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JP2005238834A - ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、及びポリビニルアルコール系フィルム、それを用いた偏光フィルム - Google Patents

ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、及びポリビニルアルコール系フィルム、それを用いた偏光フィルム Download PDF

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JP2005238834A JP2005013511A JP2005013511A JP2005238834A JP 2005238834 A JP2005238834 A JP 2005238834A JP 2005013511 A JP2005013511 A JP 2005013511A JP 2005013511 A JP2005013511 A JP 2005013511A JP 2005238834 A JP2005238834 A JP 2005238834A
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Abstract

【目的】 フィルムの厚さや光学的性能の均一性に優れ、又、フィルム外観が非常に良好、且つロングラン製膜性にも優れた効果を有し、特に偏光フィルムの原反フィルムとして有用なポリビニルアルコール系フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】 ポリビニルアルコール系樹脂水溶液をドラム型ロールに流延してフィルム状とし、該フィルムの表面と裏面とを通過複数個の乾燥用金属ロールに交互に通過、乾燥させて製膜するにあたり、第1番目の乾燥用金属ロールとして、その表面のぬれ張力が25〜50mN/mであるロールを用いるポリビニルアルコール系フィルムの製造方法であり、ぬれ張力の調整は鏡面仕上げしたクロム表面をpH1〜3の酸水溶液で処理したり、製膜用ポリビニルアルコール系樹脂水溶液に予め、界面活性剤を添加しておくことによって行われる。

Description

本発明は、フィルムの厚さや光学的性能の均一性及びフィルム外観が非常に優れ、またロングラン製膜性も良好なポリビニルアルコール系フィルムの製造方法に関し、特に光学的ムラ等の障害のない光学的外観に優れた偏光フィルムを得るための原反フィルムとして有用なポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、更にかかるポリビニルアルコール系フィルムを用いた偏光フィルムに関するものである。
従来より、ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を溶媒に溶解し、脱泡して原液を調製した後、溶液流延法(キャスティング法)により製膜したフィルムを、金属加熱ロール等を使用して乾燥することにより製造されている。
このようにして得られたポリビニルアルコール系フィルムは、形状安定性に優れたフィルムとして多くの用途に利用されており、その有用な用途の一つに光学用フィルム、特に偏光フィルムが挙げられる。
かかる偏光フィルムは、上記ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸し、染色したフィルムであり、液晶ディスプレーの基本構成要素として用いられている。近年では高品位で高信頼性の要求される機器、特に大画面の液晶ディスプレー等への用途展開が行われ、それに伴う要求物性である大型化、面内均一性、広視野角等の高品位化への改善が強く求められている。
このような中、ポリビニルアルコール系フィルムを原反フィルムとした偏光フィルムを製造する場合、優れた光学特性を有するためには、例えばポリビニルアルコール系フィルムを均一に延伸することや、フィルムの厚さや面内リターデーション(Rd)値を均一にすること、並びにフィルムの外観が良好であること等が必要である。
中でもポリビニルアルコール系フィルムの厚さ均一性を得る方法として、製膜用の原液を表面粗さが3S以下である金属表面上に流延して製膜する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001−315138号公報
しかしながら、該公報開示技術では物性面においてフィルムの厚さ均一性は得られるものの、フィルム外観についてはまだまだ満足のいくものではなく、より高品位、高光学特性を得るためには更なる改良が求められるところである。
また、製造面においても、生産性を向上するためには最低でも7日間は連続して製膜が続けられる程度のロングラン製膜性も重要である。
そこで、本発明ではこのような背景下において、フィルムの厚さや光学的性能の均一性及びフィルム外観が非常に優れ、また高品位のフィルムを恒常的に安定して製造するというロングラン製膜性にも優れたポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、特に偏光フィルムの原反フィルムとして有用なポリビニルアルコール系フィルムの製造方法を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者が上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液をドラム型ロールに流延してフィルム状とし、該フィルムの表面と裏面とを複数個の乾燥用金属ロール間に交互に通過、乾燥させて製膜するにあたり、乾燥用金属ロールの第1番目のロール(好ましくは全てのロール)の表面のぬれ張力を25〜50mN/mとするポリビニルアルコール系フィルムの製造方法が、フィルムの厚さや光学特性の均一性に優れ、また高品位の外観特性を有するフィルムの製造が可能で、かつロングラン製膜性にも優れることを見出し、本発明を完成した。
また、本発明では、界面活性剤が添加されたポリビニルアルコール系樹脂水溶液を用いると、フィルムの厚さ均一性及びフィルム外観特性に加え、ロングラン製膜性に顕著な効果を発揮する。さらに、フィルム厚さが30〜70μmといった薄膜で、光学性能にも優れたフィルムを製造するのにも適していることを見出した。
本発明では、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液をドラム型ロールに流延してフィルム状とし、該フィルムの表面と裏面とを複数個の乾燥用金属ロール間に交互に通過、乾燥させて製膜するにあたり、乾燥用金属ロールの第1番目のロールの表面のぬれ張力を25〜50mN/mに調整することによって、フィルムの厚さや光学的性能の均一性に優れ、又、フィルム外観が非常に良好で、且つロングラン製膜性にも優れた効果を有するものであり、特に偏光フィルムの原反フィルムとして有用なポリビニルアルコール系フィルムを得ることができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
まず、本発明のポリビニルアルコール系フィルムを製造するに当たって使用するポリビニルアルコール系樹脂は、通常、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して製造されるが、本発明では必ずしもこれに限定されるものではなく、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有させた変性ポリビニルアルコール系樹脂であっても良い。
また、かかる変性以外にポリビニルアルコール系樹脂にシリル基を含有させたものでも良く、ポリビニルアルコールにシリル化剤を用いて後変性させたり、シリル基含有オレフィン性不飽和単量体と酢酸ビニルを共重合して得られる共重合体をケン化させる等の方法が挙げられる。シリル基含有オレフィン性不飽和単量体としてはビニルシラン、(メタ)アクリルアミド−アルキルシラン等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量はとくに限定されないが、好ましくは60000〜300000、より好ましくは120000〜260000である。重量平均分子量が60000未満では、ポリビニルアルコール系樹脂を光学フィルムとする場合に充分な光学性能が得られず、300000をこえると、フィルムを偏光膜とする場合に延伸が困難となり、工業的な生産が難しく好ましくない。尚、ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は、GPC−LALLS法により測定される。
更に、ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は80モル%以上であることが好ましく、特には85〜100モル%、更には98〜100モル%が好ましい。かかるケン化度が80モル%未満では光学フィルムとする場合に充分な光学性能が得られず好ましくない。
上記ポリビニルアルコール系樹脂には、必要に応じてグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等、一般的に使用される可塑剤の一種又は二種以上をポリビニルアルコール系樹脂に対して30重量%以下、好ましくは3〜25重量%、更に好ましくは5〜20重量%含有させることもできる。該可塑剤が30重量%を越えるとフィルム強度が劣り好ましくない。
また、更に好ましくはフィルムの剥離性を向上させるために、各種剥離剤の一種又は二種以上をポリビニルアルコール系樹脂に対して5重量%以下、好ましくは0.001〜3重量%、更に好ましくは0.001〜2重量%含有させることも可能である。該剥離剤が5重量%を越えるとフィルムの表面の外観不良やフィルム同士のブロッキングが起こり好ましくない。
かくして本発明においては、上記ポリビニルアルコール系樹脂を用いて、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製し、該水溶液をT型スリットダイよりドラム型ロールに流延して製膜し、乾燥することでポリビニルアルコール系フィルムを製造する。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の調製に際しては、溶媒として水単独、もしくは水とジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類との混合物を使用する。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は5〜50重量%が実用的である。
次に、該ポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、T型スリットダイよりドラム型ロールに流延して製膜される。
かかるドラム型ロールの材質としては、特に限定されないが、通常ステンレスが好適に用いられ、かかるロール表面は傷つき防止のため金属メッキが施されていることが好ましい。金属メッキの種類としては、例えばクロムメッキ、ニッケルメッキ、亜鉛メッキなどが好適に用いられ、単独でまたは2種以上の多層の組み合わせで使用することができるが、特に表面平滑化の容易さやその耐久性の点から最表面がクロムメッキされ、表面粗さが3S以下、特に0.5S以下であることが好ましい。ドラム型ロールの直径は1000〜5000mm、幅は1000〜5000mmが好適である。製膜時のドラム型ロールの温度は50〜120℃が実用的であり、フィルムの含水率が5〜30重量%程度に達した時点でロールから剥離する。
本発明では、上記の如く流延製膜して得られるフィルムをドラム型ロールから剥離した後、該フィルムの表面と裏面とを複数個の乾燥用金属ロール間に交互に通過、乾燥させる際に、乾燥用金属ロールの第1番目のロールの表面のぬれ張力を25〜50mN/mに調整しておくことに大きな特徴を有するものであり、かかるぬれ張力が25mN/m未満では金属ロール上でフィルムが滑るため、フィルムに擦り傷が発生したり、過度のネックインにより光学性能に悪影響を及ぼすこととなり、また走行中のフィルムが蛇行し安定した製造ができなくなる。一方50mN/mを越えると金属ロール上のフィルムの滑りが悪化し、不均一な過度の延伸がかかったり、シワや折れが発生して光学的性能に悪影響を及ぼすこととなる。該金属ロール表面のぬれ張力の好ましい範囲は30〜45mN/mである。
本発明において、ぬれ張力はJIS K 6768に準じて測定される。
本発明において、乾燥用金属ロールは複数個、好ましくは3〜30個、特に3〜26個使用するのが有利であり、そのうちの第1番目のロールの表面のぬれ張力を上記範囲に限定することが特に重要である。第2番目以降のロールの表面のぬれ張力は特に制限されないが、特には上記範囲にするほうがより有利であり、更には全てのロールの表面のぬれ張力を上記範囲にすることが好ましい。
上記の乾燥用金属ロールの表面のぬれ張力を上記範囲に満足させる手段は、特に限定されないが、(A)鏡面仕上げしたクロム表面をもつロールを用い、該表面をpH1〜3の酸水溶液(20℃で測定、以下同様)で処理すればよい。
かかるpH1〜3の酸水溶液としては 酢酸、硫酸、塩酸、硝酸などの水溶液が挙げられ、中でも酢酸、硝酸の水溶液が特に好ましい。pHが上記範囲以外の酸水溶液では、上記範囲のぬれ張力を得ることが難しく好ましくない。
また、本発明では、上記(A)の如く乾燥用金属ロール表面を酸水溶液で処理する以外のぬれ張力の調整法として、(B)ポリビニルアルコール系樹脂水溶液に予め、界面活性剤を添加しておき、該水溶液をドラム型ロールに流延し、乾燥用金属ロールを通過して乾燥させて製膜することもでき、この場合フィルム厚さの均一性及びフィルム外観特性の他、ロングラン製膜性がより向上する点で有用である。
上記界面活性剤の添加量については特に限定されないが、ポリビニルアルコール系樹脂に対して0.001〜5重量%、特には0.01〜2重量%、更には0.01〜1重量%であることが好ましい。かかる添加量が0.001重量%未満ではぬれ張力の調整が困難となり、5重量%を越えるとフィルムにブロッキングの問題が起こり好ましくない。
界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエステルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩型、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸の塩ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸の塩ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、スルホコハク酸アルキル二塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、ジメチル−5−スルホイソフタレートナトリウム塩等のスルホン酸塩型、硫酸化油、高級アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート等の硫酸エステル型塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸塩等のリン酸エステル塩型等のアニオン系界面活性剤が挙げられる。
又、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油および硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等のエーテルエステル型ノニオン系界面活性剤、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル等のエステル型界面活性剤、高級脂肪酸アルカノールアミド、高級脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の含窒素型ノニオン系界面活性剤も使用可能で、これらは一種又は二種以上混合して用いられる。
本発明の方法を実施するに当たっては、上記に説明した(A)及び(B)の両方法を併用して製膜することも勿論可能である。
かかる乾燥用金属ロールの材質としては、ドラム型ロールと同様に、特に限定されないが、通常ステンレスが好適に用いられ、かかるロール表面は傷つき防止のため金属メッキが施されていることが好ましい。金属メッキの種類としては、例えばクロムメッキ、ニッケルメッキ、亜鉛メッキなどが好適に用いられ、単独でまたは2種以上の多層の組み合わせで使用することができるが、特に表面平滑化の容易さやその耐久性の点から最表面がクロムメッキされ、表面粗さが3S以下、特に0.5S以下であることが好ましい。ロールの直径は200mm〜1000mm、幅1000mm〜5000mmが好適である。
乾燥用金属ロールの温度は40〜100℃が実用的であり、適宜ロール間で温度勾配や、回転速度差をつけてもよい。
ドラム型ロールや乾燥用金属ロールの加熱手段としては、スチーム、熱媒、温水、電気ヒーター等が採用される。又、温風や冷風等を吹き付けたり、装置周辺の空気や蒸気を吸引するための補助装置の設置も可能である。
フィルムの含水率が5〜30重量%程度に達した時点でフィルムは乾燥用金属ロールから剥離される。
そして、乾燥した後、未延伸のポリビニルアルコール系フィルムを形成せしめる。必要に応じて、乾燥後、熱処理や調湿が行われ、本発明のポリビニルアルコール系フィルムが得られる。フィルムの幅は任意であるが、近時の市場の要求が強い幅広フィルムの場合、2m以上、好ましくは2.5m以上、特に3m以上が有用である。
フィルムの長さは2000m〜15000mであることが重要である。フィルムの長さは、4000m〜15000mがより好ましく、特に本発明の特徴が顕著に表れるのは、6000m〜15000mの長尺フィルムの製造である。
かくして上記で得られたポリビニルアルコール系フィルムは、光学用、特に偏光フィルム用の原反フィルムとして有用に用いられる。
偏光フィルムに用いられるポリビニルアルコール系フィルムの膜厚としては、30〜100μmが好ましく、更には30〜70μmが好ましく、40〜60μmが特に好ましい。膜厚が30μm未満では延伸が難しく、100μmを越えると膜厚精度が低下して好ましくない。また、後述する偏光フィルム等の光学用途に供する場合には、より視野角が広く視認性の良い液晶ディスプレーが得られる点で、ポリビニルアルコール系フィルムの膜厚は70μm以下が好ましい。
以下、偏光フィルムの製造方法について説明する。
偏光フィルムの製造方法としては、かかるポリビニルアルコール系フィルムを延伸してヨウ素あるいは二色性染料の溶液に浸漬し染色するか、延伸と染色を同時に行うか、ヨウ素あるいは二色性染料により染色して延伸するかした後、ホウ素化合物処理する方法が挙げられる。又、染色した後ホウ素化合物の溶液中で延伸する方法等もあり、適宜選択して用いることができる。
かかるポリビニルアルコール系フィルム(未延伸フィルム)の延伸及び染色、ホウ素化合物処理に際しては、延伸と染色更にホウ素化合物処理は別々に行っても同時に行っても良いが、本発明では染色工程、ホウ素化合物処理工程の少なくとも一方の工程中に一軸延伸を実施することが望ましい。
延伸は一軸方向に3〜10倍、好ましくは3.5〜6倍延伸することが望ましい。この際、前記と直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度あるいはそれ以上の延伸)を行っても差し支えない。延伸時の温度条件は40〜170℃から選ぶのが望ましい。更に、かかる延伸倍率は最終的に上記の範囲に設定されれば良く、延伸操作は一段階のみならず、製造工程の任意の段階に実施すれば良い。
フィルムへの染色はフィルムにヨウ素或いは二色性染料を含有する液体を接触させることによって行われる。
通常は、ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜20g/l、ヨウ化カリウムの濃度は10〜70g/l、ヨウ化カリウム/ヨウ素の重量比は10〜100が適当である。染色時間は30〜500秒程度が実用的である。処理浴の温度は5〜60℃が好ましい。水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させても差し支えない。
接触手段としては浸漬、塗布、噴霧等の任意の手段が適用できる。
染色処理されたフィルムは次いでホウ素化合物によって処理される。ホウ素化合物としてはホウ酸、ホウ砂が実用的である。ホウ素化合物は水溶液又は水−有機溶媒混合液の形で濃度0.3〜2モル/l程度で用いられ、液中には少量のヨウ化カリウムを共存させるのが実用上望ましい。
処理法は浸漬法が望ましいが勿論塗布法、噴霧法も実施可能である。処理時の温度は40〜70℃程度、処理時間は2〜20分程度が好ましく、又必要に応じて、処理中に延伸操作を行っても良い。
このようにして得られた偏光フィルムは、その片面又は両面に光学的に等方性の高分子フィルム又はシートを保護フィルムとして積層接着して用いることもできる。
かかる保護フィルムとしては、例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイド等のフィルム又はシートが挙げられる。
又、かかる偏光フィルムには、薄膜化を目的として上記保護フィルムの代わりに、その片面又は両面にウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレア樹脂等の硬化性樹脂を塗布し、積層させることもできる。
かかる偏光フィルム(又はその少なくとも片面に保護フィルムあるいは硬化性樹脂を積層したもの)は、その一方の表面に必要に応じて、透明な感圧性接着剤層が通常知られている方法で形成されて、実用に供される場合もある。該感圧性接着剤層としてはアクリル酸エステル、例えばアクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等とα−モノオレフィンカルボン酸、例えばアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、クロトン酸等との共重合物(アクリルニトリル、酢酸ビニル、スチロールの如きビニル単量体を添加したものも含む。)を主体とするものが、偏光フィルムの偏光特性を阻害することがないので特に好ましいが、これに限定されることなく、透明性を有する感圧性接着剤であれば使用可能で、例えばポリビニルエーテル系、ゴム系等でもよい。
又、更に偏光板(上記感圧性接着剤が設けられたもの)の片面(上記感圧性接着剤が設けられていない面)に各種機能層を設けることも可能であり、機能層としては、例えばアンチグレア層、ハードコート層、アンチリフレクション層、ハーフリフレクション層、反射層、蓄光層、拡散層、エレクトロルミネッセンス層、視野角拡大層、輝度向上層等が挙げられ、更に、各種2種以上の組み合わせをすることも可能で、例えばアンチグレア層とアンチリフレクション層、蓄光層と反射層、蓄光層とハーフリフレクション層、蓄光層と光拡散層、蓄光層とエレクトロルミネッセンス層、ハーフリフレクション層とエレクトロルミネッセンス層等の組み合わせが挙げられる。但し、これらに限定されることはない。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。
尚、例中「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
重量平均分子量:
GPC−LALLS法により以下の条件で測定した。
1)GPC
装置:Waters製244型ゲル浸透クロマトグラフ
カラム:東ソー製TSK−gel−GMPWXL(内径8mm、長さ30cm、2本)
溶媒:0.1M−トリス緩衝液(pH7.9)
流速:0.5ml/min
温度:23℃
試料濃度:0.040%
ろ過:東ソー製0.45μmマイショリディスクW−25−5
注入量:0.2ml
検出感度(示差屈折率検出器):4倍
2)LALLS
装置:Chromatrix製KMX−6型低角度レーザー光散乱光度計
温度:23℃
波長:633nm
第2ビリアル係数×濃度:0mol/g
屈折率濃度変化(dn/dc):0.159ml/g
フィルター:MILLIPORE製0.45μmフィルターHAWP01300
ゲイン:800mV
実施例1
GPC−LALLS法により求められる重量平均分子量80000、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール系樹脂を用いて、40%濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液(ポリビニルアルコール系樹脂に対して、可塑剤としてグリセリン10%、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル0.1%を含む)を調製した後、該水溶液をT型スリットダイより90℃の下記の如きドラム型ロールで流延製膜し、続いて10個の下記の如き乾燥用金属ロール間をフィルムの表面と裏面とが交互に通過するようにして乾燥を行い、含水率10%の状態で最後のロールから剥離し、更に120℃で3分間熱処理を行い、最後に調湿を行って芯管に巻き取ることにより、フィルムロールとして含水率が4%のポリビニルアルコール系フィルム(幅3.0m、平均厚み75μm、巻き取り長さ7000m)を得た。
[ドラム型ロール]
直径3.0m、ロール幅4.0mのステンレス母材にニッケルメッキ、更にクロムメッキを施し鏡面仕上げした表面粗さ0.3Sのドラム型ロール
[乾燥用金属ロール]
直径0.3m、ロール幅4.0mのステンレス母材にニッケルメッキ、更にクロムメッキを施し鏡面仕上げした表面粗さ0.3Sの10個のロールで、全てのロール表面に、pH1の硝酸水溶液(濃度6%)を総塗布量が460g/m2となるように塗布しロール表面のぬれ張力を32mN/mとした。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、以下の通り膜厚の均一性及び光学的色ムラを評価したところ、膜厚均一性(厚み変動)は0.2μm/mmであり、光学的色ムラは認められなかった。
(膜厚の均一性)
JIS K 6900に基づき、フィルムシックネステスタ(アンリツ(株)製「K306C」)を用いて、フィルムの幅方向(TD方向)の厚みプロファイルを、フィルムの流れ方向(MD方向)に1m間隔で3ヵ所について、測定し、幅方向の単位mmあたりの厚み変動の最大値を求めた。
(光学的色ムラ)
ポリビニルアルコール系フィルムをクロスニコル状態の2枚の偏光板(単体透過率43.5%、偏光度99.9%)の間に45°の角度で挟んだ後に、暗室で表面照度が14000ルックスのライトボックスを用いて、透過モードで光学的色ムラ(Rd均一性)を観察した。
又、上記フィルムの製造を連続して14日間運転を続けた後に、上記と同様にして、フィルムの膜厚の均一性及び光学的色ムラを評価したところ、平均厚みは75μm、膜厚均一性(厚み変動)は0.3μm/mmであり、光学的色ムラも認められずロングラン性は良好であった。
又、得られたポリビニルアルコール系フィルムを1.25m/minで巻き出し、水洗槽(24℃)で膨潤させた後、ヨウ素槽(20℃、ヨウ素濃度0.17g/l)で1.3倍、ホウ酸槽(50℃、ヨウ素濃度0.0012g/l、ホウ酸濃度47g/l)で1.7倍の一軸延伸を行い、更に巻き取り速度7.5m/minでトータル6倍の一軸延伸を行い、ついで両面に保護フィルムとしてセルローストリアセテートフィルム(厚さ80μm)をポリビニルアルコール系接着剤により接着し、偏光フィルムを得た。
得られた保護フィルム付き偏光フィルムをクロスニコル状態の2枚の偏光板(単体透過率43.5%、偏光度99.9%)の間に45°の角度で挟んだ後に、暗室で表面照度14000ルックスのライトボックスを用いて、透過モードで光学的色ムラを観察したところ、ポリビニルアルコール系フィルムに起因する光学的色ムラは認められなかった。
実施例2
GPC−LALLS法により求められる重量平均分子量130000、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール系樹脂を用いた以外は実施例1と同様の実験を行い、含水率3.5%のポリビニルアルコール系フィルム(幅3.0m、平均厚み74μm、巻き取り長さ7000m)を得た。但しポリビニルアルコール系樹脂水溶液の濃度は33%とし、乾燥用金属ロールは以下のものを使用した。
[乾燥用金属ロール]
直径0.3m、ロール幅4.0mのステンレス母材にニッケルメッキ、更にクロムメッキを施し鏡面仕上げした表面粗さ0.1Sの10個のロールで、全てのロール表面に、pH3の酢酸水溶液(濃度0.5%)を総塗布量が460g/m2となるように塗布しロール表面のぬれ張力を35mN/mとした。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、膜厚均一性(厚み変動)は0.3μm/mmであり、光学的色ムラは認められなかった。
又、上記フィルムの製造を連続して11日間運転を続けた後に、上記と同様にして、フィルムの膜厚の均一性及び光学的色ムラを評価したところ、平均厚みは74μm、膜厚均一性(厚み変動)は0.4μm/mmであり、光学的色ムラも認められずロングラン性は良好であった。
又、得られたポリビニルアルコール系フィルムを1.25m/minで巻き出し、水洗槽(24℃)で膨潤させた後、ヨウ素槽(20℃、ヨウ素濃度0.17g/l)で1.8倍、ホウ酸槽(50℃、ヨウ素濃度0.0012g/l、ホウ酸濃度47g/l)で1.9倍の一軸延伸を行い、更に巻き取り速度5.6m/minでトータル4.5倍の一軸延伸を行い、ついで両面に保護フィルムとしてセルローストリアセテートフィルム(厚さ80μm)をポリビニルアルコール系接着剤により接着し、偏光フィルムを得た。
得られた保護フィルム付き偏光フィルムについて、実施例1と同様に光学的色ムラを評価したところ、該ポリビニルアルコール系フィルムに起因する光学的色ムラは認められなかった。
実施例3
GPC−LALLS法により求められる重量平均分子量240000、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール系樹脂を用いて、アニオン系界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウムを0.2%含有させてなる25%濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液を使用した以外(但し、乾燥用金属ロールの酸水溶液による処理はなし、ぬれ張力は57mN/m)は実施例1と同じ実験を行い、含水率4%のポリビニルアルコール系フィルム(幅3.0m、平均厚み75μm、巻き取り長さ7000m)を得た。
製膜開始1時間後の乾燥用金属ロール表面のぬれ張力を測定したところ、第1番目のロールから順に33mN/m、33mN/m、33mN/m、34mN/m、35mN/m、35mN/m、37mN/m、38mN/m、40mN/m、40mN/mであった。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、膜厚均一性(厚み変動)は0.4μm/mmであり、光学的色ムラは認められなかった。
又、上記フィルムの製造を連続して27日間運転を続けた後に、上記と同様にして、フィルムの膜厚の均一性及び光学的色ムラを評価したところ、平均厚みは75μm、膜厚均一性(厚み変動)は0.4μm/mmであり、光学的色ムラも認められずロングラン性は良好であった。
又、得られたポリビニルアルコール系フィルムを1.25m/minで巻き出し、水洗槽(24℃)で膨潤させた後、ヨウ素槽(20℃、ヨウ素濃度0.17g/l)で1.7倍、ホウ酸槽(50℃、ヨウ素濃度0.0012g/l、ホウ酸濃度47g/l)で1.8倍の一軸延伸を行い、更に巻き取り速度5.3m/minでトータル4.2倍の一軸延伸を行い、ついで両面に保護フィルムとしてセルローストリアセテートフィルム(厚さ80μm)をポリビニルアルコール系接着剤により接着し、偏光フィルムを得た。
得られた保護フィルム付き偏光フィルムについて、実施例1と同様に光学的色ムラを評価したところ、該ポリビニルアルコール系フィルムに起因する光学的色ムラは認められなかった。
実施例4
実施例3において、アニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを0.1%用い、熱処理は120℃で2分間行った以外は同様の実験を行い、含水率3.0%のポリビニルアルコール系フィルム(幅3.0m、平均厚み50μm、巻き取り長さ12000m)を得た。
製膜開始1時間後の乾燥用金属ロール表面のぬれ張力を測定したところ、第1番目のロールから順に32mN/m、32mN/m、33mN/m、34mN/m、35mN/m、35mN/m、37mN/m、38mN/m、40mN/m、40mN/mであった。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、膜厚均一性(厚み変動)は0.3μm/mmであり、光学的色ムラは認められなかった。
又、上記フィルムの製造を連続して25日間運転を続けた後に、上記と同様にして、フィルムの膜厚の均一性及び光学的色ムラを評価したところ、平均厚みは50μm、膜厚均一性(厚み変動)は0.3μm/mmであり、光学的色ムラも認められずロングラン性は良好であった。
又、得られたポリビニルアルコール系フィルムを1.25m/minで巻き出し、水洗槽(24℃)で膨潤させた後、ヨウ素槽(20℃、ヨウ素濃度0.17g/l)で1.7倍、ホウ酸槽(50℃、ヨウ素濃度0.0012g/l、ホウ酸濃度47g/l)で2.25倍の一軸延伸を行い、更に巻き取り速度6.4m/minでトータル5.0倍の一軸延伸を行い、ついで両面に保護フィルムとしてセルローストリアセテートフィルム(厚さ80μm)をポリビニルアルコール系接着剤により接着し、偏光フィルムを得た。
得られた保護フィルム付き偏光フィルムについて、実施例1と同様に光学的色ムラを評価したところ、該ポリビニルアルコール系フィルムに起因する光学的色ムラは認められなかった。
実施例5
GPC−LALLS法により求められる重量平均分子量170000、ケン化度99.8モル%のポリビニルアルコール系樹脂を用いた以外は実施例1と同じ実験を行い、含水率4.0%のポリビニルアルコール系フィルム(幅3.0m、平均厚み80μm、巻き取り長さ6000m)を得た。但しポリビニルアルコール系樹脂水溶液の濃度は30%とした。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、膜厚均一性(厚み変動)は0.6μm/mmであり、光学的色ムラは認められなかった。
又、上記フィルムの製造を連続して11日間運転を続けた後に、上記と同様にして、フィルムの膜厚の均一性及び光学的色ムラを評価したところ、平均厚みは80μm、膜厚均一性(厚み変動)は0.9μm/mmであり、光学的色ムラも認められずロングラン性は良好であった。
又、得られたポリビニルアルコール系フィルムを1.25m/minで巻き出し、水洗槽(24℃)で膨潤させた後、ヨウ素槽(20℃、ヨウ素濃度0.17g/l)で1.7倍、ホウ酸槽(50℃、ヨウ素濃度0.0012g/l、ホウ酸濃度47g/l)で2.0倍の一軸延伸を行い、更に巻き取り速度5.6m/minでトータル4.5倍の一軸延伸を行い、ついで両面に保護フィルムとしてセルローストリアセテートフィルム(厚さ80μm)をポリビニルアルコール系接着剤により接着し、偏光フィルムを得た。
得られた保護フィルム付き偏光フィルムについて、実施例1と同様に光学的色ムラを評価したところ、該ポリビニルアルコール系フィルムに起因する光学的色ムラは認められなかった。
実施例6
実施例5においてフィルムの平均厚さを70μmとした以外は同様にして行い、含水率3.5%のポリビニルアルコール系フィルム(幅3.0m、巻き取り長さ7000m)を得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、膜厚均一性(厚み変動)は0.3μm/mmであり、光学的色ムラは認められなかった。
又、上記フィルムの製造を連続して15日間運転を続けた後に、上記と同様にして、フィルムの膜厚の均一性及び光学的色ムラを評価したところ、平均厚みは70μm、膜厚均一性(厚み変動)は0.4μm/mmであり、光学的色ムラも認められずロングラン性は良好であった。
更に、得られたポリビニルアルコール系フィルムを用いて、実施例5と同様にして偏光フィルムを作製し光学的色ムラの評価を行ったところ、該ポリビニルアルコール系フィルムに起因する光学的色ムラは認められなかった。
実施例7
実施例5においてフィルムの平均厚さを60μmとし、熱処理を120℃で2.5分間とした以外は同様にして行い、含水率3%のポリビニルアルコール系フィルム(幅3.0m、巻き取り長さ10000m)を得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、膜厚均一性(厚み変動)は0.3μm/mmであり、光学的色ムラは認められなかった。
又、上記フィルムの製造を連続して18日間運転を続けた後に、上記と同様にして、フィルムの膜厚の均一性及び光学的色ムラを評価したところ、平均厚みは60μm、膜厚均一性(厚み変動)は0.4μm/mmであり、光学的色ムラも認められずロングラン性は良好であった。
更に、得られたポリビニルアルコール系フィルムを用いて、実施例5と同様にして偏光フィルムを作製し光学的色ムラの評価を行ったところ、該ポリビニルアルコール系フィルムに起因する光学的色ムラは認められなかった。
実施例8
実施例5において、さらにアニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを0.1%を添加したポリビニルアルコール系樹脂水溶液を用いて製膜、乾燥し、熱処理を120℃で2分行い、フィルムの平均厚さを45μmとした以外は同様にして行い、含水率3%のポリビニルアルコール系フィルム(幅3.0m、巻き取り長さ12000m)を得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、膜厚均一性(厚み変動)は0.2μm/mmであり、光学的色ムラは認められなかった。
又、上記フィルムの製造を連続して32日間運転を続けた後に、上記と同様にして、フィルムの膜厚の均一性及び光学的色ムラを評価したところ、平均厚みは45μm、膜厚均一性(厚み変動)は0.2μm/mmであり、光学的色ムラも認められずロングラン性は良好であった。
更に、得られたポリビニルアルコール系フィルムを用いて、実施例5と同様にして偏光フィルムを製造し光学的色ムラの評価を行ったところ、該ポリビニルアルコール系フィルムに起因する光学的色ムラは認められなかった。
比較例1
実施例1において、全ての乾燥用金属ロールの酸水溶液の処理を行わずに、ぬれ張力を57mN/mのままで同様の実験を行い、ポリビニルアルコール系フィルム(幅3.0m、平均厚み75μm、巻き取り長さ7000m)を得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、膜厚均一性(厚み変動)は2.4μm/mmであり、光学的色ムラは全面に多く認められた。
又、上記フィルムの製造を連続して3日間運転を続けた後のフィルムの膜厚均一性(厚み変動)は2.6μm/mmであった。
更に、得られたポリビニルアルコール系フィルムを用いて、実施例1と同様にして製造した偏光フィルムにも、該ポリビニルアルコール系フィルムに起因する光学的色ムラが全面に認められた。
比較例2
実施例1において、全ての乾燥用金属ロールのステンレス母材にニッケルメッキ、更にクロムメッキ及びフッ素処理を施して、ぬれ張力を23mN/mとした以外は同様の実験を行ったところ、得られたフィルムはネックインのため幅は2.9m、平均厚みは73μmであった。また、得られたポリビニルアルコール系フィルムは、フィルムのいたる所に擦り傷があり、良好なフィルムではなかった。
更に、実施例1〜8及び比較例1で得られたポリビニルアルコール系フィルムから得られた偏光フィルムにおいて、その片面にアクリル系粘着剤層(25μm厚)を設け、液晶表示素子(13.3インチ、TFTタイプ、XGA)の両面に吸収軸角度45度でクロスニコルに貼合し、左右方向について液晶ディスプレーの見やすさを観察し、視認性について評価したところ、実施例1〜3、実施例5、比較例1では左右方向にそれぞれ40度まで視認性が良好で42度で表示の反転が生じたのに対して、実施例6では左右方向にそれぞれ44度まで視認性が良好で46度で表示の反転が生じ、実施例4及び実施例7、8では左右方向にそれぞれ48度まで視認性が良好で50度で表示の反転が生じた。即ち、ポリビニルアルコール系フィルムの膜厚が30〜70μmのときに、より視認性に優れた偏光フィルムが得られた。
本発明の製造方法により得られるポリビニルアルコール系フィルムは、フィルムの膜厚均一性、光学的色ムラ等のない光学的性能に優れ、又、フィルム外観が非常に良好で、且つロングラン製膜性にも優れた効果を有するものであり、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、パソコン、モニター、液晶テレビ、携帯情報端末機、自動車や機械類の計器類等の液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、表示素子(CRT、LCD等)用反射低減層、医療機器、建築材料、玩具等に用いられる偏光フィルムの原反フィルムとして非常に有用である。勿論、包装用フィルム、剥型フィルム、農業用フィルム、建材用フィルム等の用途にも有用である。


Claims (9)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂水溶液をドラム型ロールに流延してフィルム状とし、該フィルムの表面と裏面とを複数個の乾燥用金属ロールに交互に通過、乾燥させて製膜するにあたり、乾燥用金属ロールの第1番目のロールの表面のぬれ張力を25〜50mN/mとすることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  2. 乾燥用金属ロールの全てのロールの表面のぬれ張力を25〜50mN/mとすることを特徴とする請求項1記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  3. 乾燥用金属ロールが、鏡面仕上げしたクロム表面をもち、該表面がpH1〜3の酸水溶液で処理されてなることを特徴とする請求項1又は2記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  4. 界面活性剤が添加されたポリビニルアルコール系樹脂水溶液を用いることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  5. 請求項1〜4いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法により得られることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルム。
  6. フィルムの厚さが30〜70μmであることを特徴とする請求項5記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  7. フィルムの幅が2m以上であることを特徴とする請求項5又は6記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  8. フィルムの長さが、4000〜15000mであることを特徴とする請求項5〜7いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  9. 請求項5〜8いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムに、染色、一軸延伸及びホウ素化合物処理を施してなる偏光フィルム。


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