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JP2007187841A - 画像表示装置 - Google Patents

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JP2007187841A JP2006005357A JP2006005357A JP2007187841A JP 2007187841 A JP2007187841 A JP 2007187841A JP 2006005357 A JP2006005357 A JP 2006005357A JP 2006005357 A JP2006005357 A JP 2006005357A JP 2007187841 A JP2007187841 A JP 2007187841A
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Abstract

【課題】サークルムラの発生を抑制して、表示性能の低下を抑えた画像表示装置を提供する。
【解決手段】ガラスまたは樹脂からなる基板と、前記基板の視認側に設けられた表側積層体と、前記基板の裏側に設けられた裏側積層体とを有するパネルと、該パネルの前記裏側積層体に隣接する光学部材とを備えた画像表示装置であって、前記表側積層体および裏側積層体は偏光子を含み、前記光学部材の前記裏側積層体に接する面の算術平均粗さ(Ra)が6μm以上であることを特徴とする画像表示装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、薄型ディスプレイ等の画像表示装置に関し、特にパソコン用モニター、テレビ等に用いられる液晶表示装置として有用な画像表示装置に関する。
液晶表示装置は、低電圧・低消費電力で小型化・薄膜化が可能など様々な利点から、パーソナルコンピューターや携帯機器のモニター、テレビ用途としての開発が進められており、最近ではそれに伴って大画面化が進んでいる。
また、液晶表示装置は、大画面化と同時に画像表示装置全体の薄型化が進行している。画像表示装置の薄型化は画像表示装置を薄いガラスや樹脂製の基板を備えたパネルで構成すること等で達成される。しかしながら、このような液晶パネルを高温・高湿下に曝した後、黒画面を表示した際、パネル(画面)に環状に光漏れする「サークルムラ」現象が発生し、表示性能上大きな問題となっている。
この際、パネルを観察すると、パネルに反りが発生しており、画像表示装置の表側(視認側)から観察した場合、パネル中央部がへこみ、縁部分が表側に反っている。
上述のパネルの反りは、本来反りを起こさないガラスまたは樹脂製の基板に対して、観察側とその裏側(以下、観察側に対しその裏側を単に「裏側」と称することがある。)とに積層された各種部材が、加熱や吸湿・放湿などによる膨張・収縮を起こし、観察側と裏側とで膨張・収縮差が生じることで、画像表示装置の表と裏との力のバランスが崩れ発生するものである。通常の画像表示装置は、パネルの観察側の表面が開放されているのに対し、裏面は筐体に組み込まれて準密閉状態となっている。このため、基板を挟んでいる表側積層体と裏側積層体とで加熱や吸湿・放湿量に差が生じ、そのために膨張・収縮にも差が生じて反りが発生していると思われる。
液晶表示装置を例にとると、液晶表示装置は、ガラス基板に液晶を封入した液晶セルの両側に偏光を作り出す偏光板を配置し、必要に応じて位相差板、反射防止フィルム、輝度向上膜等の各種光学素子を積層し、外周部を「ベゼル」と呼ばれるステンレス等の金属板からなる固定枠で固定して液晶モジュールとし、この液晶モジュールを他の構成部材と共に筐体内に組み立て、収納して製造される。
液晶表示装置の電源点灯時はバックライトで温度が上昇するなどの理由により、装置の表側(視認側)とバックライト側とで温度や湿度の差が生じることがある。この場合、液晶セルを境界に、偏光板を含んだ表側積層体とバックライト側の積層体とがさらされる温度や湿度の条件は異なっており、それぞれの積層体はこれらの条件の差の影響を受けると考えられる。パネルに反りが起こると、パネルの縁部分または四隅が筐体に接触するだけでなく、背面に設置されているバックライトヘの密着により表示性能上の問題も生ずる。さらには黒表示画面とした際にパネル(画面)の四隅がムラ状に光漏れする「コーナームラ」現象を起こし表示性能上非常に大きな問題となることもある。
環境変化によるパネルの反りを改善するために、特許文献1では液晶セルの両側に保護膜付き偏光子からなる偏光板を設け、さらに裏側の偏光板に輝度向上フィルムを積層した液晶表示装置において、表側の偏光板に用いる保護膜と裏側の偏光板に用いる保護膜との膜厚を変えている。しかしながら、表側に設けられる積層体の視認側の保護膜の厚みを薄くすると偏光子の湿度による劣化が進みやすく光学性能が低下するという問題があった。
特開2003−149634号公報
本発明は、パネルを高温、高湿下に曝した後、黒表示画面とした際に、パネル(画面)に環状に光漏れする「サークルムラ」現象の発生を抑制し、表示性能の低下を抑えた画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、液晶表示装置が高温高湿下に一定期間放置され、常温常湿下に取り出されバックライトを点灯し数時間経過すると、前記「サークルムラ」現象が発生するが、この時、特に高温高湿により強く曝された表側積層体が収縮を起こし、パネルの表と裏との力のバランスが崩れ、反りが生じていることを見出した。
さらに検討した結果、液晶表示装置が高湿下に放置された場合、表側積層体および裏側積層体部材は吸湿している。その後、常温常湿下でバックライトを点灯するとパネルの表側積層体は脱湿収縮するが、裏側積層体は周りが筐体等で囲まれているため脱湿、収縮が遅れ、表側(視認側)を上にして断面を観察すると凹に反っている。この時裏側積層体はバックライト側の部材に丸みをもった状態で接触する。
その後、裏側積層体のバックライト側の部材への非接触部は脱湿収縮するが接触部は空気が流通し難いため脱湿しにくく、収縮しない。このため、脱湿差による収縮力差により位相差が発生し、サークルムラが発生することを見出した。
上述の現象を踏まえ、さらに検討した結果、画像表示装置にパネルを組む場合に、裏側積層体のバックライト側の部材への接触部の空気の流通をよくするため、前記裏側積層体に隣接するバックライト側の光学部材の前記裏側積層体に接する面の算術平均粗さ(Ra)が6μm以上であるものを使用することによりサークルむらの発生を防止できることを見出した。
具体的には以下の手段により上述の課題を解決することができる。
(1)ガラスまたは樹脂からなる基板と、前記基板の視認側に設けられた表側積層体と、前記基板の裏側に設けられた裏側積層体とを有するパネルと、該パネルの前記裏側積層体に隣接する光学部材とを備えた画像表示装置であって、前記表側積層体および裏側積層体は偏光子を含み、前記光学部材の前記裏側積層体に接する面の算術平均粗さ(Ra)が6μm以上であることを特徴とする画像表示装置。
(2)前記光学部材の前記裏側積層体に接する面の算術平均粗さが7μm以上であることを特徴とする(1)に記載の画像表示装置。
(3)前記パネルの長辺が40cm〜350cmであることを特徴とする(1)または(2)に記載の画像表示装置。
(4)前記表側積層体と前記基板とが粘着剤層を介して貼り合わされており、前記粘着剤層の厚みが30μm〜100μmであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の画像表示装置。
(5)前記パネルの視認側の表面が開放されており、前記パネルの裏側が筐体で閉じられていることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の画像表示装置。
(6)前記基板が液晶セルであり、前記裏側積層体が光学補償フィルムを含むことを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の画像表示装置。
(7)前記表側積層体は、視認側に設けられた視認側保護膜、偏光子、基板側に設けられた基板側保護膜とをこの順に有し、前記視認側保護膜および前記基板側保護膜の少なくとも一方がセルロースアシレートからなることを特徴とする(6)に記載の画像表示装置。
(8)VA方式またはIPS方式の液晶表示モードを用いたことを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の画像表示装置。
(10)TN方式またはOCB方式の液晶表示モードを用いたことを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の画像表示装置。
本発明によれば、サークルむらの発生を抑制し、表示性能の低下を抑えた画像表示装置を提供することができる。
発明の実施の形態
以下に本発明の画像表示装置について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(画像表示装置の構成)
本発明の画像表示装置は、ガラスまたは樹脂からなる基板と、前記基板の視認側に設けられた表側積層体と、前記基板の裏側に設けられた裏側積層体とを有するパネルと、該パネルの前記裏側積層体に隣接する光学部材とを有する。
ここで、「前記裏側積層体に隣接する光学部材」とは、裏側積層体に隣接し、かつバックライト側にある光学部材である。具体的には、輝度向上フィルム、輝度上昇フィルム、光拡散シート、光拡散板、プリズムシートなどを例示することができる。
本発明の画像表示装置は、前記光学部材の前記裏側積層体に接する面の算術平均粗さ(Ra)が6μm以上である。前記光学部材の前記裏側積層体に接する面の算術平均粗さ(Ra)としては、7μm以上が更に好ましい。前記光学部材の前記裏側積層体に接する面の算術平均粗さ(Ra)が6μm未満であると、サークルむらが発生しやすくなる。前記光学部材の前記裏側積層体に接する面の算術平均粗さ(Ra)の上限としては特に限定はないが、70μm以下が好ましく、60μm以下が更に好ましい。本発明において「算術平均粗さ(Ra)」とは、JIS B 0601−2001に記述される式で規定する算術平均粗さを意味する。また、前記裏側積層体に隣接するバックライト側の光学部材の前記裏側積層体に接する面の算術平均粗さ(Ra)は、 触針式表面粗さ計等で測定することができる。
また、前記表側積層体および裏側積層体は偏光子を含む。前記表側積層体の偏光子には、その視認側に視認側保護膜を、また、基板側に基板側保護膜を設けることができる。また、前記視認側保護膜および前記基板側保護膜の少なくとも一方をセルロースアシレートで構成することが好ましい。
同様に前記裏側積層体の偏光子には、バックライト側にバックライト側保護膜を、また、基板側に基板側保護膜を設けることができる。また、前記バックライト側保護膜および前記基板側保護膜の少なくとも一方をセルロースアシレートで構成することが好ましい。
更に、本発明の画像表示装置は、バックライトを備えることが好ましい。前記バックライトしては公知のものを適宜用いることができる。
本発明の画像表示装置を構成するパネルには、必要に応じてその他の光学フィルムや機能層が設けられていてもよい。また、パネルは視認側の表面が開放され、且つ、裏面が筐体で閉じられるように画像表示装置に設置されることが好ましい。
またパネルとバックライトの間には必要に応じて輝度向上フィルム、光拡散シート等の各種光学部材が積層された構造を有する。
本発明の画像表示装置の構成例を図1に示す。図1において、本発明の画像表示装置は、筐体8にパネル1とバックライト側光学部材9を組み込んで構成されており、パネル1の視認側(紙面上方)の表面は開放されており、裏側(紙面下方のバックライト側)は、筐体8で密封されている。
パネル1は、表側積層体2と基板6と裏側積層体7とで構成されており、表側積層体2は、視認側保護膜3と、偏光子4と、基板側保護膜5とから構成されている。パネル1とバックライトの間には輝度向上フィルム、輝度上昇フィルム、光拡散シート、光拡散板、プリズムシート等から構成される光学部材9が積層され、裏側積層体に隣接するバックライト側の光学部材9の前記裏側積層体に接する面の算術平均粗さが6μm以上であることでサークルむらの発生を抑制することができる。
パネル1のサイズとしては特に限定はないが、長辺が40cm〜350cmであることが好ましく、45cm〜300cmが更に好ましく、50cm〜250cmが特に好ましい。
本発明の「液晶表示装置」は、基板となる液晶セルの両側に偏光板(表側積層体および裏側積層体)を配置し、必要に応じて位相差フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム等の各種光学素子が積層された構造を有する。本発明でいう基板は、液晶表示装置の場合には液晶セルに対応し、各積層体は偏光板、位相差フィルム、反射防止フィルム等の各種光学素子に対応する。
一般に、液晶表示装置は液晶パネルの外周部を「ベゼル」と呼ばれるステンレス等の金属板からなる固定枠で固定して液晶モジュールとし、この液晶モジュールを他の構成部材と共に筐体内に組み立て、収納して製造される。本発明においてもパネルの外周部をベゼル等の固定枠で固定して同様の構成で用いることができる。
(基板)
本発明の画像表示装置を構成する基板は、ガラスまたは樹脂(プラスチック)からなる。前記ガラスまたは樹脂は添加剤を含んでいてもよい。また前記基板は、ガラスまたは樹脂以外の構成要素を保持していてもよい。本発明でいう「基板」は液晶層を保持する板であることが好ましい。
前記基板としては、例えば、通常液晶セル用途に用いられているガラスや樹脂を構成要素として採用することができる。また、前記基板として液晶セルを用いる場合には、ガラスや樹脂からなるセル基板の間に液晶を封入することができる。また、液晶セルの両面には透明導電膜を設けることができ、さらに透明導電膜の表側(視認側)にはカラーフィルターを設けることができる。液晶表示装置を薄型化する観点からは、基板の厚みは、1mm以下が好ましく、0.7mm以下がさらに好ましく、0.5mm以下が最も好ましい。基板のサイズについては特に制限は無く、基板の面積が広い場合には液晶パネルの反りが発生しやすいことから、特に大画面の液晶表示装置で本発明を用いれば効果的である。
ここで、樹脂製の基板に用いることのできる素材としては、透明性と機械的強度とを有していればその材質は特に限定されず、従来公知のものを全て使用できる。前記樹脂製の基板に用いることのできる樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミド等の熱可塑性樹脂や、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル、ポリジアリルフタレート、ポリイソボニルメタクリレート等の熱硬化性樹脂などを挙げることができる。かかる樹脂は、1種または2種以上を用いることができ、他成分との共重合体や混合物として用いることもできる。
(表面側積層体および裏側積層体)
次に、本発明における表面側積層体および裏側積層体について説明する。前記表面積層体および裏側積層体は少なくとも偏光子を含み、偏光板として機能するものであることが好ましい。
本発明において、偏光板(表面側積層体および裏側積層体)の種類は本発明の効果を損なわないものであれば特に制限はないが、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、二色性を有するヨウ素または二色性染料で染色し、延伸して配向させた後に架橋、乾燥させた偏光子と、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等の保護膜とを貼り合わせて形成される吸収型偏光板を好ましく用いることができる。前記偏光子は光透過率や偏光度に優れるものが好ましい。表面側積層体および裏側積層体の光透過率は30%〜50%が好ましく、35%〜50%がさらに好ましく、40%〜50%であることが最も好ましい。表面側積層体および裏側積層体の偏光度は90%以上であることが好ましく、95%以上であることがさらに好ましく、99%以上であることが最も好ましい。30%以下の透過率、もしくは90%以下の偏光度の場合には画像表示装置の輝度やコントラストが低く、表示品位が低下する場合がある。偏光子の厚みは1〜50μmが好ましく、1〜30μmがさらに好ましく、8〜25μmであることが最も好ましい。
前記表面側積層体および裏側積層体の偏光子は、視認側に設けられた視認側保護膜、またはバックライト側に設けられたバックライト側保護膜と、基板側に設けられた基板側保護膜とを有することができる。また、前記視認側保護膜および前記基板側保護膜の少なくとも一方がセルロースアシレートからなることが好ましい。
本発明において偏光子と各保護膜との接着処理は、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルアルコール系ポリマーからなる接着剤、あるいは、ホウ酸やホウ砂、グルタルアルデヒドやメラミン、シュウ酸などのビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤から少なくともなる接着剤などを介して行うことができる。特に、ポリビニルアルコール系フィルムとの接着性が最も良好である点で、ポリビニルアルコール系接着剤を用いることが好ましい。かかる接着層は、水溶液の塗布乾燥層などとして形成しうるが、その水溶液の調製に際しては必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒も配合することができる。
各保護膜を形成する材料としては、光学性能透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるポリマーが好ましい。例えば、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマーなどが挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーを混合したポリマーも例として挙げられる。また本発明に用いられる各保護膜は、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の紫外線硬化型、熱硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
本発明では、各保護膜を形成する材料として、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を好ましく用いることができる。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン等が挙げられる。
また、各保護膜を形成する材料として、偏光子との貼合性に優れ、従来から偏光板の透明保護膜として用いられてきた、トリアセチルセルロースに代表されるセルロースアシレート等のセルロース系ポリマーを好ましく用いることもできる。
本発明に用いられる各保護膜は、熱可塑性のポリマー樹脂を熱溶融して製膜してもよいし、ポリマーを均一に溶解した溶液から溶液製膜(ソルベントキャスト法)によって製膜してもよい。熱溶融製膜の場合は種々の添加剤(例えば、光学的異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤など)を熱溶融時に加えることができる。一方、保護膜を溶液から調製する場合は、ポリマー溶液(以下、「ドープ」という。)には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、光学的異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤など)を加えることができる。添加剤の添加時期はドープ作製工程の何れの段階でも良く、ドープ調製工程の最後であってもよい。
偏光子の液晶セル側の保護膜(基板側保護膜)には光学補償フィルムを必要に応じて用いてもよい。前記光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置の斜め方向の視野角を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは、偏光板の保護膜そのものに光学性能を持たせた一体型、例えばトリアセチルセルロースアシレートフィルムに光学補償性能を持たせて偏光子の保護膜としたものでもよい。例えばトリアセチルセルロースフィルムにディスコティック液晶を塗布して、その後偏光板と一体化したものでもよい。
特に基板が液晶セルの場合に、裏側積層体が光学補償フィルムを含むことが好ましい。裏側積層体の光学補償フィルムは、表側積層体の部分で述べたものと同様の偏光板と一体化する型でもよいし、また、複数枚用いて貼りあわせたものでもよい。貼りあわせる光学補償フィルムとしては主にポリマーフィルムが好ましく用いられる。例えば面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムや、面方向に一軸に延伸され厚み方向にも延伸された厚み方向の屈折率を制御した傾斜配向ポリマーフィルムのような2方向延伸フィルムなどが用いられる。さらには傾斜配向フィルムも用いられる。例えばポリマーフィルムに熱収縮性フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理および/または収縮処理したものや液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。
光学補償フィルムを裏側積層体に設ける場合には、表側積層体の偏光子の液晶セル側の保護膜(基板側保護膜)に屈折率の異方性が小さい(面方向や厚み方向で異ならない)保護膜を用いてもよい。
視認側保護膜、バックライト側保護膜および基板側保護膜の厚みは20μm〜150μmが好ましく、30μm〜130μmが更に好ましい。
偏光子の視認側表面にはハードコートフィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム等を貼りあわせまたは表面処理によって適宜設ける場合がある。ハードコートフィルムまたはハードコート処理は、偏光子表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばシリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り性等に優れる硬化皮膜を、透明保護膜の表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止フィルムまたは反射防止処理(アンチリフレクション)は、偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、防眩フィルムまたは防眩処理(アンチグレア)はパネル(画面)の表面で外光が反射してパネルからの透過光の視認を阻害することの防止を目的に施されるものである。これらの機能は、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式等による粗面化方式や、透明微粒子を含有した塗工液をコーティングする方式などの適宜な方式にて、保護膜表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。
(粘着剤)
本発明の液晶表示装置においては、表側および裏側積層体を基板に貼り合わせる際には、粘着剤を含む粘着剤層を用いて接着されるのが一般的である。これらの粘着剤層は、アクリル系等の従来に準じた適宜な粘着剤にて形成することができる。吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着剤層であることが好ましい。
本発明の液晶表示装置においては、表側および裏側積層体を基板に貼り合わせる際に用いる粘着剤層の厚みは30μm〜100μmが好ましく、33μm〜70μmがより好ましく、34μm〜50μmがさらに好ましい。
前記粘着剤の素材としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤等の感圧系の粘着剤が好ましい。
アクリル系粘着剤の場合、そのベースポリマーであるアクリル系重合体に使用されるモノマーとしては、各種(メタ)アクリル酸エステル(ここで、「(メタ)アクリル酸エステル」とはアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを総称した表現であり、以下(メタ)の付く化合物名は同様の意味である。)を使用できる。かかる(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、フェニル(メタ)アクリレート等を例示でき、これらを単独もしくは組合せて使用できる。また、得られるアクリル系重合体に極性を付与するために、前記(メタ)アクリル酸エステルの一部に代えて(メタ)アクリル酸を少量使用することもできる。さらに、架橋性単量体として(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等も併用しうる。さらに所望により、(メタ)アクリル酸エステル重合体の粘着特性を損なわない程度において他の共重合可能な単量体、たとえば酢酸ビニル、スチレン等を併用しうる。
前記ゴム系粘着剤のベースポリマーとしては、例えば、天然ゴム、イソプレン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、再生ゴム、ポリイソブチレン系ゴム、スチレン−イソプレン−スチレン系ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン系ゴム等が挙げられる。
前記シリコーン系粘着剤のベースポリマーとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等が挙げられる。
ポリエーテル系粘着剤のベースポリマーとしては、例えば、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルブチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等が挙げられる。
本発明で用いる粘着剤は、例えば、前記ベースポリマー(a)に、分子量10万以下の化合物(b)をブレンドすることにより調製することができる。(a):(b)の割合(質量比)は、90:10〜20:80とするのがより好ましい。
前記分子量10万以下の化合物(b)としては、ベースポリマー(a)とブレンドした際に相溶性がよく、光学的に透明であり、ガラス転移点(Tg)が30℃以上のものが好ましい。たとえば、質量平均分子量10万以下の前記ベースポリマーと同様のポリマーであって、モノマー成分として例えば(メタ)アクリル酸メチルのようなTgの高い成分を多く用いたもの等が挙げられる。
また、本発明で用いる粘着剤には、架橋剤を含有させることができる。架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物、ポリアミン化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
さらに、本発明で用いる粘着剤には、必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を、本発明の目的を逸脱しない範囲でそれぞれ適宜使用することができる。これらの添加剤としては、従来から公知のものを適宜選択して使用することができる。
粘着剤層の形成方法は、特に制限されない。例えば、粘着剤の溶液を塗布して乾燥する方法、粘着剤層を設けた離型シートを用いて粘着剤層を転写する方法等の従来公知の方法が挙げられる。
画像表示装置に用いられる各層のサイズは、パネル(画面)の大きさに等しい。画像表示装置のパネルサイズに依存するが、実用的なサイズや製造上の観点から長辺の長さは10cm〜500cmであることが好ましい。より好ましくは20cm〜450cmであり、さらに好ましくは30cm〜400cm、とくに好ましくは40cm〜350cmである。大きさについては特に制限は無いが、面積が広ければ広いほど液晶パネルの反りが大きくなることから、特に大画面の液晶表示装置で本発明を用いれば効果的である。
本発明の画像表示装置は、様々な表示モードの液晶セルを用いて達成することができる。表示モードとして、IPS(In-Plane Switching)、VA(Vertical Aligned)、TN(Twisted Nematic)、OCB(Optically Compensated Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti-ferroelectric Liquid Crystal)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、前記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。
本発明の画像表示装置は、VA方式またはIPS方式の液晶表示モード、あるいは、TN方式またはOCB方式の液晶表示モードを用いることが好ましい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
(1)保護膜の作製
−透明フィルム試料101の作製−
アセチル置換度2.86のセルロースアセテート100質量部、トリフェニルフォスフェート(TPP)10質量部、メチレンクロライド(第1溶媒)400質量部、メタノール(第2溶媒)60質量部を、それぞれミキシングタンク内に投入して攪拌することにより溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。このセルロースアセテート溶液を濾過後、金属支持体上に流延し、100℃のテンターゾーンで保持して搬送後、130℃の乾燥ゾーンを30分間通して乾燥させ、透明フィルム試料101を作製した。
できあがった透明フィルム101の残留溶剤量は0.2%以下であり、膜厚は80μmであった。なお、上述のアセチル置換度とは、セルロースの2位、3位および5位の水酸基の水素原子がアセチル基で置換されている割合を示すものであり、2位、3位および5位のすべての水酸基の水素原子がアセチル基で置換されているときのアセチル置換度は3である。
(2)パネルの作製
前記透明フィルム試料101を、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、各透明フィルム試料の表面を表面処理した。
(ヨウ素系偏光板の作製)
厚み80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥することにより、厚み25μmの偏光子を得た。
厚み25μmの偏光子の両面に、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、前記表面処理した透明フィルム試料101を保護膜として貼り合せて、表側(視認側)および裏側(バックライト側)のヨウ素系偏光板を作製した。
次いで、厚み0.5mmのガラス基板を用いた横長辺40cm、縦短辺32cmのサイズのVA型液晶セルに表側は偏光板の偏光子の吸収軸の向きが、パネルの長辺方向と平行となるように、VA型液晶セルの裏側には偏光板の偏光子吸収軸が表側の偏光板の吸収軸と直交するように偏光板を厚さ27μmのアクリル系粘着剤を介して貼り合せて液晶パネルを作製した。
(3)バックライト側光学部材の作製
長辺40cm、短辺32cm、厚さが200μmのシートの片面に周期および深さがi)80μm、ii)56μm、iii)48μm、iv)40μm、v)32μmの鋸波状の凹凸を持つアクリル樹脂シートを射出成型で作るための金型を各々作製した。
得られた金型により作製したアクリルシートの凹凸がある面の表面の算術平均粗さを触針式表面粗さ計(商品名:サーフコーダ、小坂研究所製)で測定したところ各々、i)10μm、ii)7μm、iii)6μm、iv)5μm、v)4μmであった。尚、算術平均粗さは、JIS B 0601−2001に記載の方法で求めた。
(4)液晶表示装置の湿熱処理による評価
前記(2)のパネルの作製で作製したパネルを温度40℃、相対湿度90%の環境下で4日間放置した。
処理後、ガラス板上に前記(3)のバックライト側光学部材の作製で作製したアクリルシートの凹凸のある面を上にして置き、さらにその上に、前記パネルを置き、温度36℃、相対湿度30%の環境に移した。
その後ライトテーブル上に前記パネルを置き暗室で観察した結果、算術平均粗さ(Ra)が5μm以下のアクリルシート上のパネルではサークルむらが観察されたが、6μmのアクリルシート上のパネルではサークルむらは殆ど観察されなかった。また7μm以上のアクリルシート上のパネルではサークルむらは全く観察されなかった。
以上のように、本発明の画像表示装置は、サークルムラの発生が抑制されているため、表示性能の低下を効果的に抑えることができる。このため、環境変化が著しい条件下においても、優れた表示性能を維持することが可能である。したがって、本発明は産業上の利用可能性が高い。
本発明の画像表示装置の構成例を示す断面図である。
符号の説明
1 パネル
2 表側積層体
3 視認側保護膜
4 偏光子
5 基板側保護膜
6 基板
7 裏側積層体
8 筐体
9 バックライト側光学部材

Claims (9)

  1. ガラスまたは樹脂からなる基板と、前記基板の視認側に設けられた表側積層体と、前記基板の裏側に設けられた裏側積層体とを有するパネルと、該パネルの前記裏側積層体に隣接する光学部材とを備えた画像表示装置であって、前記光学部材の前記裏側積層体に接する面の算術平均粗さ(Ra)が6μm以上であることを特徴とする画像表示装置。
  2. 前記光学部材の前記裏側積層体に接する面の算術平均粗さが7μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 前記パネルの長辺が40cm〜350cmであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置。
  4. 前記表側積層体と前記基板とが粘着剤層を介して貼り合わされており、前記粘着剤層の厚みが30μm〜100μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  5. 前記パネルの視認側の表面が開放されており、前記パネルの裏側が筐体で閉じられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  6. 前記基板が液晶セルであり、前記裏側積層体が光学補償フィルムを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  7. 前記表側積層体が、視認側に設けられた視認側保護膜、偏光子、基板側に設けられた基板側保護膜とをこの順に有し、前記視認側保護膜および前記基板側保護膜の少なくとも一方がセルロースアシレートからなることを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
  8. VA方式またはIPS方式の液晶表示モードを用いたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  9. TN方式またはOCB方式の液晶表示モードを用いたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像表示装置。
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