JP2005243295A - ガス拡散層、およびこれを用いた燃料電池用mea - Google Patents
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Abstract
【課題】 拡散分極および抵抗分極の双方が低減されたカーボン撥水層を提供する。
【解決手段】 撥水剤でコーティングされてなるカーボン粒子と、撥水剤粒子とを含むカーボン撥水層をガス拡散基材表面に有することを特徴とするガス拡散層により上記課題を解決する。
【選択図】 なし
【解決手段】 撥水剤でコーティングされてなるカーボン粒子と、撥水剤粒子とを含むカーボン撥水層をガス拡散基材表面に有することを特徴とするガス拡散層により上記課題を解決する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ガス拡散層に関し、より詳細にはカーボン撥水層を有するガス拡散層に関する。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、常温でも作動し高出力密度が得られる固体高分子型燃料電池が電気自動車用電源、定置型電源として注目されている。固体高分子型燃料電池は、フィルム状の固体高分子電解質膜を用いるのが特徴である。
固体高分子型燃料電池の構成は、一般的には、膜−電極接合体(以下、「MEA」とも記載する。)をセパレータで挟持した構造となっている。MEAは、固体高分子電解質膜を二つの電極により挟持し、さらにこれをガス拡散層で挟持した構造となっている。また、電極は、電極触媒と固体高分子電解質との混合物により形成された多孔性のものであり、電極触媒層とも呼ばれる。
燃料電池では、以下のような電気化学的反応などを通して、電気を外部に取り出すことが可能となる。まず、燃料極(アノード)側に供給された燃料ガスに含まれる水素が、触媒粒子により酸化され、プロトンおよび電子となる。次に、生成したプロトンは、燃料極側電極触媒層に含まれる固体高分子電解質、さらに電極触媒層と接触している固体高分子電解質膜を通り、酸素極(カソード)側電極触媒層に達する。また、燃料極側電極触媒層で生成した電子は、電極触媒層を構成している導電性担体、さらに電極触媒層の固体高分子電解質膜と異なる側に接触しているガス拡散層、セパレータおよび外部回路を通して酸素極側電極触媒層に達する。そして、酸素極側電極触媒層に達したプロトンおよび電子は酸素極側に供給されている酸化剤ガスに含まれる酸素と反応し水を生成する。かような電気化学的反応は、主に、触媒粒子と、プロトン導電性電解質と、供給ガスとが接触する三相界面において進行するのである。従って、ガス拡散層は、供給されたガスを電極へと均一に供給することが必要とされる。
また、燃料電池における固体高分子電解質膜は、湿潤していないと高いプロトン導電性を示さない。そのため、固体高分子型燃料電池に供給するガスは、ガス加湿装置などを用いて加湿することにより、固体高分子電解質膜の湿度分布を均一にする必要がある。
高加湿、高電流密度などの運転条件下では、アノードからカソードに向けて固体高分子電解質膜を移動するプロトンに伴って移動する水の量、および酸素極側電極触媒層内により生成して凝集する生成水の量が増加する。この時、これらの生成水は、特に酸素極側電極触媒層内に滞留し、反応ガス供給路となっていた細孔を閉塞するフラッディング現象を招く。これにより、反応ガスの拡散を阻害するため、拡散分極が増大する。これに対して、低加湿、低電流密度などの運転条件下では、生成水が少ないためフラッディング現象は生じる恐れはないが、供給される水分の量が不足して固体高分子電解質膜が乾燥し、プロトン導電性が低下するドライアウト現象を招く。
そこで、従来では、ガス拡散基材表面に導電性粒子および撥水剤などからなるカーボン撥水層を有するガス拡散層が燃料電池用MEAに用いられている。前記カーボン撥水層は、カーボンなどの導電性粒子等の集合体からなる多孔質構造を有する。従って、加湿して供給されたガスを拡散させて電極触媒層に均一に供給するだけでなく、過剰な水を速やかに排出することが可能となる。
また、特許文献1には、固体高分子電解質膜の湿度分布を均一に保つため、カーボン撥水層における撥水剤の含有量をガスの流れ方向に従い傾斜させる方法が開示されている。
特開2003−92112号公報
しかしながら、上記特許文献1のガス拡散層では、燃料電池の性能を低下させる基本的要因である抵抗分極が増大する場合がある。燃料電池の高出力化の観点からは、拡散分極だけでなく抵抗分極も低減させることが必要であり、さらなる改善が所望される。
そこで、本発明が目的とするところは、拡散分極および抵抗分極の双方が低減されたガス拡散層を提供することを目的とする。
本発明は、撥水剤でコーティングされてなるカーボン粒子と、撥水剤粒子とを含むカーボン撥水層をガス拡散基材表面に有することを特徴とするガス拡散層により上記課題を解決するものである。
本発明のガス拡散層は、上記カーボン撥水層を有することにより、拡散分極だけでなく、抵抗分極をも低減させることができる。従って、本発明のガス拡散層を燃料電池に用いれば、特にカソードにおいてフラッディング現象を抑制できるだけでなく、高い発電量を安定して供給することが可能となる。
本発明の第一は、撥水剤でコーティングされてなるカーボン粒子と、撥水剤粒子とを含むカーボン撥水層をガス拡散基材表面に有することを特徴とするガス拡散層である。
カーボン撥水層には、水を固体高分子電解質膜などに均一に供給して余分な水はガス拡散層側に排出する機能だけでなく、電気抵抗を下げることにより発電特性を向上させる機能も有することが求められる。しかしながら、従来のカーボン撥水層では、水の排出などを促進して拡散分極の低減は可能であったが、抵抗分極が増大する問題があった。
本発明では、かような問題に鑑みて鋭意検討した結果、以下のようなことが判明した。従来のカーボン撥水層の製造方法は、溶媒と、カーボン粒子およびポリテトラフルオロエチレンなどの撥水剤とを混合して調製したスラリーを、ガス拡散基材表面に塗布する方法が用いられている。そのため、図1(a)に示すように、カーボン粒子1は撥水剤2により覆われている。撥水剤はバインダーとしても作用することが可能であるため、カーボン粒子を絡み合わせることができる他、電極とガス拡散基材との物理的な結着性を高めることができる。また、水の排出を促進する場合などは、カーボン撥水層の撥水剤の含有量を増加させる必要がある。この場合、従来では、撥水剤濃度を高くして調整したスラリーを用いてカーボン撥水層を作製するため、図1(b)に示すように、カーボン粒子1をコーティングする撥水剤2の厚さが増すのである。
電極において発生した電子は、カーボン撥水層中のカーボン粒子表面を介してガス拡散基材、外部回路などへ流れる。また、撥水剤として、一般的に用いられているポリテトラフルオロエチレンなどは絶縁体である。従って、従来のカーボン撥水層では、撥水剤の厚さが増すことにより、カーボン粒子間の電気抵抗が増加し、抵抗分極の増大を招いていたことが考えられる。
これに対し、本発明のカーボン撥水層は、図1(C)に示すように、撥水剤2でコーティングされるカーボン粒子1の他に、さらに撥水剤粒子3を含む。カーボン撥水層において、撥水剤の含有量を多くするには、撥水剤粒子の含有量を多くすればよく、カーボン粒子を覆う撥水剤の厚さを薄くすることができる。従って、前記カーボン撥水層は、水の排出などを促進してガス透過性を確保できるだけでなく、カーボン粒子間の電気抵抗を小さくすることができ、拡散分極および抵抗分極の双方の低減を実現させることが可能となる。
以下に本発明のガス拡散層に関して、順を追って説明する。
本発明のガス拡散層は、上述した通りであるが、ガス拡散基材表面にカーボン撥水層を有する。
前記ガス拡散基材としては、特に限定されず、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルト、不織布といった導電性及び多孔質性を有するシート状材料を基材とするものなどが挙げられる。
また、前記ガス拡散基材は、撥水性を高めてフラッディング現象などを防ぐために、公知の手段を用いて撥水処理を行ってもよい。前記撥水処理を行う方法としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンといったフッ素系樹脂など撥水剤の分散液にガス拡散基材を浸漬した後、オーブン等で加熱乾燥させる方法などが挙げられる。また、撥水処理を行うことで、ガス拡散基材の剛性を高めることもできる。
次に、前記ガス拡散基材上に配置されるカーボン撥水層は、撥水剤でコーティングされてなるカーボン粒子の他に、さらに撥水剤粒子を含む。
前記カーボン粒子としては、電子伝導性に優れるものであればよく、カーボンブラック粉末、黒鉛粉末、膨張黒鉛粉末、金属粉末、セラミックス粉末などが挙げられる。電子伝導性に優れ、比表面積が大きいことから、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが好ましく挙げられる。
前記カーボン粒子は、市販品を用いることができ、キャボット社製バルカンXC−72、バルカンP、ブラックパールズ880、ブラックパールズ1100、ブラックパールズ1300、ブラックパールズ2000、リーガル400、ライオン社製ケッチェンブラックEC、三菱化学社製#3150、#3250などのオイルファーネスブラック;電気化学工業社製デンカブラックなどのアセチレンブラック等が挙げられる。またカーボンブラックのほか、天然の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素などがある。また、耐食性などを向上させるために、カーボン粒子を熱処理などの加工を行ってもよい。
前記カーボン粒子の平均粒径としては、1〜10μm、好ましくは3〜7μm程度のものを用いるのがよい。平均粒径が1μm未満ではカーボン撥水層の空隙率が低下する恐れがあり、10μmを超えるとカーボン撥水層の厚さが増して、ガス透過性、電子伝導性などの低下を招く恐れがある。
次に、前記撥水剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。なかでも、撥水性、電極反応時の耐食性などに優れることから、フッ素系樹脂が好ましく用いられる。
撥水剤でコーティングされてなるカーボン粒子において、撥水剤の含有量は、5〜40質量%、好ましくは10〜20質量%程度とするのがよい。撥水剤の含有量が5質量%未満ではカーボン粒子を十分に結着させることができない恐れがあり、40質量%を超えると電気抵抗の増加、すなわち、抵抗分極の増加を招く恐れがあるため望ましくない。なお、「撥水剤でコーティングされてなるカーボン粒子」は、カーボン粒子の表面全体が撥水剤でコーティングされているのが好ましいが、表面の一部が撥水剤でコーティングされていなくともよい。
カーボン撥水層に用いられる撥水剤粒子の平均粒径は、1〜10μm、好ましくは3〜7μm程度のものを用いるのがよい。平均粒径が1μm未満ではカーボン撥水層の空隙率が低下する恐れがあり、10μmを超えるとカーボン撥水層の厚さが増して、ガス透過性、電子伝導性などの低下を招く恐れがある。
カーボン撥水層の厚さは、50〜150μm、好ましくは75〜100μmとすればよい。しかし、これに特に限定されず、得られるガス拡散層のガス透過性、電子伝導性などを考慮して決定すればよい。
本発明のカーボン撥水層は、撥水剤にコーティングされたカーボン粒子のみからなる層を、前記カーボン撥水層の厚さの全長に亘り少なくとも1つ有するのが好ましい。かようなカーボン撥水層の模式図を図2に示す。
図2のカーボン撥水層6において、撥水剤2にコーティングされたカーボン粒子1が電極5からガス拡散基材7へと連通している。かような構造を有することにより、撥水剤の電気的抵抗に妨げられることなく電極からガス拡散基材への電子伝導経路を確保することができ、抵抗分極をより低減させることができるのである。
また、ガス拡散基材と、カーボン撥水層とは、異なる平均空孔径とすることで、水の排出を促進させてもよい。すなわち、カーボン撥水層の平均空孔径を、ガス拡散基材の平均空孔径より小さくするのである。これにより、毛細管力による水吸収力が増大して、水が移動し易くなり、ガス拡散基材へと拡散されて排出するのを促進させることができるのである。
一般的に、燃料電池では固体高分子電解質膜を湿潤させるために、燃料として供給するガスは加湿される。また、電極反応により、特にカソードにおいては水が多量に生成する。従って、ガス入口部からガス出口部に向かって水分含有量は漸増し、ガス出口部付近では水分含有量がかなり多くなり拡散分極が増加する。従って、カーボン撥水層において水が停留し易くフラッディング現象の原因となる部位の撥水性を高めて、拡散分極の低減を行うのが望ましい。
この点を考慮して、カーボン撥水層では、ガス入口部からガス出口部へと面方向に前記撥水剤の含有量を大きくしてもよい。前記撥水剤の含有量は、段階的に大きくなってもよく、傾斜して徐々に大きくなってもよい。前者の場合、例えば、カーボン撥水層の前半部分が撥水剤でコーティングされてなるカーボン粒子のみを配置し、後半部分は図2と同様にして撥水剤でコーティングされてなるカーボン粒子および撥水剤粒子を配置したカーボン撥水層などが挙げられるが、特にこれに限定されない。撥水剤含有量は、得られるカーボン撥水層の撥水性などを考慮して決定すればよいが、ガス出口部/ガス入口部=1〜4、好ましくは1〜2程度とすればよい。
さらに、カーボン撥水層は、燃料電池のカソード側に用いた場合、電極からガス拡散基材へと水を排出するとともに、外部回路を伝わってきた電子をガス拡散基材から電極へと伝導させる必要がある。そこで、図3に示すように、電極側から前記ガス拡散基材側へと厚さ方向に前記撥水剤の含有量を小さくするのが好ましい。これにより、撥水性を高めるだけでなく、ガス拡散基材側にカーボン粒子が多く配置されているため外部回路から伝わってきた電子を効率よく電極へと伝導させることができる。また、含有量は、段階的に大きくなってもよく、傾斜して徐々に大きくなってもよい。この際、撥水剤含有量は、得られるカーボン撥水層の撥水性などを考慮して決定すればよいが、電極近傍/ガス拡散基材近傍=1〜4、好ましくは1〜2程度とすればよい。
本発明のカーボン撥水層の作成方法としては、まず、水、パーフルオロベンゼン、ジクロロペンタフルオロプロパン、メタノール、エタノールなどのアルコール系有機溶媒などの溶媒中に、カーボン粒子、撥水剤等を、分散・混合させることによりスラリーを調製する。次に、ガス拡散基材の所定の部位を予めマスキングし、前記スラリーを塗布した後にマスキングを外し、塗布したスラリー上に別のマスキングをし、残りの部位に撥水剤粒子を散布する方法によりカーボン撥水層が得られる。
前記スラリーは、例えば、撥水剤としてPTFEを用いる場合、カーボン粉末とPTFEディスパージョンと、さらに必要であれば水を混合することによっても調製できる。また、スラリーには、ガス拡散基材へ塗布し易くするため、増粘剤などを添加してもよい。
前記スラリーを塗布するには、スプレー、ナイフコーター、スピンコーターなど各種公知技術を用いて塗布すればよい。なお、前記スラリーは、乾燥および粉砕することで粉体とした後、予めマスキングしたガス拡散基材上に散布してもよい。
カーボン撥水層表面は、電極との密着性を向上させるために、平滑であることが好ましい。そのため作製したカーボン撥水層は、ポリエチレン系樹脂でコーティングされた離型フィルムなどを介して、押出またはロール圧延などの公知の手段により成形するのが好ましい。
カーボン撥水層が形成されたガス拡散基材は、乾燥させた後、マッフル炉や焼成炉を用いて、300〜400℃程度で熱処理を施すとよい。これにより、撥水剤が長期に亘って安定した撥水性を確保することが可能となる。
また、上述した方法では、ガス拡散基材上にカーボン撥水層を作製する方法であったが、特にこれに限定されない。すなわち、フッ素系樹脂などの離型フィルム上に、所定の部位にマスキングをして前記スラリーを塗布した後にマスキングを外し、前記スラリーを塗布した部位に別のマスキングをして残りの部位に撥水剤粒子を散布し、その表面にガス拡散基材を配置して熱処理を施し、離型フィルムを剥がす方法などによっても、本発明のガス拡散層を作製することができる。この時に行う熱処理は、上述した方法と同様にして行えばよい。
カーボン撥水層の撥水剤の含有量を、ガス入口からガス出口に向かって大きくするには、スラリーを塗布する部位が、ガス入口付近では多くし、ガス出口に向かって少なくなるようにマスキングすればよい。
また、カーボン撥水層の撥水剤の含有量を、前記電極側から前記ガス拡散基材側へと厚さ方向に小さくするには、例えば、まず、(i)マスキングをせずにガス拡散基材上にスラリーを塗布する。次に、(ii)その上に所定の部位にマスキングをして再度スラリーを塗布してマスキングを外し、スラリーを再度塗布した部位のみマスキングをした後、残りの部位に撥水剤粒子を散布する。さらに、撥水剤の含有量が所望の勾配を有するように、前記(ii)の工程を繰り返せばよい。この際、得られるカーボン撥水層が厚さの全長に亘り、カーボン粒子のみからなる層を少なくとも1つ有するように、スラリーを重ねて塗布するようにマスキングする部位を調整するのが好ましい。
上述したように、本発明のカーボン撥水層は、撥水剤にコーティングされたカーボン粒子と、撥水剤粒子とを含むことにより、電気抵抗の増大の要因となるカーボン粒子を覆っている撥水剤の厚さを薄くすることができる。これにより、カーボン粒子間の距離が短くなり、抵抗分極を低下させることが可能となる。さらに、カーボン撥水層において、所望の撥水剤の含有量を得るためには、カーボン粒子を覆う撥水剤の厚さを変えずに、撥水剤粒子の含有量を増やせばよい。従って、抵抗分極だけでなく、拡散分極の双方を低減させることができるため、本発明のカーボン撥水層を表面に有するガス拡散層を燃料電池用MEAとして用いれば、優れた発電特性を発揮することができる。
本発明の第二は、固体高分子電解質膜と、電極と、ガス拡散層とを有する燃料電池用MEAにおいて、前記ガス拡散層の少なくとも1つが、上述した本発明の第一のガス拡散層であり、前記電極と接する面に前記カーボン撥水層が配置されることを特徴とする燃料電池用MEAである。
前記固体高分子電解質膜は、特に限定されず、従来からMEAに一般的に用いられているものであれば、如何なるものも適用し得る。一例を挙げると、少なくとも高いプロトン伝導性を有する部材からなるものが挙げられ、具体的には、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体、リン酸などの無機酸を炭化水素系高分子化合物にドープさせたもの、一部がプロトン伝導性の官能基で置換された有機/無機ハイブリッドポリマー、高分子マトリックスにリン酸溶液や硫酸溶液を含浸させたプロトン伝導体などの固体高分子電解質からなる膜が挙げられる。
また、固体高分子電解質膜は、デュポン社製の各種のNAFIONやフレミオンに代表されるパーフルオロスルホン酸膜、ダウケミカル社製のイオン交換樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体樹脂膜、トリフルオロスチレンをベースポリマーとする樹脂膜などのフッ素系高分子電解質や、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂系膜などの市販されているものを用いてもよい。
前記固体高分子電解質膜の厚みとしては、得られるMEAの特性を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜200μm、特に好ましくは15〜150μmである。前記厚みが5μm未満であると製造工程またはMEA運転時に容易に破損しやすくなる恐れがあり、また、300μmを超えると得られるMEAの出力特性の低下を招く恐れがある。
次に、本発明のMEAにおいて、前記固体高分子電解質膜を挟持する一対の電極は、導電性担体に触媒粒子が担持されてなる電極触媒と、固体高分子電解質とを少なくとも含む。
前記導電性担体は、主成分がカーボンであるのが好ましい。導電性担体の電気抵抗が高いと、電極の内部抵抗が高くなり、結果として電池性能の低下を招く。導電性担体は、カーボンを主成分とすることにより十分に高い電子導電率を得ることができ、電気抵抗を低くすることができる。
前記導電性担体として、より具体的には、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;種々の炭素原子を含む材料を炭化、賦活処理した活性炭;グラファイト化カーボン等のカーボンを主成分とするものが挙げられる。
次に、前記電極触媒における触媒粒子としては、水素の酸化反応、及び酸素の還元反応に対して触媒作用を有することが求められ、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、及びそれらの合金等から選択される1種以上が挙げられる。また、前記触媒粒子は、白金単独で用いてもよいが、前記触媒粒子の安定性や活性を高めるために、白金を主成分とする合金などであってもよい。
触媒粒子の平均粒径は、1〜30nmであることが好ましい。触媒粒子は、平均粒径が小さいほど比表面積が大きくなるため触媒活性も向上すると推測されるが、実際は、触媒粒子径を極めて小さくしても、比表面積の増加分に見合った触媒活性は得られない恐れがあるため、上記範囲とするのが好ましい。なお、本発明における「触媒粒子の平均粒径」は、X線回折における触媒粒子の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径あるいは透過型電子顕微鏡像より調べられる触媒粒子の粒子径の平均値により測定することができる。
導電性担体への触媒粒子の担持は公知の方法で行うことができる。電極触媒における導電性担体に担持する触媒粒子の担持量は特に限定されないが、電極中の電極触媒の全量に対して、10〜80質量%、好ましくは30〜70質量%、より好ましくは40〜60質量%程度とするのがよい。担持量が10質量%未満であると、触媒粒子による十分な触媒活性がえられない恐れがある。そのため、高い活性を得るためには電極を厚くしなければならず、これによる電極の内部抵抗の増加などに起因して電池性能の低下が生じる恐れがあるため望ましくない。また、80質量%を超えた場合には、導電性担体表面に担持する触媒粒子の重なりが多くなることから、十分な触媒粒子の反応面積が得られず触媒活性が低下する恐れがある。なお、触媒粒子の担持量は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)によって調べることができる。
次に、電極に含まれる固体高分子電解質としては、電極に従来から用いられているものであれば特に限定されず、具体的には固体高分子電解質膜において列挙した固体高分子電解質を用いればよい。また、固体高分子電解質膜と電極とで用いる固体高分子電解質は、異なっていてもよいが、膜と電極の接触抵抗などを考慮すると同じものを用いるのが好ましい。
前記固体高分子電解質は、バインダーポリマーとして電極触媒を被覆しているのが好ましい。これにより、電極の構造を安定に維持できるとともに、電極反応が進行する反応サイト(三相界面)を十分に確保して、高い触媒活性を得ることができる。電極中に含まれる前記固体高分子電解質の含有量は、特に限定されないが、触媒粒子の全量に対して20〜60質量%とするのがよい。
電極の製造方法としては、触媒粒子、プロトン導電性部材の他に必要に応じて、撥水剤、造孔剤、増粘剤、希釈溶媒などを混合してペースト状あるいはスラリー状にし、これをガス拡散層(カーボン撥水層)または固体高分子電解質膜上にスクリーン印刷法、沈積法、あるいはスプレー法などで所望の厚さに塗布・乾燥させて電極を形成する公知の方法などが挙げられる。
本発明のMEAは、上述した、固体高分子電解質膜、および、電極を、さらにガス拡散層を用いて、ガス拡散層/電極(アノード)/固体高分子電解質膜/電極(カソード)/ガス拡散層となるように配置することで得られる。
ガス拡散層としては、本発明の第一のカーボン撥水層を有するガス拡散層が、アノード側ガス拡散層またはカソード側ガス拡散層の少なくともいずれかに用いられればよいが、好ましくはカソード側ガス拡散層に用いる。これにより、電極反応による生成水などを排出してフラッディング現象を抑制するだけでなく、電子を電極へと効率よく伝導させることができるため、発電特性に優れた燃料電池用MEAが得られる。また、ガス拡散基材は、一般的に繊維織布などからなるため、これが電極や固体高分子電解質膜に突き刺さりして破壊する恐れがあった。しかしながら、カーボン撥水層を設けることで緩衝層としての役割も副次的に得られる。
アノード側ガス拡散層には、カーボン撥水層を有しないガス拡散層を配置してもよい。この場合のガス拡散層としては、本発明の第一のガス拡散層で用いたガス拡散基材のみを用いればよい。なお、前記ガス拡散基材は、上述した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
MEAの製造方法としては、固体高分子電解質膜上に電極を直接形成した後、これをガス拡散層で挟持する方法、セパレータ上にガス拡散層、電極を形成しこれを固体高分子電解質膜と接合する方法、離型フィルムなどの平板上に電極を形成しこれを固体高分子電解質膜に転写した後、ガス拡散層で挟持する方法等の種々の方法が挙げられる。なお、電極を固体高分子電解質膜とは別個に形成した場合には、電極と固体高分子電解質膜とは、ホットプレス法等により接合することが好ましい。
本発明の第三は、上述した各種特性を示すことができる燃料電池用MEAを有する燃料電池である。前記燃料電池は、車両などの移動体用電源、定置用電源などとして有用であり、高電流密度の運転条件下などで高い発電量を安定して供給することができる。
燃料電池の種類としては、所望する電池特性が得られるのであれば特に限定されないが、実用性・安全性などの観点から固体高分子型燃料電池(単に「PEFC」とも記載する。)として用いるのが好ましい。PEFCは、MEAをセパレータで挟持した構造を有する。
セパレータとしては特に限定されず、カーボンセパレータ、金属セパレータなど公知のものを用いればよい。セパレータ8は、空気と燃料ガスとを分離する機能を有するものであり、それらの流路を確保するために、図2に示すように、ガスの流れに沿って平行に伸びる流路溝9が複数形成されてもよい。前記ガス流路溝9は、リブとも呼ばれる凸部10が複数配置されることにより区画形成されている。
セパレータの流路溝の溝幅やピッチに関しては特に限定されないが、細くなるほど電極へのガス拡散性が改善され、通常は0.5〜1.0mm程度の溝幅が用いられている。また、カソードにおいて生成した水がセパレータの流路に滞留するのを防ぐため、流路を長くして流速を早めたり、セパレータを立てて生成水が上から下へと流れ易くなるようにしてもよい。
本発明の燃料電池において、カーボン撥水層における撥水剤でコーティングされてなるカーボン粒子のみからなる層は、図2に示すように、前記凸部と対向する領域に配置されるのが好ましい。これにより、電子の流れをスムーズにすることができ、電子伝導率を向上させることが可能となる。
さらに、PEFCが所望する電圧等を得られるように、セパレータを介してMEAを複数積層して直列に繋いだスタックを形成してもよい。PEFCの形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
上述した本発明の燃料電池用MEAおよび燃料電池は、本発明の第一のガス拡散層を含むことを特徴とするものである。よって、その他の要件に関して、上述したものは一例を示したに過ぎず、従来公知技術において利用することができる他の構成成分を本発明の燃料電池用MEAおよび燃料電池に適宜用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。下記実施例は、本発明の好ましい一実施形態を示したに過ぎず、本発明がこれに限定されないことはいうまでもない。
<実施例1>
1.ガス拡散層の形成
(1−1)ガス拡散基材の撥水処理
厚さ270μmのカーボンペーパー(東レ社製TGP−H−090)を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液(ダイキン工業社製ポリフロンD−1E、60wt%)に浸漬後、オーブン内にて80℃、1時間乾燥させることにより、カーボンペーパー中にPTFEを分散させ、撥水処理を行ったガス拡散基材(PTFE含有量25wt%)を得た。その後、ガス拡散基材を一辺6cmの正方形に切り出した。
1.ガス拡散層の形成
(1−1)ガス拡散基材の撥水処理
厚さ270μmのカーボンペーパー(東レ社製TGP−H−090)を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液(ダイキン工業社製ポリフロンD−1E、60wt%)に浸漬後、オーブン内にて80℃、1時間乾燥させることにより、カーボンペーパー中にPTFEを分散させ、撥水処理を行ったガス拡散基材(PTFE含有量25wt%)を得た。その後、ガス拡散基材を一辺6cmの正方形に切り出した。
(1−2)カーボン撥水層の形成
カーボン粒子(2800℃熱処理ケッチェンブラックEC600JD)5.4g、(1−1)で用いたのと同じPTFE分散液1.0g、水29.6gをホモジナイザーを用いて3時間混合分散し、スラリー化した。先に撥水処理したガス拡散基材の片面上に、スラリーを塗布する部位が、図2に示すように、幅(w1)1mm、高さ(h1)100μm、間隔(w2)1mmとなるようにマスキングをし、バーコーターを用いて前記スラリーを塗布後、マスキングを外した。次に、塗布したスラリー上のみにマスキングをし、残りの部位に撥水剤粒子としてPTFE粉末(平均粒径1μm)を散布した後、オーブン内にて80℃、1時間乾燥させ、さらにマッフル炉にて350℃、1時間熱処理を行った。
カーボン粒子(2800℃熱処理ケッチェンブラックEC600JD)5.4g、(1−1)で用いたのと同じPTFE分散液1.0g、水29.6gをホモジナイザーを用いて3時間混合分散し、スラリー化した。先に撥水処理したガス拡散基材の片面上に、スラリーを塗布する部位が、図2に示すように、幅(w1)1mm、高さ(h1)100μm、間隔(w2)1mmとなるようにマスキングをし、バーコーターを用いて前記スラリーを塗布後、マスキングを外した。次に、塗布したスラリー上のみにマスキングをし、残りの部位に撥水剤粒子としてPTFE粉末(平均粒径1μm)を散布した後、オーブン内にて80℃、1時間乾燥させ、さらにマッフル炉にて350℃、1時間熱処理を行った。
2.MEAの作製
(2−1)電極インクの調製
カーボン粒子(2800℃熱処理ケッチェンブラックEC600JD ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製)に白金を担持させた白金担持カーボン(白金含有率43wt%)10g、固体高分子電解質溶液(DuPont社製NAFION溶液DE520、電解質含量5wt%)90g、純水3g、および、2−プロパノール(和光純薬工業社製特級試薬)1gを、25℃で保持するよう設定したウォーターバス中のガラス容器内で、ホモジナイザーを用いて3時間混合分散することで、電極インクとした。
(2−1)電極インクの調製
カーボン粒子(2800℃熱処理ケッチェンブラックEC600JD ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製)に白金を担持させた白金担持カーボン(白金含有率43wt%)10g、固体高分子電解質溶液(DuPont社製NAFION溶液DE520、電解質含量5wt%)90g、純水3g、および、2−プロパノール(和光純薬工業社製特級試薬)1gを、25℃で保持するよう設定したウォーターバス中のガラス容器内で、ホモジナイザーを用いて3時間混合分散することで、電極インクとした。
(2−2)電極形成
厚さ200μmのPTFE製シート(ニチアス社製ナフロンシート)の片面上に、スクリーンプリンターを用いて先に調製した電極インクを塗布し、オーブン中で100℃、30分間乾燥させた後、一辺5cmの正方形に切り出し、電極形成PTFE製シートを形成した。
厚さ200μmのPTFE製シート(ニチアス社製ナフロンシート)の片面上に、スクリーンプリンターを用いて先に調製した電極インクを塗布し、オーブン中で100℃、30分間乾燥させた後、一辺5cmの正方形に切り出し、電極形成PTFE製シートを形成した。
(2−3)MEA化
一辺8cmの正方形で厚さ25μmの固体高分子電解質膜(DuPont社製NAFION NR−111)を挟んで、先に作製した2枚の電極形成PTFE製シートの電極形成側が対向するように重ねて、片側PTFE製シート面積あたり2.5MPaの圧力で、130℃、10分間ホットプレスし、冷却後PTFE製シートのみを剥がすことで、固体高分子電解質膜に電極を転写させ積層体を得た。このとき、ポリテトラフルオロエチレン製シートから固体高分子電解質膜への電極の転写率は100%であり、固体高分子電解質膜上の片面電極面積1cm2あたりの白金重量は0.40mg、片面電極の厚みは10μmであった。作製した積層体を挟んで2枚のガス拡散層をカーボン撥水層が対向するように重ねることでMEAとし、これを図2に示すように高さ(h2)1mm、幅(w3)1mmの凸部を間隔(w4)1mmで設けられたガス流路溝を有するグラファイト製セパレータで、凸部と撥水剤によりコーティングされたカーボン粒子のみからなる層とが対向するように挟持し、さらにこれを金メッキしたステンレス製集電板で挟持し、評価用単セルとした。
一辺8cmの正方形で厚さ25μmの固体高分子電解質膜(DuPont社製NAFION NR−111)を挟んで、先に作製した2枚の電極形成PTFE製シートの電極形成側が対向するように重ねて、片側PTFE製シート面積あたり2.5MPaの圧力で、130℃、10分間ホットプレスし、冷却後PTFE製シートのみを剥がすことで、固体高分子電解質膜に電極を転写させ積層体を得た。このとき、ポリテトラフルオロエチレン製シートから固体高分子電解質膜への電極の転写率は100%であり、固体高分子電解質膜上の片面電極面積1cm2あたりの白金重量は0.40mg、片面電極の厚みは10μmであった。作製した積層体を挟んで2枚のガス拡散層をカーボン撥水層が対向するように重ねることでMEAとし、これを図2に示すように高さ(h2)1mm、幅(w3)1mmの凸部を間隔(w4)1mmで設けられたガス流路溝を有するグラファイト製セパレータで、凸部と撥水剤によりコーティングされたカーボン粒子のみからなる層とが対向するように挟持し、さらにこれを金メッキしたステンレス製集電板で挟持し、評価用単セルとした。
<実施例2>
実施例1の(1−2)において、ガス拡散基材のガス入口から3cmはマスキングをせず、残部は実施例1と同様にしてマスキングをし、さらに、作製したMEAをセパレータで挟持する際にセパレータの凸部とガス拡散基材の後半部分に形成された撥水剤によりコーティングされたカーボン粒子のみからなる層とが対向するように挟持した以外は、実施例1と同様にして評価用単セルを組み立て、評価用単セルとした。
実施例1の(1−2)において、ガス拡散基材のガス入口から3cmはマスキングをせず、残部は実施例1と同様にしてマスキングをし、さらに、作製したMEAをセパレータで挟持する際にセパレータの凸部とガス拡散基材の後半部分に形成された撥水剤によりコーティングされたカーボン粒子のみからなる層とが対向するように挟持した以外は、実施例1と同様にして評価用単セルを組み立て、評価用単セルとした。
<実施例3>
実施例1の(1−2)において、スラリーを、図3に示すように、撥水処理したガス拡散基材の片面上にバーコーターを用いて高さ(h1)20μmとなるように塗布した。次に、スラリーを塗布する部位が、幅(w1)1mm、高さ(h2)20μm、間隔(w2)1mmとなるようにマスキングをしてスラリーを再度塗布後、マスキングを外し、再度塗布した前記スラリー上のみに別のマスキングをし、残りの部位に撥水剤粒子としてPTFE(平均粒径1μm)を散布し、マスキングを外した。さらに、スラリーを塗布する部位が幅(w1)1mm、高さ(h3)20μm、間隔(w2)1mmとなるようにマスキングをしてスラリーをさらに塗布してマスキングを外し、さらに塗布した前記スラリー上のみに別のマスキングをした後に、残りの部位に撥水剤粒子としてPTFE(平均粒径1μm)を散布し、マスキングを外した。これをオーブン内にて80℃、1時間乾燥させ、さらにマッフル炉にて350℃、1時間熱処理を行った。これにより、図3示すように、ガス拡散基材上にカーボン撥水層(厚さ60μm)を得た。
実施例1の(1−2)において、スラリーを、図3に示すように、撥水処理したガス拡散基材の片面上にバーコーターを用いて高さ(h1)20μmとなるように塗布した。次に、スラリーを塗布する部位が、幅(w1)1mm、高さ(h2)20μm、間隔(w2)1mmとなるようにマスキングをしてスラリーを再度塗布後、マスキングを外し、再度塗布した前記スラリー上のみに別のマスキングをし、残りの部位に撥水剤粒子としてPTFE(平均粒径1μm)を散布し、マスキングを外した。さらに、スラリーを塗布する部位が幅(w1)1mm、高さ(h3)20μm、間隔(w2)1mmとなるようにマスキングをしてスラリーをさらに塗布してマスキングを外し、さらに塗布した前記スラリー上のみに別のマスキングをした後に、残りの部位に撥水剤粒子としてPTFE(平均粒径1μm)を散布し、マスキングを外した。これをオーブン内にて80℃、1時間乾燥させ、さらにマッフル炉にて350℃、1時間熱処理を行った。これにより、図3示すように、ガス拡散基材上にカーボン撥水層(厚さ60μm)を得た。
このようにして作製したガス拡散層を用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用単セルを組み立て、評価用単セルとした。
<比較例1>
実施例1の(1−2)において、調製したスラリーを、撥水処理したガス拡散基材の片面上にバーコーターを用いてマスキングせずに塗布(厚さ100μm)し、オーブン内にて80℃、1時間乾燥させ、さらにマッフル炉にて350℃、1時間熱処理した後、一辺6cmの正方形に切り出すことにより、ガス拡散基材上にカーボン撥水層を得た以外は、実施例1と同様にして評価用単セルを組み立て、評価用単セルとした。
実施例1の(1−2)において、調製したスラリーを、撥水処理したガス拡散基材の片面上にバーコーターを用いてマスキングせずに塗布(厚さ100μm)し、オーブン内にて80℃、1時間乾燥させ、さらにマッフル炉にて350℃、1時間熱処理した後、一辺6cmの正方形に切り出すことにより、ガス拡散基材上にカーボン撥水層を得た以外は、実施例1と同様にして評価用単セルを組み立て、評価用単セルとした。
<評価>
各実施例および比較例で作製した評価用単セルの性能測定を以下に従って行った。
各実施例および比較例で作製した評価用単セルの性能測定を以下に従って行った。
本測定では燃料電池を発電運転させる場合にはアノード側に燃料として水素を供給し、カソード側には空気を供給した。両ガスとも供給圧力は大気圧とし、水素は80℃で飽和加湿し、空気は80℃で飽和加湿し、燃料電池本体の温度は80℃に設定し、水素利用率は70%、空気利用率は40%として、電流密度0A/cm2から1.2A/cm2へと変化させた時のセル電圧の変化を見ることによって、単セルの発電特性を評価した。得られた結果を図4〜6に示す。
図4〜6によれば、各実施例の単セルは、発電特性に優れることがわかる。本願発明のガス拡散層を用いた単セルは、ガス拡散層の抵抗分極の抑制および撥水剤の最適な配置がなされていると考えられる。特に、一般的にフラッディング現象が生じやすい高加湿、高電流密度下においても、生成水を排出して拡散分極を抑制することができ、本発明のガス拡散層によれば優れた発電特性を示すことが可能であることがわかる。
1…カーボン粒子、
2…撥水剤、
3…撥水剤粒子、
4…固体高分子電解質膜、
5…電極、
6…カーボン撥水層、
7…ガス拡散基材、
8…セパレータ、
9…ガス流路溝、
10…凸部(リブ)。
2…撥水剤、
3…撥水剤粒子、
4…固体高分子電解質膜、
5…電極、
6…カーボン撥水層、
7…ガス拡散基材、
8…セパレータ、
9…ガス流路溝、
10…凸部(リブ)。
Claims (9)
- 撥水剤でコーティングされてなるカーボン粒子と、撥水剤粒子とを含むカーボン撥水層をガス拡散基材表面に有することを特徴とするガス拡散層。
- 前記カーボン撥水層は、前記カーボン粒子のみからなる層を、前記カーボン撥水層の厚さの全長に亘り少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1記載のガス拡散層。
- 前記カーボン撥水層は、前記ガス拡散基材より平均空孔径が小さいことを特徴とする請求項1または2記載のガス拡散層。
- 前記カーボン撥水層は、ガス入口部からガス出口部へと面方向に前記撥水剤の含有量が大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガス拡散層。
- 前記カーボン撥水層は、電極側からガス拡散基材側へと厚さ方向に前記撥水剤の含有量が小さいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガス拡散層。
- 固体高分子電解質膜と、電極と、ガス拡散層とを有する燃料電池用MEAにおいて、
前記ガス拡散層の少なくとも1つが、請求項1〜5に記載のガス拡散層であり、前記電極と接する面に前記カーボン撥水層が配置されることを特徴とする燃料電池用MEA。 - 請求項6に記載の燃料電池用MEAを用いたことを特徴とする燃料電池。
- 前記燃料電池用MEAが、ガス流路溝を形成する凸部を有するセパレータで挟持されてなることを特徴とする請求項7に記載の燃料電池。
- 前記カーボン粒子のみからなる層が、前記凸部と対向する領域に配置されることを特徴とする請求項8記載の燃料電池。
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JP2004048337A JP2005243295A (ja) | 2004-02-24 | 2004-02-24 | ガス拡散層、およびこれを用いた燃料電池用mea |
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- 2004-02-24 JP JP2004048337A patent/JP2005243295A/ja active Pending
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