JP2004231030A - 自動車用内装部品及びその製造方法並びに成形金型 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内装部品(ドアトリム)10は、所要形状に成形され、軽量で保形性を有する発泡樹脂基材20と、発泡樹脂基材20の裏面に一体化される縦横方向に沿う所定パターンの樹脂リブ30とから構成される。更に、樹脂リブ30の両側縁に沿って発泡樹脂基材20に圧縮部22を設定することで、樹脂リブ30の支持強度を高めるとともに、樹脂リブ30の成形時、成形下型の溝部424の両側に肉盛り44を設定することでシール性を高め、樹脂漏れをなくす。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ドアトリム、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、トランクトリム、リヤサイドトリム等の自動車用内装部品及びその製造方法並びに成形金型に係り、特に、軽量化が図れ、廉価に製作できるとともに、優れた成形精度が確保できる自動車用内装部品及びその製造方法並びに成形金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車用内装部品の構成をドアトリムを例示して図20,図21を基に説明する。ドアトリム1は、保形性及び車体パネルへの取付剛性を備えた製品面のほぼ全面にいきわたっている樹脂芯材2の表面に、表面外観に優れた表皮3を積層一体化して構成されている。
【0003】
上記樹脂芯材2としては、タルクを混入したポリプロピレン系樹脂を素材としており、また、表皮3は、それ自体保形性を備えておらず、塩ビシート等の合成樹脂シート裏面にポリエチレンフォーム等のクッション材が積層された積層シート材料が使用され、最近では、環境面やリサイクル面を考慮して、TPO(サーモプラスチックオレフィン)シート等のエラストマーシート裏面にポリエチレンフォーム等のクッション材が積層された積層シート材料が多用される傾向にある。
【0004】
次に、上記ドアトリム1の成形方法における従来例について図22を基に説明する。まず、ドアトリム1を成形する成形金型4は、所定ストローク上下動可能な成形上型5と、成形上型5と対をなす固定側の成形下型6と、成形下型6と接続される射出機7とから大略構成されている。
【0005】
そして、成形上下型5,6を型締めした際、ドアトリム1の製品形状を形造るために成形上型5にはキャビティ部5aが形成され、成形下型6にはコア部6aが設けられている。上記、成形上型5を所定ストローク上下動作させるために、昇降シリンダ5bが連結され、成形下型6には射出機7からの溶融樹脂の通路となるマニホールド6b、ゲート6cが設けられている。
【0006】
また、上下動作する成形上型5は、適正姿勢を維持させるために、成形下型6の4隅部にガイドポスト6dが設けられ、このガイドポスト6dに対応して成形上型5にはガイドブッシュ5cが設けられている。
【0007】
従って、成形上下型5,6が型開き状態にあるとき、表皮3を金型内にセットし、その後、成形上下型5,6を型締めする直前か、または型締めした後のいずれかのタイミングで両金型間の製品キャビティ内に射出機7からマニホールド6b、ゲート6cを通じて溶融樹脂Mを射出充填することにより、樹脂芯材2を所要の曲面形状に成形するとともに、樹脂芯材2の表面に表皮3を一体成形している(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
尚、図22では、説明の便宜上、コア部6aの型面にオープン状態で溶融樹脂Mが供給されているが、上述したように、溶融樹脂Mは成形上下型5,6の型締め後にキャビティ内に射出充填されても良い。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−138268号公報 (第2頁、図3、図4)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のドアトリム1においては、樹脂芯材2の投影面積が大きいため、材料コストが高く、かつ製品が重量化するという問題点が指摘されている。
【0011】
また、樹脂芯材2の投影面積が大きいことから、成形時における射出圧を高く設定せざるを得ず、高い射出圧に耐え得る金型構造が必要となり、金型の作製費用も嵩み、しかも、大量の溶融樹脂を冷却固化させるため、成形サイクルが長期化し、生産性を低下させる大きな要因となっている。
【0012】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、軽量化を促進でき、高剛性でコストダウンを図れる自動車用内装部品を提供でき、加えて、材料ロスが少なく、しかも成形性を高めた自動車用内装部品及びその製造方法並びにそれに使用する成形金型を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究の結果、従来から表皮として使用していた発泡樹脂シートに保形性を付与することで、芯材としての機能をもたせ、より以上に剛性が必要な箇所、すなわち製品の周縁部分やパネル、相手部品との合わせ部で密接可能、または一定クリアランスを確保する箇所、あるいは部品取付箇所並びに荷重がかかる部位には、剛性に優れた樹脂リブを配置することで対応するとともに、特に、樹脂リブの射出充填時におけるシール性を高めることで本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明に係る自動車用内装部品は、所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材と、この発泡樹脂基材の裏面に一体化される所定パターン形状の樹脂リブとからなる自動車用内装部品であって、前記樹脂リブの両側縁に沿う発泡樹脂基材には、厚み方向寸法を低減した圧縮部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
ここで、自動車用内装部品としては、ドアトリム、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、ラゲージトリム、トランクトリム、リヤサイドトリム等に適用できる。
【0016】
保形性を有する発泡樹脂基材は、フラット形状に近い場合は、加熱軟化工程を省略して、成形型により所望形状に成形するが、三次元形状の製品に適用する場合は、発泡樹脂シートを加熱軟化処理した後、成形金型内で所要形状に成形することで、リブ等の補強材がなくても、成形後、脱型しても形状を保持する程度の剛性(保形性)を有している。また、製品形状が高展開率部分を含む場合には、発泡樹脂シートを加熱軟化処理した後、成形金型に真空吸引機構を配設して成形金型の内面に沿って発泡樹脂シートに真空吸引力を作用させるようにしても良い。
【0017】
上記発泡樹脂シートとしては、熱可塑性樹脂に発泡剤を添加した素材を使用する。尚、熱可塑性樹脂は、1種類の熱可塑性樹脂でも2種類以上の熱可塑性樹脂からなっても良い。好ましくは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂などが使用できる。
【0018】
また、発泡剤としては、アゾ化合物、スルホヒドラジド化合物、ニトロソ化合物、アジド化合物等の有機発泡剤、あるいは重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤の使用が可能である。
【0019】
上記発泡樹脂シートを加熱軟化処理後、所要形状に成形して得た発泡樹脂基材は、製品の重量と強度とのバランスを考慮した場合、2〜10倍の発泡倍率が好ましい。そのときの発泡樹脂基材のセル径は、0.1μm〜2.0mmの範囲であることが好ましく、厚みは0.5〜30mm、好ましくは1〜10mmのものが良い。
【0020】
一方、樹脂リブとして使用する熱可塑性樹脂材料は、広範な熱可塑性樹脂から適宜選択することができる。通常好ましく使用できるものとして、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アイオノマー系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート樹脂等が使用できる。
【0021】
また、これら熱可塑性樹脂中に各種充填剤を混入しても良い。使用できる充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維、タルク、クレイ、シリカ、炭酸カルシウム等の無機粒子などがある。また、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、低収縮剤等の各種の添加剤が配合されても良い。
【0022】
更に、樹脂リブの両側縁に沿って、発泡樹脂基材の裏面側が厚み方向寸法を低減した圧縮部として形成されている。
【0023】
次いで、本発明に係る自動車用内装部品の別の実施態様は、所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材と、この発泡樹脂基材の裏面に一体化される所定パターン形状の樹脂リブとからなる自動車用内装部品であって、前記発泡樹脂基材裏面の一部には、上記樹脂リブから染み出すシート状の樹脂漏出部が形成されることにより、剛性強化部位が設定されていることを特徴とする。
【0024】
この場合においても、樹脂リブの両側縁における発泡樹脂基材には、基本的に圧縮部が設定されているが、特に、シート状の樹脂漏出部と一体化する樹脂リブの縁部については圧縮部が設定されておらず、樹脂漏出部が形成されない部位と樹脂漏出部が形成される部位の境界に位置する樹脂リブは、その両側縁における発泡樹脂基材によるシール性に差異が設定されている。
【0025】
また、外観意匠性を高めるために、発泡樹脂基材の表面に加飾材を積層一体化しても良い。上記加飾材としては、織布、不織布、編布、シート、フィルム、発泡体、網状物などが使用できる。これら加飾材を構成する材料は特に限定されないが、織布、不織布、編布等、通気性を有する素材を使用したほうが、発泡樹脂基材の室内騒音を吸音対象とした吸音性能を生かす上で好ましい。
【0026】
そして、本発明に係る自動車用内装部品によれば、保形性を有する発泡樹脂基材の裏面側に剛性を補強する意味で樹脂リブが積層一体化されるという構成であるため、従来の樹脂芯材を廃止することができる。従って、従来の投影面積の非常に広い樹脂芯材を廃止することで、製品の軽量化を図ることができ、しかも、樹脂材料を節約できることから、材料コストの低減化も同時に達成できる。
【0027】
更に、樹脂リブ両側縁における発泡樹脂基材には圧縮部が設定され、かつこの圧縮部は高剛性であるため、樹脂リブが幅方向に沿って撓むことがなく、樹脂リブの変形を防止することができる。
【0028】
次いで、上記自動車用内装部品の製造方法は、所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材と、この発泡樹脂基材の裏面に一体化される所定パターン形状の樹脂リブとからなる自動車用内装部品の製造方法において、成形金型内に、発泡樹脂基材の素材である発泡樹脂シートをセットする発泡樹脂シートのセット工程と、前記成形金型同士を型締めして、成形金型のキャビティ形状に沿って発泡樹脂基材を所要形状に成形するとともに、成形金型の型締め前か、型締め後のいずれかのタイミングで、前記樹脂リブの配設パターンに沿って成形下型に形成されている溝部内に射出機から樹脂通路を通じて溶融樹脂を射出充填し、このとき、該溝部の側縁に肉盛りが施されていることにより、溝部のシール性を確保するための圧縮部を発泡樹脂基材に形成し、発泡樹脂基材の裏面に樹脂リブを積層一体化する発泡樹脂基材及び樹脂リブの成形工程とからなることを特徴とする。
【0029】
ここで、上記自動車用内装部品を製造する際に成形金型は、上下動可能な成形上型と、成形上型の下方側に位置する成形下型と、成形下型に連結される射出機から構成され、射出機から供給される溶融樹脂は、成形下型に設けられたマニホールド、ゲート等の樹脂通路を通じて成形下型の型面上に供給されるが、成形上型が下死点まで下降して、成形上下型を型締めする直前、または型締め後のいずれかのタイミングで溶融樹脂が所定の射出圧でキャビティ内に射出充填される。
【0030】
従って、成形上下型の型締めにより、発泡樹脂シートは、成形金型の型面形状に沿って成形されるとともに、溶融樹脂が成形下型の型面に穿設された溝部内に射出充填されることにより、樹脂リブが発泡樹脂基材の裏面側に積層一体化される。
【0031】
そして、製品形状が三次元形状に設定されている場合には、前工程でヒーター等により加熱軟化処理を行なった後、発泡樹脂シートを成形金型内にセットする。
【0032】
更に、成形金型内に加熱軟化状態の発泡樹脂シートを供給した後、成形金型を型締めすれば、発泡樹脂シートが所要形状に成形され、保形性を有する発泡樹脂基材が得られる。
【0033】
従って、保形性を有する軽量な発泡樹脂基材の裏面に樹脂リブを積層一体化できる。尚、最終製品形状が高展開状であれば、成形金型の型締めを複数回行ない、最終の型締め工程で溶融樹脂の射出を行なうと良い。
【0034】
更に、製品形状が高展開率部分を含む場合には、成形上型に真空吸引機構を配設し、成形上型の型面に沿って真空吸引力により発泡樹脂基材を所要形状に成形するようにしても良い。
【0035】
また、成形下型には、樹脂リブの縦横方向に沿う格子状パターンに対応して、溝部が開設されており、この溝部内に射出機から樹脂通路を経て溶融樹脂が射出充填されるが、この溶融樹脂の射出充填時においては、キャビティ内に発泡樹脂シートが挟み込まれており、特に、溝部の側縁に沿って肉盛りが施されていることにより、溝部側縁の発泡樹脂基材には圧縮部が形成され、この圧縮部は高剛性であるとともに、シール性能に優れているため、溝部から溶融樹脂が外部に漏れ出すことがなく、ゲート点数を少なくして、樹脂圧を高めても、外部への樹脂漏れを可及的に防止できる。
【0036】
従って、従来の投影面積の広い樹脂芯材に比べ、樹脂リブだけを成形すれば良いため、射出圧力を従来に比べて低く設定できることにより、成形金型の負荷が少なくて済むとともに、樹脂量も少なく、材料費を節約でき、しかも、従来の樹脂芯材に比べ、冷却時間も短縮化でき、製品の成形サイクルを短縮化できる。
【0037】
更に、発泡樹脂基材の多孔質吸音性能により、車室内外の騒音を有効に吸音できる吸音性能に優れた内装部品が得られるとともに、発泡樹脂基材及び樹脂リブの素材としてポリオレフィン系樹脂を使用した場合、オールオレフィン系樹脂に統一でき、分離工程が廃止でき、リサイクル作業を廃止できる。
【0038】
加えて、樹脂リブの射出充填時、溝部のシール性能を良好に維持できるため、樹脂漏れによる材料ロスがなく、ゲート点数を低減できるとともに、射出圧力を上げて樹脂流動長を長く設定できる等の利点がある。
【0039】
次いで、本発明方法の別の実施態様は、所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材と、この発泡樹脂基材の裏面側に一体化される縦横方向に沿う所定パターン形状の樹脂リブとからなり、所望の剛性強化部位における発泡樹脂基材の裏面にシート状の樹脂漏出部を一体化した自動車用内装部品の製造方法において、成形金型内に、発泡樹脂基材の素材である発泡樹脂シートをセットする発泡樹脂シートのセット工程と、前記成形金型同士を型締めして、成形金型のキャビティ形状に沿って発泡樹脂基材を所要形状に成形するとともに、成形金型の型締め前か、型締め後のいずれかのタイミングで、前記樹脂リブの配設パターンに沿って成形下型に形成されている溝部内に、射出機から樹脂通路を通じて溶融樹脂を射出充填する際、剛性強化部位を画成する樹脂リブの両側縁において、発泡樹脂シートに対するシール性に差異をもたせることで、樹脂リブから強制的に溶融樹脂を発泡樹脂基材の裏面側に漏出させることにより、発泡樹脂基材の裏面に樹脂リブ並びに樹脂漏出部を一体化する発泡樹脂基材及び樹脂リブの成形工程とからなることを特徴とする。
【0040】
この場合、樹脂リブに対応するために、成形下型のコア部型面に設けられている溝部は、側縁に肉盛りをして、シール性を高めれば、樹脂漏れを回避でき、その逆に肉盛りを省略した縁部については、シート状の樹脂漏出部を発泡樹脂基材の裏面に強制的に作り出すことができる。
【0041】
そして、この実施態様によれば、内装部品の製品表面側から面直方向に力が加わり易い部位など、剛性が要求される部分においては、強制的に発泡樹脂基材の裏面所定部位にシート状の樹脂漏出部を樹脂リブと一体化して形成できるため、樹脂リブを所要形状に成形すると同時に発泡樹脂基材における所望箇所の剛性を強化することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、自動車用ドアトリム及びその製造方法並びに該方法に使用する成形金型を例示して説明する。
【0043】
図1乃至図13は本発明の第1実施形態を示し、図1は自動車用ドアトリムを示す正面図、図2は同自動車用ドアトリムの構成を示す断面図、図3は同自動車用ドアトリムにおける樹脂リブの形状を示す正面図、図4,図5は同自動車用ドアトリムにおける樹脂リブ周縁部分の形状を示す各断面図、図6は同自動車用ドアトリムの成形に使用する成形金型の構成を示す全体図、図7,図8は同成形金型における成形下型の溝部形状を示す各断面図、図9乃至図11は同自動車用ドアトリムの製造方法の各工程を示すもので、図9は発泡樹脂シートの予熱工程を示す説明図、図10は発泡樹脂シートの成形金型へのセット工程を示す説明図、図11は成形金型の型締めによる成形工程を示す説明図である。また、図12,図13は成形金型におけるゲート部付近の構成を示す断面図並びに平面図である。
【0044】
次に、図14乃至図19は、本発明の第2実施形態を示し、図14は第1実施形態と同様に自動車用ドアトリムに適用した場合の樹脂リブの形状を示す平面図、図15は第2実施形態における樹脂リブの周辺部分の構成を示す断面図、図16は図15に示す樹脂リブを成形するための成形金型の要部を示す説明図、図17は剛性強化部位を変更した樹脂リブの形状を示す平面図、図18は同樹脂リブの周辺部分の構成を示す断面図、図19は図18に示す樹脂リブを成形するための成形金型の要部を示す説明図である。
【0045】
まず、図1乃至図13に基づいて、本発明の第1実施形態について説明する。
【0046】
本実施形態による自動車用ドアトリム10は、インサイドハンドルエスカッション11を始めとして、アームレスト部12にパワーウインドウスイッチフィニッシャー13並びにプルハンドル14等の付属部品が装着され、アームレスト部12の下側にポケット開口15が開設され、このポケット開口15廻りにポケットエスカッション16が嵌め込み固定され、そのフロント側にスピーカグリル17が一体、あるいは別体に設けられている。
【0047】
更に詳しくは、図2に示すように、自動車用ドアトリム10は、所要形状に成形され、保形性を有する発泡樹脂基材20と、この発泡樹脂基材20の裏面側に積層一体化される樹脂リブ30と、発泡樹脂基材20の表面側に積層一体化される加飾機能をもつ加飾材21とから大略構成されている。
【0048】
また、上記発泡樹脂基材20は、保形性を備えるように発泡樹脂シートを加熱軟化処理後、所要形状に熱成形、例えば、所望の型面を有する成形金型でコールドプレス成形されるが、更に高展開率部分については、真空成形により発泡樹脂基材20を賦形しても良い。尚、ジャッキリッド等のリッド部品のようなフラット形状の部品においては、発泡樹脂シートに加熱軟化処理を行なわずにフラット形状に成形することができる。
【0049】
上記発泡樹脂シートは、汎用の熱可塑性樹脂に発泡剤を添加した構成であり、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等が使用でき、発泡剤としては、アゾジカルボンアミド等の有機発泡剤や重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤が使用できる。この実施形態では、ポリプロピレン系樹脂に発泡剤として重炭酸ナトリウムを適宜添加した発泡樹脂シートを使用している。また、この発泡樹脂基材20の発泡倍率は、2〜10倍に設定され、厚みは0.5〜30mm、特に1〜10mmの範囲に設定されている。
【0050】
次いで、樹脂リブ30は、発泡樹脂基材20の裏面側に配設され、特に、図3に示すように、縦横方向に延びる格子状パターンに設定されている。この樹脂リブ30は、汎用の合成樹脂成形体からなり、通常好ましく使用できる合成樹脂として、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アイオノマー系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート樹脂等から適宜選択されて良く、本実施形態では、環境面、リサイクル面を考慮してポリプロピレン系樹脂が使用されている。
【0051】
また、この樹脂リブ30には、上記熱可塑性樹脂中に適宜フィラー、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維や、タルク、クレイ、シリカ、炭酸カルシウム等の無機粒子等の充填剤が混入されていても良い。
【0052】
更に、図4,図5に示すように、樹脂リブ30は、幅寸法に対して高さ寸法が長寸に設定される関係で、図4,図5中矢印A方向に撓み変形を誘発し易い傾向にあるが、この撓み変形を有効に防止するように、発泡樹脂基材20において、樹脂リブ30の両側縁に沿って圧縮部22が設定されている。
【0053】
図4では、圧縮部22は、一般部から樹脂リブ30の側縁に向けて発泡樹脂基材20の厚みが徐変するように設定され、かつ図5の圧縮部22は、方形状に設定されている。尚、圧縮部22の形状は限定されないが、圧縮部22のもつ機能としては、圧縮部22を設定することで、密度が高まり、剛性が強化されるために、樹脂リブ30の変形を抑えることができる。尚、この実施形態においては、図4に示す圧縮部22は、後述する成形金型に肉盛りを施すことにより、圧縮部22を徐変状に形成するが、図中a寸法は、0.5〜1.5mm、図中b寸法は、3〜10mmに設定されている。また、図5に示す方形状の圧縮部22は、a寸法が0.5〜1.5mm、b寸法も同様に3〜10mmに設定されている。尚、自動車用ドアトリム10の一般部の板厚は3mmに設定されている。
【0054】
このように、本発明に係る自動車用ドアトリム10は、保形性を有する発泡樹脂基材20と、発泡樹脂基材20の裏面に積層一体化される樹脂リブ30と、加飾性を有する加飾材21とから構成されているため、従来のように製品の全面に亘り占有していた樹脂芯材を廃止でき、かつ軽量な発泡樹脂基材20を使用する関係で、製品の重量について、従来例に比し40%以上の軽量化を図ることができるとともに、樹脂材料も大幅に節約でき、コストダウンにも貢献できる。
【0055】
更に、発泡樹脂基材20は、多孔質構造であるため、吸音性能に優れ、車室内外の騒音を低減することができる。また、発泡樹脂基材20の特に車室内騒音を対象とした吸音性能を高めるために、発泡樹脂基材20の表面に積層一体化される加飾材21は、織布、不織布、編布等の通気性を備えたシート材料が好ましい。尚、加飾材21は、織布、不織布、編布等の通気性シート以外にも、塩ビシートやTPOシート等の合成樹脂シート、合成樹脂フィルム、発泡体、網状体を使用することもできる。また、TPOシートを使用すれば、使用材料をポリオレフィン系樹脂で統一できるため、リサイクルが容易に行なえる。
【0056】
そして、所定パターンに沿う樹脂リブ30は、その基部側縁にあたる発泡樹脂基材20に圧縮部22が設定され、樹脂リブ30を支持する発泡樹脂基材20の支持面の剛性が強化されているため、樹脂リブ30の高さ寸法を幅寸法に対して長寸に設定しても、幅方向に沿う撓み変形を有効に防止でき、樹脂リブ30の初期形状を長期に亘り良好に維持できるという利点がある。
【0057】
次いで、図6乃至図13に基づいて、上記ドアトリム10の製造方法の概要について以下に説明する。図6は、成形金型40の全体構成を示し、図7,図8は、樹脂リブ30を形成する溝部の形状をそれぞれ示す断面図である。図6において、ドアトリム10の成形に使用する成形金型40は、所定ストローク上下動可能な成形上型41と、成形上型41と対をなす固定側の成形下型42と、成形下型42に接続される射出機43とから大略構成されている。
【0058】
更に詳しくは、成形上型41は、製品形状に合致したキャビティ部411が形成されており、成形上型41の上面に連結された昇降シリンダ412により所定ストローク上下駆動される。また、成形上型41の4隅部には、ガイド機構となるガイドブッシュ413が設けられている。
【0059】
一方、成形下型42には、成形上型41のキャビティ部411に対応するコア部421が設けられている。また、このコア部421の型面に溶融樹脂を供給するために、マニホールド422、ゲート423が設けられており、このマニホールド422、ゲート423の樹脂通路を経て射出機43から供給される溶融樹脂Mがコア部421上面の溝部424に供給される。
【0060】
また、成形下型42の4隅部には、ガイド機構となるガイドポスト425が突設され、このガイドポスト425は、成形上下型41,42が型締めされる際、ガイドブッシュ413内に案内されることで成形上型41のプレス姿勢を適正に維持できる。
【0061】
更に、本発明方法に使用する成形金型40は、樹脂リブ30を成形するために成形下型42のコア部421に設ける溝部424は、例えば、図4に示す樹脂リブ30周縁部の形状を成形するためには、図7に示す成形金型40が使用され、図5に示す樹脂リブ30周縁部の形状を成形するためには図8に示す成形金型40が使用されている。
【0062】
例えば、図7に示すように、樹脂リブ30を成形するための溝部424の基部両側縁に沿って、コア部421の型面には、肉盛り44が外側から溝部424に向かうに連れて徐々に厚みが増すように付設されている。また、図8に示す成形金型40においては、溝部424の基部の両側縁に沿ってコア部421の型面上に断面矩形状の肉盛り44が設けられている。
【0063】
上記肉盛り44は、キャビティ内に発泡樹脂シートSが収容された状態で溝部424に溶融樹脂が供給されたとき、発泡樹脂シートSを圧縮することで、溝部424のシール性を高め、樹脂漏れを可及的に防止する機能をもつ。
【0064】
次いで、図9乃至図11に基づいて、自動車用ドアトリム10の製造方法について説明する。まず、図9に示すように、ヒーター装置50により、発泡樹脂シートS(加飾材21をラミネートしている)を加熱軟化処理する。この発泡樹脂シートSとしては、ポリプロピレン製発泡シート(住化プラステック製、商品名:スミセラー発泡PPシート、発泡倍率=3倍、厚み3mm)が使用されている。
【0065】
そして、図10に示すように、成形金型40が型開き状態にあるとき、成形金型40内に加熱軟化処理を施した発泡樹脂シートSをセットする。その後、成形上型41の昇降シリンダ412が動作して、図11に示すように、成形上型41が所定ストローク下降して、成形上下型41,42が型締めされて、発泡樹脂シートSが所望の型面形状に賦形され、発泡樹脂基材20が所要形状に成形されるとともに、射出機43からマニホールド422、ゲート423を通じて成形下型42におけるコア部421に設けた溝部424に溶融樹脂Mが射出充填され、樹脂リブ30が発泡樹脂基材20の内面側に一体成形される。
【0066】
この溶融樹脂Mとしては、住友ノーブレンBUE81E6(住友化学工業製ポリプロピレン、メルトインデックス=65g/10分)でタルクが適宜割り合いで混入されている。尚、溶融樹脂Mの射出のタイミングを成形上下型41,42の型締め前に設定しても良い。
【0067】
そして、このとき、成形下型42に設けられている溝部424の両側縁部に肉盛り44が形成されているため、溝部424のシール性が良好に維持されていることから、溶融樹脂Mが溝部424から外部に漏れることがなく、材料ロスを確実に防止できるとともに、射出機43の射出圧を高く設定しても、樹脂漏れがないため、ゲート423の設定数を低減することも可能となる。
【0068】
更に、本発明方法によれば、発泡樹脂シートを予め賦形した後、射出成形金型内にセットする方法とは異なり、成形と同時に樹脂リブ30と圧縮部22とを形成できるため、圧縮部22と樹脂リブ30との間に位置ズレが生じることがない。
【0069】
また、溝部424の両側縁に沿って肉盛り44を設定する以外にも、例えば図12,図13に示すように、ゲート423の外周に一定距離をおいて肉盛り45を設けた場合、ブッシュ426面に樹脂バリmが染み出すが、肉盛り45により、外部に樹脂が漏れるのを可及的に防止できる。
【0070】
この場合、発泡樹脂シートSに圧縮部22を形成したことによる発泡樹脂基材20の剛性と圧縮部22により高剛性部の面積が広くなることによる剛性アップとの複合効果により、図4または図5中の矢印A方向の撓みに強くなる。
【0071】
次いで、図14乃至図16は、本発明の第2実施形態を示すもので、例えば、図14に樹脂リブ30の配設パターンを示すが、特に、乗員の身体が触れ易く、剛性が必要とされる剛性強化部位Aについては、図15に示すように、発泡樹脂基材20の裏面に薄肉シート状の樹脂漏出部31が樹脂リブ30と一体に形成されている。また、この剛性強化部位Aを画成する樹脂リブ30の外周縁は、発泡樹脂基材20に圧縮部22が形成されている。
【0072】
上記構造のドアトリム10を成形するには、図16に示すように、成形下型42におけるコア部421に形成される溝部424について、特に、樹脂漏出部31を強制的に形成できるように、樹脂リブ30の剛性強化部位A側の側縁と反対側縁におけるシール性に差異をもたせている。すなわち、溝部424の外側縁部に沿っては肉盛り44が設定されているが、内側縁部に沿っては肉盛り44が省略されている。
【0073】
従って、成形上下型41,42を型締めして、発泡樹脂基材20を所要形状に成形すると同時に、溝部424内に溶融樹脂Mを射出充填したとき、肉盛り44により、樹脂リブ30は、樹脂リブ30の外側縁部から外方に向けて樹脂漏れが生じることがなく、逆に、肉盛り44を設定していない部位については、溶融樹脂Mが強制的に外部に漏れ出し、シート状の樹脂漏出部31が形成される。
【0074】
このように、樹脂リブ30を形成するために、コア部421に設けた溝部424の両側縁に沿うシール性を調整することで、樹脂漏れをなくすか、あるいは強制的に発泡樹脂基材20の裏面にシート状の樹脂漏出部31を一体化することが可能となり、樹脂リブ30の成形と同時に剛性強化部位Aを成形できる。
【0075】
本例の場合、製品に圧縮部22を設けることにより、外縁部側の発泡樹脂シートの剛性が強化され、製品の内縁部側は樹脂漏出部31があるためリブ30が図4または図5の矢印A方向に撓むことが防止される。
【0076】
更に、本発明の第2実施形態の変形例について、図17乃至図19を基に説明する。すなわち、この変形例は、図17に示すように、剛性強化部位Aが広いエリアに設定されているため、剛性強化部位Aを包囲する樹脂リブ30aと、剛性強化部位A内に延在する樹脂リブ30bとが存在する。
【0077】
そして、上記樹脂リブ30a,30bと発泡樹脂基材20との関係は、図18に示すように、剛性強化部位Aを包囲する樹脂リブ30aの外側縁に沿って発泡樹脂基材20裏面に圧縮部22が形成されているとともに、剛性強化部位Aを包囲する樹脂リブ30aの内側縁から剛性強化部位A内に延在する樹脂リブ30bにかけて、発泡樹脂基材20裏面にシート状の樹脂漏出部31が形成されている。
【0078】
また、広範囲に剛性強化部位Aを設定する場合には、図19に示すように、上記樹脂リブ30aに対応する溝部424aの外側縁部に肉盛り44を設定し、溝部424aの内側縁部は肉盛り44を省略するとともに、上記樹脂リブ30bに対応する溝部424bの両側縁部についても肉盛り44が省略されている。
【0079】
従って、肉盛り44が形成された部分のシール性と、肉盛り44が省略された部分のシール性の差異により、図18に示すように、剛性強化部位Aだけにシート状の樹脂漏出部31が形成され、簡単な手法で剛性を強化できる。
【0080】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明に係る自動車用内装部品は、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材と、この発泡樹脂基材の裏面でかつ製品の外周縁など剛性が要求される部位に積層一体化される樹脂リブとから構成されるため、従来の重量の嵩む樹脂芯材を廃止できることから、軽量で低コスト、しかも多孔質素材であるため、吸音性能に優れた自動車用内装部品を提供できるという効果を有する。
【0081】
更に、成形金型のキャビティ形状に沿って、発泡樹脂基材を所要形状に成形すると同時に発泡樹脂基材の裏面側に樹脂リブを成形するという工程を採用すれば、樹脂成形体である樹脂リブの投影面積が少ないため、従来の樹脂芯材に比べ、成形金型にかかる負荷も少なく、かつ冷却時間も短縮化でき、歩留まりを高めることができることから、作業能率を高めることができるとともに、大幅なコストダウンを招来できるという作用効果を有する。
【0082】
また、本発明に係る自動車用内装部品は、樹脂リブの両側縁に沿う発泡樹脂基材に圧縮部が設定され、この圧縮部については、密度が高く、かつ剛性が強化されているため、樹脂リブの幅方向に沿う撓み変形を有効に防止でき、初期形状を長期に亘り安定して維持できるという効果を有する。
【0083】
次いで、本発明に係る自動車用内装部品の製造方法は、成形上下型の型締めにより発泡樹脂基材を所要形状に成形すると同時に、成形下型の溝部に溶融樹脂を射出充填することで、発泡樹脂基材の裏面に所定パターン形状の樹脂リブを一体化するとともに、溝部の側縁に肉盛りを施すことで、溝部のシール性能を高め、樹脂漏れを可及的に防止できることから、材料ロスが少なく、かつゲート点数を低減でき、樹脂の流動長を長く設定できる等の効果を有する。
【0084】
更に、本発明に係る自動車用内装部品の別の態様によれば、剛性強化部位には、樹脂リブと一体にシート状の樹脂漏出部を発泡樹脂基材裏面の一部に一体化するというものであるため、材料ロスとなる樹脂に補強機能をもたせ、材料の有効利用を図るとともに、該内装部品の製造方法については、肉盛りを省略し、樹脂リブを形成する溝部の側縁のシール性能に差異を設定することで、溝部からの樹脂漏れを防止するか、あるいは樹脂漏れを強制的に現出させて剛性アップを図るというものであるから、実用性に優れるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動車用内装部品を適用した自動車用ドアトリムの第1実施形態を示す正面図である。
【図2】図1中II−II線断面図である。
【図3】図1に示すドアトリムにおける樹脂リブの配設パターンを示す正面図である。
【図4】図1に示すドアトリムにおける樹脂リブ及びその周縁部の形状を示す断面図である。
【図5】図4の変形例を示す断面図である。
【図6】図1に示すドアトリムの製造方法に使用する成形金型の全体構成を示す説明図である。
【図7】図6に示す成形金型における溝部及びその周縁部を示す拡大断面図である。
【図8】図6に示す成形金型における溝部及びその周縁部の変形例を示す断面図である。
【図9】図1に示すドアトリムの製造方法における発泡樹脂シートの予熱工程を示す説明図である。
【図10】図1に示すドアトリムの製造方法における発泡樹脂シートのセット工程を示す説明図である。
【図11】図1に示すドアトリムの製造方法における発泡樹脂基材並びに樹脂リブの成形工程を示す説明図である。
【図12】図6に示す成形金型におけるゲート部付近の構成を示す断面図である。
【図13】図12に示すゲート部付近の平面図である。
【図14】本発明に係る自動車用内装部品を適用した自動車用ドアトリムの第2実施形態を示すもので、樹脂リブの配設パターンを示す正面図である。
【図15】図14中XV−XV線断面図である。
【図16】図15に示す発泡樹脂基材並びに樹脂リブを成形するための成形金型を示す部分断面図である。
【図17】本発明に係る自動車用内装部品を適用した自動車用ドアトリムの第2実施形態の変形例を示す樹脂リブの正面図である。
【図18】図17中XVIII −XVIII 線断面図である。
【図19】図18に示す発泡樹脂基材並びに樹脂リブを成形するための成形金型を示す部分断面図である。
【図20】従来のドアトリムを示す正面図である。
【図21】図20中XXI −XXI 線断面図である。
【図22】従来のドアトリムの製造方法の概要を示す説明図である。
【符号の説明】
10 自動車用ドアトリム
11 インサイドハンドルエスカッション
12 アームレスト部
13 パワーウインドウスイッチフィニッシャー
14 プルハンドル
15 ポケット開口
16 ポケットエスカッション
17 スピーカグリル
20 発泡樹脂基材
21 加飾材
22 圧縮部
30 樹脂リブ
31 樹脂漏出部
40 成形金型
41 成形上型
42 成形下型
43 射出機
44,45 肉盛り
A 剛性強化部位
S 発泡樹脂シート
M 溶融樹脂
Claims (6)
- 所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材(20)と、この発泡樹脂基材(20)の裏面に一体化される所定パターン形状の樹脂リブ(30)とからなる自動車用内装部品(10)であって、
前記樹脂リブ(30)の両側縁に沿う発泡樹脂基材(20)には、厚み方向寸法を低減した圧縮部(22)が設けられていることを特徴とする自動車用内装部品。 - 所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材(20)と、この発泡樹脂基材(20)の裏面に一体化される所定パターン形状の樹脂リブ(30)とからなる自動車用内装部品(10)であって、
前記発泡樹脂基材(20)裏面の一部には、上記樹脂リブ(30)から染み出すシート状の樹脂漏出部(31)が形成されることにより、剛性強化部位(A)が設定されていることを特徴とする自動車用内装部品。 - 所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材(20)と、この発泡樹脂基材(20)の裏面に一体化される所定パターン形状の樹脂リブ(30)とからなる自動車用内装部品(10)の製造方法において、
成形金型(41,42)内に、発泡樹脂基材(20)の素材である発泡樹脂シート(S)をセットする発泡樹脂シート(S)のセット工程と、
前記成形金型(41,42)同士を型締めして、成形金型(41,42)のキャビティ形状に沿って発泡樹脂基材(20)を所要形状に成形するとともに、成形金型(41,42)の型締め前か、型締め後のいずれかのタイミングで、前記樹脂リブ(30)の配設パターンに沿って成形下型(42)に形成されている溝部(424)内に射出機(43)から樹脂通路(422,423)を通じて溶融樹脂(M)を射出充填し、このとき、該溝部(424)の側縁に肉盛り(44)が施されていることにより、溝部(424)のシール性を確保するための圧縮部(22)を発泡樹脂基材(20)に形成し、発泡樹脂基材(20)の裏面に樹脂リブ(30)を積層一体化する発泡樹脂基材(20)及び樹脂リブ(30)の成形工程と、
からなることを特徴とする自動車用内装部品の製造方法。 - 所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材(20)と、この発泡樹脂基材(20)の裏面側に一体化される縦横方向に沿う所定パターン形状の樹脂リブ(30)とからなり、所望の剛性強化部位(A)における発泡樹脂基材(20)の裏面にシート状の樹脂漏出部(31)を一体化した自動車用内装部品(10)の製造方法において、
成形金型(41,42)内に、発泡樹脂基材(20)の素材である発泡樹脂シート(S)をセットする発泡樹脂シート(S)のセット工程と、
前記成形金型(41,42)同士を型締めして、成形金型(41,42)のキャビティ形状に沿って発泡樹脂基材(20)を所要形状に成形するとともに、成形金型(41,42)の型締め前か、型締め後のいずれかのタイミングで、前記樹脂リブ(30)の配設パターンに沿って成形下型(42)に形成されている溝部(424)内に、射出機(43)から樹脂通路(422,423)を通じて溶融樹脂(M)を射出充填する際、剛性強化部位(A)を画成する樹脂リブ(30)の両側縁において、発泡樹脂シート(S)に対するシール性に差異をもたせることで、樹脂リブ(30)から強制的に溶融樹脂(M)を発泡樹脂基材(20)の裏面側に漏出させることにより、発泡樹脂基材(20)の裏面に樹脂リブ(30)並びに樹脂漏出部(31)を一体化する発泡樹脂基材(20)及び樹脂リブ(30)の成形工程と、
からなることを特徴とする自動車用内装部品の製造方法。 - 所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材(20)と、この発泡樹脂基材(20)の裏面に一体化される所定パターン形状の樹脂リブ(30)とからなる自動車用内装部品(10)を成形する成形金型(40)において、
前記成形金型(40)は、所定ストローク上下動可能な成形上型(41)と、成形上型(41)の下方に位置し、射出機(43)と接続する成形下型(42)とから構成され、成形上下型(41,42)の型締め時、発泡樹脂シート(S)を所要形状に成形できるように成形上型(41)には、キャビティ部(411)、並びに成形下型(42)には、コア部(421)を設けるとともに、コア部(421)の型面には、樹脂リブ(30)の配設パターンに沿う溝部(424)が形成され、溝部(424)の両側縁には、発泡樹脂シート(S)を圧縮して、シール性を高め、溶融樹脂(M)の外部への染み出しを防止する肉盛り(44)が設けられていることを特徴とする成形金型。 - 所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材(20)と、この発泡樹脂基材(20)の裏面に一体化される所定パターン形状の樹脂リブ(30)とからなり、所望の剛性強化部位(A)における発泡樹脂基材(20)の裏面にシート状の樹脂漏出部(31)を一体化した自動車用内装部品(10)を成形する成形金型(40)において、
前記成形金型(40)は、所定ストローク上下動可能な成形上型(41)と、成形上型(41)の下方に位置し、射出機(43)と接続する成形下型(42)とから構成され、成形上下型(41,42)の型締め時、発泡樹脂シート(S)を所要形状に成形できるように成形上型(41)には、キャビティ部(411)、並びに成形下型(42)には、コア部(421)を設ける一方、コア部(421)の型面には、樹脂リブ(30)の配設パターンに沿う溝部(424)が形成されるとともに、樹脂漏出部(31)を形成する側の溝部(424)の側縁に対しては肉盛り(44)が省略され、それ以外の溝部(424)側縁については肉盛り(44)が設けられていることを特徴とする成形金型。
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