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JP2009044359A - 衝立、制御装置および方法、プログラム、並びに記録媒体 - Google Patents

衝立、制御装置および方法、プログラム、並びに記録媒体 Download PDF

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JP2009044359A JP2007206002A JP2007206002A JP2009044359A JP 2009044359 A JP2009044359 A JP 2009044359A JP 2007206002 A JP2007206002 A JP 2007206002A JP 2007206002 A JP2007206002 A JP 2007206002A JP 2009044359 A JP2009044359 A JP 2009044359A
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淳一 嶋
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Abstract

【課題】音響効果を高める。
【解決手段】衝立101−1乃至101−20が、予め部屋に設置されている。衝立101は、天井に設けられたガイド122に沿って、移動可能に構成されている。部屋には、家具151とスピーカ152が設置されている。家具151にスピーカ152からの音が反射され、その反射音がユーザ153に提供されると、音響効果が低下する。そこで、家具151の前に衝立101を移動する。また、スピーカ152を中心として、左右対称になるように、衝立101が移動される。衝立101が移動されることにより、反射音が一律となるような音響空間を作り出すことができる。本発明は、音響効果を高める衝立に適用できる。
【選択図】図8

Description

本発明は衝立、制御装置および方法、プログラム、並びに記録媒体に関し、特に、音響効果を向上させることができるようにした衝立、制御装置および方法、プログラム、並びに記録媒体に関する。
特許文献1には、壁面に取り付けられたアクチュエータの形状を変形させることで、アレイスピーカによって音響ビームを当てたときに音響信号の反射や拡散領域を制御することが記載されている。
特許文献2には、十字に交差する水平バーに間仕切りパネルを取り付けることで、部屋の広さを任意に変更できることが記載されている。
特許文献3には、回転式移動壁のことが記載されており、その移動壁のパネルを適度な角度に回転することで音響室の音響効果を高めるとの一文がある。
特開2006−106611号公報 特開2000−045431号公報 特許第3682616号
特許文献1では、アクチュエータの制御に高精度が要求されると考えられる。また、アレイスピーカからの一次反射を制御しているが、それ以外の反射については考慮されていないため、それ以外の反射による音響効果の低下が考えられる。
特許文献2では、音響効果を向上させることについての記載はない。
特許文献3には、回転式移動壁を適度な角度に回転することで、音響効果を高めることができるとの記載はあるが、音響効果を高めるための具体的な方法についての記載がないため、どのようにパネルを適度な角度に回転させ、その回転により、どのように音響効果が向上するのか、特許文献3からは読み取ることができない。
パネルなどを衝立として利用した場合、その衝立を衝立としての機能だけでなく、他の機能も有するようにしたいという要望があった。例えば、衝立を音響効果を高めるために利用したいという要望があった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、音響効果を高めることができ、かつ、衝立などの他の機能も有することができるようにするものである。
本発明の一側面の衝立は、移動手段を有する衝立であり、音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置毎に設置される。
前記音声出力装置を囲むような空間であり、前記音声出力装置からの距離が、前記空間の所定の一辺と対向する他辺で同距離であり、前記空間を構成する各辺の近傍に物体がない空間となるように設置されるようにすることができる。
前記音声出力装置から出力された音が、複数回反射されるように設置されるようにすることができる。
一方の面は、音を吸収する素材で構成された第1の面とされ、他方の面は、音を反射する素材で構成された第2の面とされ、前記音声出力装置からの音を吸収すべき位置に設置されている場合、前記第1の面が、前記音声出力装置側に向けて設置され、前記音声出力装置からの音を反射すべき位置に設置されている場合、前記第2の面が、前記音声出力装置側に向けて設置されるようにすることができる。
前記音声出力装置は、ビーム状に音を出力し、ビーム状に出力された音があたる位置に設置されている場合、前記第2の面が、前記音声出力装置側に向けて設置され、それ以外の位置に設置されている場合、前記第1の面が、前記音声出力装置側に向けて設置されるようにすることができる。
前記音声出力装置は、放射状に音を出力し、放射状に出力された音があたる位置に設置されている場合、前記第2の面が、前記音声出力装置側に向けて設置され、それ以外の位置に設置されている場合、前記第1の面が、前記音声出力装置側に向けて設置されるようにすることができる。
音を吸収する素材で構成された面が、前記音声出力装置側に向けて設置されるようにすることができる。
前記音声出力装置を備え、サラウンドシステムを構成する音声出力装置として設置されるようにすることができる。
前記移動手段は、前記衝立の下側に固定された車輪であり、天井と接することで前記衝立を固定する突っ張り固定手段をさらに備えるようにすることができる。
床面と接することで前記衝立を固定する第2の突っ張り固定手段をさらに備えるようにすることができる。
床面と天井に設けられた穴に、遊挿する回転軸をさらに備えるようにすることができる。
本発明の一側面の衝立においては、音響効果を高める位置に、移動され、設置される。
本発明の一側面の第1の制御装置は、音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置であって、前記音声出力装置と前記衝立を結ぶ直線と、前記音声出力装置が設置されている部屋の壁面とのなす角の角度を算出し、前記衝立の法線が、前記角度を2等分する位置に前記衝立が設置されるように制御する。
本発明の一側面の第1の制御方法は、音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置の制御方法であって、前記音声出力装置と前記衝立を結ぶ直線と、前記音声出力装置が設置されている部屋の壁面とのなす角の角度を算出し、前記衝立の法線が、前記角度を2等分する位置に前記衝立が設置されるように制御するステップを含む。
本発明の一側面の第1のプログラムは、音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置に、前記音声出力装置と前記衝立を結ぶ直線と、前記音声出力装置が設置されている部屋の壁面とのなす角の角度を算出し、前記衝立の法線が、前記角度を2等分する位置に前記衝立が設置されるように制御するステップを含む処理を実行させるコンピュータが読み取り可能なプログラム。
本発明の一側面の第1の制御装置および方法、並びにプログラムにおいては、音声出力装置と衝立を結ぶ直線と、音声出力装置が設置されている部屋の壁面とのなす角の角度を算出し、衝立の法線により2等分される位置に衝立が設置されるように制御される。
本発明の一側面の第2の制御装置は、一方の面は、音を吸収する素材で構成された第1の面とされ、他方の面は、音を反射する素材で構成された第2の面とされた衝立であり、音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置であって、前記音声出力装置が、ビーム状の音を出力する場合、前記音声出力装置が設置されている座標と、前記ビーム状の音が出力されるビーム放射角度から、前記ビーム状の音があたる壁面の位置の座標を算出し、複数の衝立のうち、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立である場合、前記第2の面が前記音声出力装置側に向けられるように制御し、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立でない場合、前記第1の面が前記音声出力装置側に向けるように制御する。
本発明の一側面の第2の制御方法は、一方の面は、音を吸収する素材で構成された第1の面とされ、他方の面は、音を反射する素材で構成された第2の面とされた衝立であり、音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置の制御方法であって、前記音声出力装置が、ビーム状の音を出力する場合、前記音声出力装置が設置されている座標と、前記ビーム状の音が出力されるビーム放射角度から、前記ビーム状の音があたる壁面の位置の座標を算出し、複数の衝立のうち、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立である場合、前記第2の面が前記音声出力装置側に向けられるように制御し、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立でない場合、前記第1の面が前記音声出力装置側に向けるように制御するステップを含む。
本発明の一側面の第2のプログラムは、一方の面は、音を吸収する素材で構成された第1の面とされ、他方の面は、音を反射する素材で構成された第2の面とされた衝立であり、音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置に、前記音声出力装置が、ビーム状の音を出力する場合、前記音声出力装置が設置されている座標と、前記ビーム状の音が出力されるビーム放射角度から、前記ビーム状の音があたる壁面の位置の座標を算出し、複数の衝立のうち、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立である場合、前記第2の面が前記音声出力装置側に向けられるように制御し、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立でない場合、前記第1の面が前記音声出力装置側に向けるように制御するステップを含む処理を実行させるコンピュータが読み取り可能なプログラム。
本発明の一側面の第2の制御装置および方法、並びにプログラムにおいては、音声出力装置が、ビーム状の音を出力する場合、音声出力装置が設置されている座標と、ビーム状の音が出力されるビーム放射角度から、ビーム状の音があたる壁面の位置の座標が算出され、その座標上にある衝立の音を反射する面が、音声出力装置側に向けられるように制御される。
本発明の一側面の第3の制御装置は、一方の面は、音を吸収する素材で構成された第1の面とされ、他方の面は、音を反射する素材で構成された第2の面とされた衝立であり、音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置であって、前記音声出力装置が、放射状に音を出力する場合、前記音声出力装置が設置されている座標と、前記放射状の音が出力される放射角度から、前記放射状の音があたる壁面の位置の座標を算出し、複数の衝立のうち、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立である場合、前記第2の面が前記音声出力装置側に向けられるように制御し、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立でない場合、前記第1の面が前記音声出力装置側に向けるように制御する。
前記第2の面を前記音声出力装置側に向けるように制御するとき、前記音声出力装置と前記衝立を結ぶ第1の直線と、前記音声出力装置からの音が供給されるユーザの視聴位置と前記衝立を結ぶ第2の直線がなす角の角度を算出し、前記衝立の法線が、前記角度を2等分する方向に前記第2の面が向くように制御するようにすることができる。
本発明の一側面の第3の制御方法は、一方の面は、音を吸収する素材で構成された第1の面とされ、他方の面は、音を反射する素材で構成された第2の面とされた衝立であり、音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置の制御方法であって、前記音声出力装置が、放射状に音を出力する場合、前記音声出力装置が設置されている座標と、前記放射状の音が出力される放射角度から、前記放射状の音があたる壁面の位置の座標を算出し、複数の衝立のうち、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立である場合、前記第2の面が前記音声出力装置側に向けられるように制御し、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立でない場合、前記第1の面が前記音声出力装置側に向けるように制御するステップを含む。
本発明の一側面の第3のプログラムは、一方の面は、音を吸収する素材で構成された第1の面とされ、他方の面は、音を反射する素材で構成された第2の面とされた衝立であり、音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置に、前記音声出力装置が、放射状に音を出力する場合、前記音声出力装置が設置されている座標と、前記放射状の音が出力される放射角度から、前記放射状の音があたる壁面の位置の座標を算出し、複数の衝立のうち、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立である場合、前記第2の面が前記音声出力装置側に向けられるように制御し、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立でない場合、前記第1の面が前記音声出力装置側に向けるように制御するステップを含む処理を実行させるコンピュータが読み取り可能なプログラム。
本発明の一側面の第3の制御装置および方法、並びにプログラムにおいては、音声出力装置が放射状の音を出力する場合、音声出力装置が設置されている座標と、放射状の音が出力される放射角度から、放射状の音があたる壁面の位置の座標が算出され、その座標上にある衝立の音を反射する面が、音声出力装置側に向けられるように制御される。
本発明の一側面によれば、衝立などの機能を実現できる。また、設置された部屋における音響効果を向上させることが可能となる。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、明細書または図面に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、明細書または図面に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書または図面中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
本発明の一側面の衝立(例えば、図5に示す衝立111)は、移動手段(例えば、図5の車輪112)を有する衝立であり、音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置毎に設置される。
前記音声出力装置を囲むような空間であり、前記音声出力装置からの距離が、前記空間の所定の一辺と対向する他辺で同距離であり、前記空間を構成する各辺の近傍に物体がない空間となるように設置されるようにすることができる(例えば、図8に示した状況を実現する衝立101)。
前記音声出力装置から出力された音が、複数回反射されるように設置されるようにすることができる(例えば、図9に示した状況を実現する衝立101)。
一方の面は、音を吸収する素材で構成された第1の面(例えば、図14のパネル211)とされ、他方の面は、音を反射する素材で構成された第2の面(例えば、図14のパネル212)とされ、前記音声出力装置からの音を吸収すべき位置に設置されている場合、前記第1の面が、前記音声出力装置側に向けて設置され、前記音声出力装置からの音を反射すべき位置に設置されている場合、前記第2の面が、前記音声出力装置側に向けて設置されるようにすることができる(例えば、図15に示した状況を実現する衝立201)。
前記音声出力装置は、ビーム状に音を出力し、ビーム状に出力された音があたる位置に設置されている場合、前記第2の面が、前記音声出力装置側に向けて設置され、それ以外の位置に設置されている場合、前記第1の面が、前記音声出力装置側に向けて設置されるようにすることができる(例えば、図15に示した状況を実現する衝立201)。
前記音声出力装置は、放射状に音を出力し、放射状に出力された音があたる位置に設置されている場合、前記第2の面が、前記音声出力装置側に向けて設置され、それ以外の位置に設置されている場合、前記第1の面が、前記音声出力装置側に向けて設置されるようにすることができる(例えば、図19に示した状況を実現する衝立201)。
音を吸収する素材で構成された面が、前記音声出力装置側に向けて設置されるようにすることができる(例えば、図18に示した状況を実現する衝立201)。
前記音声出力装置(例えば、図23の衝立スピーカ装置311)を備え、サラウンドシステムを構成する音声出力装置として設置されるようにすることができる(例えば、図24に示した状況を実現する衝立311)。
前記移動手段は、前記衝立の下側に固定された車輪(例えば、図1の車輪22)であり、天井と接することで前記衝立を固定する突っ張り固定手段(例えば、図1の突っ張り固定部23)をさらに備えるようにすることができる。
床面と接することで前記衝立を固定する第2の突っ張り固定手段(例えば、図2の突っ張り固定部53)をさらに備えるようにすることができる。
床面と天井に設けられた穴に、遊挿する回転軸(例えば、図3の回転軸61)をさらに備えるようにすることができる。
本発明の一側面の第1の制御装置(例えば、図10に示した処理部)は、音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置であって、前記音声出力装置と前記衝立を結ぶ直線と、前記音声出力装置が設置されている部屋の壁面とのなす角の角度を算出し、前記衝立の法線が、前記角度を2等分する位置に前記衝立が設置されるように制御する(例えば、図11のステップS23乃至S26)。
本発明の一側面の第2の制御装置は、一方の面は、音を吸収する素材で構成された第1の面とされ、他方の面は、音を反射する素材で構成された第2の面とされた衝立であり、音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置(例えば、図16に示した処理部)であって、前記音声出力装置が、ビーム状の音を出力する場合、前記音声出力装置が設置されている座標と、前記ビーム状の音が出力されるビーム放射角度から、前記ビーム状の音があたる壁面の位置の座標を算出し、複数の衝立のうち、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立である場合、前記第2の面が前記音声出力装置側に向けられるように制御し、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立でない場合、前記第1の面が前記音声出力装置側に向けるように制御する(例えば、図17に示したフローチャートの処理)。
本発明の一側面の第3の制御装置(例えば、図20に示した処理部)は、一方の面は、音を吸収する素材で構成された第1の面とされ、他方の面は、音を反射する素材で構成された第2の面とされた衝立であり、音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置であって、前記音声出力装置が、放射状に音を出力する場合、前記音声出力装置が設置されている座標と、前記放射状の音が出力される放射角度から、前記放射状の音があたる壁面の位置の座標を算出し、複数の衝立のうち、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立である場合、前記第2の面が前記音声出力装置側に向けられるように制御し、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立でない場合、前記第1の面が前記音声出力装置側に向けるように制御する(例えば、図21に示したフローチャートの処理)。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態の衝立を示す図である。図1に示した衝立11は、ベース21、車輪22A乃至22D、突っ張り固定部23A,23B、および、パネル24を含むようにして構成される。
ベース21は、例えば、鉄、アルミニウム、マグネシウム、またはチタニウムなどの金属など、パネル24を支える十分な強度を得ることのできる素材から形成される。ベース21の下側には、その四隅に、車輪22A乃至22D(車輪22Dは図示せず)のそれぞれが設けられる。ベース21の上側には、例えば、溶接により、パネル24が固定されており、パネル24は、ベース21上に直立している。また、パネル24の上側には、突っ張り固定部23A,23Bが固定されている。この突っ張り固定部23A,23Bは、それぞれ、上下方向に可動する構成とされている。
例えば、部屋の中に設置された衝立11は、ユーザにより押された場合、車輪22A乃至22Dのそれぞれが床面上を回転することにより、押された方向に移動する。また、移動先で、突っ張り固定部23Aと突っ張り固定部23Bが、それぞれ天井に接するように、その高さが調整されることで、天井と接し、衝立11を支えるように構成されている。
すなわち、ユーザは、衝立11を所望の位置に移動させ、固定させて設置することができる。
ユーザが、所望の位置に移動させ、その移動先で、固定して設置することができる衝立の他の構成について説明する。図2は、他の構成の衝立を示す図である。図2に示した衝立41は、パネル51、突っ張り固定部52A,52B、および、突っ張り固定部53A,53Bを含むようにして構成される。
パネル51の上側には、突っ張り固定部52A,52Bが固定される。パネル下側には、突っ張り固定部53A,53Bが固定される。この突っ張り固定部52A,52B,53A,53Bは、それぞれ、上下方向に可動する構成とされている。図2には示していないが、図1に示した衝立11と同じく、車輪22A乃至22Dや、その車輪を固定するベース21を設けても良い。
衝立41は、ユーザが設置したいと所望した場所に移動され、移動先で、突っ張り固定部52Aと突っ張り固定部52Bが、それぞれ天井に接するように、その高さが調整されることで、天井と接し、衝立41を支えるように構成されている。また、突っ張り固定部53Aと突っ張り固定部53Bが、それぞれ床面に接するように、その高さが調整されることで、床面と接し、衝立41を支えるように構成されている。
ユーザは、衝立41を所望の場所に移動し、その位置で、所望の角度で、衝立41を固定することができるが、さらに、図3に示すように、回転軸を備える構成とし、その回転軸を、例えば、床面に設けられた穴に挿入し、一旦、衝立41を固定してから、所望の角度を微調整できるような構成としても良い。そのような衝立41’(図2に示した衝立41と区別を付けるために、ダッシュ(’)を付して記述する)について、図3を参照して説明する。
図3に示した衝立41’は、図2に示した衝立41に、回転軸61を追加した構成とされている。回転軸61は、パネル51の短辺(横方向の辺)のほぼ中央部分に設けられ、パネル51の上側に所定の長さを有して固定されているとともに、パネル51の下側にも所定の長さを有して固定されている。回転軸61は、パネル51を貫通することで、上下方向に突き出るような形で構成されていても良いし、パネル51を貫通せずに、上側と下側に、それぞれ、例えば、溶接などされて固定されていても良い。
このような回転軸61が設けられた衝立41’は、例えば、図4に示すような部屋に設置される。図4に示した部屋は、壁81に囲まれ、床面と天井にそれぞれ穴82が設けられている。なお部屋は、壁に囲まれているとして説明をするが、通常、部屋にはドアや窓などもあり、実際に衝立41’を設置するときには、ドアや窓なども考慮して設置されるが、ここでは、説明の都合上、壁だけを図示し、説明を続ける。また、穴82は、床面と天井に、それぞれ、対向する位置に設けられるが、図4などで図示している穴は、床面に設けられた穴であるとして説明を続ける。
衝立41’は、ユーザが設置したいと所望した場所に移動され、移動先の穴82に、回転軸61が挿入される。回転軸61が、床面に設けられた穴82と、天井に設けられた穴82に、それぞれ挿入されることで、衝立41’が仮留めされる。この仮留めの状態は、まだ、突っ張り固定部52Aなどが、突っ張っていない状態であるので、衝立41’のパネル51を、回転軸61で回転させることができる状態である。また、回転軸61で回転させることができる状態にするために、穴82と回転軸61は、遊挿状態とされる。
ユーザは、仮留めの状態で、パネル51を所望の角度になるように回転させる。所望の角度になった場合、ユーザは、突っ張り固定部52Aと突っ張り固定部52Bを、それぞれ天井に接するように、その高さを調整する。高さが調整されることで、突っ張り固定部52Aと突っ張り固定部52Bが天井と接し、衝立41’を支える状態とされる。また、突っ張り固定部53Aと突っ張り固定部53Bが、それぞれ床面に接するように、その高さが調整されることで、床面と接し、衝立41’を支えるような状態とされる。
図5は、衝立の他の構成を示す図である。図5に示した衝立101は、天井から吊されるような構成とされている。衝立101は、天井121に設けられたガイド122に、車輪112A、車輪112Bが嵌め込まれることにより、支持される構成とされる。
衝立101は、パネル111と車輪112A,112Bを含むようにして構成される。この車輪112Aと車輪112Bは、それぞれ、パネル111に固定されている。図7を参照して後述するように、ガイド122が、部屋の天井121に縦横に設けられることで、そのガイド122に沿って、衝立101は、部屋内を移動できるように構成されている。
図6は、図5に示した衝立101を基本構成とした他の衝立の構成を示す図である。図6に示した衝立101’は、図5に示した衝立101に、回転軸131を追加した構成とされている。回転軸131を追加したことにより、さらにビーム132が追加された構成とされている。
すなわち、図6に示した衝立101’は、パネル111’とビーム132が、回転軸131を介して接続され、ビーム132に対して、パネル111’が回転可能に構成されている。ビーム132の上側には、車輪112A、車輪112Bがそれぞれ固定されており、図5に示した衝立101と同様に、この車輪112A、車輪112Bが、天井121に設けられたガイド122に、嵌め込まれることにより、支持される構成とされている。
図6に示した衝立101’は、所望の位置にガイド122に沿って移動させることは勿論可能であるとともに、移動先で回転を行うことが可能となる。よって、例えば、ユーザは、衝立101’のパネル111’を、所望の方向に向けるときに、その方向を細かく調整することが可能となる。
衝立の構成として、図1に示した衝立11、図2に示した衝立41、図3に示した衝立41’、図5に示した衝立101、または、図6に示した衝立101’を説明したが、どの構成であっても、以下に説明する実施の形態に適用できる。以下の説明においては、図5に示した衝立101を例に挙げて説明を続ける。
図5に示した衝立101は、図7に示したような部屋に設置される。図7に示した部屋は、壁81に囲まれ、その内側に、衝立101が設置されている。図7には、複数の衝立101が設置され、部屋の形と同じ形を構成するように設置されている。部屋の天井にはガイド122が設けられている。図7では、点線でガイド122を示してある。図7に示した例では、部屋内に縦横にガイド122が規則的に配置されているが、そのような配置に限定されることを示しているのではない。
例えば、ガイド122が、曲線形状で配置される部分が含まれていても良いし、規則正しく配置されるのではなく、部屋の一方に多めに配置され(ガイド122同士の間隔が狭く配置され)、他方には少なめに配置される(ガイド122同士の間隔が広く配置される)などされても良い。ガイド122の配置は、部屋の形状や、衝立101が用いられる用途などが考慮されて、適宜決定されればよい。
図7に示した例では、部屋に衝立101−1乃至101−20が設置されている。衝立101―1乃至101−20はそれぞれ、衝立の機能を有しているので、部屋に設置された時点で、衝立としての機能を果たす。そして、衝立101は、移動することも可能に構成されているので、ユーザが衝立を必要とする位置に設置することができる。このように、移動可能な衝立101を用いることで、以下のようなことを実現できる。
まず、衝立101を用いて部屋の音響効果を向上させることについて説明を加える。
図8は、音響効果を向上させることを考慮した衝立101の配置の一例を示す図である。例えば、図8に示した衝立101の配置は、図7に示した衝立101の配置から、所定の衝立101を移動させることにより実現される。
図8に示した部屋には、家具151が配置されている。また、図8においては、スピーカ152も配置され、そのスピーカ152の正面にユーザ(視聴者)153が居る状態を示している。通常、部屋には家具や窓、ドアといった、壁以外の物が配置されている。仮に、衝立101が設置されていない場合、スピーカ152からの音が、部屋の壁81にあたり反射される。ユーザ153には、スピーカ152から直接聞こえてくる直接音と、壁81により反射されて聞こえてくる反射音とが聞こえることになる。
図8に示した、家具151などが部屋に設置されている状況で、仮に衝立101が設置されていない状況だと、壁81からの反射音や、家具151からの反射音など、さまざまな反射音がユーザ153に提供されることになる。壁81と家具151は、その材質が異なるために、反射される音の種類、例えば、反射されやすい音や、吸収されやすい音なども異なる。また、壁81と家具151は、それぞれユーザ153からの距離が異なるため、壁81からの反射音と家具151からの反射音とでは、ユーザ153に到達する時間も異なる。さらに、家具151は、表面に凹凸があるため、家具151にあたって反射された音が進む方向も、家具151のあたった場所により異なると考えられる。
このように、ユーザ153に異なる反射音が提供されることにより、反射音が雑音となり、音響効果は低下してしまうと考えられる。そこで、衝立101を、図8に示したように移動し、配置する。すなわち、図8に示した例では、図7に示した衝立101のうち、衝立101−2乃至101−5、衝立101−16乃至101−19をそれぞれ移動した。
これらの衝立101を移動したことにより、図8に示した例では、衝立101により、部屋の壁81で囲まれる空間内に、衝立101で囲まれる空間が作り出される。衝立101で囲まれる空間内は、窓やドアを含まない空間であり、家具151を含まない空間である。
このように、窓やドアを含まない空間を作り出すことで、窓やドアといった物体からの反射音の影響を低減することができる。そして、その衝立101で囲まれる空間には、家具151が含まれないので、家具151で反射される反射音をなくすことができる。よって、上記したような家具151からの反射音による音響効果の低減をなくすことが可能となる。
さらに、図8を参照するに、スピーカ152とユーザ153を通る直線(不図示)を想定したとき、その直線を中心線とし、左右対称に衝立101が配置されている。左右対称になるように衝立101を移動させることにより、スピーカ152から所定の衝立101までの距離と、その所定の衝立101と対向する衝立101までの距離を等距離にすることができる。例えば、スピーカ152から衝立101−8までの距離と、衝立101−8に対向する位置に設置されている衝立101−18からスピーカ152までの距離は同じである。
このように、スピーカ152から衝立101までの距離を等距離になるように衝立101を設置することで、ユーザ153に伝達される音の中に、異なる距離からくる反射音が混在しないようにすることが可能となる。また、衝立101を、一様な反射特性をもつ衝立101とすることで、一様な反射特性を有する壁で囲まれた部屋を実現することができる。
このように、衝立101を移動させることで、部屋の形状や家具の影響などによる音響効果の低下を防ぐことが可能となる。
図8に示した例は、音の反射を考え、反射音がユーザ153に提供されたときに、音響効果の低下を防ぐための衝立101の配置についての例である。次に、図9を参照し、同じく音の反射を考えた衝立101の配置であるが、反射音がユーザ153に提供されないようにすることで、音響効果の低下を防ぐための衝立101の配置について説明する。
図9に示した部屋内の衝立101の配置例においては、衝立101−1乃至101−16が、所定の規則に基づき配置されている。部屋にはスピーカ152が設置されている。図9中、一点鎖線で示した矢印は、スピーカ152からの音の進行方向を示している。例えば、スピーカ152から出た音は、衝立101−6にあたり、反射され、その反射音が、衝立101−5にあたり、反射され、壁81の方向に向かうことが示されている。
可聴域の音は通常、伝搬距離が長くなると減衰する。そこで、反射音の影響を低減させるために、図9に示したように衝立101を配置し、スピーカ152からの音が、衝立101により、複数回反射されるようにする。複数回反射されることにより、伝搬距離が長くなり、反射音は減衰する。さらに、音が衝立101にあたったときに、衝立101自体に吸収されるので、複数回反射されることで、その反射毎に反射音が減衰される。
このように、衝立101で反射音を複数回反射させることにより、反射音による影響を低減するときの部屋に設置された衝立101の角度の設定について説明する。図10は、衝立101の設置角度の決定に係わる処理をする処理部のブロック図である。図10に示した処理部は、例えば、衝立101の回転を制御する制御装置に設けられる。または、ユーザが自分で衝立101を回転させるときに、どれだけ回転させれば良いかをシミュレーションするときに用いられる。このようなときには、パーソナルコンピュータでシミュレーションされ、図10に示した処理部は、例えば、そのパーソナルコンピュータが読み取り可能なプログラムとして、その一部が提供される。
図10に示した処理部は、角度計算部181と部屋状態格納部182から構成されている。角度計算部181は、スピーカ152の部屋内の座標と、部屋状態格納部182に格納されている情報から、各衝立101(図9に示した例では、衝立101−1乃至101−16)の回転角度を計算する。部屋状態格納部182は、衝立101―1乃至101−16のそれぞれの座標や角度を記憶している。また、部屋状態格納部182に、部屋の広さ(間取り)、部屋内の家具の位置(衝立101を設置することができない位置)などの情報も記憶されるようにしても良い。
次に、図10に示した処理部により行われる衝立101の角度の決定に係わる処理について図11のフローチャートを参照して説明する。
ステップS21において、スピーカ152の座標が角度計算部181に入力される。例えば、予め部屋の一点が原点(0、0)に設定され、部屋の所定の位置が、座標として表せるようにされている。図9に示した例において、原点は、例えば図中左下で、衝立101−1が設置されている左側の位置に設定される。
ここでは、図5に示した、天井121のガイド122につり下げられる構成とされている衝立101を例に挙げて説明しているが、図1や図2に示した車輪などで移動可能にされている衝立11や衝立41を用いた場合、部屋の角(壁81の角)が原点に設定される。
ステップS22において、衝立番号Nが1に設定される。衝立番号とは、各衝立に割り当てられた、連続する番号であるとする。例えば、図9に示した例において、衝立101−1は、衝立番号N=1であり、衝立101−2は、衝立番号N=2と設定されている。よって、図9に示した例においては、衝立101−1乃至101−16の16枚の衝立が設置されているので、衝立番号Nは、1乃至16までの番号を有する。
ステップS22において、衝立番号Nが1に設定されると、衝立番号Nが“1”に割り当てられている衝立101(この場合、衝立101−1)が処理対象に設置される。そして、処理対象に設定された衝立101に対して、ステップS23以降の処理が実行される。
ステップS23において、スピーカ152とパネル111(図5)の中心を結ぶ直線と壁面のなす角度が算出される。この処理について、図12を参照して説明する。壁面とは、例えば、図9における壁81のことである。図12に示すように、角度を算出するときには、壁面とパネル111の中心が重なっているとして考える。図12において、点線Aで示した線が、スピーカ152とパネル111の中心を結ぶ線である。このとき、点線Aと壁面がなす角度は、θ度である。
ステップS24において、鈍角をパネル111の法線が2等分する角度が求められ、その角度になるように、衝立101が回転される。図12を参照するに、パネル111の法線は点線Cである。この点線Cが、θ度を2等分する線となるような角度が求められ、その角度になるように、衝立101が回転される。このようにして、1つの衝立101の角度が決定される。
決定された角度は、部屋状態格納部182に供給され、格納される。部屋状態格納部182には、このようにして、常に最新の情報が格納される。
ステップS25において、全ての衝立に対して処理が終了されたか否かが判断される。この場合、衝立番号Nが“16”であるか否かが判断されることで行われる。ステップS25において、全ての衝立に対して処理が終了されていないと判断された場合、ステップS26に処理が進められる。
ステップS26において、衝立番号Nが1だけ加算され、次の衝立101に処理対象が移される。そして、新たに処理対象とされた衝立に対して、ステップS23以降の処理が繰り返される。ステップS23乃至S26の処理が繰り返されることにより、部屋に設置されている衝立101の角度が調整される。
一方、ステップS25において、全ての衝立に対して処理が終了されたと判断された場合、図11に示した処理は終了される。処理が終了された場合、部屋内の衝立101は、例えば、図9に示したように設置されている。このように、角度が調整されることにより、スピーカ152から出た音は、衝立101に複数回反射し、減衰されるので、ユーザ153に反射音が提供されることを防ぐことができる。よって、反射音が雑音となるようなことを防ぐことができ、音響効果を高めることが可能となる。このように、部屋内の反射を抑制することで、再生音に悪影響を及ぼす定在波の発生を防ぐことが可能となる。
このように衝立101に音が複数回反射されることで、反射音は減衰されるが、さらに音響効果を高めるために、図13に示すように、壁81の内側であり、衝立101の外側に、カーテン191を設けても良い。衝立101で一旦反射されたが、その後他の衝立101にあたることなく、壁81にあたる音があることも考えられる。換言すれば、十分に減衰せずに、壁81にあたる反射音がある可能性がある。そのような壁81にあたる音を吸音するために、吸音効果があるカーテン191を設けるようにしても良い。このようにすることで、カーテン191にあたる前に、反射を繰り返して、内壁の外(外壁(壁81)との間)に音が進むので、カーテン191による吸音効率を高めることが可能となる。
なお、ここで、図7に示した衝立101の配置と、図9に示した衝立101の配置を再度参照する。図7に示した部屋には、衝立101−1乃至101−20の20枚の衝立が設置され、図9に示した衝立101の部屋には、衝立101−1乃至101−16の16枚の衝立が設置されている。天井121にガイド122を設け、衝立101を移動させる場合、格子状に設けたガイド122の角の部分に衝立101がくるため、20枚の衝立を設置することが困難である場合がある。
そのために、図9に示したように、16枚の衝立101を設置するようにしても良い。部屋に設置する衝立101の枚数としては、衝立101が簡便に、所望の位置まで移動できるような枚数(移動するとき、他の衝立101と干渉して移動できなくなるといったことが生じないような枚数)とすることが好ましい。また、図9に示したように、スピーカ152からの音を複数回反射させることにより、反射音の影響を低減させる場合、部屋に設置される衝立101の枚数は、直接、壁81に音が到達しないように衝立101を設置できる最小枚数が好ましい。
また、図9を再度参照するに、スピーカ152の音が出る方向、すなわち図9の場合、ユーザ153が居る方向以外の方向にも、衝立101を設置する。スピーカ152の側面や後方にも衝立101を設置する例を示した。スピーカ152からは、通常、前方に出力される音が一番強いが、音の回り込みや、特定の音、例えば、低域の音が、スピーカ152の側面方向や後方に位置する壁81に到達する可能性がある。このような音が反射音としてユーザ153に提供されるのは好ましくない。例えば、側面方向や後方から反射された低域の音がユーザ153に提供されると、ユーザ153には、スピーカ152から直接提供される低域の音と、反射音の低域の音が提供されることになり、視聴位置での音の周波数のバランスが崩れる可能性があり好ましくない。
よって、そのような音も低減されるように、側面方向や後方の衝立、例えば、図9においては、衝立101−8乃至101−13を設け、スピーカ152の側面方向や後方への反射音も低減し、部屋の音響効果を向上させるようにする。このように、スピーカ152の側面方向や後方の衝立101も部屋に設置するようにした場合、その側面方向や後方の衝立101のそれぞれの角度は、上記した場合と同様に、図11のフローチャートの処理に基づいて行われる。
上記した実施の形態においては、衝立101で音を反射させることで、音響効果を高めることを説明した。次に、衝立101で音を反射させることで、音響効果を高めるとともに、衝立101で音を吸収することで、音響効果を高めることに用いる実施の形態について説明を加える。
図14は、衝立の他の構成例を示す図である。図14に示した衝立201も、図5に示した衝立101と同様に、天井121に設けられたガイド122に沿って、移動可能に構成されている。衝立201は、衝立101と同様に、車輪112A,112Bを含むようにして構成される。一方で、衝立201は、衝立101と異なり、パネル211とパネル212という異なる性質を有する2つのパネルで1つのパネルが構成されている。そのパネルに、車輪112Aと車輪112Bが固定されている。
ここでは、パネル211は、音を吸音する性質を有する素材で構成されたパネルとし、パネル212は、音を反射する性質を有する素材で構成されたパネルとする。このように、図14に示した衝立201は、異なる反射率の素材で両面がそれぞれ構成されている。
図15は、このような異なる反射率を有する素材で両面のパネルが構成された衝立201を用いる具体例を示す図である。図15に示した部屋に設置されているスピーカ221は、スピーカ221から出力された音が直接ユーザ153に提供されるとともに、壁の反射を利用して、ユーザ153に後方からも音を提供するスピーカである。このようなスピーカ221は、俗に、サラウンドシステムなどと称されシステムを実現するスピーカである。このようなスピーカ221を用いることで、ユーザ153に立体的な音響システムを提供することができる。
スピーカ221から出力された音の一部は、図15に示すように、例えば、衝立201−7にあたって反射され、その反射音が、さらに衝立201−4で反射されて、ユーザ153の後方から提供される。2度の反射をへてユーザ153に提供される反射音は、ユーザ153にとっては、あたかも、後方から発せられた音のように聞こえる。このようなことを実現するためには、音を反射すべき位置に設置されている衝立201は、音を効率良く反射することが好ましい。一方で、音を反射すべきでない位置に設置されている衝立201が、音を反射してしまうと、雑音となってしまうため、そのような位置に設置されている衝立201は、音を反射しないようにされることが好ましい。
そこで、音を反射すべき位置に設置されている衝立201は、音を効率良く反射するために、音を反射する材質で構成されているパネル212が、ユーザ153側に向くように設置し、その他の音を反射すべきでない位置に設置されている衝立201は、音を吸収する材質で構成されているパネル211が、ユーザ153側に向くように設置する。図15に示した例では、衝立201−2、衝立201−4、衝立201―7、および衝立201―19が、パネル212側を、ユーザ153側に向けられて設置され、その他の衝立201−1、衝立201―3、衝立201―5、衝立201―6、衝立201―8乃至201−18、および衝立201―20が、パネル211側を、ユーザ153側に向けられて設置されている。
次に、パネル211またはパネル212のどちらの面をユーザ153に向けるかを決定するときの処理について説明する。図16は、ユーザ153に向けるパネルを決定する処理を実行する処理部の構成例を示す図である。図16に示した処理部は、反射座標計算部231、回転衝立決定部232、および部屋状態格納部233を含む構成とされている。
反射座標計算部231は、スピーカ221の座標、スピーカ221が音を出力するビーム角度、および部屋状態格納部233に格納されている情報を用いて、音を反射すべき位置の座標を計算する。回転衝立決定部232は、反射座標計算部231により計算された音を反射すべき位置の座標に位置する衝立201を特定し、その衝立201のパネル212がユーザ153に向くように制御する。部屋状態格納部233は、図10の部屋状態格納部182と同様に、部屋の状態に関する情報、特に、衝立201―1乃至201−20のそれぞれの座標やユーザ153に向けているパネルの面を記憶している。
このような構成を有する処理部が行う処理について、図17のフローチャートを参照して説明する。ステップS51において、スピーカ221の座標が反射座標計算部231に入力される。スピーカ221の座標などについて、ステップS21の説明で上述したように、例えば、予め部屋の一点が原点(0、0)に設定され、部屋の所定の位置が、座標として表せるようにされている。
ステップS52において、ビーム放射角度が反射座標計算部231に入力される。ビーム放射角度とは、スピーカ221でサラウンド環境を実現するとき、リアスピーカなどから出力された音を疑似的に再現するための音を出力する方向である。すなわち、反射音としてユーザ153に提供される音を、出力する方向である。このビーム放射角度は、例えば、スピーカ221の説明書などに記載されていたり、ユーザが任意に設定できるように構成されていたりするので、その説明書に記載されている値や、ユーザが任意に設定した値が入力される。
ステップS53において、壁面反射点の座標が算出される。反射座標計算部231は、入力されたスピーカ221の座標と、ビーム放射角度から、ビーム放射角度方向に線を壁81まで延ばしたときの線上であり、衝立201が設置されている位置の座標を算出する。すなわち、音を反射すべき衝立201の座標を算出する。
ステップS54において、衝立番号Nが1に設定される。衝立番号とは、上記した場合と同様であり、各衝立に割り当てられた、連続する番号である。ステップS54において、衝立番号Nが1に設定されると、衝立番号Nが“1”に割り当てられている衝立201(この場合、衝立201−1)が処理対象に設置される。そして、処理対象に設定された衝立201に対して、ステップS55以降の処理が実行される。
ステップS55において、処理対象とされている衝立201は、ステップS53で算出された反射座標上の衝立201であるか否かが判断される。ステップS55において、処理対象とされている衝立201は、反射座標上の衝立201であると判断された場合、ステップS56に処理が進められ、反射材で構成されているパネル212側がユーザ153側に向けられる。
例えば、処理対象とされている衝立201が、衝立201―2(図15)である場合、ステップS55において、処理対象とされている衝立201は、反射座標上の衝立201であると判断され、ステップS56に処理が進められ、衝立201―2のパネル212が、ユーザ153に向けられるように制御される。
一方、ステップS55において、処理対象とされている衝立201は、反射座標上の衝立201ではないと判断された場合、ステップS57に処理が進められ、吸音材で構成されているパネル211側がユーザ153側に向けられる。
例えば、処理対象とされている衝立201が、衝立201―1(図15)である場合、ステップS55において、処理対象とされている衝立201は、反射座標上の衝立201ではないと判断され、ステップS57に処理が進められ、衝立201―1のパネル211が、ユーザ153に向けられるように制御される。
決定されたパネル面は、部屋状態格納部233に供給され、格納される。部屋状態格納部233には、このようにして、常に最新の情報が格納される。
ステップS58において、全ての衝立に対して処理が終了されたか否かが判断される。この場合、衝立番号Nが“20”であるか否かが判断されることで行われる。ステップS58において、全ての衝立に対して処理が終了されていないと判断された場合、ステップS59に処理が進められる。
ステップS59において、衝立番号Nが1だけ加算され、次の衝立201に処理対象が移される。そして、新たに処理対象とされた衝立に対して、ステップS55以降の処理が繰り返される。ステップS55乃至S59の処理が繰り返されることにより、部屋に設置されている衝立201のパネル面が調整される。
一方、ステップS58において、全ての衝立に対して処理が終了されたと判断された場合、図17に示した処理は終了される。処理が終了された場合、部屋内の衝立201は、例えば、図15に示したように設置されている。このように、パネル面が調整されることにより、スピーカ221から出た音のうち、直接ユーザ153に提供される音は、直接提供され、反射してユーザ153に提供される音は、パネル212の反射材の影響で、効率良く反射されてユーザ153に提供され、不要な音は、パネル211の吸音材の影響で、吸音されるので、ユーザに良好なサラウンド環境を提供することが可能となる。
すなわち、壁面の反射を利用したサラウンドシステムのサラウンド感を向上させることが可能となる。また、各音像の定位を従来の方式より、よりハッキリさせることが可能となる。
なお、上記した実施の形態においては、例えば、図15を参照して説明した形態においては、疑似的なリアスピーカが2個の場合を例にして説明したが、上記したような本発明を適用できるチャンネル数は、疑似的なリアスピーカが2個の場合にのみ限定されることを示したのではない。すなわち、本発明は、複数のチャンネル数に適用できる。
例えば、図15に示したように、ガイド122が天井121に格子状に設けられている場合、さまざまな位置で、衝立201を反転することができるため、反射する位置、吸音する位置、角度、枚数を制御することで、任意の反射空間を作ることが可能となる。
次に、サラウンド環境を実現するスピーカ221ではなく、放射状に音を出力するスピーカを用いたときに、音響効果を高める衝立201の利用法について説明する。
図18は、図14に示した衝立201を用い、放射状に音を出力するスピーカ251と、図14に示した2面のパネル211とパネル212を有する衝立201を部屋内に設置したときの一例を示している。図18に示した実施の形態においては、スピーカ251とユーザ153は、衝立201―1乃至201−20に囲まれ、全ての衝立201―1乃至201−20は、吸音材で構成されるパネル211を、ユーザ153側(部屋の内側)に向けて設置されている。
このように、全ての衝立201―1乃至201−20の吸音材で構成されるパネル211を、部屋の内側に向けることで、スピーカ251から出力される音を、吸音材で吸収させることができる。よって、反射音を低減させることができるので、反射音による音響効果の低下を防ぐことが可能となる。
なお、図18に示した例では、衝立201が、パネル211とパネル212を有する場合を例に挙げて説明したが、この場合、全ての衝立201―1乃至201−20の吸音材で構成されるパネル211が、部屋の内側に向けられているので、衝立201のパネル自体が、吸音材のみで構成されていても良い。
次に、音を吸収することで、反射音を低減させるのではなく、反射音を、ユーザ153に集中させることで、音響効果を向上させる実施の形態について説明する。反射音をユーザ153に集中させることで、ユーザ153に、スピーカ251からの直接供給される直接音と、複数の反射音を集中した状態で提供することができ、ユーザ153に直接音と集中されていない反射音が提供されるときとは異なる視聴感覚を、ユーザ153に与えることができる。
具体的には、図19を参照するに、ユーザ153より前方に位置する衝立201は、吸音材で構成されるパネル211をユーザ153に向けるようにし、ユーザ153より後方に位置する衝立201(詳細は後述するように、正確にはスピーカ251の放射範囲内の衝立201)は、反射材で構成されるパネル212をユーザ153に向けるようにする。また、パネル212が向けられる衝立201はそれぞれ、反射音がユーザ153に集まるように、角度が調整される。その角度の調整を行う処理部について説明する。
図20は、角度の調整を行う処理部の構成例を示す図である。図20に示した処理部は、回転衝立決定部281、回転角度計算部282、および部屋状態格納部283を備える構成とされている。回転衝立決定部281は、スピーカ251とスピーカ251の放射角度を入力し、放射角度内に位置する衝立201と、放射角度外に位置する衝立201を識別し、放射角度内に位置する衝立201を回転する衝立201として決定する。
回転角度計算部282は、回転すると決定された衝立201の回転角度を計算する。部屋状態格納部283は、図10の部屋状態格納部182や、図16の部屋状態格納部233と同様に、部屋の状態に関する情報、特に、衝立201―1乃至201−20のそれぞれの座標やユーザ153に向けているパネルの面を記憶している。
次に、図20に示した処理部により行われる処理について、図21のフローチャートを参照して説明する。ステップS81において、スピーカ251の座標が回転衝立決定部281に入力される。スピーカ251の座標などについては、ステップS21の説明で上述したように、例えば、予め部屋の一点が原点(0、0)に設定され、部屋の所定の位置が、座標として表せるようにされている。
ステップS82において、放射角度が回転衝立決定部281に入力される。放射角度とは、スピーカ251で音を出力したとき、前面の音の広がり範囲を示す値である。図19においては、放射角度は、斜線で示した三角形上の頂点の角度である。放射角度は、例えば、スピーカ251の説明書などに記載されている値が入力される。
ステップS83において、ユーザ153の視聴位置の座標が、回転角度計算部282に入力される。
ステップS84において、衝立番号Nが1に設定される。衝立番号とは、上記した場合と同様であり、各衝立に割り当てられた、連続する番号である。ステップS84において、衝立番号Nが1に設定されると、衝立番号Nが“1”に割り当てられている衝立101(この場合、衝立201−1)が処理対象に設置される。そして、処理対象に設定された衝立201に対して、ステップS85以降の処理が実行される。
ステップS85において、処理対象とされている衝立201は、反射座標上の衝立201であるか否かが判断される。反射座標は、回転衝立決定部281により求められる。回転衝立決定部281は、入力されたスピーカの座標と、放射角度から、図19で斜線で示した三角形状と、それにつながる四角形上の部分に含まれる座標を求める。ただし、実際に座標を求めるのは、衝立201内の部分だけでよい。ステップS85においては、そのようにして求められた座標上に、処理対象とされた衝立201が位置しているか否かが判断される。
ステップS85において、処理対象とされている衝立201は、反射座標上の衝立201であると判断された場合、ステップS86に処理が進められ、反射材で構成されているパネル212側がユーザ153側に向けられる衝立として設定される。
例えば、処理対象とされている衝立201が、衝立201―1(図19)である場合、ステップS85において、処理対象とされている衝立201は、反射座標上の衝立201であると判断され、ステップS86に処理が進められ、パネル212が、ユーザ153に向けられる衝立として設定される。
ステップS86において、パネル212側が、ユーザ153側に向けられる衝立201として設定された衝立201に対し、ステップS87において、衝立201の角度が決定される。このステップS87において実行される衝立201の角度の決定について、図22を参照して説明する。
まず、スピーカ251と衝立201のパネル212の中心を結ぶ直線(図22中、点線Aで示した線)と、ユーザ153の視聴位置とパネル中心を結ぶ直線(図22中、点線Dで示した線)とのなす角度(図22中、θ度)が求められる。そして、そのθ度を、パネルの法線(図22中、点線Cで示した線)が2等分するような角度が、処理対象とされている衝立201の角度として設定される。
一方、ステップS85において、処理対象とされている衝立201は、反射座標上の衝立201ではないと判断された場合、ステップS88に処理が進められ、吸音材で構成されているパネル211側がユーザ153側に向けられる。
例えば、処理対象とされている衝立201が、衝立201―8(図19)である場合、ステップS85において、処理対象とされている衝立201は、反射座標上の衝立201ではないと判断され、ステップS88に処理が進められ、衝立201―1のパネル211が、ユーザ153に向けられるように制御される。
決定されたパネル面は、部屋状態格納部283に供給され、格納される。部屋状態格納部283には、このようにして、常に最新の情報が格納される。
ステップS89において、全ての衝立に対して処理が終了されたか否かが判断される。この場合、衝立番号Nが“20”であるか否かが判断されることで行われる。ステップS89において、全ての衝立に対して処理が終了されていないと判断された場合、ステップS90に処理が進められる。
ステップS90において、衝立番号Nが1だけ加算され、次の衝立201に処理対象が移される。そして、新たに処理対象とされた衝立に対して、ステップS85以降の処理が繰り返される。ステップS85乃至S90の処理が繰り返されることにより、部屋に設置されている衝立201のパネル面が調整される。
一方、ステップS89において、全ての衝立に対して処理が終了されたと判断された場合、図21に示した処理は終了される。処理が終了された場合、部屋内の衝立201は、例えば、図19に示したように設置されている。このように、パネル面が調整されることにより、スピーカ251から出た音のうち、直接ユーザ153に提供される音は、直接提供され、反射してユーザ153に提供される音は、パネル212の反射材の影響で、効率良く反射されて、反射音が集中した状態で、ユーザ153に提供され、不要な音は、パネル211の吸音材の影響で、吸音されるので、ユーザに通常とは異なる視聴感覚を与えることができ、良好な音響効果を提供することが可能となる。
すなわち、一次反射のみを、ユーザ153の視聴位置に集めることで、通常の部屋(衝立201がない部屋)では味わうことができない反響のある音場を作りだすことが可能となる。また、音を一点に集中させることが可能となるため、再生する音の音量を小さくしても、大きな音を提供しているような場合と同等の体感をユーザ153に提供することが可能となる。
上述した実施の形態においては、音を効率良く反射したり、吸収したりして、良好な音響効果を提供できるように衝立201が用いられる例を示した。そのために、衝立201は、パネルを備えていたが、パネルの代わりに、スピーカの役割を果たす振動材などを装着しても良い。本出願人は、先に、特開2007−67538号公報で、衝立の機能を有するとともに、スピーカとしての機能を有する衝立スピーカ装置を提案している。
図23は、衝立スピーカ装置311の構成例を示す図である。衝立スピーカ装置311は、スピーカの機能と同時に、衝立としての役割も果たす。衝立スピーカ装置311は、天井121に設けられたガイド122に、車輪323A、車輪323Bが嵌め込まれることにより、支持される構成とされる。
衝立スピーカ装置311は、車輪323A,323B、フレーム324、プレート325A−1乃至325B−3、振動材331−1乃至331−3、振動子341A乃至343Cを含むようにして構成される。
車輪323A、車輪323Bは、それぞれフレーム324に固定されている。フレーム324は、振動材331−1乃至331−3を加重のかかる方向(垂直方向)に固定するための機構と、振動材331−1乃至331−3を図中前後方向に固定するための、プレート325A−1乃至325B−3を有している。振動材331−1乃至331−3は、それらの支えにより着脱自在に固定されている。フレーム324とプレート325A−1乃至325B−3により、振動材331−1乃至331−3は、垂直方向にも、前後方向にも固定されるように構成されている。
振動材331−1乃至331−3のそれぞれは、例えば、石膏ボード、MDF(Medium Density Fiberboard)などの木材、アルミプレート、カーボン、もしくはアクリルなどの樹脂、またはガラスなどの素材から板状に形成される。また、振動材331−1乃至331−3のそれぞれは、異なる素材を組み合わせた(積層させた)複合材料により形成するようにしてもよい。
また、振動材331−1乃至331−3の振動材には、それぞれ複数の振動子(図23では3つの振動子)が、図中横一列に取り付けられており、振動材331−1には、振動子341A乃至341C、振動材331−2には、振動子342A乃至342C、振動材331−3には、振動子343A乃至343Cが図中横一列にそれぞれ取り付けられている。
そして、例えば、アンプリファイアなどの音源(図示せず)に駆動された振動子341A乃至343Cのそれぞれが、音源から入力されてくる音声信号に応じて、振動材331−1乃至331−3のそれぞれを振動させることで、振動材331−1乃至331−3のそれぞれは、音声を出力する。すなわち、衝立スピーカ装置311は、音声信号を音声に変換するスピーカとしての役割を果たす。
また、振動子341A乃至343Cのそれぞれは、振動材331−1乃至331−3のそれぞれの振動特性にしたがって、所定の位置に着脱自在に配置される。
このような衝立スピーカ装置311を用いて、5.1チャンネルのサラウンドシステムなどと称されるシステムを構成する実施の形態について説明する。図24は、プロジェクタ361が設置された部屋の構成を示している。プロジェクタ361からの映像が写し出される方向には、センタースピーカとして、衝立スピーカ装置311―13が設置されている。
ユーザ153の前方の右側と左側にはそれぞれ、フロントスピーカとして、衝立スピーカ装置311―9と衝立スピーカ装置311―17が配置されている。また、ユーザ153の後方の右側と左側にはそれぞれ、リアスピーカとして、衝立スピーカ装置311―2と衝立スピーカ装置311―4が配置されている。また、サブウーファーとして、衝立スピーカ装置311―15が配置されている。
サラウンドシステムにより、最大限のサラウンド効果を得るためには、各スピーカを視聴位置に対して適切な角度で設置しなくてはならない。衝立スピーカ装置311は、図23に示したような構成を有し、ガイド122に沿って移動可能に構成されているため、最大限のサラウンド効果を得るために必要とされる適切な角度に、衝立スピーカ装置311を設置できる。よって、ユーザ153に最大限のサラウンド効果を提供することが可能となる。
なお、図24において、衝立スピーカ装置311−1、衝立スピーカ装置311−3、衝立スピーカ装置311−5乃至311−8、衝立スピーカ装置311−10乃至311−12、衝立スピーカ装置311−14、衝立スピーカ装置311−16、および衝立スピーカ装置311−18乃至20は、それぞれ衝立スピーカ装置311で構成しても良いが、例えば、図14で示した衝立201で構成しても良い。そして、衝立201で構成した場合、吸音材で構成されるパネル211を、部屋の内側に向けて設置するようにし、不要な音が吸収されるようにし、音響効果を高めるようにしても良い。
また、図24を参照した説明では、5.1チャンネルのサラウンドシステムを構成する場合を例に挙げたが、他のチャンネル数でも本発明を適用できる。上記したように、衝立スピーカ装置311は、スピーカとしての役割を果たすため、例えば、図24における衝立スピーカ装置311―3を、センターリアスピーカとして用いることで、6.1チャネルのサラウンドシステムを実現することが可能である。
また、図24を参照した説明では、例えば、センタースピーカは、衝立スピーカ装置311―13で構成されるとしたが、衝立スピーカ装置311―12乃至311−14の3枚の衝立スピーカ装置311を、センタースピーカとしても良い。すなわち、1チャンネルを複数の衝立スピーカ装置311で構成するようにすることも可能である。そのようなシステムの変更、ユーザの好みに基づくシステムの変更に対しても、本発明は、適切に、簡便な衝立スピーカ装置311の移動という操作などだけで、構築することが可能となる。
本発明は、さまざまなチャンネル数でのサラウンドシステムに適用させることが可能である。
なお、衝立スピーカ装置311として、振動板331が装着されている例を示したが、衝立には異なる物を装着することも可能である。例えば、衝立スピーカ装置311の構成は、振動板331と、ディスプレイを装着するといったことも可能な構成とされている。
本発明を適用することで、部屋のスペースを可変にすることができる。また、本発明を適用することで、部屋の形状を、スピーカを中心として対称となるように構成することができる。よって、例えば、図8を参照して説明したように、部屋に設置されている家具などの影響を除去した音響効果を得るための部屋のスペースを作りだすことが可能となる。
また、本発明を適用することで、部屋内部の反射を抑え、余計な定在波による音響効果の低下を防ぐことができる。また、スピーカから出力される音のうち、反射音を伝達したい部分と、反射音を伝達させたくない部分を分けることが可能となる。このことにより、例えば、反射音を用いたサラウンド音響を明瞭にするといったことを可能とすることができる。さらに、図23に示した衝立スピーカ装置311を用いることで、ユーザが所望する位置にスピーカを設置することができ、より優れた音響空間を形成することが可能となる。
上述した一連の処理、例えば、図10に示した処理部で行われる処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
図25は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するパーソナルコンピュータのハードウェアの構成の例を示すブロック図である。
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503は、バス504により相互に接続されている。
バス504には、さらに、入出力インターフェース505が接続されている。入出力インターフェース505には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部506、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部507、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部508、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部509、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリなどのリムーバブルメディア511を駆動するドライブ510が接続されている。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU501が、例えば、記憶部508に記憶されているプログラムを、入出力インターフェース505及びバス504を介して、RAM503にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
コンピュータ(CPU501)が実行するプログラムは、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア511に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供される。
そして、プログラムは、リムーバブルメディア511をドライブ510に装着することにより、入出力インターフェース505を介して、記憶部508にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部509で受信し、記憶部508にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM502や記憶部508に、予めインストールしておくことができる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
本発明を適用した衝立の一実施の形態の構成を示す図である。 衝立の他の構成例を示す図である。 衝立の他の構成例を示す図である。 部屋内の衝立の設置に関して説明するための図である。 衝立の他の構成例を示す図である。 衝立の他の構成例を示す図である。 部屋内の衝立の設置に関して説明するための図である。 部屋内の衝立の設置に関して説明するための図である。 部屋内の衝立の設置に関して説明するための図である。 処理部の構成例を示す図である。 処理部の処理について説明するフローチャートである。 角度の設定の仕方について説明するための図である。 部屋内の衝立の設置に関して説明するための図である。 衝立の他の構成例を示す図である。 部屋内の衝立の設置に関して説明するための図である。 処理部の構成例を示す図である。 処理部の処理について説明するフローチャートである。 部屋内の衝立の設置に関して説明するための図である。 部屋内の衝立の設置に関して説明するための図である。 処理部の構成例を示す図である。 処理部の処理について説明するフローチャートである。 角度の設定の仕方について説明するフローチャートである。 衝立スピーカ装置の構成例を示す図である。 部屋内の衝立の設置に関して説明するための図である。 記録媒体について説明する図である。
符号の説明
11 衝立, 21 ベース, 22 車輪, 23 突っ張り固定部, 24 パネル, 41 衝立, 51 パネル, 52 突っ張り固定部, 53 突っ張り固定部, 61 回転軸, 81 壁, 82 穴, 101 衝立, 111 パネル, 112 車輪, 121 天井, 122 ガイド,131 回転軸, 132 ビーム,151 家具, 152 スピーカ, 153 ユーザ, 181 角度計算部181, 182角度計算部, 191 カーテン, 201 衝立, 211 パネル, 212 パネル, 221 スピーカ, 231 反射座標計算部, 232 座標計算部, 233 部屋状態格納部, 251 スピーカ, 281 回転衝立決定部, 282 回転角度計算部, 283 部屋状態格納部, 311 衝立スピーカ装置, 323 車輪, 324 フレーム, 325 プレート, 331 振動材, 341 振動子, 342 振動子, 343 振動子, 361 プロジェクタ

Claims (22)

  1. 移動手段を有する衝立であり、
    音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置毎に設置される
    衝立。
  2. 前記音声出力装置を囲むような空間であり、
    前記音声出力装置からの距離が、前記空間の所定の一辺と対向する他辺で同距離であり、前記空間を構成する各辺の近傍に物体がない空間となるように設置される
    請求項1に記載の衝立。
  3. 前記音声出力装置から出力された音が、複数回反射されるように設置される
    請求項1に記載の衝立。
  4. 一方の面は、音を吸収する素材で構成された第1の面とされ、他方の面は、音を反射する素材で構成された第2の面とされ、
    前記音声出力装置からの音を吸収すべき位置に設置されている場合、前記第1の面が、前記音声出力装置側に向けて設置され、
    前記音声出力装置からの音を反射すべき位置に設置されている場合、前記第2の面が、前記音声出力装置側に向けて設置される
    請求項1に記載の衝立。
  5. 前記音声出力装置は、ビーム状に音を出力し、
    ビーム状に出力された音があたる位置に設置されている場合、前記第2の面が、前記音声出力装置側に向けて設置され、
    それ以外の位置に設置されている場合、前記第1の面が、前記音声出力装置側に向けて設置される
    請求項4に記載の衝立。
  6. 前記音声出力装置は、放射状に音を出力し、
    放射状に出力された音があたる位置に設置されている場合、前記第2の面が、前記音声出力装置側に向けて設置され、
    それ以外の位置に設置されている場合、前記第1の面が、前記音声出力装置側に向けて設置される
    請求項4に記載の衝立。
  7. 音を吸収する素材で構成された面が、前記音声出力装置側に向けて設置される
    請求項1に記載の衝立。
  8. 前記音声出力装置を備え、
    サラウンドシステムを構成する音声出力装置として設置される
    請求項1に記載の衝立。
  9. 前記移動手段は、前記衝立の下側に固定された車輪であり、
    天井と接することで前記衝立を固定する突っ張り固定手段をさらに備える
    請求項1に記載の衝立。
  10. 床面と接することで前記衝立を固定する第2の突っ張り固定手段をさらに備える
    請求項9に記載の衝立。
  11. 床面と天井に設けられた穴に、遊挿する回転軸をさらに備える
    請求項10に記載の衝立。
  12. 音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置であって、
    前記音声出力装置と前記衝立を結ぶ直線と、前記音声出力装置が設置されている部屋の壁面とのなす角の角度を算出し、
    前記衝立の法線が、前記角度を2等分する位置に前記衝立が設置されるように制御する
    制御装置。
  13. 音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置の制御方法であって、
    前記音声出力装置と前記衝立を結ぶ直線と、前記音声出力装置が設置されている部屋の壁面とのなす角の角度を算出し、
    前記衝立の法線が、前記角度を2等分する位置に前記衝立が設置されるように制御する
    ステップを含む制御方法。
  14. 音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置に、
    前記音声出力装置と前記衝立を結ぶ直線と、前記音声出力装置が設置されている部屋の壁面とのなす角の角度を算出し、
    前記衝立の法線が、前記角度を2等分する位置に前記衝立が設置されるように制御する
    ステップを含む処理を実行させるコンピュータが読み取り可能なプログラム。
  15. 一方の面は、音を吸収する素材で構成された第1の面とされ、他方の面は、音を反射する素材で構成された第2の面とされた衝立であり、音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置であって、
    前記音声出力装置が、ビーム状の音を出力する場合、前記音声出力装置が設置されている座標と、前記ビーム状の音が出力されるビーム放射角度から、前記ビーム状の音があたる壁面の位置の座標を算出し、
    複数の衝立のうち、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立である場合、前記第2の面が前記音声出力装置側に向けられるように制御し、
    処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立でない場合、前記第1の面が前記音声出力装置側に向けるように制御する
    制御装置。
  16. 一方の面は、音を吸収する素材で構成された第1の面とされ、他方の面は、音を反射する素材で構成された第2の面とされた衝立であり、音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置の制御方法であって、
    前記音声出力装置が、ビーム状の音を出力する場合、前記音声出力装置が設置されている座標と、前記ビーム状の音が出力されるビーム放射角度から、前記ビーム状の音があたる壁面の位置の座標を算出し、
    複数の衝立のうち、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立である場合、前記第2の面が前記音声出力装置側に向けられるように制御し、
    処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立でない場合、前記第1の面が前記音声出力装置側に向けるように制御する
    ステップを含む制御方法。
  17. 一方の面は、音を吸収する素材で構成された第1の面とされ、他方の面は、音を反射する素材で構成された第2の面とされた衝立であり、音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置に、
    前記音声出力装置が、ビーム状の音を出力する場合、前記音声出力装置が設置されている座標と、前記ビーム状の音が出力されるビーム放射角度から、前記ビーム状の音があたる壁面の位置の座標を算出し、
    複数の衝立のうち、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立である場合、前記第2の面が前記音声出力装置側に向けられるように制御し、
    処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立でない場合、前記第1の面が前記音声出力装置側に向けるように制御する
    ステップを含む処理を実行させるコンピュータが読み取り可能なプログラム。
  18. 一方の面は、音を吸収する素材で構成された第1の面とされ、他方の面は、音を反射する素材で構成された第2の面とされた衝立であり、音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置であって、
    前記音声出力装置が、放射状に音を出力する場合、前記音声出力装置が設置されている座標と、前記放射状の音が出力される放射角度から、前記放射状の音があたる壁面の位置の座標を算出し、
    複数の衝立のうち、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立である場合、前記第2の面が前記音声出力装置側に向けられるように制御し、
    処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立でない場合、前記第1の面が前記音声出力装置側に向けるように制御する
    制御装置。
  19. 前記第2の面を前記音声出力装置側に向けるように制御するとき、前記音声出力装置と前記衝立を結ぶ第1の直線と、前記音声出力装置からの音が供給されるユーザの視聴位置と前記衝立を結ぶ第2の直線がなす角の角度を算出し、
    前記衝立の法線が、前記角度を2等分する方向に前記第2の面が向くように制御する
    請求項18に記載の制御装置。
  20. 一方の面は、音を吸収する素材で構成された第1の面とされ、他方の面は、音を反射する素材で構成された第2の面とされた衝立であり、音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置の制御方法であって、
    前記音声出力装置が、放射状に音を出力する場合、前記音声出力装置が設置されている座標と、前記放射状の音が出力される放射角度から、前記放射状の音があたる壁面の位置の座標を算出し、
    複数の衝立のうち、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立である場合、前記第2の面が前記音声出力装置側に向けられるように制御し、
    処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立でない場合、前記第1の面が前記音声出力装置側に向けるように制御する
    ステップを含む制御方法。
  21. 一方の面は、音を吸収する素材で構成された第1の面とされ、他方の面は、音を反射する素材で構成された第2の面とされた衝立であり、音声出力装置から出力される音の音響効果を高める所定の位置に設置される衝立の設置位置を制御する制御装置に、
    前記音声出力装置が、放射状に音を出力する場合、前記音声出力装置が設置されている座標と、前記放射状の音が出力される放射角度から、前記放射状の音があたる壁面の位置の座標を算出し、
    複数の衝立のうち、処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立である場合、前記第2の面が前記音声出力装置側に向けられるように制御し、
    処理対象とされている衝立が、前記壁面の位置の座標上の衝立でない場合、前記第1の面が前記音声出力装置側に向けるように制御する
    ステップを含む処理を実行させるコンピュータが読み取り可能なプログラム。
  22. 請求項14、請求項17、または請求項21に記載のプログラムが記録されている記録媒体。
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