JP2005089388A - 免疫賦活作用増強剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 Bifidobacterium属に属する菌またはその処理物を含むことを特徴とする免疫賦活作用増強剤。
【選択図】 なし
Description
ガンに対する治療方法としては、現在、手術、化学療法または放射線治療などを併用する方法が採用されている。化学療法において使用される抗ガン剤は毒性が高く、副作用を有する場合が多い。
一方、アレルギーを抑制する薬剤としては、ヒスタミンなどの化学伝達物質の遊離を防ぐもの、化学伝達物質と拮抗作用を示すものなど種々存在する。なかでも、抗ヒスタミン剤が抗アレルギー薬として現在主流となっている。しかし、抗ヒスタミン剤はアレルギー反応を抑制するだけでなく中枢神経系にも作用するため、ほとんどの場合に眠気や倦怠感などの副作用が生じる。この副作用によって、昼間の活動が妨げられ日常生活に影響がでる場合が多々ある。このほかの作用機序を示す薬剤も、肝臓や心臓血管系に対して障害性を有するなど、投与中止要因となる副作用を有するものが多い。
本発明者らは、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
(1) Bifidobacterium属に属する菌またはその処理物を含むことを特徴とする免疫賦活作用増強剤、
(2) 免疫賦活作用が、抗アレルギー作用または/および抗ガン作用であることを特徴とする前記(1)に記載の免疫賦活作用増強剤、
(3) Bifidobacterium属に属する菌が、Bifidobacterium bifidumであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の免疫賦活作用増強剤、
(4) (a)Bifidobacterium属に属する菌またはその処理物と、(b)Streptococcus属に属する菌もしくはその処理物とを含むことを特徴とする免疫賦活剤、
(5) Streptococcus属に属する菌が、Streptococcus faecalisであることを特徴とする前記(4)に記載の免疫賦活剤、
(6) (a)Bifidobacterium属に属する菌またはその処理物と、(b)菌および菌処理物以外の免疫賦活作用を有する物質とを含むことを特徴とする免疫賦活剤、
(7) (a)Bifidobacterium属に属する菌またはその処理物と、(b)コンカナバリンAとを含むことを特徴とする免疫賦活剤、
(8) 免疫賦活が、抗アレルギー作用または/および抗ガン作用であることを特徴とする前記(4)〜(7)に記載の免疫賦活剤、
(9) Bifidobacterium属に属する菌が、Bifidobacterium bifidumであることを特徴とする前記(4)〜(8)に記載の免疫賦活剤、
に関する。
(10) 前記(1)〜(3)に記載の免疫賦活作用増強剤または前記(4)〜(9)に記載の免疫賦活剤を含むことを特徴とする医薬、
(11) 前記(1)〜(3)に記載の免疫賦活作用増強剤または前記(4)〜(9)に記載の免疫賦活剤を含むことを特徴とする食品、
(12) Streptococcus属に属する菌が有する免疫賦活作用増強のための、Bifidobacterium属に属する菌の使用、
(13) 菌および菌処理物以外の免疫賦活作用を有する物質の免疫賦活作用を増強するための、Bifidobacterium属に属する菌の使用、
(14) コンカナバリンAが有する免疫賦活作用増強のための、Bifidobacterium属に属する菌の使用、
に関する。
(15) (a)Bifidobacterium属に属する菌またはその処理物と、(b)Streptococcus属に属する菌もしくはその処理物とを投与することを特徴とする免疫賦活方法、
(16) (a)Bifidobacterium属に属する菌またはその処理物と、(b)菌および菌処理物以外の免疫賦活作用を有する物質とを投与することを特徴とする免疫賦活方法、
(17) (a)Bifidobacterium属に属する菌またはその処理物と、(b)コンカナバリンAとを投与することを特徴とする免疫賦活方法、
(18) 免疫賦活が、抗アレルギー作用または/および抗ガン作用であることを特徴とする前記(15)〜(17)に記載の方法、
(19) Bifidobacterium属に属する菌またはその処理物を投与することを特徴とする抗アレルギー剤または抗ガン剤の投与量の減少方法、
に関する。
本発明の免疫賦活作用増強剤と免疫賦活作用を有する物質を組み合わせることにより、従来の免疫賦活剤よりも安全かつ効果的に免疫賦活作用を得ることができる。
ここで、免疫賦活作用としては、例えば、ある種のサイトカインの産生促進もしくは産生抑制、リンパ節細胞の免疫応答の向上、脾臓細胞または/および胸腺細胞の活性化、骨髄由来のB細胞の活性化、パイエル板細胞の賦活化(例えば、IgA抗体などの腸管内分泌抗体の産生増強など)等が挙げられる。このような免疫賦活作用が特定の部位で発揮されると、抗アレルギー作用または抗ガン作用などを奏することができる。抗アレルギー作用としては、免疫調節機構であるTh1/Th2バランスをTh1免疫に偏向させることにより、アレルギー作用機構の初期段階に重要なTh2免疫を制御し、アレルギー反応を抑制する作用などが挙げられる。また、TNF−α、INF−γまたはIL−12などのサイトカンの誘導作用なども挙げられる。抗ガン作用としては、ガンに対する免疫効果を賦活させることによりガンを予防または/および治療する作用が挙げられる。また、TNF−α、INF−γやNK細胞などのガン細胞攻撃因子の作用を増強する作用なども挙げられる。
免疫賦活作用を有する菌および菌処理物としては、例えば、Streptococcus属に属する菌またはその処理物;乳酸菌またはその処理物;細菌の菌体成分;キノコ菌糸の細胞壁に含まれる植物繊維を酵素的に処理した活性化へミセルロース;サルノコシカケの菌糸体成分であるPSK;スエヒロタケの菌糸体成分であるSPG;シイタケの菌糸体成分であるレンチナン;アガリクス、霊芝、ニンギョータケ、カワリハラタケもしくマイタケ等の菌糸体成分;溶連菌の菌体成分であるOK−432などが挙げられ、なかでもStreptococcus属に属する菌またはその処理物が好ましい。また、免疫賦活作用を有する菌および菌処理物以外の物質としては、例えば、3−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成単位として含有する糖類;モズク、ウミウチワ、マコンブ、ワカメ、コンブおよびアミジグサからなる群から選択される褐藻類もしくはその処理物;フコダイン;キチン;フラボノイド類を含有する素材;コンカナバリンAもしくはそれを含む物質等が挙げられ、なかでも、コンカナバリンAが好ましい。
モズク、ウミウチワ、マコンブ、ワカメ、コンブまたはアミジグサ等の褐藻類は、フコイダンを含有する。このフコイダンとは、主としてフコースからなる分子量数十万前後の硫酸化多糖類であって、体液性免疫及び細胞性免疫の両方を賦活することができる免疫力賦活作用を有する。本発明で用いる褐藻類の形態は、特に限定されず、例えば、採取してきた褐藻類そのままを細片化したもの、乾燥したもの、粉末化したもの、抽出した液状のもの、それを粉末化したもの等様々な形態のものが適用できる。本発明では、褐藻類から得られるフコイダンを免疫賦活物質として用いることができる。フコイダンは、例えば褐藻類を熱水で加熱し、得られた抽出液を濾過、遠心分離等した後凍結乾燥することにより得ることができる。
前記プロポリスは、ミツバチが種々の植物から集めてきた樹脂状物質及びミツバチの腺分泌物から構成される天然物質であり、樹脂、ミツロウ、精油、花粉、フラボノイド等が含まれている。本発明で用いるプロポリスの形態は、特に限定されず、例えば、そのまま、乾燥したもの、粉末化したもの、アルコール等で抽出した液状のもの、それを粉末化したもの等様々な形態のものが適用できる。
コンカナバリンAを含む物質としては、天然物であっても合成物質であってもよい。コンカナバリンAを含む天然物としては、例えばナタマメなどが挙げられる。
また、カプセル剤、錠剤、散剤または顆粒剤などの経口固形製剤の製造には、例えば、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニットなどの賦形剤;澱粉、アルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤;ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤;脂肪酸エステルなどの界面活性剤;グリセリンなどの可塑剤を用いることができる。
上述のような非経口用製剤の製造には、例えば、希釈剤、香料、防腐剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤などから選択される1または2以上の製剤用添加物を用いることができる。
前記抗アレルギー剤は、アレルギーを治療するために使用される薬剤をいい、代表的な薬剤として抗ヒスタミン剤が挙げられる。前記抗ヒスタミン剤は、ヒスタミンと特異的に拮抗する薬剤であれば特に限定はなく、例えば、塩酸シプロヘプタジン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸トリプロリジン、塩酸ヒドロキシジン、塩酸プロメタジン、塩酸ホモクロルシクリジン、シメチジン、酒石酸アリメマジン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、テオクル酸ジフェニルピラリン、パモ酸ヒドロキシジン、ファモチジン、マレイン酸クロルフェニラミン、フマル酸クレマスチン、メキタジンまたはそれらの誘導体を挙げることができる。抗アレルギー剤としては、前記抗ヒスタミン剤の他にも、例えば、アステミゾール、アンレキサノクス、イブジラスト、エバスチン、塩酸アゼラスチン、塩酸エピナスチン、塩酸オザグレル、塩酸セチリジン、オキサトミド、クロモグリク酸ナトリウム、セラトロダスト、タザノラスト、テルフェナジン、トシル酸スプラタスト、トラニラスト、フマル酸エメダスチン、フマル酸ケトチフェン、プランルカスト水和物、ペミロラストカリウム、レピリナスト、エピナスチンまたはそれらの誘導体を挙げることができる。
より具体的には、アルキル化剤として、例えば、ナイトロジェンマスタード、ナイトロジェンマスタードN−オキシド、クロラムブチルなどのアルキル化剤;例えば、カルボコン、チオテパなどアジリジン系アルキル化剤;例えば、ジブロモマンニトール、ジブロモダルシトールなのエポキシド系アルキル化剤;例えば、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ニムスチンハイドロクロライド、ストレプトゾシン、クロロゾトシン、ラニムスチンなどニトロソウレア系アルキル化剤;ブスルファン;トシル酸インプロスルファン;ダカルバジンなどが挙げられる。
各種代謝拮抗剤としては、例えば、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、チオイノシンなどのプリン代謝拮抗剤;フルオロウラシル、テガフール、テガフール・ウラシル、カルモフール、ドキシフルリジン、ブロクスウリジン、シタラビン、エノシタビンなどのピリミジン代謝拮抗剤;メトトレキサート、トリメトレキサートなどの葉酸代謝拮抗剤など、または、それらの塩もしくは複合体が挙げられる。
その他抗腫瘍剤しては、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、タモキシフェン、カンプトテシン、イホスファミド、シクロホスファミド、メルファラン、L−アスパラギナーゼ、アセクラトン、シゾフィラン、ピシバニール、ウベニメクスもしくはクレスチンなど、または、それらの塩もしくは複合体が挙げられる。また、プロカルバジン、ピポブロマン、ネオカルチノスタチンまたはヒドロキシウレアなども挙げることができる。
抗腫瘍性植物成分としては、例えば、ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチンなどのビンカアルカロイド類;エトポシド、テニポシドなどのエピポドフィロトキシン類、または、それらの塩もしくは複合体が挙げられる。
BRMとしては、例えば、腫瘍壊死因子もしくはインドメタシンなど、または、それらの塩もしくは複合体が挙げられる。
血管新生阻害剤としては、例えばフマジロール誘導体、または、その塩もしくは複合体が挙げられる。
細胞接着阻害剤としては、例えばRGD配列を有する物質、または、その塩もしくは複合体が挙げられる。
マトリックス・メタロプロテアーゼ阻害剤としては、例えばマリマスタットもしくはバチマスタットなど、または、それらの塩もしくは複合体が挙げられる。
ホルモンとしては、例えばヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プラステロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、オキシメトロン、ナンドロロン、メテノロン、ホスフェストロール、エチニルエストラジオール、クロルマジノンもしくはメドロキシプロゲステロンなど、または、それらの塩もしくは複合体が挙げられる。
ビタミンとしては、例えばビタミンCもしくはビタミンA、または、それらの塩もしくは複合体が挙げられる。
Streptococcus faecalisの凍結保存菌株を37℃で24時間好気培養後、VF培養液にこの培養菌液をVF培養液100に対し1の割合(容量比)で接種し、さらに37℃で18時間好気培養した。ついで、上記と同一の方法で乾燥菌体を得た。得られた乾燥菌体を、上記RPMI1640を用いて濃度が2μg/mLとなるように再懸濁し、試料溶液Bとした。
上記と同一の方法で得られたBifidobacterium bifidumの乾燥菌体と、上記と同一の方法で得られたStreptococcus faecalisの乾燥菌体とを、上記RPMI1640を用いて、溶液中にそれぞれ0.2μg/mL、2μg/mLとなるように再懸濁し、試料溶液Cとした。
試料溶液A,BおよびCの代わりに、試料溶液A,DおよびEを用いて、実施例1と同一の方法でINF−γの産生量を測定した。
実施例1で得られたStreptococcus faecalisの遠心分離菌体を煮沸せず、常法に従って凍結乾燥した。得られた凍結乾燥菌体を50μg/mLとなるように生理食塩水で再懸濁したものを試料溶液Gとした。
Bifidobacterium bifidumも上記と同様に凍結乾燥した。得られた凍結乾燥菌体およびStreptococcus faecalisの凍結乾燥菌体を、それぞれ50μg/mLとなるように生理食塩水で再懸濁したものを試料溶液Hとした。
試料溶液F,GおよびHの投与は、1次免疫1週間前から0.2mL/animalの用量で強制経口投与を開始し、2次免疫まで合計14日間連続投与した。採血は、2次免疫終了14日後に頚動脈より行い、得られた血液から遠心分離により血清を分取した。
この血清中のOVA特異的IgEの測定をELISAにより行った。すなわち、100μg/mLに調製したOVAを96wellイムノプレートに100μL添加し、4℃で一晩静置することによりOVAを固定化した。0.05%Tween20を含むPBSで各wellを3回洗浄した後、1%BSAを含むPBS100μL加え、37℃で1時間放置した。各wellを0.05%Tween20および1%BSAを含むPBS(洗浄溶液)で3回洗浄した後、血清を50μL添加し、攪拌した後、37℃で1時間放置した。各wellを洗浄溶液で3回洗浄した後、0.5μg/mLのBiotin標識Rat Anti-Mouse IgEを100μL添加し、37℃で1時間放置した。各wellを洗浄溶液で3回洗浄した後、1000倍希釈したAvidin-HRPを100μL添加し、37℃で1時間放置した。各wellを洗浄溶液で3回洗浄した後、0.012%H2O2を含む0.4mg/mLのo−フェニレンジアミン溶液を100μL添加し、室温で30分間放置した。10%H2SO4溶液を50μL加えることにより反応を停止し、490nmでの吸光度を測定した。
Claims (13)
- Bifidobacterium属に属する菌またはその処理物を含むことを特徴とする免疫賦活作用増強剤。
- 免疫賦活作用が、抗アレルギー作用または/および抗ガン作用であることを特徴とする請求項1に記載の免疫賦活作用増強剤。
- Bifidobacterium属に属する菌が、Bifidobacterium bifidumであることを特徴とする請求項1または2に記載の免疫賦活作用増強剤。
- (a)Bifidobacterium属に属する菌またはその処理物と、(b)Streptococcus属に属する菌もしくはその処理物、または菌および菌処理物以外の免疫賦活作用を有する物質とを含むことを特徴とする免疫賦活剤。
- 免疫賦活が、抗アレルギー作用または/および抗ガン作用であることを特徴とする請求項4に記載の免疫賦活剤。
- Bifidobacterium属に属する菌が、Bifidobacterium bifidumであることを特徴とする請求項4または5に記載の免疫賦活剤。
- Streptococcus属に属する菌が、Streptococcus faecalisであることを特徴とする請求項4〜6に記載の免疫賦活剤。
- 請求項1〜3に記載の免疫賦活作用増強剤または請求項4〜7に記載の免疫賦活剤を含むことを特徴とする医薬。
- 請求項1〜3に記載の免疫賦活作用増強剤または請求項4〜7に記載の免疫賦活剤を含むことを特徴とする食品。
- Streptococcus属に属する菌または菌および菌処理物以外の免疫賦活作用を有する物質が有する免疫賦活作用増強のための、Bifidobacterium属に属する菌の使用。
- (a)Bifidobacterium属に属する菌またはその処理物と、(b)Streptococcus属に属する菌もしくはその処理物、または菌および菌処理物以外の免疫賦活作用を有する物質とを投与することを特徴とする免疫賦活方法。
- 免疫賦活が、抗アレルギー作用または/および抗ガン作用であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
- Bifidobacterium属に属する菌またはその処理物を投与することを特徴とする抗アレルギー剤または抗ガン剤の投与量の減少方法。
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