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JP2006525955A5 - - Google Patents

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JP2006525955A5
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抗NGF抗体およびそれらを使用する方法
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2002年12月24日に提出された米国仮特許出願番号60/436,905;2003年1月28日に提出された米国特許出願番号第60/443,522;および2003年10月8日に提出された米国特許出願番号第60/510,006に対して優先権を主張する。これら全ては、引用によりそれらの全体が本明細書中に組み込まれる。
(技術分野)
本発明は、抗NGF抗体(例えば、抗NGFアンタゴニスト抗体)に関する。本発明はさらに、外科手術後の痛み、関節リウマチの痛み、および変形性関節症の痛みを含む痛みの処置および/または予防において、このような抗体および/またはポリヌクレオチドを使用することに関する。
連邦政府により支援された研究または開発に関する状況
適用せず。
神経成長因子(NGF)は、同定された最初のニューロトロフィンであり、末梢神経および中枢神経の両方の発達および生存におけるその役割は十分に特徴付けられている。NGFは、抹消交感神経および胚の感覚ニューロン、ならびに前脳基底部のコリン作動性ニューロンの発達に重要な生存および維持因子であることが示されている。Smeyne等,Nature 368:346−249(1994)およびCrowley等,Cell 76:1001−1011(1994)。NGFは感覚ニューロン中で神経ペプチドの発現をアップレギュレートさせ(Lindsay and Harmer,Nature 337:362−364(1989))、そしてその活性は、2つの異なる膜結合受容体であるTrkA受容体およびp75共通ニューロトロフィン受容体(それぞれ、「高親和性」および「低親和性」NGF受容体と呼ばれる場合もある)によって媒介される。Chao等,Science 232:518−521(1986)。NGFの概要については、Huang等,Annu.Rev.Neurosci.24:677−736(2001);Bibel等,Genes Dev.14:2919−2937(2000)を参照のこと。NGF、およびtrkA受容体と複合体を形成したNGFの結晶構造が明らかにされている。Nature 254:411(1991);Nature 401:184−188(1996)を参照のこと。
神経成長因子(NGF)は、同定された最初のニューロトロフィンであり、末梢神経および中枢神経の両方の発達および生存におけるその役割は十分に特徴付けられている。NGFは、抹消交感神経および胚の感覚ニューロン、ならびに前脳基底部のコリン作動性ニューロンの発達に重要な生存および維持因子であることが示されている。Smeyne等,Nature 368:346−249(1994)およびCrowley等,Cell 76:1001−1011(1994)。NGFは感覚ニューロン中で神経ペプチドの発現をアップレギュレートさせ(Lindsay等,Nature 337:362−364(1989))、そしてその活性は、2つの異なる膜結合受容体であるTrkAチロシンキナーゼ受容体およびp75受容体によって媒介される。p75受容体は、腫瘍壊死因子受容体ファミリーの他のメンバーと構造的に関係している(Chao等,Science 232:518−521(1986))。
神経系におけるその作用に加えて、NGFは神経系の外側でのプロセスにも大きく関係している。例えば、NGFは、血管の透過性を高めること(Otten等,Eur J Pharmacol.106:199−201(1984))、T細胞およびB細胞免疫応答を高めること(Otten等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:10059−10063(1989))、リンパ球の分化および肥満細胞の増殖を誘導し、肥満細胞からの可溶性の生物学的シグナルの放出を生じること(Matsuda等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:6508−6512(1988);Pearce等,J.Physiol.372:379−393(1986);Bischoff等,Blood 79:2662−2669(1992);Horigome等,J.Biol.Chem.268:14881−14887(1993))が示されている。外部から添加されたNGFはこれらの作用の全てを有することができることが示されているが、内因性のNGFが生体内でのこれらのプロセスの全てにおいて重要であることは極まれにしか示されていないことに注目することが重要である(Torcia等,Cell.85(3):345−56(1996))。したがって、たとえ存在するとしても、内因性のNGFの生体活性のその効果が何によって阻害されているかは明らかではない。
NGFは、肥満細胞(Leon等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91:3739−3743(1994))、Bリンパ球(Torcia等,Cell 85:345−356(1996)、角質細胞(Di Marco等,J.Biol.Chem.268:22838−22846))、平滑筋細胞(Ueyama等,J.Hypertens.11:1061−1065(1993))、線維芽細胞(Lindholm等,Eur.J.Neurosci.2:795−801(1990))、気管支上皮細胞(Kassel等,Clin,Exp.Allergy 31:1432−40(2001))、腎臓のメサンギウム細胞(Steiner等,Am.J.Physiol.261:F792−798(1991))、および骨格筋の筋管(Schwartz等,J.Photochem.Photobiol.B66:195−200(2002))を含む多数の細胞型によって生産される。NGF受容体は、神経系の外側の種々の細胞型の上に見出されている。例えば、TrkAは、ヒトの単球、Tリンパ球およびBリンパ球、ならびに肥満細胞上で見出されている。
高濃度のNGFと種々の炎症症状との間の関係が、ヒト患者において、さらにはいくつかの動物モデルにおいても観察されている。これらには、全身性エリテマトーデス(Bracci−Laudiero等,Neuroreport 4:563−565(1993))、多発性硬化症(Bracci−Laudiero等,Neurosci.Lett.147:9−12(1992))、乾癬(Raychaudhuri等,Acta Derm.l’enereol.78:84−86(1998))、関節炎(Falcim等,Ann.Rheum.Dis.55:745−748(1996))、間質性膀胱炎(Okragly等,J.Urology 161:438−441(1999))および喘息(Braun等,Eur.J.Immunol.28:3240−3251(1998))が含まれる。
抹消組織での高濃度のNGFには一貫して痛覚過敏と炎症が伴い、これは、多数の関節炎の形態において観察されている。関節リウマチに罹患してる患者の滑膜は、高いレベルでNGFを発現するが、炎症を起こしていない滑膜においては、NGFは検出できないことが報告されている(Aloe等,Arch.Rheum.35:351−355(1992))。同様の結果が、実験用に関節リウマチを誘導されたラットにおいても見られた(Aloe等,Clin.Exp.Rheumatol.10:203−204(1992))。高濃度のNGFは、トランスジェニックである関節炎のマウスにおいても報告されており、これには、肥満細胞の数の増加が伴った(Aloe等,Int.J.Tissue Reactions−Exp.Clin.Aspects 15:139−143(1993))。PCT公開番号WO02/096458には、炎症症状(例えば、関節リウマチ)のような種々のNGFに関係している障害を処置することにおいて、特定の性質の抗NGF抗体を使用することが開示されている。精製された抗NGF抗体を、ヒト腫瘍壊死因子−α(TNF−α)遺伝子を有している関節炎のトランスジェニックマウスに注射すると、肥満細胞の数の減少、さらには関節炎のマウスの滑膜内のヒスタミンおよびサブスタンスPの濃度の低下が生じることが報告されている(Aloe等,Rheumatol.Int.14:249−252(1995))。NGF抗体の外部からの投与により、関節炎のマウスを生じる高濃度のTNF−αが低下することが示されている(Manni等,Rheumatol.Int.18:97−102(1998))。
また、NGFおよび高親和性NGF受容体(TrkA)の発現の増大が、ヒトの変形性関節症の軟骨細胞において観察された(Iannone等,Theumatology 41:1413−1418(2002))。
齧歯類の抗NGFアンタゴニスト抗体が報告されている。例えば、Hongo等,Hybridoma(2002)19(3):215−227;Ruberti等(1993)Cell.Molec.Neurobiol.13(5):559−568を参照のこと。しかし、齧歯類の抗体をヒトにおいて治療的に使用すると、ヒト抗マウス抗体応答が、処置した個体のかなりの数において生じる。さらに、マウス抗体のエフェクター機能は、ヒトの状況においては効果が低いことが証明されている。したがって、ヒト化抗NGFアンタゴニスト抗体を含む抗NGFアンタゴニスト抗体が本格的に必要とされている。
本明細書中に開示される全ての参考文献、刊行物、および特許出願は、それらの全体が引用により本明細書中に組み込まれる。
本明細書中に開示される発明は、神経成長因子に対する抗体に関する。
別の態様においては、本発明は、ヒト化された親和性成熟抗体E3である。これは、ヒトおよび齧歯類の神経成長因子(「NGF」)に特異的に結合する。E3の重鎖および軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、図1A(配列番号1)および1B(配列番号2)にそれぞれ示される。抗体E3のCDR部分(Chothia CDRとKabat CDRを含む)は、図1Aおよび1Bに図示される。E3の重鎖および軽鎖、ならびに個々の伸張型CDRのアミノ酸配列もまた、以下に示される(以下の「抗体配列」を参照のこと)。
別の態様においては、本発明は、抗体E3(本明細書中では同義的に「E3」とも呼ばれる)の断片または領域を含む抗体である。1つの実施形態においては、断片は、図1Bに示されるような抗体E3の軽鎖である。別の実施形態においては、断片は、図1Aに示されるような抗体E3の重鎖である。さらに別の実施形態においては、断片には、抗体E3の軽鎖および/または重鎖に由来する1つ以上の可変領域が含まれる。さらに別の実施形態においては、断片には、図1Aおよび1Bに示されるような、抗体E3の軽鎖および/または重鎖に由来する1つ以上の相補性決定領域(CDR)が含まれる。
別の態様においては、本発明は、寄託番号ATCC No.PTA−4893またはATCC No.PTA−4894を有している宿主細胞によって生産されるポリヌクレオチドによってコードされる軽鎖を含む抗体である。別の態様においては、本発明は、寄託番号ATCC No.PTA−4895を有している宿主細胞によって生産されるポリヌクレオチドによってコードされる重鎖を含む抗体である。別の態様においては、本発明は、(a)寄託番号ATCC No.PTA−4894またはATCC No.PTA−4893を有している宿主細胞によって生産されるポリヌクレオチドによってコードされる軽鎖;および(b)寄託番号ATCC No.PTA−4895を有している宿主細胞によって生産されるポリヌクレオチドによってコードされる重鎖(本明細書中では便宜上、寄託された宿主細胞によって生産されるポリヌクレオチド(単数または複数)を、ATCC No.PTA−4894、PTA−4893、およびPTA−4895を有するという)を含む抗体である。別の態様においては、本発明は、寄託番号ATCC No.PTA−4894またはATCC No.PTA−4893を有する宿主細胞によって生産されるポリヌクレオチドによってコードされる軽鎖の軽鎖可変領域を含む抗体である。別の態様においては、本発明は、寄託番号ATCC No.PTA−4895を有する宿主細胞によって生産されるポリヌクレオチドによってコードされる重鎖の重鎖可変領域を含む抗体である。別の態様においては、本発明は、(a)寄託番号ATCC No.PTA−4894またはATCC No.PTA−4893を有する宿主細胞によって生産されるポリヌクレオチドによってコードされる軽鎖の軽鎖可変領域、および(b)寄託番号ATCC No.PTA−4895を有する宿主細胞によって生産されるポリヌクレオチドによってコードされる重鎖の重鎖可変領域を含む抗体である。なお別の態様においては、本発明は、(a)寄託番号ATCC No.PTA−4894を有する宿主細胞によって生産されるポリヌクレオチド;および/または(b)寄託番号ATCC No.PTA−4895を有する宿主細胞によって生産されるポリヌクレオチドによってコードされる1つ以上のCDR(単数または複数)を含む抗体である。
いくつかの実施形態においては、抗体には、ヒトの重鎖IgG2a定常領域が含まれる。いくつかの実施形態においては、抗体には、ヒトの軽鎖κ定常領域が含まれる。いくつかの実施形態においては、抗体には、修飾された定常領域、例えば、免疫学的に不活性である、例えば、補体媒介性の溶解を誘発しないか、または抗体依存性の細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)を刺激しない定常領域のような、修飾された定常領域が含まれる。他の実施形態においては、定常領域が、Eur.J.Immunol.(1999)29:2613−2624;PCT出願番号PCT/GB99/01441;および/または英国特許出願番号9809951.8に記載されているように修飾される。なお他の実施形態においては、抗体には、以下の変異を含むヒト重鎖IgG2a定常領域が含まれる:A330P331からS330S331(野生型IgG2a配列に関するアミノ酸のナンバリング)。Eur.J.Immunol.(1999)29:2613−2624。
別の態様においては、本発明により、以下のいずれか1つ以上を含むポリペプチド(抗体であっても抗体でなくてもよい)が提供される:a)図1Aおよび1Bに示される抗体E3の1つ以上のCDR(単数または複数);b)図1Aに示される抗体E3の重鎖に由来するCDR H3;c)図1Bに示される抗体E3の軽鎖に由来するCDR L3;d)図1Bに示される抗体E3の軽鎖に由来する3つのCDR;e)図1Aに示される抗体E3の重鎖に由来する3つのCDR;およびf)図1Aおよび1Bに示される抗体E3の、軽鎖に由来する3つのCDRと重鎖に由来する3つのCDR。本発明によりさらに、以下のいずれか1つ以上を含むポリペプチド(抗体であっても抗体でなくてもよい)が提供される:a)図1Aおよび1Bに示される抗体E3に由来する1つ以上(1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ)のCDR(単数または複数);b)図1Aに示される抗体E3の重鎖に由来するCDR H3に由来するCDR;および/またはc)図1Bに示される抗体E3の軽鎖に由来するCDR L3に由来するCDR。いくつかの実施形態においては、CDRは、Kabat CDR、Chothia CDR、またはKabat CDRとChothia CDRの結合体(本明細書中では「伸張型」CDRまたは「結合型」CDRと呼ばれる)である場合もある。いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、抗体)はNGF(例えば、ヒトNGF)に結合する。いくつかの実施形態においては、ポリペプチドには、本明細書中に記載されるCDF立体構造(結合体、変異体などを含む)のいずれかが含まれる。
1つの態様においては、本発明により、配列番号9を含む重鎖可変領域を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、I34はS、L、V、A、またはIであり;N35はN、T、またはSで置換される。本明細書中では便宜上、本発明の状況において、あるいはアミノ酸についての言及される場合は、「置換された」または「である」は、所定の位置についてのアミノ酸(単数または複数)の選択をいう。明らかであるように、置換または選択は、配列番号または図に示されるアミノ酸である場合もある。
別の態様においては、本発明により、配列番号10を含む重鎖可変領域を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、M50はM、I、G、Q、S、またはLであり;A62はAまたはSであり;L63はLまたはVである。
別の態様においては、本発明により、配列番号11を含む重鎖可変領域を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、Y100はY、L、またはRであり;Y101はYまたはWであり;G103はG、A、またはSであり;T104はTまたはSであり;S105はS、A、またはTであり;Y106はY、R、T、またはMであり;Y107はYまたはFであり;F108はFまたはWであり;D109はD、N、またはGであり;Y110はY、K、S、R、またはTである。
別の態様においては、本発明により、配列番号11を含む重鎖可変領域を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、Y100はY、L、またはRであり;Y101はYまたはWであり;G103はG、A、またはSであり;T104はTまたはSであり;S105はS、A、またはTであり;Y106はY、R、T、またはMであり;Y107はYまたはFであり;F108はFまたはWであり;D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり;Y110は任意のアミノ酸である。
別の態様においては、本発明により、配列番号11を含む重鎖可変領域を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、G98はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり;G99はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり;Y100はY、L、またはRであり;Y101はYまたはWであり;G103はG、A、またはSであり;T104はTまたはSであり;S105はS、A、またはTであり;Y106はY、R、T、またはMであり;Y107はYまたはFであり;F108はFまたはWであり;D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり;Y110は任意のアミノ酸である。
別の態様においては、配列番号12を含む軽鎖可変領域を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、S26はSまたはFであり;D28はD、S、A、またはYであり;H32はH、N、またはQである。
別の態様においては、配列番号13を含む軽鎖可変領域を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、I51はI、T、V、またはAであり;S56はSまたはTである。
別の態様においては、本発明により、配列番号14を含む軽鎖可変領域を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、S91はSまたはEであり;K92はK、H、R、またはSであり;Y96はYまたはRである。
別の態様においては、本発明により、配列番号14を含む軽鎖可変領域を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、S91はSまたはEであり;K92は任意のアミノ酸であり;T93は任意のアミノ酸であり;Y96はYまたはRである。
1つの態様においては、本発明により、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、I34はS、L、V、A、またはIであり;N35はN、T、またはSである。
別の態様においては、本発明により、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、M50はM、I、G、Q、S、またはLであり;A62はAまたはSであり;L63はLまたはVである。
別の態様においては、本発明により、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、Y100はY、L、またはRであり;Y101はYまたはWであり;G103はG、A、またはSであり;T104はTまたはSであり;S105はS、A、またはTであり;Y106はY、R、T、またはMであり;Y107はYまたはFであり;F108はFまたはWであり;D109はD、N、またはGであり;Y110はY、K、S、R、またはTである。
別の態様においては、本発明により、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、Y100はY、L、またはRであり;Y101はYまたはWであり;G103はG、A、またはSであり;T104はTまたはSであり;S105はS、A、またはTであり;Y106はY、R、T、またはMであり;Y107はYまたはFであり;F108はFまたはWであり;D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり;Y110は任意のアミノ酸である。
別の態様においては、本発明により、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、G98はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり;G99はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり;Y100はY、L、またはRであり;Y101はYまたはWであり;G103はG、A、またはSであり;T104はTまたはSであり;S105はS、A、またはTであり;Y106はY、R、T、またはMであり;Y107はYまたはFであり;F108はFまたはWであり;D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり;Y110は任意のアミノ酸である。
別の態様においては、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、S26はSまたはFであり;D28はD、S、A、またはYであり;H32はH、N、またはQである。
別の態様においては、配列番号13に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、I51はI、T、V、またはAであり;S56はSまたはTである。
別の態様においては、本発明により、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、S91はSまたはEであり;K92はK、H、R、またはSであり;Y96はYまたはRである。
別の態様においては、本発明により、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、S91はSまたはEであり;K92は任意のアミノ酸であり;T93は任意のアミノ酸であり;Y96はYまたはRである。
別の態様においては、本発明により、配列番号9のCDR1領域であって、I34がS、L、V、A、またはIであり;N35がN、T、またはSである領域;配列番号10のCDR2領域であって、M50がM、I、G、Q、S、またはLであり;A62がAまたはSであり;L63がLまたはVである領域;および配列番号11のCDR3領域であって、Y100がY、L、またはRであり;Y101がYまたはWであり;G103がG、A、またはSであり;T104がTまたはSであり;S105がS、A、またはTであり;Y106がY、R、T、またはMであり;Y107がYまたはFであり;F108がFまたはWであり;D109がD、N、またはGであり;Y110がY、K、S、R、またはTである領域を含む重鎖可変領域を含むポリペプチド(例えば、ヒト化抗体を含む抗体)が提供される。いくつかの実施形態においては、重鎖可変領域には、配列番号11のCDR3領域が含まれる。ここでは、Y100はY、L、またはRであり;Y101はYまたはWであり;G103はG、A、またはSであり;T104はTまたはSであり;S105はS、A、またはTであり;Y106はY、R、T、またはMであり;Y107はYまたはFであり;F108はFまたはWであり;D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり;Y110は任意のアミノ酸である。他の実施形態においては、重鎖可変領域には、配列番号11のCDR3領域が含まれる。ここでは、G98はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり;G99はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり;Y100はY、L、またはRであり;Y101はYまたはWであり;G103はG、A、またはSであり;T104はTまたはSであり;S105はS、A、またはTであり;Y106はY、R、T、またはMであり;Y107はYまたはFであり;F108はFまたはWであり;D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり;Y110は任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態においては、ポリペプチド(例えば、抗体)にはさらに、抗体の軽鎖可変領域が含まれる。
別の態様においては、本発明により、配列番号12のCDR1領域であって、S26がSまたはFであり;D28がD、S、A、またはYであり;H32がH、N、またはQである領域;配列番号13のCDR2領域であって、I51がI、T、V、またはAであり;S56がSまたはTである領域;および配列番号14のCDR3領域であって、S91がSまたはEであり;K92がK、H、R、またはSであり;Y96がYまたはRである領域を含む軽鎖可変領域を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。いくつかの実施形態においては、軽鎖可変領域には、配列番号14のCDR3領域が含まれる。ここでは、S91はSまたはEであり;K92は任意のアミノ酸であり;T93は任意のアミノ酸であり;Y96はYまたはRである。いくつかの実施形態においては、ポリペプチド(例えば、抗体)にはさらに、抗体の重鎖が含まれる。
別の態様においては、本発明により、(a)配列番号9のCDR1領域であって、I34がS、L、V、A、またはIであり;N35がN、T、またはSである領域;配列番号10のCDR2領域であって、M50がM、I、G、Q、S、またはLであり;A62がAまたはSであり;L63がLまたはVである領域;および配列番号11のCDR3領域であって、Y100がY、L、またはRであり;Y101がYまたはWであり;G103がG、A、またはSであり;T104がTまたはSであり;S105がS、A、またはTであり;Y106がY、R、T、またはMであり;Y107がYまたはFであり;F108がFまたはWであり;D109がD、N、またはGであり;Y110がY、K、S、R、またはTである領域を含む重鎖可変領域;および(b)配列番号12のCDR1領域であって、S26がSまたはFであり;D28がD、S、A、またはYであり;H32がH、N、またはQである領域;配列番号13のCDR2領域であって、I51がI、T、V、またはAであり;S56がSまたはTである領域;および配列番号14のCDR3領域であって、S91がSまたはEであり;K92がK、H、R、またはSであり;Y96がYまたはRである領域を含む軽鎖可変領域を含む、ポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。いくつかの実施形態においては、軽鎖可変領域には、配列番号14のCDR3領域が含まれる。ここでは、S91はSまたはEであり;K92は任意のアミノ酸であり;T93は任意のアミノ酸であり;Y96はYまたはRである。いくつかの実施形態においては、重鎖可変領域には、配列番号11のCDR3領域が含まれる。ここでは、Y100はY、L、またはRであり;Y101はYまたはWであり;G103はG、A、またはSであり;T104はTまたはSであり;S105はS、A、またはTであり;Y106はY、R、T、またはMであり;Y107はYまたはFであり;F108はFまたはWであり;D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり;Y110は任意のアミノ酸である。他の実施形態においては、重鎖可変領域には、配列番号11のCDR3領域が含まれる。ここでは、G98はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり;G99はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり;Y100はY、L、またはRであり;Y101はYまたはWであり;G103はG、A、またはSであり;T104はTまたはSであり;S105はS、A、またはTであり;Y106はY、R、T、またはMであり;Y107はYまたはFであり;F108はFまたはWであり;D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり;Y110は任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態においては、ポリペプチドにはさらに、抗体の軽鎖が含まれる。
別の態様においては、本発明により、配列番号9に示されるアミノ酸配列であって、I34がS、L、V、A、またはIであり;N35がN、T、またはSであるアミノ酸配列;配列番号10に示されるアミノ酸配列であって、M50がM、I、G、Q、S、またはLであり;A62がAまたはSであり;L63がLまたはVであるアミノ酸配列;および配列番号11に示されるアミノ酸配列であって、Y100がY、L、またはRであり;Y101がYまたはWであり;G103がG、A、またはSであり;T104がTまたはSであり;S105がS、A、またはTであり;Y106がY、R、T、またはMであり;Y107がYまたはFであり;F108がFまたはWであり;D109がD、N、またはGであり;Y110がY、K、S、R、またはTであるアミノ酸配列を含むポリペプチド(例えば、ヒト化抗体を含む抗体)が提供される。いくつかの実施形態においては、ポリペプチドには、配列番号11に示されるアミノ酸配列が含まれる。ここでは、Y100はY、L、またはRであり;Y101はYまたはWであり;G103はG、A、またはSであり;T104はTまたはSであり;S105はS、A、またはTであり;Y106はY、R、T、またはMであり;Y107はYまたはFであり;F108はFまたはWであり;D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり;Y110は任意のアミノ酸である。他の実施形態においては、ポリペプチドには、配列番号11に示されるアミノ酸配列が含まれる。ここでは、G98はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり;G99はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり;Y100はY、L、またはRであり;Y101はYまたはWであり;G103はG、A、またはSであり;T104はTまたはSであり;S105はS、A、またはTであり;Y106はY、R、T、またはMであり;Y107はYまたはFであり;F108はFまたはWであり;D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり;Y110は任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態においては、ポリペプチド(例えば、抗体)にはさらに、抗体の軽鎖可変領域が含まれる。
別の態様においては、本発明により、配列番号12に示されるアミノ酸配列であって、S26がSまたはFであり;D28がD、S、A、またはYであり;H32がH、N、またはQであるアミノ酸配列;配列番号13に示されるアミノ酸配列であって、I51がI、T、V、またはAであり;S56がSまたはTであるアミノ酸配列;および配列番号14に示されるアミノ酸配列であって、S91がSまたはEであり;K92がK、H、R、またはSであり;Y96がYまたはRであるアミノ酸配列を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。いくつかの実施形態においては、ポリペプチドには、配列番号14に示されるアミノ酸配列が含まれる。ここでは、S91はSまたはEであり;K92は任意のアミノ酸であり;T93は任意のアミノ酸であり;Y96はYまたはRである。いくつかの実施形態においては、ポリペプチド(例えば、抗体)にはさらに、抗体の重鎖可変領域が含まれる。
別の態様においては、本発明により、(a)配列番号9に示されるアミノ酸配列であって、I34がS、L、V、A、またはIであり;N35がN、T、またはSであるアミノ酸配列;配列番号10に示されるアミノ酸配列であって、M50がM、I、G、Q、S、またはLであり;A62がAまたはSであり;L63がLまたはVであるアミノ酸配列;および配列番号11に示されるアミノ酸配列であって、Y100がY、L、またはRであり;Y101がYまたはWであり;G103がG、A、またはSであり;T104がTまたはSであり;S105がS、A、またはTであり;Y106がY、R、T、またはMであり;Y107がYまたはFであり;F108がFまたはWであり;D109がD、N、またはGであり;Y110がY、K、S、R、またはTであるアミノ酸配列;および(b)配列番号12に示されるアミノ酸配列であって、S26がSまたはFであり;D28がD、S、A、またはYであり;H32がH、N、またはQであるアミノ酸配列;配列番号13に示されるアミノ酸配列であって、I51がI、T、V、またはAであり;S56がSまたはTであるアミノ酸配列;および配列番号14に示されるアミノ酸配列であって、S91がSまたはEであり;K92がK、H、R、またはSであり;Y96がYまたはRであるアミノ酸配列を含む、ポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。いくつかの実施形態においては、ポリペプチドには、配列番号14に示されるアミノ酸配列が含まれる。ここでは、S91はSまたはEであり;K92は任意のアミノ酸であり;T93は任意のアミノ酸であり;Y96はYまたはRである。いくつかの実施形態においては、ポリペプチドには、配列番号11に示されるアミノ酸配列が含まれる。ここでは、Y100はY、L、またはRであり;Y101はYまたはWであり;G103はG、A、またはSであり;T104はTまたはSであり;S105はS、A、またはTであり;Y106はY、R、T、またはMであり;Y107はYまたはFであり;F108はFまたはWであり;D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり;Y110は任意のアミノ酸である。他の実施形態においては、ポリペプチドには、配列番号11に示されるアミノ酸配列が含まれる。ここでは、G98はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり;G99はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり;Y100はY、L、またはRであり;Y101はYまたはWであり;G103はG、A、またはSであり;T104はTまたはSであり;S105はS、A、またはTであり;Y106はY、R、T、またはMであり;Y107はYまたはFであり;F108はFまたはWであり;D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり;Y110は任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態においては、ポリペプチドにはさらに、抗体の軽鎖可変領域が含まれる。
別の態様においては、本発明により、以下を含む重鎖可変領域:(a)配列番号9のCDR1領域であって、I34がS、L、V、A、またはIであり;N35がN、T、またはSで置換されている領域;(b)配列番号10のCDR2領域であって、M50がI、G、Q、S、またはLであり;A62がAまたはSであり;L63がLまたはVである領域;および(c)配列番号11のCDR3領域であって、Y100がY、L、またはRであり;Y101がYまたはWであり;G103がG、A、またはSであり;T104がTまたはSであり;S105がS、A、またはTであり;Y106がY、R、T、またはMであり;Y107がYまたはFであり;F108がFまたはWであり;D109がD、N、またはGであり;Y110がY、K、S、R、またはTである領域を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、上記抗体は、NGFに結合する。
別の態様においては、本発明により、以下を含む軽鎖可変領域:(a)配列番号12のCDR1領域であって、S26がSまたはFであり;D28がD、S、A、またはYであり;H32がH、N、またはQである領域;(b)配列番号13のCDR2領域であって、I51がI、T、V、またはAであり;S56がSまたはTである領域;および(c)配列番号14のCDR3領域であって、K92がK、H、R、またはSであり;Y96がYまたはRである領域;を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、上記抗体は、NGFに結合する。
別の態様においては、本発明により、(a)以下を含む重鎖可変領域:(i)配列番号9のCDR1領域であって、I34がS、L、V、A、またはIであり;N35がN、T、またはSで置換されている領域;(ii)配列番号10のCDR2領域であって、M50がI、G、Q、S、またはLであり;A62がAまたはSであり;L63がLまたはVである領域;および(iii)配列番号11のCDR3領域であって、Y100がY、L、またはRであり;Y101がYまたはWであり;G103がG、A、またはSであり;T104がTまたはSであり;S105がS、A、またはTであり;Y106がY、R、T、またはMであり;Y107がYまたはFであり;F108がFまたはWであり;D109がD、N、またはGであり;Y110がY、K、S、R、またはTである領域;ならびに(b)以下を含む軽鎖可変領域:(i)配列番号12のCDR1領域であって、S26がSまたはFであり;D28がD、S、A、またはYであり;H32がH、N、またはQである領域;(ii)配列番号13のCDR2領域であって、I51がI、T、V、またはAであり;S56がSまたはTである領域;および(iii)配列番号14のCDR3領域であって、S91がSまたはEであり;K92がK、H、R、またはSであり;Y96がYまたはRである領域を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。ここでは、上記抗体は、NGFに結合する。
他の場所で明確に示されていない限りは、1つの位置でのアミノ酸の選択(例えば、置換)は、任意の他の位置でのアミノ酸の選択とは無関係に選択される。
いくつかの実施形態においては、ポリヌクレオチド(例えば、抗体)は、NGF(例えば、ヒトNGF)に結合する。いくつかの実施形態においては、ポリペプチドには、本明細書中に記載されるCDR立体構造(結合体、変異体などを含む)のいずれかが含まれる。
本明細書中の記載から明らかであるように、本明細書中で使用される可変領域のナンバリングは、連続的なナンバリングである。多数の抗体のナンバリングシステム(例えば、例えば、KabatナンバリングまたはChothiaナンバリング)が存在すること、および別のナンバリングシステム、例えば、KabatナンバリングまたはChothiaナンバリングの連続的なナンバリングに変換する方法は、当業者に容易に理解される。
別の態様においては、本発明により、配列番号46または50から選択されるアミノ酸配列(例えば、CDR3配列)を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。なお他の実施形態においては、ポリペプチドにはさらに、配列番号3、4、5、6、7、および8に示されるアミノ酸配列の1つ以上が含まれる。なお他の実施形態においては、ポリペプチドにはさらに、配列番号9、10、11、12、13、14、および15に示されるアミノ酸配列の1つ以上が含まれる。
別の態様においては、本発明により、(a)配列番号28および/または29;(b)配列番号30および/または31;(c)配列番号32および/または33;(d)配列番号34および/または35;(e)配列番号36および/または37;(f)配列番号38および/または39;ならびに(g)配列番号40および/または41から選択されるアミノ酸配列(例えば、CDR H1および/またはCDR H2領域のようなCDR領域)を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。いくつかの実施形態においては、ポリペプチドには、配列番号28、30、32、34、36、38、および40から選択されるアミノ酸配列(例えば、CDR H1領域)が含まれる。いくつかの実施形態においては、ポリペプチドには、配列番号29、31、33、35、37、39、および41から選択されるアミノ酸配列(例えば、CDR H2領域)が含まれる。なお他の実施形態においては、ポリペプチドにはさらに、配列番号3、4、5、6、7、および8に示されるアミノ酸配列の1つ以上が含まれる。なお他の実施形態においては、ポリペプチドにはさらに、配列番号9、10、11、12、13、14、および15に示されるアミノ酸配列の1つ以上が含まれる。
別の態様においては、本発明により、(a)配列番号18および/または19;(b)配列番号20および/または21;ならびに(c)配列番号22および/または23から選択されるアミノ酸配列(例えば、CDR L1および/またはCDR L2領域のようなCDR領域)を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。いくつかの実施形態においては、ポリペプチドには、配列番号18、20、および22から選択されるアミノ酸配列(例えば、CDR L1領域)が含まれる。いくつかの実施形態においては、ポリペプチドには、配列番号19、21、および23から選択されるアミノ酸配列(例えば、CDR L2領域)が含まれる。なお他の実施形態においては、ポリペプチドにはさらに、配列番号3、4、5、6、7、8に示されるアミノ酸配列の1つ以上が含まれる。なお他の実施形態においては、ポリペプチドにはさらに、配列番号9、10、11、12、13、14、および15に示されるアミノ酸配列の1つ以上が含まれる。
別の態様においては、本発明により、(a)配列番号51および/または52;(b)配列番号55および/または56;(c)配列番号57および/または58;(c)配列番号59および/または60;(d)配列番号61および/または62;(e)配列番号63および/または64から選択されるアミノ酸配列(例えば、CDR L3および/またはCDR H3領域のようなCDR領域)を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。いくつかの実施形態においては、ポリペプチドには、配列番号51、55、57、59、61、および63から選択されるアミノ酸配列(例えば、CDR L3領域)が含まれる。いくつかの実施形態においては、ポリペプチドには、配列番号52、56、58、60、62、および64から選択されるアミノ酸配列(例えば、CDR H3領域)が含まれる。なお他の実施形態においては、ポリペプチドにはさらに、配列番号18、19、30、および31の1つ以上に示されるアミノ酸配列が含まれる。なお他の実施形態においては、ポリペプチドにはさらに、配列番号3、4、5、6、7、および8に示されるアミノ酸配列の1つ以上が含まれる。なお他の実施形態においては、ポリペプチドにはさらに、配列番号9、10、11、12、13、14、および15に示されるアミノ酸配列の1つ以上が含まれる。
別の態様においては、本発明により、配列番号61、63、18、19、30、および31に示されるアミノ酸配列(例えば、CDR領域)の1つ以上を含むポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。
1つの態様においては、本発明により、高い親和性でNGF(例えば、ヒトNGF)に結合する抗NGF抗体(例えば、アンタゴニスト抗体)が提供される。いくつかの実施形態においては、高い親和性とは、(a)約2nM未満のK(例えば、約1nM、800pM、600pM、400pM、200pM、100pM、90pM、80pM、70pM、60pM、50pM、またはそれ未満のいずれか)、および/または約6×10−5−1より遅いkoffでのNGFの結合;ならびに/あるいは(b)約200pM、150pM、100pM、80pM、60pM、40pM、20pM、10pM、またはそれ未満のいずれかのIC50(約15pMのNGFの存在下)でのマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存的生存性の阻害(低下および/またはブロック);および/または(c)約50pM、40pM、30pM、10pM、20pM、10pM、5pM、2pM、1pM、またはそれ未満のいずれかのIC50(約1.5pMのNGFの存在下)でのマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存的生存性の阻害(低下および/またはブロック);ならびに/あるいは(d)約150pM、125pM、100pM、80pM、60pM、40pM、30pM、20pM、10pM、5pM、またはそれ未満のいずれかのIC50(約15pMのNGFの存在下)でのマウスE13.5三叉神経ニューロンのラットNGF依存的生存性の阻害(低下および/またはブロック);および/または(e)約30pM、25pM、20pM、15pM、10pM、5pM、4pM、3pM、2pM、1pM、またはそれ未満のいずれかのIC50(約1.5pMのNGFの存在下)でのマウスE13.5三叉神経ニューロンのラットNGF依存的生存性の阻害(低下および/またはブロック);ならびに/あるいは(f)trkA受容体よりも高い親和性でのNGFの結合である。
別の態様においては、本発明により、(a)約2nM未満のK(例えば、約1nM、800pM、600pM、400pM、200pM、100pM、90pM、80pM、70pM、60pM、50pM、またはそれ未満のいずれか)、および/または約6×10−5−1より遅いkoffでNGF(例えば、ヒトNGF)に結合する;ならびに/あるいは(b)約200pM、150pM、100pM、80pM、60pM、40pM、20pM、10pM、またはそれ未満のいずれかのIC50(約15pMのNGFの存在下)でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存的生存性を阻害する;ならびに/あるいは(c)約50pM、40pM、30pM、10pM、20pM、10pM、5pM、2pM、1pM、またはそれ未満のいずれかのIC50(約1.5pMのNGFの存在下)でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存的生存性を阻害する;ならびに/あるいはtrkA受容体よりも高い親和性でNGFに結合するポリペプチド(例えば、抗体)が提供される。いくつかの実施形態においては、ポリペプチドは、(a)約2nM未満のKでNGFに結合する;および/または(b)約100pM未満のIC50でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存的生存性を阻害し、ここでは、IC50は約15pMのNGFの存在下で測定される;および/または(c)約10pM未満のIC50でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存的生存性を阻害し、ここでは、IC50は約1.5pMのNGFの存在下で測定され、ここでは、IC50は約15pMのNGFの存在下で測定される。いくつかの実施形態においては、ポリペプチドは、(a)約100pM未満のKでNGFに結合する;および/または(b)約20pM未満のIC50でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存的生存性を阻害し、ここでは、IC50は約15pMのNGFの存在下で測定される;および/または(c)約2pM未満のIC50でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存的生存性を阻害し、ここでは、IC50は約1.5pMのNGFの存在下で測定される。
本明細書中の記載から明らかであるように、マウスのモノクローナル抗体911のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列から構成されるポリペプチドの実施形態は、本発明から明確に排除される。Mab 911の伸張型CDR配列は、図1Aおよび1B、ならびに配列番号9〜14に示される。
いくつかの実施形態においては、本発明により、上記のポリペプチドまたは抗体のいずれかが提供され、ここではさらに、ポリペプチド(例えば、抗体)が単離される。いくつかの実施形態においては、ポリペプチド(例えば、抗体)は実質的に精製される。なお他の実施形態においては、ポリペプチド(例えば、抗体)は親和的に成熟させられる。他の実施形態においては、抗体はアンタゴニスト抗体である。いくつかの実施形態においては、ポリペプチド(例えば、抗体)には、ヒトのフレームワーク配列が含まれる。なお他の実施形態においては、ポリペプチド(例えば、抗体)には、1つ以上のヒト以外のフレームワーク残基が含まれる。いくつかの実施形態においては、ポリペプチド(例えば、抗体)は、2nM未満のKでNGF(例えば、ヒトNGF)に結合する。いくつかの実施形態においては、ポリペプチドには、ヒト以外のアミノ酸配列(例えば、フレームワーク配列のような、CDR配列のような、可変領域配列)と比較して1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上)のヒトのアミノ酸置換が含まれる。いくつかの実施形態においては、ポリペプチドには、もとのポリペプチドアミノ酸配列(例えば、配列番号9〜14のいずれか1つ以上のような、抗体911のアミノ酸配列)と比較して、少なくとも1つ、少なくとも2つ、またはそれ以上、例えば、少なくとも3、4、5、6、またはそれ以上のアミノ酸置換が含まれる。いくつかの実施形態においては、抗体の結合親和性は、もとの抗体(例えば、Mab 911)の親和性と比較して変化(いくつかの実施形態においては、増大)させられている。なお他の実施形態においては、抗体の結合親和性は、NGF(例えば、ヒトNGF)のtrkA受容体の結合親和性よりも低い。いくつかの実施形態においては、ポリペプチドは抗体である。いくつかの実施形態においては、抗体はヒト抗体である。他の実施形態においては、抗体はヒト化抗体である。なお他の実施形態においては、抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態においては、抗体は親和性成熟抗体である。
本発明により、上記のいずれかの実施形態をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド(単離されたポリヌクレオチドを含む)が提供される。
別の態様においては、本発明により、抗体E3の断片または領域(本明細書中では同義的に「E3」とも呼ばれる)をコードするポリヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチドが提供される。1つの実施形態においては、断片は、図1Bに示されるような抗体E3の軽鎖である。別の実施形態においては、断片は、図1Aに示されるような抗体E3の重鎖である。さらに別の実施形態においては、断片には、抗体E3の軽鎖および/または重鎖に由来する1つ以上の可変領域が含まれる。さらに別の実施形態においては、断片には、図1Aおよび1Bに示されるような抗体E3の軽鎖および/または重鎖に由来する1つ以上の相補性決定領域(CDR)が含まれる。
別の態様においては、本発明は、抗体E3をコードするポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態においては、ポリヌクレオチドには、図2および3に示されるポリヌクレオチドのいずれか、あるいはそれらの両方が含まれる。
別の態様においては、本発明は、寄託番号ATCC No.PTA−4893またはATCC No.PTA−4894を有しているE3軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドである。別の態様においては、本発明は、寄託番号ATCC No.PTA−4895を有しているE3重鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドである。さらに別の態様においては、本発明は、(a)寄託番号ATCC No.PTA−4893またはATCC No.PTA−4894を有しているポリヌクレオチド中でコードされる可変領域、および(b)寄託番号ATCC No.PTA−4895を有しているポリヌクレオチド中でコードされる可変領域を含む、単離されたポリヌクレオチドである。別の態様においては、本発明は、(a)寄託番号ATCC No.PTA−4893またはATCC No.PTA−4894を有しているポリヌクレオチド中でコードされる1つ以上のCDR、および/あるいは(b)寄託番号ATCC No.PTA−4895を有しているポリヌクレオチド中でコードされる1つ以上のCDRを含む、単離されたポリヌクレオチドである。
別の態様においては、本発明により、本明細書中に記載される抗体(抗体断片を含む)またはポリペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチドが提供される。
別の態様においては、本発明により、本明細書中に開示されるポリヌクレオチドのいずれかを含むベクター(発現ベクターおよびクローニングベクターを含む)および宿主細胞が提供される。
本明細書中の記載から明らかであるように、マウスのモノクローナル抗体911のポリヌクレオチド配列と同一のポリヌクレオチド配列から構成されるポリヌクレオチドの実施形態は、本発明から明確に排除される。Mab 911の伸張型CDR配列は、図1Aおよび1B、ならびに配列番号9〜14に示される。
別の態様においては、本発明は、E3軽鎖をコードするポリヌクレオチドとE3重鎖をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞である。ここでは、E3軽鎖をコードするポリヌクレオチド(単数または複数)は、寄託番号ATCC No.PTA−4893またはATCC No.PTA−4894を有し、E3重鎖をコードするポリヌクレオチドは、寄託番号ATCC No.PTA−4895を有する。いくつかの実施形態においては、宿主細胞には、(a)寄託番号ATCC No.PTA−4893またはATCC No.PTA−4894を有するポリヌクレオチド中でコードされる可変領域、および/または(b)寄託番号ATCC No.PTA−4895を有するポリヌクレオチド中でコードされる可変領域を含むポリヌクレオチドが含まれる。いくつかの実施形態においては、宿主細胞には、(a)寄託番号ATCC No.PTA−4893またはATCC No.PTA−4894を有するポリヌクレオチド中でコードされる1つ以上のCDR、および/または(b)寄託番号ATCC No.PTA−4895を有するポリヌクレオチド中でコードされる1つ以上のCDRをコードするポリヌクレオチドが含まれる。いくつかの実施形態においては、宿主細胞は哺乳動物細胞である。
別の態様においては、本発明は、抗体E3が結合したNGFの複合体である。別の態様においては、複合体は単離される。別の態様においては、複合体は実質的に精製される。
別の態様においては、本発明は、本明細書中に記載されている抗体またはポリペプチドのいずれかが結合したNGFの複合体である。別の態様においては、複合体は単離される。別の態様においては、複合体は実質的に精製される。
別の態様においては、本発明は、本明細書中に記載されるポリペプチド(抗体E3のような抗体を含む)またはポリヌクレオチドのいずれかを含む薬学的組成物であり、例えば、抗体E3または抗体E3の断片を含む抗体と薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物である。
別の態様においては、本発明は、抗体E3を作成する方法であり、この方法には、抗体E3をコードする発現ベクターを含む宿主細胞を調製する段階;抗体E3を生産させる条件下で宿主細胞またはその子孫を培養する段階;および抗体E3を精製する段階が含まれる。いくつかの実施形態においては、発現ベクターには、図2および3に示されるポリヌクレオチド配列の1つまたは両方が含まれる。
別の態様においては、本発明は、抗体E3を作成する方法であり、この方法には、適切な細胞中で、E3軽鎖をコードするポリヌクレオチドとE3重鎖をコードするポリヌクレオチドを発現させる段階であって、ここでは、E3軽鎖をコードするポリヌクレオチドは寄託番号ATCC No.PTA−4893および/またはATCC No.PTA−4894を有しており、E3重鎖をコードするポリヌクレオチドは寄託番号ATCC No.PTA−4895を有している段階;通常はその後に、抗体を回収および/または単離する段階が含まれる。
別の態様においては、本発明により、本明細書中に記載されるポリペプチド(例えば、抗体)のいずれかを作成する方法が提供される。この方法は、適切な細胞中で抗体をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを発現させること(これは、1つの軽鎖または重鎖として別々に発現させることができ、また、軽鎖と重鎖の両方を1つのベクターから発現させることもできる)、その後に、目的の抗体またはポリペプチドを回収および/または単離することによる。
別の態様においては、本発明は、本明細書中に開示されるポリペプチド(抗体E3のような抗体を含む)のいずれかを使用して、NGF(例えば、ヒトNGF)の生物学的活性をアンタゴナイズする方法である。1つの実施形態においては、この方法には、ヒトの神経成長因子を本明細書中に記載されるポリペプチド(抗体E3を含む)のいずれかと接触させる段階が含まれ、これにより、NGF活性(例えば、ヒトの神経成長因子の活性)がアンタゴナイズされるか、低下させられるか、ブロックされるか、または抑制される。
別の態様においては、本発明は、本明細書中に記載されるポリペプチド(抗体E3のような抗体を含む)のいずれかを使用して、NGFを検出する方法である。NGFの存在は、NGFと本明細書中に記載されるポリペプチドのいずれか(例えば、抗体E3)との間での複合体を検出することによって検出される。用語「検出」には、本明細書中で使用される場合は、対照と比較するまたは対照と比較することのない、定性的および/または定量的検出(濃度の測定)が含まれる。
別の態様においては、本発明は、抗体E3、あるいは本明細書中に記載されるポリペプチド(抗体を含む)またはポリヌクレオチドの実施形態のいずれかを含む有効量の組成物を投与することにより、痛みを処置する方法である。いくつかの実施形態においては、痛みとは、手術後の痛みである。
別の態様においては、本発明は、個体に有効量の抗NGFアンタゴニスト抗体を投与することによって個体における関節リウマチの痛みを予防または処置するための方法である。抗NGFアンタゴニスト抗体により関節リウマチに伴う痛みを阻害またはブロックできることが、本発明によって示されている。いくつかの実施形態においては、痛みは、抗NGFアンタゴニスト抗体の投与後約24時間以内に緩和される。いくつかの実施形態においては、痛みは、抗NGFアンタゴニスト抗体の投与後約4日以内に緩和される。いくつかの実施形態においては、痛みは、個体において炎症の症状の改善が観察される前に、または炎症の症状の改善の兆候がない間に改善される。
別の態様においては、本発明により、個体において、関節リウマチの痛みの兆候を減らす、関節リウマチの痛みを緩和する、関節リウマチの痛みを抑える、関節リウマチの痛みを和らげる、および/または関節リウマチの痛みの開始、発症、もしくは進行を遅らせるための方法が提供される。上記方法には、有効量の抗NGFアンタゴニスト抗体を個体に投与する段階が含まれる。
別の態様においては、本発明は、有効量の抗NGFアンタゴニスト抗体を個体に投与することにより、個体における変形性関節症の痛みを予防または処置するための方法である。
別の態様においては、本発明により、個体における関節リウマチに伴う炎症性悪液質(体重の減少)を処置するための方法が提供される。この方法には、有効量の抗NGFアンタゴニスト抗体を投与する段階が含まれる。別の態様においては、本発明により、個体において、変形性関節症の痛みの兆候を減らす、変形性関節症の痛みを緩和する、変形性関節症の痛みを抑える、変形性関節症の痛みを和らげる、および/または変形性関節症の痛みの開始、発症、もしくは進行を遅らせるための方法が提供される。上記方法には、有効量の抗NGFアンタゴニスト抗体を個体に投与する段階が含まれる。
別の態様においては、本発明により、本明細書中に記載される組成物のいずれか1つ以上を含むキットおよび組成物が提供される。これらのキットは、通常は適切なパッケージング中のものであり、適切な説明書とともに提供され、本明細書中に記載される方法のいずれかについて有用である。
本発明により、さらに、医薬品としての使用および/または医薬品の製造のための使用の状況にはかかわらず、本明細書中に記載されるいずれかの用途について記載された、組成物およびキットのいずれかも提供される。
本明細書中で開示される本発明により、高い親和性でNGF(例えば、ヒトNGF)に結合する抗NGFアンタゴニスト抗体が提供される。本発明ではさらに、NGFに結合する、E3に由来する抗体およびポリペプチド、さらには、これらの抗体を作成および使用する方法が提供される。いくつかの実施形態においては、本発明により、神経成長因子(「NGF」)に結合するヒト化抗体E3、さらには、この抗体を作成および使用する方法が提供される。本発明により、NGFに結合するE3ポリペプチド(抗体を含む)、ならびに、E3抗体および/またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも提供される。
本明細書中で開示される本発明により、さらに、治療有効量の抗NGFアンタゴニスト抗体を投与することによる、個体における関節リウマチの痛みを予防および/または処置するための方法が提供される。
本明細書中に開示される本発明により、さらに、治療有効量の抗NGFアンタゴニスト抗体を投与することによる、個体における変形性関節炎の痛みを予防および/または処置するための方法が提供される。
本発明により、さらに、抗体の親和性を調節するための方法、およびCDR領域を特徴付けるための方法が提供される。
一般的な技術
本発明の実施には、他の場所で示されない限りは、分子生物学(組み換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来技術が使用される。これらは当業者の能力の範囲内である。このような技術は、文献、例えば、Molecular Cloning:A LABORATORY MANUAL,second edition(Sambrook等,1989)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編,1984);Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis編,1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney編,1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell編,1993−1998)J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos編,1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.A.Ausubel等編,1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis等編,1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan等編,1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999);Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers、1997);Antibodies(P.Finch,1997);Antibodies:a practical approach(D.Catty編,IRL Press,1988−1989);Monoclonal antibodies:a practical approach(P.Shepherd and C.Dean編,Oxford University Press,2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999);The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra編,Harwood Academic Publishers,1995);ならびにCancer:Principles and Practice of Oncology(V.T.DeVita等編,J.B.Lippincott Company,1993)に完全に説明されている。
定義
「抗体」は、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの標的に対して、免疫グロブリン分子の可変領域に存在する少なくとも1つの抗原認識部位を通じて特異的に結合することができる、免疫グロブリン分子である。本明細書中で使用される場合は、この用語には、完全なポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体だけではなく、それらの断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv)、単鎖(ScFv)、それらの変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された立体構造も含まれる。抗体には、IgG、IgA、またはIgM(またはそれらのサブクラス)のような任意のクラスの抗体、および必ずしも任意の特定のクラスである必要はない抗体が含まれる。その重鎖の定常ドメインの抗体アミノ酸配列によって、免疫グロブリンを種々のクラスに分けることができる。IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMの5つの主要な免疫グロブリンのクラスが存在する。これらのいくつかはさらに、サブクラス(イソ型)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2に分けることができる。種々の免疫グロブリンのクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。免疫グロブリンの種々のクラスのサブユニット構造および三次元構造は周知である。
「Fv」は、完全な抗原認識部位および抗原結合部位を含む抗体断片である。2本鎖のFv種においては、この領域は、密接に非共有結合した1つの重鎖と1つの軽鎖可変ドメインの二量体から構成される。単鎖Fv種においては、1つの重鎖および1つの軽鎖可変ドメインが、可撓性ペプチドリンカーによって共有結合され、その結果、軽鎖と重鎖は2本鎖のFv種の構造と同じような二量体構造で結合することができる。この立体構造においては、それぞれの可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH−VL二量体の表面上での抗原結合特異性を定義している。しかし、なおも1つの可変ドメイン(または抗原に特異的なわずか3つのCDRを含むFvの半分)は、抗原を認識してこれに結合する能力を有しているが、通常は、完全な結合部位よりも親和性が低い。
Fab断片にはまた、軽鎖の定常ドメインと重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)が含まれる。Fab’断片は、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に、抗体のヒンジ領域に由来する1つ以上のシステインを含む数個の残基が付加されていることによって、Fab断片とは異なる。
「モノクローナル抗体」は、均質な抗体の集団をいい、ここでは、モノクローナル抗体は、抗原の選択的な結合に関与しているアミノ酸(自然界に存在しているアミノ酸および自然界には存在しないアミノ酸)から構成される。モノクローナル抗体の集団は特異性が高く、1つの抗原部位に対して向けられている。用語「モノクローナル抗体」には、完全なモノクローナル抗体と全長のモノクローナル抗体だけではなく、それらの断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv)、単鎖(ScFv)、それらの変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ならびに必要な特異性についての抗原認識部位および抗原に結合する能力を有している免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された立体構造も含まれる。これらは、抗体の供給源、またはそれらが作成される様式(例えば、ハイブリドーマ、ファージ選択、組み換え発現、トランスジェニック動物などによる)に関する限定とは意図されない。
本明細書中で使用される場合は、「ヒト抗体」は、ヒトによって生産される、および/または当該分野で公知であるかもしくは本明細書中に開示されるヒト抗体を作成するための任意の技術を使用して作成されている抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有している抗体を意味する。ヒト抗体の定義には、少なくとも1つのヒト重鎖ポリペプチド、または少なくとも1つのヒト軽鎖ポリペプチドを含む抗体が含まれる。1つのこのような例は、マウス軽鎖ポリペプチドとヒト重鎖ポリペプチドを含む抗体である。ヒト抗体は、当該分野で公知の種々の技術を使用して生産することができる。1つの実施形態においては、ヒト抗体は、ファージライブラリーから選択され、ここではファージライブラリーはヒト抗体を発現する(Vaughan等,1996、Nature Biotechnology,14:309−314;Sheets等,1998,PNAS,(USA)95:6157−6162;Hoogenboom and Winter,1991、J.Mol.Biol.,227:381;Marks等,1991、J.Mol.Biol.,222:581)。ヒト抗体はまた、トランスジェニック動物、例えば、内因性の免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活化されているマウスに、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を導入することによって作成することができる。このアプローチは、米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;および同第5,661,016号に記載されている。あるいは、ヒト抗体は、標的抗原に対して指向させられた抗体を生産するヒトBリンパ球を不死化することによって調製することができる(このようなBリンパ球は個体から回収することができ、また、生体外で免疫化することもできる)。例えば、Cole等,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985);Boerner等,1991,J.Immunol.,147(1):86−95;および米国特許第5,750,373号を参照のこと。
「キメラ抗体」は、重鎖と軽鎖のそれぞれのアミノ酸配列の1つの部位が、特定の種に由来するかまたは特定のクラスに属する抗体中の対応している配列に相同であるが、鎖の残りの断片は別のクラスに属する抗体中の対応している配列に相同である抗体をいう。通常は、これらのキメラ抗体においては、軽鎖と重鎖の両方の可変領域が哺乳動物の1つの種に由来する抗体の可変領域とよく似ており、一方、定常部分は別の種に由来する抗体中の配列と相同である。そのようなキメラ形態の1つの明確な利点は、その可変領域が、例えばヒト細胞調製物から誘導される定常領域と組み合わせて、非ヒト宿主由来の容易に入手可能なハイブリドーマまたはB細胞を使用して、現在公知の供給源から簡便に誘導され得ることである。可変領域は調製が容易であるという利点を有し、そして特異性はその供給源には影響されないが、ヒトのものである定常領域は、抗体が注射されるときに、非ヒト供給源由来の定常領域よりもヒト被験体による免疫応答を誘発しにくい。しかし、この定義はこの特定の例には限定されない。
「機能性Fc領域」は、自然界に存在している配列のFc領域の少なくとも1つのエフェクター機能を有している。例示的な「エフェクター機能」として、C1q結合;補体依存的細胞傷害性(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性の細胞媒介性細胞傷害性(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BDR)のダウンレギュレーションなどが挙げられる。このようなエフェクター機能は通常、結合ドメイン(例えば、抗体の可変ドメイン)と結合するFc領域に必要であり、このような抗体のエフェクター機能を評価するための当該分野で公知の種々のアッセイを使用して評価することができる。
「自然界に存在している配列Fc領域」には、自然界において見られるFc領域のアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列が含まれる。「変異体Fc領域」には、少なくとも1つのアミノ酸の修飾により自然界に存在している配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるが、自然界に存在している配列Fc領域の少なくとも1つのエフェクター機能をなおも保持しているアミノ酸配列が含まれる。好ましくは、変異体Fc領域は、自然界に存在している配列Fc領域またはもとのポリペプチドのFc領域と比較して、例えば、自然界に存在している配列Fc領域またはもとのポリペプチドのFc領域中での約1個から約10個のアミノ酸置換による、好ましくは、約1個から約5個のアミノ酸置換による、少なくとも1つのアミノ酸置換を有する。本明細書中に記載される変異体Fc領域は、自然界に存在している配列Fc領域および/またはもとのポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の配列同一性、最も好ましくは、それらと少なくとも約90%の配列同一性を、さらに好ましくは、それらと少なくとも約95%の配列同一性を有することが好ましい。
本明細書中で使用される場合は、「抗体依存性の細胞媒介性細胞傷害性」および「ADCC」は、Fc受容体(FcRs)を発現する非特異的な細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)が標的細胞上に結合した抗体を認識し、これに続いて標的細胞の溶解を引き起こす、細胞によって媒介される反応をいう。目的の分子のADCC活性は、生体外ADCCアッセイ、例えば、米国特許第5,500,362号または同第5,821,337号に記載されているアッセイを使用して評価することができる。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、抹消血単核細胞(PBMC)およびNK細胞が挙げられる。あるいは、またはこれに加えて、目的の分子のADCC活性は、生体内で、例えば、Clynes等,1998,PNAS(USA),95:652−656に開示されているモデルのような動物モデルにおいて評価することができる。
本明細書中で使用される場合は、「Fc受容体」および「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載する。好ましいFcRは自然界に存在している配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(γ受容体)に結合するものであり、これには、FcγRI、FcγRII、および、FcγRIIIサブクラスの受容体が含まれ、これらにはこれらの受容体の対立遺伝子変異体および異なるようにスプライシングされた形態が含まれる。FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害性受容体」)が含まれる。これらは、主にその細胞質ドメインが異なる、類似しているアミノ酸配列を有している。FcRはRavetch and Kinet,1991,Ann.Rev.Immunol.,9:457−92;Capel等,1994,Immunomethods,4:25−34;およびde Hass等,1995、J.Lab.Clin.Med.,126:330−41に概説されている。「FcR」にはまた、新生児受容体であるFcRnも含まれ、これは、母体のIgGの胎児への移動に応答する(Guyer等,1976、J.Immunol.,117:587;およびKim等,1994,J.Immunol.,24:249)。
「補体依存性細胞傷害性」および「CDC」は、補体の存在下の標的の溶解をいう。補体活性化経路は、補体システムの第1の成分(C1q)の、同種抗原と複合体を形成した分子(例えば、抗体)への結合によって開始される。補体活性化を評価するためには、例えば、Gazzano−Santoro等,I.Immunol.Methods,202:163(1996)に記載されているようなCDCアッセイを行うことができる。
本明細書中で使用される場合は、用語「E3」、「3E」、および「抗体E3」は同義的に使用され、それぞれ図1A(配列番号1)および1B(配列番号2)に示される重鎖および軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を含む抗体をいう。抗体E3のCDR部分(Chothia CDRおよびKabat CDRを含む)は、図1Aおよび1Bに模式的に示される。図2および3は、それぞれ、重鎖および軽鎖をコードするポリヌクレオチドを示し、これには、それぞれ図1Aおよび1Bに示される重鎖可変領域および軽鎖可変領域が含まれる。E3の作成および特徴付けは、実施例に記載される。種々の生物学的機能がE3に関係しており、これには、NGFに結合し、そしてNGFの生物学的活性および/またはNGFによる情報伝達によって媒介される下流の経路(単数または複数)を阻害する能力;ならびにマウスE13.5三叉神経ニューロンのNGF依存的生存性を阻害する能力が含まれるが、これらに限定されない。本明細書中で議論されるように、本発明の抗体はこれらの特徴のいずれか1つ以上を有することができる。いくつかの実施形態においては、用語「E3」は、(a)寄託番号ATCC No.PTA−4893またはATCC No.PTA−4894を有しているE3軽鎖をコードするポリヌクレオチドと、(b)寄託番号ATCC No.PTA−4895を有しているE3重鎖をコードするポリヌクレオチドによってコードされる免疫グロブリンをいう。
本明細書中で使用される場合は、抗体の「免疫特異的」結合は、抗体の抗原結合部位と抗体によって認識される特異的抗原との間で生じる抗原特異的結合相互作用をいう(すなわち、抗体はELISAまたは他の免疫アッセイにおいてはタンパク質と反応し、関係のないタンパク質とは検出できるほどには反応しない)。
抗体またはポリペプチドに「特異的に結合する」または「優先的に結合する」(本明細書中では同義的に使用される)エピトープは、当該分野で十分に理解されている用語であり、このような特異的結合または優先的結合を決定するための方法もまた当該分野で周知である。分子は、それが別の細胞または物質について行うよりも、特定の細胞または物質と、高い頻度で、より迅速に、より長い間、および/またはより高い親和性で反応または会合する場合に、「特異的結合」または「優先的結合」を示すと言われる。抗体は、それが他の物質に結合するよりも、高い親和性で、高い結合活性で、より容易に、および/またはより長い間結合する場合に、標的に「特異的に結合する」または「優先的に結合する」。例えば、1つのNFGエピトープに特異的または優先的に結合する抗体は、他のNGFエピトープまたはNGFではないエピトープに結合するよりも高い親和性で、高い結合活性で、より容易に、および/またはより長い間このエピトープに結合する抗体である。例えば、第1の標的に特異的もしくは優先的に結合する抗体(または一部もしくはエピトープ)は、第2の標的にも特異的または優先的に結合できる場合があり、またそうでない場合もあることも、この定義を読むことにより理解される。このように、「特異的結合」または「優先的結合」は、必ずしも独占的な結合である必要はない(しかし、独占的結合も含まれる)。一般的には、結合という言及は優先的な結合を意味するが、必ずしもそうである必要はない。
用語「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は本明細書中では同義的に使用され、任意の長さのアミノ酸の重合体をいう。重合体は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、これには修飾されたアミノ酸が含まれる場合もあり、そしてアミノ酸以外のものが間に入っている場合もある。この用語にはまた、自然にまたは介入によって修飾されている;例えば、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、または標識成分との結合のような任意の他の操作もしくは修飾によって修飾されている、アミノ酸の重合体も含まれる。この定義には、例えば、アミノ酸の1つ以上の類似体(例えば、自然界には存在しないアミノ酸などを含む)を含むポリペプチド、ならびに当該分野で公知の他の修飾も含まれる。本発明のポリペプチドは抗体をベースとするものであるので、ポリペプチドは単鎖として、または会合した鎖として存在することができることが理解される。
「ポリヌクレオチド」または「核酸」は本明細書中では同義的に使用され、任意の長さのヌクレオチドの重合体をいい、これにはDNAとRNAが含まれる。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチドもしくは塩基、および/またはそれらの類似体、あるいはDNAまたはRNAポリメラーゼにより重合体中に組み込むことができる任意の物質であり得る。ポリヌクレオチドには、修飾されたヌクレオチド、例えば、メチル化ヌクレオチドおよびそれらの類似体が含まれる場合がある。存在する場合には、ヌクレオチド構造の修飾は、重合体の組立の前または後に行うことができる。ヌクレオチドの配列には、ヌクレオチド以外の成分が間に存在する場合もある。ポリヌクレオチドを、例えば、標識成分との結合によって、重合後にさらに修飾することもできる。他の型の修飾としては、例えば、「キャップ付加」、類似体での1つ以上の自然界に存在しているヌクレオチドの置換、ヌクレオチド間修飾(例えば、電荷を有さない連結(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)、および電荷を有している連結(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を含むヌクレオチド間修飾、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ply−L−リジンなど)のようなペンダント部分を含むヌクレオチド間修飾、挿入剤(例えば、アクリジン、プソラレンなど)を含むヌクレオチド間、キレート化剤(例えば、金属、放射性金属、ボラン、酸化力のある金属など)を含むヌクレオチド間修飾、アルキル化剤を含むヌクレオチド間修飾、修飾された連結(例えば、αアノマー核酸など)を含むヌクレオチド間修飾)、ならびにポリヌクレオチド(単数または複数)の修飾されていない形態が含まれる。さらに、通常、糖の中に存在するヒドロキシル基のいずれかを、例えば、ホスホネート基、ホスフェート基によって置換することができ、また標準的な保護基によって保護することもでき、また別のヌクレオチドへの別の連結を作るように活性化することもでき、また固体支持体に結合させることもできる。5’および3’末端のOHはリン酸化することができるか、または1から20個の炭素原子のアミンもしくは有機キャップ基部分で置換することができる。他のヒドロキシルもまた、標準的な保護基へと誘導することができる。ポリヌクレオチドにはまた、例えば、2’−O−メチル、2’−O−アリール、2’−フルオロ、または2’−アジド−リボース、炭素環式糖類似体、α−アノマー糖、エピマー糖(例えば、アラビノース、キシロース、またはリキソース)、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体、および脱塩基ヌクレオシド類似体(例えば、メチルリボシド)を含む、当該分野で一般的に公知であるリボース糖またはデオキシリボース糖の類似体形態も含めることができる。1つ以上のホスホジエステル結合を、別の結合基で置き換えることもできる。これらの別の結合基としては、ホスフェートがP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、CO、またはCH(「ホルムアセタール」)によって置き換えられる実施形態が含まれるが、これらに限定されない。ここでは、RまたはR’は独立して、Hであるか、あるいは、状況に応じてエーテル(−O−)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、もしくはアラルジルを含む置換または未置換のアルキル(1〜20C)である。ポリヌクレオチド中の全ての結合が同じである必要はない。上記の記載は、RNAおよびDNAを含む、本明細書中で言及される全てのポリヌクレオチドに適用される。
抗体の「可変領域」は、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を、単独で、または合わせてのいずれかでいう。重鎖および軽鎖の可変領域はそれぞれ、超可変領域としても知られている3つの相補性決定領域(CDR)によって連結された4個のフレームワーク領域(FR)から構成される。それぞれの鎖のCDRはFRによって互いに接近した状態にあり、他の鎖のCDRを用いて、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRを決定するための技術は少なくとも2つ存在している:(1)種間の配列可変性に基づくアプローチ(すなわち、Kabat等,Sequences of Proteins of Immunological Interest,(5th ed,1991、National Institutes of Health,Bethesda MD));および(2)抗原抗体複合体の結晶学研究に基づくアプローチ(Chothia等(1989)Nature 342:877;Al−lazikani等(1997)J.Molec.Biol.273:927−948))。本明細書中で使用される場合は、CDRは、いずれかのアプローチによって、または両方のアプローチを組み合わせて定義されるCDRを意味する。
抗体の「定常領域」は、抗体軽鎖の定常領域または抗体重鎖の定常領域を、単独で、または合わせてのいずれかでいう。
本明細書中で使用される場合は、用語「神経成長因子」および「NGF」は、NGFの生物学的活性の少なくとも一部を保持している、神経成長因子およびその変異体をいう。本明細書中で使用される場合は、NGFには、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、またはウシを含む全ての哺乳動物種の自然界に存在している配列のNGFが含まれる。
「NGF受容体」は、NGFに結合されるかまたはNGFによって活性化されるポリペプチドをいう。NGF受容体には、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、霊長類、またはウシを含むがこれらに限定されない全ての哺乳動物種のTrkA受容体およびp75受容体が含まれる。
本明細書中で使用される場合には、「抗NGFアンタゴニスト抗体」(同義的に、「抗NGF抗体」ともいわれる)は、NGFに結合し、そしてNGFによる情報伝達によって媒介されるNGFの生物学的活性および/または下流の経路(単数または複数)を阻害する抗体をいう。抗NGFアンタゴニスト抗体には、受容体への結合および/またはNGFに対する細胞性の応答の誘発のようなNGFによる情報伝達によって媒介される下流の経路を含む、NGFの生物学的活性をブロックする、アンタゴナイズする、抑制する、または低下させる(顕著なものを含む)抗体が含まれる。本発明の目的については、用語「抗NGFアンタゴニスト抗体」には、それによりNGF自体、NGFの生物学的活性(外科手術後の痛みの任意の態様を媒介するその能力が含まれるが、これに限定されない)、または生物学的活性の結果がいくらか意味のある程度で実質的に無くなってしまう、低下させられる、または中和される、以前に同定されたもの、名称、および機能的状態、および特性の全てが含まれる。いくつかの実施形態においては、抗NGFアンタゴニスト抗体はNGFに結合し、そしてNGFの二量体化および/またはNGF受容体(例えば、p75および/またはtrkA)への結合を妨げる。他の実施形態においては、抗NGF抗体はNGFに結合し、そしてtrkA受容体の二量体化および/またはtrkAの自己リン酸化を妨げる。抗NGFアンタゴニスト抗体の例は本明細書中で提供される。
NGFの「生物学的活性」は、通常、NGF受容体に結合し、そして/またはNGF受容体による情報伝達経路を活性化する能力をいう。限定的ではないが、生物学的活性としては、以下のいずれか1つ以上が挙げられる:NGF受容体(例えば、p75および/またはtrkA)に結合する能力;trkA受容体の二量体化および/または自己リン酸化を促進する能力;NGF受容体情報伝達経路を活性化する能力;細胞の分化、増殖、生存、成長、ならびに(抹消ニューロンおよび中枢ニューロンを含むニューロンの場合には)ニューロンの形態の変化、シナプス形成、シナプスの機能、神経伝達物質、および/または神経ペプチドの放出および損傷後の再生を含む細胞生理学における他の変化を促進する能力;マウスE13.5三叉神経ニューロンの生存性を促進する能力;ならびに外科手術後の痛みを含む痛みを媒介する能力。
本明細書中で使用される場合は、「実質的に純粋」は、少なくとも50%が純粋(すなわち、混入物を含まない)、より好ましくは、少なくとも90%が純粋、より好ましくは、少なくとも95%が純粋、より好ましくは、少なくとも98%が純粋、より好ましくは、少なくとも99%が純粋である物質をいう。
「宿主細胞」には、ポリヌクレオチド挿入物を組み込むためのベクター(単数または複数)についてのレシピエントであり得るかまたはレシピエントを有している、個々の細胞または細胞培養物が含まれる。宿主細胞には、単一の宿主細胞の子孫が含まれ、このような子孫は、自然に生じる突然変異、偶発的な突然変異、または熟考された上での突然変異によって、もとの親細胞と必ずしも完全に同一ではない(形態において、またはゲノムDNAの相補性において)場合がある。宿主細胞には、本発明のポリヌクレオチド(単数または複数)によって生体内でトランスフェクトされた細胞が含まれる。
本明細書中で使用される場合は、「処置」は、有用な、または望ましい臨床結果を得るためのアプローチである。本発明の目的については、有用な、または望ましい臨床結果としては、以下の1つ以上が挙げられるがこれらに限定されない:急性の痛み、慢性の痛み、炎症性の痛み、神経障害性の痛み、外科手術後の痛み、関節リウマチの痛み、または変形性関節症の痛みを含む、痛みの任意の性状の痛みの改善または緩和。本発明の目的については、有用な、または望ましい臨床結果としては、以下の1つ以上が挙げられるがこれらに限定されない:重篤度を下げること、任意の性状の痛みを含む痛みを伴う1つ以上の症状の緩和(例えば、痛みの期間を短くする、痛感または感覚レベルの低下)。
薬剤、化合物、または薬学的組成物の「有効量」は、痛みの感覚の緩和または軽減のような臨床結果を含む、有用なまたは望ましい臨床結果を得るために十分な量である。有効量は、1回以上の投与によって投与することができる。本発明の目的については、薬剤、化合物、または薬学的組成物の有効量は、外科手術後の痛み、関節リウマチの痛み、および/または変形性関節症の痛みを含む痛みを処置する、緩和する、痛みの強さのレベルを下げる、および/または痛みを予防するために十分な量である。いくつかの実施形態においては、「有効量」により、安静時の痛みまたは無意識的に生じる痛み(運動後の痛みを含む)、あるいはそれらの両方を軽減することができ、そして有効量は、切断、切開、裂傷、もしくは損傷の前、その間、または後に、ならびに/あるいは苦痛の刺激の前、その間、または後に投与することができる。臨床状況において理解されるように、別の薬剤、化合物、または薬学的組成物との組み合わせによって、薬剤、化合物、または薬学的組成物の有効量に達するようにすることもでき、そうでなくてもよい。したがって、「有効量」を1つ以上の治療薬の投与の状況において考えることもでき、1つ以上の他の剤と組み合わせて望ましい結果となるかまたは望ましい結果が得られるようにする場合には、単一の剤を、有効量で与えるように考えることができる。
痛みの「発生を減らすこと」は、重篤度を下げる(これには、例えば鎮静剤を含む、この症状に通常使用される他の薬剤および/または治療薬の必要性および/または量(例えば、照射される量)を減らすことが含まれ得る)、期間ならびに/あるいは頻度を減らす(例えば、個体における外科手術後の痛みまでの時間を遅らせるかまたは延長することが含まれる)ことのいずれかを意味する。当業者に理解されるように、個々の個体は、処置に対するそれらの反応が異なる場合があり、そして例えば、「個体における関節リウマチの痛みまたは変形性関節症の痛みの発生を減らす方法」は、そのような投与により特定の個体においてそのような発生の減少がおそらく生じるであろうという十分な期待に基づく、抗NGFアンタゴニスト抗体の投与を反映する。
痛み(例えば、関節リウマチの痛みまたは変形性関節症の痛み)または痛みの1つ以上の症状を「緩和すること」は、抗NGFアンタゴニスト抗体を投与しない場合と比較して、痛みの1つ以上の症状を弱くすることまたは症状の改善を意味する。「緩和すること」にはまた、症状の期間を短くすることまたは減らすことも含まれる。
痛み(例えば、関節リウマチの痛みまたは変形性関節症の痛み)または痛みの1つ以上の症状を「和らげること」は、本発明の抗NGFアンタゴニスト抗体で処置した個体または個体の集団において、1つ以上の望ましくない外科手術後の痛みの臨床症状の程度を弱くすることを意味する。
本明細書中で使用される場合は、痛みの発生を「遅らせること」は、外科手術後の痛み、関節リウマチの痛み、または変形性関節症の痛みのような痛みの進行を延ばすこと、妨げること、遅くすること、遅延させること、安定させること、および/またはあとに延ばすことを意味する。この「遅らせること」は、処置される疾患および/または個体の病歴に応じて、種々の時間の長さであり得る。当業者に明らかであるように、十分であるか、または有意な「遅れ」には、実際には、個体が痛みを生じない場合には、予防も含まれ得る。症状の発症を「遅らせる」方法は、この方法を使用しない場合と比較して、一定の時間枠の中で症状を発症する可能性を下げる、および/または一定の時間枠の中での症状の程度を下げる方法である。このような比較は、通常は、統計学的に有意な数の被験体を使用する臨床試験に基づく。
「痛み」は、本明細書中で使用される場合は、急性および慢性の痛み、ならびに炎症という構成要素を伴うあらゆる痛みを含む、あらゆる病因による痛みをいう。痛みの例としては、外科手術後の痛み、手術後の痛み(歯痛を含む)、偏頭痛、頭痛、および三叉神経痛、火傷、創傷、腎臓結石に伴う痛み、外傷(外傷性頭部損傷を含む)に伴う痛み、神経障害性の痛み、関節リウマチ、変形性関節症、強直性脊椎炎、血清反応陰性(リウマチではない)関節症、非関節リウマチ、および関節周囲の障害のような筋骨格障害に伴う痛み、ならびに、ガン(「抑えきれない痛み」および末期ガンの痛みを含む)、抹消神経障害、およびヘルペス後神経痛に伴う痛みが挙げられる。(上記のいくつかに加えて)炎症という構成要素を伴う痛みの例として、リウマチの痛み、粘膜炎の痛み、および月経困難症の痛みが挙げられる。
「外科手術後の痛み」(同義的に、「切開後」または「外傷後の痛み」ともいわれる)は、個体の組織の切開、穿刺、切断、裂傷、または創傷(侵襲的であるかまたは非侵襲的であるかにはかかわらず、全ての外科手術手順によって生じるものを含む)のような、外傷によって生じるまたは外部からの外傷の結果である痛みをいう。本明細書中で使用される場合は、外科手術後の痛みには、外部からの物理的な外傷を伴わずに起こる(外部からの物理的な外傷を伴わずに生じる、または外部からの物理的な外傷が原因ではない)痛みは含まれない。いくつかの実施形態においては、外科手術後の痛みは、内部または外部(周辺を含む)の痛みであり、創傷、切開、外傷、裂傷、または切断が、偶然に(外傷性創傷のように)または意図的に(外科手術による切開)生じる場合もある。本明細書中で使用される場合は、「痛み」には痛覚および痛みの感覚が含まれ、痛みは、当該分野で周知の痛みのスコアおよび他の方法を使用して客観的および主観的に評価することができる。外科手術後の痛みには、本明細書中で使用される場合には、異痛症(すなわち、通常は毒性のない刺激に対する過剰な反応)および痛覚過敏(すなわち、通常は不快であるかまたは不愉快な刺激に対する過剰な反応)が含まれ、これらは言い換えると、熱または機械的な(触感)の性質のものである。いくつかの実施形態においては、痛みは、温度感度、無意識的な感度、および/または安静時の痛みによって特徴付けられる。いくつかの実施形態においては、外科手術後の痛みには、無意識に生じた痛みまたは安静時の痛みが含まれる。他の実施形態においては、外科手術後の痛みには、安静時の痛みが含まれる。痛みは、当該分野で周知であるように、一次痛または二次痛であり得る。
「生物学的試料」には、個体から得られる種々の型の試料が含まれ、これらは診断アッセイまたはモニタリングアッセイに使用することができる。この定義には、血液、および生物学的起源の他の液体試料、生検標本または組織培養物またはそれらに由来する細胞のような固体組織試料、ならびにそれらの子孫が含まれる。この定義にはまた、それらの調達後に、試薬での処理、可溶化、または特定の成分(例えば、タンパク質またはポリヌクレオチド)の濃縮、切片化の目的のための半固体または固体のマトリックス中への包埋のような、何らかの方法で操作された試料も含まれる。用語「生物学的試料」には臨床試料も含まれ、これにはまた、培養物中の細胞、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、生物学的液体、および組織試料が含まれる。
「個体」は脊椎動物であり、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。哺乳動物には、家畜(例えば、ウシ)、スポーツ用動物、愛玩動物(例えば、ネコ、イヌ、およびウマ)、霊長類、マウス、およびラットが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用される場合は、「ベクター」は、宿主細胞中に目的の1つ以上の遺伝子(単数または複数)または配列(単数または複数)を導入し、そして好ましくは発現させることができる構築物をいう。ベクターの例として、ウイルスベクター、裸のDNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミド、ファージミドベクター、陽イオン縮合剤に結合させられたDNAまたはRNA発現ベクター、リポソーム中にカプセル化されたDNAまたはRNA発現ベクター、および特定の真核生物細胞(例えば、生成細胞)が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用される場合は、「発現制御配列」は、核酸の転写を導く核酸配列を意味する。発現制御配列は、プロモーター(例えば、構成性プロモーターもしくは誘導性プロモーター)またはエンハンサーであり得る。発現制御配列は、転写される核酸配列に対して、作動するように連結される。
本明細書中で使用される場合は、「薬学的に許容されるキャリアー」には、有効成分と結合しても、その成分が生物学的活性を維持することができ、そして被験体の免疫系とは反応しない、任意の物質が含まれる。例として、リン酸緩衝化生理食塩水、水、エマルジョン(例えば、油/水エマルジョン)、および種々の型の湿潤剤のような、標準的な薬学的キャリアーの任意のものが挙げられるが、これらに限定されない。エアロゾルまたは非経口投与に好ましい希釈剤は、リン酸緩衝化生理食塩水または生理食塩溶液(0.9%)である。このようなキャリアーを含む組成物は、周知の従来の方法によって処方される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th edition,A.Gennaro編,Mack Publishing Co.,Easton,PA,1990;およびRemington,The Science and Practice of Pharmacy 20th ed.Mack Publishing,2000を参照のこと)。
用語「Koff」は、本明細書中で使用される場合は、抗体/抗原複合体からの抗体の解離についての解離速度定数をいうように意図される。
用語「K」は、本明細書中で使用される場合は、抗体−抗原相互作用の解離定数をいうように意図される。
抗体E3、E3に由来する抗体、組成物、およびその使用
E3組成物、E3に由来する組成物、および組成物を作成する方法
本発明には、薬学的組成物を含む組成物が含まれ、これには、E3抗体またはポリペプチド;およびE3抗体またはポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチドが含まれる。本明細書中で使用される場合は、組成物は、NGFに結合する1つ以上の抗体またはポリペプチド(これは、抗体であっても抗体でなくてもよい)、および/またはNGFに結合する1つ以上の抗体またはポリペプチドをコードする配列を含む1つ以上のポリヌクレオチドが含まれる。これらの組成物にはさらに、当該分野で周知の適切な賦形剤、例えば、緩衝液を含む薬学的に許容される賦形剤が含まれる場合がある。
本発明にはまた、単離された抗体、ポリペプチド、およびポリヌクレオチドの実施形態が含まれる。本発明にはまた、実質的に純粋な抗体、ポリペプチド、およびポリヌクレオチドの実施形態も含まれる。
本発明の抗体およびポリペプチドは、以下の特徴のいずれか(1つ以上)によって特徴付けられる:(a)NGFに結合する能力;(b)NGFの生物学的活性および/またはNGFによる情報伝達によって媒介される下流の経路(単数または複数)を低下させるおよび/または阻害する能力;(c)マウスE13.5三叉神経ニューロンのNGF依存的生存性を低下させるおよび/または阻害する能力;(d)NT3、NT4/5、および/またはBDNFに対する有意な交差反応性のいずれかの欠如;(e)痛み(外科手術後の痛みを含む)を処置および/または予防する能力;(f)NGFのクリアランスを高める能力;(g)trkA受容体の活性化を減少させるかまたは阻害する能力、これは、例えば、キナーゼ受容体活性化アッセイ(KIRA)を使用して検出される(米国特許第6,027,927号)。
もとのマウス抗NGFモノクローナル抗体911と比較して、高い親和性と遅い解離速度を伴ってヒトNGFに結合する、抗体E3の結合特性が以下にまとめられる。E3は、もとのマウス抗体911よりもおよそ50倍高い結合親和性でヒトNGFに結合する。
Figure 2006525955
E3抗体および関連抗体はまた、生体外アッセイ(実施例2および3を参照のこと)によって評価した場合には、ヒトNGFをアンタゴナイズする強い能力をも示す。例えば、抗体E3は、15pMのヒトNGFの存在下では約21pMのIC50で、そして1.5pMのヒトNGFの存在下では約1.2pMのIC50で、マウスE13三叉神経ニューロンのNGF依存的生存性をアンタゴナイズする。
したがって、別の態様においては、本発明の抗体およびポリペプチドはさらに、以下によって同定され特徴付けられる:(h)遅い解離速度(いくつかの実施形態においては、約2nM未満のK、および/または約6×10−5−1より遅いKoffを有する)でのヒトNGFへの親和性の高い結合、ならびに/あるいは(i)約15pMのNGF(いくつかの実施形態では、ヒトNGF)では約100pM以下のIC50で、および/または約1.5pMのNGFでは約20pM以下のIC50で、マウスE13.5三叉神経ニューロンのNGF依存的生存性を阻害(ブロック)する能力。
いくつかの実施形態においては、抗体はヒトNGFに結合し、別の脊椎動物種(いくつかの実施形態においては、哺乳動物)に由来するNGFには有意には結合しない。いくつかの実施形態においては、抗体は、ヒトNGFに結合し、さらに別の脊椎動物種(いくつかの実施形態においては、哺乳動物)に由来する1つ以上のNGFにも結合する。さらに他の実施形態においては、抗体はNGFに結合し、他のニュートロフィン(例えば、関連するニュートロフィン、NT3、NT4/5、および/またはBDNF)とは有意には交差反応しない。いくつかの実施形態においては、抗体はNGFに結合し、さらに少なくとも1つの他のニュートロフィンにも結合する。いくつかの実施形態においては、抗体は哺乳動物種(例えば、ウマまたはイヌ)のNGFに結合するが、別の哺乳動物種に由来するNGFには有意には結合しない。
いくつかの実施形態においては、本発明は、寄託番号ATCC No.PTA−4893またはATCC No.PTA−4894を有している宿主細胞によって生産されるポリヌクレオチドによってコードされる軽鎖を含む抗体である。別の態様においては、本発明は、寄託番号ATCC No.PTA−4895を有している宿主細胞によって生産されるポリヌクレオチドによってコードされる重鎖を含む抗体である。本発明にはまた、種々の形態のE3および同等の抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fcなど)、単鎖(ScFv)、それらの変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、および必要とされる特異性についての抗原(NGF)認識部位を含むE3の任意の他の修飾された立体構造も含まれる。E3の抗体およびポリペプチド断片(抗体であっても抗体ではなくてもよい)を含むE3の同等の抗体、ならびにE3のポリペプチド断片を含むポリペプチドは、上記の基準のいずれか(1つ以上)によって同定され、特徴付けられる。
したがって、本発明により、以下のいずれか、または以下のいずれかを含む組成物(薬学的組成物を含む)が提供される:(a)抗体E3;(b)抗体E3の断片または領域;(c)図1Bに示される抗体E3の軽鎖;(c)図1Aに示される抗体E3の重鎖;(d)抗体E3の軽鎖および/または重鎖に由来する1つ以上の可変領域(単数または複数);(e)図1Aおよび1Bに示される抗体E3の1つ以上のCDR(単数または複数)(1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDR);(f)図1Aに示される抗体E3の重鎖に由来するCDR H3;(g)図1Bに示される抗体E3の軽鎖に由来するCDR L3;(h)図1Bに示される抗体E3の軽鎖に由来する3つのCDR;(i)図1Aに示される抗体E3の重鎖に由来する3つのCDR;(j)図1Aおよび1Bに示される抗体E3の、軽鎖に由来する3つのCDRと重鎖に由来する3つのCDR;ならびに(k)(b)から(j)のいずれか1つを含む抗体。本明細書中の記載から明らかであるように、マウスモノクローナル抗体911のアミノ酸配列と同じアミノ酸配列によって構成されるポリペプチドの実施形態は、本発明から明確に排除される。Mab 911の伸張型CDR配列は図1Aおよび1Bに、ならびに配列番号9〜14に示される。
抗体E3のCDR部分(Chothia CDRとKabat CDRを含む)は、図1Aおよび1Bに図示される。これは、以下のアミノ酸配列から構成される:(a)重鎖CDR1(「CDR H1」)GFSLIGYDLN(配列番号3);(b)重鎖CDR2(「CDR H2」)IIWGDGTTDYNSAVKS(配列番号4);(c)重鎖CDR3(「CDR H3」)GGYWYATSYYFDY(配列番号5);(d)軽鎖CDR1(「CDR L1」)RASQSISNNLN(配列番号6);(e)軽鎖CD
R2(「CDR L2」)YTSRFHS(配列番号7);および(f)軽鎖CDR3(「CDR L3」)QQEHTLPYT(配列番号8)。CDR領域の決定は当業者に周知である。いくつかの実施形態においては、CDRは、Kabat CDRとChothia CDRとの結合体(「結合型CDR」または「伸張型CDR」ともいわれる)であり得ることが理解される。いくつかの実施形態においては、CDRにはKabat CDRが含まれる。他の実施形態においては、CDRにはChothia CDRが含まれる。
いくつかの実施形態においては、本発明により、E3の少なくとも1つのCDR、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つのCDRに実質的に相同である(またはいくつかの実施形態においては、E3の6つ全てのCDRに実質的に相同であるか、またはE3に由来する)少なくとも1つのCDRを含む抗体が提供される。他の実施形態においては、E3の少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRに実質的に相同であるか、またはE3に由来する、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDR(単数または複数)を有している抗体が含まれる。本発明の目的については、結合特異性および/または全体的な活性(痛みを処置および/または予防すること、あるいはE13.5マウス三叉神経ニューロンのNGF依存的生存性を阻害することに関して)は、全体として保持されているが、活性の程度はE3と比較して異なる(大きい場合もあり、小さい場合もある)ことが理解される。
本発明により、また、以下のいずれかを有しているE3(図1Aおよび1Bに示される)のアミノ酸配列を含むポリペプチド(抗体であっても、抗体ではなくてもよい)が提供される:E3の少なくとも5個の連続するアミノ酸、少なくとも8個の連続するアミノ酸、少なくとも約10個の連続するアミノ酸、少なくとも約15個の連続するアミノ酸、少なくとも約20個の連続するアミノ酸、少なくとも約25個の連続するアミノ酸、少なくとも約30個の連続するアミノ酸。ここでは、少なくとも3つのアミノ酸がE3の可変領域に由来するアミノ酸であり、マウスのモノクローナル抗体911のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列から構成される実施形態が、明確に排除されることが理解される。Mab 911の伸張型CDR配列は、図1Aおよび1B、ならびに配列番号9〜14に示される。1つの実施形態においては、可変領域はE3の軽鎖に由来する。別の実施形態においては、可変領域は、E3の重鎖に由来する。別の実施形態においては、5個(またはそれ以上)の連続するアミノ酸は、図1Aおよび1Bに示されるE3の相補性決定領域(CDR)に由来する。
別の実施形態においては、本発明により、以下のいずれかを有しているE3のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される:E3の少なくとも5個の連続するアミノ酸、少なくとも8個の連続するアミノ酸、少なくとも約10個の連続するアミノ酸、少なくとも約15個の連続するアミノ酸、少なくとも約20個の連続するアミノ酸、少なくとも約25個の連続するアミノ酸、少なくとも約30個の連続するアミノ酸。ここでは、E3配列には、CDR H1のアミノ酸残基L29、CDR H2のアミノ酸残基I50、CDR H3のW101、および/またはCDR H3のアミノ酸残基A103;ならびに/あるいは、CDR L1のアミノ酸残基S28、CDR L1のアミノ酸残基N32、CDR L2のアミノ酸残基T51、CDR L3のアミノ酸残基91E、および/またはCDR L3のアミノ酸H92のいずれか1つ以上が含まれ、マウスのモノクローナル抗体911のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列から構成される実施形態が、明確に排除されることが理解される。
明らかであるように、本開示から、連続しているアミノ酸のナンバリングの機構は、可変領域中のアミノ酸残基をいうように使用される(すなわち、それぞれの可変領域中のアミノ酸残基が連続してナンバリングされる)。Kabatおよび/またはChothiaのナンバリングシステムが、2つの抗体またはポリペプチド、例えば、E3抗体およびE3変異体(またはE3変異体であると予想されるポリペプチド)を比較する場合に有用であることは、当該分野で周知である。所望される場合に、例えば、E3ポリペプチドと別のポリペプチドとの間で比較を行うための用途に、連続的なナンバリングをどのようにしてChothiaおよび/またはKabatナンバリングへと変換するかは、当該分野で十分に理解されている。図23は、連続的なChothiaおよびKabatのナンバリングを使用してナンバリングしたE3可変領域を示す。さらに、比較を簡単にするためには、必ずしもそうではないが、通常はフレームワーク残基が、ほぼ同じ数の残基を含むことが、一般的に理解される。しかし、CDRは大きさ様々である(すなわち、1つ以上のアミノ酸残基の挿入および/または欠失を有する可能性がある)。E3抗体と候補のE3変異体を比較する場合(例えば、アラインメントされる抗体E3中のCDR領域の配列よりも長い候補の配列に由来するCDR領域の場合)には、以下の段階が行われ得る(しかし、他の方法も当該分野で公知である)。候補の抗体配列が、E3抗体の重鎖および軽鎖の可変領域と並べられる。アラインメントは、手作業で行うことも、また、一般的に受け入れられているコンピュータープログラムを使用してコンピューターによっても行うこともできる。アラインメントは、殆どのFab配列に共通であるいくつかのアミノ酸残基を使用することによって容易に行うことができる。例えば、軽鎖および重鎖のそれぞれは、通常、2つのシステインを有し、これらは多くの場合において保存された位置に見られる。候補の変異体抗体のアミノ酸配列は長い場合もあり(すなわち、アミノ酸残基が挿入されている)、また短い場合もある(アミノ酸残基が欠失している)ことが理解される。末端には、別の残基の挿入を示す残基番号、例えば、残基34abcが加えられている場合がある。例えば、残基33と35について、残基35と並べるための候補の配列については、例えば、E3配列と並べる候補の配列についうて、残基33と35に関して、残基35と並べる残基がそれらの間にない場合には、残基35にはただ単に残基が割り当てられない。別のアプローチにおいては、種々の長さのCDRを比較する場合に、構造上同等である(例えば、抗体−抗原複合体中の同じ位置)アミノ酸の間で比較を行うことができることが、一般的に周知である。例えば、Chothiaナンバリング(Al−Lazikani等,前出)では、構造上の対応している位置に挿入および欠失をおくことが一般的である(しかし、全ての場合においてそうではない)。構造上の等価は、X線結晶解析、または二重変異体のサイクル分析を使用して推定、または実証することもできる(Pon等(1999)Prot.Sci.8:958−968を参照のこと)。
NGF(例えば、hNGF)に対する抗NGF抗体の結合親和性は、約0.10から約0.80nM約0.15から約0.75nM、および約0.18から約0.72nMであり得る。いくつかの実施形態においては、結合親和性は、約2pM、約5pM、約10pM、約15pM、約20pM、約40pMであるか、または約40pMよりも高い。1つの実施形態においては、結合親和性は、約2pMから22pMの間である。他の実施形態においては、結合親和性は、約10nM未満であり、約5nM、約4nM、約3.5nM、約3nM、約2.5nM、約2nM、約1.5nM、約1nM、約900pM、約800pM、約700pM、約600pM、約500pM、約400pM、約300pM、約200pM、約150pM、約100pM、約90pM、約80pM、約70pM、約60pM、約50pM、約40pM、約30pM、約10pMである。いくつかの実施形態においては、結合親和性は、約10nMである。他の実施形態においては、結合親和性は、約10nM未満である。他の実施形態においては、結合親和性は、約0.1nMまたは約0.07nMである。他の実施形態においては、結合親和性は、約0.1nM未満であるか、または約0.07nM未満である。他の実施形態においては、結合親和性は、約10nM、約5nM、約4nM、約3.5nM、約3nM、約2.5nM、約2nM、約1.5nM、約1nM、約900pM、約800pM、約700pM、約600pM、約500pM、約400pM、約300pM、約200pM、約150pM、約100pM、約90pM、約80pM、約70pM、約60pM、約50pM、約40pM、約30pM、約10pMのいずれかから、約2pM、約5pM、約10pM、約15pM、約20pM、または約40pMのいずれかまでである。いくつかの実施形態においては、結合親和性は、約10nM、約5nM、約4nM、約3.5nM、約3nM、約2.5nM、約2nM、約1.5nM、約1nM、約900pM、約800pM、約700pM、約600pM、約500pM、約400pM、約300pM、約200pM、約150pM、約100pM、約90pM、約80pM、約70pM、約60pM、約50pM、約40pM、約30pM、約10pMのいずれかである。さらに他の実施形態においては、結合親和性は、約2pM、約5pM、約10pM、約15pM、約20pM、約40pMであるか、または約40pMよりも高い。
NGFに対する抗体の結合親和性は、当該分野で周知の方法を使用して決定することができる。NGFに対する抗体の結合親和性を決定する1つの方法は、実施例に記載されるような、抗体のモノクローナルFab断片の親和性を測定することによる。モノクローナルFab断片を得るためには、抗体(例えば、IgG)をパパインで切断するか、または組み換えによって発現させることができる。抗体の抗NGF Fab断片の親和性は、実施例に記載されるように、表面プラズモン共鳴(BIAcore3000(登録商標)表面プラズモン共鳴(SPR)システム、BIAcore,INC,Piscaway NJ)によって決定することができる。このプロトコールは、ヒトNGF、別の脊椎動物(いくつかの実施形態においては、哺乳動物)のNGF(例えば、マウスNGF、ラットNGF、霊長類NGF)を含む、あらゆる種のNGFに対する抗体の結合親和性を決定するという用途に、さらには、他のニュートロフィン(例えば、関連するニュートロフィンNT3、NT4/5、および/またはBDNF)を用いる用途に適している。
いくつかの実施形態においては、本発明の抗体またはペプチドは、約200pM、約150pM、約100pM、約80pM、約60pM、約40pM、約20pM、約10pMのいずれか、またはそれ未満のIC50(約15pMのNGFの存在下)でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存的生存性を阻害する(低下させる、および/またはブロックする)ことができる。いくつか実施形態においては、本発明の抗体またはペプチドは、約50pM、約40pM、約30pM、約10pM、約20pM、約10pM、約5pM、約2pM、約1pMのいずれか、またはそれ未満のIC50(約1.5pMのNGFの存在下)でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存的生存性を阻害する(低下させる、および/またはブロックする)ことができる。いくつか実施形態においては、本発明の抗体またはペプチドは、約150pM、約125pM、約100pM、約80pM、約60pM、約40pM、約30pM、約20pM、約10pM、約5pMのいずれか、またはそれ未満のIC50(約15pMのNGFの存在下)でマウスE13.5三叉神経ニューロンのラットNGF依存的生存性を阻害する(低下させる、および/またはブロックする)ことができる。いくつか実施形態においては、本発明の抗体またはペプチドは、約30pM、25pM、20pM、15pM、10pM、5pM、4pM、3pM、2pM、1pMのいずれか、またはそれ未満のIC50(約1.5pMのNGFの存在下)でマウスE13.5三叉神経ニューロンのラットNGF依存的生存性を阻害する(低下させる、および/またはブロックする)ことができる。マウスE13三叉神経ニューロンのNGF依存的生存性の測定のための方法は当該分野で公知であり、例えば、実施例2に記載される。
本発明により、これらの抗体またはポリペプチドのいずれかを作成する方法も提供される。本発明の抗体は、当該分野で公知の手順によって作成することができ、そのいくつかが実施例で説明される。ポリペプチドは、上記のような組み換え方法によって(すなわち、一本鎖ポリペプチドまたは融合ポリペプチド)、または化学合成によって、抗体のタンパク質分解または他の消化によって生産することもできる。抗体のポリペプチド、特に、約50アミノ酸までの短いポリペプチドは、化学合成によって作成することが便利である。化学合成の方法は当該分野で公知であり、市販されている。例えば、E3抗体は、固相方法を使用する自動ポリペプチド合成装置によって生産することができる。米国特許第5,807,715号;同第4,816,567号;および同第6,331,415号もまた参照のこと。キメラ抗体またはハイブリッド抗体もまた、合成タンパク質化学の公知の方法を使用して生体外で調製することができる。この方法には、架橋剤が含まれる。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を使用して、またはチオエーテル結合の形成によって構築することができる。この目的について適切な試薬の例として、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミデートが挙げられる。
別の方法においては、抗体を、当該分野で周知の手順を使用して組み換えによって作成することができる。1つの実施形態においては、抗体E3の可変領域および軽鎖領域(図1Aおよび1Bに示される)をコードする配列を含むポリヌクレオチドが、宿主細胞(例えば、CHO細胞)中での発現または増殖用のベクター中にクローニングされる。別の実施形態においては、図2および3に示されるポリヌクレオチド配列が、発現または増殖のために、1つ以上のベクターにクローニングされる。目的の抗体をコードする配列は、宿主細胞中でベクター中に維持され、その後、宿主細胞は将来使用するために増殖させられ、凍結される。ベクター(発現ベクターを含む)および宿主細胞については、さらに本明細書中で記載される。植物または乳汁中で抗体を組み換えによって発現させるための方法は開示されている。例えば、Peeters等(2001)Vaccine 19:2756;Lonberg,N.and D.Huszar(1995)Int.Rev.Immunol.13:65;およびPollock等(1999)J.Immunol.Methods 231:147を参照のこと。抗体の誘導体(例えば、ヒト化抗体、単鎖抗体など)を作成するための方法は当該分野で公知である。
本発明にはまた、本発明の抗体、例えば、E3の単鎖可変領域断片(「ScFv」)が含まれる。単鎖可変領域断片は、短い連結ペプチドを使用することによる、軽鎖および/または重鎖の可変領域の連結によって作成される。Bird等(1988)Science 242:423−426。連結ペプチドの例は、(GGGGS)3(配列番号15)であり、これは、1つの可変領域のカルボキシ末端と他の可変領域のアミ末端との間のおよそ3.5nmを架橋する。他の配列のリンカーが設計されており、使用されている(Bird等(1988))。リンカーは、次いで、薬剤の結合または固体支持体への結合のような、さらなる機能のために修飾することができる。単鎖変異体は、組み換えによるか、または合成によるかのいずれかで生産することができる。scFvの合成による生産については、自動合成装置を使用することができる。scFvの組み換え生産については、scFvをコードするポリヌクレオチドを含む適切なプラスミドを、適切な宿主細胞中(酵母、植物、昆虫、もしくは哺乳動物の細胞のような真核生物細胞、または大腸菌(E.coli)のような原核生物細胞)に導入することができる。目的のscFvをコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの連結のような日常的に使用される操作によって作成することができる。得られるscFVは、当該分野で公知の標準的なタンパク質精製技術を使用して単離することができる。
単鎖抗体の他の形態、例えば、ダイアボディーもまた、含まれる。ダイアボディーは二価の二重特異的抗体であり、その中のVHドメインおよびVLドメインは、1本のポリペプチド鎖上で、しかし、同じ鎖の上の2つのドメインの間で対合するには短かすぎるリンカーを使用して、発現され、これにより、これらのドメインは別の鎖の相補ドメインと対合するように向けられ、2つの抗原結合部位が作成される(例えば、Holliger,P.等(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444−6448;Poljak,R.J.等(1994)Structure 2:1121−1123を参照のこと)。
抗体は、少なくとも2つの異なる抗原についての結合特異性を有しているモノクローナル抗体である、二重特異的抗体であり得る。二重特異的抗体は、本明細書中で開示される抗体を使用して調製することができる。二重特異的抗体を作成するための方法は、当該分野で公知である(例えば、Suresh等,1986,Methods in Enzymology 121:210を参照のこと)。伝統的には、二重特異的抗体の組み換えによる生産は、2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の同時発現に基づき、2つの重鎖は異なる特異性を有している(Millstein and Cuello,1983,Nature 305,537−539)。
二重特異的抗体を作成するための1つのアプローチによれば、所望される結合特異性を有している抗体の可変ドメイン(抗体−抗原結合部位)が、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合させられる。融合は、好ましくは、ヒンジ、CH2、およびCH3領域の少なくとも一部を含む、免疫グロブリン重鎖の定常ドメインとである。融合体の少なくとも1つの中に存在する、軽鎖の結合に必要な部位を含む第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合体をコードするDNA、および所望される場合には、免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAが、別の発現ベクターに挿入され、これらは適切な宿主生物に同時にトランスフェクトされる。これにより、構築に使用される3つのポリペプチド鎖の割合が等しくない場合にも最適な収率が得られる実施形態において、3つのポリペプチド断片の相互の割合を調節することにおいて、大きな柔軟性が提供される。しかし、同じ割合の少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現により高い収率が生じるか、または割合が特に重要ではない場合には、1つの発現ベクター中に2つまたは3つ全てのポリペプチド鎖のコード配列を挿入することが可能である。
1つのアプローチにおいては、二重特異的抗体は、1つのアーム中に第1の結合特異性を有しているハイブリッド免疫グロブリン重鎖と、他のアーム中にハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖対(第2の結合特異性を提供する)とから構成される。二重特異的分子の半分にのみ免疫グロブリン軽鎖を有しているこの非対称な構造により、望ましくない免疫グロブリン鎖の組み合わせから所望される二重特異的化合物の分離が容易になる。このアプローチは、1994年3月3日に公開されたPCT公開番号WO94/04690に記載されている。
ヘテロ結合体抗体は、2つの共有結合された抗体を含み、これもまた本発明の範囲に含まれる。このような抗体は、望ましくない細胞に対して免疫系の細胞を標的化するため(米国特許第4,676,980号)、およびHIV感染の処置のため(PCT出願番号WO91/00360および同第WO92/200373;EP 03089)に使用されている。ヘテロ結合体抗体は、任意の従来の架橋方法を使用して作成することができる。適切な架橋剤および技術は当該分野で周知であり、米国特許第4,676,980号に記載されている。
抗体は、例えば、当該分野で公知であり、そして本明細書中に記載されているような、ヒト化抗体である場合もある。
抗体は、1999年11月18日に公開されたPCT公開番号WO99/58572に記載されているように修飾することができる。これらの抗体には、標的分子を指向する結合ドメインに加えて、ヒト免疫グロブリン重鎖の定常ドメイン全体またはその一部に実質的に相同であるアミノ酸配列を有しているエフェクタードメインが含まれる。これらの抗体は、標的の明らかな補体依存的溶解または細胞媒介性の崩壊を誘発することなく標的分子に結合することができる。エフェクタードメインは、FcRnおよび/またはFcγRIIbに特異的に結合することができることが好ましい。これらは、通常、2つ以上のヒト免疫グロブリン重鎖CH2ドメインに由来するキメラドメインをベースとする。この様式で修飾された抗体は、炎症および従来の抗体療法に対する他の有害な反応を回避するために、長期的な抗体療法において使用することに適している。
本発明には、抗体E3の修飾体が含まれる。これには、それらの特性に有意な影響を与えない機能的に同等の抗体、および高い活性または低い活性を有する変異体が含まれる。ポリペプチドの修飾は、当該分野で日常的に行われており、実施例でさらに説明される。修飾されたポリペプチドの例として、アミノ酸残基の置換(保存的置換を含む)、機能的活性を有意に低下させるようには変化させないアミノ酸の1つ以上の欠失または付加を含むが、あるいは化学的類似体を使用しているポリペプチドが含まれる。
ポリペプチド「変異体」は、本明細書中で使用される場合は、ポリペプチドの免疫反応性を実質的に低下させることのない1つ以上の置換、欠失、付加、および/または挿入により自然界に存在しているタンパク質とは異なるポリペプチドである。言い換えると、抗原に特異的に結合する変異体の能力は、自然界に存在しているタンパク質と比較して高くなる場合もあり、また変化しない場合もあり、さらに、自然界に存在しているタンパク質と比較して、50%未満に、好ましくは20%未満に低下する場合もある。ポリペプチド変異体は、同定されたポリペプチドに対して、少なくとも約80%、より好ましくは、少なくとも約90%、最も好ましくは、少なくとも約95%の同一性(本明細書中に記載されるように決定される)を示すことが好ましい。
抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体DNA中に適切なヌクレオチド変化を導入することによって、またはペプチド合成によって調製することができる。このような変異体は、例えば、本明細書中に記載されている配列番号1または2のアミノ酸配列中の残基からの欠失、および/またはそれらの残基への挿入、および/またはそれらの置換を含む。最終的な構築物が所望される特性を有する限りは、欠失、挿入、および置換の任意の組み合わせにより、最終的な構築物を得ることができる。アミノ酸変化によって、また、グリコシル化部位の数または位置を変化させるような、抗体の翻訳後プロセスを変化させることもできる。
突然変異誘発または修飾に好ましい位置である抗体の特定の残基または領域の同定のために有用な方法は、「アラニンスキャン突然変異誘発」と呼ばれ、Cunningham and Wells,1989,Science,244:1081−1085によって記載されている。標的残基または標的残基のグループが同定され(例えば、arg、asp、his、lys、およびgluのような電荷を有している残基)、アミノ酸の抗原との相互作用が生じるように、中性のアミノ酸または負電荷を有しているアミノ酸(最も好ましくは、アラニンまたはポリアラニン)によって置き換えられる。次いで、置換に対して機能的な感受性を示すこれらのアミノ酸位置が、置換の部位に、またはその部位について、さらに変異を導入するかまたは他の変異を導入することによって再度定義される。したがって、アミノ酸配列変異を導入するための部位は予め決定されるが、変異自体の性質は予め決定される必要はない。例えば、所定の部位での変異の能力を分析するためには、alaスキャンまたはランダム突然変異誘発が、標的コドンまたは領域で行われ、発現された抗体変異体が所望される活性についてスクリーニングされる。本明細書中に記載されるようなライブラリースキャン突然変異誘発もまた、突然変異誘発または修飾に適切である抗体中の位置を同定するために使用することができる。
アミノ酸配列の挿入には、1残基から100またはそれ以上の残基を含むポリペプチドまでの長さの範囲の、アミノ酸末端および/またはカルボキシル末端の融合、さらには、1つまたは複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端の挿入の例としては,N末端にメチオニル残基を有する抗体、またはエピトープタグに融合させられた抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入変異体としては、酵素またはポリペプチドの抗体のN末端またはC末端への融合体が挙げられ、これにより、抗体の血清半減期は長くなる。
置換変異体は、抗体分子中の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、その位置に別の残基が挿入されている。置換突然変異誘発の最大の目的部位としては、超可変領域が挙げられるが、FRの変更もまた想定される。保存的置換は、表1に「保存的置換」の見出しの下に示される。このような置換により生物学的活性の変化が生じる場合は、表1に「例示的な置換」と示されるか、またはアミノ酸のクラスに関して以下にさらに記載されるような、より実質的な変化を導入することができ、生成物がスクリーニングされる。
Figure 2006525955
抗体の生物学的特性の実質的な修飾は、(a)置換の領域中のポリペプチドの骨格構造、例えば、シート構造またはヘリックス構造、(b)標的部位での分子の電荷または疎水性、あるいは(c)側鎖の大きさを維持することについて、それらの作用が大きく異なる置換基を選択することによって行われる。自然界に存在している残基は、共通している側鎖の特性に基づいて複数のグループに分類される:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:Asn、Gln、His、Lys、Arg;
(5)鎖の方向性に影響を与える残基:Gly、Pro;ならびに
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスで交換することによって行われる。
また、抗体の適切な立体構造を維持することには関与していない全てのシステインを、通常はセリンで置き換えて、分子の酸化安定性を改善し、異所での架橋を防ぐこともできる。逆に、システイン結合(単数または複数)を抗体に付加して、特に抗体がFv断片のような抗体断片である場合に、その安定性を改善することができる。
アミノ酸の修飾には、1つ以上のアミノ酸を変化させるまたは修飾することから、可変領域のような1つの領域の全面的な設計までが含まれ得る。可変領域を変化させることにより、結合親和性および/または特異性を変化させることができる。いくつかの実施形態においては、わずか1個から5個の保存的アミノ酸の置換が、CDRドメイン内に作成される。他の実施形態においては、わずか1個から3個の保存的アミノ酸置換が、CDR3ドメイン内に作成される。さらに他の実施形態においては、CDRドメインは、CDR H3および/またはCDR L3である。
修飾体には、グリコシル化されたポリペプチドおよびグリコシル化されていないポリペプチド、さらには、他の翻訳後修飾(例えば、異なる糖でのグリコシル化、アセチル化、およびリン酸化)を有するポリペプチドもまた含まれる。抗体は、それらの定常領域において保存された部位でグリコシル化される(Jefferis and LunD,1997,Chem.Immunol.65:111−128;Wright and Morrison,1997,TibTECH 15:26−32)。免疫グロブリンのオリゴ糖側鎖は、タンパク質の機能(Boyd等,1996,Mol.Immunol.32:1311−1318;Wittwe and HowarD 1990,Biochem.29:4175−4180)、および糖タンパク質の複数の部分の間での分子間相互作用に影響を与え、これにより、立体構造に影響を与え、糖タンパク質の三次元表面を提示する(Hefferis and Lund,前出:Wyss and Wagner,1996,Current Opin.Bioteh.7:409−416)。オリゴ糖もまた、特異的な認識構造に基づいて特定の分子に対して所定の糖タンパク質を標的化するように作用する場合がある。抗体のグリコシル化が、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)に影響を与えることもまた報告されている。具体的には、β(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)のテトラサイクリンによって調節される発現、グリコシルトランスフェラーゼによって触媒される分岐のGlcNAcの形成を伴うCHO細胞は、改善されたADCC活性を有していることが報告されている(Umana等,1999,Mature Biotech.17:176−180)。
抗体のグリコシル化は、通常、N結合されるかまたはO結合のいずれかによってなされる。N結合は、アスパラギン残基の側鎖に対する炭水化物部分の結合をいう。アスパラギン−X−セリン、およびアスパラギン−X−スレオニンの3ペプチドの配列(ここでは、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖に対する炭水化物部分の酵素結合についての認識配列である。したがって、これらの3ペプチド配列のいずれかがポリペプチド中に存在することにより、グリコシル化部位が生じる可能性が生じる。O結合グリコシル化は、糖であるN−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースの1つの、ヒドロキシアミノ酸へ(最も一般的には、セリンまたはスレオニンへ)の結合をいうが、5−ヒドロキシルプロリンまたは5−ヒドロキシリジンもまた使用することができる。
抗体へのグリコシル化部位の付加は、上記の3ペプチド配列の1つ以上を含むようにアミノ酸配列を変化させることによって簡単に行うことができる(N結合グリコシル化部位について)。この変化は、もとの抗体の配列に対する1つ以上のセリンまたはスレオニン残基の付加、またはそれらでの置換によって作成することもできる(O結合グリコシル化部位について)。
抗体のグリコシル化パターンはまた、もとのヌクレオチド配列を変化させることなく変化させることもできる。グリコシル化は、抗体を発現させるために使用される宿主細胞に大きく依存する。可能性のある治療薬としての組み換え糖タンパク質、例えば、抗体の発現に使用される細胞型は、稀に天然の細胞であるので、抗体のグリコシル化パターンのバリエーションを期待することができる(例えば、Hse等,1997、J.Biol.Chem.272:9062−9070を参照のこと)。
宿主細胞の選択に加えて、抗体の組み換え生産の間にグリコシル化に影響を与える要因として、増殖の態様、培地組成、培養密度、酸素飽和度、pH、精製方法などが挙げられる。特定の宿主生物において行われるグリコシル化パターンを変化させるための種々の方法が提案されており、これには、オリゴ糖の生産に関係している特定の酵素を導入することまたは過剰発現させることが含まれる(米国特許第5,047,335号;同第5,510,261号;および同第5,278,299号)。グリコシル化、または特定の型のグリコシル化は、例えば、エンドグリコシダーゼH(Endo H)を使用して糖タンパク質から酵素によって除去することができる。さらに、組み換え宿主細胞を、特定の型の多糖をプロセシングしないように遺伝子操作することができる。これらの技術および同様の技術は、当該分野で周知である。
他の修飾方法には、酵素的手段、酸化的置換、およびキレート化を含むがこれらに限定されない、当該分野で公知のカップリング技術を使用することが含まれる。例えば、免疫アッセイのための標識の結合には、修飾を使用することができる。修飾されたE3ポリペプチドは、当該分野で確立されている手順を使用して作成することができ、当該分野で公知の標準的なアッセイを使用してスクリーニングすることができる。これらのいくつかは、以下および実施例に記載される。
他の抗体修飾体としては、1999年11月18日に公開されたPCT公開番号WO99/58572に記載されているように修飾された抗体が挙げられる。これらの抗体には、標的分子を指向する結合ドメインに加えて、ヒト免疫グロブリン重鎖の定常ドメイン全体またはその一部に実質的に相同であるアミノ酸配列を有しているエフェクタードメインが含まれる。これらの抗体は、標的の明らかな補体依存的溶解または細胞媒介性の崩壊を誘発することなく標的分子に結合することができる。いくつかの実施形態においては、エフェクタードメインは、FcRnおよび/またはFcγRIIbに特異的に結合することができる。これらは、通常は、2つ以上のヒト免疫グロブリン重鎖CH2ドメインに由来するキメラドメインに基づく。この様式で修飾された抗体は、炎症および従来の抗体療法に対する他の有害な反応を回避するための、長期的な抗体療法での使用に特に適している。
本発明にはまた、本発明の抗体(例えば、E3)またはポリペプチドに由来する1つ以上の断片または領域を含む融合タンパク質が含まれる。1つの実施形態においては、図1Bに示される可変軽鎖領域の少なくとも10個の連続するアミノ酸、および/または図1Aに示される可変重鎖領域の少なくとも10個の連続するアミノ酸を含む融合ポリペプチドが提供される。別の実施形態においては、融合ポリペプチドには、図1Aおよび1Bに示されるような、E3の軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域が含まれる。別の実施形態においては、融合ポリペプチドには、E3の1つ以上のCDR(単数または複数)が含まれる。さらに他の実施形態においては、融合ポリペプチドには、抗体E3のCDR H3および/またはCDR L3が含まれる。別の実施形態においては、融合ポリペプチドには、CDR H1のアミノ酸残基L29、CDR H2のアミノ酸残基I50、CDR H3のW101、および/またはCDR H3のアミノ酸残基A103;ならびに/あるいは、CDR L1のアミノ酸残基S28、CDR L1のアミノ酸残基N32、CDR L2のアミノ酸残基T51、CDR L3のアミノ酸残基91E、および/またはCDR L3のアミノ酸H92のいずれか1つ以上が含まれる。本発明の目的のためには、E3融合タンパク質には、1つ以上のE3抗体と、自然界に存在する分子においては結合していない別のアミノ酸配列、例えば、別の領域に由来する異種配列または相同配列とが含まれる。例示的な異種配列として、FLAGタグまたは6Hisタグのような「タグ」が挙げられるがこれらに限定されない。タグは当該分野で周知である。
E3融合ポリペプチドは、例えば、合成によるかまたは組み換えにより、当該分野で公知の方法によって作成することができる。通常は、本発明のE3融合タンパク質は、本明細書中に記載される組み換え方法を使用してそれらをコードするポリヌクレオチドを調製し、発現させることによって作成されるが、これらはまた、例えば、化学合成を含む、当該分野で公知の他の手段によって調製することもできる。
本発明により、また、固体支持体(例えば、ビオチンまたはアビジン)への結合体化を促進する試薬に結合させられた(例えば、連結させられた)E3抗体またはポリペプチドを含む組成物も提供される。簡単にするために、これらの方法が、本明細書中に記載されるNGFの結合の実施形態の全てに対して適応されることを理解して、E3または抗体に関しての一般的な言及を行う。結合は、一般的には、本明細書中に記載されるこれらの成分を連結することをいう。連結(通常は、少なくとも投与のために、隣接して会合させてこれらの成分を固定させること)は、任意の多数の方法で行うことができる。例えば、それぞれが互いに反応することができる置換基を有している場合には、試薬と抗体との間での直接の反応が可能である。例えば、一方の上のアミノ基またはスルフヒドリル基のような求核基は、他方の上のカルボニルを含む基(例えば、無水物または酸ハロゲン化物)と、または良好な脱離基を含むアルキル基と反応することができる。
本発明の抗体またはポリペプチドは、蛍光分子、放射性分子、または当該分野で公知の任意の他の標識のような標識試薬に連結することができる。標識は当該分野で公知であり、これらは通常、(直接または関節的のいずれかで)シグナルを提供する。したがって本発明には、標識された抗体およびポリペプチドが含まれる。
本発明の抗体およびポリペプチドの能力、例えば、NGFに結合する能力;NGFの生物学的活性を低下させるかまたは阻害する能力;NGFによって誘導されるE13.5マウス三叉神経ニューロンの生存性を低下させる、および/またはブロックする能力は、当該分野で公知の方法を使用して試験することができ、それらのいくつかが実施例に記載される。
本発明により、また、抗体E3を含む組成物(薬学的組成物を含む)およびキットが提供され、そして本開示により、本明細書中に記載される抗体および/またはポリペプチドのいずれかまたは全てが明らかになる。
ポリヌクレオチド、ベクター、および宿主細胞
本発明により、また、本発明の抗体およびポリペプチド(図1Aおよび1Bに示される軽鎖可変領域および重鎖可変領域のポリペプチド配列を含む抗体を含む)をコードする単離されたポリヌクレオチド、ならびにこれらのポリヌクレオチドを含むベクターおよび宿主細胞も提供される。
したがって、本発明により、以下のいずれかをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド(または薬学的組成物を含む組成物)が提供される:(a)抗体E3;(b)抗体E3の断片または領域;(c)図1Bに示される抗体E3の軽鎖;(d)図1Aに示される抗体E3の重鎖;(e)抗体E3の軽鎖および/または重鎖に由来する1つ以上の可変領域(単数または複数);(f)図1Aおよび1Bに示される抗体E3の1つ以上のCDR(単数または複数)(1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDR);(g)図1Aに示される抗体E3の重鎖に由来するCDR H3;(h)図1Bに示される抗体E3の軽鎖に由来するCDR L3;(i)図1Bに示される抗体E3の軽鎖に由来する3つのCDR;(j)図1Aに示される抗体E3の重鎖に由来する3つのCDR;(k)図1Aおよび1Bに示される抗体E3の、軽鎖に由来する3つのCDRと重鎖に由来する3つのCDR;ならびに(l)(b)から(k)のいずれかを含む抗体。いくつかの実施形態においては、ポリヌクレオチドには、図2および3に示されるポリヌクレオチド(単数または複数)のいずれかまたは両方が含まれる。
別の態様においては、本発明は、寄託番号ATCC No.PTA−4893またはATCC No.PTA−4894を有しているE3軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドである。別の態様においては、本発明は、寄託番号ATCC No.PTA−4895を有するE3重鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドである。さらに別の態様においては、本発明は、(a)寄託番号ATCC No.PTA−4894を有するポリヌクレオチド中でコードされる可変領域、および(b)寄託番号ATCC No.PTA−4895を有するポリヌクレオチド中でコードされる可変領域を含む、単離されたポリヌクレオチドである。別の態様においては、本発明は、(a)寄託番号ATCC No.PTA−4894を有するポリヌクレオチド中でコードされる1つ以上のCDR、および/または(b)寄託番号ATCC No.PTA−4895を有するポリヌクレオチド中でコードされる1つ以上のCDRを含む、単離されたポリヌクレオチドである。
別の態様においては、本発明により、本明細書中に記載される抗体(抗体断片を含む)およびポリペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチドが提供される。ポリヌクレオチドは、当該分野で公知の手順によって作成することができる。
別の態様においては、本発明により、本発明のポリヌクレオチドのいずれかを含む組成物(例えば、薬学的組成物)が提供される。いくつかの実施形態においては、組成物には、本明細書中に記載されるE3抗体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターが含まれる。他の実施形態においては、組成物には、本明細書中に記載される抗体またはポリペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターが含まれる。さらに他の実施形態においては、組成物には、図2および3に示されるポリヌクレオチドのいずれかまたは両方が含まれる。発現ベクター、およびポリヌクレオチド組成物の投与は、本明細書中でさらに記載される。
別の態様においては、本発明により、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドのいずれかを作成する方法が提供される。
任意のこのような配列に相補的なポリヌクレオチドもまた、本発明に含まれる。ポリヌクレオチドは一本鎖(コード鎖またはアンチセンス鎖)である場合も、また二本鎖である場合もあり、DNA分子(ゲノム、cDNA、または合成のもの)である場合も、RNA分子である場合もある。RNA分子には、HnRNA分子(これは、イントロンを含み、一対一の様式でDNA分子に対応する)、およびmRNA分子(これは、イントロンを含まない)が含まれる。別のコード配列または非コード配列も、本発明のポリヌクレオチド中に存在する場合があるが、必ずしもそうである必要はなく、ポリヌクレオチドを他の分子および/または支持物質に連結させることもできるが、必ずしもそうである必要はない。
ポリヌクレオチドは、自然界に存在している配列(すなわち、抗体またはその一部をコードする内因性の配列)を含む場合があり、また、そのような配列の変異体を含む場合もある。ポリヌクレオチド変異体には、自然界に存在している免疫反応性分子と比較して、コードされるポリペプチドの免疫反応性が小さくならないような、1つ以上の置換、付加、欠失、および/または挿入が含まれる。コードされるポリペプチドの免疫反応性に対する影響は、通常、本明細書中に記載されるように評価することができる。変異体は、自然界に存在している抗体またはその一部をコードするポリヌクレオチド配列に対して、少なくとも約70%、より好ましくは、少なくとも約80%、最も好ましくは、少なくとも約90%の同一性を示すことが好ましい。
2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、2つの配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が、以下に記載されるように最大の一致となるように並べられた場合に、同じである場合に、「同一」であると言われる。2つの配列の間での比較は、通常、局所的な領域の配列の類似性を同定および比較するための比較ウィンドウ全体について配列を比較することによって行われる。「比較ウィンドウ」は、本明細書中で使用される場合は、少なくとも約20個の連続する位置、通常は、30個から約75個、40個から約50個の連続する位置の断片をいい、2つの配列が最適にアラインメントされた後に、その中の配列が、連続する位置の同じ番号の対照配列に対して比較され得る。
比較のための配列の最適なアラインメントは、Lasergene suite of bioinformatics software(DNASTAR,Inc.,Madison,WI)のMegalignプログラムを使用して、デフォルトパラメーターを用いて行うことができる。このプログラムには、以下の参考文献に記載されているいくつかのアラインメント方法が統合されている:Dayhoff,M.O.(1978)A model of evolutionary change in proteins−Matrices for detecting distant relatonships. Dayhoff,M.O.(編)Atlas of Protein Sequence and Structure,National Biomedical Research Foundation,Washington DC,第5巻,Suppl.pp.3,345−358;Hein J.,1990,Unified Approach to Alignment and Phylogenes pp.626−645 Methods in Enzymology 第183巻,Academic Press,Inc.,San Diego,CA;Higgins,D.G.and Sharp,P.M.,1989,CABIOS 5:151−153;Myers,E.W.and Muller W.,1988,CABIOS 4:11−17;Robinson,E.D.1971,Comb.Theor.11:105;Santou,N.,Nes,M.,1987,Mol.Biol.Evol.4:406−425;Sneath,P.H.A.and Sokal,R.R.,1973,Numerical Taxonomy the Principles and Practice of Numerical Taxonomy,Freeman Press,San Francisco,CA;Wilbur,W.J.and Lipman,D.J.,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,80:726−730。
好ましくは、「配列同一性の割合」は、少なくとも20個の位置の比較ウィンドウ全体にわたって最適に並べられた2つの配列を比較することによって決定される。ここでは、比較ウィンドウ中のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の部分には、2つの配列の最適なアラインメントについて対照配列(付加または欠失を含まない)と比較して、20%またはそれ未満の、通常は、5から15%、または10から12%の、付加または欠失(すなわち、ギャップ)が含まれ得る。割合(%)は、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列中に存在している位置の数を決定して適合した位置の数を得、適合した位置の数を対照配列中の位置の総数(すなわち、ウィンドウの大きさ)で割り算し、そして結果に100を掛けて配列同一性の割合(%)
を得ることによって計算される。
変異体もまた、または別の方法で、自然界に存在している遺伝子、またはその一部もしくは相補物に対して実質的に相同である場合がある。このようなポリヌクレオチド変異体は、自然界に存在している抗体をコードする自然界に存在しているDNA配列(または相補性配列)に対して、中程度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる。
適切な「中程度にストリンジェントな条件」には、5×SSC、0.5%のSDS、1.0mMのEDTA(pH8.0)の溶液中での前洗浄;50℃〜65℃、5×SSCで一晩のハイブリダイゼーション;その後の、0.1%のSDSを含む2×SSC、0.5×SSC、および0.2×SSCのそれぞれでの、65℃で20分間の洗浄が含まれる。
本明細書中で使用される場合は、「ストリンジェントの高い条件」または「高ストリンジェンシーの条件」は以下である:(1)洗浄に低イオン強度および高温、例えば、0.015Mの塩酸ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウム、50℃を使用する;(2)ハイブリダイゼーションの間に変性剤、例えばホルムアミド(例えば、0.1%のウシ血清アルブミン/0.1%のFicoll/0.1%のポリビニルピロリドン/750mMの塩化ナトリウム、75mMのクエン酸ナトリウムを含む50mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5))を含む50%(v/v)のホルムアミド)、を42℃で使用する;あるいは(3)50%のホルムアミド、5×SSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、超音波処理したサケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%のSDS、および10%のデキストラン硫酸を42℃で使用し、0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)および50%のホルムアミド(55℃)中で42℃で洗浄し、その後、EDTAを含む0.1×SSCにより構成される高ストリンジェンシーの洗浄を55℃で行う。当業者は、プローブの長さなどの要因に対応させることが必要である場合には、温度、イオン強度などを調節する方法を認識している。
遺伝子コードの縮重の結果として、本明細書中に記載されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が複数存在することは、当業者に明らかである。これらのポリヌクレオチドのいくつかは、任意の自然界に存在している遺伝子のヌクレオチド配列に対して最小の相同性を示す。それにもかかわらず、コドン使用の差によって異なるポリヌクレオチドが、本発明によって特に意図される。さらに、本明細書中で提供されるポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子は、本発明の範囲内である。対立遺伝子は、ヌクレオチドの1つ以上の変異、例えば、欠失、付加、および/または置換の結果として変化している内因性遺伝しである。得られるmRNAおよびタンパク質は、別の構造または機能を有している場合もあるが、必ずしもそうである必要はない。対立遺伝子は、標準的な技術(例えば、ハイブリダイゼーション、増幅、および/またはデータベース配列比較)を使用して同定することができる。
本発明のポリヌクレオチドは、化学合成、組み換え方法、またはPCRを使用して得ることができる。化学的なポリヌクレオチドの合成方法は当該分野で周知であり、本明細書中に詳細に記載される必要はない。当業者であれば、所望されるDNA配列を生じるように、本明細書中で提供される配列と市販のDNA合成装置を使用することができる。
組み換え方法を使用してポリヌクレオチドを調製するためには、さらに本明細書中で議論されるように、所望される配列を含むポリヌクレオチドを適切なベクター中に挿入し、その後、複製および増幅のために、ベクターを適切な宿主細胞中に導入することができる。ポリヌクレオチドを、当該分野で公知の任意の手段によって宿主細胞中に挿入することもできる。細胞は、直接的な取り込み、エンドサイトーシス、トランスフェクション、F接合、またはエレクトロポレーションによって、外因性のポリヌクレオチドを導入することにより、形質転換される。一旦導入されると、外因性のポリヌクレオチドは、組み込まれていないベクターとして細胞中で維持され得る(例えば、プラスミド)か、または宿主細胞のゲノムに組み込まれ得る。このように増幅されたポリヌクレオチドは、当該分野で周知の方法によって宿主細胞から単離することができる(例えば、Sambrook等(1989)を参照のこと)。
あるいは、PCRによってDNA配列を再生することができる。PCR技術は当該分野で周知であり、米国特許第4,683,195号、同第4,800,159号、同第4,754,065号、および同第4,683,202号、ならびに、PCR:The Polymerase Chain Reaction,Mullis等編,Birkauswer Press,Boston(1994)に記載されている。
RNAは、適切なベクター中の単離されたDNAを使用し、適切な宿主細胞中に挿入することによって得ることができる。細胞が複製し、DNAがRNAへと転写されると、RNAを、例えば、Sambrook等(1989)に示されているように当業者に周知である方法を使用して単離することができる。
適切なクローニングベクターは、標準的な技術に従って構築することができ、また、当該分野で利用することができる多数のクローンニングベクターから選択することもできる。選択されるクローニングベクターは、使用が意図される宿主細胞に応じて変化するが、有用なクローニングベクターは、通常、自己複製する能力を有しており、特定の制限エンドヌクレアーゼについての標的を1つ有し、そして/またはベクターを含むクローンの選択に使用することができるマーカー遺伝子を有している。適切な例としては、プラスミドおよび細菌のウイルス(例えば、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)およびその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにpSA3およびpAT28のようなシャトルベクターが挙げられる。これらおよび多くの他のクローニングベクターは、BioRad、Stratagene、およびInvtrogenのような商業的な販売業者によって市販されている。
発現ベクターは通常、本発明のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド構築物を複製することができる。発現ベクターは、エピソームとして、または染色体DNAに組み込まれた部分としてのいずれかで、宿主細胞中で複製できなければならないことが意味される。適切な発現ベクターとしては、プラスミド、ウイルスベクター(アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスを含む)、コスミド、およびPCT公開番号WO87/04462に開示されている発現ベクター(単数または複数)が挙げられるが、これらに限定されない。ベクター成分には、通常、以下の1つ以上が含まれるが、これらに限定されない:シグナル配列;複製起点;1つ以上のマーカー遺伝子;適切な転写制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、およびターミネーター)。発現(すなわち、翻訳)のためには、通常は1つ以上の翻訳制御エレメント(例えば、リボソーム結合部位、翻訳開始部位、および終結コドン)もまた、必要とされる。
目的のポリヌクレオチドを含むベクターは、多数の適切な手段のいずれかにより宿主細胞中に導入することができる。これには、エレクトロポレーション、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸化リスイム、DEAEデキストラン、または他の物質を使用するトランスフェクション;マイクロプロジェクタイルボンバードメント;リポフェクション、および感染(例えば、ベクターがワクチンウイルスのような感染原である場合)が含まれる。ベクターまたはポリヌクレオチドを導入する方法の選択は、多くの場合には、宿主細胞の性質に依存する。
本発明により、また、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドのいずれかを含む宿主細胞が提供される。異種DNAを過剰発現することができるあらゆる宿主細胞を、目的の抗体、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする遺伝子を単離する目的のために使用することができる。哺乳動物宿主細胞の限定的ではない例としては、COS、HeLa、およびCHO細胞が挙げられるが、これらに限定されない。PCT公開番号WO87/04462もまた参照のこと。適切な哺乳動物以外の宿主細胞として、原核生物(例えば、大腸菌(E.coli)または枯草菌(B.subtillis))、および酵母(例えば、サッカロマイセス・セレビッシェ(S.cerevisiae)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(S.pombe);またはクルイベロマイセス・ラクティス(K.lactis))が挙げられる。好ましくは、宿主細胞は、それが宿主細胞中に存在する場合には、目的の対応する内因性の抗体またはタンパク質のものよりも約5倍、より好ましくは10倍、さらにより好ましくは20倍高いレベルでcDNAを発現する。NGFへの特異的結合についての宿主細胞のスクリーニングは、免疫アッセイまたはFACSによって行うことができる。目的の抗体またはタンパク質を過剰発現する細胞を同定することができる。
E3およびE3に由来する抗体を使用する方法
NGFに結合する抗体E3を使用して、NGFを同定、またはそれが存在するかどうかを検出することができる。簡単にするために、これらの方法が、本明細書中に記載されるNGFの結合の実施形態(例えば、ポリペプチド)の全てに対して適応されることを理解して、E3または抗体に関しての一般的な言及を行う。検出には、一般的には、生物学的試料を、NGFに結合する本明細書中に記載される抗体と接触させること、およびNGFとNGFに特異的に結合する抗体(例えば、E3)との間での複合体の形成が含まれる。このような複合体の形成は、生体外または生体内で行うことができる。用語「検出」は、本明細書中で使用される場合には、対照と比較するまたは対照と比較することのない、定性的および/または定量的検出(レベルの測定)が含まれる。
任意の種々の公知の方法を検出のために使用することができ、これには、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫法(RIA)などによる、ポリペプチドに結合する抗体を用いる免疫アッセイ;ならびに、コードされるポリペプチドについての機能的アッセイ、例えば、結合活性または酵素活性が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態においては、抗体は検出できるように標識される。
E3および誘導体の診断的使用
本発明の抗体およびポリペプチドは、NGFの発現が変化しているか、または異常なNGF発現(いくつかの実施形態においては、正常な試料と比較してNGFの発現が増大しているかまたは減少していること)、および/または不適切な発現(例えば、通常はNGFが発現されない組織(単数または複数)および/または細胞(単数または複数)中で発現があること、あるいは、通常はNGFの発現がある組織(単数または複数)または細胞(単数または複数)でのNGF発現がないこと)に関係している疾患、症状、または障害を検出、診断、およびモニターすることにおいて使用することができる。本発明の抗体およびポリペプチドはさらに、例えば、NGFに対する感度もしくは反応性が変化しているか、または異常な感度もしくは反応性に関係している疾患におけるNGFの発現の検出に有用である。いくつかの実施形態においては、NGFの発現は、NGFの発現に対する感度もしくは反応性が変化しているか、またはNGFの発現に対する異常な感度または反応性を特徴とするか、あるいはそれらに関係している疾患、障害(例えば、NGFが増殖およびまたは転位を促進するガン)を有していると疑われる個体に由来する試料中で検出される。
したがって、いくつかの実施形態においては、本発明により、NGFの発現が変化しているかまたは異常なNGFの発現が疑われる個体の標本(試料)を、本発明の抗体またはポリペプチドと接触させる段階、およびNGFのレベルが対照または比較標本のレベルと異なるかどうかを決定する段階を含む方法が提供される。いくつかの実施形態においては、個体は、不整脈、アルツハイマー病、および/または自律神経機能障害を有する。
他の実施形態においては、本発明により、個体の標本(試料)を接触させる段階と、NGF発現のレベルを決定する段階を含む方法が提供される。いくつかの実施形態においては、個体は、NGF発現に対する感度もしくは反応性が変化しているか、またはNGF発現に対する異常な感度もしくは反応性を特徴とするか、それらに関係している疾患、障害を有すると疑われる。いくつかの実施形態においては、個体は小細胞性肺ガン、乳ガン、膵臓ガン、前立腺ガン、卵巣ガン、肝細胞ガン、または黒色腫を有する。
診断適用については、抗体は通常、放射性同位元素、蛍光標識、および種々の酵素−基質標識を含むがこれらに限定されない検出可能な部分で標識される。標識を抗体に結合させる方法は当該分野で公知である。本発明の他の実施形態においては、本発明の抗体は標識される必要はなく、その存在を、本発明の抗体に結合する標識された抗体を使用して検出することができる。
本発明の抗体は、競合結合アッセイ、直接または間接的なサンドイッチアッセイ、および免疫沈降アッセイのような任意の公知のアッセイ方法において使用することができる。Zola,Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques,pp.147−158(CRC Press,Inc.1987)。
抗体はまた、生体内画像化のような生体内での診断アッセイに使用することもできる。通常、抗体は、放射性核種(例えば、111In、99Tc、14C、131I、125I、またはH)で標識され、これにより目的の細胞または組織を免疫シンチオグラフィー(immunoscintiography)を使用して局在化させることができる。
抗体はまた、当該分野で周知の技術にしたがって、病理学において染色試薬として使用することもできる。
治療目的のためにE3および誘導体を使用する方法
抗体E3は、NGFの生物学的活性を低下させるおよび/またはブロックするために有効である。このアンタゴニスト活性は、痛みのような内因性のNGFの生産に関係している臨床症状の処置に有用であると考えられている。一般的には、これらの実施形態においては、有効量が個体に投与される。したがって、1つの態様においては、本発明により、本明細書中に開示されるポリペプチド(抗体E3のような抗体を含む)のいずれかを使用して、ヒトNGFの生物学的活性をアンタゴナイズする方法が提供される。1つの実施形態においては、この方法には、ヒト成長因子を本明細書中に記載されるポリペプチド(抗体E3を含む)のいずれかと接触させ、それによってヒト成長因子の活性をアンタゴナイズする、低下させる、ブロックする、または抑制する段階が含まれる。さらに別の実施形態においては、痛み(例えば、外科手術後の痛み、または関節リウマチの痛み)を有している個体にE3での処置が施される。
簡単にするために、これらの方法が、本明細書中に記載されるE3変異体抗体およびポリペプチドの全てに対して適応されることを理解して、E3または抗体に関しての一般的な言及を行う。
種々の形態のE3またはE3の断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fcなど)、単鎖(ScFv)、それらの変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、および必要とされる特異性についての抗原(NGF)認識部位を含むE3の任意の他の修飾された立体構造を、投与のために使用することができる。いくつかの実施形態においては、E3抗体またはそのE3の種々の処方物を、手際よく投与することができる。他の実施形態においては、E3またはそのE3の種々の処方物(本明細書中に記載される全ての組成物の実施形態を含む)と、薬学的に許容される賦形剤が投与され、これらは種々の処方物であり得る。薬学的に許容される賦形剤は当該分野で公知であり、これらは、薬理学的に有効である物質の投与を容易にする比較的不活性な物質である。例えば、賦形剤は、所定の形態であるかまたは一定の濃度であり得るか、あるいは希釈剤としての役割を果たすこともできる。適切な賦形剤としては、安定剤、湿潤剤および乳化剤、浸透圧を変化させるための塩、カプセル化剤、緩衝液、および皮膚浸透促進剤が挙げられるが、これらに限定されない。非経口および経口による薬物送達のための賦形剤および処方物は、Remington,The Science and Practice of Pharmacy 20th Mack Publishing編(2000)に示されている。
いくつかの実施形態においては、これらの試薬は、注射(例えば、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内など)による投与のために処方されるが、他の投与形態(例えば、経口、粘膜、吸入による、舌下など)もまた使用することができる。したがって、E3抗体およびその等価物は、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液などのような薬学的に許容されるビヒクルと混合されることが好ましい。特定の投与レジュメ、すなわち、用量、タイミング、および反復は、特定の固体、および個体の医学的な病歴に応じて変化する。一般的には、以下の用量のいずれかを使用することができる:少なくとも約50mg/kg体重;少なくとも約10mg/kg体重;少なくとも約3mg/kg体重;少なくとも約1mg/kg体重;少なくとも750μg/kg体重;少なくとも約500μg/kg体重;少なくとも約250μg/kg体重;少なくとも約100μg/kg体重;少なくとも約50μg/kg体重;少なくとも約10μg/kg体重;少なくとも約1μg/kg体重;またはそれ未満が投与される。数日間またはそれより長期間にわたる反復投与には、症状に応じて、所望される疾患の症状の抑制が生じるまで処置が維持される。例示的な投与レジュメには、約2mg/kgの初回用量の投与、その後の約1mg/kgの抗NGF抗体の毎週の維持量の投与、または隔週の約1mg/kgの維持量の投与が含まれる。しかし、医師が望む薬物動態的な崩壊のパターンに応じて、他の投与レジュメが有用である場合もある。半減期のような経験的な考慮が、通常、投与量の決定の一因となる。この治療の進行は、従来技術およびアッセイによって容易にモニターされる。
いくつかの個体においては、1回以上の用量が必要とされる場合もある。投与頻度は、治療経過のはじめから終わりまでにわたって決定することができ、調節することができる。例えば、投与頻度は、処置される痛みの型および重篤度、試薬が予防目的または治療目的で投与されるかどうか、以前の治療、患者の病歴、および試薬に対する反応、ならびに主治医の判断に基づいて決定、または調節することができる。通常は、所望される結果が得られる投与量に達するまで、医師が抗NGFアンタゴニスト抗体(例えば、E3)を投与する。いくつかの場合においては、E3抗体の連続的な徐放処方物が適切である場合もある。徐放を行うための種々の処方物およびデバイスは当該分野で公知である。
1つの実施形態においては、E3抗体(またはポリペプチド)の投与量は、1回以上の投与(単数または複数)が与えられた個体において経験的に決定することができる。個体には、E3の増分量が与えられる。E3または他の同等の抗体の効力を評価するためには、疾患の症状(例えば、痛み)のマーカーをモニターすることができる。
本発明の方法による抗体(例えば、E3)またはポリペプチドの投与は、例えば、レシピエントの生理学的状態、投与目的が治療的であるかまたは予防的であるか、および熟練した医師に公知である他の要因に応じて、連続的でも断続的でもあり得る。抗体の投与は、本質的には、あらかじめ選択された期間にわたって連続的であり得るが、間隔のあいた用量(例えば、痛みが発生する前、間、もしくは後のいずれか)で順次行われる場合もある。投与は、創傷、切開、外傷、外科手術、および外科手術後の痛みをおそらく生じるであろう任意の他の事象の前、間、および/または後に行うことができる。
他の処方物として、当該分野で公知の適切な送達形態が挙げられ、これには、リポソームのようなキャリアーが含まれるが、これに限定されない。例えば、Mahato等(1997)Pharm.Res.14:853−859を参照のこと。リポソーム調製物として、サイトフェクチン、多重膜小胞、および単層膜小胞が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態においては、1つ以上の抗体またはポリペプチドが存在する場合もある。抗体はモノクローナル抗体でもポリクローナル抗体でもあり得る。このような組成物には、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つの異なる抗体が含まれる場合がある。抗体の混合物は、それらは当該分野において頻繁に記載されているので、広い範囲の個体の集団を処置することにおいて特に有用であり得る。
本発明の抗体またはポリペプチド(例えば、抗体E3)のいずれかをコードするポリヌクレオチドはまた、所望される細胞中に本発明の抗体またはポリペプチド(例えば、抗体E3)のいずれかを送達するため、またはその中で発現させるために使用することもできる。発現ベクターを、E3抗体またはポリペプチドを直接発現させるために使用できることは、明らかである。発現ベクターは、当該分野で公知の任意の手段によって、例えば、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、髄腔内、心室内、経口、腸、非経口、鼻内、皮膚、舌下、または吸入によって投与することができる。例えば、発現ベクターの投与には、局所投与または全身投与が含まれ、これには、注射、経口投与、パーティクルガン、またはカテーテルによる投与、および局部投与が含まれる。当業者は、生体内で外因性タンパク質の発現を得るための発現ベクターの投与について十分に認識している。例えば、米国特許第6,436,908号;同第6,413,942号;および同第6,376,471号を参照のこと。
本発明の抗体またはポリペプチド(例えば、抗体E3)のいずれかをコードするポリヌクレオチドを含む治療用組成物の標的化された送達もまた、使用することができる。受容体媒介性のDNA送達技術は、例えば、Findeis等,Trends Biotechnol.(1993)11:202;Chiou等,Gene Therapeutics:Methods And Applications Of Direct Gene Transfer(J.A.Wolff編)(1994);Wu等,J.Biol.Chem.(1988)263:621;Wu等,J.Biol.Chem.(1994)269:542;Zenke等,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1990)87:3655;Wu等,J.Biol.Chem.(1991)266:338に記載されている。ポリヌクレオチドを含む治療用組成物は、遺伝子治療プロトコールにおける局所投与については、約100ngから約200mgの範囲で投与される。約500ngから約50mg、約1μgから約2mg、約5μgから約500μg、約20μgから約100μgのDNAの濃度範囲もまた、遺伝子治療プロトコールに使用することができる。本発明の治療用ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、遺伝子送達ビヒクルを使用して送達することができる。遺伝子送達ビヒクルとは、ウイルスまたは非ウイルスの起源のものであり得る(一般的には、Jolly,Cancer Gene Therapy(1994)1:51;Kimura,Human Gene Therapy(1994)5:845;Connelly,Human Gene Therapy(1995)1:185;およびKaplitt,Nature Genetics(1994)6:148を参照のこと)。このようなコード配列の発現は、内因性の哺乳動物プロモーターまたは異種プロモーターを使用して誘導することができる。コード配列の発現は、構成的であるかまたは調節することができるかのいずれかであり得る。
所望されるポリヌクレオチドの送達および所望される細胞中での発現のためのウイルスをベースとするベクターは当該分野で周知である。例示的なウイルスをベースとするビヒクルとして、組み換えレトロウイルス(例えば、PCT公開番号WO90/07936;同WO94/03622;同WO93/25698;同WO93/25234;同WO93/11230;同WO93/10218;同WO91/02805;米国特許第5,219,740号;同第4,777,127号;英国特許第2,200,651号;および欧州特許第0,345,242号を参照のこと)、αウイルスをベースとするベクター(例えば、シンドビスウイルスベクター、セムリキ森林熱ウイルス(ATCC VR−67;ATCC VR−1247)、ロスリバーウイルス(ATCC VR−373;ATCC VR−1246)、およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR−923;ATCC VR−1250;ATCC VR−1249;ATCC VR−532))、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、PCT公開番号WO94/12649、同WO93/03769;同WO93/19191;同WO94/28938;同WO95/11984、および同WO95/00655を参照のこと)が挙げられるがこれらに限定されない。Curiel,Hum.Gene Ther.(1992)3:147に記載されているような、死滅させられたアデノウイルスに連結させられたDNAの投与もまた使用することができる。
ウイルス以外の送達ビヒクルおよび送達方法もまた使用することができ、これには、死滅させられたアデノウイルスのみに連結させられたポリ陽イオン性縮合DNA、または連結されていないポリ陽イオン性縮合DNAを単独で(例えば、Curiel,Hum.Gene Ther.(1992)3:147を参照のこと);リガンドに連結させられたDNA(例えば、Wu,J.Biol.Chem.(1989)264:16985を参照のこと);真核生物細胞送達ビヒクル細胞(例えば、米国特許第5,814,482号;PCT公開番号WO95/07994;同WO96/17072;同WO95/30763;および同WO97/42338を参照のこと)、および核電荷の中和、または細胞膜との融合が含まれるが、これらに限定されない。裸のDNAもまた使用することができる。例示的な裸のDNAの導入方法は、PCT公開番号WO90/11092および米国特許第5,580,859号に記載されている。遺伝子送達ビヒクルとして作用することができるリポソームは、米国特許第5,422,120号;PCT公開番号WO95/13796;同WO94/23697;同WO91/14445;および欧州特許第0,524,968号に記載されている。別のアプローチは、Philip,Mol.Cell Biol.(1994)14:2411およびWoffendin,Proc.Natl.Acad.Sci.(1994)91:1581に記載されている。
本明細書中に記載される全ての方法に関して、抗NGFアンタゴニスト抗体についての言及には、1つ以上のこれらの試薬を含む組成物も含まれる。これらの組成物にはさらに、当該分野で周知の緩衝液を含む、薬学的に許容される賦形剤のような適切な賦形剤が含まれる場合もある。本発明は、単独で使用することができ、また他の従来の処置方法と組み合わせて使用することもできる。
関節リウマチの痛みを処置または予防するために抗NGFアンタゴニスト抗体を使用する方法
いくつかの態様においては、本発明により、ヒトおよびヒト以外の両方である哺乳動物を含む個体における関節リウマチの痛みを処置および/または予防するための方法が提供される。したがって、1つの態様においては、本発明により、有効量の抗NGFアンタゴニスト抗体を投与する段階を含む、個体における関節リウマチの痛みを処置する方法が提供される。抗NGFアンタゴニスト抗体は当該分野で公知であり、本明細書中に記載されている。
別の態様においては、本発明により、個体における関節リウマチの痛みの発生を減らす、痛みを緩和する、抑える、和らげる、および/またはその開始、発症もしくは進行を遅らせるための方法が提供される。したがって、いくつかの実施形態においては、抗NGFアンタゴニスト抗体は、関節リウマチを有している個体において痛みの発症の前に、または痛みの症状の発現の前に投与される。
別の態様においては、本発明により、有効量の抗NGFアンタゴニスト抗体を投与する段階を含む、個体における関節リウマチに伴う炎症性悪液質(体重の減少)を処置するための方法が提供される(Roubenoff等,Arthritis Rheum.40(3):534−9(1997)Roubenoff等,J.Clin.Invest.93(6):2379−86(1994))。
関節リウマチの痛みの診断または評価は、当該分野で十分に確立されている。評価は、種々の痛みについての尺度を使用する患者の痛みの特徴付けのような、当該分野で公知の測定に基づいて行うことができる。例えば、Katz等,Surg Clin North Am.(1999)79(2):231−52;Caraceni等,J Pain Symptom Manage(2002)23(3):239−55を参照のこと。American College of Rheumatology(ACR)(Felson等,Arthritis and Rheumatism(1993)36(6):729−740)、the Health Assessment Questionnaire(HAQ)(Fries等,(1982)J.Rheumatol.9:789−793)、Paulus Scale(Paulus等,Arthritis and Rheumatism(1990)33:477−484)、およびthe Arthritis Impact Measure Scale(AIMS)(Meenam等,Arthritis and Rheumatology(1982)25:1048−1053)のような、疾患状態を測定するために一般的に使用される尺度もまた、存在する。抗NGFアンタゴニスト抗体は、任意の適切な経路を通じて個体に投与することができる。種々の投与経路の例は本明細書中に記載されている。
鎮痛は、緩和の時間経過によって特徴付けることができる。したがって、いくつかの実施形態においては、鎮痛は、抗NGFアンタゴニスト抗体の投与後、約24時間以内に観察される。他の実施形態においては、鎮痛は、抗NGFアンタゴニスト抗体の投与後、約36時間、48時間、60時間、72時間、または4日以内に観察される。さらに他の実施形態においては、鎮痛は、関節リウマチに伴う炎症症状の改善の兆候が観察される前に、観察される。いくつかの実施形態においては、痛みの頻度および/または強さが低下し、そして/または疾患に罹患している被験体の生活の質が向上する。
これらの方法のための抗NGF抗体を作成し、使用することは、以下のセクション(「抗NGFアンタゴニスト抗体」;「抗NGFアンタゴニスト抗体の同定」;「抗NGFアンタゴニスト抗体の投与」)に記載される。
変形性関節症の痛みを処置または予防するために抗NGFアンタゴニスト抗体を使用する方法
いくつかの態様においては、本発明により、ヒトおよびヒト以外の両方である哺乳動物を含む個体における変形性関節症の痛みを処置および/または予防するための方法が提供される。したがって、1つの態様においては、本発明により、有効量の抗NGFアンタゴニスト抗体を投与する段階を含む、個体における変形性関節症の痛みを処置する方法が提供される。抗NGFアンタゴニスト抗体は当該分野で公知であり、本明細書中に記載されている。
別の態様においては、本発明により、個体における変形性関節症の痛みの発生を減らす、痛みを緩和する、抑える、和らげる、および/またはその開始、発症、もしくは進行を遅らせるための方法が提供される。したがって、いくつかの実施形態においては、抗NGFアンタゴニスト抗体は、変形性関節症を有している個体において痛みの発症の前に、または痛みの症状の発現の前に投与される。
変形性関節症の痛みの診断または評価は、当該分野で十分に確立されている。評価は、種々の痛みについての尺度を使用する患者の痛みの特徴付けのような、当該分野で公知の測定に基づいて行うことができる。例えば、Katz等,Surg Clin North Am.(1999)79(2):231−52;Caraceni等,J Pain Symptom Manage(2002)23(3):239−55を参照のこと。例えば、WOMAC Ambulation Pain Scale(痛み、凝り、および身体機能を含む)、および100mm Visual Analogue Scale(VAS)を、痛みを評価するため、および処置に対する応答を評価するために使用することができる。
抗NGFアンタゴニスト抗体は、任意の適切な経路を通じて個体に投与することができる。種々の投与経路の例は本明細書中に記載されている。
鎮痛は、緩和の時間経過によって特徴付けることができる。したがって、いくつかの実施形態においては、鎮痛は、抗NGFアンタゴニスト抗体の投与後、約24時間以内に観察される。別の実施形態においては、鎮痛は、抗NGFアンタゴニスト抗体の投与後、約36時間、48時間、60時間、72時間、または4日以内に観察される。いくつかの実施形態においては、痛みの頻度および/または強さが低下し、そして/または疾患に罹患している被験体の生活の質が向上する。
これらの方法のための抗NGF抗体を作成し、使用することは、以下のセクション(「抗NGFアンタゴニスト抗体」;「抗NGFアンタゴニスト抗体の同定」;「抗NGFアンタゴニスト抗体の投与」)に記載される。
抗NGFアンタゴニスト抗体
本発明の方法(関節リウマチの痛みおよび変形性関節症の痛みに関する)では、抗NGFアンタゴニスト抗体が使用される。抗NGFアンタゴニスト抗体とは、NGFによる情報伝達(例えば、受容体の結合および/またはNGFに対する細胞性の応答の誘発)によって媒介される下流の経路を含むNGFの生物学的活性をブロックする、抑制する、または低下させる(顕著なものを含む)あらゆる抗体分子をいう。
抗NGFアンタゴニスト抗体は、以下の特徴のいずれか1つ以上を示さなければならない:(a)NGFに結合し、そしてNGFの生物学的活性および/またはNGFによる情報伝達機能によって媒介される下流の経路(単数または複数)を阻害する;(b)関節リウマチの痛みまたは変形性関節症の痛みの任意の態様を予防、緩和、または処置する;(c)NGF受容体の活性化(TrkA受容体の二量体化および/または自己リン酸化を含む)をブロックするかまたは低下させる;(d)NGFのクリアランスを高める;(e)NGFの合成、生産、または放出を阻害するかまたは減少させる。抗NGFアンタゴニスト抗体は当該分野で周知であり、例えば、PCT公開番号WO01/78698、同WO01/64247、米国特許第5,844,092号、同第5,877,016号、および同第6,153,189号;Hongo等,Hybridoma,19:215−227(2000);Cell.Molec.Biol.13:559−568(1993);GenBank登録番号U39608、U39609、L17078、またはL17077を参照のこと。
本発明の目的については、抗体は、NGFを阻害する、および/またはNGFの情報伝達機能によって媒介される下流の経路を阻害する様式で、NGFと反応する。いくつかの実施形態においては、抗NGFアンタゴニスト抗体は、ヒトNGFを認識する。なお他の実施形態においては、抗NGFアンタゴニスト抗体は、ヒトNGFに特異的に結合する。いくつかの実施形態においては、抗NGFアンタゴニスト抗体は、NT−3、NT4/5、および/またはBDNFのような関連するニュートロフィンには有意には結合しない。さらに他の実施形態においては、抗NGF抗体は、NGFに結合して、NGFのそのTrkA受容体および/またはp75受容体への生体内での結合を効率よく阻害し、そして/またはNGFがそのTrkAおよび/またはp75受容体を活性化することを効率よく阻害することができる。さらに他の実施形態においては、抗NGFアンタゴニスト抗体は、モノクローナル抗体である。さらに他の実施形態においては、抗NGF抗体はヒト化抗体(例えば、本明細書中に記載されている抗体E3)である。いくつかの実施形態においては、抗NGF抗体はヒト抗体である。1つの実施形態においては、抗体は、ヒトNGF上の1つ以上のエピトープを認識するヒト抗体である。別の実施形態においては、抗体は、ヒトNGF上の1つ以上のエピトープを認識するマウスまたはラットの抗体である。別の実施形態においては、抗体は、以下からなる群より選択されるNGF上の1つ以上のエピトープを認識する:霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、およびウシ。さらに別の実施形態においては、抗NGFアンタゴニスト抗体は、原則的に、以下のいずれか1つ以上から選択される抗体と同じNGFエピトープ6に結合する:Mab 911、Mab 912、およびMAb 938(Hongo等,Hybridoma 19:215−227(2000)を参照のこと。)他の実施形態においては、抗体は、Mab 911と同じエピトープに結合する。別の実施形態においては、抗体には、免疫学的に不活性である(例えば、補体媒介性溶解または抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)を誘発しない)定常領域が含まれる。ADCC活性は、米国特許第5,500,362号に開示されている方法を使用して評価することができる。いくつかの実施形態においては、定常領域は、Eur.I.Immunol.(1999)29:2613−2624;PCT出願番号PCT/GB99/01441;および/または英国特許出願番号9809951.8に記載されているように修飾される。
いくつかの実施形態においては、抗NGFアンタゴニスト抗体は、NGFアンタゴニストである、抗体「E3」と呼ばれるヒト化マウス抗NGFモノクローナル抗体、本明細書中に記載されるE3関連抗体のいずれか、またはそれらの断片のいずれかである。
本発明において有用な抗体には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fcなど)、キメラ抗体、二重特異的抗体、ヘテロ結合体抗体、単鎖(ScFv)、それらの変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、および抗体のグリコシル化変異体、抗体のアミノ酸配列変異体、および共有結合により修飾された変異体を含む、必要とされる特異性についての抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された立体構造が含まれ得る。抗体は、マウス、ラット、ヒト、または任意の他の起源のもの(キメラまたはヒト化抗体を含む)である場合もある。
抗NGFアンタゴニスト抗体のNGF(例えば、hNGF)に対する結合親和性は、約0.10nMから約0.80nM、約0.15nMから約0.75nM、および約0.18nMから約0.72nMであり得る。1つの実施形態においては、結合親和性は、約2pMから22pMの間である。いくつかの実施形態においては、結合親和性は約10nMである。他の実施形態においては、結合親和性は、約10nM未満である。他の実施形態においては、結合親和性は、約0.1nMから約0.07nMである。他の実施形態においては、結合親和性は、約0.1nM未満、または約0.07nM未満である。他の実施形態においては、結合親和性は、約100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、約50pMのいずれかから、約2pM、約5pM、約10pM、約15pM、約20pM、または約40pMのいずれかまでである。いくつかの実施形態においては、結合親和性は、約100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、約50pM、または、約50pM未満のいずれかである。いくつかの実施形態においては、結合親和性は、約100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、約50pMのいずれか未満である。さらに他の実施形態においては、結合親和性は、約2pM、約5pM、約10pM、約15pM、約20pM、約40pMであるか、または約40pMより大きい。
NGFに対する抗体の結合親和性を決定する1つの方法は、抗体の単官能性Fab断片の結合親和性を測定することによる。単官能性Fab断片を得るためには、抗体(例えば、IgG)をパパインで切断することができ、また、組み換えによって発現させることもできる。抗体の抗NGF Fab断片の親和性は、表面プラズモン共鳴(BIAcore3000(登録商標)表面プラズモン共鳴(SPR)システム、BIAcore,INC,Piscaway NJ)によって決定することができる。CM5チップは、供給業者の説明書にしたがって、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化させることができる。ヒトNGF(または任意の他のNGF)は、10mMの酢酸ナトリウム(pH4.0)で希釈して、0.005mg/mLの濃度で活性化したチップ上に注入することができる。個々のチップチャンネルを通過させるフロー時間を変化させることにより、2つの抗原密度の範囲に達するようにできる:詳細な速度論の研究については100〜200反応単位(RU)、そしてスクリーニングアッセイについては500〜600RU。チップは、エタノールアミンでブロックすることができる。再生の研究は、Pierce溶出緩衝液(製品番号21004、Pierce Biotechnology,Rockford IL)と4MのNaClの混合物(2:1)により200回の注入全てについてチップ上でhNGFの活性を維持したまま、結合したFabが効率よく除去されたことを示した。HBS−EP緩衝液(0.01MのHEPES(pH7.4)、0.15 NaCl、3mMのEDTA、0.005%のSurfactant P29)は、BIAcoreアッセイの泳動緩衝液として使用される。精製されたFab試料の段階希釈物(0.1〜10×概算のK)を、100μL/分で1分間かけて注入し、2時間までの解離時間とした。Fabタンパク質の濃度は、標準として既知の濃度(アミノ酸分析によって決定される)Fabを使用して、ELISAおよび/またはSDS−PAGE電気泳動によって決定される。動的会合速度(kon)と解離速度(koff)は、BIAevalutionプログラムを使用して1:1 Langmuir結合モデル(Karlsson,R.Ross,H.Fagerstam,L.Petersson,B.(1994)Methods Enzymology 6.99−110)にデータをフィットさせることによって同時に得られる。平衡解離定数(K)の値は、kon/koffとして計算される。このプロトコールは、ヒトNGF、別の脊椎動物のNGF(いくかの実施形態においては、哺乳動物)を含むあらゆるNGF(例えば、マウスNGF、ラットNGF、霊長類NGF)に対する抗体の結合親和性を決定することにおける使用に、さらには、関連するニュートロフィンNT3、NT4/5、および/またはBDNFのような他のニュートロフィンを伴う使用に適している。
いくつかの実施形態においては、抗体はヒトNGFに結合し、別の脊椎動物種(いくつかの実施形態においては、哺乳動物)に由来するNGFには有意には結合しない。いくつかの実施形態においては、抗体はヒトNGFに結合し、さらに別の脊椎動物種(いくつかの実施形態においては、哺乳動物)に由来する1つ以上のNGFにも結合する。さらに他の実施形態においては、抗体はNGFに結合し、他のニュートロフィン(例えば、関連するニュートロフィン、NT3、NT4/5、および/またはBDNF)とは有意には交差反応しない。いくつかの実施形態においては、抗体はNGFに結合し、さらに少なくとも1つの他のニュートロフィンにも結合する。いくつかの実施形態においては、抗体は哺乳動物種(例えば、ウマまたはイヌ)のNGFに結合するが、別の哺乳動物種に由来するNGFには有意には結合しない。
エピトープ(単数または複数)は、連続的であっても、連続的ではなくてもよい。1つの実施形態においては、抗体は、本質的に、Hongo等,Hybridoma 19:215−227(2000)に記載されているような、Mab 911、Mab 912、およびMAb 938からなる群より選択される抗体と同じhNGFピトープに結合する。別の実施形態においては、抗体は、本質的に、Mab 911と同じエピトープに結合する。さらに別の実施形態においては、抗体は、本質的に、MAb 909と同じエピトープに結合する。Hongo等,前出。例えば、エピトープには、以下の1つ以上が含まれる場合もある:hNGFの可変領域1(アミノ酸23〜35)内の残基K32、K34、およびE35;hNGFの可変領域4(アミノ酸81〜88)内の残基F79およびT81;可変領域4内の残基H84およびK88;hNGFの可変領域5(アミノ酸94〜98)とhNGFのC末端(アミノ酸111〜118)との間の残基R103;hNGFの前可変領域1(アミノ酸10〜23)内の残基E11;hNGFの可変領域2(アミノ酸40〜49)とhNGFの可変領域3(アミノ酸59〜66)との間のY52;hNGFのC末端内の残基L112およびS113;hNGFの可変領域3内の残基R59およびR69;あるいはhNGFの前可変領域1内の残基V18、V20、およびG23。さらに、エピトープは、hNGFの可変領域1、可変領域3、可変領域4、可変領域5、N末端領域、および/またはC末端領域の1つ以上を含むことができる。さらに別の実施形態においては、抗体は、hNGFの残基R103の溶媒露出度を有意に低下させる。上記のエピトープはヒトNGFに関して記載したが、当業者であれば、ヒトNGFを他の種のNGFの構造と並べることができ、これらのエピトープにおそらく対応する部分を同定することができる。
1つの態様においては、NGFを阻害することができる抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、マウス抗体、キメラ抗体)を、NGFの全長または部分的な配列を発現する免疫原を使用して作成することができる。別の態様においては、NGFを過剰発現する、免疫原を含む細胞を使用することができる。使用することができる別の免疫原の例は、全長のNGFを含むNGFタンパク質またはNGFタンパク質の一部である。
抗NGFアンタゴニスト抗体は、当該分野で公知の任意の方法によって作成することができる。宿主動物の免疫化の経路およびスケジュールは、一般に、本明細書中にさらに記載されるように、抗体の刺激および生産のための確立された従来技術と一致する。ヒトおよびマウス抗体の生産のための一般的な技術は当該分野で公知であり、本明細書中に記載されている。
ヒトを含む任意の哺乳動物被験体またはそれらに由来する抗体を生産する細胞は、ヒトハイブリドーマ細胞株を含む、哺乳動物の生産についての基準となるように操作することができる。通常は、宿主動物には、本明細書中に記載されているものを含む一定量の免疫原が、腹腔内、筋肉内、経口、皮下、足底、および/または皮内から接種される。
ハイブリドーマは、Kohler,B.and Milstein,C.(1975)Nature 256:495−497の一般的な体細胞ハイブリダイゼーション技術、またはBuck,D.W.等,In Vitro,18:377−381(1982)によって変更が加えられた体細胞ハイブリダイゼーション技術を使用して、リンパ球および固定化された骨髄腫細胞から調製することができる。利用できる骨髄腫細胞株としては、X−63−Ag8.653が挙げられるがこれらに限定されず、Salk Institute,Cell Distribution Center,San Diego,Calif.,USAによるものを、ハイブリダイゼーションに使用することもできる。一般的には、この技術には、ポリエチレングリコールのような融合誘導因子を使用して、または当業者に周知の電気的手段によって骨髄腫細胞とリンパ球とを融合させる段階が含まれる。融合後、細胞は融合培地から分離され、選択的な増殖培地、例えば、ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(HAT)培地中で増殖させられて、ハイブリダイズしていないもとの細胞が除かれる。血清を含むかまたは含まない、本明細書中に記載される任意の培地を、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを培養するために使用することができる。細胞融合技術の別の代替えとしては、EBV固定化B細胞を、本発明の抗NGFモノクローナル抗体を生産させるために使用することもできる。ハイブリドーマは、所望される場合には、増殖させられ、サブクローニングされ、上清が、従来の免疫アッセイ手順(例えば、放射免疫法、酵素免疫法、または蛍光免疫法)によって抗免疫原活性についてアッセイされる。
抗体の供給源として使用することができるハイブリドーマには、NGFに特異的なモノクローナル抗体またはその一部を生産する、もとのハイブリドーマの全ての誘導体、子孫細胞が含まれる。
このような抗体を生産するハイブリドーマは、生体外または生体内で、公知の手順を使用して増殖させることができる。モノクローナル抗体は、所望される場合には、培養培地または体液から、硫酸アンモニウム沈殿、ゲル電気泳動、透析、クロマトグラフィー、および限外濾過のような従来の免疫グロブリン精製手順によって単離することができる。存在する場合には、望ましくない活性を、例えば、固相に結合させた免疫原により構成される吸着剤の上に調製物を流し、免疫原から所望される抗体を溶出または解離させることによって除去することができる。ヒトNGF、または免疫化される種において免疫原性であるタンパク質(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリン、またはダイズトリプシン阻害因子)に結合させられた標的アミノ酸配列を含む断片での、二官能性試薬または誘導試薬(例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介した結合)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介する)、グルタルアルデヒド、コハク酸無水物、SOCl2、またはR1N=C=NR(ここでは、RおよびR1は異なるアルキル基である))を用いる宿主動物の免疫化により、抗体(例えば、モノクローナル抗体)の集団を得ることができる。
所望される場合は、目的の抗NGFアンタゴニスト抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)を配列決定することができ、その後、ポリヌクレオチド配列を発現または増殖のためのベクター中にクローニングすることができる。目的の抗体をコードする配列は、宿主細胞中でベクターの中に維持することができ、次いで、宿主細胞を増殖させて、後で使用するために凍結することができる。あるいは、ポリヌクレオチド配列は、抗体を「ヒト化」するため、または親和性もしくは抗体の他の特性を改善するための、遺伝子操作に使用することもできる。例えば、定常領域を、抗体が臨床試験およびヒトの処置に使用される場合には、免疫応答を回避するために、より似ているヒト定常領域になるように操作することができる。NGFに対するより高い親和性、およびNGFを阻害することにおけるより高い効率を得るためには、抗体配列を遺伝子操作することが望まれる場合もある。1つ以上のポリヌクレオチドの変化によって、抗NGFアンタゴニスト抗体とし、なおそのNGFに対する結合能力を維持することができることは、当業者に明らかである。
モノクローナル抗体をヒト化するためには、4つの一般的な段階が存在する。これらは(1)出発抗体の軽鎖および重鎖可変ドメインのヌクレオチドおよび推定されるアミノ酸配列を決定する段階、(2)ヒト化抗体を設計する段階、すなわち、ヒト化プロセスの間に使用するための抗体フレームワーク領域を推定する段階、(3)実際のヒト化方法/技術、ならびに(4)ヒト化抗体のトランスフェクションおよび発現である。例えば、米国特許第4,816,567号;同第5,807,715号;同第5,866,692号;同第6,331,415号;同第5,530,101号;同第5,693,761号;同第5,693,762号;同第5,585,089号;および同第6,180,370号を参照のこと。
ヒト以外の免疫グロブリンに由来する抗原結合部位を含む多数の「ヒト化」抗体分子が記載されており、これには、齧歯類の、または修飾された齧歯類のV領域と、ヒト定常ドメインに融合されたそれに関連する相補性決定領域(CDR)を有するキメラ抗体が含まれる。例えば、Winter等,Nature 349:293−299(1991),Lobuglio等、Proc.Nat.Acad.Sci.USA,86:4220−4224(1989),Shaw等,J.Immunol.138:4534−4538(1987)、およびBrown等,Cancer Res.47:3577−3583(1987)を参照のこと。他の参考文献には、適切なヒト抗体の定常ドメインと融合させる前に、ヒト支持フレームワーク領域(FR)に接続された齧歯類のCDRが記載されている。例えば、Riechmann等,Nature 332:323−327(1988)、Verhoeyen等,Science 239:1534−1536(1988)、およびJones等,Nature 321:522−525(1986)を参照のこと。別の参考文献には、組み換えにより貼り付けられた齧歯類のフレームワーク領域によって支持されている齧歯類のCDRが記載されている。例えば、欧州特許公開番号0519596を参照のこと。これらの「ヒト化」分子は、ヒトレシピエント中のそのような部分の治療的適用の期間および有効性を制限する、齧歯類抗ヒト抗体分子に対する所望されない免疫学的応答を最小にするように設計されている。例えば、抗体の定常領域は、それが免疫学的に不活性である(例えば、補体媒介性溶解を誘発しない)ように操作することができる。例えば、PCT公開番号PCT/GB99/01441;英国特許出願番号9809951.8を参照のこと。抗体(それらもまた利用することができる)をヒト化する他の方法は、Daugherty等,Nucl.Acids Res.19:2471−2476(1991)、ならびに米国特許第6,180,377号;同第6,054,297号;同第5,997,867号;同第5,866,692号;同第6,210,671号;および同第6,350,861号、ならびにPCT公開番号WO01/27160に開示されている。
なお別に、完全なヒト抗体は、特異的なヒト免疫グロブリンタンパク質を発現するように操作されている、市販により入手することができるマウスを使用して得ることができる。より所望される(例えば、完全なヒト抗体)またはより強い免疫応答を生じるように設計されたトランスジェニック動物もまた、ヒト化抗体またはヒト抗体の作成に使用することができる。このような技術の例は、Abgenix,Inc.(Fremont,CA)のXenomouse(登録商標)、ならびに、Medarex,Inc.(Princeton,NJ)のHuMAb−Mouse(登録商標)およびTC Mouse(登録商標)である。
あるいは、抗体は、当該分野で公知の任意の方法を使用して組み換えによって作成し、発現させることができる。別の方法では、抗体は、ファージディスプレイ技術によって組み換えにより作成することができる。例えば、米国特許第5,565,332号;同第5,580,717号;同第5,733,743号;および同第6,265,150号;ならびにWinter等,Annu.Rev.Immunol.12:433−455(1994)を参照のこと。あるいは、ファージディスプレイ技術(McCafferty等,Nature 348:552−553(1990))を使用して、免疫化されていないドナーに由来する免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子のレパートリーにより、ヒト抗体および抗体断片を生体外で生産させることができる。この技術により、抗体Vドメイン遺伝子は、繊維状バクテリオファージ、例えば、M13またはfdの主要なまたは主要ではないコートタンパク質遺伝子のいずれかにインフレームでクローニングされ、ファージ粒子の表面上の機能性抗体断片として提示される。繊維状粒子にはファージゲノムの一本鎖DNAのコピーが含まれるので、抗体の機能的特性に基づく選択により、これらの特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択もまたできる。したがって、ファージは、B細胞の特性のいくつかに類似した特性を示す。ファージディスプレイは、種々の形式で行うことができる。概要については、例えば、Johnson,Kevin S.and Chiswell,David J.,Current Opinion in Structural Biology 3:564−571(1993)を参照のこと。V遺伝子断片のいくつかの供給源は、ファージディスプレイに使用することができる。Clackson等,Nature 352:624−628(1991)は、免疫化したマウスの脾臓に由来するV遺伝子の小さいランダムな組み合わせライブラリーから、多数の異なるオキサゾロン抗体を単離した。免疫化されていないヒトドナーに由来するV遺伝子のレパートリーを構築することができ、多数の異なる抗原(自己抗原を含む)に対する抗体を、原則としてMark等,J.Mol.Biol.222:581−597(1991)、またはGriffith等,EMBO J.12:725−734(1993)に記載されている技術にしたがって単離することができる。自然な免疫応答においては、抗体遺伝子は、高い割合で変異を重ねている(体細胞超変異)。導入されている変異のいくつかは、高い親和性を与え、親和性の高い表面免疫グロブリンを提示するB細胞が優先的に複製され、その後の抗原でのチャレンジの間に差が出てくる。この自然界に存在しているこのプロセスは、「鎖シャッフリング」として知られている技術を使用して真似ることができる。Marks等,Bio/Technol.10:779−783(1992))。この方法においては、ファージディスプレイによって得られた「最初の」ヒト抗体の親和性を、免疫化されていないドナーから得られたVドメイン遺伝子の自然界に存在している変異体のレパートリー(レパートリー)で、重鎖および軽鎖V領域遺伝子を連続して置換することによって改善することができる。この技術により、pM〜nMの範囲の親和性を有している抗体、および抗体断片の生産が可能になる。極めて大きなファージ抗体のレパートリー(「全てのライブラリーのもと(mother−of−all libraries)」としても知られている)を作成するための方法は、Waterhouse等,Nucl.Acids Res.21:2265−2266(1993)に記載されている。遺伝子シャッフリングもまた、齧歯類の抗体からヒト抗体へと誘導するために使用することができる。ここでは、ヒト抗体は、出発齧歯類抗体に対して同様の親和性と特異性を有している。「エピトープ刷り込み(epitope imprinting)」とも呼ばれるこの方法により、ファージディスプレイ技術によって得られた齧歯類抗体の重鎖および軽鎖Vドメイン遺伝子が、ヒトVドメイン遺伝子のレパートリーで置き換えられ、これにより齧歯類−ヒトキメラが作成される。抗原の選択により、機能的な抗原結合部位を回復することができるヒト可変領域の単離ができる、すなわち、エピトープがパートナーの選択を支配する(刷り込む)。このプロセスが齧歯類のVドメインを置き換えるために繰り返されると、ヒト抗体が得られる(1993年4月1日に公開されたPCT公開番号WO93/06213を参照のこと)。CDRの接続による齧歯類抗体の従来のヒト化とは異なり、この技術により、齧歯類に起源するフレームワークまたはCDR残基を有さない完全なヒト抗体が提供される。
上記の議論はヒト化抗体に関して行ったが、議論された一般的な原理を、例えば、イヌ、ネコ、霊長類、ウマ、およびウシでの使用のために抗体をカスタマイズするために適応できることは、明らかである。さらに、本明細書中に記載される抗体のヒト化の1つ以上の態様を、例えば、CDRの接続、フレームワークの変異、およびCDRの変異と組み合わせることもできることが明らかである。
抗体は、最初に、宿主動物から抗体と抗体を生産する細胞を単離すること、遺伝子配列を得ること、そして宿主細胞(例えば、CHO細胞)中で抗体を組み換えによって発現させるように遺伝子を使用することによって、組み換えにより作成することができる。使用することができる別の方法は、植物(例えば、タバコ)またはトランスジェニック乳中で抗体配列を発現させることである。植物または乳中で抗体を組み換えにより発現させるための方法は、開示されている。例えば、Peeters等,Vaccine 19:2756(2001);Lonberg,N.and D.Huszar Int.Rev.Immunol 13:65(1995);およびPollock等,J.Immunol Methods 231:147(1999)を参照のこと。抗体の誘導体(例えば、ヒト化抗体、単鎖抗体など)を作成するための方法は当該分野で公知である。
免疫アッセイおよびフローサイトメトリー選別技術(例えば、蛍光活性化細胞選別(FACS))もまた、NGFに特異的な抗体を単離するために使用することができる。
抗体は、多くの異なるキャリアーに結合させることができる。キャリアーは、活性であっても、また不活性であってもよい。周知のキャリアーの例として、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、ガラス、天然のおよび修飾されたセルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、およびマグネタイトが挙げられる。キャリアーの性質は、本発明の目的については、可溶性であっても不溶性であってもいずれでもよい。当業者であれば、抗体を結合させるための他の適切なキャリアーを認識しており、また、日常的に行われる実験を使用してそれを確認することができる。いくつかの実施形態においては、キャリアーには、心筋を標的とする部分が含まれる。
モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離され、配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源として働く。一旦単離されると、DNAは、発現ベクター(例えば、PCT公開番号WO87/04462で開示されている発現ベクター)中に置かれ、次いでこれは、そうでなければ免疫グロブリンタンパク質を生産しない大腸菌(E.coli)細胞、サルのCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、骨髄腫細胞のような宿主細胞にトランスフェクトされ、組み換え宿主細胞中でモノクローナル抗体の合成が得られる。例えば、PCT公開番号WO87/04462を参照のこと。DNAはまた、例えば、相同であるマウスの配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのコード配列で置換することによって(Morrison等,Proc.Nat.Acad.Sci.81:6851(1984))、または免疫グロブリンではないポリペプチドのコード配列全体またはその一部に、免疫グロブリンコード配列を共有結合させることによって、修飾することもできる。そのような様式で、本明細書中に記載される抗NGFモノクローナル抗体の結合特異性を有する「キメラ」または「ハイブリッド」抗体が調製される。
抗NGFアンタゴニスト抗体は、当該分野で周知の方法を使用して特徴付けることができる。例えば、1つの方法は、それに結合するエピトープを同定すること、すなわち、「エピトープマッピング」である。タンパク質のエピトープの位置をマップし、特徴付けるための多くの方法が当該分野で公知であり、これには、例えば、Harlow and Lane,Using Antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1999のChapter 11に記載されているような、抗体−抗原複合体の結晶構造の解析、競合アッセイ、遺伝子断片発現アッセイ、および合成ペプチドに基づくアッセイが含まれる。さらなる例においては、エピトープマッピングを使用して、抗NGFアンタゴニスト抗体が結合する配列を決定することができる。エピトープマッピングは、種々の業者、例えば、Pepscan Systems(Edelhertweg 15,8219 PH Lelystad,The Netherlands)から市販されている。エピトープは、直鎖状のエピトープ、すなわち、アミノ酸の1つのストレッチに含まれる)であっても、また、必ずしも単一のストレッチに含まれる必要のないアミノ酸の三次元相互作用によって形成される立体構造を有するエピトープであってもよい。種々の長さ(例えば、少なくとも4〜6アミノ酸の長さ)のペプチドを単離または合成(例えば、組み換えによって)することができ、そして抗NGFアンタゴニスト抗体との結合アッセイに使用することができる。別の例においては、抗NGFアンタゴニスト抗体が結合するエピトープを、NGF配列から導いた重複ペプチドを使用し、抗NGFアンタゴニスト抗体による結合を決定することによって、系統的スクリーニングにおいて決定することができる。遺伝子断片の発現アッセイにより、NGFをコードするオープンリーディングフレームは、ランダムに、または特異的な遺伝子構造によってのいずれかで断片化され、発現させられたNGFの断片の、試験される抗体との反応性が決定される。遺伝子断片は、例えば、PCRによって生産することができ、これは次いで、放射性アミノ酸の存在下で、生体内で転写されてタンパク質に翻訳される。その後、放射標識されたNGF断片に対する抗体の結合が、免疫沈降およびゲル電気泳動によって決定される。特定のエピトープはまた、ファージ粒子(ファージライブラリー)の表面上に提示されるランダムなペプチド配列の大きなライブラリーを使用して同定することができる。あるいは、重複しているペプチド断片の定義されたライブラリーを、単純な結合アッセイにおいて試験抗体への結合について試験することができる。さらなる例においては、抗原結合ドメインの突然変異誘発、ドメイン交換実験、およびアラニンスキャン突然変異誘発を行って、エピトープの結合に必要とされる、十分な、および/または必須の残基を同定することができる。例えば、ドメイン交換実験は、近縁関係にあるが抗原性が異なるタンパク質(例えば、ニューロトロフィンタンパク質ファミリーの別のメンバー)に由来する配列で、種々のNGFポリペプチドの断片が置き換えられている(交換されている)、変異体NGFを使用して行うことができる。変異体NGFに対する抗体の結合を評価することにより、抗体結合に関する特定のNGF断片の重要性を評価できる。
抗NGFアンタゴニスト抗体を特徴付けるために使用することができるなお別の方法は、抗NGFアンタゴニスト抗体が他の抗体と同じエピトープに結合するかどうかを決定するための、同じ抗原に結合すること、すなわち、NGF上の種々の断片に結合することが知られている他の抗体との競合アッセイを使用することである。競合アッセイは当業者に周知である。本発明の競合アッセイに使用することができる抗体の例として、Hongo等,Hybridoma 19:215−227(2000)に記載されているMab 911、Mab 912、Mab 938が挙げられる。
発現ベクターを、抗NGFアンタゴニスト抗体を発現させるために使用することができる。当業者は、生体内で外因性タンパク質の発現を得るための発現ベクターの投与について十分に認識している。例えば、米国特許第6,436,908号;同第6,413,942号;および同第6,376,471号を参照のこと。発現ベクターの投与には、局所投与または全身投与が含まれ、注射、経口投与、パーティクルガン、またはカテーテルによる投与が含まれ、さらに、局部投与も含まれる。別の実施形態においては、発現ベクターは、直接、交感神経幹またはガングリオンに、あるいは、冠状動脈、心房、心室、または心膜に投与される。
発現ベクター、またはサブゲノムポリヌクレオチドを含む治療用組成物の標的化された送達も使用することができる。受容体媒介性のDNA送達技術は、例えば、Findeis等,Trends Biotechnol.(1993)11:202;Chiou等,Gene Therapeutics:Methods And Applications Of Direct Gene Transfer(J.A.Wolff編)(1994);Wu等,J.Biol.Chem.(1988)263:621;Wu等,J.Biol.Chem.(1994)269:542;Zenke等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1990)87:3655;Wu等,J.Biol.Chem.(1991)266:338に記載されている。ポリヌクレオチドを含む治療用組成物は、遺伝子治療プロトコールにおける局所投与については、約100ngから約200mgの範囲で投与される。約500ngから約50mg、約1μgから約2mg、約5μgから約500μg、約20μgから約100μgのDNAの濃度範囲もまた、遺伝子治療プロトコールに使用することができる。治療用ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、遺伝子送達ビヒクルを使用して送達することができる。遺伝子送達ビヒクルとは、ウイルスまたは非ウイルスの起源のものであり得る(一般的には、Jolly,Cancer Gene Therapy(1994)1:51;Kimura,Human Gene Therapy(1994)5:845;Connelly,Human Gene Therapy(1995)1:185;およびKaplitt,Nature Genetics(1994)6:148を参照のこと)。このようなコード配列の発現は、内因性の哺乳動物プロモーターまたは異種プロモーターを使用して誘導することができる。コード配列の発現は、構成的であるかまたは調節することができるかのいずれかであり得る。
所望されるポリヌクレオチドの送達および所望される細胞中での発現のためのウイルスをベースとするベクターは当該分野で周知である。例示的なウイルスをベースとするビヒクルとして、組み換えレトロウイルス(例えば、PCT公開番号WO90/07936;同WO94/03622;同WO93/25698;同WO93/25234;同WO93/11230;同WO93/10218;同WO91/02805;米国特許第5,219,740号;同第4,777,127号;英国特許第2,200,651号;および欧州特許第0,345,242号を参照のこと)、αウイルスをベースとするベクター(例えば、シンドビスウイルスベクター、セムリキ森林熱ウイルス(ATCC VR−67;ATCC VR−1247)、ロスリバーウイルス(ATCC VR−373;ATCC VR−1246)、およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR−923;ATCC VR−1250;ATCC VR−1249;ATCC VR−532))、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、PCT公開番号WO94/12649、同WO93/03769;同WO93/19191;同WO94/28938;同WO95/11984、および同WO95/00655を参照のこと)が挙げられるがこれらに限定されない。Curiel,Hum.Gene Ther.(1992)3:147に記載されているような、死滅させられたアデノウイルスに連結されたDNAの投与もまた使用することができる。
ウイルス以外の送達ビヒクルおよび方法もまた使用することができ、これには、死滅させられたアデノウイルスのみに連結させられたポリ陽イオン性縮合DNA、または連結さていないポリ陽イオン性縮合DNAが単独で(例えば、Curiel,Hum.Gene Ther.(1992)3:147を参照のこと);リガンドに連結させられたDNA(例えば、Wu,J.Biol.Chem.(1989)264:16985を参照のこと);真核生物細胞送達ビヒクル細胞(例えば、米国特許第5,814,482号;PCT公開番号WO95/07994;同第WO96/17072;同WO95/30763;および同WO97/42338を参照のこと)、および核酸電荷の中和、または細胞膜との融合が含まれるが、これらに限定されない。裸のDNAもまた使用することができる。例示的な裸のDNAの導入方法は、PCT公開番号WO90/11092および米国特許第5,580,859号に記載されている。遺伝子送達ビヒクルとして作用することができるリポソームは、米国特許第5,422,120号;PCT公開番号WO95/13796;同WO94/23697;同WO91/14445;および欧州特許第0,524,968号に記載されている。別のアプローチは、Philip,Mol.Cell Biol.(1994)14:2411およびWoffendin,Proc.Natl.Acad.Sci.(1994)91:1581に記載されている。
抗NGFアンタゴニスト抗体の同定
抗NGFアンタゴニスト抗体は、当該分野で公知の方法を使用して同定する、または特徴付けることができる。それによると、NGFの生物学的活性の低下、緩和、中和が検出および/または測定される。例えば、米国特許第5,766,863号、および同第5,891,650号に記載されているキナーゼ受容体活性化(KIRA)アッセイは、抗NGF試薬を同定するために使用することができる。このELISA型アッセイは、受容体タンパク質チロシンキナーゼ(本明細書中以後、「rPTK」とする)、例えば、TrkA受容体のキナーゼドメインの自己リン酸化を測定することによるキナーゼの活性化を定量的または定性的な測定に、さらには、選択されたrPTK、例えば、TrkAについての可能性のあるアンタゴニストの同定および特徴付けに適している。アッセイの最初の段階には、キナーゼ受容体(例えば、TrkA受容体)のキナーゼドメインのリン酸化が含まれる。ここでは、受容体は、真核生物細胞の細胞膜中に存在する。受容体は、内因性受容体であっても、受容体をコードする核酸であっても、または受容体構築物であってもよく、細胞中に形質転換することができる。通常は、第1の固相(例えば、第1のアッセイプレートのウェル)が、実質的に均質なこのような細胞の集団(通常は、哺乳動物細胞株)でコーティングされ、それにより、細胞が固相に付着させられる。多くの場合は、細胞は粘着性があり、それによって第1の固相に対して自然に付着する。「受容体構築物」が使用される場合は、これには通常、キナーゼ受容体とフラッグポリペプチドとの融合体が含まれる。フラッグポリペプチドは、アッセイのELISA部分において、捕捉試薬(多くの場合は、捕捉抗体)によって認識される。候補の抗NGFアンタゴニスト抗体のような分析物が、次いで、細胞が付着しているウェルに対してNGFと共に添加され、それにより、チロシンキナーゼ受容体(例えば、TrkA受容体)がNGFと分析物に曝される(またはそれらと接触させられる)。このアッセイにより、そのリガンドであるNGFによるTrkAの活性化を阻害する抗体を同定することができる。NGFと分析物に曝された後、付着している細胞は、溶解緩衝液(これは、その中に可溶性の界面活性剤を含む)と穏やかな攪拌を使用して溶解させられ、それによって細胞溶解物を遊離させ、これを、細胞溶解物の濃縮または明澄化の必要なく、直接アッセイのELISA部分に供することができる。
このように調製された細胞溶解物は、その後すぐにアッセイのELISA段階に供される。ELISA段階の第1の工程として、第2の固相(通常は、ELISAマイクロタイタープレートのウェル)、が、チロシンキナーゼ受容体に、または受容体構築物の場合は、フラッグポリペプチドに特異的に結合する捕捉試薬(多くの場合、捕捉抗体)でコーティングされる。第2の固相のコーティングは、捕捉試薬が第2の固相に付着するように行われる。捕捉試薬は、通常、モノクローナル抗体であるが、本明細書中の実施例に記載されるように、ポリクローナル抗体を使用できる場合もある。その後、得られた細胞溶解物が付着している捕捉試薬に曝されるかまたは捕捉試薬と接触させられ、その結果、受容体または受容体構築物が第2の固相に付着させられる(あるいは、第2の固相中に捕捉される)。次いで、結合していない細胞溶解物をとり除くための洗浄工程が行われ、それによって捕捉された受容体または受容体構築物が残される。付着しているかまたは捕捉された受容体または受容体構築物は、その後、チロシンキナーゼ受容体中のリン酸化されたチロシン残基を同定する抗ホスホチロシン抗体に曝されるか、またはそれと接触させられる。1つの実施形態においては、抗ホスホチロシン抗体は、放射活性のない発色試薬の色の変化を触媒する酵素に(直接または間接的に)結合させられる。したがって、受容体のリン酸化は、その後の試薬の色の変化によって測定することができる。酵素は、抗ホスホチロシン抗体に直接結合させることができるか、または結合分子(例えば、ビオチン)を、抗ホスホチロシン抗体に結合させて、その後、酵素を結合分子を介して抗ホスホチロシン抗体に結合させることができる。最後に、抗ホスホチロシン抗体の捕捉された受容体または受容体構築物への結合は、例えば、発色試薬の色の変化によって測定することができる。
抗NGFアンタゴニスト抗体は、候補の因子をNGFとともにインキュベートし、以下の特徴のいずれか1つ以上をモニターすることによって同定することができる:(a)NGFに結合し、そしてNGFの生物学的活性および/またはNGFによる情報伝達機能によって媒介される下流の経路を阻害する;(b)NGF受容体の活性化を阻害するか、ブロックするか、または低下させる(TrkA受容体の二量体化および/または自己リン酸化を含む);(c)NGFのクリアランスを高める;(d)関節リウマチの痛みまたは変形性関節症の痛みの任意の態様を処置または予防する;(e)NGFの合成、生産、または放出を阻害する(または減少させる)。いくつかの実施形態においては、抗NGFアンタゴニスト抗体は、候補の因子をNGFとともにインキュベートし、さらに、結合、および/またはそれに伴うNGFの生物学的活性の低下または中和をモニターすることによって同定される。結合アッセイは、精製されたNGFポリペプチド(単数または複数)を用いて、またはNGFポリペプチド(単数または複数)を生まれつき発現する細胞もしくはNGFポリペプチド(単数または複数)を発現するようにトランスフェクトされた細胞を用いて、行われる場合もある。1つの実施形態においては、結合アッセイは競合結合アッセイであり、これにより、候補の抗体がNGF結合について既知の抗NGFアンタゴニストと競合する能力が評価される。このアッセイは、ELISA形式を含む種々の形式で行うことができる。他の実施形態においては、抗NGFアンタゴニスト抗体は、候補の因子をNGFと共にインキュベートすること、さらに、結合、ならびにそれに付随するtrkA受容体の二量体化および/または自己リン酸化の阻害をモニターすることによって同定される。
最初の同定の後、候補の抗NGFアンタゴニスト抗体の活性化を、標的とされた生物学的活性を試験するための公知の生体アッセイによってさらに確認、および絞り込むことができる。あるいは、生体アッセイは、候補を直接スクリーニングするために使用することができる。例えば、NGFは応答性の細胞中の多数の形態学的に認識することができる変化を促進する。これには、PC12細胞の分化の促進、およびこれらの細胞からの神経突起の成長の増強(Greene等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,73(7):2424−8,1976)、応答性の知覚神経節および交感神経節の外植片からの神経突起の成長の促進((Levi−Montalcini,R.and Angeletti,P.Nerve growth factor.Physiol.Rev.48:534−569,1968)、およびNGF依存性のニューロン(例えば、胚性後根ガングリオン、三叉神経ガングリオン、または交感神経ガングリオンニューロン)の生存性の促進(例えば、Chun & Patterson,Dev.Biol.75:705−711(1997);Buchman & Davies,Development 118:989−1001(1993))が含まれるがこれらに限定されない。したがって、NGFの生物学的活性の阻害についてのアッセイには、NGFと分析物(例えば、候補の抗NGFアンタゴニスト抗体)と共にNGF応答性細胞を培養することが必然的に伴う。適切な時間の後、細胞応答(細胞の分化、神経突起の成長、または細胞の生存性)がアッセイされる。
候補の抗NGFアンタゴニスト抗体の、NGFの生物学的活性をブロックまたは中和する能力はまた、Hongo等,Hybridoma 19:215−227(2000)に記載されているような、胚性ラットの後根ガングリオンの生存性についての生体アッセイにおいてNGF媒介性の生存性を阻害する候補の因子の能力をモニターすることによって評価することもできる。
抗NGFアンタゴニスト抗体の投与
抗NGFアンタゴニスト抗体は、任意の適切な経路を介して個体(関節リウマチおよび変形性関節症)に投与することができる。本明細書中に記載されている実施例が限定ではなく、利用できる技術の例示であることは、当業者に明らかなはずである。したがって、いくつかの実施形態においては、抗NGFアンタゴニスト抗体は、静脈内投与のような既知の方法によって、例えば、ボーラスとして、または一定期間にわたる持続注入によって、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、舌下、滑液内、送気、随腔内、経口、吸入、または局所経路によって、個体に投与される。投与は全身的(例えば、静脈内投与)であっても、また局所的であってもよい。市販されている液体処方物用のネブライザー(ジェットネブライザーおよび超音波ネブライザーを含む)は、投与に有用である。液体処方物は直接噴霧することができ、凍結乾燥させられた粉末は再構成の後、噴霧することができる。あるいは、抗NGFアンタゴニスト抗体は、過フッ化炭化水素処方物と定量吸入器を使用してエアロゾルとすることができるか、または凍結乾燥させた破砕粉末として吸入することができる。
1つの実施形態においては、抗NGFアンタゴニスト抗体は、部位特異的送達技術または標的化させられた局所送達技術によって投与される。部位特異的送達技術または標的化させられた局所送達技術の例として、抗NGFアンタゴニスト抗体の種々の移植可能なデポー供給源、または局所送達用カテーテル(例えば、注入カテーテル、留置カテーテル、または針状カテーテル)、人工血管移植、外膜ラップ(adventitial wraps)、シャント、およびステント、あるいは他の移植することができるデバイス)、部位特異的キャリアー、直接の注射、あるいは直接の塗布が挙げられる。例えば、PCT公開番号WO00/53211、および米国特許第5,981,568号を参照のこと。
種々の抗NGFアンタゴニスト抗体処方物を投与のために使用することができる。いくつかの実施形態においては、種々の抗NGFアンタゴニスト抗体処方物を、手際よく投与することができる。いくつかの実施形態においては、抗NGFアンタゴニスト抗体と、薬学的に許容される賦形剤が、種々の処方物中で投与される。薬学的に許容される賦形剤は当該分野で公知であり、これらは、薬理学的に有効である物質の投与を容易にする比較的不活性な物質である。例えば、賦形剤は、所定の形態であるかまたは一定の濃度であり得るか、あるいは希釈剤としての役割を果たすこともできる。適切な賦形剤としては、安定剤、湿潤剤および乳化剤、浸透圧を変化させるための塩、カプセル化剤、緩衝液、および皮膚浸透促進剤が挙げられるが、これらに限定されない。非経口および経口による薬物送達のための賦形剤および処方物は、Remington,The Science and Practice of Pharmacy 20th Mack Publishing編(2000)に示されている。
いくつかの実施形態においては、これらの試薬は、注射(例えば、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内など)による投与のために処方される。したがって、これらの試薬を、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液などのような薬学的に許容されるビヒクルと混合することができる。特定の投与レジュメ、すなわち、用量、タイミング、および反復は、特定の固体、および個体の医学的な病歴に応じて変化する。
抗NGF抗体は、注射(例えば、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内など)を含む任意の適切な方法を使用して投与することができる。抗NGF抗体はまた、本明細書中に記載されているように、吸入によって投与することもできる。一般的には、抗NGF抗体の投与については、最初の候補のなる投与量は約2mgである。本発明の目的については、典型的な毎日の投与量は、上記の要因に依存して、約1μg/kgから3μg/kgから30μg/kgから300μg/kgから3mg/kgから30mg/kgから100mg/kg、あるいはそれ以上の範囲である。例えば、抗NGF抗体は、約1μg/kg、約10μg/kg、約20μg/kg、約50μg/kg、約100μg/kg、約200μg/kg、約500μg/kg、約1mg/kg、約2mg/kgで投与することができる。数日間またはそれ以上の期間にわたる反復投与については、症状に応じて、処置は、所望される症状が抑えられるまで、または痛みを減少させるための十分な治療レベルに達するまで、継続される。例示的な用量レジュメには、約2mg/kgの初回用量の投与、その後の約1mg/kgの抗NGF抗体の毎週の維持量の投与、または隔週の約1mg/kgの維持量の投与が含まれる。しかし、医師が望む薬物動態的な崩壊のパターンに応じて、他の投与レジュメが有用である場合もある。例えば、いくつかの実施形態においては、1週間に1回から4回までの投与が想定される。この治療の進行は、従来技術およびアッセイによって容易にモニターされる。投与レジュメ(使用されるNGFアンタゴニスト(単数または複数)を含む)は経時的に変化し得る。
本発明の目的については、抗NGFアンタゴニスト抗体の適切な投与量は、使用される抗NGFアンタゴニスト抗体(またはその組成物)、処置される痛みの型および重篤度、試薬が予防目的または治療目的で投与されるかどうか、以前の治療、患者の病歴、および試薬に対する反応、および主治医の判断によって変化する。通常は、所望される結果が得られる投与量に達するまで、医師が抗NGFアンタゴニスト抗体(例えば、E3)を投与する。用量および/または頻度は処置の経過全体を通じて変化し得る。
半減期のような経験的な考慮が、通常、投与量の決定の一因となる。例えば、ヒトの免疫系と適合する抗体(例えば、ヒト化抗体または完全なヒト抗体)が、抗体の半減期を長くするために、宿主免疫系による攻撃から抗体を防ぐために、使用される場合もある。投与頻度は、治療の経過全体を通じて決定し、調整することができ、通常は、痛みの処置、および/または抑制、および/または緩和、および/または遅延に基づくが、必ずしもそうではない。あるいは、抗NGFアンタゴニスト抗体の連続的な徐放が適切である場合もある。徐放を行うための種々の処方物およびデバイスは当該分野で公知である。
1つの実施形態においては、抗NGFアンタゴニスト抗体の投与量は、1回以上の抗NGFアンタゴニスト抗体の投与(単数または複数)が行われた個体において経験的に決定することができる。個体には、抗NGFアンタゴニスト抗体の増分量が投与される。抗NGFアンタゴニスト抗体または他の同等の抗体の効力を評価するために、痛み指標を追跡することができる。
本発明の方法による抗NGFアンタゴニスト抗体の投与は、例えば、レシピエントの生理学的状態、投与目的が治療的であるかまたは予防的であるか、および熟練した医師に公知である他の要因に応じて、連続的でも断続的でもあり得る。抗NGFアンタゴニスト抗体の投与は、本質的には、あらかじめ選択された期間にわたって連続的に行われる場合も、また、間隔のあいた用量(例えば、痛みが発生する前、間、もしくは後のいずれか)で順次行われる場合もある。
いくつかの実施形態においては、1つ以上の抗NGFアンタゴニスト抗体が存在する場合もある。少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つの異なる抗体、あるいはそれ以上の抗NGFアンタゴニスト抗体が存在し得る。通常は、これらの抗NGFアンタゴニスト抗体は、互いに悪影響を及ぼさない相補的な活性を有する。
本発明に従って使用される抗NGFアンタゴニスト抗体の治療用処方物は、所望される純度の抗体を、任意に選択される薬学的に許容されるキャリアー、賦形剤、または安定剤(Remington,The Science and Practice of Pharmacy 20th edition,Mack Publishing(2000))と混合することによって、凍結乾燥処方物または水溶液の形態で、保存用に調製される。許容されるキャリアー、賦形剤、または安定剤は、使用される投与量および濃度ではレシピエントに対して毒性はなく、これには、緩衝液(例えば、リン酸、クエン酸、および他の有機酸);塩(例えば、塩化ナトリウム;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化物質);防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンズアルコニウム;塩化ベンズエトニウム;フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール;アルキルパラベン(例えば、メチルパラベンもしくはプロピルパラベン);カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン);単糖、ニ糖、および他の炭水化物(グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む);キレート化剤(例えば、EDTA);糖(例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトール;塩を形成する対イオン(例えば、ナトリウム);金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);ならびに/あるいは非イオン性界面活性剤(例えば、TWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)、またはポリエチレングリコール(PEG))が含まれる場合もある。
抗NGFアンタゴニスト抗体を含むリポソームは、例えば、Epstein等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:3688(1985);Hwang等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4030(1980);ならびに米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号に記載されているような、当該分野で公知の方法によって調製される。循環時間が長いリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリンコレステロールおよびPEGから誘導されたホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いる、逆相蒸発法によって作成することができる。リポソームは、所望される直径のリポソームとなるように、決められた孔の大きさのフィルターを通じて押し出される。
有効成分はまた、例えば、コアセルベーション技術または界面重合によって調製されたマイクロカプセル(例えば、ヒドロキシメチルセルロースマイクロカプセルまたはゼラチンマイクロカプセル)、およびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に、それぞれ、コロイド状薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロカプセル、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)中に、またはマイクロエマルジョン中に、捕捉することもできる。このような技術は、Remington,The Science and Practice of Pharmacy 20th Mack Publishing編(2000)に開示されている。
徐放調製物を調製することもできる。徐放調製物の適切な例として、抗体を含む固体の疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられる。このマトリックスは、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルのような成型された粒子の形態である。徐放マトリックスの例として、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸と7−エチル−L−グルタミンのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル共重合体、分解性乳酸−グリコール酸共重合体(例えば、LUPRON DEPOT(登録商標)(乳酸−グリコール酸共重合体と酢酸ロイプロリドから構成される注射することができるマイクロスフェア)、スクロースアセテートイソブチレート、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
生体内投与に使用される処方物は滅菌でなければならない。これは、例えば、滅菌の濾過膜を通過させる濾過によって容易に行われる。治療用の抗NGFアンタゴニスト抗体組成物は、通常、滅菌された接続口を有している容器(例えば、静脈内溶液バッグ、または皮下注射用の注射針によって孔を空けることができるストッパーを有しているバイアル)に入れられる。
本発明の組成物は、経口、非経口、または直腸投与、あるいは吸入または送気による投与のための、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、または坐剤のような単位投与量形態である場合もある。
錠剤のような固形の組成物の調製については、主な有効成分が薬学的キャリアー、例えば、従来の錠剤成分(例えば、トウモロコシ澱粉、乳糖、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、またはガム)および他の薬学的希釈剤(例えば、水)と混合され、本発明の化合物またはその非毒性の薬学的に許容される塩の均質な混合物の均質な混合物を含む固形の予備処方組成物が形成される。これらの予備処方組成物を均質であるという場合には、有効成分が組成物全体に均一に分散させられており、その結果、組成物を錠剤、丸剤、およびカプセル剤のような等しい有効単位投与量形態に容易に分割することができることを意味する。その後、この固形の予備処方組成物は、0.1から約500mgまでの本発明の有効成分を含む上記の型の単位投与量形態へと分割される。新規の組成物の錠剤または丸剤はコーティングすることができ、また、別の方法で、持続性の作用の利点を与える投与量形態を生じるように調合することもできる。例えば、錠剤または丸剤には、内部投与量成分と外部投与量成分とを含ませることができ、後者は、前者の覆う外皮の形態である。2つの成分を、胃での分解には抵抗性があり、内部性分を完全なまま十二指腸へと通過させるか、または放出を遅らせるように作用する腸層によって分離することができる。重合性の酸、およびシェラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースのような材料との重合性の酸の混合物のメンバーを含む材料のような種々の材料を、このような腸層およびコーティングに使用することができる。
適切な界面活性剤として、具体的に、非イオン性試薬(例えば、ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、Tween(登録商標)20、40、60、80、または85)、および他のソルビタン(例えば、Span(登録商標)20、40、60、80、または85)が挙げられる。界面活性剤を含む組成物は、0.05%から5%の間の界面活性剤を含むことが便利であり、0.1から2.5%の間であり得る。必要である場合には、他の成分、例えば、マンニトールまたは他の薬学的に許容されるビヒクルを添加することもできることは明らかである。
適切なエマルジョンは、Intrapid(登録商標)、Liposyn(登録商標)、Infonutrol(登録商標)、Lipofundin(登録商標)、およびLipiphysam(登録商標)のような、市販されている脂肪乳剤を使用して調製することができる。有効成分は、予め混合したエマルジョン組成物中に溶解させることができるか、あるいは、有効成分は、油(例えば、大豆油、ベニバナ油、菜種油、胡麻油、コーン油、またはアーモンド油)中に溶解させるかのいずれかができ、また、リン脂質(例えば、卵のリン脂質、大豆リン脂質、または大豆レシチン)と水の混合の際にエマルジョンを形成させることもできる。エマルジョンの弾力性を調節するために他の成分、例えば、グリセロールまたはグルコースを添加することもできることは明らかである。適切なエマルジョンは、通常、20%までの油、好ましくは、5%から20%の間の油を含み得る。脂質エマルジョンは、0.1から1.0μmの間、具体的には、0.1から0.5μmまでの間の脂質の液滴を含み、5.5から8.0までの範囲のpHを有する。
エマルジョン組成物は、神経成長因子抗体を、Intralipid(登録商標)またはその成分(大豆油、卵のリン脂質、グリセロール、および水)と混合することによって調製されたものであり得る。
吸入または送気のための組成物としては、薬学的に許容される水性溶媒または有機溶媒中の溶液および懸濁液、またはそれらの混合物、ならびに粉末が挙げられる。液体または固体の組成物には、上記に示されたような適切な薬学的に許容される賦形剤を含めることができる。いくつかの実施形態においては、組成物は、局所または全身的な効果のために、経口または鼻腔の呼吸経路によって投与される。好ましくは、滅菌の薬学的に許容される溶媒中のものである、組成物は、気体を使用することによって噴霧することができる。噴霧された溶液は、噴霧デバイスから直接吸い込むことができ、また、噴霧デバイスを、フェイスマスク、テント、もしくは間欠型陽圧呼吸器に取り付けることもできる。溶液、懸濁液、または粉末組成物は、適切な様式で処方物を送達するデバイスから、好ましくは、経口または鼻腔内に投与される場合もある。
治効は、当該分野で周知の方法によって評価することができる。
本発明の抗体およびポリヌクレオチドを含むキット
本発明により、また、検出および/または治療における使用のための、抗体またはポリペプチドを含むキットが提供される。したがって、いくつかの実施形態においては、キットには、抗体E3が含まれる。いくつかの実施形態においては、キットには、本明細書中に記載される抗体またはポリペプチドのいずれかが含まれる。
他の態様においては、キットは、例えば、痛みを有している個体(外科手術後の痛み、関節リウマチの痛み、および変形性関節症の痛みを含む)を処置することを含む、本明細書中に記載される方法のいずれかのために使用することができる。本発明のキットは、適切なパッケージの中に存在し、必要に応じて、緩衝液のような別の成分、および本明細書中に記載される方法のいずれかにおいて抗体を使用するための説明書が提供される場合もある。いくつかの実施形態においては、キットには痛みを処置するための説明書が含まれる。いくつかの実施形態においては、キットには、本明細書中に記載されている抗NGFアンタゴニスト抗体と、個体における関節リウマチの痛みを処置および/または予防するための説明書が含まれる。他の実施形態においては、キットには、本明細書中に記載されている抗NGFアンタゴニスト抗体と、個体における変形性関節症の痛みを処置および/または予防するための説明書が含まれる。いくつかの実施形態においては、抗NGFアンタゴニスト抗体は抗体E3である。
別の態様においては、本発明により、本明細書中に記載されるE3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むキットが提供される。いくつかの実施形態においては、キットにはさらに、本明細書中に記載される方法のいずれかにおいてポリヌクレオチドを使用するための説明書が含まれる。
抗体の親和性を調節するための方法およびCDRを特徴付けるための方法
本発明者らは、抗体のCDRを特徴付けるため、および/または「ライブラリースキャン突然変異誘発」と呼ばれる、抗体のようなポリペプチドの結合親和性を変化させる(例えば、改善する)ための方法を開発した。通常、ライブラリースキャン突然変異誘発は以下のような作業である。CDR中の1つ以上のアミノ酸位置が、当該分野で認識されている方法を使用して、2つ以上のアミノ酸(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個)のアミノ酸で置き換えられる。これにより、クローンの小さいライブラリー(いくつかの実施形態においては、分析される全てのアミノ酸位置についてのもの)が生じ、それぞれが2つ以上のメンバーの複雑さを有する(全ての位置で2つ以上のアミノ酸によって置換される場合)。一般的には、ライブラリーには、自然界に存在している(置換されていない)アミノ酸を含むクローンも含まれる。それぞれのライブラリーに由来する少数のクローン(約20〜80個のクローン)(ライブラリーの複雑さによって異なる)が、標的ポリペプチドに対する結合親和性についてスクリーニングされ、高い結合、同じ結合、低い結合を有しているか、または結合しない候補が同定される。結合親和性を決定するための方法は当該分野で周知である。いくつかの実施形態においては、結合親和性は、BIAcore表面プラズモン共鳴分析を使用して決定される。これにより、約2倍またはそれ以上の結合親和性の差が検出される。BIAcoreは、出発抗体がすでに比較的高い親和性、例えば、約10nMまたはそれ未満のKで結合する場合に、特に有用である。BIAcore表面プラズモン共鳴を使用するスクリーニングは、本明細書中の実施例に記載される。
他の実施形態においては、結合親和性は、Kinexa Biocensor,シンチレーション近接アッセイ、ELISA、ORIGEN免疫アッセイ(IGEN)、蛍光消光、蛍光転移、および/または酵母でのディスプレイを使用して決定される。他の実施形態においては、結合親和性は、適切な生体アッセイを使用してスクリーニングされる。
いくつかの実施形態においては、CDR中の全てのアミノ酸位置が、当該分野で認識されている突然変異誘発方法(その一部は本明細書中に記載される)を使用して20個全ての自然界に存在しているアミノ酸で(いくつかの実施形態においては、一度に)置き換えられる。これにより、クローンの小さいライブラリー(いくつかの実施形態においては、分析される全てのアミノ酸位置についてのもの)が生じ、それぞれが、20のメンバーの複雑さを有する(全ての位置について、20個の全てのアミノ酸で置換される場合)。
いくつかの実施形態においては、スクリーニングされるライブラリーには、2つ以上の位置に置換が含まれ、それらは同じCDRの中にある場合もあり、また2つ以上のCDRの中にある場合もある。したがって、いくつかの実施形態においては、ライブラリーには、1つのCDR中の2つ以上の位置に置換が含まれる。他の実施形態においては、ライブラリーには、2つ以上のCDRの中の2つ以上の位置に置換が含まれる。さらに他の実施形態においては、ライブラリーには、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の位置に置換が含まれ、上記の位置は、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDR中に見られる。いくつかの実施形態においては、置換は、縮重度の低いコドンを使用して調製される。例えば、Balint等,(1993)Gene 137(1):109−18の表2を参照のこと。
いくつかの実施形態においては、CDRは、CDR H3および/またはCDR L3である。他の実施形態においては、CDRは、CDR L1、CDR L2、CDR L3、CDR H1、CDR H2、および/またはCDR H3の1つ以上である。いくつかの実施形態においては、CDRは、Kabat CDR、Chothia CDR、または伸張型CDRである。
改善された結合を有する候補を配列決定することができ、それにより、改善された親和性を生じるCDR置換変異体(「改良された」置換体とも呼ばれる)を同定することができる。例えば、実施例1に示されるように、この方法を使用することにより、同じアミノ酸位置でのおよそ18個の他の置換体によっては結合が生じない(すなわち、抗体機能がない)場合であっても、結合が改善された1つの置換体を同定することができる。結合する候補をまた配列決定することもでき、それによって結合を保っているCDR置換体を同定することができる。
いくつかの実施形態においては、複数回のスクリーニングが行われる。例えば、結合が改善された候補(それぞれが、1つ以上のCDRの1つ以上の位置にアミノ酸置換を含む)はまた、それぞれの改善されたCDR位置(すなわち、その位置での置換変異体が改善された結合を示す、CDR中のアミノ酸位置)に、少なくとも、もとのアミノ酸と置換されたアミノ酸を含む、第2のライブラリーの設計にも有用である。このライブラリーの調製、およびスクリーニングまたは選択は、以下でさらに議論される。
ライブラリースキャン突然変異誘発によっては、また、改善された結合、同じ結合、低下した結合を有するかまたは結合しないクローンの頻度によってもまた、抗体−抗原複合体の安定性についてのそれぞれのアミノ酸位置の重要性に関する情報が提供される限りは、CDRを特徴付けるための手段も提供される。例えば、CDRの1つの位置が、20個の全てのアミノ酸に変更された場合にも結合を保持している場合には、その位置は、抗原結合におそらく必要のない位置として同定される。逆に、CDRの1つの位置が、ごく少ない割合の置換体においてしか結合を保持できない場合には、その位置は、CDR機能に重要な位置として同定される。したがって、ライブラリースキャン突然変異誘発方法により、多くの異なるアミノ酸(20個の全てのアミノ酸を含む)に変化させることができるCDR中の位置、および変化させることができないかまたは少数のアミノ酸にのみ変化させることができるCDR中の位置に関する情報が得られる。この態様は、実施例1で議論され、説明される。
いくつかの実施形態においては、改善された親和性を有している候補が、第2のライブラリー中で混合される。これには、その位置に、改良されたアミノ酸、もとのアミノ酸が含まれ、さらに、所望されるライブラリーの複雑さに応じて、または所望されるスクリーニング方法もしくは選択方法を使用して許容されるライブラリーの複雑さに応じて、別の置換がその位置に含まれる場合もある。さらに、所望される場合には、隣接するアミノ酸位置をランダムにして、少なくとも2つ以上のアミノ酸にすることもできる。隣接するアミノ酸をランダムにすることにより、変異体CDR中にさらに立体構造上の可撓性を提供することができ、これにより次いで、多数の改良性の変異の導入が可能に、または容易になる場合もある。いくつかの実施形態においては、ライブラリーには、初回のスクリーニングにおいては改善された親和性を示さなかった位置にも置換が含まれる。
第2のライブラリーは、BIAcore表面プラズモン共鳴分析を使用するスクリーニング、ならびに、ファージディスプレイ、酵母によるディスプレイ、およびリボソームディスプレイを含む選択のための当該分野で公知の任意の方法を使用する選択を含む、当該分野で公知の任意の方法を使用して、改善された結合親和性および/または変更された結合親和性を有しているライブラリーのメンバーについてスクリーニングまたは選択される。
抗体の親和性を調節するため、およびCDRを特徴付けるための方法の利点
これらの方法は、結合を改善するかまたは結合を保持するアミノ酸置換を同定するための、CDRアミノ酸位置の予備スクリーニングに有用である。重要な残基、結合を改善する置換および/または抗体機能を保持する置換の予備同定により、親和性成熟ライブラリーの効率のよい設計およびスクリーニングが可能になる。
この方法はまた、CDRを特徴付けるためにも有用であり、これにより、抗原に対する結合についてCDR中のそれぞれのアミノ酸位置の重要性に関する総合的な情報が提供される。この方法はまた、結合を改善する置換を同定するためにも使用することができる。
それぞれの位置を(いくつかの実施形態においては、同時に)ランダムにすることができる小さいライブラリーを使用することにより、BIAcoreのような感度の高い方法を使用して置換変異体をスクリーニングすることができる。これにより、詳細な速度論情報が提供される。スクリーニング方法は、大きなライブラリーがスクリーニングされる場合には、一般的に実用的ではない。その代わりに、ファージディスプレイ、酵母によるディスプレイ、およびリボソームディスプレイのような選択方法が、結合を保持しているクローンを同定するために一般的に使用される。ファージディスプレイおよびELISAアッセイは、クローンから調製されたタンパク質試料の濃度に大きく依存する場合があり、したがって、高い結合親和性を有しているクローンを同定するよりもむしろ、発現が増大した、安定性が向上した、または毒性が低下したクローンに大きく偏る傾向にある。さらに、クローンの発現レベルの差は、結合親和性の小さな改善を隠してしまう場合がある。これらの欠点は、高い結合親和性を有している抗体が出発材料として使用される場合には、特に深刻である。なぜなら、充分にストリンジェントであるスクリーニングのためには、非常に低いレベルの抗原を使用しなければならないからである。
対照的に、本発明の方法、例えば、それぞれの位置(いくつかの実施形態においては、一度に1つの位置)でランダムにすることによって、例えば、所定の位置について20個の全てのアミノ酸の置換を導入し、その効果を特徴付けることが可能になる。この分析により、所定の位置でどれほど多くの置換が寛容であるか(すなわち、抗体結合を維持できるか)についての情報が提供され、次いで、抗体機能についてのそれぞれのアミノ酸の重要性に関する情報が提供される。さらに、所定の位置での置換の多くまたはほとんどによって機能性ではない(結合しない)抗体が生じる状況であっても、結合の改善を生じる置換を同定することができる。反対に、アラニンスキャン突然変異誘発(これは、通常、重要なCDR位置を同定するために使用される)によっては、アラニンの置換により結合が可能になるかまたは結合が妨げられるかに関する情報が提供される。一般的には、アラニン置換によって結合が妨げられる位置は、親和性成熟ライブラリーから除かれる。しかし、多くの場合においては、アラニンはCDR位置ではほとんどない置換であり得る。
この方法によって、単一のCDR変異の効果を同定し、特徴付けることもできる。反対に、ファージディスプレイのような方法によっては、多くの変異が同時に導入され、選択され、それによってポジティブな変異が特定のクローン中に存在する不利な変異の存在によって隠されてしまう危険性が増大する可能性がある。
この方法はまた、この方法によって改善された結合親和性を生じる少数の変異(例えば、1つのCDR中の1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの変異)の同定が可能である限りは、元の(出発)抗体の結合特異性を保ったまま、親和性を改善するために有用である。反対に、ファージディスプレイのような方法によっては、通常は、一度に複数の変異を使用して結合親和性が改善される。これによっては、抗体の特異性がシフトし、そして/または望ましくない交差反応性が増大する場合がある。
以下の実施例は、本発明を説明するために提供されるが、これらに限定されることはない。
(実施例1)
マウスのアンタゴニスト抗NGF抗体911のヒト化および親和性成熟
A.一般的方法
以下の一般的方法を、本実施例において使用した。
ライブラリーの作成
ライブラリーは、Kay等(1996),Phage display of peptides and proteins:a laboratory mannual,San Diego,Academic Press(pg277−291を参照のこと)に記載されているような、縮重オリゴヌクレオチドを用いたPCRカセット突然変異誘発によって作成した。ドーピングコドンNNKを使用して、1つのアミノ酸位置を20個の可能なアミノ酸を含むようにランダムにした。1つのアミノ酸位置を特異的な特性を有しているアミノ酸のセットのみを含むようにランダムにするために、ドーピングコドンを、Balint等(1993)Gene 137(1):109−18に記載されているように使用した。部位特異的突然変異誘発を、Innis等(1990)PCR protocols:A guide to methods and applications(pp.177−183を参照のこと)に記載されているように、組み換えPCRを使用して行った。
少量のFabの調製
96ウェルプレート中での少量の発現を、Fabライブラリーをスクリーニングするために最適化した。Fabライブラリーで形質転換した大腸菌(E.coli)から出発して、コロニーを採取して、マスタープレート(寒天LB+アンピシリン(50μg/ml)+2%のグルコース)と、作業プレート(2ml/ウェル、96ウェル/プレート、1.5mLのLB+アンピシリン(50μg/ml)+2%のグルコースを含む)の両方に植菌した。両方のプレートを30℃で8〜12時間増殖させた。マスタープレートを4℃で保存し、作業プレートに由来する細胞を、5000rpmでペレットにし、1mLのLB+アンピシリン(50μg/ml)+1mMのIPTGとともに再懸濁して、Fabの発現を誘導した。細胞を、30℃で5時間の発現時間の後、遠心分離によって回収し、その後、500μLの緩衝液HBS−EP(100mMのHEPES緩衝液(pH7.4)、150mMのNaCl、0.005%のP20、3mMのEDTA)に再懸濁した。HBS−EPに再懸濁した細胞の溶解を、1サイクルの凍結(−80℃)とその後の37℃での融解によって行った。細胞溶解物を5000rpmで30分間遠心分離して、Fabを含む上清から細胞の破片を分離した。その後、上清をBIA coreプラズモン共鳴装置に注入して、それぞれのFabについての親和性の情報を得た。Fabを発現するクローンをマスタープレートから取り出して、以下に記載するように、DNAを配列決定し、大量のFabを生産させ、詳細に特徴付けた。
大量のFabの調製
詳細な速度論パラメーターを得るために、Fabを、大量の培養物から発現させ、精製した。200mLのLB+アンピシリン(50μg/ml)+2%のグルコースを含む三角フラスコに、選択したFabを発現する大腸菌(E.coli)クローンの一晩培養物5mLを植菌した。クローンを、30℃で、OD550nmが1.0に達するまでインキュベートし、その後、200mlのLB+アンピシリン(50μg/ml)+1mMのIPTGに培地を交換することによって誘導した。30℃で5時間の発現時間の後、細胞を遠心分離によってペレットにし、その後、10mLのPBS(pH8)に再懸濁した。細胞の溶解を、2サイクルの凍結/融解(それぞれ、−80℃および37℃)によって行った。細胞溶解物の上清を、PBS(pH8)で平衡化したNi−NTAスーパーフローセファロース(Qiagen,Valencia,CA)カラムにロードし、その後、5倍のカラム容量のPBS(pH8)で洗浄した。個々のFabを、PBS(pH8)+300mMのイミダゾールで種々の画分中に溶出させた。Fabを含む画分をプールし、PBS中で透析し、その後、ELISAによって定量した後、親和性を特徴付けた。
抗体全体の調製
抗体全体を発現させるために、重鎖および軽鎖可変領域を、2つの哺乳動物発現ベクター(軽鎖についてはEb.911.E3またはEb.pur.911.3E、および重鎖についてはEb.911.3E;本明細書中に記載されている)中にクローニングし、リポフェクタミンを使用して、一時的発現のためにHEK293細胞にトランスフェクトした。抗体を、標準的な方法を使用し、プロテインAを使用して精製した。
BIAcoreアッセイ
抗NGF Fabとモノクローナル抗体の親和性を、BIAcore3000(登録商標)表面プラズモン共鳴(SPR)システム(BIAcore,INC,Piscaway NJ)を使用して決定した。CM5チップを、供給業者の説明書にしたがって、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)とN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化させた。ヒトNGFを、10mMの酢酸ナトリウム(pH4.0)で希釈して、0.005mg/mLの濃度で活性化したチップ上に注入した。個々のチップチャンネルを通過させるフロー時間を変化させることをもちいて、2つの抗原密度の範囲に到達させた:詳細な速度論の研究については100〜200反応単位(RU)、そしてスクリーニングアッセイについては500〜600RU。チップをエタノールアミンでブロックした。再生の研究は、Pierce溶出緩衝液(製品番号21004、Pierce Biotechnology,Rockford,IL)と4MのNaClの混合物(2:1)により200回の注入全てについてチップ上でhNGFの活性を維持したまま、結合したFabが効率よく除去されたことを示した。HBS−EP緩衝液(0.01MのHEPES(pH7.4)、0.15 NaCl、3mMのEDTA、0.005%のSurfactant P29)を、BIAcoreアッセイの泳動緩衝液として使用した。
スクリーニングアッセイ
スクリーニングBIAcoreアッセイを、ライブラリーからFabクローンの親和性を決定するために最適化した。少量の培養溶解物の上清を、50μl/分で2分間かけて注入した。BIAevaluationソフトウェアを用いた1つの指数的な解離速度(koff)の決定のためには、10から15分間の解離時間を使用した。ライブラリーを作成するために使用した温度と同じ範囲のkoff速度を示した試料(クローン8L2−6D5、k0ff1×10−3−1)を確認のために注入し、45分までの解離時間によって良好なkoff値を得た。改善された(より遅い)koff値を示すクローンを大量に発現させて、全ての速度論パラメーターであるkonおよびkoffを精製したタンパク質について決定した。このアッセイによって、およそ2倍またはそれ以上の親和性の差を検出することができた。
親和性決定アッセイ
精製したFab試料の段階希釈物(0.1〜10×推定のK)を100μL/分で1分間かけて注入し、2時間までの解離時間とした。Fabタンパク質の濃度をELISAおよび/またはSDS−PAGE電気泳動によって、既知の濃度のFabを標準物(アミノ酸分析によって決定した)として使用して決定した。動的会合速度(kon)および解離速度(koff)を、1:1のLangmuir結合モデル(Karlsson,R.,Roos,H.,Fagerstam,L.Petersson,B.(1994).Methods Enzymology 6.99−110)に対して、BIAevaluationプログラムを使用してデータをフィットさせることによって同時に得た。平衡解離定数(K)値をkon/koffとして計算した。
B.マウスのアンタゴニスト抗NGF抗体911のヒト化および親和性成熟
マウスのアンタゴニスト抗NGF抗体である911(Hongo等(2000),Hybridoma 19(3):215−227を参照のこと)を、ヒト化および親和性成熟のために選択した。Mab 911は、ヒトおよびラットのNGFに対して高い親和性で結合し、そしてニューロトロフィンNT3、NT4/5、またはBDNFとは有意な交差反応性は示さない。Hongo(同文献)を参照のこと。マウスMab 911のパパインで切断したFab断片の親和性を、上記のようなBIAcore分析を使用して決定した。マウスMab 911のパパインで切断したFab断片は、およそ10nMのKでヒトNGFに結合した。
ヒト化および親和性成熟は、以下のようにいくつかの段階にわけて行った:
(1)CDR接続鋳型の調製。抗体911の軽鎖の伸張型CDR(すなわち、Kabat CDR領域とChothia CDR領域の両方を含む)を、JK2を有しているヒトの生殖系アクセプター配列O8に接続させ、抗体911の重鎖の伸張型CDRを、JH4を有しているヒトの生殖系アクセプター配列VH4−59に接続させた。ヒトの生殖系のアクセプター配列のアミノ酸配列は、図1Aおよび1Bに示す。アミノ酸のナンバリングは連続的である。上記に示したタンパク質フレームワークを使用して、マウスCDRを有しているヒトフレームワークをコードする合成遺伝子のDNA配列を設計した。これらのヒト化重鎖および軽鎖可変ドメインを、それぞれ、hVHおよびhVLと呼ぶ。コドンは、大腸菌(E.coli)およびハムスターでの使用法について最適になるようにした。それぞれの鎖について2つの短い隣接プライマーを有している全長のhVLおよびhVHにまで伸びるいくつかの重複オリゴヌクレオチド(69〜90塩基の長さ)を使用して、原則としてProdromou等(1992)Protein Eng 5(8):827−9に記載されているように、回帰PCR(reculsive PCR)によって2つの遺伝子を別々に合成した。得られた正確な長さのDNA断片をゲル精製し、その後、大腸菌(E.coli)の2シストロン性発現プラスミド(アンピシリン耐性)にクローニングした。抗体の発現は、Barbas(2001)Phage display:a laboratory manual,Cold Spring Harbor,NY,Cold Spring Harbor Laboratory Press(Vector pComb3X、pg.2.10を参照のこと)に記載されているものと同様のIPTG誘導性lacZプロモーターの制御下にあるが、修飾によって以下の別のドメインの付加および発現を含めた:ヒトκ軽鎖定常ドメイン(GenBank登録番号CAA09181を参照のこと)およびIgG2aヒト免疫グロブリンのCHI定常ドメイン(GenBank登録番号P01859)。
8L2−4D5と呼ばれるCDR接続型抗体(「鋳型」とも呼ぶ)の可変領域のアミノ酸配列もまた、図1Aおよび1Bに示す。8L2−4D5の親和性を、上記のBIAcore分析を使用して決定した。8L2−4D5は、およそ38nMのKでヒトNGFに結合した。
(2)フレームワーク配列への点変異の導入。V71K置換を、Innis等(1990)PCR strategies,San Diego,Academic Pressに記載されているように、組み換えPCR部位特異的突然変異誘発を使用してCDR接続重鎖の中に導入した。この置換によって、ヒトのフレームワーク残基を対応するマウスのフレームワーク残基で置き換えた。得られた抗体を8L2−6D5と呼び、8L2−6D5の重鎖可変領域のアミノ酸配列を図1Aに示す。8L2−6D5の親和性を、上記のBIAcore分析を使用して決定した。8L2−6D5のFab断片は、およそ15nMのKでヒトNGFに結合した。8L2−6D5を親和性成熟のための鋳型として選択した。
(3)CDR L1、L2、H1、およびH2のヒト化および親和性成熟。CDR L1、L2、H1、およびH2をヒト化し、そして親和性成熟させた。CDR L1、L2、H1、およびH2中の、CDRの構造に必須ではないアミノ酸位置を、Chothiaの基準構造(Al−Lazakani等(1997)J.Mol.Biol.273(4):927−48を参照のこと)に基づいて同定し;以下のようにランダムにした。表2に示した軽鎖の変異または重鎖の変異を含む2つのライブラリーを調製し、それぞれ、Balint等,(1993)Gene 137(1):109−18に記載されているドーピングコドンを使用して、Kay等(1996),Phage display of peptides and proteins:a laboratory mannual,San Diego,Academic Pressに記載されているように、縮重オリゴヌクレオチドを用いたPCRカセット突然変異誘発を使用して接続型(マウス)CDR L3またはCDR H3とした。一般的には、アミノ酸残基を、抗体911の軽鎖および重鎖のアミノ酸配列の、ヒトの生殖系の抗体配列とのアラインメントに基づいて、ヒト抗体においてより一般的である残基に変更した。メチオニンであるCDR H2の残基50を除いて野生型である(置換されていない)アミノ酸残基もまた、ライブラリー中に提示した。ここでは、野生型のメチオニンはライブラリー中には提示されなかった。メチオニン残基は酸化される;したがって、この残基の置換は、得られる抗体の安定性を改善すると予想した。Fabのライブラリーを、上記のベクターpComb3X+ヒトCH1およびCκ領域にクローニングした。
Figure 2006525955
親和性スクリーニング実験のために、それぞれのライブラリーをさらに、対応するCDR接続型軽鎖または重鎖と対合させ(例えば、H1/H2ライブラリーをCDR接続型軽鎖と対合させた)、抗体を発現させ、個々のクローンのヒトNGFに対する親和性を、製造業者の説明書に従い、上記のようにBIAcore表面プラズモン共鳴(SPR)システム、(BIAcore,INC,Piscaway NJ)を使用してスクリーニングした。koff、Kon、およびKを決定した。抗体クローンをkoff速度に基づいてランク分けした。なぜなら、通常、親和性のほとんどのバリエーションはKoff速度において見られるからであり、さらには、koff速度は抗体濃度とは無関係であるからである。
結合したクローンの配列を決定し、結合したクローンの配列を表3に示す
Figure 2006525955
Figure 2006525955
Figure 2006525955
以下の置換を含むCDRは結合を保持した:
CDR−H1
I34:S、L、V、I、およびAは結合した。
N35:N、T、およびSは結合した。
CDR−H2
M50:M、I、G、Q、S、Lは結合した。
A62:AおよびSは結合した。
L63:LおよびVは結合した。
CDR−L1
S26:SおよびFは結合した。
D28:D、S、A、Yは結合した。
H32:H、N、Qは結合した。
CDR−L2
Y50:Yは結合した。
I51:I、T、V、Aは結合した。
F54:Fは結合した。
S56:SおよびTは結合した。
以下の置換を含むCDRを、結合親和性に基づいて一般的に選択し、単一のクローンとなるように組み合わせ、これをH19−L129と呼ぶ:
CDR−H1:I34L;N35N(変化なし)
CDR−H2:M50I;A62A(変化なし);L63V
CDR−L1:S26S(変化なし);D28S;H32N
CDR−L2:Y50Y(変化なし);I51T;F54F(変化なし);S56S(変化なし)。
これらの変異を組み合わせて(PCRによってH鎖とL鎖を増幅し、PCR産物とベクター(pRN8)を制限酵素で切断し、3つの断片の連結を行うことにより)、1つのクローンとし、これをH19−L129と呼ぶ。これには、接続型のH3およびL3 CDRも含まれる。H19−L129の重鎖可変領域および軽鎖可変領域の配列は、図1Aおよび1Bに示す。表4は、CDR L1、L2、H1、およびH2のアミノ酸配列を示す。H19−L129は、本明細書中に記載したBIAcore分析を使用して決定すると、およそ1nMのKでNGFに結合した。
Figure 2006525955
(4)H3およびL3 CDRの親和性成熟。H3およびL3 CDRの親和性成熟を、2段階で行った。最初に、「ライブラリースキャン突然変異誘発」と呼ばれるプロセスにおいて、H3およびL3中のそれぞれのアミノ酸残基を、その位置での変異によってヒトNGFに対して増大した結合親和性を生じるアミノ酸位置を同定するために、個々に事前にスクリーニングした。ライブラリースキャン突然変異誘発(「小さいライブラリーのランダム化分析とも呼ばれる)の結果に基づいて、H3およびL3のアミノ酸位置のサブセットを、親和性成熟ライブラリーの調製のために選択し、親和性成熟ライブラリーを、本明細書中に記載したBIAcore分析を使用してヒトNGFに対する親和性についてスクリーニングした。これらの技術が広く適用できることは明らかである。
(a)ライブラリースキャン突然変異誘発
H3 CDRおよびL3 CDRのそれぞれのアミノ酸位置を、ヒトNGFに対して増大した結合親和性を生じる置換について、個々に事前にスクリーニングした。任意の所定の位置において改善された結合、同じ結合、低下した結合を生じるか、または結合しないアミノ酸置換の頻度により、多くの異なるアミノ酸(20個の全てのアミノ酸を含む)に変化させることができるCDR中の位置、および変化させることができないか、または数個のアミノ酸にしか変化させることができないCDR中の位置に関する情報が得られた。増大した結合親和性を生じるアミノ酸置換もまた同定した。これらのスクリーニングの結果に基づいて、CDR H3およびCDR L3中のアミノ酸位置のサブセットを、親和性成熟ライブラリーの調製のために選択した。
L3 CDRおよびH3 CDRのそれぞれのアミノ酸を、20個の全てのアミノ酸になるように、1つずつランダムにした個々のFabライブラリーを調製し、これによっていくつか(軽鎖については5個のライブラリー、および重鎖については13個のライブラリー)の小さいライブラリーを得た。それぞれは、各アミノ酸位置において20アミノ酸の可能性の複雑さを有する。全ての場合において、自然界に存在している(変化させていない)アミノ酸もライブラリー中に存在させた。ライブラリーを、ドーピングコドンNNKを使用して、Kay等(1996),Phage display of peptides and proteins:a laboratory mannual,San Diego,Academic Pressに記載されている縮重オリゴヌクレオチドを用いたPCTカセット突然変異誘発によって、1つのアミノ酸位置についてランダムにして20個の可能なアミノ酸を含むように調製した。8L2−6D5(CDR接続型抗体、フレームワーク変異V71Kを有している)を、ライブラリーの構築のための鋳型とした。なぜなら、CDR接続型抗体の低い親和性によって、スクリーニングの間にH3変異体およびL3変異体における親和性の差を容易に検出できるからである。したがって、ライブラリーの各メンバーには、1つのアミノ酸置換を有しているCDR3(H3またはL3のいずれか)と5つの接続させられたCDRを含めた。
それぞれの小さいライブラリーに由来する20〜80個のクローンを、本明細書中に記載したBIAcore分析を使用してスクリーニングした。試料を、BIAcoreによって、BIAcoreチップの1つのチャンネルの中でNGFに対する結合親和性について、およびセンサーチップの別のチャンネルにおいては5hisタグ抗体に対する結合によってFabの存在について同時に分析して、重鎖のC末端のhisタグを検出した。発現されたタンパク質を同じ親和性、低下した親和性、良好な親和性を有するか、または結合しないとして、分類用のkoffを使用して分類した。この分析の結果を表5に示す。
Figure 2006525955
親和性が改善された全てのクローンの配列を決定した。これにより、親和性の増大を生じたアミノ酸置換の頻度および実体が明らかになった。さらに、置換によって必ずしも結合親和性が増大しない場合であってもなお、所定の位置で許可されたアミノ酸置換であることを確認するために、8L2−6D5クローンと同様の親和性を保持していたいくつかのクローンをそれぞれのライブラリーから選択した。この分析の結果を表6にまとめる。
Figure 2006525955
いくつかの変異体は高い結合親和性を生じた。少なくとも以下の変異によって、8L2−6D5鋳型と比較して、明らかに高い結合親和性が生じた(H_Y101W(CDR配列GGYWYGTSYYFDY(配列番号46));H_S105A(CDR配列GGYYYGTAYYFDY(配列番号47));H_S105T(CDR配列GGYYYGTTYYFDY(配列番号48));H_G103A(CDR配列GGYYYATSYYFDY(配列番号49));およびL_S91E(CDR配列番号QQEKTLPYT(配列番号50))。
これらの実験結果を使用して、親和性成熟ライブラリーを作成するためのアミノ酸位置の選択の指針とした。
この実験によっては、また、表5に示したように、改善された結合、同程度の結合、低下した結合を生じたか、または結合しなかった任意の所定の位置でのアミノ酸置換の頻度に関する情報も提供された。この情報により、多くの異なるアミノ酸(20個の全てのアミノ酸を含む)に変化させることができるCDR中のアミノ酸位置、および数個のアミノ酸または極少数のアミノ酸にしか変化させることができない(いくつかの実施形態においては、いずれのアミノ酸にも変化させることができない)CDR中の位置の同定が可能になった。これらの結果もまた、結合親和性を増大させるアミノ酸置換を明らかにした。
(b)親和性成熟
次に、小さいライブラリーのランダム化分析(上記)の結果を使用して、H3 CDRおよびL3 CDRの親和性成熟のためのH3およびL3ライブラリーを生産するために残基を選択した。CDR H3の残基Y101およびG103、ならびにCDR L3の残基S91およびK92を、H3 CDRおよびL3 CDRの親和性成熟のためのH3およびL3ライブラリーを生産するために選択した。
このライブラリーは、CDR接続型クローン8L2−6D5においては同時に、そしてH19−L129の骨格中では別々に、H3およびL3中の突然変異を持ち合わせており、80個の異なるクローンの多様性を有している。表7は、置換のために選択したアミノ酸残基と、それぞれの位置で置換したアミノ酸を示す。
Figure 2006525955
それぞれのポリペプチドをFabとして発現させ、96個の個々のクローンのヒトNGFに対する親和性を、製造業者の説明書に従って、上記のようにBIAcore分析を使用してそれぞれのライブラリーについてスクリーニングした。この分析の結果を表8に示す。
Figure 2006525955
Figure 2006525955
結合親和性に基づいて、最良のクローンであるE3(同義的に「3E」とも呼ばれる)および3Cをさらなる特徴付けのために選択した。E3には、以下のCDR置換:CDR−H3:Y101W、G103A;およびCDR−L3:S91E、K92Hが含まれる。これらは、単一のクローンの中に組み合わせられており、これにはまた、以下のL1、L2、H1、およびH2変異も含まれる:
CDR−H1:I34L;
CDR−H2:M50I;L63V;
CDR−L1:D28S;H32N;
CDR−L2:I51T。
E3の重鎖および軽鎖の可変領域の配列は、1Aおよび1Bに示されている。3Cには、以下のCDR置換:CDR−L3:S91E;K92R;CDR−H3:Y101W;G103Aが含まれてる。これらは、単一のクローンの中に組み合わせられており、これにはまた、クローン3Eについて記載されたL1、L2、H1、およびH2変異も含まれている。
3Eおよび3Cの配列を、Fabおよび抗体全体の生産のために哺乳動物発現ベクターにクローニングし、HEK293細胞中で発現させ、Ni−NTAまたはプロテインAクロマトグラフィーを使用して精製した。純粋なタンパク質をアミノ酸分析によって正確に定量した。
Fab E3およびFab 3CのヒトNGFに対する結合親和性を、100RUのNGFを再結合作用を防ぐためにチップ上で使用したことを除いて、製造業者の説明書にしたがって上記のようにBIAcore分析を使用して測定した。簡単に言うと、いくつかの濃度の抗体(Fab)を、100RUのヒトNGFをその上に固定したCM5チップ上に2分間かけて注入し、1800秒かけて解離させた。マウス抗体911(Fab)を対照として分析した。データを製造業者の説明書にしたがってBIAevaluationソフトウェアを使用して分析した。抗体E3および911の分析の結果を図9および10に示す。E3は、およそ0.07nMのKでヒトNGFに結合した(約6.0e5M−1s−1のkon、および約4.2e−5s−1のkoffを有した)。3Cは、およそ0.35nMのKでヒトNGFに結合した(約1.4E−5のkoffを有した)。対照的に、マウス抗体911は、3.7nMのK、8.4×10−5−1のkoff、および2.2×10Ms−1のkonでNGFに結合した。
抗体E3(同義的に3Eとも呼ばれる)を、高い結合親和性に基づいてさらなる分析のために選択した。NGFのNGF受容体であるtrkAおよびp75との相互作用を妨げるE3の能力を試験するために、2.5nMのヒトNGFを0〜50nMの抗体E3(Fab)と予め混合し、1時間インキュベートした。インキュベーションの後、試料を260RUのp75(チャンネル2)および600RUのtrkA(チャンネル3)を含むBIAcore CM5チップ上に10μl/分で注入し、結合の割合(%)を決定した。この分析の結果を図11に示す。高濃度のFab E3は、シグナルの低下によって示される(RUについて測定した)ように、p75とtrkAの両方とのNGFの相互作用をブロックした。このことは、Fab E3がtrkAとp75の両方とのヒトNGFの相互作用をブロックすることを示している。抗体E3(Fab)濃度がNGF濃度と等しい(約2.5nMのNGF濃度で)場合には、NGFの結合は観察されなかった(ゼロのシグナルによって示される)。NGFの濃度が抗体3Eの濃度と等しい場合に起こるゼロパーセントのNGF−受容体結合は、2.5nMのNGFが、NGFについてのE3のKよりも少なくとも10倍高く、平衡状態にあることを示唆している。
(実施例2)
マウスE13.5三叉神経ニューロンの生存性アッセイを用いた抗NGF抗体のNGFブロック能力の評価
Fab E3または抗体E3全体のNGF活性をブロックする能力を、生体外でのマウスE13.5三叉神経ニューロンのNGF依存的生存性を阻害する抗体の能力の測定によって評価した。三叉神経ガングリオンは、顔の領域に神経を分布させる皮膚の感覚ニューロンから構成される。マウスE13.5三叉神経ニューロンの生存性は、抗NGFアンタゴニスト抗体のNGFをブロックする活性を評価するための感度の高いアッセイである。なぜなら、NGFはこれらのニューロンの生存性をサポートするために必要であるからである。例えば、NGFの飽和濃度では、生存性は培養物中で48時間まで100%に近い。対照的に、NGFが存在しない場合には、48時間までのニューロンの生存性は5%に満たない。
生存性アッセイは以下のように行った:交尾した(time−mated)妊娠しているSwiss Webster雌性マウスを、COの吸入によって安楽死させた。子宮角を取り出し、胚段階のE13.5の胚を摘出し、その頭部を切り落とした。三叉神経ガングリオンを、電解によって研いだタングステン針を使用して解剖した。その後、ガングリオンをトリプシン処理し、機械によって解離させ、ポリ−L−オルニチンとラミニンでコーティングした96ウェルプレート中の定義された血清を含まない培地中に1ウェルあたり200〜300細胞の密度でプレートした。
抗NGF Fabまたは抗体のブロッキング活性を、抗NGF抗体Mab 911(Fab)、8L2−6D5;H19−L129;E3および3C;ならびにヒトまたはラットのNGFの種々の用量を、以下の濃度で三叉神経ニューロンに対して添加することによって評価した:0.4ng/ml(約15pM;この濃度は、生存性のためのNGFの飽和濃度を示す)および0.04ng/ml(約1.5pM;この濃度はほぼIC50である)。培養物中で48時間の後、細胞を、以下のようにBiomek FX liquid handling workstation(Beckman Coulter)上で行った自動免疫細胞化学プロトコールに供した:4%のホルムアルデヒド、5%のスクロース、およびPBSを使用した固定;PBS中の0.3%のTriton X−100を使用した透過化;PBS中の5%の正常なヤギ血清、0.11%のBSAを使用した非特異的結合部位のブロック;ならびにニューロンを検出するための一次抗体および二次抗体との連続的なインキュベーション。一次抗体は、タンパク質遺伝子産物89.5(PGP9.5,Chemicon)(確立されているニューロンの表現形マーカー)に対するウサギポリクローナル抗体である。二次抗体は、Alexa Fluor 488ヤギ抗ウサギ(Molecular Probes)であり、培養物中に存在する全ての細胞の核を標識するために核色素Hoechst 33342(Molecular Probes)と共に使用した。画像の獲得と画像分析は、Discovery−I/GenII Imager(Universal Imaging Corporation)で行った。画像は、Alexa Fluor 488とHoechst 33342についての2つの波長で自動的に獲得し、核染色をImagerの画像に基づく自動焦点システムの標点として使用した。なぜなら、核染色は全てのウェル中に存在するからである。適切な倍率、およびウェルあたりの撮影する部位の数を選択して、それぞれのウェルの表面全体をカバーできるようにした。自動画像分析を、抗PGP9.5抗体でのそれら特異的な染色に基づいて、培養物中での48時間後にそれぞれのウェル中に存在するニューロンの数をカウントするように設定した。画像の注意深い閾値化、ならびに形態および蛍光強度に基づく選択フィルターの適用によって、ウェルあたりのニューロンの正確な数を得た。
この実験の結果は、Fab E3が高い親和性を有してNGF活性をブロックしたことを明らかにした。結果を、図4〜6、および表9に示す。
図4は、種々の濃度のヒトNGFおよびラットNGFの存在下でのE13.5ニューロンのNGF依存的生存性を示すグラフである。
図5は、0.04ng/mlのヒトNGF(およそ1.5pM;下のパネルに示す)または0.4ng/mlのヒトNGF(およそ15pM;上のパネルに示す)のいずれかの存在下での種々のFabのNGFブロック効果を比較するグラフである。1.5pMのNGFは生存性を促進するNGFのほぼEC50であり、一方、15pMはNGFの飽和濃度を示す。種々の濃度のFab E3;マウス911 Fab;およびFab H19−L129、ならびにFab 8L2−6D5中でのE13.5マウス三叉神経ニューロンの生存性を上記のように評価した。IC50(pM)をそれぞれの濃度で各Fabについて計算した。これを表9に示す。Fab E3は、ヒトNGF依存性の三叉神経ニューロンの生存性を強くブロックし、15pMのヒトNGFの存在下ではIC50はおよそ21pMのIC50、1.5pMのヒトNGFの存在下ではIC50はおよそ1.2pMであった。Fab 3CおよびH19−L129もまた、ヒトNGF依存性の三叉神経ニューロンの生存性を強くブロックした。
図6は、0.04ng/mlのラットNGF(およそ1.5pM;下のパネルに示す)または0.4ng/mlのラットNGF(およそ15pM;上のパネルに示す)のいずれかの存在下での種々のFabのNGFブロック効果を比較するグラフである。1.5pMのNGFはほぼEC50であり、一方、15pMはNGFの飽和濃度を示す。種々の濃度のFab E3;マウスFab 911;ならびにFab H19−L129、および8L2−6D5中でのE13.5マウス三叉神経ニューロンの生存性を上記のように評価した。IC50(pM)をそれぞれの濃度で各Fabについて計算した。これを表9に示す。Fab E3は、ヒトNGF依存性の三叉神経ニューロンの生存性を強くブロックし、15pMのラットNGFの存在下ではIC50はおよそ31.6pM、1.5pMのラットNGFの存在下ではIC50はおよそ1.3pMであった。Fab 3CおよびH19−L129もまた、ラットNGF依存性の三叉神経ニューロンの生存性を強くブロックした。
Figure 2006525955
種々の実験において、本発明者らは、0.4ng/ml(飽和濃度)のヒトNGFの存在下でE13.5ニューロンのNGF依存的生存性を阻害する、抗体E3全体およびFab 3Eの能力を比較した。分析の結果を図12に示す。抗体E3全体、およびFab 3Eは、抗体全体およびFabの濃度をNGF結合部位の数に対して標準化した場合には、同様のレベルの三叉神経ニューロンのNGF依存的生存性の阻害を示した(Fabは1つの結合部位を有し、抗体全体は2つの結合部位を有する)。これらの結果は、NGF二量体に対しては、抗体全体の結合による親和力の作用はないことを示している。
別の実験において、本発明者らは、種々の濃度(20、4、0.8、0.16、0.032、0.0064、0.00128、および0.0nM)の抗体E3、抗体911、およびtrkA受容体免疫付着因子(免疫グロブリンFcドメインであるCH2−CH3と融合させたNGF受容体trkAの細胞外ドメインからなる)の、0.4ng/ml(飽和濃度)の存在下でE13.5ニューロンのNGF依存的生存性を阻害する能力を比較した。これらの結果を図13に示す。これらの結果は、抗体E3が、抗体911またはtrk免疫付着因子のいずれよりも良好にNGFをブロックすることを明らかにした。
(実施例3)
マウス三叉神経の生存性アッセイおよび結節ニューロンの生存性アッセイを用いた抗NGF抗体E3の特異性の評価
NGF活性を特異的にブロックする抗体E3の能力を、飽和濃度のNGF、NGFに関係しているニュートロフィンNT3、またはNGFとは無関係な神経栄養因子、マクロファージ刺激タンパク質(MSP)の存在下で、生体外でのマウスE17/18三叉神経ニューロンの生存性を阻害する抗体の能力の測定によって評価した。マウスE17/18三叉神経ニューロンの生存性は、抗NGFアンタゴニスト抗体のNGFブロック活性を評価するための感度の高いアッセイである。なぜなら、NGFはE13.5 TGニューロンの生存性をサポートするために必要なNGFのレベルよりも高い濃度を、これらのニューロンの生存性をサポートするために必要とするからである。これらのニューロンの生存性はまた、NT3またはMSPによってもサポートされ、したがって、これらのニューロンの生存性はまた、抗NGFアンタゴニスト抗体がNT3またはMSPをもまたブロックするかどうかを評価するための感度の高いアッセイでもある。
NGF活性を特異的にブロックする抗体E3の能力をまた、飽和濃度のBDNFまたはNT4/5の存在下でのマウスの結節E17ニューロンの生存性を阻害する抗体の能力の測定によって評価した。結節ニューロンの生存性は、BDNFまたはNT4/5によってサポートされ、したがって、これらのニューロンの生存性は、抗NGFアンタゴニスト抗体のBDNFまたはNT4/5をブロックする能力を評価するための感度の高いアッセイである。
生存性アッセイは以下のように行った:交尾した(time−mated)妊娠しているSwiss Webster雌性マウスを、COの吸入によって安楽死させた。子宮角を取り出し、胚(17日目または18日目の胚)を摘出し、その頭部を切り落とした。三叉神経ガングリオンおよび結節ガングリオンを、解剖し、洗浄した。その後、ガングリオンをトリプシン処理し、機械によって解離させ、ポリ−L−オルニチンとラミニンでコーティングした4ウェルプレート(Greiner)中の定義された血清を含まない培地中に1ウェルあたり100〜300細胞の密度でプレートした。
E17/18三叉神経ニューロンを、新経栄養因子を加えずに(陰性対照)、または飽和濃度のヒトNGF(400pMおよび15pM)(陽性対照);NT3(400pM);またはMSP(600pM)の存在下のいずれかで成長させた。種々の濃度のE3および911 Fabおよび抗体全体を含む2連の培養物を準備した。Fabおよび抗体全体の濃度は、結合部位について示す(例えば、抗体全体は2つの結合部位を含み、一方、Fabは1つの結合部位を含む)。
E17結節ニューロンを、新経栄養因子を加えずに(陰性対照)、または飽和濃度のBDNF(400pM)(陽性対照)またはNT4/5(400pM)、またはNGFとは無関係な成長因子ILF(インターロイキン阻害因子)の存在下のいずれかで成長させた。高濃度のニューロトロフィンを、抗体の特異性を試験するための本実験の目的として使用した。再び、抗体E3および911を含まない、およびそれらを添加したことの変化を含ませた2連の培養物を準備した。培養物中で48時間のあと、各条件下のそれぞれのウェル中で生存しているニューロンの総数を、位相差顕微鏡を使用して手作業でカウントすることによって確認した。
これらの実験の結果は、E3と911抗体が、E18三叉神経ニューロンに対するNGFの生存性を促進する作用を完全にブロックしたことを明らかにした。対照的に、E3および911抗体は、NT3またはMSPによって促進される三叉神経ニューロンの生存性、あるいは、BDNFまたはNT4/5またはLIFによって促進される結節ニューロンの生存性に対しては全く効果はなかった。これらの結果は、抗体E3がNGFについて選択的特異性を有していることを明らかにした。なぜなら、NGFをブロックするために有効な濃度よりも1000倍から10,000倍高い濃度では、これらの抗体と他のNGFに関係しているニュートロフィン(NT3、NT4/5、BDNF)との間には相互作用は検出されなかったからである。さらに、これらの結果は、抗体またはFab E3を添加した際に、NGF依存性ニューロンのNGFを補充した培養物中で見られる神経細胞死は、これらの抗体とNGFとの間での特異的相互作用に原因があり、一般的な毒性作用が原因ではないことを明らかにした。マウス抗NGFアンタゴニスト抗体911についてもまた試験し、同様の結果が観察された。使用したニューロトロフィンが高濃度だったことに起因して、抗体E3および911の両方がそれらの滴定状態に非常に近づき、NGFに対するこれらの抗体の結合親和性の差がこれらの条件下ではあまり明らかにはならなかったことが原因で、同様のレベルでNGFに結合したと予想されことに留意すべきである。
これらの実験の結果を図14、15、16、および17に示す。データは、各実験についての陽性対照において観察された生存性(例えば、それぞれ、飽和NGF濃度の存在下で成長させた三叉神経ニューロンの100%の生存性、および飽和BDNF濃度の存在下で成長させた結節ニューロンの100%の生存性)と比較した、48時間の培養後の生存性の平均の割合を示す(±平均の標準誤差、それぞれのデータ点についてn=3)。図14〜15は、抗NGFアンタゴニスト抗体E3またはFab E3が、200nMのような高い抗体濃度でもなお、NT3およびMSPによって促進される生存性を阻害しなかったことを示すグラフである。対照的に、20nMの抗体E3またはFab 3E、およびFab 911は、NGFによって誘発される生存性を完全にブロックした。マウスの抗NGFアンタゴニスト抗体911もまた試験し、同様の結果が観察された。具体的には、図14は、種々の濃度(20nM、2nM、または0.2nM)のE3 Fab(図中では「3E」と表示される)およびマウス抗体911 Fabの、ニュートロフィンを加えずに(「対照」と表示される)、400pMのNGF(「NGF−400pM」と表示される)、10nMのNT3(「NT3−10nM」と表示される)、または600pMのMSP(「MSP−600pM」と表示される)の存在下でのE18三叉神経ニューロンの生存性に対する効果の比較を示すグラフである。図15は、種々の濃度(200nMおよび80nM)のE3 Fabおよび抗体全体、ならびにマウス抗体911抗体全体およびFabの、ニュートロフィンを加えずに(「因子なし」と表示される)、400pMのNGF(「NGF−400pM」と表示される)、10nMのNT3(「NT3−10nM」と表示される)、または600pMのMSP(「MSP−600pM」と表示される)の存在下でのE17三叉神経ニューロンの生存性に対する効果の比較を示すグラフである。
図16〜17は、抗NGFアンタゴニスト抗体E3またはFab E3は、BDNF、NT4/5、またはLIFによって促進されるE17結節ニューロンの生存性を阻害しなかったことを示すグラフである。マウス抗NGFアンタゴニスト抗体911もまた試験し、同様の結果を観察した。具体的には、図16は、種々の濃度(200nMおよび80nM)の抗体E3全体(図中では「3E」と表示される)、Fab 3E、抗体911全体、またはFab 911の、ニュートロフィンを加えずに(「因子なし」と表示される)、400pMのBDNF(「BDNF−400pM」と表示される)、400pMのNT4/5(「NF4/5−400pM」と表示される)、または2.5nMのLIF(「LIF−2.5nM」と表示される)の存在下での、E17結節ニューロンの生存性に対する効果の比較を示すグラフである。図17は、種々の濃度(200nM、20nMおよび2nM)のFab 3E(図中では「3E」と表示される)またはFab 911の、ニュートロフィンを加えずに(「対照」と表示される)、400pMのBDNF(「BDNF−400pM」と表示される)、400pMのNT4/5(「NF4/5−400pM」と表示される)、または2.5nMのLIF(「LIF−2.5nM」と表示される)の存在下でのE17結節ニューロンの生存性に対する効果の比較を示すグラフである。
(実施例
哺乳動物発現ベクターの調製および哺乳動物細胞中での抗体E3の発現
哺乳動物細胞中での抗体E3の発現における使用のために、3つの哺乳動物発現ベクターを設計し、構築した。
ベクターDb.911.3Eは、E3抗体の重鎖可変領域とヒトIgG2a定常領域を含む発現ベクターであり、重鎖の一時的または安定な発現に適している。Db.911.3Eは以下の領域に対応するヌクレオチド配列から構成される:マウスサイトメガロウイルスプロモーター領域(ヌクレオチド1〜612);合成のイントロン(ヌクレオチド619〜1507);DHFRコード領域(ヌクレオチド707〜1267);ヒト成長ホルモンシグナルペプチド(ヌクレオチド1525〜1602);抗体3E重鎖可変領域(ヌクレオチド1603〜1965);以下の変異を含むヒト重鎖IgG2a定常領域:A330P331からS330S331(野生型IgG2a配列に関するアミノ酸のナンバリング;Eur.J.Immunol.(1999)29:2613−2624を参照のこと);SV40後期ポリアデニル化シグナル(ヌクレオチド2974〜3217);SV40エンハンサー領域(ヌクレオチド3218〜3463);ファージf1領域(ヌクレオチド3551〜4006)、およびβラクタマーゼ(AmpR)コード領域(ヌクレオチド4443〜5300)。Db.911.3Eは2003年1月8日にATCCに寄託し、ATCC登録番号PTA−4895が与えられた。
ベクターEb.911.3Eは、E3抗体の軽鎖可変領域とヒトκ鎖定常領域を含む発現ベクターであり、軽鎖の一時的な発現に適している。Eb.911.3Eは、以下の領域に対応するヌクレオチド配列から構成される:マウスサイトメガロウイルスプロモーター領域(ヌクレオチド1〜612);ヒトEF−1イントロン(ヌクレオチド619〜1142);ヒト成長ホルモンシグナルペプチド(ヌクレオチド1173〜1150);抗体E3軽鎖可変領域(ヌクレオチド1251〜1571);ヒトκ鎖定常領域(ヌクレオチド1572〜1892);SV40後期ポリアデニル化シグナル(ヌクレオチド1910〜2153);SV40エンハンサー領域(ヌクレオチド2154〜2399);ファージf1領域(ヌクレオチド2487〜2942)、およびβラクタマーゼ(AmpR)コード領域(ヌクレオチド3379〜4236)。Eb.911.3Eは2003年1月8日にATCCに寄託し、ATCC登録番号PTA−4893が与えられた。
ベクターEb.pur.911.3Eは、E3抗体の軽鎖可変領域とヒトκ定常領域を含む発現ベクターであり、軽鎖の安定な発現に適している。Eb.pur.911.3Eは、以下の領域に対応するヌクレオチド配列から構成される:マウスサイトメガロウイルスプロモーター領域(ヌクレオチド1〜612);ヒトEF−1イントロン(ヌクレオチド619〜1758);pac遺伝子(ピューロマイシンR)コード領域(ヌクレオチド739〜1235);ヒトhsp70の5’UTR領域(ヌクレオチド1771〜1973);ヒト成長ホルモンシグナルペプチド(ヌクレオチド1985〜2062);抗体E3軽鎖可変領域(ヌクレオチド2063〜2383);ヒトκ鎖定常領域(ヌクレオチド2384〜2704);SV40後期ポリアデニル化シグナル(ヌクレオチド2722〜2965);SV40エンハンサー領域(ヌクレオチド2966〜3211);ファージf1領域(ヌクレオチド3299〜3654)、およびβラクタマーゼ(AmpR)コード領域(ヌクレオチド4191〜5048)。Eb.pur.911.E3は2003年1月8日にATCCに寄託し、ATCC登録番号PTA−4894が与えられた。
一時的な細胞発現を以下のように行った:150mmの皿の中のCHOおよびHEK293T細胞を、25μgの各プラスミド(すなわち、重鎖を含む1つのプラスミド、および軽鎖を含む1つのプラスミド)で一時的に同時にトランスフェクトした。DNAを製造業者の説明書にしたがって100μlのリポフェクタミン2000(Invitrogen)と混合した。DNA−脂質複合体を、血清または抗生物質を含まないDMEM/F12培地中で5時間、細胞と接触させた。このインキュベーションの後、2日間、培地を添加物を全く含まないOpti−MEM(Invitrogen)へと、発現のために交換した。抗体を含む細胞上清を4回まで連続して回収し、その後培地を置き換えた。上清をMapSelect Protein A樹脂(Amersham Biosciences 17−5199−02)を使用してアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。抗体を、0.3Mのグリシン、0.6MのNaCl緩衝液(pH8)中でプロテインA樹脂に結合させ、その後、0.1Mのクエン酸緩衝液(pH3)で溶出させた。抗体を含む画分を1MのTris緩衝液(pH8.0)で直ちに中和した。その後、抗体画分をPBS中で透析し、濃縮した。
(実施例
抗NGF抗体E3は外科手術後の痛みの処置に有効である
本発明者らは、抗体E3での治効を評価するために、外科手術後の痛みを再現する痛みのモデルを使用した。抗体E3は、以下の変異:A330P331からS330S331(野生型IgG2a配列に関するアミノ酸のナンバリング;Eur.J.Immunol.(1999)29:2613−2624を参照のこと)を含むヒトの重鎖IgG2a定常領域;ヒトの軽鎖κ定常領域;ならびに、表1Aおよび1Bに示した重鎖および軽鎖可変領域から構成される。
動物。220〜240gの間の体重の雄性のSprague DawleyラットをHarlan(Wisconsin)から購入し、外科手術の前に1週間、動物施設に順応させた。
外科手術。外科手術は、Brennan等,Pain 64:493−501(1996)に記載されている手順に従った。動物を、空気混合中の2%のイソフルランで麻酔し、これは、ノーズコーンを通じて外科手術の間維持した。右後足の足底面を、ポビドンヨードパッドを用いて準備し、1cmの中心の長さの切開を、皮膚と筋膜を貫通するように行い、これは、踵の端から0.5cmで開始してつま先に向かって延ばした。測定を、屈曲位に保った足に定規を用いて行った。足底筋を曲線状の鉗子を使用して持ち上げ、縦方向に切開した。筋肉を、基点から差し込み部分までの間、その深さを貫通するように切開した。出血は、ガーゼパッドを通じて圧迫することによって、外科手術の間中、コントロールした。創傷は、2本の刺し縫い縫合(5−0エチロンブラックモノフィラメント糸)で閉じた。これらの縫合糸は5〜6回結び、最初の結び目はゆるく結んだ。創傷部位をバシトラシン溶液で消毒した。動物を回復させ、行動試験を開始する前に2時間以上、清潔なケージの中で休ませた。
安静時の痛みの評価。累積的な痛みのスコアを、体重負荷に関係する痛みを評価するために使用した。動物を、土台を高くした(h:18’’)清潔なプラスチックのケージの中のプラスチックメッシュ(格子:8mm)の上におき、彼らの前足の底面を検診した。20分の環境順応時間の後、体重負荷を0から2のスケールで評価した。0のスコアは、前足が白くなっていたか、またはメッシュに対して押し付けられていた場合に与え、これは完全な体重負荷を示している。1のスコアは、前足が、メッシュにちょうど触れている皮膚をかばっており、皮膚が白くなっていないかまたは圧痕がない場合に、与えた。2のスコアは、前足がメッシュから完全に離れて保たれている場合に与えた。ラットがまだ休んでいる場合には、躊躇無く、前足を2とみなした。それぞれの動物を、30分間にわたって5分おきに1分間観察した。1/2時間の間に得れらた6つのスコアの和(0〜12)を使用して、切開した足の痛みを評価した。2のスコアの頻度もまた計算し、重度の痛みの発生率、または動物による前足の全体的な保護を評価するために使用した。それぞれの動物を、外科手術前の24時間(ベースライン)、ならびに、手術後2時間、24時間、48時間、および72時間試験した。この実験の結果を図1に示す。これは、35mg/kgの抗NGFマウス抗体911で処置した動物において観察される累積の安静時の痛みのスコアを示す。これらの結果は、抗NGF抗体での処置によって、外科手術後の安静時の痛みが明らかに減ったことを示している。体重負荷は、動物がどれぐらい肢を使用する意思があるかとかなり相関し、したがって、痛みの緩和の効率のよい測定である。
E3抗体を、種々の濃度の抗体(動物の体重1kgあたり、0.004、0.01、0.02、0.1、0.6、および1mg)を、切開の15時間前に腹腔内(i.p.)で注射した。陰性対照のグループには、抗体は投与せずに生理食塩溶液をi.p.注射した。0.01mg/kgのフェンタニルを、外科手術の24時間後の試験を開始する30分前に、陽性対照としてi.p.注射した。それぞれの実験には、各条件について8匹の動物(1グループあたりn=8)を含め、対照グループは56匹の動物とした。外科手術を行い、累積の痛みのスコアを上記のように測定した。安静時の痛みを、外科手術の24時間後に評価した。
図7に示すように、ヒト化抗NGF抗体E3は、0.02mg/kgから1mg/kgの投与量で投与した場合には、外科手術後の安静時の痛みを大きく軽減した(p<0.05)。「」は、対照との明らかな差(p<0.05)を示す。0.02mg/kgでの処置によって、0.01mg/kgのフェンタニルでの処置と少なくとも同じぐらい効果的に、痛みの行動は軽減した。このフェンタニルの用量は、この強力なオピオイドの通常のヒトへの用量の10倍である。
別の実験においては、外科手術後に投与した場合に外科手術後の痛みを軽減することにおけるE3抗体の効力を試験した。抗体E3(0.5mg/kg)を、外科手術の2時間後に静脈内(i.v.)で注射した。対照グループには、抗体は投与せずに生理食塩溶液をi.v.注射した。外科手術を行い、安静時の痛みを累積の痛みのスコアとして、外科手術後24時間で評価した。図8に示すように、抗NGF抗体での処置により、抗体を外科手術の2時間後に投与した場合には、切開の24時間後の安静時の痛みは大きく軽減した(p<0.05)。これらの結果は、E3抗体が、外科手術後に投与した場合に、外科手術後の痛みを効率よく緩和したことを示した。
(実施例
関節リウマチのラットモデルにおける抗NGFアンタゴニスト抗体911の鎮痛効果の評価
完全なフロイトのアジュバント(CFA)によって誘導したラットの慢性関節炎における抗NGF抗体911(Hongo等,Hybridoma 19(3):215−227(2000))の鎮痛効果を、対照物質として使用したインドメタシンと比較して、発声試験を使用して研究した。
実験期間の開始時に150gから220gまでの体重である、50匹の雄性のLewisラット(LEWIS LEW/Crl Ico)(Charles River Belgium)を、この研究に含めた。全ての動物を、実験の前に少なくとも5日間飼育し、研究の間中は、濾過した水道水と標準的なペレット状の研究室用の食餌(U.A.R.,France)を無制限に摂取できるようにして、一定の温度(19.5〜24.5℃)、相対湿度(45〜65%)で、12時間の明/暗のサイクルに制御した室内で飼育した。動物を尾で個々に識別した。
0日目(D0)に、関節炎を、ミネラルオイル(10mg/ml)中のウシ型結核死菌(Mycobacterium butyricum)(Difco,USA)の懸濁液0.05mlを、尾に皮内注射することにより、ラットにおいて誘導した。14日目(D14)に、関節炎のラットを、後足の軽い屈曲の際に声を発する彼らの能力にしたがって、および後足および前足のそれぞれについての炎症スコアを使用して評価した彼らの関節炎指数にしたがって、本研究に含めた(Kuzuna等,Chem.Pharm.Bull.(Tokyo)23:1184−1191(1975);Pearson等,Arthritis Rheum.2:440−459(1959)を参照のこと)。動物を、以下の基準に基づいてスコアした:スコア0:正常な挙動;スコア1:紅斑;スコア2;わずかな浮腫を伴う紅斑;スコア3:硬直は伴わない強い炎症;スコア4:硬直。軽い屈曲の際に声を発することができ、2または3のスコアを示した動物のみを、研究に含めた。
10匹のラットの4つのグループを本研究に含めた。グループ1(ビヒクル)については、14日目(D14)に、選択の後、ラットにビヒクル(生理食塩水)を静脈内投与した。18日目(D18)に、侵害刺激反応の強さを後足の軽い屈曲によって評価し、発声のレベルの強さを個々の動物について記録した。グループ2(4日)については、14日目(D14)に、選択の後、ラットに911を静脈内投与した(10mg/kg)。18日目(D18)に、侵害刺激反応の強さを後足の軽い屈曲によって評価し、発声のレベルの強さを個々の動物について記録した。グループ3(24時間)については、CFAの注射後17日目に、ラットに911を静脈内投与した(10mg/kg)。24時間後に、侵害刺激反応の強さを後足の軽い屈曲によって評価し、発声のレベルの強さを個々の動物について記録した。グループ4(インドメタシン)については、18日目(D18)に、インドメタシンの経口投与(10mg/kg)の1時間後に、侵害刺激反応の強さを後足の軽い屈曲によって評価した。発声のレベルの強さもまた個々の動物について記録した。試験物質は5ml/kgの容量で静脈内経路によって、盲目的なランダム形式で投与したが、インドメタシンは、10ml/kgの容量で経口経路によって投与した。
抗NGF抗体911の鎮静効果を表10に示す。結果を、それぞれの動物についてmV(平均±標準誤差)で記録した発声のレベルの強さとして評価した侵害刺激反応の強さとして、およびビヒクルで処置したグループの平均値から計算した侵害刺激反応の強さの変量の割合(%)として、それぞれのグループについて表示した。処置グループとビヒクルグループとの間での統計学的差を、一元配置分散分析後の残差分散を使用するダネット検定を用いて決定した(p<0.05)。
Figure 2006525955
結果は、平均±標準誤差として表す
1グループあたりn=10匹のラット
0日目(D0):CFAの投与による慢性関節炎の誘導
ビヒクル:生理食塩水
911(10mg/kg)を14日目(D14)または17日目(D17)に静脈内投与し、痛みの測定を18日目(D18)に行った。
インドメタシン(10mg/kg)を18日目(D18)に経口投与し、痛みの測定を投与の1時間後に行った。
ダネット検定:は、ビヒクルで処置したグループと比較した有意な差を示す(p<0.05)。
表10に示すように、抗NGF抗体911は、1回の抗体の投与後24時間または4日で、関節リウマチのラットモデルにおいて痛みを明らかに軽減させた。
(実施例
関節リウマチのラットモデルにおける抗NGFアンタゴニスト抗体E3および911の薬理効果
抗NGFアンタゴニスト抗体E3および911の薬理効果(坑炎症効果および鎮静効果)を、内部陽性対照物質として使用したインドメタシンと比較して、完全なフロイトのアジュバント(CFA)によって誘導したラットの慢性関節炎のモデルにおいて研究した。E3および911の鎮静効果は、侵害刺激反応の測定によって評価した。抗炎症効果は、足の容積、関節炎指数(炎症スコア)、体および後足の重量によって評価した。足のサイトカイン濃度(IL−6、IL−1β、TNF−α、およびTGF−β1)、血清中の循環しているRGF−β1、E3、および911の血漿濃度、生物学的パラメーター、およびX線検査を、実験の最後に行った。
実験プロトコール
1.研究計画
5週齢の80匹の雄性Lewisラット(LEWIS Lew/Ico)(Charles River Laboratories−Belgium)を、本研究に含めた。彼らを、研究の間中、濾過した水道水と標準的なペレット状の研究室用の食餌(SAFE,France)を無制限に摂取できるようにして、一定の温度(19.5〜24.5℃)、相対湿度(45〜65%)で、12時間の明/暗のサイクルに制御して飼育した。動物を設備に収容する際に、彼らを、1つのケージあたり5匹ずつ収容し、全ての試験の前に、10日間の環境順応期間について観察した。動物を尾で個々に識別した。
それぞれ10匹の動物の5つのグループ(5週齢の雄性のLewisラット−LEWIS Lew/Ico,Charles River Laboratories−Belgiumによる)を、本研究に含めた:グループ1:関節炎ではないラット/生理食塩水(ビヒクル)、i.v.ボーラス、n=10;グループ2;関節炎のラット/生理食塩水(ビヒクル)、i.v.ボーラス、n=10;グループ3;関節炎のラット/インドメタシン3mg、10日間にわたって毎日p.o.、n=10;グループ4:関節炎のラット/E3、1mg/kg、i.v.ボーラス、n=10;グループ5:関節炎のラット/911、10mg/kg、i.v.ボーラス、n=10。用量は、遊離の活性物質(mg/kg)に関して示した。E3および911は、所望される濃度になるように、ストック溶液から生理食塩水中で即座に調製した。E3 1mg/kg:3.41mLのストック溶液(0.88mg/ml)q.s.p.15mLの生理食塩水。911 10mg/kg:12mLのストック溶液(2.5mg/ml)q.s.p.15mLの生理食塩水。全ての希釈した溶液(i.v.注射の前)を、0.20μmの滅菌フィルターユニットを使用して滅菌した。希釈した溶液のpHおよび浸透圧の値を、それぞれのi.v.注射の前に測定した。最初のi.v.注射の前は、生理食塩水、E3、および911についての浸透圧(mosm/L)は、それぞれ、278、269、および308であり;生理食塩水、E3、および911についてのpHは、それぞれ、5.93、6.76、6.71であった。2回目のi.v.の前は、生理食塩水、E3、および911についての浸透圧(mosm/L)は、それぞれ、280、270、および309であり;生理食塩水、E3、および911についてのpHは、それぞれ、5.86、6.72、6.59であった。
コード化された順序およびランダムな順序で関節炎を誘導した後、14日目および19日目に、E3または911または生理食塩水を、5mL/kgの容量でi.v.ボーラス注射によって投与した。関節炎ではないグループには、14日目および19日目に、5mL/kgの容量で生理食塩水のi.v.ボーラス注射を投与した。インドメタシンを、1%のメチルセルロース中で即座に調製した。インドメタシンは、コード化された順序およびランダムな順序で関節炎を誘導した後、14日目から23日目までの10日間にわたって1日1回、経口経路(p.o.)によって10mL/kgの容量で投与した。
2.関節炎の誘導
0日目(D0)に、0.05mlのウシ型結核死菌(Mycobacterium butyricum)の懸濁液を尾に皮内注射することにより、70匹のラットにおいて関節炎を誘導した。1つのグループの10匹のラットには、皮内注射を全く行わなかった(関節炎ではないラット)。14日目(D14)に、関節炎のラットを以下の基準を使用して研究に含めた:関節炎ではないグループにおける平均の足の容積(左足と右足の容積の平均)と比較して、少なくとも0.30mlの平均の足の容積(左足と右足の容積の平均)の増加を示した全てのラットを含めた(以下に記載するような足の容量の測定);軽い屈曲の際に声を発した全てのラットを含めた(以下に記載するような侵害刺激反応の測定);ならびに、それぞれの後足について2〜3の関節炎指数のスコアを示した全てのラットを含めた(以下に記載するような関節炎指数の測定)(0、1、または4のスコアを有している動物は廃棄した)。
3.体重
動物を、0日目から24日目まで、1日1回、体重を測定した(処置前の週末の日を除く:D1、D2、D8、D9、D10)。全ての測定を、14日目(D14)(7:30〜9:00am)および24日目(D24)(7:30〜8:00am)を除いて、9:00から12:00amまでの間に行った。
3.足の容積の測定
それぞれのラット(関節炎のラットおよび関節炎ではないラット)の右および左の後足の容積を、足容積測定装置を使用して測定した。測定は、以下の時間に行った(関節炎の誘導後):14日目(i.v.ボーラスまたはp.o.投与の前);および24日目(最後のi.v.ボーラス注射の5日後、または最後のp.o.投与の24時間後)。全ての測定を、9:00から12:00amの間に行った。全てのデータを回収し、WinDasソフトウェアによって保存した。
4.関節炎指数
関節炎指数は、それぞれの後足および前足(関節炎のラット)についての炎症スコアを使用して評価した:スコア0:正常な挙動;スコア1:紅斑;スコア2;わずかな浮腫を伴う紅斑;スコア3:硬直は伴わない強い炎症;スコア4:硬直。この評価を以下の時間に行った(関節炎の誘導後):14日目(i.v.ボーラスまたはp.o.投与の前);および24日目(最後のi.v.ボーラス注射の5日後、または最後のp.o.投与の24時間後)。全ての測定を、2:00から3:00pmの間に(14日目(D14))、8:00から9:00amの間に(24日目(D24))行った。全てのデータを回収し、WinDasソフトウェアによって保存した。
5.侵害刺激反応の測定(発声試験)
侵害刺激反応を、オペレーターの指で4から5秒の間隔で2回繰り返して右および左の後足を軽く屈曲させることによって評価した(関節炎のラット)。発声のレベルの強さを、それぞれの後足に関して各動物について記録した(2回:右後足について:s1およびs3;2回:左後足について:s2およびs4)。この評価を、以下の時間に行った:(関節炎の誘導後):14日目(i.v.ボーラスまたはp.o.投与の前);18日目(2回目のi.v.ボーラス注射の前、またはp.o.投与の1時間後);および24日目(最後のi.v.ボーラス注射の5日後、または最後のp.o.投与の24時間後)。全ての測定を、14日目(D14)(7:30〜9:00am)および24日目(D24)(7:30〜9:00am)を除いて、9:00から12:00amの間に行った。
6.E3または911濃度、および循環しているTGF−β1、および血液学的パラメーターの測定のための採血
24日目(足容積と関節炎指数の測定、ならびに侵害刺激反応試験の後)に、イソフルラン(酸素と亜酸化窒素の混合気体)を使用した全身麻酔下で、血液試料(約800〜1000μl)を、眼窩洞(retroorbital sinus)からマイクロピペットを用いて毛管現象によって回収した。
E3または911濃度の測定(グループ2、4、および5):血液試料の一部を、Li−ヘパリンを含むチューブ(氷上で維持した)に回収し、2500〜3000gで10分間遠心分離した。血漿試料(少なくとも100μL)を得、これを液体窒素で凍結させ、−80℃で保存した。1つの試料は、わずかに溶血した(ビヒクルで処置した関節炎のラット#36)。
循環しているTGF−β1の測定(グループ1−2−3−4−5):血液試料の一部を、室温で血清を調製するためにマイクロチューブに回収した。サンプルの回収後、血液を混合し、遠心分離の前に30分間、血餅を形成させた。チューブを約6000gで3分間遠心分離した。それぞれの血清試料(少なくとも100μL、ラット#52および#53を除く)を等分し、TGF−β1分析のために試料を活性化させるまで、−20℃で保存した。これらのアリコート(50個のバイアル)を、研究の始めから終わりまで6ヶ月間維持した。いくつかの試料は、わずかに溶血した(ビヒクルで処置した関節炎ではないラット:#2、#5、#9、#10;ビヒクルで処置した関節炎のラット:#53、#63;E3で処置した関節炎のラット:#31、#51;911で処置した関節炎のラット:#52、#62、#64)。TGF−β1の濃度を、ヒトTGF−β1 ELISAキット(ref.DB100、Batch 212258および213610,R&D Systems−France)を使用して測定した。
血液学的パラメーターのための採血(グループ1−2−3−4−5:50個のバイアル):血液試料の一部を、K3−EDTAを含むチューブに回収した(少なくとも100μL)。パラメーターの決定は、採血した日に行い、試料は保存しなかった。赤血球、白血球、血小板、ヘモグロビン、ヘマトクリットを含む血液学液パラメーターを、血球計測装置で測定した(24日目(D24))。いくつかの血液学的パラメーターは、試料が凝血したことが原因で測定できなかった(ビヒクルで処置した関節炎ではないラット:#10;E3で処置した関節炎のラット:#59、#67;911で処置した関節炎のラット:#16)。
7.足のサイトカイン濃度
24日目(最後のi.v.ボーラス注射の5日後、または最後のp.o.投与の24時間後)(X線検査後)に、それぞれのマウスの後足(関節炎のラット、および関節炎ではないラット)の重さを量り、ラベルをつけたポリエチレンバイアルに回収した。組織試料を液体窒素中で凍結させ、−80℃で保存した。
関節ホモジネートの調製:凍結させた後足をBio−Pulverizerを使用して粉砕した。次いで、粉末状にした後足を、50μlの抗プロテアーゼ混合物を添加した3mlのPBSを含む50mlの円錐型の遠心分離管に入れ、Ultra−Turraxホモジナイザーを使用して氷上でホモジナイズした(最大速度の50%)。その後、ホモジネートを2000×gで15分間、4℃で遠心分離し、上清を0.2μmのSartoriusフィルターを通過させて濾過し、等分し、−80℃で使用するまで保存した。
サイトカイン濃度の測定:TNF−α(ラットTNF−α ELISAキット、ref.RTA00、Batch 213718、R&D Systems,France)、IL−1β(Rat IL−1β ELISAキット、ref.RLB00、Batch212435、R&D Systems,France)、IL−6(Rat IL−6 ELISAキット、ref.R6000、Batch211773、214008、および214362、R&D Systems,France)、およびTGF−β1(Human TGF−β1 ELISAキット、ref.DB100、Batch212258および213610、R&D Systems,France)のサイトカイン濃度を、製造業者による手順にしたがって2連で決定した。後足のホモジネートのアリコートを−80℃で保存した。
8.X線解析
24日目に、採血の後に動物を屠殺し、関節の病変の評価のためにX線写真(後足)を撮影した。X線解析は、両方の後足の関節の目減り、関節窩、骨膜の異常に焦点をあてて行った。全てのX線写真を、7つの異なる項目を見ることによって分析した:軟組織の損傷、奇形、脱塩、関節窩、目減り、骨形成、および骨膜の反応。それぞれの動物について、最初の6つの項目を、悪い後足を見ることによって別々に分析した。骨膜の反応は、尾を見ることによって分析した。それぞれの項目について、スコアを0(正常)から4(最大の損傷)とした。したがって、合計スコアは、0から28までとなる。X線写真の解釈は、動物(処置したかまたは処置していない)について何も知らされていない同じ助手が行った。
9.観察
1匹の動物(#65)は、インドメタシンの投与後23日目(D23)(23日目(D23)の投与の前)に、不明な原因によって死亡した。
10.結果の分析および表示
全ての結果を、それぞれの時点での各グループの10匹のラットの平均±標準誤差として記録した。足の容積は、右足と左足の容積の平均値から計算し、mlで示した。関節炎指数は、4本の足のそれぞれについて得られたスコアの和から計算した。侵害刺激反応は、それぞれの動物について記録した発声のレベルの強さによって、mVで評価した(4つの値の平均:片方の足について2回ずつ)。侵害刺激反応の阻害の割合は、ビヒクルで処置した関節炎のグループの値の平均値から計算した[(ビヒクルで処置した関節炎のグループの平均値−処置した関節炎のグループの平均値/ビヒクルで処置した関節炎のグループの平均値)×100]。体重は、グラムで表示した。後足(左および右)の重量はグラムで表示した。それぞれの後足のサイトカイン濃度(IL−6、IL−1β、TNF−α、およびTGF−β1)は、pg/mlで表示した。TGF−β1の循環濃度は、pg/mlで表示した。それぞれのパラメーター(脱塩、目減り、骨膜の反応、軟組織の損傷、関節窩、骨形成の奇形)についての放射線写真による指数と、合計の放射線写真指数(合計スコア)は、それぞれのパラメーターについて得られたスコアの和から計算した。ビヒクルで処置したグループ(関節炎のラット)の値とビヒクルで処置したグループ(関節炎ではないラット)の値との間での偏差のグループ間での有意性は、スチューデントt検定によって、または同じ変量の試験もしくは正常性の試験ができなかった場合にはマンホイットニーランクサム検定によって評価した。ビヒクルで処置したグループ(関節炎のラット)の値とE3および911およびインドメタシンで処置したグループの値との間での偏差のグループ間の有意性は、一元分散分析ANOVA、続いて、対にしていない(non−paired)ダネットt検定によって評価した。p≦0.05の確率を、有意であるとみなした。全ての統計分析を、Sigmastat(登録商標)ソフトウェアによって行った。
結果
1.侵害刺激反応(発声試験)
表11および図18に示すように、14日目(D14)には、侵害刺激反応は、ビヒクルで処置した、インドメタシンで処置した、E3で処置した、および911で処置した関節炎のグループにおいて、それぞれ、4147±331、4386±235、4644±367、および4468±143であった。インドメタシンは、3mg/kg/日p.o.(10日間)の後、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、侵害刺激反応を強力かつ有意に、18日目(D18)および24日目(D24)に、それぞれ、約−3768mV(%阻害:71%)および−4353mV(%阻害:74%)低下させた(18日目(D18):1511±398mV対5279±326mV;24日目(D24):1552±508mV対5905±345mV)。E3(14日目(D14)および19日目(D19)に、1mg/kgのi.v.)は、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、侵害刺激反応を強力かつ有意に、18日目(D18)および24日目(D24)に、それぞれ、約−4167mV(%阻害:79%)および−5905mV(%阻害:100%)低下させた(D18:1112±401mV対5279±326mV;D24:0±0mV対5905±345mV)。911(14日目(D14)および19日目(D19)の2日間に、10mg/kgのi.v.)は、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、侵害刺激反応を強力かつ有意に、18日目(D18)および24日目(D24)に、それぞれ、約−3932mV(%阻害:74%)および−5358mV(%阻害:91%)低下させた(18日目(D18):1347±492mV対5279±326mV;24日目(D24):547±307mV対5905±345mV)。
Figure 2006525955
値は、平均±標準誤差としてmVで表す
24日目のインドメタシン(n=9)を除き、1グループあたりn=10匹の動物
ダネットt検定:は、ビヒクルで処置した関節炎のラットに対してp≦0.05。
2.体重
表12および図19に示すように、関節炎の確立が原因である体重増加の明らかな減少が、関節炎ではないラットと比較して、0日目(D0)から14日目(D14)までに関節炎のラットにおいて観察された。14日目(D14)(選択の日)に、関節炎のラットは、関節炎ではないラットと比較して、体重の明らかな減少を示した(289±2g対217±4g)(スチューデントt検定、p<0.05)。しかし、全ての関節炎のグループにおいて、体重(14日目(D14))に有意な差は検出されなかった(ダネットt検定、p>0.05)。体重は、インドメタシンで処置したグループ(10日間にわたって3mg/kg/日)においては、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、17日目(D17)から24日目(D24)までに穏やかかつ有意に増加し(261±5g対218±3g)、24日目(D24)に約43gで最大となった。E3での処置(14日目(D14)および19日目(D19)に、1mg/kgのi.v.)の後、体重は、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、17日目(D17)から24日目(D24)までに穏やかかつ有意に増加し(264±5g対218±3g)、24日目(D24)に約46gで最大となった。911での処置(14日目(D14)および19日目(D19)に、10mg/kgのi.v.)の後、体重は、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、18日目(D18)から24日目(D24)までに穏やかかつ有意に増加し(265±7g対218±3g)、24日目(D24)に約47gで最大となった。
Figure 2006525955
値は、平均±標準誤差としてグラムで表す
23日目および24日目のインドメタシン(n=9)を除き、1グループあたりn=10匹の動物
ダネットt検定:は、ビヒクルで処置した関節炎のラットに対してp≦0.05。
3.足の容積
14日目(D14)に、足の容積の項目において均質なグループを得るためにランダムにした。表13に示すように、14日目(D14)には、後足の容積(右足と左足の容積の平均)は、関節炎ではないグループよりも関節炎のグループにおいて有意に大きかった(2.10±0.05mL対1.44±0.02mL(スチューデントt検定、P<0.05))。インドメタシン(10日間にわたって、3mg/kg/日p.o.)は、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、足の容積を有意に、約−0.75mL(24日目(D24))減少させた(1.59±0.03mL対2.34±0.08mL)。E3(14日目(D14)および19日目(D19)に、1mg/kgのi.v.)は、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、足の容積を僅かであるが有意に、約0.37mL増大させた(2.71±0.09mL対2.34±0.08mL)。991(14日目(D14)および19日目(D19)に、10mg/kgのi.v.)は、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、足の容積を僅かであるが有意に、約0.36mL増大させた(2.70±0.11mL対2.34±0.08mL)。
Figure 2006525955
値は、平均±標準誤差としてmLで表す
24日目のインドメタシン(n=9)を除き、1グループあたりn=10匹の動物
ダネットt検定:は、ビヒクルで処置した関節炎のラットに対してp≦0.05。
4.関節炎指数
表14に示すように、14日目(D14)には、関節炎指数は、ビヒクルで処置した、インドメタシンで処置した、E3で処置した、および911で処置した関節炎のグループにおいて、それぞれ、10.1±0.8、8.7±0.6、10.2±0.4、および9.4±0.7であった。インドメタシンは、(10日間にわたる)3mg/kg/日p.o.の後、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、最大で約−8.0まで、関節炎指数を強く、有意に低下させた(2.7±0.7対10.7±0.6mL)。E3(14日目(D14)および19日目(D19)に、1mg/kgのi.v.)は、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、関節炎指数には影響を与えなかった(11.4±0.4対10.7±0.6mL)。991(14日目(D14)および19日目(D19)に、10mg/kgのi.v.)は、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、関節炎指数には影響を与えなかった(10.9±0.7対10.7±0.6)。
Figure 2006525955
値は、平均±標準誤差(スコア)として表す
インドメタシン(n=9)を除き、1グループあたりn=10匹の動物
ダネットt検定:は、ビヒクルで処置した関節炎のラットに対してp≦0.05。
5.足のサイトカイン濃度
表15に示すように、24日目(D24)には、左足および右足のサイトカイン濃度は、関節炎ではないビヒクルで処置したグループと比較して、関節炎のビヒクルで処置したグループにおいては、最大で約3.5倍(IL−1β)、4倍(TNF−α)、および1.8倍(TGF−β1)まで増大した。IL−6濃度については、2つのグループの間で、左足においても右足においても、有意な差は観察されなかった。関節炎のグループのサイトカイン濃度は、IL−6、IL−1β、TNF−α、およびTGF−β1について、それぞれ、左足においても右足においても同様であった:259.7±38.5pg/ml対219.2±32.4pg/ml、4802.8±365.5pg/ml対4007.1±380.4pg/ml、17.8±1.6pg/ml対18.6±1.9pg/ml、および9735.0±1219.8pg/ml対9161.4±846.1pg/ml。インドメタシンは、(10日間にわたる)3mg/kg/日p.o.の後、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、約1.3倍に、右足のTGF−β1濃度をわずかではあるが、有意に低下させたが(7057.4±335.6対9161.4±846.1)、IL−6、TNF−α、またはIL−1βの濃度は変化させなかった。有意ではないが同様の効果が、左足においても観察された。E3(14日目(D14)および19日目(D19)に、1mg/kgのi.v.)は、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、いずれの足においても、IL−6、IL−1β、TNF−α、またはTGF−β1の濃度には影響を与えなかった。991(14日目(D14)および19日目(D19)に、10mg/kgのi.v.)は、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、右足においてIL−1β濃度を増大させた(6215.3±666.7対4007.1±380.4)。911は、いずれの足おいても他のサイトカイン濃度には影響を与えなかった。
Figure 2006525955
Figure 2006525955
値は、平均±標準誤差としてpg/mlで表す
関節炎ではない/ビヒクル(右足)、関節炎/ビヒクル(左足)、およびインドメタシン(n=9)を除き、1グループあたりn=10匹の動物
ダネットt検定:は、ビヒクルで処置した関節炎のラットに対してp≦0.05。
6.循環しているTGF−β1の測定
表16に示すように、24日目(D24)には、血清TGF−β1濃度は、関節炎ではないビヒクルで処置したグループと比較して、関節炎のビヒクルで処置したグループにおいて増大した(81715.7±1984.1対60269.9±2142.8)。インドメタシンは、(10日間にわたる)3mg/kg/日p.o.の後、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、約1.5倍、血清TGF−β1濃度を有意に低下させた(57222.2±3194.1対81715.7±1984.1)。E3(14日目(D14)および19日目(D19)に、1mg/kgのi.v.)および991(14日目(D14)および19日目(D19)に、10mg/kgのi.v.)は、血清TGF−1β濃度を有意に低下させ、その結果、E3で処置したグループと911で処置したグループのサイトカイン濃度は、ビヒクルで処置した関節炎ではないグループにおいて観察されたサイトカイン濃度と匹敵するものであった(60269.9±2142.8に対して、それぞれ、69408.8±3926.7および67214.5±3649.4)。表16.ラットの関節リウマチにおける血清TGF−β1濃度に対する、i.v.注射(2日間:14日目と19日目)後のE3および911の効果
Figure 2006525955
値は、平均±標準誤差としてpg/mlで表す
関節炎ではない/ビヒクル(右足)、関節炎/ビヒクル(左足)、およびインドメタシン(n=9)を除き、1グループあたりn=10匹の動物
ダネットt検定:は、ビヒクルで処置した関節炎のラットに対してp≦0.05。
7.血液学的パラメーター
表17に示すように、白血球および血小板のような血液学的パラメーターは、ビヒクルで処置した関節炎ではないラットと比較して、ビヒクルで処置した関節炎のラットにおいて高かったが(スチューデントt検定、p<0.05)、赤血球、ヘモグロビン、およびヘマトクリット(スチューデントt検定、p>0.05)は変化しなかった。インドメタシンは、(10日間にわたる)3mg/kg/日p.o.の後、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、血液のパラメーターには影響を与えなかった。E3(14日目(D14)および19日目(D19)に、1mg/kgのi.v.)は、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、血液のパラメーターには影響を与えなかった。991(14日目(D14)および19日目(D19)に、10mg/kgのi.v.)は、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、血液のパラメーターには影響を与えなかった。
表17.ラットの関節リウマチにおける血液のパラメーターに対する、i.v.注射(2日間:14日目と19日目)後のE3および911の効果(24日目に測定)
Figure 2006525955
値は、平均±標準誤差として表す
Anova分析:は、ビヒクルで処置した関節炎のラットに対してp>0.05。
7.後足の重量
表18に示すように、左と右の後足の重量は、ビヒクルで処置した関節炎ではないラットよりも、ビヒクルで処置した関節炎のラットにおいて重かった(それぞれ、3.43±0.11g対1.98±0.01g、および3.32±0.12g対1.99±0.02g)(スチューデントt検定またはマンホイットニー検定、p<0.05)。インドメタシンは、(10日間にわたる)3mg/kg/日p.o.の後、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、後足の重量を有意に減少させた(左後足:2.23±0.04g対3.43±0.11g;右後足:2.20±0.05g対3.32±0.12g)。E3(14日目(D14)および19日目(D19)に、1mg/kgのi.v.)は、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、左後足の重量だけを大きく増大させた(左後足:3.86±0.14g対3.43±0.11g;右後足:3.72±0.13g対3.32±0.12g)。991(14日目(D14)および19日目(D19)に、10mg/kgのi.v.)は、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、右後足の重量だけを大きく増大させた(左後足:3.73±0.12g対3.43±0.11g;右後足:3.83±0.15g対3.32±0.12g)。
Figure 2006525955
値は、平均±標準誤差としてグラムで表す
インドメタシン(n=9)を除き、1グループあたりn=10匹の動物
ダネットt検定:は、ビヒクルで処置した関節炎のラットに対してp≦0.05。
8.X線解析
表19に示すように、ビヒクルで処置した関節炎ではないラットについては、0.0±0.0の合計スコアを観察した。ビヒクルで処置した関節炎のラットは、合計スコアが15.1±1.3であり、脱塩(2.4±0.3)、目減り(2.7±0.3)、軟組織の損傷(3.1±0.2)、および関節窩(3.3±0.2)については高いスコアを、骨膜の反応(1.0±0.3)、骨形成(0.8±0.2)、および奇形(1.8±0、2)については中程度のスコアを有していた。インドメタシン(10日間にわたる、3mg/kg/日p.o.)は、ビヒクルで処置した関節炎のラットと比較して、合計スコアを大きく有意に、約10.7低下させた(4.4±0.9対15.1±1.3)。E3(14日目(D14)および19日目(D19)に、1mg/kgのi.v.)は、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、合計スコアには影響を与えなかった(14.2±1.3対15.1±1.3)。991(14日目(D14)および19日目(D19)に、10mg/kgのi.v.)は、ビヒクルで処置した関節炎のグループと比較して、合計スコアには影響を与えなかった(15.4±1.0対15.1±1.3)。
Figure 2006525955
値は、平均±標準誤差(スコア)として表す
インドメタシン(n=9)を除き、1グループあたりn=10匹の動物
ダネットt検定:は、ビヒクルで処置した関節炎のラットに対してp≦0.05。
結論
上記の実験条件下では、E3(14日目(D14)および19日目(D19)に、1mg/kgのi.v.)および991(14日目(D14)および19日目(D19)の2日間に、10mg/kgのi.v.)は強い鎮静効果を示したが、この関節炎モデルにおいては有意な抗炎症効果は示さなかった。
(実施例
関節リウマチのラットモデルにおける種々の用量の抗NGF抗体E3の効果
関節炎のラットにおいて痛みの軽減を生じるE3の能力を、さらに、E3の投与と痛みの軽減との間での容量応答関係を試験することによって研究した。ラットを、上記のように関節炎を誘導するためにアジュバントで処置した。アジュバントを注射しなかった10匹のラットを、関節炎ではない対照として使用した。アジュバントの注射後14日目に、動物を、上記の基準に基づいて研究への適格性を定め、10匹のラットの8個のグループにランダムに分け、彼らの発声の応答の強さについて試験した。その後、彼らに、14日目に生理食塩水、あるいは、0.003mg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、または5mg/kgの上記のE3抗体を投与した。動物を、16日目、18日目、20日目、および24日目に、彼らの発声の応答について試験した。動物に、18日目に発声試験後に同じ用量の生理食塩水またはE3を再び投与した。動物をまた、14日目から毎日体重を測定した。したがって、動物には、14日目と18日目に所定の用量の抗体または生理食塩水を2回投与し、14日目、16日目、18日目、20日目、および24日目に痛みについて5回評価した。データを、表20〜22、および図20〜22に示す。
Figure 2006525955
痛みによって誘導される発声に対する種々の用量の抗NGF抗体E3での動物の処置の効果(データは表20に示す)を、二元ANOVAを使用することによって統計分析し、ビヒクルで処置した関節炎の動物と、所定の用量の抗体E3で処置した関節炎の動物との対の間で得られた結果を比較した。試験した全てのE3濃度で、極めて有意な効果があった(p<0.0001)。試験した最も低い用量(0.003mg/kgのE3)でもなお、発声の差は有意であった(p<0.0001)。
表20および図20に示すように、上記の実験と一致して、1mg/kgの抗体E3での処置は、痛みの迅速で強い緩和を示した。2日(試験した最も早い時間)以内に、発声の強さは90%下がった。より低い濃度のE3での処置によってもまた、痛みの強い緩和がもたらされたが、低い濃度では、痛みの緩和が生じるまでに幾分長い時間を要した。試験した全てについての(しかし最大用量を除く)24日目の効力の明らかな低下は、被験ラットによる免疫応答に対する二次的な血漿E3濃度の実際の濃度の低下が、おそらく原因である。0.003mg/kgのような低い用量によっても、このモデルにおいては少なくとも部分的に痛みの緩和がもたらされることは明らかである。
Figure 2006525955
Figure 2006525955
体重に対する種々の用量の抗NGF抗体E3での動物の処置の効果を、二元ANOVAを使用することによって統計分析し、ビヒクルで処置した関節炎の動物と、所定の用量の抗体E3で処置した関節炎の動物との対の間で得られた結果を比較した。14日目の体重に標準化したデータ(表21)を使用すると、0.03mg/kgのE3の用量は、体重に有意な変化を生じた(p<0.005)。全てのさらに高い用量のE3で、処置した関節炎の動物と処置していない関節炎の動物との間での差は有意であった(p=または≦0.0001)。0日目の体重に標準化したデータ(表22)を使用すると、0.03mg/kgの用量のE3によって、体重に有意な変化が生じた(p<0.002)。全てのさらに高い用量のE3で、処置した関節炎の動物と処置していない関節炎の動物との間での差は有意であった(p<0.0001)。
再度、先の研究と一致して、E3で処置したラットは、生理食塩水で処置した関節炎のラットよりも少ない見かけ上の体重の減少を示した(表22および図22)。実際には、高用量の抗体E3で処置したラットは、早い段階で体重の減少を回復し、正確には、彼らの関節炎ではない仲間よりも早く体重が増加した(表21および図21)。
生物学的材料の寄託
以下の材料を、アメリカンタイプカルチャーコレクション、10801 University Boulevard,Manassas,Virginia,USA(ATCC)に寄託した:
Figure 2006525955
ベクターEb.911.3Eは、E3軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドであり、ベクターEb.pur.911.3Eは、E3軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドであり、ベクターDb.911.3Eは、E3重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドである。
この寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約(ブダペスト条約)の規定のもとで行った。これにより、寄託の日から30年間にわたり、寄託物の生存可能な培養物が確約される。寄託物は、ブダペスト条約のもとで、Rinat Neuroscience Corp.およびATCCの間での合意を条件として、ATCCより入手することができる。これによって、該当する米国特許の発行または任意の米国もしくは外国特許出願の公報の公開のいずれか早い方がなされると、寄託物の培養物の子孫を、一般市民が永久にかつ無制限に入手することが保証され、米国特許法第122条およびそれに順ずるコミッショナー規則(米国特許法施行規則1.14、特に、886 OG 638を参照のこと)にしたがってそれらに与えられる、米国特許商標庁長官により決定されたものについて子孫を確実に利用できるようになる。
特許出願の受領は、適切な条件下で培養された場合に、寄託された材料の培養物が死亡した、または失われた、崩壊した場合には、材料を同じもので直ちに置き換えられる場合に、認められる。寄託された材料の有用性は、その特許法にしたがって、任意の政府の権限にもとで与えられる違法な発明を実施するための権利としては解釈されない。
抗体配列
重鎖可変領域(Kabat CDRに下線をつける:Chothia CDRは、太字のイタリックである)
Figure 2006525955
軽鎖可変領域(Kabat CDRに下線をつける:Chothia CDRは、太字のイタリックである)
Figure 2006525955
E3重鎖の伸張型CD
Figure 2006525955
3軽鎖の伸張型CD
Figure 2006525955
ウスモノクローナル抗体911の伸張型CDR
911重鎖の伸張型CD

Figure 2006525955
11軽鎖の伸張型CD

Figure 2006525955
3重鎖のアミノ酸配列(全長)
Figure 2006525955
3E軽鎖のアミノ酸配列(抗体全体)
Figure 2006525955
3E重鎖のヌクレオチド配列(抗体全体)
Figure 2006525955
3E重鎖の可変ドメインのヌクレオチド配列
Figure 2006525955
3E軽鎖のヌクレオチド配列(抗体全体)
Figure 2006525955
3E軽鎖の可変ドメインのヌクレオチド配列
Figure 2006525955
本明細書中に記載された実施例および実施形態は、例示の目的のためのものにすぎず、その観点からの種々の修飾および変更が当業者に示唆され、本出願の精神と範囲に含まれることが理解される。
図1Aは、E3抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列を示す(「6」および「5+親和性成熟H3」と表示される)。Chothia CDRおよびKabat CDRは、それぞれ、下線付きの字体、および太字のイタリックの字体によって示される。図1Aはまた、以下の重鎖可変領域のアミノ酸配列のアラインメントも示す;(1)マウス911抗体のCDR H1(配列番号9)、H2(配列番号10)およびH3(配列番号11);(2)VH4−59ヒト生殖系アクセプター配列(「VH4−59」または「2」と表示される)(配列番号69);(3)マウス抗体911の伸張型CDRと接続されているアクセプター配列(「CDR接続型」または「3」と表示される)(配列番号70);(4)V71K置換を含むCDR接続型アクセプター配列(「3+1つのフレームワーク変異」または「4」と表示される)(配列番号71);(5)親和性が変異したCDR H1およびH2を含むクローン(「5」または「4+親和性変異H1、H2」と表示される)(配列番号72);ならびに、抗体E3(上記のとおり)(配列番号1)。図1Bは、E3抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を示す(「5」または「4+親和性成熟L3」と表示される)。Chothia CDRおよびKabat CDRは、それぞれ、下線付きの字体、および太字のイタリックの字体によって示される。図1Bはまた、以下の軽鎖可変領域のアミノ酸配列のアラインメントも示す;(1)マウス911抗体のCDR L1(配列番号12)、L2(配列番号13)およびL3(配列番号14);(2)O8ヒト生殖系アクセプター配列(「O8」または「2」と表示される)(配列番号73);(3)マウス抗体911の伸張型CDRと接続されているアクセプター配列(「CDR接続型」または「3」と表示される)(配列番号74);(4)CDR接続型アクセプター配列(「3+親和性変異L1、L2」または「4」と表示される)(配列番号75);(5)親和性が変異したCDR L1およびL2を含むクローン(「5」または「4+親和性変異L3」と表示される);ならびに、抗体E3(上記のとおり)(配列番号2) 図1Aは、E3抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列を示す(「6」および「5+親和性成熟H3」と表示される)。Chothia CDRおよびKabat CDRは、それぞれ、下線付きの字体、および太字のイタリックの字体によって示される。図1Aはまた、以下の重鎖可変領域のアミノ酸配列のアラインメントも示す;(2)VH4−59ヒト生殖系アクセプター配列(「VH4−59」または「2」と表示される);(3)マウス抗体911の伸張型CDRと接続されているアクセプター配列(「CDR接続型」または「3」と表示される);(4)V71K置換を含むCDR接続型アクセプター配列(「3+1つのフレームワーク変異」または「4」と表示される);(5)親和性が変異したCDR H1およびH2を含むクローン(「5」または「4+親和性変異H1、H2」と表示される);ならびに、抗体E3(上記のとおり)。図1Bは、E3抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を示す(「5」または「4+親和性成熟L3」と表示される)。Chothia CDRおよびKabat CDRは、それぞれ、下線付きの字体、および太字のイタリックの字体によって示される。図1Bはまた、以下の軽鎖可変領域のアミノ酸配列のアラインメントも示す;(2)O8ヒト生殖系アクセプター配列(「O8」または「2」と表示される);(3)マウス抗体911の伸張型CDRと接続されているアクセプター配列(「CDR接続型」または「3」と表示される);(4)CDR接続型アクセプター配列(「3+親和性変異L1、L2」または「4」と表示される);(5)親和性が変異したCDR L1およびL2を含むクローン(「5」または「4+親和性変異L3」と表示される);ならびに、抗体E3(上記のとおり)。 図1Aは、E3抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列を示す(「6」および「5+親和性成熟H3」と表示される)。Chothia CDRおよびKabat CDRは、それぞれ、下線付きの字体、および太字のイタリックの字体によって示される。図1Aはまた、以下の重鎖可変領域のアミノ酸配列のアラインメントも示す;(2)VH4−59ヒト生殖系アクセプター配列(「VH4−59」または「2」と表示される);(3)マウス抗体911の伸張型CDRと接続されているアクセプター配列(「CDR接続型」または「3」と表示される);(4)V71K置換を含むCDR接続型アクセプター配列(「3+1つのフレームワーク変異」または「4」と表示される);(5)親和性が変異したCDR H1およびH2を含むクローン(「5」または「4+親和性変異H1、H2」と表示される);ならびに、抗体E3(上記のとおり)。図1Bは、E3抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を示す(「5」または「4+親和性成熟L3」と表示される)。Chothia CDRおよびKabat CDRは、それぞれ、下線付きの字体、および太字のイタリックの字体によって示される。図1Bはまた、以下の軽鎖可変領域のアミノ酸配列のアラインメントも示す;(2)O8ヒト生殖系アクセプター配列(「O8」または「2」と表示される);(3)マウス抗体911の伸張型CDRと接続されているアクセプター配列(「CDR接続型」または「3」と表示される);(4)CDR接続型アクセプター配列(「3+親和性変異L1、L2」または「4」と表示される);(5)親和性が変異したCDR L1およびL2を含むクローン(「5」または「4+親和性変異L3」と表示される);ならびに、抗体E3(上記のとおり)。 図2は、抗体E3の重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド配列(配列番号76)を含むポリヌクレオチドを示す。 図3は、抗体E3の軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド配列(配列番号77)を含むポリヌクレオチドを示す。 図4は、種々の濃度のヒトNGFおよびラットNGFの存在下でのE13.5ニューロンのNGF依存的生存性を示すグラフである。X軸はNGF濃度(ng/ml)に対応し、Y軸はニューロンの数に対応する。 図5は、0.04ng/mlのヒトNGF(およそ1.5pM;下のパネルに示される)または0.4ng/mlのヒトNGF(およそ15pM;上のパネルに示される)のいずれかの存在下での種々のFabのNGFブロック効果を比較するグラフである。種々の濃度のFab E3;マウス911 Fab;およびFab H19−L129、ならびにFab 8L2−6D5中でのE13.5マウス三叉神経ニューロンの生存性を評価した。IC50(pM)をそれぞれのNGF濃度で各Fabについて計算し、表9に示す。Fab E3は、ヒトNGF依存性の三叉神経ニューロンの生存性を強くブロックし、15pMのヒトNGFの存在下ではIC50はおよそ21pM、1.5pMのヒトNGFの存在下ではIC50はおよそ1.2pMであった。Fab 3CおよびH19−L129もまた、ヒトNGF依存性の三叉神経ニューロンの生存性を強くブロックした。両方のパネルにおいて、X軸は抗体濃度(nM)に対応し、Y軸はニューロンの数に対応する。1.5pMのNGFは、IC50前後であり、15pMはNGFの飽和濃度を示す。 図6は、0.04ng/mlのラットNGF(およそ1.5pM;下のパネルに示される)または0.4ng/mlのラットNGF(およそ15pM;上のパネルに示される)のいずれかの存在下での種々のFabのNGFブロック効果を比較するグラフである。種々の濃度のFab E3;マウス911 Fab;およびFab H19−L129、ならびにFab 8L2−6D5中でのE13.5マウス三叉神経ニューロンの生存性を上記のように評価した。IC50(pM)をそれぞれのNGF濃度で各Fabについて計算し、表9に示す。Fab E3は、ヒトNGF依存性の三叉神経ニューロンの生存性を強くブロックし、15pMのラットNGFの存在下ではIC50はおよそ31.6pM、1.5pMのラットNGFの存在下ではIC50はおよそ1.3pMであった。Fab 3CおよびH19−L129もまた、ラットNGF依存性の三叉神経ニューロンの生存性を強くブロックした。1.5pMのNGFは、IC50前後であり、15pMはNGFの飽和濃度を示す。両方のパネルにおいて、X軸は抗体濃度(nM)に対応し、Y軸はニューロンの数に対応する。 図7は、外科手術の24時間後に評価した安静時の痛みを示すグラフであり、これは、0.02mg/kg、0.1mg/kg、0.6mg/kg、または1mg/kgの抗NGF抗体E3での処置により痛みが軽減されることを示している。「」は、陰性対照との統計学的に有意な差(p<0.5)を示す。 図8は、外科手術の24時間後に評価した安静時の痛みを示すグラフであり、これは、0.5mg/kgの抗NGF抗体E3での処置により、外科手術後2時間で注射した場合に、安静時の痛みが大きく(p<0.005)軽減されることを示している。 図9は、マウス抗体911(Fab)のヒトNGFに対する結合親和性のBIAcore分析の結果を示すグラフである。マウス抗体911は、3.7nMのKD、8.4×10−5−1のkoff、および2.2×10Ms−1のkonでNGFに結合した。 図10は、抗体E3(Fab)(「3E Fab」と呼ばれる)のヒトNGFに対する結合親和性のBIAcore分析の結果を示すグラフである。E3は、およそ0.07nMのKD(ならびに、約6.0×10−1−1のkon、および4.2×10−5−1のkoff)でヒトNGFに結合した。 図11は、NGFとtrkA(黒丸で示される)、およびNGFとp75(白四角で示される)の間で検出される結合の割合(%)により評価される、抗体E3が、NGFとその受容体であるtrkAおよびp75との相互作用をブロックすることを示すグラフである。X軸は抗体3E(Fab)の濃度に対応し、Y軸はNGFの結合(最大RUに対する割合(%))に対応する。高い濃度のFab E3は、低いシグナルによって示される(RUについて測定した)ように、NGFとp75およびtrkAの両方との相互作用をブロックした。抗体E3(Fab)の濃度はNGF濃度に等しく、NGFの結合は観察されなかった(ゼロのシグナルによって示されるように)。 図12は、抗体E3全体、およびFab E3のヒトNGFをブロックする能力を示すグラフである。ヒトNGF、ならびに種々の濃度のFab E3および抗体E3の存在下でのE13.5マウス三叉神経ニューロンの生存性を評価した。X軸はNGF結合部位(nM)に対応し、Y軸は標準化された三叉神経(TG)ニューロンの数に対応する。抗体E3全体およびFab 3Eは、抗体全体およびFabの濃度をNGF結合部位の数に対して標準化した場合には、同様のレベルの三叉神経ニューロンのNGF依存的生存性の阻害を示した(Fabは1つの結合部位を有し、抗体全体は2つの結合部位を有する)。 図13は、種々の濃度(20、4、0.8、0.16、0.032、0.0064、0.00128、および0.0nM)の抗体E3(黒三角;「3E」と表示される)、抗体911(黒丸)、およびtrkA受容体免疫付着因子(斜線の入った四角;「trkA−Fc」と表示される)が、0.4ng/mlのヒトNGFの存在下(飽和条件)でE13.5三叉神経ニューロンのNGF依存的生存性を阻害する能力を示すグラフである。X軸は抗体の濃度(nM)に対応し、Y集積はニューロンの数に対応する。これらの結果は、抗体E3がマウスモノクローナル抗NGF抗体911またはtrkA免疫付着因子のいずれよりも明らかに良好にNGFをブロックしたことを示した。 図14は、抗NGFアンタゴニスト抗体E3(図中では「3E」と表示される)またはFab 911は、200nMのような高い抗体濃度でもなお、NT3、NT4/5、およびMSPによって促進されるニューロンの生存性を阻害しなかったことを示すグラフである。データは、各実験についての陽性対照において観察された生存性(飽和NGF濃度の存在下で成長させた三叉神経ニューロンの100%の生存性)と比較した、48時間の培養後の生存性の平均の割合(%)を示す。種々の濃度(20nM、2nM、または0.2nM)のE3 Fab(図中では「3E」と表示される)およびマウス抗体911 Fabを、ニュートロフィンを加えずに(「対照」と表示される)、400pMのNGF(「NGF−400pM」と表示される)、10nMのNT3(「NT3−10nM」と表示される)、または600pMのMSP(「MSP−600pM」と表示される)の存在下で使用した。 図15は、抗NGFアンタゴニスト抗体E3(Fabまたは抗体全体)(図中では「3E」と表示される)またはマウス抗体911(Fabまたは抗体全体)は、200nMのような高い抗体濃度でもなお、NT3、NT4/5、およびMSPによって促進されるニューロンの生存性を阻害しなかったことを示すグラフである。種々の濃度(20nMおよび80nM)のE3 Fabおよび抗体全体、ならびにマウス抗体911抗体全体およびFabを、ニュートロフィンを加えずに(「因子なし」と表示される)、400pMのNGF(「NGF−400pM」と表示される)、10nMのNT3(「NT3−10nM」と表示される)、または600pMのMSP(「MSP−600pM」と表示される)の存在下で使用した。 図16は、抗NGFアンタゴニスト抗体E3またはFab E3は、BDNF、NT4/5、またはLIFによって促進されるE17結節ニューロンの生存性を阻害しなかったことを示すグラフである。マウス抗NGFアンタゴニスト抗体911もまた試験し、同様の結果を観察した。種々の濃度(200nMおよび80nM)の抗体E3全体(図中では「3E」と表示される)、Fab 3E、抗体911全体、またはFab 911を、ニュートロフィンを加えずに(「因子なし」と表示される)、400pMのBDNF(「BDNF−400pM」と表示される)、400pMのNT4/5(「NF4/5−400pM」と表示される)、または2.5nMのLIF(「LIF−2.5nM」と表示される)の存在下で試験した。 図17は、抗NGFアンタゴニスト抗体E3またはFab E3は、BDNF、NT4/5、またはLIFによって促進されるE17結節ニューロンの生存性を阻害しなかったことを示すグラフである。種々の濃度(200nM、20nMおよび2nM)のFab 3E(図中では「3E」と表示される)またはFab 911を、ニュートロフィンを加えずに(「対照」と表示される)、400pMのBDNF(「BDNF−400pM」と表示される)、400pMのNT4/5(「NF4/5−400pM」と表示される)、または2.5nMのLIF(「LIF−2.5nM」と表示される)の存在下で試験した。 図18は、D14(14日目)およびD19(19日目)の抗NGF抗体(E3および911)の投与後の関節炎のラット(関節リウマチモデル)における侵害刺激反応を示すグラフである。E3(14日目および19日目に1mg/kgをi.v.で)、911(14日目および19日目に10mg/kgをi.v.で)、またはindo(インドメタシン;10日間にわたって毎日3mg/kgをp.o.で)を関節炎のマウスに投与した。発声の強さの値を、平均±標準誤差としてmVで示す。 図19は、D14(14日目)およびD19(19日目)の抗NGF抗体の投与後の関節炎のラット(関節リウマチモデル)の体重に対する抗NGF抗体の効果を示すグラフである。E3(14日目および19日目に1mg/kgをi.v.で)、911(14日目および19日目に10mg/kgをi.v.で)、またはindo(インドメタシン;10日間にわたって毎日3mg/kgをp.o.で)を関節炎のマウスに投与した。体重の値を、平均±標準誤差としてグラムで示す。 図20は、D14(14日目)およびD18(18日目)の種々の用量の抗NGF抗体E3(0.003mg/kg、0.03mg/kg、0.3mg/kg、および5mg/kg)の投与後の関節炎のラット(関節リウマチモデル)における侵害刺激反応を示すグラフである。発声の強さの値を、平均±標準誤差としてmVで示す。 図21は、D14(14日目)およびD18(18日目)種々の用量の抗NGF抗体E3(0.03mg/kg、0.3mg/kg、および5mg/kg)の投与後の関節炎のラット(関節リウマチモデル)における、14日目の体重に対する割合についての抗NGF抗体E3の効果を示すグラフである。 図22は、D14(14日目)およびD18(18日目)の種々の用量の抗NGF抗体E3(0.03mg/kg、0.3mg/kg、および5mg/kg)の投与後の関節炎のラット(関節リウマチモデル)における体重の減少に対する抗NGF抗体E3の効果を示すグラフである。体重の値を0日に対して標準化した。 図23は、連続的なナンバリング、Kabatのナンバリング、およびChothiaのナンバリングを使用してナンバリングした、E3重鎖可変領域のアミノ酸配列(図23A)および軽鎖可変領域のアミノ酸配列(図23B)を示す。 図23は、連続的なナンバリング、Kabatのナンバリング、およびChothiaのナンバリングを使用してナンバリングした、E3重鎖可変領域のアミノ酸配列(図23A)および軽鎖可変領域のアミノ酸配列(図23B)を示す。 図23は、連続的なナンバリング、Kabatのナンバリング、およびChothiaのナンバリングを使用してナンバリングした、E3重鎖可変領域のアミノ酸配列(図23A)および軽鎖可変領域のアミノ酸配列(図23B)を示す。 図23は、連続的なナンバリング、Kabatのナンバリング、およびChothiaのナンバリングを使用してナンバリングした、E3重鎖可変領域のアミノ酸配列(図23A)および軽鎖可変領域のアミノ酸配列(図23B)を示す。

Claims (65)

  1. 抗神経成長因子(NGF)抗体であって、前記抗体は:
    (a)約2nM未満のKでNGFに結合し;
    (b)約100pM以下のIC50でマウスのE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存的生存性を阻害し、ここではIC50は約15pMのヒトNGFの存在下で測定され;そして
    (c)約10pM以下のIC50でマウスのE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存的生存性を阻害し、ここではIC50は約1.5pMのヒトNGFの存在下で測定される、抗体。
  2. 前記抗体がヒト化されている、請求項1に記載の抗体。
  3. 前記抗体が親和性成熟されている、請求項1に記載の抗体。
  4. 前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項1に記載の抗体。
  5. 前記抗体が単離された抗体である、請求項1に記載の抗体。
  6. 以下を含む重鎖可変領域:
    (a)配列番号9のCDR1領域であって、配列番号9における9位のアミノ酸がS、L、V、A、またはIであり;配列番号9における10位のアミノ酸がN、T、またはSで置換されている領域;
    (b)配列番号10のCDR2領域であって、配列番号10における1位のアミノ酸が、M、I、G、Q、S、またはLであり;配列番号10における13位のアミノ酸がAまたはSであり;配列番号10における14位のアミノ酸がLまたはVである領域;および
    (c)配列番号11のCDR3領域であって、配列番号11における3位のアミノ酸がY、L、またはRであり;配列番号11における4位のアミノ酸がYまたはWであり;配列番号11における6位のアミノ酸がG、A、またはSであり;配列番号11における7位のアミノ酸がTまたはSであり;配列番号11における8位のアミノ酸がS、A、またはTであり;配列番号11における9位のアミノ酸がY、R、T、またはMであり;配列番号11における10位のアミノ酸がYまたはFであり;配列番号11における11位のアミノ酸がFまたはWであり;配列番号11における12位のアミノ酸がD、N、またはGであり;配列番号11における13位のアミノ酸がY、K、S、R、またはTである領域;
    を含み、NGFに結合し、そして配列番号9に示されるCDR1領域、配列番号10に示されるCDR2領域および配列番号11に示されるCDR3領域を含む重鎖可変領域、ならびに配列番号12に示されるCDR1領域、配列番号13に示されるCDR2領域および配列番号14に示されるCDR3領域を含む軽鎖可変領域を含む抗体ではない、抗体。
  7. さらに軽鎖可変領域を含む、請求項6に記載の抗体。
  8. 以下を含む軽鎖可変領域:
    (a)配列番号12のCDR1領域であって、配列番号12における3位のアミノ酸がSまたはFであり;配列番号12における5位のアミノ酸がD、S、A、またはYであり;配列番号12における9位のアミノ酸がH、N、またはQである領域;
    (b)配列番号13のCDR2領域であって、配列番号13における2位のアミノ酸がI、T、V、またはAであり;配列番号13における7位のアミノ酸がSまたはTである領域;および
    (c)配列番号14のCDR3領域であって、配列番号14における3位のアミノ酸がS、またはEであり、配列番号14における4位のアミノ酸がK、H、R、またはSであり;配列番号14における8位のアミノ酸がYまたはRである領域;
    を含み、NGFに結合し、そして配列番号9に示されるCDR1領域、配列番号10に示されるCDR2領域および配列番号11に示されるCDR3領域を含む重鎖可変領域、ならびに配列番号12に示されるCDR1領域、配列番号13に示されるCDR2領域および配列番号14に示されるCDR3領域を含む軽鎖可変領域を含む抗体ではない、抗体。
  9. さらに重鎖可変領域を含む、請求項8に記載の抗体。
  10. (a)以下を含む重鎖可変領域:
    (i)配列番号9のCDR1領域であって、配列番号9における9位のアミノ酸がS、L、V、A、またはIであり配列番号9における10位のアミノ酸がN、T、またはSである領域;
    (ii)配列番号10のCDR2領域であって、配列番号10における1位のアミノ酸が、M、I、G、Q、S、またはLであり;配列番号10における13位のアミノ酸がAまたはSであり;配列番号10における14位のアミノ酸がLまたはVである領域;および
    (iii)配列番号11のCDR3領域であって、配列番号11における3位のアミノ酸がY、L、またはRであり;配列番号11における4位のアミノ酸がYまたはWであり;配列番号11における6位のアミノ酸がG、A、またはSであり;配列番号11における7位のアミノ酸がTまたはSであり;配列番号11における8位のアミノ酸がS、A、またはTであり;配列番号11における9位のアミノ酸がY、R、T、またはMであり;配列番号11における10位のアミノ酸がYまたはFであり;配列番号11における11位のアミノ酸がFまたはWであり;配列番号11における12位のアミノ酸がD、N、またはGであり;配列番号11における13位のアミノ酸がY、K、S、R、またはTである領域;および
    (b)以下を含む軽鎖可変領域;
    (i)配列番号12のCDR1領域であって、配列番号12における3位のアミノ酸がSまたはFであり;配列番号12における5位のアミノ酸がD、S、A、またはYであり;配列番号12における9位のアミノ酸がH、N、またはQである領域;
    (ii)配列番号13のCDR2領域であって、配列番号13における2位のアミノ酸がI、T、V、またはAであり;配列番号13における7位のアミノ酸がSまたはTである領域;および
    (iii)配列番号14のCDR3領域であって、配列番号14における3位のアミノ酸がSまたはEであり;配列番号14における4位のアミノ酸がK、H、R、またはSであり;配列番号14における8位のアミノ酸がYまたはRである領域;
    を含み、NGFに結合し、そして配列番号9に示されるCDR1領域、配列番号10に示されるCDR2領域および配列番号11に示されるCDR3領域を含む重鎖可変領域、ならびに配列番号12に示されるCDR1領域、配列番号13に示されるCDR2領域および配列番号14に示されるCDR3領域を含む軽鎖可変領域を含む抗体ではない、抗体。
  11. 前記抗体がヒトNGFに結合する、請求項6〜10のいずれかに記載の抗体。
  12. 前記抗体がさらに齧歯類のNGFに結合する、請求項11に記載の抗体。
  13. 前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項6〜10のいずれかに記載の抗体。
  14. 前記抗体がヒト化抗体である、請求項6〜10のいずれかに記載の抗体。
  15. 前記抗体が約2nM以下のKでNGFに結合する、請求項6〜10のいずれかに記載の抗体。
  16. 前記Kが約100pM以下である、請求項15に記載の抗体。
  17. 以下を含む重鎖可変領域:
    (a)配列番号3に示されるCDR1領域;
    (b)配列番号4に示されるCDR2領域;および
    (c)配列番号5に示されるCDR3領域;
    を含み、NGFに結合する、抗体。
  18. さらに軽鎖可変領域を含む、請求項17に記載の抗体。
  19. 以下を含む軽鎖可変領域:
    (a)配列番号6に示されるCDR1領域;
    (b)配列番号7に示されるCDR2領域;および
    (c)配列番号8に示されるCDR3領域;
    を含み、NGFに結合する、抗体。
  20. さらに重鎖可変領域を含む、請求項19に記載の抗体。
  21. 以下を含む重鎖可変領域:
    (a)配列番号3に示されるCDR1領域;
    (b)配列番号4に示されるCDR2領域;および
    (c)配列番号5に示されるCDR3領域;
    をさらに含む、請求項19に記載の抗体。
  22. 重鎖可変領域が配列番号1に示される配列を含む、請求項21に記載の抗体。
  23. 軽鎖可変領域が配列番号2に示される配列を含む、請求項21に記載の抗体。
  24. 鎖可変領域が配列番号2に示される配列を含む、請求項22に記載の抗体。
  25. 重鎖が配列番号16に示されるアミノ酸配列から構成される、請求項21に記載の抗体。
  26. 軽鎖が配列番号17に示されるアミノ酸配列から構成される、請求項21に記載の抗体。
  27. 軽鎖が配列番号17に示されるアミノ酸配列から構成される、請求項25に記載の抗体。
  28. 抗体がヒト化抗体である、請求項17、19、または21のいずれかに記載の抗体。
  29. 抗体が親和性成熟抗体である、請求項17、19、または21のいずれかに記載の抗体。
  30. 抗体がモノクローナル抗体である、請求項17、19、または21のいずれかに記載の抗体。
  31. (a)請求項1、6、8、10、17,19、21、および27のいずれかに記載の抗体、および(b)薬学的に許容される賦形剤を含む、薬学的組成物。
  32. 請求項1、6、8、10、17,19、21、および27のいずれかに記載の抗体を含むキット。
  33. 請求項1〜30のいずれか1項に記載の抗体をコードするポリヌクレオチドを宿主細胞中で発現させる段階を含む、請求項1に記載の抗体を作成する0方法。
  34. 効量の抗NGFアンタゴニスト抗体を含む、個体において関節リウマチの痛みを処置するための薬学的組成物
  35. 前記痛みが前記個体に対する抗NGFアンタゴニスト抗体の投与後約24時間以内に緩和される、請求項34に記載の薬学的組成物
  36. 前記痛みが前記個体に対する抗NGFアンタゴニスト抗体の投与後約4日以内に緩和される、請求項34に記載の薬学的組成物
  37. 前記抗NGFアンタゴニスト抗体がヒトNGFに特異的に結合する、請求項34に記載の薬学的組成物
  38. 前記抗NGFアンタゴニスト抗体が、配列番号1および2に示されるアミノ酸配列を含む抗体である、請求項34に記載の薬学的組成物
  39. 効量の抗NGFアンタゴニスト抗体を含む、個体の関節リウマチに伴う炎症性悪液質を処置するための薬学的組成物
  40. 抗NGFアンタゴニスト抗体がヒトNGFに特異的に結合する、請求項39に記載の薬学的組成物
  41. 抗NGFアンタゴニスト抗体が配列番号1および2に示されるアミノ酸配列を含む抗体である、請求項39に記載の薬学的組成物
  42. 効量の抗NGFアンタゴニスト抗体を含む、個体において変形性関節症の痛みを処置するための薬学的組成物
  43. 抗NGFアンタゴニスト抗体がヒトNGFに特異的に結合する、請求項42に記載の薬学的組成物
  44. 抗NGFアンタゴニスト抗体が配列番号1および2に示されるアミノ酸配列を含む抗体である、請求項42に記載の薬学的組成物
  45. 前記個体がヒトである、請求項34、39または42のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
  46. 個体における関節リウマチの痛みを処置するためのキットであって、該キットは、有効量の抗NGFアンタゴニスト抗体、および個体において関節リウマチの痛みを処置するために該抗NGFアンタゴニスト抗体を使用するための説明書を備える、キット。
  47. 前記痛みが前記抗NGFアンタゴニスト抗体の前記個体への投与後約24時間以内に緩和される、請求項46に記載のキット。
  48. 前記痛みが前記抗NGFアンタゴニスト抗体の前記個体への投与後約4日以内に緩和される、請求項46に記載のキット。
  49. 前記抗NGFアンタゴニスト抗体がヒトNGFに特異的に結合する、請求項46に記載のキット。
  50. 前記抗NGFアンタゴニスト抗体が、配列番号1および2に示されるアミノ酸配列を含む抗体である、請求項46に記載のキット。
  51. 個体における関節リウマチに伴う炎症性悪質液を処置するためのキットであって、該キットは、有効量の抗NGFアンタゴニスト抗体、および個体において関節リウマチに伴う炎症性悪質液を処置するために該抗NGFアンタゴニスト抗体を使用するための説明書を備える、キット。
  52. 前記抗NGFアンタゴニスト抗体がヒトNGFに特異的に結合する、請求項51に記載のキット。
  53. 前記抗NGFアンタゴニスト抗体が、配列番号1および2に示されるアミノ酸配列を含む抗体である、請求項51に記載のキット。
  54. 個体における変形性関節症の痛みを処置するためのキットであって、該キットは、有効量の抗NGFアンタゴニスト抗体、および個体において変形関節症の痛みを処置するために該抗NGFアンタゴニスト抗体を使用するための説明書を備える、キット。
  55. 前記抗NGFアンタゴニスト抗体がヒトNGFに特異的に結合する、請求項54に記載のキット。
  56. 前記抗NGFアンタゴニスト抗体が、配列番号1および2に示されるアミノ酸配列を含む抗体である、請求項54に記載のキット。
  57. 前記個体がヒトである、請求項46、51または54のいずれか1項に記載のキット。
  58. 請求項1〜30のいずれか1項に記載の抗体をコードするヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
  59. 前記ポリヌクレオチドが配列番号65に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項58に記載のポリヌクレオチド。
  60. 前記ポリヌクレオチドが配列番号66に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項58に記載のポリヌクレオチド。
  61. 前記ポリヌクレオチドが配列番号67に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項58に記載のポリヌクレオチド。
  62. 前記ポリヌクレオチドが配列番号68に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項58に記載のポリヌクレオチド。
  63. 前記ポリヌクレオチドが配列番号66に示されるヌクレオチド配列、および配列番号68に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項58に記載のポリヌクレオチド。
  64. 請求項1〜30のいずれか1項に記載の抗体をコードするヌクレオチド配列を含む、ベクター。
  65. 請求項1〜30のいずれか1項に記載の抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む、宿主細胞。
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