しかし近年、光照射によるアタックの手法は、ICカードマイコンのチップ全体への光照射からレーザー光線によるスポット光照射へと変化している。このレーザー光線によるスポット光照射では、内部回路の動作停止を引き起こす受光素子にはスポット光照射をしない一方、ICカードマイコンの誤動作を引き起こすような内部回路の脆弱な回路部分に選択的にスポット光照射を行うものである。
従って、上記の特許文献1に記載された受光素子を1個のみ使用した防御方法では、上記のスポット光照射によるアタックには対応することができない。
上記のスポット光照射によるアタックには対応するためには、上記の特許文献2に記載されているように、ICカードマイコンのチップ上に複数の受光素子を分散して配置することが必要になる。特に、ICカードマイコンのチップ上で誤動作を引き起こす可能性を持つ脆弱な回路部分の近傍に、内部回路の動作停止を起こす受光素子を複数個配置することが有効となる。
一方、本発明者等は、本発明に先立ってスポット光照射によるアタックに対しての防御性能が改善されたICカードマイコンのチップ開発に従事した。
この開発では、受光素子を複数個配置するに際して、チップ面積と消費電力との増大をできるだけ小さくすると言う技術課題が本発明者等に与えられた。
この技術課題の解決のために本発明者等は、受光素子をN個配置するに際して(N≧2)、N個の受光素子を駆動する駆動回路はN個となり、N個の受光素子の検出信号をセンスするセンス回路もN個となることは回避できないが、N個の駆動回路とN個のセンス回路とにバイアス電圧を供給するためのバイアス回路を1個とすることを検討した。半導体集積回路のバイアス電圧は製造プロセスに起因するバラツキを持つため、バイアス電圧のトリミング機能が必要となる。バイアス回路にバイアス電圧のトリミング機能を付加すると、バイアス回路のチップ面積が増大する。従って、バイアス回路を1個とすることによって、ICカードマイコンのチップ面積と消費電力との増大を小さくすることができる。
しかし、この方法による新たな技術課題も、明らかとなった。この新たな技術課題は、チップ上で1個のバイアス回路の近傍にN個の駆動回路とN個のセンス回路とを配置すると言うレイアウトから、N個の駆動回路、N個のセンス回路とN個の受光素子との間のチップ上の複数の配線の配線距離が長くなると言う問題が生じたものである。
図1は、本発明に先立って本発明者等によって検討されたICカードマイコンのチップのレイアウトを示す図である。
同図に示すように、ICカードマイコンのチップ10上には、バイアス・駆動・センス回路11と、中央処理ユニット(CPU)12と、リードオンリメモリ(ROM)13と、ランダムアクセスメモリ(RAM)14と、電気的に書き込み・消去可能な不揮発性メモリ(EEPROM)15と、入出力ユニット(I/O)16と、電源回路(Pwr_Spy_Cirt)17とが配置されている。
さらに、CPU12、ROM13、RAM14、EEPROM15、I/O16、電源回路17の内部で脆弱な回路部分の近傍にICカードマイコン全体の動作停止を引き起こす受光素子であるフォトダイオードPD1、PD2、PD3、PD4、PD5、PD6、PD7が7個配置されている。フォトダイオードPD1、PD2、PD3、PD4、PD5、PD6、PD7にはそれぞれ配線L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7が接続されているが、配線L3以外の配線L1、L2、L4、L5、L6、L7の配線距離が特に長くなっている。
図2は、本発明に先立って本発明者等によって検討されたICカードマイコンのバイアス・駆動・センス回路11とフォトダイオードPD1…PD7とを示す回路図である。
同図に示すように、バイアス・駆動・センス回路11には、7個のフォトダイオードPD1…PD7のうちの第1番目のフォトダイオードPD1と第7番目のフォトダイオードPD7とが接続されている。図示されてはいないが、第2番目から第6番目までの5個のフォトダイオードPD2…PD6がバイアス・駆動・センス回路11と同様に接続されている。バイアス・駆動・センス回路11には、7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7のうちの第1番目の駆動・センス回路DR_SN1と第7番目のDR_SN7とが含まれている。図示されてはいないが、第2番目から第6番目までの5個の駆動・センス回路DR_SN2…DR_SN6が同様にバイアス・駆動・センス回路11に配置されている。7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7にバイアス電圧を供給するための1個の共通のバイアス回路Bias_Cirtが、バイアス・駆動・センス回路11に配置されている。
共通のバイアス回路Bias_Cirtでは、定電流源からの定電流I0が第1カレントミラーBMP21、BMP22のダイオード接続の入力トランジスタであるPチャンネルMOSトランジスタBMP21に供給され、ダイオード接続の入力トランジスタBMP21で生成された第1バイアス電圧V1は7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のPチャンネルMOSトランジスタMP11…MP71のゲートに共通に供給されている。第1カレントミラーBMP21、BMP22の出力トランジスタであるPチャンネルMOSトランジスタBMP23のドレインにはダイオード接続のNチャンネルMOSトランジスタBMN21が接続され、NチャンネルMOSトランジスタBMN21生成された第2バイアス電圧V2は7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のNチャンネルMOSトランジスタMN11…MN71のゲートに共通に供給されている。共通のバイアス回路Bias_Cirtでは、トリミングされた定電流源からの定電流2Iが第2カレントミラーBMP23、BMP24のダイオード接続の入力トランジスタであるPチャンネルMOSトランジスタBMP23に供給され、ダイオード接続の入力トランジスタBMP23で生成された第3バイアス電圧V3は7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のプルアップ駆動用PチャンネルMOSトランジスタMP1…MP7のゲートに共通に供給されている。第2カレントミラーBMP23、BMP24の出力トランジスタであるPチャンネルMOSトランジスタBMP24のドレイン電流は、ダイオード接続のNチャンネルMOSトランジスタBMN22に供給されている。ダイオード接続のNチャンネルMOSトランジスタBMN22で生成された第4バイアス電圧V4は、7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のプルダウン駆動用NチャンネルMOSトランジスタMN1…MN7のゲートに共通に供給されている。7個のフォトダイオードPD1…PD7からの光検出信号は、バイアス・駆動・センス回路11の7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のCMOSインバータInv1…Inv7によりセンスされる。第1番目のCMOSインバータInv1のPチャンネルMOSトランジスタMP12のソースはPチャンネルMOSトランジスタMP11を介して電源電圧Vddに接続される一方、NチャンネルMOSトランジスタMN12のソースはNチャンネルMOSトランジスタMN11を介して接地電位Vssに接続されている。従って、第1番目のCMOSインバータInv1に流れるラッシュ電流は、PチャンネルMOSトランジスタMP11とNチャンネルMOSトランジスタMN11とによって制限される。第7番目のCMOSインバータInv7のPチャンネルMOSトランジスタMP72のソースはPチャンネルMOSトランジスタMP71を介して電源電圧Vddに接続される一方、NチャンネルMOSトランジスタMN72のソースはNチャンネルMOSトランジスタMN71を介して接地電位Vssに接続されている。従って、第7番目のCMOSインバータInv7に流れるラッシュ電流は、PチャンネルMOSトランジスタMP71とNチャンネルMOSトランジスタMN71とによって制限される。第2番目のCMOSインバータInv2から第6番目のCMOSインバータInv6も、第1番目のCMOSインバータInv1や第7番目のCMOSインバータInv7と同様に構成されている。
図2のバイアス・駆動・センス回路11で、共通のバイアス回路Bias_Cirtのダイオード接続のNチャンネルMOSトランジスタBMN22のチャンネル幅は、7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のプルダウン駆動用NチャンネルMOSトランジスタMN1…MN7のチャンネル幅の2倍に設定されている。また、共通のバイアス回路Bias_Cirtのダイオード接続のPチャンネルMOSトランジスタBMP23のチャンネル幅は、共通のバイアス回路Bias_CirtのPチャンネルMOSトランジスタBMP24のチャンネル幅や7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のプルアップ駆動用PチャンネルMOSトランジスタMP1…MP7のチャンネル幅と等しくなっている。その結果、7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のプルダウン駆動用NチャンネルMOSトランジスタMN1…MN7の電流シンク能力は電流Iとなり、7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のプルアップ駆動用PチャンネルMOSトランジスタMP1…MP7の電流供給能力は電流2Iとなる。
例えば、受光素子としての第1番目のフォトダイオードPD1にのみスポット光照射による光Lgtが照射されると、第1番目のフォトダイオードPD1のPN接合の逆方向電流による光電流Ipdが流れ、第2番目のフォトダイオードPD2から第7番目のフォトダイオードPD7のPN接合の逆方向電流は無視できる微小電流となる。第1番目のフォトダイオードPD1の光電流Ipdが電流Iよりも大きくなると、第1番目のフォトダイオードPD1の寄生容量の充電電荷が放電される。すると、第1番目のCMOSインバータInv1の入力センスノードIn1の電圧は電源電圧Vddから接地電圧Vssに低下して、出力OUT1はローレベルからハイレベルに変化する。第2番目のフォトダイオードPD2から第7番目のフォトダイオードPD7の寄生容量の充電電荷は維持されるので、第2番目のCMOSインバータInv2から第7番目のCMOSインバータInv7の出力OUT2…OUT7はローレベルに維持される。
図1で説明したように、配線L3以外の配線L1、L2、L4、L5、L6、L7の配線距離が特に長くなっている。半導体集積回路で配線の配線距離が長くなると、製造プロセスの配線金属のデポジション工程で長い配線の一部が部分的に断線となる可能性が高まる。長い配線距離の配線の配線幅を大きくすれば、この可能性は低下するが、配線領域のチップ占有面積が増加して、集積密度が低下する。
例えば、図2において全ての配線L1…L7が断線状態となると、全てのCMOSインバータInv1…CMOSインバータInv7の入力センスノードIn1…In7の寄生容量は電源電圧Vddに充電され、全ての出力OUT1…OUT7はローレベルになる。この全断線の状態では、スポット光照射によるアタックを受けたとしても、7個のフォトダイオードPD1…PD7のいずれにも光電流Ipdが流れられず、また7個のフォトダイオードPD1…PD7からの光検出信号を全てのCMOSインバータInv1…CMOSインバータInv7がセンスすることができない。
従って、ICカードマイコンのチップの量産工程においては、配線L1…L7の断線テストが必要となるが、チップへの光照射・光遮断に応答した7個のCMOSインバータInv1…CMOSインバータInv7の出力OUT1…OUT7の出力変化をテストすることが必要となる。
しかし、このようなチップへの光照射・光遮断によるテストは煩雑であり、ICカードマイコンのチップのコストアップとなる。
更に、本発明者等は先立ってその他の方法も検討した。
図3は、本発明に先立って本発明者等によって検討された他のICカードマイコンのバイアス・駆動・センス回路11とフォトダイオードPD1…PD7とを示す回路図である。
同図に示すように、7個の駆動回路DR1…DR7を7個のセンス回路SN_1…SN7から分離して、7個のフォトダイオードPD1…PD7の近傍に配置したものである。その結果、7個の駆動回路DR1…DR7と7個のフォトダイオードPD1…PD7との間の断線の可能性の低減が期待できる。しかし、7個の駆動回路DR1…DR7の7個のプルアップ駆動用PチャンネルMOSトランジスタMP1…MP7のゲートに第3バイアス電圧V3を供給する配線LPbsと7個のプルダウン駆動用NチャンネルMOSトランジスタMN1…MN7のゲートに第4バイアス電圧V4を供給する配線LNbsの配線距離が長くなり、この配線LPbs、LNbsでの断線の可能性がある。また、7個のフォトダイオードPD1…PD7と7個のCMOSインバータInv1…CMOSインバータInv7の入力センスノードIn1…In7との間の配線L1…L7の配線距離が長くなり、この配線L1…L7での断線の可能性がある。更に、この長距離配線L1…L7がCPUのようなロジック回路上に配置されるので、ロジック回路からのノイズが長距離配線L1…L7にクロストークする。その結果として、光照射の検出時の出力ノイズが増加してしまう。更に、図3の回路をICカードマイコンのチップにレイアウトしようとすると、新たな問題も明らかとなった。
図4は、本発明に先立って本発明者等によって検討された他のICカードマイコンのチップのレイアウトを示す図である。
同図に示すように、1個のフォトダイオード・駆動回路と1個のセンス回路との間に実際には3本の配線距離が必要であることが判明した。3本の1本はフォトダイオードからのセンス信号線であり、残りの2本はプルアップ駆動用PチャンネルMOSトランジスタとプルダウン駆動用NチャンネルMOSトランジスタMN1…MN7のバイアス電圧供給線である。
従って、本発明は、上記のような本発明者らによる本発明に先立ったICカードマイコンのチップ開発を基にしてなされたものである。
従って、本発明の目的とするところは、スポット光照射によるアタックに対する防御のために半導体集積回路のチップ上に配置された複数の受光素子に接続された複数の配線の断線のテストを容易とすることが可能な半導体集積回路を提供することにある。また、本発明のその他の目的とするところは、スポット光照射によるアタックに対する防御のために半導体集積回路のチップ上に配置された複数の受光素子からの光照射の検出時の出力ノイズを低減することにある。
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴とは、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
すなわち、本発明のひとつの形態による半導体集積回路は、複数の受光素子(PD1…PD7)と、前記複数の受光素子(PD1…PD7)を駆動する複数の駆動回路(MP1、MN1…MP7、MN7)と前記複数の受光素子(PD1…PD7)からの光照射の検出信号を増幅する複数のセンス増幅回路(MP12、MN12…MP72、MN72)とを含む駆動・センス回路(11)とをチップ上に具備している。
前記複数の駆動回路(MP1、MN1…MP7、MN7)は、動作電源電圧(Vdd)に接続された複数のプルアップ駆動用トランジスタ(MP1…MP7)と、基底電圧(Vss)に接続された複数のプルダウン駆動用トランジスタ(MN1…MN7)とを含む。
前記複数の駆動回路(MP1、MN1…MP7、MN7)の前記複数のプルアップ駆動用トランジスタ(MP1…MP7)の複数の出力端子は前記複数の受光素子(PD1…PD7)の複数の一端と複数のプルアップ駆動信号線(Lup1…Lup7)を介して接続され、前記複数の駆動回路(MP1、MN1…MP7、MN7)の前記複数のプルダウン駆動用トランジスタ(MN1…MN7)の複数の出力端子は前記複数の受光素子(PD1…PD7)の前記複数の一端と複数のプルダウン駆動信号線(Ldn1…Ldn7)を介して接続される。
前記複数の受光素子(PD1…PD7)の複数の他端は、前記動作電源電圧(Vdd)と前記基底電圧(Vss)との一方の電圧(Vss、Vdd)に接続されている。
前記複数のセンス増幅回路(MP12、MN12…MP72、MN72)の複数の入力端子(In1…In7)は、前記駆動・センス回路(11)の内部またはその近傍で前記複数のプルアップ駆動信号線(Lup1…Lup7)と前記複数のプルダウン駆動信号線(Ldn1…Ldn7)との一方の複数の信号線(Ldn1…Ldn7、Lup1…Lup7)に接続される。前記一方の複数の信号線(Ldn1…Ldn7、Lup1…Lup7)による駆動電圧(Vss、Vdd)は、前記複数の受光素子(PD1…PD7)の前記複数の他端が接続された前記動作電源電圧(Vdd)と前記基底電圧(Vss)との前記一方の電圧(Vss、Vdd)と実質的に等しく設定されている(図5、図6参照)。
本発明の前記ひとつの形態による手段によれば、半導体製造プロセスにより前記駆動・センス回路(11)の外部で前記複数のプルアップ駆動信号線(Lup1…Lup7)または前記複数のプルダウン駆動信号線が断線すると、前記複数のセンス増幅回路(MP12、MN12…MP72、MN72)の前記複数の入力端子(In1…In7)の断線電圧は前記一方の複数の信号線(Ldn1…Ldn7、Lup1…Lup7)による前記駆動電圧(Vss、Vdd)となる。この断線電圧は、前記複数の受光素子(PD1…PD7)の前記複数の他端が接続された前記動作電源電圧(Vdd)と前記基底電圧(Vss)との前記一方の電圧(Vss、Vdd)と実質的に等しく設定されている。前記複数の受光素子(PD1…PD7)への光照射時の前記複数の受光素子(PD1…PD7)の高導通度の際の前記複数のセンス増幅回路(MP12、MN12…MP72、MN72)の前記複数の入力端子(In1…In7)の入力電圧は、前記複数の受光素子(PD1…PD7)の前記複数の他端が接続された前記動作電源電圧(Vdd)と前記基底電圧(Vss)との前記一方の電圧(Vss、Vdd)となる。従って、スポット光照射によるアタックによる前記複数の受光素子(PD1…PD7)からの異常検出信号と同様な異常出力信号が、前記駆動・センス回路(11)外部での前記複数のプルアップ駆動信号線(Lup1…Lup7)または前記複数のプルダウン駆動信号線の断線時に前記複数のセンス増幅回路(MP12、MN12…MP72、MN72)の複数の出力から得られることができる。
また、本発明の具体的なひとつの形態による半導体集積回路では、前記複数のセンス増幅回路(MP12、MN12…MP72、MN72)の前記複数の入力端子(In1…In7)が前記駆動・センス回路(11)の前記内部または前記近傍(18)で前記一方の複数の信号線(Ldn1…Ldn7、Lup1…Lup7)に接続された複数の接続点(CN1…CN7)と前記複数のセンス増幅回路(MP12、MN12…MP72、MN72)の前記複数の入力端子(In1…In7)との間の複数の配線の配線距離は、前記複数の駆動回路の前記複数のプルアップ駆動用トランジスタ(MP1…MP7)の前記複数の出力端子と前記複数の受光素子(PD1…PD7)の前記複数の一端との間の前記複数のプルアップ駆動信号線(Lup1…Lup7)の配線距離および記複数の駆動回路の前記複数のプルダウン駆動用トランジスタ(MN1…MN7)の前記複数の出力端子と前記複数の受光素子(PD1…PD7)の前記複数の一端との間の前記複数のプルダウン駆動信号線(Ldn1…Ldn7)の配線距離よりも十分短く設定されている(図5、図6、図10参照)。
本発明の具体的なひとつの形態による手段によれば、半導体製造プロセスでの配線距離の差によって、前記複数のセンス増幅回路(MP12、MN12…MP72、MN72)の前記複数の入力端子(In1…In7)が前記駆動・センス回路(11)の前記内部または前記近傍(18)で前記一方の複数の信号線(Ldn1…Ldn7、Lup1…Lup7)に接続された複数の接続点(CN1…CN7)と前記複数のセンス増幅回路(MP12、MN12…MP72、MN72)の前記複数の入力端子(In1…In7)との間の複数の配線の断線の確率を、前記複数の駆動回路の前記複数のプルアップ駆動用トランジスタ(MP1…MP7)の前記複数の出力端子と前記複数の受光素子(PD1…PD7)の前記複数の一端との間の前記複数のプルアップ駆動信号線(Lup1…Lup7)の断線の確率および記複数の駆動回路の前記複数のプルダウン駆動用トランジスタ(MN1…MN7)の前記複数の出力端子と前記複数の受光素子(PD1…PD7)の前記複数の一端との間の前記複数のプルダウン駆動信号線(Ldn1…Ldn7)の断線の確率よりも遥かに低くすることができる。
また、本発明の具体的なひとつの形態による半導体集積回路では、前記複数の受光素子(PD1…PD7)の前記複数の他端は前記基底電圧(Vss)に接続され、前記複数のセンス増幅回路(MP12、MN12…MP72、MN72)の複数の入力端子(In1…In7)は、前記駆動・センス回路(11)の内部で前記複数のプルダウン駆動信号線(Ldn1…Ldn7)と接続されている(図5参照)。
本発明の前記具体的なひとつの形態による手段によれば、スポット光照射によるアタックの際と前記駆動・センス回路(11)外部での駆動信号線の断線時の際には、前記複数のセンス増幅回路(MP12、MN12…MP72、MN72)の前記複数の入力端子(In1…In7)の電圧は前記基底電圧(Vss)となる。
また、本発明の他の具体的なひとつの形態による半導体集積回路では、前記複数の受光素子(PD1…PD7)の前記複数の他端は前記動作電源電圧(Vdd)に接続され、前記複数のセンス増幅回路(MP12、MN12…MP72、MN72)の複数の入力端子(In1…In7)は、前記駆動・センス回路(11)の内部で前記複数のプルアップ駆動信号線(Lup1…Lup7)と接続されている(図6参照)。
本発明の前記具体的なひとつの形態による手段によれば、スポット光照射によるアタックの際と前記駆動・センス回路(11)外部での駆動信号線の断線時の際には、前記複数のセンス増幅回路(MP12、MN12…MP72、MN72)の前記複数の入力端子(In1…In7)の電圧は前記動作電源電圧(Vdd)となる。
本発明のより具体的な形態による半導体集積回路では、前記複数のプルアップ駆動信号線(Lup1…Lup7)は前記複数の駆動回路(MP1、MN1…MP7、MN7)の前記複数のプルアップ駆動用トランジスタ(MP1…MP7)からの複数のプルアップ出力電流を前記複数の受光素子(PD1…PD7)に供給する一方、前記複数のプルダウン駆動信号線(Ldn1…Ldn7)は前記複数のプルダウン駆動用トランジスタ(MN1…MN7)の複数のプルダウン出力電流を前記複数の受光素子(PD1…PD7)から流すものである(図5、図6参照)。
本発明の前記より具体的なひとつの形態による手段によれば、前記複数のプルアップ駆動信号線(Lup1…Lup7)と前記複数のプルダウン駆動信号線(Ldn1…Ldn7)とは前記複数の受光素子(PD1…PD7)の駆動電流を流すものである。その結果、前記複数のプルアップ駆動信号線(Lup1…Lup7)と前記複数のプルダウン駆動信号線(Ldn1…Ldn7)が長距離配線となっても、その下に配置されたロジック回路からのノイズ電圧の影響を小さくすることができる。
本発明のより具体的な形態による半導体集積回路では、前記駆動・センス回路(11)は、前記複数の駆動回路(MP1、MN1…MP7、MN7)の前記複数のプルアップ駆動用トランジスタ(MP1…MP7)の前記複数のプルアップ出力電流を設定する第1バイアス素子(BMP23)と、前記複数のプルダウン駆動用トランジスタ(MN1…MN7)の前記複数のプルダウン出力電流を設定する第2バイアス素子(BMN22)と、前記第1バイアス素子(BMP23)の第1バイアス電流と前記第2バイアス素子(BMN22)の第2バイアス電流とを外部調整情報によって設定可能なトリミング回路(Trimm)とを含む(図5、図6参照)。
本発明のより具体的な形態による半導体集積回路は、ユーザーの個人情報と暗号処理のための暗号鍵とを処理する中央処理ユニット(12)と、前記個人情報もしくは前記暗号処理のための暗号鍵を格納する内部メモリ(13、14、15)と、外部デバイスとデータ転送を行う入出力ユニット(16)と、前記中央処理ユニット(12)と前記内部メモリ(13、14、15)と前記入出力ユニット(16)とに動作電圧を供給する電源供給回路(17)とをチップ内部に具備している。前記複数の受光素子(PD1…PD7)は、前記中央処理ユニット(12)、前記内部メモリ(13、14、15)、前記入出力ユニット(16)、前記電源供給回路(17)からなる内部回路に分散して配置されている(図7参照)。
本発明のより具体的な形態による半導体集積回路では、前記内部メモリ(13、14、15)の不揮発性メモリ(13、15)にはセキュリティー処理プログラムが格納されている(図7参照)。
本発明のより具体的な形態による半導体集積回路では、前記セキュリティー処理プログラムはユーザーの本人確認のための認証アプリケーションである(図7参照)。
本発明のより具体的な形態による半導体集積回路では、前記複数のプルアップ駆動信号線(Lup1…Lup7)と前記複数のプルダウン駆動信号線(Ldn1…Ldn7)とは前記内部回路の少なくとも一部の回路の上に形成されている(図7参照)。
本発明のより具体的な形態による半導体集積回路では、前記複数の受光素子(PD1…PD7)は、前記内部回路のうちアタックに対して脆弱な部分の近傍に分散して配置されている(図7参照)。
本発明のひとつの形態によるICカードは、カード基板(30)と、前記カード基板(30)の主表面に形成された外部インターフェース(31)と、前記カード基板(30)の内部に埋設され前記外部インターフェース(31)と電気的に接続された前記半導体集積回路の前記チップ(32)とを具備する(図9参照)。
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
すなわち、本発明によれば、スポット光照射によるアタックに対する防御のために半導体集積回路のチップ上に配置された複数の受光素子に接続された複数の配線の断線のテストを容易とすることが可能な半導体集積回路を提供することができる。また、本発明によれば、スポット光照射によるアタックに対する防御のために半導体集積回路のチップ上に配置された複数の受光素子からの光照射の検出時の出力ノイズを低減することができる。
≪ICカードマイコンの構成≫
図5は、本発明の1つの実施形態によるICカードマイコンのバイアス・駆動・センス回路11とフォトダイオードPD1…PD7とを示す回路図である。
同図に示すように、バイアス・駆動・センス回路11には、7個のフォトダイオードPD1…PD7のうちの第1番目のフォトダイオードPD1と第7番目のフォトダイオードPD7とが接続されている。図示されてはいないが、第2番目から第6番目までの5個のフォトダイオードPD2…PD6がバイアス・駆動・センス回路11と同様に接続されている。バイアス・駆動・センス回路11には、7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7のうちの第1番目の駆動・センス回路DR_SN1と第7番目のDR_SN7とが含まれている。図示されてはいないが、第2番目から第6番目までの5個の駆動・センス回路DR_SN2…DR_SN6が同様にバイアス・駆動・センス回路11に配置されている。7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7にバイアス電圧を供給するための1個の共通のバイアス回路Bias_Cirtが、バイアス・駆動・センス回路11に配置されている。
共通のバイアス回路Bias_Cirtでは、定電流源からの定電流I0が第1カレントミラーBMP21、BMP22のダイオード接続の入力トランジスタであるPチャンネルMOSトランジスタBMP21に供給され、ダイオード接続の入力トランジスタBMP21で生成された第1バイアス電圧V1は7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のPチャンネルMOSトランジスタMP11…MP71のゲートに共通に供給されている。第1カレントミラーBMP21、BMP22の出力トランジスタであるPチャンネルMOSトランジスタBMP23のドレインにはダイオード接続のNチャンネルMOSトランジスタBMN21が接続され、NチャンネルMOSトランジスタBMN21生成された第2バイアス電圧V2は7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のNチャンネルMOSトランジスタMN11…MN71のゲートに共通に供給されている。共通のバイアス回路Bias_Cirtでは、トリミングされた定電流源からの定電流2Iが第2カレントミラーBMP23、BMP24のダイオード接続の入力トランジスタであるPチャンネルMOSトランジスタBMP23に供給され、ダイオード接続の入力トランジスタBMP23で生成された第3バイアス電圧V3は7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のプルアップ駆動用PチャンネルMOSトランジスタMP1…MP7のゲートに共通に供給されている。第2カレントミラーBMP23、BMP24の出力トランジスタであるPチャンネルMOSトランジスタBMP24のドレイン電流は、ダイオード接続のNチャンネルMOSトランジスタBMN22に供給されている。ダイオード接続のNチャンネルMOSトランジスタBMN22で生成された第4バイアス電圧V4は、7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のプルダウン駆動用NチャンネルMOSトランジスタMN1…MN7のゲートに共通に供給されている。7個のフォトダイオードPD1…PD7からの光検出信号は、バイアス・駆動・センス回路11の7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のCMOSインバータInv1…Inv7によりセンスされる。第1番目のCMOSインバータInv1のPチャンネルMOSトランジスタMP12のソースはPチャンネルMOSトランジスタMP11を介して電源電圧Vddに接続される一方、NチャンネルMOSトランジスタMN12のソースはNチャンネルMOSトランジスタMN11を介して接地電位Vssに接続されている。従って、第1番目のCMOSインバータInv1に流れるラッシュ電流は、PチャンネルMOSトランジスタMP11とNチャンネルMOSトランジスタMN11とによって制限される。第7番目のCMOSインバータInv7のPチャンネルMOSトランジスタMP72のソースはPチャンネルMOSトランジスタMP71を介して電源電圧Vddに接続される一方、NチャンネルMOSトランジスタMN72のソースはNチャンネルMOSトランジスタMN71を介して接地電位Vssに接続されている。従って、第7番目のCMOSインバータInv7に流れるラッシュ電流は、PチャンネルMOSトランジスタMP71とNチャンネルMOSトランジスタMN71とによって制限される。第2番目のCMOSインバータInv2から第6番目のCMOSインバータInv6も、第1番目のCMOSインバータInv1や第7番目のCMOSインバータInv7と同様に構成されている。
図5のバイアス・駆動・センス回路11で、共通のバイアス回路Bias_Cirtのダイオード接続のNチャンネルMOSトランジスタBMN22のチャンネル幅は、7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のプルダウン駆動用NチャンネルMOSトランジスタMN1…MN7のチャンネル幅の2倍に設定されている。また、共通のバイアス回路Bias_Cirtのダイオード接続のPチャンネルMOSトランジスタBMP23のチャンネル幅は、共通のバイアス回路Bias_CirtのPチャンネルMOSトランジスタBMP24のチャンネル幅や7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のプルアップ駆動用PチャンネルMOSトランジスタMP1…MP7のチャンネル幅と等しくなっている。その結果、7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のプルダウン駆動用NチャンネルMOSトランジスタMN1…MN7の電流シンク能力は電流Iとなり、7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のプルアップ駆動用PチャンネルMOSトランジスタMP1…MP7の電流供給能力は電流2Iとなる。
また、図5に示した本発明の1つの実施形態では、7個の駆動・センス増幅回路DR&SN_1…DR&SN_7の7個の入力端子In1…In7は、駆動・センス回路11の内部の接続点CN1…CN7で7本のプルダウン駆動信号線Ldn1…Ldn7に接続されている。また、7個のフォトダイオードPD1…PD7の全てのアノードは接地電圧Vssに接続され、7個のフォトダイオードPD1…PD7の全てのカソードは7本のプルアップ駆動信号線Lup1…Lup7と7本のプルダウン駆動信号線Ldn1…Ldn7とに接続されている。また、駆動・センス増幅回路DR&SN_1…DR&SN_7の7個の入力端子In1…In7と駆動・センス回路11の内部の接続点CN1…CN7との間の複数の配線の配線距離は、7個のプルアップ駆動用PチャンネルMOSトランジスタMP1…MP7のドレインと7個のフォトダイオードPD1…PD7のカソードとの間の7本のプルアップ駆動信号線Lup1…Lup7の配線距離および7個のプルダウン駆動用NチャンネルMOSトランジスタMN1…MN7のドレインと7個のフォトダイオードPD1…PD7のカソードとの間の7本のプルダウン駆動信号線Ldn1…Ldn7の配線距離よりも十分短く設定されている。その結果、半導体製造プロセスにおける配線距離の相違によって、前者の配線の断線の確率を後者の配線の断線の確率よりも遥かに低くすることができる。
従って、7個のフォトダイオードPD1…PD7の全てが光照射により7個のフォトダイオードPD1…PD7の光電流Ipdが電流Iよりも大きい高導通度となると、7個の駆動・センス増幅回路DR&SN_1…DR&SN_7の7個の入力端子In1…In7の電圧は接地電圧Vssとなる。また、駆動・センス回路11の内部で7個の駆動・センス増幅回路DR&SN_1…DR&SN_7の7個の入力端子In1…In7が接続された7本のプルダウン駆動信号線Ldn1…Ldn7による7個の入力端子In1…In7の駆動電圧も接地電圧Vssとなっている。
例えば、受光素子としての第1番目のフォトダイオードPD1にのみスポット光照射による光Lgtが照射されると、第1番目のフォトダイオードPD1のPN接合の逆方向電流による光電流Ipdが接地電圧Vssに流れ、第2番目のフォトダイオードPD2から第7番目のフォトダイオードPD7のPN接合の逆方向電流は無視できる微小電流となる。第1番目のフォトダイオードPD1の光電流Ipdが電流Iよりも大きくなると、第1番目のフォトダイオードPD1の寄生容量の充電電荷が放電される。すると、第1番目のCMOSインバータInv1の入力センスノードIn1の電圧は電源電圧Vddから接地電圧Vssに低下して、出力OUT1はローレベルからハイレベルに変化する。第2番目のフォトダイオードPD2から第7番目のフォトダイオードPD7の寄生容量の充電電荷は維持されるので、第2番目のCMOSインバータInv2から第7番目のCMOSインバータInv7の出力OUT2…OUT7はローレベルに維持される。尚、出力OUT1…OUT7は図示しないOR回路に入力されて、このOR回路のハイレベル出力によりICカードマイコンの全体の動作が停止される。従って、7個のフォトダイオードPD1…PD7のうちの少なくとも1個のフォトダイオードが光照射されると、ICカードマイコンの全体の動作が停止される。
例えば、図5において7本のプルアップ駆動信号線Lup1…Lup7と7本のプルダウン駆動信号線Ldn1…Ldn7のいずれか一本の駆動信号線が、駆動・センス回路11の外部で断線状態となったと仮定する。しかし、駆動・センス回路11の内部での7個の駆動・センス増幅回路DR&SN_1…DR&SN_7の7個の入力端子In1…In7と7本のプルダウン駆動信号線Ldn1…Ldn7との間の配線距離は短いので、複数の接続点CN1…CN7での両方の配線間の電気的接続は維持されている。すると、7個の駆動・センス増幅回路DR&SN_1…DR&SN_7の7個の入力端子In1…In7のうちで駆動・センス回路11の外部での断線状態の一本の駆動信号線に対応する1つの入力端子の電圧は、駆動・センス回路11の内部のプルダウン駆動信号線Ldn1…Ldn7の対応する一本のプルダウン駆動信号線により接地電圧Vssに駆動される。その結果、スポット光照射による7個のフォトダイオードPD1…PD7からの異常検出信号と同様な異常検出信号が、駆動・センス回路11の外部での駆動信号線の断線時に得られることができる。
尚、図5においてトリミング回路Trimmは、バイアス・駆動・センス回路11の共通のバイアス回路Bias_Cirtの第2カレントミラーBMP23、BMP24のダイオード接続の入力トランジスタであるPチャンネルMOSトランジスタBMP23に供給される定電流2Iの電流値を、正確な値にトリミングする機能を持つ。トリミング回路Trimmで電源に接続された抵抗としてのPチャンネルMOSトランジスタTMP25は、半導体集積回路の製造プロセスに起因してしきい値電圧Vthやコンダクタンスgmが大きなバラツキを示す。このバラツキは、定電流2Iの電流値のバラツキの原因となる。従って、ICカードマイコンの量産時に、外部テスターによりPチャンネルMOSトランジスタBMP23に供給される定電流2Iの電流をモニターしながら、複数のスイッチSW1…SW4のオン・オフを切り換えて最適なオン・オフ情報を求める。この最適なスイッチのオン・オフ情報は、後で説明する図7のEEPROM15に不揮発記憶することができる。
図6は、本発明の他の1つの実施形態によるICカードマイコンのバイアス・駆動・センス回路11とフォトダイオードPD1…PD7とを示す回路図である。
同図の実施形態が、図5の実施形態と相違する点を、以下に説明する。図6の実施形態では、図5の実施形態と逆に、7個のフォトダイオードPD1…PD7の全てのカソードは動作電源電圧Vddに接続され、7個のフォトダイオードPD1…PD7の全てのアノードは7本のプルアップ駆動信号線Lup1…Lup7と7本のプルダウン駆動信号線Ldn1…Ldn7とに接続されている。また、駆動・センス回路11の内部の接続点CN1…CN7で7個の駆動・センス増幅回路DR&SN_1…DR&SN_7の7個の入力端子In1…In7が接続された7本のプルアップ駆動信号線Lup1…Lup7による7個の入力端子In1…In7の駆動電圧も動作電源電圧Vddとなっている。更に、図6のバイアス・駆動・センス回路11で、共通のバイアス回路Bias_Cirtのダイオード接続のNチャンネルMOSトランジスタBMN22のチャンネル幅は、7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のプルダウン駆動用NチャンネルMOSトランジスタMN1…MN7のチャンネル幅と等しく設定されている。また、共通のバイアス回路Bias_Cirtのダイオード接続のPチャンネルMOSトランジスタBMP23のチャンネル幅と共通のバイアス回路Bias_CirtのPチャンネルMOSトランジスタBMP24のチャンネル幅とは、7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のプルアップ駆動用PチャンネルMOSトランジスタMP1…MP7のチャンネル幅の2倍に設定されている。その結果、7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のプルダウン駆動用NチャンネルMOSトランジスタMN1…MN7の電流シンク能力は電流2Iとなり、7個の駆動・センス回路DR_SN1…DR_SN7の7個のプルアップ駆動用PチャンネルMOSトランジスタMP1…MP7の電流供給能力は電流Iとなる。
例えば、受光素子としての第1番目のフォトダイオードPD1にのみスポット光照射による光Lgtが照射されると、第1番目のフォトダイオードPD1のPN接合の逆方向電流による光電流Ipdが動作電源電圧Vddから流れ、第2番目のフォトダイオードPD2から第7番目のフォトダイオードPD7のPN接合の逆方向電流は無視できる微小電流となる。第1番目のフォトダイオードPD1の光電流Ipdが電流Iよりも大きくなると、第1番目のフォトダイオードPD1の寄生容量が接地電圧Vssから動作電源電圧Vddまで充電される。すると、第1番目のCMOSインバータInv1の入力センスノードIn1の電圧は接地電圧Vssから動作電源電圧Vddに増加して、出力OUT1はハイレベルからローレベルに変化する。第2番目のフォトダイオードPD2から第7番目のフォトダイオードPD7の寄生容量の接地電圧Vssは維持されるので、第2番目のCMOSインバータInv2から第7番目のCMOSインバータInv7の出力OUT2…OUT7はハイレベルに維持される。
例えば、図6において7本のプルアップ駆動信号線Lup1…Lup7と7本のプルダウン駆動信号線Ldn1…Ldn7のいずれか一本の駆動信号線が、駆動・センス回路11の外部で断線状態となったと仮定する。すると、7個の駆動・センス増幅回路DR&SN_1…DR&SN_7の7個の入力端子In1…In7のうちで断線状態の一本の駆動信号線に対応する1つの入力端子の電圧は、駆動・センス回路11の内部のプルアップ駆動信号線Lup1…Lup7の対応する一本のプルアップ駆動信号線により動作電源電圧Vddに駆動される。その結果、スポット光照射による7個のフォトダイオードPD1…PD7からの異常検出信号と同様な異常検出信号が、駆動・センス回路11の外部での駆動信号線の断線時に得られることができる。
図7は、図5または図6の実施形態による駆動・センス回路11を用いたICカードマイコンのチップのレイアウトを示す図である。
同図に示すように、ICカードマイコンのチップ10上には、バイアス・駆動・センス回路11と、中央処理ユニット(CPU)12と、リードオンリメモリ(ROM)13と、ランダムアクセスメモリ(RAM)14と、電気的に書き込み・消去可能な不揮発性メモリ(EEPROM)15と、入出力ユニット(I/O)16と、電源回路(Pwr_Spy_Cirt)17とが配置されている。電源回路17は、外部から供給される外部電源電圧Vddと外部接地電圧Vssに基づき、CPU12、ROM13、RAM14、EEPROM15、入出力ユニット16に動作電圧を供給している。入出力ユニット16は、図示しない外部デバイスへデータ転送同期クロックCLKを出力する。入出力ユニット16は、データ転送同期クロックCLKに同期して外部デバイスからデータDATAを入力したりデータDATAを出力する。また、ROM13、とEEPROM15の少なくともいずれか一方に、ユーザーの本人確認のための認証アプリケーション等のセキュリティー処理プログラムが格納されている。
CPU12、ROM13、RAM14、EEPROM15、I/O16、電源回路17の内部で脆弱な回路部分の近傍にICカードマイコン全体の動作停止を引き起こす受光素子であるフォトダイオードPD1、PD2、PD3、PD4、PD5、PD6、PD7が7個配置されている。フォトダイオードPD1、PD2、PD3、PD4、PD5、PD6、PD7にはそれぞれ7本のプルアップ駆動信号線Lup1、Lup2、Lup3、Lup4、Lup5、Lup6、Lup7と7本のプルダウン駆動信号線Ldn1、Ldn2、Ldn3、Ldn4、Ldn5、Ldn6、Ldn7とが接続されている。また、6本のプルアップ駆動信号線Lup2、Lup3、Lup4、Lup5、Lup6、Lup7と6本のプルダウン駆動信号線Ldn2、Ldn3、Ldn4、Ldn5、Ldn6、Ldn7の下部には、CPU12が配置されている。
図8は、本発明の1つの実施形態によるICカードマイコンのチップの断面を示す図である。
同図に示すように、このICカードマイコンのチップは、例えばP型シリコンの半導体基板20、N型の素子分離領域21、P型ウェル領域22、N型ウェル領域23、高不純物濃度N型領域24、高不純物濃度P型領域25を含んでいる。P型ウェル領域22と高不純物濃度N型領域24との間のPN接合もしくは高不純物濃度P型領域25とN型ウェル領域23の間のPN接合のいずれか構造を、7個のフォトダイオードPD1、PD2、PD3、PD4、PD5、PD6、PD7として使用することができる。
図9は、本発明の1つの実施形態によるICカードを示す図である。
同図に示すように、このICカードは、カード基板30と、カード基板30の主表面に形成された8個の接触電極からなる外部インターフェース31とを含んでいる。さらに、外部インターフェース31の背後のカード基板30の内部に図7と図8とに示されたICカードマイコンのチップ32が埋設されるとともに、チップ32は外部インターフェース31と電気的に接続されている。
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、複数の受光素子はフォトダイオードに限定されるものではなく、例えばフォトトランジスタ、フォトMOSトランジスタ等も使用することができる。
図5および図6の実施形態では、駆動・センス回路11の内部の接続点CN1…CN7で7個の駆動・センス増幅回路DR&SN_1…DR&SN_7の7個の入力端子In1…In7と7本のプルアップ駆動信号線Lup1…Lup7もしくは7本のプルダウン駆動信号線Ldn1…Ldn7とが接続されている。しかし、この接続点CN1…CN7を駆動・センス回路11の外部近傍とすることもできる。
図10は、図5の駆動・センス回路11を用いた本発明の他の実施形態によるICカードマイコンのチップのレイアウトを示す図である。
同図に示すように、図5の駆動・センス回路11の7個の駆動・センス増幅回路DR&SN_1…DR&SN_7の7個の入力端子In1…In7と7本のプルダウン駆動信号線Ldn1…Ldn7の接続点CN1…CN7は、駆動・センス回路11の外部近傍の配線チャンネル領域18の内部に配置されている。この図10の実施形態においても、配線チャンネル領域18に配置された接続点CN1…CN7と7個の駆動・センス増幅回路DR&SN_1…DR&SN_7の7個の入力端子In1…In7との間の7本の配線の配線距離は、7個の駆動・センス増幅回路DR&SN_1…DR&SN_7の7個のプルアップ駆動用トランジスタMP1…MP7のドレインと7個のフォトダイオードPD1…PD7のカソードとの間の7本のプルアップ駆動信号線Lup1…Lup7の配線距離および7個の駆動・センス増幅回路DR&SN_1…DR&SN_7の7個のプルダウン駆動用トランジスタMN1…MN7のドレインと7個のフォトダイオードPD1…PD7のカソードとの間の7本のプルダウン駆動信号線Ldn1…Ldn7の配線距離よりも十分短く設定されている。駆動・センス回路11外部での配線距離の長い7本のプルアップ駆動信号線Lup1…Lup7と7本のプルダウン駆動信号線Ldn1…Ldn7の断線の確率は高いが、配線チャンネル領域18に配置された接続点CN1…CN7と7個の駆動・センス増幅回路DR&SN_1…DR&SN_7の7個の入力端子In1…In7との間の7本のは配線距離の短い配線の断線の確率は極めて低くなる。
従って、図10においても、7本のプルアップ駆動信号線Lup1…Lup7と7本のプルダウン駆動信号線Ldn1…Ldn7のいずれか一本の駆動信号線が、駆動・センス回路11と配線チャンネル領域18の外部で断線状態となると、7個の駆動・センス増幅回路DR&SN_1…DR&SN_7の7個の入力端子In1…In7のうちで外部断線状態の一本の駆動信号線に対応する1つの入力端子の電圧は、駆動・センス回路11の内部のプルダウン駆動信号線Ldn1…Ldn7の対応する一本のプルダウン駆動信号線により接地電圧Vssに駆動される。その結果、スポット光照射による7個のフォトダイオードPD1…PD7からの異常検出信号と同様な異常検出信号が、駆動・センス回路11の外部での駆動信号線の断線時に得られることができる。
尚、図10の配線チャンネル領域18中には、接続点CN1…CN7だけではなく、CPU12から周辺のROM13、RAM14、EEPROM15、入出力ユニット16へのデータ信号線やアドレス信号線とを配置することもできる。
また、ICカード中にICカードマイコンのチップとともに、例えばフラッシュメモリチップのような不揮発性大容量ファイルメモリとメモリコントローラチップとを配置することができる。この不揮発性大容量ファイルメモリに音楽や動画のマルチメディア情報をダウンロードする際の使用料金の電子決済等の際に、上記の実施形態のICカードマイコンは高セキュリティー性能を発揮するものである。
また、ICカードマイコンの外部インターフェースは接触型に限定されるものではなく、赤外線やRF信号による非接触型の外部インターフェースとすることもできる。
さらに、光照射の検出結果によりICカードマイコンの全体の動作を停止するだけではなく、ICカードマイコンの高セキュリティー機能の動作のみを停止しても良い。