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JP2009074010A - カラーフィルタ用インクジェットインク組成物、及びカラーフィルタ - Google Patents

カラーフィルタ用インクジェットインク組成物、及びカラーフィルタ Download PDF

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JP2009074010A
JP2009074010A JP2007246810A JP2007246810A JP2009074010A JP 2009074010 A JP2009074010 A JP 2009074010A JP 2007246810 A JP2007246810 A JP 2007246810A JP 2007246810 A JP2007246810 A JP 2007246810A JP 2009074010 A JP2009074010 A JP 2009074010A
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resin
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Ai Akagi
愛 赤木
Takashi Yamauchi
隆司 山内
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Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

【課題】極めて優れた耐熱性および耐薬品性を有する着色画素を形成することのきるカラ−フィルタ用インクジェットインク組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも有機顔料、分散剤、バインダー成分、及び溶剤からなり、分散剤の主成分としてアミン系樹脂型分散剤を含有し、バインダー成分の主成分としてメラミン樹脂及びエポキシ樹脂を含有する熱硬化型組成物であること。メラミン樹脂は前記化学式(1)で表される構造単位を有するメラミン樹脂、エポキシ樹脂は前記化学式(2)で表される構造単位を有するビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂であること。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェットインク組成物に関するものであり、特に、インクジェット方式を用いてカラーフィルタを製造するに際し、極めて優れた耐熱性および耐薬品性を有する着色画素を形成することのきるカラ−フィルタ用インクジェットインク組成物に関する。
近年、携帯電話やパーソナルコンピュータ、薄型カラーテレビの発展に伴い、カラー液晶表示装置の需要が増加しており、特に、薄型カラーテレビの大型化による需要の増加がが著しい。しかしながら、需要の増加に伴い低価格化の進行も著しく、部材の中でもコスト的に比重の高いカラーフィルタに対するコストダウンの要求が高い。
このカラーフィルタは、通常赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の着色画素で構成され、赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの着色画素に対応する電極をオン・オフさせることで液晶がシャッタとして作動し、白色光が赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの着色画素を通過してカラー表示が行われる。
従来より行われているカラーフィルタの製造方法としては、例えば、染色法が挙げられる。この染色法は、まず基板上に、染色される透明な水溶性の高分子材料をフォトリソグラフィー法により所望の形状にパターニングし、得られたパターンを染料水溶液に浸漬して透明なパターンを染色する。これを3回繰り返すことにより赤(R)、緑(G)、青(B)の着色画素で構成されるカラーフィルタを形成するものである。
また、他の方法としては顔料分散法が挙げられる。この方法は、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをフォトリソグラフィー法によりパターニングすることにより単色のパターン(着色画素)を得る。この工程を3回繰り返すことにより、赤(R)、緑(G)、青(B)の着色画素で構成されるカラーフィルタを形成する。
さらに他の方法としては、顔料を分散させた熱硬化性樹脂をインクとして用い、赤(R)、緑(G)、青(B)の印刷を3回行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。
しかしながら、いずれの方法も、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色を着色画素を形成するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、同様の工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題がある。
カラーフィルタを廉価に製造するカラーフィルタの製造方法として、近年、インクジェット方式を利用したカラーフィルタの製造方法が検討されている。この方法では位置の制御はインクジェットのヘッドまたは基板の方で行うことが出来るため、染色法、或いは顔料分散法のように、着色画素をフォトリソグラフィー法によりパタ−ンニングする工程がなく、カラーフィルタを廉価に製造することができる。さらには、着色画素を形成する材料が感光性を有する必要がないために、従来の方法に比べてより耐熱性、耐薬品性の高い材料を選択する範囲を拡げることができる。
より詳しく説明すると、インクジェット方式のカラ−フィルタ形成方法としては、予め基板上に透明な被染色層を一層設け、その上に染料を主成分とする赤(R)、緑(G)、青(B)のインクをインクジェット装置で噴射し、赤(R)、緑(G)、青(B)の各着色画素に対応する被染色層の所定の位置を染色する方式が知られている(特開昭59−75205号、同61−245106号、同63−294503号、同1−217302号、同02−173703号、特開02−173704号公報など)。
この方式は、透明な被染色層を染料インクで染め付けるため、散乱の少ない透明度の高いカラ−フィルタが得られるが、その反面、被染色層を形成した後に染料インクを用いて染め付けるため染料の熱による昇華、および溶剤による溶出が起こりやすく、高い耐熱性、耐薬品性が得にくい。
それに対して、より高い耐熱性および耐薬品性を有する着色画素を実現する方法として、透明な基板上の赤(R)、緑(G)、青(B)の各着色画素の所定の位置に主として樹脂と有機顔料および/または染料の混合物からなるインクをインクジェット装置で噴射して着色画素を形成する方法が知られている(特開平5−224007号、特開平8−171010号、特開平10−104416号公報など)。
しかし、色仕様および/またはカラー液晶表示装置の方式によっては、インクの組成が著しく制限され、上記方法で調製されるインクジェット用インクの耐熱性、耐薬品性は、未だ不十分であり、例えば、顔料分散法における耐熱性および耐薬品性は実現していない。
特開昭59−75205号公報 特開平5−224007号公報
本発明はかかる従来技術の諸欠点に鑑み創案されたもので、その目的とするところはインクジェット方式を用いてカラーフィルタを製造するに際し、極めて優れた耐熱性および耐薬品性を有する着色画素を形成することのきるカラ−フィルタ用インクジェットインク組成物を提供することにある。
本発明は、インクジェット方式によるカラーフィルタの製造に用いるインク組成物であって、少なくとも有機顔料、分散剤、バインダー成分、及び溶剤からなり、前記分散剤の主成分としてアミン系樹脂型分散剤を含有し、前記バインダー成分の主成分としてメラミン樹脂及びエポキシ樹脂を含有する熱硬化型組成物であることを特徴とするカラーフィルタ用インクジェットインク組成物である。
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタ用インクジェットインク組成物において、前記メラミン樹脂は下記化学式(1)で表される構造単位を有するメラミン樹脂、前記エポキシ樹脂は下記化学式(2)で表される構造単位を有するビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂であることを特徴とするカラーフィルタ用インクジェットインク組成物である。
Figure 2009074010
Figure 2009074010
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタ用インクジェットインク組成物において、前記化学式(1)で表される構造単位を有するメラミン樹脂と、前記化学式(2)で表される構造単位を有するビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂は、重量比で、メラミン樹脂:エポキシ樹脂=(〔75:25〕〜〔10:90〕)の割合で含有することを特徴とするカラーフィルタ用インクジェットインク組成物である。
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタ用インクジェットインク組成物において、前記重量比は、赤(R)インク組成物では、メラミン樹脂:エポキシ樹脂=(〔30
:70〕〜〔10:90〕)の割合であることを特徴とするカラーフィルタ用インクジェットインク組成物である。
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタ用インクジェットインク組成物において、前記重量比は、緑(G)インク組成物では、メラミン樹脂:エポキシ樹脂=(〔50:50〕〜〔25:75〕)の割合であることを特徴とするカラーフィルタ用インクジェットインク組成物である。
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタ用インクジェットインク組成物において、前記重量比は、青(B)インク組成物では、メラミン樹脂:エポキシ樹脂=(〔75:25〕〜〔50:50〕)の割合であることを特徴とするカラーフィルタ用インクジェットインク組成物である。
また、本発明は、着色画素上に直接ITO膜を成膜したカラ−フィルタであって、前記着色画素の形成に請求項2〜請求項6のいづれか1項に記載のカラーフィルタ用インクジェットインク組成物を用いたことを特徴とするカラーフィルタである。
本発明は、少なくとも有機顔料、分散剤、バインダー成分、及び溶剤からなり、分散剤の主成分としてアミン系樹脂型分散剤を含有し、バインダー成分の主成分としてメラミン樹脂及びエポキシ樹脂を含有する熱硬化型組成物のカラーフィルタ用インクジェットインク組成物であり、また、メラミン樹脂は前記化学式(1)で表される構造単位を有するメラミン樹脂、エポキシ樹脂は前記化学式(2)で表される構造単位を有するビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂のカラーフィルタ用インクジェットインク組成物であるので、極めて優れた耐熱性および耐薬品性を有する着色画素を形成することのきるカラ−フィルタ用インクジェットインク組成物となる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
前記化学式(1)で表される構造単位は、N末端として−NH2 、−NH(ROH)、−N(ROH)2 、−NH(ROR´)、−N(ROR´)2 、(ここで、R、R´は鎖状または環状アルキル基)等アルコ−ルまたはエ−テルを付加したものが使用できる。この場合、加熱により末端のアルコ−ルまたはエ−テルが他のOH基との間で縮合反応を起こし架橋するため、画素画素の描画後に熱架橋することで緻密に架橋された膜を得ることができる。化学式(1)に表される構造単位は1分子中に最大3個の架橋点を有するため、高度に架橋された膜は非常に高い耐熱性と耐薬品性を有する。
前記化学式(2)で表される構造単位は、重合度n=0〜25の範囲にあるものが使用できる。化学式(2)で表される構造単位を持つ該エポキシ樹脂を硬化させて得られる膜は弾力性に富み、熱収縮率が小さいという特徴を持つ。化学式(2)で表される構造単位は、末端のエポキシ基が、−NH2、−NH(ROH)との間で縮合反応を起こし架橋する。
分散剤の主成分としてアミン系樹脂型分散剤を含有するため、化学式(2)で表される構造単位を持つ該エポキシ樹脂と共にインク化することにより、熱硬化させる際において、該アミン系樹脂型分散剤は、該エポキシ樹脂の硬化剤としても働く。より緻密な架橋を得たい場合は、適切な硬化剤の存在下でさらにエポキシ樹脂を硬化させることもできる。
化学式(1)で表される構造単位を含む化合物と、化学式(2)で表される構造単位を
含む化合物とを同時にインク中に存在させることによって、化学式(1)で表される構造単位の−NH2 、−NH(ROH)と化学式(2)で表される構造単位のエポキシ基との縮合反応によって得られた着色画素は、高度に架橋されており、且つ熱収縮が小さいため、該着色画素そのものの耐熱性だけでなく、該着色画素上に塗布または蒸着し加熱することによって成膜されたオーバーコート層、偏光膜、ITO(Indium Tin Oxide)膜等との密着性が良い。
化学式(1)で表される構造単位を持つ化合物を単独で用いた場合、化学式(1)で表される構造単位を含む化合物と化学式(2)で表される構造単位を含む化合物とを併用した場合に比べ、より高度に架橋され強固な着色層が得られるが、熱収縮が大きいのが欠点である。
一方、化学式(2)で表される構造単位を持つ化合物を単独で用いた場合は、単独では架橋密度を向上させることが難しく、溶剤耐性が低下する。従って、特に、着色画素に直接ITOを成膜する方式のカラーフィルタにおいては、ITOクラック対策として、化学式(1)で表される構造単位を含む化合物と、化学式(2)で表される構造単位を含む化合物との併用は、非常に効果的である。
上記アミン系樹脂型分散剤中に分散する顔料または染料の種類は特に制限されず公知の顔料および染料が適宜使用できる。例えば、有機、無機の顔料、酸性染料、直接染料、分散染料、反応性染料などが使用できる。ただし、耐熱性、耐光性、および耐溶剤性の優れたカラーフィルタを得るためには、これらの特性が高く堅牢な顔料および染料を用いることが好ましい。
ブラックマトリクスの形成に用いるブラックマトリクス樹脂中に分散させる顔料および染料の量に特に制限はないが、なるべく多量に分散させた方が着色画素の膜厚を薄くすることができる。また、マトリクスの樹脂成分があまり少ないと着色画素の耐溶剤性および機械強度が低下する。これらの点を考え合わせ、全固形分に対する顔料および/または染料の割合は60〜20重量%の範囲が好ましい。
また、化学式(1)記載の構造を有する化合物がアルコ−ル末端を有する場合には親水性の非常に高い分子になる。従って、ブラックマトリクス樹脂との親和性の点から考えると、分子内にOH基を有するなど比較的親水性の高い顔料、または酸性染料等水溶性の染料もしくは親水性の染料がより適している。
しかし、顔料および染料自身が化学式(1)記載の構造と親和性が良くなくても、界面活性剤を少量添加することでブラックマトリクス樹脂中に微分散することが出来る。添加する界面活性剤の量としてはなるべく少ない方が望ましく、分散される顔料の構造によって適正量を選択するのがよい。通常は全固形分に対して30〜1重量%の範囲で選択される。
上記アミン系樹脂型分散剤としては、例えば、アミン官能基含有モノマーを含むモノマー混合物から形成されたポリマーが一般に用いられる。アミン官能基を含有するモノマーとしては、例えば、以下のものがある。β−アミノエチルビニルエーテル;β−アミノエチルビニルスルフィド;N−モノメチル−β−アミノエチルビニルエーテル又は同スルフィド;N−モノエチル−β−アミノエチルビニルエーテル又は同スルフィド;N−モノブチル−β−アミノエチルビニルエーテル又は同スルフィド;及びN−モノメチル−3−アミノプロピルビニルエーテル又は同スルフィド;ジメチルアミノエチルアクリレート又は同メタクリレート;β−アミノエチルアクリレート又は同メタクリレート;N−β−アミノエチルアクリルアミド又は同メタクリルアミド;N−(モノメチルアミノエチル)−アクリルアミド又は同メタクリルアミド;N−(モノ−n−ブチル)−4−アミノブチルアクリレート又は同メタクリレート;メタクリロキシエトキシエチルアミン;及びアクリロキシプロポキシプロピルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
顔料としては、例えば、赤色(R)としてC.I.No.9、97、122、123、149、168、177、180、192、215、254など、緑色(G)としてはC.I.No.7、36、青色(B)としてはC.I.No.15、15:6、22、23、60、64が一般的に用いられる。さらにまた、黄色(Y)としてはC.I.No.12、20、24、83、86、109、110、117、125、150等が、バイオレット(V)としてはC.I.No.19、23、29、30、37、40、50等が一般的に用いられるが、これらに限定されない。
これらは1種のみでも又は複数種混ぜ合わせて使用してもよく、カラーフィルタの分光調整の為など、必要に応じて任意の顔料を2〜3点混ぜ合わせて調整する。各色の顔料は白色光を分解する役割を担うため、透明性、対候性、耐熱性に優れているものがよい。顔料の一次粒子径は0.3μm以下、更には、0.1μm以下が好ましく、可視光の波長に対して十分に小さくする。特に透明性に優れた顔料として有機顔料が好ましい。
上記インク組成物に用いる溶剤は、特に限定されるものではなく、使用される顔料、バインダー、インクに要求される品質等に応じて選択することができる。
使用する溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。上記溶剤は、二種類以上を混合して用いることもできる。
本発明のインク組成物は着色剤として顔料を用いるので、あらかじめ顔料を全使用量の一部の溶剤中で分散剤と混合して分散性を付与し、得られた顔料分散体(すなわち高濃度の顔料分散液)を他の配合成分と共に残部の溶剤中に投入して混合しインク組成物とすることが多い。顔料分散体を調製するためには、3-メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような顔料を分散させやすい溶剤を用いる必要がある。
主溶剤は、以下に示すような溶剤の中から選んで用いることができる。エチレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールオリゴマーエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールオリゴマーエーテルエステル類;酢酸、2-エチルヘキサン酸、無水酢酸のような脂肪族カルボン酸類又はその酸無水物;酢酸エチル、安息香酸プロピルのような脂肪族又は芳香族エステル類;炭酸ジエチルのようなジカルボン酸ジエステル類;3-メトキシプロピオン酸メチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸エチルのようなケトカルボン酸エステル類;クロロ酢酸、ジクロロ酢酸のようなハロゲン化カルボン酸類;エタノール、イソプロパノール、フェノールのようなアルコール類又はフェノール類;ジエチルエーテル、アニソールのような脂肪族又は芳香族エーテル類;2-エトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノールのようなアルコキシアルコール類;ジエチレングリコール、トリプロピレングリコールのようなグリコールオリゴマー類;2-ジエチルアミノエタノール、トリエタノールアミンのようなアミノアルコール類;2-エトキシエチルアセテートのようなアルコキシアルコールエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類;N-エチルモルホリン、フェニルモルホリンのようなモルホリン類;ペンチルアミン、トリペンチルアミン、アニリンのような脂肪族又は芳香族アミン類。
主溶剤として使用できる溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノブチルエーテ
ルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及び、コハク酸ジエチルなどを例示することができる。これらの溶剤は、顔料の分散性、分散安定性も比較的良好であり、3-メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような従来から顔料分散体の調製に用いられている溶剤と混合し或いは混合せずそのまま分散溶剤として用い、顔料分散体を調製することができる。
化学式(1)、および化学式(2)記載の構造単位を含む化合物と顔料および/または染料を主成分としてインクを構成するためには液状の組成物を加えて粘度を調節することが好ましい。化学式(2)記載の構造単位を含む化合物は、重合度が大きいものは室温25℃で固体であり、インク化すると粘度が高くなりやすい。ところが、インクジェット方式で着色層を形成する場合は、インクの液滴を安定に形成することができるためにはインクの粘度は低い方が好ましい。
化学式(2)記載の構造単位を含む化合物のうち、重合度が低いものを選択的に使用することによって反応系を変化させずにインクを低粘度化することができる。ただし、化学式(2)記載の構造単位を含む化合物のうち、重合度が低いものがインク中の架橋成分の大半を占める場合は、架橋密度が十分に得られないことがあるので、化学式(1)記載の構造単位を含む化合物および化学式(2)記載の構造単位を含む化合物の重合度の高いもの、および重合度の低いものの混合比率を調整するとよい。
このような低粘度のインクを構成するためには架橋成分としてポリマー成分は不向きであるが、化学式(1)記載の構造単位を含む化合物は基本的にはモノマーであるか、あるいは重合度が非常に小さく、この点でも非常に好ましい。これらの架橋成分および顔料分散体を液体成分中に溶解あるいは分散してインクジェット装置を用いて好適に塗工するためには、全インク成分に対する液体成分の割合としては90〜60重量%の範囲が好ましい。
本発明によるカラーフィルタ用インクジェットインク組成物は、例えば、次のようにして作成できる。まず顔料を、アミン系樹脂型分散剤を主成分とする分散剤およびアルコ−ルまたはエステルを主成分とする溶剤中に分散し、顔料ペーストを作製する。そこに、メラミン樹脂およびエポキシ樹脂を添加してさらに撹拌してインクジェット用インクを赤、青、緑色の3色分作製する。必要に応じて、レベリング剤も任意の段階で添加する。この場合、顔料の分散にはホモジナイザー、サンドグラインダー等の分散機を使用すると良い。
上記カラーフィルタ用インクジェットインク組成物からなる着色画素の耐熱性、耐光性および耐薬品性を評価するためには、例えば、次のようにしてカラーフィルタ、またはカラーフィルタに準じた着色画素を作製することができる。インクジェット方式により撥インク性の隔壁を設けたガラス基板上に、またはスピンコートによりガラス基板上に塗工し、ガラス基板を50〜150℃の範囲で1〜10分間加熱し、溶媒を乾燥した後180〜260℃の範囲で10〜60分加熱してメラミン樹脂とエポキシ樹脂を架橋する。上記の操作によりカラーフィルタ用インクジェットインク組成物の着色画素が得られる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
1.着色組成物の作製
カラーフィルタ作製に用いる着色組成物は、赤色顔料として、C.I.Pigment Red 254(「
イルガフォーレッドB−CF」:チバ・スペシャルティケミカルズ社製)、緑色顔料として(「リオノールグリーン6YK」:東洋インキ製造製)、青色顔料として、C.I.Pigment Blue 15;6(「ヘリオゲンブルー」:BASF社製)を用い、下記表1に示す処方でビーズミル分散により十分混連錬し、赤色顔料分散液(組成物1)、緑色着色組成物(組成物2)及び青色顔料分散液(組成物3)を作製した。
Figure 2009074010
2.インク組成物の作製
このようにして得た顔料分散液(顔料分散ペースト)に下記表2に示す処方で、熱硬化性樹脂1、熱硬化性樹脂2、及び有機溶剤を加えて良く攪拌し、15種のカラーフィルタ用インク組成物を(インクA〜O)を作製した。
Figure 2009074010
3.カラーフィルタの作製
ガラス基板上に形成されたブラックマトリクスの開口部に、12pl、180dpiヘッドを搭載したインクジェット印刷装置により前記赤色(R)(組成物1)、緑色(G)(組成物2)、青色(B)(組成物3)各色のインク組成物を吐出し、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の画素パタ−ン(着色画素)を描画した。その後、130℃で3分乾燥させた後240℃で20分加熱してメラミン樹脂とエポキシ樹脂を架橋し、カラーフィルタ試料を得た。
4.カラーフィルタの耐性評価
上記カラーフィルタ試料について、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)各色の着色画素の耐熱性および耐薬品性を評価した。耐熱性については上記カラーフィルタ試料を250℃で1時間加熱、対薬品性については酸、アルカリ、および有機溶剤に30分浸漬し、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)各色の着色画素の膜厚の変化、色度の変化および表面状態の変化を観察し、下記の基準で評価した。それらの結果を下記表3に示す。
Figure 2009074010
表3中の符号は、各々以下を表している。
○:良好−−−ひび割れ、表面荒れ等の異常なし
△:概ね良好−−判定が難しいごく僅かなひび割れ、表面荒れ等の異常がある
×:不良−−−ひび割れ、表面荒れ等の異常がある
上記表3から、以下のことが明らかである。即ち、前記化学式(1)で表される構造単位を有するメラミン樹脂、及び前記化学式(2)で表される構造単位を有するビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂を、重量比で、メラミン樹脂:エポキシ樹脂=30:70から10:90の割合で含有する赤(R)のインク組成物(インクA)、メラミン樹脂:エポキシ樹脂=50:50から20:75の割合で含有する緑(G)のインク組成物(インクF、インクH)、メラミン樹脂:エポキシ樹脂=75:25から50:50の割合で含有する青(B)のインク組成物(インクL、インクK)から作製されたカラーフィルタは、空気中において250℃で1時間加熱しても変色せず、このときの膜厚変化率も小さく、また、有機溶媒、酸、アルカリにも十分な耐性を有している。
<比較例1>
表2におけるインクB、インクGが比較例1である。メラミン樹脂:エポキシ樹脂=70:30の割合で含有する赤(R)のインク組成物(インクB)、メラミン樹脂:エポキシ樹脂=75:25の割合で含有する緑(G)のインク組成物(インクG)の場合には、メラミン樹脂の熱収縮率が大きいため、空気中において250℃で1時間加熱すると、膜厚が著しく減少した。さらに、膜が堅固であるため伸縮に対し柔軟性がなく、有機溶剤への浸漬により膜が膨潤しひび割れが発生した。ただし、全固形分中の架橋成分自体が少ない
場合(インクG)は、有機溶剤への浸漬によるひび割れは確認されなかった。
<比較例2>
表2におけるインクMが比較例2である。メラミン樹脂:エポキシ樹脂=25:75の割合で含有する青(B)のインク組成物(インクM)の場合には、耐熱膜変化率は小さいが、加熱によるエポキシ樹脂の若干の黄変が大きく影響し、色度変化が非常に大きくなった。さらに有機溶剤への浸漬により膜成分が僅かに溶解した。
<比較例3>
表2におけるインクD、インクI、インクNが比較例3である。メラミン樹脂のみを架橋成分として添加した赤(R)のインク組成物(インクD)、緑(G)のインク組成物(インクI)、青(B)のインク組成物(インクN)から作製されたカラーフィルタは、架橋密度が高いため、有機溶剤、酸、アルカリ耐性は良好であるが、空気中において250℃で1時間加熱すると膜厚が著しく減少した。さらに、赤(R)のインク組成物(インクD)に関しては、有機溶剤への浸漬により、ひび割れが発生した。
<比較例4>
表2におけるインクE、インクJ、インクOが比較例4である。エポキシ樹脂のみを架橋成分として添加した赤(R)のインク組成物(インクE)、緑(G)のインク組成物(インクJ)、青(B)のインク組成物(インクO)から作製されたカラーフィルタは、硬化が不十分であるため有機溶剤への浸漬により膜が溶解し色度が著しく変化した。また、エポキシ樹脂は膜収縮率が比較的小さい樹脂であり、空気中において250℃で1時間加熱した時の膜厚変化率は比較的小さい。しかし、赤(R)、青(B)においては、メラミンとエポキシを上記実施例記載の割合で含有するインク組成物に比べ、予想に反し耐熱膜変化率までもが僅かに劣っていた。
<比較例5>
表2におけるインクCが比較例5である。ビスフェノールA型エポキシ樹脂をノボラック型エポキシ樹脂に置き換えた赤(R)のインク組成物(インクC)の場合は、高度に架橋された膜が得られ、有機溶剤、酸、アルカリに対する色度変化は小さいが、空気中において250℃で1時間加熱するとひび割れが発生した。さらに、有機溶剤への浸漬により膜が膨潤しひび割れが発生した。

Claims (7)

  1. インクジェット方式によるカラーフィルタの製造に用いるインク組成物であって、少なくとも有機顔料、分散剤、バインダー成分、及び溶剤からなり、前記分散剤の主成分としてアミン系樹脂型分散剤を含有し、前記バインダー成分の主成分としてメラミン樹脂及びエポキシ樹脂を含有する熱硬化型組成物であることを特徴とするカラーフィルタ用インクジェットインク組成物。
  2. 前記メラミン樹脂は下記化学式(1)で表される構造単位を有するメラミン樹脂、前記エポキシ樹脂は下記化学式(2)で表される構造単位を有するビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ用インクジェットインク組成物。
    Figure 2009074010
    Figure 2009074010
  3. 前記化学式(1)で表される構造単位を有するメラミン樹脂と、前記化学式(2)で表される構造単位を有するビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂は、重量比で、メラミン樹脂:エポキシ樹脂=(〔75:25〕〜〔10:90〕)の割合で含有することを特徴とする請求項2記載のカラーフィルタ用インクジェットインク組成物。
  4. 前記重量比は、赤(R)インク組成物では、メラミン樹脂:エポキシ樹脂=(〔30:70〕〜〔10:90〕)の割合であることを特徴とする請求項3記載のカラーフィルタ用インクジェットインク組成物。
  5. 前記重量比は、緑(G)インク組成物では、メラミン樹脂:エポキシ樹脂=(〔50:50〕〜〔25:75〕)の割合であることを特徴とする請求項3記載のカラーフィルタ用インクジェットインク組成物。
  6. 前記重量比は、青(B)インク組成物では、メラミン樹脂:エポキシ樹脂=(〔75:25〕〜〔50:50〕)の割合であることを特徴とする請求項3記載のカラーフィルタ用インクジェットインク組成物。
  7. 着色画素上に直接ITO膜を成膜したカラ−フィルタであって、前記着色画素の形成に請求項2〜請求項6のいづれか1項に記載のカラーフィルタ用インクジェットインク組成物を用いたことを特徴とするカラーフィルタ。
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