた変化を解析した。より具体的には、室温(約25℃)環境下において比較例に係るリチウムイオン電池を1CのレートでSOC(state of charge)60%まで充電した後、以下の(1)〜(4)の充放電パターンを2500回連続して繰り返した。
[充放電サイクル条件]
(1)150Aで10秒間放電。
(1)150Aで10秒間放電。
(2)5秒間休止。
(3)40Aで120秒間CC−CV充電(40Aで3.72Vまで定電流充電後、合計充電時間が120秒となるまで定電圧充電)。
(4)5秒間休止。
上記充放電サイクルの終了後、速やかに容器を切断して捲回電極体を取り出し、図3に示すように、この電極体30の捲回コア部31を互いの軸長が同等となるように一端側(負極端子側)部分311、中央部分312および他端側(正極端子側)部分313の三つの部分に分割した。そして、負極端子側部分311の軸長の中心において、捲回電極体30の約20ターン目における上部(図3に示すU1)、中部(同M1)および下部(同L1)に位置する正極シート32、負極シート34およびセパレータシート35からそれぞれ直径1cmのサンプルを切り取った。また、中央部分312の軸長の中心における上、中、下部(U2、M2,L2)および正極端子側部分313の軸長の中心における上、中、下部(U3、M3,L3)からも同様にサンプルを切り取った。
負極端子側部分311の上、中、下部から採取した正極シート片(計3枚のサンプル)を集め、それらのサンプルに含まれる電解液をγ−ブチロラクトンで抽出した。該抽出物中のECをGC−MS(ガスクロマトグラフ質量分析装置)により、またLi(LiPF6)を19F−NMR分析により定量し、その結果から上記3枚のサンプルに含まれる電解液の合計量[mg]および該電解液のLi濃度[mol/リットル]を算出した。負極端子側部分311から採取した負極シート片とセパレータシート片、さらに中央部分312および正極端子側部分313から採取した正極シート片、負極シート片およびセパレータシート片についても同様にして電解液量(サンプル3枚の合計量)およびLi濃度を求めた。その結果を表1および表2に示す。
これらの結果からわかるように、正極シート32、負極シート34およびセパレータシート35のいずれについても、中央部分312から採取されたサンプルのLi濃度は、負極端子側部分311および正極端子側部分313のいずれよりも顕著に低くなっていた。このことは、電極体(捲回コア部)の中央部に両端部よりも多くのリチウム塩(電解液)をストックし得る構成を採用することによって、上記比較例においてみられたLi濃度の偏りを効果的に緩和または解消し得ることを示唆するものである。
また、負極端子側部分311と正極端子側部分313とのLi濃度を比較すると、正極シート32および負極シート34については正極端子側部分313のほうが明らかに低く、セパレータシート35についても正極端子側部分313のほうがやや低く、したがって捲回コア部31の全体として負極端子側部分311よりも正極端子側部分313のほうがLi濃度の低下幅が大きかった。このことは、電解液の保持量が負極端子側部分311、正極端子側部分313、中央部分312の順に高くなる構成とすることにより、Li濃度の偏りをより効果的に緩和または解消し得ることを示唆するものである。
また、図8〜10は、本発明の理解を容易にするために、上記ハイレート充放電サイクル後における捲回コア部31の軸方向に対するLi濃度の偏りを模式的に示したものである。図8は捲回コア部31全体についてのLi濃度の偏り、図9は負極シート34に保持されていた電解液におけるLi濃度の偏り、図10はセパレータシート35に保持されていた電解液におけるLi濃度の偏りを表している。なお、これらの図においてLi濃度を表す線は、各部におけるLi濃度を正確に反映することを意図したものではなく、大まかな傾向をわかりやすく示すものである。
<実施例2>
本実施例に係るリチウムイオン電池は、負極活物質層344およびセパレータ35以外の点では実施例1に係るリチウムイオン電池10と同様の構成を有する。図5は、本実施例に係る捲回電極体30の捲回軸に沿う断面の一部を拡大して示す模式的断面図であって、負極集電体342およびその一方の側に形成された負極活物質層344と、その活物質層344に対向するセパレータシート35とを示したものである。本実施例では、中央部312と両端部311,313とでセパレータシート35の空隙率(気孔率または空孔率ともいう。)を異ならせている。すなわち、セパレータシート35は、両端部311,313よりも中央部312のほうが空隙率が高くなるように構成されている。セパレータシート35の正極端子側313と負極端子側311との空隙率は概ね同程度である。
本実施例に係るリチウムイオン電池は、負極活物質層344およびセパレータ35以外の点では実施例1に係るリチウムイオン電池10と同様の構成を有する。図5は、本実施例に係る捲回電極体30の捲回軸に沿う断面の一部を拡大して示す模式的断面図であって、負極集電体342およびその一方の側に形成された負極活物質層344と、その活物質層344に対向するセパレータシート35とを示したものである。本実施例では、中央部312と両端部311,313とでセパレータシート35の空隙率(気孔率または空孔率ともいう。)を異ならせている。すなわち、セパレータシート35は、両端部311,313よりも中央部312のほうが空隙率が高くなるように構成されている。セパレータシート35の正極端子側313と負極端子側311との空隙率は概ね同程度である。
かかる構成のセパレータシート35を用いて構築された電極体30の捲回コア部31によると、中央部312の単位面積当たりに、両端部311,313のいずれよりも多くの電解液(リチウム塩)をストックすることができる。したがって、実施例1と同様に、厳しい条件で行われるハイレート充放電サイクルに対してもLi濃度や電解液量の偏りを抑えることができる。したがって、本実施例に係るリチウムイオン電池10によると、ハイレート充放電に対する優れた耐久性が実現され得る。
中央部312の空隙率が両端部311,313よりも高いセパレータシート35を製造する方法は特に限定されない。例えば、まず孔を有しないポリオレフィン系樹脂シート(フィルム)を成形し、該樹脂シートを加熱しつつ引っ張ることで孔を形成する多孔質ポリオレフィン系樹脂シート製造方法が知られているが、かかる製造方法において中央部と両端部とで加熱温度を異ならせる(中央部をより高温に加熱する)ことにより、中央部の空隙率を両端部よりも高くすることができる。あるいは、中央部の引張量を両端部よりも多くしてもよい。
上記比較例の結果より、例えば、セパレータシート35の負極端子側311の空隙率(例えば42%)を1として、中央部312の空隙率が凡そ1.1〜2程度(例えば凡そ1.6程度。負極端子側311の空隙率が42%なら67%程度)となるような構成を好ましく採用することができる。また、セパレータシート35の負極端子側311の空隙率(例えば42%)を1として、正極端子側313の空隙率が凡そ1〜1.5(ただし、中央部312の空隙率と同等または該空隙率よりも小さい。例えば凡そ1、すなわち負極端子側311の空隙率と同程度)となるような構成を好ましく採用することができる。
上記比較例の結果(表1)に表れているように、ハイレート充放電サイクルによるLi濃度の偏りは、負極シート32において特に顕著である。したがって、実施例1のように負極活物質層344の空隙率(電解液保持量)を両端部311,313に比べて中央部312で高くする態様によると、上記Li濃度の偏りをより効果的に(例えば、より速やかに)解消または緩和し得るという利点が得られる。
一方、負極活物質層344の空隙率として採用し得る好ましい範囲は該活物質層344の強度や電池反応の効率等への配慮から制約を受けやすいところ、セパレータシート35の空隙率は負極活物質層344に比べてより広い範囲で調節することができる。したがって、本実施例のようにセパレータシート35の空隙率(電解液保持量)を両端部311,313に比べて中央部312で高くする態様によると、これらの部分で空隙率を異ならせる程度をより広い範囲から選択し得るという利点が得られる。
なお、ここに開示されるリチウムイオン電池は、実施例1と実施例2とを組み合わせた構成であってもよい。例えば、実施例1におけるセパレータシート35として実施例2のように中央部312の空隙率が両端部311,313よりも高いセパレータシート35を用いた構成とすることができる。かかる構成によると、負極シート34およびセパレータシート35のいずれもが中央部312に両端部311,313よりも多くの電解液を保持し得る構成となっていることにより、これら部分の電解液保持量を異ならせる程度をより容易に調整することができる。
<実施例3>
本実施例に係るリチウムイオン電池の要部の構造を図6に示す。この図6は、本実施例に係る捲回電極体30の捲回軸に沿う断面の一部を拡大して示す模式的断面図であって、セパレータシート35と、その一方の表面に対向する負極活物質層344およびこれを保持する負極集電体342と、セパレータシート35の他方の表面に対向する正極活物質層324およびこれを保持する正極集電体322とを図示したものである。その他の部分の構成は実施例1に係るリチウムイオン電池10と同様である。
本実施例に係るリチウムイオン電池の要部の構造を図6に示す。この図6は、本実施例に係る捲回電極体30の捲回軸に沿う断面の一部を拡大して示す模式的断面図であって、セパレータシート35と、その一方の表面に対向する負極活物質層344およびこれを保持する負極集電体342と、セパレータシート35の他方の表面に対向する正極活物質層324およびこれを保持する正極集電体322とを図示したものである。その他の部分の構成は実施例1に係るリチウムイオン電池10と同様である。
セパレータシート35(例えば、空隙率45%の多孔質ポリオレフィンシート)は、両端部311,313から中央部312に向けて徐々に厚みが増すように構成されている。一方、上記セパレータシート35の厚み傾向とは逆に、負極活物質層344(例えば、空隙率40%)および正極活物質層324(例えば、空隙率40%)は、中央部312から両端部311,313からに向けて徐々に厚みが増すように(すなわち、セパレータシート35の断面形状と相補的な断面形状となるように)構成されている。セパレータシート35、負極活物質層344および正極活物質層324の各々の空隙率(密度)は、中央部312と両端部311,313とで概ね同程度である。
かかる構成によると、中央部312においては低空隙率の活物質層324,344を薄くする一方で高空隙率のセパレータシートを厚くし、両端部311,313においてはこの関係を逆転させることにより、中央部312の電解液保持量が両端部311,313よりも多くなるように構成された捲回電極体30を容易に実現することができる。また、中央部312では活物質層324,344の厚みが両端部311,313よりも小さいので、該中央部312においてリチウムイオンの出入りに伴うポンピング作用を軽減することができる。したがって、本実施例の構成によると、上記構成上の工夫が相俟って、ハイレート充放電サイクル等による電解液保持量の偏りを効果的に緩和または解消することができる。
上記比較例の結果より、例えば、セパレータシート35の負極端子側311の幅中央における厚み(例えば20μm)を1として、中央部312の幅中央における厚みが凡そ1.1〜2程度(例えば凡そ1.6程度。負極端子側311の厚みが20μmなら32μm程度)となるような構成を好ましく採用することができる。また、セパレータシート35の負極端子側311の幅中央における厚み(例えば20μm)を1として、正極端子側313の幅中央における厚みが凡そ1〜1.5(ただし、中央部312の厚みと同等または該厚みよりも小さい。例えば凡そ1、すなわち負極端子側311の厚みと同程度)となるような構成を好ましく採用することができる。
セパレータシート35、負極活物質層344および正極活物質層324のうち少なくともいずれか(例えば、セパレータシート35および負極活物質層344)は、中央部312の空隙率が両端部311,313よりも高くなるように構成されていてもよい。このことによって、これら各部の電解液保持量をより容易に調整することができる。例えば、中央部312の厚みが両端部311,313よりも大きく、且つ中央部312の空隙率が両端部311,313よりも高くなるように構成されたセパレータシート35を好ましく使用することができる。かかる構成を有するセパレータシート35を製造する方法は特に限定されない。例えば、まず孔を有しないポリオレフィン系樹脂シート(フィルム)を成形し、該樹脂シートを加熱しつつ引っ張ることで孔を形成することにより、幅方向の各部で厚みおよび空隙率が概ね一定の多孔質ポリオレフィン系樹脂シートを得る。そして、該樹脂シートの幅方向の両端部311,313を圧縮することにより、該両端部311,313の厚みおよび空隙率を中央部312よりも小さくすることができる。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1:車両(自動車)
11:容器
12:筐体
13:蓋体
14:正極端子
16:負極端子
30:捲回電極体
31:捲回コア部
311:負極端子側(負極端子側部分、他端側、両端部)
312:中央部(中央部分)
313:正極端子側(正極端子側部分、一端側、両端部)
32:正極シート
322:正極集電体
324:正極活物質層
34:負極シート
342:負極集電体
344:負極活物質層
35:セパレータシート(セパレータ)
11:容器
12:筐体
13:蓋体
14:正極端子
16:負極端子
30:捲回電極体
31:捲回コア部
311:負極端子側(負極端子側部分、他端側、両端部)
312:中央部(中央部分)
313:正極端子側(正極端子側部分、一端側、両端部)
32:正極シート
322:正極集電体
324:正極活物質層
34:負極シート
342:負極集電体
344:負極活物質層
35:セパレータシート(セパレータ)
Claims (9)
- 電極体と電解液とが容器に収容されたリチウムイオン電池であって、
前記電極体は、長尺シート状の集電体上に活物質層を有する正負の電極シートが長尺シート状のセパレータを介して長手方向に捲回された捲回電極体であり、その捲回軸方向の一端には正極端子が、他端には負極端子がそれぞれ接続されており、
前記電極体は、該電極体のうち前記正負の電極シートの活物質層と前記セパレータとが重なって捲回された捲回コア部の単位体積当たりの電解液保持量が、前記捲回軸方向の中央部では前記一端側および前記他端側よりも多くなるように構成されている、リチウムイオン電池。 - 前記正負の電極シートの少なくとも一方は、該電極シートの有する活物質層の空隙率が、前記中央部では前記一端側および前記他端側の少なくとも一方よりも高くなるように構成されている、請求項1に記載の電池。
- 前記セパレータは、前記中央部では前記一端側および前記他端側の少なくとも一方よりも空隙率が高くなるように構成されている、請求項1または2に記載の電池。
- 前記セパレータは、前記中央部では前記一端側および前記他端側の少なくとも一方よりも厚みが大きく、
前記セパレータに対向する前記活物質層は、前記セパレータの厚み傾向とは逆に前記中央部では前記一端側および前記他端側の少なくとも一方よりも厚みが小さく、且つ、
少なくとも前記中央部では前記セパレータの空隙率が前記活物質層の空隙率よりも大きい、請求項1から3のいずれかに記載の電池。 - 前記電極体は、前記捲回コア部の単位体積当たりの電解液保持量が、前記一端側では前記他端側よりも多くなるように構成されている、請求項1から4のいずれかに記載の電池。
- 前記電極体は、前記他端側の単位体積当たりの電解液保持量を1として、前記中央部の電解液保持量が1.1〜2となるように構成されている、請求項1から5のいずれかに記載の電池。
- 前記電極体は、前記他端側の単位体積当たりの電解液保持量を1として、前記一端側の電解液保持量が1〜1.5となるように構成されている、請求項1から6のいずれかに記載の電池。
- 車両の動力源として用いられる、請求項1から7のいずれか一項に記載の電池。
- 請求項1から8のいずれか一項に記載の電池を備える車両。
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