JP2005190901A - リチウム二次電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 電池容器内を25℃、1気圧条件下で前記非水電解質1mlあたり1.0ml以上の溶解度を有するガスが体積比で50%以上含まれているガス雰囲気に置き換えた後、非水電解質を注液する工程を備える。
(数式1)真密度比=電極活物質層の活物質の見掛け密度÷活物質の真密度
【選択図】 なし
Description
(数式1)真密度比=電極活物質層の活物質の見掛け密度÷活物質の真密度
なお、電極芯体(集電体)が発泡金属である場合には、下記数式3によって電極活物質層の密度を求めることができる。
(数式2) 活物質層の質量×活物質の質量配合比率÷活物質層体積
(数式3) (電極全質量−発泡金属密度×(1−発泡金属の空孔率))×活物質の質量配合比率÷(電極全体積−発泡金属質量÷発泡金属密度)
なお、各用語の意味内容、上記第一の態様におけると同様である。
このように注液工程の電池容器内のガス雰囲気が、電解液1mlに対して1.0ml以上の溶解度を持つガス(高溶解性ガス)を含んでいると、電解液(非水電解質)は主に正極と負極とを有する電極体の空隙に含まれる高溶解性ガスを溶解しながら、ガスの存在していた空隙にスムースに浸透する。このため、電極体の電解液の空隙への注液性が飛躍的に向上し、注液工程に必要とする時間を顕著に短縮できるとともに、電極隅々にまで電解液が行き渡るので、初期充放電特性、サイクル特性が向上する。
特に前記ガスが二酸化炭素であると、正負極の表面に安定な被膜を形成するので、サイクル特性が向上する。このため二酸化炭素を用いることが好ましい。
以下に本発明電池の作製方法を説明する。
平均粒径5μmのLiCoO2粉末と導電剤としての人造黒鉛粉末とを質量比90:5で混合して正極合剤となし、この正極合剤と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)にポリフッ化ビニリデンを5質量%溶かした結着剤溶媒とを、固形分の質量比で95:5となるように混練して正極活物質スラリーを調整した。
球状天然黒鉛(d002値:3.358Å、Lc値:1000Å、平均粒径:20μm)を固形分48%のスチレン−ブタジエン(SBR)のディスパージョンとを水に分散させ、さらに増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を適量加えて、負極活物質スラリーを作製した。この負極活物質スラリーは乾燥後の固形分質量組成比が、活物質:SBR:CMC=96:2:2となるように調整した。
非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を体積比3:7で混合し、この混合溶媒に電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モル/L濃度に溶かしたものを電解液とした。
上記で作製した電解液へのガスの溶解度と、注液時間との関係を調べるために、ガスの種類を代えて溶解度を測定するとともに、電池の注液工程のガス雰囲気と注液が完了するまでの時間(注液時間)との関係を測定した。この結果を下記表1に示す。なお、溶解度、注液時間は、1気圧、25℃での値である。
一方の注射器に電解液を、他方の注射器にガスを入れ、2本の注射器をチューブで接続した(25℃、1気圧)。この後、ガスの入った注射器から電解液の入った注射器にガスを送り込み、25℃条件で5分程度振り混ぜた後、1気圧雰囲気下に放置し、ガスの入った注射器のガス減少量を測定し、電解液1mlあたりのガス減少量(ml)をガス溶解度(ml)とした。ただし、ガス溶解量の測定方法は、この方法に限定されるものではない。
電極体を挿入した電池外装缶内に上記電解液2.4gを注液し、注液が完了するまでの時間を目視にて測定した。
他方、電解液への溶解度が0.1ml以下(酸素、窒素、メタン)を用いた比較例1〜3では、電解液がガスをほとんど溶解できないので、溶解度の低いガスの存在する空隙への電解液の浸透は、溶解ではなく従来の技術と同様に置換によって行われるので、十分に電解液の注液性が向上しない。よって、注液工程に必要とする時間が大幅に増大する。
下記表2に示すように、下記数式2で示される前記正極及び前記負極の真密度比を変化させたこと以外は、上記実施の形態と同様にして実施例3、実施例4、比較例4〜比較例9に係る電池を作製した。そして、下記数式6で示される真密度比と、注液時間との関係を調べた。この結果を下記表2に示す。
また、真密度比が0.63以上の範囲では、二酸化炭素雰囲気(実施例2〜実施例4)では3〜6分という優れた注液性が得られたのに対し、窒素雰囲気(比較例2、比較例8、比較例9)では70〜1700分と、大きく注液性が低下していることがわかる。
他方、電解液への溶解度が0.1ml以下であると、電解液がガスをほとんど溶解できないので、溶解度の低いガスの存在する空隙への電解液の浸透は、溶解ではなく従来の技術と同様に置換によって行われるので、十分に電解液の注液性が向上しない。したがって、真密度比が0.63以上という高充填密度の極板に対する注液性は著しく低くなるので、注液工程に必要とする時間が大幅に増大する。
下記表3に示すように、注液工程におけるガス雰囲気の二酸化炭素と窒素の配合比を変化させたこと以外は、上記実施の形態と同様にして実施例5、実施例6、比較例10に係る電池を作製した。そして、配合比と、注液時間との関係を調べた。この結果を下記表3に示す。
他方、二酸化炭素の配合比が0〜25%と低い配合比である比較例2、比較例10では、二酸化炭素による注液時間の短縮効果が十分に得られず、注液時間が400〜840分と大幅に注液性が低下する。
下記表4に示すように、電解液注液工程の温度を変化させたこと以外は、上記実施の形態と同様にして実施例7〜実施例11、比較例11〜15に係る電池を作製した。そして、注液工程の温度と、注液時間との関係を調べた。この結果を下記表4に示す。
また、窒素を用いた場合、温度にかかわらず電解液への溶解度が低過ぎるので、注液性が悪い。
注液工程のガス雰囲気として二酸化炭素又は窒素を用いて、上記実施例2、比較例2に係る電池に対してサイクル特性試験を行った。この結果を下記表5に示す。
充電条件:定電流1It(750mA)、終止電圧3.0V、25℃
容量維持率(5):(nサイクル目の放電容量÷1サイクル目の放電容量)×100
他方、窒素は非水電解質にほとんど溶解せず、負極表面に被膜を形成することがないので、サイクル特性が二酸化炭素を用いた場合よりも低くなる。したがって、高溶解性ガスとして二酸化炭素を用いることが好ましい。
尚、上記実施の形態では角型外装缶を使用したが、円筒状、ラミネート外装体等種々の形状にすることができることは当然のことである。また、電池内重合により形成される固体高分子電解質電池にも適用することができる。
Claims (5)
- 正極と負極とを有する電極体を電池容器内に挿入する電極体挿入工程と、
前記電極体挿入工程の後、非水電解質を前記電池容器内に注液する注液工程と、
を備える非水電解質二次電池の製造方法において、
下記数式1で示される前記正極の真密度比及び前記負極の真密度比がともに0.63以上であり、
前記注液工程は、前記電池容器内を、25℃、1気圧条件下で前記非水電解質1mlあたり1.0ml以上の溶解度を有するガスが体積比で50%以上含まれているガス雰囲気に置き換えた後、前記非水電解質を注液する工程である、
ことを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
(数式1)真密度比=電極活物質層の活物質見掛け密度÷活物質の真密度 - 請求項1に記載の非水電解質二次電池の製造方法において、
前記非水電解質1mlあたり1.0ml以上の溶解度を有するガスが二酸化炭素である、
ことを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。 - 請求項1または2に記載の非水電解質二次電池の製造方法において、
前記注液工程が、0〜60℃の温度条件で行われる、
ことを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。 - 正極と、負極と、非水電解質と、を備えた非水電解質二次電池において、
下記数式2で示される前記正極の真密度比及び前記負極の真密度比がともに0.63以上であり、
前記非水電解質内に、25℃、1気圧条件下で前記非水電解質1mlあたり1.0ml以上の溶解度を有するガスが溶解、または前記非水電解質と反応した状態で存在している、
ことを特徴とする非水電解質二次電池。
(数式2)真密度比=電極活物質層の活物質見掛け密度÷活物質の真密度 - 請求項4に記載の非水電解質二次電池において、
前記非水電解質1mlあたり1.0ml以上の溶解度を有するガスが二酸化炭素である、
ことを特徴とする非水電解質二次電池。
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