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JP4238170B2 - 光記録媒体 - Google Patents

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JP4238170B2 JP2004104881A JP2004104881A JP4238170B2 JP 4238170 B2 JP4238170 B2 JP 4238170B2 JP 2004104881 A JP2004104881 A JP 2004104881A JP 2004104881 A JP2004104881 A JP 2004104881A JP 4238170 B2 JP4238170 B2 JP 4238170B2
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Description

本発明は、例えばDVD−Rなどの片面側から光を入射させて情報の記録又は再生を行なう複数の記録層を備える光記録媒体に関する。
現在、CD−R,CD−RW,MO等の各種光記録媒体は、大容量の情報を記憶でき、ランダムアクセスが容易であるために、コンピュータのような情報処理装置における外部記憶装置として広く認知され普及しつつある。さらに取り扱う情報量の増大により、記憶密度を高めることが望まれている。
種々の光記録媒体の中でもCD−R,DVD−R,DVD+Rなど、有機色素を含む記録層(色素含有記録層ともいう)を有する光ディスクは比較的安価で、且つ、再生専用の光ディスクとの互換性を有するため、特に広く用いられている。
一例として、色素含有記録層を有する光ディスクとして代表的なCD−Rなどの媒体は、透明ディスク基板上に色素含有記録層と反射層とをこの順に有し、これら色素含有記録層や反射層を覆う保護層を有する積層構造であり、基板を通してレーザ光にて記録・再生を行なうものである。
さて、同じく代表的な片面型DVD−R(片面1層DVD−R)は、第1の透明ディスク基板上に色素含有記録層、反射層、これらを覆う保護層をこの順に有し、さらに保護層の上に接着層を介して或いは介さずに、第2のディスク基板(透明でも不透明でも良い)上に必要に応じて反射層を形成したいわゆるダミーディスクを設けた積層構造であり、第1の透明ディスク基板を通して片面側からレーザ光にて記録・再生を行なうものである。ダミーディスクは透明又は不透明のディスク基板のみであっても良いし、反射層以外の層を設けていても良い。
なお、DVD+Rは、DVD−Rとほぼ同じ構成であるため、DVD−Rの説明で代表させる。
また、光記録媒体の記録容量を更に大容量化するために、上記のような片面型DVD−Rを貼り合わせて2つの記録層を有する媒体とし、両面側から各記録層にレーザ光を照射して記録・再生を行なう(即ち、媒体の一面側からレーザ光を照射し、この一面側に近い方の記録層の記録・再生を行なう一方、媒体の他面側からもレーザ光を照射し、この他面側に近い方の記録層の記録・再生を行なう)両面型DVD−R(両面2層DVD−R)も知られている。
ところで、近年、複数の記録層を有する光記録媒体においては、記録再生装置が大型化,複雑化しないようにし、また、複数の記録層にわたる連続的な再生を可能とすべく、片面側からレーザ光を照射することによってこれらの複数の記録層に対して記録・再生を行なうことができる片面入射型光記録媒体(例えば片面入射2層DVD−R)を実現することが望まれている。
このため、例えば、以下のような構成を有する片面入射型光記録媒体として、例えば2つの記録層を有するデュアルレイヤタイプの片面入射型DVD−R(片面2層DVD−R)が提案されている(例えば特許文献1参照)。
例えば貼り合わせ型のデュアルレイヤタイプの片面入射型DVD−Rは、第1透光性基板上に、記録用レーザ光の照射により光学的に情報が記録し得る有機色素からなる第1記録層と、再生用レーザ光の一部を透過し得る半透光性反射膜で構成された第1反射層と、記録用レーザ光及び再生用レーザ光に対して透光性を有する中間層と、記録用レーザ光の照射により光学的に情報が記録し得る有機色素からなる第2記録層と、再生用レーザ光を反射する第2反射層と、第2基板とを順に積層して構成される。
特開平11−066622号公報
ところで、一般に、CDやDVDなどのような光記録媒体の基板には、記録光又は再生光を案内するための案内溝(凹部)が螺旋状又は同心円状に設けられている。
例えば、CD−R,DVD−Rなどの色素含有記録層(以下、記録層という)を持つ光記録媒体では、案内溝の深さは一般に例えば150nm程度である。
また、記録層を持つCDやDVDなどの光記録媒体を作製すべく、その基板上に記録層を形成する材料を塗布すると、基板上の凹部が埋まるように記録層が形成されるので、凹部では記録層の膜厚が厚くなる。そして、通常、このように膜厚の厚くなっている部分(厚膜部;凹部)に記録トラックを設けると、記録再生特性(例えば反射率,最大信号振幅,極性など)が良いとされている。
ここで、最大信号振幅とは、最長マーク/最長スペース(DVD系の媒体では、14Tマーク/14Tスペース)の信号振幅を反射率で規格化した値である。
このため、市販されている光記録媒体は全て厚膜部(凹部)に記録トラックが設けられている。
なお、基板に設けられる案内溝(凹部)は、記録時又は再生時に照射される光の入射側から見ると凸部である。つまり、基板の凹部では色素含有記録層は凸部となる。
現在、複数の色素含有記録層を有する片面入射型光記録媒体(例えばデュアルレイヤタイプの片面入射型DVD−Rなど)の開発が進められている。
例えば、2つの色素含有記録層を有する片面入射型光記録媒体では、光を入射させる側(光入射側,片面側)に近い側の第1色素含有記録層と遠い側の第2色素含有記録層とを有するものとなる。このような片面入射型光記録媒体では、第2色素含有記録層への情報の記録又は再生は、第1色素含有記録層を介して光を入射させることによって行なわれることになる。
このような片面入射型光記録媒体では、一般的な光記録媒体と同様に、光を入射させる側とは反対側の基板に形成する案内溝の深さを例えば150nm程度とすると、第2色素含有記録層の情報の記録又は再生を行なうのに必要な反射率が得られない場合がある。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、片面側から光を入射させて情報の記録又は再生を行なう複数の色素含有記録層を有する光記録媒体において、光を入射させる側から遠い側に位置する色素含有記録層の情報の記録又は再生に際し、又は、基板の反対側から光を入射させて色素含有記録層の情報の記録又は再生を行なうに際し、十分な反射率(さらに良好な記録特性)が得られるようにした、光記録媒体を提供することを目的とする。
このため、本発明の光記録媒体は、案内溝を有する第1基板,第1色素含有記録層,半透明反射層,第2色素含有記録層,反射層,案内溝を有する第2基板を少なくとも備え、第1基板側から光を入射させて第1色素含有記録層及び第2色素含有記録層の情報の記録又は再生を行なう光記録媒体であって、第2基板の案内溝の深さが、記録再生波長をλとして、1/100×λ〜1/8×λの範囲内であることを特徴としている(請求項1)。
本発明の光記録媒体は、案内溝を有する第1基板上に、少なくとも、第1の色素を含有する第1色素含有記録層と半透明反射層とを順次積層させてなる第1情報記録体と、案内溝を有する第2基板上に、少なくとも、反射層と第2の色素を含有する第2色素含有記録層とを順次積層させてなる第2情報記録体とを備え、第1情報記録体と第2情報記録体とを基板の反対側の面を対向させ、光学的に透明な接着層を介して貼り合わされてなり、第1基板側から光を入射させて情報の記録又は再生を行なう光記録媒体であって、第2基板の案内溝の深さが、記録再生波長をλとして、1/100×λ〜1/8×λの範囲内であることを特徴としている(請求項2)。
本発明の光記録媒体は、第2基板の案内溝の深さが、第1基板の案内溝の深さよりも浅いことを特徴としている(請求項3)。
本発明の光記録媒体は、片面側から光を入射させて情報の記録又は再生を行なう複数の色素含有記録層を有する光記録媒体であって、光を入射させる側から遠い側に位置する色素含有記録層の情報の記録又は再生に用いられる案内溝の深さが、記録再生波長をλとして、1/100×λ〜1/8×λの範囲内であることを特徴としている(請求項4)。
本発明の光記録媒体は、色素含有記録層,反射層,案内溝を有する基板を少なくとも備え、基板の反対側から光を入射させて色素含有記録層の情報の記録又は再生を行なう光記録媒体であって、基板の案内溝の深さが、記録再生波長をλとして、1/100×λ〜1/8×λの範囲内であることを特徴としている(請求項5)。
本発明の光記録媒体によれば、片面側から光を入射させて情報の記録又は再生を行なう複数の色素含有記録層を有する光記録媒体において、光を入射させる側から遠い側に位置する色素含有記録層の情報の記録又は再生に際し、十分な反射率(さらに良好な記録特性)が得られるという利点がある。また、基板の反対側から光を入射させて色素含有記録層の情報の記録又は再生を行なうに際しても、十分な反射率(さらに良好な記録特性)が得られるという利点がある。
以下、図面により、本発明の実施の形態にかかる光記録媒体(追記型光記録媒体)の一例について、図1,図2を参照しながら説明する。
本発明の光記録媒体は、複数の記録層を有し、片面側からレーザ光を照射することでそれぞれの記録層に情報の記録又は再生を行なうことができる片面入射型光記録媒体である。
本発明の光記録媒体では、貼り合わせ型の片面入射型光記録媒体(片面入射型DVD−R)として、例えば2つの記録層を有するデュアルレイヤタイプの片面入射型DVD−R(片面2層DVD−R,片面2層DVDレコーダブル・ディスク)を例に説明する。
図1は、本実施形態にかかる光記録媒体(光ディスク)を示す模式的な断面図である。
本発明の光記録媒体は、図1に示すように、ディスク状の透明な(光透過性の)第1基板(第1光透過性基板)21上に、色素を含む第1記録層(第1色素含有記録層)22、半透明の反射層(以下、半透明反射層という)23、透明接着層(中間層)24、バッファー層28、色素を含む第2記録層(第2色素含有記録層)25、反射層26、ディスク状の第2基板27をこの順に有してなる。光ビームは第1基板21側から照射され、記録又は再生が行われる。
つまり、本発明の光記録媒体は、案内溝を有する第1基板21上に、少なくとも、第1の色素を含有する第1色素含有記録層22と半透明反射層13とを順次積層させてなる第1情報記録体と、案内溝を有する第2基板27上に、少なくとも、反射層26と第2の色素を含有する第2色素含有記録層25とを順次積層させてなる第2情報記録体とを備え、第1情報記録体と第2情報記録体とを基板と反対側の面を対向させ、光学的に透明な接着層を介して貼り合わされてなる。
なお、本発明の光記録媒体において、透明である(光透過性がある)とは光記録媒体の記録又は再生に用いる光ビームに対して透明である(光透過性がある)ことを言う。また、透明である(光透過性がある)層としては、記録又は再生に用いる光ビームを多少吸収するものも含む。例えば、記録又は再生に用いる光ビームの波長について50%以上(好ましくは60%以上)の透過性があれば実質的に光透過性がある(透明である)ものとする。
次に、各層について説明する。
(a)第1基板21について
第1基板21は、透明であるほか複屈折率が小さいなど光学特性に優れることが望ましい。また、第1基板21の屈折率(記録光又は再生光の波長に対する屈折率)は、通常1.40以上であり、好ましくは1.45以上である。但し、通常1.70以下であり、好ましくは1.65以下である。さらに、射出成形が容易であるなど成形性に優れることが望ましい。さらに、吸湿性が小さいと反り等を低減できるため望ましい。
更に、光記録媒体がある程度の剛性を有するよう、形状安定性を備えるのが望ましい。但し第2基板27が十分な形状安定性を備えていれば、第1基板21は形状安定性が大きくなくても良い。
このような材料としては、例えばアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂からなるもの、ガラスからなるものを用いることができる。或いは、第1基板21は複数の層からなるものであっても良く、例えばガラスや樹脂等の基体上に、光硬化樹脂等の放射線硬化樹脂からなる樹脂層を設けたもの等も使用できる。
なお、光学特性、成形性などの高生産性、コスト、低吸湿性、形状安定性などの点からはポリカーボネートが好ましい。耐薬品性、低吸湿性などの点からは、非晶質ポリオレフィンが好ましい。また、高速応答性などの点からは、ガラス基板が好ましい。
第1基板21は薄い方が好ましく、通常厚さは2mm以下が好ましく、より好ましくは1mm以下である。対物レンズと記録層の距離が小さく、また基板が薄いほどコマ収差が小さくなる傾向があり、記録密度を上げやすいためである。但し、光学特性、吸湿性、成形性、形状安定性を十分得るためにはある程度の厚みが必要であり、通常10μm以上が好ましく、より好ましくは30μm以上である。
本発明の光記録媒体においては、第1記録層22及び第2記録層25の両方に良好に記録又は再生を行なうために、対物レンズと両記録層との距離を適宜調節することが望ましい。例えば、対物レンズの焦点が両記録層のほぼ中間地点となるようにすると、両記録層にアクセスしやすく好ましい。
具体的に説明すると、DVD−ROM,DVD−Rシステムにおいては、基板厚さ0.6mmのときに対物レンズと記録層との距離が最適になるよう調節されている。
従って、本層構成においてDVD−ROM互換の場合は、第1基板21の厚さは、0.6mmから、中間層としての透明接着層24の膜厚の2分の1を減じた厚さであることが最も好ましい。このとき、両記録層のほぼ中間地点が約0.6mmとなり、両記録層にフォーカスサーボがかけやすい。
なお、第2記録層25と半透明反射層23の間にバッファー層や保護層など他の層がある場合は、0.6mmから、それらの層と透明接着層24の膜厚の和の2分の1を減じた厚さであることが最も好ましい。
第1基板21には、情報の記録又は再生の際に記録/再生光(記録/再生ビーム;例えばレーザ光)を案内するために用いられる溝(案内溝)31が螺旋状又は同心円状に設けられる。このように第1基板21に溝31を設けると、第1基板21の表面上に凹凸ができ、その凹部(溝)をグルーブといい、凸部をランドという。そして、これらのグルーブ及び/又はランドを記録トラックとして、第1記録層22へ情報の記録又は再生が行なわれる。なお、第1基板21上の溝31は、光の入射方向に対して凸部となる。
例えば波長650nmのレーザを開口数0.6から0.65の対物レンズで集光して記録又は再生が行なわれる、いわゆるDVD−Rディスクの場合、通常、第1記録層22は、第1基板21上に塗布形成されるので、第1基板21のグルーブ(凹部)で膜厚が厚くなり、膜厚が厚い方が記録又は再生に適するため、グルーブを記録トラックとするのが好ましい。
ここで、第1基板21上に設けられる溝31の深さ(溝深さ;第1色素含有記録層の凸部の高さ)は、記録再生波長をλとして、1/10×λ以上とするのが反射率を十分に確保できで好ましい。より好ましくは1/8×λ以上とする。さらに好ましくは1/6×λ以上とする。例えば記録/再生光の波長(記録再生波長)をλ=650nmとすると、第1基板21の溝31の深さは、65nm以上とするのが好ましい。より好ましくは81nm以上とする。さらに好ましくは108nm以上とする。
但し、第1基板21の溝31の深さは、2/4×λ以下とするのが溝形状の転写性を良好にできで好ましい。より好ましくは2/5×λ以下とし、さらに好ましくは2/6×λ以下とする。例えば記録再生波長をλ=650nmとすると、第1基板21の溝31の深さは、325nm以下とするのが好ましい。より好ましくは260nm以下とし、さらに好ましくは217nm以下とする。
また、第1基板21の溝31の幅(溝幅,G幅;第1色素含有記録層の凸部の幅;半値幅)は、トラックピッチをTとして、1/10×T以上とするのが反射率を十分に確保でき好ましい。より好ましくは2/10×T以上とし、さらに好ましくは3/10×T以上とする。例えば、トラックピッチを740nmとすると、第1基板21の溝31の幅は、74nm以上とするのが好ましい。より好ましくは148nm以上とし、さらに好ましくは222nm以上とする。
但し、第1基板21の溝31の幅は、9/10×T以下とするのが溝形状の転写性を良好にでき好ましい。より好ましくは8/10×T以下とし、さらに好ましくは7/10×T以下とする。例えば、トラックピッチを740nmとすると、第1基板21の溝31の幅は、666nm以下とするのが好ましい。より好ましくは592nm以下とし、さらに好ましくは518nm以下とする。
例えばグルーブ記録とする場合には、第1基板21の溝31は、所定の振幅,所定の周波数で半径方向に僅かに蛇行させることで、ウォブルが設けられる。また、第1基板21の溝31間のランドにはある規則にしたがった孤立ピット(アドレスピット)を形成し(これをランドプリピット,LPP;Land Pre-Pitという)、このランドプリピットによってアドレス情報を予め記録しておいても良い。なお、この他に必要に応じ凹凸ピット(プリピット)を有することもある。
このような凹凸を有する基板は、コストの観点から、凹凸を持つスタンパから射出成形により製造するのが好ましい。ガラス等の基体上に光硬化樹脂等の放射線硬化樹脂からなる樹脂層を設ける場合は、樹脂層に記録トラックなどの凹凸を形成してもよい。
(b)第1記録層22について
第1記録層22は、通常、片面型記録媒体(例えばCD−R,DVD−R,DVD+R)等に用いる記録層と同程度の感度である。
また、良好な記録再生特性を実現するためには低発熱で高屈折率な色素を用いることが望ましい。
ここで、第1記録層22に用いる色素の屈折率(記録光又は再生光の波長に対する屈折率)は、通常1.00以上であり、好ましくは1.50以上である。但し、通常3.00以下である。
また、第1記録層22に用いる色素の消衰係数(記録光又は再生光の波長に対する消衰係数)は、通常0.50以下であり、好ましくは0.30以下である。消衰係数が大きすぎると、色素含有記録層による吸収が大きくなりすぎ、反射率が低くなってしまう。但し、記録が行なわれるためにはある程度吸収があることが好ましく、下限は特に無いが、通常0.001以上である。
更に、第1記録層22と半透明反射層23との組合せにおいて、光の反射、透過及び吸収を適切な範囲とすることが望ましい。記録感度を高くし、かつ記録時の熱干渉を小さくできる。
このような有機色素材料としては、大環状アザアヌレン系色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素など)、ピロメテン系色素、ポリメチン系色素(シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素など)、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、含金属アゾ系色素、含金属インドアニリン系色素などが挙げられる。
上述の各種有機色素の中でも含金属アゾ系色素は、記録感度に優れ、かつ、耐久性,耐光性に優れるため好ましい。特に下記一般式(I)又は(II)
Figure 0004238170
(環A1及びA2は、各々独立に置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環であり、環B1及びB2は、各々独立に置換基を有していてもよい芳香族環である。Xは、少なくとも2個のフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基である。)で表される化合物が好ましい。
本発明の光記録媒体の記録層に使用される有機色素は、350〜900nm程度の可視光〜近赤外域に最大吸収波長λmaxを有し、青色〜近マイクロ波レーザでの記録に適する色素化合物が好ましい。通常CD−Rに用いられるような波長770〜830nm程度の近赤外レーザ(代表的には780nm,830nmなど)や、DVD−Rに用いられるような波長620〜690nm程度の赤色レーザ(代表的には635nm,650nm,680nmなど)、あるいは波長410nmや515nmなどで代表される波長340〜530nm程度のいわゆるブルーレーザなどでの記録に適する色素がより好ましい。
色素は一種でもよいし、同じ種類のものや異なる種類のものを二種以上混合して用いても良い。さらに、上記複数の波長の記録光に対し、各々での記録に適する色素を併用して、複数の波長域でのレーザ光による記録に対応する光記録媒体とすることもできる。
また第1記録層22は、記録層の安定や耐光性向上のために、一重項酸素クエンチャーとして遷移金属キレート化合物(例えば、アセチルアセトナートキレート、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒドオキシム、ビスジチオ−α−ジケトン等)等や、記録感度向上のために金属系化合物等の記録感度向上剤を含有していても良い。ここで金属系化合物とは、遷移金属等の金属が原子、イオン、クラスター等の形で化合物に含まれるものを言い、例えばエチレンジアミン系錯体、アゾメチン系錯体、フェニルヒドロキシアミン系錯体、フェナントロリン系錯体、ジヒドロキシアゾベンゼン系錯体、ジオキシム系錯体、ニトロソアミノフェノール系錯体、ピリジルトリアジン系錯体、アセチルアセトナート系錯体、メタロセン系錯体、ポルフィリン系錯体のような有機金属化合物が挙げられる。金属原子としては特に限定されないが、遷移金属であることが好ましい。
さらに本発明の光記録媒体の第1記録層22には、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡剤等を併用することもできる。好ましいバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ケトン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられる。
第1記録層22の膜厚は、記録方法などにより適した膜厚が異なるため、特に限定するものではないが、十分な変調度を得るためには通常5nm以上が好ましく、より好ましくは10nm以上であり、特に好ましくは20nm以上である。但し、本発明の光記録媒体においては適度に光を透過させるためには厚すぎない必要があるため、通常3μm以下であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは200nm以下である。第1記録層22の膜厚は通常、溝部とランド部で異なるが、本発明の光記録媒体において第1記録層22の膜厚は基板の溝部における膜厚を言う。
第1記録層22の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等一般に行われている薄膜形成法が挙げられるが、量産性、コスト面からはスピンコート法が好ましい。また厚みの均一な記録層が得られるという点からは、塗布法より真空蒸着法の方が好ましい。
スピンコート法による成膜の場合、回転数は10〜15000rpmが好ましく、スピンコートの後、加熱あるいは溶媒蒸気にあてる等の処理を行っても良い。
ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等の塗布方法により第1記録層22を形成する場合の塗布溶媒としては、基板を侵さない溶媒であればよく、特に限定されない。例えば、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;n−ヘキサン、n−オクタン等の鎖状炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の環状炭化水素系溶媒;テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシカルボン酸エステル系溶媒等が挙げられる。
真空蒸着法の場合は、例えば有機色素と、必要に応じて各種添加剤等の記録層成分を、真空容器内に設置されたるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10-2〜10-5Pa程度にまで排気した後、るつぼを加熱して記録層成分を蒸発させ、るつぼと向き合って置かれた基板上に蒸着させることにより、第1記録層22を形成する。
(c)半透明反射層23について
半透明反射層23は、ある程度の光透過率を持つ反射層である。つまり、記録再生光の吸収が小さく、光透過率が40%以上あり、かつ適度な光反射率(通常、30%以上)を持つ反射層である。例えば、反射率の高い金属を薄く設けることにより適度な透過率を持たせることができる。また、ある程度の耐食性があることが望ましい。更に、半透明反射層23の上層(ここでは透明接着層24)の浸み出しにより第1記録層22が影響されないよう遮断性を持つことが望ましい。
高透過率を確保するために、半透明反射層23の厚さは通常、50nm以下が好適である。より好適には30nm以下である。更に好ましくは25nm以下である。但し、第1記録層22が半透明反射層23の上層により影響されないために、ある程度の厚さが必要であり、通常3nm以上とする。より好ましくは5nm以上とする。
半透明反射層23の材料としては、再生光の波長で反射率が適度に高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pd、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi及び希土類金属などの金属及び半金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAu、Al、Agは反射率が高く半透明反射層23の材料として適している。これらを主成分とする以外に他成分を含んでいても良い。
なかでもAgを主成分としているものはコストが安い点、反射率が高い点から特に好ましい。ここで主成分とは含有率が50%以上のものをいう。
半透明反射層23は膜厚が薄く、膜の結晶粒が大きいと再生ノイズの原因となるため、結晶粒が小さい材料を用いるのが好ましい。純銀は結晶粒が大きい傾向があるためAgは合金として用いるのが好ましい。
中でもAgを主成分とし、Ti、Zn、Cu、Pd、Au及び希土類金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1〜15原子%含有することが好ましい。Ti、Zn、Cu、Pd、Au及び希土類金属のうち2種以上含む場合は、各々0.1〜15原子%でもかまわないが、それらの合計が0.1〜15原子%であることが好ましい。
特に好ましい合金組成は、Agを主成分とし、Ti、Zn、Cu、Pd、Auよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1〜15原子%含有し、かつ少なくとも1種の希土類元素を0.1〜15原子%含有するものである。希土類金属の中では、ネオジウムが特に好ましい。具体的には、AgPdCu、AgCuAu、AgCuAuNd、AgCuNdなどである。
半透明反射層23としてはAuのみからなる層は結晶粒が小さく、耐食性に優れ好適である。ただし、Ag合金に比べて高価である。
また、半透明反射層23としてSiからなる層を用いることも可能である。
金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
半透明反射層23を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、第1基板21と半透明反射層23との間に、例えば反射率の向上,記録特性の改善,密着性の向上等のために公知の無機系または有機系の中間層又は接着層を設けても良い。例えば、第1基板21上に、中間層(又は接着層),第1記録層22,中間層(又は接着層),半透明反射層23の順に積層させることで、第1基板21と第1記録層22との間に中間層(又は接着層)を設け、第1記録層22と半透明反射層23との間に中間層(又は接着層)を設けても良い。
(d)透明接着層24について
透明接着層24は、透明である必要があるほか、接着力が高く、硬化接着時の収縮率が小さいと媒体の形状安定性が高く好ましい。
透明接着層24の屈折率(記録光又は再生光の波長に対する屈折率)は、通常1.40以上であり、好ましくは1.45以上である。但し、通常1.70以下であり、好ましくは1.65以下である。
また、透明接着層24は、第2記録層25にダメージを与えない材料からなることが望ましい。但し、透明接着層24は通常、樹脂からなるため第2記録層25と相溶しやすく、これを防ぎダメージを抑えるために両層の間に後述のバッファー層28を設けることが望ましい。
さらに、透明接着層24は、半透明反射層23にダメージを与えない材料からなることが望ましい。但し、ダメージを抑えるために両層の間に公知の無機系又は有機系の保護層を設けることもできる。
本発明の光記録媒体において、透明接着層24の膜厚は正確に制御することが好ましい。透明接着層24の膜厚は、通常5μm以上が好ましい。2層の記録層に別々にフォーカスサーボをかけるためには両記録層の間にある程度の距離がある必要がある。フォーカスサーボ機構にもよるが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上が必要である。
一般に、対物レンズの開口数が高いほどその距離は小さくてよい傾向がある。但し、あまり厚いと2層の記録層にフォーカスサーボを合わせるのに時間を要し、また対物レンズの移動距離も長くなるため好ましくない。また硬化に時間を要し生産性が低下するなどの問題があるため、通常、100μm以下が好ましい。
透明接着層24の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂(遅延硬化型を含む)等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、これを塗布し、乾燥(加熱)することによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂は、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、紫外光を照射して硬化させることによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂には様々な種類があり、透明であればいずれも用いうる。またそれらの材料を単独であるいは混合して用いても良いし、1層だけではなく多層膜にして用いても良い。
塗布方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法等の塗布法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。或いは、粘度の高い樹脂はスクリーン印刷等によっても塗布形成できる。紫外線硬化性樹脂は、生産性を20〜40℃において液状であるものを用いると、溶媒を用いることなく塗布でき好ましい。また、粘度は20〜1000mPa・sとなるように調製するのが好ましい。
なお、感圧式両面テープを用い、積層構造間にそのテープを挟んで押圧することによって接着層を形成することもできる。
さて、紫外線硬化性接着剤としては、ラジカル系紫外線硬化性接着剤とカチオン系紫外線硬化性接着剤があるが、いずれも使用可能である。
ラジカル系紫外線硬化性接着剤としては、公知の全ての組成物を用いることができ、紫外線硬化性化合物と光重合開始剤を必須成分として含む組成物が用いられる。紫外線硬化性化合物としては、単官能(メタ)アクリレートや多官能(メタ)アクリレートを重合性モノマー成分として用いることができる。これらは、各々、単独または2種類以上併用して用いることができる。ここで、本発明では、アクリレートとメタアクリレートとを併せて(メタ)アクリレートと称する。
本発明の光記録媒体に使用できる重合性モノマーとしては例えば以下のものが挙げられる。単官能(メタ)アクリレートとしては例えば、置換基としてメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、ノニルフェノキシエチル、テトラヒドロフルフリル、グリシジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル,カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル、イソボルニル,ジシクロペンタニル,ジシクロペンテニル,ジシクロペンテニロキシエチル等の如き基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、多官能(メタ)アクリレートとしては例えば、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、重合性モノマーと同時に併用できるものとしては、重合性オリゴマーとしてポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等がある。
更に、本発明の光記録媒体に使用する光重合開始剤は、用いる重合性オリゴマーおよび/または重合性モノマーに代表される紫外線硬化性化合物が硬化できる公知のものがいずれも使用できる。光重合開始剤としては、分子開裂型または水素引き抜き型のものが本発明の光記録媒体に好適である。
このような例としては、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が好適に用いられ、さらにこれら以外の分子開裂型のものとして、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンおよび2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を併用しても良いし、さらに水素引き抜き型光重合開始剤である、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等も併用できる。
また光重合開始剤に対する増感剤として例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の、前述重合性成分と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。もちろん、上記光重合開始剤や増感剤は、紫外線硬化性化合物への溶解性に優れ、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いることが好ましい。
また、カチオン系紫外線硬化性接着剤としては公知のすべての組成物を用いることができ、カチオン重合型の光開始剤を含むエポキシ樹脂がこれに該当する。カチオン重合型の光開始剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩およびジアゾニウム塩等がある。
ヨードニウム塩の1例を示すと以下の通りである。ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェード、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、などが挙げられる。
エポキシ樹脂は、ビスフェノールA−エピクロールヒドリン型、脂環式エポキシ、長鎖脂肪族型、臭素化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型、グリシジルエーテル型、複素環式系等種々のものがいずれであってもかまわない。
エポキシ樹脂としては、反射層にダメージを与えないよう、遊離したフリーの塩素および塩素イオン含有率が少ないものを用いるのが好ましい。塩素の量が1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5重量%以下である。
カチオン型紫外線硬化性樹脂100重量部当たりのカチオン重合型光開始剤の割合は通常、0.1〜20重量部であり、好ましくは0.2〜5重量部である。なお、紫外線光源の波長域の近紫外領域や可視領域の波長をより有効に利用するため、公知の光増感剤を併用することができる。この際の光増感剤としては、例えばアントラセン、フェノチアジン、ベンジルメチルケタール、ベンゾフェノン、アセトフェノン等が挙げられる。
また、紫外線硬化性接着剤には、必要に応じてさらにその他の添加剤として、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ホスファイト等に代表される酸化防止剤、可塑剤およびエポキシシラン、メルカプトシラン、(メタ)アクリルシラン等に代表されるシランカップリング剤等を、各種特性を改良する目的で配合することもできる。これらは、紫外線硬化性化合物への溶解性に優れたもの、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いる。
(e)第2記録層25について
第2記録層25は、通常、片面型記録媒体(例えばCD−R,DVD−R,DVD+R)等に用いる記録層よりも高感度である。本発明の光記録媒体においては、入射した光ビームのパワーが第1記録層22や半透明反射層23の存在等で減少するため、約半分程度のパワーで記録するために、特に感度が高い必要があるのである。
また、良好な記録再生特性を実現するためには低発熱で高屈折率な色素を用いることが望ましい。
ここで、第2記録層25に用いる色素の屈折率(記録光又は再生光の波長に対する屈折率)は、通常1.00以上であり、好ましくは1.50以上である。但し、通常3.00以下である。
また、第2記録層25に用いる色素の消衰係数(記録光又は再生光の波長に対する消衰係数)は、通常0.50以下であり、好ましくは0.30以下である。消衰係数が大きすぎると、色素記録層による吸収が大きくなりすぎ、反射率が低くなってしまう。但し、記録が行なわれるためにはある程度吸収があることが好ましく、下限は特に無いが、通常0.001以上である。
更に、第2記録層25と反射層26との組合せにおいて、光の反射及び吸収を適切な範囲とすることが望ましい。記録感度を高くし、かつ記録時の熱干渉を小さくできる。
第2記録層25の材料、成膜方法等についてはほぼ第1記録層22と同様に説明されるため、異なる点のみ説明する。
第2記録層25の膜厚は、記録方法などにより適した膜厚が異なるため、特に限定するものではないが、十分な変調度を得るためには通常10nm以上が好ましく、より好ましくは30nm以上であり、特に好ましくは50nm以上である。但し、適度な反射率を得るためには厚すぎない必要があるため、通常3μm以下であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは200nm以下である。ここで、第2記録層25の膜厚は、通常、厚膜部における膜厚をいう。
第1記録層22と第2記録層25とに用いる材料は同じでも良いし異なっていてもよい。
(f)反射層26について
反射層26は、高反射率である必要がある。また、高耐久性であることが望ましい。
高反射率を確保するために、反射層26の厚さは通常、20nm以上が好適である。より好適には30nm以上である。更に好ましくは50nm以上である。但し、生産のタクトタイムを短くし、コストを下げるためにはある程度薄いことが好ましく、通常400nm以下とする。より好ましくは300nm以下とする。
反射層26の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta及びPdの金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAu、Al、Agは反射率が高く反射層26の材料として適している。これらを主成分とする以外に他成分として下記のものを含んでいても良い。他成分の例としては、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Cu、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi及び希土類金属などの金属及び半金属を挙げることができる。
中でもAgを主成分としているものはコストが安い点、高反射率が出やすい点、更に後で述べる印刷受容層を設ける場合には地色が白く美しいものが得られる点等から特に好ましい。ここで主成分とは含有率が50%以上のものをいう。
反射層26は高耐久性(高耐食性)を確保するため、Agは純銀よりも合金として用いるのが好ましい。
中でもAgを主成分とし、Ti、Zn、Cu、Pd、Au及び希土類金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1〜15原子%含有することが好ましい。Ti、Zn、Cu、Pd、Au及び希土類金属のうち2種以上含む場合は、各々0.1〜15原子%でもかまわないが、それらの合計が0.1〜15原子%であることが好ましい。
特に好ましい合金組成は、Agを主成分とし、Ti、Zn、Cu、Pd、Auよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1〜15原子%含有し、かつ少なくとも1種の希土類元素を0.1〜15原子%含有するものである。希土類金属の中では、ネオジウムが特に好ましい。具体的には、AgPdCu、AgCuAu、AgCuAuNd、AgCuNdなどである。
反射層26としてはAuのみからなる層は高耐久性(高耐食性)が高く好適である。ただし、Ag合金に比べて高価である。
金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層26として用いることも可能である。
反射層26を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、反射層26の上下に、例えば反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために公知の無機系または有機系の中間層又は接着層を設けても良い。
(g)第2基板27について
第2基板27は、光記録媒体がある程度の剛性を有するよう、形状安定性を備えるのが望ましい。即ち機械的安定性が高く、剛性が大きいことが好ましい。
このような材料としては、例えばアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂からなるもの、ガラスからなるものを用いることができる。
或いは、第2基板27は、複数の層から成るものであっても良く、例えばガラスや樹脂等の基板上に、光硬化樹脂等の放射線硬化樹脂からなる樹脂層を設けたもの等も第2基板として使用できる。
上述のように第1基板21が十分な形状安定性を備えていない場合は、第2基板27は特に形状安定性が高い必要がある。この点で吸湿性が小さいことが望ましい。
第2基板27は透明である必要はないが、透明とする場合には、第2基板27の屈折率(記録光又は再生光の波長に対する屈折率)は、通常1.40以上であり、好ましくは1.45以上である。但し、通常1.70以下であり、好ましくは1.65以下である。
このような材料としては、第1基板21に用いうる材料と同じものが用い得るほか、例えば、Alを主成分とした例えばAl−Mg合金等のAl合金基板や、Mgを主成分とした例えばMg−Zn合金等のMg合金基板、シリコン、チタン、セラミックスのいずれかからなる基板やそれらを組み合わせた基板などを用いることができる。
なお、成形性などの高生産性、コスト、低吸湿性、形状安定性などの点から、上述の樹脂が好ましく、特に、ポリカーボネートが好ましい。耐薬品性、低吸湿性などの点からは、非晶質ポリオレフィンが好ましい。また、高速応答性などの点からは、ガラス基板が好ましい。
光記録媒体に十分な剛性を持たせるために、第2基板27はある程度厚いことが好ましく、厚さは0.3mm以上が好ましい。但し薄いほうが記録再生装置の薄型化に有利であり、好ましくは3mm以下である。より好ましくは1.5mm以下である。
第1基板21と第2基板27の好ましい組合せの一例は、第1基板21と第2基板27とが同一材料からなり、厚さも同一である。剛性が同等でバランスが取れているので、環境変化に対しても媒体として変形しにくく好ましい。この場合、環境が変化したときの変形の程度や方向も両基板で同様であると好ましい。
他の好ましい組合せの一例は、第1基板21が0.1mm程度と薄く、第2基板27が1.1mm程度と厚いものである。対物レンズが記録層に近づきやすく記録密度を上げやすいため好ましい。このとき第1基板21はシート状であってもよく、案内溝を有していなくても良い。
第2基板27には、情報の記録又は再生の際に記録/再生光(記録/再生ビーム;例えばレーザ光)を案内するために用いられる溝(案内溝)32が螺旋状又は同心円状に設けられる。このように第2基板27に溝32を設けると、第2基板27の表面上に凹凸ができ、その凹部(溝)をグルーブといい、凸部をランドという。なお、第2基板27上の溝32は、光の入射方向に対して凹部となる。
ここでは、第2記録層25は、第2基板27上に形成された反射層26上に塗布形成されるので、第2基板27のグルーブ(凹部)で膜厚が厚くなり(この部分を厚膜部という)、第2基板27のランド(凸部)で膜厚が薄くなる(この部分を薄膜部という)。
本実施形態では、後述するように、溝32の深さが浅くなっているため、グルーブ及び/又はランドを記録トラックとして、第2記録層25へ情報の記録又は再生を行なうことができる。
例えばグルーブ記録とする場合には、第2基板27の溝32を、所定の振幅,所定の周波数で半径方向に僅かに蛇行させることで、ウォブルが設けられる。また、第2基板27の溝32間のランドにはある規則にしたがった孤立ピット(アドレスピット)を形成し(これをランドプリピット,LPP;Land Pre-Pitという)、このランドプリピットによってアドレス情報を予め記録しておいても良い。なお、この他に必要に応じ凹凸ピット(プリピット)を有することもある。
このような凹凸を有する第2基板27は、コストの観点から、凹凸を持つスタンパから樹脂を用いて射出成形により製造するのが好ましい。ガラス等の基体上に光硬化性樹脂等の放射線硬化性樹脂からなる樹脂層を設ける場合は、樹脂層に記録トラックなどの凹凸を形成してもよい。
(i)バッファー層28について
ここでは、透明接着層24と第2記録層25との間に中間層としてのバッファー層28を設けている。
バッファー層28は2つの層の混和を防止し、相溶を防ぐものである。バッファー層28が混和現象を防止する以外の他の機能を兼ねていても良い。また必要に応じてさらに他の中間層を挟んでも良い。
バッファー層28の材料は、第2記録層25や透明接着層24と相溶せず、かつ、ある程度の光透過性をもつ必要があるが、公知の無機物及び有機物が用いうる。特性面からは、好ましくは無機物が用いられる。例えば、(a)金属又は半導体、(b)金属又は半導体の酸化物、窒化物、硫化物、酸硫化物、フッ化物又は炭化物、もしくは(c)非晶質カーボン、などが用いられる。中でも、ほぼ透明な誘電体からなる層や、ごく薄い金属層(合金を含む)が好ましい。
具体的には、酸化珪素、特に二酸化珪素や、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化イットリウム等の酸化物;硫化亜鉛、硫化イットリウムなどの硫化物;窒化珪素などの窒化物;炭化珪素;酸化物とイオウとの混合物(酸硫化物);および後述の合金などが好適である。また、酸化珪素と硫化亜鉛との30:70〜90:10程度(重量比)の混合物も好適である。また、イオウと二酸化イットリウムと酸化亜鉛との混合物(Y22S−ZnO)も好適である。
金属や合金としては、銀、又は銀を主成分とし更にチタン、亜鉛、銅、パラジウム、及び金よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1〜15原子%含有するものが好適である。また、銀を主成分とし、少なくとも1種の希土類元素を0.1〜15原子%含有するものも好適である。この希土類としては、ネオジウム、プラセオジウム、セリウム等が好適である。
その他、バッファー層作製時に記録層の色素を溶解しないようなものであれば樹脂層でも構わない。特に、真空蒸着やCVD法で作製可能な高分子膜が有用である。
バッファー層28の厚さは2nm以上が好ましく、より好ましくは5nm以上である。バッファー層28の厚さが過度に薄いと、上記の混和現象の防止が不十分となる虞がある。但し2000nm以下が好ましく、より好ましくは500nm以下である。バッファー層28が過度に厚いと、混和防止には不必要であるばかりでなく、光の透過率を低下させるおそれもある。また無機物からなる層の場合には成膜に時間を要し生産性が低下したり、膜応力が高くなったりする虞があり200nm以下が好ましい。特に、金属の場合は光の透過率を過度に低下させるため、20nm以下程度が好ましい。
なお、このほか、半透明反射層23と透明接着層24との間などに中間層としてのバッファー層を設けてもよい。
(j)その他の層について
上記積層構造において、必要に応じて任意の他の層を挟んでも良い。或いは媒体の最外面に任意の他の層を設けても良い。
具体的には、記録層や反射層を保護するために保護層を設けても良い。保護層の材料としては、記録層や反射層を外力から保護するものであれば特に限定されない。有機物質の材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を挙げることができる。また、無機物質としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、MgF2、SnO2等が挙げられる。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、これを塗布、乾燥することによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂は、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのアクリレート系樹脂を用いることができる。これらの材料は単独であるいは混合して用いても良いし、1層だけではなく多層膜にして用いても良い。
保護層の形成方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法等の塗布法やスパッタ法や化学蒸着法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。
保護層の膜厚は、一般に0.1〜100μmの範囲であるが、本発明の光記録媒体においては、1〜50μmが好ましい。
更に、上記光記録媒体には、必要に応じて、記録光又は再生光の入射面ではない面に、インクジェット、感熱転写等の各種プリンタ、或いは各種筆記具にて記入(印刷)が可能な印刷受容層を設けてもよい。
或いは、本層構成の他に記録層を設けて記録層を3層以上としても良い。また、本層構成の光記録媒体を2枚、第1基板21を外側にして貼合わせて、記録層を4層有する、より大容量媒体とすることもできる。
ところで、上述のように、2つの色素含有記録層22,25を有する片面入射型光記録媒体では、光入射側(片面側)に近い側の第1色素含有記録層22と遠い側の第2色素含有記録層25とを有するものとなる。このため、光を入射させる側から遠い側に位置する第2色素含有記録層25への情報の記録又は再生は、第1色素含有記録層22を介して光を入射させることによって行なわれることになる。
このような片面入射型光記録媒体では、一般的な光記録媒体と同様に、光を入射させる側とは反対側の第2基板27に形成する溝(案内溝,凹部)32の深さを例えば150nm程度とすると、第2色素含有記録層25の情報の記録又は再生を行なうのに必要な反射率が得られない場合がある。
そこで、本実施形態にかかる光記録媒体では、第2基板27の溝32の深さを、一般的な色素系光記録媒体の溝の深さとは異なり、特定範囲に浅くすることで、溝形状を反映した反射層の形状変化が小さくなるようにして、第2色素含有記録層25の情報の記録又は再生を行なうのに十分な反射率が得られるようにしている。このようにして十分に高い反射率が得られるようになると、DVD−ROMとの互換性も取り易くなる。また、第2基板27の溝の深さが浅くても良くなると、案内溝を有する第2基板27の生産性も向上し、量産性が良くなる。
このように、第2基板27の溝32の深さを、従来の一般的な色素系光記録媒体とは異なり、特定範囲に溝の深さを浅くすることで、第2色素含有記録層25の情報の記録又は再生を行なうのに十分な反射率が得られるようになるため、第2色素含有記録層25の薄膜部又は厚膜部の双方を記録トラックとして用いることができるようになる。つまり、第2基板27のランド(凸部)、即ち第2記録層25の凹部(薄膜部)に光を入射させて(照射して)情報の記録又は再生を行なうこともできるし、第2基板27のグルーブ(凹部)、即ち第2記録層25の凸部(厚膜部)に光を入射させて(照射して)情報の記録又は再生を行なうこともできる。
具体的には、以下のように第2基板27の溝32の深さを設定している。
まず、第2基板27の溝32の深さ(溝深さ)は、記録再生波長をλとすると、1/100×λ以上とするのが好ましい。より好ましくは2/100×λ以上とし、さらに好ましくは3/100×λ以上とするのが好ましい。反射率を十分に確保し、トラッキングを安定的にかけるためには、この程度の深さがある方が好ましいからである。
例えば、記録再生波長をλ=650nmとすると、第2基板27の溝32の深さは、7nm以上とするのが好ましい。より好ましくは13nm以上とし、さらに好ましくは20nm以上とする。
但し、第2基板27の溝32の深さは、1/6×λ以下とするのが好ましい。より好ましくは1/8×λ以下とし、さらに好ましくは1/10×λ以下とする。反射層の形状変化を小さくして反射光量を確保し、高反射率を得るためには、溝を深くしすぎないことが望ましいためである。
例えば、第2基板27の溝32の深さは、記録再生波長をλ=650nmとすると、108nm以下とするのが好ましい。より好ましくは81nm以下とし、さらに好ましくは65nm以下とする。
また、第2基板27の溝32の幅(溝幅,G幅;半値幅)は、トラックピッチをTとして、1/10×T以上とするのが好ましい。より好ましくは2/10×T以上とし、さらに好ましくは3/10×T以上とする。これは、溝幅が狭すぎると、トラッキングがかかりにくくなる傾向があるからである。
例えば、トラックピッチを740nmとすると、第2基板27の溝32の幅は、74nm以上とするのが好ましい。より好ましくは148nm以上とし、さらに好ましくは222nm以上とする。
但し、第2基板27の溝32の幅は、9/10×T以下とするのが好ましい。より好ましくは8/10×T以下とし、さらに好ましくは7/10×T以下とする。これは、溝幅が広すぎると、トラッキングがかかりにくくなり、また、記録を良好に行なうのが難しくなる傾向があるからである。
例えば、トラックピッチを740nmとすると、第2基板27の溝32の幅は、666nm以下とするのが好ましい。より好ましくは592nm以下とし、さらに好ましくは518nm以下とする。
上述のように、本実施形態では、第2基板27の溝32の深さが、一般的な色素系光記録媒体の溝の深さよりも浅くなるようにしているが、第2基板27の溝32の深さは、第1基板21の溝31の深さよりも浅くなるようにするのが好ましい。
例えば記録再生波長を650nmとして、第2基板27の溝32の深さを65nm以下に設定し、第1基板21の溝31の深さを例えば108nm以上に設定するのが好ましい。なお、第1基板21及び第2基板27の溝深さの設定の組み合わせはこれに限られるものではなく、第2基板27の溝32の深さが、第1基板21の溝31の深さよりも浅くなれば良い。
通常は、第2基板27の溝32の深さを、第1基板21の溝31の深さよりも浅くすること、中でも90%以下とするのが好ましく、より好ましくは80%以下であり、更に好ましくは70%以下である。但し、通常、第1基板21の溝31の深さの5%以上であり、好ましくは10%以上である。
したがって、本発明の光記録媒体によれば、片面側から光を入射させて情報の記録又は再生を行なう複数の色素含有記録層22,25を有する光記録媒体において、光を入射させる側から遠い側に位置する色素含有記録層25の情報の記録又は再生を行なうのに十分な反射率が得られるという利点がある。この結果、複数の色素含有記録層22,25のいずれにおいても良好な記録再生特性が得られることになる。
なお、本実施形態では、貼り合わせ型のデュアルレイヤタイプの片面入射型DVD−Rに本発明を適用した例を説明したが、これに限られるものではなく、片面側から光を入射させて情報の記録又は再生を行なう色素含有記録層を有する光記録媒体であれば、他の構成の光記録媒体であっても本発明を適用することができる。
例えば、図2に示すように、ディスク状の透明な(光透過性の)第1基板(第1光透過性基板)1上に、色素を含む第1記録層(第1色素含有記録層)2、半透明の反射層(半透明反射層)3、中間樹脂層(中間層)4、色素を含む第2記録層(第2色素含有記録層)5、反射層6、第2基板78(接着層7と基体8とからなる)をこの順に有してなる、積層型のデュアルレイヤタイプの片面入射型DVD−Rに本発明を適用することもできる。なお、符号11,12は案内溝(溝,凹部)である。
この場合、光を入射させる側から遠い側に位置する第2記録層5の情報の記録又は再生には、第2基板78(光を入射させる側とは反対側の基板)に設けられる案内溝(溝,凹部)12が用いられるため、十分な反射率が得られるにようにするためには、この案内溝12の深さを、記録再生波長をλとして、1/100×λ〜1/6×λの範囲内とすれば良い。
ただし、本発明は、特に、貼り合わせ型のデュアルレイヤタイプの片面入射型光記録媒体に適用すると、その効果が高く、好ましい。即ち、案内溝を有する第1基板上に、少なくとも、第1の色素を含有する第1色素含有記録層と半透明反射層とを順次積層させてなる第1情報記録体と、案内溝を有する第2基板上に、少なくとも、反射層と第2の色素を含有する第2色素含有記録層とを順次積層させてなる第2情報記録体とを備え、第1情報記録体と第2情報記録体とを基板と反対側の面を対向させ、光学的に透明な接着層を介して貼り合わされてなり、第1基板側から光を入射させて情報の記録又は再生を行なう光記録媒体に適用すると、その効果が高い。
このような媒体では、2枚の情報記録体を逆向きに貼り合わせてなるので、入射光側から見たときの、色素含有記録層による案内溝の埋まり方やグルーブ部とランド部との光路長差が両記録層で異なったものとなりやすいため、第2基板の最適な溝深さが第1基板とは異なり、より浅い溝が最適値となりやすいものと考えられる。
また、例えば、いわゆる基板面入射型の光記録媒体だけでなく、いわゆる膜面入射型の光記録媒体に本発明を適用することもできる。つまり、例えば、基体(保護層や基板などを含む),色素含有記録層,反射層,案内溝を有する基板を備え、基体側(基板の反対側)から光を入射させて色素含有記録層の情報の記録又は再生を行なう光記録媒体(一の色素含有記録層を備える光記録媒体)に本発明を適用することもできる。
この場合、基板(光を入射させる側とは反対側の基板)に設けられる案内溝(溝,凹部)で十分な反射が得られるようにするために、基板の案内溝の深さを、記録再生波長をλとして、1/100×λ〜1/6×λの範囲内とすれば良い。
これにより、基板の反対側から光を入射させて色素含有記録層の情報の記録又は再生を行なうに際し、十分な反射率が得られるという利点がある。この結果、良好な記録再生特性が得られることになる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
(光記録媒体の作製)
本実施例及び比較例の光記録媒体は、例えば、案内溝を有する第1基板上に、少なくとも、第1の色素を含有する第1色素含有記録層と半透明反射層とを順次積層させてなる第1情報記録体と、案内溝を有する第2基板上に、少なくとも、反射層と第2の色素を含有する第2色素含有記録層とを順次積層させてなる第2情報記録体とを備え、第1情報記録体と第2情報記録体とを基板の反対側の面を対向させ、光学的に透明な接着層を介して貼り合わされてなる。
以下、第2情報記録体の作製を中心に説明する。
まず、マザースタンパ(ネガ型スタンパ)を用い、射出成形によって、トラックピッチ740nm、所定の溝深さ及び溝幅の案内溝を有する、厚さ0.6mmのポリカーボネート製の第2基板(屈折率1.56)を作製した。
次に、この第2基板上に、Agを97atom%以上含む銀合金をスパッタして反射層を形成した。
次いで、この反射層上に、含金属アゾ色素のオクタフルオロペンタノール溶液を所定の塗布条件(色素濃度)でスピンコートし、100℃で30分乾燥して、第2色素含有記録層を形成した。ここでは、塗布条件を変えることで、第2色素含有記録層の膜厚が所定の膜厚になるようにした。本記録層の屈折率は2.25、消衰係数は0.02であった。
次に、この第2色素含有記録層上に、Agを97atom%以上含む銀合金,(ZnS)80(SiO220,SiO2のいずれかをスパッタしてバッファー層を形成し、その上に、紫外線硬化樹脂(日本化薬製SPC−920)を膜厚約5〜7μmの厚さにスピンコートして、保護層を形成した。
そして、通常、この保護層上に、ラジカル系紫外線硬化樹脂(接着剤)をスピンコートして塗布し、別途作製した記録層(第1記録層)を含む第1基板の反射層側と貼り合わせて、光記録媒体を作製する。
但し、ここでは、第1情報記録体の影響をなくし、第2記録層の特性を精密に評価できるように、第1情報記録体としては、記録層及び半透明反射層を有しない、厚さ0.6mmの溝のないポリカーボネート基板(屈折率1.56)を用いた。硬化後の接着層の屈折率は1.53であった。
(測定方法)
波長657nm(NA=0.65)の半導体レーザを搭載した評価機(パルステック社製DDU−1000,最大記録パワー15mW)を用い、未記録の第2記録層の反射率を測定した。
なお、本実施例においては、反射率25%以上を優れているとし、反射率30%以上をより優れているとした。通常、DVD−ROMと互換性を取るためには、第2記録層の未記録部の反射率は十数%あれば良い。本実施例は第1記録層及び半透明反射層を有しないので、実際よりも反射率が高めに出る傾向があるが、本実施例において反射率25%以上が得られれば、実際の第1情報記録体の影響を考慮しても十数%の反射率が得られると考える。
各実施例及び比較例の測定結果は、下記表1に示すようになった。
Figure 0004238170
(実施例1)
実施例1では、第2基板に、溝深さ65nm(ほぼλ/10に相当),溝幅(G幅)320nm,ランド幅(L幅)420nmとなるように案内溝を形成した。
また、バッファー層はAg合金をスパッタして形成した。そして、塗布条件としての色素濃度を3.55wt%として含金属アゾ色素をスピンコートして第2記録層を形成した。
このようにして形成した第2記録層の溝部分の膜厚(厚膜部,G膜厚)は85nmであり、ランド部分の膜厚(薄膜部,L膜厚)は70nmであった。
このようにして作製した光記録媒体に、上述のような条件でグルーブ部の反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は30.7%であった。
(実施例2)
実施例2では、上述の実施例1と同様にして作製した光記録媒体に、上述のような条件でランド部の反射率を測定した。その結果、表1に示すように、反射率は40.0%であった。
このように、グルーブ記録をランド記録に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例3)
実施例3では、バッファー層をSiO2とした以外は上述の実施例2と同様にして反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は28.1%であった。
このように、バッファー層をAg合金からSiO2に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例4)
実施例4では、塗布条件としての色素濃度を4.43wt%とすることで、第2記録層の溝部分の膜厚(厚膜部,G膜厚)を100nmとし、ランド部分の膜厚(薄膜部,L膜厚)を80nmとした点(即ち、第2記録層の厚膜部と薄膜部の膜厚差を20nmとした点)以外は、上述の実施例2と同様にして、反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は27.4%であった。
このように、第2記録層の膜厚を変えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例5)
実施例5では、バッファー層をZnS−SiO2とした以外は上述の実施例4と同様にして反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は26.7%であった。
このように、バッファー層をAg合金からZnS−SiO2に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例6)
実施例6では、塗布条件としての色素濃度を4.43wt%とすることで、第2記録層の溝部分の膜厚(厚膜部,G膜厚)を100nmとし、ランド部分の膜厚(薄膜部,L膜厚)を80nmとした点(即ち、第2記録層の厚膜部と薄膜部の膜厚差を20nmとした点)以外は、上述の実施例3と同様にして、反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は29.7%であった。
このように、第2記録層の膜厚を変えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例7)
実施例7では、第2基板に、溝深さ50nm(ほぼλ/13に相当),溝幅(G幅)410nm,ランド幅(L幅)330nmとなるように案内溝を形成した。
また、バッファー層はAg合金をスパッタして形成した。そして、塗布条件としての色素濃度を3.55wt%として含金属アゾ色素をスピンコートして第2記録層を形成した。
このようにして形成した第2記録層の溝部分の膜厚(厚膜部,G膜厚)は105nmであり、ランド部分の膜厚(薄膜部,L膜厚)は75nmであった。
このようにして作製した光記録媒体に、上述のような条件でグルーブ部の反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は40.1%であった。
このように、上述の実施例1と比べて、第2基板の溝深さを浅くすると、反射率が高くなることがわかった。
(実施例8)
実施例8では、バッファー層をSiO2とした以外は上述の実施例7と同様にして反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は30.9%であった。
このように、バッファー層をAg合金からSiO2に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例9)
実施例9では、塗布条件としての色素濃度を4.43wt%とすることで、第2記録層の溝部分の膜厚(厚膜部,G膜厚)を130nmとし、ランド部分の膜厚(薄膜部,L膜厚)を95nmとした点(即ち、第2記録層の厚膜部と薄膜部の膜厚差を35nmとした点)以外は、上述の実施例7と同様にして、反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は29.1%であった。
このように、第2記録層の膜厚を変えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例10)
実施例10では、バッファー層をZnS−SiO2とした以外は上述の実施例9と同様にして反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は31.3%であった。
このように、バッファー層をAg合金からZnS−SiO2に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例11)
実施例11では、塗布条件としての色素濃度を4.43wt%とすることで、第2記録層の溝部分の膜厚(厚膜部,G膜厚)を100nmとし、ランド部分の膜厚(薄膜部,L膜厚)を80nmとした点(即ち、第2記録層の厚膜部と薄膜部の膜厚差を20nmとした点)以外は、上述の実施例8と同様にして、反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は31.2%であった。
このように、第2記録層の膜厚を変えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例12)
実施例12では、上述の実施例7と同様にして作製した光記録媒体に、上述のような条件でランド部の反射率を測定した。その結果、表1に示すように、反射率は45.3%であった。
このように、グルーブ記録をランド記録に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例13)
実施例13では、バッファー層をZnS−SiO2とした以外は上述の実施例12と同様にして反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は29.0%であった。
このように、バッファー層をAg合金からZnS−SiO2に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例14)
実施例14では、上述の実施例8と同様にして作製した光記録媒体に、上述のような条件でランド部の反射率を測定した。その結果、表1に示すように、反射率は36.4%であった。
このように、グルーブ記録をランド記録に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例15)
実施例15では、上述の実施例9と同様にして作製した光記録媒体に、上述のような条件でランド部の反射率を測定した。その結果、表1に示すように、反射率は31.1%であった。
このように、グルーブ記録をランド記録に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例16)
実施例16では、上述の実施例10と同様にして作製した光記録媒体に、上述のような条件でランド部の反射率を測定した。その結果、表1に示すように、反射率は38.2%であった。
このように、グルーブ記録をランド記録に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例17)
実施例17では、上述の実施例11と同様にして作製した光記録媒体に、上述のような条件でランド部の反射率を測定した。その結果、表1に示すように、反射率は36.1%であった。
このように、グルーブ記録をランド記録に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例18)
実施例18では、第2基板に、溝深さ30nm(ほぼλ/20に相当),溝幅(G幅)220nm,ランド幅(L幅)520nmとなるように案内溝を形成した。
また、バッファー層はAg合金をスパッタして形成した。そして、塗布条件としての色素濃度を3.10wt%として含金属アゾ色素をスピンコートして第2記録層を形成した。
このようにして形成した第2記録層の溝部分の膜厚(厚膜部,G膜厚)は110nmであり、ランド部分の膜厚(薄膜部,L膜厚)は70nmであった。
このようにして作製した光記録媒体に、上述のような条件でグルーブ部の反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は43.0%であった。
このように、上述の実施例7と比べて、第2基板の溝深さを浅くすると、反射率が高くなることがわかった。
(実施例19)
実施例19では、バッファー層をZnS−SiO2とした以外は上述の実施例18と同様にして反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は39.0%であった。
このように、バッファー層をAg合金からZnS−SiO2に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例20)
実施例20では、バッファー層をSiO2とした以外は上述の実施例18と同様にして反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は43.2%であった。
このように、バッファー層をAg合金からSiO2に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例21)
実施例21では、塗布条件としての色素濃度を3.55wt%とすることで、第2記録層の溝部分の膜厚(厚膜部,G膜厚)を135nmとし、ランド部分の膜厚(薄膜部,L膜厚)を90nmとした点(即ち、第2記録層の厚膜部と薄膜部の膜厚差を45nmとした点)以外は、上述の実施例18と同様にして、反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は30.2%であった。
このように、第2記録層の膜厚を変えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例22)
実施例22では、バッファー層をZnS−SiO2とした以外は上述の実施例21と同様にして反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は41.7%であった。
このように、バッファー層をAg合金からZnS−SiO2に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例23)
実施例23では、塗布条件としての色素濃度を3.55wt%とすることで、第2記録層の溝部分の膜厚(厚膜部,G膜厚)を135nmとし、ランド部分の膜厚(薄膜部,L膜厚)を90nmとした点(即ち、第2記録層の厚膜部と薄膜部の膜厚差を45nmとした点)以外は、上述の実施例20と同様にして、反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は38.9%であった。
このように、第2記録層の膜厚を変えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例24)
実施例24では、上述の実施例18と同様にして作製した光記録媒体に、上述のような条件でランド部の反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は49.1%であった。
このように、グルーブ記録をランド記録に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例25)
実施例25では、上述の実施例19と同様にして作製した光記録媒体に、上述のような条件でランド部の反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は43.9%であった。
このように、バッファー層をAg合金からZnS−SiO2に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例26)
実施例26では、上述の実施例20と同様にして作製した光記録媒体に、上述のような条件でランド部の反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は49.5%であった。
このように、グルーブ記録をランド記録に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例27)
実施例27では、上述の実施例21と同様にして作製した光記録媒体に、上述のような条件でランド部の反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は33.9%であった。
このように、グルーブ記録をランド記録に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例28)
実施例28では、上述の実施例22と同様にして作製した光記録媒体に、上述のような条件でランド部の反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は47.9%であった。
このように、グルーブ記録をランド記録に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(実施例29)
実施例29では、上述の実施例23と同様にして作製した光記録媒体に、上述のような条件でランド部の反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は44.2%であった。
このように、グルーブ記録をランド記録に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られることがわかった。
(比較例1)
比較例1では、第2基板に、溝深さ120nm(ほぼλ/5.5に相当),溝幅(G幅)330nm,ランド幅(L幅)410nmとなるように案内溝を形成した。
また、バッファー層はAg合金をスパッタして形成した。そして、塗布条件としての色素濃度を1.90wt%として含金属アゾ色素をスピンコートして第2記録層を形成した。
このようにして形成した第2記録層の溝部分の膜厚(厚膜部,G膜厚)は70nmであり、ランド部分の膜厚(薄膜部,L膜厚)は30nmであった。
このようにして作製した光記録媒体に、上述のような条件でグルーブ部の反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は9.0%であった。
このように、上述の各実施例と比較して、第2基板の溝深さが深いと、記録・再生に必要な反射率が得られないことがわかった。
(比較例2)
比較例2では、バッファー層をSiO2とした以外は上述の比較例1と同様にして反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は6.5%であった。
このように、バッファー層をAg合金からSiO2に代えても、記録・再生に必要な反射率は得られないことがわかった。
(比較例3)
比較例3では、第2基板に、溝深さ160nm(ほぼλ/4に相当),溝幅(G幅)310nm,ランド幅(L幅)430nmとなるように案内溝を形成した。
また、バッファー層はAg合金をスパッタして形成した。そして、塗布条件としての色素濃度を1.90wt%として含金属アゾ色素をスピンコートして第2記録層を形成した。
このようにして形成した第2記録層の溝部分の膜厚(厚膜部,G膜厚)は75nmであり、ランド部分の膜厚(薄膜部,L膜厚)は20nmであった。
このようにして作製した光記録媒体に、上述のような条件でグルーブ部の反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は12.9%であった。
このように、上述の比較例1と比較して、第2基板の溝深さを深くすると、反射率は高くなるものの、記録・再生に必要な反射率は得られないことがわかった。
(比較例4)
比較例4では、バッファー層をSiO2とした以外は上述の比較例3と同様にして反射率を測定したところ、表1に示すように、反射率は19.9%であった。
このように、バッファー層をAg合金からSiO2に代えても、反射率は高くなるものの、記録・再生に必要な反射率は得られないことがわかった。
(まとめ)
上述の各比較例1〜4のように、第2基板の溝の深さを例えば120nm,160nmとすると、光を入射させる側から遠い側に位置する第2色素含有記録層の情報の記録又は再生に必要な反射率が得られないのに対し、上述の各実施例1〜29のように、第2基板の溝の深さを、例えば65nm以下に浅くすれば、ランド記録,グルーブ記録のいずれの場合であっても、光を入射させる側から遠い側に位置する第2色素含有記録層の情報の記録又は再生に必要な反射率が得られることがわかった。
なお、上述の各実施例においては、第1情報記録体の影響をなくし、できるだけ精密に第2記録層の特性を評価するために、第1情報記録体として、記録層及び半透明反射層を有しない、溝のない基板を用いたが、通常の第1情報記録体を用いても、第2記録層の評価には大きな影響はない。
また、実施例1〜29の媒体では、記録・再生の最も重要な要件である十分な反射率が得られているが、溝深さ以外の構成を適宜選ぶことで、他の記録再生特性にも優れた光記録媒体を得ることができると思われる。
本発明の一実施形態にかかる光記録媒体の全体構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態にかかる他の光記録媒体の全体構成を示す模式図である。
符号の説明
1,21 第1基板
2,22 第1記録層(第1色素含有記録層)
3,23 半透明反射層
4 中間樹脂層(中間層)
5,25 第2記録層(第2色素含有記録層)
6,26 反射層
7 接着層
8 基体
27 第2基板
28 バッファー層
11,12,31,32 溝(案内溝)
22A,25A 厚膜部
22B,25B 薄膜部
24 透明接着層(中間層)
78 第2基板

Claims (5)

  1. 案内溝を有する第1基板,第1色素含有記録層,半透明反射層,第2色素含有記録層,反射層,案内溝を有する第2基板を少なくとも備え、前記第1基板側から光を入射させて前記第1色素含有記録層及び前記第2色素含有記録層の情報の記録又は再生を行なう光記録媒体であって、
    前記第2基板の案内溝の深さが、記録再生波長をλとして、1/100×λ〜1/8×λの範囲内であることを特徴とする、光記録媒体。
  2. 案内溝を有する第1基板上に、少なくとも、第1の色素を含有する第1色素含有記録層と半透明反射層とを順次積層させてなる第1情報記録体と、案内溝を有する第2基板上に、少なくとも、反射層と第2の色素を含有する第2色素含有記録層とを順次積層させてなる第2情報記録体とを備え、前記第1情報記録体と前記第2情報記録体とを基板の反対側の面を対向させ、光学的に透明な接着層を介して貼り合わされてなり、前記第1基板側から光を入射させて情報の記録又は再生を行なう光記録媒体であって、
    前記第2基板の案内溝の深さが、記録再生波長をλとして、1/100×λ〜1/8×λの範囲内であることを特徴とする、光記録媒体。
  3. 前記第2基板の案内溝の深さが、前記第1基板の案内溝の深さよりも浅いことを特徴とする、請求項1又は2に記載の光記録媒体。
  4. 片面側から光を入射させて情報の記録又は再生を行なう複数の色素含有記録層を有する光記録媒体であって、
    光を入射させる側から遠い側に位置する色素含有記録層の情報の記録又は再生に用いられる案内溝の深さが、記録再生波長をλとして、1/100×λ〜1/8×λの範囲内であることを特徴とする、光記録媒体。
  5. 色素含有記録層,反射層,案内溝を有する基板を少なくとも備え、前記基板の反対側から光を入射させて色素含有記録層の情報の記録又は再生を行なう光記録媒体であって、
    前記基板の案内溝の深さが、記録再生波長をλとして、1/100×λ〜1/8×λの範囲内であることを特徴とする、光記録媒体。
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