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JP2005243677A - 積層型電子部品とその製造方法およびこれを用いた噴射装置 - Google Patents

積層型電子部品とその製造方法およびこれを用いた噴射装置 Download PDF

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JP2005243677A JP2004047493A JP2004047493A JP2005243677A JP 2005243677 A JP2005243677 A JP 2005243677A JP 2004047493 A JP2004047493 A JP 2004047493A JP 2004047493 A JP2004047493 A JP 2004047493A JP 2005243677 A JP2005243677 A JP 2005243677A
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政宏 佐藤
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Abstract

【課題】高電圧、高温下、高湿度下で繰り返して作動する場合においても、内部電極間の短絡を抑制できる積層型電子部品を提供する。
【解決手段】複数の誘電体と複数の内部電極とを積層してなり、前記誘電体層の厚みが50μm以上であり、かつその厚みばらつきが10μm以下とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、光学装置などの精密位置決め装置、振動防止用の駆動素子、あるいは自動車エンジンの燃料噴射用の駆動素子などに使用される積層型圧電アクチュエータ等の積層型電子部品とその製造方法に関するものである。
圧電板は電圧を印加すると伸縮する逆圧電効果を有している。この場合、圧電板1枚1枚の伸縮量は微量であることから、従来から複数層の圧電体を積層して形成した積層型圧電アクチュエータが作製されている。
この積層型圧電アクチュエータは、圧電体に電圧を印加して数〜数10μm伸長させ、アクチュエータの駆動力源とするものである。
図1に従来の積層型圧電アクチュエータの構造を示しており、(a)は斜視図、(b)は側面図である。従来の積層型圧電アクチュエータは、圧電体1と内部電極2が交互に積層され、圧電体1と内部電極2が同時焼成されて形成されており、内部電極2は柱状積層体10の4つの側面に左右互い違いに露出し、内部電極2が露出した柱状積層体10の対向する2つの側面10bに外部電極4を形成し、内部電極2と一層おきに交互に接続している。
このような積層型電子部品は、セラミックグリーンシートに内部電極ペーストを印刷し、この内部電極ペーストが塗布されたグリーンシートを複数層有する柱状積層体を作製していた(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−181055号公報
近年、積層型圧電アクチュエータは、高応答性、大変位量を達成するために、高電圧を高周波数で印加して駆動させることが要求されており、上記積層型圧電アクチュエータでは、異なる極性の電圧が印加される内部電極の端部間が短絡し、駆動を低下させる問題があった。
即ち、図1に示すような従来の積層型圧電アクチュエータは、原料粉末と有機高分子から成るバインダ等を混合してスラリーを作製し、該スラリーを周知のドクターブレード法、カレンダーロール法、スリップキャスティング法等のテープ成形法により、圧電体1となるセラミックグリーンシートを作製して、これに内部電極を印刷し、積層して柱状積層体を得ていた。この成形方法では異物の混入や、乾燥むらなどによりテープの厚みのばらつきが大きく、内部電極2間の距離が短くなることがあり、内部電極2間において電気が短絡しやすい状態になっていた。特に絶縁性を上げるためシート厚みを厚くするとばらつきが大きくなった。
このため、上記のような高応答性、大変位量を達成するために、高電圧を高周波数で印加して駆動すると内部電極間で短絡が発生してしまうという問題があった。
特に、高温、高湿度下で駆動させた場合、電極成分のマイグレーションにより異なる電圧が印加される内部電極間で短絡が発生し易いという問題があった。
本発明は、高電圧、高温下、高湿度下で繰り返して作動する場合でも、内部電極間の短絡を抑制できる積層型電子部品を提供することを目的とする。
本発明の積層型電子部品は、複数の誘電体と複数の内部電極とを積層してなる電子部品本体を有し、前期誘電体の厚みが50μm以上であり、かつその厚みばらつきが10μm以下であること特徴とする。
また、本発明の積層型電子部品は、前記内部電極中の金属組成物がVIII族金属および/またはIb族金属を主成分としたことを特徴とし、特に前記内部電極中のVIII族金属の含有量をM1(重量%)、Ib族金属の含有量をM2(重量%)としたとき、0<M1≦15、85≦M2<100、M1+M2=100を満足することを特徴とする。
また、本発明の積層型電子部品は、前記VIII族金属がNi、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Osのうち少なくとも1種以上であり、Ib族金属がCu、Ag、Auのうち少なくとも1種以上であることを特徴とする。
また、本発明の積層型電子部品は、前記VIII族金属がPt、Pdのうち少なくとも1種以上であり、Ib族金属がAg、Auのうち少なくとも1種以上であることを特徴とする。
また、本発明の積層型電子部品は、前記VIII族金属がNiであることを特徴とし、さらに前記Ib族金属がCuであることを特徴とする。
また、本発明の積層型電子部品は、前記内部電極中に金属組成物とともに無機組成物を添加することを特徴とし、特に前記無機組成物がPbZrO−PbTiOからなるペロブスカイト型酸化物を主成分としたことを特徴とする。
また、本発明の積層型電子部品は、前記圧電体がペロブスカイト型酸化物を主成分とすることを特徴とし、特に前記圧電体がPbZrO−PbTiOからなるペロブスカイト型酸化物を主成分とすることを特徴とする。
また、本発明の積層型電子部品は、前記積層体の側面に外部電極を有し、前記側面に端部が露出する内部電極と端部が露出しない内部電極とが交互に構成されており、該端部が露出していない内部電極と外部電極間の誘電体部分に溝が形成されており、この溝内に、誘電体よりもヤング率の低い絶縁体が充填されていることを特徴とする。
また、本発明の積層型電子部品の製造方法は、厚み50μm以上で厚みばらつきが10μm以下である誘電体のシートをテープ成形により作製し、内部電極を印刷後積層、焼成することにより得られる。また、スラリー粘度が15ポイズ以上のであるスラリーを用いて前記シートを作成することを特徴としており、また前記シートはバインダとしてアクリル、ブチラールを含み、溶媒としてアルコール、トルエンの少なくとも一種類を含むことを特徴とするものである。
また、本発明の噴射装置は、噴射孔を有する収納容器と、該収納容器に収納された前記積層型電子部品と、該積層型電子部品の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備してなることを特徴とする。
このような積層型電子部品は、内部電極間を短絡させるような内部電極間の厚みばらつきが小さいため、高電圧、高温下、高湿度下においても高い耐久性能を有することができる。特に、高電圧が印加される積層型圧電アクチュエータに関しては、内部電極間による短絡を抑制でき、高性能で高い信頼性が得られる。
このように、本発明の積層型電子部品によれば、内部電極間の厚みが50μm以上でかつその厚みばらつきが10μm以下であることによって、内部電極間での短絡が抑制され、高電圧、高温下、高湿度下においても高い耐久性能を有することができる。特に、高電圧が印加される積層型圧電アクチュエータにおいて、内部電極間での短絡を抑制できる。
以下、本発明の積層型電子部品の実施形態を積層型アクチュエータを例にとって図面に基づき説明する。
積層型アクチュエータは、図1に示すように、誘電体である複数の圧電体1と複数の内部電極2を交互に積層してなる四角柱の柱状積層体10の対向する2つの側面10bにおいて、内部電極2の端部が互い違いで一層おきに絶縁体3で被覆され、絶縁体3で被覆されていない内部電極2の端部を外部電極4の各々に接続し、各外部電極4にリード線5を接続固定して構成されている。
圧電体1の間には内部電極2が配されており、各圧電体1に所定の電圧を印加し、圧電体1に逆圧電効果による変位を起こさせる作用をなす。
そして、本発明の積層型圧電アクチュエータでは、この圧電体1の厚み、即ち内部電極2間の距離が50μm以上好ましくは70μmさらに好ましくは80μm以上で、かつそのばらつきが10μm以下好ましくは8μm以下、さらに好ましくは5μm以下であることを特徴としている。これは内部電極2間の距離が短いかもしくはそのばらつきが大きいと、内部電極2間での短絡が生じ、積層型圧電アクチュエータが破損しやすくなるからである。
ここで、内部電極2間の距離のばらつきである圧電体1の厚みとは、複数箇所で測定したときの平均値であり、そのばらつきとは最大値と最小値との差のことである。
さらに、内部電極2中の金属組成物がVIII族金属および/またはIb族金属を主成分とすることにより、内部電極2を高い耐熱性を有する金属組成で形成できるため、焼成温度の高い圧電体1との同時焼成が可能になる。
さらに、内部電極2中のVIII族金属の含有量をM1(重量%)、Ib族金属の含有量をM2(重量%)としたとき、0<M1≦15、85≦M2<100、M1+M2=100を満足することにより、内部電極2の比抵抗を小さくできるため、積層型圧電素子を長時間連続駆動させても、内部電極2の発熱を抑制することができる。併せて、積層型圧電素子の温度上昇を抑制できるため、素子変位量を安定化することができる。
さらに、前記VIII族金属がNi、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Osのうち少なくとも1種以上であり、Ib族金属がCu,Ag、Auのうち少なくとも1種以上であることにより、前記内部電極2の原料として、合金原料および混合粉原料のいずれでも使用することができる。
さらに、前記VIII族金属がPt、Pdのうち少なくとも1種以上であり、Ib族金属がAg、Auのうち少なくとも1種以上であることにより、耐熱性および耐酸化性に優れた内部電極2を形成できる。
さらに、前記VIII族金属がNiであることにより、駆動時の変位によって生じる応力を緩和することができるとともに、耐熱性に優れた内部電極2を形成できる。
さらに、前記Ib族金属がCuであることにより、駆動時の変位によって生じる応力を緩和することができるとともに、熱伝導性に優れた内部電極2を形成できる。
さらに、内部電極2中に金属組成物とともに無機組成物を添加することにより、内部電極2と圧電体1の界面の密着強度が増大するため、内部電極2と圧電体1の界面における剥離を抑制することができる。
さらに、圧電体1がPbZrO−PbTiOからなるペロブスカイト型酸化物を主成分としたことにより、圧電体1と内部電極2を同時焼成することができるため、焼成工程を短縮でき、併せて内部電極2の比抵抗を小さくできる。
圧電体1は、例えば、上述したチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O:以下PZTと略す)、或いはチタン酸バリウム(BaTiO)を主成分とする圧電セラミック材料等で形成されている。この圧電セラミックスは、その圧電特性を示す圧電歪み定数d33が高いものが望ましい。
さらに、焼成後は柱状積層体10の4つの側面に内部電極2は露出しているが、少なくとも1つの側面において、内部電極2の端部を含む圧電体1の端面に一層おきに深さ50〜500μm、積層方向の幅30〜200μmの溝が形成されており、該溝内にガラス、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーンゴム等を充填することによって絶縁体3が形成されることが信頼性の面から好ましい。
この絶縁体3により、柱状積層体10の対向する2つの側面10bにおいて、内部電極2の端部が互い違いで一層置きに絶縁され、内部電極2の絶縁されていない他方の端部は、外部電極4に接続されている。
なお、絶縁体3は、柱状積層体10との接合を強固とするために、柱状積層体10の変位に対して追従するような弾性率が低い材料、具体的にはシリコーンゴム等からなることが好適である。
外部電極4はAg、Ni、Cu、Al、W、Mo、ステンレス、Fe−Ni−Co合金等の導電性、弾性を備えた金属材料から成り、中でも、耐酸化性が良好で、導電性が良いという点から、Ag、Ni、ステンレスが望ましい。また、外部電極4を低抵抗とし、さらに、柱状積層体10の変位に対して追従するような伸縮性に富むようにするため、内部電極2と接続する部分にメッシュ部材を具備させ、かつ外部電極4の厚みを50〜500μm程度とすることが望ましい。
外部電極4は、外部からの挟持力により柱状積層体10の対向する2つの側面10bに押し当てられた状態で内部電極2と接続しても良い。また、半田等によって内部電極2と接続固定しても良い。
また、内部電極2の露出した柱状積層体10の対向する2つの側面10bに、蒸着、スパッタリング、メッキ等で薄膜の低抵抗部を予め形成しておき、この低抵抗部上に外部電極4を接続しても良い。
さらに、外部電極4にはリード線5が半田等により接続固定されている。このリード線5は外部電極4を外部の電圧供給部に接続する作用を有する。
そして、リード線5を介して一対の外部電極4に0.1〜3kV/mmの直流電流を印加し、柱状積層体10を分極処理することによって、積層型圧電アクチュエータが完成する。該積層型圧電アクチュエータに対して、リード線5を外部の電圧供給部に接続し、外部電極4を介して内部電極2に電圧を印加させれば、各圧電体1は逆圧電効果によって大きく変位する。この機能は、例えば、エンジンに燃料を噴射供給する自動車用燃料噴射装置として利用できる。
即ち、噴射口を有する収納容器と、該収納容器に収納された本発明の積層型圧電アクチュエータと、該積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備して噴射装置を構成することができる。噴射装置では、上記したように、積層型圧電素子において、連続駆動させても、所望の変位量が実効的に変化しないために、装置が誤作動することなく、耐久性に優れた高信頼性の噴射装置を提供することができる。
次に、本発明の積層型圧電アクチュエータの製造方法を説明する。
本発明の積層型圧電アクチュエータは、先ず、PZT等の圧電セラミックスの仮焼粉末と、アクリル系、ブチラール系等の有機高分子から成るバインダと、バインダを溶解させるためのアルコールや、トルエンなどの有機溶剤、DBP(フタル酸ジオチル)、DOP(フタル酸ジブチル)等の可塑剤を混合してスラリーを作製し、該スラリーを周知のドクターブレード法、カレンダーロール法、スリップキャスティング法等のテープ成形法により、厚みが50μm以上で厚みばらつきが10μm以下の圧電体1となるセラミックグリーンシートを作製する。
上記スラリーの粘度は15ポイズ以上、好ましくは20ポイズさらに好ましくは25ポイズ以上であることが好ましい。シート厚みを厚くすると厚みばらつきが大きくなるが、粘度を高くして成形することにより厚みの均一なテープが得られる。またこれらの粘度にスラリーをするにはアクリル系、ブチラール系等の有機高分子から成るバインダと、バインダを溶解させるためにアルコールや、トルエンなどを用いることが好ましい。
次に、銀‐パラジウム粉末に、バインダ、可塑剤、及び必要に応じて上記圧電セラミックス仮焼粉末等を添加混合して、内部電極2を成す導電性ペーストを作製し、該導電ペーストを上記各グリーンシートの上面にスクリーン印刷等によって1〜40μmの厚みに印刷する。
そして、上面に導電性ペーストが印刷されたグリーンシートを積層し、任意の大きさに切断した後、所定の温度で脱バインダを行い、900〜1000℃で焼成することによって、柱状積層体10を作製する。この際、焼成工程中に生じる変形、分解を抑制するために供材などを同時に焼成したり、密閉された焼成鉢で焼成したり、あるいは同一材料系の焼成鉢で焼成することが好ましい。
焼成後の柱状積層体10の形状を整えるために、平面研削盤等で研削する。さらに、これらの研削後もしくは単独でも、炭化珪素やアルミナの砥粒を用いたラップ研磨や、ポリッシングで加工することが好ましい。
上記のようにして、複数の圧電体1と複数の内部電極2を交互に積層して成る柱状積層体10が作製される。さらに、柱状積層体10の対向する2つの側面10bにおいて、内部電極2の端部を互い違いで一層置きに絶縁体3により絶縁し、内部電極の絶縁されていない他方の端部には、外部電極4が接続し、該外部電極4にリード線5を接続することによって、本発明の積層型圧電アクチュエータが作製される。
以上の実施形態では、圧電体と内部電極を複数積層したアクチュエータについて説明したが、本発明の積層型電子部品は積層型圧電アクチュエータに限るものではない。例えば、圧電体の代わりに他の誘電体を用いることにより、コンデンサ等の積層型電子部品とすることもできる。
先ず、PZTを主成分とする圧電セラミックスの仮焼粉末、ブチラールからなるバインダ、IPA−トルエンからなる溶剤及び可塑剤を混合した表に示すスラリーを作製し、粘度を測定後スリップキャスティング法で厚み100μmのセラミックグリーンシートを作製した。
このグリーンシートの片面に、表記の成分の導電性ペーストをスクリーン印刷法により5μmの厚みに印刷し、導電性ペーストを乾燥させた後、該導電性ペーストが塗布された複数のグリーンシートを100枚積層し、さらに、この積層体の積層方向の両端部に、導電性ペーストが塗布されていないグリーンシートを上側10枚、下側20枚積層した。
次に、この積層体を100℃で加熱を行いながら加圧することにより一体化し、8mm×8mmの大きさの四角柱状に切断した後、800℃で10時間の脱バインダを行い、1000℃で2時間、圧電体1と内部電極2を同時焼成して、図1に示す柱状積層体10を得た。焼成の際、焼成鉢は密閉されたMgOの鉢を用いて、積層体とともに同一組成の粉末を入れて焼成した。
得られた柱状積層体10の4つの側面10a及び10bを研削した。
その後、柱状積層体10の対向する2つの側面10bにおいて、内部電極2端部を含む圧電体1の端面で互い違いになるよう、一層おきに深さ200μm、積層方向の幅75μmの溝を形成し、これらの溝にシリコーンゴムを充填して絶縁体3を形成し、内部電極2の端部を一層おきに柱状積層体10の対向する2つの側面10bに露出させた。
この後、柱状積層体10の対向する2つの側面10bに、銀とポリイミド樹脂から成る導電性接着剤を塗布し、該導電性接着剤中にメッシュ部材を埋め込み、この状態で200℃に加熱し、硬化することにより、外部電極4を形成した。
この後、両方の外部電極4にリード線5を半田で接続し、アクチュエータの外周面をアルコール等で洗浄した後、プライマー等で表面処理することによって樹脂の密着性を向上させ、ディッピング等の方法でシリコーンゴムを被覆した後に、1kVの分極電圧を印加してアクチュエータ全体を分極処理し、図1に示す本発明の積層型圧電アクチュエータを得た。
得られた積層型圧電アクチュエータに200Vの直流電圧を印加した結果、各アクチュエータは10μmの変位を得た。
さらに、これら積層型アクチュエータに0〜+200Vの交流電界を200Hzの周波数にて印加し、150℃で駆動試験を行った。駆動試験は、1×10サイクルまで積層型圧電アクチュエータを駆動させた後、改めて変位を測定し、初期の変位からの変動を調べた。この際、変動量の絶対値が0.5μm以下の時に異常なしとした。また、変位量の測定は、試料を防振台上に固定し、試料上面にアルミニウム箔を張り付けて、レーザー変位計により積層型アクチュエータの中心部、及び周囲部の3箇所で測定した値の平均値で評価した。
なお、駆動試験後の試料の断面で圧電体1の厚みを測定した。測定は、断面のSEM写真を用い、任意の5層の圧電体について、各1層ごとに任意の10箇所の厚みを測定し、最大値と最小値の差をばらつきとした。結果は表1に示す通りである。
Figure 2005243677
この表から、比較例である試料番号1では、厚みばらつきが10μmを超えていたために、1×10サイクルで内部電極2間の短絡が発生した。また、試料番号9では、圧電体1の厚みが薄く、内部電極間の厚みが薄すぎたために、分極中に破損した。
これらに対して、圧電体1の厚みが50μm以上であり、かつ、そのばらつきが10μm以下である本発明の実施例(試料番号2,3,4,5,6,7,8)では、内部電極2の端部間における短絡を抑制することができた。
特に、厚みが60μm以上、ばらつきが7μm以下の実施例(試料番号3,4,5,7,8)では、最も優れた結果を示した。
積層型電子部品の一例である積層型圧電アクチュエータを示す斜視図である。
符号の説明
1・・・圧電体
2・・・内部電極
3・・・絶縁体
4・・・外部電極
5・・・リード線
10・・・柱状積層体
10a・・・側面
10b・・・側面

Claims (16)

  1. 複数の誘電体と複数の内部電極とを積層してなり、前記誘電体の厚みが50μm以上であり、かつその厚みばらつきが10μm以下であること特徴とする積層型電子部品。
  2. 前記内部電極中の金属組成物がVIII族金属および/またはIb族金属を主成分とすることを特徴とする請求項1記載の積層型電子部品。
  3. 前記内部電極中のVIII族金属の含有量をM1(重量%)、Ib族金属の含有量をM2(重量%)としたとき、0<M1≦15、85≦M2<100、M1+M2=100を満足することを特徴とする請求項2記載の積層型電子部品。
  4. 前記VIII族金属がNi、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Osのうち少なくとも1種以上であり、Ib族金属がCu、Ag、Auのうち少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項2乃至3のいずれかに記載の積層型電子部品。
  5. 前記VIII族金属がPt、Pdのうち少なくとも1種以上であり、Ib族金属がAg、Auのうち少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の積層型電子部品。
  6. 前記VIII族金属がNiであることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の積層型電子部品。
  7. 前記Ib族金属がCuであることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の積層型電子部品。
  8. 前記内部電極中に金属組成物とともに無機組成物を添加したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の積層型電子部品。
  9. 前記無機組成物がPbZrO−PbTiOからなるペロブスカイト型酸化物を主成分とすることを特徴とする請求項8記載の積層型電子部品。
  10. 前記誘電体がペロブスカイト型酸化物を主成分とすることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の積層型電子部品。
  11. 前記誘電体がPbZrO−PbTiOからなるペロブスカイト型酸化物を主成分とすることを特徴とする請求項10記載の積層型電子部品。
  12. 前記積層体の側面に外部電極を有し、前記側面に端部が露出する内部電極と端部が露出しない内部電極とが交互に構成されており、該端部が露出していない内部電極と外部電極間の誘電体部分に溝が形成されており、この溝内に、誘電体よりもヤング率の低い絶縁体が充填されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の積層型電子部品。
  13. 厚み50μm以上で厚みばらつきが10μm以下である誘電体のシートをテープ成形により作製し、内部電極を印刷した後で積層し、焼成することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  14. スラリー粘度が15ポイズ以上のスラリーを用いて前記シートを作成することを特徴とする請求項13記載の積層型電子部品の製造方法。
  15. 前記シートは、バインダとしてアクリル、ブチラールを含み、溶媒としてアルコール、トルエンの少なくとも一種類を含むことを特徴とする請求項13または14記載の積層型電子部品の製造方法。
  16. 噴射孔を有する収納容器と、該収納容器に収納された請求項1乃至12のいずれかに記載の積層型電子部品と、該積層型電子部品の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備してなることを特徴とする噴射装置。
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