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JP2011225529A - ロキソプロフェン含有の医薬組成物 - Google Patents

ロキソプロフェン含有の医薬組成物 Download PDF

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JP2011225529A JP2011041622A JP2011041622A JP2011225529A JP 2011225529 A JP2011225529 A JP 2011225529A JP 2011041622 A JP2011041622 A JP 2011041622A JP 2011041622 A JP2011041622 A JP 2011041622A JP 2011225529 A JP2011225529 A JP 2011225529A
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Abstract

【課題】ロキソプロフェンに起因する消化管障害が軽減又は抑制された医薬組成物の提供。
【解決手段】下記成分(A)、(B)及び(C)を含有する医薬組成物。
(A)ロキソプロフェン又はその塩
(B)トラネキサム酸又はその塩
(C)エフェドリン類、デキストロメトルファン又はその塩、チペピジン又はその塩、コデイン類、クロルフェニラミン又はその塩、クレマスチン又はその塩、ブロムヘキシン又はその塩、アンブロキソール又はその塩、キサンチン誘導体及びグアイフェネシンからなる群より選ばれる1種又は2種以上
【選択図】なし

Description

本発明は、ロキソプロフェン又はその塩及びトラネキサム酸又はその塩を含有する医薬組成物に関する。
ロキソプロフェンは、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)の一種であり、関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛、急性上気道炎や、手術後・外傷後・抜歯後等の消炎・鎮痛・解熱に有効なものとして知られている(非特許文献1)。
ロキソプロフェンは、ケトプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン等の他のNSAIDに比べ、副作用としての消化管障害(胃粘膜刺激、小腸での潰瘍形成等)が生じにくいとされている。しかしながら、実際にロキソプロフェンに消化管障害のおそれが全くないわけではなく、ロキソプロフェンに起因する消化管障害を軽減させる方策が検討されている。例えば、ロキソプロフェンと、胃・胃粘膜保護作用を有する生薬(特許文献1)、プロトンポンプ阻害剤(特許文献2)又は制酸剤(特許文献3)とを組み合わせた組成物が知られている。
一方、トラネキサム酸は、抗プラスミン作用、抗アレルギー・抗炎症作用を有し、全身性線溶亢進が関与すると考えられる出血傾向、扁桃炎、咽喉頭炎等の疾患における咽頭痛・発赤・充血・腫脹等の症状や口内炎における口内痛に用いられ(非特許文献2)、また、肝斑、老人性色素斑、炎症後色素沈着等にも用いられる薬物である(非特許文献3)。
また、エフェドリン類(メチルエフェドリン、メチルエフェドリン塩酸塩、プソイドエフェドリン等)は、交感神経興奮作用に基づく気管支拡張作用により、鎮咳効果をもたらすものである。この作用に基づき、エフェドリン類は、鎮咳成分として、かぜ薬、鎮咳去痰薬に配合され、また、血管収縮作用による鼻づまりの緩和を目的として鼻炎用内服薬等に配合される薬物である(非特許文献4)。また、上記メチルエフェドリンとロキソプロフェンとを組み合わせることにより、抗炎症作用及び解熱作用が増強すること(特許文献4)、上記プソイドエフェドリンとロキソプロフェンとを組み合わせることにより、ロキソプロフェンの抗くしゃみ作用が増強すること(特許文献5)、上記メチルエフェドリン塩酸塩とロキソプロフェンとを組み合わせが、気道杯細胞過形成抑制作用を示すこと(特許文献6)が知られている。
また、デキストロメトルファンは、中枢性非麻薬性鎮咳成分であり、咳中枢に直接作用し、咳反射を抑制することで鎮咳作用を示すことが知られている。デキストロメトルファンはこの作用に基づき、鎮咳成分として、かぜ薬や鎮咳去痰薬に用いられる薬物である(非特許文献5)。
また、チペピジンは、咳中枢の抑制による鎮咳作用を示すことや去痰作用を示すこと等が知られている。チペピジンはこれらの作用に基づき、かぜ薬や鎮咳去痰薬に用いられる薬物である(非特許文献5)。
また、コデイン類(ジヒドロコデイン塩酸塩、コデインリン酸塩等)は、咳中枢の機能を抑制することによる鎮咳作用を有する麻薬性鎮咳成分である。この作用に基づき、コデイン類は、鎮咳成分としてかぜ薬や鎮咳去痰薬に用いられている薬物である(非特許文献6)。また、ロキソプロフェンとジヒドロコデイン塩酸塩を組み合わせることにより、抗炎症作用が増強すること(特許文献4)、ロキソプロフェンとコデインリン酸塩との組み合わせが、気道杯細胞過形成抑制作用を示すこと(特許文献6)が知られている。
また、クロルフェニラミン及びクレマスチンは、抗ヒスタミン作用を有し、抗ヒスタミン成分として、かぜ薬、鼻炎用内服薬、アレルギー用剤等に用いられている薬物である(非特許文献7)。また、ロキソプロフェンとクロルフェニラミン又はクレマスチンとを組み合わせることにより、ロキソプロフェンがクロルフェニラミン又はクレマスチンの抗ヒスタミン作用を増強すること(特許文献4)や、ロキソプロフェンとクロルフェニラミンマレイン酸塩とを組み合わせることによって、鼻閉症状の改善作用が奏されること(特許文献7)が知られている。
また、ブロムヘキシンは、下記式で表される化合物
Figure 2011225529
であり、気道粘膜の分泌促進による粘液の希釈をはかる粘稠調整作用に基づく去痰作用を有し、スイッチOTC薬物として認可され、かぜ薬に用いられるほか、医療用としては、急性・慢性気管支炎や塵肺症等の去痰に用いられている薬物である(非特許文献8)。
また、アンブロキソールは、下記式で表される化合物
Figure 2011225529
であり、去痰成分である上記ブロムヘキシンの活性代謝物として知られ、粘膜潤滑成分とも呼ばれている。スイッチOTC薬物として認可され、かぜ薬にも用いられるほか、医療用としては、急性・慢性気管支炎や塵肺症等の去痰に用いられる薬物である(非特許文献9)。
また、上記アンブロキソール又はブロムヘキシンと、ロキソプロフェンとを組み合わせることにより、杯細胞過形成抑制作用が発現すること(特許文献8)が知られている。
また、キサンチン誘導体としては、例えば、カフェイン、テオフィリン、パラキサンチン、テオブロミン、アミノフィリン、ジプロフィリン、プロキシフィリン等が知られており、上記カフェインは中枢興奮作用、強心・利尿作用、平滑筋弛緩作用等を示し、解熱鎮痛剤、かぜ薬や鎮咳去痰薬等に用いられる薬物である(非特許文献10)。斯かるカフェインとロキソプロフェンとを組み合わせることにより、ロキソプロフェンの消炎・鎮痛作用が増強されること(特許文献9)が知られている。
また、テオフィリンは平滑筋弛緩作用、中枢興奮作用、強心・利尿作用等を示し、鎮咳去痰薬や鎮暈薬等に用いられる薬物である。アミノフィリンはテオフィリンとエチレンジアミンの複塩であり、テオフィリンと同様の作用を示し、ジプロフィリンも、テオフィリンと同様の作用を示す(非特許文献11)。プロキシフィリンもテオフィリンと同様の作用を示し(非特許文献12)、パラキサンチンやテオブロミンも同様の作用を示すものである。
また、グアイフェネシンは、中枢性の鎮咳作用、鎮静作用、気管支拡張作用、気道分泌促進作用を有するものとして知られ、これらの作用に基づき、鎮咳去痰成分として、かぜ薬や鎮咳去痰薬に用いられる薬物である(非特許文献8)。
しかしながら、前述のデキストロメトルファン、チペピジン又はグアイフェネシンとロキソプロフェンとを組み合わせた医薬組成物については知られていない。
また、前述のトラネキサム酸とロキソプロフェンを含有する軟カプセル剤は知られているものの(特許文献10〜12)、トラネキサム酸とロキソプロフェンを併用した場合に消化管に対する作用がどのように変化するかについては、これまで報告されていない。また、エフェドリン類、コデイン類、クロルフェニラミン、クレマスチン、ブロムヘキシン、アンブロキソール又はキサンチン誘導体とロキソプロフェンとを併用した場合に消化管に対する作用がどのように変化するかについても知られていない。
すなわち、ロキソプロフェンに加えて、エフェドリン類、コデイン類、クロルフェニラミン、クレマスチン、ブロムヘキシン、アンブロキソール又はキサンチン誘導体と、トラネキサム酸とを組み合わせて用いた場合に消化管に対する作用がどのように変化するかについては全く知られていない。
特開2004−161667号公報 特表2007−522217号公報 特開2006−52210号公報 特開2000−143505号公報 特開2004−2362号公報 特開2007−314517号公報 特開2001−199882号公報 特開2008−13542号公報 特開平11−139971号公報 特開2009−242360号公報 特開2009−242365号公報 特開2009−242366号公報
第15改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 第C−4790−4795頁 第15改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 第C−2743−2749頁 OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第693−694頁 OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第290−291頁 OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第290頁 OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第289頁 OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第230−232頁 OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第292頁 OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第235頁 OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第198−199頁 OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第292−294頁 OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第688頁
本発明の課題は、ロキソプロフェンに起因する消化管障害が軽減又は抑制された医薬組成物の提供にある。
本発明者らは、ロキソプロフェンの消化管障害の軽減・抑制策について鋭意研究したところ、ロキソプロフェン又はその塩に加えて、エフェドリン類、デキストロメトルファン又はその塩、チペピジン又はその塩、コデイン類、クロルフェニラミン又はその塩、クレマスチン又はその塩、ブロムヘキシン又はその塩、アンブロキソール又はその塩、キサンチン誘導体及びグアイフェネシンからなる群より選ばれる1種又は2種以上と、トラネキサム酸又はその塩とを組み合わせて用いること、或いはロキソプロフェン又はその塩に加えて、グアイフェネシンを組み合わせて用いることにより、意外にも、前述の消化管障害を軽減又は抑制できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記成分(A)、(B)及び(C)を含有する医薬組成物を提供するものである。
(A)ロキソプロフェン又はその塩
(B)トラネキサム酸又はその塩
(C)エフェドリン類、デキストロメトルファン又はその塩、チペピジン又はその塩、コデイン類、クロルフェニラミン又はその塩、クレマスチン又はその塩、ブロムヘキシン又はその塩、アンブロキソール又はその塩、キサンチン誘導体及びグアイフェネシンからなる群より選ばれる1種又は2種以上
また、本発明は、下記成分(B)と(C)との組み合わせを有効成分とする、非ステロイド性消炎鎮痛剤に起因する消化管障害の軽減又は抑制剤を提供するものである。
(B)トラネキサム酸又はその塩
(C)エフェドリン類、デキストロメトルファン又はその塩、チペピジン又はその塩、コデイン類、クロルフェニラミン又はその塩、クレマスチン又はその塩、ブロムヘキシン又はその塩、アンブロキソール又はその塩、キサンチン誘導体及びグアイフェネシンからなる群より選ばれる1種又は2種以上
更に、本発明は、グアイフェネシンを有効成分とする、非ステロイド性消炎鎮痛剤に起因する消化管障害の軽減又は抑制剤を提供するものである。
エフェドリン類、デキストロメトルファン又はその塩、チペピジン又はその塩、コデイン類、クロルフェニラミン又はその塩、クレマスチン又はその塩、ブロムヘキシン又はその塩、アンブロキソール又はその塩、キサンチン誘導体及びグアイフェネシンからなる群より選ばれる1種又は2種以上と、トラネキサム酸又はその塩との組み合わせは、優れたロキソプロフェンに起因する消化管障害軽減・抑制効果を有する。
したがって、本発明の医薬組成物は、ロキソプロフェンの優れたNSAIDの効果、トラネキサム酸の優れた抗炎症作用等、並びにエフェドリン類、デキストロメトルファン又はその塩、チペピジン又はその塩、コデイン類、クロルフェニラミン又はその塩、クレマスチン又はその塩、ブロムヘキシン又はその塩、アンブロキソール又はその塩、キサンチン誘導体及びグアイフェネシンからなる群より選ばれる1種又は2種以上が示す優れた薬理作用を奏するだけでなく、ロキソプロフェンに起因する消化管障害が軽減又は抑制された優れたものである。
まず、本発明の成分(A)〜(C)について詳細に説明する。
<成分(A)>
成分(A)は、ロキソプロフェン又はその塩である。斯かるロキソプロフェン又はその塩には、ロキソプロフェンのみならず、ロキソプロフェンの薬学上許容される塩、さらには水やアルコール等との溶媒和物が含まれる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。本発明において、ロキソプロフェン又はその塩としては、ロキソプロフェンナトリウム水和物(化学名:Monosodium 2-[4-[(2-oxocyclopentyl)methyl]phenyl]propanoate dihydrate)が好ましい。
本発明の医薬組成物におけるロキソプロフェン又はその塩の含有量は、服用者の性別、年齢、症状等に応じて、適宜検討して決定すればよいが、1日あたり、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で10〜300mg服用できる量が好ましく、30〜240mg服用できる量がより好ましく、60〜180mg服用できる量がさらに好ましい。
本発明の医薬組成物におけるロキソプロフェン又はその塩の割合は、上述の1日投与量に応じて適宜検討して決定すればよいが、医薬組成物全質量に対して、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1〜97質量%含有するのが好ましく、5〜90質量%が含有するのがより好ましく、7〜80質量%が含有するのがさらに好ましい。
<成分(B)>
成分(B)は、トラネキサム酸又はその塩である。
本発明の医薬組成物に含まれるトラネキサム酸又はその塩には、トラネキサム酸のみならず、トラネキサム酸の薬学上許容される塩、さらには水やアルコール等との溶媒和物が含まれる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。本発明においては、トラネキサム酸又はその塩として、トラネキサム酸が好ましい。
本発明の医薬組成物におけるトラネキサム酸又はその塩の含有量は、服用者の性別、年齢、症状、ロキソプロフェンが起因する消化管障害の軽減又は抑制効果等に応じて、適宜検討して決定すればよいが、1日あたり、トラネキサム酸フリー体換算で50〜2000mg服用できる量が好ましく、70〜750mg服用できる量がより好ましく、400〜750mg服用できる量がさらに好ましい。
また、本発明の医薬組成物におけるトラネキサム酸又はその塩の割合は、上述の1日投与量に応じて適宜検討して決定すればよいが、医薬組成物全質量に対してトラネキサム酸のフリー体換算で1〜90質量%含有するのが好ましく、1〜80質量%含有するのがより好ましく、1〜75質量%含有するのがさらに好ましい。このうち、5〜70質量%含有するのが好ましく、5〜60質量%含有するのがより好ましく、7〜50質量%含有するのがさらに好ましい。
本発明の医薬組成物におけるロキソプロフェン又はその塩とトラネキサム酸又はその塩の含有比は、上述した各成分の1日あたりの服用量に応じて、適宜検討して決定すればよいが、ロキソプロフェン又はその塩を、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、トラネキサム酸のフリー体換算で0.1〜25質量部含有するものが好ましく、0.2〜15質量部含有するものがより好ましく、0.5〜10質量部含有するものがさらに好ましい。
<成分(C)>
成分(C)は、エフェドリン類、デキストロメトルファン又はその塩、チペピジン又はその塩、コデイン類、クロルフェニラミン又はその塩、クレマスチン又はその塩、ブロムヘキシン又はその塩、アンブロキソール又はその塩、キサンチン誘導体及びグアイフェネシンからなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
本発明の医薬組成物に含まれるエフェドリン類とは、エフェドリン及びエフェドリンの誘導体並びにこれらの塩を意味する。エフェドリン誘導体としては、メチルエフェドリン等が挙げられる。また、塩としては、薬学上許容される無機酸や有機酸の塩等が挙げられ、好適な具体例としては、塩酸塩、硫酸塩、サッカリン塩が挙げられる。
また、エフェドリンには2つの不斉炭素が存するため、種々の光学異性体を有するが、本発明においては、単一の光学異性体でもよく、各種光学異性体の混合物でもよい。本発明においては、l−体、dl−体が好ましい。エフェドリン類は、公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
本発明において、エフェドリン類としては、本発明の医薬組成物を解熱鎮痛剤やかぜ薬等として利用した場合や消化管障害の軽減又は抑制の観点から、l−メチルエフェドリン塩酸塩、dl−メチルエフェドリン塩酸塩、l−メチルエフェドリンサッカリン塩、dl−メチルエフェドリンサッカリン塩、プソイドエフェドリン塩酸塩、プソイドエフェドリン硫酸塩等が好ましい。これらは1種のみを用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。なお、エフェドリンとプソイドエフェドリンは互いにエナンチオマーの関係にあるものである。
また、エフェドリン類としては、これらを成分として含有するマオウ(麻黄)も用いることができる。
マオウは、第十五改正日本薬局方に掲載されているとおり、Ephedra sinica Stapf、Ephedra intermedia Schrenk et C. A.又はEphedra equisetina Bunge(Ephedraceae)の地上茎を意味する。マオウは必要に応じてその形態を調節することができ、小片、小塊に切断若しくは破砕、又は粉末に粉砕することができる。例えば、マオウの粉末は「マオウ末」という。
また、マオウは、第十五改正日本薬局方製剤総則等に記載の公知の方法に基づき、適当な大きさとした後に、適当な浸出剤を加えて浸出した液や浸出液を濃縮した液、すなわち「エキス」や「チンキ」等としてもよい。浸出剤としては、メタノール、エタノール及びn−ブタノール等の低級一価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール及びグリセリン等の低級多価アルコール、ジエチルエーテル等のエーテル類、アセトン及びエチルメチルケトン等のケトン類、酢酸エチルエステル等のエステル類、ジクロロメタン及びクロロホルム等のハロゲノアルカン類、ベンゼン及びトルエン等芳香族炭化水素、及び水等が挙げられる。これらは各々単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。さらにエキスは乾燥することもできる。
本発明において、エフェドリン類としてマオウを用いる場合は、マオウ末、マオウ流エキス、マオウ軟エキス、マオウ乾燥エキス、マオウエキス等が好ましい。これらは、上述のとおり、公知の方法により製造してもよいし、また市販品を用いてもよい。さらに、マオウを用いる場合は、マオウを含む漢方処方である、葛根湯、小青竜湯、麻黄湯等を用いることもできる。
また、本発明の医薬組成物におけるエフェドリン類の割合は、上述の1日投与量に応じて適宜検討して決定すればよいが、医薬組成物全質量に対してエフェドリン類を0.1〜40質量%含有するのが好ましく、0.5〜20質量%含有するのがより好ましく、1〜10質量%含有するのがさらに好ましい。
本発明の医薬組成物におけるエフェドリン類の含有量は、服用者の性別、年齢、症状、ロキソプロフェンが起因する消化管障害の軽減又は抑制効果等に応じて、適宜検討して決定すればよいが、1日あたり、5〜500mg服用できる量が好ましく、10〜360mg服用できる量がより好ましく、20〜240mg服用できる量がさらに好ましい。なお、エフェドリン類の一部又は全ては、上述のマオウに代替することができる。マオウは、1日あたり、0.1〜25g(原生薬換算量)服用できる量が好ましく、0.25〜10g(原生薬換算量)服用できる量がより好ましく、0.4〜4g(原生薬換算量)服用できる量がさらに好ましい。
また、本発明の医薬組成物におけるロキソプロフェン又はその塩とエフェドリン類の含有比は、上述した各成分の1日あたりの服用量に応じて、適宜検討して決定すればよいが、ロキソプロフェン又はその塩を、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、エフェドリン類を0.015〜50質量部含有するものが好ましく、0.05〜12質量部含有するものがより好ましく、0.1〜4質量部含有するものがさらに好ましい。
本発明の医薬組成物に含まれるデキストロメトルファン又はその塩には、デキストロメトルファンそのもののほか、デキストロメトルファンの薬学上許容される塩、さらにデキストロメトルファン又はその塩の溶媒和物が含まれる。当該デキストロメトルファン又はその塩の好適な具体例としては、デキストロメトルファン、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、デキストロメトルファンフェノールフタリン塩等が挙げられる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
本発明において、デキストロメトルファン又はその塩としては、本発明の医薬組成物を解熱鎮痛剤やかぜ薬等として利用した場合や消化管障害の軽減又は抑制の観点から、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、デキストロメトルファンフェノールフタリン塩がより好ましい。これらは1種のみを用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。
また、本発明の医薬組成物におけるデキストロメトルファン又はその塩の含有量は、服用者の性別、年齢、症状、ロキソプロフェンが起因する消化管障害の軽減又は抑制効果等に応じて、適宜検討して決定すればよいが、1日あたり、0.1〜270mg服用できる量が好ましく、0.5〜180mg服用できる量がより好ましく、1〜100mg服用できる量がさらに好ましい。なお、デキストロメトルファン又はその塩がデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物である場合、1日あたり、6〜60mg服用できる量が好ましく、15〜60mg服用できる量がより好ましく、10〜60mg服用できる量がさらに好ましい。デキストロメトルファンフェノールフタリン塩である場合は、1日あたり、9〜90mg服用できる量が好ましく、22〜90mg服用できる量がより好ましく、15〜90mg服用できる量がさらに好ましい。
本発明の医薬組成物におけるデキストロメトルファン又はその塩の割合は、上述の1日投与量に応じて適宜検討して決定すればよいが、医薬組成物全質量に対してデキストロメトルファン又はその塩を0.1〜40質量%含有するのが好ましく、0.5〜20質量%含有するのがより好ましく、1〜10質量%含有するのがさらに好ましい。
また、本発明の医薬組成物に含まれるロキソプロフェン又はその塩、及びデキストロメトルファン又はその塩の含有比は、上述した各成分の1日あたりの服用量に応じて、適宜検討して決定すればよいが、ロキソプロフェン又はその塩を、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、デキストロメトルファン又はその塩を、0.0001〜20質量部含有するものが好ましく、0.0005〜10質量部含有するものがより好ましく、0.01〜1質量部含有するものがさらに好ましい。
本発明の医薬組成物に含まれるチペピジン又はその塩には、チペピジンそのもののほか、チペピジンの薬学上許容される塩が含まれる。当該チペピジン又はその塩の好適な具体例としては、チペピジン、チペピジンクエン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩等が挙げられる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
本発明において、チペピジン又はその塩としては、本発明の医薬組成物を解熱鎮痛剤やかぜ薬等として利用した場合や消化管障害の軽減又は抑制の観点から、チペピジンクエン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩がより好ましい。これらは1種のみを用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の医薬組成物におけるチペピジン又はその塩の含有量は、服用者の性別、年齢、症状、ロキソプロフェンに起因する消化管障害の軽減又は抑制効果等に応じて、適宜検討して決定すればよいが、1日あたり、1〜300mg服用できる量が好ましく、10〜200mg服用できる量がより好ましく、15〜120mg服用できる量がさらに好ましい。なお、チペピジン又はその塩がチペピジンクエン酸塩である場合、1日あたり、1〜250mg服用できる量が好ましく、10〜150mg服用できる量がより好ましく、15〜100mg服用できる量がさらに好ましい。チペピジンヒベンズ酸塩である場合は、1日あたり、5〜300mg服用できる量が好ましく、10〜200mg服用できる量がより好ましく、20〜120mg服用できる量がさらに好ましい。
また、本発明の医薬組成物におけるチペピジン又はその塩の割合は、上述の1日投与量に応じて適宜検討して決定すればよいが、医薬組成物全質量に対してチペピジンを0.1〜40質量%含有するのが好ましく、0.5〜20質量%含有するのがより好ましく、0.5〜10質量%含有するのがより好ましく、1〜5質量%含有するのが特に好ましい。
本発明の医薬組成物に含まれるロキソプロフェン又はその塩、及びチペピジン又はその塩の含有比は、上述した各成分の1日あたりの服用量に応じて、適宜検討して決定すればよいが、ロキソプロフェン又はその塩を、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、チペピジン又はその塩を、0.003〜30質量部含有するものが好ましく、0.04〜7質量部含有するものがより好ましく、0.08〜2質量部含有するものがさらに好ましい。
本発明の医薬組成物に含まれるコデイン類とは、コデイン、ジヒドロコデイン又はこれらの塩、及びこれらの溶媒和物からなる群より選ばれる1種又は2種以上のものを意味する。すなわち、コデイン類にはコデインやジヒドロコデインそのもののほか、コデインやジヒドロコデインの薬学上許容される塩やこれらの溶媒和物が含まれる。
コデイン類の好適な具体例としては、コデイン、ジヒドロコデイン、コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩等が挙げられるが、コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩がより好ましい。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
本発明において、コデイン類としては、本発明の医薬組成物を解熱鎮痛剤やかぜ薬等として利用した場合や消化管障害の軽減又は抑制の観点から、コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩がより好ましい。これらは1種のみを用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の医薬組成物におけるコデイン類の含有量は、服用者の性別、年齢、症状、ロキソプロフェン起因の消化管障害軽減又は抑制効果等に応じて、適宜検討して決定すればよいが、1日あたり、2〜60mg服用できる量が好ましく、4〜48mg服用できる量がより好ましく、6〜26mg服用できる量がさらに好ましい。なお、コデイン類として、コデインリン酸塩水和物を用いる場合は、1日当り、4〜60mg服用できる量が好ましく、8〜48mg服用できる量がより好ましく、12〜36mg服用できる量がさらに好ましい。また、ジヒドロコデインリン酸塩を用いる場合は、1日あたり、2〜30mg服用できる量が好ましく、4〜24mg服用できる量がより好ましく、6〜24mg服用できる量がさらに好ましい。
また、本発明の医薬組成物におけるコデイン類の割合は、上述の1日投与量に応じて適宜検討して決定すればよいが、医薬組成物全質量に対してコデイン類を0.08〜4質量%含有するのが好ましい。コデイン類がコデインリン酸塩水和物である場合、医薬組成物全質量に対して0.15〜4質量%含有するのが好ましく、0.3〜3質量%含有するのがより好ましく、0.5〜2.5質量%含有するのがさらに好ましい。また、コデイン類がジヒドロコデインリン酸塩である場合、医薬組成物全質量に対して0.08〜2質量%含有するのが好ましく、0.16〜1.5質量%含有するのがより好ましく、0.24〜1.5質量%含有するのがさらに好ましい。
本発明の医薬組成物におけるロキソプロフェン又はその塩、及びコデイン類の含有比は、上述した各成分の1日あたりの服用量に応じて、適宜検討して決定すればよいが、ロキソプロフェン又はその塩を、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、コデイン類を0.005〜4質量部含有するものが好ましく、0.01〜2質量部含有するものがより好ましく、0.02〜1質量部含有するものがさらに好ましく、0.2〜1質量部含有するものが特に好ましい。
本発明の医薬組成物に含まれるクロルフェニラミン又はその塩としては、クロルフェニラミンそのもののほか、クロルフェニラミンの薬学上許容される塩が含まれる。クロルフェニラミンには不斉炭素が存するため、光学異性体を有するが、本発明においては、光学異性体をも含み、単一の光学異性体でもよく、各種光学異性体の混合物でもよい。これらのうち、本発明においては、d−体、dl−体が好ましい。
当該クロルフェニラミン又はその塩の好適な具体例としては、解熱鎮痛剤やかぜ薬等として利用した場合や消化管障害の軽減又は抑制の観点から、クロルフェニラミン、クロルフェニラミンマレイン酸塩、d−クロルフェニラミンマレイン酸塩、dl−クロルフェニラミンマレイン酸塩等が挙げられ、d−クロルフェニラミンマレイン酸塩、dl−クロルフェニラミンマレイン酸塩がより好ましい。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
本発明の医薬組成物におけるクロルフェニラミン又はその塩の含有量は、服用者の性別、年齢、症状、ロキソプロフェンが起因する消化管障害の軽減又は抑制効果等に応じて、適宜検討して決定すればよいが、1日あたり、0.1〜20mg服用できる量が好ましく、0.6〜12mg服用できる量がより好ましい。なお、クロルフェニラミン又はその塩として、d−クロルフェニラミンマレイン酸塩を用いる場合、1日あたり、0.1〜15mg服用できる量が好ましく、0.6〜6mg服用できる量がより好ましい。dl−クロルフェニラミンマレイン酸塩を用いる場合は、1日あたり、0.5〜20mg服用できる量が好ましく、1〜12mg服用できる量がより好ましい。
また、本発明の医薬組成物におけるクロルフェニラミン又はその塩の割合は、上述の1日投与量に応じて適宜検討して決定すればよいが、医薬組成物全質量に対してクロルフェニラミン又はその塩を0.00003〜40質量%含有するのが好ましく、0.00016〜10質量%含有するのがより好ましく、0.0005〜3.5質量%含有するのが特に好ましい。
本発明の医薬組成物におけるロキソプロフェン又はその塩とクロルフェニラミン又はその塩の含有比は、上述した各成分の1日あたりの服用量に応じて、適宜検討して決定すればよいが、ロキソプロフェン又はその塩を、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、クロルフェニラミン又はその塩を0.0001〜1.5質量部含有するものが好ましく、0.0005〜0.7質量部含有するものがより好ましい。
本発明の医薬組成物に含まれるクレマスチン又はその塩には、クレマスチンそのもののほか、クレマスチンの薬学上許容される塩が含まれる。当該クレマスチン又はその塩の好適な具体例としては、クレマスチン、クレマスチンフマル酸塩等が挙げられ、クレマスチンフマル酸塩がより好ましい。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
本発明において、クレマスチン又はその塩としては、本発明の医薬組成物をかぜ薬や解熱鎮痛剤等として利用した場合や消化管障害の軽減又は抑制の観点から、クレマスチンフマル酸塩がより好ましい。
本発明の医薬組成物におけるクレマスチン又はその塩の含有量は、服用者の性別、年齢、症状、ロキソプロフェンに起因する消化管障害の軽減又は抑制効果等に応じて、適宜検討して決定すればよいが、例えば、1日あたり、クレマスチンフリー体換算で、0.2〜5mg服用できる量が好ましく、0.3〜3mg服用できる量がより好ましく、0.4〜2mg服用できる量がさらに好ましい。なお、クレマスチンフマル酸塩1.34mgはクレマスチンとして1mgに相当するものである。
また、本発明の医薬組成物におけるクレマスチン又はその塩の割合は、上述の1日投与量に応じて適宜検討して決定すればよいが、医薬組成物全質量に対してクレマスチン又はその塩をクレマスチンのフリー体換算で、0.001〜1質量%含有するのが好ましく、0.005〜0.5質量%含有するのがより好ましく、0.008〜0.4質量%含有するのがさらに好ましい。このうち、0.01〜0.2質量%含有するのが好ましく、0.015〜0.15質量%含有するのがより好ましい。
本発明の医薬組成物におけるロキソプロフェン又はその塩、及びクレマスチン又はその塩との含有比は、上述した各成分の1日あたりの服用量に応じて、適宜検討して決定すればよいが、ロキソプロフェン又はその塩を、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、クレマスチン又はその塩を0.0006〜0.5質量部含有するものが好ましく、0.0012〜0.1質量部含有するものがより好ましく、0.002〜0.03質量部含有するものがさらに好ましい。
本発明の医薬組成物に含まれるブロムヘキシン又はその塩には、ブロムヘキシンそのもののほか、ブロムヘキシンの薬学上許容される塩が含まれる。当該ブロムヘキシン又はその塩の好適な具体例としては、ブロムヘキシン、ブロムヘキシン塩酸塩等が挙げられる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
本発明において、ブロムヘキシン又はその塩としては、本発明の医薬組成物を解熱鎮痛剤やかぜ薬等として利用した場合や消化管障害の軽減又は抑制の観点から、ブロムヘキシン塩酸塩が好ましい。
本発明の医薬組成物におけるブロムヘキシン又はその塩の含有量は、服用者の性別、年齢、症状、ロキソプロフェンに起因する消化管障害の軽減又は抑制効果等に応じて、適宜検討して決定すればよいが、例えば、1日あたり、ブロムヘキシン又はその塩をブロムヘキシン塩酸塩に換算して0.1〜50mg服用できる量が好ましく、0.5〜25mg、服用できる量がより好ましく、1〜15mg服用できる量がさらに好ましい。
また、本発明の医薬組成物におけるブロムヘキシン又はその塩の割合は、上述の1日投与量に応じて適宜検討して決定すればよいが、医薬組成物全質量に対してブロムヘキシン又はその塩をブロムヘキシン塩酸塩に換算して0.004〜4質量%含有するものが好ましく、0.02〜2質量%含有するものがより好ましく、0.04〜1質量%含有するものがさらに好ましい。
本発明の医薬組成物に含まれるロキソプロフェン又はその塩、及びブロムヘキシン又はその塩の含有比は、上述した1日あたりの服用量に応じて、適宜検討して決定すればよいが、ロキソプロフェン又はその塩をロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、ブロムヘキシン又はその塩をブロムヘキシン塩酸塩に換算して0.0001〜10質量部含有するものが好ましく、0.0005〜2質量部含有するものがより好ましく、0.001〜1質量部含有するものがさらに好ましい。
本発明の医薬組成物に含まれるアンブロキソール又はその塩には、アンブロキソールそのもののほか、アンブロキソールの薬学上許容される塩が含まれる。当該アンブロキソール又はその塩の好適な具体例としては、アンブロキソール、アンブロキソール塩酸塩等が挙げられる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。上述したとおり、アンブロキソールはブロムヘキシンの活性代謝物である。
本発明において、アンブロキソール又はその塩としては、本発明の医薬組成物を解熱鎮痛剤やかぜ薬等として利用した場合や消化管障害の軽減又は抑制の観点から、アンブロキソール塩酸塩が好ましい。
本発明の医薬組成物におけるアンブロキソール又はその塩の含有量は、服用者の性別、年齢、症状等に応じて、適宜検討して決定すればよいが、例えば、1日あたり、アンブロキソール又はその塩をアンブロキソール塩酸塩に換算して0.1〜150mg服用できる量が好ましく、0.5〜100mg服用できる量がより好ましく、1〜50mg服用できる量がさらに好ましい。
また、本発明の医薬組成物におけるアンブロキソール又はその塩の割合は、上述の1日投与量に応じて適宜検討して決定すればよいが、医薬組成物全質量に対して、アンブロキソール又はその塩をアンブロキソール塩酸塩に換算して0.004〜10質量%含有するものが好ましく、0.02〜7質量%含有するものがより好ましく、0.04〜5質量%含有するものがさらに好ましい。
本発明の医薬組成物におけるロキソプロフェン又はその塩、及びアンブロキソール又はその塩の含有比は、上述した1日あたりの服用量に応じて、適宜検討して決定すればよいが、ロキソプロフェン又はその塩をロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、アンブロキソール又はその塩をアンブロキソール塩酸塩に換算して0.0001〜10質量部含有するものが好ましく、0.0005〜5質量部含有するものがより好ましく、0.001〜3質量部含有するものがさらに好ましい。
本発明の医薬組成物に含まれるキサンチン誘導体としては、下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
Figure 2011225529
[式中、R1及びR2は各々独立して水素原子又はメチル基を意味する。R3は水素原子、メチル基、モノヒドロキシプロピル基又はジヒドロキシプロピル基を意味する。]
上記R3において、モノヒドロキシプロピル基としては、2−ヒドロキシプロピル基が好ましい。また、ジヒドロキシプロピル基としては、2,3−ジヒドロキシプロピル基が好ましい。
なお、上記一般式(I)において、
(1)R1がメチル基であり、R2がメチル基であり、R3がメチル基であるものは、カフェインを意味するものである。
(2)R1がメチル基であり、R2がメチル基であり、R3が水素原子であるものは、テオフィリンを意味するものである。
(3)R1が水素原子であり、R2がメチル基であり、R3がメチル基であるものは、テオブロミンを意味するものである。
(4)R1がメチル基であり、R2が水素原子であり、R3がメチル基であるものは、パラキサンチンを意味するものである。
(5)R1がメチル基であり、R2がメチル基であり、R3が2−ヒドロキシプロピル基であるものは、プロキシフィリンを意味するものである。
(6)R1がメチル基であり、R2がメチル基であり、R3が2,3−ジヒドロキシプロピル基であるものは、ジプロフィリンを意味するものである。
一般式(I)の化合物、とりわけ上述の化合物は公知であり、本発明においては、公知の方法により製造したもののほか、市販のものを用いることができる。
前記カフェインやテオフィリンとしては、複塩を形成したもの(安息香酸ナトリウムカフェイン(安息香酸ナトリウムとカフェインの複塩)、アミノフィリン(テオフィリンとエチレンジアミンとの複塩))等を用いることもできる。なお、本発明においては、キサンチン誘導体は1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の医薬組成物におけるキサンチン誘導体としては、本発明の医薬組成物を解熱鎮痛剤やかぜ薬等として利用した場合の観点から、カフェインが好ましい。当該カフェインとしては、カフェイン水和物、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン、クエン酸カフェインが好適な具体例として挙げられ、このうちカフェイン水和物、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェインが特に好ましい。
本発明の医薬組成物におけるキサンチン誘導体の含有量は、服用者の性別、年齢、症状、ロキソプロフェンに起因する消化管障害の軽減又は抑制効果等に応じて、適宜検討して決定すればよいが、1日あたり、10〜1000mg服用できる量が好ましく、20〜800mg服用できる量がより好ましく、40〜600mg服用できる量がさらに好ましい。
また、本発明の医薬組成物におけるキサンチン誘導体の割合は、上述の1日投与量に応じて適宜検討して決定すればよいが、医薬組成物全質量に対してキサンチン誘導体を0.4〜65質量%含有するのが好ましく、0.8〜50質量%含有するのがより好ましく、1.6〜40質量%含有するのが特に好ましい。
本発明の医薬組成物におけるロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体の含有比は、上述した各成分の1日あたりの服用量に応じて、適宜検討して決定すればよいが、ロキソプロフェン又はその塩を、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、キサンチン誘導体を0.03〜100質量部含有するものが好ましく、0.08〜27質量部含有するものがより好ましく、0.2〜10質量部含有するものがさらに好ましい。
本発明の医薬組成物に含まれるグアイフェネシンは、公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。本発明において、グアイフェネシンの含有量は、服用者の性別、年齢、症状、ロキソプロフェンに起因する消化管障害の軽減又は抑制効果等に応じて、適宜検討して決定すればよいが、1日あたり、10〜600mg服用できる量が好ましく、20〜450mg服用できる量がより好ましく、30〜300mg服用できる量がさらに好ましい。
本発明の医薬組成物におけるグアイフェネシンの割合は、上述の1日投与量に応じて適宜検討して決定すればよいが、医薬組成物全質量に対して、グアイフェネシンを0.4〜40質量%含有するものが好ましく、0.8〜30質量%含有するものがより好ましく、1.2〜25質量%含有するものがさらに好ましい。
また、本発明の医薬組成物におけるロキソプロフェン又はその塩、及びグアイフェネシンの含有比は、上述した1日あたりの服用量に応じて、適宜検討して決定すればよいが、ロキソプロフェン又はその塩をロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、グアイフェネシンを0.015〜60質量部含有するものが好ましく、0.04〜15質量部含有するものがより好ましく、0.13〜5質量部含有するものがさらに好ましい。
なお、上記グアイフェネシンは、後述の実施例に記載のとおり、ロキソプロフェンに起因する消化管障害を軽減又は抑制する。従って、本発明によれば、グアイフェネシンを有効成分とする、非ステロイド性消炎鎮痛剤に起因する消化管障害の軽減又は抑制剤を提供できる。
本発明の医薬組成物には、上記成分(A)〜(C)以外の薬物、例えば、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、ノスカピン類、気管支拡張剤、去痰剤、催眠鎮静剤、ビタミン類、抗炎症剤、胃粘膜保護剤、抗コリン剤、生薬類、漢方処方等からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含んでいてもよい。
解熱鎮痛剤としては、例えば、アスピリン、アスピリンアルミニウム、アセトアミノフェン、イブプロフェン、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、ラクチルフェネチジン、サリチル酸ナトリウム、イソプロピルアンチピリン、チアラミド塩酸塩等が挙げられる。
抗ヒスタミン剤としては、例えば、アゼラスチン塩酸塩、イソチペンジル塩酸塩、イプロヘプチン塩酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェテロール塩酸塩、トリプロリジン塩酸塩、トリペレナミン塩酸塩、トンジルアミン塩酸塩、フェネタジン塩酸塩、プロメタジン塩酸塩、メトジラジン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、カルビノキサミンジフェニルジスルホン酸塩、アリメマジン酒石酸塩、ジフェンヒドラミンタンニン酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、メブヒドロリンナパジシル酸塩、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、メキタジン、エピナスチン塩酸塩、ジフェテロールリン酸塩、エメダスチンフマル酸塩等が挙げられる。
鎮咳剤としては、例えば、アロクラミド塩酸塩、クロペラスチン塩酸塩、カルベタペンタンクエン酸塩、ジブナートナトリウム、クロペラスチンフェンジゾ酸塩、ジメモルファンリン酸塩、エプラジノン塩酸塩等が挙げられる。
ノスカピン類としては、例えば、ノスカピン塩酸塩、ノスカピン等が挙げられる。
気管支拡張剤としては、例えば、トリメトキノール塩酸塩、フェニルプロパノールアミン塩酸塩、フェニレフリン塩酸塩、メトキシフェナミン塩酸塩等が挙げられる。
去痰剤としては、例えば、グアヤコールスルホン酸カリウム、クレゾールスルホン酸カリウム、塩化アンモニウム、l−メントール、アンモニア・ウイキョウ精、エチルシステイン塩酸塩、メチルシステイン塩酸塩、カルボシステイン等が挙げられる。
催眠鎮静剤としては、例えば、ブロムワレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素等が挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類等(例えば、チアミン、チアミン塩化物塩酸塩、チアミン硝化物、ジセチアミン塩酸塩、セトチアミン塩酸塩、フルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、オクトチアミン、シコチアミン、チアミンジスルフィド、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステル、リボフラビン酪酸エステル、リン酸リボフラビンナトリウム、パンテノール、パンテチン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキサールリン酸エステル、シアノコバラミン、メコバラミン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、ヘスペリジン等)が挙げられる。
抗炎症剤としては、例えば、塩化リゾチーム、セラペプターゼ、ブロメライン、セミアルカリプロティナーゼ、プロナーゼ、セアプローゼ、プロクターゼ、グリチルリチン酸及びその誘導体並びにそれらの塩類(例えば、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等)等が挙げられる。
胃粘膜保護剤としては、例えば、アミノ酢酸、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩(アルミニウムグリシネート)、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、アルジオキサ、銅クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィリンカリウム、メチルメチオニンスルホニウムクロリド、スクラルファート、セトラキサート塩酸塩、ソファルコン、ゲファルナート、テプレノン等が挙げられる。
抗コリン薬としては、例えば、オキシフェンサイクリミン塩酸塩、ジサイクロミン塩酸塩、メチキセン塩酸塩、スコポラミン臭化水素酸塩、ダツラエキス、チペピジウム臭化物、メチルアトロピン臭化物、メチルアニソトロピン臭化物、メチルスコポラミン臭化物、メチル−l−ヒヨスチアミン臭化物、メチルベナクチジウム臭化物、ピレンゼピン塩酸塩、ブチルスコポラミン臭化物、ベラドンナエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド、ヨウ化ジフェニルピペリジノメチルジオキソラン、ロートエキス、ロート根、ロート根総アルカロイドクエン酸塩等が挙げられる。
生薬類としては、例えば、アカメガシワ(赤芽柏)、アセンヤク(阿仙薬)、インヨウカク(淫羊霍)、ウイキョウ(茴香)、エンゴサク(延胡索)、オウゴン(黄岑)、オウセイ(黄精)、オウバク(黄柏)、オウヒ(桜皮)、オウレン(黄連)、オンジ(遠志)、ガジュツ(我朮)、カノコソウ(鹿子草)、カミツレ、カロニン(か楼仁)、カンゾウ(甘草)、キキョウ(桔梗)、キョウニン(杏仁)、クコシ(枸杞子)、クコヨウ(枸杞葉)、ケイガイ(荊芥)、ケイヒ(桂皮)、ケツメイシ(決明子)、ゲンチアナ、ゲンノショウコ(現証拠)、コウブシ(香附子)、ゴオウ(牛黄)、ゴミシ(五味子)、サイシン(細辛)、サンショウ(山椒)、シオン(紫苑)、ジコッピ(地骨皮)、シャクヤク(芍薬)、ジャコウ(麝香)、シャジン(沙参)、シャゼンシ(車前子)、シャゼンソウ(車前草)、獣胆(ユウタン(熊胆)を含む)、ショウキョウ(生姜)、ジリュウ(地竜)、シンイ(辛夷)、セキサン(石蒜)、セネガ、センキュウ(川きゅう)、ゼンコ(前胡)、センブリ(千振)、ソウジュツ(蒼朮)、ソウハクヒ(桑白皮)、ソヨウ(蘇葉)、タイサン(大蒜)、チクセツニンジン(竹節人参)、チョウジ(丁子)、チンピ(陳皮)、トウキ(当帰)、トコン(吐根)、ナンテンジツ(南天実)、ニンジン(人参)、バイモ(貝母)、バクモンドウ(麦門冬)、ハンゲ(半夏)、バンコウカ(番紅花)、ハンピ(反鼻)、ビャクシ(白し)、ビャクジュツ(白朮)、ブクリョウ(茯苓)、ボタンピ(牡丹皮)、ボレイ(牡蠣)、ロクジョウ(鹿茸)等の生薬及びこれらの抽出物(エキス、チンキ、乾燥エキス等)等が挙げられる。
漢方処方としては、例えば、桂枝湯、香蘇散、柴胡桂枝湯、小柴胡湯、麦門冬湯、半夏厚朴湯等が挙げられる。
なお、成分(A)〜(C)以外の薬物の投与量は、服用者の性別、年齢、症状等に応じて、適宜検討して決定すればよい。
本発明の医薬組成物は、製剤化に際して、第十五改正日本薬局方製剤総則等に記載の公知の方法により製することができ、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の医薬品添加物を用いて製することができる。
本発明の医薬組成物の剤形としては、特に限定されるべきものではなく、例えば、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、錠剤、液剤、シロップ剤、ゼリー剤、トローチ剤等の経口投与製剤や外用液剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲルクリーム剤、パップ剤、経皮吸収型製剤、貼付剤、リニメント剤、ローション剤、坐剤等の非経口投与製剤が挙げられる。本発明においては、経口投与製剤が好ましく、固形製剤がより好ましい。なお、固形製剤は公知の方法により、糖衣やフィルムコーティング等により被覆されていてもよい。
なお、本発明の医薬組成物における各成分の服用量は、年齢、性別、症状等により適宜増減することができ、本発明の医薬組成物は、食前、食間、食後、就寝前等に1日1〜4回に分けて服用すればよい。
本発明の医薬組成物は、NSAIDの一種である成分(A)、抗炎症作用等を有する成分(B)、及び優れた薬理作用を有する成分(C)を含有するため、斯様な成分(A)〜(C)の作用に基づき、頭痛・歯痛・抜歯後の疼痛・咽頭痛・耳痛・関節痛・神経痛・腰痛・筋肉痛・肩こり痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・月経痛(生理痛)・外傷痛の鎮痛、悪寒・発熱時の解熱、かぜの諸症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛み、せき、たん、悪寒、発熱、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み)の緩和や咽頭炎・扁桃炎(のどのはれ、のどの痛み)、口内炎等に効能又は効果を有するものである。特に、ロキソプロフェンとトラネキサム酸の2つの抗炎症成分が、かぜの諸症状のもととなる炎症を抑え、のどの痛み、熱などに優れた効果を発揮する。
本発明の医薬組成物は、成分(B)及び(C)の組み合わせを含有することによって、ロキソプロフェンに起因する消化管障害が軽減又は抑制されたものである。従って、消化性潰瘍の罹患者や既往歴のある患者も服用することができる。
また、上記成分(B)及び(C)の組み合わせは、ロキソプロフェン以外のNSAID(例えば、アルミノプロフェン、アンピロキシカム、アンフェナクナトリウム、インドメタシン、エトドラク、エピリゾール、オキサプロジン、ケトプロフェン、ザルトプロフェン、ジクロフェナク、スリンダク、セレコキシブ、チアプロフェン酸、チアラミド、テノキシカム、トルフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、プラノプロフェン、フルフェナム酸、フルルビプロフェン、プログルメタシン、メフェナム酸、メロキシカム、モフェゾラク、ロルノキシカム等)に起因する消化管障害(胃粘膜刺激、小腸での潰瘍形成等)を軽減又は抑制することも期待できる。
従って、本発明によれば、前述の成分(B)と(C)との組み合わせを有効成分とする、非ステロイド性消炎鎮痛剤に起因する消化管障害の軽減又は抑制剤を提供できる。
以下に、実施例等を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1.ロキソプロフェン誘発消化管障害抑制試験(1)
Wistar系ラット(Std:Wistar/ST、雄、8週齢、体重205.7〜231.3g)を用い、1群6匹として試験を実施した。ラットは、試験開始前日(16時間以上)より絶食とした。水の摂取は試験開始前1時間までは自由摂取とし、以後絶水とした。
被験薬物として、トラネキサム酸(TXA)を0.5%メチルセルロース(MC)溶液に懸濁し、所定量(100、400mg/5mL/kg)経口投与した。また、対照群には溶媒(0.5%MC溶液)のみをそれぞれ同容量(5mL/kg)経口投与した。
被験薬物投与1時間後に、ロキソプロフェンナトリウム水和物100mg/2mL生理食塩水/kgを各群のラットに経口投与し、胃粘膜障害を誘発した。ロキソプロフェンナトリウム水和物の投与5時間後、ラットを頚椎脱臼により安楽死させ、噴門部を結紮し胃を摘出した。幽門部から胃内に1%ホルマリン溶液10mLを注入し、幽門部を結紮後、胃全体を同ホルマリン溶液中に約20分間浸漬して軽度に固定した。
胃粘膜障害の程度の評価は、胃を大弯に沿って切開した後、実体顕微鏡下にて腺胃部に発生した個々の損傷(びらん)の長さ(mm)を測定することにより行い、ラット1匹当たりの損傷の総和を潰瘍指数として算出した。次式に従い、被験薬物における潰瘍抑制率(%)を算出した。
潰瘍抑制率(%)={1−(被験薬物の潰瘍指数/対照群の潰瘍指数)}×100
結果を表1に示した。
Figure 2011225529
表1から明らかなように、トラネキサム酸はロキソプロフェンに起因する胃粘膜障害を軽減した。
実施例2.ロキソプロフェン誘発消化管障害抑制試験(2)
Wistar系ラット(Std:Wistar/ST、雄、8週齢、体重197.1〜217.3g)を用い、被験薬物として、トラネキサム酸(TXA)及びd−クロルフェニラミンマレイン酸塩(CM)を0.5%メチルセルロース(MC)溶液に懸濁したものを用い、所定量((TXA400mg+CM3mg)/5mL/kg)を経口投与することにより、実施例1と同様に試験を実施した。被験薬物における潰瘍抑制率(%)を算出し、結果を表2に示した。
Figure 2011225529
表1及び表2から明らかなように、トラネキサム酸とd−クロルフェニラミンマレイン酸塩を併用することにより、トラネキサム酸のみを投与した場合よりもロキソプロフェンに起因する胃粘膜障害がさらに軽減された。したがって、クロルフェニラミン又はその塩は、トラネキサム酸の胃粘膜障害抑制作用を増強すること、また、トラネキサム酸又はその塩とクロルフェニラミン又はその塩の組み合わせは、優れた胃粘膜障害抑制作用を示すことが判明した。
実施例3.ロキソプロフェン誘発消化管障害抑制試験(3)
Wistar系ラット(Std:Wistar/ST、雄、8週齢、体重209.3〜226.9g)を用い、被験薬物として、トラネキサム酸(TXA)及び無水カフェイン(Caf)を0.5%メチルセルロース(MC)溶液に懸濁したものを用い、所定量((TXA400mg+Caf100mg)/5mL/kg)を経口投与することにより、実施例1と同様に試験を実施した。被験薬物における潰瘍抑制率(%)を算出し、結果を表3に示した。
Figure 2011225529
表1及び表3から明らかなように、トラネキサム酸と無水カフェインを併用することにより、トラネキサム酸のみを投与した場合よりもロキソプロフェンに起因する胃粘膜障害がさらに軽減された。したがって、カフェイン類は、トラネキサム酸の胃粘膜障害抑制作用を増強すること、また、トラネキサム酸又はその塩とカフェイン類の組み合わせは、優れた胃粘膜障害抑制作用を示すことが判明した。
実施例4.ロキソプロフェン誘発消化管障害抑制試験(4)
Wistar系ラット(Std:Wistar/ST、雄、8週齢、体重202.5〜229.6g)を用い、被験薬物として、トラネキサム酸(TXA)及びdl−メチルエフェドリン塩酸塩(ME)を0.5%メチルセルロース(MC)溶液に懸濁したものを用い、所定量((TXA400mg+ME60mg)/5mL/kg)を経口投与した。
胃粘膜障害はロキソプロフェンナトリウム水和物120mg/2mL生理食塩水/kgを経口投与することにより誘発した。
上記以外は、実施例1と同様に試験を実施した。被験薬物における潰瘍抑制率(%)を算出し、結果を表4に示した。
また、dl−メチルエフェドリン塩酸塩60mg/5ml/kgを、ジヒドロコデインリン酸塩(DP)24mg/5mL/kg、チペピジンヒベンズ酸塩(TH)75mg/5mL/kg、デキストロメトルファン臭化水素酸塩(DH)48mg/5mL/kgとなるように調製した溶液に換えた以外は上記と同様にして試験を実施し、各被験薬物における潰瘍抑制率(%)を算出した。結果を表4に示した。
Figure 2011225529
表1及び表4から明らかなように、トラネキサム酸と、dl−メチルエフェドリン塩酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩又はデキストロメトルファン臭化水素酸塩とを併用することにより、トラネキサム酸のみを投与した場合よりもロキソプロフェンに起因する胃粘膜障害がさらに軽減された。したがって、エフェドリン類、コデイン類、チペピジン若しくはその塩、又はデキストロメトルファン若しくはその塩は、トラネキサム酸の胃粘膜障害抑制作用を増強すること、また、トラネキサム酸又はその塩と、エフェドリン類、コデイン類、チペピジン若しくはその塩、又はデキストロメトルファン若しくはその塩との組み合わせは、優れた胃粘膜障害抑制作用を示すことが判明した。
実施例5.ロキソプロフェン誘発消化管障害抑制試験(5)
Wistar系ラット(Std:Wistar/ST、雄、8週齢、体重210.0〜227.6g)を用い、被験薬物として、トラネキサム酸(TXA)及びブロムヘキシン塩酸塩(BH)を0.5%メチルセルロース(MC)溶液に懸濁したものを用い、所定量((TXA400mg+BH4mg)/5mL/kg)を経口投与することにより、実施例1と同様に試験を実施した。被験薬物における潰瘍抑制率(%)を算出し、結果を表5に示した。
Figure 2011225529
表1及び表5から明らかなように、トラネキサム酸とブロムヘキシン塩酸塩とを併用することにより、トラネキサム酸のみを投与した場合よりもロキソプロフェンに起因する胃粘膜障害がさらに軽減された。したがって、ブロムヘキシン又はその塩は、トラネキサム酸の胃粘膜障害抑制作用を増強すること、また、トラネキサム酸又はその塩とブロムヘキシン又はその塩との組み合わせは優れた胃粘膜障害抑制作用を示すことが判明した。
実施例6.ロキソプロフェン誘発消化管障害抑制試験(6)
Wistar系ラット(Std:Wistar/ST、雄、8週齢、体重210.0〜229.2g)を用い、被験薬物として、トラネキサム酸(TXA)及びクレマスチンフマル酸塩(CF)を0.5%メチルセルロース(MC)溶液に懸濁したものを用い、所定量((TXA400mg+CF1mg)/5mL/kg)を経口投与することにより、実施例5と同様に試験を実施した。被験薬物における潰瘍抑制率(%)を算出し、結果を表6に示した。
Figure 2011225529
表6から明らかなように、トラネキサム酸とクレマスチンフマル酸塩とを併用することにより、ロキソプロフェンに起因する胃粘膜障害が軽減された。したがって、トラネキサム酸又はその塩とクレマスチン又はその塩との組み合わせは優れた胃粘膜障害抑制作用を示すことが判明した。
参考例1.ロキソプロフェン誘発消化管障害抑制試験(7)
Wistar系ラット(Std:Wistar/ST、雄、8週齢、体重187.3〜235.9g)を用い、被験薬物として、グアイフェネシン(GF)を0.5%メチルセルロース(MC)溶液に懸濁したものを用い、所定量(250、750mg/5mL/kg)を経口投与することにより、実施例6と同様に試験を実施した。被験薬物における潰瘍抑制率(%)を算出し、結果を表7に示した。
Figure 2011225529
表7から明らかなように、グアイフェネシンはロキソプロフェンに起因する胃粘膜障害を軽減した。
製造例1.錠剤の製造
9錠(1日量)中に以下の成分を含有する錠剤を、第十五改正日本薬局方 製剤総則の錠剤の項に準じて、常法により製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 204.3mg(ロキソプロフェンナトリウム無水物として180mg)
トラネキサム酸 750mg
クレマスチンフマル酸塩 1.34mg(クレマスチンとして1mg)
デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物 48mg
グアイフェネシン 250mg
ヒドロキシプロピルセルロース 72.9mg
カルメロースカルシウム 243mg
結晶セルロース 836.16mg
ステアリン酸マグネシウム 24.3mg
製造例2.錠剤の製造
9錠(1日量)中に以下の成分を含有する錠剤を、第十五改正日本薬局方 製剤総則の錠剤の項に準じて、常法により製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 204.3mg(ロキソプロフェンナトリウム無水物として180mg)
トラネキサム酸 750mg
クレマスチンフマル酸塩 1.34mg(クレマスチンとして1mg)
デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物 48mg
ヒドロキシプロピルセルロース 72.9mg
カルメロースカルシウム 243mg
結晶セルロース 1086.16mg
ステアリン酸マグネシウム 24.3mg
エフェドリン類、デキストロメトルファン又はその塩、チペピジン又はその塩、コデイン類、クロルフェニラミン又はその塩、クレマスチン又はその塩、ブロムヘキシン又はその塩、アンブロキソール又はその塩、キサンチン誘導体及びグアイフェネシンからなる群より選ばれる1種又は2種以上と、トラネキサム酸又はその塩との組み合わせは、優れたロキソプロフェンに起因する消化管障害軽減・抑制効果を有する。
したがって、本発明の医薬組成物は、ロキソプロフェンの優れたNSAIDの効果、トラネキサム酸の優れた抗炎症作用等、並びにエフェドリン類、デキストロメトルファン又はその塩、チペピジン又はその塩、コデイン類、クロルフェニラミン又はその塩、クレマスチン又はその塩、ブロムヘキシン又はその塩、アンブロキソール又はその塩、キサンチン誘導体及びグアイフェネシンからなる群より選ばれる1種又は2種以上が示す優れた薬理作用を奏するだけでなく、ロキソプロフェンに起因する消化管障害が軽減又は抑制された優れたものである。

Claims (9)

  1. 下記成分(A)、(B)及び(C)を含有する医薬組成物。
    (A)ロキソプロフェン又はその塩
    (B)トラネキサム酸又はその塩
    (C)エフェドリン類、デキストロメトルファン又はその塩、チペピジン又はその塩、コデイン類、クロルフェニラミン又はその塩、クレマスチン又はその塩、ブロムヘキシン又はその塩、アンブロキソール又はその塩、キサンチン誘導体及びグアイフェネシンからなる群より選ばれる1種又は2種以上
  2. 成分(A)が、ロキソプロフェンナトリウム水和物である請求項1記載の医薬組成物。
  3. ロキソプロフェンナトリウム水和物を、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で、10〜300mgを1日量として含有する請求項2記載の医薬組成物。
  4. 成分(B)を、トラネキサム酸フリー体換算で、50〜2000mgを1日量として含有する請求項1〜3いずれか1項に記載の医薬組成物。
  5. 成分(C)が、デキストロメトルファン又はその塩、チペピジン又はその塩及びグアイフェネシンからなる群より選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜4いずれか1項に記載の医薬組成物。
  6. 経口投与製剤である請求項1〜5いずれか1項に記載の医薬組成物。
  7. 固形製剤である請求項1〜6いずれか1項に記載の医薬組成物。
  8. 下記成分(B)と(C)との組み合わせを有効成分とする、非ステロイド性消炎鎮痛剤に起因する消化管障害の軽減又は抑制剤。
    (B)トラネキサム酸又はその塩
    (C)エフェドリン類、デキストロメトルファン又はその塩、チペピジン又はその塩、コデイン類、クロルフェニラミン又はその塩、クレマスチン又はその塩、ブロムヘキシン又はその塩、アンブロキソール又はその塩、キサンチン誘導体及びグアイフェネシンからなる群より選ばれる1種又は2種以上
  9. 非ステロイド性消炎鎮痛剤がロキソプロフェン又はその塩である請求項8記載の消化管障害の軽減又は抑制剤。
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