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JP2007112679A - ナノ粒子及びその製造方法 - Google Patents

ナノ粒子及びその製造方法 Download PDF

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JP2007112679A JP2005307695A JP2005307695A JP2007112679A JP 2007112679 A JP2007112679 A JP 2007112679A JP 2005307695 A JP2005307695 A JP 2005307695A JP 2005307695 A JP2005307695 A JP 2005307695A JP 2007112679 A JP2007112679 A JP 2007112679A
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Kaname Takano
要 高野
Masayoshi Kojima
政芳 小島
Junji Nishigaki
純爾 西垣
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Abstract

【課題】水性媒体における高められた分散性と反応性を有するナノ粒子を提供する。
【解決手段】コア部とその表面を被覆する表面有機層とで構成されたナノ粒子であって、表面有機層に、R1O−L1−基及びY−L2−基(式中、L1及びL2は、L1<L2の長さ関係を満たす二価の連結基を表す。R1は炭素数1から3のアルキル基又は水素原子を表す。Yは被標識物質と反応性を有する基を表す)で表される表面反応性基を有するナノ粒子。
【選択図】なし

Description

本発明は、ナノ粒子及びその製造方法に関し、特に、コア部とその表面を被覆する表面有機層とで構成されたナノ粒子及びその製造方法に関する。
半導体ナノ粒子は、無機、結晶性半導性材料で構成されるナノ粒子であり、量子サイズ効果から生じる固有の光物理学、光化学および非直線状の光学特性を有している。それ故、ライフサイエンス領域における生体分子検出試薬として、また光触媒、電荷移動デバイスおよび分析化学の領域における有用な材料としての応用が注目されている。
半導体ナノ粒子は疎水性であるため、このような用途で使用する場合には、水溶解性又は少なくとも水分散性にすることが必要である。このため、半導体ナノ粒子に種々の有機コーティングを用いて良好な水分散性を付与するための方法が提案されている。
例えば、特許文献1には界面活性剤モノマーを分散剤として使用し、ナノ粒子は界面活性剤の疎水性領域と相互作用し、親水性領域が水性媒体に対して親和性を有することでナノ粒子の水性懸濁液を安定化するための方法が記載されている。特許文献2には式HS−(CH2n−Xのモノマー化合物(ここで、nは、好ましくは≧10であり、Xは、カルボキシレートまたはスルホネートである)が、モノマーの界面活性剤の代わりに開示されている。
一方、ナノサイズの粒子は分散安定性や表面の非特異吸着が不十分である場合があるので、非特許文献1では、メトキシシランやシラノールを用いて酸化亜鉛表面を修飾することによって、疎水性ナノ結晶の水分散性を向上させている。この技術では、元のホスフィン/ホスフィンオキシド界面活性剤層と、より極性のリガンドとの交換を行っている。しかしながら、この方法では量子収量がかなり減少しかつこれは決して完全には回復されないという欠点を有しており、また、水中に分散された粒子のコロイド安定性は十分ではない。
また、金属ナノ粒子表面を長鎖のPEGで修飾することが金属ナノ粒子の水分散性を向上させること、抗原性や人体に与える影響が少ないことが一般的に知られている。例えば、非特許文献2では、上記の利点を生かすために、末端にSiCl3を付加させたPEGで酸化亜鉛表面を修飾することによって金属ナノ結晶の水分散性を向上するという表面修飾技術を開示している。また、非特許文献3では、金属ナノ粒子の表面修飾剤として、分子量600の長鎖のPEGの末端に反応性を有する有機性基を付加させたトルフルオロエチルエステル−PEG末端シランを用いて、水分散性を向上させている。これにより、水分散性を向上させている。
J.Phys.Chem, 2001, Vol.105, pp.8861-8871 Biomed.Microdevices, 1998, Vol.1, pp.81-89 J.Am.Chem.Soc., 2004, Vol.126, pp.7206-7211 国際公開第00/17655号パンフレット 国際公開第00/17656号パンフレット
しかしながら、水分散性を向上させるために長鎖のPEGを表面修飾させた場合、表面に十分な水和層を形成させる十分な数の長鎖PEG分子を導入することができないため充分な水分散性が得られない。また、これを解消するために長鎖のPEGの末端に反応性を有する有機性基を付加させた表面修飾剤を連結させても、長鎖のPEG自体によって有機性基の反応性が阻害されてしまい、効果的に水分散性を向上させることができない。
従って、本発明の目的は、水性媒体における高められた分散性と反応性を有するナノ粒子を提供することである。
本発明のナノ粒子は、コア部とその表面を被覆する表面有機層とで構成されたナノ粒子であって、表面有機層に、R1O−L1−基及びY−L2−基(式中、L1及びL2は、L1<L2の長さ関係を満たす二価の連結基を表す。R1は炭素数1から3のアルキル基又は水素原子を表す。Yは被標識物質と反応性を有する基を表す)で表される表面反応性基を有することを特徴としている。
上記ナノ粒子において、前記表面有機層が、下記一般式(I)で表される第1の表面処理剤と、下記一般式(II)で表される第2の表面処理剤及び下記一般式(III)で表される第3の表面処理剤とによる表面処理によって形成されたものであることが好ましい。
一般式(I)
M−(R24
一般式(II)
1O−L1−X
一般式(III)
X−L2−Y
(上記式中、MはSi又はTi原子を、R2は有機性基を示す。R2はそれぞれ同一でも異なっていてもよいが、R2のうちの少なくとも1つは他の有機性基と反応性を有する官能基を示す。L1及びL2は、L1<L2の長さ関係を満たす二価の連結基を表す。R1は炭素数1から3のアルキル基又は水素原子を表す。Xは粒子表面の官能基と結合形成可能な置換基を表す。Yは被標識物質と反応性を有する基を表す。)
また、上記ナノ粒子において、前記コア部が金属酸化物で構成されていることが好ましい。
上記ナノ粒子において、前記被標識物質が、生体関連分子であることが好ましい。
本発明のナノ粒子の製造方法は、コア部とその表面を被覆する表面有機層とで構成されたナノ粒子の製造方法であって、下記一般式(I)で表される第1の表面処理剤を用いて、前記コア部及び表面有機層で構成された前駆体粒子を形成すること、前記前駆体粒子に対して、下記一般式(II)で表される第2の表面処理剤及び下記一般式(III)で表される第3の表面処理剤による表面処理を行って、R1O−L1−基及びY−L2−基で表される表面反応性基を形成すること、を含むことを特徴としている。
一般式(I)
M−(R24
一般式(II)
1O−L1−X
一般式(III)
X−L2−Y
(上記式中、MはSi又はTi原子を、Rは有機性基を示す。R2はそれぞれ同一でも異なっていてもよいが、R2のうちの少なくとも1つは他の有機性基と反応性を有する官能基を示す。L1及びL2は、L1<L2の長さ関係を満たす二価の連結基を表す。R1は炭素数1から3のアルキル基又は水素原子を表す。Xは粒子表面の官能基と結合形成可能な置換基を表す。Yは被標識物質と反応性を有する基を表す。)
本発明にかかるナノ粒子は、ナノ粒子における表面有機層に、L1<L2の長さ関係を満たすことによって長さが異なる2種の表面反応性基を有しているので、L2を含む長鎖の表面反応性基によって水分散性を向上させることができると共に、L1を含む短鎖の表面反応性基によって被標識物質との反応性を向上させることができる。これにより、水分散性と反応性との高いレベルでの両立を図ることができる。
本発明によれば、水性媒体における高められた分散性と反応性を有するナノ粒子を提供することができる。
本発明のナノ粒子は、コア部とその表面を被覆する表面有機層とで構成されたナノ粒子であって、表面有機層に、R1O−L1−基及びY−L2−基(式中、L1及びL2は、L1<L2の長さ関係を満たす二価の連結基を表す。R1は炭素数1から3のアルキル基又は水素原子を表す。Yは被標識物質と反応性を有する基を表す)で表される表面反応性基を有している。
このようなナノ粒子は、好ましくは、前記表面有機層が、下記一般式(I)で表される第1の表面処理剤と、下記一般式(II)で表される第2の表面処理剤及び下記一般式(III)で表される第3の表面処理剤による表面処理によって形成されたものである。
本発明のナノ粒子は、その表面に異なる長さの表面反応性基を有するので、水性媒体における分散性と反応性を高めることができる。これにより、元の粒子の量子効率を保存し、コロイド安定性を維持し、そして粒子径分布の任意の変化を避けるかまたは最小にしながら、水性媒体において疎水性半導性ナノ結晶に分散性を付与することができる。また、このような特性は、ナノ粒子の種類に影響されず、半導性ナノ粒子、疎水性表面を有する他の型のナノ粒子(例えば、結晶性である必要がない半導性ナノ粒子、および他の表面修飾剤で処理されている金属性ナノ粒子)であっても同様である。
[1]第1の表面修飾剤
本発明にかかる第1の表面修飾剤は、下記一般式(I)で表される化合物又はその分解生成物である。このような表面修飾剤によりコア部の表面を修飾することで、ナノ粒子の水や親水性溶媒への分散性が改良でき、体液などによるナノ粒子蛍光体の溶出や蛍光の消光を防止できる。さらに標的分子を検出するための分子プローブを結合しやすくなるという利点も有する。
一般式(I)
M−(R24
上記式中、Mはケイ素(Si)原子又はチタン(Ti)原子を表し、水分散性の観点からケイ素原子であることが好ましい。
2は有機性基を示す。R2はそれぞれ同一でも異なっていてもよいが、R2のうちの少なくとも1つは他の有機性基と反応性を有する官能基を示す。
2で表わされる有機性基中、他の有機性基と反応性を有する官能基としては、連結基Lを介して、末端にビニル基、アリルオキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソシアナト基、ホルミル基、エポキシ基、マレイミド基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲンなどが結合したものである。これらの反応性を有する基の中で生体高分子との反応性の観点から特に好ましくは末端にアミノ基を有するものである。
なお、ここでR2が反応可能な他の有機性基には、被標識物質の他、後述する一般式(III)中のXが含まれる。
連結基Lとしては、例えば、アルキレン基(例:メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、シクロヘキシレン基など炭素数が1〜10、末端の官能基の反応性の観点から好ましくは1〜8の鎖状または環状のもの)が挙げられる。
また、連結基Lは不飽和結合を有していてもよい。不飽和基としては、アルケニレン基(例:ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、2−ペンテニレン基、8−ヘキサデセニレン基、1,3−ブタンジエニレン基、シクロヘキセニレン基など炭素数が1〜10、末端の官能基の反応性の観点から好ましくは1〜8の鎖状または環状のもの)、アリーレン基(例:フェニレン基、ナフチレン基など炭素数が6〜10、末端の官能基の反応性の観点から好ましくは6のフェニレン基)が挙げられる。
連結基Lは1個又は2個以上のヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、硫黄原子などの炭素原子以外の任意の原子を意味する)を有していてもよい。へテロ原子は酸素原子又は硫黄原子が好ましく、酸素原子が水分散性の観点からもっとも好ましい。ヘテロ原子の数は特に規定されないが水分散性の観点から5個以下であることが好ましく、より好ましくは3個以下である。
連結基Lは上記ヘテロ原子と隣接する炭素原子を含む官能基を部分構造として含んでいてもよい。該官能基としてはエステル基(カルボン酸エステル、炭酸エステル、スルホン酸エステル、スルフィン酸エステルを含む)、アミド基(カルボン酸アミド、ウレタン、スルホン酸アミド、スルフィン酸アミドを含む)、エーテル基、チオエーテル基、ジスルフィド基、アミノ基、イミド基などが挙げられる。上記の官能基はさらに置換基を有していても良く、これらの官能基はLにそれぞれ複数個存在してもよい。複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
反応性の観点から官能基として好ましくは、アルケニル基、エステル基、アミド基、エーテル基、チオエーテル基、ジスルフィド基又はアミノ基であり、さらに好ましくはアルケニル基、エステル基、エーテル基である。
2で表わされるその他の有機性基としては、任意の基が挙げられるが、反応性の観点から好ましくはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基などのアルコキシ基及びフェノキシ基である。これらのアルコキシ基及びフェノキシ基はさらに置換基を有していてもよいが、合計の炭素数が8以下のものが望ましい。本発明に用いられる表面修飾剤は、アミノ基、カルボキシル基などが、酸又は塩基と塩を形成したものでもよい。
本発明に用いられる表面修飾剤の具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。なお、これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−(3−アミノプロピル)−ベンズアミドトリメトキシシラン、3−ヒドラジドプロピルトリメトキシシラン、3−マレイミドプロピルトリメトキシシラン、(p−カルボキシ)フェニルトリメトキシシラン、3−カルボキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルチタニウムトリプロポキシド、3−アミノプロピルメトキシエチルチタニウムジエトキシド、3−カルボキシプロピルチタニウムトリメトキシドなど。
なお、これらのうち、反応性の観点から、次のものが好ましい。
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン。
[2]第2及び第3の表面修飾剤
本発明にかかる第2及び第3の表面修飾剤はそれぞれ、下記一般式(II)及び(III)で表される化合物又はその分解生成物である。
一般式(II)
1O−L1−X
一般式(III)
X−L2−Y
Xで表わされる有機性基は粒子表面の官能基と結合形成可能な置換基である。ここでいう「粒子表面の官能基」とは、コア部の表面のみならず表面修飾剤によりコア部表面の表面有機層中に形成された官能基も含まれ、例えば前述の第1の表面修飾剤におけるR2も該当する。
Xで表わされる有機性基としては、ビニル基、アリルオキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソシアナト基、ホルミル基、エポキシ基、マレイミド基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲンなどがあり、アミノ基との反応性の観点から好ましくはカルボキシル基、マレイミド基、アミノ基であり、最も好ましくはカルボキシル基である。
Yで表される有機性基は被標識物質と反応性を有する基である。Yで表される有機性基としては、マレイミド基、カルボキシル基、アルデヒド基、メタンチオ硫酸基などがあり、SH基との反応性の観点から好ましくは、マレイミド基、アルデヒド基であり、最も好ましくはマレイミド基である。
1で表される有機性基は、炭素数1から3のアルキル基又は水素原子を表し、このうち、水分散性の観点から好ましくは水素原子である。
連結基L1及びL2は、L1<L2の長さ関係を満たす二価の連結基である。このようにL1及びL2で長さが異なることによって、水分散性と反応性とを共に高めることができる。
1、L2としては、例えば、アルキレン基(例:メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、シクロヘキシレン基など炭素数が1〜10、有機性基の反応性の観点から好ましくは1〜8の鎖状または環状のもの)を挙げることができ、これらを単数又は複数組み合わせてもよい。
また、連結基L1、L2は不飽和結合を有していてもよい。不飽和基としては、アルケニレン基(例:ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、2−ペンテニレン基、8−ヘキサデセニレン基、1,3−ブタンジエニレン基、シクロヘキセニレン基など炭素数が1〜10、好ましくは1〜8の鎖状または環状のもの)、アリーレン基(例:フェニレン基、ナフチレン基、など炭素数が6〜10、好ましくは6のフェニレン基)が挙げることができ、これらを単独又は複数組み合わせてもよく、更には上記のアルキレン基等と組み合わせてもよい。
これらのうち、L1<L2の長さ関係を満たすことを条件として、L1全体としては、有機性基の反応阻害性の観点から炭素数が1〜10、より好ましくは1〜4の鎖状または環状のものを挙げることができる。これに対してL2全体としては、水分散性の観点から好ましくは炭素数が50〜5000、より好ましくは50〜300の鎖状または環状のものを好ましく挙げることができる。
1とL2のサイズは、L1<L2の関係が満たされていればどんな相対関係であってもよいが、有機性基の反応阻害性と水分散性の両立の観点から好ましくは、L2はL1の主鎖の長さとして50倍〜5000倍、更に好ましくは50倍〜300倍とすることができる。このような組み合わせとしては、例えば、L1が炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2から10のポリオキシエチレン基であり、L2が炭素数50〜300のポリオキシエチレン基である組み合わせを挙げることができる。
また、連結基L1、L2は1個又は2個以上のヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、硫黄原子などの炭素原子以外の任意の原子を意味する)を有していてもよい。へテロ原子は酸素原子又は硫黄原子が安定性の観点から好ましく、酸素原子がもっとも好ましい。ヘテロ原子の数は特に規定されないが5個以下であることが好ましく、より好ましくは3個以下である。
連結基L1、L2は上記ヘテロ原子と隣接する炭素原子を含む官能基を部分構造として含んでいてもよい。該官能基としてはエステル基(カルボン酸エステル、炭酸エステル、スルホン酸エステル、スルフィン酸エステルを含む)、アミド基(カルボン酸アミド、ウレタン、スルホン酸アミド、スルフィン酸アミドを含む)、エーテル基、チオエーテル基、ジスルフィド基、アミノ基、イミド基などが挙げられる。上記の官能基はさらに置換基を有していても良く、これらの官能基は基L1、L2にそれぞれ複数個存在してもよい。複数個存在する場合には、上記条件が満たされる限りそれらは同一でも異なっていてもよい。
官能基として好ましくは、アルケニル基、エステル基、アミド基、エーテル基、チオエーテル基、ジスルフィド基又はアミノ基であり、さらに好ましくはアルケニル基、エステル基、エーテル基である。
以下、第2の表面修飾剤の具体例を列挙するが、これらの化合物に限定されるものではない。なお、これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
メトキシエトキシ酢酸、メトキシエトキシプロピオン酸、メトキシエトキシブチル酸、メトキシエトキシエトキシ酢酸、メトキシエトキシエトキシプロピオン酸、メトキシエトキシエトキシブチル酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシブチル酸、3−ヒドロキシペンタン酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシヘプタン酸。
また第3の表面修飾剤の具体例を列挙するが、これらの化合物に限定されるものではない。なお、これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
カルボキシ−PEG−アミン、カルボキシ−PEG−アルデヒド、カルボキシ−PEG−カルボン酸、カルボキシ−PEG−NHS、カルボキシ−PEG−マレイミド、カルボキシ−PEG−チオールを上げることができ、このうち、SH基との反応性の観点から、カルボキシ−PEG−NHS、カルボキシ−PEG−マレイミド、カルボキシ−PEG−チオールが好ましく、カルボキシ−PEG−マレイミドが最も好ましい。
本発明に用いられるこれらの表面修飾剤のうち一般式(I)〜(III)で表されるものの分解生成物とは、アルコキシ基が加水分解した水酸化物、水酸基同士間の脱水縮合反応により生成した低分子量のオリゴマー(これはリニア構造、環状構造、架橋構造などいずれであってもよい)、水酸基と未加水分解のアルコキシ基による脱アルコール縮合反応生成物、これらがさらに脱水縮合反応して形成したゾル、及びゲルをいう。
本発明に用いられる表面修飾剤はいずれも、末端のNH2基又はCOOH基が、酸又は塩基と塩を形成したものであってもよい。また、本発明に使用する表面修飾剤は、ナノ粒子の表面全体を被覆していても、その一部に結合していてもよい。また、本発明において各表面修飾剤は、単独で用いても複数併用してもよい。
なお、上記表面修飾剤に加えて、公知の表面修飾剤(例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテルリン酸、ラウリルエーテルリン酸、トリオクチルホスフィン、トリオクチルホスフィンオキシド、ポリリン酸ナトリウム、ビス(2−エチルヘキシル)スルホこはく酸ナトリウムなど)がナノ粒子合成時、あるいは合成後共存させてもよい。
また、本発明におけるナノ粒子の表面有機層に、R1O−L1−基及びY−L2−基を形成可能であれば、上記表面修飾剤(I)〜(III)による表面修飾処理に限定されない。
[3]コア部
本発明におけるコア部としては、所定の励起光で蛍光発光する粒子であればよく、所謂ナノサイズの数平均粒径を有するものであれば如何なるものも含まれる。数平均粒径としては、好ましくは0.5〜100nmであり、より好ましくは0.5〜50nmであり、さらに好ましくは1〜10nmである。ナノ粒子の粒径分布は、変動係数で好ましくは0〜50%、より好ましくは0〜20%、さらに好ましくは0〜10%である。なお、変動係数は、算術標準偏差を数平均粒径で除し、これを百分率で表した値(算術標準偏差×100/数平均粒径)を意味する。
ナノ粒子として好ましいものは、金属酸化物又は金属硫化物のナノ粒子である。金属酸化物又は金属硫化物を構成する金属としては、例えば、ZnなどのIIB族、Y、Eu、TbなどのIIIA族、Ga、InなどのIIIB族、Zr、HfなどのIVA族、Si、GeなどのIVB族、V、NbなどのVA族、Mo、WなどのVIA族などが挙げられる。これらの中で生体にやさしいZnが特に好ましい。また、Zn2SiO4、CaSiO3、MgWO4、YVO4、Y2SiO5などの複合金属酸化物であってもよい。本発明におけるナノ粒子としては、安定に製造できること、毒性の懸念が少ないこと、安価に製造できること、粒子の単分散性が高いこと、強い発光が得られること、発光スペクトルの波長域が本目的に合致しやすいこと、の観点から、酸化亜鉛(ZnO)及び硫化亜鉛(ZnS)であることが特に好ましく、酸化亜鉛(ZnO)であることが最も好ましい。
さらに、これらの金属酸化物又は金属硫化物のナノ粒子は、構成する金属酸化物又は金属硫化物中の金属とは異なる金属イオンを少量含有せしめることも好ましい。該金属イオンとしては、Mn、Cu、Eu、Tb、Tm、Ce、Al、Agなどの金属イオンが挙げられる。これらの金属イオンは、塩化物イオンやフッ化物イオンを組み合わせた化合物としてドープされることも好ましい。ドープする金属イオンは1種類の原子も、複数種類の原子からなるものでもよい。該金属イオンの濃度は、ナノ粒子を構成する金属および、その種類によって最適量が異なるが、0.001〜10原子%の範囲が好ましく、0.01〜10原子%の範囲がより好ましい。
また本発明にかかるナノ粒子は、励起光とシグナル蛍光との分離、安価光源の利用、簡便な検出系構築の観点から、好ましくは紫外域の光で励起するものであり、より好ましくは250nm〜380nmの紫外光を励起光とする蛍光体ナノ粒子であることが好ましい。この励起光によって、可視域の光、より好ましくは400nm〜700nmの可視光を発するものであることが好ましい。可視光を発光することによって、可視域の蛍光色素を励起することができ、よりエネルギーが低く、反応性、特に生体に対して激しく反応することなく、蛍光色素を発色させることができる。
本発明におけるナノ粒子は、発光の半値幅が50〜200nmであることが好ましく、簡易な装置で高感度に発光を検出するためには、60〜180nmであることが好ましい。更に、蛍光標識材料としては発光ピーク波長と吸収ピーク波長が異なることが好ましく、高感度に発光を検出するためには、その発光ピーク波長が吸収端波長と20nm以上離れていることがより好ましく、50nm以上離れていることが特に好ましい。このような発光のピーク波長および半値幅を持つ蛍光体ナノ粒子は、金属酸化物又は金属硫化物の蛍光体ナノ粒子であって、当業者であれば、上記のように、構成する金属等を適宜選択することによって容易に得ることができる。
[4]ナノ粒子およびその分散液の製造方法
金属酸化物で構成されるナノ粒子は、含有される金属のアルコキシド、アセチルアセトナートなどの有機金属化合物を加水分解するゾル−ゲル法、該金属の塩の水溶液にアルカリを加えて水酸化物として沈降させた後、脱水、アニールする水酸化物沈殿法、該金属の上記プレカーサーの溶液を用いて、超音波を照射する超音波分解法、高温高圧下で分解反応を行なうソルボサーマル法、高温下に噴霧するスプレーパイロリシスなどの液相合成法により得ることができる。また、有機金属化合物を用いる熱CVD法やプラズマCVD法、該金属または該金属酸化物のターゲットを用いるスパッタ法やレーザーアブレーション法などの気相合成法によっても得ることができる。
金属硫化物で構成されるナノ粒子は、含有される金属のジエチルジチオカルバメート化合物などの熱分解性金属化合物をトリアルキルホスフィンオキシド類、トリアルキルホスフィン類、ω−アミノアルカン類などの高沸点有機溶媒中で結晶成長させるホットソープ法、該金属の塩の溶液に硫化ナトリウムや硫化アンモニウムなどの硫化物溶液を添加して結晶成長させる共沈法、界面活性剤を含む上記原料水溶液をアルカン類、エーテル類、芳香族炭化水素などの非極性有機溶媒中に逆ミセルとして存在させ該逆ミセル中で結晶成長させる逆ミセル法などの液相合成法により得ることができる。また、前記金属酸化物ナノ粒子の場合と同様の気相合成法によっても得ることができる。
上述した表面修飾剤は、ナノ粒子の合成時に添加することもできるが、好ましくは合成後に添加し、その少なくとも一部を加水分解することにより該ナノ粒子と結合して、ナノ粒子の表面の少なくとも一部を被覆(表面修飾)させる。なお、ナノ粒子は遠心分離やろ過などの常法により洗浄、精製後、本発明に用いられる表面修飾剤を含有する溶媒(好ましくはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2−エトキシエタノールなどの親水性有機溶媒)に分散させて被覆してもよい。
表面修飾剤の添加量は、ナノ粒子の粒子サイズ、粒子の濃度、表面修飾剤の種類(大きさ、構造)等により変動するが、第1の表面修飾剤は、金属酸化物又は金属硫化物等に対し、好ましくは0.001〜10倍モル、さらに好ましくは0.01〜2倍モルである。第2の表面修飾剤は、金属酸化物又は金属硫化物等に対して、水分散性の観点から好ましくは1〜200倍モル、更に好ましくは100〜200倍モルであり、第3の表面修飾剤は、第2の表面修飾剤に対して、水分散性の観点から好ましくは0.01〜1倍モル、被標識物質との反応性の観点から更に好ましくは0.1〜1倍モルである。
前述した通り、一般式(I)〜(III)で表される表面修飾剤以外に、公知の表面修飾剤を併用することができる。公知の表面修飾剤の添加量は、特に制限はないが、好ましくは金属酸化物又は金属硫化物等に対して、0.01〜100倍モル、さらに好ましくは0.05〜10倍モルである。
表面修飾剤が結合したナノ粒子の分散液において、ナノ粒子の濃度は、蛍光強度によって異なるので特に限定されないが、0.01mM〜1000mMが好ましく、より好ましくは0.1mM〜100mMである。分散媒としては、上記アルコール類の他、DMF、DMSO、THFなどの親水性有機溶媒や水が好ましい。
なお、ナノ粒子の表面が表面修飾剤で被覆されていることは、FE−TEM等の高分解性TEMで観察した際に粒子間に一定の間隔が認められること、および化学分析により確認することができる。
上述した本発明のナノ粒子は、好ましくは、上記の一般式(I)で表される第1の表面処理剤を用いて、前記コア部及び表面有機層で構成された前駆体粒子を形成すること、前記前駆体粒子に対して、上記の一般式(II)で表される第2の表面処理剤及び一般式(III)で表される第3の表面処理剤による表面処理を行って、R1O−L1−基及びY−L2−基で表される表面反応性基を形成すること、を含むことにより製造することができる。
このように第1の表面修飾剤によってコア部に対して表面処理を行って前駆体粒子(即ち、表面反応性基未形成粒子)を形成した後に、第2及び第3の表面修飾剤による表面修飾処理を行うことによって、効率よく本発明のナノ粒子を製造することができる。
このとき、第2及び第3の表面修飾剤による表面修飾処理は、同時に行ってもよく、いずれか一方を先に行ってもよい。
一般式(1)〜(3)で表される表面修飾剤で被覆された本発明のナノ粒子は、上記表面反応基を表面有機層に有しているので、その表面反応性基であるアミノ基やカルボキシル基などに対するアミド化反応等により、さらに、核酸(単量体やオリゴヌクレオチド等)、抗体(モノクローナルや、その他のタンパク質(アミノ酸)や多糖類などの被標識物質と反応して例えばペプチド結合を形成することにより、特定の生体内分子などに対する蛍光標識物質として作用することが可能になる。
被標識物質としては、生体中に検出されうる生体関連分子や、その他の関連分子を挙げることができ、このうち生体関連分子であることが好ましい。被標識物質としては、抗体、タンパク、ペプチド、酵素基質、ホルモン、リンフォカイン、代謝産物、レセプター、抗原、ハプテン、レクチン、アビジン、ストレプタビジン、トキシン、炭水化物、多糖類、核酸、デオキシ核酸、誘導核酸、誘導デオキシ核酸、DNAフラグメント、RNAフラグメント、誘導DNAフラグメント、誘導RNAフラグメント、天然薬物、ウイルス粒子、バクテリア粒子、ウイルス成分、イースト成分、血液細胞、血液細胞成分、バクテリア、バクテリア成分、天然若しくは合成脂質、薬物、毒薬、環境汚染物質、重合体、重合体粒子、ガラス粒子、プラスチック粒子、重合体膜などを含む物質を挙げることができ、このうち、タンパク質、抗体、ペプチドであることが好ましい。
表面有機層中の反応性基と結合する被標識物質上の反応性基としては、表面有機層中の反応性基との組み合わせに応じて特に制限されず、アミノ基及びSH基等を挙げることができるが、被標識物質として抗体を用いる場合には、SH基であることが好ましい。SH基を利用することによって、抗原認識部分の修飾を避けて、特異性を低下させることがなく、その上、非特異吸着の増加を回避することができる。また、ナノ粒子との結合に用いられるSH基としては、ヒンジ部のジスルフィドを開裂させることによって得られたSH基が、抗原認識部位とは無関係であって抗体の特異性を損なわないため、特に好ましい。
本明細書中で使用される場合、用語「抗体」はポリクローナル調製物およびモノクローナル調製物から得られる抗体を含む。
用語「モノクローナル抗体」は、異種抗体集団を有する抗体組成物をいう。この用語は、抗体の種類または供給源に関して制限されないし、これが作製される様式によって制限されることを意図しない。従って、この用語は、マウスハイブリドーマ、ならびにマウスハイブリドーマではなくヒトハイブリドーマを使用して得られたヒトモノクロナール抗体を含む。
機能的な抗体フラグメントは、抗体分子から、例えば、ペプシンを使用して、抗原結合を担っていない定常領域を切断することによって産出され得、F(ab’)2フラグメントを生成する。これらのフラグメントは、2つの抗原結合部位を含むが、重鎖の各々から定常領域の部分を欠く。同様に、Fabフラグメント(これは、単一の抗原結合部位を含む)は、例えば、パパインを用いるポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体の消化によって、産出され得る。機能的なフラグメント(重鎖および軽鎖の可変領域のみを含む)が、組替え産出または免疫グロブリン分子の優先的なタンパク質分解切断のような標準的な技術を使用して産出され得る。これらのフラグメントは、Fvとして公知である。
本発明で使用する抗体として好ましくはモノクローナル抗体であり、より好ましくはFab’フラグメントである。
本発明で使用する抗体として、血液診断に有効であれば特に好ましく、例えば抗AFP抗体、抗HBs抗体、抗HCV抗体、抗CRP抗体、抗TP抗体、抗CEA抗体、抗PSA抗体、抗テオフィリン抗体などを挙げることができる。
アミド化反応は、カルボキシル基あるいはその誘導基(エステル、酸無水物、酸ハロゲン化物など)とアミノ基の縮合により行なわれる。酸無水物や酸ハロゲン化物を用いる場合には塩基を共存させることが望ましい。カルボン酸のメチルエステルやエチルエステルなどのエステルを用いる場合には、生成するアルコールを除去するために加熱や減圧を行なうことが望ましい。カルボキシル基を直接アミド化する場合には、DCC、Morpho−CDI、WSCなどのアミド化試薬、HBTなどの縮合添加剤、N−ヒドロキシフタルイミド、p−ニトロフェニルトリフルオロアセテート、2,4,5−トリクロロフェノールなどの活性エステル剤などのアミド化反応を促進する物質を共存させたり、予め反応させておいてもよい。また、アミド化反応時、アミド化により結合させる親和性分子のアミノ基またはカルボキシル基のいずれかを常法に従って適当な保護基で保護し、反応後脱保護することが望ましい。
アミド化反応により被標識物質を結合したナノ粒子は、ゲルろ過などの常法により洗浄、精製後、水または親水性溶媒(好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、2−エトキシエタノールなど)に分散させて使用する。この分散液中のナノ粒子の濃度は、蛍光強度によって異なるので特に限定されないが、10-1M〜10-15Mが好ましく、より好ましくは10-2M〜10-10Mである。
また、タンパク質、抗体、ペプチドを被標識物質として用いる場合には、これらの分子中のSH基と、ナノ粒子表面の表面反応性基とを結合させることもできる。この場合には、ヒンジ法等を用いることによって容易に結合することができる。
この反応は、抗原認識部位とは無関係な、抗体ヒンジ部のジスルフィドを開裂させたSH基を利用する反応である。即ち、ペプシン処理をしてF(ab’)2を調整し、更に還元剤を加えジスルフィドを切断して得られたFab’のSH基とマレイミド基とを反応させることによって、結合することができる。
本発明は、水性媒体中で良好な分散性を有するとともに優れたコロイド安定性および光物理的安定性を有するので、種々の分野(生物学、分析化学およびコンビナトリアル化学、医療診断、および遺伝子分析を含む)において有用である。また、蛍光特定性を利用して、バイオ・医療の分野で検査試薬の他、蛍光試薬や発光素子として用いることができる。
[実施例1]
酸化亜鉛ナノ粒子の合成
酢酸亜鉛2水和物(5.49g,25mmol)に脱水エタノール(250ml)を加え、Dean-Steark脱水装置にて溶媒を留去しながら穏やかに2時間加熱還流を行った。留去された溶媒は150mlであった。白濁した反応液に再度脱水EtOHを150ml添加して加熱還流を行い、透明化した反応液を室温まで水冷した。
該反応液にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(25%メタノール溶液、11.4ml,28mmol)を添加して室温にて4時間攪拌した。
続いて3−アミノプロピルトリメトキシシラン(4.7ml,25mmol)と水(1.5ml,83.3mmol)を添加して60℃にて4時間攪拌を行った。反応開始7分後に白色固体が析出する。反応液を室温まで水冷した後、固体を吸引ろ過し、エタノールで洗浄した。得られた白色粉末を減圧下で乾燥すると表面がアミノ化された酸化亜鉛ナノ粒子が得られた。収量6.0g
上記粒子200mgを蒸留水10mlに溶解し、Sephadex G25を充填したカラムを用いてゲルろ過を行った。以降の反応は全て該脱塩水溶液を使用した。
本処方により合成したナノ粒子は10wt%でも透明な良好な分散状態を示す。粉末X線回折空間群P63mcに属する六方昌系(ウルツ鉱型)酸化亜鉛の標品とピークパターンが一致し、粒径はTEMによる測定で3nmであった。
以下、酸化亜鉛粒子の濃度は粒径3nmの酸化亜鉛の体積(14.13×10-273mol-1)、分子量(81.38)、および密度(5.67)から見積もることとした。
[実施例2]
酸化亜鉛ナノ粒子への水分散性の付与
0.1M HEPES(pH7.0)緩衝液1mlにWSC、N−ヒドロキシスクシンイミドをそれぞれ5mg加え、更にメトキシエトキシ酢酸を2.5×10-5mol添加して室温で反応させた。30分後、平均直径3nmの酸化亜鉛粒子表面をアミノプロピルシランで被覆したナノ粒子(濃度14mg/ml、milliQ水に分散)1mlを加え、室温で7時間反応させた。PD−10カラム(ファルマシアバイオサイエンス)でゲルろ過した。該粒子は無色透明な良好な水分散物(粒子分散物A)であった。
メトキシエトキシ酢酸の代わりに、メトキシエトキシエトキシ酢酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシブチル酸を用いて、粒子分散物B〜Dを得た。各粒子分散物の光学的性質について表1に示す。
Figure 2007112679
[実施例3]
酸化亜鉛ナノ粒子の親水化及びマレイミド化
HCl・NH2−PEG−COOH(MW.5000、炭素数226;NEKTAR社)50mgを0.1M(pH8.0)HEPES緩衝液1mlに溶解し、3.0mgのN−(2−マレイミドエチルオキシ)スクシミドを添加し室温で6時間反応させた。
平均直径3nmの酸化亜鉛粒子表面をアミノプロピルシランで被覆したナノ粒子(濃度14mg/ml、milliQ水に分散)1mlに0.1M HEPES(pH7.0)緩衝液1ml、上記マレイミド化溶液100μl(第3の表面修飾剤として0.001mmol)を加え、更にWSC、N−ヒドロキシスクシミドをそれぞれ5mg加えて室温で反応させた。30分後、メトキシエトキシ酢酸を2.5×10-5mol添加して3時間20分反応させた。PD−10カラム(ファルマシアバイオサイエンス)で精製し無色透明のマレイミド化酸化亜鉛ナノ粒子分散液(粒子分散液E)を得た。
メトキシエトキシ酢酸の代わりに、メトキシエトキシエトキシ酢酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシブチル酸を用いた粒子分散液F〜Hを得た。これらの粒子分散液の光学的性質について表2に示す。
Figure 2007112679
上述した本実施例によるナノ粒子の合成工程については、以下にその一例を示す。
Figure 2007112679
[実施例4]
酸化亜鉛ナノ粒子と抗テオフィリン抗体の連結
抗テオフィリン抗体をペプシン処理、メルカプトエチルアミン還元により精製したFab’分画溶液0.8ml(100mM HEPES緩衝液(pH6.0);0.96mg/ml)を、実施例3で調整したマレイミド化酸化亜鉛ナノ粒子分散液(4mg/ml)3.5mlと混合し4℃で一晩反応させた。攪拌した後、Sephadex G100(0.1M HEPES緩衝液(pH7.4)で溶離)でゲルろ過により精製、Fab’連結PEG化酸化亜鉛ナノ粒子を得た。
このように、本実施例では、蛍光体としての耐久性の高い半導体ナノ粒子と、炭素数が短い、PEG鎖以外の分散促進剤を用いることによって、高い反応性を維持した高機能蛍光体を得ることが可能になった。

Claims (9)

  1. コア部とその表面を被覆する表面有機層とで構成されたナノ粒子であって、
    表面有機層に、R1O−L1−基及びY−L2−基(式中、L1及びL2は、L1<L2の長さ関係を満たす二価の連結基を表す。R1は炭素数1から3のアルキル基又は水素原子を表す。Yは被標識物質と反応性を有する基を表す)で表される表面反応性基を有するナノ粒子。
  2. 前記表面有機層が、下記一般式(I)で表される第1の表面処理剤と、下記一般式(II)で表される第2の表面処理剤及び下記一般式(III)で表される第3の表面処理剤とによる表面処理によって形成されたものであることを特徴とする請求項1記載のナノ粒子。
    一般式(I)
    M−(R24
    一般式(II)
    1O−L1−X
    一般式(III)
    X−L2−Y
    (上記式中、MはSi又はTi原子を、R2は有機性基を示す。R2はそれぞれ同一でも異なっていてもよいが、R2のうちの少なくとも1つは他の有機性基と反応性を有する官能基を示す。L1及びL2は、L1<L2の長さ関係を満たす二価の連結基を表す。R1は炭素数1から3のアルキル基又は水素原子を表す。Xは一般式(I)中のR2と結合形成可能な基を表す。Yは被標識物質と反応性を有する基を表す。)
  3. 前記コア部が金属酸化物で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のナノ粒子。
  4. 1が炭素数1から4のアルキレン基又は炭素数2から10のポリオキシエチレン基、L2が炭素数50から300のポリオキシエチレン基である請求項1乃至3のいずれか1項記載のナノ粒子。
  5. 前記第2の表面処理剤が、メトキシエトキシ酢酸、メトキシエトキシプロピオン酸、メトキシエトキシブチル酸、メトキシエトキシエトキシ酢酸、メトキシエトキシエトキシプロピオン酸、メトキシエトキシエトキシブチル酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシブチル酸、3−ヒドロキシペンタン酸、3−ヒドロキシヘキサン酸及び3−ヒドロキシヘプタン酸から選択された少なくともひとつであることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載のナノ粒子。
  6. 前記第3の表面処理剤が、カルボキシ−PEG−アミン、カルボキシ−PEG−アルデヒド、カルボキシ−PEG−カルボン酸、カルボキシ−PEG−NHS、カルボキシ−PEG−マレイミド及びカルボキシ−PEG−チオールから選択された少なくともひとつであることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項記載のナノ粒子。
  7. 金属酸化物が酸化亜鉛であり、前記第1の表面処理剤がN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン及び3−アミノプロピルトリエトキシシランから選択された少なくともひとつであることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項記載のナノ粒子。
  8. 前記被標識物質が、生体関連分子であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のナノ粒子。
  9. コア部とその表面を被覆する表面有機層とで構成されたナノ粒子の製造方法であって、
    下記一般式(I)で表される第1の表面処理剤を用いて、前記コア部及び表面有機層で構成された前駆体粒子を形成すること、
    一般式(I)
    M−(R24
    (上記式中、MはSi又はTi原子を、R2は有機性基を示す。R2はそれぞれ同一でも異なっていてもよいが、R2のうちの少なくとも1つは他の有機性基と反応性を有する官能基を示す。)
    前記前駆体粒子に対して、下記一般式(II)で表される第2の表面処理剤及び下記一般式(III)で表される第3の表面処理剤による表面処理を行って、R1O−L1−基及びY−L2−基で表される表面反応性基を形成すること、
    一般式(II)
    1O−L1−X
    一般式(III)
    X−L2−Y
    (上記式中、L1及びL2は、L1<L2の長さ関係を満たす二価の連結基を表す。R1は炭素数1から3のアルキル基又は水素原子を表す。Xは粒子表面の官能基と結合形成可能な基を表す。Yは被標識物質と反応性を有する基を表す。)
    を含むことを特徴とするナノ粒子の製造方法。
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