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JP4286829B2 - 回転機の製造方法 - Google Patents

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JP4286829B2
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Description

本発明は、磁石が円環状に配設されてなる外側回転子と、該外側回転子の内側に配設され、各々に巻線が巻回された複数の極部が外側へ放射線状に突設されてなる内側固定子とを具備する回転機の製造方法に関する。
また、本発明は、磁石が円環状に配設されてなる固定子と、該固定子の内側に配設され、各々に巻線が巻回された複数の極部が外側へ放射線状に突設されてなる回転子とを具備する回転機の製造方法に関する。
従来より、円環状の外側固定子の内側に回転子が配設された回転機として、例えば、図5に示すような、インナーロータ型のモータ90が知られている。該インナーロータ型のモータ90の外側固定子は、ステータコアをティース部毎に分割した分割コア91を円環状に組み合わせて、レーザ溶接等により締結されており、円環状に組み合わされた分割コア91の外周側には筒状部材92が配設されている。該筒状部材92により外周面の位置が規制された各分割コア91は、隣接する分割コア91のヨーク部同士が密接した状態で円環状に維持されている(例えば特許文献1参照)。
特開2002−58181号公報
一方、円環状の外側回転子の内側に、内側固定子が配設されてなる回転機として、例えば、アウターロータ型のモータが知られているが、アウターロータ型のモータの内側固定子をティース部毎に分割した分割コアとして円環状に締結することは困難である。アウターロータ型のモータの内側固定子は、ティース部が外側へ向かって放射線状に突出しており、該ティース部に対して所定の磁気ギャップを隔てて円環状の外側回転子が配設されるので、内側固定子の外周に上記筒状部材92のような部材を嵌め込むことはできない。また、内側固定子の中空部にはモータの軸等が圧入される。これにより、内側固定子に対して径方向外側の応力が加わるので、内側固定子を分割すれば、分割コアが径方向外側へ容易に広がってしまうという問題がある。
したがって、アウターロータ型のモータの内側固定子は、円環状のステータコアを一体として形成さざるを得ないが、例えば、電磁鋼板を円環状のステータコアの形状に打ち抜き積層する場合に、円環状のステータコアを一体に打ち抜くと歩留まりが低くなるという問題がある。また、一体のステータコアのティース部には、巻線作業時に隣り合うティース部が邪魔となって、集中巻線がし難いという問題がある。したがって、ティース部への巻線は主として分布巻きになるが、その結果、巻線の占積率が低くなってモータ性能の向上が困難となったり、分布巻きの重なり部分がステータコアの軸方向に膨らんで、モータの小型化が困難になるという問題が生じる。
また、円環状の固定子の内側に、回転子が配設されてなる回転機として、例えば、ブラシ付き直流モータが知られている。ブラシ付き直流モータの回転子においても、前述のアウターロータ型のモータと同様に、ティース部毎に分割された分割コアを円環状に締結することは困難である。したがって、前述と同様に、ティース部への巻線を分布巻きにすれば、巻線の占積率が低くなってモータ性能の向上が困難となったり、分布巻きの重なり部分がステータコアの軸方向に膨らんで、モータの小型化が困難になるという問題が生じる。
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、磁石が円環状に配設されてなる外側回転子と、該外側回転子の内側に配設され、各々に巻線が巻回された複数の極部が外側へ放射線状に突設されてなる内側固定子とを具備する回転機において、内側固定子が外力を受けて径方向外側へ広がることなく、所定の極部毎に内側固定子を分割可能とする手段を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、磁石が円環状に配設されてなる固定子と、該固定子の内側に配設され、各々に巻線が巻回された複数の極部が外側へ放射線状に突設されてなる回転子とを具備する回転機において、回転子が外力を受けて径方向外側へ広がることなく、所定の極部毎に回転子を分割可能とする手段を提供することを目的とする。
本発明は、磁石が円環状に配設されてなる外側回転子と、該外側回転子の内側に配設され、各々に巻線が巻回された複数の極部が外側へ放射線状に突設されてなる内側固定子と、を具備する回転機の製造方法であって、所定の極部毎に分割されており、巻線が巻回される極部と他の分割固定子と連結されるコアヨーク部とをそれぞれ有する同一形状の複数の鋼板が積層されて一体に嵌合され、当該コアヨーク部において隣り合うコアヨーク部と隣接する隣接面に、当該隣接面から円環状の配列における周方向へ凹み、当該隣接面に沿った開口部より奥部側が幅広のあり溝である係合凹部、又は、当該隣接面から円環状の配列における周方向へ凸であり、当該隣接面に沿った基部より先端部側が幅広であって上記あり溝と係合し得る係合凸部のいずれか一方が形成された複数の分割固定子を、上記係合凹部と上記係合凸部とを隙間嵌めにして相互に係合して円環状に配列し、上記円環状に配列された分割固定子の内側に円柱形状の芯部材を圧入することによって、上記複数の分割固定子における係合凹部と係合凸部との係合を強固にして、上記内側固定子とするものである。
ここで、開口部とは、隣接面から周方向へ形成された係合凹部が隣接面に開口した部分をいい、奥部とは、該係合凹部が凹んでいる奥側の部分をいう。また、基部とは、隣接面から周方向へ形成された係合凸部の隣接面に沿った基の部分をいい、先端部とは、該係合凸部が突出する先端の部分をいう。
また、上記分割固定子を円環状に配列する前に、磁気回路を形成する各相毎に、所定の複数の分割固定子の極部に巻線を並列巻きしてもよい。
また、本発明は、磁石が円環状に配設されてなる固定子と、該固定子の内側に配設され、各々に巻線が巻回された複数の極部が外側へ放射線状に突設されてなる回転子とを具備する回転機の製造方法であって、所定の極部毎に分割されており、巻線が巻回される極部と他の分割コアと連結されるコアヨーク部とをそれぞれ有する同一形状の複数の鋼板が積層されて一体に嵌合され、当該コアヨーク部において隣り合うコアヨーク部と隣接する隣接面に、当該隣接面から円環状の配列における周方向へ凹み、当該隣接面に沿った開口部より奥部側が幅広のあり溝である係合凹部、又は、当該隣接面から円環状の配列における周方向へ凸であり、当該隣接面に沿った基部より先端部側が幅広であって上記あり溝と係合し得る係合凸部のいずれか一方が形成された複数の分割コアを、上記係合凹部と上記係合凸部とを隙間嵌めにして相互に係合して円環状に配列し、上記円環状に配列された分割コアの内側に円柱形状の芯部材を圧入することによって、上記複数の分割固定子における係合凹部と係合凸部との係合を強固にして、上記回転子とするものである。
ここで、開口部とは、隣接面から周方向へ形成された係合凹部が隣接面に開口した部分をいい、奥部とは、該係合凹部が凹んでいる奥側の部分をいう。また、基部とは、隣接面から周方向へ形成された係合凸部の隣接面に沿った基の部分をいい、先端部とは、該係合凸部が突出する先端の部分をいう。
また、上記分割コアを円環状に配列する前に、磁気回路を形成する各相毎に、所定の複数の分割コアの極部に巻線を並列巻きしてもよい。
本発明によれば、所定の極部毎に分割された分割固定子が、少なくとも周方向の密接状態を維持するように係合されて隣接するので、該分割固定子の円環状に配列が維持される。したがって、分割固定子が径方向外側へ容易に広がってしまうことがない。これにより、分割固定子の極部への集中巻線が可能となり、回転機の性能の向上及び小型化を図ることができる。
また、本発明によれば、所定の極部毎に分割された分割コアが、少なくとも周方向の密接状態を維持するように係合されて隣接するので、該分割コアの円環状に配列が維持される。したがって、分割コアが径方向外側へ容易に広がってしまうことがない。これにより、分割コアの極部への集中巻線が可能となり、回転機の性能の向上及び小型化を図ることができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態においては、本発明に係る回転機を電動機として説明するが、本発明に係る回転機を同様の構成で発電機としても実施できる。
図1は、本発明の実施の形態に係るブラシレスモータ1(回転機,電動機)の構成を示すものである。該ブラシレスモータ1は、内側固定子2と外側回転子3とから構成されるアウターロータ型のものであり、内側固定子2の外周側に所定の磁気ギャップを隔てて外側回転子3が配設され、内側固定子2により形成される回転磁界により外側回転子3が回転するように構成されている。
内側固定子2は、ブラシレスモータ1の軸となるシャフト20(芯部材)と、コイル21(巻線)が巻回された18個の分割コア22(分割固定子)が円環状に連結されたステータコア23とからなる。一方、外側回転子3は、上記シャフト20を軸として回転するリング部材30と、該リング部材30の内周面に固定された20極の磁石31とからなる。磁石31は、磁石粒子が焼結された永久磁石であり、周方向にN極とS極とが交互となって20極の磁極が形成されている。
なお、磁石31は、円筒状に焼結された所謂リングマグネットや各磁極で分割されたもの等、周知のモータ用磁石を用いることができる。また、図には示していないが、上記内側固定子2と外側回転子3とはブラシレスモータ1のフレーム内に収容されている。また、なお、本実施の形態では、20極・18スロットのブラシレスモータ1を例に説明しているが、本発明において回転機の極数及びスロット数は特に限定されるものではない。
上記内側固定子2を構成する18個の各分割コア22は、円環状に連結される配置が異なる他は同形状のものであり、各分割コア22が連結されて1つの円環状のステータコア23を構成している。なお、本実施の形態では、分割コア22はステータコア23をティース部24毎に分割されたものとしたが、本発明において分割コア22は必ずしもティース部24毎に分割されたものである必要はなく、ステータコア23が複数に分割されていれば、例えば、所定の幾つかのティース部24毎にステータコア23を分割したものであってもよい。
図2に示すように、分割コア22は、コイル21が巻回されるティース部24が、他の分割コア22と円環状に連結されるコアヨーク部25から突出したものであり、平面視において同一形状の複数の鋼板が積層され、半抜きされたカシメ部26が上下方向の鋼板と嵌合することにより一体とされている。コアヨーク部25は、円環状のステータコア23の周方向の幅の18分の1となる弧状に形成されている。ティース部24は、該コアヨーク部25からステータコア23の径方向外側へ突出しており、絶縁のためのインシュレータ等を介してコイル21が巻回される。
コイル21の巻回は、各分割コア22が独立した状態でなされる。これにより、各分割コア22のティース部24周りに巻線作業のための空間を確保することができるので、ティース24にコイル21を密に巻回することができる。コイル21の巻回方法は特に限定されるものではないが、フライヤ式又はノズル式の巻線機を用いて複数の分割コア22に対して1本の銅線を連続して巻回し、該複数の分割コア22をコイル21間の渡り線により連結させて1群のものとすれば、複数の分割コア22の1群を、例えばU相、V相、W相の各相に対応させて所定の配置で円環状に連結することができ、結線作業が簡略化されるので好適である。
図2及び図3に示すように、分割コア22のコアヨーク部25の隣接面27には係合凹部28及び係合凸部29がそれぞれ形成されている。隣接面27は、各分割コア22が、図1に示すような円環状のステータコア23として組み合わされる場合に、隣り合う分割コアのコアヨーク部25と接触する面であり、ステータコア23の径方向となるコアヨーク部25の両端において、ステータコア23の軸方向となる平面をなしている。また、係合凹部28及び係合凸部29は、該隣接面27の上下方向、換言すれば円環状のステータコア23の軸方向に沿ってそれぞれ形成されている。
係合凹部28は、上記コアヨーク部25の隣接面27からステータコア23の周方向へ凹欠されたものである。図3に示すように、係合凹部28が隣接面27に開口する開口部28Aの径方向の幅W1に対して、係合凹部28の奥部28Bの径方向の幅W2が幅広となっており、開口部28Aから奥部28Bへは連続的に拡幅されるあり面28Cが形成されている。
一方、係合凸部29は、上記コアヨーク部25の隣接面27からステータコア23の周方向へ突出されたものである。図に示すように、係合凸部29の隣接面27に沿った基部29Aの径方向の幅W1に対して、係合凸部29の先端部29Bの径方向の幅W2が幅広となっており、基部29Aから先端部29Bへは連続的に拡幅されるテーパ面29Cが形成されている。
上記係合凹部28と係合凸部29とは、互いに対応した凹凸形状であり、係合凹部28及び係合凸部29は、隣接面27の径方向の略中央に形成されている。そして、図1に示すように、分割コア22がステータコア23として円環状に組み付けられた際には、係合凹部28及び係合凸部29が、それぞれ隣り合う他の分割コア22の係合凸部29又は係合凹部28と係合する。
前述したように、係合凹部28の開口部28Aの径方向の幅W1と係合凸部29の基部29Aの径方向の幅W1とは同寸法であり、また、係合凹部28の奥部28Bの径方向の幅W2と係合凸部29の先端部29Bの径方向の幅W2とは同寸法である。さらに、係合凹部28のあり面28Cと係合凸部29のテーパ面29Cとは同一の傾斜角度となっている。したがって、係合凹部28と係合凸部29とが密嵌するようにして係合し、この係合状態において、あり面28Cとテーパ面29Cとが密接し、また、コアヨーク部25の隣接面27は、隣り合う他の分割コア22のコアヨーク部25の隣接面27と密接する。
なお、上記係合凹部28及び係合凸部29において、係合凹部28の開口部28Aの径方向の幅W1及び奥部28Bの径方向の幅W2の公差をプラス側に、係合凸部29の基部29Aの径方向の幅W1及び先端部29Bの径方向の幅W2の公差をマイナス側とすれば、係合凹部28と係合凸部29との係合作業が容易となるので好適である。このような公差は、分割コア22のコアヨーク部25の隣接面27の密接状態が、ブラシレスモータ1のモータ特性に影響を与えない範囲で設定すればよい。
上記係合凹部28と係合凸部29との係合により、隣接する分割コア22は、ステータコア23の径方向及び周方向に対して互いのコアヨーク部25が固定される。すなわち、隣接する分割コア22のコアヨーク部25の各隣接面27が、その径方向の両端を合致させて密接し、その密接した隣接面27が離間することなく維持される。
そして、18個の分割コア22を、互いの係合凹部28と係合凸部29とを係合させて組み付けることにより、18個の分割コア22が隣接面27を密接させた状態で、コイル21が巻回されたティース部24を外側へ放射線状に突出させた円環状のステータコア23となり、その円環形状が係合凹部28と係合凸部29との係合により維持される。また、上記係合凹部28及び係合凸部29は、分割コア22の隣接面27の径方向略中央に形成されているので、係合凹部28と係合凸部29との係合により隣接する分割コア22に付与される周方向の密接力が、各分割コア22の隣接面27に対して平均して負荷される。
そして、上記分割コア22が円環状に組み付けられたステータコア23の中空部にシャフト20が圧入される。これにより、各分割コア22の係合凹部28と係合凸部29との係合状態が一層強固になるとともに、該シャフト20が中芯となって内側固定子の剛性が高まる。また、シャフト20が圧入されることにより、円環状に組み付けられた分割コア22に対して径方向外側への応力が負荷されるが、係合凹部28と係合凸部29との係合により、分割コア22が周方向に離れるようにして径方向外側へ広がることがない。
このように、本ブラシレスモータ1によれば、分割コア22が、係合凹部28と係合凸部29との係合により、ステータコア23の周方向に対して隣接面27の密接状態を維持して、円環状のステータコア23を形成することができる。
なお、本実施の形態では、分割コア22のコアヨーク部25には、係合凹部28と係合凸部29とが形成されるものとしたが、必ずしも係合凹部28及び係合凸部29の双方が形成される必要はなく、隣接する分割コア22の係合が可能であれば、これらの少なくともいずれか一方が形成されていればよい。したがって、例えば、係合凹部28のみが形成された分割コア22と、係合凸部29のみが形成された分割コア22とを、互い違いに配置してこれらを係合させ、円環状のステータコア23とすることもできる。
また、本発明に係る係合凹部及び係合凸部の形状は、分割コア22の隣接面27から周方向へ凹凸するように形成され、隣接面27に沿った開口部又は基部より奥部側又は先端部側が幅広のものであればよい。
例えば、図4に示すように、隣接面27に部分円形状の係合凹部40及び係合凸部41を形成することとしてもよい。なお、図において、上記実施の形態と同一の符号のものは同一の部材を示している。図に示すように、係合凹部40は、隣接面27に開口する開口部40Aの径方向の幅W3に対して幅広となる係合凹部28の円形状の直径W4が奥部40B側となる部分円形状に形成されている。一方、係合凸部41は、係合凸部41の隣接面27に沿った基部41Aの径方向の幅W3に対して幅広となる係合凸部41の円形状の直径W4が先端部41B側となる部分円形状に形成されている。そして、上記係合凹部40と係合凸部41の部分円形状は同一直径の円で合致している。
したがって、分割コア22がステータコア23として円環状に組み付けられた際には、係合凹部40及び係合凸部41が、それぞれ隣り合う他の分割コア22の係合凸部40又は係合凹部41と係合することにより、隣接する分割コア22は、ステータコア23の径方向及び周方向に対して互いのコアヨーク部25が固定され、隣接する分割コア22のコアヨーク部25の各隣接面27が、その径方向の両端を合致させて密接し、その密接した隣接面27が離間することなく維持される。このような係合凹部40及び係合凸部41によっても、上記実施の形態と同様の効果を発揮させることができる。
以下、本発明の別の実施形態について説明する。図6は、本発明の別の実施形態に係るブラシレスモータ5(回転機,発電機)の構成を示すものである。ブラシレスモータ5は、内側固定子6と外側回転子7とから構成されるアウターロータ型のものであり、内側固定子6の外周に所定の磁気ギャップを隔てて外側回転子7が配設され、内側固定子6により形成される回転磁界により外側回転子7が回転するように構成されている。
内側固定子6は、ブラシレスモータ5の軸となるシャフト50(芯部材)と、コイル51(巻線)が巻回された9個の分割コア52(分割固定子)が円環状に連結されたステータコア53とからなる。各分割コア52は、円環状に連結される配置が異なる他は同形状のものである。
外側回転子7は、リング部材60と、リング部材60の内周面に固定された48極の磁石61とからなる。磁石61は、永久磁石であり、周方向にN極とS極とが交互となって48極の磁極が形成されている。
図7に示すように、分割コア52は、コイル51が巻回されるティース部54が、他の分割コア52と円環状に連結されるコアヨーク部55から径方向外側へ突出されたものである。コアヨーク部55は、円環状のステータコア53の方向の9分の1となる弧状に形成されている。
ティース部54には、絶縁のためのインシュレータが被覆され、該インシュレータの上からコイル51が巻回される。コイル51の巻回は、各分割コア52が独立した状態でなされる。本実施形態では、各分割コア52のコイル51は並列巻線されるものであり、各分割コア52に、コイル51がそれぞれ巻回される。換言すれば、複数の分割コア52に対して1本の巻線が巻回されて、各分割コア52のコイル51間に渡り線が形成されるような連続巻きはされない。
図8は、各分割コア52のコイル51の結線図である。9個の分割コア52のティース部54にそれぞれ巻回された各コイル51は、3個ずつでU相、V相、W相の3相の磁気回路を形成する。図8においては、U相を形成するコイルが51U、V相を形成するコイルが51V、W相を形成するコイルが51Wで示されている。U相を構成する3個のコイル51Uの各端部である各入出力線は、U相の外部接続端子Uと中性点Nとにそれぞれ並列結線される。換言すれば、3個のコイル51U間には渡り線はない。同様に、V相を構成する3個のコイル51Vの各端部である各入出力線は、V相の外部接続端子Vと中性点Nとにそれぞれ並列結線され、W相を構成する3個のコイル51Wの各端部である各入出力線は、W相の外部接続端子Wと中性点Nとにそれぞれ並列結線される。
図7に示すように、ティース部54の外周面、すなわち外側回転子7の磁石61と対向する面に、ステータコア53の軸方向に延びる2つの凹溝が周方向に隔てて形成されることにより、ティース部54の磁石61と対向する部分が、3つの小歯56に分割されている。各小歯56のピッチは、磁石61の磁極ピッチに対応されており、具体的には磁石61の2極分と略同一である。この小歯56のピッチや開角(電気角)は、ブラシレスモータ5のコギングトルクの低下や、トルク変動の安定化による振動抑制を考慮して適宜設定される。
また、ティース部54を小歯56に分割することにより、外側回転子7の磁石61が多極化される。これにより、隣接する磁石61間においてリング部材60の厚み方向を通過する磁束数が少なくなり、リング部材60の厚みを薄くしてブラシレスモータ5を小型化することができる。
図7に示すように、分割コア52のコアヨーク部55の隣接面57には、係合凹部58及び係合凸部59がそれぞれ形成されている。隣接面57は、各分割コア52が、図6に示す円環状のステータコア53として組み合わされる場合に、隣り合う分割コア52のコアヨーク部55と接触する面であり、ステータコア53の径方向となるコアヨーク部55の両端において、ステータコア53の軸方向となる平面をなしている。係合凹部58及び係合凸部59は、隣接面57においてステータコア53の軸方向に沿ってそれぞれ形成されている。係合凹部58及び係合凸部59は、上記実施形態において説明した形状であるので、詳細な説明は省略する。
係合凹部58と係合凸部59との係合により、隣接する分割コア52は、ステータコア53の径方向及び周方向に対して互いのコアヨーク部55が固定される。9個の分割コア52を、互いの係合凹部58と係合凸部59とを係合させる際には、図7に示すように、隣接する2つの分割コア54を、ステータコア53の軸方向にずらせた状態として、一方の分割コア52の係合凹部58の上面側に、他方の分割コア52の係合凸部59の下面側を嵌入させ、その状態で、2つの分割コア52を軸方向に相対的に移動させて、各分割コア52の上下面を同一面とすることにより、係合が完了する。
前述したように、各分割コア52のティース部54に巻回されたコイル51は並列巻線されているので、U相、V相、W相をそれぞれ形成するコイル51間に渡り線は存在しない。したがって、分割コア52の係合に際して、隣接する分割コア52をステータコア53の軸方向にずらせることが容易なので、ステータコア53の組み付けが容易である。そして、各分割コア52が円環状に組み付けられたステータコア53の中空部にシャフト50が圧入される。
このように、本実施形態に係るブラシレスモータ5によれば、分割コア52が、係合凹部58と係合凸部59との係合により、ステータコア53の周方向に対して隣接面57の密接状態を維持して、円環状のステータコア53を形成することができる。
また、各分割コア52のコイル51が並列巻線されているので、分割コア52を係合してステータコア53とする組み付け作業が容易である。さらに、分割コア52のティース部54に小歯56を形成したので、ブラシレスモータ5のコギングトルクを低下し、且つトルク変動を抑制することができる。また、リング部材60の厚みを薄くして、ブラシレスモータ5の小型化を実現することができる。
図9は、本発明の別の実施形態に係るブラシ付き直流モータ9(回転機,電動機)の概略構成を示すものである。ブラシ付き直流モータ9は、回転子10と固定子11とから構成され、回転子10の外周側に所定の磁気ギャップを隔てて固定子11が配設され、回転子10により形成される回転磁界によりシャフト20が回転するように構成されている。
回転子10は、ブラシ付き直流モータ9の軸となるシャフト20と、コイル21が巻回された18個の分割コア22が円環状に連結されたステータコア23とからなる。シャフト20には、整流子を構成する複数のセグメント70が、ステータコア23と同軸に円筒状に相互に絶縁して配置されて固定されている。一方、固定子11は、ブラシ付き直流モータ9の筐体を兼ねたヨークハウジング71のの内周面に固定された20極の磁石31とからなる。ヨークハウジング71は、回転子10のシャフト20をベアリングを介して回転自在に支持している。また、ヨークハウジング71の内部には、回転子10のセグメント70と接触可能にブラシ71が設けられている。このブラシ71から所定のセグメント70を介して、所定のコイル21に直流電流が付与される。なお、シャフト20,コイル21,分割コア22,ステータコア23,磁石31は、ブラシレスモータ1において説明したものと同じ構成のものなので、ここでは詳細な説明は省略する。また、ブラシ付き直流モータ9は、ブラシレスモータ1と同様に、20極・18スロットのものであるが、本発明において回転機の極数及びスロット数は特に限定されるものではない。
回転子10を構成する18個の各分割コア22は、前述と同じ形状のものであり、各分割コア22が連結されて1つの円環状のステータコア23を構成している。また、分割コア22のティース部24には、図1に示したように、コイル21がインシュレータ等を介して巻回されている。また、各分割コア22のコアヨーク部25の隣接面27には、図2及び図3に示したものと同様の所謂あり形状の係合凹部28及び係合凸部29がそれぞれ形成されており、係合凹部28及び係合凸部29が、それぞれ隣り合う他の分割コア22の係合凸部29又は係合凹部28と係合されることにより、18個の分割コア22がステータコア23として円環状に組み付けられる。そして、分割コア22が円環状に組み付けられたステータコア23の中空部にシャフト20が圧入される。
このように、本ブラシ付き直流モータ9によれば、分割コア22が、係合凹部28と係合凸部29との係合により、ステータコア23の周方向に対して隣接面27の密接状態を維持して、円環状のステータコア23を形成することができる。
なお、分割コア22の隣接面27に、図4に示したものと同様の係合凹部40及び係合凸部41を形成することとしてもよいことは勿論である。また、分割コア22のティース部24に、上記小歯56を形成することにより、ブラシ付き直流モータ9のコギングトルクを低下させ、且つトルク変動を抑制することができる。また、ヨークハウジング71の厚みを薄くして、ブラシ付き直流モータ9の小型化を実現することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係るブラシレスモータ1の概略構成を示す図である。 図2は、分割コア22の外観構成を示す斜視図である。 図3は、分割コア22の構成を示す平面図である。 図4は、分割コア22の変形例を示す平面図である。 図5は、従来のインナーロータ型のモータ90の概略構成を示す図である。 図6は、本発明の別の実施形態に係るブラシレスモータ5の概略構成を示す図である。 図7は、分割コア52の外観構成を示す斜視図である。 図8は、分割コア52の並列結線を示す結線図である。 図9は、本発明の別の実施形態に係るブラシ付き直流モータ9の概略構成を示す断面図である。
1,5・・・ブラシレスモータ(回転機,電動機)
2,6・・・内側固定子
3,7・・・外側回転子
20,50・・・シャフト(芯部材)
21,51・・・コイル(巻線)
22,52・・・分割コア(分割固定子)
24,54・・・ティース部(極部)
27,57・・・隣接面
28,40,58・・・係合凹部
28A,40A・・・開口部
28B,40B・・・奥部
29,41,59・・・係合凸部
29A,41A・・・基部
29B,41B・・・先端部
31,51・・・磁石
56・・・小歯

Claims (4)

  1. 磁石が円環状に配設されてなる外側回転子と、該外側回転子の内側に配設され、各々に巻線が巻回された複数の極部が外側へ放射線状に突設されてなる内側固定子と、を具備する回転機の製造方法であって、
    所定の極部毎に分割されており、巻線が巻回される極部と他の分割固定子と連結されるコアヨーク部とをそれぞれ有する同一形状の複数の鋼板が積層されて一体に嵌合され、当該コアヨーク部において隣り合うコアヨーク部と隣接する隣接面に、当該隣接面から円環状の配列における周方向へ凹み、当該隣接面に沿った開口部より奥部側が幅広のあり溝である係合凹部、又は、当該隣接面から円環状の配列における周方向へ凸であり、当該隣接面に沿った基部より先端部側が幅広であって上記あり溝と係合し得る係合凸部のいずれか一方が形成された複数の分割固定子を、上記係合凹部と上記係合凸部とを隙間嵌めにして相互に係合して円環状に配列し、
    上記円環状に配列された分割固定子の内側に円柱形状の芯部材を圧入することによって、上記複数の分割固定子における係合凹部と係合凸部との係合を強固にして、上記内側固定子とする回転機の製造方法。
  2. 上記分割固定子を円環状に配列する前に、磁気回路を形成する各相毎に、所定の複数の分割固定子の極部に巻線を並列巻きする請求項1に記載の回転機の製造方法。
  3. 磁石が円環状に配設されてなる固定子と、該固定子の内側に配設され、各々に巻線が巻回された複数の極部が外側へ放射線状に突設されてなる回転子とを具備する回転機の製造方法であって、
    所定の極部毎に分割されており、巻線が巻回される極部と他の分割コアと連結されるコアヨーク部とをそれぞれ有する同一形状の複数の鋼板が積層されて一体に嵌合され、当該コアヨーク部において隣り合うコアヨーク部と隣接する隣接面に、当該隣接面から円環状の配列における周方向へ凹み、当該隣接面に沿った開口部より奥部側が幅広のあり溝である係合凹部、又は、当該隣接面から円環状の配列における周方向へ凸であり、当該隣接面に沿った基部より先端部側が幅広であって上記あり溝と係合し得る係合凸部のいずれか一方が形成された複数の分割コアを、上記係合凹部と上記係合凸部とを隙間嵌めにして相互に係合して円環状に配列し、
    上記円環状に配列された分割コアの内側に円柱形状の芯部材を圧入することによって、上記複数の分割固定子における係合凹部と係合凸部との係合を強固にして、上記回転子とする回転機の製造方法。
  4. 上記分割コアを円環状に配列する前に、磁気回路を形成する各相毎に、所定の複数の分割コアの極部に巻線を並列巻きする請求項3に記載の回転機の製造方法。
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