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JP2009012383A - 流体噴射装置 - Google Patents

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JP2009012383A
JP2009012383A JP2007178617A JP2007178617A JP2009012383A JP 2009012383 A JP2009012383 A JP 2009012383A JP 2007178617 A JP2007178617 A JP 2007178617A JP 2007178617 A JP2007178617 A JP 2007178617A JP 2009012383 A JP2009012383 A JP 2009012383A
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JP2007178617A
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Yusuke Hirasawa
雄輔 平澤
Nobuaki Okazawa
宣昭 岡沢
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Seiko Epson Corp
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Abstract

【課題】噴射ヘッドから流体を強制吸引する場合において流体の混合に起因する不具合を解消した、流体噴射装置を提供する。
【解決手段】複数のノズル開口17が形成されたノズル形成面を備えるとともにノズル開口17から流体を噴射する噴射ヘッド13と、噴射ヘッド13に当接した状態で強制吸引した流体を回収する流体回収部とを備える流体噴射装置である。流体回収部は、ノズル開口17に対応して設けられて流体に対して親液性を示す親液パターン部60を有する。
【選択図】図8

Description

本発明は、流体噴射装置に関するものである。
流体噴射装置として、記録ヘッド(噴射ヘッド)に形成されたノズルより記録媒体にインク(流体)を噴射するインクジェット式記録装置が知られている。流体噴射装置においては、乾燥等によるノズルの噴射特性の悪化を抑制するために、従来から、ノズルを囲うように記録ヘッドに当接されるキャップ部材を備えるキャッピング装置が設けられている。
また、流体噴射装置においては、ノズルの噴射特性の維持又は回復を目的として、上記キャップ部材が記録ヘッドに当接されることによって形成される閉空間を減圧し、ノズルからインクの強制吸引を行っている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−234195号公報
ところで、上記従来技術においてはインクの強制吸引時にノズル形成面上においてインクの混色が生じている。すると、インク吸引後、ノズル内部は依然として負圧状態となっているため、ノズル形成面上に付着している混色されたインクがノズル内に引き込まれてしまい、ノズル内でインクの混色が生じてしまい、ノズルから所望の色のインクを噴射できなくなる可能性がある。この場合、印字品質を回復させるために、各ノズルからインクを噴射させる、所謂フラッシング処理を行う必要があり、インクの消費量が増加してしまう。
特に記録ヘッドがラインヘッドである場合には、ノズル数が多いことから印字品位が低下してしまうおそれが増大する。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、噴射ヘッドから流体を強制吸引する場合において流体の混合に起因する不具合を解消した、流体噴射装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の流体噴射装置は、複数のノズル開口が形成されたノズル形成面を備えるとともに該ノズルから流体を噴射する噴射ヘッドと、該噴射ヘッドに当接した状態で前記流体を回収する流体回収部とを備える流体噴射装置において、前記流体回収部は、前記ノズル開口に対応して設けられて前記流体に対して親液性を示す親液パターン部を有することを特徴とする。
本発明の流体噴射装置によれば、ノズルから吸引された流体はそれぞれに対応する親液パターン部を経由して回収されるので、ノズルから吸引された流体同士が混じることが防止される。
よって、吸引処理後に流体回収部材を噴射ヘッドから離した際に負圧状態のノズル内には各ノズルに対応した流体が引き込まれるようになる。
したがって、吸引処理時に混合流体がノズル内に入り込むことがないため、印字品質を回復するためのフラッシング処理が不要となり、流体が無駄に消費されるのを防止できる。
また上記流体噴射装置においては、前記流体回収部は、前記親液パターン部間に前記流体に対して撥液性を示す撥液パターン部を有するのが好ましい。
この構成によれば、親液パターン部間に形成された撥液パターン部が流体を弾く隔壁として機能することで吸引した流体の混合を防止し良好に回収できる。
また上記流体噴射装置においては、前記流体回収部は前記流体を吸収可能とする吸収部材を有しており、該吸収部材に前記親液パターン部及び前記撥液パターン部が形成されているのが好ましい。
この構成によれば、例えばスポンジのように多孔質材からなる流体吸収部材を備えることで混合を防止するとともに流体を良好に回収することができる。
また上記流体噴射装置においては、前記親液パターン部は前記各ノズル開口にそれぞれ対応して設けられるのが好ましい。
この構成によれば、各ノズル開口間で流体の混合が生じるのを防止できるので、信頼性の高い吸引処理を行うことができる。
また上記流体噴射装置においては、前記親液パターン部は、前記ノズル開口のうち同種類の前記流体を噴射するノズル列に対応して設けられるのが好ましい。
この構成によれば、親液パターン部をノズル列毎に形成することで構造の簡略化を図ることができる。
また上記流体噴射装置においては、前記吸収部材には、該吸収部材の厚み方向における前記ノズル開口から離間した位置に前記親液パターン部間を連結させる連結部が設けられており、該連結部には前記流体を吸引する吸引口が連通しているのが好ましい。
この構成によれば、連結部に連通する1つの吸引口を介し、各ノズルから流体を吸引できるので、吸引機構の構成を簡略化できる。また、連結部はノズルから離間した位置に設けられているので、連結部で混合した流体がノズル内に引き込まれることがない。
また上記流体噴射装置においては、前記吸収部材は、前記噴射ヘッドに当接する側の面において、前記親液パターン部が前記撥液パターン部に対して凹状に形成されるのが好ましい。
この構成によれば、吸引された流体は親液パターン部によって形成される凹みに一時的に収容し、排出されるようになる。よって、撥液パターン部が隔壁として機能することで流体を親液パターン部内へ良好に流すことができ、流体回収性を向上できる。
また上記流体噴射装置においては、前記噴射ヘッドのノズル形成面に対する前記流体の接触角をθとし、前記ノズル形成面に形成された前記ノズルのピッチをWとし、前記噴射ヘッドに前記流体回収部材が当接された際の前記親液パターン部と前記ノズル形成面との距離をhとしたとき、h ≦ W(1−cosθ)/(2sinθ)の関係を満たすのが好ましい。
この構成によれば、吸引によってノズルから流れ出た流体は、隣接するノズルの流体と接触することなく親液パターン部に接触させることができる。よって、吸引時に流体が混合してしまうのを確実に防止できる。
また上記流体噴射装置においては、前記噴射ヘッドは、ラインヘッドであるのが好ましい。
この構成によれば、上述したように混合流体を排出するためのフラッシング処理を無くすことができるので、ノズル数が多いラインヘッドにおいては流体の消費を抑えることができ、効果的である。
(第一実施形態)
以下、本発明に係る流体噴射装置の実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。本実施形態では、本発明に係る流体噴射装置として、インクジェット式プリンタを例示する。
図1は、本実施形態のインクジェット式プリンタ(以下、インクジェットプリンタ100という)の概略構成図、図2は、ラインヘッド周辺の要部平面図、図3は、ラインヘッドのノズル形成面を示す平面図である。
本実施形態においてインクジェットプリンタ100は、図1及び図2に示すように、記録紙12への記録を行う記録部10と、記録部10のメンテナンス処理を行うメンテナンス部11とを備える。
(記録部)
記録部10は、インク滴を噴射して流体噴射対象物である記録紙12に画像形成するラインヘッド13(噴射ヘッド)と、記録紙12を搬送する記録紙搬送機構14と、ラインヘッド13に供給するインク(流体)を貯留したインク貯留部15とを備えて構成されている。
記録紙搬送機構14は、紙送りモータ(不図示)やこの紙送りモータによって回転駆動される紙送りローラ(プラテン)4等から構成され、記録(印字・印刷)動作に連動させて、記録紙12をラインヘッド13に対向するように順次送り出す。
インク貯留部15は、プリンタ本体16の一側に配置され、不図示のインク供給手段により後述のラインヘッド13へインクを供給する。このインク貯留部15は、インクジェットプリンタ100の各色(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K1:染料系)、黒(K2:顔料系))に対応する色のインクを貯蔵するインクタンク15Y,15M,15C,15K1,15K2を有しており、インク供給手段を介してラインヘッド13と連通している。
ラインヘッド13は、インクジェットプリンタ100が対象とする最大サイズの記録紙12の少なくとも一辺を越える長さ(最大記録紙幅P)に亘ってノズルが多数配列されたライン型の記録ヘッドである。本実施形態においては、少なくとも各色(Y、M、C、K1、K2)に対応した5つの印字部5Y,5M,5C,5K1,5K2を備えている。各印字部5Y,5M,5C,5K1,5K2は、インク滴を噴射するためのノズル17を多数整列配置してなるノズル列L(図3参照)をそれぞれ有しており、記録紙12の搬送方向に沿って順に配設されている。ノズル列Lは、ノズル開口17による1列のライン又はノズル開口17による複数列のラインであって、ノズル開口17の数やラインの数は適宜設定される。図3はノズル列Lの一実施例を示すものであり、ノズル開口17による複数列のラインを示している。ライン数を増やすことにより、一度に広範囲の記録が可能になるとともに、画像の解像度も高まる。
ラインヘッド13は、最大記録紙幅Pに対応する長さ方向を記録紙12の搬送方向と直交する方向に配置され、各ノズル列Lのノズル開口17からインク滴が記録紙12に噴射されることにより記録紙12に画像が記録される。
インク貯留部15とラインヘッド13とを連通するインク供給手段は、複数のインク供給流路を有しており、各インクタンク15Y,15M,15C,15K1,15K2から各印字部5Y,5M,5C,5K1,5K2へとインクが供給されるようになっている。
以下、図4を参照してラインヘッドの構成について詳述する。図4は、ラインヘッドの一部を示す断面図である。
ラインヘッド13は、ヘッド本体18と、振動板19、流路基板20、及びノズル基板21を含む流路形成ユニット22とを備えている。インクを噴射するノズル開口17はノズル基板21に形成され、ノズル基板21の下面がノズル形成面21Aとされている。流路形成ユニット22は、振動板19、流路基板20、及びノズル基板21を積層し、接着剤等で接合して一体にしたものである。
ラインヘッド13は、ヘッド本体18の内部に形成された収容空間23と、収容空間23に配置された駆動ユニット24とを備えている。駆動ユニット24は、例えば複数の圧電素子25と、圧電素子25の上端を支持する固定部材26と、駆動信号を圧電素子25に供給する柔軟なケーブル27とを備えている。圧電素子25は、複数のノズル開口17のそれぞれに対応するように設けられている。
また、ヘッド本体18の内部に形成され、インクタンクからインク供給流路を介して供給されたインクが流れる内部流路28と、振動板19、流路基板20、及びノズル基板21を含む流路形成ユニット22によって形成され、内部流路28と接続された共通インク室29と、流路形成ユニット22によって形成され、共通インク室29と接続されたインク供給口30と、流路形成ユニット22によって形成されてインク供給口30と接続された圧力室31とを備えている。圧力室31は、複数のノズル開口17に対応するように複数設けられている。複数のノズル開口17のそれぞれは、複数の圧力室31のそれぞれに接続されている。
ヘッド本体18は、合成樹脂で形成されている。振動板19は、例えばステンレス鋼等の金属製の支持板上に弾性フィルムをラミネート加工したものである。振動板19の圧力室に対応する部分には、圧電素子25の下端と接合される島部32が形成されている。振動板19の少なくとも一部は、圧電素子25の駆動に応じて弾性変形する。振動板19と内部流路28の下端近傍との間にはコンプライアンス部33が形成されている。
流路基板20は、内部流路28の下端とノズル開口17とを接続する共通インク室29、インク供給口30、及び圧力室31それぞれの空間を形成するための凹部を有する。本実施形態においては、流路基板20は、シリコンを異方性エッチングすることで形成されている。
ノズル基板21は、後述するように所定方向に所定間隔(ピッチ)で形成された複数のノズル開口17を有する。本実施形態のノズル基板21は、例えばステンレス鋼等の金属で形成された板状の部材である。
各インクタンクから各々のインク供給流路を介して供給されたインクは、内部流路28の上端に流入する。内部流路28の下端は、共通インク室29に接続されており、インクタンクからインク供給流路を介して内部流路28の上端に流入したインクは、内部流路28を流れた後、共通インク室29に供給される。共通インク室29に供給されたインクは、インク供給口30を介して、複数の圧力室31のそれぞれに分配されるように供給される。
ケーブル27を介して圧電素子25に駆動信号が入力されると、圧電素子25が伸縮する。これにより、振動板19が圧力室に接近する方向及び離れる方向に変形(移動)する。これにより、圧力室31の容積が変化し、インクを収容した圧力室31の圧力が変動する。この圧力の変動によって、ノズル開口17から、インクが噴射される。
このように、本実施形態の圧電素子25(駆動素子)は、ノズル開口17よりインクを噴射するために、入力される駆動信号に基づいて、ノズル開口17に接続された圧力室31(空間)の圧力を変動させる。そして、ノズル開口17から噴射されたインクによって記録紙12に所望の画像が形成される。
また、ラインヘッド13は、ラインヘッド移動機構(不図示)によって上下方向に移動可能とされている。
より詳細には、ラインヘッド13は、ラインヘッド移動機構によって、印刷位置とメンテナンス位置との間において上下方向に移動可能とされている。
なお、印刷位置とは、ラインヘッド13のノズル開口17から記録紙12へインクを噴射することによって記録を行う位置であり、相対的にラインヘッド13が上方に移動された位置である。また、メンテナンス位置とは、以下に詳説するメンテナンス部11によってラインヘッド13のメンテナンス処理が行われる位置である。
(メンテナンス部)
次に、メンテナンス部11の構成について詳述する。
メンテナンス部11は、図1に示したようにノズル開口17の乾燥防止又はノズル開口17近傍のインク粘度上昇を防止するキャッピング機構40と、キャッピング機構40に溜まったインクを強制吸引することで排出するインク排出部41とを含めたキャッピングメンテナンス部42(図10参照)、インク排出部41によって排出されたインクを回収する廃インクタンク39等を備えている。
図5はキャッピング機構40の概略構成を示す図であり、図5(a)はキャッピング機構40の概略構成を示す斜視図であり、図5(b)はキャッピング機構40の短辺方向における断面形状を示す図である。
キャッピング機構40は、図5に示されるように、樹脂等によってトレー形状に成型されたキャップ部材(流体回収部)43を備えている。キャッピング機構40はラインヘッド13からインクを強制吸引してノズル開口17の噴射特性を維持あるいは回復させる処理を可能としている。またキャップ部材43の内部には、インクを吸収可能とするスポンジ状部材や多孔質部材等から構成されるインク吸収部材(吸収部材)65が設けられている。
キャップ部材43は、周縁部43aが枠状に成型されている。キャップ部材43は、周縁部43a上に形成されたシール部80を備えている。このシール部80は、シール部80は、キャップ部材43がノズル形成面21Aに当接した際にノズル形成領域を囲むように形成されている。
またシール部80は、例えばエラストマーから構成される。これ以外の形成材料としては押圧時にラインヘッド13の表面形状に倣って変形なものであれば適宜採用できる。
このようなキャップ部材43は、周縁部43a(シール部80)がノズル形成面21Aと当接することによってノズル形成面21Aとの間に閉空間を形成可能とされている。
図6はインク吸収部材65の構成を示す斜視図であり、図7はインク吸収部材65の構成を示す平面図であり、図8は親液パターン部60とノズル開口17との位置関係を示す断面構成図である。
インク吸収部材65は、図6に示されるようにインク吸収部材65は、ノズル開口17から噴射されるインクに対して親液性を示す親液パターン部60と、ノズル開口17から噴射されるインクに対して撥液性を示す撥液パターン61とを有している。図7に示されるように、親液パターン部60はノズル開口17に対応して設けられており、各親液パターン部60の間に上記撥液パターン部61が配置されている。
ここで、上記親液パターン部60は各ノズル開口17に対応して形成してもよく、少なくとも同色のインクを噴射するノズル列毎に親液パターン部60を形成してもよい。具体的に本実施形態では、図7に示されるように同色のインクを噴射するノズル列Lに対応させるように親液パターン部60が形成されたものとなっている。すなわち、本実施形態では、ラインヘッド13が5つのノズル列Lを有していることから、インク吸収部材65は親液パターン部60を5つ有したものとなっている。上記親液パターン部60は、インク吸収部材65の厚さ方向に形成されている。
親液パターン部60はインク吸収部材65を構成する基材(スポンジ状部材や多孔質部材)自体から構成されている。一方、撥液パターン部61はインク吸収部材65を構成する基材に対して、例えばフッ素コートを施すことで構成している。ここで、インクに対する撥液性及び親液性とは相対的なものであり、撥液パターン部61とは親液パターン部60に比べてインクの濡れ性が相対的に低い領域を意味する。したがって、フッ素コートが施された撥液パターン部61は、上記親液パターン部60に比べて、相対的にインクの濡れ性が低いものとなっている。
図8に示されるようにインク吸収部材65には、このインク吸収部材65の厚み方向(同図中Z軸方向)において前記ノズル開口17から離間した位置に前記親液パターン部60間を連結させる連結部63が設けられている。この連結部63にはキャッピング機構40に溜まったインクを強制吸引するためのキャッピングメンテナンス部42に接続される吸引口67が連通している。
このような構成により、キャッピングメンテナンス部42によって吸引されたインクは連結部63に集められた後、吸引口67を介して外部に排出されるようになっている。
図9はメンテナンス処理時(インク吸引時)におけるキャッピング機構40とラインヘッド13との位置関係を示す図である。
ここで、インク吸収部材65とノズル形成面21Aとの距離が離れすぎてしまうと、ノズル開口17から吸引されたインクがインク吸収部材65に接触する前にインク吸引時にあるノズル列Lのノズル開口17からノズル形成面21A上に濡れ拡がったインクと、隣接する他のノズル列Lのノズル開口17からノズル形成面21A上に濡れ拡がったインクとが交じり合うおそれがある。上述したように各ノズル列Lからはそれぞれ異なる色のインクが噴射されることからノズル形成面21A上でインクの混色が生じることとなる。
このようなインクの混色を防止する手段として、本実施形態に係るインクジェットプリンタ100では、図9に示されるようにラインヘッド13のノズル形成面21Aに対するインクの静的接触角をθとし、ラインヘッド13のノズル列LのピッチをWとし、ラインヘッド13にキャップ部材43が当接された際の親液パターン部60とノズル形成面21Aとの距離をhとし、後述の式10を規定している。
以下、この式10について説明する。
図10は吸引によりノズル開口17からノズル形成面21A上にインクが引き出された状態を示し、ノズル形成面21Aと親液パターン部60との距離を規定する式10について説明するための図である。
図10(a)においてインクの表面位置を極座標で表すと、下式2,3が規定できる。
x=rcosθa (式2)
y=rsinθa (式3)
ここで、θa=90°−θで表されることから、上記式2、3は下式4,5によって規定される。
x=rsinθ (式4)
y=rcosθ (式5)
図10(b)に示されるように、ノズル列L間ピッチをWとすると、インク液滴の幅がW/2であればインクの混色が起こらない。つまり、ノズル形成面21Aと親液パターン部60(インク吸収部材65)との距離hは、液滴幅W/2のときの液滴高さ以下であればよい。
ここで、x=W/2を上記式4に代入し、rについて展開すると、下式6が得られる。
r=W/2sinθ (式6)
また、液滴高さをYinkとすると、下式7で規定される。
Yink=rcos90°−rcosθ (式7)
この式7を整理すると、下式8が得られる。
Yink=r(1−cosθ) (式8)
この式8に上記式6を代入すると、下式9が得られる。
W(1−cosθ)/(2sinθ) (式9)
この式9で示される液滴高さがノズル開口17から親液パターン部60(インク吸収部材65)までのギャップとなり、このギャップ以内であればノズル形成面21Aにおいてインクの混色が生じないこととなる。
したがって、ノズル形成面21Aにおいてインクの混色が生じないための条件である式10が規定される。
h ≦ W(1−cosθ)/(2sinθ) (式10)
本実施形態では、上述の式10を満たすようにラインヘッド13に対してキャップ部材43を当接させるようにしている。よって、吸引により隣接するノズル列L(ノズル開口17)からノズル形成面21A上に濡れ拡がったインク間には、図9に示したように隙間Sが生じたものとなる。よって、インクの吸引時にノズル形成面21A近傍でインクの混色が発生するのを防止することができる。
この構成により、キャッピングメンテナンス部42によりノズル開口17から強制吸引されたインクは親液パターン部60に流れ込むようになっている。また、各親液パターン部60間に設けられた撥液パターン部61はインクを弾く隔壁として機能し、異なるノズル列Lから吸引されたインク同士が交じり合うことで混色することが防止されたものとなっている。
(インク排出部)
以下、図11を参照してインク排出部について詳述する。図11は、キャップ部材43に連結された吸引ポンプの構成を示す図である。
インク排出部41は、キャップ部材43に接続してキャップ部材43内に溜まったインクを排出するインク排出流路、キャップ部材43に溜まったインクをインク排出流路内に吸引するための吸引ポンプ49等を備えている。
キャップ部材43の底壁には、キャップ部材43内に溜まったインク2を排出する突出部46が下方に向かって突設されており、その内部には排出通路46aが形成されている。この排出通路46aの一端側はキャップ部材43を貫通しており、キャップ部材43の内部に設けられたインク吸収部材65の連結部63に連通する吸引口67を構成している。
突出部46には、上記インク排出流路として機能する、可撓性材料等からなる排出チューブ47の一端側が接続されており、排出チューブ47の他端側が廃インクタンク39内に挿入されている。
なお、廃インクタンク39内には、多孔質部材からなる廃インク吸収材48が収容されており、この廃インク吸収材48により回収されたインク2が吸収されるようになっている。
キャップ部材43と廃インクタンク39間には、チューブポンプ式の吸引ポンプ49が配設されている。吸引ポンプ49は、円筒状のケース50を有しており、このケース50内には平面視で円形状をなすポンプホイル51がケース50の軸心に設けられたホイル軸52を中心に回動可能に収容されている。そして、このケース50内に、排出チューブ47の中間部47aがケース50の内周壁50aに沿うようにして収容されている。
ポンプホイル51には、一対の外側に膨らむ円弧状をなすローラ案内溝53,54がホイル軸52を挟んで対向するように形成されている。各ローラ案内溝53,54は、一端がポンプホイル51の外周側に位置しており、他端がポンプホイル51の内周側に位置している。すなわち、両ローラ案内溝53,54は、それらの一端から他端に向かうほど、徐々にポンプホイル51の外周部から遠ざかるように延びている。
両ローラ案内溝53,54内には、押圧手段としての一対のローラ55,56が、それぞれ回動軸55a,56aを介して挿通支持されている。なお、両回動軸55a,56aは、それぞれ両ローラ案内溝53,54内を摺動自在になっている。
そして、ポンプホイル51を、正方向(矢印方向)に回動させると、両ローラ55,56が両ローラ案内溝53,54の一端側(ポンプホイル51の外周側)に移動し、排出チューブ47の中間部47aを上流側から下流側へ順次押し潰しながら(押圧しながら)回動するようになっている。この回動により、吸引ポンプ49より上流側の排出チューブ47の内部が減圧されるようになっている。
これにより、キャップ部材43の内部に設けられたインク吸収部材65内に溜まったインクは、ポンプホイル51の正方向の回動動作により、徐々に廃インクタンク39方向へ排出されるようになっている。
また、ポンプホイル51を逆方向(矢印方向とは反対方向)に回動させると、両ローラ55,56が両ローラ案内溝53,54の他端側(ポンプホイル51の内周側)に移動するようになっている。この移動により、両ローラ55,56がそれぞれ排出チューブ47の中間部47aに軽く接した状態となり、排出チューブ47の内部の減圧状態が解消されるようになっている。なお、ポンプホイル51は、記録紙搬送機構14の紙送りモータによって回転駆動されるようになっている。
(メンテナンス処理)
以下、本実施形態のインクジェットプリンタ100においてメンテナンス部11を用いてラインヘッド13に対するメンテナンス処理を行う場合について図12に示すフローチャート図を参照しながら説明する。
外部から印刷データが送信されると、不図示の制御装置はドットパターンに対応した噴射データに展開してラインヘッド13に送信する。そして、ラインヘッド13では、受信した噴射データに基づき、記録(印字・印刷)処理、すなわち記録紙に対するインク滴の噴射を実行する(ステップS1)。
そして、予め設定されている時間が経過すると(ステップS2)、定期メンテナンス処理を開始する。
メンテナンス処理が開始すると、制御装置はキャップ部材43がノズル形成面21Aに当接するまでラインヘッド13を下降させ、ノズル形成面21Aにシール部80を密着させ、ノズル形成面21Aとキャップ部材43との間に空間を形成する(ステップS3)。
続いて、制御装置は吸引ポンプ49を駆動することによって、ノノズル形成面21Aとキャップ部材43との間に形成される空間を減圧状態とし、これによってノズル開口17を介してラインヘッド13の内部からインクを強制排出させる吸引動作を行う(ステップS4)。
この際、上述のようにキャップ部材43とノズル形成面21Aとの間に形成される空間が閉空間とされているため、吸引ポンプ49を駆動させることによって空間を良好に減圧させることができる。このため、ラインヘッド13内のインクをノズル開口17から良好に強制排出させることができる。
このとき、図6〜図9を参照して説明したように、キャップ部材43の内部にはインク吸収部材65が設けられている。このインク吸収部材65にはラインヘッド13のノズル列Lに対応し、撥液パターン61によって囲まれてなる親液パターン部60を備えているので、相対的に濡れ性の低い撥液パターン部61が隔壁として機能することでノズル開口17から吸引されたインクは親液パターン部60内を良好に流れる。
よって、隣り合う親液パターン部60間を流れるインク同士はインク吸収部材65の厚み方向の下方(図6中−Z軸方向)に設けられた連結部63内で合流した後、この連結部63に連通している吸引口67を介して外部に排出される。よって、各ノズル列Lから吸引されたインクはノズル形成面21A近傍において混色が生じることがない。また上記構成によれば、連結部63に連通する1つの吸引口67を介して各ノズル開口17からインクを吸引できるので吸引機構の構成が簡略化されたものとなっている。
その後、制御装置は、吸引ポンプ49を逆駆動することによって、ノズル形成面21Aとキャップ部材43との間に形成されている空間Kを大気開放する(ステップS5)。吸引ポンプ49を逆駆動することによってノズル形成面21Aとキャップ部材43との間の空間に空気が流入し、空間が大気開放される。
そして、制御装置は、ラインヘッド13を上昇させることによって、ノズル形成面21Aからキャップ部材43を離間させる(ステップS6)。具体的には、制御装置は、ラインヘッド13を印刷位置まで移動させることによってノズル形成面21Aからキャップ部材43を離間させる。
ここで、インク吸引後、ノズル開口17の内部は依然として負圧状態となっている。そのため、ノズル形成面21A上に付着しているインクがノズル開口17内に引き込まれる可能性がある。ノズル開口17内にてインクの混色が生じると所望の色のインクを噴射できなくなる可能性がある。このような不具合を解消するためには、フラッシング処理によってノズル開口17内に引き込まれた混色インクを排出させる必要がある。特に本実施形態のような多数のノズル開口17を備えるラインヘッド13では、上記フラッシング処理時に消費されるインク量が増大する可能性がある。
一方、本実施形態に係るインクジェットプリンタ100によれば、上述したインク吸収部材65によりノズル形成面21A近傍でのインクの混色が防止されるので、ノズル開口17内に引き込まれるインクは同色のものであるため問題がない。また、本実施形態では親液パターン部60を同種類のインクを噴射するノズル列毎に形成することで構造の簡略化を図りつつ、しかも同じ列のノズル開口17間でインクの引き込みが起きた場合でも噴射特性が損なわれることがない。よって、ラインヘッド13のノズル開口17からインクを強制吸引する際における混色に起因する不具合(インク消費量の増大)を解消できる。
(第二実施形態)
次にインクジェットプリンタの第二実施形態について説明する。本実施形態に係るインクジェットプリンタは上述の第一実施形態に対しキャップ部材43の内部に設けられるインク吸収部材65の形状が異なっている。そのため、以下では上記実施形態と同じ部材及び構成については同一の符号を付し、その説明を省略若しくは簡略化する。
図13は第二実施形態に係るインク吸収部材65の断面構成を示す図である。本実施形態に係るインク吸収部材65は、図13に示されるように、ラインヘッド13に当接する側の面において、前記親液パターン部60が前記撥液パターン部61に対して凹状に形成されている。なお、親液パターン部60は上記実施形態と同様にノズル列Lに対応するように形成されている。すなわち、インク吸収部材65には溝部(凹み)70が形成されたものとなっている。
本実施形態に係るように親液パターン部60が前記撥液パターン部61に対して凹状に形成されている場合、ノズル形成面21Aと親液パターン部60とは以下の関係式を満たすことで強制吸引時にインクの混色が防止されたものとなっている。
図14は吸引によりノズル開口17からノズル形成面21A上にインクが引き出された状態を示す図である。
図14に示されるようにノズル開口17から引き出されたインク液滴の下面は溝部70内に入り込むようになる。ここで、インク液滴の溝部70への入り込み量をtとし、親液パターン部60のパターン幅をbとし、ノズル形成面21Aとインク吸収部材65の上面との距離をaとする。ここでインク吸収部材65の上面とは撥液パターン部61の表面に対応している。
ここで、ノズル開口17から引き出されるインクの中心Cと撥液パターン部61との接触位置とを結ぶ線分と同図中Y軸(ノズル開口17の延出方向に対応)との交差角度をδとした場合、図14に示されるような角度関係が得られる。
このような角度関係に基づいて、下式11が得られる。
sinδ=br/2 (式11)
この式11をδについて展開すると、下式12が得られる。
δ=sin−1(br/2) (式12)
ここで、上述した式6を式12に代入し整理すると、下式13が得られる。
δ=sin−1(bsinθ/W) (式13)
また、図14に基づいて下式14を規定できる。
tan(δ/2)=2t/b (式14)
ここで式14をtについて展開すると、下式15を規定できる。
Figure 2009012383
さらに式15に上記式12を代入し整理すると、下式16を規定できる。
Figure 2009012383
ここで、ノズル形成面21Aとインク吸収部材65の上面との距離をaは、下式(17)で規定される値以下であればよい。
a=r−t (式17)
この式17に上記式6、式16を代入し整理すると、下式(18)により規定できる。なお、下式18においてはb≦Wを満たしている。
Figure 2009012383
本実施形態に係るインク吸収部材65によれば、上記第一実施形態によって得られる作用効果に加えて、ノズル開口17から噴射されたインクは溝部70に一時的に収容するとともに親液パターン部60から外部に確実に排出されるようになる。よって、インクが親液パターン部60から撥液パターン部61へと流れ込むのを良好に防止でき、インク回収性を向上できる。
(第三実施形態)
次にインクジェットプリンタの第三実施形態について説明する。本実施形態に係るインクジェットプリンタは第一、第二実施形態と異なり、キャップ部材43がインク吸収部材65を有しない構成となっている。なお、上記実施形態と同じ部材及び構成については同一の符号を付し、その説明を省略若しくは簡略化する。
図15は本実施形態に係るキャップ部材143の概略構成を示す図である。図15に示されるようにキャップ部材143は、その上面(ラインヘッド13に当接する側の面)143aに親液パターン部160及び撥液パターン部161が上記実施形態と同様にノズル列Lに対応して形成されている。なお、親液パターン部160とノズル形成面21Aとは図9を参照して説明した式10に示される関係を満たすように設定されている。また、キャップ部材143の上面143aは一方方向に向かって僅かに傾斜した構成となっており、これにより親液パターン部160上に吐出されたインクを一方方向に流せる構成となっている。また、キャップ部材143の上面143aのうち、インクが流れてくる位置には不図示のインク排出口が形成されており、このインク排出口に接続される上記キャッピングメンテナンス部42(図11参照)によって各親液パターン部160上を流れてきたインクを外部に排出可能となっている。
本実施形態に係るキャップ部材143を用いてインクの強制吸引を行う場合、キャップ部材143をラインヘッド13に当接させた後、ラインヘッド13とキャップ部材143との間に形成される空間を上記キャッピングメンテナンス部42(図11参照)によって減圧し、インクの吸引を行う。
吸引によってノズル列Lから引き出されたインクは、各ノズル列Lに対応して設けられた親液パターン部60に着弾する。すると、インクは親液パターン部60上のみに濡れ拡がり、上記傾斜方向に向かって流れ出し、不図示のインク排出口を介して外部に吸引(排出)される。
このように本実施形態に係るキャップ部材143を用いた場合においても、上記実施形態と同様に吸引処理時にインクが混色しなく混色に起因する不具合が防止されたものとなる。
(第四実施形態)
次にインクジェットプリンタの第四実施形態について説明する。本実施形態に係るインクジェットプリンタは第三実施形態に係る構成においキャップ部材243の形状のみが異なっている。そのため、以下では上記第三実施形態と同じ部材及び構成については同一の符号を付し、その説明を省略若しくは簡略化する。
図16は本実施形態に係るキャップ部材243の断面構成を示す図である。図16に示されるようにキャップ部材243は、上記第二実施形態と同様に、親液パターン部260が、キャップ部材243のラインヘッド13に当接する側の面において、撥液パターン部261に対して凹状に形成されている。すなわち、キャップ部材243には溝部(凹み)270が形成されたものとなっており、この溝部270内に形成される親液パターン部260の上面は図14を参照して説明した式18に示される関係を満たすように設定されており、これにより親液パターン部260は上記実施形態と同様に強制吸引時にインクの混色が生じるのを防止できる。
本実施形態に係るキャップ部材243によれば、上記第三実施形態によって得られる作用効果に加えて、ノズル開口17から噴射されたインクは溝部270を流路として外部に良好に排出できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもなく、上記各実施形態を組み合わせても良い。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態においては、ラインヘッド13をメンテナンス部11に対して昇降させることでメンテナンス処理を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばラインヘッド13の待機位置までメンテナンス部11を移動させることでノズル形成面17aとメンテナンス部11とを対向配置し、メンテナンス処理を行うようにしてもよい。
例えば、上記実施形態に係る説明では記録紙上に画像形成する場合について説明したが、ロール紙上に画像形成する場合にも本発明は適応可能である。図17に示すようにロール紙Rに印字を行う場合、ラインヘッド13の下側にメンテナンス部11を配置することが難しい。このような場合、ラインヘッド13の側方にメンテナンス部11を配置し、メンテナンス処理時にラインヘッド13を上昇させるとともに、ノズル形成面21Aを同図中矢印方向に回転させることでメンテナンス部11に対向させてメンテナンス処理を行うようにしてもよい。
また、本発明はノズル形成面21Aをそれぞれ対向配置させた2つのラインヘッド13間に記録紙を送ることで両面印刷を行うインクジェットプリンタについても適用可能である。このような場合、図18に示すように2つのラインヘッドの側方にメンテナンス部11をそれぞれ配置し、上述した両面印刷時と同様にメンテナンス処理時にラインヘッド13を移動させるとともに、ノズル形成面21Aを同図中矢印方向に回転させることでメンテナンス部11に対向させてメンテナンス処理を行うようにしてもよい。なお、メンテナンス部11を1つだけ設け、メンテナンス装置を昇降させることで2つのラインヘッド13に対しメンテナンス処理を行うようにしてもよい。
上記実施形態においては、親液パターン部60、160、260をノズル列Lにそれぞれ対応させて形成した構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図19に示すように各ノズル開口17にそれぞれ対応させて親液パターン部60、160、260を形成してもよい。このようにすれば、各ノズル開口17にてインクの混色が防止されたものとなるので、より信頼性の高い吸引処理を行うことができる。
例えば、上記実施形態においては、単一のラインヘッドを備え、当該ラインヘッドから全ての種類のインクが噴射される構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、インクの種類ごとにラインヘッドを設置する構成であっても良い。このような場合には、各ラインヘッドごとにメンテナンス部11が設置されることとなる。
また、本発明は、ラインヘッド方式のインクジェットプリンタに限られるものではなく、シリアル方式のインクジェットプリンタに適用することも可能である。
また、上記実施形態においては、インクジェット式記録装置がインクジェット式プリンタである場合を例にして説明したが、インクジェット式プリンタに限られず、複写機及びファクシミリ等の記録装置であってもよい。
また、上記実施形態では圧電素子25として積層型のものを用いたが、本発明はこれに限定されず、積層型以外の種類(例えば、モノモルフ、ユニモルフ、バイモルフ、ムーニー型、マルチムーニー型、シンバル型等)を用いてもよい。更に、駆動ユニット24としては上述した圧電素子25を用いたピエゾジェットタイプに限定されることなく、例えばサーマル方式を採用することもできる。その場合には印加時間を変化させることなどにより、流体吐出量を変化させることができる。
また、上述の各実施形態においては、流体噴射装置が、インク等の流体を噴射する流体噴射装置(流体噴射装置)である場合を例にして説明したが、本発明の流体噴射装置は、インク以外の他の流体を噴射したり吐出したりする流体噴射装置に適用することができる。流体噴射装置が噴射可能な流体は、液体、機能材料の粒子が分散又は溶解されている液状体、ジェル状の流状体、流体として流して噴射できる固体、及び粉体(トナー等)を含む。
また、流体噴射装置としては、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する流体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる流体を噴射する流体噴射装置であってもよい。
さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する流体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する流体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する流体噴射装置、ジェルを噴射する流状体噴射装置、トナーなどの粉体を例とする固体を噴射するトナージェット式記録装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の流体噴射装置に本発明を適用することができる。
インクジェットプリンタの概略構成図である。 ラインヘッド周辺の要部平面図である。 ラインヘッドのノズル形成面を示す平面図である。 ラインヘッドの一部を示す断面図である。 キャッピング機構の概略構成を示す図である。 インク吸収部材の構成を示す斜視図である。 インク吸収部材の構成を示す平面図である。 親液パターン部とノズルとの位置関係を示す断面構成図である。 メンテナンス時のキャッピング機構とヘッドとの位置関係を示す図である。 ノズル形成面と親液パターン部との位置関係を規定する説明図である。 インク排出部の構成を示す図である。 ラインヘッドに対するメンテナンス処理のフローチャート図である。 第二実施形態に係るインク吸収部材の断面構成を示す図である。 ノズル形成面と親液パターン部との位置関係を規定する説明図である。 第三実施形態に係るキャップ部材の概略構成を示す図である。 第四実施形態に係るキャッピング部材の断面構成を示す図である。 インクジェットプリンタの変形例に係る構成を示す図である。 インクジェットプリンタの変形例に係る構成を示す図である。 インクジェットプリンタの変形例に係る構成を示す図である。
符号の説明
L…ノズル列、13…ラインヘッド(噴射ヘッド)、17…ノズル、18…ヘッド本体(保持部材)、21…ノズル基板(ノズル形成部材)、21A…ノズル形成面、43…キャップ部材(流体回収部)、60…親液パターン部、61…撥液パターン部、63…連結部、65…インク吸収部材(吸収部材)、67…吸引口、80…シール部、81…当接部、100…インクジェットプリンタ(流体噴射装置)、160…親液パターン部、161…撥液パターン部、260…親液パターン部、261…撥液パターン部

Claims (9)

  1. 複数のノズル開口が形成されたノズル形成面を備えるとともに該ノズルから流体を噴射する噴射ヘッドと、該噴射ヘッドに当接した状態で前記流体を回収する流体回収部とを備える流体噴射装置において、
    前記流体回収部は、前記ノズル開口に対応して設けられて前記流体に対して親液性を示す親液パターン部を有することを特徴とする流体噴射装置。
  2. 前記流体回収部は、前記親液パターン部間に前記流体に対して撥液性を示す撥液パターン部を有することを特徴とする請求項1に記載の流体噴射装置。
  3. 前記流体回収部は前記流体を吸収可能とする吸収部材を有しており、該吸収部材に前記親液パターン部及び前記撥液パターン部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の流体噴射装置。
  4. 前記親液パターン部は前記各ノズル開口にそれぞれ対応して設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体噴射装置。
  5. 前記親液パターン部は、前記ノズル開口のうち同種類の前記流体を噴射するノズル列に対応して設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体噴射装置。
  6. 前記吸収部材には、該吸収部材の厚み方向における前記ノズル開口から離間した位置に前記親液パターン部間を連結させる連結部が設けられており、該連結部には前記流体を吸引する吸引口が連通していることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の流体噴射装置。
  7. 前記吸収部材は、前記噴射ヘッドに当接する側の面において、前記親液パターン部が前記撥液パターン部に対して凹状に形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の流体噴射装置。
  8. 前記噴射ヘッドのノズル形成面に対する前記流体の接触角をθとし、前記ノズル形成面に形成された前記ノズルのピッチをWとし、前記噴射ヘッドに前記流体回収部材が当接された際の前記親液パターン部と前記ノズル形成面との距離をhとしたとき、
    h ≦ W(1−cosθ)/(2sinθ)
    の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の流体噴射装置。
  9. 前記噴射ヘッドは、ラインヘッドであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の流体噴射装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011230403A (ja) * 2010-04-28 2011-11-17 Seiko Epson Corp 流体噴射装置
JP2014054793A (ja) * 2012-09-13 2014-03-27 Ricoh Co Ltd キャップ部材、液体吐出装置、画像形成装置

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