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JP2007066489A - 光記録媒体 - Google Patents

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JP2007066489A JP2005254876A JP2005254876A JP2007066489A JP 2007066489 A JP2007066489 A JP 2007066489A JP 2005254876 A JP2005254876 A JP 2005254876A JP 2005254876 A JP2005254876 A JP 2005254876A JP 2007066489 A JP2007066489 A JP 2007066489A
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Hideyuki Kubo
秀之 久保
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Abstract

【課題】 媒体識別情報記録領域を良好に形成することができるようにした新たな多層型の光記録媒体を提供する。
【解決手段】 記録層2A,3Aと反射層2B,3Bとを有し、光により記録又は再生が行なわれる記録再生機能層2,3が2層以上積層された光記録媒体1に、媒体識別情報が記録された媒体識別情報記録領域2Xが形成された第1の記録再生機能層2と、第1の記録再生機能層2よりも光記録媒体における光の入射面6に近い位置に積層され、その記録層3A及び反射層3Bのうちの少なくとも一方が媒体識別情報記録領域2Xに対応する部位3Xを避けて形成された第2の記録再生機能層3とを設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は光記録媒体に関し、特に、多層型の光記録媒体に関する。
光記録媒体に記録した情報の流通や不正コピーの防止等のために、媒体識別情報が光記録媒体に記録されることがある。具体例としては、平面円盤形状の光記録媒体の主記録再生領域(記録又は再生に用いられる領域)よりも内径側に、著作権情報やロット番号などの媒体識別情報を記録するバーコードを形成した領域(「Burst Cutting Area」又は「媒体識別情報記録領域」。以下適宜、「BCA領域」という。)を設ける技術がある。なお、上記バーコードは、通常、光記録媒体の製造時にレーザーを用いて、BCA領域に存在する記録層や反射層を、所定のバーコート形状に焼き切る、或いは相変化させる等して形成される。
一方、近年の記録容量の増大に鑑み、記録層を複数設ける光記録媒体が開発されている。そして、このような記録層を複数有する光記録媒体(以下、多層型の光記録媒体という場合がある。)においても、BCA領域を形成する場合がある。
このような多層型の光記録媒体にBCA領域を形成する技術として、例えば、特許文献1がある。特許文献1における情報記録装置及び方法は、情報記録媒体に対して、ユーザーデータ(即ち、記録層に記録された情報)の記録又は再生を行なう面(以下適宜、「情報記録再生面」という)とは反対側の面に媒体情報記録用光ピックアップを設置する。そして、情報記録再生面とは反対側の面からレーザービームを照射して媒体識別情報を記録するようにしている。
特開2005−135569号公報(特に、段落0008)
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1に記載の技術のような従来の方法は、2P(Photo Polymerization)法で形成される多層型の光記録媒体では適用しにくいという課題があることが判明した。これは、2P法で形成される多層型の光記録媒体では、ユーザーデータの記録又は再生を行なう情報記録再生面とは反対側の面から、ダミー基板、接着層、反射層、記録層が積層された層構成となっていることに起因する。
ここで、2P法で形成される多層型の光記録媒体においては、ダミー基板や接着層には、記録又は再生用の光が入射することがないため、それぞれ光学的にも機械的にも高い精度が要求されない。したがって、コストを抑制すべく、ダミー基板や接着層は他の層に比べて光学的精度が低い構成となっている。具体的には、ダミー基板の厚みの精度は、情報記録再生面側の基板と比較して相対的に低くなっている。また、ダミー基板は、光学的特性の合わせこみを十分に行なっていないのが実情である。加えて、光記録媒体の製造時において、ダミー基板を接着するための接着層の膜厚も光学特性までも考慮した高い制御が行なわれていないのが実情である。
以上の事情から、特許文献1記載の技術を利用して、このような2P法で形成される多層型の光記録媒体に、ダミー基板側からBCA領域への媒体識別情報の記録を試みた場合には、媒体識別情報記録用の光はダミー基板や接着層を透過することになる。しかし、上述したようにダミー基板や接着層の光学的精度が低いために、媒体識別情報記録用の光が減衰したり焦点がずれたりして、BCA領域への精度の高い媒体識別情報の記録が困難な傾向となる。換言すれば、情報記録再生面とは反対側の面からレーザー光を照射してBCA領域を良好に形成しようとすると、この面の側に位置するダミー基板やその他の層(接着層等)の光学特性や厚み特性を精密に制御する必要がある。これは、光記録媒体のコストアップにつながることを意味する。
また、同様の課題は、2P法以外の方法で形成された多層型の光記録媒体においても生じうる。例えば、貼り合わせ型の多層型の光記録媒体は、案内溝が形成された基板上に記録層、反射層を積層した正積層体と、案内溝が形成された逆積層基板上に反射層、記録層を積層した逆積層体と、を正積層体の反射層と逆積層体の記録層とを向かい合わせにして接着する。そして、正積層体の基板側から、記録・再生用のレーザー光を照射する。このような貼り合わせ型の多層型の光記録媒体においても、逆積層体の逆積層基板は、記録・再生用のレーザー光が透過しないので光学特性の合わせ込みを十分に行っていないのが実情である。
従って、レーザー光の入射面からみて遠い側に存在する逆積層体側にBCA領域を設けようとすると、上記2P法と同様の課題が発生する。つまり、媒体識別情報記録用の光が透過してBCA領域の記録を良好に行なうことができるように、逆積層基板の光学特性を合わせ込む必要がある。これは、コストアップの原因となる。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、媒体識別情報記録領域を良好に形成することができるようにした新たな多層型の光記録媒体を提供することを目的とする。
本発明の発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、ユーザーデータの記録又は再生を行なう面(即ち、情報記録再生面)から最も遠い位置に存在する記録層や反射層にBCA領域を設ける多層型の光記録媒体において、このBCA領域から情報記録再生面までの間では、BCA領域に対応する部位を避けて記録層や反射層を形成することにより、情報記録再生面からレーザー光を照射して、BCA領域に良好に媒体識別情報を記録できることを見出した。
即ち、本発明の要旨は、記録層と反射層とを有し、光により記録又は再生が行なわれる記録再生機能層が2層以上積層された光記録媒体であって、媒体識別情報が記録された媒体識別情報記録領域が形成された第1の記録再生機能層と、該第1の記録再生機能層よりも前記光記録媒体における前記光の入射面に近い位置に積層され、その記録層及び反射層のうちの少なくとも一方が該媒体識別情報記録領域に対応する部位を避けて形成された第2の記録再生機能層とを備えることを特徴とする、光記録媒体に存する(請求項1)。
このとき、本発明の光記録媒体においては、該第1の記録再生機能層に隣接する層の表面における、該媒体識別情報記録領域に対応する部位に、光学伝達関数のカットオフ周波数に対応する長さよりも小さい幅の凹凸が形成されていることが好ましい(請求項2)。
また、本発明の光記録媒体は、500nm以下の波長の光で記録又は再生が可能であることが好ましい(請求項3)。
さらに、該記録層は、有機色素を含有することが好ましい(請求項4)。
本発明によれば、媒体識別情報記録領域を良好に形成することができるようにした新たな多層型の光記録媒体を提供することができる。
以下、本発明について説明する。説明に当たっては、図面を用いて、本発明の一実施形態を具体例として説明するが、本発明は以下の実施形態や例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
図1〜図7は本発明の一実施形態について説明するもので、図1は光記録媒体の中央部近傍の断面を拡大して示す模式的な断面図、図2は光記録媒体の模式的な平面図、図3は光記録媒体における記録層又は反射層の形成方法の一例を説明する模式的な図、図4は光記録媒体における記録層又は反射層の形成方法の一例を説明する模式的な図、図5は光記録媒体における記録層又は反射層の形成方法の一例を説明する模式的な図、図6は光記録媒体においてダミー基板のBCA領域に対応する部位の記録再生機能層側の表面に凹凸を形成した場合についてその要部を拡大して模式的に示す断面図、図7は光記録媒体のBCA領域に媒体識別情報を記録する方法を説明する模式的な図である。
[1.概要]
光記録媒体1は、図1に示すように、少なくとも記録層2A,3Aと反射層2B,3Bとを有し、光により記録又は再生が行なわれる記録再生機能層2,3を、2層積層した多層型の光記録媒体である。また、上記の記録再生機能層2,3は、通常、基板4上に積層される。さらに、各記録再生機能層2,3の間には、通常は、中間層5が形成される。
そして、光記録媒体1は、上記の記録再生機能層2,3として、媒体識別情報が記録されたBCA領域(即ち、媒体識別情報記録領域)2Xを形成された第1の記録再生機能層2と、該第1の記録再生機能層2よりも、光記録媒体1における上記光の入射面(即ち、情報記録再生面)6に近い位置に積層され、その記録層3A及び反射層3Bのうちの少なくとも一方がBCA領域2Xに対応する部位3Xを避けて形成された第2の記録再生機能層3とを備えて構成される。
[2.記録再生機能層]
記録再生機能層2,3は、光により記録又は再生を行なうための層である。また、記録再生機能層2,3は、少なくとも記録層2A,3Aと反射層2B,3Bとを有する。この点で、図1中の記録再生機能層2,3は、記録再生機能層の最も基本的な層構成となっている。但し、記録再生機能層の層構成は光記録媒体の種類によって様々に考えられる。具体的には、記録再生機能層の層構成は、当該光記録媒体が、一度の記録のみ可能な追記型の媒体(Write Once媒体)である場合と、記録消去を繰り返し行える書き換え可能型の媒体(Rewritable媒体)である場合とによって、それぞれの目的に応じた層構成を採用することができる。また、記録再生機能層は、記録・再生用の光(以下適宜、「記録再生光」という)の入射方向によって、基板面入射型と膜面入射型とに分けることができる。
以下、一般的に用いられる記録再生機能層について説明する。
(追記型の媒体の例1)
追記型の媒体においては、記録再生機能層は、通常、反射層及び記録層により形成される。また、反射層と記録層との積層の順番は、媒体のタイプ(光の入射方向)に応じて設定される。具体的には、膜面入射型の媒体においては、通常、基板に近いほうから反射層及び記録層をこの順に設けることによって記録再生機能層が形成される。一方、基板面入射型の媒体においては、通常、基板上に近いほうから記録層及び反射層をこの順に設けることによって記録再生機能層が形成される。
さらに、基板面入射型の媒体においては、必要に応じて、反射層上に保護層を設けてもよい。
さらに、保護層の材料も記録再生機能層による情報の記録又は再生が可能な限り任意であるが、通常、紫外線硬化性樹脂が用いられる。なお、保護層の材料も、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、保護層の形成方法も任意であるが、通常は、スピンコートした後に硬化させることにより形成される。
反射層の材料としては、記録再生機能層に入射してきた光を反射できるものを用いる。記録再生機能層による情報の記録又は再生が可能な限り任意のものを用いることができるが、通常は、Al、Ag、Au等の金属または合金が用いられる。なお、反射層の材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ただし、本発明の光記録媒体は多層型(即ち、記録再生機能層を複数有するタイプ)であるため、情報記録再生面から最も遠い位置に存在する記録再生機能層(以下適宜、「最下層記録再生機能層」という。図1においては、第1の記録再生機能層が最下層記録再生機能層に対応する。)以外の記録再生機能層(例えば、図1の第2の記録再生機能層)の反射層は、入射光の一部を透過させるように構成する必要がある。これは、最下層記録再生機能層まで、記録や再生に用いられる光が届くようにするためである。
このような記録再生機能層に用いられる反射層の光透過率は、設ける記録再生機能層の層数に依存する。例えば、記録再生機能層を2層とする場合には、上記光透過率は、通常40%以上とし、且つ、光反射率を通常30%以上とすることが好ましい。また、例えば、記録再生機能層を4層で形成する場合には、上記光透過率は70%以上とすることが好ましい。
なお、反射層の形成方法に制限は無く任意であるが、通常は、スパッタリングによって形成される。
一方、記録層の材料も、記録再生機能層による情報の記録又は再生が可能な限り任意であるが、通常は、有機色素が用いられる。つまり、記録層は有機色素を含有することが好ましい。このような有機色素としては、大環状アザアヌレン系色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素など)、ポリメチン系色素(シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素など)、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、含金属アゾ系色素、含金属インドアニリン系色素などが挙げられる。特に含金属アゾ系色素は、耐久性および耐光性に優れているため好ましい。なお、記録層の材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
さらに、記録層の形成方法も制限は無く任意である。例を挙げると、有機色素により記録層を形成する場合は、通常、有機色素を適当な溶媒に溶解した溶液によるスピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート等の塗布方法で成膜される。この際、溶媒としては、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ溶媒、テトロフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール等のパーフルオロアルキルアルコール溶媒、乳酸メチル、イソ酪酸メチル等のヒドロキシエチル溶媒が好適に使用される。
また、記録層の厚さは、記録方法等により適した膜厚が異なるため、特に限定されないが、十分な変調度を得るために、通常、5nm以上、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上である。但し、光を透過させる必要があるため、通常、3μm以下であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは200nm以下である。
また、中間層が樹脂で形成されていて、上記記録層を有機色素で形成している場合には、記録層と中間層とが接することにより有機色素が溶解することがある。このような場合には、上記溶解を抑制するために、記録層と中間層との間には、無機材料(例えば、ZnS/SiO2)で形成されるバッファー層をさらに設けてもよい。
(追記型の媒体の例2)
追記型の媒体のうち、膜面入射型の媒体の記録再生機能層の別の例としては、記録層、誘電体層及び反射層により形成されたものも挙げられる。また、この記録再生機能層の積層の順番は、基板に近いほうから、反射層、誘電体層、記録層、及び誘電体層をこの順に設けることによって記録再生機能層が形成される。
一方、追記型の媒体のうち、基板面入射型の媒体の記録再生機能層の別の例としては、記録層、誘電体層及び反射層により形成されたものも挙げられる。また、この記録再生機能層の積層の順番は、基板に近いほうから、誘電体層、記録層、誘電体層及び反射層をこの順に設けることによって記録再生機能層が形成される。
このタイプの記録再生機能層においては、反射層は、「(追記型の媒体の例1)」で上述したのと同様のものを用いればよい。
また、記録層の材料は、記録再生機能層による情報の記録又は再生が可能な限り任意であるが、通常、無機材料(例えば、Ge・Te、Ge・Sb・Teの様なカルコゲン系合金)が用いられる。なお、記録層の材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、記録層の形成方法に制限は無く任意であるが、通常、スパッタリングによって形成される。
さらに、その膜厚にも制限は無いが、通常1nm〜50nm程度とされる。
さらに、誘電体層の材料も記録再生機能層による情報の記録又は再生が可能な限り任意である。耐熱性や機械的強度を考慮して、通常、無機材料(代表的には、ZnS/SiO2)が用いられる。なお、誘電体層の材料も、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、誘電体層の形成方法も任意であるが、通常は、スパッタリングすることによって形成される。
また、必要に応じて保護層を設けてもよい。保護層は、通常、膜面入射型の媒体においては誘電体層上に設けられる。一方、保護層は、通常、基板面入射型の媒体においては反射層上に設けられる。保護層の材料や製造方法については、「追記型の媒体の例1」で説明したものと同様のものを用いればよい。
(書き換え可能型の媒体の例1)
書き換え可能型の媒体においては、記録再生機能層は、通常、反射層、記録層及び誘電体層により形成される。また、これらの層の積層の順番は、媒体のタイプに応じて設定される。具体的には、膜面入射型の媒体においては、通常、基板に近いほうから反射層、誘電体層、記録層及び誘電体層をこの順に設けることによって記録再生機能層が形成される。一方、基板面入射型の媒体においては、基板に近いほうから誘電体層、記録層、誘電体層及び反射層をこの順に設けることによって記録再生機能層が形成される。また、膜面入射型の媒体においては、誘電体層上に保護層を設けてもよい。同様に、基板面入射型の媒体においては、反射層上に保護層を設けてもよい。
反射層、誘電体層、記録層及び保護層としては、「(追記型の媒体の例1,2)」で説明したのと同様にすればよい。ただし、記録層は、記録・消去を可逆的に行なえるような材料とする必要がある。このような材料としては、例えば、SbTe系、GeTe系、GeSbTe系、InSbTe系、AgSbTe系、AgInSbTe系、GeSb系、GeSbSn系、InGeSbTe系、InGeSbSnTe系等の材料が挙げられる。これらの中でも、結晶化速度を高めるために、記録層にSbを主成分とする組成を用いることが好ましい。
(書き換え可能型の媒体の例2)
書き換え可能型の媒体としての他の具体例として、光磁気記録媒体(MOディスク)を挙げることもができる。
なお、本実施形態では、図1に示すように、記録層2A,3A及び反射層2B,3Bがこの順に形成された記録再生機能層2,3が、基板4上に中間層5を介して積層された光記録媒体1を例に挙げて説明を行なうものとする。また、この光記録媒体1は基板面入射型の媒体であり、基板4の表面である情報記録再生面6から光が照射され、情報の記録又は再生が行なわれるようになっているものとする。
[3.記録再生機能層の積層数]
本発明の光記録媒体においては、記録再生機能層は2層以上形成されている。具体的な積層数に制限は無いが、通常2層以上10層以下とする。中でも、好ましくは7層以下、より好ましくは5層以下とする。最も好ましくは、記録再生機能層の層数を2層とすることである。
なお、本実施形態は、図1に示すように、光記録媒体1に、第1の記録再生機能層2と、第2の記録再生機能層3との2層を用いた例である。
[4.基板]
基板の材料としては、光記録媒体1の種類に応じて適切なものを任意に用いることができるが、通常は、適度な加工性と剛性を有するプラスチック、金属、ガラス等を用いる。ただし、基板面入射型の光記録媒体の基板は入射する光(通常は、レーザー光)に対して透明である必要がある。一方、膜面入射型の光記録媒体では、通常光が基板を透過することがないので、基板は当該光に対して透明でなくてもよい。
ただし、基板を金属又はガラスにより形成する場合には、表面に光や熱硬化性の薄い樹脂層を設け、そこに、後述する案内溝(図示省略)を形成することが多い。これに対して、基板をプラスチック材料により形成する場合には、射出成型によって、基板の形状(特に円盤状)と表面の案内溝とを一挙に形成することができる。したがって、基板はプラスチック材料等により形成することが製造上は好ましい。
射出成型できるプラスチック材料としては、例えば、従来CDやDVDで用いられたポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
なお、基板の材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、基板の厚みも任意であるが、通常は、0.5〜1.2mm程度とするのが好ましい。
さらに、基板には、通常、トラッキング用の案内溝が形成されている。
案内溝のトラックピッチは、光記録媒体1の記録再生に用いる光の波長によって異なる。具体的には、CD系の光記録媒体では、トラックピッチは通常1.5〜1.6μmである。また、DVD系の光記録媒体では、トラックピッチは通常0.7〜0.8μmである。さらに、青色レーザー用の光記録媒体では、トラックピッチは通常0.2〜0.5μmである。
一方、案内溝の深さも光記録媒体1の記録再生に用いるレーザー光の波長によって異なる。具体的には、CD系の光記録媒体では、溝深さは通常10〜300nmである。また、DVD系の光記録媒体では、溝深さは通常10〜200nmである。さらに、青色レーザー用の光記録媒体では、溝深さは通常10〜200nmである。
また、場合によっては、光記録媒体には基板が2枚以上設けられる場合がある。例えば、基板面入射型の光記録媒体において情報記録再生面側に設けられる基板とは別に、情報記録再生面側とは反対側に、光記録媒体の強度を補強することなどを目的として、もう一つ基板(以下適宜、「ダミー基板」という)を設ける場合がある。このダミー基板の構成は、基板と基本的には同様であるが、通常は、このダミー基板は情報の記録又は再生のための光が透過する必要が無いため、精密な光学的構造は必要としない。また、2P法で多層型の光記録媒体を形成する場合は、ダミー基板にはトラッキング用の案内溝を設けなくてもよい。そのため、所定の強度を確保することができれば、基板よりも広範囲の材料で形成することが可能である。
なお、本実施形態においては、図1に示すように、光記録媒体1は、一側に基板4が設けられ、他側にダミー基板7が設けられて、これらの基板4とダミー基板7とによって内部の記録再生機能層2,3及び中間層5が挟み込まれた構造となっているものとする。具体的には、基板4上に、記録再生機能層3、中間層5、記録再生機能層2が積層され、記録再生機能層2上に、ダミー基板7が接着層(図示省略)を介して接着されている。
また、基板4は、入射する光に対して透明になっている。さらに、基板4上には、その上に存在する記録再生機能層3のためのトラッキング用の案内溝(図示省略)が形成されている。一方、ダミー基板7にはトラッキング用の案内溝が形成されていない。
なお、BCA領域2Xに対応するダミー基板7上の部位には凹凸(図1では図示省略)が形成されているが、これについては、後述する。
[5.中間層]
記録再生機能層の間には、通常は中間層が設けられる。中間層の材料としては、記録又は再生に用いられる光を透過させうる限り任意の材料を用いることができるが、通常は、光硬化性の樹脂材料が用いられる。
一般に、光硬化性の樹脂材料は、樹脂の骨格となる樹脂主成分であるオリゴマー、反応性希釈剤としてモノマー、開始剤、添加剤等の混合物からなる。
このような光硬化性の樹脂材料としては、例えば、紫外線硬化性樹脂材料を挙げることができる。
紫外線硬化性樹脂としては、ラジカル系(ラジカル重合型の)紫外線硬化性樹脂とカチオン系(カチオン重合型の)紫外線硬化性樹脂が挙げられ、いずれも使用することができる。
ラジカル系紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化性化合物と光重合開始剤とを必須成分として含む組成物などが用いられる。その具体例としては、単官能(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレートを重合性モノマー成分として用いることができる。ここで、アクリレートとメタアクリレートとを併せて(メタ)アクリレートと称する。また、この際、光重合開始剤としては、光開裂型又は水素引き抜き型のものが好ましい。
一方、カチオン系紫外線硬化性樹脂としては、例えば、カチオン重合型の光開始剤を含むエポキシ樹脂が挙げられる。このエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA−エピクロールヒドリン型、脂環式エポキシ、長鎖脂肪族型、臭素化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型、グリシジルエーテル型、複素環式系等が挙げられる。
ただし、エポキシ樹脂としては、遊離した塩素及び塩素イオン含有率が少ないものを用いるのが好ましい。具体的には、塩素の量が、通常1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下であることが望ましい。また、カチオン重合型の光開始剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩等が挙げられる。
さらに、上述した紫外線硬化性樹脂のうちでも、ラジカル重合型のアクリル酸エステルを主体とする未硬化の紫外線硬化樹脂前駆体を用いて、これを硬化させて中間層を得ることが好ましい。ラジカル重合型のアクリル酸エステルは、硬化速度が速く、半硬化状態でも所定の固さを有するので、量産性が高いためである。
なお、中間層の材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、中間層には、硬度が大きい、硬化収縮が小さい、光記録媒体の記録や再生用の光に対する光透過率が高い、経時変化の少ない、等の特性が求められる。したがって、これらの特性を有するもので中間層を形成するようにすることが好ましい。
硬度を大きくするには、オリゴマーそのものの分子構造を工夫したり、立体的に架橋するように、2官能、3官能またはそれ以上の反応基を持つモノマーを用いたりする。この多官能モノマー成分は、多すぎると、硬化収縮が大きくなる。これを防ぐために、オリゴマーの構造を工夫したり、各モノマーの組成を調整してバランスをとることが望ましい。
また、記録や再生用の光に対する光透過率は、オリゴマーの骨格、光重合開始剤の種類、量などに依存する。このため、上記光透過率を制御するために、これらの設計を工夫することが望ましい。
さらに、経時変化は、未硬化成分の揮発、分解による腐食成分の発生等によりもたらされる事が多い。このため、経時変化を抑制するためには、混合物の組成、特に重合開始剤の種類、量を工夫することが望ましい。ただし、この重合開始剤は、樹脂の架橋に組み込まれないので、徐々に揮発(溶出)されることがある。このため、上記重合開始剤は、必要最低限の量に止めることが好ましい。
中間層の形成方法に制限は無く任意であるが、通常は、上記のような光硬化性の樹脂材料を記録再生機能層上にスピンコート法等により塗布・硬化させることによって形成される。
また、特に、2P法によって記録再生機能層を複数積層していく場合には、光硬化性の樹脂材料を記録再生機能層上に塗布した後、トラッキング用の案内溝が形成された透明スタンパ(図示略)を塗布膜に載置した状態で、光硬化性の樹脂材料を硬化させる。この結果、中間層の上に形成される記録再生機能層のためのトラッキング用の案内溝を、中間層に形成することができる。
光硬化性の樹脂材料の粘度(室温(25±5℃)での粘度)に制限は無いが、通常30mPa・s以上、好ましくは100mPa・s以上とする。光硬化性の樹脂材料の粘度を上記範囲とすれば、光硬化性の樹脂材料の塗布性が良好となり、中間層の膜厚制御が行ないやすくなるためである。
一方、光硬化性の樹脂材料の粘度(室温(25±5℃)での粘度)は、通常5000mPa・s以下、好ましくは4000mPa・s以下とする。光硬化性の樹脂材料の粘度を上記範囲とすれば、回転延伸の時間を所定範囲内に制御することができるため、作業性が良好となる。加えて、光硬化性の樹脂材料の粘度を上記範囲とすれば、一般的に、温度による粘度変化も抑制しやすくなる。このため、実用上好ましいためである。
なお、本実施形態においては、図1に示すように、記録再生機能層2と記録再生機能層3との間に中間層5が形成されているものとする。また、中間層5においては、中間層5の上に形成された記録再生機能層2のためのトラッキング用の案内溝(図示省略)が形成されている。
[6.光記録媒体の形状]
光記録媒体の形状は、通常は環形状である。ここで、環形状とは、平面円盤形状を含む広義の形状を表わすものとする。例えば、光記録媒体の意匠の魅力を高めるため、光記録媒体を平面楕円形状や平面四角形状などに形成してもよい。
また、光記録媒体は、通常は、回転時に光記録媒体を保持するためのセンターホールが形成される。
本実施形態においては、図1に示すように、光記録媒体1は、中央部に表裏を連通するセンターホール8を形成された平面円盤形状に形成されているものとする。
[7.主記録再生領域]
ユーザーデータは、図2に示すような、それぞれの記録再生機能層の主記録再生領域9に記録される。この主記録再生領域9は、通常、それぞれの記録再生機能層の大部分を占める領域として、センターホール8を中心としたドーナッツ形状に設けられる。
本実施形態においても、主記録再生領域9は、光記録媒体1の外周縁部から内周縁部近傍にかけてドーナッツ形状(図2の、外周縁部の実線の円と、内周縁部の一点鎖線の円とで囲まれた部分)に形成されていて、この主記録再生領域9に情報が記録される、又は、情報が再生されるようになっているものとする。
[8.媒体識別情報記録領域(BCA領域)]
BCA領域は、第1の記録再生機能層に形成される。BCA領域は、著作権情報やロット番号などの、光記録媒体1の媒体識別情報を記録するための領域である。通常、上記媒体識別情報は、第1の記録再生機能層を光により焼ききったり相変化させたりすることによって形成されるバーコードパターンとしてBCA領域に記録されている。
また、BCA領域を有する第1の記録再生機能層は、通常は、最下層記録再生機能層として形成される。したがって、BCA領域が形成された第1の記録再生機能層よりも情報記録再生面に近い位置には、必ず、少なくとも1つの記録再生機能層が存在することになる。
第1の記録再生機能層よりも情報記録再生面に近い位置に形成される、これら記録再生機能層(これらの記録再生機能層をまとめて上部記録再生機能層という)のうち、少なくとも1つの記録再生機能層においては、記録層及び反射層の少なくとも一方が、当該BCA領域に対応する部位を避けて形成されている。そして、記録層及び反射層の少なくとも一方が、BCA領域に対応する部位を避けて形成されている記録再生機能層を、第2の記録再生機能層とする。無論、上部記録再生機能層を構成する記録再生機能層のうち、第2の記録再生機能層以外の1以上の記録再生機能層においても、記録層及び反射層の少なくとも一方を、BCA領域に対応する部位を避けて形成するようにしてもよい。また、第1の記録再生機能層と情報記録再生面との間に存在する上部記録再生機能層において、BCA領域に対応した部位に記録層及び反射層の少なくとも一方を有さない記録再生機能層の層数を、「上部記録再生機能層の層数−1」以下となるようにすればよい。
また、上部記録再生機能層において、第2の記録再生機能層の記録層及び反射層の少なくとも一方のみがBCA領域に対応する部位を避けて形成される場合には、生産性を考慮して、上部記録再生機能層のうちで情報記録再生面に最も近い記録再生機能層を第2の記録再生機能層とすることが好ましい。
さらに、上部記録再生機能層を構成する全ての記録再生機能層において、記録層がBCA領域に対応する部位を避けて形成されていることが好ましい。同様に、上部記録再生機能層を構成する全ての記録再生機能層において、反射層がBCA領域に対応する部位を避けて形成されていることが好ましい。さらに好ましいのは、上部記録再生機能層を構成する全ての記録再生機能層において、記録層及び反射層がBCA領域に対応する部位を避けて形成されていることである。上記のように上部記録再生機能層を形成すれば、媒体識別情報を記録する際に、第1の記録再生機能層に照射される媒体識別情報形成用の光(通常は、レーザー光)の強度を確保しやすくなる。
ここで、BCA領域に対応する部位とは、情報記録再生面からBCA領域に光を入射した場合に当該光が透過する部位のことを表わし、通常は、BCA領域に対して、情報記録再生面側に対向した部位のことを表わす。
以下、本実施形態を例として説明する。
図1に示されるように、記録再生機能層2が、BCA領域2Xが形成された第1の記録再生機能層となっている。また、記録再生機能層2は、最下層記録再生機能層として形成されている。そして、BCA領域2Xが形成された記録再生機能層2よりも情報記録再生面6の近くにある記録再生機能層3においては、BCA領域2Xに対応した部位3Xには、その記録層3A及び反射層3Bが形成されないようになっている。
図10のように、BCA領域2Xに対応した部位3Xに記録再生機能層3(即ち、記録層3A及び反射層3B)が形成された光記録媒体では、情報記録再生面6からレーザー光等を照射して記録再生機能層2のBCA領域2Xに媒体識別情報を記録しようとした場合、それよりも手前(即ち、記録再生機能層2よりも情報記録再生面6に近い位置)にある記録再生機能層3によってレーザー光が遮られたり、減衰させられたり、屈折させられたりする等の現象が発生する。この結果、バーコード等を精密に形成することができず、媒体識別情報をBCA領域2Xに記録させることが困難となる。また、特許文献1記載の記述のように情報記録再生面6とは反対側の面10から光を照射してBCA領域2Xへの媒体識別情報の記録を行なった場合にはコスト増を招くことになる。
これに対して、本実施形態(図1)のように、記録層3A及び反射層3Bの少なくとも一方がBCA領域2Xに対応する部位3Xを避けるように記録再生機能層3を形成すれば、BCA領域2Xが形成された記録再生機能層2よりも手前の記録再生機能層3による光の遮蔽、減衰、及び屈折などを抑制しながら、媒体識別情報の精密な記録が可能となる。また、この場合には、元来光の入射を前提として構成された情報記録再生面6の側から光を照射して媒体識別情報の記録を行なうことが可能であるため、特許文献1記載の技術のようにコスト増を招く虞はない。
なお、本実施形態において、BCA領域2Xの形成位置に制限は無いが、通常は、図2に示すように、主記録再生領域9よりも内側(即ち、センターホール8が形成されている側)に形成される。即ち、通常は、主記録再生領域9は、BCA領域2Xよりも外周側に設けられる。
また、BCA領域2Xは光記録媒体1の再生ドライブにより光記録媒体1を回転させて読み取ることになるため、通常は光記録媒体1の周方向へ弧状の領域として形成され、さらに、それが大きくなれば環状(ドーナッツ状)に設けられる。
また、上記のように、BCA領域2Xが形成された記録再生機能層2よりも情報記録再生面6に近い記録再生機能層3においては、その記録層3A及び反射層3Bのうちの少なくとも一方がBCA領域2Xに対応した部位3Xを避けるように形成されていればよいが、記録層3A及び反射層3Bの両方が部位3Xを避けるように形成されていることが望ましい。
さらに、上述の通り、BCA領域2Xが形成された記録再生機能層2よりも情報記録再生面6に近い記録再生機能層が2層以上ある場合、少なくともそれらの記録再生機能層のうちの少なくとも1つにおいてその記録層3A及び反射層3Bのうちの少なくとも一方がBCA領域2Xに対応した部位3Xを避けるように形成されていればよい。好ましくは、その全ての層においてその記録層3A及び反射層3Bのうちの少なくとも一方がBCA領域2Xに対応した部位3Xを避けるように形成されていることが望ましい。
なお、BCA領域2Xに対応した部位3Xを避けるように記録層3A及び反射層3Bを形成する方法に制限は無く任意であるが、例えば、以下のような方法で形成することができる。
例えば、記録層3Aや反射層3Bがスパッタ法により形成されるものである場合には、図3に示すように、BCA領域2Xに対応する部位3Xを覆うことができるマスク11を製造途中の光記録媒体100上に載置し、この状態で、スパッタを行なうようにすればよい。これにより、マスク11に覆われた部分には記録層3Aや反射層3Bは形成されないため、上記の部位3Xを避けて記録層3Aや反射層3Bを形成することが可能となる。なお、この際、使用するマスク11の外径は、通常、BCA領域2Xの外径と同様にすることが望ましい。
また、例えば、記録層3Aや反射層3Bがスピンコート法により形成されるものである場合には、図4に示すように、スピンコート時に記録層3Aや反射層3Bの材料Pを供給する吐出口12の位置を調整し、材料Pの滴下位置をBCA領域2Xの外径に一致させるようにすればよい。これにより、BCA領域2Xに対応する部位3Xには記録層3Aや反射層3Bの材料Pが供給されなくなるため、上記の部位3Xを避けて記録層3Aや反射層3Bを形成することが可能となる。
さらに、例えば、記録層3Aや反射層3Bがスピンコート法により形成されるものである場合には、図5に示すように、BCA領域2Xに対応する部位3Xを覆うことができるセンターマスク13を製造途中の光記録媒体100上に載置し、この状態で、吐出口12から記録層3Aや反射層3Bの材料Pを供給してスピンコートを行なうようにしても良い。これによっても、BCA領域2Xに対応する部位3Xには記録層3Aや反射層3Bの材料Pが供給されなくなるため、上記の部位3Xを避けて記録層3Aや反射層3Bを形成することが可能となる。
本実施形態においても、第1の記録再生機能層である記録再生機能層2の主記録再生領域9の内側(図2において、記録再生機能層2の内周縁部に形成された、一点鎖線で示された部分)にドーナッツ状にBCA領域2Xが形成されている。また、第2の記録再生機能層である記録再生機能層3の記録層3A及び反射層3Bは、いずれも、BCA領域2Xに対応した部位3Xを避けて形成されているものとする。
[9.その他の構成]
さらに、BCA領域への媒体識別情報の記録をより容易にするためには、第1の記録再生機能層において、BCA領域にバーコードパターン等の形成のための光の吸収率を高めることが好ましい。これにより、バーコードパターン等を形成することが容易になるため、効率的に媒体識別情報の記録を行なうことが可能となる。
上記のように吸収率を高める手法は任意であるが、例えば、第1の記録再生機能層が、基板(ダミー基板を含む)上に形成されている場合(これは、第1の記録再生機能層が最下層記録再生機能層として形成されている場合である。)には、BCA領域の記録層の膜厚を厚くする手法が挙げられる。これにより、照射された光のエネルギーを効果的に吸収することができるようになる。これを実現するための手法の具体例としては、第1の記録再生機能層に隣接する層(基板、ダミー基板、中間層等)のBCA領域に対応する部位に、光学伝達関数(Optical Transfer Function。以下適宜、「OTF」という)のカットオフ周波数に対応する長さよりも小さい幅の凹凸を形成することが挙げられる。
図6を用いて、具体例を示す。図6は、本実施形態の光記録媒体1において、ダミー基板7のBCA領域2Xに対応する部位7Xの記録再生機能層2側の表面に凹凸14を形成した場合についてその要部を拡大して模式的に示す断面図である。なお、図6においては、反射層2Bとダミー基板7との間の接着層の図示は省略してある。この図6に示すように、ダミー基板7に凹凸14を形成した場合には、この凹凸14に記録層2Aを形成する材料が溜まり、この溜まった材料の分(xとyとの差の分)だけ記録層2Aの厚みを厚くすることが可能となるのである。
また、同様に、中間層5の表面など、BCA領域2Xが形成された記録再生機能層2に隣接する基板7以外の層に上記の凹凸を設けるようにしても、記録層2Aの厚みを厚くすることが可能である。例えば、光記録媒体1においては中間層5に案内溝を形成する工程を経て製造されることがあるのを利用して、案内溝の形成と同じ工程において中間層5の記録再生機能層2側の表面などに上記の凹凸を形成すれば、記録層2Aの厚みを厚くすることが可能になる。
ここで、OTFとは、単一周波数(一種類のマーク長の記録マーク)を光記録媒体上に記録した場合に、再生ドライブの光学系及び回路の周波数応答のかねあいで、どの程度の細かいパターンを読み取れるかを表す指標である。一般的には、再生ドライブのシステムとしての分解能を示す。したがって、OTFのカットオフ周波数に対応する長さ以上の長さのパターンは、再生信号などとして検出できるが、OTFのカットオフ周波数に対応する長さよりも短いパターンは、再生信号として検出されることはない(通常は、ノイズとして検出される)。
即ち、OTFのカットオフ周波数に対応する長さ未満の凹凸は信号として検出されず、逆に、これ以上の凹凸は再生信号として検出される。このため、基板4や中間層5などに形成される案内溝は、通常は上記のOTFのカットオフ周波数に対応する長さ以上の長さの幅を有しており、これにより、光記録媒体1のサーボ情報などを再生ドライブにより読み取れるようになっている。
また、仮にBCA領域2Xにカットオフ周波数に対応する長さ以上の長さの幅を有する凹凸(グルーブもしくは、ピット列)を形成した場合には、BCA領域2Xに本来記録すべき媒体識別情報に、凹凸の信号がノイズとして乗ってくるため、再生品質が悪化する虞がある。したがって、通常は、これを防止するため、BCA領域に設ける上記凹又は凸の幅を、OTFのカットオフ周波数に対応する長さよりも小さい幅とすることが好ましい。これにより、この凹凸を再生ドライブがユーザーデータに関する情報を表わすものと検出することが無くなる。このため、記録再生機能層に対するユーザーデータの記録及び再生に影響を与えることなく、記録層2Aの厚膜化のための凹凸を形成することが可能となる。なお、凹部(グルーブ)及び凸部(ランド)両方の幅が上記の条件を満たすこと、又は、凹部又は凸部のいずれか一方の幅が上記の条件を満たすことが好ましい。そして、凹部の幅が上記の条件を満たすことがより好ましい。
例えば、再生ドライブの開口数NA=0.65、レーザー波長λ=405nmである場合には、OTFのカットオフ周波数に対応する長さは、約0.25μm程度となる。このため、上記のような条件の記録再生ドライブの光ピックアップが信号として検出できないような凹凸を形成するためには、原理的には、0.25μm以下の幅を有する凹凸を形成するようにすればよい。特に、通常は、マスタリングの精度などから、0.2μm程度の幅に形成することが好ましい。
なお、本実施形態の光記録媒体1においても、図6に示したように、ダミー基板7の記録再生機能層2側の表面に、OTFのカットオフ周波数に対応する長さよりも小さい幅の凹凸14が形成されていて、これにより、BCA領域2Xの記録層2Aの厚さが他の領域(例えば、主記録再生領域9)よりも厚く形成されているものとする。
[10.作用]
本実施形態の光記録媒体1は上記のように構成されているので、その製造過程において、BCA領域2Xにバーコードパターン等を形成して媒体識別情報を記録する場合には、図7に示すような方法により、媒体識別情報の記録を行なうことができる。
具体的には、BCA領域2Xに媒体識別情報を記録する際には、情報記録再生面6の側から媒体識別情報記録用の光(通常は、レーザー光)を照射して、BCA領域2Xの記録層2A又は反射層2Bを、形成しようとするバーコードパターンに合わせて焼き切ったり相変化させたりして、媒体識別情報の記録を行なう。
この際、本実施形態の光記録媒体1においては、記録再生機能層2よりも手前の記録再生機能層3による光の遮蔽や屈折などを防止できるため、媒体識別情報を記録する際に使用する光の減衰が起こり難く、また、焦点も精密に合わせやすい。即ち、十分なパワーを有する光を用いて正確にバーコードパターンを形成し、媒体識別情報の記録を行なうことができる。
また、上記の利点は、500nm以下の波長の光で記録又は再生が可能である光記録媒体、即ち、記録層に500nm以下の波長の光でユーザーデータを記録可能な材料を含有させた場合に特に顕著に発揮されるようになる。このような材料としては、例えば、有機色素が挙げられる。このような場合に上記の利点が得られる理由は以下の通りである。
即ち、媒体識別情報の記録に用いられる光は、通常は、波長が810nm又は650nmのパルスレーザー光(例えば、YAGレーザ)である。これは、500nm以下の波長のレーザー装置は、未だ寿命が短くかつ高価だからである。
ところが、500nm以下の波長の光で記録可能な材料(例えば、有機色素)は、500nm以上の長波長領域に大きな吸収を有さない(即ち、500nm以上の長波長に対する感度が小さい)のが一般的である。このため、上記の有機色素のような材料を含有させた記録層を焼き切ることによってBCA領域2Xに媒体識別情報を記録するためには、十分なパワーを有するパルスレーザー光を記録層及び反射層に照射することが望ましい。したがって、本実施形態のような光記録媒体1を構成し、媒体識別情報記録用の光をなるべく減衰させることなく、第1の記録再生機能層2に照射させることにより、上記の第1記録再生機能層2の材料の感度不足を補うパワーのパルスレーザー光を照射できるようになるため、上記の利点を顕著に発揮することが可能となるのである。
[11.その他]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
例えば、記録層、反射層、中間層、基板、ダミー基板、並びに、接着層、誘電体層、保護層などの光記録媒体を形成する層は、上記の実施形態に限定されず、任意に組み合わせて積層して用いることができる。また、その積層順も任意である。さらに、上記の各層以外の層を光記録媒体に用いてもよい。
また、BCA領域2Xを形成した記録再生機能層2よりも情報記録再生面6側の記録再生機能層3において、上記実施形態の構成のほか、例えば図8に示す光記録媒体1’のように、記録層3Aのみが部位3Xを避け、反射層3Bが部位3Xを避けないように記録再生機能層3を形成してもよく、逆に、例えば図9に示す光記録媒体1”のように、反射層3Bのみが部位3Xを避け、記録層3Aが部位3Xを避けないように記録再生機能層3を形成してもよい。
また、上記の実施形態では、記録再生機能層を2層だけ設けるようにしたが、3層以上も受けるようにしても構わない。
さらに、媒体識別情報の記録のためにBCA領域2Xに形成するものは、バーコードのみに限定されず、他のパターンや記号等を形成するようにしてもよい。
さらに、上記の記録再生機能層3の記録層3A、反射層3Bの少なくとも一方は、少なくともBCA領域2Xに対応した部位3Xを避けるようにして形成できればよいのであり、したがって、適宜、それ以外の部位をも避けて形成するようにしても構わない。
また、BCA領域2Xは、光記録媒体1の内縁部(センターホール8の縁部)以外の位置に設けるようにしても構わない。
本発明の光記録媒体の製造方法は、CD、DVD、青色レーザ対応光記録媒体等の各種の光記録媒体の分野において、好適に使用することができる。
本発明の一実施形態としての光記録媒体の中央部近傍の断面を拡大して示す模式的な断面図である。 本発明の一実施形態としての光記録媒体の模式的な平面図である。 本発明の一実施形態としての光記録媒体における記録層又は反射層の形成方法の一例を説明する模式的な図である。 本発明の一実施形態としての光記録媒体における記録層又は反射層の形成方法の一例を説明する模式的な図である。 本発明の一実施形態としての光記録媒体における記録層又は反射層の形成方法の一例を説明する模式的な図である。 本発明の一実施形態としての光記録媒体においてダミー基板のBCA領域に対応する部位の記録再生機能層側の表面に凹凸を形成した場合についてその要部を拡大して模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態としての光記録媒体のBCA領域に媒体識別情報を記録する方法を説明する模式的な図である。 本発明の変形例としての光記録媒体の中央部近傍の断面を拡大して示す模式的な断面図である。 本発明の変形例としての光記録媒体の中央部近傍の断面を拡大して示す模式的な断面図である。 従来の多層型の光記録媒体の中央部近傍の断面を拡大して示す模式的な断面図である。
符号の説明
1,1’,1” 光記録媒体
2 記録再生機能層(第1の記録再生機能層)
2A 記録層
2B 反射層
2X BCA領域(媒体識別情報記録領域)
3 記録再生機能層(第2の記録再生機能層)
3A 記録層
3B 反射層
3X BCA領域に対応した部位
4 基板
5 中間層
6 情報記録再生面
7 ダミー基板
7X ダミー基板の、BCA領域に対応する部位
8 センターホール
9 主記録再生領域
10 情報記録再生面とは反対側の面
11 マスク
12 吐出口
13 センターマスク
14 凹凸
100 製造途中の光記録媒体

Claims (4)

  1. 記録層と反射層とを有し、光により記録又は再生が行なわれる記録再生機能層が2層以上積層された光記録媒体であって、
    媒体識別情報が記録された媒体識別情報記録領域が形成された第1の記録再生機能層と、
    該第1の記録再生機能層よりも前記光記録媒体における前記光の入射面に近い位置に積層され、その記録層及び反射層のうちの少なくとも一方が該媒体識別情報記録領域に対応する部位を避けて形成された第2の記録再生機能層とを備える
    ことを特徴とする、光記録媒体。
  2. 該第1の記録再生機能層に隣接する層の表面における、該媒体識別情報記録領域に対応する部位に、光学伝達関数のカットオフ周波数に対応する長さよりも小さい幅の凹凸が形成されている
    ことを特徴とする、請求項1記載の光記録媒体。
  3. 500nm以下の波長の光で記録又は再生が可能である
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の光記録媒体。
  4. 該記録層が、有機色素を含有する
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光記録媒体。
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