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JP2006294446A - 電気光学装置、電気光学装置の製造方法及び電子機器 - Google Patents

電気光学装置、電気光学装置の製造方法及び電子機器 Download PDF

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JP2006294446A JP2005114224A JP2005114224A JP2006294446A JP 2006294446 A JP2006294446 A JP 2006294446A JP 2005114224 A JP2005114224 A JP 2005114224A JP 2005114224 A JP2005114224 A JP 2005114224A JP 2006294446 A JP2006294446 A JP 2006294446A
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Abstract

【課題】 バンクにより囲まれた区画領域に発光素子を形成する際、形成された発光素子の膜厚のばらつきが抑えられて良好な発光特性を有する電気光学装置及びこの電気光学装置を搭載した電子機器を提供する。
【解決手段】 区画領域8を挟んで互いに対向する位置に親液性バンク14aと該親液性バンク14a上に形成された撥液性バンク14bとで構成されるバンク14を形成した。この親液性バンク14aは、第2の層間絶縁層S2上の、第1及び第2の配線12A,12B及び給電線LZがそれぞれ絶縁層M、第1及び第2の層間絶縁層S1,S2を介して積層されることで凸形状に盛り上った位置に開口部15を形成して、その盛り上がり部分をなくした。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電気光学装置、電気光学装置の製造方法及び電子機器に関する。
従来より、機能材料で基板上に所定のパターンを形成してディスプレイといった電気光学装置を製造する技術が開発されているが、近年においては、機能材料を所定の溶媒中に溶解または分散して形成された液状組成物を吐出ヘッドから吐出して、基板の所望の位置に塗布させることでパターンを形成する、所謂、液滴吐出法が注目されている。この液滴吐出法は、機能材料をパターン形成に使用される量しか使用しないので、例えば、基板全面に機能材料を塗布するスピンコート法に比べて、使用する機能材料が少なくて済むなどの利点がある。
ところで、例えば有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(以下、「有機ELディスプレイ」という)の画素パターンを液滴吐出法で形成する場合、基板上に吐出した液状組成物が隣接する画素に流出するのを防ぐため、基板上にバンク(仕切部材)を設け、バンクにより囲まれた区画領域に液状組成物を吐出するようにしている。このとき、区画領域内に塗布された液状組成物は、その中央部分が盛り上った凸状態となり、溶媒を除去すると、バンクに向かうに連れて膜厚が厚くなって前記中央部分が凹んだ凹状形状となる。その結果、溶媒を除去した後、機能材料で構成された機能層(たとえば、発光層)は、その膜厚の分布が不均一なものとなることから、発光ムラ(色ムラ)が発生する問題が生じる。
そこで、バンクの側面と区画領域の底面に形成された画素電極との間に、バンクの側面から画素電極に向けて傾斜した連結面を設けることで、溶媒を除去して形成される機能層を連結面に接触させて、機能層を平坦化させる技術が開示されている(たとえば、特許文献1)。
特開2004−198486号公報
しかしながら、上記有機ELディスプレイといった各種電気光学装置では、高効率な発光特性を得る等のために各種配線が複雑に引き回されている。そして、区画領域周辺にも、配線が引き回されている。このため、バンクの上層部の表面形状が、区画領域周辺のあるバンクの下方の下地の構造の影響を受けて凹凸形状を成す。従って、区画領域を挟んで互いに対向する位置に設けられたバンクの各上層部の表面形状がその区画領域の中心に対して対称にならない場合がある。そのため、液滴吐出法を使用して区画領域内に塗布された液状組成物は、その周縁部がバンクの各上層部の表面上に塗布されるが、上層部の表面形状がその区画領域の中心に対して対称でないことから、溶媒を除去する時に、区画領域に塗布された液状組成物は、バンクに引っ張られるので、膜厚が不均一な膜が形成されてしまうという問題が生ずる。
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、バンクにより囲まれた区画領域に発光素子を形成する際、形成された発光素子の膜厚のばらつきが抑えられて良好な発光特性を有する電気光学装置及びこの電気光学装置を搭載した電子機器を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明の電気光学装置は、基板上に、一方向に沿って互いに所定の間隔で配置された複数の第1の配線と、該複数の第1の配線の各々と交差するように互いに所定の間隔で配置された複数の第2の配線と、前記複数の第1の配線と前記複数の第2の配線とを覆うように形成して、前記第1の配線と前記第2の配線との交差部に対応して区画領域を形成するバンクと、前記バンクによって形成された前記各区画領域にそれぞれ形成された発光素子とを備えた電気光学装置において、前記区画領域を挟んで対向する前記第1の配線を覆うバンクの部分の表面形状を、その区画領域を挟んで対称にする対称化手段を前記基板上に設けた。
これによれば、バンクの表面形状は、その区画領域の中心に対して対称になる。従って、発光素子が、たとえば、2つの電極層に挟まれた発光層を備えたエレクトロルミネッセンス素子構造を有した素子であり、且つ、その発光層が液滴吐出法によって形成されるようにした場合、区画領域内に吐出された液状組成物が、区画領域の中心に対して対称の位置に塗布される。この結果、液状組成物中の溶媒を除去する時に、区画領域に塗布された液状組成物は、互いに対向する位置に設けられた各バンクによって均一に引っ張られるので、形成される発光層の膜厚が区画領域内において均一になる。このため、発光素子の膜厚のばらつきが抑えられて良好な発光特性を有する発光素子を形成することができる。
この電気光学装置において、前記対称化手段は、前記区画領域を挟んで互いに対向するバンクの前記第1の配線を覆う部分の表面形状を平坦にする平坦化手段であってもよい。
これによれば、バンクの表面形状は平坦になる。従って、発光素子が、たとえば、2つの電極層に挟まれた発光層を備えたエレクトロルミネッセンス素子構造を有した素子であり、且つ、その発光層が液滴吐出法によって形成されるようにした場合、バンク上に吐出された液状組成物が、区画領域の中心に対して対称になる。この結果、形成される発光層の膜厚が区画領域内において均一になる。
この電気光学装置において、前記バンクは、親液性を有する第1のバンクと、該第1のバンク上に形成された撥液性を有する第2のバンクとから構成されていてもよい。
これによれば、親液性を有する第1のバンクと撥液性を有する第2のバンクとを備えた電気光学装置において、形成される発光素子の膜厚のばらつきが抑えられて良好な発光特性を有する電気光学装置を実現することができる。
この電気光学装置において、前記平坦化手段は、前記第1のバンクの、前記第1の配線によって盛り上る位置に形成された開口部であってもよい。
これによれば、開口部を形成することによってバンクの表面形状が平坦になる。この結果、形成される発光素子の膜厚が区画領域内において均一になる。
この電気光学装置において、前記平坦化手段は、前記第1のバンクの、前記第1の配線によって盛り上った位置の周辺の窪んだ位置に形成された配線層であってもよい。
これによれば、配線層を形成することによってバンクの各表面形状は平坦になる。従って、形成される発光素子の膜厚が区画領域内において均一になる。
この電気光学装置において、前記第1の配線は、前記発光素子を駆動させる駆動電力を供給する給電線であり、前記第2の配線は、前記各区画領域にそれぞれ形成された発光素子を順次走査して所定の区画領域に形成された発光素子を選択する走査信号を供給する走査線であってもよい。
これによれば、給電線と選択線とが交差するようにして配置された電気光学装置において、その給電線によって給電線上に盛り上った部分が形成されても、バンクの各表面形状が平坦になる。
この電気光学装置において、前記発光素子は、陽極と、前記陽極と相対して形成した陰極と、前記陽極と前記陰極との間に形成した発光層とを備えたエレクトロルミネッセンス素子であってもよい。
これによれば、発光素子としてエレクトロルミネッセンス素子を備えた電気光学装置において、その形成されるエレクトロルミネッセンス素子の膜厚が区画領域内において均一になる。
この電気光学装置において、前記エレクトロルミネッセンス素子は、前記発光層が有機材料で形成された有機エレクトロルミネッセンス素子であってもよい。
これによれば、発光素子として有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた電気光学装置において、その形成される有機エレクトロルミネッセンス素子の膜厚が区画領域内において均一になる。
本発明の電気光学装置の製造方法は、基板上に、一方向に沿って互いに所定の間隔で配置された複数の第1の配線と、該複数の第1の配線の各々と交差するように互いに所定の間隔で配置された複数の第2の配線と、前記複数の第1の配線と前記複数の第2の配線とを覆うように形成して、前記第1の配線と前記第2の配線との交差部に対応して区画領域を形成するバンクと、前記バンクによって形成された前記各区画領域にそれぞれ形成された発光素子とを備えた電気光学装置の製造方法において、前記バンクの下側であって、前記複数の第1の配線によって盛り上った位置に開口部を形成する開口部形成工程と、前記開口部を覆うように前記バンクを形成するバンク形成工程と、前記バンクによって形成された前記各区画領域に発光層を形成する発光層形成工程とを含んでいる。
これによれば、開口部が形成されることによって、第1の配線による盛り上った部分がなくなる。その盛り上った分の段差がバンクの表面形状に現れることはない。従って、発光素子が、たとえば、2つの電極層に挟まれた発光層を備えたエレクトロルミネッセンス素子構造を有した素子であり、且つ、その発光層が液滴吐出法によって形成されるようにした場合、区画領域内に吐出された液状組成物が、区画領域の中心に対して対称の位置に塗布される。この結果、液状組成物中の溶媒を除去する時に、区画領域に塗布された液状組成物は、互いに対向する位置に設けられた各バンクによって均一に引っ張られるので、形成される発光層の膜厚が区画領域内において均一になる。このため、発光素子の膜厚のばらつきが抑えられて良好な発光特性を有する発光素子を形成することができる。
本発明の電気光学装置の製造方法は、基板上に、一方向に沿って互いに所定の間隔で配置された複数の第1の配線と、該複数の第1の配線の各々と交差するように互いに所定の間隔で配置された複数の第2の配線と、前記複数の第1の配線と前記複数の第2の配線とを覆うように形成して、前記第1の配線と前記第2の配線との交差部に対応して区画領域を形成するバンクと、前記バンクによって形成された前記各区画領域にそれぞれ形成された発光素子とを備えた電気光学装置の製造方法において、前記バンクの下側であって、前記第1の配線によって盛り上った位置の周辺の窪んだ位置に、その盛り上った分の高さに等しい膜厚を有した配線層を形成する配線層工程と、前記配線層を覆うように前記バンクを形成するバンク形成工程と、前記バンクによって形成された前記各区画領域に発光層を形成する発光層形成工程とを含んでいる。
これによれば、配線層が形成されることによって、第1の配線による盛り上った部分がなくなる。その盛り上った分の段差がバンクの表面形状に現れることはない。従って、発光素子が、たとえば、2つの電極層に挟まれた発光層を備えたエレクトロルミネッセンス素子構造を有した素子であり、且つ、その発光層が液滴吐出法によって形成されるように
した場合、区画領域内に吐出された液状組成物が、区画領域の中心に対して対称の位置に塗布される。この結果、液状組成物中の溶媒を除去する時に、区画領域に塗布された液状組成物は、互いに対向する位置に設けられた各バンクによって均一に引っ張られるので、形成される発光層の膜厚が区画領域内において均一になる。このため、発光素子の膜厚のばらつきが抑えられて良好な発光特性を有する発光素子を形成することができる。
この電気光学装置の製造方法において、前記発光層形成工程は、液滴吐出法によって行われるようにしてもよい。
これによれば、発光材料をパターン形成に使用される量しか使用しないので、例えば、基板全面に機能材料を塗布するスピンコート法に比べて、使用する発光材料の量を少なくすることができる。また、真空装置等といった大型の装置を使用すること無く、少量の材料で均一な膜厚を有した発光層を有する発光素子を形成することができる。
本発明の電子機器は、上記記載の電気光学装置の製造方法を使用して製造された電気光学装置が搭載されている。
これによれば、電気光学装置は、その発光層の膜厚が区画領域内において均一であるので、各区画領域毎に発光素子の輝度ムラのない、表示品位の優れた電子機器を提供することができる。
(第1実施形態)
以下、本発明の一実施形態として、電気光学装置を有機ELディスプレイに適用した場合について図面に従って説明する。図1は、有機ELディスプレイの正面図である。
図1に示すように、有機ELディスプレイ1は、ディスプレイ部2と、該ディスプレイ部2の下側部(図1中Y矢印方向)に接続されたフレキシブル回路基板3とから構成されている。
ディスプレイ部2は、基板4を備えている。基板4は、本実施形態では、ガラス板で構成されている。基板4は、その中央に略四角形状の表示領域5を備えている。基板4上であって、表示領域5以外の領域(以下、「非表示領域」という)6には、一対の走査線駆動回路7等が形成されている。
表示領域5には、列方向(図1中Y矢印方向)にn個、行方向(図1中X矢印方向)にm個の区画領域8が、それぞれ等ピッチで形成されている。そして、m×n個の各区画領域8に対応して、赤用画素9R、緑用画素9G、青用画素9Bがマトリクス状に形成されている。そして、行方向に沿っては、赤用画素9R→緑用画素9G→青用画素9B→赤用画素9R→緑用画素9G→…→赤用画素9R→緑用画素9G→青用画素9Bの順に繰り返して形成されている。また、Y矢印方向(列方向)に沿っては、同色の画素9R,9G,9Bが形成されている。
また、非表示領域6には、表示領域5を介して一対の走査線駆動回路7が形成されている。各走査線駆動回路7は、協働してn行ある画素9R,9G,9B群を順次走査して一行の画素9R,9G,9Bを選択するための走査信号(電圧信号)を順次出力する。
一方、フレキシブル回路基板3上には、データ線駆動回路10と制御回路11とが形成されている。データ線駆動回路10は、前記走査線駆動回路7が出力した走査信号によって選択された行の各画素9R,9G,9B群に対して、その各画素9R,9G,9Bから出射される光の輝度(発光輝度)を決定する電気信号としての画像信号を出力する。制御回路11は、各走査線駆動回路7及びデータ線駆動回路10の駆動を制御するための各種
制御信号を生成し、その生成した制御信号を各駆動回路7,10にそれぞれ出力する。
また、各画素9R,9G,9Bには、画素9R,9G,9Bを駆動させるための駆動電力が供給されるようになっている。そして、各画素9R,9G,9Bを順次走査してその選択された各画素9R,9G,9B群における発光輝度をデータ線駆動回路10によって制御することにより、任意の画像が表示領域5上に表示されるのである。
図2(a)に、m×n個ある区画領域8のうちの一つの区画領域8及びその周辺の配線パターンを説明する平面図を示し、図2(b)に、図2(a)中a−a線断面図を示す。
図2(a)に示すように、基板4上に図2中X矢印方向に沿って形成された走査信号を供給する走査線LXと、Y矢印方向に沿って形成された画像信号を供給するデータ線LYと、前記データ線LYに平行になるように形成された駆動電力を供給する給電線LZに挟まれる領域に、前記区画領域8が形成されている。そして、この区画領域8には、有機EL素子OLED及び該有機EL素子OLEDを駆動するための周辺回路が総て配置されている。
詳しくは、周辺回路は、スイッチングトランジスタQsw、保持容量Cp及び駆動トラン
ジスタQdを備えている。
スイッチングトランジスタQswは、例えば、NチャネルMOS構造を有した薄膜トランジスタ(TFT)であって、走査線LXからの走査信号がゲートに供給される。そして、走査線LXから走査信号が供給されると、スイッチングトランジスタQswはオンになり、その結果、データ線LYから画像信号がスイッチングトランジスタQswのドレイン/ソース間に供給される。
保持容量Cpは、給電線LZに沿って形成された第1の配線12Aと、絶縁層(図2(
b)参照)Mを挟んでその下方(基板4側)に第1の配線12Aと平行になるように形成された第2の配線12Bと、から構成されている。第1の配線12Aは、コンタクトホールHを介して給電線LZと電気的に接続されている。第2の配線12Bは、その一端がスイッチングトランジスタQswのソースに接続されている。そして、保持容量Cpは、スイ
ッチングトランジスタQswのドレイン/ソース間に供給された画像信号に応じた電荷量を蓄積する。
駆動トランジスタQdは、例えば、NチャネルMOS構造を有した薄膜トランジスタ(
TFT)である。駆動トランジスタQdのゲートには、スイッチングトランジスタQswの
ドレイン/ソース間に供給された画像信号が供給されるようになっている。そして、ゲートに供給された画像信号の電圧値に応じて、即ち、保持容量Cpに蓄積された電荷量に対
応した電圧値に応じて、ドレイン/ソース間の導電率が制御され、同電圧値に応じた電流が駆動電流として有機EL素子OLEDに供給されるようになっている。
図2(b)に示すように、基板4の上方には区画領域8を区画形成するバンク14が形成されている。詳しくは、基板4上に、図2(a)中Y矢印方向に所定長さだけ延設されるようにして前記第2の配線12Bが形成されている。また、基板4上全面には、第2の配線12B上に渡って絶縁層Mが形成されている。
絶縁層M上には、第2の配線12Bと平行になるようにして前記第1の配線12Aが形成されている。つまり、第1の配線12Aと第2の配線12Bとは絶縁層Mを挟んで対向する位置に形成されている。
また、絶縁層M上には、第1の配線12Aに隣接して並設するようにデータ線LYが延設されている。このデータ線LYは、第2の配線12Bの上方には形成されておらず、基
板4上に形成された絶縁層M上に形成されている。従って、たとえば、第1の配線12Aとデータ線LYとが同じ膜厚である場合、基板4から第1の配線12Aの上層部表面までの高さh1は、基板4からデータ線LYの表面までの高さh2より第2の配線12Bの膜厚だけ高くなっている。
また、絶縁層M上全面には、第1の配線12A及びデータ線LY上に渡って第1の層間絶縁層S1が形成されている。そして、基板4から第1の配線12Aの上層部表面までの高さh1は、基板4からデータ線LYの表面までの高さh2より第2の配線12Bの膜厚だけ高くなっている。従って、第1の層間絶縁層S1は、その第1の配線12Aの上方に対向する位置とデータ線LYの上方に対向する位置とで高さが一致しておらず、第2の配線12Bの膜厚だけの段差が生じている。
第1の層間絶縁層S1上には、図2(a)中Y矢印方向に延設された前記給電線LZが形成されている。給電線LZは、第1の配線12Aの上方には形成されている。第1の層間絶縁層S1上全面には、給電線LZ上に渡って第2の層間絶縁層S2が形成されている。従って、第2の層間絶縁層S2は、給電線LZの上方に対向する位置がその周囲に比べて高く、凸形状に盛り上っている。つまり、第2の層間絶縁層S2の、給電線LZの上方に対向する位置は、第1及び第2の配線12A,12B及び給電線LZがそれぞれ絶縁層M、第1及び第2の層間絶縁層S1,S2を介して積層されるようにして形成された領域に対応する。また、その給電線LZの上方に対向する位置と、データ線LYの上方に対向する位置との間は、第2の層間絶縁層S2において最も大きな段差が形成されている。
そして、第2の層間絶縁層S2上であって、走査線LX(図2(a)参照)と、データ線LYと、給電線LZとに挟まれる領域には、略長方形状を成す陽極としての画素電極13が形成されている。
また、第2の層間絶縁層S2上であって、画素電極13の外周縁を取り囲む位置には、バンク14が形成されている。そして、このバンク14によって前記区画領域8が形成されている。
バンク14は、前記基板4側に形成された第1のバンクとしての親液性バンク14aと、該親液性バンク14a上に形成された第2のバンクとしての撥液性バンク14bとから構成されている。親液性バンク14aの周縁部は、撥液性バンク14bより画素電極13側に張り出すようにして形成されている。
そして、図2(a),(b)に示すように、区画領域8を挟んで互いに対向する位置に設けられた親液性バンク14a上であって、その給電線LZの上方に対向する位置、即ち、第1及び第2の配線12A,12B及び給電線LZがそれぞれ絶縁層M、第1及び第2の層間絶縁層S1,S2を介して積層されるようにして形成された。この結果、第2の層間絶縁層S2の上層部が凸形状に盛り上った位置には、親液性バンク14aが形成されていない対称化手段または平坦化手段としての開口部15が形成されている。
このとき、親液性バンク14aの膜厚を、前記した凸形状に盛り上った分の高さと同じになるように形成し、開口部15を形成することで、その盛り上った部分はなくなり、その盛り上った分の段差が撥液性バンク14bの上層部Tの表面形状に現れることはない。このため、各撥液性バンク14bの上層部Tの表面形状は平坦になっている。従って、区画領域8を挟んで互いに対向する位置に設けられた撥液性バンク14bの上層部Tの表面形状は、その区画領域8の中心線Lo(図2(a)参照)に対してほぼ対称になっている。
画素電極13上には、正孔輸送層16、発光層17の順に積層されてなる機能層18が形成されている。発光層17は、有機材料で構成されている。
撥液性バンク14b及び発光層17上全面に渡って陰極19が形成されている。そして、画素電極13と、該画素電極13と相対して形成した陰極19と、画素電極13と陰極19との間に機能層18とを備えたエレクトロルミネッセンス素子としての有機EL素子OLEDが構成されている。
このような構成を有する有機ELディスプレイ1は、図2(b)に示すように、正孔輸送層16の膜厚が区画領域8内に渡って均一になっている。また、各正孔輸送層16上に形成される発光層17も、正孔輸送層16と同様に、その膜厚が区画領域8内に渡って均一になっている。
次に、前記のような構造を有する有機ELディスプレイ1の製造方法について図3〜図6に従って説明する。
先ず、ガラス板である基板4を洗浄した後に、プラズマCVD法によって珪素層を成膜し、その後、レーザアニールすることで成膜した珪素層を多結晶化する。この多結晶化された層は、駆動トランジスタQdやスイッチングトランジスタQswといった各種薄膜ト
ランジスタ(TFT)のチャンネルを形成する層と同じ層であり、配線として使用する領域には不純物ドーピングして低抵抗化する。更に、図3(a)示すように、基板4上の所定に位置に、フォトリソグラフィー法等を使用することで第2の配線12Bをパターニング形成する。その後、図3(b)示すように、基板4上全面に、第2の配線12B上に渡って酸化珪素(SiO)を、例えば、プラズマ法によって成膜して絶縁層Mを形成する。
続いて、第2の配線12Bと重なるように絶縁層M上に、例えばスパッタ法により形成したアルミニウム層をフォトリソグラフィー法等を使用することで、第1の配線12Aをパターニング形成する。また、このとき、同時に、絶縁層M上に第1の配線12Aに隣接して並設するようにデータ線LYを形成する。このとき、データ線LYは、第2の配線12B上に形成された絶縁層M上には形成せず、基板4上に形成された絶縁層M上に形成する(図3(c)参照)。
その後、図3(d)示すように、絶縁層M上全面に、第1の配線12A及びデータ線LY上に渡って酸化珪素(SiO)を、たとえばプラズマCVD法によって成膜して第1の層間絶縁層S1を形成する。このとき、基板4から第1の配線12A上層部表面までの高さh1は、基板4からデータ線LYの上層部表面までの高さh2より第2の配線12Bの膜厚だけ高くなっているので、第1の層間絶縁層S1は、その第1の配線12Aの上方に対向する位置が凸形状に盛り上っている。
続いて、第1の層間絶縁層S1上に、例えばスパッタ法により形成したアルミニウム層を、フォトリソグラフィー法等を使用することで、給電線LZをパターニング形成する。更に、第1の層間絶縁層S1上及び、給電線LZ上に渡って酸化珪素(SiO)を、たとえばプラズマCVD法によって成膜することで第2の層間絶縁層S2を形成する(図4(a)参照)。このとき、図4(a)に示すように、給電線LZは、第1の層間絶縁層S1を介して第1の配線12Aの上方に形成される。従って、第2の層間絶縁層S2は、凸形状に盛り上っている。このようにして、基板4上に、第1及び第2の配線12A,12B、及び、給電線LZが形成される。
そして、図4(b)に示すように、第2の層間絶縁層S2上であって、走査線LX(図2(a)参照)と、データ線LYと、給電線LZとに挟まれる領域に、例えば、スパッタ法で形成したインジウム−錫酸化物(ITO)といった光透過性を有する導電材料を成膜
する。そして、その後に、フォトリソグラフィー法等を使用することで、パターニングして画素電極13を形成する。
次に、図4(c)に示すように、第2の層間絶縁層S2上の、給電線LZの上方に対向する位置と、画素電極13の周縁部を除く領域とが開口したマスクKを設け、該マスクK越しに、酸化珪素(SiO)を蒸着法によって成膜する。その後、マスクKを除去すると、図4(d)に示すように、第2の層間絶縁層S2上の凸形状に盛り上った位置に開口部15が形成された親液性バンク14aが形成される(開口部形成工程)。
続いて、図5(a)に示すように、周縁部を除く親液性バンク14a上に開口部15を覆うようにして撥液性バンク14bを形成する(バンク形成工程)。つまり、前記開口部15を含むようにして、撥液性バンク14bを形成する。この結果、区画領域8が形成される。本実施形態では、アクリル樹脂やポリイミド樹脂等の有機樹脂をパターン形成し、CF4プラズマ処理等により表面を撥液化する。この結果、各撥液性バンク14bの上層
部Tの表面形状は、平坦になる。
次に、区画領域8に形成された画素電極13上に正孔輸送層16を形成する。本実施形態では、液滴吐出法を用いて正孔輸送層16を形成する。具体的には、図5(b)に示すように、正孔輸送層材料が溶媒中に溶解または分散した液状組成物Lを吐出可能とする液滴吐出ヘッド20を選択する。この液滴吐出ヘッド20は、図5(b)中X矢印方向に沿って延設された案内レール21に支持されてX矢印方向または反X矢印方向(走査方向)に移動可能である。
そして、液滴吐出ヘッド20の位置を案内レール21に沿って調整して、液滴吐出ヘッド20に形成されたノズルNが、所定の画素電極13(例えば、1行目の画素電極13)と対向する位置に合わせる。この状態で、ノズルNから液滴化した液状組成物Lを吐出して区画領域8内に塗布する。すると、親液性バンク14aに接触することによって画素電極13上全面に液状組成物Lが濡れ広がる。また、撥液性バンク14bによって隣接した他の画素電極13上には液状組成物Lが濡れ広がることはない。さらに、このとき、撥液性バンク14bの上層部Tの表面形状は平坦化されているので、撥液性バンク14bの上層部Tに接触した液状組成物Lは、区画領域8の中心線Loに対して対称の位置に塗布される。
以降、液滴吐出ヘッド20をX矢印方向に沿って各画素ピッチずつ移動させながら、ノズルNから液滴化した液状組成物Lを吐出して、1行分のm個の区画領域8内に液状組成物Lを塗布する。その後、他の行の区画領域8内にも前記と同様にして、液状組成物Lを順次塗布することで全ての区画領域8内に液状組成物Lを塗布する。
その後、液状組成物Lが塗布された基板4を、例えば、図示しない密閉容器中に載置し、その容器内を減圧することで、塗布された液状組成物中の溶媒を蒸発させて除去する。この結果、図5(c)に示すように、各画素電極13上に正孔輸送層16が形成される。このとき、区画領域8を取り囲む撥液性バンク14bの上層部Tの表面の凹凸は区画領域8に対してほぼ対称となるため、撥液性バンク14bの上層部Tに塗布された液状組成物Lは、互いに対向する位置に設けられた各撥液性バンク14bによって均一に引っ張られる。この結果、形成される正孔輸送層16の膜厚は、各区画領域8内において均一となる。
その後、赤用発光層材料が溶媒中に溶解または分散した液状組成物Lrを吐出する液滴吐出ヘッド30を順次選択する。そして、前記と同様にして、図6(a)に示すように、液滴吐出ヘッド30のノズルNrから液滴化した液状組成物Lrを区画領域8に吐出して
先に形成した各正孔輸送層16上に塗布する(発光層形成工程)。このとき、撥液性バンク14bの上層部Tの表面形状は平坦化されているので、撥液性バンク14bの上層部Tに接触した液状組成物Lrは、区画領域8の中心に対して対称の位置に塗布される。
以降、同様に、緑用発光層材料が溶媒中に溶解または分散した液状組成物を吐出する液滴吐出ヘッド、青用発光層材料が溶媒中に溶解または分散した液状組成物を吐出する液滴吐出ヘッドを順次選択する(図示略)。そして、各液滴吐出ヘッドのノズルから液滴化した液状組成物を区画領域8内に吐出して先に形成した各正孔輸送層16上に塗布する。このときも、前記と同様に、撥液性バンク14bの上層部Tの表面形状は平坦化されているので、撥液性バンク14bの上層部Tに接触した液状組成物は、区画領域8の中心に対して対称の位置に塗布される。
その後、再び、各液状組成物が塗布された基板4を、例えば、図示しない密閉容器中に載置し、その容器内を減圧することで、塗布された液状組成物中の溶媒を蒸発させて除去する(溶媒除去工程)。
この結果、区画領域8を取り囲む撥液性バンク14bの上層部Tの表面の凹凸は区画領域8に対してほぼ対称となるため、撥液性バンク14bの上層部Tに塗布された液状組成物は、互いに対向する位置に設けられた各撥液性バンク14bによって均一に引っ張られる。この結果、形成される発光層17の膜厚は、図6(b)に示すように、各区画領域8内において均一となる。
その後、撥液性バンク14b及び各発光層17上に、LiF層、Ca層、Al層等を蒸着方法等により積層し、陰極19を形成する。さらに、ディスプレイ部2と、別途製造されたフレキシブル回路基板3とを接続して、有機ELディスプレイ1が製造される。
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態によれば、区画領域8を挟んで互いに対向する位置に親液性バンク14aと該親液性バンク14a上に形成された撥液性バンク14bとで構成されるバンク14を形成した。そして、親液性バンク14aは、第2の層間絶縁層S2上の、第1及び第2の配線12A,12B及び給電線LZがそれぞれ絶縁層M、第1及び第2の層間絶縁層S1,S2を介して積層されることで凸形状に盛り上った位置に開口部15を形成して、その盛り上がり部分をなくした。その結果、各撥液性バンク14bの上層部Tの表面形状は平坦になるので、区画領域8を挟んで互いに対向する位置に設けられた撥液性バンク14bの上層部Tの表面形状は、その区画領域8の中心に対してほぼ対称にすることができる。
従って、液滴吐出法を用いて正孔輸送層16を形成する際、撥液性バンク14bの上層部Tに接触した正孔輸送層材料が溶媒中に溶解または分散した液状組成物Lが、区画領域8の中心に対して対称の位置に塗布される。この結果、液状組成物L中の溶媒を除去する時に、撥液性バンク14bの上層部Tに塗布された液状組成物Lは、互いに対向する位置に設けられた各撥液性バンク14bによって均一に引っ張られるので、区画領域8内において、正孔輸送層16の膜厚を均一にすることができる。
(2)また、本実施形態によれば、発光層17も正孔輸送層16と同様に液滴吐出法を用いて形成したので、撥液性バンク14bの上層部Tに接触した発光材料が溶媒中に溶解または分散した液状組成物が、区画領域8の中心に対して対称の位置に塗布される。この結果、液状組成物中の溶媒を除去する時に、撥液性バンク14bの上層部Tに塗布された液状組成物は、互いに対向する位置に設けられた各撥液性バンク14bによって均一に引っ張られるので、区画領域8内において、発光層17の膜厚を均一にすることができる。
(3)本実施形態によれば、各有機EL素子OLEDの膜厚のばらつきを抑えることがで
きるので、良好な発光特性を有する有機ELディスプレイ1を実現することができる。
(4)本実施形態によれば、開口部15は、第1及び第2の配線12A,12B及び給電線LZがそれぞれ絶縁層M、第1及び第2の層間絶縁層S1,S2を介して積層されることによって生じた段差が最も大きい位置に設けたので、開口部を複数形成することなく、各撥液性バンク14bの上層部Tの表面形状をほぼ平坦にすることができる。
(5)本実施形態によれば、液滴吐出法を用いて正孔輸送層16及び発光層17を形成するようにしたので、正孔輸送層材料及び発光材料をパターン形成に使用される量しか使用しないので、例えば、基板4全面に正孔輸送層材料及び発光材料を塗布するスピンコート法に比べて、使用する正孔輸送層材料及び発光材料の量を少なくすることができる。また、真空装置等といった大型の装置を使用すること無く、少量の正孔輸送層材料で均一な膜厚を有した正孔輸送層16、及び少量の発光材料で均一な膜厚を有した発光層17を有する有機EL素子OLEDを形成することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図7〜図9に従って説明する。この第2実施形態の有機ELディスプレイ1aは、撥液性バンク14bの下方にある親液性バンク14aの構造が第1実施形態の有機ELディスプレイ1と異なっている以外は、全て同じである。従って、前記第1実施形態と同じ構成部材についてはその符号を等しくし、その詳細な説明を省略する。
図7(a)に、第2実施形態に係る区画領域8及びその周辺の配線パターンを説明する平面図を示し、図7(b)に、図7(a)中a−a線断面図を示す。
図7(a)に示すように、第1実施形態と同様に、基板4上に図2中X矢印方向に沿って形成された走査信号を供給する走査線LXと、Y矢印方向に沿って形成された画像信号を供給するデータ線LYと、前記データ線LYに平行になるように形成された電源Vddを供給する給電線LZに挟まれる領域に区画領域8が形成されている。そして、この区画領域8には、有機EL素子OLED及び該有機EL素子OLEDを駆動するための周辺回路が総て配置されている。また、図7(b)に示すように、第2の層間絶縁層S2は、給電線LZの上方に対向する位置がその周囲に比べて高く、凸形状に盛り上っている。
そして、本実施形態においては、図7(a),(b)に示すように、区画領域8を挟んで互いに対向する位置に設けられた親液性バンク14aは、その第2の層間絶縁層S2の凸形状に盛り上っている領域(下側に給電線LZが形成されている部分)を覆うようにして形成されている。その結果、親液性バンク14aの上層部の表面形状は、凸形状に盛り上っている。そして、親液性バンク14a上であって、データ線LYの上方に対向する位置、即ち、親液性バンク14aが凸形状に盛り上った位置の周辺の窪んだ位置には、対称化手段として配線層50が形成されている。また、この親液性バンク14aが凸形状に盛り上った位置と窪んだ位置との段差は、本実施形態においては、親液性バンク14aにおいて最も大きい。
配線層50は、その膜厚が、親液性バンク14aの凸形状の高さと一致する厚さである。また、配線層50は、図7中Y矢印方向に沿って形成されている。従って、親液性バンク14a上の凸形状に盛り上った分の段差が配線層50によって相殺され、撥液性バンク14bの上層部Tの表面形状に現れることはない。このため、各撥液性バンク14bの上層部Tの表面形状は平坦になっている。従って、区画領域8を挟んで互いに対向する位置に設けられた撥液性バンク14bの上層部Tの表面形状は、その区画領域8の中心線Lo(図7(a)参照)に対してほぼ対称になっている。
このような構成を有する有機ELディスプレイ1は、図7(b)に示すように、画素電極13上に形成される正孔輸送層16の膜厚は区画領域8内において、均一になっている。また、各正孔輸送層16上に形成される発光層17も、正孔輸送層16と同様に、その
膜厚が区画領域8内において均一になっている。
次に、前記のような構造を有する有機ELディスプレイ1aの製造方法について図8〜図10に従って説明する。
上記第1実施形態と同様に、基板4上に、第1及び第2の配線12A、12B、絶縁層M、第1の層間絶縁層S1、データ線LY及び給電線LZを形成した後に、第1の層間絶縁層S1上全面に、給電線LZ上に渡って第2の層間絶縁層S2を形成する。続いて、第2の層間絶縁層S2上であって、走査線LX(図2(a)参照)と、データ線LYと、給電線LZとに挟まれる領域に、例えば、スパッタ法で形成したインジウム−錫酸化物(ITO)といった光透過性を有する導電材料を成膜する。そして、その後に、フォトリソグラフィー法等を使用することで、パターニングして画素電極13を形成する(図8(a)参照)。
次に、画素電極13の周縁部及び第2の層間絶縁層S2の凸形状に盛り上っている領域が開口された図示しないマスクを設け、そのマスク越しに、酸化珪素(SiO)を蒸着する。すると、図8(b)に示すように、画素電極13の周縁部及び第2の層間絶縁層S2の凸形状に盛り上っている領域を覆うように親液性バンク14aが形成される。このとき、親液性バンク14aは、その給電線LZの上方に対向する位置が周囲に比べて高く凸形状に盛り上った形状になる。続いて、給電線LZの上方に対向する位置の周辺の窪んだ位置に、その盛り上った分の高さに等しい膜厚を有した配線層50を形成する(配線層工程)。これは、図8(b)に示すように、画素電極13及び親液性バンク14a上に、親液性バンク14a上であって、データ線LYの上方に対向する位置が開口したマスクKaを設け、該マスクKa越しに、例えば、アルミニウム(Al)といった金属を蒸着する。その後、マスクKaを除去することで、図8(c)に示すように、配線層50を形成する。
続いて、図9(a)に示すように、周縁部を除く親液性バンク14a上に配線層50を覆うようにして撥液性バンク14bを形成する(バンク形成工程)。この結果、区画領域8が形成される。本実施形態では、上記第1実施形態と同様に、アクリル樹脂やポリイミド樹脂等の有機樹脂をパターン形成し、CF4プラズマ処理等により表面を撥液化する。
この結果、各撥液性バンク14bの上層部Tの表面形状は、平坦になる。
次に、図9(b)に示すように、上記第1実施形態と同様に、区画領域8に形成された画素電極13上に、正孔輸送層材料が溶媒中に溶解または分散した液状組成物Lを全ての区画領域8内に吐出する。
その後、液状組成物Lが塗布された基板4を、例えば、上記第1実施形態と同様に、図示しない密閉容器中に載置し、その容器内を減圧することで、塗布された液状組成物中の溶媒を蒸発させて除去する。この結果、図9(c)に示すように、各画素電極13上に正孔輸送層16が形成される。このとき、区画領域8を取り囲む撥液性バンク14bの上層部Tの表面の凹凸は区画領域8に対してほぼ対称となるため、撥液性バンク14bの上層部Tに塗布された液状組成物Lは、互いに対向する位置に設けられた各撥液性バンク14bによって均一に引っ張られる。この結果、形成される正孔輸送層16の膜厚は、各区画領域8内において均一となる。その後、上記第1実施形態と同様にして、図10(a)に示すように、液滴吐出法を用いて、例えば、赤色の光を出射可能とする発光材料が溶媒中に分散または溶解された液状組成物Lrを区画領域8内に塗布する(発光層形成工程)。その後、図10(b)に示すように、溶媒を除去することで、発光層17を形成する。
その後、撥液性バンク14b及び各発光層17上に、LiF層、Ca層、Al層等を蒸着方法等により積層し、陰極19を形成する。さらに、ディスプレイ部2と、別途製造さ
れたフレキシブル回路基板3とを接続して、有機ELディスプレイ1aが製造される。
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態によれば、区画領域8を挟んで互いに対向する位置に親液性バンク14aと該親液性バンク14a上に形成された撥液性バンク14bとで構成されるバンク14を形成した。そして、親液性バンク14a上の、第1及び第2の配線12A,12B及び給電線LZがそれぞれ絶縁層M、第1及び第2の層間絶縁層S1,S2を介して積層されることで凸形状に盛り上った位置の周辺の窪んだ位置に配線層50を形成し、窪みによる大きな段差をなくした。そして、その配線層50及び親液性バンク14a上に撥液性バンク14bを形成した。その結果、各撥液性バンク14bの上層部Tの表面形状を平坦にすることができたことから、区画領域8を挟んで互いに対向する位置に設けられた撥液性バンク14bの上層部Tの表面形状は、その区画領域8の中心に対してほぼ対称にすることができる。
従って、液滴吐出法を用いて正孔輸送層16を形成する際、撥液性バンク14bの上層部Tに接触した正孔輸送層材料が溶媒中に溶解または分散した液状組成物Lが、区画領域8の中心に対して対称の位置に塗布される。この結果、液状組成物L中の溶媒を除去する時に、撥液性バンク14bの上層部Tに塗布された液状組成物Lは、互いに対向する位置に設けられた各撥液性バンク14bによって均一に引っ張られるので、区画領域8内において、正孔輸送層16の膜厚を均一にすることができる。
(2)また、本実施形態によれば、発光層17も正孔輸送層16と同様に液滴吐出法を用いて形成したので、撥液性バンク14bの上層部Tに接触した発光材料が溶媒中に溶解または分散した液状組成物が、区画領域8の中心に対して対称の位置に塗布される。この結果、液状組成物中の溶媒を除去する時に、撥液性バンク14bの上層部Tに塗布された液状組成物は、互いに対向する位置に設けられた各撥液性バンク14bによって均一に引っ張られるので、区画領域8内において、発光層17の膜厚を均一にすることができる。
(3)本実施形態によれば、各有機EL素子OLEDの膜厚のばらつきを抑えることができるので、良好な発光特性を有する有機ELディスプレイ1aを実現することができる。(第3実施形態)
次に、第1及び第2実施形態で説明した電気光学装置としての有機ELディスプレイ1,1aの電子機器の適用について図11に従って説明する。有機ELディスプレイ1は、モバイル型のパーソナルコンピュータ、携帯電話、デジタルカメラ等種々の電子機器に適用できる。
図11は、大型テレビ60の斜視図である。この大型テレビ60は、有機ELディスプレイ1を搭載した大型テレビ用の表示ユニット61と、スピーカー62と、複数の操作ボタン63とを備えている。この場合でも、有機ELディスプレイ1,1aを用いた表示ユニット61は、その各有機EL素子OLEDの正孔輸送層16及び発光層17は、その形状や膜厚のばらつきが無いので、輝度ムラのない表示品位の優れた画像を表示する大型テレビを提供することができる。
尚、発明の実施形態は、上記第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、以下のように実施してもよい。
○上記第2実施形態では、配線層50を親液性バンク14a上に形成したが、これに限定されるものではなく、たとえば、第1の層間絶縁層S1上に形成するようにしてもよい。要は、撥液性バンク14bの上層部Tの表面形状が、区画領域8の中心に対してほぼ対称になるように撥液性バンク14bの下方の層に配線層50が形成されていればよい。
○上記各実施形態では、有機EL素子OLEDは、画素電極13、正孔輸送層16、発光層17及び陰極19で構成した。これを、画素電極13、正孔輸送層16、発光層17
及び陰極19以外に、例えば、発光層17と陰極19との間に電子輸送層を備えた構成の有機EL素子に適応してもよい。この場合においても、液滴吐出法によって電子輸送層を形成することで、電子輸送層の各膜厚を均一にすることができる。
○上記実施形態では、液滴吐出法を用いて正孔輸送層16及び発光層17を形成するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、発光材料を含んだ液状組成物Lをディスペンサーを用いて凹状領域8内全面に塗布するようにしてもよい。このようにすることで、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
○上記実施形態では、発光素子として有機EL素子OLEDを使用したが、これに限定されるものではない。要は、少なくとも一部の層が液状組成物によって形成される発光素子であればどんな発光素子であってもよい。
有機ELディスプレイの正面図。 (a)は、第1実施形態に係る区画領域及びその周辺の配線パターンを説明するための平面図、(b)は、(a)中a−a線断面図。 (a)〜(d)は、それぞれ、第1実施形態に係る有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図。 同じく、(a)〜(d)は、それぞれ、第1実施形態に係る有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図。 同じく、(a)〜(c)は、それぞれ、第1実施形態に係る有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図。 同じく、(a)及び(b)は、それぞれ、第1実施形態に係る有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図。 (a)は、区画領域及びその周辺の配線パターンを説明するための平面図、(b)は、(a)中a−a線断面図。 (a)〜(c)は、それぞれ、第2実施形態に係る有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図。 同じく、(a)〜(c)は、それぞれ、第2実施形態に係る有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図。 同じく、(a)及び(b)は、それぞれ、第2実施形態に係る有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図。 第3実施形態に係る電子機器としての大型テレビの斜視図。
符号の説明
OLED…発光素子としての有機エレクトロルミネッセンス素子、T…上層部、1,1a…電気光学装置としての有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、2…基板、8…区画領域、13…陽極としての画素電極、14…バンク、14a…第1のバンクとしての親液性バンク、14b…第2のバンクとしての撥液性バンク、15…対称化手段または平坦化手段としての開口部、17…発光層、19…陰極、50…対称化手及び平坦化手段としての配線層、60…電子機器としての大型テレビ。

Claims (12)

  1. 基板上に、一方向に沿って互いに所定の間隔で配置された複数の第1の配線と、該複数の第1の配線の各々と交差するように互いに所定の間隔で配置された複数の第2の配線と、
    前記複数の第1の配線と前記複数の第2の配線とを覆うように形成して、前記第1の配線と前記第2の配線との交差部に対応して区画領域を形成するバンクと、
    前記バンクによって形成された前記各区画領域にそれぞれ形成された発光素子と
    を備えた電気光学装置において、
    前記区画領域を挟んで対向する前記第1の配線を覆うバンクの部分の表面形状を、その区画領域を挟んで対称にする対称化手段を前記基板上に設けたことを特徴とする電気光学装置。
  2. 請求項1に記載の電気光学装置において、
    前記対称化手段は、前記区画領域を挟んで互いに対向するバンクの前記第1の配線を覆う部分の表面形状を平坦にする平坦化手段であることを特徴とする電気光学装置。
  3. 請求項2に記載の電気光学装置において、
    前記バンクは、親液性を有する第1のバンクと、該第1のバンク上に形成された撥液性を有する第2のバンクとから構成されていることを特徴とする電気光学装置。
  4. 請求項3に記載の電気光学装置において、
    前記平坦化手段は、前記第1のバンクの、前記第1の配線によって盛り上る位置に形成された開口部であることを特徴とする電気光学装置。
  5. 請求項3に記載の電気光学装置において、
    前記平坦化手段は、前記第1のバンクの、前記第1の配線によって盛り上った位置の周辺の窪んだ位置に形成された配線層であることを特徴とする電気光学装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一つに記載の電気光学装置において、
    前記第1の配線は、前記発光素子を駆動させる駆動電力を供給する給電線であり、
    前記第2の配線は、前記各区画領域にそれぞれ形成された発光素子を順次走査して所定の区画領域に形成された発光素子を選択する走査信号を供給する走査線であることを特徴とする電気光学装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一つに記載の電気光学装置において、
    前記発光素子は、陽極と、前記陽極と相対して形成した陰極と、前記陽極と前記陰極との間に形成した発光層とを備えたエレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする電気光学装置。
  8. 請求項7に記載の電気光学装置において、
    前記エレクトロルミネッセンス素子は、前記発光層が有機材料で形成された有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする電気光学装置。
  9. 基板上に、一方向に沿って互いに所定の間隔で配置された複数の第1の配線と、該複数の第1の配線の各々と交差するように互いに所定の間隔で配置された複数の第2の配線と、
    前記複数の第1の配線と前記複数の第2の配線とを覆うように形成して、前記第1の配線と前記第2の配線との交差部に対応して区画領域を形成するバンクと、
    前記バンクによって形成された前記各区画領域にそれぞれ形成された発光素子と
    を備えた電気光学装置の製造方法において、
    前記バンクの下側であって、前記複数の第1の配線によって盛り上った位置に開口部を
    形成する開口部形成工程と、
    前記開口部を覆うように前記バンクを形成するバンク形成工程と、
    前記バンクによって形成された前記各区画領域に発光層を形成する発光層形成工程と
    を含むことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  10. 基板上に、一方向に沿って互いに所定の間隔で配置された複数の第1の配線と、該複数の第1の配線の各々と交差するように互いに所定の間隔で配置された複数の第2の配線と、
    前記複数の第1の配線と前記複数の第2の配線とを覆うように形成して、前記第1の配線と前記第2の配線との交差部に対応して区画領域を形成するバンクと、
    前記バンクによって形成された前記各区画領域にそれぞれ形成された発光素子と
    を備えた電気光学装置の製造方法において、
    前記バンクの下側であって、前記第1の配線によって盛り上った位置の周辺の窪んだ位置に、その盛り上った分の高さに等しい膜厚を有した配線層を形成する配線層工程と、
    前記配線層を覆うように前記バンクを形成するバンク形成工程と、
    前記バンクによって形成された前記各区画領域に発光層を形成する発光層形成工程と
    を含むことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  11. 請求項9及び10に記載の電気光学装置の製造方法において、
    前記発光層形成工程は、液滴吐出法によって行われることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  12. 請求項9乃至11のいずれか一つに記載の電気光学装置の製造方法を使用して製造された電気光学装置が搭載されたことを特徴とする電子機器。
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