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JP4527516B2 - 偏光フィルムの製造方法 - Google Patents

偏光フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリビニルアルコール系フィルム(以下、PVAと略記する。)を用いた偏光フィルムの製造方法に関し、更に詳しくは、染色ムラの改善された偏光性能(偏光度、単体透過率)の面内均一性に優れた偏光板フィルムの製造方法に関するものである。
近年、卓上電子計算機、電子時計、自動車や機械類の計器類、テレビ、ノートパソコン、携帯電話等に液晶表示装置が用いられ、それに伴い偏光板の需要も増大している。
かかる偏光板は、一般に偏光能を有する偏光フィルムの両面あるいは片面に接着剤層を介して保護フィルムが接着されて構成されている。現在、知られている代表的なPVA系偏光フィルムには、PVA系フィルムにヨウ素を染色・吸着させたものや有機染料を染色・吸着させたものが挙げられるが、中でもヨウ素を染色・吸着させた偏光フィルムは、偏光性能が特に優れる点から好ましく用いられる。
このように、PVA系フィルムにヨウ素や有機染料などの二色性の材料を染色・吸着させた偏光フィルムとしては、PVAの水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色、あるいは染色した後一軸延伸した後に、好ましくはホウ素化合物で耐久化処理を行ったものが用いられており、また、保護フィルムとしては、酢酸セルロース系フィルムが光学的透明性、無配向性等に優れているため汎用されている。
最近では、高品位で高信頼性の要求される機器、特に大画面の液晶ディスプレー等への用途展開が行われ、それに伴う要求物性である大型化、面内均一性等の高品位化への改善が強く求められている。
このような中、従来より一段と偏光性能の面内均一性に優れた偏光フィルムが要望されており、その一つに染色ムラに起因する表示ムラの改善が挙げられる。かかる表示ムラの改善を目的とした偏光フィルムの製造方法として、二色性の性質をもつ染料またはヨウ素濃度が0.02wt%以上である染色浴で、染色浴の温度が15℃以上50℃以下、浴中での延伸倍率が5倍以下であり、かつ浴中の溶液を撹拌させながら染色させる方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001−290025号公報
しかしながら、該公報開示技術ではまだまだ満足のいくものではなく、常態では一見均一性が充分であるように見えても、特に高温高湿度下での使用に当たっては染色ムラが顕在化してくるなどの問題が生じ、染色ムラに起因する偏光性能の面内均一性が劣るものであり、より高品位、高光学特性を得るためには更なる改良が求められるところであった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、染色ムラが改善された、偏光性能の面内均一性に優れた偏光フィルムの製造方法を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑みて鋭意検討した結果、PVA系フィルムをヨウ素染色して偏光フィルムを製造するにあたり、ヨウ素染色工程中のヨウ素染色液にアニオン系界面活性剤を含有させることが、上記目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
本発明では、PVA系フィルムをヨウ素染色して偏光フィルムを製造するにあたり、ヨウ素染色工程中のヨウ素染色液にアニオン系界面活性剤を含有させることにより、常態及び高温高湿下での染色ムラの改善された偏光性能の面内均一性に優れた偏光フィルムを得ることができるものであり、得られた偏光フィルムは、大面積で表示品位の高い液晶表示装置に使用する偏光フィルムとして有用である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明で用いるPVA系フィルムの原料となるPVA系樹脂は、通常、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して製造されるが、本発明では必ずしもこれに限定されるものではなく、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有させた変性ポリビニルアルコール系樹脂であっても良い。また、かかる変性以外にポリビニルアルコール系樹脂にシリル基を含有させたものでも良く、ポリビニルアルコールにシリル化剤を用いて後変性させたり、シリル基含有オレフィン性不飽和単量体と酢酸ビニルを共重合して得られる共重合体をケン化させる等の方法が挙げられる。シリル基含有オレフィン性不飽和単量体としてはビニルシラン、(メタ)アクリルアミド−アルキルシラン等が挙げられる。
PVA系樹脂における粘度平均重合度は特に限定されないが、中でも1000〜5000が好ましく、特には1200〜5000、更には1400〜4500が好ましい。かかる粘度平均重合度が1000未満では偏光フィルムとする場合に充分な偏光性能が得られず、5000を越えると延伸が困難となり工業的な生産が難しく好ましくない。
尚、粘度平均重合度は、JIS K 6726に準じて測定が行われる。
更に、PVA系樹脂のケン化度は80モル%以上であることが好ましく、特には85〜100モル%、更には98〜100モル%が好ましい。かかるケン化度が80モル%未満では偏光フィルムとする場合に充分な偏光性能が得られず好ましくない。
上記PVA系樹脂には、必要に応じてグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等、一般的に使用される可塑剤の一種又は二種以上をPVA系樹脂に対して30重量%以下、好ましくは3〜25重量%、更に好ましくは5〜20重量%含有させることもできる。該可塑剤が30重量%を越えるとフィルム強度が劣り好ましくない。
また、更に好ましくはフィルムの製膜時の基材(ロールやベルト等)からの剥離性を向上させるために、各種剥離剤の一種又は二種以上をPVA系樹脂に対して5重量%以下、好ましくは0.001〜3重量%、更に好ましくは0.001〜2重量%含有させることも可能である。該剥離剤が5重量%を越えるとフィルムの表面の外観不良やフィルム同士のブロッキングが起こり好ましくない。
上記PVA系樹脂を用いた偏光フィルムの製造法としては、PVA系樹脂水溶液を調製し、該水溶液をT型スリットダイよりドラム型ロールに流延して製膜し乾燥することで原反フィルムを製造し、その後、該原反フィルムに染色・延伸等の処理を施して、偏光性能を付与し、偏光フィルムとする方法が一般的である。
PVA系樹脂水溶液の調製に際しては、溶媒として水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類及びこれらの混合物を使用する。
PVA系樹脂水溶液中のPVA系樹脂の濃度は5〜50重量%が実用的である。
次に、該PVA系樹脂水溶液は、T型スリットダイよりドラム型ロールに流延して製膜される。
かかるドラム型ロールの材質としては、特に限定されないが、通常ステンレスが好適に用いられ、かかるロール表面は傷つき防止のため金属メッキが施されていることが好ましい。金属メッキの種類としては、例えばクロムメッキ、ニッケルメッキ、亜鉛メッキ等が好適に用いられ、単独で又は2種以上の多層の組み合わせで使用することができ、特に表面平滑化の容易さやその耐久性の点から最表面がクロムメッキであることが好ましい。ドラムの表面は平滑性を保持することが望ましく、表面粗さが3S以下、特に0.5S以下が望ましい。
製膜時のドラム型ロールの温度は50〜120℃が実用的であり、フィルムの含水率が5〜30重量%程度に達した時点でロールから剥離する。続いて、単独又は多段ロールを用いて乾燥、好ましくは多段ロールを用いてフィルムの表裏面の交互乾燥が継続され、乾燥した後に、未延伸のPVA系フィルムが形成される。
必要に応じて、乾燥後、熱処理や調湿が行われ、芯管にロール状態に巻き取られてPVA系フィルムが得られる。得られるPVA系フィルムの膜厚としては、10〜100μmが好ましく、更には20〜90μm、特に好ましくは30〜80μmで、膜厚が10μm未満では延伸が難しく、100μmを越えると膜厚精度が低下して好ましくない。
フィルムの幅は任意であり、50cm〜4m程度が一般的であるが、近時の市場の要求が強い幅広フィルムの場合、2m以上、好ましくは2.5m以上、特に3m以上が有用である。フィルムの長さも1000m〜10000m程度と任意である。
次に、PVA系フィルムを用いた偏光フィルムの製造方法について説明する。
本発明においては、PVA系フィルムを少なくとも水洗工程、ヨウ素染色工程、ホウ素化合物処理工程の順に通過させて偏光フィルムを製造するのが好ましく、又、水洗工程とヨウ素染色工程の間に、PVA系フィルムを膨潤させる膨潤工程を設けることもPVA系フィルムの過度の膨潤によるシワ発生を防止する点で好ましい。
偏光フィルムの製造方法としては、上記のPVA系フィルムを、例えば、水洗した後(必要に応じて更に膨潤させた後)、延伸してヨウ素染色液に浸漬し染色する、又は延伸と染色を同時に行う、又はヨウ素染色液により染色して延伸を行い、その後、ホウ素化合物により固定化処理する方法が挙げられる。又、水洗工程や膨潤工程中に延伸したり、染色した後ホウ素化合物の溶液中で延伸する方法等もあり、適宜選択して用いることができるが、特には、少なくとも染色中及び/又はホウ素化合物処理中で延伸を行うことが光学性能の向上の点で好ましい。更に必要に応じていずれかの工程を二回またはそれ以上行ってもよい。
延伸は湿式延伸または乾式延伸で、一軸方向に3〜10倍、好ましくは3.5〜8倍延伸することが望ましい。特には、湿式延伸で行うことがより好ましい。この際、前記と直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度あるいはそれ以上の延伸)を行っても差し支えない。延伸時の温度条件は40〜170℃から選ぶのが望ましい。更に、かかる延伸倍率は最終的に上記の範囲に設定されれば良く、延伸操作は一段階のみならず、製造工程の任意の範囲の段階に実施すれば良い。
水洗工程では、15〜40℃程度の水を用いてPVA系フィルムを洗浄することが好ましく、また、膨潤工程では、水または少量のホウ酸等の架橋剤を含有させた20〜40℃程度の水浴中で処理し、PVA系フィルムを膨潤させることが好ましい。
次に、ヨウ素染色工程中のヨウ素染色液は、通常ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜2.0g/l、ヨウ化カリウムの濃度は10〜100g/l、ヨウ素/ヨウ化カリウムの重量比は20〜100が適当である。ヨウ素染色液の温度は5〜50℃が好ましい。水溶媒以外にも水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させても差し支えない。またホウ酸等の架橋剤が含まれていてもよい。接触手段としては浸漬、塗布、噴霧等の任意の手段が適用できる。
本発明においては、染色ムラの改良された大面積において偏光性能の均一な偏光フィルムを得るために、PVA系フィルムをヨウ素染色するに際して、ヨウ素染色液にアニオン系界面活性剤を含有させることを最大の特徴とするものである。
界面活性剤の種類としては、アニオン系界面活性剤であること必要で、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエステルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩型、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸の塩ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸の塩ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、スルホコハク酸アルキル二塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、ジメチル−5−スルホイソフタレートナトリウム塩等のスルホン酸塩型、硫酸化油、高級アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート等の硫酸エステル塩型、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸塩等のリン酸エステル塩型等が挙げられる。中でも特にはアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、高級脂肪酸アルカノールアミド硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩型のアニオン系界面活性剤が均一な染色を行う点で好ましい。
アニオン系界面活性剤の含有量としては、ヨウ素染色液に対して0.1ppm〜1000ppmが好ましく、0.5〜500ppmがより好ましく、1〜200ppmが特に好ましく、3〜200ppmが最も好ましい。0.1ppmより少ないと、染色ムラの改良の効果が現れにくく、1000ppmを越えると、ヨウ素染色液が泡立ち、染色ムラの原因となり好ましくなく、また、保護フィルムを貼り合わせて偏光板として液晶表示装置に使用した際に、十分な耐久性が得られない傾向にあり好ましくない。
また本発明では、ヨウ素染色液にアニオン系界面活性剤を含有させるのに加え、上記の水洗工程及び/又は膨潤工程に界面活性剤を含有させてもよい。かかる界面活性剤の種類は、上記と同様のものが挙げられるが、中でもアニオン系界面活性剤が好ましく、特にはアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、高級脂肪酸アルカノールアミド硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩型のアニオン系界面活性剤が均一な偏光フィルムが得られる点で好ましい。
次に、ヨウ素染色処理されたPVA系フィルムは次いでホウ素化合物によって固定化処理される。ホウ素化合物としてはホウ酸、ホウ砂が実用的である。ホウ素化合物は水溶液又は水−有機溶媒混合液の形で濃度0.3〜2モル/l程度で用いられ、液中には少量のヨウ化カリを共存させるのが実用上望ましい。
処理方法としては浸漬法が望ましいが、勿論塗布法、噴霧法も実施可能である。処理時の温度は40〜70℃程度、処理時間は1〜20分程度が好ましく、又、必要に応じて処理中に延伸操作を行うことも好ましい。
本発明では、かかるホウ素化合物による固定化処理工程において、ホウ素化合物水溶液中に界面活性剤を添加してもよい。かかる界面活性剤の種類は、上記と同様のものが挙げられるが、中でもアニオン系界面活性剤が好ましく、特にはアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、高級脂肪酸アルカノールアミド硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩型のアニオン系界面活性剤が均一な偏光フィルムが得られる点で好ましい。
かくして本発明の偏光フィルムが得られるのであるが、その片面又は両面に光学的に等方性の高分子フィルム又はシートを保護フィルムとして積層接着して偏光板として用いることもできる。
かかる保護フィルムとしては、例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイド等のフィルム又はシートが挙げられる。
又、かかる偏光フィルムには、薄膜化を目的として上記保護フィルムの代わりに、その片面又は両面にウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレア樹脂等の硬化性樹脂を塗布し、積層させることもできる。
更に、かかる偏光フィルム(又はその少なくとも片面に保護フィルムあるいは硬化性樹脂を積層したもの)は、その一方の表面に必要に応じて、透明な感圧性接着剤層が通常知られている方法で形成されて、実用に供される場合もある。該感圧性接着剤層としてはアクリル酸エステル、例えばアクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等とα−モノオレフィンカルボン酸、例えばアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、クロトン酸等との共重合物(アクリルニトリル、酢酸ビニル、スチロールの如きビニル単量体を添加したものも含む。)を主体とするものが、偏光フィルムの偏光特性を阻害することがないので特に好ましいが、これに限定されることなく、透明性を有する感圧性接着剤であれば使用可能で、例えばポリビニルエーテル系、ゴム系等でもよい。
又、更に偏光フィルム(または偏光板)の片面に各種機能層を設けることも可能であり、機能層としては、例えばアンチグレア層、ハードコート層、アンチリフレクション層、ハーフリフレクション層、反射層、蓄光層、拡散層、エレクトロルミネッセンス層、視野角拡大層、輝度向上層等が挙げられ、更に、各種2種以上の組み合わせをすることも可能で、例えばアンチグレア層とアンチリフレクション層、蓄光層と反射層、蓄光層とハーフリフレクション層、蓄光層と光拡散層、蓄光層とエレクトロルミネッセンス層、ハーフリフレクション層とエレクトロルミネッセンス層等の組み合わせが挙げられる。但し、これらに限定されることはない。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。
尚、例中「部」、「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
実施例1
粘度平均重合度2600、ケン化度99.7モル%のPVA系樹脂を用いて、35%濃度のPVA系樹脂水溶液(PVA系樹脂に対して、可塑剤としてグリセリン10%、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル0.1%を含む)を調製した後、該水溶液をT型スリットダイよりドラム型ロールで流延製膜し、含水率10%まで乾燥、更に120℃で3分間熱処理を行い、最後に調湿を行って芯管に巻き取ることにより、フィルムロールとして含水率が4%のPVA系フィルム(幅3.0m、フィルム厚さ75μm)を得た。
次に、得られたPVA系フィルムを1.25m/分で巻き出し、水洗槽(24℃)で水洗及び膨潤させた後、ドデシル硫酸ナトリウム濃度がヨウ素染色液に対して5ppmのヨウ素染色槽(20℃、ヨウ素濃度0.2g/l、ヨウ化カリウム濃度60g/l)に浸漬し、1.4倍の一軸延伸を行った。続いてホウ酸槽(50℃、ヨウ素濃度0.0012g/l、ヨウ化カリウム濃度30g/l、ホウ酸濃度47g/l)に浸漬し、2.5倍の一軸延伸を行いつつ固定化処理を行い、トータル5.0倍の一軸延伸を行った後、40℃の乾燥機で乾燥して、偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムの両面に、セルローストリアセテートフィルムをPVA系接着剤を用いて貼り合わせて偏光板とした。
(染色ムラ評価方法)
得られた偏光板をクロスニコル状態の2枚の偏光板(単体透過率43.5%、偏光度99.9%)の間に45°の角度で挟んだ後に、暗室で表面照度14000ルックスのライトボックスを用いて、透過モードで染色ムラを観察し、以下の基準で評価した。
○・・・染色ムラなし
×・・・染色ムラあり
(耐久試験後の染色ムラ評価方法)
得られた偏光板の片面に粘着層(25μm厚)を設け、ガラス板に貼合後、60℃、90%RH条件下に20日間放置した後、クロスニコル状態の2枚の偏光板(単体透過率43.5%、偏光度99.9%)の間に45°の角度で挟んだ後に、暗室で表面照度14000ルックスのライトボックスを用いて、透過モードで染色ムラを観察し、以下の基準で評価した。
○・・・染色ムラなし
×・・・染色ムラあり
実施例2
実施例1において、ドデシル硫酸ナトリウム5ppmの代わりにポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム80ppmとした以外は同様に行い、偏光フィルムを得、実施例1と同様の評価を行った。
実施例3
実施例1において、粘度平均重合度4000、ケン化度99.7モル%のPVA系樹脂を用いて、25%濃度のPVA系樹脂水溶液(PVA系樹脂に対して、可塑剤としてグリセリン10%、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル0.1%を含む)を調製した以外は同様に製膜を行い、幅3.3m、フィルム厚さ75μmのPVA系フィルムを得た。
次に、得られたPVA系フィルムを1.25m/分で巻き出し、水洗槽(24℃)で水洗し、引き続きドデシル硫酸ナトリウム濃度が水溶液に対して2ppmの膨潤槽(30℃、ホウ酸濃度0.01g/l)で膨潤させた後、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム濃度がヨウ素染色液に対して20ppmのヨウ素染色槽(20℃、ヨウ素濃度0.22g/l、ヨウ化カリウム濃度60g/l)に浸漬し、1.4倍の一軸延伸を行った。続いてホウ酸槽(50℃、ヨウ素濃度0.0012g/l、ヨウ化カリウム濃度30g/l、ホウ酸濃度47g/l)に浸漬し、2.5倍の一軸延伸を行いつつ固定化処理を行い、トータル5.0倍の一軸延伸を行った後、40℃の乾燥機で乾燥して、偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムについて実施例1と同様の評価を行った。
実施例4
実施例1において得られたPVA系フィルムを、120℃の雰囲気下、2.7倍に一軸延伸し、緊張状態を保ったままポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム濃度がヨウ素染色液に対して150ppmのヨウ素染色槽(20℃、ヨウ素濃度0.2g/l、ヨウ化カリウム濃度30g/l)に浸漬して染色を行った後、ホウ酸槽(55℃、ヨウ素濃度0.001g/l、ヨウ化カリウム濃度40g/l、ホウ酸濃度60g/l)に浸漬し、2倍の一軸延伸を行いつつ固定化処理を行い、トータル6.0倍の一軸延伸を行った後、40℃の乾燥機で乾燥して、偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムについて実施例1と同様の評価を行った。
比較例1
実施例1において、ヨウ素染色槽にドデシル硫酸ナトリウムを添加しなかった以外は同様に行い、偏光フィルムを得、実施例1と同様の評価を行った。
比較例2
実施例1において、ヨウ素染色槽にドデシル硫酸ナトリウムを添加せずに、ヨウ素染色槽のヨウ素水溶液を2m/秒の水流を用いて、水流がフィルムに直接当てないようにしながら撹拌した以外は同様に行い、偏光フィルムを得、実施例1と同様の評価を行った。
実施例、比較例の結果を表1に示す。
Figure 0004527516
本発明の製造方法により得られる偏光フィルムは、染色ムラに起因する光学的色ムラ等のない面内均一性に優れた光学特性を有するものであり、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、パソコン、モニター、液晶テレビ、携帯情報端末機、自動車や機械類の計器類等の液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、表示素子(CRT、LCD等)用反射低減層、医療機器、建築材料、玩具等に非常に有用である。

Claims (6)

  1. ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素染色して偏光フィルムを製造するにあたり、ヨウ素染色工程中のヨウ素染色液にアニオン系界面活性剤を含有させることを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
  2. ポリビニルアルコール系フィルムを少なくとも水洗工程、ヨウ素染色工程、ホウ素化合物処理工程の順に通過させて偏光フィルムを製造することを特徴とする請求項1記載の偏光フィルムの製造方法。
  3. アニオン系界面活性剤の含有量が、ヨウ素染色液に対して0.1〜1000ppmであることを特徴とする請求項1又は2記載の偏光フィルムの製造方法。
  4. アニオン系界面活性剤が、硫酸エステル塩型アニオン系界面活性剤であることを特徴とする請求項記載の偏光フィルムの製造方法。
  5. 水洗工程とヨウ素染色工程の間に、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させる膨潤工程を設けることを特徴とする請求項1〜いずれか記載の偏光フィルムの製造方法。
  6. 膨潤工程中の膨潤液に界面活性剤を含有させることを特徴とする請求項記載の偏光フィルムの製造方法。
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