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JP5526368B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池 Download PDF

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JP5526368B2 JP2009023533A JP2009023533A JP5526368B2 JP 5526368 B2 JP5526368 B2 JP 5526368B2 JP 2009023533 A JP2009023533 A JP 2009023533A JP 2009023533 A JP2009023533 A JP 2009023533A JP 5526368 B2 JP5526368 B2 JP 5526368B2
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Description

本発明は、非水電解質二次電池に関するものであり、特に特定の正極活物質を用い、正極の単位面積当たりの初期充電容量が40mAh/10cm以下であり、負極の表面に酸化チタンを含む絶縁性の被覆層が形成されたものであって、60A以上の電流で充放電を行っても、低い充電深度でのIV抵抗値の増大が抑制された、負荷特性及び出力回生特性に優れた電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)等に最適な非水電解質二次電池に関する。
環境保護運動の高まりを背景として二酸化炭素ガス等の排出規制が強化されており、自動車業界ではガソリン、ディーゼル油、天然ガス等の化石燃料を使用する自動車だけでなく、EVやHEVの開発が活発に行われている。加えて、近年の化石燃料の価格の急激な高騰はこれらのEVやHEVの開発を進める追い風となっている。そして、EV用やHEV用電池分野においても、他の電池に比べて高エネルギー密度であるリチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池が注目され、この非水電解質二次電池の占める割合は大きな伸びを示している。
ここで、このようなEV用やHEV用として使用されている非水電解質二次電池10の具体的構成の一例を図4〜図8を用いて説明する。なお、図4は円筒状の非水電解質二次電池の斜視図である。図5は円筒状の非水電解質二次電池における巻回電極体の分解斜視図である。図6は円筒状の非水電解質二次電池で使用されている集電板の斜視図である。図7は巻回電極体に集電板を押し付ける前の状態を示す一部破断斜視図である。更に、図8は巻回電極体に集電板を押し付けてレーザービームを照射する状態を示す一部破断正面図である。
この非水電解質二次電池10は、図4に示すように、筒体11の両端部にそれぞれ蓋体12を溶接固定してなる円筒状の電池外装缶13の内部に、図5に示すような巻回電極体20を収容して構成されている。蓋体12には、正負一対の電極端子機構14が取り付けられている。巻回電極体20と電極端子機構14とは、電池外装缶13内で接続されており、巻回電極体20が発生する電力を一対の電極端子機構14から外部に取り出すことが可能となっている。また、各蓋体12には圧力開閉式のガス排出弁15が取り付けられている。
巻回電極体20は、図5に示すように、それぞれ帯状の正極21と負極22の間に帯状のセパレータ23を介在させ、これらを渦巻き状に巻回して構成されている。正極21はアルミニウム箔からなる帯状芯体21の両面に正極合剤スラリーを塗布して構成された正極活物質合剤層21を有し、負極22は銅箔からなる帯状芯体22の両面に炭素材料を含む負極合剤スラリーを塗布して構成された負極活物質合剤層22を有している。また、セパレータ23には非水電解液が含浸されている。なお、電池の出力特性を確保するために、極板は薄く、正極・負極の対向面積が大きくなるように設計される。
正極21には正極活物質合剤層21の塗布部と平行に未塗布部が形成されており、この未塗布部はセパレータ23の端から突出して正極芯体端縁部21を構成している。同様に負極22には負極活物質合剤層22の塗布部と平行に未塗布部が形成されており、この未塗布部はセパレータ23の端から突出して負極芯体端縁部22を構成している。
巻回電極体20の両端部にはそれぞれ集電板30が設置され、これらの集電板30は正極芯体端縁部21及び負極芯体端縁部22にレーザー溶接又は電子ビーム溶接によって取り付けられている。集電板30の端部に突設されたリード部31の先端は電極端子機構14に接続されている。
集電板30は、図5及び図6に示すように、円形の平板状本体32を備え、この平板状本体32には放射状に伸びる複数本の円弧状凸部33が、一体に成型されており、巻回電極体20側に突出している。そして、集電板30は、図7において矢印Pで示すように、正極芯体端縁部21ないし負極芯体端縁部22の方向に押し付けた後、図8における太い矢印で示すように、レーザービーム(又は電子ビーム)を照射することにより溶接が行われている。この溶接はレーザービームを円弧状凸部33の長手方向に移動させて順次スポット溶接することにより行われるが、円弧状凸部33の底部と正極芯体端縁部21ないし負極芯体端縁部22とは溶接部34において溶接される。このようにして、正極21と負極22とはそれぞれ別個の集電板30に電気的に接続されて集電されるようになっている。
そして、このような非水電解質二次電池における正極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出することが可能なLiMO(但し、MはCo、Ni、Mnの少なくとも1種である)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物、すなわち、LiCoO、LiNiO、LiNiCo1−y(y=0.01〜0.99)、LiMnO、LiMn、LiCoMnNi(x+y+z=1)、又はLiFePOなどが一種単独もしくは複数種を混合して用いられている。
また、負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、コークス、ガラス状炭素、炭素繊維、又はこれらの焼成体の一種あるいは複数種混合したもの等、炭素を主体としたものが使用されている。
ところで、EV、HEV用電池としては、上述したように軽量で出力が大きい高エネルギー密度非水電解質二次電池が使用されるようになってきているが、環境対応とともに自動車としての基本性能である走りの能力の高度化を達成することも要求されている。この走りの能力の高度化には、自動車の長距離走行を可能とするために電池容量を大きくすることだけでなく、自動車の加速性能や登坂性能に大きな影響を及ぼすために電池出力を大きくすること、すなわち急速放電特性を良好とすることが必要である。
これに加えてEVやHEV全体のエネルギー消費量を抑制するために、減速時に電気ブレーキを使用して発生した電力を急速に回収できるようにすること、すなわち回生特性を良好にするために、電池の急速充電特性の向上も必要である。このことは、例えば図9に示した10−15モード走行試験法の運転パターンからしても明らかなように、実際の自動車の運転時には加速区間だけでなく減速区間も多くあるため、この減速区間において如何に電気エネルギーを回収することができるかがEVやHEV全体のエネルギー消費量の抑制に繋がるからである。
このような急速放電や急速充電を行うと、電池に大電流が流れるため、電池の内部抵抗の影響が電池特性に大きく現れてくる。特に、EV用ないしHEV用の電池においては、十分な出力特性及び出力回生特性を得るために、充電深度(State of Charge)が変化しても内部抵抗が低くしかも一定であることが求められる。
特開2008−53206号公報 特開2008−41465号公報
ところで、非水電解質二次電池における正極活物質としては、上述のように、LiCoO、LiNiO、LiNiCo1−y(y=0.01〜0.99)、LiMnO、LiMn、LiCoMnNi(x+y+z=1)、又はLiFePOなどを一種単独、もしくはそれらの複数種を混合して用いられている。このうち、LiCoO、LiMn等は、電極電位が高く高効率であるため、高電圧及び高エネルギー密度の電池が得られ、出力特性は優れているが、出力回生特性は劣るという性質を有している。
したがって、EV用ないしHEV用電池としての非水電解質二次電池における正極活物質としては、上記のような正極活物質の特性を考慮して、出力回生特性に優れたLi1+aNiCoMn(M=Al、Ti、Zr、Nb、B、Mg、Moから選択される少なくとも一種の元素、0≦a≦0.3、0.1≦x≦1、0≦y≦0.5、0≦z≦0.9、0≦b≦0.01、a+b+x+y+z=1)を用いることが好ましい。しかし、このような正極活物質は初期充放電効率が低く、このような正極活物質を用いた非水電解質二次電池の放電カーブは、LiCoO、LiMn等のように初期充放電効率の高い正極活物質を用いた非水電解質二次電池の場合と比較すると、放電末期の内部抵抗が徐々に高くなるため、電池の出力電圧が比較的穏やかに低下する性質がある。これは、充電時に正極から放出されたリチウムイオンが放電時に正極に戻ってくる際に、ある程度リチウムイオンが正極に戻ってくると、それ以上のリチウムイオンは正極に戻り難くなるからと考える。
また、負極活物質としては、一般に初期充放電効率の高い黒鉛等の炭素材料が使用されている。このような炭素材料を負極活物質として用いた負極は、充電時に負極内に取り込んだリチウムイオンを放電時に放出するが、一部のリチウムイオンは、放電時に負極から放出できずに残り、負極の不可逆容量となる。そして、負極の容量が大きくなればなるほど、この不可逆容量は大きくなっていく。このような炭素材料を負極活物質として用い、上記のような初期充放電効率の低いLi1+aNiCoMn(M=Al、Ti、Zr、Nb、B、Mg、Moから選択される少なくとも一種の元素、0≦a≦0.3、0.1≦x≦1、0≦y≦0.5、0≦z≦0.9、0≦b≦0.01、a+b+x+y+z=1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として用いた場合には、負極活物質である炭素材料の充放電効率が高い(負極の不可逆容量が小さい)のに対して、正極の充放電効率が低いため、放電末期には、負極はまだリチウムイオンを放出することができるのにもかかわらず、正極がリチウムイオンを取り込み難くなって、正極の内部抵抗が上昇していく。このような放電末期では、正極の放電が進んでいることから、正極の充電深度は低い領域にあり、このように、正極の充電深度が低い領域を放電時に使用すると、電池のIV抵抗が高くなるという問題が生じる。
このため、負極の容量を大きくすることによって、正極容量に対する負極の不可逆容量を大きくし、放電時に負極から正極に戻ることのできるリチウムイオンの量を減らすことにより、正極の内部抵抗が高くなる正極の充電深度まで正極を放電できなくすることで、正極の内部抵抗の上昇を緩和することが考えられる。しかしながら、この場合は、負極活物質合剤層が厚くなり過ぎるため、出力特性が低下することが問題になる。
なお、上記特許文献1には、負極表面にルチル型のチタ二アを含む被覆層を設けることにより、高温におけるサイクル特性及び保存特性に優れた非水電解質二次電池となることが開示されている。しかしながら、上記特許文献1には正極における単位面積当たりの初期充電容量の記載はなく、低い充電深度におけるIV抵抗値の増大を示唆する記載もない。
また、上記特許文献2には、負極中にTiOを含有することによりイオンの拡散性を向上させることにより、高い入出力密度とサイクル特性に優れた非水電解質二次電池となることが開示されている。しかしながら、上記特許文献2には負極表面に酸化チタンを含む被覆層を形成することに関する記載はない。また、正極における単位面積当たりの初期充電容量の記載はなく、低い充電深度におけるIV抵抗値の増大を示唆する記載もない。
発明者は、上記のような非水電解質二次電池における低い充電深度でのIV抵抗値の増大を抑制すべく種々検討を重ねた結果、正極活物質としてリチウムイオンの吸蔵・放出が可能なLi1+aNiCoMn(M=Al、Ti、Zr、Nb、B、Mg、Moから選択される少なくとも一種の元素、0≦a≦0.3、0.1≦x≦1、0≦y≦0.5、0≦z≦0.9、0≦b≦0.01、a+b+x+y+z=1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極を用い、前記正極の単位面積当たりの初期充電容量が40mAh/10cm以下であり、負極の表面に酸化チタンを含む絶縁性の被覆層を形成することにより、正極の放電末期における内部抵抗が高くなる領域を使用しないですむことを見出した。
本願発明によれば、大電流で充放電を行っても、充放電可能な充電深度領域内ではIV抵抗値を低い一定値に維持することが可能となり、負荷特性及び出力回生特性に優れた電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)等に最適な非水電解質二次電池を得ることができる。
実施例1及び比較例1の非水電解質二次電池における充電深度と10A〜60Aまでの電流値にて測定したIV抵抗の測定値との関係を示す図である。 実施例1及び比較例1の非水電解質二次電池における充電深度と5A〜20Aまでの電流値にて測定したIV抵抗の測定値との関係を示す図である。 実施例1、実施例2、及び比較例1〜4の非水電解質二次電池における正極の単位面積当たりの初期充電容量と、10〜60Aの範囲にて測定した充電深度10%のIV抵抗値/10〜60Aの範囲にて測定した充電深度50%のIV抵抗値、との関係を示す図である。 円筒状の非水電解質二次電池の斜視図である、 円筒状の非水電解質二次電池における巻回電極体の分解斜視図である。 円筒状の非水電解質二次電池で使用されている集電板の斜視図である。 巻回電極体に集電板を押し付ける前の状態を示す一部破断斜視図である。 巻回電極体に集電板を押し付けてレーザービームを照射する状態を示す一部破断正面図である。 10−15モード走行試験法の運転パターンを示す図である。
上記目的を達成するため、本発明の非水電解質二次電池は、正極活物質としてリチウムイオンの吸蔵・放出が可能なLi1+aNiCoMn(M=Al、Ti、Zr、Nb、B、Mg、Moから選択される少なくとも一種の元素、0≦a≦0.3、0.1≦x≦1、0≦y≦0.5、0≦z≦0.9、0≦b≦0.01、a+b+x+y+z=1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解質と、前記正負極の間に介装されたセパレータと、を有する非水電解質二次電池において、前記正極の単位面積当たりの初期充電容量が40mAh/10cm以下であり、前記負極の表面には酸化チタンを含む絶縁性の被覆層が形成されていることを特徴とする。
本発明の非水電解質二次電池では、正極活物質としてリチウムイオンの吸蔵・放出が可能なLi1+aNiCoMn(M=Al、Ti、Zr、Nb、B、Mg、Moから選択される少なくとも一種の元素、0≦a≦0.3、0.1≦x≦1、0≦y≦0.5、0≦z≦0.9、0≦b≦0.01、a+b+x+y+z=1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を用いる。
このような正極活物質は、出力回生特性に優れるため、EV用ないしHEV用電池として最適な特性を有する非水電解質二次電池が得られる。しかし、前述したようにこのような正極活物質は、初期充放電効率が低く、このような正極活物質を用いた非水電解質二次電池の放電カーブは、LiCoO、LiMn等のような初期充放電効率の高い正極活物質を用いた非水電解質二次電池の場合と比較すると、放電末期の内部抵抗が徐々に高くなるため、電池の出力電圧が比較的穏やかに低下する性質がある。
また、本発明の非水電解質二次電池では、正極の単位面積当たりの初期充電容量が40mAh/10cm以下であり、負極の表面に酸化チタンを含む絶縁性の被覆層が形成される。
上記構成によると、負極の表面に酸化チタンを含む絶縁性の被覆層が存在することにより、充電時に酸化チタンがわずかにリチウムイオンと反応する。この酸化チタンとリチウムイオンの反応生成物は、放電反応に関与しないため、負極には、この酸化チタンの反応に起因する不可逆容量が発生する。この酸化チタン、及び酸化チタンとリチウムイオンの反応生成物は絶縁性である。初回充電時には、酸化チタンは、負極表面で電子導伝性を有する活物質層と接している部分に位置するもののみ電子を受け取りリチウムイオンと反応する。このため、この酸化チタンの反応に起因する不可逆容量は、酸化チタンの厚みには関わらず、負極の単位面積あたりでほぼ一定の量となる。
したがって、負極活物質合剤層の厚みを増やして負極の不可逆容量を増やすよりも、効率的、且つ正確に負極側の不可逆容量を大きくすることができ、放電末期において正極の内部抵抗が高い領域が使用されず、低い充電深度から高い充電深度までIV抵抗値を低い一定値に維持することができことが可能となる。
また、単に負極の活物質合剤層の量によって負極の不可逆容量を調整した場合には、負極の活物質合剤層の量をより多くする必要があり、負極の厚みが厚くなるため、設計上の制約から容量が低下するとともに、出力特性が低下する。更に、高温保存時の負極表面でのSEI成長の比率が負極の量が増えることにより高くなるため、保存時の容量劣化が大きくなる。
ここで、正極の単位面積当たりの充電容量が大きく、電極面積が小さい場合には、正極の単位面積当たりの充電容量に対して負極表面に形成された被覆層に含まれる酸化チタンによる不可逆容量の比率が小さくなる。この場合、放電末期において正極の内部抵抗が高くなる領域が使用されるため、低い充電深度ではIV抵抗値が比較的高くなる。したがって、本願発明の効果を得るためには、正極の単位面積当たりの初期充電容量を40mAh/10cm以下とする必要がある。
また、本発明において正極の単位面積当たりの初期充電容量を、10mAh/10cm以上とすると電池容量を充分に大きくすることができる。したがって、正極の単位面積当たりの初期充電容量は、10mAh/10cm以上とするとことが好ましい。
また、本発明の非水電解質二次電池では、正極に含まれる全ての正極活物質に対して前記出力回生特性が優れ、放電末期に内部抵抗が増大するLi1+aNiCoMnからなる正極活物質の占める割合が、20質量%以上であれば本発明の効果が得られると考えられる。50質量%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
また、本発明の非水電解質二次電池では、負極表面に酸化チタンを含む絶縁性の被覆層を形成しない場合の完成電池の不可逆容量(正極の初期充電容量と完成電池の初期放電容量の差(正極の初期充電容量−完成電池の初期放電容量))を、正極の初期充電容量の30%以下とすることが好ましい。ここで、正極の初期充電容量は、完成した電池に含まれる正極全体の初期充電容量である。また、完成電池の初期放電容量は、負極表面に酸化チタンを含む絶縁性の被覆層を設けていない負極を用いて作製した完成電池の初期放電容量である。
負極表面に酸化チタンを含む絶縁性の被覆層を形成しない場合の完成電池の不可逆容量(正極の初期充電容量−完成電池の放電容量)が、正極の初期充電容量の30%より大きい場合には、負極の不可逆容量に対する酸化チタンによる不可逆容量の比率が低下し、低い充電深度でのIV抵抗値の上昇抑制効果が低減してしまうと同時に電池の充放電可能な容量が小さくなるため、好ましくない。
上記の負極表面に酸化チタンを含む絶縁性の被覆層を形成しない場合の完成電池の不可逆容量は、負極の不可逆容量を変化させることにより制御できる。
負極表面に酸化チタンを含む絶縁性の被覆層を形成しない場合の完成電池の不可逆容量を大きくするためには、例えば、正極活物質の量に対して負極活物質の量を多くする、あるいは不可逆容量の大きな活物質を用いることができる。また、負極表面に酸化チタンを含む絶縁性の被覆層を形成しない場合の完成電池の不可逆容量を小さくするためには、例えば、正極活物質の量に対して負極活物質の量を少なくする、あるいは不可逆容量の小さな負極活物質を用いることができる。
負極活物質の不可逆容量は、結晶性や比表面積を変化させることにより制御できる。
一般的に、結晶性が低い、あるいは比表面積が大きい場合、不可逆容量が大きくなる傾向がある。
また、本発明の非水電解質二次電池では、負極表面に形成される被覆層が、酸化チタンとバインダーからなる層であることが好ましい。
上記構成によると、絶縁性を有する酸化チタンとバインダーからなる層が負極表面に形成されているため、セパレータが破損した場合であっても、内部短絡の発生を防止することができる。
負極表面に設ける被覆層中における酸化チタンが占める割合は、前記被覆層の総質量に対して95〜99質量%であることが好ましい。
また、酸化チタンの種類としてはルチル化率が80〜99.5%であることが好ましい。ここで、ルチル化率とは、X線回折測定を行い、ルチル型結晶酸化チタンの最強回折線(面指数110)のピーク面積(Ir)と、アナターゼ型結晶酸化チタンの最強回折線(面指数101)のピーク面積(Ia)を求め、次式(1)により算出されるものであり、酸化チタンにおけるルチル型とアナターゼ型の結晶構造の比率を示す指標である。
ルチル化率(重量%)= 100−100/(1+1.2×Ir/Ia) (1)
ルチル化率が99.5%よりも高いと酸化チタンの不可逆容量が小さくなりすぎるため、低い充電深度でのIV抵抗値の上昇抑制効果が小さくなる。ルチル化率が80%よりも低いと酸化チタンの不可逆容量が大きくなりすぎるため、非水電解質二次電池の容量が小さくなってしまうため好ましくない。
また、酸化チタンの平均粒子径は0.1μm〜1.0μmであることが好ましい。
酸化チタンの平均粒子径が0.1μmよりも小さいと、嵩高くなり粉黛の取り扱いが難しくなり、1.0μmより大きいと負極の活物質表面を酸化チタンとバインダーからなる層により均一に被覆することが難しくなるため好ましくない。
バインダーとしては、アクリルニトリル構造を含む共重合体、ポリイミト゛樹脂、スチレンブタジエンゴムラテックス(SBR)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などを使用することができる。
また、本発明の非水電解質二次電池では、酸化チタンを含む絶縁性の被覆層の厚みが、1μm〜5μmであることが好ましい。
酸化チタンを含む絶縁性の被覆層の厚みが、5μmを超える場合は表面層が厚すぎるために出力特性が低下し、設計上の制約から電池容量が低下してしまうため好ましくない。
また、本発明の非水電解質二次電池では、負極の充填密度が1.0g/cc〜1.4g/ccであることが好ましい。ここで、負極の充填密度とは、負極活物質合剤層の充填密度である。
負極の充填密度が1.0g/cc未満の場合は設計上の制約から電池容量が低下してしまうため好ましくない。1.4g/ccを超える場合は、塗布部の集電体が変形し、塗布部と未塗布部の境でタワミが発生する虞があるため好ましくない。
また、本発明の非水電解質二次電池においては、前記正極活物質がLi1+aNiCoMn(M=Zr、0≦a≦0.15、0.25≦x≦0.45、0.25≦y≦0.45、0.25≦z≦0.35、0≦b≦0.01、a+b+x+y+z=1)であることが好ましい。
正極活物質としてLi1+aNiCoMn(M=Zr、0≦a≦0.15、0.25≦x≦0.45、0.25≦y≦0.45、0.25≦z≦0.35、0≦b≦0.01、a+b+x+y+z=1)を用いると、本発明の効果が顕著に現れ、電池特性も非常に良好となる。
また、本発明の非水電解質二次電池では、電極体の一方の端部に正極芯体露出部が形成され、他方の端部に負極芯体露出部が形成され、前記正極芯体露出部及び負極芯体露出部にそれぞれ取り付けられた集電体によって正極端子及び負極端子に接続された構造とすることが好ましい。すなわち、巻回型電極体の場合、長尺状の正極板及び負極板の長手方向に芯体露出部が存在し、前記正極芯体露出部及び前記負極芯体露出部がそれぞれ電極体の端部となるように前記正極板及び前記負極板がセパレータを介して巻回され、前記正極及び前記負極の前記芯体露出部のそれぞれに集電体が取り付けられ、正極端子及び負極端子に接続される。また、積層型電極体の場合、正極板及び負極板のそれぞれの一方の端部に芯体露出部を有し、前記正極芯体露出部及び前記負極芯体露出部がそれぞれ電極体の端部となるように前記正極板及び前記負極板がセパレータを介して交互に積層され、前記正極芯体露出部及び前記負極芯体露出部に集電体が取り付けられ、正極端子及び負極端子に接続される。
電極体の端部のそれぞれに正極芯体露出部及び負極芯体露出部が存在せず、正極芯体及び負極芯体に取り付けられた正極タブ及び負極タブによって電流を取り出す構成のものであると、正極タブないし負極タブと正極芯体ないし負極芯体との接触面積を大きくできないためにこの部分の接触抵抗が大きくなるので、数十Aもの大電流を流すと発熱して薄い正極芯体ないし負極芯体が溶融してしまうことがある。
これに対し、上記の構成によれば、電極体の一方の端部に正極芯体露出部が形成され、他方の端部に負極芯体露出部が形成され、前記正極芯体露出部及び負極芯体露出部にそれぞれ取り付けられた集電体によって正極端子及び負極端子に接続された構造を有する。したがって、正極芯体及び負極芯体と集電体との間の接触抵抗が低くなり、容易に60A以上もの大電流で充放電を行うことができるようになる。加えて、本発明の非水電解質二次電池によれば、正極活物質の組成及び負極の初期充放電効率が上述のように限定されているため、特に60A以上もの大電流での充放電を行った際にも低い充電深度においてIV抵抗値が高くなることを顕著に抑制でき、出力特性が低下せず、EV用、HEV用等に最適な非水電解質二次電池となる。
本発明においては、非水溶媒系電解質を構成する非水溶媒(有機溶媒)としては、非水電解質二次電池において一般的に使用されているカーボネート類、ラクトン類、エーテル類、エステル類などを使用することができ、これら溶媒の2種類以上を混合して用いることもできる。これらの中ではカーボネート類、ラクトン類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好ましく、カーボネート類がさらに好適に用いられる。
具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、1,2−シクロヘキシルカーボネート(CHC)、シクロペンタノン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、3−メチル−1,3オキサゾリジン−2−オン、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、酢酸エチル、1,4−ジオキサンなどを挙げることができる。
本発明では充放電効率を高める点からECとDMC、MEC、DEC等の鎖状カーボネート等の混合溶媒が好適に用いられるが、MECのような非対称鎖状カーボネートが好ましい。また、ビニレンカーボネート(VC)などの不飽和環状炭酸エステルを非水電解質に添加することもできる。
なお、本発明における非水電解質の溶質としては、非水電解質二次電池において一般に溶質として用いられるリチウム塩を用いることができる。このようなリチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO、LiAsF、LiClO、Li10Cl10、Li12Cl12、LiB(C、LiB(C)F、LiP(C、LiP(C、LiP(C)Fなど及びそれらの混合物が例示される。これらの中でも、LiPF(ヘキサフルオロリン酸リチウム)が好ましく用いられる。前記非水溶媒に対する溶質の溶解量は、0.5〜2.0mol/Lとするのが好ましい。
以下、本願発明を各種実施例及び比較例を用いて詳細に説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための非水電解質二次電池の例を示すものであって、本発明をこの実施例に特定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。
[実施例1及び比較例1]
最初に、実施例1及び比較例1のそれぞれの負極板の製造方法について述べ、次いで、実施例1及び比較例1に共通する非水電解質二次電池の具体的製造方法及びIV抵抗の測定方法等について説明する。
[負極板の作製]
実施例1及び比較例1の負極活物質は次のようにして作製した。X線回折法による面間隔d002が3.36Åの天然黒鉛を機械的に球状処理した後、ピッチを黒鉛粉末95質量%に対して5質量%となるように被覆及び含浸し、不活性雰囲気下で1000℃にて10時間焼成した。また、得られた球状化低結晶性炭素被覆天然黒鉛にX線回折法による面間隔d002が3.39Åの炭素粉末を球状化低結晶性炭素被覆天然黒鉛93質量%に対して7質量%混合することにより負極活物質とした。得られた負極活物質の平均粒径は11.7μmであり、BET比表面積は7.2m/gであった。
以上のようにして得られた負極活物質と、結着剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とスチレンブタジエンゴムラテックス(SBR)を質量比で98:1:1の割合で水とともに混練して負極活物質合剤スラリーを作製した。次いで、作製した負極活物質合剤スラリーを負極芯体としての帯状の銅箔(厚さが8μm)の両面に塗布した後、乾燥させて負極活物質合剤層を形成した。その後、圧延ローラーを用いて充填密度が1.1g/ccになるまで圧延した。
次に、純度99.9%、ルチル化率99.1%、平均粒子径0.25μmの酸化チタン(TiO)と、バインダーとしてアクリルニトリル構造を含む共重合体と、溶剤としてN−メチルピロリドン(NMP)を重量比で30:0.9:69.1となるように混合し、ビーズミルにて混合分散処理を施し、スラリーを作製した。次いで、上記の方法により作製した負極板の一方の面の負極活物質合剤層表面の全面に、グラビアコート法を用いてスラリーを塗布した後、溶剤を乾燥除去して、負極表面に酸化チタンとバインダーからなる層を形成した。同様の方法により、もう一方の面の負極活物質合剤層表面の全面にも酸化チタンとバインダーからなる層を形成した。その後、所定寸法に切断して、実施例1の負極板を作製した。なお、上記酸化チタンとバインダーからなる層の厚みは2μmとした。
また、TiOの代わりに純度99.99%、平均粒子径0.64μmの酸化アルミニウム(Al)を用い、バインダーとしてアクリルニトリル構造を含む共重合体と、溶剤としてNMPを重量比で30:0.9:69.1となるように混合し、ビーズミルにて混合分散処理を施し、スラリーを作製した。次いで、実施例1と同様の方法で、負極板の両面の負極活物質合剤層表面に、酸化アルミニウムとバインダーからなる層を形成した。その後、所定寸法に切断して、比較例1の負極板を作製した。なお、上記酸化アルミニウムとバインダーからなる層の厚みは2μmとした。
[正極板の作製]
LiCOと(Ni0.35Co0.35Mn0.3とZrOを、Liと(Ni0.35Co0.35Mn0.3)とZrとのモル比が1.07:0.925:0.005となるように混合した。この混合物を空気雰囲気中にて900℃で20時間焼成し、平均粒子径が9.5μmのLi1.07(Ni0.35Co0.35Mn0.30.925Zr0.005で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を得て、正極活物質とした。以上のようにして得られた正極活物質と、導電剤としての炭素材料と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、質量比で88:9:3となるように、NMPに添加して混練し、正極活物質合剤スラリーを作製した。作製した正極活物質合剤スラリーを正極芯体としての帯状のアルミニウム箔(厚さ12μm)の両面に塗布した後、乾燥させて正極活物質合剤層を形成した。その後、圧延ロールを用いて所定の充填密度になるまで圧延し、所定寸法に切断して正極板を作製した。
[非水電解液の調製]
非水電解液を調製するにあたっては、環状カーボネートのエチレンカーボネート(EC)と、鎖状カーボネートのエチルメチルカーボネート(EMC)を体積比で3:7となるように混合させた混合溶媒に対して、溶質として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットルの割合で溶解させた。このようにして得られた溶液にビニレンカーボネート(VC)を1質量%だけ添加して非水電解液を調製した。
[非水電解質二次電池の作製]
次いで、上述のように作製した正極板と、上述のようにして作製した実施例1及び比較例1の負極板とをそれぞれ用い、これらの間にポリエチレン製微多孔膜からなるセパレータを介在させて積層した後、渦巻状にそれぞれ巻回して渦巻状電極群とした。前記正極板と負極板には長手方向に沿って未塗布部が形成されており、この未塗布部は渦巻状電極群のセパレータの端から突出された芯体端縁部を構成している。この渦巻状電極群の両端部に、それぞれ集電板をレーザー溶接により取り付けた後、金属製外装缶内に挿入し、集電板の端部に突設されたリード部の先端を電極端子機構に接続した。
次いで、上述のようにして調製された非水電解液を金属製外装缶内に注入した。この後、封口することにより、図4に示した従来例のものと同様の形状の非水電解質二次電池を作製した。こうして作製した電池について各種特性の測定を行ったところ、実施例1における完成した非水電解質二次電池の放電容量は5.2Ahであり、比較例1における完成した非水電解質二次電池の放電容量は5.4Ahであった。なお、実施例1及び比較例1のいずれにおいても、正極の単位面積当たりの初期充電容量は20mAh/10cmであった。また、負極表面に被覆層を形成しない以外は実施例1及び比較例1と同様の方法で作製した非水電解質二次電池の不可逆容量(正極の初期充電容量−完成した非水電解質電池の放電容量)は、正極の初期充電容量に対して23%であった。
尚、ここにおいて、非水電解質二次電池の放電容量、正極の初期充電容量、正極の単位面積当たりの初期充電容量は次のようにして測定した。また、以下で行う測定においても、これらと同一の測定方法を使用している。
[放電容量の測定方法]
25℃の室温下において、上述の方法で作製した非水電解質二次電池を1Itにて4.1V 定電流−定電圧充電を2時間行なった後、1/3Itにて3.0V 定電流−定電圧放電を5時間行い、このときの放電容量を非水電解質二次電池の放電容量とした。
[正極の初期充電容量の測定方法]
上述の方法で作製した正極芯体の両面に正極活物質合剤層が形成された正極板を切り出し、両面に正極活物質合剤層が形成されている芯体の面積が12.5cmとなるように電極を作製し、対極、参照極にリチウム金属を用いて三電極式セルを作製した。25℃の室温下において、0.75mA/cmの電流値で4.2V(v.s. Li/Li)まで充電を行った後、0.25mA/cmの電流値で4.2V(v.s. Li/Li)まで充電を2段階にて行った際の充電容量を測定した。このようにして求めた充電容量を、完成電池に含まれる正極板において正極活物質合剤層が両面に形成された芯体の全面積当たりの充電容量に換算して、正極の初期充電容量とした。
[正極の単位当たりの初期充電容量の測定方法]
正極の単位当たりの初期充電容量は、上述の正極の初期充電効率の測定方法により求めた正極の初期充電容量を、正極活物質合剤層が両面に形成された芯体の面積10cm当たりの容量に換算することにより算出した。
また、上記実施例1及び比較例1の電池について、以下に示す方法で充電深度と内部抵抗との関係を調べた。内部抵抗としては、電池を何点かの電流値にてある一定時間充電又は放電したときの電圧を測定し、電流値に対する電圧の傾きを計算したIV抵抗値が採用される。このIV抵抗値は電池にどの程度の電流を流せるのかを知る指標となる。
[充電深度とIV抵抗値の関係]
25℃の室温下において、5Aの充電電流で各充電深度になるまで充電させた状態で、それぞれ10A、20A、30A、40A及び60Aの電流で10秒間放電を行い、それぞれの電池電圧を測定し、各電流値と電池電圧とをプロットして放電時におけるI―V特性を求め、得られた直線の傾きから放電時におけるIV抵抗(mΩ)を求めた。このようにして所定の充電深度におけるIV抵抗値を求めた。なお、放電によりずれた充電深度は5Aの定電流で充電することにより元の充電深度に戻した。この充電深度とIV抵抗の測定値との関係を図1に示した。また、IV抵抗を5A、10A、15A及び20Aの電流値で測定した場合の充電深度とIV抵抗値との関係を図2に示した。
[実施例2]
実施例2は、正極板及び負極板を作製する際、正極活物質合剤スラリー及び負極活物質合剤スラリーの塗布量を、それぞれ実施例1の場合の2倍とする以外は実施例1と同様の方法により、非水電解質二次電池を作製した。こうして作製した実施例2の非水電解質二次電池における正極の単位面積当たりの初期充電容量は、40mAh/10cmであった。また、実施例2の完成した非水電解質二次電池の放電容量は6.7Ahであった。
また、負極表面に被覆層を形成しない以外は実施例2と同様の方法で作製した非水電解質二次電池の不可逆容量(正極の初期充電容量−完成した非水電解質電池の放電容量)は、実施例2における正極の初期充電容量に対して23%であった。
[比較例2]
比施例2は、正極板及び負極板を作製する際、正極活物質合剤スラリー及び負極活物質合剤スラリーの塗布量を、それぞれ比較例1の場合の2倍とする以外は比較例1と同様の方法により、非水電解質二次電池を作製した。比較例2の完成した非水電解質二次電池における正極の単位面積当たりの初期充電容量は、40mAh/10cmであった。また比較例2の完成した非水電解質二次電池の放電容量は6.8Ahであった。
また、負極表面に被覆層を形成しない以外は比較例2と同様の方法で作製した非水電解質二次電池の不可逆容量(正極の初期充電容量−完成した非水電解質電池の放電容量)は、比較例2における正極の初期充電容量に対して23%であった。
[比較例3]
比較例3は、正極板及び負極板を作製する際、正極活物質合剤スラリー及び負極活物質合剤スラリーの塗布量、をそれぞれ実施例1の場合の3倍とする以外は実施例1と同様の方法により、非水電解質二次電池を作製した。比較例3の完成した非水電解質二次電池における正極の単位面積当たりの初期充電容量は、60mAh/10cmであった。また、比較例3の完成した非水電解質二次電池の放電容量は7.0Ahであった。
また、負極表面に被覆層を形成しない以外は比較例3と同様の方法で作製した非水電解質二次電池の不可逆容量(正極の初期充電容量−完成した非水電解質電池の放電容量)は、比較例3における正極の初期充電容量に対して23%であった。
[比較例4]
比較例4は、正極板及び負極板を作製する際、正極活物質合剤スラリー及び負極活物質合剤スラリーの塗布量を、それぞれ比較例1の場合の3倍とする以外は比較例1と同様の方法により、非水電解質二次電池を作製した。比較例4の完成した非水電解質二次電池における正極の単位面積当たりの初期充電容量は、60mAh/10cmであった。また、比較例3の完成した非水電解質二次電池の放電容量は7.1Ahであった。
また、負極表面に被覆層を形成しない以外は比較例4と同様の方法で作製した非水電解質二次電池の不可逆容量(正極の初期充電容量−完成した非水電解質電池の放電容量)は、比較例3における正極の初期充電容量に対して23%であった。
実施例1、実施例2、及び比較例1〜4について、出力特性の充電深度の依存性を示す指標として、(前記の10〜60Aの範囲にて測定した充電深度10%のIV抵抗値)/(前記の10〜60Aの範囲にて測定した充電深度50%のIV抵抗値)、を図3に示す。
図1及び図2に示した結果から以下のことが分かる。実施例1及び比較例1のいずれも、IV抵抗値を5A〜20Aの範囲で測定した場合(図2)も10A〜60Aの範囲で測定した場合(図1)も、充電深度20%〜90%範囲では実質的に同じIV抵抗値を備えており、5mΩ以下の低いIV抵抗値となっている。また、施例1及び比較例1のいずれも、充電深度が20%よりも低くなるとIV抵抗値が増加し、60A以上の大電流による充放電を行った場合により顕著な差が現れることが分かる。
しかしながら、実施例1では比較例1と比較し、60A以上の大電流による充放電を行った場合の充電深度が20%よりも低い範囲におけるIV抵抗値が低い値となっており、実施例1では低い充電深度におけるIV抵抗値の増加を抑制できることが分かる。
また、図3より、正極の単位面積当たりの初期充電容量が小さく、負極表面に酸化チタンを含む絶縁性の被覆層を形成した場合、顕著に低い充電深度においてIV抵抗値が増加することを抑制できることが分かる。
したがって、本発明に従う実施例1及び実施例2の電池は、60Aないしそれ以上という大電流で充放電を行った場合でも、比較的1〜4の非水電解質二次電池に比すると、広い充電深度範囲に亘ってIV抵抗値が低く一定状態に保たれているため、特に十分な出力特性及び出力回生特性を要求されるHE用ないしHEV用の電池として最適であることが分かる。
以上のとおり、正極活物質としてリチウムイオンの吸蔵・放出が可能なLi1+aNiCoMn(M=Al、Ti、Zr、Nb、B、Mg、Moから選択される少なくとも一種の元素、0≦a≦0.3、0.1≦x≦1、0≦y≦0.5、0≦z≦0.9、0≦b≦0.01、a+x+y+z=1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を用い、正極の単位面積当たりの初期充電容量を40mAh/10cm以下とし、負極表面に酸化チタンを含む絶縁性の被覆層を形成することにより、60A以上の大電流で充放電を行っても低い充電深度から高い充電深度までIV抵抗値を低い一定値に維持することが可能となる。したがって、本願発明によれば、負荷特性及び出力回生特性に優れた電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)等に最適な非水電解質二次電池を得ることができる。
10:非水電解質二次電池 11:筒体 12:蓋体 13:電池外装缶 14:電極端子機構 20:巻回電極体 21:正極 21:正極芯体端縁部 22:負極 22:負極芯体端縁部 23:セパレータ 30:集電板 31:リード部 32:平板状本体 33:円弧状凸部 34:溶接部

Claims (6)

  1. 正極活物質としてリチウムイオンの吸蔵・放出が可能なLi1+aNiCoMn(M=Al、Ti、Zr、Nb、B、Mg、Moから選択される少なくとも一種の元素、0≦a≦0.3、0.1≦x≦1、0≦y≦0.5、0≦z≦0.9、0≦b≦0.01、a+b+x+y+z=1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解質と、前記正負極の間に介装されたセパレータと、を有する非水電解質二次電池において、前記正極の単位面積当たりの初期充電容量が40mAh/10cm以下であり、前記負極の表面には酸化チタンを含む絶縁性の被覆層が形成されていることを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 負極の表面に前記被覆層が形成されていない場合の完成電池の不可逆容量(正極の初期充電容量−完成電池の初期放電容量)が、正極の初期充電容量に対して30%以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記被覆層が酸化チタンとバインダーからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記被覆層の厚みが、1μm〜5μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記負極の充填密度が、1.0g/cc〜1.4g/ccであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  6. 前記正極活物質がLi1+aNiCoMn(M=Zr、0≦a≦0.15、0.25≦x≦0.45、0.25≦y≦0.45、0.25≦z≦0.35、0≦b≦0.01、a+b+x+y+z=1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
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