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JP2009242366A - 持続性解熱鎮痛消炎剤 - Google Patents

持続性解熱鎮痛消炎剤 Download PDF

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JP2009242366A JP2008094344A JP2008094344A JP2009242366A JP 2009242366 A JP2009242366 A JP 2009242366A JP 2008094344 A JP2008094344 A JP 2008094344A JP 2008094344 A JP2008094344 A JP 2008094344A JP 2009242366 A JP2009242366 A JP 2009242366A
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Abstract

【課題】長期にわかって疼痛が持続することを特徴とする慢性疼痛を予防または治療するために有効に用いられる経口投与用の医薬組成物を提供する。
【解決手段】(a)非ステロイド性消炎鎮痛剤に(b)抗プラスミン剤を併用するか、または(a)非ステロイド性消炎鎮痛剤に(b)抗プラスミン剤と(c)制酸剤を併用する。
【選択図】なし

Description

本発明は経口医薬組成物、具体的には解熱鎮痛消炎剤に関する。より詳細には、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬を有効成分とする経口医薬組成物であって、当該消炎鎮痛薬の解熱鎮痛効果が長期に持続することを特徴とする、持続性の解熱鎮痛消炎剤に関する。さらに本発明は、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の胃粘膜障害性が軽減されてなる解熱鎮痛消炎剤に関する。
イブプロフェンなどのフェニルプロピオン酸系の解熱鎮痛消炎剤は、優れた鎮痛および消炎作用を有するため、炎症性疾患やそれに伴う疼痛や発熱に対する薬物(解熱鎮痛薬)として広く用いられている。特にイブプロフェンは、公知の解熱鎮痛消炎剤のなかでもとりわけ末梢での消炎作用が高いことから、炎症を伴う関節痛の治療薬として好適に使用されている。しかし、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬は、胃粘膜の損傷を引き起こし易く消化性潰瘍や胃腸出血などの副作用を発生しやすいことから、使用量を減らす目的でフェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬自体の作用効果を増強するための工夫や、その胃腸障害自体を軽減するための工夫が種々試みられている(例えば、特許文献1〜10等参照)。
特公昭64−8602号公報 特公平1−24131号公報 特開平5−148139号公報 特開平9−48728号公報 特開平7−188004号公報 特開平10−259130号公報 特開平11−12187号公報 特開平11−158066号公報 特開2006−1920号公報 特開2004−59579号公報
本発明は、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の作用効果に持続性を付与することで、少ない服用回数でより高い解熱鎮痛消炎効果を発揮する経口医薬組成物(持続型解熱鎮痛消炎剤)を提供することを目的とする。また本発明は、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬について、その作用を長期間持続させるための方法を提供することを目的とする。
さらに本発明は、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の胃粘膜障害を軽減することで、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬を有効成分としながらも、胃粘膜障害といった副作用が少なく安全性の高い経口医薬組成物を提供することを目的とする。
前述するように、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬は、胃粘膜障害を発生しやすいことから、その副作用を軽減するための工夫が従来から種々試みられている。本発明者らもかかる問題を解決すべく鋭意検討していたところ、当該フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬にトラネキサム酸を併用すると、消炎鎮痛作用が長期にわたって持続するようになり、これによってフェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の服用回数を減らすことができることで胃粘膜障害などの副作用の発生機会を低減でき、かつ従来の消炎鎮痛薬に比べて、消炎鎮痛効果の点でとくに優れることを確認した。さらに、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬とトラネキサム酸を含有する組成物に、乾燥水酸化アルミニウムゲル等の制酸剤を併用することで、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬による胃粘膜障害そのものも顕著に軽減することを見出した。
すなわち、本発明者らは、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬にトラネキサム酸を併用してなる経口医薬組成物は、少ない服用回数で有効な解熱鎮痛消炎作用を発揮し、しかもこれにさらに制酸剤を併用した経口医薬組成物は、服用時の胃粘膜障害が軽減され、安全性の高い解熱鎮痛消炎剤として有用であることを確認した。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、下記の態様を有する。
(I)経口医薬組成物
(I-1)(a)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬、および(b)トラネキサム酸を含有する経口医薬組成物であって、投与間隔が少なくとも5時間であることを特徴とする経口医薬組成物。
(I-2)服用回数が1日2回以下であることを特徴とする、(I-1)に記載する経口医薬組成物。
(I-3)(a)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬がイブプロフェンである(I-1)または(I-2)に記載する経口医薬組成物。
(I-4)さらに(c)制酸剤を含有する(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載する経口医薬組成物。
(II)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の作用効果の持続方法
(II-1)(a)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬に、(b)トラネキサム酸を併用することを特徴とする、当該フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の作用効果を持続させる方法。
(II-2)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬がイブプロフェンである(II-1)に記載する方法。
本発明の経口医薬組成物によれば、(a)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬に、(b)トラネキサム酸を併用することによって、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の作用効果が持続するようになるため、服用回数を低減することができ、その結果、胃粘膜障害という副作用の発生機会を低減することができる。また、投与間隔を少なくとも5時間とし、服用回数を低減することによって、従来の消炎鎮痛薬に比べて優れた消炎鎮痛効果を発揮することができる。すなわち、本発明の経口医薬組成物は、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の作用が長期にわたって持続する持続型解熱鎮痛炎症剤であって、胃粘膜障害という副作用の発生機会が低減され、かつ消炎鎮痛効果のより高い経口医薬組成物として有用である。
また本発明の経口医薬組成物は、(a)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬および(b)トラネキサム酸に加えて、さらに(c)制酸剤を併用することによって、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の問題である胃粘膜障害という副作用そのものを軽減することができる。
I.経口医薬組成物
本発明の経口医薬組成物は、(a)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬(以下、これを「(a)成分」ともいう)に加えて、(b)トラネキサム酸(以下、これを「(b)成分」ともいう)を含有することを特徴とする。
(a)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬
本発明においてフェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬((a)成分)とは、フェニルプロピオン酸骨格を有する消炎作用、鎮痛作用または/および解熱作用を有する薬物を意味し、例えばアルミノプロフェン、イブプロフェン、オキサプロジン、ザルトプロフェン、チアプロフェン酸、ナブメトン、ナプロキセン、フェノプロフェン(カルシウム塩)、プラノプロフェン、フルルビプロフェンまたはロキソプロフェン(ナトリウム塩)を挙げることができる。好ましくは、フルルビプロフェン、イブプロフェン、プラノプロフェンであり、より好ましくはイブプロフェン〔化学名:2-(4-イソブチルフェニル)プロピオン酸〕である。これらは一種単独、または二種以上を任意に組み合わせて使用することができる。例えば、二種以上の組み合わせとしては、好ましくはイブプロフェンと他の(a)成分との組み合わせを挙げることができる。
これらの成分は、水和物または溶媒和物として配合されていてもよく、例えばロキソプロフェンは、ロキソプロフェンナトリウム・2水和物として用いることができる。
本発明の経口医薬組成物中に含まれる(a)成分の割合としては、制限はされないが、成人(体重60kg基準。以下、同じ。)一日投与あたりの経口医薬組成物に含まれる(a)成分の量として、100〜1200mg、好ましくは100〜1000mg、より好ましくは100〜600mg、さらに好ましくは150〜600mgを挙げることができる。
この範囲となるように、経口医薬組成物100重量%中の(a)成分の含有割合は、2〜92重量%、好ましくは5〜50重量%の範囲から適宜調整することができる。
(b)トラネキサム酸
トラネキサム酸〔4-(aminomethyl)cyclohexane-1-carboxylic acid〕〔(b)成分〕は、従来より止血作用、抗炎症作用および抗アレルギー作用が知られているアミノ酸の一種である。
本発明の経口医薬組成物中に含まれる(b)成分の割合としては、特に制限されないが、成人に対する一日投与あたりの経口医薬組成物に含まれる(b)成分の量として、50〜1000mg、好ましくは50〜800mg、より好ましくは100〜800mgを挙げることができる。
フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬〔(a)成分〕の解熱鎮痛消炎効果を持続性させるために好適に用いられる(b)成分の割合として、(a)成分100重量部に対して4〜1000重量部、好ましくは8〜800重量部、より好ましくは17〜533重量部を挙げることができる。
経口医薬組成物100重量%中の(b)成分の含有割合は、成人一日あたりの投与量が上記範囲となるように、また(a)成分に対する割合が上記範囲となるように、0.5〜80重量%、好ましくは5〜50重量%の範囲から適宜調整することができる。
本発明の経口医薬組成物は、上記(a)成分と(b)成分に加えて、さらに(c)制酸剤(以下、これを「(c)成分」ともいう)を配合することもでき、(a)成分、(b)成分および(c)成分の全てを配合する医薬組成物とすることで、はじめて(a)成分による胃粘膜障害そのものを軽減することができる。
(c)制酸剤
本発明において制酸剤((c)成分)とは、出過ぎた胃酸を中和することで胃内のpHを調整し、胃粘膜への刺激を抑える作用を有するものである。
かかる制酸剤としては、例えば、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム・炭酸カルシウム共沈生成物(沈降炭酸カルシウム)、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、烏賊骨、石決明、ボレイ等の無機系の制酸剤;アミノ酢酸、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート等のアミノ酸系の制酸剤;ならびにロートエキス等が挙げられる。好ましくは乾燥水酸化アルミニウムゲルである。なお、これらは一種単独、または二種以上を任意に組み合わせて使用することができる。例えば二種以上の組み合わせとしては、好ましくは乾燥水酸化アルミニウムゲルと他の(c)成分との組み合わせを挙げることができる。
なお乾燥水酸化アルミニウムゲルは、従来より制酸剤や消化器官用薬として汎用されている医薬品である。主に散剤(粉末)および細粒の2つの形態があるが、特に制限されることなくいずれの形態のものも使用することができる。
本発明の経口医薬組成物中に含まれる(c)成分の割合としては、特に制限されないが、成人に対する一日投与あたりの経口医薬組成物に含まれる(c)成分の量として、65〜1200mg、好ましくは65〜1000mg、より好ましくは100〜1000mgを挙げることができる。
(a)成分の胃粘膜障害を軽減するために用いられる、(b)成分および(c)成分の好適な割合として、(a)成分100重量部に対して、(b)成分については4〜1000重量部、好ましくは8〜800重量部、より好ましくは17〜533重量部の範囲;また(c)成分については5〜1200重量部、好ましくは10〜1000重量部、より好ましくは16〜667重量部の範囲を挙げることができる。
経口医薬組成物100重量%中の(c)成分の含有割合は、成人1日あたりの投与量が上記範囲となるように、または(a)成分に対する割合が上記範囲となるように、1〜90重量%、好ましくは5〜50重量%の範囲から適宜調整することができる。
前述するように、本発明の経口医薬組成物は、(a)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬に加えて(b)トラネキサム酸を含有するもの、またはこれら(a)成分と(b)成分に加えて、(c)制酸剤を含有するものであればよいが、本発明の持続性効果に悪影響を与えるものでなければ、上記以外にも、例えば消炎、鎮痛または解熱の用途で用いられる薬効成分、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の胃粘膜障害を低減させる薬効成分など、他の薬効成分を配合することを特に制限するものではない。
より具体的には、ビタミン類(ビタミンA,D,E,K,Uなどの脂溶性ビタミン類;ビタミンB,C,Pなどの水溶性ビタミン類);解熱・鎮痛・消炎薬(スルピリンなどのピリン系解熱鎮痛薬;サリチル酸ナトリウム、アスピリン、エテンザミド、サリチルアミド、サザピリンなどのサリチル酸系薬剤、アセトアミノフェンなどのアニリン系薬剤、フルフェナム酸、メフェナム酸などのフェナム酸系薬剤、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシンなどのアリール酢酸系薬剤、フェニルブタゾン、オキシフェニルブタゾンなどのピラゾリジン系薬剤、ブコロームなどのピリミジン系薬剤、ピロキシカムなどのオキシカム系薬剤、イソプロピルアンチピリンなど);抗ヒスタミン薬(フマル酸クレマスチン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンなど);鎮咳薬(例えば、リン酸コディン、リン酸ジヒドロコディン、クロペラスチン、デキストロメトルファン、ベンゾナテートなど);去痰薬(例えば、塩酸ブロムヘキシン);塩酸L−システイン、塩酸L−メチルシステイン、アセチルシステインなどの粘膜溶解液;カルボシステインなどの粘液修復薬;塩化リゾチームなどの消炎酵素剤;グリチルリチン酸などの抗炎症剤;アリルイソプロピルアセチル尿素などの催眠鎮静剤;塩酸アンブロキソールなどの粘液潤滑薬;塩酸テルビナフィンなどの抗真菌剤;気管支拡張薬又は喘息治療薬(例えばシュードエフェドリン、塩酸エフェドリン、塩酸メチルエフェドリン、塩酸テルブタリン、イソプロテレノール、サルブタモール、テルブタリンなどのβ2−アドレナリン受容体刺激薬、テオフィリン、アミノフィリン、プロキシフィリンなどのキサンチン系薬剤、クロモグリク酸など);制酸剤;アミノ酸類;生薬などが例示できる。これらの薬効成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明の経口医薬組成物の剤型は、経口投与形態を有するものであれば特に制限されない。例えば、散剤、錠剤、顆粒剤、丸剤、カプセル剤(軟カプセル剤、硬カプセル剤)、トローチ、チュアブル錠およびドライシロップ剤などが挙げられる。また、薬効成分の放出性を制御した製剤形態を有するものであってもよい(例えば、速放性製剤、徐放性製剤など)。かかる剤型を有する製剤は、当業界の慣用法に従って調製することができる。
本発明の経口医薬組成物は、上記の経口投与形態に製剤化するため、またその安定化のために、薬学上経口投与に許容される各種の担体並びに添加剤を配合することもできる(例えば、局方または「医薬品添加物事典」(薬事日報社発行)などが参照できる。)。
経口投与剤用の担体または添加剤としては、コハク化ゼラチン、ゼラチン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、炭酸カルシウム、カルメロースナトリウムなどの基剤;グリセリン脂肪酸エステル、大豆レシチン、メチルセルロース、モノステアリン酸グリセリンなどの乳化剤;乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビトール、トウモロコシデンプン、部分α化デンプン、結晶セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、タルクなどの賦形剤;デンプン、α−デンプン、寒天、ゼラチン、アラビアガム、デキストリン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、結晶セルロースなどの結合剤;炭酸カルシウム、クロスポピドン、デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、無水ケイ酸などの滑沢剤;ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、及びプルロニックなどの懸濁化剤;白糖、タルク、沈降炭酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、カルナウバロウ、ヒドロキシプロピルメチルフタレートなどのコーティング剤;白糖、ブドウ糖、サッカリンナトリウム、ソルビトール、クエン酸、及びアスパルテームなどの矯味剤;濃グリセリン、トリアセチン、D-ソルビトールなどの可塑剤;パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クエン酸水和物などの保存剤;酸化チタン、薬用炭、銅クロロフィリンナトリウムなどの着色剤等を挙げることができる。また上記成分の他、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、通常医薬品の添加物として許容される安定剤、乳化剤、分散剤、流動化剤、緩衝剤、湿潤剤、界面活性剤、粘稠剤、防腐剤、pH調整剤、着色剤、溶剤、溶解補助剤などの任意成分を所望に応じて添加することもできる。
本発明の経口医薬組成物は、前述する固体または液体の経口製剤(内服製剤)として調製され、投与することができる。本発明の経口医薬組成物の投与量は、患者の年齢、性別、治療すべき症状の程度、及び投与方法により左右されるが、中に含まれている(a)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の成人に対する1日あたりの投与量が100〜1200mg、好ましくは100〜600mg、より好ましくは150〜600mg;(b)トラネキサム酸の成人に対する1日あたりの投与量が50〜1000mg、好ましくは50〜800mg、より好ましくは100〜800mgの範囲になる量を挙げることができる。また、本発明の経口医薬組成物が(c)制酸剤を含む場合は、(a)成分と(b)成分が上記範囲になることに加えて、(c)制酸剤の成人に対する1日あたりの投与量が65〜1200mg、好ましくは65〜1000mg、より好ましくは100〜1000mgの範囲になる量であることが望ましい。
本発明の経口医薬組成物は、(a)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬と(b)トラネキサム酸を併用することで、上記(a)成分の解熱鎮痛消炎効果をより高く、かつ持続させることを特徴とするものであり、この効果感および持続性ゆえ、投与間隔、例えば初回投与から次回投与までの間隔、または次回投与から次々回投与までの間隔を、少なくとも5時間とすることができる。好ましい投与間隔としては6時間、より好ましい投与間隔としては7時間を挙げることができる。
本発明の経口医薬組成物、特にフェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬としてイブプロフェンを含有する経口医薬組成物は、関節炎、腱鞘炎、または炎症を伴う関節痛、腰痛、頭痛、月経痛(生理痛)、歯痛、抜歯後の疼痛、打撲痛、ねんざ痛、骨折痛、外傷痛、咽喉痛、耳痛、神経痛、筋肉痛若しくは肩こりなどの末梢における炎症の改善(消炎)や鎮痛を目的として好適に使用することができる。
II.フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の解熱鎮痛消炎効果を持続させる方法
本発明の方法は、(a)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬に、前述する(b)トラネキサム酸を組み合わせて使用することによって実施することができる。
対象とする(a)成分としては、前記(I)に記載する薬物を挙げることができる。好ましくは、イブプロフェンおよびプラノプロフェンであり、より好ましくはイブプロフェンである。
当該(a)成分と組み合わせて用いられる(b)成分の割合としては、(a)成分の解毒鎮痛消炎作用に悪影響を与えることなく、その作用を持続させることができる範囲であれば、特に制限されない。例えば(a)成分100重量部に対する(b)成分の使用割合として、通常4〜1000重量部の範囲から適宜選択することができる。好ましくは8〜800重量部、より好ましくは17〜533重量部の範囲である。
本発明の方法によれば、(a)成分に、前述する(b)成分を組み合わせて使用することにより、(a)成分の作用効果(解熱鎮痛消炎作用)の持続性を向上させることができる。また解熱鎮痛消炎作用が持続することで投与回数を低減が可能となり、その結果、投与によって生じる胃粘膜障害などの副作用の発生機会を低減することができる。よって本発明の方法は、持続型の解熱鎮痛消炎剤を提供するとともに、胃腸障害の軽減された安全性の高い解熱鎮痛消炎剤を提供するために有効に利用することができる。
以下、実験例および実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
実験例1
本発明の医薬組成物における消炎鎮痛効果の持続性を評価するために、抗炎症作用を指標として以下の実験を行った。なお、(a)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬としてイブプロフェンを、また(c)制酸剤として乾燥水酸化アルミニウムゲルを用いた。
<試験試料の調製>
各試験試料(実施例1〜2、比較例1〜4)の組成を表1に示す。各試験試料は、各成分を1%アラビアゴム水溶液に懸濁して、その5mL中に含まれる各成分の量が表1に示すmg数になるように調製した。すなわち、表1は、試験試料をラット体重1kgあたり5mL投与したときの各成分のmg数を示す。
Figure 2009242366
<実験方法>
(1)体重120g前後のWistar系ラット(6週齢)(日本エスエルシー株式会社)42匹(6群×7匹)を、20〜25℃、12時間明条件−122時間暗条件、自由飲水、自由摂取の条件下で1週間馴化させた後、15時間絶食させた。
(2)その後、表1に記載する各試験試料(実施例1〜2、比較例1〜4)を体重1kgあたり5mLの割合で経口投与した。
(3)経口投与から60分後に、足体積(注射直前の足体積)を測定するとともに、炎症惹起物質(カラゲニン)を当該足の裏の膨らみ部分に注射した。
(4)注射から1.5、3および5時間後に足体積を測定した(注射後の足体積)。
炎症惹起物質(カラゲニン)の注射前、および注射後の各時点(1.5、3および5時間後)に測定した足容積から、下式に従って浮腫率を算出した。
Figure 2009242366
なお、コントロールとして、試験試料を投与しないラット群(7匹)(無処置群)に対しても上記(3)〜(4)の実験を行い、浮腫率(%)を算出した。
<実験結果>
各被験動物〔試験試料(実施例1〜2または比較例1〜4)投与群、および無処理群〕について、炎症惹起物質(カラゲニン)注射後5時間にわたって経時的に浮腫率(%)を算出した結果を、図1に示す。
図1から、イブプロフェン〔(a)成分〕にトラネキサム酸〔(b)成分〕を併用することによって(実施例1)、また、(a)成分にトラネキサム酸〔(b)成分〕と乾燥水酸化アルミニウムゲル〔(c)成分〕を併用することによって(実施例2)、浮腫(浮腫率の上昇)が抑制される時間が延長されること、すなわち浮腫を長期にわたって抑制することができることがわかる。
通常、イブプロフェンの血中最高濃度到達期は服用後1時間、生物学的半減期は2時間であり、トラネキサム酸の血中最高濃度到達期は服用後2時間、生物学的半減期は3時間である。つまり、これらの薬効は服用後1〜2時間で最大に達し、2〜3時間で半減し、その後暫時低減する。この予想に反して、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬(イブプロフェン)に少なくともトラネキサム酸を併用すると、図1に示すように、3時間を超え、少なくとも5時間にわたって薬効が維持された。
このことから、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬にトラネキサム酸を併用することによって、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の消炎鎮痛効果が持続的に維持されることがわかる(持続性の付与)。このことから、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬とトラネキサム酸とを組み合わせて含有するか、これにさらに制酸剤を含有する本発明の医薬組成物は、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の作用効果、すなわち解熱鎮痛消炎効果が長期に持続することを特徴とする、持続型解熱鎮痛消炎剤として有効であると考えられる。
実験例2
トラネキサム酸と制酸剤の併用によるフェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の胃粘膜障害軽減効果を評価した。なお、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬としてイブプロフェンを、また制酸剤として乾燥水酸化アルミニウムゲルを用いた。
<試験試料の調製>
各試験試料(実施例2〜14、比較例3〜8)の組成を表2に示す。各試験試料は、各成分を1%アラビアゴム水溶液に懸濁して、その5mL中に含まれる各成分の量が表2に示すmg数になるように調製した。すなわち、表2は、試験試料をラット体重1kgあたり5mL投与したときの各成分のmg数を示す。
<実験方法>
(1)体重140−170gのDonryu系ラット(6週齢)(日本エスエルシー株式会社)63匹(9群×7匹)を、20〜25℃、12時間明条件−12時間暗条件、自由飲水、自由摂取の条件下で、1週間馴化させた後、18時間絶食させる。
(2)その後4時間おきに計3回、表2に記載する各試験試料(実施例2〜8、比較例1、3)を体重1kgあたり5mLの割合で経口投与する。
(3)最終投与から4時間後に、死亡したラット数を計測するとともに、生存するラットについてはエーテルで安楽死させて、胃を摘出する。
(4)摘出した胃を切開し、撮影して、ノギスを用いて内部潰瘍形成部の長径(潰瘍長径)を測定する。
<実験結果>
各ラット群(実施例2〜14、比較例3〜8)について測定した死亡率と潰瘍長径を表2に合わせて示す。
Figure 2009242366
この結果から、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬(イブプロフェン)単独投与によって胃粘膜障害が生じることが分かる(比較例3)。また、このイブプロフェンに制酸剤(乾燥水酸化アルミニウムゲル)を併用しても、上記胃粘膜障害に対する保護効果に欠けることが分かる(比較例4〜8)。
これに対して、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬(イブプロフェン)にトラネキサム酸と制酸剤(乾燥水酸化アルミニウムゲル)の両方を組み合わせると、制酸剤の併用だけでは改善がみられなかったフェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の胃粘膜障害(潰瘍)が、顕著に軽減し改善することが判明した(実施例2〜14)。また、実施例1の組成からなる試験試料を用いた場合、胃粘膜障害に対する保護効果は比較例3と同様であった。
これらのことから、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬として分類されるイブプロフェンに、トラネキサム酸と制酸剤、特に乾燥水酸化アルミニウムゲルを組み合わせることにより、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬が有する胃粘膜障害といった副作用の発生が防止できることが明らかとなった。
実験例3
表3に記載する処方に従ってフェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬とトラネキサム酸とを組み合わせて解熱鎮痛消炎剤を調製し、これを1日2回10時と17時に投与した場合と、1日3回9時と13時30分と18時に投与した場合とで、解熱鎮痛消炎効果を比較した。表3は各成分の1回投与量(mg)を示す。
Figure 2009242366
具体的には、既存の解熱鎮痛剤(1日3回服用)を1週間に3日以上使用する者で、頭痛、生理痛、腰痛、関節痛などの慢性症状を有する男女7名を対象として、下記の実験を行った。
(1)2日間にわたって被験製剤を1日2回(10時と17時)服用する(1日2回服用)。
(2)上記の服用終了2週間後から、2日間にわたって被験製剤を1日3回(9時と13時30分と18時)服用する(1日3回服用)。
(3)上記(1)1日2回服用と(2)1日3回服用の場合で、被験者に解熱鎮痛消炎効果(3段階)および胃への刺激性(3段階)を下記の基準に従って評価させた。
(解熱鎮痛炎症効果)
A:1日2回服用のほうが1日3回服用よりもよい
B:同等
C:1日3回服用のほうが1日2回服用よりもよい
(胃への刺激性)
A:1日2回服用のほうが1日3回服用よりも刺激性がなかった
B:同等
C:1日3回服用のほうが1日2回服用よりも刺激性がなかった
その結果、「1日2回服用のほうが1日3回服用よりもよい」と評価したヒトの割合は42%、「同等」と評価したヒトの割合は42%、および「1日3回服用のほうが1日2回服用よりもよい」と評価したヒトの割合は28%であり、このことから、1日2回服用のほうが1日3回服用よりも解熱鎮痛消炎効果が高いと判断された。また、「1日2回服用のほうが1日3回服用よりも刺激性がなかった」と評価したヒトの割合は71%、「同等」と評価したヒトの割合は14%、および「1日3回服用のほうが1日2回服用よりも刺激性がなかった」と評価したヒトの割合は14%であり、このことから、1日2回服用のほうが1日3回服用よりも胃への刺激性が低いと判断された。
処方例1〜32:軟カプセル剤
表4および5に記載の処方例に従い、軟カプセル剤を調製した(処方例1〜32)。具体的には中鎖脂肪酸トリグリセリドに、グリセリン脂肪酸エステルを溶解・混合した後、有効成分を均一に懸濁させた内容物を、ゼラチンに適切な可塑剤、保存剤、着色剤を加えて、製したカプセル剤皮に充てんし、軟カプセル剤を得た。
Figure 2009242366
Figure 2009242366
処方例33:顆粒剤
表6の処方例33に従って顆粒剤を調製した。具体的には、表6の処方例33に示す全成分を押し出し造粒法により造粒し、乾燥後整粒して顆粒剤を得た。
処方例34:錠剤
表6の処方例34に従って錠剤を調製した。具体的には、表6の処方例34に示す全成分を回転式の打錠機で打錠し錠剤を得た。
処方例35:硬カプセル剤
表6の処方例35に従って硬カプセル剤を調製した。具体的には、表6の処方例35に示す全成分を常法により硬カプセル剤を得た。
Figure 2009242366
実験例1において、試験組成物投与群(実施例1〜2、比較例1〜4)および無処置群について、カラゲニン接種後の経時的な浮腫率(%)を対比したグラフを示す。

Claims (6)

  1. (a)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬、および(b)トラネキサム酸を含有する経口医薬組成物であって、投与間隔が少なくとも5時間であることを特徴とする経口医薬組成物。
  2. 服用回数が1日2回以下であることを特徴とする、請求項1に記載する経口医薬組成物。
  3. (a)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬がイブプロフェンである請求項1または2に記載する経口医薬組成物。
  4. さらに(c)制酸剤を含有する請求項1乃至3のいずれかに記載する経口医薬組成物。
  5. (a)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬に、(b)トラネキサム酸を併用することを特徴とする、当該フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の作用効果を持続させる方法。
  6. フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬がイブプロフェンである請求項5に記載する方法。
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