JP2008521865A - ワクチンに有用な新規医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、前記発明のワクチン組成物を調製する方法にも関する。
*該アジュバントが、特に最小限の用量の抗原を用いて、主要な免疫反応を引き起こすこと;
*該アジュバントが、免疫記憶の形成を促進および確立するために混合免疫反応(液性免疫および細胞性免疫)を引き起こすこと;
*該アジュバントが完全に寛容され、毒性を持たないこと;
*該アジュバントが、できれば製薬の分野で一般に使用される添加剤、より具体的には注射可能な医薬品の添加剤で構成されること;
*該アジュバントが、例えばシリンジを用いて、また可能であれば使用準備済みのシリンジに直接入れて、容易に投与できること;
*該アジュバントが、様々な異なる抗原と容易に組み合わせることができ、異なるワクチンの生産の標準化が可能であること;
*該アジュバントが、習得の容易な製造工程を使用して工業規模で容易に生産できること、である。
アラム(Alum)(リン酸アルミニウムおよび水酸化アルミニウム)は、ヒト用および獣医学用のワクチンにおいて広範囲に使用されているアジュバントである。
特許文献1には、家畜の予防接種を意図したヘルペスおよび大腸菌に対する混合ワクチンが記述されている。この特許文献は、Miglyol(R)(中鎖トリグリセリド)などのある種の油またはポリソルベートのような界面活性剤を用いた油/水エマルジョンまたは水/油エマルジョンを含む、様々な異なる可能なアジュバント候補に言及しているが、該アジュバントの正確な処方は何ら示していない。しかしながら、分散相が小滴の形態
で存在する従来型のエマルジョンが必要とされている。更に、ワクチンの免疫原性に対するアジュバントの影響に関しては何も示されていない。
特許文献6は、レシチン、油、および両親媒性の界面活性剤を含有するアジュバントであって、注入された動物における局所反応を最小限にすることが可能な、安定した水中油型エマルジョンの形態のワクチンを形成することが可能なアジュバントについて記述している。
等方性体はよく知られており、特に「ガレニカ(Galenica)」、1983年、第5巻第5章の195−219ページに必要な情報がすべて記載されている。特に、この研究は、水/油/界面活性剤の三成分図、例えば203ページのパラフィン/Brij96の水/油の図を示しており、等方性の系を得るためのこれらの化合物それぞれの濃度の決定を可能にしている。
一方エマルジョンは、2つの混和できない液体のうち一方が他方の中で微細に分割されて小滴または小胞となっている系で形成されている。分散相は内相または不連続相として知られ、分散媒は外相または連続相として知られている。したがって、エマルジョンは二相構造を有する液‐液分散である。
「小胞タイプの構造」とは、本発明の意味においては、界面活性剤タイプの成分を含んでなるか該成分で構成された壁を呈する構造を意味し、前記壁は、外相が疎水性の時は親水性の内相を含んでなるか同相によって構成される(逆の場合も可)容積を備えている。
したがって本発明は、この発見に起因する。
本発明によれば、活性物質は、活発な抗原、減弱化された抗原、または不活性化された抗原などの任意のタイプの生物活性物質でよい。活発な抗原とは、実験的または遺伝学的に減弱化した細菌またはウイルス、ベクター(組換え細菌またはウイルス)によって生体内で発現されたタンパク質抗原(または糖−リポタンパク質抗原)を表す。不活性化された抗原とは、物理的方法または化学的方法によって不活性化された細菌またはウイルス、あるいは細菌またはウイルス抽出物、あるいは遺伝子組換えまたは化学合成によって得られたタンパク質、ポリペプチドまたはペプチド、あるいは、少なくとも1つの、アミノ酸の配列を含む化合物のin vivo生成系を意味する。
本発明の特定の実施形態によれば、医薬組成物はワクチンである。この形態では、活性物質はこの場合抗原である。前記抗原は、任意の起源であってよいし、予防接種の分野で一般に使用される任意の形態であってよい。抗原は、例えば、ウイルス由来でも、細菌由来でも、寄生生物由来でも、腫瘍由来でもよい。
抗原は、微生物(ウイルス、細菌あるいは寄生生物)から構成されてもよいし、適切な場合には減弱化または不活性化されてもよいし、あるいは前述の微生物の一部、特に細胞を含まない一部分(特に、合成されたか遺伝子工学により生産されたかにかかわらず、精製された抗原、天然のタンパク質または糖タンパク質またはペプチド、ポリヌクレオチド)でもよいし、実際に水溶性抗原に基づくものでも水に分散可能な抗原に基づくものでもよい。
本発明による組成物中の活性物質および/または抗原の量は、所望の効力と、使用される活性物質または抗原の本来の性質との関数である。当業者は、後者について、使用される活性物質または抗原の機能として分析することができる。
より具体的には、界面活性剤の濃度は臨界ミセル濃度(CMC)より高くてよい。CMCより低い濃度については、界面活性剤のほとんどの部分がモノマーの形態であり、他方、CMCを上回る濃度については、多くがミセルとして存在する。
本発明によれば、組成物は、組成物全体の重量に対して、10〜90重量%、好ましくは40〜75重量%の油を含みうる。
最後に、本発明によれば、組成物中の界面活性剤の量は、組成物全体の重量に対して1〜60重量%、好ましくは16〜45重量%でよい。
油は次のものの中から選択可能である:
− 鉱油、例えばパラフィン油、ワセリン油などであるがこれらに限定はされない;
− 非鉱油、例えばタラ肝油、合成脂質、植物油(例えば、ダイズ油、オリーブオイル、トウモロコシ油、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、ヒマシ油および扁桃油であるがこれらに限定はされない)、中鎖および長鎖トリグリセリド(例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社によって販売されているもの、あるいはDynamit Nobel社によりMiglyol 810(R)、812(R)および818(R)との名称で販売されているものなど)、スクアランおよびスクワレンのようなテルペン油;ならびに
− それらの混合物。
本発明によって使用可能な界面活性剤は、アニオン性でも、カチオン性でも、非イオン性でも、両性でもよい。
との共重合体、サッカロースおよび脂肪酸のエステル、グリコールおよび脂肪酸のエステル、脂肪酸とグリセリンのモノエステル、ジエステル、トリエステル、ポリエチレングリコールと脂肪酸のエステル、ならびにサッカロースおよび脂肪酸のエステルが挙げられる。 本発明によれば、ポリソルベートおよびソルビタンエステル、特にソルビタンと脂肪酸とのエステルが使用されることが好ましい。
組成物の粘性は、HAAK−VT500という名称のレオ(Rheo)商標の粘度計のような回転子固定子タイプ粘度計を使用して、メーカーの指示書に従って、周囲温度、好ましくは25℃で測定される。
− 第1工程では、抗原を、上記の追加物質が任意選択で組み込まれた水相に溶解または分散させ、該混合物を例えば水槽で、30〜60℃、好ましくは35〜45℃で加熱し;
− 第2工程(同時であってもよい)では、界面活性剤を油と混合し、該混合物を例えば水槽で、30〜60℃、好ましくは35〜45℃で加熱し;
− 第3工程では、ホモジナイザー(Rayneri(R)33300ホモジナイザーなど)を使用して水相を油相に組み入れる。これらの装置は、特にエマルジョンの調製において広範囲に使用されるものであり、したがって当業者には、本発明によって該混合物を調製するにあたり何ら困難はない;そして
− 最終工程において、得られた油状の等方性体を周囲温度に冷却して滅菌する。文献に記述されている様々な異なる方法、例えば、熱、イオン化放射線、あるいは濾過による
滅菌などをこの操作に使用可能である。好ましい方法は滅菌濾過である。
下記の3例においては、同一の抗原含有水相を使用する。該水相は、ブタ連鎖球菌(Streptococcus suis)の菌株の培養中に分泌された抗原で構成されている無細胞の抗原相を含んでいる。この細菌は子豚における重篤かつ非常に広範囲の障害の原因である。
本発明によれば、所望量の抗原を含んでいる原液の分割量を、例えばリン酸塩緩衝液などワクチンの分野で一般に使用される緩衝液を必要かつ十分な量用いて希釈する。
次の表は、実施する本発明の組成物を示す。量はグラムで表示されている。
ーカーの中で混合する。得られた油相を40℃の水槽で加熱する。
並行して別々に、水相も40℃の水槽で加熱する。
混合中、2つのビーカーは40℃に維持する。
目的とする最終製品のMRPタンパク質力価は1.6である。目的とする力価は、理論上の任意の力価1を有する参照抗原に対する相対力価である。(1.6とは、そのワクチンが使用された参照抗原の1.6倍の力価を有することを意味する)。
次の表の組成物を調製する。量はグラムで表示されている。
目的とする最終製品のMRPタンパク質力価は1.6である。
次の組成物を調製する。量はグラムで表示されている。
2つの相が同じ温度になったら、500rpmで回転するタービンミキサー(Rayneri 33300)で均質化しながら水相を油相に滴加する。
混合物を調製し終えたら水槽から取り出し、周囲温度に冷却させる。
目的とする最終製品のMRPタンパク質力価蛋白は1.6である。
実施例2の組成物1の活性を、文献に記載の当業者に周知のアジュバントを含む従来技術の他の組成物の活性と比較する。
対照処方物1:従来の水中油型エマルジョン
このエマルジョンについては、実施例2の油状の等方性体について記述したのと同じ添加剤を様々な比率で使用し、臨界HLB11の、非常に微細なエマルジョンを得た。量はグラムで表示されている。
実施例1において得られた抗原相を、孔径0.22μmの合成膜で濾過して滅菌する。
Miglyol(R)、Tween80(R)およびSpan80(R)をビーカーの中で混合し、該混合物を120℃で30分間加熱することにより滅菌し、周囲温度に冷却させる。
水相の添加後も撹拌を30分間続ける。
セピック社(SEPPIC、フランス国パリ所在)から販売されているそのまま使用可能なアジュバントである、Montanide IMSを、この第2の参照用処方物に使用した。量はグラムで表示されている。
この全体を、孔径0.22μmの合成膜で濾過して滅菌する。
セピック社(SEPPIC、フランス国パリ所在)から販売されているそのまま使用可能な別のアジュバントである、Montanide ISA 763 VGを、この第3の参照用処方物に使用した。量はグラムで表示されている。
アジュバントを、Rayneri T33300ホモジナイザーを使用して800rpmで撹拌しながらビーカーに移す。
対照処方物4:市販の油中水型アジュバント(Montanide ISA 563 VG、SEPPIC)
セピック社(SEPPIC、フランス国パリ所在)から販売されているそのまま使用可能な別のアジュバントである、Montanide ISA 563 VGを、この第4の参照用処方物に使用した。量はグラムで表示されている。
アジュバントを、Rayneri T33300ホモジナイザーを使用して800rpmで撹拌しながらビーカーに移す。抗原水相を、1200rpmで撹拌しながら単回操作で組み入れ、15分間維持する。
別のアジュバントLHは、COVACCINE社(オランダ国レリシュタット所在)のそのまま使用可能な実験用アジュバントであるが、これをこの最後の参照用処方物に使用した。量はミリリットルで表示されている。
無菌的に、水性の抗原相および生理食塩緩衝液を5〜10分間磁気撹拌して混合し、続いてLHアジュバントを該抗原相‐生理食塩緩衝液混合物に非常にゆっくり(「小滴として」)添加する。撹拌を10分間維持する。
上述のように測定した参照用処方物のMRPタンパク質力価は、RPユニットでおよそ4である(RP:相対強度:米国農務省の相対強度計算ソフトウェア、バージョン3.0による測定単位)。
確かに、本発明による組成物中に存在する水は少量であり、水相中の抗原濃度を増大させる以外には、参照用処方物と同じだけの抗原を組み込むことは不可能であるが、濃度の増大は免疫反応の測定にバイアスをかけることがある。
対照組成物および本発明組成物の免疫原性および寛容性を比較する試験のプロトコール
寛容性および免疫原性の比較はマウスで実施する。実施例2における本発明の組成物1の免疫原性を、以下のような実験プロトコールにより対照組成物の免疫原性と比較した。
相当する平均力価(RP単位)によって定義する。
結果
*免疫原性
表示した値は相対値である:表示の値は、本発明組成物の免疫原性を、参照番号5の免疫原性を基準として表しており、参照番号5は、試験した各参照処方物の免疫原性の評価についても基準として使用した。
Claims (25)
- 少なくとも1つの油と、少なくとも1つの界面活性剤と、水相であって少なくとも1つの活性物質を含んでなる水相との混合物を少なくとも含んでなる医薬組成物であって、エマルジョンの形態ではなく、油状の等方性体の形態である医薬組成物。
- 注射による投与に適した粘性を有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
- 活性物質が、生物活性物質、特に、活発な抗原、減弱化された抗原、または不活性化された抗原であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
- ワクチンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
- 活性物質が抗原であることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
- 抗原が、ウイルス由来、細菌由来、寄生生物由来、または腫瘍由来であることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
- 抗原が、天然の抗原または組換え抗原であることを特徴とする、請求項5または6に記載の組成物。
- 抗原が、適切な場合は任意選択で不活性化された微生物で構成されるか、または前記微生物の一部で構成されることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の組成物。
- 少なくとも高濃度の界面活性剤および低濃度の水を含んでなることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
- 組成物全体の重量に対して10〜90重量%、好ましくは40〜75重量%の油を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
- 組成物全体の重量に対して0.5〜20重量%、好ましくは3〜9重量%の水を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
- 組成物全体の重量に対して1〜60重量%、好ましくは16〜45重量%の界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
- 水の量に対する油の量の比率が、1未満であってはならず、好ましくは5未満にはならないことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
- 油が、鉱油、非鉱油、例えばタラ肝油、合成脂質、植物油、中鎖および長鎖トリグリセリド、またはテルペン油ならびにそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
- 鉱油がパラフィン油およびワセリン油から選択されることを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
- 非鉱油が、ダイズ油、オリーブオイル、トウモロコシ油、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、ヒマシ油および扁桃油から選択される植物油であることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
- 中鎖および長鎖トリグリセリドが、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドから選択されることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
- テルペン油が、スクアランおよびスクワレンから選択されることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
- 油の混合物が使用されることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物。
- 界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、または両性界面活性剤から選択されることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物。
- 界面活性剤が非イオン性界面活性剤であることを特徴とする、請求項20に記載の組成物。
- 界面活性剤が、ポリソルベート、ソルビタンエステル、特に、ソルビタンと脂肪酸とのエステル、ヒマシ油のポリオキシエチレン化誘導体、ステアリン酸のポリオキシエチレン化誘導体、エチレンオキシドとプロピレンオキシドまたはポロキサマーとの共重合体、サッカロースおよび脂肪酸のエステル、グリコールおよび脂肪酸のエステル、脂肪酸とグリセリンのモノエステル、ジエステル、トリエステル、ポリエチレングリコールと脂肪酸のエステル、サッカロースおよび脂肪酸のエステルから選択されることを特徴とする、請求項21に記載の組成物。
- 界面活性剤の混合物が使用されることを特徴とする、請求項1〜22のいずれか1項に記載の組成物。
- 周囲温度での粘性が、5〜150mPa・s、好ましくは5〜100mPa・sであることを特徴とする、請求項1〜23のいずれか1項に記載の組成物。
- 請求項1〜24のいずれか1項に記載の組成物を調製する方法であって、
第1工程で、抗原を、適切であれば上記の追加物質が組み込まれた水相に溶解または分散させ、該混合物を例えば水槽で、30〜60℃、好ましくは35〜45℃で加熱し;
第1工程と同時であってもよい第2工程で、界面活性剤を油と混合し、該混合物を例えば水槽で、30〜60℃、好ましくは35〜45℃で加熱し;
第3工程で、ホモジナイザーを使用して水相を油相に組み入れ;
最終工程において、得られた油状の等方性体を周囲温度に冷却して滅菌する
ことを特徴とする方法。
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