以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明の第1実施形態から第9実施形態までの各実施形態が共通に適用される、動画撮影機能付のデジタルカメラについて説明する。
図1、および図2は、本発明の第1実施形態から第9実施形態までの各実施形態が共通に適用される、動画撮影機能付のデジタルカメラの外観斜視図である。
図1には、デジタルカメラ1の、撮影レンズが内蔵されたレンズ鏡胴10の沈胴状態が示されており、図2には、レンズ鏡胴10の繰出状態が示されている。これら図1および図2に示されているデジタルカメラ1が、本発明にいう撮影装置の一例に相当する。
図1および図2に示すデジタルカメラ1の正面上部には、補助光発光窓12およびファインダ対物窓13が配置されている。また、このデジタルカメラ1の上部には、シャッタボタン14と、撮影モード切換スイッチ15が備えられている。
このデジタルカメラ1では、撮影モード切換スイッチ15が、静止画撮影を表わすマーク15aにセットされると、撮影モードが静止画撮影モードとなり、撮影者がシャッタボタン14を押下すると静止画が撮影される。また、撮影モード切換スイッチ15が、動画撮影を表わすマーク15bにセットされると、撮影モードが動画撮影モードとなり、撮影者がシャッタボタン14を押下してから離すまで動画が撮影される。
このデジタルカメラ1の、図示しない背面には、ズーム操作スイッチや十字キーなどといった各種スイッチや、画像やメニュー画面を表示するLCD(液晶ディスプレイ)が備えられている。ズーム操作スイッチを所定時間押下し続けると、撮影画角を調整するためのズーム操作モードに入り、十字キーの‘上’キーを押し続けている間、後述の撮影レンズが望遠側(テレ側)に移動し、十字キーの‘下’キーを押し続けている間、撮影レンズが広角側(ワイド側)に移動する。
図3は、デジタルカメラ1の、沈胴状態にあるレンズ鏡胴10を光軸に沿って切断した断面図であり、図4は、デジタルカメラ1の、撮影レンズがワイド状態にあるレンズ鏡胴10を光軸に沿って切断した断面図であり、図5は、デジタルカメラ1の、撮影レンズがテレ状態にあるレンズ鏡胴10を光軸に沿って切断した断面図である。
レンズ鏡胴10の内部空間には、前方から順に、前群レンズ(第1レンズ群)21、後群レンズ(第2レンズ群)22、およびフォーカスレンズ(第3レンズ群)23の3群が光軸を揃えて並べられてなる撮影レンズ20が収容されている。撮影レンズ20は、後群レンズ22が図4に示すワイド端と図5に示すテレ端との間で光軸に沿って移動することにより焦点距離が変化し、フォーカスレンズ23が光軸に沿って移動することによりピント調節が行われる構成となっている。前群レンズ21のさらに前方には、有害光を遮るフレア防止板70が配置され、前群レンズ21と後群レンズ22との間には、被写体光の光量を調整する絞りユニット30が配置され、撮影レンズ20の後方には、被写体光を読み取るCCD40が配置されている。ここで、上記の撮影レンズ20が、本発明の光調整装置における光調整レンズの一例に相当し、上記のフォーカスレンズ23が、本発明の撮影装置におけるレンズの一例に相当し、上記のCCD40が、本発明の撮影装置における撮影素子の一例に相当する。また、上記のフォーカスレンズ23と上記のCCD40とを合わせたものが、本発明にいう調整対象の一例に相当する。
絞りユニット30には、図4および図5に示すように、撮影レンズ20の光軸を取り囲む孔が穿たれた開口板32と、開口板32の孔を絞るように塞いで開口量を調整する絞り羽根31とが備えられている。また、絞りユニット30には、その背面から後方に突出するガイドロット24と、ガイドロット24の後端を塞ぐストッパ24aも設けられており、ガイドロット24は、後群レンズ22を保持している後群レンズ保持枠25を、光軸方向にスライド可能に貫通している。さらに、絞りユニット30と後群レンズ保持枠25との間にはコイルばね26が縮装されており、絞りユニット30は、後群レンズ22と後群レンズ保持枠25とで構成された後群レンズユニット27に対し、前方へばね付勢された態様で光軸に沿って移動可能に保持されている。レンズ鏡胴10の沈胴時には、図4および図5に示す絞り羽根31が開放され、絞りユニット30がコイルばね26を圧縮しながら後群レンズユニット27側に移動することによって、開口板32の孔に後群レンズユニット27が入り込む。これにより、デジタルカメラ1の薄型化が図られている。
また、レンズ鏡胴10には、カメラボディに固定された固定筒50と、その固定筒50に対し回転自在な駆動筒52が備えられている。この駆動筒52は、固定筒50の外周面に周方向に形成された突条50aが、駆動筒52の内周面に設けられた溝に係入していることにより、固定筒50に対して光軸方向の移動が規制されている。駆動筒52の外周面にはギア51が設けられており、このギア51にモータ(図示しない)からの回転駆動力が伝達されて、駆動筒52が回転する。
駆動筒52には、さらに、光軸方向に延びるキー溝52aが設けられており、このキー溝52aには、回転移動筒53に固設されたピン状のカムフォロワ54が、固定筒50に設けられた螺旋状のカム溝を貫通して係入している。したがって、駆動筒52が回転すると、回転移動筒53は、回転しながら上記カム溝に沿って光軸方向に移動する。
回転移動筒53の内側には、直進移動枠55が設けられている。この直進移動枠55は、回転移動筒53に対し相対的回転が自在に係合しているとともに、固定筒50のキー溝50bに係入することにより回転が規制されている。したがって、駆動筒52の回転に伴って回転移動筒53が回転しながら光軸方向に移動すると、直進移動枠55は回転移動筒53の移動に伴って光軸方向に直線的に移動する。
上述した後群レンズ22を保持している後群レンズ保持枠25には、ピン状のカムフォロワ63が固設されている。このカムフォロワ63は、回転移動筒53のカム溝に係入しているとともに、直進移動枠55の光軸方向に延びるキー溝55aにも係入していることにより、駆動筒52の回転に伴って回転移動筒53が回転しながら光軸方向に移動すると、後群レンズユニット27が回転移動筒53のカム溝の形状に沿って、光軸方向に直進移動する。
また、上述したように、絞りユニット30は、コイルばね26により前方に付勢された態様でレンズユニット27に取り付けられているため、その絞りユニット30が後群レンズユニット27とともに光軸方向に移動する。
さらに、このレンズ鏡胴10には、前群レンズ21を保持する直進移動筒56が備えられている。この直進移動筒56は、それに固設されたカムフォロワ57が回転移動筒53のカム溝に係入しているとともに、直進移動枠55の、光軸方向に延びるキー溝55aにも係入している。したがって、駆動筒52の回転に伴って回転移動筒53が回転しながら光軸方向に移動すると、直進移動筒56は、カムフォロワ57が係入している回転移動筒53のカム溝の形状に沿って、光軸方向に直進移動する。
このようにしてレンズ鏡胴10の繰り出しが行なわれ、また、駆動筒52が逆方向に回転することによりレンズ鏡胴10の沈胴が行われる。
また、回転移動筒53は、レンズ鏡胴10の繰出しが完了した後も、前群レンズ21の位置を保持したままさらに回転することができ、このとき、後群レンズユニット27は、回転移動筒53のカム溝に沿って光軸方向に移動し、これにより撮影画角(すなわち、焦点距離)の調整が行なわれる。図4には、レンズ鏡胴10の繰出しが完了した状態が示されており、このときには撮影レンズ20はワイド状態にある。また、図5には、繰出し完了後に回転移動筒53がさらに回転して、撮影レンズ20がテレ状態になるまで後群レンズユニット27が移動した状態が示されている。
また、撮影レンズのうちのフォーカスレンズ23は、図3から図5では図示が省略されている、本発明の駆動装置の一例によって光軸方向に動かされ、これによりピント調整が行なわれる。ここで、このピント調整は、後述するように、CCD40で読み取った被写体像のコントラストが明瞭となるようにフォーカスレンズ23を動かすことによって行なわれる。このフォーカスレンズ23の駆動については、後に詳細に説明する。
続いて、デジタルカメラ1の内部構成について説明する。
図6は、図1に示すデジタルカメラ1の概略的な内部構成図である。
尚、この図6に示す内部構成は、本発明の9種類の実施形態のうち第1実施形態から第7実施形態について共通に適用される構成である。
この図6に示す内部構成では、デジタルカメラ1は、すべての処理がメインCPU110によって制御されている。このメインCPU110には、デジタルカメラ1に備えられた各種スイッチ(この各種スイッチには、図1に示すシャッタボタン14や、撮影モード切換スイッチ15、ズーム操作スイッチ、および十字キーなどが含まれ、以下では、これらを合わせてスイッチ群101と称する)からの操作信号がそれぞれ供給されている。メインCPU110は、EEPROM110aを有しており、このEEPROM110aには、デジタルカメラ1で各種処理を実行するために必要な各種プログラムが書き込まれている。スイッチ群101に含まれる電源スイッチ(図示しない)が投入されると、電源102からデジタルカメラ1の各種要素に電力が供給されるとともに、メインCPU110によって、EEPROM110aに書き込まれたプログラム手順に従ってデジタルカメラ1全体の動作が統括的に制御される。
まず、図6を参照して画像信号の流れを説明する。
撮影者が、デジタルカメラ1の背面に設けられた十字キー(図示しない)を使って撮影画角を指示すると、その指示された撮影画角がスイッチ群101からメインCPU110に伝えられ、さらに、メインCPU110を介して光学制御CPU120に伝えられる。尚、これらメインCPU110と光学制御CPU120との間では、バス140を介してデータが送受信されるのではなく、CPU間通信によって高速にデータが送受信される。光学制御CPU120は、鏡胴/ズーム用モータ181を制御することで、図4および図5に示すようにレンズ鏡胴10を繰り出し、さらに、後群レンズ22を伝えられた撮影画角に応じた位置に移動させる。
また、光学制御CPU120は、フォーカス用モータ182を制御することでフォーカスレンズ23を光軸に沿う方向に移動させ、絞り用モータ183を制御することで絞りユニット30の絞り羽根31を動かす。さらに、光学制御CPU120は、高分子アクチュエータ500を制御することでフォーカスレンズ23を光軸に沿う方向に微小に移動させる。
この図6に示す内部構成を有するデジタルカメラ1では、フォーカスレンズ23の駆動モードとして、フォーカス用モータ182によるフォーカスの粗い調整のための駆動と、高分子アクチュエータ500によるフォーカス微調整のための駆動と、高分子アクチュエータ500によるウォブリングとの3つの駆動モードが用意されている。フォーカスレンズ23をこれら3つの駆動モードのうちのいずれの駆動モードで駆動するかは、駆動モード設定部191で設定され、光学制御CPU120は、その設定された駆動モードに従って、フォーカスレンズ23の駆動の切換えを行なう。
ここで、高分子アクチュエータ500は、第1実施形態から第7実施形態までの各実施形態に対応する、本発明にいう高分子アクチュエータの7種類の例を抽象的にまとめて示したものであり、これら7種類の各例については、後に詳細に説明する。また、フォーカス用モータ182は、それぞれ本発明にいう駆動部の一例に相当し、フォーカス用モータ182と高分子アクチュエータ500と電圧印加部600と光学制御CPU120とを合わせたものが、本発明にいう駆動装置の一例に相当する。
被写体光は、フレア防止板70、撮影レンズ20、および絞りユニット30を通ってCCD40上に結像され、CCD40において、被写体像を表わす画像信号が生成される。生成された画像信号は、A/D部131において粗く読み出され、アナログ信号がデジタル信号に変換されて、低解像度なスルー画像データが生成される。生成されたスルー画像データは、ホワイトバランス・γ処理部133において、ホワイトバランスの補正やγ補正などといった画像処理が施される。ここで、このスルー画像データの生成の段階では、駆動モード設定部191において、フォーカスレンズ23の駆動モードは、フォーカス用モータ182による駆動に設定されており、その駆動モードを受けた光学制御CPU120の制御によって、フォーカスレンズ23は、フォーカス用モータ182によって駆動される。
CCD40には、クロックジェネレータ132からタイミング信号が供給されており、このタイミング信号に同期して、所定の間隔ごとに、画像信号が生成される。このクロックジェネレータ132は、光学制御CPU120を介して伝えられるメインCPU110からの指示に基づいてタイミング信号を出力しており、そのタイミング信号は、CCD40の他、後段のA/D部131、およびホワイトバランス・γ処理部133にも供給されている。したがって、CCD40、A/D部131、およびホワイトバランス・γ処理部133では、クロックジェネレータ132から発せられるタイミング信号に同期して順序良く画像信号の処理が流れるように行われる。
ホワイトバランス・γ処理部133において画像処理が施された画像データは、一旦バッファメモリ134に記憶される。バッファメモリ134に記憶された低解像度なスルー画像データは、古い時刻に記憶されたスルー画像データから先に、バス140を経由してYC/RGB変換部138に供給される。スルー画像データはRGB信号であるため、YC/RGB変換部138では処理が行われずに、そのままドライバ139を介して画像表示LCD160に伝えられ、画像表示LCD160上に、スルー画像データが表わすスルー画像が表示される。ここで、CCD40では、所定のタイミング毎に被写体光が読み取られて画像信号が生成されているため、この画像表示LCD160には、撮影レンズが向けられた方向の被写体が被写体像として常に表示され続ける。
また、A/D部131で生成されたスルー画像データは、積算回路194にも供給される。
図7は、積算回路194の詳細を示すブロック図である。
この積算回路194は、A/D部131から渡された画像データに基いて、被写体像における輝度成分の積算と、高周波成分の抽出および積算とを行なうものであり、輝度成分用ビット数制限回路1941と、輝度成分積算回路1942と、LUT1943と、高周波成分用ビット数制限回路1944と、フィルタ回路1945と、高周波成分積算回路1946とを備えている。
A/D部131から渡された画像データが、輝度成分用ビット数制限回路1941に入力されると、その画像データのビット精度が、予め設定されている輝度成分用のビット精度に変更される。そして、輝度成分積算回路1942において、そのビット精度が変更された画像データに基いて、その画像データが表わす被写体像の輝度成分が検出され積算されることで、後述のAE処理のためのAEデータが取得され、そのAEデータがメインCPU110を介して光学制御CPU120に伝えられる。
また、A/D部131から渡された画像データは、LUT1943を介して高周波成分用ビット数制限回路1944にも入力される。そして、高周波成分用ビット数制限回路1944において、その画像データのビット精度が、ビット精度指示回路193から指示されたビット精度に変更される。続いて、そのビット精度が変更された画像データに基いて、フィルタ回路1945において、その画像データが表わす被写体像の高周波成分が、フィルタ指示回路192から指示されたフィルタを使って抽出される。ここで、ビット精度指示回路193によるビット精度の指示、および、フィルタ指示回路192によるフィルタの指示は、駆動モード設定部191で設定される駆動モードに応じて行なわれる。上述したように、スルー画像データの生成の段階では、駆動モードは、フォーカス用モータ182による駆動に設定されており、その駆動モードに応じたフィルタおよびビット精度が、積算回路194に指示される。抽出された高周波成分が、高周波成分積算回路1946において積算されることで、後述のAF処理に使われるAFデータが取得され、そのAFデータがメインCPU110を介して光学制御CPU120に伝えられる。
光学制御CPU120は、メインCPU110から伝えられたAEデータに応じて絞りユニット30の絞り値を調整する(AE処理)。
また、光学制御CPU120は、フォーカスレンズ23をメインCPU110から伝えられたAFデータのピークが得られるレンズ位置に移動させるように、フォーカス用モータ182を制御する(AF処理)。
上記の積算回路194は、本発明にいうコントラスト検出部の一例に相当する。
ここで、撮影モード切換スイッチ15によって撮影モードが静止画撮影モードにセットされた状態で、画像表示LCD160に表示されたスルー画像を確認しながら、撮影者が図1に示すシャッタボタン14を半押しすると、シャッタボタン14が半押しされたことがメインCPU110に伝えられ、さらに、光学制御CPU120に伝えられる。すると、光学制御CPU120からの指示に従って、CCD40で生成された画像信号がA/D部131において細かく読み出され、高解像度な撮影画像データが生成される。そして、この撮影画像データに基いて、後述する撮影用のAF処理が実行される。
上記の半押しに続いて、シャッタボタン14が全押しされると、その旨がメインCPU110に伝えられ、さらに、光学制御CPU120に伝えられる。被写体が暗いときには、光学制御CPU120からLED発光制御部150に発光指示が伝えられ、シャッタボタン14の全押しに同期してLED151から図1の補助光発光窓12を通して閃光が発せられる。そして、光学制御CPU120からの指示に従って撮影画像データの生成が行なわれ、生成された撮影画像データは、ホワイトバランス・γ処理部133で画像処理が施されて、バッファメモリ134に記憶される。
バッファメモリ134に記憶された撮影画像データは、YC処理部137に供給されて、RGB信号からYC信号に変換される。YC信号に変換された撮影画像データは、圧縮・伸張部135において圧縮処理が施され、圧縮された撮影画像データがI/F136を介してメモリカード170に記憶される。メモリカード170に記憶された撮影画像データは、圧縮・伸張部135において伸張処理が施された後、YC/RGB変換部138においてRGB信号に変換され、ドライバ139を介して画像表示LCD160に伝えられる。画像表示LCD160には、撮影画像データが表わす撮影画像が表示される。
また、撮影モード切換スイッチ15によって撮影モードが動画撮影モードにセットされた状態で、画像表示LCD160に表示されたスルー画像を確認しながら、撮影者が図1に示すシャッタボタン14を全押しすると、その旨がメインCPU110に伝えられ、さらに、光学制御CPU120に伝えられる。すると、CCD40で生成された画像信号が、シャッタボタン14が全押しされている間中、A/D部131において細かく読み出されて高解像度な撮影画像データが繰返し生成される。この撮影画像データの生成は、シャッタボタン14が離されるまで続けられ、その間に生成される撮影画像データは、ホワイトバランス・γ処理部133で画像処理が施されて、バッファメモリ134に記憶される。シャッタボタン14が全押しされている間中に記憶された各撮影画像データは、上記の静止画撮影モードの時と同様の過程を経てメモリカード170に記憶される。また、各撮影画像データが表わす撮影画像が順次に画像表示LCD160に表示されることで、撮影された動画が表示される。また、シャッタボタン14が全押しされている間中は、その間に生成される撮影画像データに基いて、上記の静止画撮影モードの時と同様のAF処理が実行され続ける。
デジタルカメラ1は、以上のように構成されている。
次に、静止画撮影モードと動画撮影モードにおいて共通に実行されるAF処理について説明する。尚、以下の説明では、図1から図7に示す構成要素については特に図番を断らずに参照する。
図8は、AF処理を示すフローチャートである。
この図8のフローチャートが示すAF処理は、撮影モードが静止画撮影モードにセットされているときにはシャッタボタン14が半押しされると開始され、撮影モードが動画撮影モードにセットされているときにはシャッタボタン14が全押しされると開始される。
AF処理が開始されると、まず、駆動モード設定部191が、フォーカスレンズ23の駆動モードを、フォーカス用モータ182によるフォーカスの粗い調整のための駆動と、高分子アクチュエータ500によるフォーカス微調整のための駆動と、高分子アクチュエータ500によるウォブリングとの3つの駆動モードのうち、フォーカス用モータ182による駆動に設定する(ステップS101)。この設定を受けて、フィルタ指示回路192が、積算回路194に、フォーカス用モータ182による駆動に応じたモータ駆動用のフィルタを指示し(ステップS102)、ビット精度指示回路193が、積算回路194に、フォーカス用モータ182による駆動に応じたビット精度を指示する(ステップS103)。
ここで、積算回路194は、各駆動モードに応じた3つのバンドパスフィルタを有しているが、ステップS102で指示されるモータ駆動用のフィルタは、3つのバンドパスフィルタのうちで最も帯域幅の広いものである。また、積算回路194は、各駆動モードに応じた、3種類のビット精度による処理が可能であるが、ステップS103で指示されるモータ駆動用のビット精度は、3種類のビット精度のうちで最も精度の低いものである。
フィルタが指示され(ステップS102)、ビット精度が指示(ステップS103)されると、その時点にA/D部131において生成された撮影画像データに基いて、その時点における被写体像の高周波成分が、ステップS103で指示されたビット精度で、ステップS102で指示されたフィルタを使って抽出され積算されてAFデータが取得される(ステップS104)。次に、フォーカス用モータ182にフォーカスレンズ23を駆動させる(ステップS105)。
駆動後には、再度AFデータが取得され、駆動の前後におけるAFデータの差が、フォーカス用モータ182による粗い駆動に対応した広めの許容範囲内に収まっているか否かが判定される(ステップS106)。
ステップS106において、駆動の前後におけるAFデータの差が許容範囲内に収まっていないと判定された場合(ステップS106におけるNo判定)には、ステップS105まで処理が戻り、フォーカスレンズ23がフォーカス用モータ182によって駆動される。このフォーカス用モータ182による駆動は、駆動の前後におけるAFデータの差が許容範囲内に収まるまで(ステップS106におけるYes判定)繰り返される。
このフォーカス用モータ182による粗い駆動が終了すると、駆動モード設定部191が、フォーカスレンズ23の駆動モードを、高分子アクチュエータ500によるフォーカス微調整のための駆動に設定する(ステップS107)。この設定を受けて、フィルタ指示回路192が、積算回路194に、高分子アクチュエータ500による駆動に応じたフィルタを指示し(ステップS108)、ビット精度指示回路193が、積算回路194に、高分子アクチュエータ500による駆動に応じたビット精度を指示する(ステップS109)。
ステップS108で指示されるフィルタは、積算回路194が有している3つのバンドパスフィルタのうち、帯域幅の広さが中間のものである。また、ステップS109で指示されるビット精度は、積算回路194が処理可能な3種類のビット精度のうち、精度が中間のものである。
このように、フィルタが指示され(ステップS108)、ビット精度が指示(ステップS109)されると、その時点にA/D部131において生成された撮影画像データに基いて、その時点における被写体像の高周波成分が、ステップS109で指示されたビット精度で、ステップS108で指示されたフィルタを使って抽出され積算されてAFデータが取得される(ステップS110)。
次に、取得されたAFデータに基いて、現時点での合焦状態が、フォーカス用モータ182による駆動で得られた粗い合焦状態以下に崩れていないか否かが判定される(ステップS111)。このステップS111において、AFデータが大きく変動して合焦状態が崩れてしまっていると判定された場合(ステップS111におけるYes判定)には、駆動モード設定部191が、フォーカスレンズ23の駆動モードを、フォーカス用モータ182による駆動に設定し直し(ステップS112)、その後の処理はステップS102まで戻る。
一方、現時点での合焦状態が粗い合焦状態以下に崩れていないと判定された場合(ステップS111におけるNo判定)には、光学制御CPU120が、高分子アクチュエータ500にフォーカスレンズ23を駆動させる(ステップS113)。
駆動後には、再度AFデータが取得され、高分子アクチュエータ500による駆動の前後におけるAFデータの差が、高分子アクチュエータ500による厳密な駆動に対応した厳密な許容範囲内に収まっているか否かが判定される(ステップS114)。
ステップS114において、駆動の前後におけるAFデータの差が許容範囲内に収まっていないと判定された場合(ステップS114におけるNo判定)には、ステップS111まで処理が戻る。そして、上述したこのステップS111以降の処理が、AFデータのピーク値が得られるまで(ステップS114におけるYes判定)繰り返される。
この高分子アクチュエータ500による厳密な駆動が終了すると、駆動モード設定部191が、フォーカスレンズ23の駆動モードを、高分子アクチュエータ500によるウォブリングに設定する(ステップS115)。この設定を受けて、フィルタ指示回路192が、積算回路194に、ウォブリング用のフィルタを指示し(ステップS116)、ビット精度指示回路193が、積算回路194に、ウォブリングに応じたビット精度を指示する(ステップS117)。
ここで、ステップS116で指示されるフィルタは、積算回路194が有している3つのバンドパスフィルタのうち、帯域幅が最も狭いものである。また、ステップS117で指示されるビット精度は、積算回路194が処理可能な3種類のビット精度のうち、精度が最も高いものである。
フィルタが指示され(ステップS116)、ビット精度が指示(ステップS117)されると、高分子アクチュエータ500によって、フォーカスレンズ23を光軸に沿って、次のよう距離範囲内で微小に振動させるウォブリングが開始される(ステップS118)。例えば、フォーカスレンズ23の移動によって、点の像に対する合焦状態が得られると、その点の像は、ぼけが最も少ない円の像、即ち最小錯乱円の像に結像される。ここで、この最小錯乱円の像は、光学的な原理によって、フォーカスレンズ23がある程度の微小な距離範囲内で光軸に沿って動かされても維持される。このため、この微小な距離範囲内でのフォーカスレンズ23の動きと同程度に小さい動きであれば、一般的に合焦状態が維持されると考えられる。上記のステップS118において開始されるウォブリングでは、フォーカスレンズ23は、この最小錯乱円が維持される距離範囲の広さに相当する広さの距離範囲内で微小に振動され、CCD40上に結像された被写体の像に対する合焦状態が維持される。
ステップS118によってウォブリングが開始されると、ステップS119によって、ウォブリングによるAFデータの変動量が取得される。
AFデータ、即ち被写体像の高周波成分の積算結果は、フォーカスレンズ23の光軸に沿った移動に対して山形に変化し、その山形におけるピークが合焦状態に相当する。その結果、ウォブリング中は、フォーカスレンズ23が合焦状態に対応する位置の近傍で振動されているときにはAFデータの変動量が殆どゼロとなり、この合焦状態が崩れるに従って変動量が増加する。このデジタルカメラ1では、高分子アクチュエータ500による厳密な駆動でAFデータのピークが得られた状態を合焦状態とみなし、その後は、ウォブリングが行なわれ、そのウォブリング中のAFデータの変動量が監視されることで、合焦状態が維持されているか否かが監視される。
即ち、ステップS119では、取得されたAFデータの変動量が、許容範囲内であれば(ステップS119において変動量が微小の場合)、合焦状態が維持されているとみなされる。
また、取得されたAFデータの変動量が、高分子アクチュエータ500による駆動で補正可能な範囲内である場合(ステップS119において変動量が小の場合)、まず、ウォブリングが停止され(ステップS120)、駆動モードが高分子アクチュエータ500による駆動に設定され(ステップS121)、高分子アクチュエータ500による駆動に応じたフィルタが指示され(ステップS122)、さらに、高分子アクチュエータ500による駆動に応じたビット精度が指示され(ステップS123)、その後に、処理がステップS113まで戻り、フォーカスレンズ23が高分子アクチュエータ500によって駆動されて合焦状態が補正される。
一方、AFデータの変動量が大きく、合焦状態が大きく崩れてしまっている場合(ステップS119において変動量が中以上の場合)、ウォブリングが停止され(ステップS124)、駆動モードがフォーカス用モータ182による駆動に設定され(ステップS125)、その後に、処理がステップS102まで戻り、フォーカスレンズ23に対するフォーカス用モータ182の駆動と高分子アクチュエータ500の駆動とを経て合焦状態が補正される。
デジタルカメラ1では、以上に説明したステップS125までの処理により、合焦状態が得られ、その得られた合焦状態が維持される。
そして、ステップS126において、撮影の終了が確認されると(ステップS126におけるYes判定)、ウォブリングが停止されて(ステップS127)、この図8のフローチャートが示すAF処理が終了する。ここで、静止画撮影モードでは、半押し状態であったシャッタボタン14が全押しされたこともって撮影が終了されたとみなされる。また、動画撮影モードでは、シャッタボタン14が全押しされている状態がそのまま撮影中であり、そのシャッタボタン14が離されることをもって撮影が終了されたとみなされる。
ここで、以上に説明した図8のフローチャートが示すAF処理では、一旦、合焦状態が得られた後は、高分子アクチュエータ500による微小な駆動に終始することが多い。この高分子アクチュエータ500は、後述するように動作が静粛であるため、このデジタルカメラ1では、AF処理時に発生する駆動音が抑制されることとなる。
デジタルカメラ1は、以上のように構成されている。
次に、本発明の第1実施形態から第7実施形態までの各実施形態を説明する。
ここで、これら7つの実施形態は、図6に示されている高分子アクチュエータ500と電圧印加部600とについて各種の高分子アクチュエータや各種の電圧印加部を有する、フォーカスレンズ23に対する各種の駆動装置を備えている他はいずれの実施形態も図1から図7に示した共通の構成を有し、図8のフローチャートが示す共通のAF処理を実行する。そこで、以下では、これら各実施形態の間での相違点であるフォーカスレンズ23に対する駆動装置に注目して説明する。
尚、以下の説明では、図3から図6に示された各構成要素については、特に図番を断らずに参照する。
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
図9は、本発明の第1実施形態における駆動装置を示す図である。
この図9のパート(A)には本発明の第1実施形態における駆動装置510の正面図が示され、図9のパート(B)には側面図が示されている。また、図9のパート(B)の側面図には、駆動装置510の他に、CCD40、光学制御CPU120、およびメインCPU110も示されており、図9のパート(A)の正面図では、これらの図示が省略されている。
この図9に示す駆動装置510は、フォーカスレンズ23を、フォーカス用モータ182で駆動して粗い合焦状態を得、その後に、後述の高分子アクチュエータ511で駆動して厳密な合焦状態を得るものであり、さらに合焦状態を得た後は、高分子アクチュエータ511によって上述したウォブリングを実行する。この駆動装置510は、高分子アクチュエータ511と、フォーカスレンズ保持枠512と、モータ側スリーブ513と、駆動力伝達用ねじ514と、ガイド側スリーブ515と、ガイド516と、フォーカス用モータ182と、電圧印加部610とを備えている。ここで、高分子アクチュエータ511が、本発明にいう高分子アクチュエータの一例に相当する。
駆動力伝達用ねじ514は、光軸に沿うようにフォーカス用モータ182に取り付けられ、このフォーカス用モータ182によって回転駆動される。また、この駆動力伝達用ねじ514には、モータ側スリーブ513が羅合している。
また、フォーカスレンズ23を保持するフォーカスレンズ保持枠512は、高分子アクチュエータ511によってモータ側スリーブ513に接続されている。また、このフォーカスレンズ保持枠512における、モータ側スリーブ513の反対側は、光軸に沿って延びるガイド516に挿通されたガイド側スリーブ515に接続されている。
上記のAF処理において、駆動モード設定部191がフォーカスレンズ23の駆動モードを、フォーカス用モータ182による駆動に設定すると、その設定を受けた光学制御CPU120からの指示によってフォーカス用モータ182が駆動力伝達用ねじ514を回転駆動する。すると、モータ側スリーブ513が光軸に沿って駆動され、これによって、フォーカスレンズ23が光軸に沿って駆動される。
また、駆動モード設定部191が駆動モードを高分子アクチュエータ511による駆動に設定すると、その設定を受けた光学制御CPU120からの指示によって電圧印加部610が高分子アクチュエータ511に電圧を印加し、この高分子アクチュエータ511によってフォーカスレンズ23が光軸に沿って微小に駆動される。
このような駆動モードの変更および駆動量の設定は、図8のフローチャートに従って行なわれる。
図10は、本発明の第1実施形態における高分子アクチュエータ511と電圧印加部610との詳細を示す図である。
図10には、上記の高分子アクチュエータ511の拡大断面図と、電圧印加部610を表わす回路図とが示されている。
この高分子アクチュエータ511は、3つのアクチュエータ部分5111が積み重ねられたものであり、各アクチュエータ部分5111は、絶縁性の接着剤5112によって互いに接着されている。
各アクチュエータ部分5111は、各々が小さな高分子アクチュエータであり、シート状のイオン導電性高分子5111aが伸縮性の電極5111bで挟まれて構成されたものである。
電圧印加部610は、出力電圧の大きさが可変な電源611とスイッチ612とからなる。電源611の正極は、各アクチュエータ部分5111の2つの電極5111bのうちの1つにスイッチ612を介して接続され、陰極は、もう一方の電極5111bに直接に接続されている。ここで、電源611の出力電圧の大きさ、およびスイッチ612のON/OFFは、光学制御CPU120によって制御される。
本実施形態では、フォーカスレンズ23の駆動モードが高分子アクチュエータ511による駆動に設定されると、光学制御CPU120からの指示によりスイッチ612がON状態となり、駆動中は、そのON状態が維持される。その結果、AF処理時には各アクチュエータ部分5111の2つの電極5111b間に電源611から電圧が印加される。すると、イオン導電性高分子5111a中の正イオンが、水分子を伴って陰極側に移動し、こイオン導電性高分子5111aの、水分子が集まった陰極側が膨潤する。これにより、各アクチュエータ部分5111は、図中の矢印D1が示すように正極側に屈曲することとなり、その結果、フォーカスレンズ23を保持しているフォーカスレンズ保持枠512が図中の矢印D2が示すように、各アクチュエータ部分5111の屈曲方向と同じ方向に駆動される。各アクチュエータ部分5111の屈曲量は、電源611から2つの電極513b間に印加される電圧の大きさによって変わり、その電圧の値は、図8のフローチャートが示すAF処理に従って光学制御CPU120において決められる。
また、ウォブリング時には、光学制御CPU120の制御により、電源611の出力値が、合焦状態に対応する電圧値を中心に微小に上下されることで、高分子アクチュエータ511が振動し、これによりフォーカスレンズ23が振動される。
以上に説明した高分子アクチュエータ511は、電圧印加時の屈曲により駆動対象を駆動するので動作が静粛である。図8のフローチャートが示すAF処理では、処理中はこの高分子アクチュエータ511による駆動の頻度が高いことから、AF処理時の駆動音が抑制されたものとなる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図11は、本発明の第2実施形態における駆動装置を示す図である。
この図11のパート(A)には本発明の第2実施形態における駆動装置520の正面図が示され、図11のパート(B)には側面図が示されている。
この図11に示す駆動装置520は、高分子アクチュエータ521と、フォーカスレンズ保持枠522と、モータ側スリーブ523と、駆動力伝達用ねじ524と、ガイド側スリーブ525と、ガイド526と、フォーカス用モータ182と、電圧印加部620とを備えている。ここで、これらの構成要素は、高分子アクチュエータ521および電圧印加部620以外は、第1実施形態における駆動装置510の構成要素と同等であるので、ここでは重複説明を省略する。
本実施形態における高分子アクチュエータ521は、それぞれが図9に示す高分子アクチュエータ511と同等な高分子アクチュエータである2つの屈曲部材5211からなる。ここで、高分子アクチュエータ521が、本発明にいう高分子アクチュエータの一例に相当し、屈曲部材5211が、本発明にいう屈曲部材の一例に相当する。
これら2つの屈曲部材5211それぞれは、フォーカスレンズ23の駆動時には電圧印加部620から電圧が印加され、互いに同方向に屈曲する。これにより、フォーカスレンズ23に対する駆動力が、2つの屈曲部材5211の屈曲力の合力という大きな駆動力となるので、フォーカスレンズ23が高速で駆動されることとなる。
電圧印加部620は、各屈曲部材5211に電圧を印加するものであり、基本的には、図10に示した第1実施形態における電圧印加部610の構造と同じ構造を有している。ただし、図10の電圧印加部610では、電圧の出力系統が、3つのアクチュエータ部分5111に対応して3系統であったのに対して、この図11に示す電圧印加部620では、それぞれが3つのアクチュエータ部分を有する2つの屈曲部材5211に対応して6系統である点が異なっている。
以上、説明した第2実施形態における駆動装置520も、上記の第1実施形態と同様に、図8のフローチャートが示すAF処理において頻度の高い駆動が、動作が静粛な高分子アクチュエータ521で行なわれるので、AF処理時の駆動音が抑制されたものとなる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図12は、本発明の第3実施形態における駆動装置を示す図である。
この図12のパート(A)には本発明の第3実施形態における駆動装置530の正面図が示され、図12のパート(B)には側面図が示されている。
この図11に示す駆動装置520は、高分子アクチュエータ531と、フォーカスレンズ保持枠532と、外枠533と、モータ側スリーブ534と、駆動力伝達用ねじ535と、ガイド側スリーブ536と、ガイド537と、フォーカス用モータ182と、電圧印加部630とを備えている。
モータ側スリーブ534、駆動力伝達用ねじ535、ガイド側スリーブ536、およびガイド537については、図11に示す第1実施形態における駆動装置510のモータ側スリーブ513、駆動力伝達用ねじ514、ガイド側スリーブ515、およびガイド516と同等であるので重複説明を終了する。
外枠533は、外周面がモータ側スリーブ534およびガイド側スリーブ536それぞれに固定されている。また、フォーカスレンズ23を保持したフォーカスレンズ保持枠532は、外周面における90度ずつズレた4箇所に配置された4つの屈曲部材5311からなる高分子アクチュエータ531によって外枠533の内周面に接続されている。ここで、高分子アクチュエータ531が、本発明にいう高分子アクチュエータの一例に相当し、屈曲部材5311が、本発明にいう屈曲部材の一例に相当する。
図12に示す4つの屈曲部材5311それぞれは、フォーカスレンズ23の駆動時には電圧印加部630から電圧が印加され、互いに同方向に屈曲する。これにより、フォーカスレンズ23に対する駆動力が、4つの屈曲部材5311の屈曲力の合力という大きな駆動力となるので、フォーカスレンズ23が高速で駆動されることとなる。
電圧印加部630は、各屈曲部材5311に電圧を印加するものであり、基本的には、図10に示した第1実施形態における電圧印加部610の構造と同じ構造を有している。ただし、この図12に示す電圧印加部620は、それぞれが3つのアクチュエータ部分を有する4つの屈曲部材5311に対応して12系統の出力系統を有している点が異なっている。
以上、説明した第3実施形態における駆動装置530も、上記の第1および第2実施形態と同様に、AF処理において頻度の高い駆動が、動作が静粛な高分子アクチュエータ531で行なわれるので、AF処理時の駆動音が抑制されたものとなる。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図13は、本発明の第4実施形態における駆動装置を示す図である。
この図13のパート(A)には本発明の第4実施形態における駆動装置540の正面図が示され、図13のパート(B)には側面図が示されている。
この図13に示す駆動装置540は、高分子アクチュエータ541と、フォーカスレンズ保持枠542と、外枠543と、モータ側スリーブ544と、駆動力伝達用ねじ545と、ガイド側スリーブ546と、ガイド547と、フォーカス用モータ182と、電圧印加部640とを備えている。ここで、これらの構成要素は、高分子アクチュエータ541および電圧印加部640以外は、上記の第3実施形態における駆動装置530の構成要素と同等であるので、ここでは重複説明を省略する。
本実施形態では、フォーカスレンズ保持枠542は、外周面における45度ずつズレた8箇所に配置された8つの屈曲部材5411からなる高分子アクチュエータ541によって外枠543の内周面に接続されている。ここで、高分子アクチュエータ541が、本発明にいう高分子アクチュエータの一例に相当し、屈曲部材5411が、本発明にいう屈曲部材の一例に相当する。
図13に示す8つの屈曲部材5411それぞれは、電圧印加部640から電圧が印加されると互いに同方向に屈曲する。これにより、フォーカスレンズ23に対する駆動力が、8つの屈曲部材5411の屈曲力の合力という大きな駆動力となるので、フォーカスレンズ23が高速で駆動されることとなる。
電圧印加部640は、各屈曲部材5411に電圧を印加するものであり、基本的には、図10に示した第1実施形態における電圧印加部610の構造と同じ構造を有している。ただし、この図12に示す電圧印加部640は、それぞれが3つのアクチュエータ部分を有する8つの屈曲部材5411に対応して24系統の出力系統を有している点が異なっている。
以上、説明した第4実施形態における駆動装置540も、上記の第1から第3実施形態と同様に、AF処理において頻度の高い駆動が、動作が静粛な高分子アクチュエータ541で行なわれるので、AF処理時の駆動音が抑制されたものとなる。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図14は、本発明の第5実施形態における駆動装置を示す図である。
この図14のパート(A)には本発明の第5実施形態における駆動装置550の正面図が示され、図14のパート(B)には側面図が示されている。
この図14に示す駆動装置550は、高分子アクチュエータ551と、フォーカスレンズ保持枠552と、モータ側スリーブ553と、駆動力伝達用ねじ554と、ガイド側スリーブ555と、ガイド556と、フォーカス用モータ182と、電圧印加部650とを備えている。ここで、これらの構成要素は、高分子アクチュエータ551および電圧印加部650以外は、第1実施形態における駆動装置510の構成要素と同等であるので、ここでは重複説明を省略する。
本実施形態における高分子アクチュエータ551は、それぞれが高分子アクチュエータである第1および第2の屈曲部材5511,5512が互いに接着されて構成されている。
ここで、第1の屈曲部材5511は、電圧印加部650から電圧が印加されるとCCD40側に屈曲して、フォーカスレンズ23をCCD40側に駆動する役割を果たし、第2の屈曲部材5512は、電圧印加部650から電圧が印加されるとCCD40とは逆側の後群レンズ22側に屈曲して、フォーカスレンズ23を後群レンズ22側に駆動する役割を果たす。
図15は、本発明の第5実施形態における高分子アクチュエータ551と電圧印加部650との詳細を示す図である。
図15には、上記の高分子アクチュエータ551の拡大断面図と、電圧印加部650を表わす回路図とが示されている。
この高分子アクチュエータ551は、4つのアクチュエータ部分5513が積み重ねられたものであり、各アクチュエータ部分5513は、絶縁性の接着剤5514によって互いに接着されている。そして、これら4つのアクチュエータ部分5513のうち、CCD40側の2つが第1の屈曲部材5511を構成し、後群レンズ22側の2つが第2の屈曲部材5512を構成している。また、各アクチュエータ部分5513は、各々が小さな高分子アクチュエータであり、シート状のイオン導電性高分子5513aが伸縮性の電極5513bで挟まれて構成されたものである。
電圧印加部650は、出力電圧の大きさが可変な、互いに出力電圧の極性が逆向きの第1および第2の電源651,652とスイッチ653とからなる。
本実施形態では、第1の電源651の正極は、第1の屈曲部材5511をなす各屈曲部材5513のCCD40側の電極5513bにスイッチ653を介して接続され、陰極は、もう一方の電極5513bに直接に接続されている。このような接続により、スイッチ653がON状態となり、第1の屈曲部材5511をなす各屈曲部材5513に電圧が印加されると、この第1の屈曲部材5511が図中の矢印D1が示すようにCCD40側に屈曲し、その結果、フォーカスレンズ23を保持しているフォーカスレンズ保持枠552が図中の矢印D2が示すようにCCD40側に駆動される。
また、第2の電源652の正極は、第2の屈曲部材5512をなす各屈曲部材5513の後群レンズ22側の電極5513bにスイッチ653を介して接続され、陰極は、もう一方の電極5513bに直接に接続されている。このような接続により、スイッチ653がON状態となり、第1の屈曲部材5511をなす各屈曲部材5513に電圧が印加されると、この第1の屈曲部材5511が図中の矢印D3が示すように後群レンズ22側に屈曲し、その結果、フォーカスレンズ23を保持しているフォーカスレンズ保持枠552が図中の矢印D2が示すように後群レンズ22側に駆動される。
各電源651,652の出力電圧の大きさ、および各スイッチ653のON/OFFは図8のフローチャートに従って、光学制御CPU120によって制御される。
以上、説明した第5実施形態における駆動装置550も、上記の第1から第4実施形態と同様に、AF処理において頻度の高い駆動が、動作が静粛な高分子アクチュエータ551で行なわれるので、AF処理時の駆動音が抑制されたものとなる。また、この駆動装置550は、フォーカスレンズ23を後群レンズ22側とCCD40との2方向に駆動することができるので、自由度の高いAF処理が可能となる。
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
図16は、本発明の第6実施形態における駆動装置を、その駆動装置の動作に注目して示す図であり、図17は、本発明の第6実施形態における駆動装置の正面図と側面図である。
図16のパート(A)には、本発明の第6実施形態における駆動装置560の、フォーカスレンズ23に対する微小駆動時の初期状態が示されており、図16のパート(B)には、その駆動装置560によって、フォーカスレンズ23が後群レンズ22側に微小駆動された状態が示されている。また、図17のパート(A)には、駆動装置560の正面図が、フォーカスレンズ23の周辺部分が拡大されて示されており、図17のパート(B)には、駆動装置560の側面図が示されている。
これら図16および図17に示す駆動装置560は、積層型高分子アクチュエータ561と、フォーカスレンズ保持枠562と、モータ側スリーブ563と、駆動力伝達用ねじ564と、ガイド側スリーブ565と、ガイド566と、小スリーブ567と、小ガイド568と、フォーカス用モータ182と、電圧印加部660とを備えている。ここで、フォーカスレンズ保持枠562、駆動力伝達用ねじ564、ガイド側スリーブ565、およびガイド566については、それぞれ第1実施形態における駆動装置510のフォーカスレンズ保持枠512、駆動力伝達用ねじ514、ガイド側スリーブ515、およびガイド516と同等であるので、ここでは重複説明を省略する。
駆動力伝達用ねじ564に螺合するモータ側スリーブ563には、両端それぞれに板状のストッパ563aが設けられており、これら2枚のストッパ563aの間には、小ガイド568が光軸に沿って延びるように取り付けられている。
フォーカスレンズ保持枠562のモータ側には、小スリーブ567が取り付けられている。この小スリーブ567は、小ガイド568に挿通されとともに、積層型高分子アクチュエータ561によって、モータ側スリーブ563における後群レンズ22側のストッパ563aに接続されている。
積層型高分子アクチュエータ561は、それぞれが厚さ方向に伸縮する小さな高分子アクチュエータである3つの伸縮部材5611が、光軸に沿って積み重ねられて構成されている。各伸縮部材5611は、後述するように電圧の印加状態におかれると厚さ方向に収縮し、非印加状態におかれると元の厚さに戻る。ここで、積層型高分子アクチュエータ561が、本発明にいう積層型高分子アクチュエータの一例に相当し、伸縮部材5611が、本発明にいう伸縮部材の一例に相当する。
積層型高分子アクチュエータ561でフォーカスレンズ23が駆動される際には、各伸縮部材5611には電圧印加部660から電圧が適宜に印加される。そして、電圧が印加された伸縮部材5611が収縮すると、その収縮の分だけフォーカスレンズ23が後群レンズ22側に駆動される。また、収縮状態にある伸縮部材5611が電圧の非印加状態におかれるとその伸縮部材5611の厚さが元に戻り、その厚さが戻った分だけフォーカスレンズ23がCCD40側に駆動される。
上記のAF処理において、駆動モード設定部191が駆動モードを積層型高分子アクチュエータ561による駆動に設定すると、その設定を受けた光学制御CPU120からの指示によって、収縮状態の伸縮部材5611の数が増減されて、フォーカスレンズ23が後群レンズ22側やCCD40側に微小駆動される。ここで、図16のパート(B)には、全ての伸縮部材5611が収縮された状態が示されている。
また、ウォブリングの際には、本実施形態では、光学制御CPU120の制御によって、1つの伸縮部材5611について収縮と戻りが繰り返されることでフォーカスレンズ23が光軸に沿って振動される。
図18は、本発明の第6実施形態における積層型高分子アクチュエータ561の拡大断面図と、電圧印加部660を表わす回路図である。
積層型高分子アクチュエータ561は、上述したように、それぞれが小さな高分子アクチュエータである複数の伸縮部材523aからなる。
ここで、上述した第1から第5実施形態における高分子アクチュエータでは、イオン導電性高分子が使われていたのに対し、この第6実施形態における積層型高分子アクチュエータ561では電歪高分子が使われている。
積層型高分子アクチュエータ561を構成する各伸縮部材5611は、シート状の電歪高分子5611aが伸縮性の電極5611bで挟まれて構成されたものであり、積層型高分子アクチュエータ561は、3つの伸縮部材5611が積み重ねられて構成されている。また、各伸縮部材5611は、絶縁性の接着剤5612で互いに接着されている。
電圧印加部660は、数百Vから数千Vの間の所定値の出力電圧を出力する直流電源661と、この直流電源661のプラス端子と各伸縮部材5611の電極5611bとの間に設けられた3つのスイッチ662と、光学制御CPU120から指示されたスイッチ662のON/OFFを制御するスイッチ制御回路663とを備えている。
電圧印加部660において、あるスイッチ662がON状態になると、そのスイッチ662に対応する伸縮部材5611の2つの電極5611b間に、直流電源661から電圧が印加される。すると、その伸縮部材5611の2つの電極5611b間に静電引力が生じ、伸縮部材5611が厚み方向に収縮する。
本実施形態では、積層型高分子アクチュエータ561による駆動の初期状態では全てのスイッチ662はOFF状態となっており、駆動モード設定部191が駆動モードを積層型高分子アクチュエータ561による駆動に設定すると、光学制御CPU120から指示に基いて、各スイッチ662のON/OFFがスイッチ制御回路663によって適宜に制御される。そして、ON状態のスイッチ662に対応する伸縮部材5611が厚さ方向に収縮する。ここで、上述したように、この積層型高分子アクチュエータ561全体の収縮量は、収縮させる伸縮部材5611の個数によって変わる。また、本実施形態では、スイッチ制御回路663にどのスイッチ662をONさせるかが光学制御CPU120によって制御される。フォーカスレンズ23の駆動時には、この光学制御CPU120の制御によって、収縮させる伸縮部材5611の個数が増減されて、フォーカスレンズ23が後群レンズ22側やCCD40側に動かされる。この収縮させる伸縮部材5611の個数は、図8のフローチャートに従って、光学制御CPU120によって制御される。
この積層型高分子アクチュエータ561も動作は静粛であり、上記に説明した第6実施形態における駆動装置560も、上記の第1から第5実施形態と同様に、AF処理において頻度の高い駆動が、動作が静粛な積層型高分子アクチュエータ561で行なわれるので、AF処理時の駆動音が抑制されたものとなる。
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
図19は、本発明の第7実施形態における駆動装置を、その駆動装置の動作に注目して示す図であり、図20は、本発明の第7実施形態における駆動装置の正面図と側面図である。
図19のパート(A)には、本発明の第7実施形態における駆動装置570の、フォーカスレンズ23に対する微小駆動時の初期状態が示されており、図19のパート(B)には、その駆動装置570によって、フォーカスレンズ23が後群レンズ22側に微小駆動された状態が示されている。また、図20のパート(A)には、駆動装置570の正面図が、フォーカスレンズ23の周辺部分が拡大されて示されており、図20のパート(B)には、駆動装置570の側面図が示されている。
この第7実施形態における駆動装置570は、積層型高分子アクチュエータ571と、フォーカスレンズ保持枠572と、モータ側スリーブ573と、駆動力伝達用ねじ574と、ガイド側スリーブ575と、ガイド576と、リング型スリーブ577と、小ガイド578と、リング型ストッパ579と、フォーカス用モータ182と、電圧印加部670とを備えている。
ここで、この第7実施形態における駆動装置570は、フォーカスレンズ23を微小駆動するための積層型高分子アクチュエータ571の形状が、図16および図17に示す第6実施形態における駆動装置560の積層型高分子アクチュエータ561の形状と異なっている点を除いて、その第6実施形態における駆動装置560と同等である。そこで、以下では、その相違点に注目して説明し、重複説明を省略する。
この第7実施形態における駆動装置570では、積層型高分子アクチュエータ571が、図20に示すように、フォーカスレンズ保持枠572を囲むリング形状を有している。また、この積層型高分子アクチュエータ571は、3つのリング型伸縮部材5711が積み重ねられて構成されている。
図19および図20に示すように、この積層型高分子アクチュエータ571のリング形状に応じて、フォーカスレンズ保持枠572にリング型スリーブ577が固定され、このリング型スリーブ577を間に挟んで2つのリング型ストッパ579が設けられている。これら2つのリング型ストッパ579は、モータ側スリーブ573とガイド側スリーブ575とに固定されている。また、これら2つのリング型ストッパ579の間には、2本の小ガイド578が光軸に沿うように固定されている。そして、これら2本の小ガイド578によって、リング型スリーブ577が、フォーカスレンズ保持枠572を間に挟むように挿通されている。さらに、リング型スリーブ577が、積層型高分子アクチュエータ571によって、後群レンズ22側のリング型ストッパ579に接続されている。
このような構造により、積層型高分子アクチュエータ571をなす3つのリング型伸縮部材5711が厚さ方向に伸縮すると、フォーカスレンズ23が後群レンズ22側やCCD40側に駆動される。また、この駆動は、電圧印加部670による、各リング型伸縮部材5711への電圧印加によって行なわれるが、この電圧印加が、図8のフローチャートに従って、光学制御CPU120によって制御されることは、図16から図18を参照して説明した第6実施形態と同様である。
以上、説明した第7実施形態における駆動装置570も、上記の第1から第6実施形態と同様に、AF処理において頻度の高い駆動が、動作が静粛な積層型高分子アクチュエータ571で行なわれるので、AF処理時の駆動音が抑制されたものとなる。
次に、本発明の第8実施形態および第9実施形態について説明する。
ここで、上記に説明した第1実施形態から第7実施形態までの各実施形態では、図6の内部構成が示すように、高分子アクチュエータによる駆動対象がフォーカスレンズ23であったが、以下に説明する第8実施形態および第9実施形態では、高分子アクチュエータによる駆動対象はCCD40である。即ち、これら2種類の実施形態が適用されるデジタルカメラ1では、駆動モードとして、フォーカス用モータ182によるフォーカスの粗い調整のためのフォーカスレンズ23に対する駆動と、高分子アクチュエータ500によるフォーカス微調整のためのCCD40に対する駆動と、高分子アクチュエータ500によるCCD40に対するウォブリングとの3つの駆動モードが用意されることとなる。
尚、これら第8実施形態および第9実施形態が共通に適用される内部構成については、高分子アクチュエータによる駆動対象がCCD40である以外は、図6に示す内部構成と同じであるので、ここでは、図示および重複説明を省略する。
以下、第8実施形態および第9実施形態について、上記の相違点に注目して説明する。
まず、本発明の第8実施形態について説明する。
図21は、本発明の第8実施形態における駆動装置を示す図である。
図21のパート(A)には、本発明の第8実施形態における駆動装置580の側面図が示されており、図21のパート(B)には、駆動装置580におけるCCD40周辺の正面図が示されている。また、図21のパート(A)の側面図には、駆動装置580の他に、CCD40、光学制御CPU120、およびメインCPU110も示されている。
この図21に示す駆動装置580は、フォーカスレンズ23を、フォーカス用モータ182で駆動して粗い合焦状態を得、その後に、CCD40を微小に移動させて厳密な合焦状態を得るものであり、さらに合焦状態を得た後は、CCD40に対してウォブリングを実行する。この駆動装置580は、高分子アクチュエータ581と、CCD保持枠582と、フォーカスレンズ保持枠583と、モータ側スリーブ584と、駆動力伝達用ねじ585と、ガイド側スリーブ586と、ガイド587と、フォーカス用モータ182と、電圧印加部680とを備えている。
フォーカスレンズ保持枠583、モータ側スリーブ584、駆動力伝達用ねじ585、ガイド側スリーブ586、およびガイド587については、図9に示す第1実施形態における駆動装置510のフォーカスレンズ保持枠512、モータ側スリーブ513、駆動力伝達用ねじ514、ガイド側スリーブ515、およびガイド516とほぼ同じなので重複説明を省略する。ただし、本実施形態におけるフォーカスレンズ保持枠583が、モータ側スリーブ584に、高分子アクチュエータを介することなく直接に固定されている点が異なっている。
CCD保持枠582は、レンズ鏡胴10の壁10aに固定されており、このCCD保持枠582の内壁に、CCD40が、高分子アクチュエータ581によって接続されている。
この高分子アクチュエータ581は、それぞれが図9に示す第1実施形態における高分子アクチュエータ511と同等な高分子アクチュエータである4つの屈曲部材5811からなる。ここで、高分子アクチュエータ581が、本発明にいう高分子アクチュエータの一例に相当し、屈曲部材5811が、本発明にいう屈曲部材の一例に相当する。これら4つの屈曲部材5811は、方形状のCCD40の4隅に配置されて、これら4隅で、CCD40をCCD保持枠582の内壁に接続している。
高分子アクチュエータ581をなす4つの屈曲部材5811それぞれは、上記のAF処理において、駆動モード設定部191が駆動モードを積層型高分子アクチュエータ561による駆動に設定すると、その設定をメインCPU110から受けた光学制御CPU120からの指示によって、電圧印加部680から電圧が印加され、フォーカスレンズ23側に屈曲する。これにより、CCD40が、フォーカスレンズ23側に微小に動かされる。
このCCD40の駆動量、即ち各屈曲部材5811の屈曲量は、図8のフローチャートが示すAF処理に従って行なわれる、電圧印加部680に対する光学制御CPU680の制御によって決められる。また、CCD40に対するウォブリング時には、光学制御CPU120の制御により、電圧印加部680からの電圧が合焦状態に対応する電圧値を中心に微小に上下されることでCCD40が振動される。
電圧印加部680は、各屈曲部材5811に電圧を印加するものであり、基本的には、図10に示した第1実施形態における電圧印加部610の構造と同じ構造を有している。ただし、この図21に示す電圧印加部680では、それぞれが3つのアクチュエータ部分を有する4つの屈曲部材5811に対応して12系統の出力系統を有している点が異なっている。
以上、説明した第8実施形態における駆動装置580も、上記の第1から第7実施形態と同様に、AF処理において頻度の高い駆動が、動作が静粛な高分子アクチュエータ581で行なわれるので、AF処理時の駆動音が抑制されたものとなる。
次に、本発明の第9実施形態について説明する。
図22は、本発明の第9実施形態における駆動装置を示す図である。
図22のパート(A)には、本発明の第9実施形態における駆動装置590の、CCD40に対する微小駆動時の初期状態が示されており、図22のパート(B)には、その駆動装置590によって、CCD40が、フォーカスレンズ23から離れる方向に微小駆動された状態が示されている。また、図22のパート(A)の側面図には、駆動装置590の他に、CCD40、光学制御CPU120、およびメインCPU110も示されている。
この図22に示す、駆動装置590は、上記の第8実施形態における駆動装置580と同様に、フォーカスレンズ23を、フォーカス用モータ182で駆動して粗い合焦状態を得、その後に、CCD40を微小に移動させて厳密な合焦状態を得るものであり、さらに合焦状態を得た後は、CCD40に対してウォブリングを実行する。この駆動装置580は、積層型高分子アクチュエータ591と、CCD支持板592と、CCD用ガイド593と、フォーカスレンズ保持枠594と、モータ側スリーブ595と、駆動力伝達用ねじ596と、ガイド側スリーブ597と、ガイド598と、フォーカス用モータ182と、電圧印加部690とを備えている。
フォーカスレンズ保持枠594、モータ側スリーブ595、駆動力伝達用ねじ596、ガイド側スリーブ597、およびガイド598については、図21に示す第8実施形態における駆動装置580のフォーカスレンズ保持枠583、モータ側スリーブ584、駆動力伝達用ねじ585、ガイド側スリーブ586、およびガイド587と同等であるので重複説明を省略する。
CCD支持板592は、積層型高分子アクチュエータ591によってレンズ鏡胴10の壁10aに接続されており、このCCD支持板592のフォーカスレンズ23側の面にCCD40が固定されている。また、このCCD支持板592の4隅は、一端がレンズ鏡胴10の壁10aに固定された、光軸に沿って延びる4本のCCD用ガイド593によって挿通されている。
積層型高分子アクチュエータ591は、CCD40から見たときの形状がCCD40とほぼ同じ大きさの方形状である点を除いて、図16から図18を参照して説明した第6実施形態における積層型高分子アクチュエータ561と同等なものである。即ち、積層型高分子アクチュエータ591は、3つの伸縮部材5911が積み重ねられてなり、各伸縮部材5911は互いに絶縁性の接着剤によって接着されている。
積層型高分子アクチュエータ591でCCD40が駆動される際には、各伸縮部材5911には電圧印加部690から電圧が適宜に印加される。そして、電圧が印加された伸縮部材5911が収縮すると、その収縮の分だけCCD40がフォーカスレンズ23から離れる方向に動かされる。また、収縮状態にある伸縮部材5611が電圧の非印加状態におかれるとその伸縮部材5611の厚さが元に戻り、その厚さが戻った分だけCCD40がフォーカスレンズ23側に駆動される。
上記のAF処理において、駆動モード設定部191が駆動モードを積層型高分子アクチュエータ591による駆動に設定すると、その設定を受けた光学制御CPU120からの指示によって、収縮状態の伸縮部材5911の数が増減されて、CCD40がフォーカスレンズ23から離れる側や近づく側に微小駆動される。ここで、図22のパート(B)には、全ての伸縮部材5911が収縮された状態が示されている。
また、ウォブリングの際には、本実施形態では、光学制御CPU120の制御によって、1つの伸縮部材5911について収縮と戻りが繰り返されることでCCD40が光軸に沿って振動される。
電圧印加部690は、各伸縮部材5911に電圧を印加するものであり、図18に示した第6実施形態における電圧印加部660の構造と同じ構造を有しているので重複説明を省略する。
以上、説明した第9実施形態における駆動装置590も、上記の第1から第8実施形態と同様に、AF処理において頻度の高い駆動が、動作が静粛な積層型高分子アクチュエータ591で行なわれるので、AF処理時の駆動音が抑制されたものとなる。
以上で、本発明の第1実施形態から第9実施形態についての説明を終了する。
尚、上記では、本発明の第1実施形態から第9実施形態までの各実施形態が共通に適用される装置として、動画撮影機能付のデジタルカメラ1を挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではない。本発明の第1実施形態から第9実施形態までの各実施形態が共通に適用される装置としては、例えば、以下に説明するカメラ付携帯電話等が挙げられる。
図23および図24は、本発明の第1実施形態から第9実施形態までの各実施形態が共通に適用されるカメラ付携帯電話の、それぞれ表面および裏面を示す外観斜視図である。
このカメラ付携帯電話8は、上部81と下部82とからなり、折り畳み式となっている。
このカメラ付携帯電話8の上部81の表面には、画面表示LCD811、スピーカ812、アンテナ813が配備され、裏面には、撮影レンズ814、補助光発光窓815が配備されている。また、このカメラ付携帯電話8の下部82の表面には、操作キー821やマイクロホン822が配備されている。
図25は、図23および図24に外観を示すカメラ付携帯電話8の内部構成を示すブロック図である。
尚、このカメラ付携帯電話8における撮影機能を担う内部構成は、図6に示すデジタルカメラ1の内部構成とほぼ同等である。そこで、この図25では、図6と同等な構成要素については図6と同じ符号を付し、以下では重複説明を省略する。
このカメラ付携帯電話8に搭載された撮影レンズ814は、上記のデジタルカメラ1の撮影レンズ20が3つのレンズ群で構成されていたのに対し、ズームレンズ(第1レンズ群)8141と、フォーカスレンズ(第2レンズ群)8142との2つのレンズ群で構成され、小型/簡略化が図られている。また、上記のデジタルカメラ1が、ズーム機能を担う後群レンズ22の駆動と、レンズ鏡胴10の繰出し/沈胴とを兼ねて行なう鏡胴/ズーム用モータ181を備えていたのに対し、このカメラ付携帯電話8は、ズームレンズ8141の駆動のみを行なうズーム用モータ831を備えている。
ここで、この図25に示す内部構成は、上述した本発明の9種類の実施形態のうち、高分子アクチュエータによる駆動対象がフォーカスレンズである第1実施形態から第7実施形態について共通に適用される構成である。
また、このカメラ付携帯電話8には、電話機能を担う構成要素として、図23および図24にも示すアンテナ813、スピーカ812、およびマイクロホン822が備えられ、さらに、送受信部834、変調/復調回路833、音声入出力回路835も備えられている。送受信部834は、アンテナ813での電波の送受信を担う回路要素であり、アンテナ813での電波受信により送受信部834で得られた信号は、変調/復調回路833に入力されて復調処理を受けた後、音声入出力回路835を経てスピーカ812に入力され、そのスピーカ812から音声として出力される。また、マイクロホン822で音声がピックアップされて得られた電気信号は、音声入出力回路835を経て変調/復調回路833に入力され、変調処理を受けた後、送受信部834を経てアンテナ813から電波として送信される。
そして、このカメラ付携帯電話8の全体が、メインCPU832によって制御される。また、図23および図24にも示す画像表示LCD811には、撮影中のスルー画像や撮影画像の他、カメラ付携帯電話8に対する操作キー821による操作一般に応じた操作画面が表示される。
尚、本発明の第8実施形態および第9実施形態が共通に適用される内部構成については、高分子アクチュエータによる駆動対象がCCD40である以外は、この図25に示す内部構成と同じであるので、ここでは、図示および重複説明を省略する。
以上に、説明したカメラ付携帯電話8に、上述した本発明の第1実施形態から第9実施形態を適用することで、撮影を静粛に行なうカメラ付携帯電話を得ることができる。
続いて、本発明にいう高分子アクチュエータの採用可能な種々の形態について付記する。
高分子アクチュエーターに用いる高分子の例としては、高分子ゲル、イオン導電性高分子、電子導電性高分子、電歪高分子(誘電エラストマ−、静電エラストマ−)、圧電高分子、液晶エラストマー等を挙げることができ、中でも<伸縮動作の場合:電歪高分子、液晶エラストマーが好ましい。><屈曲動作の場合:イオン導電性高分子、圧電高分子が好ましい。>これらの高分子アクチュエーターに関しては、「ソフトアクチュエーター開発の最前線−人工筋肉の実現を目指して−」編著代表 長田義仁 エヌ・ティー・エス 2004年、「Electroactive Polymer (EAP) Actuators as Artificial Muscles − Reality, Potential and Challenges」 Editor: Yoseph Bar−Cohen SPIE PRESS Vol. 2001年、「Electroactive Polymer (EAP) Actuators as Artificial Muscles: Reality, Potential, and Challenges, Second Edition」、Editor(s): Yoseph Bar−Cohen 2004年に記載がされている。
<高分子ゲル>
高分子ネットワーク上に電荷を有する高分子電解質ゲルは、電場の変化により水などの溶媒を取り入れ・放出により膨張・収縮する現象を利用したアクチュエーターが知られている。例えば、特開平5−44706号公報には、電場の印加により電場方向にゲルは瞬時に収縮しその直交方向に伸張し、電場よって異方向な変形挙動を示す高分子ゲルが開示されており、特開平5−87042号公報には、高分子ゲルアクチュエーターを用いたマイクロポンプが、実開平5−57551号公報には高分子ゲルアクチュエーターを用いたリニアアクチュエーターが開示されている。ただし、これらのアクチュエータは、伸縮量は大きいが、発生力は非常に低く、応答速度が非常に遅いという特徴を有している。また、溶媒中でしか使用できない点が問題を有している。
<イオン導電性高分子(ICPF)>
イオン導電性高分子は、パーフルオロスルホン酸やパーフルオロカルボン酸等のイオン交換樹脂膜表面にめっき電極を付与したアクチュエーターであり。駆動原理は、電場印加時に樹脂内の動くことができるイオンが水分子を伴って電極に引き寄せられ、イオンの動いた電極の側が膨潤することにより屈曲することを利用している。
特開平4−275078号公報には、小型化が容易であり、応答性が速く、しかも小電力で作動するイオン導電性高分子アクチュエーターの例が開示されている。また、特開平8−10336号公報、および特開平11−198069号公報には、該イオン導電性高分子アックチュエータ−が屈曲をすること用いた医療用チューブとして、イオン交換樹脂膜を挟んだ位置に形成した2つ以上の電極を有するアクチュエータを先端部に備えた医療用チューブや配管調査用若しくは医療用のマイクロデバイスが開示されている。これらの医療用チューブは、先端部に備えられたアクチュエータが屈曲の応答速度が速く、低電圧で駆動することから、手術等の施術の作業性が良好である。さらに、特開2004−289994号公報には、湾曲や変位が大きくかつ耐荷重性に優れ、回転運動可能なアクチュエーター素子および当該アクチュエーター素子に好適なイオン交換成型体の複合成型品が開示されている。ただし、駆動には水が一般に必要であり、ドライな環境では駆動しないことや屈曲動作にしか適用できない。
<電子導電性高分子>
ポリピロール等の導電性高分子は酸化還元に伴うドーピング、脱ドーピングにより伸縮する性質(電解伸縮)を有しており、近年、低電圧駆動で非常に高い伸縮率や発生力を示す材料が見出されている。例えば、特開平11−169393と特開平11−169394とには、固体電解質形成体の両側にポリアニリン膜が形成されている人工筋肉を用いることも可能であることが記載されている。また、Synthetic Metals誌、1997年、第90巻、93頁には導電性高分子を用いたアクチュエーターについて、セル内に電解液、対極及びポリピロールフィルムを備えたアクチュエーターの構成が報告されている。さらに、特開2005−110494号公報には、螺旋状の導電性基体上に導電性高分子層が形成された導電性高分子複合構造体を複数束ねた導電性高分子複合構造体束等も開示されている。ただし、本質的に電解質を必要としてドライな環境で作動しない点や耐久性に課題がある。
<電歪高分子(誘電エラストマー)>
ゴム状の粘弾性挙動を示す高分子(エラストマー)の両面に電極を付与した電歪高分子アクチュエーターが知られている。例えば、特表2003−506858号公報には、接触部に適合性の部分を備えたひずみと共に変形する能力がある電極を付与し、電極間に高電圧を印加することにより、その電極間の静電引力で高分子膜が電場方向に収縮して電場に直交方向に伸張する特性を利用した電歪高分子アクチュエーターが開示され、ダイヤフラムや線形アクチュエーターとしての利用が考えられている。さらに、特表2003−526213号公報には、履物の踵の中に組み込まれ、人の二足歩行中に生成される機械エネルギを電気エネルギに変換するために使用される、踵接地ジェネレータなども開示されている。一般に電歪高分子アクチュエーターは、伸縮量も比較的大きく、高速応答、ドライ環境で使用できる等の特徴はあるが、一般に数千Vの高電圧が必要であり、印加電圧の軽減が課題とされている。
<圧電高分子(ピエゾポリマー)>
圧電セラミックスを主体とするピエゾ素子がインクジェットプリンター用のアクチュエーターとして採用されていることは周知であるが、PVDF等の圧電性を有する高分子もアクチュエーターとして検討されている。圧電高分子は、高速応答であり、ドライな環境で利用できるという特徴を有しているが、発生力や伸縮率の低いことが課題とされる。例えば、特願平3−343397号公報(オリンパス)には、細長の挿入部と、該挿入部の先端に形成した高分子圧電アクチュエータと、前記高分子圧電アクチュエータに駆動信号を伝達するリード線とを設けて把持具を形成することにより、駆動信号をリード線を介して高分子圧電アクチュエータに供給すると速い応答速度で高分子圧電アクチュエータを駆動できることが開示されており。また、形状記憶合金などのように昇温する必要がないので火傷を引き起こすこともなく、安全性を確保できる。さらには、特表平8−508111には、数層の埋込式湾曲PVDF(ポリふっ化ビニリデン)圧電材料を含む能動騒音及び振動消去発泡プラスチックなども開示されている。
<液晶エラストマー>
Nature誌, 410,447(2001)には、強誘電性液晶のエラストマーを用い、その電場によるメソゲンの配向変化を利用して電気エネルギーを機械エネルギーに変換する試みが報告され、新たな液晶の利用法として注目されている。この例では1.5MVm−1の印加電圧において4%の変位が実現している。また、特開2003−205496号公報には、長手方向に延伸され液晶エラストマ−を用いた液晶アクチュエーターも開示されている。さらに、Macromolecules誌, 34, 5868(2001)には、液晶の熱的な相変化に基づく形状(体積)変化をアクチュエーターとして利用することなどが報告されている。
尚、上記では、本発明にいう高分子アクチュエータとして、イオン導電性高分子を用いて構成された高分子アクチュエータ、および電歪高分子を用いて構成された高分子アクチュエータを例示したが、本発明はこれらに限るものではなく、本発明の高分子アクチュエータは、例えば圧電高分子を用いて構成された高分子アクチュエータや、液晶エラストマーを用いて構成された高分子アクチュエータ等であっても良い。
また、上記では、本発明にいうレンズの一例として、フォーカスレンズ23のみを例示したが、本発明はこれに限るものではなく、本発明にいうレンズは、フォーカスレンズ23と上述の後群レンズ22との両方であっても良い。
また、上記では、本発明にいう「電圧の印加開放によって伸縮する」高分子アクチュエータの一例として、電圧の印加開放によって伸縮する伸縮部材が複数段積み重ねられてなる積層型高分子アクチュエータ561,571,591を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、本発明にいう「電圧の印加開放によって伸縮する」高分子アクチュエータは、電圧の印加開放によって伸縮する伸縮部材単独であっても良い。
また、上記では、本発明にいう撮影装置の一例として、動画撮影機能付のデジタルカメラと、カメラ付携帯電話を例示して説明したが、本発明はこれに限るものではなく、本発明の撮影装置は、例えば、動画撮影機能を持たないデジタルカメラ、ビデオカメラ、およびフィルムに被写体光を結像する銀塩カメラ等であっても良い。