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JP2009067378A - 空気入りタイヤ、靴、タイヤチェーン、及び、空気入りタイヤ用加硫金型 - Google Patents

空気入りタイヤ、靴、タイヤチェーン、及び、空気入りタイヤ用加硫金型 Download PDF

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Abstract

【課題】使用初期から更に高い制動性能が得られる空気入りタイヤ及び空気入りタイヤ用加硫金型を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る空気入りタイヤでは、トレッド部16の陸部表面26SのRskが0以上とされている。これにより、タイヤが接地していても、トレッド表面と接地面との間に形成される空隙Zを埋めない構造とすることができる。従って、タイヤ使用初期であっても、氷上での高い制動性能や牽引力を確保することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、冬季に用いるのに最適な空気入りタイヤ、靴、タイヤチェーン、及び、空気入りタイヤ用加硫金型に関し、更に詳細には、使用初期での制動性能を向上させた空気入りタイヤ、靴、タイヤチェーン、及び、空気入りタイヤ用加硫金型に関する。
氷雪路面やウェット路面等での性能を向上させたタイヤとして、いわゆるスタッドレスタイヤがある。スタッドレスタイヤには、種々の充填剤を配合して、氷表面のエッジ効果を得るようにしたものや、発泡ゴムを使用して、使用期間中の発泡層による吸水・エッジ効果を得るようにしたもの等がある。
しかし、一般にゴムは、加硫硬化された場合に金型と直接接触するタイヤ表面に、上記の充填剤や発泡層が露出せず、タイヤ表面に皮膜が形成されてしまう傾向にある。その結果、タイヤの使用初期においては、充填剤や発泡層の効果が発揮されない(若しくは、その効果が小さい)ことになる。
これに対し、たとえば特許文献1や特許文献2には、トレッド表面に細溝を形成することで、摩耗初期における制駆動性能を向上させた氷雪路用空気入りタイヤが記載されている。また、特許文献3には、トレッドの接地陸部にタイヤ周方向と0°〜40°の角度をなす浅溝をタイヤ幅方向に並べて配置した空気入りタイヤが記載されている。
しかし、空気入りタイヤの実際の使用状況では、使用初期から更に高い制動性能が得られることが求められている。
特開2004−34902号公報 特開2004−34903号公報 特開平7−186633号公報
本発明は上記事実を考慮し、使用初期から更に高い制動性能が得られる空気入りタイヤ、靴、タイヤチェーン、及び、空気入りタイヤ用加硫金型を提供することを課題とする。
本発明者は、未使用(未走行)タイヤのトレッド表面に、高さ1mm以下の凹凸を形成した場合、氷上における走行初期の牽引力及び制動性能が優れていることに着目した。更に、荷重がかかる接地面内で、この凹凸によって形成される空隙を保持する技術がいまだ知られていないことにも着目した。
そして、本発明者は、表面に凹凸を施したトレッド部では、荷重がかかる接地面でせん断力を受ける際、凹部深さが深いと凸部の剛性が低下するため凹部による空隙を埋めるように変形してしまい、氷上での牽引力、制動性能への表面粗さの効果が薄れてしまうことを見い出した。
そこで、本発明者は、荷重がかかる接地面でせん断力を受ける際、凹部深さが深くても、トレッド表面側に形成される凹部による空隙を埋めない構造とすることを鋭意検討し、実験を重ね、本発明を完成するに至った。
請求項1に記載の発明は、トレッド部を有する空気入りタイヤであって、前記トレッド部の陸部表面のRskを0以上としたことを特徴とする。
Rskは、粗さ曲線のスキューネスを示すものである。
請求項1に記載の発明では、トレッド部の陸部表面のRskを0以上としているので、タイヤが接地していても、トレッド表面と接地面との間に形成される空隙を埋めない構造とすることができる。従って、タイヤ使用初期であっても、氷上での高い制動性能や牽引力を確保することができる。
なお、好ましくは、トレッド部の陸部表面のRskが1.0以下である。これにより、無用にRskを大きくすることがないので、トレッド部の陸部表面構造の簡素化やコスト低減化を図ることができる。
更に好ましくは、トレッド部の陸部表面のRskが0.1〜1.0の範囲内である。これにより、トレッド部の陸部表面構造の簡素化やコスト低減化を更に図ることができる。
より更に好ましくは、トレッド部の陸部表面のRskが0.2〜1.0の範囲内である。これにより、トレッド部の陸部表面構造の簡素化やコスト低減化をより更に図ることができる。
請求項2に記載の発明は、前記トレッド部に浅溝が形成されていることにより、前記トレッド部の陸部表面のRskが0以上となっていることを特徴とする。
これにより、浅溝の溝深さが深くてもトレッド表面側に形成される空隙を埋めない構造とすることができ、トレッド部の陸部表面を簡易な形状でRsk0以上とすることができる。
請求項3に記載の発明は、前記浅溝の幅の平均が10〜100μmの範囲内であることを特徴とする。
10μmよりも低いと必要な空隙を確保でき難くなり、また、100μmよりも高いと路面との接地面積を大きく損なうためである。
請求項4に記載の発明は、ゴム製の靴底の接地面側に浅溝が形成されていることにより靴底の接地面のRskが0以上となっていて、前記浅溝の幅の平均が10〜100μmの範囲内であることを特徴とする。
これにより、氷上でタイヤの制動性能や駆動性能を向上させたことと同様の原理により、氷上での滑り防止性を向上させた靴が実現される。
請求項5に記載の発明は、ゴム製のタイヤチェーンの表面側に浅溝が形成されていることによりタイヤチェーン表面のRskが0以上となっていて、前記浅溝の幅の平均が10〜100μmの範囲内であることを特徴とする。
これにより、氷上でタイヤの制動性能や駆動性能を向上させたことと同様の原理により、氷上での制動性能や駆動性能を向上させたタイヤチェーンが実現される。
請求項6に記載の発明は、トレッド部の陸部表面に当接するモールド表面のRskが0以下であることにより、空気入りタイヤのトレッド部の陸部表面のRskが0以上となるように加硫成形することを特徴とする。
請求項6に記載の発明では、モールド加硫成形後のタイヤのトレッド部の陸部表面がRsk0以上となる。これにより、請求項1に記載の空気入りタイヤを簡易に得ることができる。
請求項7に記載の発明は、エッチング加工又はサンドブラスト加工によって前記モールド表面のRskが0以下となっていることを特徴とする。
これにより、トレッド部の陸部表面がRSK0以上となるタイヤを再現よく加硫成形することが可能となる。
本発明によれば、使用初期から更に高い制動性能が得られる空気入りタイヤ、靴、タイヤチェーン、及び、空気入りタイヤ用加硫金型とすることができる。
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る空気入りタイヤ10は、スタッドレスタイヤであって、両端部がそれぞれビードコア11で折り返された1層又は複数層で構成されるカーカス12を備えている。
カーカス12のクラウン部12Cのタイヤ径方向外側には、複数枚(例えば2枚)のベルトプライが重ねられたベルト層14が埋設されている。
ベルト層14のタイヤ径方向外側には、溝を配設したトレッド部16が形成されている。図2に示すように、トレッド部16には、タイヤ赤道面CL上とその両側とに、タイヤ周方向Uに沿った複数本の周方向溝(主溝)22が形成されている。また、トレッド部16には、タイヤ周方向Uと交差する複数本の横溝24が形成されている。本実施形態では、横溝24はタイヤ幅方向Vに沿って形成されている。各横溝24の両端部は、周方向溝22に連通するか、又は、トレッド端Tを越えてタイヤ幅方向外側へ排水可能なように延びている。
ここで、トレッド端とは、空気入りタイヤをJATMA YEAR BOOK(2006年度版、日本自動車タイヤ協会規格)に規定されている標準リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%を内圧として充填し、最大負荷能力を負荷したときのタイヤ幅方向最外の接地部分を指す。なお、使用地又は製造地においてTRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。
空気入りタイヤ10は、冬用のスタッドレスタイヤとして用いられるものであって、トレッド部16を形成しているトレッドゴムは、硬度(0°C、JIS−A)が50度であり、損失係数tanδ(ピーク位置)が−45°C、動的弾性率(−20°C、0.1%歪)が180kgf/cm2であるが、本発明はこれに限定されない。
なお、冬用のスタッドレスタイヤとして用いる場合のトレッドゴムでは、硬度(0°C、JIS−A)が40〜68度、損失係数tanδ(ピーク位置)が−30°C以下、動的弾性率(−20°C、0.1%歪)が300kgf/cm2以下であることが好ましい。
ここで、トレッドゴムの硬度が40度未満の場合は、柔らかすぎて耐摩耗性に劣り、68度より高い場合は硬すぎて氷雪路面との接触面積が減って制動性能・駆動性能等が劣るため好ましくない。また、損失係数tanδ(ピーク位置)が−30°より高いと、氷雪路面では剛すぎて接触面積が減って制動性能・駆動性能等に劣るため好ましくない。さらに、動的弾性率が300kgf/cm2よりも高いと、氷雪路面では剛すぎて接触面積が減って制動性能・駆動性能等に劣るため好ましくない。
トレッド部16には、図2に示すように、周方向溝22及び横溝24によって多数のブロック26が形成されている。
各ブロック26には、例えば横溝24に沿ったサイプ28が形成されている。サイプ28は、例えば両端がブロック両側壁に開口して周方向溝22に連通するいわゆるオープンサイプとされている。
図3(A)に示すように、トレッド部16の陸部表面(ブロック26の表面)26Sは、Rskが0以上とされている。ここでRskは、粗さ曲線のスキューネスを示すISO標準パラメータ(JIS B0601)である。
本実施形態では、陸部表面26SのRskが0以上となるように、トレッド部16に浅溝(リブレット)30が形成されている。この浅溝30は、細長状であって浅溝幅方向断面における溝底30Bが丸みを帯びた形状となっている。また、トレッドゴムで構成される溝壁32の先端(タイヤ径方向外側端)が尖っている。この溝壁32の高さ方向中央部における幅Wは10〜100μmの範囲内である。また、浅溝30の幅の平均は10〜100μmの範囲内とされている。
空気入りタイヤ10を製造するには、図4に示すような加硫金型40を用いる。この加硫金型40では、トレッド部16の陸部表面26Sに当接するモールド表面40SのRskを0以下にしている。
モールド表面40SのRskを0以下にするためには、表面加工をする際に、エッチング加工、又は、サンドブラスト加工を行う。
エッチング加工では、例えば、陸部表面に当接するモールド表面の50%以上にレジスト液を塗布することで、RSKが0以下のモールド表面を加工することができる。
サンドブラスト加工では、例えば、陸部表面に当接するモールド表面の50%以上をマスキングしてサンドブラストすることで、RSKが0以下のモールド表面を加工することができる。
空気入りタイヤ10を車両に装着して氷路上を走行すると、図3(B)に示すように、溝壁32が接地面である氷路面Sに押圧される。ここで、陸部表面26SのRskが0以上であり溝壁32のせん断剛性が高められているので、荷重がかかる接地面(氷路面S)で溝壁32がせん断力を受ける際、浅溝30の溝深さが深くてもトレッド表面側に形成される空隙Zを埋めない構造とすることができる。従って、タイヤ使用初期であってもトレッド表面を発泡ゴムのような表面状態とすることができ、氷上での高い制動性能や牽引力を確保することができる。
また、上記の浅溝30を形成することによって陸部表面26SのRskを0以上としているので、トレッド部16の陸部表面26Sを簡易な形状でRsk0以上とすることができている。
また、加硫金型40では、トレッド部16の陸部表面26Sに当接するモールド表面40SのRskを0以下にすることによって、トレッド部16の陸部表面26SのRskを0以上としている。これにより、空気入りタイヤ10を簡易に製造することができる。
なお、陸部表面26Sの平均粗さ(中心線平均粗さ)Raを10〜100μmの範囲内としてもよい。Raがこの範囲内であると、氷上での摩擦係数が低下し難い。また、Raが10〜50μmの範囲内であると、氷上での摩擦係数を確保する上で更に好ましい。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。図5に示すように、本実施形態に係る靴50はゴム製であり、靴底52の接地面側に、第1実施形態で説明した浅溝30(図3参照)と同様の浅溝が形成されている。この浅溝が形成されていることによって靴底52の接地面52SのRskが0以上となっている。浅溝の幅の平均は、第1実施形態と同様、10〜100μmの範囲内である。
本実施形態により、氷上でタイヤの制動性能や駆動性能を向上させたのと同様の原理により、氷上での滑り防止性を向上させた靴50とすることができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。図6に示すように、本実施形態に係るタイヤチェーン60は、ゴム製であり、タイヤチェーン60の表面側に、第1実施形態で説明した浅溝30(図3参照)と同様の浅溝が形成されている。この浅溝が形成されていることによってタイヤチェーン表面60SのRskが0以上となっている。浅溝の幅の平均は、第1実施形態と同様、10〜100μmの範囲内である。
本実施形態により、氷上でタイヤの制動性能や駆動性能を向上させたのと同様の原理により、氷上での制動性能や駆動性能を向上させたタイヤチェーン60とすることができる。
<試験例>
本発明の効果を確かめるために、本発明者は、トレッドパターンが形成されていないタイヤで、Rskが第1実施形態の空気入りタイヤ10で示した範囲内(0以上)に入っている五例(以下、実施例1〜5という)、及び、比較のための空気入りタイヤの三例(以下、比較例1〜3という)を用意し、性能試験を行って制動性能を評価した。なお、上記のトレッドパターンが形成されていないタイヤとは、1mm以上の凹凸がトレッド部に形成されていないタイヤのことである。
本試験例では、タイヤサイズは全て 205/65R15 である。また、溝幅、ブロックサイズ、サイプサイズ等、Rsk以外のタイヤ条件は全て同じである。
本試験例における各タイヤのRskを表1に示す。
Figure 2009067378
また、本試験例では、全てのタイヤについて、正規リムに組み込んで四輪乗用車に4本装着した後に正規内圧とし、正規荷重のもとで、−2℃の氷路上で速度20km/hからの四輪ロックブレーキ時(4本のタイヤともブレーキでロックされた状態)での制動距離を計測した。そして、実施例2での制動距離を指数100とし、他のタイヤについては相対評価となる指数を算出した。
ここで、「正規リム」とは、例えばJATMAが発行する2006年版のYEAR BOOKに定められた適用サイズにおける標準リムを指し、「正規荷重」及び「正規内圧」とは、同様に、JATMAが発行する2006年版のYEAR BOOKに定められた適用サイズ・プライレーティングにおける最大荷重及び該最大荷重に対する空気圧を指す。使用地又は製造地において、TRA規格、ETRTO規格が適用される場合は、各々の規格に従う。
評価結果(各タイヤで算出した指数)を表1に併せて示す。表1の評価結果では指数が大きいほど制動性能が高いこと、すなわち制動距離が短いことを示す。表1から判るように、実施例1〜5では、比較例1〜3に比べ、制動性能は何れも高くなっていた。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
第1実施形態に係る空気入りタイヤのタイヤ径方向断面図である。 第1実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部のブロック配置を平面状態で示す説明図である。 図3(A)及び(B)は、それぞれ、第1実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部で、非接地状態における陸部表面の側面部分拡大断面図、及び、接地状態における陸部表面の側面部分拡大断面図である。 第1実施形態に係る空気入りタイヤを製造する際に用いる加硫金型のモールド表面の側面部分拡大断面図である。 第2実施形態に係る靴の背面斜視図である。 第3実施形態に係るタイヤチェーンを空気入りタイヤに取付けた状態で示す斜視図である。
符号の説明
10 空気入りタイヤ
16 トレッド部
26 ブロック
26S 陸部表面
30 浅溝
32 溝壁
40 加硫金型
40S モールド表面
50 靴
52 靴底
52S 接地面
60 タイヤチェーン
60S タイヤチェーン表面

Claims (7)

  1. トレッド部を有する空気入りタイヤであって、
    前記トレッド部の陸部表面のRskを0以上としたことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記トレッド部に浅溝が形成されていることにより、前記トレッド部の陸部表面のRskが0以上となっていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記浅溝の幅の平均が10〜100μmの範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. ゴム製の靴底の接地面側に浅溝が形成されていることにより靴底の接地面のRskが0以上となっていて、
    前記浅溝の幅の平均が10〜100μmの範囲内であることを特徴とする靴。
  5. ゴム製のタイヤチェーンの表面側に浅溝が形成されていることによりタイヤチェーン表面のRskが0以上となっていて、
    前記浅溝の幅の平均が10〜100μmの範囲内であることを特徴とするタイヤチェーン。
  6. トレッド部の陸部表面に当接するモールド表面のRskが0以下であることにより、空気入りタイヤのトレッド部の陸部表面のRskが0以上となるように加硫成形することを特徴とする空気入りタイヤ用加硫金型。
  7. エッチング加工又はサンドブラスト加工によって前記モールド表面のRskが0以下となっていることを特徴とする請求項6に記載の空気入りタイヤ用加硫金型。
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