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JP2009013795A - 往復動圧縮機 - Google Patents

往復動圧縮機 Download PDF

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JP2009013795A
JP2009013795A JP2007173239A JP2007173239A JP2009013795A JP 2009013795 A JP2009013795 A JP 2009013795A JP 2007173239 A JP2007173239 A JP 2007173239A JP 2007173239 A JP2007173239 A JP 2007173239A JP 2009013795 A JP2009013795 A JP 2009013795A
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Hiroshi Oshiage
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Hitachi Ltd
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Abstract

【課題】大出力・高圧仕様としてもシール性を確保可能なリップリングを備えた往復動圧縮機の提供。
【解決手段】シリンダと、シリンダ内を揺動しつつ往復動しシリンダ内に圧縮室を画成するピストンと、ピストンに設けられピストンとシリンダとの間をシールする環状のリップリング30とを備え、リップリング30は、シリンダの内周面との当接側と非当接側とで異なる複数層30A,30Bに形成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、例えば空気等の気体を圧縮するのに好適に用いられる揺動式リップリング往復動圧縮機に関する。
気体を圧縮する往復動圧縮機には、モータ等の駆動源の回転駆動軸に偏心してクランクを取り付け、このクランクにベアリングを介してコネクティングロッド一体型のピストンを回転可能に連結する構成のものがある。この揺動式リップリング往復動圧縮機は、ピストンにシリンダとの間を気密にシールするため環状のリップリングが取り付けられている。そして、回転駆動軸の回転でクランクが偏心回転することでピストンがシリンダ内で揺動しながら往復動して、気体を吸入し圧縮して吐出するようになっている(例えば特許文献1参照)。
特開2003−161260号公報
このような往復動圧縮機において、高い圧力(例えば1.0MPa以上)の圧縮気体を発生させる大出力・高圧仕様とした場合、シリンダ内径が大きく、またストロークが大きくなるため、結果的にシリンダとピストンとの隙間が大きくなってしまう。加えて、ピストンのストロークおよび揺動角が大きくなるとともに、高圧の圧縮気体により押されることから、リップリングが変形しピストンとシリンダとの間の隙間に部分的に落ち込んでしまう。これらの理由から、リップリングによるシールが不十分になってしまう可能性があった。また、揺動角度が大きくなることから繰り返し受ける屈曲でリップリングが破損し易くなってしまう。このため、リップリングを用いたピストン揺動型の往復動圧縮機では、大出力・高圧仕様の実用化が困難であり、それよりも低圧レベル(例えば0.7〜0.8MPa)の製品に適用が制限されている。また、高圧に耐え得るように強化材等を配合してリップリングを成形すると、リップリングによるシリンダ内面への攻撃性が高まり、シリンダに傷を付けてしまう。これにより、やはりシール性が不十分になってしまう可能性があった。
しかしながら、リップリングを用いたピストン揺動型の往復動圧縮機は、構成部品点数が少なくて済み安価に製造できる点、低騒音である点、信頼性が高い点等の種々のメリットがあるため、リップリングを用いた揺動式リップリング往復動圧縮機での大出力・高圧仕様の実用化が望まれている。
したがって、本発明は、大出力・高圧仕様としてもシール性を確保可能なリップリングを備えた往復動圧縮機の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、シリンダと、該シリンダ内を揺動しつつ往復動し該シリンダ内に圧縮室を画成するピストンと、該ピストンに設けられ該ピストンと前記シリンダとの間をシールする環状のリップリングと、を備えた往復動圧縮機において、前記リップリングは、前記シリンダの内周面との当接側と非当接側とで異なる組成の複数層に形成されてなることを特徴としている。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記リップリングは、前記シリンダの内周面との当接側の層が、球状カーボン,グラファイト,ブロンズ,二硫化モリブデンの少なくともいずれか1つを含有したポリテトラフルオロエチレンからなる複合材からなり、前記シリンダの内周面との非当接側の層が、少なくとも高強度繊維を含有したポリテトラフルオロエチレンを含んだ複合材からなることを特徴としている。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記リップリングは、一体成形されてなることを特徴としている。
請求項4に係る発明は、シリンダと、該シリンダ内を揺動しつつ往復動し該シリンダ内に圧縮室を画成するピストンと、該ピストンに設けられ該ピストンと前記シリンダとの間をシールする環状のリップリングと、を備えた往復動圧縮機において、前記リップリングは、内部に補強材を介装して一体成形されてなることを特徴としている。
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明において、前記補強材を、前記リップリングにおける前記シリンダの内周面との非当接側に介装してなることを特徴としている。
請求項1に係る発明によれば、リップリングが、シリンダの内周面との当接側と非当接側とで異なる組成の複数層に形成されているため、例えば、シリンダの内周面との当接側を摺動性に優れる層とし、非当接側を高強度の層とすることが可能となる。これにより、リップリングが高圧の圧縮気体により押されて変形するのを高強度の非当接側の層で抑制しつつ、摺動性に優れる当接側の層でシリンダ内面への攻撃性を排除することが可能となる。その結果、大出力・高圧仕様としてもリップリングのシール性を確保可能となる。したがって、ピストンのストロークおよび揺動角が大きくなる大出力・高圧仕様であっても、これを実用化可能となる。
請求項2に係る発明によれば、リップリングは、シリンダの内周面との当接側の層が、球状カーボン,グラファイト,ブロンズ,二硫化モリブデンの少なくともいずれか1つを含有したポリテトラフルオロエチレンからなる複合材からなる摺動性に優れる層となり、シリンダの内周面との非当接側の層が、少なくとも高強度繊維を含有したポリテトラフルオロエチレンを含んだ複合材からなる高強度の層となるため、リップリングが高圧の圧縮気体により押されて変形するのを高強度の非当接側の層で抑制しつつ、摺動性に優れる当接側の層でシリンダ内面への攻撃性を排除することができる。その結果、大出力・高圧仕様としてもリップリングのシール性を確保できる。
実施例図4では当接側30Aと非当接側30Bとは同一厚さとしているが、適用する圧縮機の仕様(シリンダ径、吐出し圧力等)によりそれぞれ30Aと30Bを異なった寸法とすることも可能である。
請求項3に係る発明によれば、リップリングが一体成形されてなるため、製造が容易となるとともに、各層同士の剥がれを防止できる。
請求項4に係る発明によれば、リップリングは、内部に補強材を介装して一体成形されてなるため、例えば、補強材以外の部分を摺動性に優れる材料で形成しても、内部の補強材で高強度とすることが可能となる。これにより、リップリングが高圧の圧縮気体により押されて変形するのを補強材で抑制しつつ、補強材以外の摺動性に優れる部分でシリンダ内面への攻撃性を排除することが可能となる。その結果、大出力・高圧仕様としてもリップリングのシール性を確保可能となる。したがって、ピストンのストロークおよび揺動角が大きくなる大出力・高圧仕様であっても、これを実用化可能となる。
請求項5に係る発明によれば、補強材を、リップリングにおけるシリンダの内周面との非当接側に介装してなるため、リップリングにおけるシリンダの内周面との当接側に摩耗が生じても補強材が露出するまでの時間が長くなり、長寿命化が図れる。したがって、リップリング交換のためのメンテナンスサイクルを長くすることができる。
本発明の第1実施形態の往復動圧縮機10を図1〜図6を参照して以下に説明する。
図1において、符号11はアルミニウム合金からなる円筒状のシリンダで、このシリンダ11の上端側にはシリンダヘッド12が設けられ、このシリンダヘッド12内には隔壁13によって吸入室Aと吐出室Bとが画成されている。
符号14は、シリンダ11とシリンダヘッド12との間に設けられた弁板で、この弁板14とシリンダ11との間、および弁板14とシリンダヘッド12との間はガスケット(図示せず)等によって気密にシールされている。また、シリンダ11内の弁板14と後述する揺動ピストン19との間には後述するリップリング30を介して圧縮室Cが画成されている。さらに、シリンダ11内はリップリング30を挟んで反対側に位置する空間部がコネクティングロッド収容室Dとなっている。
符号15は、弁板14に設けられた吸入ポートで、この吸入ポート15は吸入室Aと圧縮室Cとを連通させるものである。符号16は弁板14に設けられた吐出ポートで、この吐出ポート16は、吐出室Bと圧縮室Cとを連通させるものである。
符号17は、吸入室Aと圧縮室Cとの間に位置して弁板14に設けられた吸入弁で、この吸入弁17は、後述の揺動ピストン19が上死点から下死点に移動するときに開弁し、下死点から上死点に移動するときに閉弁する。
符号18は、吐出室Bと圧縮室Cとの間に位置して弁板14に設けられた吐出弁で、この吐出弁18は、揺動ピストン19が下死点から上死点に移動するときに開弁し、上死点から下死点に移動するときに閉弁する。
符号19は、シリンダ11内に往復動可能に設けられた揺動ピストンで、この揺動ピストン19は、軸方向の一端側がクランク軸を介して回転駆動源の出力軸等(いずれも図1では図示せず)に連結されたコネクティングロッド部20と、このコネクティングロッド部20の軸方向の他端側に設けられた円板部21に複数のボルト22によって締結された円板状のリテーナ23とによって構成されている。なお、円板部21、ボルト22およびリテーナ23がピストン部24を構成している。
ここで、コネクティングロッド部20の円板部21は、その中央が凹部25となり、この凹部25の周囲は環状縁部26となっている。また、リテーナ23は、その中央がコネクティングロッド部20の凹部25に嵌合する嵌合凸部27となり、この嵌合凸部27の周囲は環状縁部28となっている。
符号30は、ピストン部24の外周側に固定して設けられたリップリングで、このリップリング30は、図2にも示すように有底のカップ状に形成されている。このリップリング30は、内周側に位置しボルト22の締結によってコネクティングロッド部20の環状縁部26とリテーナ23の環状縁部28との間に挟持されることでピストン部24に固定される平板状の環状取付部31と、この環状取付部31から径方向外側に突出しシリンダ11の内周面に沿って屈曲してリテーナ23の外周側を覆うように延びる環状リップ部32とによって構成されている。なお、リップリング30は、環状取付部31の内周側でリテーナ23にインローによる位置決めがなされる。
そして、リップリング30は、環状リップ部32が、シリンダ11の内圧を受け、シリンダ11の内周面に締代をもって摺接することにより、シリンダ11とピストン部24との間を気密にシールする。
このような揺動式リップリング往復動圧縮機10は、図3に模式的に示すように、クランク機構のクランク軸40の偏心回転運動によって、クランク軸40にグリース封入式のボールベアリング41を介して回転自在に支持された揺動ピストン19およびリップリング30がシリンダ11内でシリンダ軸方向に往復動することになり、吸入行程では、揺動ピストン19のピストン部24およびリップリング30のシリンダヘッド12とは反対方向への移動で圧縮室Cが拡大し吐出弁18は閉状態のまま吸入弁17を開いて空気を吸入室Aから圧縮室Cに導入する。続く圧縮行程では、ピストン部24およびリップリング30のシリンダヘッド12の方向への移動で圧縮室Cが縮小し吸入弁17は閉状態のまま吐出弁18を開いて圧縮室Cから圧縮空気を吐出室Bに吐出する。
以上の作動中、揺動ピストン19のピストン部24は、シリンダ11内で揺動しながら往復動する。
つまり、クランク軸方向に沿って見た場合に、最も圧縮室Cを拡大した下死点ではコネクティングロッド部20が左右方向の中央に位置するとともにピストン部24は水平をなしており、この状態から圧縮行程を行うべくクランク軸40が回転し、揺動ピストン19を上昇させ圧縮室Cを縮小させる方向にピストン部24を移動させると、上死点と下死点との中間までコネクティングロッド部20の下部は左右方向一側に移動しながら上昇し、上死点と下死点との中間(例えば下死点から90度回転した位置)で最もコネクティングロッド部20の下部が一方の外側に位置する。このとき、ピストン部24は最も水平に対し傾斜することになる。
続いて、上死点に向かうにしたがってコネクティングロッド部20の下部は左右方向の中央に戻ることになり、最も圧縮室Cを縮小した上死点ではコネクティングロッド部20が左右方向の中央に位置するとともにピストン部24が水平となって圧縮行程が終了する。
ピストン部24が上死点にある状態からクランク軸40が吸入行程を行うべく回転すると揺動ピストン19は圧縮室Cを拡大させる方向にピストン部24を移動させることになり、上死点と下死点との中間まで、コネクティングロッド部20の下部が左右方向逆側に移動しながら下降し、上死点と下死点との中間(例えば上死点から90度回転した位置)で最もコネクティングロッド部20の下部が他方の外側に位置する。このとき、ピストン部24は最も水平に対し上記とは逆向きに傾斜することになる。
続いて、下死点に向かうにしたがってコネクティングロッド部20の下部は左右方向の中央に戻ることになり、最も圧縮室Cを拡大した下死点ではコネクティングロッド部20が左右方向の中央に位置するとともにピストン部24が水平をなして吸入行程が終了する。
そして、第1実施形態の揺動式リップリング往復動圧縮機10においては、上記したリップリング30が、図4に示すように、シリンダ11の内周面と当接する当接側となる当接側層30Aと、シリンダ11の内周面と当接しない非当接側となる非当接側層30Bとの性質の異なる二層に形成されている。ここで、当接側層30Aは、環状取付部31の軸線方向における環状リップ部32とは反対側から、環状リップ部32の外周側まで連続して形成されており、非当接側層30Bは、環状取付部31の軸線方向における環状リップ部32側から、環状リップ部32の内周側まで連続して形成されている。
当接側層30Aは、自己潤滑性樹脂であるポリテトラフルオロエチレンを基材とし、これに、いずれも摺動抵抗値を小さく摺動性に優れる特性を付与するための球状カーボン,グラファイト,ブロンズ,二硫化モリブデンの少なくともいずれか1つを充填材として添加した複合材からなる(炭素繊維、ガラス繊維等の硬度の高い高強度繊維は含まず)。つまり、当接側層30Aは、摺動性向上を目的とし、アルミニウム合金からなるシリンダ11に対して攻撃性の少ない、つまりシリンダ11の摺動面のアルマイトを研磨してしまったり傷をつけてしまったりすることがない組成の自己潤滑性の複合材からなる。
非当接側層30Bは、ポリテトラフルオロエチレンを基材とし、これに、炭素繊維を充填材として添加した複合材からなる。つまり、非当接側層30Bは、シリンダ内圧を受けることからシリンダ内圧に対する変形を抑え、揺動により生じるピストン部24とシリンダ11との間の隙間にリップリング30が部分的に落ち込むことを防止するとともに、揺動運動による環状リップ部32の屈曲性を向上し、繰り返し受ける屈曲に対し破損しないことを目的とする充填材を添加した、引張強度・屈曲性に優れた組成の自己潤滑性の複合材からなる。なお、非当接側層30Bの炭素繊維は、高強度繊維であれば良く、同様に硬度の高いガラス繊維,アラミド繊維等としても良い。
ここで、当接側層30Aおよび非当接側層30Bとを有する二層構造のリップリング30は、一体成形されている。つまり、図5に示すように円筒状の主型50と、主型50の内側に嵌合する円柱状の上型51と、主型の内側に嵌合する円柱状の下型52とからなる金型53に上記した当接側層30Aの複合材を構成する配合パウダーPAと、上記した非当接側層30Bの複合材を構成する配合パウダーPBとを二層に積層充填し、図6に示すように上型51および下型52に必要荷重を加えて加圧成形することで一体化する。
このとき、積層するそれぞれの配合パウダーPA,PBは、それぞれの完成時の比重と寸法とにより求められた質量分を金型53内に積層充填することになる。これにより、異なる機能(性質)を持つ層を厚み方向に二層有するシート状のリップリング素材30’が得られる。このようにして一体化されたリップリング素材30’を、打ち抜き加工および絞り成形加工を施すことで上記した環状取付部31と環状リップ部32とを有する形状に形成する。なお、リップリング30の中央の穴は打ち抜き加工ではなく、一体成形時に金型で形成しても良い。
上記のようにして当接側層30Aおよび非当接側層30Bが一体化されたリップリング30は、後に外力によって当接側層30Aおよび非当接側層30Bが剥がれることがなく、圧縮状態においても同様である。なお、ポリテトラフルオロエチレンを基材とした部材は成形後の一体化は困難であるが、上記のように製造することで容易かつ確実に二層の一体化構造にできる。また、リップリング30を三層以上の構造にしても良く、いずれの場合も同様に成形できる。
以上に述べた第1実施形態の往復動圧縮機10によれば、リップリング30が、シリンダ11の内周面との当接側と非当接側とで異なる二層30A,30Bに形成されており、シリンダ11の内周面との当接側の当接側層30Aが、球状カーボン,グラファイト,ブロンズ,二硫化モリブデンの少なくともいずれか1つを含有したポリテトラフルオロエチレンからなる複合材からなる摺動性に優れる自己潤滑性の樹脂層となり、シリンダ11の内周面との非当接側の非当接側層30Bが、少なくとも高強度繊維を含有したポリテトラフルオロエチレンを含んだ複合材からなる高強度の層となるため、リップリング30が高圧の圧縮気体により押されて変形するのを高強度の非当接側層30Bで抑制しつつ、摺動性に優れる当接側層30Aでシリンダ11の内面への攻撃性を排除することができる。その結果、大出力・高圧仕様としてもリップリング30のシール性を確保できる。したがって、揺動ピストン19のストロークおよび揺動角が大きくなる大出力・高圧仕様であっても、これを実用化可能となる。
つまり、従来の単一素材によるリップリングでは、摺動性を追求した場合は、強度や屈曲性に問題を生じシール性が確保できないため、往復動圧縮機の大出力化・高圧化は不可能であり、反対に強度や屈曲性に重点をおいた場合、高強度繊維等の硬度の高い充填材を充填する必要があるため、シリンダ内面を攻撃し摺動面の摩耗や傷を生じて、リップリングの寿命を著しく縮めてシール性に問題を生じてしまうことになるが、第1実施形態のリップリング30によれば、これらの摺動性と強度・屈曲性の相反する特性を同時に満足できることになる。
以上により、大出力化・高圧化を図っても、リップリングを用いたピストン揺動型の利点が得られる。つまり、ピストンリング、ライダーリング、ピストン、ニードルベアリング、ピストンピン、オイルシール等のシリンダ内圧縮部の高価な構成部品を大幅に削減できるため、構成部品点数が少なくて済み安価に製造できる。また、無給油式でピストンがコネクティングロッドに対して別体で揺動するいわゆるピストン式の場合に必要であるこれらの間のニードルベアリングが不要となるため、信頼性が高くなり、メンテナンス周期を長くできる。ピストンのスラッピング音およびニードルベアリングの隙間による軸受衝撃音が皆無となり低騒音化ができる。
上記に加えて、リップリング30が一体成形されてなるため、製造が容易となるとともに、各層30A,30B同士の剥がれを防止できる。
当接側層30Aの具体的組成を以下に例示する。
Figure 2009013795
非当接側層30Bの具体的組成を以下に例示する。
Figure 2009013795
次に、本発明の第2実施形態の往復動圧縮機を主に図7〜図10を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
第2実施形態では、第1実施形態に対してリップリング30が相違している。つまり、第2実施形態のリップリング30は、形状的には第1実施形態と同様に、環状取付部31と環状リップ部32とを有する有底のカップ状に形成されているものの、主構成部55の内部に補強材56を介装して一体成形されている。
第2実施形態のリップリング30は、その主構成部55が、自己潤滑性樹脂であるポリテトラフルオロエチレンを基材とし、これに、いずれも摺動抵抗値を小さく摺動性に優れる特性を付与するための球状カーボン,グラファイト,ブロンズ,二硫化モリブデンの少なくともいずれか1つを充填材として添加した複合材からなっている(炭素繊維、ガラス繊維等の硬度の高い高強度繊維は含まず)。つまり、主構成部55は、摺動性向上を目的とし、アルミニウム合金からなるシリンダ11に対して攻撃性の少ない、つまりシリンダ11の摺動面のアルマイトを研磨してしまったり傷をつけてしまったりすることがない組成の自己潤滑性の複合材からなる。
そして、このような主構成部55の厚さ方向の中間位置に、補強材56が介装されている。この補強材56は、引張強度・屈曲性に優れた炭素繊維あるいはガラス繊維あるいはアラミド繊維からなっており、ネット状をなしている。つまり、この補強材56も、リップリング30のシリンダ内圧に対する変形を抑え、ピストン部24とシリンダ11との間の隙間にリップリング30が部分的に落ち込むことを防止するとともに、揺動運動による環状リップ部32の屈曲性を向上させることを目的としてリップリング30内に埋設される。
ここで、第2実施形態のリップリング30も、主構成部55および補強材56が一体成形されている。つまり、図8に示すように、第1実施形態と同様の主型50と上型51と下型52とからなる金型53に、約半分の主構成部56の配合パウダーP、ネット状の補強材56、約半分の主構成部56の配合パウダーPをこの順番で積層充填し、図9に示すように、上型51および下型52に必要荷重を加えて加圧成形することで一体化する。これにより、ネット状の補強材56の表裏両側に、補強材56のネットの目を介して一体化された摺動性に優れる自己潤滑性樹脂の主構成部55が配されたシート状のリップリング素材30’が得られる。このようにして一体化されたリップリング素材30’を、打ち抜き加工および絞り成形加工を施すことで上記した環状取付部31と環状リップ部32とを有する形状に形成してリップリング30を得る。
以上に述べた第2実施形態によれば、リップリング30は、内部に補強材56を介装して一体成形されてなるため、補強材56以外の主構成部55を、球状カーボン,グラファイト,ブロンズ,二硫化モリブデンの少なくとも1つを含有したポリテトラフルオロエチレンからなる複合材からなる摺動性に優れる自己潤滑性の樹脂材料で形成しても、内部の補強材56で高強度とすることができる。これにより、リップリング30が高圧の圧縮気体により押されて変形するのを補強材56で抑制しつつ、補強材56以外の摺動性に優れる主構成部55でシリンダ内面への攻撃性を排除することができる。その結果、大出力・高圧仕様としてもリップリング30のシール性を確保可能となる。したがって、揺動ピストン19のストロークおよび揺動角が大きくなる大出力・高圧仕様であっても、これを実用化可能となる。
なお、第2実施形態において、金型53に、半分より多い主構成部56の配合パウダーP、ネット状の補強材56、半分より少ない主構成部56の配合パウダーPをこの順番で積層充填し、上型51および下型52に必要荷重を加えて加圧成形することで一体化して、打ち抜き加工および絞り成形加工を施すと、図10に示すように、補強材56を、リップリング30におけるシリンダ11の内周面との非当接側に偏って介装することができる。
このように構成することで、補強材56による絞り成形加工時の抵抗力を小さくできるため、絞り成形加工の成形性が向上する。
また、リップリング30におけるシリンダ11の内周面との当接側に摩耗が生じても補強材56が露出するまでの時間が長くなり、長寿命化が図れる。したがって、リップリング交換のためのメンテナンスサイクルを長くすることができる。
本発明の第1実施形態の往復動圧縮機の要部を示す断面図である。 本発明の第1実施形態の往復動圧縮機のリップリングを示す平面図(a)および断面図(b)である。 本発明の第1実施形態の往復動圧縮機を概略的に示す模式図である。 本発明の第1実施形態の往復動圧縮機のリップリングを示す部分拡大断面図である。 本発明の第1実施形態の往復動圧縮機のリップリングを製造する金型の平面図(a)および断面図(b)である。 本発明の第1実施形態の往復動圧縮機のリップリングを製造する金型の平面図(a)および断面図(b)である。 本発明の第2実施形態の往復動圧縮機のリップリングを示す部分拡大断面図である。 本発明の第2実施形態の往復動圧縮機のリップリングを製造する金型の平面図(a)および断面図(b)である。 本発明の第2実施形態の往復動圧縮機のリップリングを製造する金型の平面図(a)および断面図(b)である。 本発明の第2実施形態の往復動圧縮機のリップリングの変形例を示す部分拡大断面図である。
符号の説明
10 往復動圧縮機
11 シリンダ
24 ピストン
30 リップリング
30A 当接側層
30B 非当接側層
31 環状取付部
32 環状リップ部
56 補強材
C 圧縮室

Claims (5)

  1. シリンダと、
    該シリンダ内を揺動しつつ往復動し該シリンダ内に圧縮室を画成するピストンと、
    該ピストンに設けられ該ピストンと前記シリンダとの間をシールする環状のリップリングと、
    を備えた往復動圧縮機において、 前記リップリングは、前記シリンダの内周面との当接側と非当接側とで異なる組成の複数層に形成されてなることを特徴とする往復動圧縮機。
  2. 前記リップリングは、前記シリンダの内周面との当接側の層が、球状カーボン、グラファイト、ブロンズ、二硫化モリブデンの少なくともいずれか1つを含有したポリテトラフルオロエチレンからなる複合材からなり、前記シリンダの内周面との非当接側の層が、少なくとも高強度繊維を含有したポリテトラフルオロエチレンを含んだ複合材からなることを特徴とする請求項1に記載の往復動圧縮機。
  3. 前記リップリングは、一体成形されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の往復動圧縮機。
  4. シリンダと、
    該シリンダ内を揺動しつつ往復動し該シリンダ内に圧縮室を画成するピストンと、
    該ピストンに設けられ該ピストンと前記シリンダとの間をシールする環状のリップリングと、
    を備えた往復動圧縮機において、
    前記リップリングは、内部に補強材を介装して一体成形されてなることを特徴とする往復動圧縮機。
  5. 前記補強材を、前記リップリングにおける前記シリンダの内周面との非当接側に介装してなることを特徴とする請求項4に記載の往復動圧縮機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014059041A (ja) * 2012-09-19 2014-04-03 Amadera Kuatsu Kogyo Kk リップリングの製造方法
JP2014240722A (ja) * 2013-06-12 2014-12-25 マルシン工業株式会社 ブローバックガスガン
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