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JP2009100490A - 回転機およびその製造方法 - Google Patents

回転機およびその製造方法 Download PDF

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JP2009100490A JP2007266619A JP2007266619A JP2009100490A JP 2009100490 A JP2009100490 A JP 2009100490A JP 2007266619 A JP2007266619 A JP 2007266619A JP 2007266619 A JP2007266619 A JP 2007266619A JP 2009100490 A JP2009100490 A JP 2009100490A
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Hideaki Arita
秀哲 有田
Koki Naka
興起 仲
Kazumasa Ito
一将 伊藤
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

【課題】この発明は、分割されたティースと回転軸との係合構造を工夫し、ティースと回転軸との係合強度を遠心力に対する十分な強度に保つことができ、かつティースを回転軸に簡易に組み付けできる回転機の回転子およびその製造方法を得る。
【解決手段】第1及び第2分割鉄心21,28が、係合溝部を係合突起に嵌合させて軸方向および径方向の移動を規制され、かつ周方向に移動可能に、回転軸2の第2軸部4の外周面に圧接状態で周方向に隣接して配設されている。第3分割鉄心36が、締結部37の内径側の膨出部37aを、第1空間に嵌合させ、かつ第2分割鉄心28の締結部29に形成された嵌合凹部33に嵌合させて径方向および周方向の移動を規制されて、第2分割鉄心28間に軸方向移動可能に配設されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えば車載用の発電電動機などの回転機およびその製造方法に関し、特に界磁巻線が回転子鉄心に巻装された回転子構造およびその製造方法に関するものである。
例えば、界磁巻線を有する発電電動機は、車両に搭載され、エンジン始動時には、始動電動機として動作し、エンジン駆動中は発電機として動作する。始動電動機として使用する場合には、エンジンを瞬時に再始動させるために、高トルク、高出力が求められる。そして、高トルクを得る手段としては、界磁巻線の占積率を上げることが考えられる。つまり、界磁巻線の占積率を上げることは、界磁巻線の低抵抗化につながり、電源電圧一定の条件下で界磁電流値を増やすことが可能となり、回転子の起磁力が上がり、高出力、高トルクが得られる。
従来の電動機では、回転子鉄心は界磁巻線が巻装されるティース毎に分割構成され、分割されたティースは、回転子の径方向内側に突出した係合凸部を持つ第1ティースと、第1ティースの係合凸部が係合される嵌合凹部を持つ第2ティースとからなり、界磁巻線が巻装された第1および第2ティースを、係合凸部と嵌合凹部とを係合させつつ回転子の円周方向に沿って等角度間隔に交互に配列している(例えば、特許文献1参照)。この従来の電動機では、界磁巻線を組立前の第1および第2ティースのそれぞれに巻装できるので、界磁巻線を巻装しやすくなり、界磁巻線の占積率を高めることができる。
特開2003−134708号公報
しかしながら、従来の電動機では、第1および第2ティースは、延出方向を径方向内方とする係合突起と溝深さ方向を径方向内方とする嵌合凹部との係合により固着されているので、径方向外側への所定の引き抜き力が係合突起を有する第1ティースに作用すると、第1ティースは引き抜かれてしまう。
この種の回転機においては、回転子に作用する遠心力は、半径比で大きくなることから、従来の電動機における回転子構造では、遠心力に対する十分な強度を保つことができず、大型の回転機には適用できなかった。
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、回転子鉄心を構成する分割鉄心と回転軸との係合構造を工夫し、分割鉄心と回転軸との係合強度を遠心力に対する十分な強度に保つことができ、かつ分割鉄心を回転軸に簡易に組立/分解できる回転機およびその製造方法を得ることを目的とする。
この発明による回転機は、回転軸と、上記回転軸に固着された基部および該基部から放射状に、かつ等角度間隔で延設された複数のティース部を有する回転子鉄心と、上記複数のティース部のそれぞれに巻装された界磁巻線と、を有する回転子と、内径側に開口するスロットが周方向に複数配設され、上記回転子鉄心を囲繞するように配置された円筒状の固定子鉄心と、上記固定子鉄心に巻装された固定子巻線と、を有する固定子と、を備える。上記回転軸は、円柱状の軸部、および該軸部から一体に径方向外方に延出し、かつ周方向に延設され、周方向幅が径方向内方に漸次狭くなる楔状の第1空間が軸方向に穿設された係合突起から構成され、上記回転子鉄心は、上記ティース部、および上記基部を上記ティース部毎に周方向に分割された締結部からなる複数の分割鉄心から構成されている。上記複数の分割鉄心のなかの1つの分割鉄心の締結部の内径側が、上記第1空間の内形形状に適合する外形形状に作製され、上記複数の分割鉄心の残る分割鉄心の締結部の内径側が、上記第1空間の内形形状より小さい外形形状に作製され、上記係合突起に外嵌状態に嵌合される係合溝部が、上記残る分割鉄心のそれぞれの締結部に周方向に穿設されている。そして、上記残る分割鉄心が、軸方向および径方向の移動を規制され、かつ周方向に移動して、上記係合溝部を上記係合突起に嵌合させて、上記軸部の外周面に圧接状態で周方向に隣接して配設され、上記1つの分割鉄心が、径方向および周方向の移動を規制され、かつ軸方向に移動して、上記締結部の内径側を、上記第1空間に嵌合させ、かつ上記残る分割鉄心の周方向両端に位置する分割鉄心の締結部に形成された嵌合凹部に嵌合させて、上記残る分割鉄心の周方向両端に位置する分割鉄心間に配設されている。
この発明によれば、1つの分割鉄心が、締結部の内径側を、第1空間に嵌合させ、かつ残る分割鉄心の周方向両端に位置する分割鉄心の締結部に形成された嵌合凹部に嵌合させて径方向および周方向の移動を規制されて、残る分割鉄心の周方向両端に位置する分割鉄心間に軸方向移動可能に配設されている。そこで、回転軸に組み付けられた分割鉄心は径方向外方への引き抜き不能となり、回転子の大径化に伴う遠心力の増加に耐える十分な結合強度が得られる。
また、残る分割鉄心の締結部の内径側が第1空間より小さくなっているので、残る分割鉄心を第1空間から周方向に移動させることで、係合溝部を係合突起に嵌合させることができる。そして、1つの分割鉄心を軸方向に移動させるだけで、残る分割鉄心の周方向両端の分割鉄心間に組み付けることができ、回転子を簡易に組み立てることができる。
また、1つの分割鉄心が軸方向移動可能になっているので、1つの分割鉄心を軸方向に引き抜くことで、残る分割鉄心の周方向の移動が可能となり、回転子を簡易に分解することができる。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る回転機を軸方向一側から見た正面図である。図2はこの発明の実施の形態1に係る回転機の回転子における回転軸の構成を説明する図であり、図2の(a)は断面図、図2の(b)は正面図である。図3はこの発明の実施の形態1に係る回転機の回転子における第1ティースの構成を説明する図であり、図3の(a)は正面図、図3の(b)は側面図である。図4はこの発明の実施の形態1に係る回転機の回転子における第2ティースの構成を説明する図であり、図4の(a)は正面図、図4の(b)は側面図である。図5はこの発明の実施の形態1に係る回転機の回転子における第3ティースの構成を説明する図であり、図5の(a)は正面図、図5の(b)は側面図である。なお、図1では固定子巻線および界磁巻線のスロットからの延出部を省略して示している。
図1において、回転子1は、回転軸2と、回転軸2に同軸に固着された基部11および基部11から一体に放射状に、かつ等角度間隔で延設されたティース部23,30,38を有する回転子鉄心10と、断面円形の導体に絶縁被膜を被覆した素線としてのマグネットワイヤ13を回転子鉄心10のティース部23,30,38に巻回して作製された界磁巻線12と、を備える。回転子鉄心10は、基部11をティース部23,30,38毎に等角度間隔で分割してなる、例えば9個の第1分割鉄心21、2個の第2分割鉄心28、および1個の第3分割鉄心36から構成されている。固定子40は、内径側に開口するスロット42が周方向に等角度ピッチで例えば9個配列された円筒状の固定子鉄心41と、固定子鉄心41に巻装された固定子巻線43と、を有する。
回転機100は、回転子1が回転軸2を軸支されてケース(図示せず)内に回転自在に配設され、固定子40が回転子1の外周を所定の隙間を持って囲繞するようにケースに保持されて構成される。
つぎに、回転子1の構成を具体的に説明する。
回転軸2は、図2に示されるように、大径の第2軸部4が小径の第1軸部3の軸方向中央部に同軸に、かつ一体に形成された段付き円柱状に作製され、係合突起5が第2軸部4の軸方向中央部から一体に径方向外方に延出し、かつ周方向に延設され、第1空間8が軸方向に穿設された周方向C字状に作製されている。係合突起5は、所定の軸方向長さを有する突起部6、および突起部6より短い軸方向長さを有し、第2軸部4の軸方向中央部と突起部6の軸方向中央部とを連結する基部7を有し、第1軸部3、すなわち回転軸2の軸心を含む平面における断面がT字状に形成されている。第1空間8は、係合突起5のC字状の相対する壁面間に形成され、周方向幅が径方向内方に漸次狭くなる楔状に構成されている。第1空間8は、回転軸2の軸心を中心に係合突起5を周方向に12等分した楔状空間より周方向幅が広くなっている。第2空間9は、第1空間8の径方向内周端より周方向幅を広げた断面楕円形をなし、第1空間8の径方向内端に連結するように第1および第2軸部3,4に凹設されて軸方向に延設されている。
第1分割鉄心21は、回転子鉄心10を周方向に12等分した形状に作製されている。つまり、第1分割鉄心21は、図3に示されるように、周方向幅が径方向内方に狭くなる楔状をなし、内径側端面が回転軸2の第2軸部4の外周面に合わせた凹曲面に形成され、第2軸部4の外周面に圧接される締結部22、締結部22から径方向外側に延設され、界磁巻線12が巻装されるティース部23、およびティース部23の先端から周方向に両側に突設された鍔部24から構成されている。そして、係合突起5に外嵌状態に嵌合される係合溝部25が締結部22の軸方向中央部に周方向に穿設されている。この係合溝部25は、回転軸2の軸心を含む平面における係合突起5の外形形状にほぼ一致する内形形状に形成されている。
第2分割鉄心28は、図4に示されるように、周方向幅が径方向内方に狭くなる楔状をなし、内径側端面が回転軸2の第2軸部4の外周面に合わせた凹曲面に形成され、第2軸部4の外周面に圧接される締結部29、締結部29から径方向外側に延設され、界磁巻線12が巻装されるティース部30、およびティース部30の先端から周方向に両側に突設された鍔部31から構成されている。そして、係合突起5に外嵌状態に嵌合される係合溝部32が締結部29の軸方向中央部に周方向に穿設されている。そして、係合溝部32は、回転軸2の軸心を含む平面における係合突起5の外形形状にほぼ一致する内形形状に形成されている。締結部29の周方向一側の側面の内径側には、後述する第3分割鉄心36の締結部37の周方向側部の内径側の膨出部37aに合わせた嵌合凹部33が凹設されている。
第3分割鉄心36は、図5に示されるように、周方向幅が径方向内方に狭くなる楔状をなし、第2分割鉄心28の締結部29に挟持される締結部37、締結部37から径方向外側に延設され、界磁巻線12が巻装されるティース部38、およびティース部38の先端から周方向に両側に突設された鍔部39から構成されている。そして、係合突起5に対応する締結部37の内径側が周方向に膨出し、回転軸2の軸心を含む平面における第1空間8の内形形状にほぼ一致する外形形状の膨出部37aが形成されている。また、第2空間9の内形形状にほぼ一致する外形形状の嵌入部37bが締結部37の先端に一体に突設されている。
ここで、締結部29は嵌合凹部33を除いて締結部22と同形状であり、締結部37は膨出部37aおよび嵌入部37bを除いて締結部22と同形状である。締結部37の内径側は、第1空間8と同じ断面形状であり、膨出部37aを形成している分、回転子鉄心10の基部11を周方向に12等分して作製されている第1分割鉄心21の締結部22より周方向幅が広くなっている。この締結部37の内径側の膨出部37aが第2分割鉄心28の締結部29の嵌合凹部33に嵌入される。
また、第1乃至第3分割鉄心21,28,36は、例えば電磁鋼板を積層一体化して作製してもよいし、S10Cなどの低炭素鋼で冷間鍛造製法により作製してもよい。
そして、9個の第1分割鉄心21が、界磁巻線12をティース部23に巻装し、締結部22の内径側端面を第2軸部4に当接させ、締結部22の周方向側面同士を当接させ、かつ係合溝部25を係合突起5に嵌合させて、周方向に隣接して配列されている。2個の第2分割鉄心28が、界磁巻線12をティース部30に巻装し、締結部29の内径側端面を第2軸部4に当接させ、締結部29の周方向側面を締結部22の周方向側面に当接させ、かつ係合溝部32を係合突起5に嵌合させて、周方向両側の第1分割鉄心21に隣接して配列されている。さらに、第3分割鉄心36が、界磁巻線12をティース部38に巻装し、締結部37の周方向両側の膨出部37aを締結部29の嵌合凹部33に当接させて第1空間8に嵌め込み、かつ嵌入部37bを第2空間9に嵌め込んで、第2分割鉄心28間に配置され、回転子1が組み立てられている。
このように構成された回転子1では、界磁巻線12が組立前の第1乃至第3分割鉄心21,28,36のティース部23,30,38に巻装されるので、第1乃至第3分割鉄心21,28,36のティース部23,30,38間に形成されるスペース(スロット)に対する界磁巻線12の占める割合である占積率を上げることができ、界磁巻線12の低抵抗化が図られる。そこで、回転子1を組み込んだ回転機100は、電源電圧一定の条件下で界磁電流値を増やすことが可能となり、回転子1の起磁力が上がり、高出力、高トルクを得ることができる。
第1および第2分割鉄心21,28が係合溝部25,32を断面T字状の係合突起5に嵌合させ、かつ締結部22,29を互いに当接させて周方向に配列されている。さらに、第3分割鉄心36が締結部37の膨出部37aを周方向に相対する締結部29の嵌合凹部33に嵌合させ、かつ嵌入部37bを第2空間9に嵌合させて第2分割鉄心28間に配設されている。そこで、第1乃至第3分割鉄心21,28,36は径方向外方への引き抜き不能となっており、回転子1の大径化に伴う遠心力の増加に耐える回転子鉄心構造を実現できる。
つぎに、このように構成された回転子1の組み立てについて図6および図7を参照しつつ説明する。
まず、界磁巻線12が巻装された第1分割鉄心21の締結部22を回転軸2の第1空間8に差し込む。そして、第1分割鉄心21の係合溝部25を係合突起5に外嵌状態に嵌め込みつつ、図6の(a)および図7の(a)に矢印で示されるように、係合突起5を案内にして第1分割鉄心21を周方向に移動させる。このようにして、9個の第1分割鉄心21を順次回転軸2に装着する。なお、図6の(b)では、3個の第1分割鉄心21が回転軸2に装着された状態を示している。
ついで、界磁巻線12が巻装された1個の第2分割鉄心28の締結部29を回転軸2の第1空間8に差し込む。そして、第2分割鉄心28の係合溝部32を係合突起5に外嵌状態に嵌め込みつつ、係合突起5を案内にして第2分割鉄心28を周方向の一側に移動させる。ついで、界磁巻線12が巻装された残る1個の第2分割鉄心28の締結部29を回転軸2の第1空間8に差し込む。そして、第2分割鉄心28の係合溝部32を係合突起5に外嵌状態に嵌め込みつつ、係合突起5を案内にして第2分割鉄心28を周方向の他側に移動させる。これにより、図6の(c)に示されるように、9個の第1分割鉄心21が軸心から放射状に延び、かつ周方向に互いに隣接して配列され、さらに2個の第2分割鉄心28が9個の第1分割鉄心21の周方向両側に隣接して配列される。
ついで、界磁巻線12が巻装された第3分割鉄心36を、図7の(b)に示されるように、回転軸2の軸心方向に平行移動させ、締結部37を第1空間8に嵌め込み、かつ膨出部37aを締結部29の嵌合凹部33に嵌め込むと同時に、嵌入部37bを第2空間9に嵌め込み、回転子1が組み立てられる。このとき、締結部37の膨出部37aが第1空間8および嵌合凹部33に圧入され、かつ嵌入部37bが第2空間9に圧入されて、第3分割鉄心36の周方向および径方向の移動が規制されると同時に、第1および第2分割鉄心21,28の周方向の移動が阻止される。また、係合溝部25,32と係合突起5との嵌合により、第1および第2分割鉄心21,28の径方向および軸方向の移動が規制される。さらに、膨出部37aの第1空間8および嵌合凹部33への圧入力、および嵌入部37bの第2空間9への圧入力により、第3分割鉄心36の軸方向の抜き力が調整される。
また、回転子1を分解するには、まず、膨出部37aの第1空間8および嵌合凹部33への圧入力および嵌入部37bの第2空間9への圧入力以上の抜き力で第3分割鉄心36を嵌合凹部33および第1および第2空間8,9から軸方向に抜き出す。ついで、第2および第1分割鉄心28,21をそれぞれ周方向に第1空間8まで移動させ、第1空間8から取り出す。これにより、第1乃至第3分割鉄心21,28,36を容易に分解することができる。
ここで、第1乃至第3分割鉄心21,28,36と回転子1とを連結一体化して剛性を高める観点から、係合溝部25,32の内形形状を係合突起5の外形形状より僅かに小さく作製することが好ましく、膨出部37aおよび嵌入部37bの外形形状を嵌合凹部33および第1および第2空間8,9の内形形状より僅かに大きく作製することが好ましい。
そこで、第1および第2分割鉄心21,28を回転軸2に組み付ける工程では、第1および第2分割鉄心21,28をマグネットワイヤ13の絶縁被膜を劣化させない程度の温度まで加熱して、回転軸2に組み付けることが好ましい。この焼き嵌めにより、僅かに小さい内形形状の係合溝部25,32を膨張させて、係合突起5に容易に嵌合できる。そして、第1および第2分割鉄心21,28の温度が常温に戻ると、係合溝部25,32の内径形状が元の形状にまで収縮して係合突起5に強固に固着され、剛性が高くなり、騒音や振動の発生が抑えられる。
また、第3分割鉄心36を回転軸2に組み付ける工程では、第3分割鉄心36を冷却して、回転軸2に組み付けることが好ましい。この冷やし嵌めにより、僅かに大きな外形形状の膨出部37aおよび嵌入部37bを収縮させて、嵌合凹部33および第1および第2空間8,9に容易に嵌合できる。そして、第3分割鉄心36の温度が常温に戻ると、膨出部37aおよび嵌入部37bの外形形状が元の状態にまで膨張して嵌合凹部33および第1および第2空間8,9に強固に固着され、剛性が高くなり、騒音や振動の発生が抑えられる。
つぎに、この発明による分割鉄心と回転軸との係合構造における係合強度について図8を参照しつつ説明する。
図8はこの発明における分割鉄心が嵌合する回転軸の係合突起にかかる応力の計算パラメータを説明する断面図である。
図8において、回転軸110は、円柱状の軸部111と、軸部111の外周壁面に一体に形成された係合突起112と、を有する。係合突起112は、軸部111の外周壁面に突設された軸方向幅laを有するリング状の基部113と、基部113の先端に一体に形成された軸方向幅Lで径方向厚みhのリング状の突起部114と、を備え、軸部111の軸心を含む平面における断面がT字状になっている。但し、突起部114の軸方向幅Lは基部113の軸方向幅laより広い。
ここで、回転軸110の係合突起112にかかる応力σは、等分布荷重をwとすると、式(1)で表される。
σ=w×(L−l×6/(8×h) ・・・式(1)
式(1)から、応力σは、突起部114の径方向厚みhが大きくなるほど、或いは突起部114の基部113からの軸方向延出長さ(L−la)が小さくなるほど、小さくなることがいえる。
従来の電動機では、回転子鉄心がティース毎に周方向に分割され、係合凸部および嵌合凹部が分割された各ティースに回転軸の軸方向に延設されているので、係合凸部および嵌合凹部の突片の周方向幅は狭いものとなり、所定の強度を得るためには軸方向長さを短くできない。このことは、遠心力の増大に伴い等分布荷重wが大きくなった場合には、係合凸部および嵌合凹部の突片の軸方向長さを短くして係合凸部および嵌合凹部の突片にかかる応力を小さくことができず、過大な応力が係合凸部および嵌合凹部の突片にかかることを意味する。その結果、従来の電動機の回転子構造では、大径の回転子にかかる大きな遠心力に耐えるに十分な係合強度が得られない。
本発明では、係合突起112を周方向に延設しているので、突起部114の基部113からの軸方向延出長さ(L−la)を小さくしても、所定の強度が得られる。また、構造上、突起部114の径方向厚みhを大きくすることが可能である。そこで、遠心力の増大に伴い等分布荷重wが大きくなった場合には、突起部114の基部113からの軸方向延出長さ(L−la)を小さくして、或いは突起部114の径方向厚みhを大きくして、突起部114にかかる応力を小さくことができ、過大な応力が突起部114にかかることを回避できる。その結果、本発明では、大径の回転子にかかる大きな遠心力に耐えるに十分な係合強度を得ることができる。
実施の形態1では、遠心力により第1乃至第3分割鉄心21,28,36に作用する径方向への引き抜き力は、主に係合溝部25,32と係合突起5との嵌合部で受けられている。当該嵌合部はT字状に構成されていることから、突起部6および基部7が図7のモデルにおける突起部114および基部113に相当する。そこで、この実施の形態1においても、式(1)から突起部6の基部7からの軸方向延出長さを短くする、もしくは突起部6の径方向厚さを厚くすることで、遠心力に対する十分な結合強度を得ることができ、大型の回転機に適用できる。
なお、上記実施の形態1では、1つの断面T字状の係合突起5が第2軸部4に突設されているものとしているが、係合突起5の形状および配置はこれに限定されるものではない。例えば、図9に示されるように、2つの断面T字状の係合突起5を第2軸部4に軸方向に離間して2段に突設してもよい。この場合、2つの係合溝部を軸方向に離間して第1および第2分割鉄心の締結部に穿設することになる。また、図10に示されるように、断面T字状の係合突起を径方向に2段に重ねて第2軸部に突設してもよい。この場合、2つの係合溝部を径方向に2段に重ねて第1および第2ティースの締結部に穿設することになる。
また、上記実施の形態1では、係合突起5が断面T字状に形成されているものとしているが、係合突起の断面形状は、これに限定されるものではなく、嵌合された締結部の周方向の移動を可能に、かつ径方向および軸方向の移動を規制できればよく、例えば軸方向長さが径方向外方に漸次長くなる断面台形でもよい。なお、断面台形の係合突起の場合、式(1)におけるlaが断面台形の頂辺(短辺)の長さに対応し、Lが底辺(長辺)の長さに対応する。
また、上記実施の形態1では、素線としての導体の表面に絶縁層を被覆形成したマグネットワイヤをティース部に巻回して界磁巻線を作製するものとしているが、素線として導体の表面に絶縁層を被覆し、その絶縁層の表面に融着層をさらに被覆形成した自己融着線を用いてティース部に巻回した後、素線同士を自己融着して一体化するようにしてもよい。この場合、界磁巻線を構成する素線のばらつきがなく、かつ遠心力による界磁巻線の移動も防止できる。
また、上記実施の形態1では、回転子鉄心10が周方向に12分割されているものとしているが、回転子鉄心10の分割数は12に限定されるものではなく、ティース部毎に分割されていればよい。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、素線として断面円形の導体に絶縁被膜を被覆したマグネットワイヤ13を用いるものとしているが、この実施の形態2では、図11に示されるように、素線として断面矩形の導体に絶縁被膜を被覆したマグネットワイヤ14を用いるものとしている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態2では、断面矩形のマグネットワイヤ13を用いているので、マグネットワイヤ14をティース部23,30,38に隙間無く、整然と巻装することができる。これにより、第1乃至第3分割鉄心21,28,36のティース部23,30,38間に形成されるスペース(スロット)に対する界磁巻線12Aの占める割合である占積率を一層高めることができ、高出力化、高トルク化を図ることができる。
実施の形態3.
この実施の形態3では、図12に示されるように、第1乃至第3分割鉄心21,28,36の径方向最外周面から突出しないように、永久磁石15を第1乃至第3分割鉄心21,28,36の径方向最外周面に固着している。そして、周方向に隣り合う永久磁石15は、互いに極性が異なるように着磁されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態3では、永久磁石15の磁束が界磁巻線12による磁束に付加されるので、回転子の起磁力が増加し、高出力化、高トルク化を図ることができる。
ここで、永久磁石15としては、例えばネオジウム、サマリウムなどの希土類磁石元素を含む材料で作製された希土類磁石が用いられる。
実施の形態4.
この実施の形態4では、図13に示されるように、第1乃至第3分割鉄心21,28,36の締結部22,29,37の周方向側面にシム装着溝16を凹設し、回転子の組立時に、シム17をシム装着溝16に装着している。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態4では、シム17が締結部22,29,37間に介装されているので、シム17の厚みを調整することで、第1乃至第3分割鉄心21,28,36の加工精度のバラツキに起因する第1乃至第3分割鉄心21,28,36の配列ピッチのアンバランスを解消できる。これにより、第1乃至第3分割鉄心21,28,36の配列ピッチのアンバランスによる騒音や振動の発生を抑えることができる。
ここで、シム17は必ずしも隣接する締結部22,29,37間の全てに介装させる必要はなく、第1乃至第3分割鉄心21,28,36の加工精度のバラツキを考慮してシム17の介装数を調整すればよい。これにより、シム17の介装数が少なくなり、低コスト化が図られる。また、第1乃至第3分割鉄心21,28,36の配列ピッチのアンバランスを解消させる観点から、シム17を等角度ピッチに介装することが好ましい。これにより、騒音や振動の発生が抑制される。
また、固定子との間での磁気騒音を低減する観点から、シム17の介装数を、回転子鉄心のティース部の総数の因数で、かつ固定子鉄心のスロットの総数の因数でない数とすることが、好ましい。例えば、回転子鉄心が12個のティース部を有し、固定子鉄心が9個のスロットを有する場合、シム17の介装数は、2、4、6、12となる。
ここで、シムの介装数をスロット数の因数でない数とすることについて説明する。
回転子のバランスを考えると、回転鉄心の総数の因数(1を除く)で等間隔にシムを入れる必要がある。磁気騒音の発生要因となるトルク脈動は、一般的に、スロット数と極数の最小公倍数で発生する。極数というのは固定子側からみると、回転子が発生する磁束の変化の数といえる。それと、同様にシムを入れることにより、回転子鉄心と隣り合う回転子鉄心との幅が異なる箇所が存在するため、回転子周方向に磁束の変化が発生する。シムの介装数としてスロット数の因数である数を選択すると、スロット数との最小公倍数が小さくなることを意味する。そのため、シムの介装数は、スロット数の因数でない数であることが望ましい。
実施の形態5.
この実施の形態5では、図14に示されるように、周方向に隣り合う鍔部24,31,39間の隙間dが界磁巻線12を構成するマグネットワイヤ13の線径より狭くなるように、第1乃至第3分割鉄心21,28,36を作製している。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態5によれば、鍔部24,31,39間の隙間dが界磁巻線12を構成するマグネットワイヤ13の線径より狭いので、遠心力が界磁巻線12に作用しても、界磁巻線12の飛び出しが防止できる。これにより、界磁巻線12の保持機構が不要となり、その分低コスト化が図られる。
この発明の実施の形態1に係る回転機を軸方向一側から見た正面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転機の回転子における回転軸の構成を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係る回転機の回転子における第1ティースの構成を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係る回転機の回転子における第2ティースの構成を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係る回転機の回転子における第3ティースの構成を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係る回転機の回転子の組み立て工程を説明する正面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転機の回転子の組み立て工程を説明する断面図である。 この発明における分割鉄心が嵌合する回転軸の係合突起にかかる応力の計算パラメータを説明する断面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転機の回転子に適用される回転軸の実施態様を示す断面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転機の回転子に適用される回転軸の他の実施態様を示す断面図である。 この発明の実施の形態2に係る回転機の回転子の要部を示す正面図である。 この発明の実施の形態3に係る回転機の回転子の要部を示す正面図である。 この発明の実施の形態4に係る回転機の回転子の要部を示す正面図である。 この発明の実施の形態5に係る回転機の回転子の要部を示す正面図である。
符号の説明
1 回転子、2 回転軸、3 第1軸部、4 第2軸部、5 係合突起、8 第1空間、9 第2空間、10 回転子鉄心、11 基部、12,12A 界磁巻線、13,14 マグネットワイヤ(素線)、15 永久磁石、17 シム、21 第1分割鉄心、22 締結部、23 ティース部、24 鍔部、25 係合溝部、28 第2分割鉄心、29 締結部、30 ティース部、31 鍔部、32 係合溝部、33 嵌合凹部、36 第3分割鉄心、37 締結部、37a 膨出部、37b 嵌入部、38 ティース部、39 鍔部、40 固定子、41 固定子鉄心、42 スロット、43 固定子巻線。

Claims (14)

  1. 回転軸と、上記回転軸に固着された基部および該基部から放射状に、かつ等角度間隔で延設された複数のティース部を有する回転子鉄心と、上記複数のティース部のそれぞれに巻装された界磁巻線と、を有する回転子と、
    内径側に開口するスロットが周方向に複数配設され、上記回転子鉄心を囲繞するように配置された円筒状の固定子鉄心と、上記固定子鉄心に巻装された固定子巻線と、を有する固定子と、を備えた回転機において、
    上記回転軸は、円柱状の軸部、および該軸部から一体に径方向外方に延出し、かつ周方向に延設され、周方向幅が径方向内方に漸次狭くなる楔状の第1空間が軸方向に穿設された係合突起から構成され、
    上記回転子鉄心は、上記ティース部、および上記基部を上記ティース部毎に周方向に分割された締結部からなる複数の分割鉄心から構成され、
    上記複数の分割鉄心のなかの1つの分割鉄心の締結部の内径側が、上記第1空間の内形形状に適合する外形形状に作製され、
    上記複数の分割鉄心の残る分割鉄心の締結部の内径側が、上記第1空間の内形形状より小さい外形形状に作製され、
    上記係合突起に外嵌状態に嵌合される係合溝部が、上記残る分割鉄心のそれぞれの締結部に周方向に穿設され、
    上記残る分割鉄心が、軸方向および径方向の移動を規制され、かつ周方向に移動して、上記係合溝部を上記係合突起に嵌合させて、上記軸部の外周面に圧接状態で周方向に隣接して配設され、
    上記1つの分割鉄心が、径方向および周方向の移動を規制され、かつ軸方向に移動して、上記締結部の内径側を、上記第1空間に嵌合させ、かつ上記残る分割鉄心の周方向両端に位置する分割鉄心の締結部に形成された嵌合凹部に嵌合させて、上記残る分割鉄心の周方向両端に位置する分割鉄心間に配設されていることを特徴とする回転機。
  2. 上記第1空間の径方向内端の周方向幅より広い周方向幅を有する第2空間が上記第1空間の径方向内端に連結されるように上記軸部に軸方向に延設され、
    上記第2空間に内嵌状態に嵌入された嵌入突起が上記1つの分割鉄心の締結部の径方向内端に一体に突設されていることを特徴とする請求項1記載の回転機。
  3. 上記係合突起および係合溝部が軸方向に多段に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回転機。
  4. 上記係合突起および係合溝部が径方向に多段に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回転機。
  5. 上記界磁巻線の素線が自己融着巻線であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の回転機。
  6. 上記界磁巻線の素線が断面矩形の巻線であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の回転機。
  7. 上記回転子鉄心の周方向に隣り合う上記ティース部の径方向外周部の周方向隙間が上記界磁巻線の素線の線径より狭いことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の回転機。
  8. 永久磁石が上記複数の分割鉄心のそれぞれの径方向外周面に装着されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の回転機。
  9. シムが周方向に隣り合う上記締結部間の少なくとも1つに介装されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の回転機。
  10. 上記シムが介装される周方向に隣り合う上記締結部間の数は、上記ティース部の総数の因数であり、かつ上記スロットの総数の因数でないことを特徴とする請求項9記載の回転機。
  11. 上記シムが等角度ピッチで介装されていることを特徴とする請求項9又は請求項10記載の回転機。
  12. 請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の回転機の製造方法において、
    上記残りの分割鉄心のそれぞれの分割鉄心の締結部の内径側を上記回転軸の上記第1空間内に位置させ、ついで上記係合溝部を上記係合突起に嵌合させつつ周方向に移動させて、上記回転軸に組み付ける第1工程と、
    上記1つの分割鉄心の締結部を軸方向に移動させ、上記第1空間および上記残りの分割鉄心の周方向両端の分割鉄心の締結部の上記嵌合凹部に嵌合させて、上記回転軸に組み付ける第2工程と、を備えることを特徴とする回転機の製造方法。
  13. 上記第1工程において、上記残りの分割鉄心がそれぞれ加熱された状態で上記回転軸に組み付けられることを特徴とする請求項12記載の回転機の製造方法。
  14. 上記第2工程において、上記1つの分割鉄心が冷却された状態で上記回転軸に組み付けられることを特徴とする請求項12記載の回転機の製造方法。
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