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JP2007101498A - 蛍光プローブ及び蛍光検出方法 - Google Patents

蛍光プローブ及び蛍光検出方法 Download PDF

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JP2007101498A JP2005295246A JP2005295246A JP2007101498A JP 2007101498 A JP2007101498 A JP 2007101498A JP 2005295246 A JP2005295246 A JP 2005295246A JP 2005295246 A JP2005295246 A JP 2005295246A JP 2007101498 A JP2007101498 A JP 2007101498A
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Abstract

【課題】感度損失がなく、定量性、再現性よく特定の核酸配列を検出可能な蛍光プローブ及びこれを用いた蛍光検出方法を提供する。
【解決手段】ターゲット核酸中の特定配列と相補的な塩基配列を有する蛍光プローブであって、該プローブの一端がナノ粒子蛍光体で標識されかつ、他の一端がナノ粒子蛍光体からの蛍光共鳴エネルギー移動を生じる蛍光色素で標識されていることを特徴とする蛍光プローブを提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、蛍光プローブ及び蛍光検出方法に関し、特に、ターゲット核酸中の特定配列と相補的な塩基配列を有する蛍光プローブ及び、これを用いて該ターゲット核酸中の特定配列を検出する蛍光検出方法に関する。
腫瘍や遺伝病など、遺伝子中の突然変異による塩基配列の異常に起因する各種疾患の診断を目的として特定の変異を検出する様々な方法が報告されている。
例えば非特許文献1には、塩基配列の異常を塩基組成の違いにより生じる一本鎖の高次構造の違いを電気泳動パターンとして検出する方法が報告されている。
非特許文献2にはターゲットに相補的なプローブとその両端に連結されたお互いに相補であるアームからなるプローブの両末端に蛍光色素と消光性色素を結合した、所謂モレキュラービーコン(ターゲットに相補的なプローブとその両端に連結されたお互いに相補であるアームからなる)を用いて、遺伝子増幅反応をリアルタイムでモニターする方法が報告されている。
モレキュラービーコンを用いたモニター方法の原理は、次の通りである。即ち、モレキュラービーコン単独では、両端に存在するアーム同士で分子内二本鎖を形成することにより、色素同士が接近し共鳴エネルギー移動により蛍光色素の蛍光が消光する。一方、ターゲット核酸が存在すると、プローブとターゲット間で分子間二本鎖を形成することにより、プローブ内の二本鎖が壊されることにより色素間の距離が増し、その結果共鳴エネルギー移動が起きなくなりプローブは発光する。この発光の測定により、ターゲットの存在を知ることができる。
上記のモレキュラービーコンで用いられる色素は励起波長と蛍光波長が近接しているため蛍光検出部には励起光に由来するノイズ低減のために励起光カットフィルターを装着することが必須となっている。励起光カットフィルターは蛍光シグナルをもカットしてしまうため、感度損失が本質的な問題であった。
このような問題を回避するため、2種の蛍光色素間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を利用して励起光と蛍光シグナルの波長分離を改善する試みが開示されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら一般的に用いられるレーザー励起により色素の光退色が進行するため、従来のモレキュラービーコンを用いる検出では定量性、再現性が問題となることが多く、特許文献1に開示されているFRET利用系においても解決することができない。
特開平10−127300号公報 Electrophoresis, 1995 vol.16, No.1, pp.8-10, Nature Biotechnology, 1996(March) vol 14, pp.303-308
このように、モレキュラービーコンを使用する場合には、ノイズ低減を回避するための励起光カットフィルターによって感度損失を起こすことがあり、FRETを利用しても、レーザー励起による色素の光分解(光退色)によって、定量性、再現性が損なわれることがある。
従って、本発明は、感度損失がなく、定量性、再現性よく特定の核酸配列を検出可能な蛍光プローブ及びこれを用いた核酸配列検出方法を提供することを目的とする。
上記課題は下記の本発明によって解決されることが見出された。
(1) ターゲット核酸中の特定配列に相補的な塩基配列を有する蛍光プローブであって、該蛍光プローブの一端がナノ粒子蛍光体で標識されかつ、他端が、該ナノ粒子蛍光体からの蛍光共鳴エネルギー移動が可能な蛍光色素で標識されている蛍光プローブ。
(2) 上記(1)において、前記ナノ粒子蛍光体の数平均粒径が、0.5〜100nmであることを特徴とする蛍光プローブ。
(3) 上記(1)又は(2)において、前記ナノ粒子蛍光体が、下記一般式(I)で表される化合物又はその分解生成物である表面修飾剤によって表面修飾された金属酸化物又は金属硫化物のナノ粒子蛍光体である蛍光プローブ。
M−(R)4 [I]
(式中、MはSi又はTi原子を、Rは有機性基を示す。Rはそれぞれ同一でも異なって
いてもよいが、Rのうちの少なくとも1つは親和性分子と反応性を有する基を示す。)
(4) 上記(3)において、ナノ粒子蛍光体がY,Eu,Tb,Tm,Ba,Ca,Mg,Al,Mn,Zn,Si, Sr,Ga,Yb,Cr,Ce,Pb及びWから選ばれた金属の酸化物である蛍光プローブ。
(5) 上記(4)において、ナノ粒子蛍光体が酸化亜鉛である蛍光プローブ。
(6) 上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、前記蛍光プローブが、10〜70ヌクレオチドよりなる塩基配列を有することを特徴とする蛍光プローブ。
(7) 上記(1)〜(6)において、前記蛍光プローブ中の塩基配列が、前記ターゲット核酸に相補的なプローブ部と、その両端に連結されると共に互いに相補的は配列であるアーム部とからなる蛍光プローブ。
(8) ターゲット核酸中の特定配列と相補的な塩基配列を有する蛍光プローブを用いて、該ターゲット核酸中の特定配列を検出する検出方法であって、一端がナノ粒子蛍光体で標識されかつ、他端が、該ナノ粒子蛍光体からの蛍光共鳴エネルギー移動が可能な蛍光色素で標識されている蛍光プローブを、前記ターゲット核酸と相互作用可能な条件下に共存させること、前記ナノ粒子蛍光体に対する励起光を照射して、蛍光プローブからの発光を測定すること、を特徴とする蛍光検出方法。
(9) 上記(8)において、前記測定結果から、ターゲット核酸中の特定配列に存在する点変異を検出することを含む蛍光検出方法。
(10) 上記(8)又は(9)において、前記蛍光プローブ中の該相補的な塩基配列の中央部分に、ターゲット核酸中の点変異に相当する部位が存在することを特徴とする蛍光検出方法。
本発明の蛍光プローブでは、その一端を標識している蛍光体は、ナノ粒子蛍光体であり、このナノ粒子蛍光体は、蛍光色素に対して蛍光共鳴エネルギー移動が可能である。このようなナノ粒子蛍光体を用いることによって、一般的な蛍光色素を用いるよりも励起光と発光の分離が良好となるので、励起光カットフィルターを用いる必要性を排除し、感度損失を回避することができ、また、強い励起光を吸収するドナーが無機粒子となるので、蛍光色素の光退色を容易に抑制することができる。
従って、本発明によれば、感度損失がなく、定量性、再現性よく特定の核酸配列を検出可能な蛍光プローブ及びこれを用いた核酸配列検出方法を提供することができる。
本発明の蛍光プローブは、ターゲット核酸中の特定配列に相補的な塩基配列を有する蛍光プローブであって、該蛍光プローブの一端がナノ粒子蛍光体(ドナーナノ粒子蛍光体)で標識されかつ、他端が、該ナノ粒子蛍光体からの蛍光共鳴エネルギー移動が可能な蛍光色素(アクセプター色素)で標識されていることを特徴としている。
また本発明の核酸検出方法は、ターゲット核酸中の特定配列と相補的な塩基配列を有する蛍光プローブを用いて、該ターゲット核酸中の特定配列を検出する核酸検出方法であって、一端がナノ粒子蛍光体で標識されかつ、他端が、該ナノ粒子蛍光体からの蛍光共鳴エネルギー移動が可能な蛍光色素で標識されている蛍光プローブを使用することを特徴としている。
本発明においては、ターゲット核酸の塩基配列に相補的であるオリゴヌクレオチドの両端を、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を生じるドナーナノ粒子蛍光体とアクセプター蛍光色素とでそれぞれ標識したものを、塩基配列の検出のためのプローブとして用いる。一例として、酸化亜鉛をドナーナノ粒子蛍光体に用いた例を図1に示す。
プローブ単独では、分子の熱ゆらぎや分子内における偶然の塩基対の形成等の原因のために曲がりくねった形状をしていると考えられる。そのため、蛍光プローブ分子内の色素がお互いに接近し、蛍光共鳴エネルギー移動を生じる。その結果、例えば、ドナーとなるナノ粒子蛍光体に対する励起光を当てた場合のドナーナノ粒子蛍光体の最大発光波長(Anm)における発光度(X)に対するアクセプター色素の最大発光波長(Bnm)における発光度(Y)は高くなる。すなわち、両者の比(Y/X)が増大することになる(図1左)。
次に本蛍光プローブとターゲット核酸とを混在させると、それぞれの塩基対が相補的であるため、蛍光プローブとターゲット間で塩基対を形成して二本鎖となる。二本鎖状態では、二重螺旋構造をとって膠着した構造となるためドナーとアクセプター間の距離はプローブ単独の時よりも長くなる。従って、FRETは低下し、Y/X値は低下する(図1右)。
このように、FRET効率即ちY/X値から特定配列および点変異の有無が検出できる。
さらには、この違いを種々の異なる条件において測定することにより、ターゲットの塩基配列に塩基置換、欠落、挿入等の異常が生じているか否かが、より正確かつ高感度で検出可能となる。
本発明の場合、プローブの一端がナノ粒子蛍光体で標識されている。ナノ粒子蛍光体は紫外域の波長で励起することができ、かつFRETの結果生じる蛍光は可視域に生ずる。この結果、励起光カットフィルター等を設ける必要性を排除できると共に、感度損失がなく、定量性、再現性よく特定配列を有するターゲット核酸を検出することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<蛍光プローブ>
本発明のプローブは、ターゲット核酸中の特定配列に相補的な塩基配列(ヌクレオチド)を有し、オリゴヌクレオチドの一端にナノ粒子蛍光体(ドナーナノ粒子蛍光体)を、他の一端に上記の蛍光色素(アクセプター色素)を結合したものである。
ナノ粒子蛍光体(ドナー)及びアクセプター色素の組合せは、蛍光共鳴エネルギー移動を生じる蛍光色素の組合せであれば特に制限されない。
[ナノ粒子蛍光体]
ナノ粒子蛍光体としては、所謂、ナノサイズの数平均粒径を有するものであれば、如何なるものも含まれるが、数平均粒径は、蛍光強度および生体分子との親和性の観点から好ましくは0.5〜100nmであり、より好ましくは0.5〜50nmであり、さらに好ましくは1〜10nmである。ナノ粒子蛍光体の粒径分布は、変動係数で好ましくは0〜50%、より好ましくは0〜20%、さらに好ましくは0〜10%である。なお、変動係数は、算術標準偏差を数平均粒径で除し、これを百分率で表した値(算術標準偏差×100/数平均粒径)を意味する。
ドナーとなるナノ粒子蛍光体としては、金属酸化物又は金属硫化物のナノ粒子蛍光体であるものが好ましく、金属酸化物又は金属硫化物を構成する金属としては、例えば、ZnなどのIIB族、Y、Eu、TbなどのIIIA族、Ga、InなどのIIIB族、Zr、HfなどのIVA族、Si、GeなどのIVB族、V、NbなどのVA族、Mo、WなどのVIA族などが挙げられ、好ましくは、Y,Eu,Tb,Tm,Ba,Ca,Mg,Al,Mn,Zn,Si, Sr,Ga,Yb,Cr,Ce,Pb及びWから選ばれた金属の酸化物のほか、ZnS,ZnSe,ZnTe,CdO,CdS,CdSe.CdTe,HgS,HgSe,HgTe,InP,InAs,GaN,GaP,GaAs,TiO2,PbS,PbSe等を用いることができる。これらの中で生体にやさしいZnが特に好ましい。また、Zn2SiO4、CaSiO3、MgWO4、YVO4、Y2SiO5などの複合金属酸化物であってもよい。このうち、人体への毒性が少なく、かつエネルギードナーとして幅広い波長域に蛍光を発する金属酸化物が好ましく、最も好ましくは、安定して製造できること、粒子の単分散性が高いこと、強い発光が得られること、発光スペクトルの波長域が本目的に合致しやすいことなどからZnOである。
さらに、これらの金属酸化物又は金属硫化物のナノ粒子蛍光体は、構成する金属酸化物又は金属硫化物中の金属とは異なる金属イオンを少量含有せしめることも好ましい。該金属イオンとしては、Mn、Cu、Eu、Tb、Tm、Ce、Al、Agなどの金属イオンが挙げられる。これらの金属イオンは、塩化物イオンやフッ化物イオンを組み合わせた化合物としてドープされることも好ましい。ドープする金属イオンは1種類の原子も、複数種類の原子からなるものでもよい。該金属イオンの濃度は、ナノ粒子蛍光体を構成する金属および、その種類によって最適量が異なるが、0.001〜10原子%の範囲が好ましく、0.01〜10原子%の範囲がより好ましい。
また本発明にかかるナノ粒子蛍光体は、励起光とシグナル蛍光との分離、安価光源の利用、簡便な検出系構築の観点から好ましくは紫外域の光で励起するものであり、より好ましくは250nm〜380nmの紫外光を励起光とするものであり、この励起光によって、可視域の光、より好ましくは400nm〜700nmの可視光を発するものであることが好ましい。可視光を発光することによって、可視域の蛍光色素を励起することができ、よりエネルギーが低く、反応性、特に生体に対して激しく反応することなく、蛍光色素を発色させることができる。
[ナノ粒子蛍光体およびその分散液の製造方法]
金属酸化物で構成されるナノ粒子蛍光体は、含有される金属のアルコキシド、アセチルアセトナートなどの有機金属化合物を加水分解するゾル−ゲル法、該金属の塩の水溶液にアルカリを加えて水酸化物として沈降させた後、脱水、アニールする水酸化物沈殿法、該金属の上記プレカーサーの溶液を用いて、超音波を照射する超音波分解法、高温高圧下で分解反応を行なうソルボサーマル法、高温下に噴霧するスプレーパイロリシスなどの液相合成法により得ることができる。また、有機金属化合物を用いる熱CVD法やプラズマCVD法、該金属または該金属酸化物のターゲットを用いるスパッタ法やレーザーアブレーション法などの気相合成法によっても得ることができる。
金属硫化物で構成されるナノ粒子蛍光体は、含有される金属のジエチルジチオカルバメート化合物などの熱分解性金属化合物をトリアルキルホスフィンオキシド類、トリアルキルホスフィン類、ω−アミノアルカン類などの高沸点有機溶媒中で結晶成長させるホットソープ法、該金属の塩の溶液に硫化ナトリウムや硫化アンモニウムなどの硫化物溶液を添加して結晶成長させる共沈法、界面活性剤を含む上記原料水溶液をアルカン類、エーテル類、芳香族炭化水素などの非極性有機溶媒中に逆ミセルとして存在させ該逆ミセル中で結晶成長させる逆ミセル法などの液相合成法により得ることができる。また、前記金属酸化物ナノ粒子蛍光体の場合と同様の気相合成法によっても得ることができる。
[ナノ粒子蛍光体の表面修飾剤]
本発明にかかるナノ粒子蛍光体は、表面修飾剤によりナノ粒子蛍光体を表面修飾することが好ましい。これにより、ナノ粒子蛍光体の水や親水性溶媒への分散性が改良でき、体液などによるナノ粒子蛍光体の溶出や蛍光の消光を防止できる。さらに標的分子を検出するための分子プローブを結合しやすくなるという利点も有する。
本発明に用いる表面修飾剤は次の一般式[I]で表される化合物又はその分解生成物である。
M−(R)4 一般式[I]
(式中、MはSi又はTi原子を、Rは有機性基を示す。Rはそれぞれ同一でも異なって
いてもよいが、Rのうちの少なくとも1つは親和性分子と反応性を有する基を示す。)
Rで表わされる有機性基中、親和性分子と反応性を有する基としては、連結基Lを介して、末端にビニル基、アリルオキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソシアナト基、ホルミル基、エポキシ基、マレイミド基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲンなどが結合したものである。これらの反応性を有する基の中で特に好ましくは末端にアミノ基を有するものである。
連結基Lとしては、例えば、アルキレン基(例:メチレン基、エチレン基、トリメチレ
ン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、シクロ
ヘキシレン基など炭素数が1〜10、好ましくは1〜8の鎖状または環状のもの)が挙げられる。
また、連結基Lは不飽和結合を有していてもよい。不飽和基としては、アルケニレン基(例:ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、2−ペンテニレン基、8−ヘキサデセニレン基、1,3−ブタンジエニレン基、シクロヘキセニレン基など炭素数が1〜10、好ましくは1〜8の鎖状または環状のもの)、アリーレン基(例:フェニレン基、ナフチレン基など、炭素数が6〜10、好ましくは6のフェニレン基)が挙げられる。
連結基Lは1個又は2個以上のヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、硫黄原子などの炭素原子以外の任意の原子を意味する)を有していてもよい。へテロ原子は酸素原子又は硫黄原子が好ましく、酸素原子がもっとも好ましい。ヘテロ原子の数は特に規定されないが5個以下であることが好ましく、より好ましくは3個以下である。
連結基Lは上記ヘテロ原子と隣接する炭素原子を含む官能基を部分構造として含んでいてもよい。該官能基としてはエステル基(カルボン酸エステル、炭酸エステル、スルホン酸エステル、スルフィン酸エステルを含む)、アミド基(カルボン酸アミド、ウレタン、スルホン酸アミド、スルフィン酸アミドを含む)、エーテル基、チオエーテル基、ジスルフィド基、アミノ基、イミド基などが挙げられる。上記の官能基はさらに置換基を有していても良く、これらの官能基はLにそれぞれ複数個存在してもよい。複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
官能基として好ましくは、エステル基、アミド基、エーテル基、チオエーテル基、ジスルフィド基又はアミノ基であり、さらに好ましくはアルケニル基、エステル基、エーテル基である。
Rで表わされるその他の有機性基としては、任意の基が挙げられるが、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基などのアルコキシ基及びフェノキシ基である。これらのアルコキシ基及びフェノキシ基はさらに置換基を有していてもよいが、合計の炭素数が8以下のものが望ましい。
本発明に用いられる表面修飾剤は、アミノ基、カルボキシル基などが、酸又は塩基と塩を形成したものでもよい。
本発明に用いる表面修飾剤のうち一般式[I]で表される化合物の分解生成物とは、アルコキシ基が加水分解した水酸化物、水酸基同士間の脱水縮合反応により生成した低分子量のオリゴマー(これはリニア構造、環状構造、架橋構造などいずれであってもよい)、水酸基と未加水分解のアルコキシ基による脱アルコール縮合反応生成物、これらがさらに脱水縮合反応して形成したゾル、及びゲルをいう。
以下、表面修飾剤の具体例を列挙するが、これらの化合物に限定されるものではない。
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−(3−アミノプロピル)−ベンズアミドトリメトキシシラン、3−ヒドラジドプロピルトリメトキシシラン、3−マレイミドプロピルトリメトキシシラン、(p−カルボキシ)フェニルトリメトキシシラン、3−カルボキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルチタニウムトリプロポキシド、3−アミノプロピルメトキシエチルチタニウムジエトキシド、3−カルボキシプロピルチタニウムトリメトキシドなど。
本発明に用いられる表面修飾剤は、末端のNH2基又はCOOH基が、酸又は塩基と塩を形成したものであってもよい。また、本発明に使用する表面修飾剤は、ナノ粒子蛍光体の表面全体を被覆していても、その一部に結合していてもよい。また、本発明において表面修飾剤は、単独で用いても複数併用してもよい。
なお、上記表面修飾剤に加えて、公知の表面修飾剤(例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテルリン酸、ラウリルエーテルリン酸、トリオ
クチルホスフィン、トリオクチルホスフィンオキシド、ポリリン酸ナトリウム、ビス(2
−エチルヘキシル)スルホこはく酸ナトリウムなど)がナノ粒子合成時、あるいは合成後共存させてもよい。
上記一般式(I)で表される表面修飾剤中、Rに結合可能な親和性分子は、表面修飾剤の表面を介してナノ粒子蛍光体に結合可能な分子をいい、後述するヌクレオチドを挙げることができる。
[アクセプター色素]
本発明にかかるアクセプター蛍光色素としては、特に制限されないが、ドナー蛍光色素の励起波長ピークからの距離、エネルギー移動の効率の観点から、吸収極大波長が400nmから650nm、好ましくは450nmから600nm、最も好ましくは500nmから600nmのものがよい。
このようなアクセプター色素としては、Cy3、Cy5、HEX、フルオレセイン、アミノフルオレセイン、アミノアセトアミドメチルフルオレセイン、アミノアセトアミドフルオレセイン、ルシファーイエロー、テトラメチルローダミン、ローダミンX、テキサスレッド、エオシン、エリスロシンを挙げることができる。また、特開2001−089482号公報記載のアザメチン化合物を使用することができる。これらのうち、励起波長ピークからの距離、エネルギー移動の効率の観点から好ましくはCy3、Cy5、HEX、ローダミンX、テキサスレッド、アザメチン化合物であり、最も好ましくはCy3、Cy5、HEXおよびアザメチン化合物である。
[ヌクレオチド]
ターゲット核酸中の特定配列に相補的な核酸(プローブ部)は、検査対象となる核酸に接近したときにその相補性の程度に応じて、検査対象核酸と相互作用して二重結合を形成し得る。
このようなプローブ部を構成するヌクレオチドの長さについては特には制限されないが、例えば10〜70ヌクレオチド長、好ましくは10〜25ヌクレオチド長、さらに好ましくは15〜19ヌクレオチド長である。プローブが不必要に長いと、検出感度の向上は望めず、取り扱いが煩雑となるので好ましくない。また、プローブ中のオリゴヌクレオチドの両端に、ターゲットの特定塩基配列と相補的でない配列を含むことも可能あるが、該余分な配列がターゲットの特定塩基配列以外の配列と塩基対を形成するので好ましくない。また、プローブ中のオリゴヌクレオチドとして、ホスホロチオエート化のように種々の核酸分解酵素により分解されないように化学修飾したオリゴヌクレオチドも使用可能である。
オリゴヌクレオチドの末端への上記のアクセプター色素及びドナーナノ粒子蛍光体の結合方法は、化学合成法を挙げることができる。なお、アクセプター色素及びドナーナノ粒子蛍光体は、ヌいずれがクレオチド配列の3’末端又は5’末端に結合されてもよい。
具体的には、以下の方法を挙げることができるがこれに限定はされない。フォスフォロアミダイト法によるDNA合成機でオリゴヌクレオチドを化学合成する際に、アクセプター蛍光色素を導入したカラムである3’−蛍光色素−ON−CPG(東洋紡)を用いることにより、3’末端をアクセプター色素で直接ラベルすることができる。また、アミノモディファイヤーII(東洋紡)を使用することによりDNA合成機でオリゴヌクレオチドの5’末端に直接アミノ基を導入し、その後に活性エステル化ナノ粒子蛍光体とアミノアシル化反応を起こさせることにより、オリゴヌクレオチドの5’末端をナノ粒子蛍光体でラベルすることができる。
また、上記ヌクレオチド配列は、ターゲット核酸配列に相補的な塩基配列を有するものであり、正常なターゲット核酸中の特定配列を検出するためには、当該特定配列に対して完全に相補的な配列であることが最も好ましい。ただし、特定配列の種類や検出目的に応じて、適宜、相補性の程度を変更することもできる。
このようなヌクレオチドとしては、任意の配列に相補的となるように合成されたものの他、細胞から抽出されたゲノムおよびその制限酵素分解によって生じたフラグメント、RNA等を挙げることができる。
また、予想される特定の点変異を生じたターゲットの特定塩基配列に相補的なヌクレオチド配列としてもよい。この場合には、該点変異をより正確に検出できる。
ターゲット中の点突然変異を検出するためのプローブの例としては、肝癌に関する遺伝子p53や、膵癌に関する遺伝子Ki−rasなど、特開平10−127300号公報、Gene, 70, 245-252 (1988)、Nature, 350, 427-428 (1991)、Nature, 304, 497-500 (1983)、Am. J. Pathol, 143, 545-554 (1993)などに記載されているものを挙げることができるが、これらに限定されない。
なお、点変異を検出するためのヌクレオチド配列としては、擬陽性回避の観点から、プローブ部の中央部位に変異部分を設定することが好ましい。ここでいう「中央部位」とはプローブ部を構成するヌクレオチド配列のうちの中心又は中心近傍をいう。これにより、変異の有無の感度を向上させることができる。
本発明にかかる蛍光プローブでは、上記プローブ部に加えて、ドナーナノ粒子蛍光体とプローブ部との間、アクセプター色素とプローブ部との間にそれぞれヌクレオチド配列からなるアーム部を設けてもよい。これによりプローブ部の端部にわたり有効な検出を行うことができる。
アーム部の長さは、ターゲット核酸不存在時の折りたたみ構造が損なわれなければ如何なる長さであってもよいが、ターゲット核酸との結合時の構造変化を容易にする観点から、2〜20ヌクレオチド長であることが好ましく、3〜10ヌクレオチド長であることが更に好ましい。またアーム部は、互いに相補的な配列で構成されていることが、ドナーナノ粒子蛍光体とアクセプター色素との接近状態を維持することができるため、好ましい。
蛍光プローブは、異なる種類のターゲット核酸を検出可能となるように複数の蛍光プローブを同時に使用してもよいが、1のドナーナノ粒子蛍光体に対して、プローブ部及びアクセプター色素の組を複数設けて複数のターゲット核酸を検出可能としてもよい。
このような複数種のプローブ部及びアクセプター色素を有する蛍光プローブでは、複数種のプローブ部に対応して複数種のアクセプター色素が標識化に用いられる。このような蛍光プローブを使用すると、ターゲット核酸と二重結合を形成可能なプローブ部が存在する場合、相互作用して二重結合を形成したプローブ部のアクセプター色素のみがFRET発光しなくなる。この結果、蛍光プローブ全体の蛍光スペクトルパターンが変化する。このように蛍光スペクトルパターンを比較することによって、複数種のターゲット核酸を同時に且つ感度よく検出することができる。
[ターゲット核酸]
上記蛍光プローブで検出を行うターゲット核酸は、その種類、長さ、存在状態は特に制限されず、DNA及びRNAのいずれも満足に用いることができる。DNAとしては、例えば、生体試料由来のDNA例えば抽出精製されたDNA、合成DNAのいずれも用いることができ、また、DNAの種類も、ゲノムDNA、cDNA、抽出精製されたDNA、断片にされたDNA、ベクター中に組み込まれたDNA等いずれも使用可能である。RNAとしては、生体試料由来のRNA例えば抽出されたRNA、合成RNAのいずれも用いることができ、また、RNAの種類も、mRNA、抽出精製されたRNA、断片にされたRNA等のいずれも使用可能である。
なお、通常、蛍光プローブで検出可能なターゲット核酸は1本鎖であるが、2本鎖又は3本鎖以上の多重鎖であってもよい。この場合には、蛍光プローブと反応できるように、解離させておくことが好ましい。
<蛍光検出方法>
本発明の蛍光検出方法では、上記蛍光プローブをターゲット核酸と相互作用可能な条件下に共存させること(反応工程)、前記ナノ粒子蛍光体に対する励起光を照射して、蛍光プローブからの発光を測定すること(発光測定工程)を含む。
[プローブとターゲット核酸の反応条件]
ターゲット核酸と蛍光プローブとの相互作用可能な条件とは、通常の核酸のハイブリダイゼーション条件であればよい。例えば、10mM Tris−HCl(pH8.0),50mM KCl,1.5mM MgCl2を含む溶液中で、25nM のプローブと150nMのターゲット核酸を混合して、一定の温度に約30分間放置するという条件を挙げることができるが、これに限定されない。
ハイブリダイゼーションの温度は、用いるプローブの長さ、塩基配列、ターゲットの塩基配列等に応じ適宜選択されるものである。
ターゲット核酸が二本鎖を形成している場合には、二本鎖を解離する工程を反応工程の前に設けてもよい。解離は一般に二本鎖核酸を解離するための条件をそのまま適用することができ、例えば解離するための高温条件下に供することが挙げられる。解離のための温度は、この目的のために通常使用される温度であって、室温より高められた温度であればよく、一般に100℃付近であるが、これに限定されない。
発光測定工程における発光の検出は、通常の発光検出方法が満足に使用できる。
例えば、ナノ粒子蛍光体として酸化亜鉛ナノ粒子、アクセプター蛍光色素としてHEXを用いた場合は、340nm付近の励起光により励起し、500nmから650nmまでの波長範囲で蛍光スペクトルを測定することにより行うことができる。励起光の波長及び測定する蛍光スペクトルの範囲は、用いるナノ粒子蛍光体及び測定機器の光波長選択精度に応じて選択されうる。または、340nm付近の光により酸化亜鉛ナノ粒子を励起し、520nmにおける酸化亜鉛ナノ粒子の蛍光強度とHEXの蛍光ピーク波長である556nmにおける蛍光強度を分光光学系により2つの蛍光成分に分離して同時に測定することにより行なう。
前記ナノ粒子蛍光体が励起すると、アクセプター色素へ蛍光共鳴エネルギーが移動可能となる。
本発明にかかる蛍光検出方法では、発光測定工程において蛍光強度が測定された場合には、得られた蛍光強度に基づいて、ターゲット核酸における特定配列の有無や、点変異などを検出する。検出は、蛍光プローブとターゲット核酸とのハイブリダイゼーションの状態の差によって行うため、このようなハイブリダイゼーションの状態の差を評価できる評価方法を適宜用いることができる。例えば、ドナーナノ粒子蛍光体の最大蛍光波長における発光度に対するアクセプター色素の最大蛍光波長における発光度の比に基づいて評価することができるが、他の評価方法であってもよい。
このような蛍光強度に基づく評価を、種々の条件において測定された結果に用いて行うことによって、ターゲット核酸の有無だけでなく、特定配列中における各種の変異、例えば1塩基多型や、複数の塩基による置換、挿入、欠失などを容易に検出することができる。これらの各種変異を検出するために用いられる条件としては、上述したハイブリダイゼーション条件として挙げたものを例示することができ、温度、塩濃度などが該当する。
以下に、本発明にかかる蛍光検出方法を適用し、生体試料からのターゲット核酸を用いた点突然変異の検出方法を記すが、これに限定はされない。
なお、生体試料としては、特に制限されず、被験者からの分泌液、血液、排泄物、組織等が満足に使用できる。
[生体試料からのターゲット核酸中の点突然変異の検出方法]
(1)生体試料からの核酸の抽出
生体試料から核酸の抽出は、核酸、たとえばDNA又はRNAの通常の抽出法が満足に使用できる。例えば、以下に記載の方法を挙げることができるが、これには限定されない。例えば、血液からDNAを抽出する場合には、血液を1000回転、15分間遠心し、沈殿をPBSで3回洗浄し、水性成分を除いた後、100μg/mlのプロテアーゼKにより蛋白質を分解する。50℃、3時間保温した後、等量の水飽和フェノールを加え、3000回転、10分間室温で遠心する。フェノールを除き、再び水飽和フェノールを加える。遠心してフェノール層を除いた後に、2倍量のクロロホルムを加え3000回転で2分間遠心する。クロロホルム処理操作を3回繰り返した後に、100倍量の50mM Tris−HCl(pH7.4),10mM EDTA,10mM NaClに対して透析を数時間行う。20μg/mlのRNaseAを加え、37℃、30分間保温した後に、上記のフェノール・クロロホルム処理を繰り返す。
(2)PCRによる増幅
突然変異の可能性のある塩基配列を含む遺伝子の部分を増幅する。例えば、PCR法を用い、突然変異があると予想される特定配列の領域を挟む2種のプライマーを用いて増幅することができる。PCR法による増幅は、Methods Enzymol. (1987), Vol.15 No.5, 335-350に記載されているような通常のPCR法において用いられている方法を満足に使用できる。ここで、ターゲット核酸がRNAである場合は、最初に逆転写酵素を用いてRNAからDNAを合成し、次いで上記のPCR法により増幅可能である。Mol . Cell . Biol., (1987) 7, 3231-3236を参照のこと。
対照としては、正常な塩基配列を持った核酸を合成等により調製しておく。
(3)プローブとターゲット核酸とのハイブリダイゼーション
上記の方法により増幅したターゲット核酸又は対照の正常核酸の溶液に、本発明の蛍光標識したプローブを加え、上記のハイブリダイゼーション条件に従って反応を行う。
(4)蛍光強度の比(FRET効率)の測定
用いるプローブ等に応じて選択した、適当な所定の温度にて、蛍光分光光度計を用いて蛍光スペクトルを測定する。
ドナーナノ粒子蛍光体の光励起により測定した蛍光スペクトルに基づいて、ナノ粒子蛍光体の最大発光波長(Anm)における発光度(X)に対するアクセプター色素の最大発光波長(Bnm)における発光度(Y)、即ち発光度の比(Y/X)を求める。生体試料由来の核酸を用いた結果を、正常核酸を用いた結果と比較することにより、被検核酸が点突然変異を持つか否かを診断する。
本発明の方法を用いて生体試料を測定する場合は、生体組織を用いることもまた生体試料より抽出した核酸を用いることもできる。生体組織を用いる場合は、生体試料をプレートその他の支持体に固定し、目的DNA部分をPCR法により増幅し、次いで本発明のプローブを含んだ反応液を加え、昇温し、励起光を当てて、発する蛍光を測定すればよい。また、生体試料より抽出された核酸を用いる場合は、必要に応じ増幅した核酸を含む液に本発明のプローブを含んだ反応液を加え、昇温し、励起光を当てて発する蛍光を測定すればよい。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
[実施例1]
酸化亜鉛ナノ粒子の合成
酢酸亜鉛2水和物(5.49g,25mmol)に脱水エタノール(250ml)を加え、Dean-Steark脱水装置にて溶媒を留去しながら穏やかに2時間加熱還流を行った。留去された溶媒は150mlであった。白濁した反応液に脱水EtOHを150ml再度添加して加熱還流を行い、透明化した反応液を室温まで水冷した。
該反応液にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(25%メタノール溶液、11.4ml,28mmol)を添加して室温にて4時間攪拌した。続いて3−アミノプロピルトリメトキシシラン(4.7ml,25mmol)と水(1.5ml,83.3mmol)を添加して60℃にて4時間攪拌を行った。反応開始7分後に白色固体が析出する。反応液を室温まで水冷した後、固体を吸引ろ過し、エタノールで洗浄した。得られた白色粉末を減圧下で乾燥すると表面がアミノ化された酸化亜鉛ナノ粒子が得られた。収量6.0g
上記粒子200mgを蒸留水10mlに溶解し、Sephadex G25を充填したカラムを用いてゲルろ過を行った。以降の反応は全て該脱塩水溶液を使用した。
本処方により合成したナノ粒子は10wt%でも透明な良好な分散状態を示す。粉末X線回折空間群P63mcに属する六方昌系(ウルツ鉱型)酸化亜鉛の標品とピークパターンが一致し、数平均粒径は、TEMによる測定で3nmであった。
以下、酸化亜鉛粒子の濃度は、数平均粒径3nmの酸化亜鉛の体積(14.13×10-273mol-1)、分子量(81.38)、および密度(5.67)から見積もることとした。
[実施例2]
プローブオリゴヌクレオチドの合成
以下の配列を有するプローブオリゴヌクレオチドを公知のホスホアミダイト法を用いた固相合成により作成した。
ここで、HEXは吸収極大534nm、蛍光極大556nmを有する蛍光色素である。またアンダーラインがミューテーション部位である。
プローブオリゴヌクレオチドは逆相カラムクロマトグラフィーで精製しMALDI−TOFマススペクトルにて構造を確認した。
[実施例3]
酸化亜鉛ナノ粒子とオリゴヌクレオチドの結合
実施例1で調製したアミノ基修飾酸化亜鉛ナノ粒子を、200mMのNaClと50mMのHEPES(pH8)で分散して150μMとした。酸化亜鉛粒子の10倍モルの無水コハク酸を添加して室温にて1時間攪拌、さらに15分間超音波処理して粒子表面にカルボキシル基を導入した。過剰の無水コハク酸はゲルろ過または遠心分離によって除去した。
次に実施例2の(a)で調製したオリゴヌクレオチドと5等量のN−ヒドロキシスクシンイミドとWSCを加えて室温にて3時間反応させて、5’末端がドナーナノ粒子蛍光体、3’末端にアクセプター色素が連結されたプローブを得た。
[実施例4]
ターゲットDNAとのハイブリダイゼーション
実施例3のプローブと実施例2の(b)および(c)で調製したターゲットDNAを用いて200mMのNaCl、50mMのHEPES(pH8.0)を含む緩衝液中、20℃でハイブリダイゼーションを行った。ターゲットDNAの濃度を0から1.2μMまで変化させた時の蛍光スペクトルの変化を図2に示す(励起光:340nm)。図2(A)のメインのグラフはフルマッチターゲットDNAをハイブリダイゼーションさせた場合、枠内のグラフはミスマッチを含むターゲットDNAをハイブリダイゼーションさせた場合である。図2(B)は560nmにおける蛍光強度変化を示す。黒いドットがフルマッチ、白抜けのドットがミスマッチを表す。
図2に示されるように、フルマッチターゲットDNAを増やすことによって蛍光強度が低下している(図2(A)メイングラフ及び図2(B)参照)のに対して、ミスマッチを含むターゲットDNAの量を増やしても、蛍光強度に大きな変化が認められない(図2(A)枠内グラフ参照)。
従って、ターゲットDNAがプローブDNAのヘアピン配列をフルマッチの場合、FRETによるアクセプター色素の蛍光が減少するのに対し、1塩基多型が存在すると蛍光強度低下が有意に抑制されていることは明らかである。このように本実施例の蛍光プローブでは、ターゲットDNAの検出においてフィルター等を設ける必要がなく、またフルマッチDNAとの蛍光強度変化の差に基づいて1塩基多型であっても感度よく検出することができる。
[比較例]
実施例2の方法に準じてドナーの酸化亜鉛ナノ粒子蛍光体をフルオレッセインに変更したプローブを作成した。次に実施例3に準じてハイブリダイゼーション実験を行ったが、実施例3のターゲットDNAの濃度範囲では1塩基多型の有無による有意差は認められなかった。
本発明における蛍光強度変化の原理を示す概念図である。 (A)は本発明の実施例にかかるフルマッチターゲットDNAをハイブリダイゼーションさせた場合(メイングラフ)と、ミスマッチを含むターゲットDNAをハイブリダイゼーションさせた場合(枠内グラフ)であり、(B)は、560nmにおける蛍光強度変化を示す。

Claims (10)

  1. ターゲット核酸中の特定配列に相補的な塩基配列を有する蛍光プローブであって、
    該蛍光プローブの一端がナノ粒子蛍光体で標識されかつ、他端が、該ナノ粒子蛍光体からの蛍光共鳴エネルギー移動が可能な蛍光色素で標識されている
    ことを特徴とする蛍光プローブ。
  2. 前記ナノ粒子蛍光体の数平均粒径が、0.5〜100nmであることを特徴とする請求項1記載の蛍光プローブ。
  3. 前記ナノ粒子蛍光体が、下記一般式(I)で表される化合物又はその分解生成物である表面修飾剤によって表面修飾された金属酸化物又は金属硫化物のナノ粒子蛍光体である請求項1又は2に記載の蛍光プローブ。
    M−(R)4 [I]
    (式中、MはSi又はTi原子を、Rは有機性基を示す。Rはそれぞれ同一でも異なって
    いてもよいが、Rのうちの少なくとも1つは親和性分子と反応性を有する基を示す。)
  4. ナノ粒子蛍光体がY,Eu,Tb,Tm,Ba,Ca,Mg,Al,Mn,Zn,Si, Sr,Ga,Yb,Cr,Ce,Pb及びWから選ばれた金属の酸化物である請求項1から3のいずれか一つに記載の蛍光プローブ。
  5. ナノ粒子蛍光体が酸化亜鉛である請求項4に記載の蛍光プローブ。
  6. 前記蛍光プローブが、10〜70ヌクレオチドよりなる塩基配列を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の蛍光プローブ。
  7. 前記蛍光プローブ中の塩基配列が、前記ターゲット核酸に相補的なプローブ部と、その両端に連結されると共に互いに相補な配列であるアーム部とからなる請求項1から6のいずれか一つに記載の蛍光プローブ。
  8. ターゲット核酸中の特定配列と相補的な塩基配列を有する蛍光プローブを用いて、該ターゲット核酸中の特定配列を検出する蛍光検出方法であって、
    一端がナノ粒子蛍光体で標識されかつ、他端が、該ナノ粒子蛍光体からの蛍光共鳴エネルギー移動が可能な蛍光色素で標識されている蛍光プローブを、前記ターゲット核酸と相互作用可能な条件下に共存させること、
    前記ナノ粒子蛍光体に対する励起光を照射して、蛍光プローブからの発光を測定すること、
    を特徴とする蛍光検出方法。
  9. 前記測定結果から、ターゲット核酸中の特定配列に存在する点変異を検出することを含む請求項8記載の蛍光検出方法。
  10. 前記蛍光プローブ中の該相補的な塩基配列の中央部分に、ターゲット核酸中の点変異に相当する部位が存在することを特徴とする請求項8又は9に記載の蛍光検出方法。
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