JP2005275270A - レンズ鏡筒および撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 焦点調節のために一部のレンズのみを移動させることができ、しかも、比較的簡単な構成で且つ小形で済ませる。
【解決手段】 筒体25の上端部に固定レンズ26を設け、その下部の内周部に、レンズ29を枠体28で保持した可動レンズ部27を光軸方向に移動(摺動)可能に設ける。枠体28の下側に形状記憶合金ばね30を設け、上側に、通常時に可動レンズ部27を所定位置に保持するバイアスばね33を設ける。通電制御回路31による形状記憶合金ばね30への通電によって、形状記憶合金ばね30自体が発熱して伸長方向に変形し、その変形力によって枠体28ひいては可動レンズ部27を光軸方向に移動させ、以てフォーカス調節を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】 筒体25の上端部に固定レンズ26を設け、その下部の内周部に、レンズ29を枠体28で保持した可動レンズ部27を光軸方向に移動(摺動)可能に設ける。枠体28の下側に形状記憶合金ばね30を設け、上側に、通常時に可動レンズ部27を所定位置に保持するバイアスばね33を設ける。通電制御回路31による形状記憶合金ばね30への通電によって、形状記憶合金ばね30自体が発熱して伸長方向に変形し、その変形力によって枠体28ひいては可動レンズ部27を光軸方向に移動させ、以てフォーカス調節を行う。
【選択図】 図1
Description
本発明は、筒体と、レンズを有しその筒体内に光軸方向に移動可能に設けられた可動レンズ部とを備えるレンズ鏡筒、及び、そのレンズ鏡筒を備えた撮像装置に関する。
近年のビデオカメラ、テレビカメラ、一眼レフレックスカメラ、シネカメラ、監視カメラ、カメラ付き携帯電話機などにおいては、小型化を目的として、従来のカム環により変倍レンズと焦点調節レンズを連動させるズームレンズに替えて、カム環を廃止し、変倍レンズと焦点調節レンズをそれぞれ独立したモータで所定の関係を保つように駆動するいわゆる電子カム方式のズームレンズが用いられるようになった。特許文献1には、このような方式のズームレンズを用いたビデオカメラに好適なレンズ鏡筒が示されている。このレンズ鏡筒は、変倍レンズと焦点調節レンズを駆動するために円筒形のPM型ステッピングモータが用いられている。
一方、特許文献2には、レンズ構体を有する可動側レンズ鏡筒を固定側レンズ鏡筒に相対的に回動させながら光軸方向に前後移動できるように構成し、可動側レンズ鏡筒の周面部にN極、S極の磁極を交互に有する界磁マグネットを固設したレンズ鏡筒装置が示されている。
特開平5−281455号公報
特開昭59−159112号公報
図4は、特許文献1に示されたレンズ鏡筒を示している。このレンズ鏡筒1が用いるズーム駆動用、フォーカス駆動用のステッピングモータ2、3は、小さいものでもモータ外径が10mm程度あるため、当該ステッピングモータ部分が円筒形状のレンズ鏡筒1から出っ張る。その結果、レンズ鏡筒1の最大外径が大きくなり、ビデオカメラが大型化し携帯性を悪化させてしまうという問題があった。
図5は、特許文献2に示されたレンズ鏡筒を示している。このレンズ鏡筒4の場合、複数のレンズ5、6、7により一つのレンズ構体8が構成され、このレンズ構体8の全体が一体的に光軸方向に移動する。このため、例えばフォーカス調節をするために一部のレンズのみの移動ができないという不都合がある。
また、固定側レンズ鏡筒9の内周面および可動側レンズ鏡筒10の突起部11の外周部にはそれぞれ螺子部9aおよび11aが形成されているが、固定側レンズ鏡筒9の内周面にはコアレス電機子巻線12も配設されているため、可動側レンズ鏡筒10の移動範囲が電機子巻線12によって限定されてしまう。この移動範囲を拡大するためには電機子巻線12を小型化すればよいが、小型化するとモータ出力トルクが減少してしまう。さらに、レンズ鏡筒4は、可動側レンズ鏡筒10の構造上、外形が大きくなってしまうという欠点があった。
また、固定側レンズ鏡筒9の内周面および可動側レンズ鏡筒10の突起部11の外周部にはそれぞれ螺子部9aおよび11aが形成されているが、固定側レンズ鏡筒9の内周面にはコアレス電機子巻線12も配設されているため、可動側レンズ鏡筒10の移動範囲が電機子巻線12によって限定されてしまう。この移動範囲を拡大するためには電機子巻線12を小型化すればよいが、小型化するとモータ出力トルクが減少してしまう。さらに、レンズ鏡筒4は、可動側レンズ鏡筒10の構造上、外形が大きくなってしまうという欠点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、焦点調節のために一部のレンズのみを移動させることができ、しかも、比較的簡単な構成で且つ小形で済ませることができるレンズ鏡筒、及び、そのレンズ鏡筒を備えた撮像装置を提供するにある。
上記目的を達成するために、本発明のレンズ鏡筒は、筒体と、レンズを有し前記筒体内に光軸方向に移動可能に設けられた可動レンズ部と、この可動レンズ部を光軸方向に移動させる移動手段とを具備すると共に、前記移動手段は、前記筒体内に設けられ通電に伴って変形する変形部を有し、該変形部の変形によって前記可動レンズ部を移動させるように構成されているところに特徴を有する(請求項1の発明)。
これによれば、移動手段によって可動レンズ部を光軸方向に移動させることができ、焦点調節が可能となり、この場合、一部のレンズのみを比較的広い移動範囲で移動させることが可能となる。このとき、通電に伴って変形する変形部の変形によって、可動レンズ部を移動させるための駆動力を得るようにしているので、移動手段を構成するための部品点数が少なく済み、焦点調節のための構成を極めて簡単で且つ大型化することなく済ませることができ、組立性も良くなる。
より具体的には、前記変形部を、形状記憶合金から構成することができる(請求項2の発明)。これによれば、例えば形状記憶合金からなる変形部自体に通電して発熱させることにより、変形部を変形させることができ、極めて簡単な構成で移動手段を構成することができる。この場合、変形部をばね形状(コイルばね形状、波ワッシャ形状等)にすることができる。形状記憶合金からなる変形部を、別途に設けたヒータへの通電によって加熱して変形させるようにしても良い。
あるいは、前記変形部を、圧電材料から構成することもできる(請求項3の発明)。これによれば、圧電材料からなる変形部自体に通電(電圧を印加)することにより、変形部を変形させることができ、極めて簡単な構成で移動手段を構成することができる。あるいは、前記変形部を、磁歪材料から構成することもできる(請求項4の発明)。これによれば、例えば変形部の近傍に設けたコイル等の磁界発生機構に通電することによって磁界を発生させ、磁歪材料からなる変形部を変形させることができ、比較的簡単な構成で移動手段を実現することができる。
そして、可動レンズ部の移動開始前においては、可動レンズ部が所定の停止位置に停止されていることが望ましいので、前記変形部の非変形状態(移動手段における非通電状態)で、可動レンズ部を所定の停止位置に保持する保持手段を設けることができ(請求項5の発明)、これにより制御が容易となる。
このとき、保持手段を、可動レンズ部の移動に伴い弾性的に変形する弾性部材を備えて構成することができる(請求項6の発明)。弾性部材としては、例えばばね(コイルばね等)やゴムなどを採用することができる。また、この種のレンズ鏡筒は、可動レンズ部が遠焦点側で使用されることの方が、近焦点側で使用する場合に比べて多いので、前記停止位置を、遠焦点側の限界到達位置とすることにより(請求項7の発明)、可動レンズ部の移動距離を短くして、焦点調節に要する時間を比較的短く済ませることができる。
このとき、保持手段を、可動レンズ部の移動に伴い弾性的に変形する弾性部材を備えて構成することができる(請求項6の発明)。弾性部材としては、例えばばね(コイルばね等)やゴムなどを採用することができる。また、この種のレンズ鏡筒は、可動レンズ部が遠焦点側で使用されることの方が、近焦点側で使用する場合に比べて多いので、前記停止位置を、遠焦点側の限界到達位置とすることにより(請求項7の発明)、可動レンズ部の移動距離を短くして、焦点調節に要する時間を比較的短く済ませることができる。
本発明の撮像装置は、上述したレンズ鏡筒と、そのレンズ鏡筒を通過した光を電気信号に変換する画像センサとを備えて構成されるところに特徴を有する(請求項8の発明)。これにより、比較的簡単な構成で且つ小形で済ませながら、変倍調節および焦点調節が可能となる。
本発明のレンズ鏡筒によれば、筒体内に光軸方向に移動可能に設けられた可動レンズ部を移動させるための移動手段を設けると共に、その移動手段を、筒体内に設けられ通電に伴って変形する変形部の変形によって可動レンズ部を移動させるように構成したので、焦点調節のために一部のレンズのみを移動させることができ、しかも、比較的簡単な構成で且つ小形で済ませることができるという優れた効果を奏するものである。
以下、本発明を具体化したいくつかの実施例について、図1ないし図3を参照しながら説明する。
(1)第1の実施例
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施例について述べる。この図1は、本実施例に係るフォーカス(及びズーム)調節機能を備えた撮像装置21の断面構成を概略的に示している。
(1)第1の実施例
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施例について述べる。この図1は、本実施例に係るフォーカス(及びズーム)調節機能を備えた撮像装置21の断面構成を概略的に示している。
この撮像装置21は、基板22上に、画像センサ23を実装すると共に、その画像センサ23の前部(図で上部)に位置して、本実施例に係るレンズ鏡筒24を設けて構成される。これにて、撮像装置21は、前方(図1において上方)に位置する被写体(図示せず)からの光をレンズ鏡筒24(後述する複数のレンズ)を通して画像センサ23に入射(結像)させ、それを電気信号に変換するようになっている。従って、図1で上下方向が光軸方向となる。尚、前記基板22には、前記画像センサ23からの信号を処理する図示しない信号処理回路や、後述する形状記憶合金ばねへの通電を制御する通電制御回路などが設けられるようになっている。
ここで、本実施例に係るレンズ鏡筒24について詳述する。本実施例では、このレンズ鏡筒24は、筒体(鏡筒)25内に、固定レンズ26及び可動レンズ部27を備えると共に、前記可動レンズ部27を光軸方向に移動させるための移動手段並びに可動レンズ部27を保持するための保持手段を備えて構成される。
前記筒体25は、例えばプラスチック,金属等からなり、全体として光軸方向を軸方向とした円筒状をなし、先端側(図で上端部)が肉厚な厚肉部25aとされていると共に、段部25bを介してその下部(下端部を除く部位)に、内径が径大(外径は同等)となる薄肉部25cが形成されている。前記固定レンズ26は、例えばプラスチック,ガラス等から薄型のほぼ円柱状(凸レンズ形状)に構成され、前記厚肉部25aの内周部に嵌合固定されている。そして、この筒体25の下端部すなわち薄肉部25cの下部は、段部25dを介して内径がやや小さくなる(厚肉となる)ように構成されている。
そして、前記筒体25の薄肉部25cの内周部には、前記可動レンズ部27が、光軸方向(図で上下方向)に移動可能に設けられる。この可動レンズ部27は、枠体28内にレンズ29を保持して構成されている。前記枠体28は、例えばプラスチックからなり、断面が矩形状をなすリング状(薄型円筒状)をなしている。前記レンズ29は、例えばプラスチック,ガラス等から薄型のほぼ円柱状(凸レンズ形状)に構成され、枠体28の内周部に固定的に取付けられている。この可動レンズ部27は、前記枠体28の外周面が、前記筒体25の薄肉部25cの内周面を摺動可能に配設されている。
さて、このレンズ鏡筒24には、前記可動レンズ部27を光軸方向に移動させるための移動手段が設けられるのであるが、本実施例では、この移動手段は、変形部としての形状記憶合金ばね30と、この形状記憶合金ばね30に対する通電を行うための通電制御回路31とを備えて構成される。そのうち形状記憶合金ばね30は、周知の形状記憶合金製の線材から、前記枠体28の大きさに対応した径(筒体25の薄肉部25cの内径よりやや小さい径)のコイルばね形状に形成され、前記筒体25の下側の段部25dと前記枠体28の下面との間に、該筒体25の薄肉部25cの内周面に沿って配設されている。このとき、この形状記憶合金ばね30は、例えば、常温時には縮んだ状態であり、高温になるとばね長を伸長するように変形する。
また、この形状記憶合金ばね30の両端は、フレキシブルなリード線32を介して通電制御回路31(前記基板22に設けられた通電用の電極)に接続されている。前記通電制御回路31は、前記形状記憶合金ばね30に対する通断電の制御及びその際の電流の大きさの制御が可能に構成されている。これにて、通電制御回路31により形状記憶合金ばね30に通電がなされると、形状記憶合金ばね30自体が発熱し、形状記憶合金ばね30が伸長するように変形するようになっている。
さらに、前記筒体25内には、前記形状記憶合金ばね30の非変形状態(非通電状態)で、可動レンズ部27を所定の停止位置に保持する保持手段が設けられる。本実施例では、この保持手段として、可動レンズ部27の移動に伴い弾性的に変形する弾性部材としてのコイルばねからなるバイアスばね33が採用され、筒体25の上側の段部25bと前記枠体28の上面との間に位置して、該筒体25の薄肉部25cの内周面部に沿って設けられている。
これにて、可動レンズ部27は、光軸方向(図で上下方向)に移動可能であると共に、通常時(形状記憶合金ばね30の非通電状態)においては、下側の形状記憶合金ばね30と上側のバイアスばね33のばね力が釣合う所定位置に停止するようになっている。本実施例では、可動レンズ部27の所定の停止位置が、遠焦点側(ここでは、画像センサ23に近い側)の限界到達位置とされるように、形状記憶合金ばね30及びバイアスばね33のばね力が設定されている。
そして、次の作用説明でも述べるように、前記形状記憶合金ばね30への通電により、形状記憶合金ばね30を伸長方向に変形させて、可動レンズ部27を光軸方向に自在に移動させることができる。このとき、前記通電制御回路31により、画像センサ23において最適な画像が得られる位置に可動レンズ部27(レンズ29)を移動させるべく、形状記憶合金ばね30に対する通断電の制御及び電流の大きさの制御がなされるようになっているのである。
次に、上記構成の作用について述べる。上記構成のレンズ鏡筒24においては、上述のように、形状記憶合金ばね30に電流を流すことにより、形状記憶合金ばね30自体が発熱して伸長方向に変形し、その変形力によって枠体28を図で上方に押上げ、バイアスばね33のばね力に抗して可動レンズ部27を光軸方向(図で上方)に移動させることができる。この場合、形状記憶合金ばね30に流す電流の大きさ等を制御することによって、形状記憶合金ばね30の温度、つまり変形度合を制御することができ、ひいては可動レンズ部27の移動量(光軸方向の位置)を制御することができる。
今、撮像装置21における撮像時においてフォーカス調節を行うにあたっては、通電制御回路31により形状記憶合金ばね30に対する通電制御がなされることにより、可動レンズ部27ひいてはレンズ29が所定の停止位置から光軸方向に移動されるのであるが、このとき、画像センサ23の出力信号に基づいて、例えばコントラストが最良となるように可動レンズ部27の位置調節が行われ、以て、フォーカス調節がなされるようになっているのである。この場合、可動レンズ部27は、筒体25内において比較的広い範囲内(形状記憶合金ばね30及びバイアスばね33がいっぱいまで伸びる(縮む)範囲内)を自在に移動することができる。
画像センサ23による撮像が終了すると、形状記憶合金ばね30に対する通電が停止され、形状記憶合金ばね30はいわば自然冷却されるようになり、その温度低下に従って縮む方向に戻り変形する。これにより、可動レンズ部27は、バイアスばね33のばね力によって、所定の停止位置(遠焦点側の限界到達位置)に戻り移動して停止するようになる。この種の撮像装置21のレンズ鏡筒24にあっては、可動レンズ部27が遠焦点側で使用されることの方が多い事情があるが、撮像装置21が使用停止状態にある時には、可動レンズ部27は、遠焦点側の限界到達位置で待機しているので、撮像装置21が使用状態に移行した時に、可動レンズ部27の移動距離を比較的短くして、フォーカス調節が完了するまでに要する時間を短く済ませることができるのである。
このように、本実施例の撮像装置21に用いられるレンズ鏡筒24によれば、可動レンズ部27を光軸方向の任意の位置に移動させることができるので、一部のレンズ29のみを比較的広い移動範囲で移動させることが可能となる。このとき、形状記憶合金ばね30、及び、その形状記憶合金ばね30に対する通電制御手段31を設けるだけでレンズ29を移動させるための機構を実現できるので、部品点数が極めて少なく、焦点調節のための構成を極めて簡単に済ませることができ、組立性も良くなる。しかも、形状記憶合金ばね30は筒体25内でリング状に設けられるので、一部が出っ張ることもなく、径方向に大形化することも抑えることができる。
この結果、本実施例によれば、焦点調節のために一部のレンズ29のみを比較的広い移動範囲で移動させることができ、しかも、比較的簡単な構成で且つ小形で済ませることができるという優れた効果を得ることができる。そして、特に本実施例においては、変形部をコイルばね形状の形状記憶合金ばね30から構成したので、変形部(移動手段)の配設スペースを小さく済ませながらも、可動レンズ部27の比較的大きな移動ストロークを得ることができる。
また、バイアスばね33からなる保持手段を設けて、通常時(形状記憶合金ばね30への非通電状態)には、可動レンズ部27を遠焦点側の限界到達位置に停止させるようにしたので、可動レンズ部27の移動制御が容易となり、焦点調節に要する時間を比較的短く済ませることができるといった利点も得ることができる。保持手段の構成としても小形且つ簡単なもので済む。尚、本実施例の撮像装置21は、ビデオカメラ、テレビカメラ、一眼レフレックスカメラ、シネカメラ、監視カメラ、カメラ付き携帯電話機などに広く適用することができる。
(2)第2、第3の実施例、その他の実施例
次に、本発明の第2、第3の実施例について、図2、図3を夫々参照しながら説明する。尚、以下に述べる第2、第3の実施例においては、上記第1の実施例と同一部分についての詳しい説明を省略すると共に、符号も共通して使用することとし、以下、上記第1の実施例と異なる点についてのみ述べる。
次に、本発明の第2、第3の実施例について、図2、図3を夫々参照しながら説明する。尚、以下に述べる第2、第3の実施例においては、上記第1の実施例と同一部分についての詳しい説明を省略すると共に、符号も共通して使用することとし、以下、上記第1の実施例と異なる点についてのみ述べる。
図2は、本発明の第2の実施例に係る撮像装置41の構成を示すものである。この第2の実施例が上記第1の実施例と異なる点は、レンズ鏡筒42の構成、なかでも可動レンズ部27を移動させるための移動手段の変形部の構成にあり、この実施例においては変形部を圧電材料から構成するようにしている。即ち、移動手段は、変形部としての圧電体リング43と、この圧電体リング43に対する通電を行う(直流電圧を印加する)ための通電制御回路44とを備えて構成される。
そのうち圧電体リング43は、周知の圧電材料から、可動レンズ部27の枠体28の大きさ(筒体25の薄肉部25cの内径)に対応した径のリング状(薄型円筒状)に構成され、筒体25の下側の段部25dと可動レンズ部27の枠体28の下面との間に、該筒体25の薄肉部25cの内周面に沿って配設されている。この圧電体リング43は、上下部間に通電(直流電圧が印加)されることにより、その通電の向きに応じて図で上下方向に伸びあるいは縮み変形するように構成されている。そして、この圧電体リング43の上下両端側に設けられた電極は、フレキシブルなリード線45を介して通電制御回路44(基板22に設けられた通電用の電極)に接続されている。
通電制御回路44は、前記圧電体リング43に対する通断電の制御及びその際の電圧の大きさ及び電圧を印加する方向の制御が可能に構成されている。これにて、通電制御回路44により圧電体リング43に通電(直流電圧の印加)がなされると、通電方向に応じて圧電体リング43が上下方向に伸びあるいは縮み変形し、その変形力によって、枠体28ひいては可動レンズ部27を、光軸方向(図で上下方向)に移動させることができるのである。
従って、本実施例の撮像装置41に用いられるレンズ鏡筒42においても、焦点調節のために可動レンズ部27即ち一部のレンズ29のみを光軸方向の任意の位置に移動させることができる。このとき、圧電体リング43及び通電制御手段44を設けるだけでレンズ29を移動させるための機構を実現できるので、部品点数が極めて少なく、焦点調節のための構成を極めて簡単に済ませることができ、組立性も良くなる。しかも、圧電体リング43は筒体25内でリング状に設けられるので、一部が出っ張ることもなく、径方向に大形化することも抑えることができるものである。
図3は、本発明の第3の実施例に係る撮像装置51の構成を示すものである。この第3の実施例においても、レンズ鏡筒52の構成なかでも可動レンズ部27を移動させるための移動手段の変形部の構成が、上記各実施例と異なっており、この実施例においては変形部を磁歪材料から構成するようにしている。即ち、移動手段は、変形部としての磁歪性リング53と、筒体25の外周部に沿って設けられた磁界発生手段としてのコイル54と、このコイル54に対する通電を行うための通電制御回路55とを備えて構成される。
そのうち磁歪性リング53は、磁歪材料から、リング状(薄型円筒状)に構成され、筒体25の下側の段部25dと可動レンズ部27の枠体28の下面との間に、該筒体25の薄肉部25cの内周面に沿って配設されている。この磁歪性リング53は、磁界が作用することにより、その磁界の方向に応じて図で上下方向に伸びあるいは縮み変形するように構成されている。そして、前記コイル54は、レンズ鏡筒52の筒体25の外周部のうち、磁歪性リング53の配置部分に位置して、円周方向に巻回されるようにして設けられている。このコイル54は、通電制御回路55に接続されている。
通電制御回路55は、前記コイル54に対する通断電の制御及びその際の電流の大きさ及び向きの制御が可能に構成されている。これにて、通電制御回路55によりコイル54に通電がなされると、コイル54から通電電流に応じた強さ及び向きの磁界が発生し、その磁界が磁歪性リング53に作用して磁歪性リング53が上下方向に伸びあるいは縮み変形する。その磁歪性リング53の変形力によって、枠体28ひいては可動レンズ部27を、光軸方向(図で上下方向)に移動させることができるのである。
従って、本実施例の撮像装置51に用いられるレンズ鏡筒52においても、焦点調節のために可動レンズ部27即ち一部のレンズ29のみを光軸方向の任意の位置に移動させることができる。このとき、磁歪性リング53、コイル54、通電制御回路55を設けるだけでレンズ29を移動させるための機構を実現できるので、部品点数が少なく、焦点調節のための構成を簡単に済ませることができ、組立性も良くなる。この場合、コイル54の分だけレンズ鏡筒52の筒体25が大形となるが、筒体25からの出っ張りは僅かなもので済み、さほどの大形化を招くこともない。
尚、本発明は上記し且つ図面に示した各実施例に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
即ち、上記実施例では、可動レンズ部を所定の停止位置に保持するために保持手段としてバイアスばね33を設けるようにしたが、ゴム等の弾性部材により保持手段を構成しても良い。また、停止位置は、遠焦点側の限界到達位置に限らず、例えば、近焦点側の限界到達位置や、遠焦点と近焦点との中間的な位置に設定しても良い。位置センサなどを設けて可動レンズ部の位置を検出する構成とすることもできる。可動レンズ部27の光軸方向位置を2段階あるいは3段階以上に移動制御する構成としても良い。
即ち、上記実施例では、可動レンズ部を所定の停止位置に保持するために保持手段としてバイアスばね33を設けるようにしたが、ゴム等の弾性部材により保持手段を構成しても良い。また、停止位置は、遠焦点側の限界到達位置に限らず、例えば、近焦点側の限界到達位置や、遠焦点と近焦点との中間的な位置に設定しても良い。位置センサなどを設けて可動レンズ部の位置を検出する構成とすることもできる。可動レンズ部27の光軸方向位置を2段階あるいは3段階以上に移動制御する構成としても良い。
さらには、上記実施例では、固定レンズ26及び可動レンズ部のレンズ29を夫々単独のレンズから構成したが、複数枚のレンズを組合せて構成されるものであっても良く、レンズ形状は凹形状であっても良い。筒体内にレンズの他に光学フィルタを設けるようにしても良い。その他、変形部の形状としては、コイルばね形状あるいはリング形状に限らず、波ワッシャ形状等も考えられ、また、上記第1の実施例のように変形部に形状記憶合金を用いる場合、別途にヒータを設けるようにしても良いなど、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
図面中、21,41,51は撮像装置、23は画像センサ、24,42,52はレンズ鏡筒、25は筒体、26は固定レンズ、27は可動レンズ部、28は枠体、29はレンズ、30は形状記憶合金ばね(変形部)、31,44,55は通電制御回路、33はバイアスばね(弾性部材)、43は圧電体リング(変形部)、53は磁歪性リング(変形部)、54はコイルを示す。
Claims (8)
- 筒体と、
レンズを有し、前記筒体内に光軸方向に移動可能に設けられた可動レンズ部と、
この可動レンズ部を光軸方向に移動させる移動手段とを具備し、
前記移動手段は、前記筒体内に設けられ通電に伴って変形する変形部を有し、該変形部の変形によって前記可動レンズ部を移動させるように構成されていることを特徴とするレンズ鏡筒。 - 前記変形部は、形状記憶合金から構成されていることを特徴とする請求項1記載のレンズ鏡筒。
- 前記変形部は、圧電材料から構成されていることを特徴とする請求項1記載のレンズ鏡筒。
- 前記変形部は、磁歪材料から構成されていることを特徴とする請求項1記載のレンズ鏡筒。
- 前記変形部の非変形状態で、前記可動レンズ部を所定の停止位置に保持する保持手段を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のレンズ鏡筒。
- 前記保持手段は、前記可動レンズ部の移動に伴い弾性的に変形する弾性部材を備えて構成されることを特徴とする請求項5記載のレンズ鏡筒。
- 前記停止位置は、遠焦点側の限界到達位置であることを特徴とする請求項5又は6記載のレンズ鏡筒。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載のレンズ鏡筒と、
そのレンズ鏡筒を通過した光を電気信号に変換する画像センサとを備えたことを特徴とする撮像装置。
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