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JP2005008563A - アルコキシシランの製造法 - Google Patents

アルコキシシランの製造法 Download PDF

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Koichi Ito
広一 伊藤
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Abstract

【課題】各種アルコキシシラン化合物をヒドロキシ化合物とのエステル交換反応で合成するに際し、反応時に生成する低級アルコールを反応系中より極めて効果的に除去し、目的とする反応をスムーズに進行させることができる製造方法を提供する。
【解決手段】原料アルコキシシランをヒドロキシ化合物類と反応させてエステル交換を行うに際し、ガスを反応系中に供給しつつ反応を実施するアルコキシシランの製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は原料アルコキシシランをヒドロキシ基を有する化合物と反応させて、エステル交換を行うことにより、ヒドロキシ化合物より導入されたアルコキシ基を有するアルコキシシランを製造する方法に関するものである。これにより得られるアルコキシシラン類は原料アルコキシシランとは異なったアルコキシ基を有する化合物となる。また一方、アルコキシシラン類は、表面処理剤、撥水剤、シランカップリング剤など各種幅広い用途に利用される工業的に有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
アルコキシシランのエステル交換反応においては、その反応が平衡反応であるため、目的生成物側に平衡を移すことが必要であり、一般的には原料アルコキシシランより生成する低級アルコールを留去しつつ反応させる方法が行われる(例えば、特許文献1、2参照)。また、より効果的に行うために減圧下にて反応を行う方法も実施されている(例えば、特許文献3、4参照)。しかしながら、本願発明者らが検討したところ、これらの技術を用いても生成する低級アルコールを短時間で効果的に反応系中より除去するには未だ不十分であり、とりわけ反応終期においては、系中に存在する少量の低級アルコールをスムーズに除去するのは困難であり、反応を完結させるには多大な時間を要することが判明した。
【特許文献1】
特許3180880号明細書
【特許文献2】
特開2001−139581号明細書
【特許文献3】
特開平4−295486号明細書
【特許文献4】
特許3204987号明細書
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、特定の原料アルコキシシランとヒドロキシ基を有する化合物とのエステル交換反応において、反応時に生成する低級アルコールを反応系中より極めて効果的に除去し、目的とする反応をスムーズに進行させることができる方法の開発であり、すなわちアルコキシシランの工業的製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ガスを反応系中に吹き込みつつ反応を実施することにより、特定の原料アルコキシシランとヒドロキシ基を有する化合物とのエステル交換反応がスムーズに短時間で進行し、新たに導入されたアルコキシ基を有するアルコキシシランが収率良く得られることを発見し本発明を完成するに至った。尚、ここで得られるアルコキシシラン類は原料アルコキシシランとは異なった種類のアルコキシ基を有する化合物である。
【0005】
すなわち本発明は、原料アルコキシシランをヒドロキシ基を有する化合物とエステル交換反応させるに際し、ガスを反応系中に供給し反応を行うことを特徴とするアルコキシシランの製造方法を提供するものである。
【0006】
また本発明は、上記の原料アルコキシシランのアルコキシ基が炭素原子数1〜4であり、かつ上記のヒドロキシ基を有する化合物の炭素原子数が原料アルコキシシランのアルコキシ基の炭素原子数よりも大である上記記載のアルコキシシランの製造方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
アルコキシシランとヒドロキシ化合物とのエステル交換は平衡反応であるため、原料アルコキシシランより生成する低級アルコールの除去が必要であり、本発明においては反応系中よりこの低級アルコールをより効果的に除去するためにガスを供給することが特徴である。
【0008】
エステル交換反応では特に反応終期においては、系中に存在する低級アルコールの量は少なくなり、減圧条件においても留出除去することが必ずしも容易ではないが、本発明の方法を用いることでこの点を大幅に改善することが可能となる。
【0009】
ここで言うガスとは原料および生成物であるアルコキシシラン化合物やヒドロキシ化合物と本エステル交換条件下で反応しないものを指し、具体的には、窒素、炭酸ガス、酸素、ヘリウム、アルゴン、水素などを挙げることができる。またこれらは単独あるいは組み合わせて使用することも可能であり、さらに空気およびこれを含むガス混合物も利用することができる。
【0010】
このガスを反応系中に供給する方法としては、具体的にはガスを吹き込む操作を実施することで実現できる。これは反応液中もしくは反応器内の気相部のどちらに対しても有効であるが、液中に吹き込んだ場合の方がより顕著な効果を得ることができるため好ましい。また供給ガス量については特に制限されるものではないが、通常、常圧条件下では反応液1Lあたりガス供給量0.1〜50L/min、好ましくは0.5〜10L/minであり、また減圧条件下では、これより少ないガス量でも十分効果的である。例えば、圧力が13kPaにおいては反応液1Lあたりガス供給量0.01〜5L/min(常圧下でのガス体積)、好ましくは0.02〜0.5L/min(常圧下でのガス体積)程度が適当である。
【0011】
またアルコキシシランは一般に水と徐々に反応し、加水分解を引き起こしたり更に縮合体を形成したりするため供給するガス中の水分含有量は低く保つことが望ましい。すなわちガス中の水分量は1000ppm以下、好ましくは100ppm以下とすることが望ましく、入手可能であれば水分10ppm以下のガスを利用することが最適である。
【0012】
ガスの供給は反応開始から終了時まで通して実施することが反応時間短縮において最も効果的であるが、生成する低級アルコールの捕集回収率を向上させる場合には反応終期にのみガス供給を行うことも可能である。具体的には、生成した低級アルコールの除去がスムーズに実施しにくくなる時期、すなわち原料アルコキシシランもしくは原料ヒドロキシ化合物の転化率が50%以降においてガス供給を実施することが効果的であり、さらにガス使用量を節約したい場合には転化率70%以降において実施してもよい。
【0013】
またこのようなガス供給を行うことは反応促進のみならず、得られる生成物中の残存低級アルコールの含有量を、より低下させることにおいても効果的であり有用である。
【0014】
本エステル交換反応では反応装置として例えば蒸留塔を有する反応釜を用いることができる。また反応温度は、室温〜200℃の間で実施することができ、好ましくは50〜150℃である。反応圧力は常圧もしくは減圧下にて実施される。ガス供給を行うことにより常圧においても低級アルコールの除去を十分効果的に行うことが出来るが、減圧条件で更に促進することも可能である。
【0015】
反応原料は原料アルコキシシランおよび原料ヒドロキシ化合物、必要に応じて触媒等を初期に一括仕込みする方法(バッチ反応)や原料のうち一方もしくは両者を反応釜内に逐次添加する方法も利用できる。反応終了後、原料ヒドロキシ化合物が過剰に存在している場合には更に蒸留操作によってこれを留去することが出来る。また、生成物が蒸留可能な場合には蒸留操作により留出回収し、純度の高い生成物を得ることも可能である。
【0016】
本エステル交換反応は無溶媒にて実施できるが、溶媒を使用することも可能である。沸点が低い溶媒を用いた場合には溶媒と低級アルコールを同時に留出させることも可能である。
【0017】
また反応系中において水分の含有量は通常少ないほど良い。系中の水はアルコキシシランの加水分解を引き起こしやすく、更に縮合してポリシロキサンの生成に結びつきやすい。従って系中の水は0.1%以下、より好ましくは0.01%以下にすることが望ましい。一方、エステル交換反応を行うと同時に加水分解縮合を行って目的生成物を得る場合にはこの限りではなく、必要量の水を添加して反応を行うことも可能である。
【0018】
本発明における原料アルコキシシランは、好ましいものとしては炭素原子数1〜4個から成るアルコキシ基がケイ素原子に結合したシラン化合物である。すなわち、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基がケイ素原子に直接結合したアルコキシシランである。これらは本発明においてエステル交換反応をスムーズに進行させることができるものである。なかでもメトキシ基、エトキシ基をアルコキシ基とするアルコキシシラン化合物は特に好ましく、工業的にも利用しやすいものである。
【0019】
このような原料アルコキシシラン化合物としては、アルコキシ基を一つもしくは複数有するものが用いられる。すなわちテトラアルコキシシラン化合物、トリアルコキシシラン化合物、ジアルコキシシラン化合物、モノアルコキシシラン化合物が対象となる。また更に炭化水素基が直接ケイ素原子に結合したアルコキシシラン化合物も好ましく利用することができる。この炭化水素基は好ましくは炭素原子数1〜20個のものであり、より好ましくは炭素原子数1〜10個のものである。更に、アミノ基含有アルキル基やメルカプト基含有アルキル基、エポキシ基含有アルキル基、(メタ)アクリロキシプロピル基がケイ素原子に結合したアルコキシシラン化合物も利用可能である。また一方、ケイ素原子を複数個含むアルコキシシラン化合物、即ちアルコキシシランの加水分解縮合物も用いることができる。
【0020】
ここに示した原料アルコキシシラン類の中でも特に好ましいものとしてはテトラアルコキシシランおよびテトラアルコキシシランの加水分解縮合物が挙げられる。
【0021】
これら原料アルコキシシラン化合物について具体例を示すと、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、テトラメトキシシランの加水分解縮合物、テトラエトキシシランの加水分解縮合物、テトラブトキシシランの加水分解縮合物などが挙げられる。
【0022】
これらの中でもより好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシランの加水分解縮合物、テトラエトキシシランの加水分解縮合物を選ぶことができ、最も好ましいものはテトラメトキシシランおよびテトラメトキシシランの加水分解縮合物、テトラエトキシシランの加水分解縮合物である。
【0023】
原料として使用するヒドロキシ基を有する化合物は、有機化合物においてヒドロキシ基を有するものであり、なかでも本反応において好ましいものとしては原料アルコキシシランのアルコキシ基が一種類の場合は、その一種類のアルコキシ基の炭素原子数よりも、炭素原子数が大であるヒドロキシ化合物である。
【0024】
また、原料アルコキシシランにアルコキシ基が複数種存在するときは最も炭素原子数の小さいアルコキシ基よりも炭素原子数が大であるヒドロキシ化合物が好ましい。
【0025】
すなわち、反応時に原料アルコキシシランより生成する低級アルコールよりも高沸点であるヒドロキシ化合物を原料として選択することで、低級アルコールを優先的に系外へ蒸留除去でき、反応完結へと導くことが容易となる。
【0026】
すなわち、炭素原子数2以上のアルコール類およびフェノール類が原料ヒドロキシ化合物として好ましく利用でき、さらに好ましくは炭素原子数3〜50のアルコール類およびフェノール類である。
【0027】
アルコール類としては、アルキルアルコール類、アルキル多価アルコール類、不飽和アルキルアルコール類、ポリアルキレングリコール類、(ポリ)アルキレングリコールモノ置換エーテル類などを挙げることができる。
【0028】
また、フェノール類としては、単環および多環芳香族フェノール類、ヘテロ芳香環フェノール類などが挙げられる。
また、なかでも特に好ましい原料を具体的に示すと、下記一般式(1):
【0029】
【化1】
Figure 2005008563
【0030】
(ただし式中、Rはヒドロキシ基を有していてもよい炭素原子数1〜20個の炭化水素基であり、Aは炭素原子数2〜6個のアルキレン基、またnは0以上40以下の整数である。)で表されるヒドロキシ化合物において、その炭素原子数が原料アルコキシシランのアルコキシ基の炭素原子数よりも、大であるものである。
【0031】
更に一般式(1)で表される化合物は、より好ましくはRが炭素原子数1〜18個の炭化水素基であり、 Aが炭素原子数2または3のアルキレン基、またnが0以上20以下の整数で表されるヒドロキシ化合物ある。
【0032】
これらの原料ヒドロキシ化合物についてその具体例を示すと、例えば対応するアルキルアルコール類の例としてはペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノールなどが挙げられ、対応するアルキル多価アルコール類の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0033】
また対応する不飽和アルキルアルコール類の例としてはアリルアルコール、メタリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オールなどが挙げられ、対応するフェノール類の例としてはフェノール、クレゾール、ナフトール、p−ヒドロキシスチレン、カテコール、ビスフェノールAなどが挙げられる。
【0034】
また一方、対応するポリアルキレングリコール類の例としてはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられ、(ポリ)アルキレングリコールモノ置換エーテル類の例としてはエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどが挙げられる。
【0035】
これらの中でも好ましいものとしては、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、ドデカノール、ヘキサデカノール、フェノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルを選ぶことができ、特に好ましいものはオクタノール、ドデカノール、フェノール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルである。
【0036】
原料アルコキシシランに対する原料ヒドロキシ化合物の使用割合は、原料アルコキシシランのアルコキシ基に対して通常1.0〜3.0モル倍であり、好ましくは1.01〜2.0モル倍である。一方、原料アルコキシシランのアルコキシ基に対して原料ヒドロキシ化合物を1.0モル倍より少なく使用して反応させることも勿論可能であり、この場合には原料アルコキシシランのアルコキシ基の一部を置換した生成物が得られる。エステル交換反応は、平衡反応であるため原料のヒドロキシ化合物を過剰に用いて反応することで反応完結はより容易となり、反応終了後にその過剰分は減圧留去し回収することもできる。
【0037】
原料アルコキシシランおよび原料ヒドロキシ化合物は、各々単一の化合物の他、複数の化合物よりなる混合物であってもよい。すなわち、各原料は高度に精製されたもののみならず粗製品も利用することができ、また種類の異なる化合物の混合体を原料として反応させることも可能である。
【0038】
本エステル交換反応においては各種触媒を用いてもよい。通常、酸性もしくは塩基性のものが用いられるが、特に中性付近の反応条件を選ぶ場合にはチタンアルコキシドなどの触媒を利用することも可能である。
【0039】
酸性触媒としては、鉱酸、ヘテロポリ酸、有機スルホン酸、無機固体酸、酸性イオン交換樹脂などが利用できるが、好ましいものは均一系反応としては、有機スルホン酸、また不均一系反応では酸性イオン交換樹脂が挙げられる。
【0040】
塩基性触媒としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類酸化物、四級アンモニウム塩化合物、四級ホスホニウム塩化合物、塩基性イオン交換樹脂などが利用できるが、好ましいものは均一系反応としては、アルカリ金属アルコキシド、また不均一系反応では塩基性イオン交換樹脂が挙げられる。
【0041】
本発明における触媒の使用量は通常、原料アルコキシシラン化合物100重量部に対して0.05〜50重量部であり、好ましくは0.1〜10重量部である。またこれらの触媒は1種類のみならず2種類以上を組み合わせて利用することも可能である。
【0042】
一般に後処理において、均一系触媒では反応後に中和したり吸着除去したりして処理されるが、不均一系触媒ではデカンテーション、もしくは濾過操作によって触媒を除去回収できる。
【0043】
本エステル交換反応において溶媒を用いる場合、原料アルコキシシランや原料ヒドロキシ化合物と反応しない溶媒であれば、いずれも使用可能である。溶媒の具体例としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカリン、テトラリン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の炭化水素系溶媒、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、アニソール等のエーテル系溶媒、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、クロロベンゼンの含ハロゲン系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、更にアセトニトリル、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。また、これらの溶媒は単独で使用しても良く、あるいは2種以上を混合して使用しても良い。
【0044】
本発明の方法により得られるアルコキシシラン類は、そのアルコキシ基の炭素鎖が長いものでは熱可塑性樹脂やゴムの可塑剤として、またアルコキシ基が親水性のものでは水溶性が向上したアルコキシシランとして利用でき、幅広い応用が可能である。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明の範囲がこれらに限定されるものではない。
【0046】
実施例1
200mlフラスコに攪拌機、温度計、冷却管を取り付け、蒸留可能な装置を用意した。フラスコ内にテトラメトキシシラン30g(0.2モル)、1−デカノール127g(0.8モル)、および触媒としてナトリウムメトキシド0.3g(原料アルコキシシランに対して1重量%)を仕込み、100℃に昇温した。反応を100℃にて30分、さらに内温を140℃まで昇温して1時間30分行い、この間生成するメタノールを留去しつつ常圧にて実施した。また、メタノール留去を促進するため反応後半の1時間は窒素ガスを反応液中に80mL/min流量にて吹き込む操作を行った。
【0047】
反応終了後に冷却したのち、反応液をガスクロマトグラフ(GC)分析したところ、原料アルコキシシランに1−デカノール由来のアルコキシ基が1個、2個、3個、および4個導入されたアルコキシシラン化合物が0:0:4:96(GC面積比)で確認された。1−デカノールの転化率は96%であり、目的生成物(合計)の選択率は99%であった。また、残存メタノールについても全く検出されなかった。尚、GC分析は、島津GC−15A装置にGLサイエンス社製キャピラリーカラムTC−1(30m)を取り付けたものを使用し、カラム温度50→300℃昇温の条件にて行った。
【0048】
実施例2
触媒として三菱化学社製のダイヤイオンTSA1200を、ナトリウムメトキシドの10%メタノール溶液中で1時間撹拌した後、メタノールにて洗浄したもの(以下、触媒Aと表記する)を準備した。実施例1と同様の装置に、テトラメトキシシラン30g(0.2モル)、ジエチレングリコールモノビニルエーテル106g(0.8モル)、触媒A1.5g(原料アルコキシシランに対して5重量%)を仕込み、100℃に昇温した。常圧下、反応を100℃にて30分行った後、徐々に13kPaまで減圧すると共に、窒素ガスを反応液中に3mL/min(常圧下でのガス体積)流量にて吹き込みつつ同温度にて2時間反応を行った。
【0049】
その後、反応液を冷却しGC分析したところ、原料アルコキシシランにジエチレングリコールモノビニルエーテル由来のアルコキシ基が1個、2個、3個、および4個導入されたアルコキシシラン化合物が0:0:7:93(GC面積比)で確認された。ジエチレングリコールモノビニルエーテルの転化率は92%であり、目的生成物(合計)の選択率は97%であった。また、残存メタノールについても全く検出されなかった。
【0050】
比較例1
実施例1の反応において、窒素ガス吹き込みを行わなかった以外は実施例1と同様の操作にて反応を実施しGC分析を行った。その結果、原料アルコキシシランに1−デカノール由来のアルコキシ基が1個、2個、3個、および4個導入されたアルコキシシラン生成物が1:7:34:58(GC面積比)で確認された。1−デカノールの転化率は75%と低い値であり、またメタノールが0.5重量%含まれていることが確認された。
【0051】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、各種アルコキシシラン化合物をヒドロキシ化合物とのエステル交換反応で合成するに際し、生成する低級アルコールをスムーズに系外へ除去することができ、反応終期においても本作用により目的生成物側に有利に平衡反応を進めることができる。その結果、反応条件が常圧、減圧に拘わらず短時間の反応で目的とするアルコキシシラン化合物を高収率で得ることが可能となる。また更に、得られる生成物中の低級アルコール含有量もより低くすることができる。

Claims (2)

  1. 原料アルコキシシランをヒドロキシ基を有する化合物とエステル交換反応させるに際し、ガスを反応系中に供給し反応を行うことを特徴とするアルコキシシランの製造方法。
  2. 前記原料アルコキシシランのアルコキシ基が炭素原子数1〜4であり、かつ前記ヒドロキシ基を有する化合物の炭素原子数が原料アルコキシシランのアルコキシ基の炭素原子数よりも大である請求項1に記載のアルコキシシランの製造方法。
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