JP2009280502A - 有機カーボネートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、有機カーボネートの製造方法に関する。詳しくは、ケイ素アルコキシドと二酸化炭素とを反応させて対応する有機カーボネートを製造する方法に関する。
有機カーボネートのひとつであるジアルキルカーボネートは、燃料添加剤、電池材料、樹脂原料、溶剤、洗浄剤、有機化合物を合成する際のアルキル化剤、カルボニル化剤等の様々な用途があり、有用な化合物である。また、工業分野のみならず、研究分野においても需要の高い化合物であり、今後の需要も増大することが期待される。
従来、ジアルキルカーボネートを製造するにあたっては、ヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応による方法が用いられていた(例えば、非特許文献1)。しかしながら、この方法では、反応するヒドロキシ化合物と等モルの塩化水素が副生するため、これを除去する必要があるとともに、製品中に塩素不純物が混入すること、加えて原料であるホスゲンは毒性が強いといった問題がある。このため、ホスゲンを用いることなくジアルキルカーボネートを製造する方法が要望されている。
ホスゲンを使用しないジアルキルカーボネートの製造方法としては、例えば、脂肪族ヒドロキシ化合物と二酸化炭素を原料とする方法が開示されている(例えば、特許文献1,2)。しかし、特許文献1の方法は、副生する水を除去するために有機脱水剤を必要とする上に、触媒を必要とするため反応系が複雑である。その上、用いた有機脱水剤を再生することが困難であるため、多量の廃棄物が副生するという問題点がある。また、特許文献2の方法では、中間原料として有毒な有機スズ化合物を多量に用いるため、安全上の問題があり、かつ分子量の大きい有機スズ化合物を循環使用するため、使用する物質量が膨大であり、生産性が低いという問題があった。
また、スズ触媒の存在下、テトラメトキシケイ素とCO2からジメチルカーボネートを製造する方法も開示されている(非特許文献2)。しかしながら、ここで副生するシロキサン化合物は、メタノールとの脱水反応によってテトラメトキシケイ素に再生することができないため、多量のケイ素化合物を廃棄する必要があるという問題点があった。
このようなことから、有害な金属化合物や脱水剤を大量に用いることのない、生産効率のよいジアルキルカーボネートの製造法が求められていた。
Journal of Organic Chemistry 1980,45, 4797-4798 Applied Catalysis A: General 255(2003) 93-99 特開平7−33715号公報
特開2003−192644号公報
Journal of Organic Chemistry 1980,45, 4797-4798 Applied Catalysis A: General 255(2003) 93-99
本発明は上記の問題点を鑑み、毒性が低くかつリサイクル可能なケイ素アルコキシド化合物と二酸化炭素を原料とし、多量の有害な金属化合物や、脱水剤を用いることなく、また、廃棄する副生成物が少なく、従って、生産効率のよい有機カーボネートの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の構造を有するケイ素アルコキシドと二酸化炭素を、Lewis酸性を有する金属アルコキシドの存在下に加熱することにより、ジアルキルカーボネート等の有機カーボネートが得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下を要旨とする。
[1] Lewis酸性を有する金属アルコキシドの存在下に、下記一般式(1)で表されるケイ素アルコキシドと二酸化炭素とを反応させて、下記一般式(2)で表される有機カーボネートを製造することを特徴とする有機カーボネートの製造方法。
(式中、R1及びR2は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。R1及びR2は同一であっても異なっていてもよい。R3及びR4はそれぞれ独立に有機基を表す。)
[2] Lewis酸性を有する金属アルコキシドの中心金属が、スズ、チタン、及びジルコニウムのいずれかであることを特徴とする[1]に記載の有機カーボネートの製造方法。
[3] R3及びR4がそれぞれ独立に炭素数4〜12の有機基であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の有機カーボネートの製造方法。
[4] Lewis酸性を有する金属アルコキシドの量が、用いるケイ素アルコキシドのケイ素量に対しモル比で0.01〜1倍であることを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載の有機カーボネートの製造方法。
[5] 下記工程(I)〜(III)を含むことを特徴とする有機カーボネートの製造方法。
(I)Lewis酸性を有する金属アルコキシドの存在下、ケイ素アルコキシドと二酸化炭素とを反応させて有機カーボネートを生成させる工程
(II)前記工程(I)で得られた反応生成液から、生成した有機カーボネートを分離して、副生したシロキサン類と金属アルコキシドを含む残液を得る工程
(III)前記工程(II)で得られたシロキサン類と金属アルコキシドを含む残液を、有機ヒドロキシ化合物と反応させてケイ素アルコキシドと金属アルコキシドを含む混合物とし、前記工程(I)に循環させて用いる工程
(I)Lewis酸性を有する金属アルコキシドの存在下、ケイ素アルコキシドと二酸化炭素とを反応させて有機カーボネートを生成させる工程
(II)前記工程(I)で得られた反応生成液から、生成した有機カーボネートを分離して、副生したシロキサン類と金属アルコキシドを含む残液を得る工程
(III)前記工程(II)で得られたシロキサン類と金属アルコキシドを含む残液を、有機ヒドロキシ化合物と反応させてケイ素アルコキシドと金属アルコキシドを含む混合物とし、前記工程(I)に循環させて用いる工程
特定のケイ素アルコキシドと二酸化炭素を、Lewis酸性を有する金属アルコキシドの存在下に反応させる本発明の有機カーボネートの製造方法によれば、以下のような作用効果のもとに、有機カーボネートを工業的かつ経済的に有利に製造することができる。
(1)原料として用いるケイ素アルコキシド及び二酸化炭素、触媒として用いるLewis酸性を有する金属アルコキシドは、いずれも加水分解性が低く、取り扱いも容易である。
(2)一定の重量当たりに含まれるモル数の多いケイ素アルコキシドを用いることで、容易に反応系の物質量を低減して生産効率を高めることができる。
(3)反応時に共存させる金属量が少量でよい。
(4)反応により副生するケイ素アルコキシド由来のシロキサン類は、有機ヒドロキシ化合物と反応させることによりケイ素アルコキシドとして再生可能であるため、再生後、循環再使用することができる。
(2)一定の重量当たりに含まれるモル数の多いケイ素アルコキシドを用いることで、容易に反応系の物質量を低減して生産効率を高めることができる。
(3)反応時に共存させる金属量が少量でよい。
(4)反応により副生するケイ素アルコキシド由来のシロキサン類は、有機ヒドロキシ化合物と反応させることによりケイ素アルコキシドとして再生可能であるため、再生後、循環再使用することができる。
以下、本発明の実施の有機カーボネートの製造方法形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。
本発明の有機カーボネートの製造方法は、特定のケイ素アルコキシドと二酸化炭素とを、Lewis酸性を有する金属アルコキシドの存在下に反応させることにより、目的とする有機カーボネートを製造することを特徴とする。
なお、本明細書において、「アルコキシド」とは「フェノキシド」を包含する広義のアルコキシドをさす。即ち、通常、「アルコキシド」とは、アルコール(鎖式又は脂環式の炭化水素の水素原子を水酸基で置換したヒドロキシ化合物であって、フェノール類とは区別される。)の水酸基の水素原子が金属等で置換された化合物をさすが、本明細書においては、特記しない限り、フェノール類(芳香族炭化水素核の水素原子を水酸基で置換した芳香族ヒドロキシ化合物)の水酸基の水素原子が金属等で置換された化合物(フェノキシド)も包含することとする。
[Lewis酸性を有する金属アルコキシド]
まず、本発明において、触媒として用いるLewis酸性を有する金属のアルコキシドについて説明する。
まず、本発明において、触媒として用いるLewis酸性を有する金属のアルコキシドについて説明する。
本発明においては、Lewis酸性を有する金属アルコキシドの存在下に、特定のケイ素アルコキシドと二酸化炭素とを反応させるが、Lewis酸性を有する金属アルコキシドは、この反応系内においてLewis酸性を有する金属アルコキシドとして存在すればよく、従って、反応に供するものとしては、反応系において、例えば有機ヒドロキシ化合物と反応してLewis酸性を有する金属アルコキシドとなり得る、金属アルコキシドの前駆体であってもよい。
Lewis酸性を有する金属アルコキシドもしくはその前駆体としては、金属塩化物の状態で金属−塩素結合の振動数が390cm−1以下である金属のアルコキシドもしくはその前駆体が挙げられる。
金属−塩素結合の振動数は分極の程度を示す指標と捉えることができ、振動数が小さいものほど分極の程度は大きくなることから、ここで指標とする金属塩化物の状態で金属-塩素結合の振動数は、金属のLewis酸性の強さの指標となると考えられる。即ち、この振動数が小さいほど金属中心のLewis酸性は高くなる。種々の金属の塩化物の振動数は、例えば、Nakamoto,K著、Infrared Spectra of Inorganic and Coordination Compounds(1963)に記載されており、具体的には、以下の値が示されている。
スズ:368cm−1
チタン:388cm−1
鉛:327cm−1
ジルコニウム:388cm−1
アルミニウム:349cm−1
ゲルマニウム:397cm−1
スズ:368cm−1
チタン:388cm−1
鉛:327cm−1
ジルコニウム:388cm−1
アルミニウム:349cm−1
ゲルマニウム:397cm−1
従って、本発明で用いられる金属アルコキシドの中心金属としては、具体的には、スズ、チタン、鉛、ジルコニウム、アルミニウムなどが挙げられる。この中でもスズ、チタン、ジルコニウムが高い活性を示すためより好ましい。
Lewis酸性を有する金属アルコキシドとしては、各種の金属アルコキシド(フェノキシドを含まない)、金属フェノキシドを用いることができ、金属アルコキシド(フェノキシドを含まない)としては、ジアルキルスズジアルコキシド(アルキル基の炭素数は1〜10、アルコキシ基の炭素数は1〜10)、テトラアルコキシスズ(アルコキシ基の炭素数は1〜10)、トリアルコキシアルミニウム(アルコキシ基の炭素数は1〜10)、ジアルコキシ鉛(アルコキシ基の炭素数は1〜10)、ジアルキルジルコニウムアルコキシド(アルキル基の炭素数は1〜10、アルコキシ基の炭素数は1〜10)、テトラアルコキシジルコニウム(アルコキシ基の炭素数は1〜10)、ジアルキルチタンアルコキシド(アルキル基の炭素数は1〜10、アルコキシ基の炭素数は1〜10)、テトラアルコキシチタン(アルコキシ基の炭素数は1〜10)などが挙げられる。
また、金属フェノキシドとしては、各種金属のフェノキシドの他、ジアルキルスズフェノキシド(アルキル基の炭素数は1〜10)、ジアルキルジルコニウムフェノキシド(アルキル基の炭素数は1〜10)などが挙げられる。
また、金属フェノキシドとしては、各種金属のフェノキシドの他、ジアルキルスズフェノキシド(アルキル基の炭素数は1〜10)、ジアルキルジルコニウムフェノキシド(アルキル基の炭素数は1〜10)などが挙げられる。
より具体的には、金属アルコキシドとしては、ジブチルスズジフェノキシド、ジメチルスズジフェノキシド、テトラフェノキシスズ、テトラフェノキシチタン、トリフェノキシアルミニウム、ジフェノキシ鉛、テトラフェノキシジルコニウム、ジメチルスズジメトキシド、ジメチルスズジエトキシド、ジメチルスズジプロポキシド、ジメチルスズジブトキシド、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズジエトキシド、ジブチルスズジプロポキシド、ジブチルスズジブトキシド、テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラプロポキシスズ、テトラブトキシスズ、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム、ジメトキシ鉛、ジエトキシ鉛、ジプロポキシ鉛、ジブトキシ鉛、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウムなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でより好ましいものは、ジブチルスズジメトキシド、テトラブトキシチタン、テトラブトキシジルコニウムである。
また、前記金属アルコキシドの前駆体としては、反応系中で前記金属アルコキシドを形成するものであり、具体的にはアルキル金属酸化物、金属酸化物、金属等が挙げられる。アルキル金属酸化物(アルキル基の炭素数は1〜10)としては例えばジブチルスズオキシドが、金属酸化物としては酸化鉛(II)が、金属としてはアルミニウムが、それぞれ具体例として挙げられる。これらの前駆体は、それぞれ、反応系内で、ケイ素アルコキシド又は、ケイ素アルコキシド中に微量含まれる有機ヒドロキシ化合物から生成した有機ヒドロキシ化合物と反応してジブチルスズジアルコキシド、ジアルコキシ鉛、トリアルコキシアルミニウムを形成する。
これらの前駆体も1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、前述の金属アルコキシドの1種又は2種以上と上記前駆体の1種又は2種以上とを併用してもよい。
[ケイ素アルコキシド]
本発明で用いるケイ素アルコキシドは、下記一般式(1)で表される化合物である。
本発明で用いるケイ素アルコキシドは、下記一般式(1)で表される化合物である。
(1)式中、R1及びR2は水素原子、アルキル基(アルキル基は、分岐鎖を有していても、直鎖状であってもよい。)、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。R1及びR2は互いに同一であっても異なっていてもよく、またそれぞれ置換基を有していてもよい。R1,R2としては、これらのうち、好ましくはそれぞれ独立に炭素数1〜12個のアルキル基あるいはアリール基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基である。中でも、R1,R2としてメチル基を持つケイ素アルコキシドは工業的に入手容易であり、反応性が高いため、特に好ましい。
なお、R1,R2のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シクロアルキル基が置換基を有する場合、その置換基としてはアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
(1)式中、R3及びR4は有機基を表し、目的とする有機カーボネートの構造に応じて適宜選択される。R3及びR4は互いに同一であっても異なっていてもよく、またそれぞれ置換基を有していてもよい。
R3及びR4の具体例は、本発明で製造される一般式(2)で表される有機カーボネートの説明において例示する通りであるが、これらのうち、後述する脱水反応によるケイ素アルコキシドの再生を行う場合は、水よりも沸点の高い有機ヒドロキシ化合物を用いることが好ましいので、上記一般式(1)のR3およびR4は、炭素数4〜12の炭化水素基等の有機基が好ましく、具体的には、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基などの、置換基としてアルキル基を有していてもよいアルキル基又はシクロアルキル基が好ましい。
一般式(1)で表されるケイ素アルコキシドの具体例を示すと、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−n−ヘキシロキシシラン、ジメチルジ−n−オクチロキシシラン、ジメチルジ−n−デシロキシシラン、ジメチルジシクロヘキシロキシシラン、ジフェニルジ−n−ヘキシロキシシランなどが挙げられる。
本発明で用いられるケイ素アルコキシドは任意の方法で製造されるが、シロキサン類と有機ヒドロキシ化合物との反応により製造されることが好ましい。具体的には、シロキサン類と有機ヒドロキシ化合物を、前述のLewis酸性を有する金属アルコキシドもしくはその前駆体の存在下、脱水反応を行うことにより製造される。
ケイ素アルコキシドの原料として用いるシロキサン類は、目的とするケイ素アルコキシドの構造に応じて適宜選択され、環状シロキサンであってもポリシロキサンであってもよい。
環状シロキサンの例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンが挙げられ、ポリシロキサンとしてはポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(ジエチルシロキサン)、ポリ(ジプロピルシロキサン)、ポリ(ジブチルシロキサン)、ポリ(メチルエチルシロキサン)、ポリ(メチルプロピルシロキサン)、ポリ(メチルメチルブチルシロキサン)、ポリ(エチルプロピルシロキサン)、ポリ(エチルブチルシロキサン)、ポリ(プロピルブチルシロキサン)、ポリ(ジフェニルシロキサン)、ポリ(メチルフェニルシロキサン)、ポリ(エチルフェニルシロキサン)、ポリ(プロピルフェニルシロキサン)、ポリ(ブチルフェニルシロキサン)などが挙げられる。環状シロキサンとポリシロキサンが混合していてもよい。
これらの中でもより好ましいものとしては、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(ジエチルシロキサン)、ポリ(ジプロピルシロキサン)を選ぶことができ、最も好ましいのはポリ(ジメチルシロキサン)である。
一方、ケイ素アルコキシドの原料として用いる有機ヒドロキシ化合物は、目的とするケイ素アルコキシドの構造により適宜選択され、脂肪族ヒドロキシ化合物であっても芳香族ヒドロキシ化合物であってもよく、1価のヒドロキシ化合物でも多価のヒドロキシ化合物であってもよい。
脂肪族ヒドロキシ化合物の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−エチルブタノール、ヘプタノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、アリルアルコール、メタリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。
芳香族ヒドロキシ化合物の具体例としては、フェノール、クレゾール、ナフトール、p−ヒドロキシスチレン、カテコール、ビスフェノールAなどが挙げられる。
芳香族ヒドロキシ化合物の具体例としては、フェノール、クレゾール、ナフトール、p−ヒドロキシスチレン、カテコール、ビスフェノールAなどが挙げられる。
これらの中でより好ましいのは1価の脂肪族ヒドロキシ化合物であり、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−エチルブタノール、ヘプタノール、2−エチルヘキサノール、オクタノールを選ぶことができる。
後述する脱水によるケイ素アルコキシドの再生においては、用いる有機ヒドロキシ化合物は、後述の水の蒸留除去を容易に行えるため、水より沸点が高いものが好ましいため、上記脂肪族ヒドロキシ化合物のうち、特に好ましいものは、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノールである。
本発明で用いるケイ素アルコキシドをシロキサン類と有機ヒドロキシ化合物から製造する方法としては、通常、シロキサン類と有機ヒドロキシ化合物を、前述のLewis酸性を有する金属アルコキシドもしくはその前駆体とともに加熱して、発生する水を系外に除去することにより行われる。
水を除去する方法に特に制限はないが、溶媒を用いて共沸除去する方法、用いる有機ヒドロキシ化合物とともに蒸留除去する方法、モレキュラーシーブ3Aなどの脱水剤を用いて吸着により除去する方法が挙げられる。脱水剤を用いる方法は、多量の廃棄物が生成すること、あるいは脱水剤を再利用する場合には再生に多大な労力が必要となることから、工業的には好ましくなく、従って、生成する水を蒸留除去もしくは共沸脱水により除去する方法が好ましい。
反応に用いる有機ヒドロキシ化合物の量は、シロキサン類のケイ素原子に対するモル比として0.1〜10倍である。この量が少なすぎると反応が十分に進行せず、多すぎると生産性が低下し、いずれも好ましくない。
反応温度は、用いる基質やLewis酸性を有する金属アルコキシドもしくはその前駆体の種類にもよるが、通常100〜220℃の範囲である。
反応に用いるLewis酸性を有する金属アルコキシドもしくはその前駆体の使用量は、原料のシロキサン類に対して2〜30モル%である。金属アルコキシドもしくはその前駆体の使用量が少なすぎると反応速度が十分大きくならず、また多すぎるとコストが高く、かつ使用する物質量が多くなるため、いずれも好ましくない。
[有機カーボネート]
本発明の方法で製造される有機カーボネートは、以下の一般式(2)で表される化合物である。
本発明の方法で製造される有機カーボネートは、以下の一般式(2)で表される化合物である。
(2)式中、R3及びR4は有機基を表し、本発明の原料化合物であるケイ素アルコキシドを表す前記一般式(1)中のR3及びR4と同一であり、好ましくは炭素数4〜12の炭化水素基等の有機基である。これらは互いに同一であっても異なっていてもよい。
R3及びR4は、脂肪族基であっても芳香族基であってもよく、1価の有機ヒドロキシ化合物でも多価のヒドロキシ化合物であってもよく、またR3とR4が互いに結合していてもよい。
R3,R4の脂肪族基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルブチル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル等のアルキル基(アルキル基は、分岐鎖を有していても、直鎖状であってもよい。)やシクロアルキル基、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル等のヒドロキシ基等の置換基を有していてもよいアルキル基、2−プロペニル、イソブテニル、3−メチル−3−ブテニル等のアルケニル基などが挙げられる。
芳香族基の具体例としては、フェニル、トリル、ナフチル、p−スチリル、ヒドロキシフェニルなどの置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。
これらの中でより好ましいのは脂肪族基であり、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルブチル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、オクチル等のアルキル基又はシクロアルキル基が好ましく、原料のケイ素アルコキシドの製造の容易さから、特に好ましいものはブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル等の炭素数4〜12のアルキル基である。
[反応方法]
本発明の有機カーボネートの製造方法は、具体的には、反応容器に、前記一般式(1)で表されるケイ素アルコキシドとLewis酸性を有する金属アルコキシド又はその前駆体を入れ、CO2雰囲気下、加熱攪拌することで、ケイ素アルコキシドと二酸化炭素とを反応させることにより行われるが、特に、本発明は、以下の工程(I)〜(III)を経て行われることが好ましい。
本発明の有機カーボネートの製造方法は、具体的には、反応容器に、前記一般式(1)で表されるケイ素アルコキシドとLewis酸性を有する金属アルコキシド又はその前駆体を入れ、CO2雰囲気下、加熱攪拌することで、ケイ素アルコキシドと二酸化炭素とを反応させることにより行われるが、特に、本発明は、以下の工程(I)〜(III)を経て行われることが好ましい。
(I)Lewis酸性を有する金属アルコキシドの存在下、前記一般式(1)で表されるケイ素アルコキシドと二酸化炭素とを反応させて、前記一般式(2)で表される有機カーボネートを生成させる反応工程
(II)反応工程(I)で得られた反応生成液から、生成した有機カーボネートを分離して、副生したシロキサン類と金属アルコキシドを含む残液を得る分離工程
(III)分離工程(II)で得られたシロキサン類と金属アルコキシドを含む残液を、有機ヒドロキシ化合物と反応させてケイ素アルコキシドと金属アルコキシドを含む混合物とし、前記工程(I)に循環させて用いる再生・循環工程
(II)反応工程(I)で得られた反応生成液から、生成した有機カーボネートを分離して、副生したシロキサン類と金属アルコキシドを含む残液を得る分離工程
(III)分離工程(II)で得られたシロキサン類と金属アルコキシドを含む残液を、有機ヒドロキシ化合物と反応させてケイ素アルコキシドと金属アルコキシドを含む混合物とし、前記工程(I)に循環させて用いる再生・循環工程
以下、各工程毎に説明する。
<(I)反応工程>
前記一般式(1)で表されるケイ素アルコキシドとの反応に用いるCO2の純度は、一般的な工業用グレードであればよいが、水分があるとケイ素アルコキシドが有機ヒドロキシ化合物とシロキサン類に分解する恐れがあるため、事前に乾燥管などを通して水分含量を低減化してから用いてもよい。
前記一般式(1)で表されるケイ素アルコキシドとの反応に用いるCO2の純度は、一般的な工業用グレードであればよいが、水分があるとケイ素アルコキシドが有機ヒドロキシ化合物とシロキサン類に分解する恐れがあるため、事前に乾燥管などを通して水分含量を低減化してから用いてもよい。
反応溶媒は必ずしも用いなくてよいが、必要に応じて用いることもできる。溶媒を用いる場合、原料のケイ素アルコキシド、及び金属アルコキシド又はその前駆体と反応条件下で反応しないものであれば、いずれも使用可能である。溶媒の具体例としては、トルエン、キシレン、テトラリン、デカリン、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で使用してもよく、あるいは2種類以上を混合して使用してもよい。
溶媒を用いる場合、その使用量は用いるケイ素アルコキシドに対して重量比で0.5〜20程度とするのが適当である。即ち、溶媒を用いることはCO2の液相への溶解性を向上させる点で有利であるが、その使用量が多過ぎると希釈により反応速度が低下し、生産性も低下するため、好ましくない。
本発明の方法における金属アルコキシドもしくはその前駆体の使用量は、原料のケイ素アルコキシドに対してモル比で0.01〜1倍であり、好ましくはモル比で0.02〜0.3倍である。この使用量が少なすぎると反応速度が十分大きくならず、また多すぎるとコストが高く、かつ使用する物質量が多くなるため、いずれも好ましくない。
反応温度は、用いる原料の種類及び溶媒の有無、溶媒を用いる場合はその種類、反応時の圧力にもより異なるが、通常50〜200℃、好ましくは100〜180℃である。反応温度は、高いほうが反応速度が上がるため好ましいが、高すぎると金属アルコキシドが失活するため好ましくない。また、反応温度が低すぎると反応速度が遅くなり、好ましくない。
反応時のCO2の圧力は特に制限はないが、通常、その反応温度において常圧〜5MPa、好ましくは1MPa〜4.5MPaの範囲である。CO2の圧力が高すぎるとそのための装置コストが高くつき、低すぎると反応の進行が遅くなるため、いずれも好ましくない。
反応は、連続的に実施してもよいし、バッチ式で実施してもよい。バッチ式の場合、CO2のみを連続的に供給してもよいし、CO2は初期に反応器に導入するのみとして途中供給せず、封じ込めで反応してもよい。
反応時間は、適宜選択することができるが、例えば、10分から1日、好ましくは30分から10時間である。反応時間が短すぎると反応転化率が十分ではなく、また長すぎると生産性が劣るものとなり、いずれの場合も好ましくない。
反応に用いる反応溶器は、通常、反応原料であるケイ素アルコキシドとCO2をそれぞれ供給する管、生成した有機カーボネートと副生したケイ素化合物や未反応のケイ素アルコキシドを含有する反応生成液を排出する管、未反応のCO2を主成分とするガスを排出する管を備えるものである。この反応容器は、外部に冷却又は加熱用外部ジャケットを備えていてもよく、また、伝熱性を向上させるために、内部にフィン、コイル等を備えていてもよい。
反応容器の材質としては石英、ガラス、SUS等の金属等が挙げられる。
反応容器の材質としては石英、ガラス、SUS等の金属等が挙げられる。
本発明の反応により得られる反応生成液は、目的物である有機カーボネート、未反応のケイ素アルコキシド、ケイ素アルコキシドとCO2の反応で有機カーボネートの生成に伴い副生したシロキサン類、及び金属アルコキシドを含有する混合液である。
<(II)分離工程>
反応工程(I)で得られた、目的物である有機カーボネート、未反応のケイ素アルコキシド、ケイ素アルコキシドとCO2の反応で有機カーボネートの生成に伴い副生したシロキサン類、及び金属アルコキシドを含有する反応生成液から、目的物の有機カーボネートを分離する方法は特に限定されないが、通常、蒸留によって分離することができる。蒸留法としては一般に知られている常圧による蒸留方法や、減圧蒸留方法が使用できる。
反応工程(I)で得られた、目的物である有機カーボネート、未反応のケイ素アルコキシド、ケイ素アルコキシドとCO2の反応で有機カーボネートの生成に伴い副生したシロキサン類、及び金属アルコキシドを含有する反応生成液から、目的物の有機カーボネートを分離する方法は特に限定されないが、通常、蒸留によって分離することができる。蒸留法としては一般に知られている常圧による蒸留方法や、減圧蒸留方法が使用できる。
蒸留分離法の場合の蒸留温度に特に制限はなく、生成する有機カーボネートの種類や、未反応のケイ素アルコキシドの物性、あるいは反応に用いた溶媒の種類により異なり、適切に選択される。蒸留温度は通常、70〜200℃、好ましくは100〜180℃である。蒸留温度が低すぎると有機カーボネートが留出せず、また高すぎるとケイ素化合物の分解反応が進行する可能性があるため好ましくない。
蒸留時の圧力は特に制限はなく、生成する有機カーボネートの種類や、未反応のケイ素アルコキシドの物性、あるいは反応に用いた溶媒の種類、副生成物により異なり、適切に選択される。通常1mmHgから1気圧、好ましくは10mmHgから1気圧の範囲である。蒸留圧力が低すぎると十分な分離度を得ることが難しく、また高すぎると、有機カーボネートの蒸留温度が高温になるため、分解などの副反応が起こる可能性があり好ましくない。
また、反応生成液からの有機カーボネートの分離は、一般に行われる溶媒抽出法によっても行うことができる。この際に用いられる抽出溶媒は、未反応のケイ素アルコキシドと反応しない溶媒が使用できる。このような溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロメチレンなどのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、アニソールなどのエーテル類が挙げられる。
さらに、反応生成液からの有機カーボネートの分離法として、一般に行われるクロマトグラフィー法も用いることができる。この際に用いられる抽出溶媒は、未反応のケイ素アルコキシドと反応しない溶媒が使用できる。このような溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロメチレンなどのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、アニソールなどのエーテル類が挙げられる。また、固定相担体としては珪藻土、フッ素樹脂、カーボン、テレフタル酸、アルミナ、活性炭、ガラスビーズ、水晶などが挙げられる。
<(III)再生・循環工程>
反応生成液から有機カーボネートを分離した残液は、未反応のケイ素アルコキシド、ケイ素アルコキシドとCO2の反応で有機カーボネートの生成に伴い副生したシロキサン類、及び金属アルコキシドを含有する混合物である。
この混合物を有機ヒドロキシ化合物と反応させることにより、混合物中のシロキサン類は、本発明の方法で原料として用いるケイ素アルコキシドに再生させることができる。
この混合物と有機ヒドロキシ化合物の反応は、上記したシロキサン類と有機ヒドロキシ化合物からのケイ素アルコキシドの製造方法と同様に行うことができる。
再生により得られるケイ素アルコキシドと金属アルコキシドの混合物は、そのままCO2との反応に再使用することができる。
反応生成液から有機カーボネートを分離した残液は、未反応のケイ素アルコキシド、ケイ素アルコキシドとCO2の反応で有機カーボネートの生成に伴い副生したシロキサン類、及び金属アルコキシドを含有する混合物である。
この混合物を有機ヒドロキシ化合物と反応させることにより、混合物中のシロキサン類は、本発明の方法で原料として用いるケイ素アルコキシドに再生させることができる。
この混合物と有機ヒドロキシ化合物の反応は、上記したシロキサン類と有機ヒドロキシ化合物からのケイ素アルコキシドの製造方法と同様に行うことができる。
再生により得られるケイ素アルコキシドと金属アルコキシドの混合物は、そのままCO2との反応に再使用することができる。
本発明の製造方法で得られる有機カーボネートは、ポリカーボネートの原料、電解液用溶媒、各種の有機合成原料として有用である。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
なお、以下の実施例及び比較例におけるGC及び1H NMRによる分析方法は次の通りである。
<有機カーボネート(ジヘキシルカーボネート)のGC分析方法>
(1)GC分析サンプル溶液の作成
反応溶液を1g計量し、内標(東京化成(株)社製 ジヘキシルエーテル)を0.1g、ジエチルエーテル(純正化学(株)社製)を3ml加えた後、蒸留水1mlを加え、その後有機層のみを分離し、GC分析サンプル溶液とした。
(2)定量分析法
上記(1)で調製したサンプル溶液を用いて島津製作所製GC−2010(カラム:CBP1−M50−0.25)によりGC測定を行い、そのピーク面積より、内標と得られた有機カーボネートとの比を見積もり、定量分析を実施した。
(3)有機カーボネートの収率計算法
上記(2)で取得したGCチャートより、内標と得られた有機カーボネートとの物質量比を見積もり、有機カーボネートの生成量を求め、以下の式により収率を求めた。
(有機カーボネートの収率)={(有機カーボネートの物質量)/(反応開始時のケイ素アルコキシドの物質量)}×100
(1)GC分析サンプル溶液の作成
反応溶液を1g計量し、内標(東京化成(株)社製 ジヘキシルエーテル)を0.1g、ジエチルエーテル(純正化学(株)社製)を3ml加えた後、蒸留水1mlを加え、その後有機層のみを分離し、GC分析サンプル溶液とした。
(2)定量分析法
上記(1)で調製したサンプル溶液を用いて島津製作所製GC−2010(カラム:CBP1−M50−0.25)によりGC測定を行い、そのピーク面積より、内標と得られた有機カーボネートとの比を見積もり、定量分析を実施した。
(3)有機カーボネートの収率計算法
上記(2)で取得したGCチャートより、内標と得られた有機カーボネートとの物質量比を見積もり、有機カーボネートの生成量を求め、以下の式により収率を求めた。
(有機カーボネートの収率)={(有機カーボネートの物質量)/(反応開始時のケイ素アルコキシドの物質量)}×100
<ケイ素アルコキシドの1H NMR分析方法>
(1)1H NMR分析サンプル溶液の作成
反応溶液を0.05g計量し、重クロロホルム(CIL社製、0.05%テトラメチルシラン含有)を1ml加えてNMR分析サンプル溶液とした。
(2)定量分析法
上記(1)で調製したサンプル溶液を用いてJEOL社製 EX−270NMR(270MHz)によりNMRスペクトルを取得し、その積分値より、未反応のポリ(ジメチルシロキサン)と得られたケイ素アルコキシド(ジメチルジ−n−ヘキシロキシキシシラン)の比を見積もり、定量分析を実施した。
(3)ケイ素アルコキシドの収率計算法
上記(2)で取得したNMRピークより、ポリ(ジメチルシロキサン)のメチル基(0.07ppm)と対応するケイ素アルコキシドのメチル基の積分値を見積もり、生成比を求め、以下の式により収率を求めた。
(ケイ素アルコキシドの収率)={(ケイ素アルコキシドのピーク積分値)/(ポリ(ジメチルシロキサン)のピーク積分値)}×100
(1)1H NMR分析サンプル溶液の作成
反応溶液を0.05g計量し、重クロロホルム(CIL社製、0.05%テトラメチルシラン含有)を1ml加えてNMR分析サンプル溶液とした。
(2)定量分析法
上記(1)で調製したサンプル溶液を用いてJEOL社製 EX−270NMR(270MHz)によりNMRスペクトルを取得し、その積分値より、未反応のポリ(ジメチルシロキサン)と得られたケイ素アルコキシド(ジメチルジ−n−ヘキシロキシキシシラン)の比を見積もり、定量分析を実施した。
(3)ケイ素アルコキシドの収率計算法
上記(2)で取得したNMRピークより、ポリ(ジメチルシロキサン)のメチル基(0.07ppm)と対応するケイ素アルコキシドのメチル基の積分値を見積もり、生成比を求め、以下の式により収率を求めた。
(ケイ素アルコキシドの収率)={(ケイ素アルコキシドのピーク積分値)/(ポリ(ジメチルシロキサン)のピーク積分値)}×100
[実施例1:ケイ素アルコキシドと二酸化炭素の反応(触媒:アルキルスズ酸化物)]
内容積70mLのオートクレーブ(SUS製)にジメチルジ−n−ヘキシロキシキシシラン2.6g(10mmol)、及びジ−n−ブチルスズオキシド(和光純薬工業(株)社製)500mg(2.0mmol)、及びトルエン(和光純薬工業(株)社製 脱水グレード)20mlを収め、二酸化炭素を2.5MPaまで導入した。その後、130℃まで昇温したところ、4.0MPaまで内圧が上昇した。その内圧を保ったまま6時間加熱攪拌した後、室温まで放冷し、二酸化炭素をパージした後に約1gをサンプリングし、これをGCで分析したところ、収率0.7%でジヘキシルカーボネートが得られたことを確認した。
内容積70mLのオートクレーブ(SUS製)にジメチルジ−n−ヘキシロキシキシシラン2.6g(10mmol)、及びジ−n−ブチルスズオキシド(和光純薬工業(株)社製)500mg(2.0mmol)、及びトルエン(和光純薬工業(株)社製 脱水グレード)20mlを収め、二酸化炭素を2.5MPaまで導入した。その後、130℃まで昇温したところ、4.0MPaまで内圧が上昇した。その内圧を保ったまま6時間加熱攪拌した後、室温まで放冷し、二酸化炭素をパージした後に約1gをサンプリングし、これをGCで分析したところ、収率0.7%でジヘキシルカーボネートが得られたことを確認した。
[実施例2:ケイ素アルコキシドと二酸化炭素の反応(触媒:テトラブトキシジルコニウム)]
内容積70mLのオートクレーブ(SUS製)にジメチルジヘキシロキシシラン2.6g(10mmol)、及びテトラブトキシジルコニウム−ブタノール溶液(東京化成(株)社製、テトラブトキシジルコニウム濃度15重量%)0.86g(テトラブトキシジルコニウムとして2.0mmol)、及びトルエン20mlを収め、二酸化炭素を2.5MPaまで導入した。その後、130℃まで昇温したところ、4.0MPaまで内圧が上昇した。その内圧を保ったまま6時間加熱攪拌した後、室温まで放冷し、二酸化炭素をパージした後に約1gをサンプリングし、これをGCで分析したところ、収率1.5%でジヘキシルカーボネートが得られたことを確認した。
内容積70mLのオートクレーブ(SUS製)にジメチルジヘキシロキシシラン2.6g(10mmol)、及びテトラブトキシジルコニウム−ブタノール溶液(東京化成(株)社製、テトラブトキシジルコニウム濃度15重量%)0.86g(テトラブトキシジルコニウムとして2.0mmol)、及びトルエン20mlを収め、二酸化炭素を2.5MPaまで導入した。その後、130℃まで昇温したところ、4.0MPaまで内圧が上昇した。その内圧を保ったまま6時間加熱攪拌した後、室温まで放冷し、二酸化炭素をパージした後に約1gをサンプリングし、これをGCで分析したところ、収率1.5%でジヘキシルカーボネートが得られたことを確認した。
[実施例3:ケイ素アルコキシドの再生反応]
Dean−Stark管、ジムロート、三方コック、及び磁気攪拌子を備えた100mlナスフラスコに、ジブチルスズオキシド(和光純薬工業(株)社製)12.4mg(0.05mmol)、ポリ(ジメチルシロキサン)(Aldrich社製、分子量約550)1.4g(2.5mmol)、1−ヘキサノール50ml(ポリ(ジメチルシロキサン)に対し、重量比で29倍)を収め、5時間加熱還流した(反応温度156℃)。反応の進行に伴い、水が生成することを確認した。この反応溶液を0.05g採取し、NMR測定を行ったところ、収率17%でジメチルジヘキシロキシシランが得られたことを確認した。
Dean−Stark管、ジムロート、三方コック、及び磁気攪拌子を備えた100mlナスフラスコに、ジブチルスズオキシド(和光純薬工業(株)社製)12.4mg(0.05mmol)、ポリ(ジメチルシロキサン)(Aldrich社製、分子量約550)1.4g(2.5mmol)、1−ヘキサノール50ml(ポリ(ジメチルシロキサン)に対し、重量比で29倍)を収め、5時間加熱還流した(反応温度156℃)。反応の進行に伴い、水が生成することを確認した。この反応溶液を0.05g採取し、NMR測定を行ったところ、収率17%でジメチルジヘキシロキシシランが得られたことを確認した。
[比較例1:ケイ素アルコキシドと二酸化炭素の反応(触媒なし)]
内容積70mLのオートクレーブ(SUS製)にジメチルジヘキシロキシシラン2.6g(10mmol)、及びトルエン20mlを収め、二酸化炭素を2.5MPaまで導入した。その後、130℃まで昇温したところ、4.0MPaまで内圧が上昇した。その内圧を保ったまま6時間加熱攪拌した後、室温まで放冷し、二酸化炭素をパージした後に約1gをサンプリングし、これをGCで分析したが、対応する有機カーボネートの生成は確認されなかった。
内容積70mLのオートクレーブ(SUS製)にジメチルジヘキシロキシシラン2.6g(10mmol)、及びトルエン20mlを収め、二酸化炭素を2.5MPaまで導入した。その後、130℃まで昇温したところ、4.0MPaまで内圧が上昇した。その内圧を保ったまま6時間加熱攪拌した後、室温まで放冷し、二酸化炭素をパージした後に約1gをサンプリングし、これをGCで分析したが、対応する有機カーボネートの生成は確認されなかった。
Claims (5)
- Lewis酸性を有する金属アルコキシドの中心金属が、スズ、チタン、及びジルコニウムのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の有機カーボネートの製造方法。
- R3及びR4がそれぞれ独立に炭素数4〜12の有機基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機カーボネートの製造方法。
- Lewis酸性を有する金属アルコキシドの量が、用いるケイ素アルコキシドのケイ素量に対しモル比で0.01〜1倍であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の有機カーボネートの製造方法。
- 下記工程(I)〜(III)を含むことを特徴とする有機カーボネートの製造方法。
(I)Lewis酸性を有する金属アルコキシドの存在下、ケイ素アルコキシドと二酸化炭素とを反応させて有機カーボネートを生成させる工程
(II)前記工程(I)で得られた反応生成液から、生成した有機カーボネートを分離して、副生したシロキサン類と金属アルコキシドを含む残液を得る工程
(III)前記工程(II)で得られたシロキサン類と金属アルコキシドを含む残液を、有機ヒドロキシ化合物と反応させてケイ素アルコキシドと金属アルコキシドを含む混合物とし、前記工程(I)に循環させて用いる工程
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JP2008130916A JP2009280502A (ja) | 2008-05-19 | 2008-05-19 | 有機カーボネートの製造方法 |
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JP2013525535A (ja) * | 2010-04-21 | 2013-06-20 | フイルメニツヒ ソシエテ アノニム | バニラ臭を有する有機カルボナート |
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-
2008
- 2008-05-19 JP JP2008130916A patent/JP2009280502A/ja active Pending
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