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JP2006022304A - 含フッ素エラストマーの製造方法 - Google Patents

含フッ素エラストマーの製造方法 Download PDF

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JP2006022304A
JP2006022304A JP2005047559A JP2005047559A JP2006022304A JP 2006022304 A JP2006022304 A JP 2006022304A JP 2005047559 A JP2005047559 A JP 2005047559A JP 2005047559 A JP2005047559 A JP 2005047559A JP 2006022304 A JP2006022304 A JP 2006022304A
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正樹 入江
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Abstract

【課題】本発明は、特定の官能基を主鎖末端および/または側鎖末端に含む含フッ素エラストマーの製造方法を提供する。また、該含フッ素エラストマーからなる硬化性組成物、該硬化性組成物を架橋して得られる成形品を提供する。
【解決手段】主鎖末端および/または側鎖末端に−A(A:ハロゲン原子)部位を有する含フッ素エラストマーと、一般式(1):
【化1】
Figure 2006022304

(M:アルカリ金属、S:硫黄原子、R1:2価以上の有機基または直接結合、X1:架橋性官能基、m:1〜3の整数)で示されるチオール金属塩とを反応させて、前記−A部位を一般式(2):
【化2】
Figure 2006022304

(R1:2価以上の有機基または直接結合、S:硫黄原子、X1:架橋性官能基、m:1〜3の整数)で示される部位に変換する工程を含む含フッ素エラストマーの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の官能基を主鎖末端および/または側鎖末端に含む含フッ素エラストマーの製造方法に関する。また、該含フッ素エラストマーからなる硬化性組成物、該硬化性組成物を架橋して得られる成形品に関する。
含フッ素エラストマー、特にテトラフルオロエチレン(TFE)単位を中心とするパーフルオロエラストマーは、優れた耐薬品性、耐溶剤性および耐熱性を示すことから、過酷な環境下でのシール材等として、自動車工業、半導体工業、化学工業等の分野において広く使用されている。
含フッ素エラストマーを含む硬化性組成物は、高粘度であるため、シール材などの成形品を得るためには、高温で流動させて、成形するとともに架橋させていた。この方法では、半導体装置用O−リング等の単純な形状を有する成形品を得る場合には、なんら問題を生じなかったが、ハードディスクドライブガスケット等の複雑な形状を有する成形品を得ることは困難であった。さらに、自動車組み立て工場等において、ゴム設置部位で架橋させるなどの現場施工型の成形ができないため、予め成形しておく必要があり、工程を簡略化できず、利用方法が制限されるという問題点を有していた。
このような問題を解決するため、現場施工型の成形を可能にし、また、金型等に常温で液状のまま流し込むことができ、複雑な形状の成形品を容易に得ることができる、架橋前において常温で流動性を示す含フッ素液状エラストマーの開発が望まれていた。
含フッ素液状エラストマーの製造方法としては、たとえば、特許文献1には、ビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロピレンとからなる共重合体の主鎖末端に特定の含フッ素ジアシルパーオキサイドを用いてt−ブトキシ基を導入し、酸によりヒドロキシル基に変換する方法が開示されている。しかしながら、この重合開始剤は特殊であるため高価であり、しかも低分子量重合体を得るためには大量に必要であることから、コスト面で問題がある。
さらに、特許文献2には、主鎖両末端にカルボキシル基を有するフッ素化オリゴマーの製法として、フッ素ゴム架橋体を有機溶媒で膨潤させ、塩基や過酸化物の存在下に分解する方法が開示されている。しかしながら、この分解は、ビニリデンフルオライドの重合体からなる架橋体については可能であるが、パーハロゲン化エラストマーには適用することができないという問題がある。
さらに、非特許文献1には、主鎖末端にヒドロキシル基を導入する方法として、過酸化水素の存在下に平均分子量約4000のVdF/HFP共重合体を得、LiAlH4を作用させる方法が開示されている。しかしながら、水酸基ラジカルは、上記共重合においてCF2=CH2のCF2側と反応すると不安定なためさらに反応が進むので、実際にはヒドロキシル基がなかなか末端に導入されないという問題がある。
このように、一般に重合体の主鎖末端に官能基を導入する方法は、特殊な方法を採用する必要があり、コスト高であったり、適用範囲が限られたりするので、実用性に欠けるという問題があった。
これらの問題点を解決するために、特許文献3では、主鎖の両末端部に架橋部位を有する、トリフルオロビニル基含有単量体からなる含フッ素共重合体の製造方法が開示されている。該製造方法は、従来にない大量の重合開始剤を用いて急激に分解する条件下で大量のラジカルを発生させ、トリフルオロビニル基含有単量体の濃度を相対的に低く抑えて重合を行うものであり、得られる含フッ素共重合体は、常温で流動性を有するのに充分な低分子量で得られ、主鎖の両末端にカルボキシル基等の架橋部位を有することにより、架橋可能なものである。しかし、該含フッ素共重合体は、主鎖がパーフルオロ構造をとるものであり、パーフルオロ化合物以外の素材や化合物との相溶性に乏しく、他材との接着や配合剤との混合が難しいという問題があった。
特公昭63−44744号公報 特開平11−322842号公報 国際公開第03/76484号パンフレット プログレス・イン・ポリマー・サイエンス(Progress in Polymer Science)、2001年、第26巻、p.105−187
本発明は、特定の官能基を主鎖末端および/または側鎖末端に含む含フッ素エラストマーの製造方法を提供する。また、該含フッ素エラストマーからなる硬化性組成物、該硬化性組成物を架橋して得られる成形品を提供する。
すなわち、本発明は、主鎖末端および/または側鎖末端に−A(A:ハロゲン原子)部位を有する含フッ素エラストマーと、一般式(1):
Figure 2006022304
(M:アルカリ金属、S:硫黄原子、R1:2価以上の有機基または直接結合、X1:架橋性官能基、m:1〜3の整数)
で示されるチオール金属塩とを反応させて、前記−A部位を一般式(2):
Figure 2006022304
(R1:2価以上の有機基または直接結合、S:硫黄原子、X1:架橋性官能基、m:1〜3の整数)
で示される部位に変換する工程を含む含フッ素エラストマーの製造方法に関する。
架橋性官能基X1が、−OH、−COOY1(Y1は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基)、−Si(Y23(Y2は、同じかまたは異なり、−R2、−OR2、塩素原子、または水素原子から選ばれるが、少なくとも1つは−OR2、塩素原子、水素原子のいずれかであり、R2は炭素数1〜10の炭化水素基)、不飽和結合を少なくとも1つ有する炭素数2〜10の炭化水素基からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
非プロトン性極性溶媒中で反応を行うことが好ましい。
含フッ素エラストマーが、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムであることが好ましい。
また、本発明は、主鎖末端および/または側鎖末端に、一般式(2):
Figure 2006022304
(R1:2価以上の有機基または直接結合、S:硫黄原子、X1:架橋性官能基、m:1〜3の整数)
で示される部位を有する含フッ素エラストマーからなる硬化性組成物に関する。
含フッ素エラストマーが有する一般式(2)中の架橋性官能基X1が、−OH、−COOY1(Y1は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基)、−Si(Y23(Y2は、同じかまたは異なり、−R2、−OR2、塩素原子、または水素原子から選ばれるが、少なくとも1つは−OR2、塩素原子、水素原子のいずれかであり、R2は炭素数1〜10の炭化水素基)、不飽和結合を少なくとも1つ有する炭素数2〜10の炭化水素基からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
含フッ素エラストマーが、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムであることが好ましい。
含フッ素エラストマーが有する一般式(1)中の架橋性官能基X1と架橋反応可能な化合物を含むことが好ましい。
さらに、本発明は前記硬化性組成物を架橋して得られる成形品に関する。
本発明の製造方法で得られる含フッ素エラストマーは、主鎖末端および/または側鎖末端に特定の官能基を有するため、該含フッ素エラストマーからなる硬化性組成物を架橋することで、耐熱性および強度が優れ、圧縮永久歪(CS)が小さい成形品を得ることができる。また、該含フッ素エラストマーからなる硬化性組成物は、加工性に優れており、複雑な形状の成形品を形成することができる。
本発明は、主鎖末端および/または側鎖末端に−A(A:ハロゲン原子)部位を有する含フッ素エラストマーと、一般式(1):
Figure 2006022304
(M:アルカリ金属、S:硫黄原子、R1:2価以上の有機基または直接結合、X1:架橋性官能基、m:1〜3の整数)
で示されるチオール金属塩とを反応させて、前記−A部位を一般式(2):
Figure 2006022304
(R1:2価以上の有機基または直接結合、S:硫黄原子、X1:架橋性官能基、m:1〜3の整数)
で示される部位に変換する工程を含む含フッ素エラストマーの製造方法に関する。
本発明によれば、主鎖末端および/または側鎖末端に−A(A:ハロゲン原子)部位を有する種々の含フッ素エラストマーに、一般式(1)で表されるチオール金属塩を反応させることにより、含フッ素エラストマーの−A部位を架橋性官能基を有する部位へ経済的にかつ簡便に変換することが可能となる。
主鎖末端および/または側鎖末端に−A部位を有する含フッ素エラストマーとしては、主鎖末端および/または側鎖末端にハロゲン原子を有する含フッ素エラストマーであれば、とくに限定されるものではないが、主鎖末端および/または側鎖末端にハロゲン原子(A)を有する含フッ素エラストマーとしては、−I(ヨウ素原子)や−Br(臭素原子)部位を有するものがより好ましい。
含フッ素エラストマーとしては、フッ素ゴム(a)、熱可塑性フッ素ゴム(b)、およびこれらのフッ素ゴムからなるゴム組成物などがあげられるが、これらの中でも、フッ素ゴム(a)が好ましい。
フッ素ゴム(a)としては、非パーフルオロフッ素ゴム(a−1)およびパーフルオロフッ素ゴム(a−2)があげられる。なお、パーフルオロフッ素ゴムとは、その構成単位のうち、90モル%以上がパーフルオロモノマーからなるものをいう。
非パーフルオロフッ素ゴム(a−1)としては、ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、フルオロシリコーン系フッ素ゴム、またはフルオロホスファゼン系フッ素ゴムなどがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または本発明の効果を損なわない範囲で任意に組合わせて用いることができるが、ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン系フッ素ゴムを用いることが好ましい。
ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴムとしては、下記一般式(3)で表されるものが好ましい。
−(M1)−(M2)−(N1)− (3)
(式中、構造単位M1はビニリデンフルオライド(m1)由来の構造単位であり、構造単位M2は含フッ素エチレン性単量体(m2)由来の構造単位であり、構造単位N1は単量体(m1)および単量体(m2)と共重合可能な単量体(n1)由来の繰り返し単位である)
一般式(3)で示されるビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴムの中でも、構造単位M1を45〜85モル%、構造単位M2を55〜15モル%含むものが好ましく、より好ましくは構造単位M1を50〜80モル%、構造単位M2を50〜20モル%である。構造単位N1は、構造単位M1と構造単位M2の合計量に対して、0〜10モル%であることが好ましい。
含フッ素エチレン性単量体(m2)としては、1種または2種以上の単量体が利用でき、たとえばテトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、フッ化ビニルなどの含フッ素単量体があげられるが、これらのなかでも、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)が好ましい。
単量体(n1)としては、単量体(m1)および単量体(m2)と共重合可能なものであれば、いかなるものでもよいが、たとえばエチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテルなどがあげられる。
また、単量体(n1)としては、架橋部位を与える単量体が好ましい。
このような架橋部位を与える単量体としては、一般式(4):
CY3 2=CY3−Rf 1CHR32 (4)
(式中、Y3は、水素原子、フッ素原子または−CH3、Rf 1は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基またはパーフルオロポリオキシアルキレン基、R3は、水素原子または−CH3、X2は、ヨウ素原子または臭素原子)で表されるヨウ素または臭素含有単量体、一般式(5):
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2n−X3 (5)
(式中、mは、0〜5の整数、nは、1〜3の整数、X3は、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、臭素原子、ヨウ素原子)で表される単量体、一般式(6):
CH2=CH(CF2nI (6)
(式中、nは1〜10の整数)で表される単量体などがあげられ、たとえば特公平5−63482号公報、特開平7−316234号公報に記載されているようなパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)やパーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)などのヨウ素含有単量体、特開平4−505341号公報に記載されている臭素含有単量体、特開平4−505345号公報、特開平5−500070号公報に記載されているようなシアノ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、アルコキシカルボニル基含有単量体などがあげられる。これらをそれぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
このようなビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴムとして、具体的には、VdF−HFP系ゴム、VdF−HFP−TFE系ゴム、VdF−CTFE系ゴム、VdF−CTFE−TFE系ゴムなどが好ましくあげられる。
テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン系フッ素ゴムとしては、下記一般式(7)で表されるものが好ましい。
−(M3)−(M4)−(N2)− (7)
(式中、構造単位M3はテトラフルオロエチレン(m3)由来の構造単位であり、構造単位M4はプロピレン(m4)由来の構造単位であり、構造単位N2は単量体(m3)および単量体(m4)と共重合可能な単量体(n2)由来の繰り返し単位である)
一般式(7)で示されるテトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン系フッ素ゴムの中でも、構造単位M3を40〜70モル%、構造単位M4を60〜30モル%含むものが好ましく、より好ましくは構造単位M3を50〜60モル%、構造単位M4を50〜40モル%含むものである。構造単位N2は、構造単位M3と構造単位M4の合計量に対して、0〜40モル%であることが好ましい。
単量体(n2)としては、単量体(m3)および単量体(m4)と共重合可能なものであればいかなるものでもよいが、架橋部位を与える単量体であることが好ましい。たとえば、ビニリデンフルオライド、エチレンなどがあげられる。
パーフルオロフッ素ゴム(a−2)としては、下記一般式(8)で表されるものが好ましい。
−(M5)−(M6)−(N3)− (8)
(式中、構造単位M5はテトラフルオロエチレン(m5)由来の構造単位であり、構造単位M6はパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(m6)由来の構造単位であり、構造単位N3は単量体(m5)および単量体(m6)と共重合可能な単量体(n3)由来の繰り返し単位である)
一般式(8)で示されるパーフルオロフッ素ゴム(a−2)の中でも、構造単位M5を50〜90モル%、構造単位M6を10〜50モル%含むものが好ましく、より好ましくは構造単位M5を50〜80モル%、構造単位M6を20〜50モル%含むものであり、さらに好ましくは構造単位M5を55〜70モル%、構造単位M6を30〜45モル%含むものである。構造単位N3は、構造単位M5と構造単位M6の合計量に対して、0〜5モル%であることが好ましく、0〜2モル%であることがより好ましい。これらの組成の範囲を外れると、ゴム弾性体としての性質が失われ、樹脂に近い性質となる傾向がある。
パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(m6)としては、たとえばパーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)などがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
また、単量体(n3)としては、単量体(m5)および単量体(m6)と共重合可能なものであればいかなるものでもよいが、架橋部位を与える単量体が好ましい。
このような架橋部位を与える単量体としては、たとえばビニリデンフルオライド、一般式(4):
CY3 2=CY3−Rf 1CHR32 (4)
(式中、Y3は、水素原子、フッ素原子または−CH3、Rf 1は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基またはパーフルオロポリオキシアルキレン基、R3は、水素原子または−CH3、X2は、ヨウ素原子または臭素原子)で表されるヨウ素または臭素含有単量体、一般式(5):
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2n−X3 (5)
(式中、mは、0〜5の整数、nは、1〜3の整数、X3は、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、臭素原子、ヨウ素原子)で表される単量体、一般式(6)
CH2=CH(CF2nI (6)
(式中、nは1〜10の整数)で表される単量体などがあげられ、たとえば特公平5−63482号公報、特開平7−316234号公報に記載されているようなパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)やパーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)などのヨウ素含有単量体、特開平4−505341号公報に記載されている臭素含有単量体、特開平4−505345号公報、特開平5−500070号公報に記載されているようなシアノ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、アルコキシカルボニル基含有単量体などがあげられる。これらをそれぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
このヨウ素原子、臭素原子、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が、架橋点として機能することができる。
かかるパーフルオロフッ素ゴム(a−2)の具体例としては、国際公開第97/24381号パンフレット、特公昭61−57324号公報、特公平4−81608号公報、特公平5−13961号公報などに記載されているフッ素ゴムなどがあげられる。
また、フッ素ゴム(a)は数平均分子量1000〜500000のものが好ましく用いられる。
一方、フッ素ゴム(a)は、常温で流動性を有するものであると、複雑な形状の成形品を容易に得ることができ、また、現場施工型の成形が可能となる点で好ましい。上記「常温」とは、0〜50℃を意味する。
具体的には、常温で流動性を有するフッ素ゴム(a)とは、常温における粘度が0.1〜2000Pa・sであることが好ましく、1〜1000Pa・sであることがより好ましい。粘度が、0.1Pa・s未満であると、ポリマー鎖が短すぎて架橋しにくい傾向があり、2000Pa・sを超えると、常温で流動性を有しない場合があり、複雑な形状の成形品を得ることが困難になる傾向がある。
さらに、常温で流動性を有するフッ素ゴム(a)は、常温におけるムーニー粘度が5〜100であるものが好ましく、50〜75であることがより好ましい。ムーニー粘度が、5未満であると、ポリマー鎖が短すぎて架橋しにくい傾向があり、100を超えると、常温で流動性を有しない場合があり、複雑な形状の成形品を得ることが困難になる傾向がある。前記ムーニー粘度は、JIS K 6300(1994年)に準拠して、ムーニー粘度計MV2000(モンサント社製)を用いて測定して得られる値である。
そして、常温で流動性を有するフッ素ゴム(a)は、数平均分子量が500〜20000であることが好ましく、900〜10000であることがより好ましい。数平均分子量が500未満であると、架橋による3次元網目構造の形成が困難となる傾向があり、20000を超えると、常温で流動性を有しない場合があり、複雑な形状の成形品を得ることが困難になる傾向がある。なお、ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴムの場合は、一般式(1)で示されるチオール塩との反応性の観点からは、900〜3000であることが特に好ましい。数平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(東ソー(株)製 HLC−8020、ポリスチレン標準)により求めた値である。
以上説明した非パーフルオロフッ素ゴム(a−1)およびパーフルオロフッ素ゴム(a−2)は、常法により製造することができるが、好ましい製造方法としては、フッ素ゴムの製造法として公知のヨウ素移動重合法をあげることができる。たとえば、実質的に無酸素下で、ヨウ素化合物、好ましくはジヨウ素化合物の存在下に、前記の含フッ素エラストマーを構成する単量体と、要すれば架橋部位を与える単量体を加圧下で撹拌しながらラジカル開始剤の存在下、水媒体中での乳化重合や溶液重合を行なう方法があげられる。使用するヨウ素化合物の代表例としては、たとえば、
4xBry (9)
(式中、xおよびyはそれぞれ0〜2の整数であり、かつ1≦x+y≦2を満たすものであり、R4は炭素数1〜16の飽和もしくは不飽和のフルオロ炭化水素基またはクロロフルオロ炭化水素基、または炭素数1〜3の炭化水素基であり、酸素原子を含んでいてもよい)で示される化合物などをあげることができる。このようなヨウ素化合物を用いて得られる含フッ素エラストマーの末端には、ヨウ素原子または臭素原子が導入される。
一般式(9)で表される化合物としては、たとえば1,3−ジヨードパーフルオロプロパン、1,3−ジヨード−2−クロロパーフルオロプロパン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,5−ジヨード−2,4−ジクロロパーフルオロペンタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8−ジヨードパーフルオロオクタン、1,12−ジヨードパーフルオロドデカン、1,16−ジヨードパーフルオロヘキサデカン、ジヨードメタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨード−n−プロパン、CF2Br2、BrCF2CF2Br、CF3CFBrCF2Br、CFClBr2、BrCF2CFClBr、CFBrClCFClBr、BrCF2CF2CF2Br、BrCF2CFBrOCF3、1−ブロモ−2−ヨードパーフルオロエタン、1−ブロモ−3−ヨードパーフルオロプロパン、1−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブタン、2−ブロモ−3−ヨードパーフルオロブタン、3−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、2−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、ベンゼンのモノヨードモノブロモ置換体、ジヨード置換体、ならびに(2−ヨードエチル)および(2−ブロモエチル)置換体などがあげられ、これらの化合物は、単独で使用してもよく、相互に組み合せて使用することもできる。
これらのなかでも、重合反応性、架橋反応性、入手容易性などの点から、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、ジヨードメタンなどが好ましい。
本発明で使用するラジカル重合開始剤は、従来から含フッ素エラストマーの重合に使用されているものと同じものであってよい。これらの開始剤には有機および無機の過酸化物ならびにアゾ化合物がある。典型的な開始剤として過硫酸塩類、過酸化カーボネート類、過酸化エステル類などがあり、好ましい開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)があげられる。APSは単独で使用してもよく、またサルファイト類、亜硫酸塩類のような還元剤と組み合わせて使用することもできる。
乳化重合に使用される乳化剤としては、広範囲なものが使用可能であるが、重合中におこる乳化剤分子への連鎖移動反応を抑制する観点から、フルオロカーボン鎖、またはフルオロポリエーテル鎖を有するカルボン酸の塩類が望ましい。乳化剤の使用量は、添加された水の約0.05〜2重量%が好ましく、とくに0.2〜1.5重量%が好ましい。
本発明で使用するモノマー混合ガスは、カルブ(G.H.Kalb)ら、アドヴァンシーズ・イン・ケミストリー・シリーズ(Advances in Chemistry Series.),129,13(1973)に記載されるように、爆発性を有するので、重合装置には着火源となるスパークなどが発生しないように工夫する必要がある。
重合圧力は、広い範囲で変化させることができる。一般には、0.5〜7MPaの範囲である。重合圧力は、高い程重合速度が大きくなるため、生産性の向上の観点から、0.8MPa以上であることが好ましい。
つぎに、熱可塑性フッ素ゴム(b)である、含フッ素多元セグメント化ポリマー(b−1)について説明する。
まず、エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントについて説明する。エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントは、重合体に柔軟性を付与し、ガラス転移点が25℃以下、好ましくは0℃以下である。その構成単位の90モル%以上を構成するパーハロオレフィンとしては、たとえば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、一般式(10):
CF2=CFO(CF2CFY4O)p−(CF2CF2CF2O)q−Rf 2 (10)
(式中、Y4は、フッ素原子または−CF3、Rf 2は、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、pは、0〜5の整数、qは、0〜5の整数)で表されるパーフルオロビニルエーテルなどがあげられる。
エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントを構成するパーハロオレフィン以外の構成単位としては、たとえばビニリデンフルオライド、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、フッ化ビニルなどの含フッ素単量体、エチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテルなどの非フッ素単量体などであればよい。
エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントの好ましい例としては、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/架橋部位を与える単量体からなるエラストマー性ポリマー鎖があげられる。テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の組成は、50〜85/50〜15モル%であり、架橋部位を与える単量体が、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の合計量に対して、0〜5モル%であることが好ましい。
架橋部位を与える単量体としては、たとえば、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)で表されるような単量体などがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
つぎに、非エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントについて説明する。非エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントの構成単位の90モル%以上を構成するパーハロオレフィンとしては、たとえばテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロピレン、一般式(11):
CF2=CF(CF2r4 (11)
(式中、rは、1〜10の整数、X4は、フッ素原子または塩素原子)で表される化合物、パーフルオロ−2−ブテンなどがあげられる。
非エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントを構成するパーハロオレフィン以外の構成単位としては、前記エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントを構成するパーハロオレフィン以外の構成単位と同様のものがあげられる。
非エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントの好ましい例としては、テトラフルオロエチレン85〜100モル%、および一般式(12):
CF2=CF−Rf 3 (12)
(式中、Rf 3は、Rf 4または−ORf 4であり、Rf 4は、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表される化合物0〜15モル%からなる非エラストマー性ポリマー鎖があげられる。
また、含フッ素多元セグメント化ポリマー(b−1)は、エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメント50〜95重量%および非エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメント5〜50重量%からなることが好ましい。
つぎに、含フッ素多元セグメント化ポリマー(b−2)について説明する。
この場合のエラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントは、前記含フッ素多元セグメント化ポリマー(b−1)について説明したものと同じでよい。
非エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントの構成単位としては、ビニリデンフルオライド、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、一般式(13):
CH2=CX5−(CF2s−X5 (13)
(式中、X5は、水素原子またはフッ素原子、sは、1〜10の整数)で表される化合物、CH2=C(CF32などの部分フッ素化オレフィンなどがあげられる。
また、これらの単量体と共重合可能なエチレン、プロピレン、塩化ビニル、ビニルエーテル、カルボン酸ビニルエステル、アクリル酸などの単量体も共重合成分として用いることができる。
含フッ素多元セグメント化ポリマー(b−2)は、エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメント50〜95重量%および非エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメント5〜50重量%からなることが好ましい。
つぎに、含フッ素多元セグメント化ポリマー(b−3)について説明する。
含フッ素多元セグメント化ポリマー(b−3)におけるエラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントは、ガラス転移点が25℃以下、好ましくは0℃以下のポリマー鎖である。
また、エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントは、構成単位として90モル%未満のパーハロオレフィンを含む。この場合のパーハロオレフィン以外の構成単位としては、前記含フッ素多元セグメント化ポリマー(b−1)のパーハロオレフィン以外の構成単位と同じものがあげられる。
含フッ素多元セグメント化ポリマー(b−3)における非エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントは、前述した含フッ素多元セグメント化ポリマー(b−1)または(b−2)における非エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントと同じでよい。とくに(b−2)における非エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントと同じでよい。
また、含フッ素多元セグメント化ポリマー(b−3)は、エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメント40〜95重量%および非エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメント5〜60重量%からなることが好ましい。
また、得られる熱可塑性フッ素ゴム(b)の非エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントの結晶融点は、耐熱性という点から、150℃以上であることが好ましく、200〜360℃であることがより好ましい。
熱可塑性フッ素ゴム(b)としては、エラストマー性セグメントと非エラストマー性セグメントとをブロックやグラフトなどの形態でつなぎ、含フッ素多元セグメント化ポリマーとするべく、公知の種々の方法が採用できるが、なかでも特公昭58−4728号公報などに示されたブロック型の含フッ素多元セグメント化ポリマーの製法や、特開昭62−34324号公報に示されたグラフト型の含フッ素多元セグメント化ポリマーの製法などが好ましく採用できる。
とりわけ、セグメント化率(ブロック化率)も高く、均質で規則的なセグメント化ポリマーが得られることから、特公昭58−4728号公報、高分子論文集(Vol.49、No.10、1992)記載のいわゆるヨウ素移動重合法で合成されたブロック型の含フッ素多元セグメント化ポリマーが好ましい。
前記ヨウ素移動重合法で熱可塑性フッ素ゴム(b)のエラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントを製造した場合、その数平均分子量は、得られる含フッ素多元セグメント化ポリマー全体へ柔軟性の付与、弾性の付与、機械的物性の付与の点から、5000〜750000であることが好ましく、20000〜400000であることがより好ましい。
このようにして得られるエラストマー性セグメントの末端部分はパーハロ型となっており、非エラストマー性セグメントのブロック共重合の開始点となるヨウ素原子を有している。
ついで、非エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントのエラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントへのブロック共重合は、エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントの乳化重合に引き続き、単量体を非エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメント用に変えることにより行なうことができる。
得られる非エラストマー性セグメントの数平均分子量は、1000〜1200000が好ましく、より好ましくは3000〜600000である。
こうして得られる熱可塑性フッ素ゴム(b)は、エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントの両側に非エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントが結合したポリマー分子、エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントの片側に非エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメントが結合したポリマー分子を主体とするものであり、非エラストマー性セグメントが結合していないエラストマー性セグメントのみのポリマー分子は、含フッ素多元セグメント化ポリマー中のセグメントとポリマー分子との合計量に対し20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
本発明においては、前述のようなフッ素ゴム(a)と熱可塑性フッ素ゴム(b)とからなる組成物を用いることもできる。
非パーフルオロフッ素ゴム(a−1)と含フッ素多元セグメント化ポリマー(b−1)とからなる第1のフッ素ゴム組成物としては、前記のようにして得られる非パーフルオロフッ素ゴム(a−1)と含フッ素多元セグメント化ポリマー(b−1)とを、ディスパージョン状態での混合またはオープンロールなどによるドライブレンドにて任意の割合で混合して得ることができる。
また、成形時の離型性などの改良を目的として、内添型離型剤などの添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。また、後述する架橋方法の種類に応じて、架橋剤を配合することもできる。
非パーフルオロフッ素ゴム(a−1)と含フッ素多元セグメント化ポリマー(b−2)とからなる第2のフッ素ゴム組成物、パーフルオロフッ素ゴム(a−2)と含フッ素多元セグメント化ポリマー(b−3)とからなる第3のフッ素ゴム組成物、パーフルオロフッ素ゴム(a−2)と含フッ素多元セグメント化ポリマー(b−2)とからなる第4のフッ素ゴム組成物、およびパーフルオロフッ素ゴム(a−2)と含フッ素多元セグメント化ポリマー(b−1)とからなる第5のフッ素ゴム組成物は、第1のフッ素ゴム組成物と同様にして得られる。
この場合、前述した添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができ、後述する架橋方法の種類に応じて、架橋剤を配合することもできる。
パーフルオロフッ素ゴム(a−2)と前記含フッ素多元セグメント化ポリマー(b−1)は、ともに放射線架橋の効率に劣り実質的に放射線架橋できないため、第5のフッ素ゴム組成物を架橋させる場合は、少なくとも一方のゴムにパーオキサイド架橋などが可能となるような架橋部位を導入して架橋しなければならない。
架橋部位を導入したフッ素ゴムとして、ポリマーの末端にヨウ素または臭素が導入されたフッ素ゴムが好適である。このフッ素ゴムは、前記ヨウ素移動重合法により製造することができる。
前記一般式(9)で表される化合物の添加量としては、得られる含フッ素エラストマーの全重量の0.0001〜5重量%であればよく、さらに、0.01〜1重量%であることが好ましい。
架橋部位を導入する他の方法としては、架橋部位を与える単量体を少量、共重合する方法がある。架橋部位を与える単量体としては、前記同様のものをあげることができる。
また、含フッ素エラストマーとしては、含フッ素シリコーン系エラストマーも用いることができ、たとえば、フルオロシリコーンゴムなどがあげられる。
次に、以上説明した主鎖末端および/または側鎖末端に−A (A:ハロゲン原子)部位を有する含フッ素エラストマーと反応させるチオール金属塩について説明する。
該チオール金属塩は、一般式(1):
Figure 2006022304
(M:アルカリ金属、S:硫黄原子、R1:2価以上の有機基または直接結合、X1:架橋性官能基、m:1〜3の整数)で表されるものである。
Mは、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)などのアルカリ金属であるが、アルカリ金属の中でも、反応性、取り扱い性の点で、ナトリウムが好ましい。
1は、2価以上の有機基または直接結合であり、2価以上の有機基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などの炭素数1〜10のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基などの炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基、−C64CH2−などのアラルキレン基などをあげることができる。
1は、架橋性官能基であればいかなるものでもよいが、例えば、−OH、−SH、−COOY1(Y1は水素原子、アルカリ金属、または−N(R54であり、R5は、同じかまたは異なり、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基)、−COY5(Y5はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、または−N(R62であり、R6は、同じかまたは異なり、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基)、−NCO、−Si(Y23(Y2は、同じかまたは異なり、−R2、−OR2、塩素原子、または水素原子から選ばれ、少なくとも1つは−OR2、塩素原子、水素原子であり、R2は炭素数1〜10の炭化水素基)、−N(R72(R7は、同じかまたは異なり、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基)、−SO36(Y6は水素原子、またはアルカリ金属)、−SO27(Y7はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、または−OR8であり、R8は炭素数1〜10の炭化水素基)、−CN、または不飽和結合を少なくとも1つ有する炭素数2〜10の炭化水素基などがあげられる。
1は、このなかでも架橋反応性の点や良好な硬化性組成物が得られる点などから、−OH、−COOY1(Y1は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基)、−Si(Y23(Y2は、同じかまたは異なり、−R2、−OR2、塩素原子、または水素原子から選ばれるが、少なくとも1つは−OR2、塩素原子、水素原子のいずれかであり、R2は炭素数1〜10の炭化水素基)、不飽和結合を少なくとも1つ有する炭素数2〜10の炭化水素基からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、不飽和結合を少なくとも1つ有する炭素数2〜10の炭化水素基、−OHがより好ましい。
不飽和結合を少なくとも1つ有する炭素数2〜10の炭化水素基としては、−CH=CH2、−CH2CH=CH2、−(CH3)C=CH2、−CH2CH2CH=CH2、−CH2CH=CHCH3、−CH=CHCH2CH3、−CH2(CH3)C=CH2、−CH2CH2CH2CH=CH2、−CH2CH2(CH3)C=CH2、−C64−CH=CH2、−C63−(CH=CH22などをあげることができる。これらの中でも耐熱性の点からは短鎖の方が好ましい。またヒドロシリル化反応の反応性の点からは不飽和結合は末端に有する方が好ましい。これら耐熱性やヒドロシリル化反応の反応性の観点からは、特に、−CH=CH2、−C64−CH=CH2であることが好ましい。
一般式(1)で表わされるチオール金属塩の具体例としては、
Na−S−CH2CH=CH2、Na−S−C64−NH2、Na−S−C64−COOH、Na−S−C64−OH、Na−S−CH2CH2OH、Na−S−CH2−CH(OH)−CH2−OH、Na−S−CH2−COOH、Na−S−CH(CH3)COOH、Na−S−CH2CH2CH2Si(OCH33、Na−S−CH2CH2−NH2、Na−S−CH2CH2SO3Naなどをあげることができる。これらの中でも、架橋反応性の点や良好な硬化性組成物が得られる点などから、Na−S−CH2CH=CH2、Na−S−C64−COOH、Na−S−C64−OH、Na−S−CH2CH2OH、Na−S−CH2−CH(OH)−CH2−OH、Na−S−CH2−COOHが好ましい。
さらに、耐熱性の点、ヒドロシリル化反応の反応性の点からは、Na−S−CH2CH=CH2が好ましく、また、ポリオール架橋の際に架橋部位として機能し自由末端鎖が低減される点より、Na−S−C64−OHが好ましい。
そして、主鎖末端および/または側鎖末端に−A部位を有する含フッ素エラストマーと、一般式(1)で表されるチオール金属塩との反応は、反応性の点から、溶媒中で行うことが好ましい。
溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリルなどの非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノール等の極性溶媒などをあげることができるが、これらの中でも、反応性の点から、非プロトン性極性溶媒中で反応を行なうことが好ましい。
なお、上記含フッ素エラストマーをより高収率で製造するためには、ハロゲン性溶媒を併用することが好ましく、含フッ素ハロゲン性溶媒を併用することがより好ましい。含フッ素ハロゲン性溶媒としては、例えば、CF3CF2CHCl2、CClF2CF2CHClFとの混合物(旭硝子(株)製、アサヒクリンAK−225)やCH3CFCl2(ダイキン工業(株)製、HCFC−141b)などがあげられる。
また、フルオロアルカン(CF3CF2CHCl2、CClF2CF2CHClF等)などのフッ素系溶媒中で反応を行ってもよい。
反応条件としては、含フッ素エラストマー、チオール金属塩、溶媒などの種類により適宜最適な条件を選択すればよいが、0〜100℃、4〜30時間、反応させることが好ましい。
チオール金属塩の添加量としては、含フッ素エラストマーのハロゲン含有量に対して、1〜40倍モル量であることが好ましく、2〜20倍モル量であることがより好ましく、上記含フッ素エラストマーをより高収率で製造できる点から、12〜20倍モル量であることがさらに好ましい。チオール金属塩が1倍モル量未満であると、未反応の臭素原子、もしくはヨウ素原子が残存する傾向があり、40倍モル量をこえると、VdF由来の構造をもつ場合主鎖の脱フッ酸反応が起こる傾向がある。
このようにして本発明の製造方法により得られる主鎖末端および/または側鎖末端の−A(A:ハロゲン原子)部位が、一般式(2):
Figure 2006022304
で示される部位に変換された含フッ素エラストマーは、文献未公知の新規化合物であるが、特に硬化性組成物として有用である。また該含フッ素エラストマーは、分子量20000以下である場合、架橋部位を有するため3次元網目構造へ導入することができ、成形品からの低分子成分として抽出されにくい点から、これまで説明した本発明の製造方法により得られる含フッ素エラストマーに含まれない他の含フッ素エラストマーからなる硬化性組成物に、加工時の取扱い性改善等の目的で加工助剤として好適に用いることもできる。
次に、本発明の硬化性組成物について説明する。
本発明の硬化性組成物は、主鎖末端および/または側鎖末端に、一般式(2):
Figure 2006022304
(R1:2価以上の有機基または直接結合、S:硫黄原子、X1:架橋性官能基、m:1〜3の整数)
で示される部位を有する含フッ素エラストマーからなる。
1、X1については、前記同様のものをあげることができ、一般式(2)で示される部位を有する含フッ素エラストマーについても、前記同様のものをあげることができる。
本発明の硬化性組成物は、架橋性官能基X1と架橋反応可能な化合物を含むことが、充分に架橋された硬化体を得る点から好ましい。
架橋性官能基X1と架橋反応可能な化合物としては、架橋性官能基X1と反応しうる官能基を分子中に複数有する多官能化合物が好ましくあげられる。多官能化合物としては、架橋を充分に行う点から、1分子あたりの官能基の保有数が少なくとも2以上、必要に応じて3以上である多官能化合物を用いることが好ましい。
また、硬化性組成物が充分に架橋するためには、前記含フッ素エラストマーが有する架橋性官能基X1に応じた多官能化合物を用いることが好ましい。以下、該多官能化合物の具体例をあげるが、該多官能化合物は1種または2種以上を用いてもよい。
架橋性官能基X1が不飽和結合を少なくとも1つ有する炭素数2〜10の炭化水素基である場合、多官能化合物としては、−SiH基を有する化合物、有機過酸化物、光開始剤が好ましくあげられる。
架橋性官能基X1が−COOY1基の場合、多官能性化合物としては、ポリアミン化合物、ポリイソシアナート化合物、ポリエポキシ化合物などが好ましくあげられる。
架橋性官能基X1が−N(R72の場合、ポリカルボン酸化合物、ポリエポキシ化合物、ポリイソシアナート化合物などが好ましくあげられる。
架橋性官能基X1が−OHの場合、酸無水物、ポリエポキシ化合物、ポリイソシアナート化合物などが好ましくあげられる。
架橋性官能基X1が−SHの場合、ポリカルボン酸化合物などが好ましくあげられる。架橋性官能基X1が−NCOの場合、ポリカルボン酸化合物、ポリオール化合物などが好ましくあげられる。
架橋性官能基X1が−COY5の場合、ポリカルボン酸化合物、ポリアミン化合物などが好ましくあげられる。
架橋性官能基X1が−Si(Y23で、Y2の少なくとも1つがHである場合、ポリオレフィン化合物などが好ましくあげられ、Y2の少なくとも1つがClである場合、ポリオール化合物などが好ましくあげられる。
架橋性官能基X1が−SO34または−SO27の場合、ポリアミン化合物などが好ましくあげられる。
架橋性官能基X1が−CNの場合、ポリアミノフェノール化合物、ポリアミノチオフェノール化合物、ポリアミン化合物などが好ましくあげられる。
ポリアミン化合物としては、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、トリエチレンジアミンなどのポリアミン;ポリアミン塩とグアニジン誘導体の併用などがあげられる。ポリイソシアナート化合物としては、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナートなどがあげられる。上記ポリイソシアナート化合物は、プレポリマーや架橋温度を選択することができるブロック型であってもよい。ポリエポキシ化合物としては、ノボラック型、ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型などがあげられる。ポリカルボン酸化合物としては、フタル酸、ピロメリット酸などがあげられる。上記ポリエポキシ化合物および上記ポリカルボン酸化合物は、プレポリマーであってもよい。酸無水物としては、ピロメリット酸無水物、テトラヒドロフラン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などがあげられる。ポリオール化合物としては、1,2,3−プロパントリオールなどがあげられる。ポリオレフィン化合物としては、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレートなどがあげられる。ポリアミノフェノール化合物、ポリアミノチオフェノール化合物、ポリアミン化合物としては、一般式(14):
Figure 2006022304
(式中、X6は−OH、−SH、−NH2、R9は炭素数1〜10の炭化水素基、nは2〜5の整数である)で示される化合物があげられる。
架橋性官能基X1が−OHの場合、含フッ素エラストマーがビニリデンフルオライド系フッ素ゴムのときに、ポリオール架橋により、自由末端鎖が低減され良好な硬化特性を期待することができる。
また、不飽和結合を少なくとも1つ有する炭素数2〜10の炭化水素基の場合、不飽和結合がヒドロシリル化反応により3次元網目構造に寄与することができる点から、多官能性化合物としては、特に2個以上の−SiH基を有する化合物であることが好ましい。
上記2個以上の−SiH基を有する化合物としては、通常、一般式(15):
10 bcSiO(4-b-c)/2 (15)
(式中、R10は、脂肪族不飽和結合を除く、炭素数1〜10、とくに1〜8の置換または非置換の1価炭化水素基である)で示される化合物があげられる。このような1価炭化水素基としては、たとえば、トリフルオロプロピル基などのハロゲンで置換されたアルキル基、アルキル基、フェニル基などがあげられる。これらのなかでも、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましく、とくにメチル基、フェニル基が好ましい。
一般式(15)において、bは、0≦b<3であることが好ましく、0.6<b<2.2であることがより好ましく、1.5≦b≦2であることがさらに好ましく、cは、0<c≦3であることが好ましく、0.002≦c<2であることがより好ましく、0.01≦c≦1であることがさらに好ましい。また、b+cは、0<b+c≦3であることが好ましく、1.5<b+c≦2.7であることがより好ましい。
上記2個以上の−SiH基を有する化合物は、1分子中のケイ素原子数が好ましくは2〜1000個、より好ましくは2〜300個、さらに好ましくは4〜200個のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、具体的には、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサンなどのシロキサンオリゴマー;分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、R10 2(H)SiO1/2 単位とSiO4/2 単位とからなり、任意にR10 3SiO1/2 単位、R10 2SiO2/2 単位、R10(H)SiO2/2単位、(H)SiO3/2またはR10SiO3/2単位を含むシリコーン樹脂などをあげることができる。
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば一般式(16)で表される化合物、一般式(16)においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基などで置換した化合物などがあげられる。
Figure 2006022304
(式中、dは、2以上の整数を表す。)
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、一般式(17)で表される化合物、一般式(17)においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基などで置換した化合物などがあげられる。
Figure 2006022304
(式中、eは、1以上の整数を表し、fは、2以上の整数を表す。)
分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば下記式で表される化合物、下記式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基などで置換した化合物などがあげられる。
Figure 2006022304
分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、たとえば一般式(18)で表される化合物、一般式(18)においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基などで置換した化合物などがあげられる。
Figure 2006022304
(式中、eは、1以上の整数を表し、fは、2以上の整数を表す。)
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンとしては、たとえば一般式(19)で表される化合物、一般式(19)においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基などで置換した化合物などがあげられる。
Figure 2006022304
(式中、eは、1以上の整数を表す。)
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば一般式(20)で表される化合物、一般式(20)においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基などで置換した化合物などがあげられる。
Figure 2006022304
(式中、eは、1以上の整数を表す。)
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、たとえば一般式(21)で表される化合物、一般式(21)においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基などで置換した化合物などがあげられる。
Figure 2006022304
(式中、eおよびhは、それぞれ、1以上の整数を表す。)
このような化合物は、公知の方法により製造することができ、たとえばオクタメチルシクロテトラシロキサンおよび/もしくはテトラメチルシクロテトラシロキサンと、末端基となり得るトリオルガノシリル基またはジオルガノハイドロジェンシロキシ基を含む化合物とを、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸などの触媒の存在下、−10〜40℃程度の温度で平衡化させることによって容易に得ることができる。上記トリオルガノシリル基を含む化合物としては、たとえばヘキサメチルジシロキサンなどがあげられ、上記ジオルガノハイドロジェンシロキシ基を含む化合物としては、たとえば1,3−ジハイドロ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンなどがあげられる。
上記1分子中に2個以上の−SiH基を有する化合物は、本発明の一般式(1)で表わされる官能基X1を含む化学構造を有する含フッ素エラストマーとの相溶性、分散性および架橋後の均一性を考慮すると、また、1分子中に1個以上の1価のパーフルオロオキシアルキル基、1価のパーフルオロアルキル基、2価のパーフルオロオキシアルキレン基または2価のパーフルオロアルキレン基を有し、かつ、2個以上、好ましくは3個以上の−SiH基を有するものが好ましい。このパーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキレン基、パーフルオロアルキレン基としては、特に下記一般式で表されるものをあげることができる。
1価のパーフルオロアルキル基としては、一般式(22):
k2k+1− (22)
(式中、kは、1〜20、好ましくは2〜10の整数を表す。)であり、
2価のパーフルオロアルキレン基としては、一般式(23):
−Ck2k− (23)
(式中、kは1〜20、好ましくは2〜10の整数を表す。)であり、
1価のパーフルオロオキシアルキル基としては、一般式(24)または(25):
Figure 2006022304
(式中、nは、1〜5の整数を表す。)
2価のパーフルオロオキシアルキレン基としては、一般式(26):
Figure 2006022304
(式中、mは、1〜50の整数を表し、nは、1〜50の整数を表す。m+nは、2〜100を満足する。)、または一般式(27):
−(CF2O)m−(CF2CF2O)n−CF2− (27)
(式中、mおよびnは、それぞれ、1〜50の整数を表す。)
上記パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキレン基またはパーフルオロオキシアルキレン基とケイ素原子とをつなぐ2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、アルキレン基とアリーレン基とを組み合わせた基、これらの基にエーテル結合酸素原子、アミド結合、カルボニル結合などを介在させた基などであってよく、たとえば、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2OCH2−、−CH2CH2CH2−NH−CO−、−CH2CH2CH2−N(Ph)−CO−(式中、Phは、フェニル基を表す。)、−CH2CH2CH2−N(CH3)−CO−、−CH2CH2CH2−O−CO−などの炭素数2〜12のものがあげられる。
また、上記1分子中に2個以上の−SiH基を有する化合物における1価または2価の含フッ素置換基、すなわち、パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキレン基またはパーフルオロオキシアルキレン基を含有する1価の有機基以外のケイ素原子に結合した1価の置換基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基などのアラルキル基;これらの基の水素原子の少なくとも一部が塩素原子、シアノ基などで置換された、たとえばクロロメチル基、クロロプロピル基、シアノエチル基などの炭素数1〜20の非置換または置換の炭化水素基があげられる。
上記1分子中に2個以上の−SiH基を有する化合物としては、環状、鎖状、三次元網状またはそれらの組み合わせの何れでもよい。上記1分子中に2個以上の−SiH基を有する化合物のケイ素原子数は、特に制限されるものではないが、通常2〜60、好ましくは3〜60、より好ましくは3〜30である。
上記1分子中に2個以上の−SiH基を有する化合物としては、たとえば下記の化合物があげられる。下記式でMeはメチル基、Phはフェニル基を表す。なお、これらの化合物は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 2006022304
(式中、mは、1〜20、平均10の整数を表し、nは、1〜10、平均6の整数を表す。)
Figure 2006022304
Figure 2006022304
Figure 2006022304
(式中、Sは、
Figure 2006022304
を表し、nは、1〜30の整数を表し、mは、1〜30の整数を表す。n+mは、2〜60、平均2〜50を満足する。)
Figure 2006022304
(式中、Sは、
Figure 2006022304
を表し、nは、1〜30の整数を表し、mは、1〜30の整数を表す。n+mは、2〜60、平均2〜50を満足する。)
Figure 2006022304
(式中、nは、2〜60、平均3〜50の整数を表す。)
Figure 2006022304
(式中、nは、2〜60、平均3〜50の整数を表す。)
Figure 2006022304
(式中、nは、2〜60、平均3〜50の整数を表す。)
また、架橋性官能基X1が、不飽和結合を少なくとも1つ有する炭素数2〜10の炭化水素基である含フッ素エラストマーと1分子中に2個以上の−SiH基を有する化合物からなる硬化性組成物の場合、ヒドロシリル化反応の反応性の点から、ヒドロシリル化反応触媒を加えることが好ましい。
ヒドロシリル化反応触媒としては、含フッ素エラストマーと1分子中に2個以上の−SiH基を有する化合物との付加反応(アルケンのヒドロシリル化反応)を促進するものであれば特に限定されず、たとえば白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族元素よりなる付加反応触媒(周期律表8族金属、8族金属錯体、8族金属化合物などの8族金属系触媒)をあげることができ、なかでも、比較的入手しやすい点で、白金系触媒が好ましい。
白金系触媒は、通常、付加硬化型の硬化に使用される公知のものでよく、たとえば米国特許第2,970,150号明細書に記載の微粉末金属白金触媒、米国特許第2,823,218号明細書に記載の塩化白金酸触媒、米国特許第3,159,601号明細書および米国特許第159,662号明細書に記載の白金と炭化水素との錯化合物、米国特許第3,516,946号明細書に記載の塩化白金酸とオレフィンとの錯化合物、米国特許第3,775,452号明細書および米国特許第3,814,780号明細書に記載の白金とビニルシロキサンとの錯化合物などがあげられる。より具体的には、白金の単体(白金黒);塩化白金酸;塩化白金酸とエチレンなどのオレフィンとの錯体;塩化白金酸とアルコールまたはビニルシロキサンとの錯体;シリカ、アルミナ、カーボンなどの担体上に担持された白金などがあげられる。
上記パラジウム系触媒は、パラジウム、パラジウム化合物、塩化パラジウム酸などからなり、また、上記ロジウム系触媒は、ロジウム、ロジウム化合物、塩化ロジウム酸などからなり、たとえば、RhCl(PPh33、RhCl(CO)(PPh32、RhCl(C242、Ru3(CO)12、IrCl(CO)(PPh32、Pd(PPh34(Phは、フェニル基を表す。)などがあげられる。
上記ヒドロシリル化反応触媒としては、また、ルイス酸、コバルトカルボニルなどであってもよい。
また、反応抑制剤を用いることが好ましい。反応抑制剤としては、たとえば、ベンゾトリアゾール;アクリロニトリル;N,N−ジアリルアセトアミド、N,N−ジアリルベンズアミド、N,N,N’,N’−テトラアリル−o−フタル酸ジアミド、N,N,N’,N’−テトラアリル−m−フタル酸ジアミド、N,N,N’,N’−テトラアリル−p−フタル酸ジアミドなどのアミド化合物;イオウ;リン;窒素;アミン化合物;イオウ化合物;リン化合物;スズ;スズ化合物;テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン;ハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物などがあげられる。
上記反応抑制剤としては、また、たとえば、1−エチニル−1−ヒドロキシシクロヘキサン、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、フェニルブチノールなどのアセチレンアルコール、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン、3−メチル−1−ペンテン−3−オール、米国特許第3,445,420号明細書において配合物(4)として例示される化合物、特公昭54−3774号公報において成分(ニ)として例示される化合物などのアセチレン化合物などであってもよい。
架橋性官能基X1と架橋反応可能な化合物の添加量は、含フッ素エラストマー100重量部に対して、0.05〜30重量部であることが好ましく、0.5〜20重量部であることがより好ましい。0.05重量部未満であると、充分に架橋を行うことができない傾向があり、10重量部を超えると、添加量に見合った程度にしか架橋反応が進行しない傾向がある。
本発明の硬化性組成物は、反応を促進するため、受酸剤を予め添加することも可能である。受酸剤としては、たとえば酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化鉛等の金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物;合成ハイドロタルサイト等を用いることができる。受酸剤の使用量は、含フッ素エラストマー100重量部に対し1〜30重量部であることが好ましい。
また、本発明の硬化性組成物は、加工助剤としての機能も期待できる点から、先述した本発明の製造方法により得られる含フッ素エラストマーに含まれないその他の含フッ素エラストマーを含んでいてもよい。
そして、本発明の硬化性組成物は、必要に応じて含フッ素エラストマーからなる硬化性組成物に配合される通常の添加物、たとえば充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤、酸化防止剤、老化防止剤、オゾン劣化剤、紫外線吸収剤などを配合することができ、前記のものとは異なる常用の架橋剤や架橋助剤を1種またはそれ以上配合してもよく、各成分を、通常のエラストマー用加工機械、たとえば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて混合することにより調製することができる。このほか、密閉式混合機を用いる方法やエマルジョン混合から共凝析する方法によっても調製することができる。このようにして得られた含フッ素エラストマー組成物は常法に従って架橋、成形される。すなわち、圧縮成形、射出成形、押し出し成形、カレンダー成形または溶剤に溶かしてディップ成形、コーティング等により成形される。
架橋条件は、成形方法や成形品の形状により異なるが、おおむね、100℃〜400℃で数秒〜5時間の範囲である。また、架橋物の物性を安定化させるために二次架橋を行ってもよい。二次架橋条件としては、150℃〜300℃で30分〜48時間程度である。
また、本発明の製造方法により得られた含フッ素エラストマーが低分子量であり、常温で流動性を有する場合、プラネタリーミキサーや卓上のミキサーで混合すればよい。この時、反応の促進のため、温度を50℃以上に加温してもよい。さらに、硬化性組成物は50℃以上の温度で3時間以上反応させておくことが好ましい。
常温で流動性を有する硬化性組成物は、通常、200℃以下の温度でホットメルトガン等の押出しガンによる加工、LIMS(Liquid Injection Molding System)成形機による射出成形や押出し成形、室温〜200℃で型に流し込んで行う成形等を行うことができる。
硬化性組成物を架橋させる方法としては、架橋性官能基X1の種類によっては、上記以外の方法を用いることができる。
本発明の成形品は、以下に示す分野で好適に用いることができる。
半導体製造装置、液晶パネル製造装置、プラズマパネル製造装置、プラズマアドレス液晶パネル、フィールドエミッションディスプレイパネル、太陽電池基板等の半導体関連分野では、O(角)リング、パッキン、シール材、チューブ、ロール、コーティング、ライニング、ガスケット、ダイアフラム、ホース等があげられ、これらはCVD装置、ドライエッチング装置、ウェットエッチング装置、酸化拡散装置、スパッタリング装置、アッシング装置、洗浄装置、イオン注入装置、排気装置、薬液配管、ガス配管に用いることができる。具体的には、ゲートバルブのOリング、シール材として、クォーツウィンドウのOリング、シール材として、チャンバーのOリング、シール材として、ゲートのOリング、シール材として、ベルジャーのOリング、シール材として、カップリングのOリング、シール材として、ポンプのOリング、シール材、ダイアフラムとして、半導体用ガス制御装置のOリング、シール材として、レジスト現像液、剥離液用のOリング、シール材として、ウェハー洗浄液用のホース、チューブとして、ウェハー搬送用のロールとして、レジスト現像液槽、剥離液槽のライニング、コーティングとして、ウェハー洗浄液槽のライニング、コーティングとしてまたはウェットエッチング槽のライニング、コーティングとして用いることができる。さらに、封止材・シーリング剤、光ファイバーの石英の被覆材、絶縁、防振、防水、防湿を目的とした電子部品、回路基盤のポッティング、コーティング、接着シール、磁気記憶装置用ガスケット、エポキシ等の封止材料の変性材、クリーンルーム・クリーン設備用シーラント等として用いられる。
自動車分野では、ガスケット、シャフトシール、バルブステムシール、シール材およびホースはエンジンならびに周辺装置に用いることができ、ホースおよびシール材はAT装置に用いることができ、O(角)リング、チューブ、パッキン、バルブ芯材、ホース、シール材およびダイアフラムは燃料系統ならびに周辺装置に用いることができる。具体的には、エンジンヘッドガスケット、メタルガスケット、オイルパンガスケット、クランクシャフトシール、カムシャフトシール、バルブステムシール、マニホールドパッキン、オイルホース、酸素センサー用シール、ATFホース、インジェクターOリング、インジェクターパッキン、燃料ポンプOリング、ダイアフラム、燃料ホース、クランクシャフトシール、ギアボックスシール、パワーピストンパッキン、シリンダーライナーのシール、バルブステムのシール、自動変速機のフロントポンプシール、リアーアクスルピニオンシール、ユニバーサルジョイントのガスケット、スピードメーターのピニオンシール、フートブレーキのピストンカップ、トルク伝達のO−リング、オイルシール、排ガス再燃焼装置のシール、ベアリングシール、EGRチューブ、ツインキャブチューブ、キャブレターのセンサー用ダイアフラム、防振ゴム(エンジンマウント、排気部等)、再燃焼装置用ホース、酸素センサーブッシュ等として用いることができる。
航空機分野、ロケット分野および船舶分野では、ダイアフラム、O(角)リング、バルブ、チューブ、パッキン、ホース、シール材等があげられ、これらは燃料系統に用いることができる。具体的には、航空機分野では、ジェットエンジンバルブステルシール、燃料供給用ホース、ガスケットおよびO−リング、ローテーティングシャフトシール、油圧機器のガスケット、防火壁シール等に用いられ、船舶分野では、スクリューのプロペラシャフト船尾シール、ディーゼルエンジンの吸排気用バルブステムシール、バタフライバルブのバルブシール、バタフライ弁の軸シール等に用いられる。
プラント等の化学品分野では、ライニング、バルブ、パッキン、ロール、ホース、ダイアフラム、O(角)リング、チューブ、シール材、耐薬品用コーティング等があげられ、これらは医薬、農薬、塗料、樹脂等化学品製造工程に用いることができる。具体的には、化学薬品用ポンプ、流動計、配管のシール、熱交換器のシール、硫酸製造装置のガラス冷却器パッキング、農薬散布機、農薬移送ポンプのシール、ガス配管のシール、メッキ液用シール、高温真空乾燥機のパッキン、製紙用ベルトのコロシール、燃料電池のシール、風洞のジョイントシール、耐トリクレン用ロール(繊維染色用)、耐酸ホース(濃硫酸用)、ガスクロマトグラフィー、pHメーターのチューブ結合部のパッキン、塩素ガス移送ホース、ベンゼン、トルエン貯槽の雨水ドレンホース、分析機器、理化学機器のシール、チューブ、ダイアフラム、弁部品等として用いることができる。
医薬品等の薬品分野では、薬栓等として用いることができる。
現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野および塗装設備等の塗装分野では、ロール等があげられ、それぞれフィルム現像機・X線フィルム現像機、印刷ロールおよび塗装ロールに用いることができる。具体的には、フィルム現像機・X線フィルム現像機の現像ロールとして、印刷ロールのグラビアロール、ガイドロールとして、塗装ロールの磁気テープ製造塗工ラインのグラビアロール、磁気テープ製造塗工ラインのガイドロール、各種コーティングロール等として用いることができる。さらに、乾式複写機のシール、印刷設備の印刷ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品、塗布、塗装設備の塗布ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品、プリンターのインキチューブ、ロール、ベルト、乾式複写機のベルト、ロール、印刷機のロール、ベルト等として用いることができる。
またチューブを分析・理化学機分野に用いることができる。
食品プラント機器分野では、ライニング、バルブ、パッキン、ロール、ホース、ダイアフラム、O(角)リング、チューブ、シール材、ベルト等があげられ、食品製造工程に用いることができる。具体的には、プレート式熱交換器のシール、自動販売機の電磁弁シール等として用いることができる。
原子力プラント機器分野では、パッキン、Oリング、ホース、シール材、ダイアフラム、バルブ、ロール、チューブ等があげられる。
鉄板加工設備等の鉄鋼分野では、ロール等があげられ、鉄板加工ロール等に用いることができる。
一般工業分野では、パッキング、Oリング、ホース、シール材、ダイアフラム、バルブ、ロール、チューブ、ライニング、マンドレル、電線、フレキシブルジョイント、ベルト、ゴム板、ウェザーストリップ、PPC複写機のロール、ロールブレード、ベルト等があげられる。具体的には、油圧、潤滑機械のシール、ベアリングシール、ドライクリーニング機器の窓、その他のシール、六フッ化ウランの濃縮装置のシール、サイクロトロンのシール(真空)バルブ、自動包装機のシール、空気中の亜硫酸ガス、塩素ガス分析用ポンプのダイアフラム(公害測定器)、印刷機のロール、ベルト、酸洗い用絞りロール等に用いられる。
電気分野では、具体的には、新幹線の絶縁油キャップ、液封型トランスのベンチングシール、油井ケーブルのジャケット等として用いられる。
燃料電池分野では、具体的には、電極、セパレーター間のシール材や水素・酸素・生成水配管のシール等として用いられる。
電子部品分野では、具体的には、放熱材原料、電磁波シールド材原料、エポキシ等のプリント配線板プリプレグ樹脂の変性材、電球等の飛散防止材、コンピューターのハードディスクドライブのガスケット等に用いられる。
現場施工型の成形に用いることが可能なものとしては特に限定されず、たとえば、自動車エンジン用メタルガスケットのコーティング剤、エンジンのオイルパンのガスケット、複写機・プリンター用のロール、建築用シーリング剤、磁気記録装置用のガスケット、クリーンルーム用フィルターユニットのシーリング剤、プリント基盤のコーティング剤、電気・電子部品の固定剤、電気機器リード線端子の絶縁防湿処理、電気炉等のオーブンのシール、シーズヒーターの末端処理、電子レンジの窓枠シール、CRTウェッジおよびネックの接着、自動車電装部品の接着、厨房、浴室、洗面所等の目地シール等があげられる。
本発明の硬化用組成物は、クリーン性を活かし、磁気記録装置(ハードディスクドライブ)用のガスケット、半導体製造装置やウェハー等のデバイス保管庫等のシーリング材等のクリーン設備用シール材に特に好適に用いられる。
本発明の硬化用組成物は、耐薬品性、ガス低透過性、難燃性等の特性を活かし、燃料電池セル電極間やその周辺配管等に用いられるパッキン等の燃料電池用のシール材等にも特に好適に用いられる。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
参考例1
(シードポリマー粒子の重合)
攪拌装置として、磁力誘導攪拌装置を有する内容積1.8リットルの重合槽に、純水720g、10重量%のパーフルオロオクタン酸アンモニウム水溶液290g、およびマロン酸ジエチル0.6gを仕込み、系内を窒素ガスで充分置換したのち減圧にした。この操作を3回繰り返し、減圧状態でVdF20gとHFP51gを仕込み、攪拌下に80℃まで昇温した。ついで、純水0.6gに溶解した過硫酸アンモニウム塩(APS)0.02gを窒素ガスにて圧入して重合を開始した。重合圧力を2MPaとし、重合時の圧力低下を補うため、VdF/HFP混合モノマー(78/22(モル%))の連続的に供給し、攪拌下に重合を行った。重合終了までに、215gのモノマーを槽内に供給した。
得られた乳濁液の重量は1233g、ポリマー濃度が18.1重量%であり、ポリマー粒子の数は、1.2×1016個/水1gの乳化液を得た。30分後に攪拌を止め、モノマーを放出して重合を停止した。
参考例2
参考例1同様の磁力誘導攪拌装置を有する内容積1.83リットルの重合槽に、純水960gと上記で製造したシードポリマー粒子の水性分散液11gを仕込み、系内を窒素ガスで充分置換したのち減圧にした。この操作を3回繰り返し、減圧状態で、VdF129gとHFP506gを仕込み、攪拌下に80℃まで昇温した。ついでオクタフルオロ−1,4−ジヨードブタン27gと純水15gに溶解したAPS5gを窒素ガスにて圧入して重合を開始し、(a)、(b)の条件で重合を継続し、3.2時間後に攪拌を止め、モノマーを放出して重合を停止した。
(a)VdF/HFP(95/5(モル%))モノマー混合物を連続的に供給し、気相部分の圧力を6MPaに維持した。また、重合終了までに、222gのモノマーを槽内に供給した。
(b)攪拌速度を560rpmで維持した。
得られた乳濁液の重量は1032g、ポリマー濃度が28.7重量%であった。また、含フッ素エラストマーとしては297gであり、GPCで測定した重量平均分子量Mwは12388、数平均分子量Mnは9800、Mw/Mnは1.34であった。また、19F−NMRで測定した重合体の組成はVdF/HFP=77/23(モル%)であった。
参考例3
攪拌装置として、磁力誘導攪拌装置を有する内容積0.5リットルの重合槽を窒素ガスで充分置換した後減圧にした。次に、減圧状態で溶存酸素を除いたCH3CFCl2(ダイキン工業(株)製、HCFC−141b)230g、VdF29.9gとHFP117gを仕込み、攪拌下に45℃まで昇温した。ついで、I(CF2CF22I 38gを窒素ガスにて圧入した後、開始剤としてパーロイルNPP(日本油脂(株)製)3.5gを圧入し、重合を開始した。重合圧力を1MPaとし、重合時の圧力低下を補うため、VdF/HFP混合モノマー(78/22(モル%))を連続的に供給し、攪拌下に重合を行った。重合終了までに、102gのモノマーを槽内に供給した。得られた含フッ素エラストマーとしては135gであり、元素分析による末端ヨウ素の濃度により算出した分子量は1619であった。また、19F−NMRで測定した重合体の組成はVdF/HFP=81/19(モル%)であった。
実施例1
50mlフラスコ内、窒素気流下、10wt%の4−ヒドロキシチオフェノール/DMF溶液6.14g(含フッ素エラストマーのヨウ素含有量に対して1.2倍モル量)を60wt%NaH/DMF溶液0.076gに氷冷下で滴下した。滴下終了後30分攪拌した。その後参考例2で得られた含フッ素共重合体10gを100gDMFに溶解させ上記反応液に滴下し、氷冷下で1h、ついで80℃で8時間攪拌した。その後氷冷下で反応液に純水を加え、不溶分を採取した。洗浄、乾燥を行い末端にフェノール性水酸基をもつ含フッ素共重合体を9.6g得た。1H−NMRを用いた分析の結果、−CH2I由来のピークの減少し、芳香環のピークがあらわれたことから、含フッ素共重合体末端のヨウ素が、フェノール性水酸基に変換されていることがわかった。
実施例2
4−ヒドロキシチオフェノールの代わりにアリルチオールを用いた以外は実施例1と同様にして末端にアリル基を持つ含フッ素共重合体を9.2g得た。1H−NMRを用いた分析の結果、−CH2I由来のピークの減少し、アリル基由来のピークがあらわれたことから、含フッ素共重合体末端のヨウ素が、アリル基に変換されていることがわかった。
実施例3
実施例1において得られたフェノール性水酸基末端含有フッ素共重合体0.47gにポリイソシアナート化合物(住化バイエルウレタン(株)製、スミジュールN3390)0.09gを室温下で混合した後、フッ素樹脂フィルムに挟みシート状に成形した。
フッ素樹脂フィルムの片面をはがし、室温で4日間放置すると、弾性があり、粘着性のない硬化体が得られた。
実施例4
実施例2において得られたアリル基末端含有フッ素共重合体3.5gに、トリメチルシリル基で処理された比表面積140m2/gのヒュームドシリカ(日本アエロジル(株)製のRX200)0.53gを加えて混合した後、塩化白金酸をCH2=CH−Si(CH32−O−Si(CH32CH=CH2で変性した触媒のトルエン溶液(白金濃度0.1重量%)0.0027g、および2−エチニルイソプロパノ−ルの10%トルエン溶液0.0027g、メチルヒドロシクロシロキサン(アヅマックス(株)製、SIM6510.O)0.121gを加え混合した。これを減圧下で脱泡し、長方形の締め枠に置き、再び空気抜きし、120kgf/cm2、150℃で60分間プレス硬化した。プレス硬化により粘着性がなく、ゴム弾性のある硬化体が得られた。
実施例5
50mlフラスコ内、窒素気流下、NaH 0.39gをDMF10mLに溶解させた溶液に、アリルチオール1.33g(含フッ素エラストマーのヨウ素含有量に対して10倍モル量)を氷冷下で滴下し、室温で1時間撹拌した。得られたアリルチオールのNa塩(DMF溶液)を、参考例2で得られた含フッ素共重合体6.51gをCF3CF2CHCl2とCClF2CF2CHClFとの混合物(旭硝子(株)製、アサヒクリンAK−225)20mLに室温で溶解させた後に60℃に昇温して得た溶液に滴下し、80℃に昇温し、48時間撹拌した。得られた反応溶液を室温まで放冷し、水で再沈殿した後、CH3CFCl2(ダイキン工業(株)製、HCFC−141b)で抽出し、MgSO4で脱水、ろ過した後、濃縮した。NMRによる分析の結果、含フッ素エラストマー末端の転化率は90%であった。
実施例6
50mlフラスコ内、窒素気流下、NaH 0.234gをDMF10mLに溶解させた溶液に、アリルチオール0.771g(含フッ素エラストマーのヨウ素含有量に対して7.5倍モル量)を氷冷下で滴下し、室温で1時間撹拌した。得られたアリルチオールのNa塩(DMF溶液)を、参考例3で得られた含フッ素共重合体1.05gをCF3CF2CHCl2とCClF2CF2CHClFとの混合物(旭硝子(株)製、アサヒクリンAK−225)20mLに室温で溶解させた後に60℃に昇温して得た溶液に滴下し、80℃に昇温し、24時間撹拌した。得られた反応溶液を室温まで放冷し、水で再沈殿した後、CH3CFCl2(ダイキン工業(株)製、HCFC−141b)で抽出し、MgSO4で脱水、ろ過した後、濃縮した。NMRによる分析の結果、含フッ素エラストマー末端の転化率は95%であった。
実施例7
実施例6において得られたアリル基末端含有フッ素共重合体3.5gをアセトン5mLに溶解し、ジメチル−メチルハイドロジェンポリシロキサン(チッソ(株)製、HMS−301)0.53gを加えて混合した後、塩化白金酸をCH2=CH−Si(CH32−O−Si(CH32CH=CH2で変性した触媒のトルエン溶液(白金濃度0.1重量%)0.0027gを加え混合した。これを150℃で24時間加熱した。その結果、粘着性のない硬化体が得られ、硬化体のIR測定により、実施例6のアリル基末端含有フッ素共重合体にあるアリル基の2重結合由来のピーク(1636cm-1)が消失したことから、硬化反応が進行したことが確認された。

Claims (9)

  1. 主鎖末端および/または側鎖末端に−A(A:ハロゲン原子)部位を有する含フッ素エラストマーと、一般式(1):
    Figure 2006022304
    (M:アルカリ金属、S:硫黄原子、R1:2価以上の有機基または直接結合、X1:架橋性官能基、m:1〜3の整数)
    で示されるチオール金属塩とを反応させて、前記−A部位を一般式(2):
    Figure 2006022304
    (R1:2価以上の有機基または直接結合、S:硫黄原子、X1:架橋性官能基、m:1〜3の整数)
    で示される部位に変換する工程を含む含フッ素エラストマーの製造方法。
  2. 架橋性官能基X1が、−OH、−COOY1(Y1は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基)、−Si(Y23(Y2は、同じかまたは異なり、−R2、−OR2、塩素原子、または水素原子から選ばれるが、少なくとも1つは−OR2、塩素原子、水素原子のいずれかであり、R2は炭素数1〜10の炭化水素基)、不飽和結合を少なくとも1つ有する炭素数2〜10の炭化水素基からなる群から選ばれる1種以上である請求項1記載の含フッ素エラストマーの製造方法。
  3. 非プロトン性極性溶媒中で反応を行う請求項1または2記載の含フッ素エラストマーの製造方法。
  4. 含フッ素エラストマーが、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムである請求項1、2または3記載の含フッ素エラストマーの製造方法。
  5. 主鎖末端および/または側鎖末端に、一般式(2):
    Figure 2006022304
    (R1:2価以上の有機基または直接結合、S:硫黄原子、X1:架橋性官能基、m:1〜3の整数)
    で示される部位を有する含フッ素エラストマーからなる硬化性組成物。
  6. 含フッ素エラストマーが有する一般式(2)中の架橋性官能基X1が、−OH、−COOY1(Y1は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基)、−Si(Y23(Y2は、同じかまたは異なり、−R2、−OR2、塩素原子、または水素原子から選ばれるが、少なくとも1つは−OR2、塩素原子、水素原子のいずれかであり、R2は炭素数1〜10の炭化水素基)、不飽和結合を少なくとも1つ有する炭素数2〜10の炭化水素基からなる群から選ばれる1種以上である請求項5記載の硬化性組成物。
  7. 含フッ素エラストマーが、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムである請求項5または6記載の硬化性組成物。
  8. 含フッ素エラストマーが有する一般式(2)中の架橋性官能基X1と架橋反応可能な化合物を含む請求項5、6または7記載の硬化性組成物。
  9. 請求項5、6、7または8記載の硬化性組成物を架橋して得られる成形品。
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