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JP2009035237A - 故障診断装置及び故障診断方法 - Google Patents

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JP2009035237A JP2007203594A JP2007203594A JP2009035237A JP 2009035237 A JP2009035237 A JP 2009035237A JP 2007203594 A JP2007203594 A JP 2007203594A JP 2007203594 A JP2007203594 A JP 2007203594A JP 2009035237 A JP2009035237 A JP 2009035237A
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将 佐藤
Shogo Matsuura
昇吾 松浦
Akira Kato
昭 加藤
Yoshiya Miura
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Abstract

【課題】異なる通信規格する車載ネットワークを有する車種に用いる故障診断装置において、初期化通信時間の短縮を図るとともに通信エラーの発生を回避できるようにする。
【解決手段】複数の電子制御装置3を有する車載ネットワークに多重通信線15を介してテスタ1を接続して電子制御装置3から車両故障に関する情報を取得する故障診断装置であって、テスタ1は、複数の通信規格の車載ネットワークに対して接続可能に構成されて、テスタ1は通信の開始時には、複数の通信規格のうち第1の所定の通信規格でスタンバイして車載ネットワークNW上の情報をモニタし、当該も似た情報に基づいて車載ネットワークNWの通信規格を判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、トラック、バス等の車両に搭載された各種のユニットやデバイスの電子制御装置(ECU)に接続して故障診断を行う、故障診断装置及び故障診断方法に関するものである。
従来より、車両用電子制御系の故障診断を診断する故障診断装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような故障診断装置では、図4に示すように、車両Vに設けられたECU(電子制御装置)3とテスタ(マルチユーステスタ)1とが多重通信ライン(バスライン)2を介して接続されるようになっており、これによりテスタ1とECU3との間で各種情報が送受信される。
ここで、ECU3は自己診断機能(ダイアグノーシス機能)を有している。すなわち、ECU3では各種センサ、アクチュエータ、スイッチからの入力信号及び各種のデバイス、アクチュエータ等への出力信号を監視し、これらの入出力信号に基づいて異常が生じているか否かを判定するとともに、異常判定した場合には、異常の内容(ダイアグノーシスコード)や異常発生時間等の情報をサービスデータとしてメモリ4に記憶するように構成されている。
そして、上記のテスタ1をECU3に接続することでECU3の異常発生に関する内容や時間等の情報を得ることができ、修理やトラブルシューティングに役立てることができるようになっている。
ところで、車両には通常ECU3は複数設けられている。例えば、ECUとしてはエンジン制御用のエンジンECU、自動変速機制御用のトランスミッションECU、ABS装置制御用のABS−ECU、空調装置(エアコンディショナー)制御用のエアコンECUなどが設けられている。これらの各ECU3は相互通信可能にやはり多重通信ライン(バスライン)を介して接続されてネットワークを形成しており、各ECU同士で必要な情報の送受信を行うようになっている。
このような構成により、例えばトランスミッションECUやABS−ECUでは、エンジンECUから必要とする情報(例えば車速情報やエンジン回転数情報)等を受信して、トランスミッションやABSの制御に用いるようになっている。
一方、車戴ネットワークの通信規格としてとしては、CAN,LIN,Frex−Ray,KWP2000等の様々なプロトコルが存在している。ここで、これらの各通信規格について簡単に説明すると、CANはController Area Networkの略称であって、ISOにて国際的に標準化(ISO11898及びISO11519)されたシリアル通信プロトコルである。なお、CANは現在では車載ネットワークとしても最も普及した通信規格ということができる。
また、LINは、Local Interconnect Networkの略称であって、車載ネットワークのコストダウンを図ることを目的に主に海外の自動車メーカが提唱しているシリアル通信プロトコルである。なお、LINはゲートウェイを介してCANネットワークと接続可能に構成されている。
また、Frex−RayはCANに対してより信頼性を高めるとともに高速で大量の情報の送受を可能とするべく策定されたプロトコルであって、予め決められたスケジューリングに基づいて情報を伝送するように規定されている。このため、耐障害性が高い、データ転送速度が速いといった特徴を有している。
また、KWP2000とは、Key Word Protocolの略称であり、国際規格ISO14230に準拠した自動車のダイアグノーシス用の通信規格である。なお、このKWP2000は上述した各通信プロトコルとは異なり、複数のECU同士で通信を行うものではなく、故障診断装置との間でダイアグノーシス情報の送受信を行うためのものである。
特開2005−59671号公報
ところで、上述したような故障診断装置では、従来より汎用性を持たせたテスタ1が開発されており、このため同一メーカの車両であれば車種を問わずに同一のテスタでダイアグノーシス診断を実行できるようになっている。
一方で、車載のECUは、CAN通信を前提に製造されたものやKWP2000での通信を前提に製造されたものなど、ECUのメーカ(サプライヤー)等によって通信の仕様が異なる場合があり、同一の車両であっても例えばCANでバス接続されたECUのネットワークとKWP2000でバス接続されたECUのネットワークとが混在する場合がある。つまり、1台の車両に複数の通信規格がそれぞれ独立して混在する場合がある。
また、同一の車種であっても、車載ネットワークの規格が異なる場合も考えられる。つまり、同じ車種であっても装備の差異(例えば車間距離制御装置の有無など)に起因してCANを搭載した車両とFrex−Rayを搭載した車両とが混在する場合が考えられる。
このような各種の通信規格が混在する状況において、同一のテスタでダイアグノーシス診断を行うためには、ECUと通信を開始する前に対象のネットワークがどの通信規格であるのかを判別する必要がある。
このため、テスタ側では、対象となるネットワークの通信規格とは異なる通信規格も含め、全ての通信方式で通信規格判別用のテストデータを数秒送信し、このテストデータに対する返信の有無に基づいて対象となる通信規格を判定するように構成されている。なお、以下ではこのようなテストデータの送信を含む通信規格判定のための通信を初期化通信という。
この場合、本来であれば不要なテストデータまで余計に送信しなければならず、初期化通信時間が長くなるという課題があった。このため、実際に故障診断を開始するまでに無駄な時間が生じていた。
さらに、同じメーカの同じ車種、且つ同じ通信規格(例えばCAN)を採用している車両であっても、搭載している装置の有無や仕様の違いからネットワークの通信速度が異なる場合がある。例えば、同じCANを搭載していても、通信速度が500kbpsの仕様の車両と250kbpsの仕様の車両とが混在する場合がある。
この場合、通信速度が500kbpsであるバスラインに対して250kbpsのテストデータを送信するとECUでは送信データを理解できずにエラーフレームを出力してしまい、結果的に通信エラーが生じて故障診断や通常の情報の授受ができなくなる。また、通信速度が250kbpsであるバスラインに対して500kbpsのテストデータを送信した場合も同様に通信エラーが生じるという課題がある。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、異なる通信規格や異なる通信速度が混在するようなネットワークを有する車種又は車両に用いる故障診断装置において、初期化通信時間の短縮を図るとともに、通信エラーの発生を回避できるようにすることを目的とする。
このため、請求項1に係る本願発明の故障診断装置は、複数の電子制御装置を有する車載ネットワークに多重通信線を介してテスタを接続して該電子制御装置から車両故障に関する情報を取得する故障診断装置であって、該テスタは、複数の通信規格の車載ネットワークに対して接続可能に構成されるとともに、該テスタは、通信の開始時には該複数の通信規格のうち第1の所定の通信規格でスタンバイして該車載ネットワーク上の情報をモニタし、該車載ネットワーク上から情報を受信すると該車載ネットワークの通信規格が第1の所定の通信規格であると判定するように構成されていることを特徴としている。
また、請求項2に係る本願発明の故障診断装置は、該第1の所定の通信規格で該車載ネットワーク上から情報を受信できない場合には、該第1の所定の通信規格とは異なる第2の所定の通信規格でスタンバイして該車載ネットワーク上の情報をモニタし、該車載ネットワーク上から情報を受信すると該車載ネットワークの通信規格が第2の所定の通信規格であると判定するとともに、該電子制御装置との通信を行うことを特徴としている。
また、請求項3に係る本願発明の故障診断装置は、該第1の所定の通信規格で該車載ネットワーク上から情報を受信できない場合には、該第1の所定の通信規格とは異なる第2の所定の通信規格で該電子制御装置との通信を開始することを特徴としている。
また、請求項4に係る本願発明の故障診断装置は、該モニタ時には、所定の電子制御装置の所定の情報をモニタすることを特徴としている。
また、請求項5に係る本願発明の故障診断装置は、該所定の電子制御装置とは、エンジンの作動を制御するエンジンECUであって、該所定の情報とは、エンジン回転数情報を含む特定の通信フレームであることを特徴としている。
また、請求項6に係る本願発明の故障診断装置は、該モニタ時には、該所定の情報を所定時間内で所定回数以上受信すると該車載ネットワークの通信規格がスタンバイ時の通信規格であると判定することを特徴としている。
また、請求項7に係る本願発明の故障診断方法は、複数の電子制御装置を有する車載ネットワークに多重通信線を介してテスタを接続して該電子制御装置から車両故障に関する情報を取得する故障診断方法であって、該テスタを該複数の通信規格のうち第1の所定の通信規格でスタンバイさせる第1ステップと、該第1ステップ後、該車載ネットワーク上の特定の情報をモニタする第2ステップと、該第2ステップ後、該所定の情報の受信に成功すると該車載ネットワークの通信規格が第1の所定の通信規格であると判定する第3のステップとを有することを特徴としている。
本発明の故障診断装置及び方法によれば、車載ネットワークにテスタを接続した時に不必要な初期化通信を行うことなく対象となる車載ネットワークの通信規格を判別することができるので、初期化通信に要していた通信時間を大幅に短縮することができる利点がある。また、初期化通信に起因する通信エラー等の通信不具合の発生も大幅に抑制することができる。また、新たな部品等を必要とせず、ソフトウェアの追加のみで実現可能であり、コスト増もほとんどないというという効果がある。
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態に係る故障診断装置について説明すると、図1はその要部構成を示す模式図である。また、この第1の実施形態では、車載ネットワークとしてCANとKWP2000とを搭載した車両を例に用いて説明する。さらに、本第1実施形態では、同じ車種であっても搭載する装備に応じて、通信速度500kbpsで構築されたCANを有する車両〔図1(a)参照〕と、通信速度250kbpsで構築されたCANを有する車両〔図1(b)参照〕とが存在するような車両を対象としており、このような場合におけるCANの通信速度の判別手法について説明する。
図において、11はパーソナルコンピュータ(以下、PCと略称する)、12はインタフェース機器としてのVCI(Vehicle Communication Interface)であって、これらのPC11及びVCI12によりマルチユーステスタ(Multi Use Tester;以下、MUT又はテスタと略称する)1が構成されている。
また、PC11とVCI12とは多重通信ライン(バスライン)14を介して接続されるようになっている。また、VCI12は、車載ネットワークNWに接続可能に構成されており、VCI12の多重通信ライン15の一端側のダイアグノーシスコネクタ13aを車両側のダイアグノーシスコネクタ13bに連結することで、VCI12が車両側の複数の車載ネットワークNWと接続されるようになっている。
また、それぞれのネットワークNWには多重通信ライン(バスライン)を介して、所望のECU3が接続されている。したがって、VCI12は通信ライン15を介して車両の複数規格のバスラインに同時に接続することで、各種の電子制御装置(ECU)3とMUT1とが通信可能となるように構成されている。
ここで、VCI12は、車載ネットワークNWからの情報をPC11で処理可能な信号に変換する機能を有している。また、PC11には各種のソフトウェアが搭載されており、VCI12を介して取り込まれた車載ネットワークNW上のECU3の情報について各種の解析を行うとともに、その内容をディスプレイに表示するようになっている。
また、車載ネットワークNWとしては、通信プロトコルの異なる複数のネットワークが存在しており、本実施形態においては、上述したようにCANとKWP2000とが設けられている。
なお、図1(a)は、CAN(ここでは通信速度500kbps)とKWP2000とのネットワークを備えた車両にMUT1を接続した状態を示し、図1(b)は、CAN(同250kbps)とKWP2000とのネットワークを備えた車両にMUT1を接続した状態を示している。
また、ECU3としては、エンジン制御用のECU31やトランスミッション用ECU32、ABS用ECU33、エアサスペンション用ECU34、エアコンECU35、パワーウィンド用ECU36等が存在している。そして、本実施形態においては、エンジン制御用ECU31,トランスミッション用ECU32,ABS用ECU33及びエアサスペンション用ECU34がCANに接続されており、エアコンECU35及びパワーウィド用ECU36が第2ネットワークとしてのKWP2000に接続されている。なお、以下では、各ECUについて特に区別する必要がない場合には単に符号3を用いる。
また、ECU3は自己診断機能(ダイアグノーシス機能)を有しており、各種センサ,アクチュエータ及びスイッチ等を介して入出力される入力信号及びを監視し、これらの入出力信号に基づいて異常(故障)が生じているか否かを判定するとともに、異常判定した場合には、異常の内容(ダイアグノーシスコード)や異常発生時間等の情報をサービスデータとして図示しないメモリに記憶するように構成されている。
ところで、上記MUT1(特にVCI12)は汎用性を持たせるべく同じメーカの車両であれば車種を問わず使用可能に構成されている。しかしながら、既に説明したように、同じメーカの同じ車種で同じ通信規格(本実施形態ではCAN)を採用している車両であっても、ECU3の仕様の違いから通信速度が異なる場合がある。例えば、同じCANを搭載していても、図1(a)に示すように通信速度が500kbpsの車両もあれば、図1(b)に示すように、通信速度が250kbpsの車両が存在する場合がある。
この場合、従来の技術では、通信速度が500kbpsであるバスラインに対して250kbpsの初期化データを送信するとECUでは送信データを理解できずにエラーフレームを出力してしまい、結果的に通信エラーが生じて故障診断ができなくなる。また、通信速度が250kbpsであるバスラインに対して500kbpsの初期化データを送信した場合も同様に通信エラーが生じるという課題がある。
そこで、本装置では以下のようにして通信規格(通信速度を含む)の自動判別を行うようになっている。まず、車両側のネットワークNWとVCI12とを接続すると、VCI12では初期化情報を出力するのではなく、ネットワーク上でECU3同士の情報をモニタする。ただし、VCI12側では、単にネットワーク上の情報をモニタしても、VCI12側で対応する通信規格で情報を受け取るように設定しておかないと、意味の有る信号として処理することができない。
このためで、VCI12においても、予め所定の規格(第1の所定の規格:例えばCAN,250kbps)で情報をモニタする準備をしておき(以下スタンバイという)、この状態でネットワーク上の情報を受信できれば、車両側のネットワークの通信規格が当該所定の規格であると判定するようになっている。なお、具体的には、VCI12ではスタンバイの動作として、電気的信号の1ビットの長さを250kbps相当となるように設定し、その後受信した信号を解析し、所定の意味のある信号(例えばエンジン回転数情報を含む信号)として受信したか否かを判定するようになっている。
一方、VCI12側で予め上記の所定の規格でスタンバイしておいた状態でネットワーク上の情報を受信することができなければ、このネットワークは所定の規格(例えばCAN,250kbps)ではないと判定し、上記所定の規格とは異なる第2の所定の規格(例えばCAN,500kbps)でスタンバイする。この状態でネットワーク上の情報受信をリトライし、情報を受信できれば車両側のネットワークの通信規格が第2の所定の規格であると判定するようになっている。
さらに、このときに情報を受信することができなければ、第3の所定規格(例えばLIN)でスタンバイする。以降、このような処理を全ての通信規格に対して実行し、車載ネットワークの通信規格(通信速度)を判定するようになっている。なお、同一の通信規格において異なる通信速度を有するのは実用上CANのみであり、CANの時のみ通信速度を考慮したスタンバイを行うようになっている。
ここで、通信情報のモニタについて具体的に説明すると、この場合は、バス上の特定の通信フレーム(例えばフレーム名:FLM01)の信号をモニタする。この特定の通信フレームとは通信頻度の高い車両基本情報が好ましく、本実施形態ではエンジン回転数情報を含む通信フレームが適用されている。ただし、モニタする情報はエンジン回転数に限定されず、車速情報やトランスミッション変速段、シフトレンジ、冷却水温度などを用いてもよい。
そして、第1の所定規格でスタンバイした後、FLM01の情報を200ms以内に2回以上受信できるか否かを判定し、上記の条件を満たすようなFLM01を受信できれば、直ちに第1の所定規格で対象ネットワークと通信を開始するようになっている。なお、受信回数を2回以上としたのは判定精度を高めるためであり、精度上問題がなければ受信回数は1回でもよい。
また、FLM01を受信できなかった場合には第2の所定規格でスタンバイしてFLM01の情報を上記の条件を満たすように受信できるか否かを判定する。受信できない場合には、以降同様にしてスタンバイ状態を他の通信規格(LIN,Flex−Ray等)に順次切り換えて情報の受信を行い通信規格を判別するのである。
なお、通信対象となるネットワークが第1の所定規格と第2の所定規格との2つのネットワークのみであることが明らかな場合(例えば、当該車両を製造するメーカが車載ネットワークの規格として、2種類の通信規格しか採用していない場合)には、第1の所定規格でモニタ不可の場合に、すぐに第2の所定規格で通信を開始するように設定しても良い。
そして、対象のネットワークと通信を完了したら、KWP2000で通信を行い、必要な情報を取り込むようになっている。
このようなネットワーク上の情報をモニタする手法では、従来の技術のような初期化データを送信することがないため、大幅に通信規格の判定及び通信開始までの時間を短縮することが可能となる。これは1つの初期化データの送信自体に数秒間オーダの時間が必要であるのに対し、ネットワーク上の情報をモニタする場合は本実施形態の場合200ms程度でよく、たとえ5回モニタをリトライしても1秒程度で対象ネットワークの通信規格を判別することが可能となるためである。
本発明の第1の実施形態に係る故障診断装置は上述のように構成されているので、例えば図2に示すようなフローチャートに基づいて車載ネットワークの通信規格を判定するとともに故障診断を行う。
まず、VCI12のコネクタを車両側のコネクタに接続した状態で、システム選択を行う(ステップS1)。このシステム選択はオペレータにより行われる作業であって、故障診断の対象を選択するものである。例えばエンジンの故障の有無や故障履歴について知りたい場合、オペレータはVCI12を操作して異常判定の対象としてエンジンを選択する。
次に、VCI12を第1の所定規格(CAN,250kbps)でスタンバイさせ(ステップS2、第1のステップに相当)、車載ネットワーク上の特定の通信フレームFLM01をモニタする(ステップS3、第2のステップに相当)。なお、このようなVCI12の作動制御はPC11にインストールされたソフトウェアにより実行される。
そして、この通信フレームFLM01を正しく受信したか否か(つまり200ms以内に2回以上受信したか否か)が判定され(ステップS4)、通信フレームFLM01を正しく受信した場合には、第1の所定規格で通信開始を図り(ステップS5、以上ステップS4とステップS5とが第3のステップに相当)、通信に問題がなければ、これ以降、第1の所定規格で通信が行われる(ステップS6,ステップS7)。
また、通信開始が失敗した場合には、他の通信規格(例えばKWP2000)に切り換えて通信する(ステップS8)。なお、この場合は、通信速度が異なる、通信方式が異なる、ダイアグノーシス機能の非対応ECUである等の原因が考えられる。
一方、第1の所定規格で通信フレームFLM01を正しく受信できない場合には、第2の所定規格(CAN,500kbps)でVCI12をスタンバイさせ(ステップS9)、その後、上記の特定の通信フレームFLM01をモニタする(ステップS10)。
そして、通信フレームFLM01を正しく受信したか否かが判定され(ステップS11)、正しく受信した場合には、第2の所定規格で通信開始を図る(ステップS12)。そして、通信に問題がなければ、これ以降、第2の所定規格で通信を行う(ステップS13,ステップS14)。また、通信開始が失敗した場合には上述したステップS8同様、他の通信規格に切り換えて通信する(ステップS15)。
また、第2の所定規格において上記通信フレームFLM01を正しく受信できない場合にも他の通信規格に切り換えてモニタを繰り返す(ステップS16)。
以上、詳述したように、第1実施形態に係る故障診断装置によれば、車載ネットワークNWにMUT1を接続した時に、不必要な初期化通信を行うことなく対象となる車載ネットワークの通信規格を判別することができるので、従来よりも初期化通信に要していた通信時間を大幅に短縮することができる利点がある。また、このため通信エラー等の通信不具合の発生も大幅に抑制することができる。
また、本発明は新たな部品等を必要とせずに、ソフトウェアの追加のみで実現可能であり、コスト増もほとんどないという利点がある。
次に、本発明の第2実施形態について図3(a),(b)を用いて説明すると、図3(a),(b)は、それぞれ同じ車種であって、仕様の異なる2台の車両の車載ネットワークを示す図である。
具体的には、図3(a)に示すネットワークを備えた車両と、図3(b)に示すネットワークを備えた車両とでは、居眠り防止装置及び車間距離制御装置の装備の有無が異なっている。なお、居眠り防止装置は、ドライバのステアリング操作等に基づいてドライバが居眠りしているか否かを判定するとともに、ドライバが居眠りしていると判定した場合には、音声等によりドライバに注意を促す装置であり、既に実用化されている公知の技術である。また、車間距離制御装置は、レーザレーダやミリ波レーダ等を用い先行車両を捕捉して、捕捉した先行車両に対して一定の距離を保って追従走行するようにアクセルや変速段を制御する装置である。また、先行車両との距離が所定値以下となると、音声等によりドライバに注意を促す機能やブレーキ操作を行う機能も有している。なお、この車間距離制御装置についても公知の技術である。
さて、このような居眠り防止装置及び車間距離制御装置に関しても、それぞれの装置の作動を制御するECU、即ち居眠り防止装置用ECU37と車間距離制御装置用ECU38とが設けられている。
そして、図3(a)に示すように、このような居眠り防止装置及び車間距離制御装置を備えた車両では、他のECUも含めECU3の数が多くなってしまうため、主にシャシ機能に関連するECUを接続したCAN(以下シャシCANという)と、主にエンジン等のパワートレイン系に関連するECUを接続したCAN(以下パワトレCANという)とに分割しており、これらシャシCANとパワトレCANとがCANコンバータ5を介して接続されている。なお、シャシCAN及びパワトレCANはいずれも通信速度250kbpsに設定されている。
そして、このようにCANを2系統に分割するとともに、CANコンバータ5で相互に通信可能に接続することにより、ECU3が増大した場合であっても確実にECU同士で通信することができる。
また、CANコンバータ5は、通信速度を変更する機能と、不要なデータのフィルタリング機能とを有している。ここで、CANコンバータ5はMUT1に対して高速通信可能であって、本実施形態では500kbpsで通信可能に構成されている。一方、各ECU3は、250kbpsの仕様で設計されており、このためCANコンバータ5で通信速度を変換し、ECU3とMUT1との間でデータの送受信を行うようになっている。
また、シャシCANとパワトレCANとの情報のやり取りはCANコンバータ5を介して行われるが、CANコンバータ5よりも上流側(MUT1側)では単に情報もモニタしても何ら情報を取得することができないようになっている。つまり、図3(a)に示すような構成では、CANコンバータ5よりも上流側のバスラインには、MUT1側からの要求がない限り、FLM01のような情報が流れないように構成されているのである。したがって、この場合にはたとえVCI12を接続して500kbpsでスタンバイしても、バスライン上の情報はモニタすることはできない。
一方、図3(b)に示すように、居眠り防止装置及び車間距離制御装置を備えない車両では、コストダウンを図る目的でCANコンバータ5は省略される。つまり、ECU3の数も図3(a)に示す場合よりは減少するので、あえてシャシCANとパワトレCANとに分けなくても十分ECU同士で通信可能であれば、コスト増となるCANコンバータ5を用いることなく、1つのバスライン上でCANが構成される。なお、これは第1実施形態で説明した図1(b)と同じである。
この場合には、CANコンバータ5は存在しないため通信速度は250kbpsとなる。また、この場合は、バスライン上にECU3が出力した各種情報が流れるので、VCI12ではCAN250kbpsでスタンバイすることで容易に情報をモニタすることができる。
そして、本第2実施形態では、このような2種類の仕様の車両が存在する場合において、故障診断を行う際の初期化通信時間を短縮するべく、VC112ではまず250kbpsでスタンバイするようになっており、この状態で特定の情報(フレーム名:FLM01)を受信することができれば、その後、250kbpsで通信を行うようになっている。また、情報を受信できない場合には、500kbpsで通信を開始するようになっている。
なお、この場合、最初から500kbpsでスタンバイしてしまうと、上述のように、CANコンバータ5を備えたネットワークではCANコンバータ5よりも上流側にはモニタできる情報が流れないので、ネットワークの通信速度が500kbpsであるにもかかわらず何ら情報を得ることができない。このため、MUT1では、接続したネットワークに対して250kbpsで通信を開始してしまい、通信エラーが生じてしまう。
したがって、このようなCANコンバータ5を備えた車両が存在する場合には、MUT1としては、必ず最初に250kbpsスタンバイすることが必須となる。
本発明の第2実施形態に係る故障診断装置は上述のように構成されているので、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、CAN250kbpsとCAN500kbpsの通信速度の異なる車載ネットワークをそなえた車両に対して、不必要な初期化通信を行うことなく対象となる車載ネットワークの通信規格を判別することができる。
また、この場合、CANコンバータ5を備えたネットワークでは、モニタする情報がCANコンバータ5よりも上流側では得ることができないが、先にCANコンバータ5を備えていない250kbpsのCANであるか否かを判定することにより、CAN250kbpsとCAN500kbpsとを容易に判別することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形例が可能である。例えば車載ネットワークの通信規格としてはCAN以外にもLIN及びFrex−Ray等、種々の通信規格を適用することができる。また、第1実施形態においては、CAN250kbps,CAN500kbps,LIN,Flex−Rayの順でモニタするように構成されているが、第1実施形態においてはモニタの順番はどのように設定してもよい。
また、電子制御装置のとしてのECUは実施形態のものに限定されず、種々の電子制御装置を適用することができる。
本発明の第1実施形態に係る故障診断装置が適用される車載ネットワークについて示す模式図である。 本発明の第1実施形態に係る故障診断装置の作用について説明するためのフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る故障診断装置が適用される車載ネットワークについて示す模式図である。 従来の技術について説明するための図である。
符号の説明
1 マルチユーステスタ(MUT又はテスタ)
3 ECU(電子制御装置)
5 CANコンバータ
11 MUTを構成するパーソナルコンピュータ(PC)
12 MUTを構成するインタフェース機器としてのVCI
14,15 多重通信ライン(バスライン)
NW ネットワーク
13a,13b ダイアグノーシスコネクタ

Claims (7)

  1. 複数の電子制御装置を有する車載ネットワークに多重通信線を介してテスタを接続して該電子制御装置から車両故障に関する情報を取得する故障診断装置であって、
    該テスタは、複数の通信規格の車載ネットワークに対して接続可能に構成されるとともに、
    該テスタは、通信の開始時には該複数の通信規格のうち第1の所定の通信規格でスタンバイして該車載ネットワーク上の情報をモニタし、該車載ネットワーク上から情報を受信すると該車載ネットワークの通信規格が第1の所定の通信規格であると判定するように構成されている
    ことを特徴とする、故障診断装置。
  2. 該第1の所定の通信規格で該車載ネットワーク上から情報を受信できない場合には、該第1の所定の通信規格とは異なる第2の所定の通信規格でスタンバイして該車載ネットワーク上の情報をモニタし、該車載ネットワーク上から情報を受信すると該車載ネットワークの通信規格が第2の所定の通信規格であると判定するとともに、該電子制御装置との通信を行う
    ことを特徴とする、請求項1記載の故障診断装置。
  3. 該第1の所定の通信規格で該車載ネットワーク上から情報を受信できない場合には、該第1の所定の通信規格とは異なる第2の所定の通信規格で該電子制御装置との通信を開始する
    ことを特徴とする、請求項1記載の故障診断装置。
  4. 該モニタ時には、所定の電子制御装置の所定の情報をモニタする
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の故障診断装置。
  5. 該所定の電子制御装置とは、エンジンの作動を制御するエンジンECUであって、該所定の情報とは、エンジン回転数情報を含む特定の通信フレームである
    ことを特徴とする、請求項4記載の故障診断装置。
  6. 該モニタ時には、該所定の情報を所定時間内で所定回数以上受信すると該車載ネットワークの通信規格がスタンバイ時の通信規格であると判定する
    ことを特徴とする、請求項4又は5記載の故障診断装置。
  7. 複数の電子制御装置を有する車載ネットワークに多重通信線を介してテスタを接続して該電子制御装置から車両故障に関する情報を取得する故障診断方法であって、
    該テスタを該複数の通信規格のうち第1の所定の通信規格でスタンバイさせる第1ステップと、
    該第1ステップ後、該車載ネットワーク上の特定の情報をモニタする第2ステップと、
    該第2ステップ後、該所定の情報の受信に成功すると該車載ネットワークの通信規格が第1の所定の通信規格であると判定する第3のステップとを有する
    ことを特徴とする、故障診断方法。
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