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JP2005054227A - 低炭素快削鋼 - Google Patents

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JP2005054227A JP2003285463A JP2003285463A JP2005054227A JP 2005054227 A JP2005054227 A JP 2005054227A JP 2003285463 A JP2003285463 A JP 2003285463A JP 2003285463 A JP2003285463 A JP 2003285463A JP 2005054227 A JP2005054227 A JP 2005054227A
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Abstract

【課題】Pbを含有せずに従来のPb快削鋼、複合快削鋼と同等以上の被削性および優れた切削後の仕上げ面性状を有する低炭素快削鋼の提供。
【解決手段】質量%で、C:0.05〜0.20%未満、Mn:0.4〜2.0%、S:0.21〜1.0%、Ti:0.002〜0.10%、P:0.001〜0.30%、Al:0.2%以下、O(酸素):0.001〜0.03%、N:0.0005〜0.02%を含有し、介在物が下記イ式およびロ式を満たす低炭素硫黄快削鋼。
(A+B)/C≧ 0.8・・・・イ
A≧5・・・・ロ
A;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のうち、Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnSが占める総面積。
B;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のうち、Ti炭化物およびTi炭窒化物が内在しない実質的なMnSが占める総面積。
C;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の全介在物が占める総面積。
A;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のうち、Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnSの個数。
【選択図】なし

Description

本発明は、鉛(Pb)を含有しない低炭素快削鋼に関する。特に、鉛を含まないにもかかわらず、従来の鉛快削鋼および鉛と他の快削性改善元素を併用した複合快削鋼に較べて、超硬工具を用いる切削の場合にも優れた被削性を有し、熱間加工性および切削後の仕上げ面の性状にも優れ、且つ安価に製造できる低炭素快削鋼に関する。本発明はまた、上記の諸特性と共に、浸炭特性にも優れた低炭素快削鋼に関する。
従来、強度をあまり必要としない軟質の小物部品には、生産性向上のため、被削性に優れた鋼材、いわゆる快削鋼が用いられている。最もよく知られている快削鋼は、Sを多量に添加してMnSにより被削性を改善した硫黄快削鋼、Pbを添加した鉛快削鋼、およびSとPbの両者を含む複合快削鋼である。特にPbを含む快削鋼は、工具寿命の延長をもたらし、切屑分断性に優れ、加工後の鋼材表面の仕上げ面粗さに優れるといった特性を有している。さらに被削性改善の目的でTe(テルル)やBi(ビスマス)等を含有する快削鋼もある。これらは、自動車用のブレーキパーツ等の小物部品やパソコン周辺機器部品をはじめ、電気機器部品や金型等の各種機械部品に大量に使用されている。
一方、近年の切削機械の性能向上により高速度での切削が可能となり、それに伴って上記のような部品の素材となる鋼材にも、高速切削加工時における被削性の向上が強く望まれている。
さらに、上記部品は切削加工によって所定の形状に仕上げた後、表面の強度を確保するために浸炭処理が施される場合がある。従って、これらの部品に用いられる鋼材には高い被削性を有すると共に、浸炭特性に優れることが望まれることがある。
上記のような部品の素材として用いられる鋼材には優れた被削性が求められるのであるが、その被削性としては、工具寿命を延長するばかりではなく、切屑が細かく分断する性質、つまり「切屑処理性」に優れることが重要視される。この切屑処理性は、加工ラインの自動化に欠かせないものであって、生産性の向上のためには必須である。また、工具寿命や切屑処理性以外にも加工精度の観点から切削後の鋼材表面における仕上げ面の性状に優れること、即ち、仕上げ面粗さが小さいことが望まれている。前記の快削鋼の中でも鉛快削鋼やPbと共に他の快削性改善元素を含有する複合快削鋼は、これらの諸特性に優れ、現存の鋼材の中では最も被削性に優れるとされている。
近年、環境問題への関心が高まる中でPbを含有しない快削鋼が強く望まれている。これは、人体や地球環境に対して有害であるPbを含む鋼材は、その製造過程において大がかりな排気設備を必要とするばかりでなく、環境保全の観点からPbの使用を抑制する動きが高まっているからである。
上記の要望に応えるべく、鉛快削鋼に替わるものとしてPbを含有しない低炭素硫黄快削鋼に関する種々の提案がなされている。しかし、工具寿命の延長に寄与し、切屑処理性に優れ、仕上げ面粗さが小さいといったPbを含有する快削鋼の特徴の全てを満足する快削鋼は未だ開発されていない。
特許文献1(特開2003-49240号公報)には、Tiまたは/およびZrの炭硫化物系介在物を存在させ、被削性を改善させた快削鋼が開示されている。この快削鋼ではMnSと共にTi炭硫化物或いはZr炭硫化物を鋼中に分散させているために、MnSの擬似的な潤滑効果が得がたく、工具と被削材の間における摩擦力が上昇する。その結果、切削抵抗が上昇して工具刃先に構成刃先が生成しやすくなる。構成刃先が生成してしまうと、仕上げ切削後の仕上げ面粗さが大きくなり、部品における加工精度が損なわれる。
特許文献1の中にはTi含有量が0.1%以下である実施例は見当たらない。このことは、特許文献1の発明が多量のTiを含有させることによってTi炭硫化物を生成させることを目的としていることを示しており、実際にMnSと共にTi炭硫化物系介在物が粒形状でマトリクス内に分散されていると記載されている。この場合には、工具寿命、切屑処理性、仕上げ面粗さといった前記部品に用いられる鋼材に求められる性能を満足し得ない。
特許文献2(特開2003-49241号公報)には、(Ti+0.52Zr)/S<2の範囲でTiまたは/およびZrを含有させ、Ti或いはZrの炭硫化物を介在物として含有する快削鋼であって、旋削加工およびドリル加工における工具寿命を高めた快削鋼が開示されている。この特許文献2の発明ではTi炭硫化物を鋼中に生成させることで、旋削加工時の工具寿命改善を図っている。この技術では、確かにある程度の工具寿命の改善はなし得るが、Ti或いはZrの炭硫化物の存在によってMnSの潤滑効果が得がたく、工具と被削材との間での摩擦力が上昇する。その結果、切削抵抗が上昇し、工具刃先に構成刃先が生成しやすくなる。構成刃先が生成してしまうと切削後の仕上げ面粗さが大きくなり、結果として加工精度が劣化する。
なお、特許文献2には、後述する本発明で規定するようなSを0.21%以上の範囲で含有し、Ti量が0.1%以下である快削鋼の実施例は見受けられない。このことから、特許文献2の発明が仕上げ面粗さや切屑処理性の向上を狙った発明ではないことが明らかである。つまり、特許文献2の発明ではMnSと共にTi或いはZrの炭硫化物がマトリクス内に分散されているので、所望の仕上げ面粗さおよび切屑処理性を得ることはできない。
特許文献3(特開2000-319753号公報)には0.4%を超えるSを含有させてMnSを増量したPbを添加しない低炭素硫黄快削鋼が開示されている。しかし、この鋼では超硬工具寿命の改善の効果が小さい。また、この鋼は、工具寿命と共に重要視される切屑処理性が改善されたものではなく、従来の硫黄快削鋼の性能を大きく改良したものではない。
特許文献4(特開平09-53147号公報)には、C:0.01〜0.2%、Si:0.10〜0.60%、Mn:0.5〜1.75%、P:0.005〜0.15%、S:0.15〜0.40%、O(酸素):0.001〜0.010%、Ti:0.0005〜0.020%、N0.003〜0.03%を含有し、超硬工具に対する被削性、特に工具寿命に優れる快削鋼の発明が開示されている。この発明では、Tiと共にSiを0.1〜0.6%含有させることを必須として超硬工具の寿命改善を図っている。また、この発明では、本発明のようにSiを含有させなくても「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」を鋼材中に存在させることによって、工具寿命のみならず、切屑処理性、仕上げ面粗さの向上までをも意図したものではない。
特許文献5(特許第3390988号公報)にはC:0.02〜0.15%、Mn:0.3〜1.8%、S:0.225〜0.5%、Ti:0.1〜0.6%、Zr:0.1〜0.6%を含有し、且つTi+Zr:0.3〜0.6%、(Ti+Zr)/S比:1.1〜1.5を満足させて、機械的異方性を改善した低炭素硫黄快削鋼の発明が開示されている。この発明は、上記の組成にすることによって熱間での変形抵抗の高いTiやZrの硫化物を生成させ、鋼材の機械的異方性や被削性を改善したものである。しかし、変形抵抗の高いこれらの硫化物では切削時に硫化物による潤滑効果が得難いために、切削抵抗が高くなり、工具寿命の劣化や仕上げ面粗度の劣化を引き起こす。
特開2003-49240号公報
特開2003-49241号公報 特開2000-319753号公報 特開平09-53147号公報 特許第3390988号公報
本発明の課題は、環境に有害なPbを含有することなく、従来のPb快削鋼やPbとともにその他の快削性付与元素を併用した複合快削鋼に比較して、特に超硬工具を用いた切削の場合に優れた被削性を示し、熱間加工性に優れ、さらに切削後の表面性状にも優れ、安価に製造できる低炭素快削鋼を提供することにある。また、上記の諸特性に加えて優れた浸炭性をも有する低炭素快削鋼を提供することも本発明の課題である。
硫化物などの介在物の状態が鋼の被削性に大きく影響することはよく知られている。 そして、C、Ti、S、N、Oが含有されている鋼において観察される介在物には様々なものがある。例えば、Ti硫化物、Ti炭硫化物、Ti炭化物、Ti炭窒化物、Ti窒化物、Ti酸化物である。さらにMnが含有されていれば、「MnS」の化学式で表されるMn硫化物も存在する。これらの外に、AlやSiが含まれていればこれらの酸化物も存在する。これらの存在形態は多種多様であり、これらの介在物の組成や存在形態が鋼の被削性や他の機械特性等に大きく影響するのである。
本発明者らは、先に特願2002-26368号によってPbを含まない低炭素硫黄快削鋼に関する発明を特許出願した。その快削鋼は、C、Mn、S、Ti、Si、P、Al、OおよびNを規定量含有し、TiとSの含有量が下記の (A) 式を満たし、MnとSの原子比が下記の(B)式を満たし、且つTi硫化物または/及びTi炭硫化物が内在するMnSを含有することを特徴とする低炭素硫黄快削鋼である。
Ti(質量%)/S(質量%)<1・・・(A)
Mn/S≧1・・・(B)
この先願発明の鋼は、工具寿命がPb快削鋼に比べても遙かに優れ、且つ優れた切屑処理性を有するものである。しかし、この鋼では、切削後の表面性状に若干の難点がある。即ち、仕上げ切削を実施した場合、仕上げ面粗さが大きくなる場合があるという問題が明らかになった。
マトリックス中に実質的なTi硫化物または/およびTi炭硫化物が存在すると、MnSの擬似的な潤滑効果が得がたくなるために、切削抵抗が上昇し、工具刃先に構成刃先が生成するために、切削後の鋼材の表面に光沢度を与えず、仕上げ面粗さを劣化させると考えられる。なお、上記の「実質的なTi硫化物または/およびTi炭硫化物」というのは、一個の介在物の中でTi硫化物およびTi炭硫化物が占める面積率の合計が50%以上である介在物を意味し、後述する図1の(a)にその幾つかが示されている。
そこで上記の問題を解決するために検討を行った結果、次に述べるような新しい知見が得られた。
(1)「実質的なTi硫化物または/およびTi炭硫化物」がマトリクス中に存在する鋼を切削した場合、構成刃先が工具刃先に生成して仕上げ表面の粗さが劣化する。
(2)「実質的なTi硫化物または/およびTi炭硫化物」の生成をできる限り抑制し、且つMnSを鋼中に多く存在させることによって、構成刃先の生成は抑制され、良好な仕上げ面粗さを得ることができる。
(3)しかし、Tiを含有せずMnSだけが存在する鋼では、超硬工具寿命が劣化する。超硬工具寿命を向上させるためには、Tiを添加し、かつ「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」を存在させる必要がある。
(4)「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」は、工具寿命を向上させる一方で、MnSの擬似的潤滑効果を損なうことがない。
上記の知見を基にして、さらに化学組成と介在物形態との関係を詳細に検討した。その結果、以下に示す低炭素快削鋼を発明するに到った。この低炭素快削鋼は、Pb快削鋼や複合快削鋼と同等以上の被削性を有する。なお、成分含有量に関する%は質量%である。
C:0.05%から0.20%未満、Mn:0.4〜2.0%、S:0.21〜1.0%、Ti:0.002〜0.10%、P:0.001〜0.30%、Al:0.2%以下、O(酸素):0.001〜0.03%、N:0.0005〜0.02%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼であって、鋼中に含有される介在物が下記イ式およびロ式を満たすことを特徴とする低炭素硫黄快削鋼。
(A+B)/C≧ 0.8・・・・イ
A≧5・・・・ロ
ここで、A、B、CおよびNAの意味は下記の通りである。
A;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のうち、Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnSが占める総面積。
B;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のうち、Ti炭化物およびTi炭窒化物が内在しない実質的なMnSが占める総面積。
C;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の全介在物が占める総面積。
A;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のうち、Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnSの個数。
上記の低炭素快削鋼は、下記の第1群から第3群までのうちの少なくとも1群から選んだ1種以上の成分を含むことができる。
第1群
Se:0.0005〜0.10%、Te:0.0005〜0.10%、Bi:0.01〜0.3%、Sn:0.01〜0.3%、Ca:0.0001〜0.01%、Mg:0.0001〜0.005%、B:0.0002〜0.02%および希土類元素:0.0005〜0.02%。
第2群
Cu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜2.0%、Mo:0.01〜0.5%、V:0.005〜0.5%およびNb:0.005〜0.5%。
第3群
Si:0.1〜2.0% およびCr:0.03〜1.0%。
ここで、「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」とは、後に詳述するとおり、一個の介在物の中でMnSが占める面積率が50%以上であって、Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在(共存)する介在物をいう。一方、「Ti炭化物およびTi炭窒化物が内在しない実質的なMnS」とは、一個の介在物の中でMnSが占める面積率が50%以上であって、Ti炭化物およびTi炭窒化物が内在(共存)していない介在物をいう。また、これらの「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」および「Ti炭化物およびTi炭窒化物が内在しない実質的なMnS」は、いずれもその中にTi炭化物およびTi炭窒化物以外の硫化物、炭硫化物、炭化物、窒化物等が内在しているものでもよい。
上記本発明の低炭素快削鋼の主な特徴は、下記のとおりである。
(1) Cを0.05%から0.20%未満とし、Sを0.21〜0.7%の範囲で含有させ、且つTiの含有量を0.002〜0.1%とする。
(2) TiはC、S、NおよびOと結合して硫化物、炭硫化物、炭化物、炭窒化物および酸化物を形成する。TiはMnよりも硫化物形成傾向が強いためにTi硫化物やTi炭硫化物を形成しやすい。しかし、MnやTi、SおよびNの含有量バランスを慎重に考慮すれば、「実質的なTi炭硫化物または/およびTi硫化物」を多くは生成させずに、「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」および「Ti炭化物およびTi炭窒化物が内在しない実質的なMnS」を多く存在させることができる。
(3)上記(1)に示した化学組成にして、且つ上記(2)に示すような介在物形態が得られる場合、マトリックス中に存在する介在物は、切削中に軟質化して潤滑効果を発揮する「実質的なMnS」が全介在物の大半を占め、この「実質的なMnS」以外の硫化物、即ち、「実質的なTi硫化物または/およびTi炭硫化物」はほとんどない状態になる。このとき、良好な仕上げ面粗さを得るためには、全介在物の生成量のうちで「実質的なMnS」の生成量がそのほとんどを占めなければならない。具体的には、圧延方向断面の観察面1mm2における円相当直径が1μm以上の「実質的なMnS」の総面積が、円相当直径が1μm以上の全介在物の総面積の8割以上を占める必要がある。この場合に限り、「実質的なTi硫化物または/およびTi炭硫化物」の存在によって引き起こされる工具刃先への構成刃先の生成が抑制され、良好な仕上げ面粗さを得ることができる。
上記の「実質的なMnS」とは、一個の介在物に占めるMnSの面積率が50%以上の介在物であり、「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」と「Ti炭化物およびTi炭窒化物が内在しない実質的なMnS」からなる。
前記のイ式で示すとおり、「8割以上を占める」のは、イ式の「A+B」である。そして、AとBの定義は、圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径が1μm以上の硫化物のうち、「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」が占める面積および「Ti炭化物およびTi炭窒化物が内在しない実質的なMnS」が占める面積、である。
そして、「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」、「Ti炭化物およびTi炭窒化物が内在しない実質的なMnS」、「実質的なTi硫化物または/およびTi炭硫化物」およびそれ以外の硫化物、炭硫化物、炭化物、窒化物、酸化物、Al2O3、SiO2等の総面積を合計したものがイ式のCである。
(4) 上記(3)で示す様な介在物を含有する鋼材、つまり「実質的なTi硫化物または/およびTi炭硫化物」がほとんど存在せず、鋼中に含有される介在物の大半が「実質的なMnS」であっても、「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物を内在する実質的MnS」が存在すれば、切削温度が高くなる高速度域で切削した場合、工具表面に硬質のTiN膜が形成され、工具を保護することによって優れた工具寿命を得ることができる。
(5) 「Ti炭化物または/および炭窒化物が内在する実質的MnS」が存在する鋼では、その「実質的なMnS」は、従来のJIS SUM22L〜24Lの複合快削鋼に含まれるMnSに比べて、微細であり、個数が増大する。この場合、これらの微細な「実質的なMnS」が切削中における応力集中の起点となって亀裂伝播を助長し易いために、複合快削鋼と同等以上の切屑処理性を得ることができる。
(6) 「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」を存在させた鋼は、熱間加工性に全く問題がないので、被削性改善に有効なS含有量を多くすることが可能であり、その場合においても連続鋳造設備等によって製造するのにも何ら支障をきたさない。また、添加されるTi量も少量で充分な効果を発揮するから、製造にかかるコストも少なくて済み、安価な鋼材として適用可能である。
前述したように、合金成分の範囲を限定し、介在物の形態を調整すれば、優れた被削性が得られる。しかし、自動車部品に用いられる鋼材は被削性以外に浸炭特性に優れることが望まれる場合がある。そこで、SiおよびCrの鋼の特性への影響を調査した結果、Si量やCr量の調整によって前記の介在物の形態を損なうことなく、従って、鋼材の被削性を劣化させずに、浸炭特性を改善できることが明らかとなった。
SiおよびCrはオーステナイト中に固溶し、鋼の焼入れ性を高めることで、浸炭処理における浸炭深さおよび浸炭層の硬さを増大させる。SiやCr以外に焼入れ性を高める元素としてはMn、Mo、P等もある。しかし、Mnは被削性あるいは熱間加工性の観点からS量に対して充分な量含有させる必要があり、大量の添加を必要とする。この場合、焼入れ性向上のために、さらなるMnの添加はコストが嵩むばかりである。また、Moも鋼の焼入れ性を高めるのに有効ではあるが、MoがSiやCr以上に高価であるために、同等の効果が得られる相当量のMoを添加すると製造コストが嵩む。Pも同じ効果を有するが、添加すると鋼材そのものの硬さを急激に増大させるために被削性を劣化させてしまう。但し、これら元素は、材料コストにとらわれない場合には、被削性や機械的性質を損なわない範囲で添加しても構わない。しかし、被削性を損なわず、且つ安価に製造したい場合には浸炭特性を改善する成分としてはSiおよびCrが望ましい。
1.「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」について
TiはS、C、N、Oと結合してTiSおよびTi4C2S2の化学式で表されるTi硫化物やTi炭硫化物、TiCやTi(CN)、TiN、TiOの化学式で表されるTi炭化物、Ti炭窒化物、Ti窒化物、Ti酸化物といったTi系介在物を形成する。また、TiはMnS中に固溶して(Mn,Ti)Sとして存在する場合もあるが、そのMnS中に固溶するTi量は微量であるから、この硫化物は実質的にMnSである。
一方、Tiは、MnS中に固溶するのではなく、一個の介在物中にMnSとは明白に相分離して存在する場合もある。そのTiは、TiCまたは/およびTi(C,N) という形で、即ち、MnSとは明らかにその組成が異なる形で存在し、その存在形態は一個の硫化物周辺付近に存在する場合やMnS中に取り囲まれる形で存在するなど多種多様である。
図1は、Tiを含む快削鋼中に存在する介在物を模式的に示した図で、(a) が比較例の快削鋼、(b)が本発明の快削鋼である。図1の(a)に示す鋼では、単独に存在するTiの硫化物や炭硫化物、或いは一個の介在物中でMnSと共存している場合にもTiの硫化物や炭硫化物に占める面積率が50%以上であって実質的にTiの硫化物や炭硫化物であるとみなすことができる介在物、即ち、前述の「実質的なTi硫化物または/およびTi炭硫化物」が多く存在している。一方、図1の(b)に示す本発明鋼では、Ti炭化物または/およびTi炭窒化物がMnSの外周部または内部に取り込まれて存在する介在物、即ち、「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」および「Ti炭化物およびTi炭窒化物が内在しない実質的なMnS」が多く存在する。
上記の図1の(b)に示す鋼であって、Ti硫化物やTi炭硫化物或いはTi炭化物やTi炭窒化物、Ti窒化物、Ti酸化物およびこれら以外の介在物がMnSと明白に相分離して内在する場合にも、MnSが占める面積率が50%以上であるものは、実質的に一個のMnS、即ち、「実質的なMnS」と判断する。逆に、一個の介在物のうち、これらのTi系介在物或いはその他の成分からなる酸化物、窒化物、炭化物等が占める面積率が50%以上である介在物は、「実質的なMnS」ではなく、実質的に一個のTi系介在物やその他の成分からなる酸化物、窒化物、炭化物等と判断する。
上記MnSのうち、特にTi炭化物または/およびTi炭窒化物がMnSとは明白に相分離して内在し、MnSが占める面積率が50%以上である介在物を「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」と定義する。一方、「Ti炭化物およびTi炭窒化物が内在しない実質的なMnS」とは、Ti炭化物およびTi炭窒化物を除いた上記Ti系介在物、或いはその他の成分からなる酸化物、窒化物、炭化物等の介在物とMnSが一個の介在物中で明白に相分離して存在し、且つMnSが占める面積率50%以上で、実質的にMnSとしての役割を担うMnS、および上記Ti系介在物やその他の成分からなる酸化物、窒化物、炭化物等の介在物が全く存在しないMnSである。つまり、「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」と「Ti炭化物およびTi炭窒化物が内在しない実質的なMnS」の合計が、実質的にMnSとみなされる介在物(前記の「実質的なMnS」)の合計を表しており、これ以外の介在物は、Ti硫化物、Ti炭硫化物、Ti炭化物、Ti炭窒化物、Ti窒化物、Ti酸化物といったTi系介在物とその他の元素で構成される酸化物、炭化物および窒化物等である。
前述した一個の介在物中に占めるMnSやTi系介在物の面積率は、切削試験に供した丸棒から切り出したミクロ試験片に対してEPMA(電子線マイクロアナライザー)やEDX(エネルギー分散型X線分析装置)等によって面分析及び定量分析を行うことによって把握できる。また、鋼中の「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」や「Ti炭化物およびTi炭窒化物が内在しない実質的なMnS」、およびその他の介在物も同様の方法で確認することができ、その総面積や個数も画像解析等による手法によって測定することができる。その際、観察視野面積の合計が1mm2を超えるように複数の視野で測定した場合に、それぞれの介在物の総面積及び個数を1mm2当たりの平均総面積、平均個数に換算すればよい。
2.(A+B)/C≧ 0.8とする理由
前記イ式のAは、圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のうち、「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」が占める総面積であり、Bは、圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のうち、「Ti炭化物およびTi炭窒化物が内在しない実質的なMnS」が占める総面積である。ここで「円相当直径」とは、一個の介在物の面積を前記の画像解析等の手法によって求め、同じ面積を有する円に換算した時の直径を指す。「円相当直径が1μm以上」と限定するのは、1μm未満の介在物は、被削性に及ぼす影響をほとんど持たないからである。
前記のイ式は、このAとBの合計が、円相当直径1μm以上の全介在物が占める総面積の80%以上必要であることを示している。この範囲であれば良好な被削性を得ることはできるが、更に好ましいのは90%以上である。また、前述したとおりAおよびBで表される以外の介在物とは単独で存在する窒化物、炭化物、酸化物、「実質的なTi硫化物または/およびTi炭硫化物」等を指している。つまり、イ式は、「実質的なMnS」以外のこれら介在物の総面積が、全介在物の占める総面積(イ式のC)の20%未満であることを示している。この総面積が10%未満であれば更に好ましい。
被削性向上のために多量のSを含有する鋼にTiを添加すると、TiはMnよりも硫化物形成傾向が強いためにTi硫化物やTi炭硫化物を形成しやすい。しかし、本発明で規定するイ式は、Tiの添加を前提としながらも、Ti硫化物やTi炭硫化物の生成を抑制することを意図している。これは、Ti硫化物やTi炭硫化物は切削中にMnSの擬似的な潤滑効果を阻害するからである。MnSの擬似的な潤滑効果が損なわれると、工具と被削材との間における摩擦力が上昇し、構成刃先が工具刃先に生成するために仕上げ面粗さが劣化すると考えられる。従って、Ti硫化物やTi炭硫化物の生成は抑制しなければならない。つまり、イ式で規定されるように、単独で存在する「実質的なTi硫化物または/およびTi炭硫化物」が鋼中にほとんど存在せず、鋼中に含有される介在物の80%以上を「実質的なMnS」にすると、切削中における擬似的な潤滑効果を得ることができる。
このように、本発明で規定される鋼の組成範囲に限定され、且つイ式を満たす場合には、仕上げ切削において従来のPb快削鋼や複合快削鋼と同等以上の良好な仕上げ面粗さを得ることができる。一方、本願発明で規定される化学組成の範囲内にあっても、イ式を満たしていなければ、良好な被削性を得ることはできない。
3.NA≧5とする理由
前記ロ式のNAは「圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のいち、Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnSの個数」である。この「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」は、前記のとおり、一個の介在物中に占めるMnSの面積率が50%以上のものを指す。そして、この「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」は、擬似的な潤滑効果を実質的に損なわないので、構成刃先が形成されがたく、被切削材の仕上げ面粗度が劣化しない。
また、「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」が存在する鋼を、超硬工具を使用して100m/minを超える高速域で切削した後、その工具表面を詳細に観察すると、工具表面にTiNが形成されていることが判明した。切削中に被削材と接触する工具表面において、Ti系介在物が摩擦による温度上昇に伴って反応、変質して厚さが数μmから数十μmの層状を呈する硬質のTiNが形成されると考えられる。その存在は切削終了後に工具表面の炭素系汚染(油分等)をArスパッタリング等で除去した工具表面に対し、AES(オージェ電子分光)やEPMA(電子線マイクロアナライザー)による面分析および点分析によって確認することができた。それによると、工具に付着したTiNの表面積は被削材と工具との接触面積の10〜80%であって、残りは切削加工時に付着したMnSやFeもしくは付着物のない工具素地であった。この硬質なTiNが工具表面に形成されることによって、工具の熱的拡散摩耗や硬質介在物による機械的な摩耗が抑制され、従来のS快削鋼やPbとの複合快削鋼に比較しても格段に優れた工具寿命が得られるものと考えられる。
上記のような効果を得るためには、「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」が、圧延方向断面における観察面1mm2中に5個以上、好ましくは10個以上、存在すればよい。
一方、本願発明で規定される化学組成の範囲内にあっても、ロ式を満たしていなければ良好な被削性を得ることはできない。
Tiを添加してイ式およびロ式を満足する介在物形態とした鋼では、MnSが非常に微細に存在する。即ち、MnSの個数が著しく多い。この微細なMnSは切削時に生成する切屑の応力集中点として作用し、切屑内での亀裂伝播を助長するために切屑処理性が向上する。
以上、要するに、「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」を鋼中に安定して存在させ、圧延方向断面の観察面1mm2中に5個以上し、圧延方向断面の観察面1mm2中における「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」と「Ti炭化物およびTi炭窒化物が内在しない実質的なMnS」の総面積の合計が全介在物総面積の8割以上であれば、上記で示したように、Pb快削鋼や複合快削鋼と同等以上の工具寿命、仕上げ面粗さ及び切屑処理性を得ることができる。より安定してこのような介在物形態を実現し、優れた被削性を有する鋼材を連続鋳造法等によって安価に製造するためには、Mn、Ti、SおよびNの含有量のバランスを考慮する必要がある。具体的には以下のとおりにすればよい。
(a)Ti(%)/S(%)≦ 0.25
S量に対してTiを多く添加した場合、つまり、質量%比でTi/Sが0.25を超える場合、Ti硫化物やTi炭硫化物が多く存在することになる。その結果、イ式を満たさなくなり、MnSによる擬似的な潤滑効果が損なわれる。この時には切削抵抗が上昇して工具刃先に構成刃先が形成されやすい傾向にあり、その結果、仕上げ切削時の表面粗さが劣化し、加工精度が悪くなる。
逆に、S量に対してTiを微量に添加する場合、つまりそれぞれの質量比でTi/Sが0.25以下である場合、TiはTi炭化物あるいはTi炭窒化物を形成し、「実質的なTi硫化物または/およびTi炭硫化物」は、単独ではほとんど存在しなくなる。
Ti炭化物やTi炭窒化物は様々な形態で析出するが、一個のMnSに内在される形態で存在する場合がある。そして、「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」を含む鋼を、超硬工具を使用して高速域で切削した場合には優れた工具寿命を得ることができる。つまり、単独で存在する「実質的なTi硫化物または/およびTi炭硫化物」の生成を抑えるには、Ti(%)/S(%)を0.25以下に調整すればよい。
(b)MnとSの量が原子比で[Mn]/[S]≧1
Sは熱間加工時に割れを誘発する元素である。しかし、原子比、即ち、原子数(モル数)の比にて[Mn]/[S]≧1とした適切な組成を維持すればMnはMnSとして晶出するので、たとえTi(%)/S(%)≦0.25であっても熱間加工性には問題が無い。また、この範囲であれば、例えば連続鋳造による製造を前提としても、熱間加工性に何ら問題が無いためにSを多く添加して、被削性改善に有効なMnSを増加させることが可能であり、且つ高いS含有量であってもイ式およびロ式で表される介在物形態を損なうことはない。
[Mn]/[S]<1である場合には、Ti量がS量を超えるように添加しなければFeSがMnSおよびTiSに多く固溶した硫化物が主体となり、熱間加工性を改善することはできない。なお、[Mn]/[S]<1である場合であっても、S量を超える範囲でTiを添加すれば、熱間加工性は改善できる。しかし、その場合にはTiの硫化物生成傾向がMnよりも大きいために主な生成硫化物はMnSでなく、MnSよりも硬質なTi硫化物あるいはTi炭硫化物が主体となる。その場合、前述したように切削時に工具と被削材との間において軟質な硫化物による擬似的な潤滑効果が得られず、切削抵抗が上昇し、仕上げ面粗さが劣化する。つまり、MnとSの量を原子比で[Mn]/[S]≧1とすることは、MnSによる被削性向上の効果を伴わせると同時に良好な熱間延性を得るために望まれる条件である。
(c)Ti(%)/N(%)≧ 1.35
本発明の快削鋼の大きな特徴は、「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」を含有していることにある。仮にTi(%)/N(%)<1.35である場合には、この「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」を充分に得ることができないことがある。この場合には、添加されたほとんどのTiは凝固の早い段階でTiNとして晶出するため、「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」を形成させるのに充分なTiを確保できないものと考えられる。従って、Ti(%)/N(%)が1.35以上であることが望ましく、より安定して「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」を得るには、Ti(%)/N(%)を1.5以上とすればよい。
2.化学組成の限定理由
以下、本発明において化学組成を限定した理由を、それぞれの成分の作用効果とともに説明する。
C:0.05%から0.20%未満
Cは被削性に大きな影響を及ぼす重要な元素である。C含有量が0.20%以上になると鋼材の強度を高めて被削性を劣化させるので、被削性が重要視される用途の鋼材としては不適当である。但し、0.05%未満では鋼材が軟質になり過ぎ、切削中にむしれを生じてかえって工具摩耗を促進させるうえ、仕上げ面粗度も大きくなる。よってCの適正含有量は、0.05%から0.20%未満である。なお、さらに良い被削性を得るためのC量のより適正な範囲は0.07〜0.18%である。
Mn:0.4〜2.0%
MnはSとともに硫化物系介在物を形成して被削性に大きな影響を及ぼす重要な元素である。0.4%未満では硫化物としての絶対量が不足して満足な被削性を得ることはできない。また、Mnは鋼の焼入れ性を高める元素であるので、優れた浸炭特性を得たい場合には含有量を多くすればよい。但し、MnはSと共にMnSを形成するために、多量のSを含む本発明鋼では多量のMnを含有することが必要となる。浸炭特性を高めるためにMnを添加するとMn含有量が加算されることになるので、製造コストの面からも好ましくない。そこでMn量の上限を2.0%とした。2.0%を超えると、鋼材の強度が上昇して切削抵抗が高くなるのに加え、工具寿命を低下させる。さらに切削抵抗の低減、工具寿命の向上、切り屑処理性の向上、仕上げ面粗度の向上、熱間加工性の改善を図るためにはS量との関係が重要である。なお、これらの性能を確実に得るためにはMn含有量は0.6〜1.8%とすることが好ましい。
S:0.21〜1.0%
SはMnと共に硫化物を形成して被削性を改善するのに有効な元素である。MnSによる被削性向上効果は、その生成量に応じて向上するのでSの含有量の選定は重要である。0.21%未満では十分な量の硫化物系介在物が得られず、満足な被削性は期待できない。一方、S量は通常ならば0.35%を超えると熱間加工性を劣化させ、鋼塊中央部のS偏析を助長し、鍛造時に割れを誘発するが、適切な組成を維持すればその上限を1.0%まで高めることができる。MnSによる被削性向上のためには更なるSの添加が好ましく、0.35%以上であればより好ましい。より一層の改善には0.40%を超える含有量が更に好ましい。但し、過剰な添加は歩留まりの悪化によるコスト上昇に繋がるため、S含有量の好ましい上限は0.70%である。
Ti:0.002〜0.10%
TiはNやCとともにTi炭化物または/およびTi炭窒化物を形成し、これらが内在するMnSを鋼中に存在させるために重要な必須元素である。前記のとおり、「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」が鋼材中に存在すると、超硬工具を用いた高速切削での工具寿命が飛躍的に向上する。このようなMnSを存在させるためには、0.002%以上の含有が必要であるが、これを安定して鋼中に分散させ、仕上げ面粗さを劣化させずに、良好な工具寿命を得るためにはTiの含有量はSやNの含有量とのバランスを考慮する必要がある。また、Ti含有量が0.10%を超えると、「実質的なTi硫化物または/およびTi炭硫化物」が鋼中に存在するために、仕上げ切削における仕上げ面粗度を劣化させる。よって、Tiの上限は0.10%とした。より安定して優れた仕上げ面粗度を得るためには、Ti含有量は0.08%以下であることが好ましい。さらに0.03%未満であれば一層好ましい。
一方、Tiの含有量が0.002%未満の場合は、工具寿命を向上させるのに充分な量の「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」を生成させることはできない。このMnSをより確実に生成させ、超硬工具寿命を改善させるためには0.01%を超えるTiの含有が望ましい。
P:0.001〜0.30%
Pは鋼の焼入れ性を高めると共に、強度も高める。その効果を得るためには、0.001%以上含有させればよい。また、0.30%以下であれば、被削性を劣化させずに、焼入れ性及び強度を確保できるが、含有量が0.30%を超えると強度が高くなりすぎて被削性を劣化させるばかりでなく、鋼塊の偏析を助長して熱間加工性を劣化させる。従って、Pの含有量は0.001〜0.30%とした。なお、良好な被削性と強度を安定して維持するのにより好まししい含有量は0.005〜0.13%である。
Al:0.2%以下(無添加でもよい)
Alは強力な脱酸元素として用いられ、0.2%以下であれば含有されていても良い。しかし脱酸によって生成する酸化物は硬質であって含有量が0.2%を超えると硬質酸化物が大量に生成し、被削性を劣化させる。従って、より好ましいのは0.1%以下とすることである。また、CやMnの添加によって充分な脱酸が可能である場合にはAlは添加しなくてもよく、その含有量は0.002%以下の不純物レベルであってもよい。
O(酸素):0.001〜0.03%
本発明鋼における酸素の効果は脱酸状態によって損なわれるものではないが、適切な量の酸素を含有させることで、MnS中に固溶して圧延によるMnSの延伸を防ぎ、機械的性質の異方性を改善する。さらに被削性、熱間加工性、S偏析の改善にも有効である。しかし0.03%を超えると溶製時における耐火物の劣損を招く等の支障をきたす。よって酸素含有量の範囲を0.001〜0.03%とした。上記の効果を適切に得るためのより好ましい範囲は0.0015〜0.01%である。
N:0.0005〜0.02%
NはAlやTiと共に硬質な窒化物を形成しやすい。これらの窒化物は結晶粒を微細化する効果を有する。しかし、これらの窒化物が大量に存在することによって工具摩耗が促進されやすく、被削性を劣化させる。本発明鋼にはTiを必須成分として添加するので、Nの含有量は少ないほど好ましいのであるが、前記の効果を得るために0.0005%以上含有させることとした。一方、N含有量が過剰になると粗大なTiNが生成し、被削性を損なう恐れがあるので、Nの上限を0.02%とした。より良い被削性を確保するためには、N量の上限は0.015%であることが好ましい。また、本発明においては「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」の存在によって被削性の向上を図っているため、このMnSを安定して鋼中に存在させるためには、TiとNがTi(%)/N(%)≧1.35を満たしていることが好ましい。これは、前記のように、Ti(%)/N(%)<1.35である場合には、添加されたTiのほとんどが凝固の早い段階でTiNとして生成してしまい、「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」を安定して得ることができないからである。
以上のように含有量をそれぞれ調整された元素で構成される化学組成、およびイ式とロ式で規定される介在物形態によって優れた被削性、熱間加工性および仕上げ面性状を有する低炭素快削鋼を得ることができる。
本発明の低炭素快削鋼は、さらに前記第1群から第3群の少なくとも1群の中から選んだ1種以上の成分を含むことができる。
(1)第1群の元素
第1群の元素は、上述の主要組成の他に本発明によって得られる効果を害することなく、鋼の被削性をさらに向上させる元素である。従って、より優れた被削性を得るために、1種以上を含有させても良い。
Se:0.0005〜0.10%、Te:0.0005%〜0.10%
SeおよびTeは、Mnと共にMn(S,Se)およびMn(S,Te)を生成する。これらはMnSと同様に切削中に擬似的な潤滑効果の役割を果たすので被削性改善に有効な元素であり、さらなる被削性向上のためには上記の範囲内で含有させても良い。しかし、それぞれの含有量が0.0005%未満では効果に乏しい。一方、Se、Teともにその含有量が0.10%を超えると効果が飽和するばかりでなく、経済的でなくなる上に熱間加工性を劣化させる。より安定して優れた熱間加工性及び被削性を両立させるためには、それぞれ0.0010〜0.05%であることが好ましい。
Bi:0.01〜0.3%、Sn:0.01〜0.3%
BiとSnは鋼の被削性を改善する効果を有する。これはPbと同じく低融点金属介在物として切削時に潤滑効果を発揮するためと考えられる。その効果を確実に得るためには、それぞれの含有量を0.01%以上とするのがよい。但し、その含有量がそれぞれ0.3%を超えるとその効果が飽和するばかりでなく、熱間加工性を劣化させる。より安定して優れた熱間加工性及び被削性を両立させるためには、それぞれ0.03〜0.1%であることが好ましい。
Ca:0.0001〜0.01%
CaはSやO(酸素)に対して大きな親和力を有すので、鋼中で硫化物および酸化物を形成する。また、CaはMnS中に固溶して(Mn,Ca)Sを形成するが、その中に固溶するCaは微量であるため、MnSとしての効果を損なわない。また、Caによって形成される酸化物は低融点酸化物であって、本発明鋼においても被削性をさらに向上させるために有効な添加元素である。Caの添加による被削性改善の効果を確実に得ようとすれば、Ca量の下限は0.0001%であることが好ましい。但し、Caは添加歩留まりが悪いために、Caの含有量を多くするには多量のCaの添加を必要とし、製造コストの面からも好ましくない。従って、Ca含有量の上限は0.01%とした。さらに好ましい上限は0.005%である。
Mg:0.0001〜0.005%
Mgも鋼中でSやO(酸素)に対して大きな親和力を有するので、硫化物もしくは酸化物を形成する。Mgを含有する硫化物や酸化物はMnSの晶出核として機能し、MnSの延伸を抑制する効果を有する。このような効果を得たい場合にには添加しても良い。その効果を充分に得るためには、Mg量の下限は0.0001%以上であることが好ましい。しかし、Mgによって形成される酸化物は硬質なので、Mgの含有量があまり多ければ被削性を劣化させる要因となる。従ってMgの上限を0.005%とした。更に、MnSの延伸を抑制する効果と優れた被削性を両立させるために好ましい上限は0.002%である。
B:0.0002〜0.02%
Bは、O(酸素)あるいはNと結合し、酸化物、窒化物を形成し、被削性を向上させる効果を有するので必要に応じて添加しても良い。その効果を得るためには、0.0002%以上含有させればよい。より確実にその効果を得るためには0.0010%以上が望ましい。しかし、Bの含有量が0.02%を超えると、その効果が飽和するばかりでなく、熱間加工性を劣化させる。
希土類元素:0.0005〜0.02%
希土類元素はランタノイドとして分類される元素群である。これを添加する場合には通常これらを主成分とするミッシュメタル等を用いる。本発明における希土類元素の含有量は、希土類元素の中の1種または2種以上の元素の合計量で表す。希土類元素は、酸素と共に酸化物を形成し、Sとも結合して硫化物を形成して、被削性を向上させる。その効果を確実に得るためには、0.0005%以上含有させればよい。しかし、含有量が0.02%を超えると効果は飽和する。また、希土類元素は添加歩留まりが低いので多量に含有させることは経済的ではない。
(2)第2群の元素
第2群の元素は、いずれも鋼の強度を上げる作用を持つものである。必要に応じて、これらの中の1種以上を含有させることができる。
Cu:0.01〜1.0%
Cuは析出強化によって鋼の強度を向上させる効果がある。この効果を得るためにはその含有量を0.01%以上にする必要がある。より確実にその効果を得るためには0.1%以上添加することが望ましい。しかし、含有量が1.0%を超えると熱間加工性の劣化を招いたり、Cuの析出物の粗大化によって前記の効果が飽和するばかりでなく、被削性の低下を招く。
Ni:0.01〜2.0%
Niには固溶強化によって鋼の強度を向上させる効果がある。この効果を確実に得るためにはその含有量を0.01%以上とすることが好ましい。しかし、2.0%を超えると被削性の劣化を招くと共に熱間加工性も劣化する。
Mo:0.01〜0.5%
Moは焼入れ性を高めることができる元素であるが、浸炭特性を向上させるために、SiやCrの添加と同等の効果が得られる相当量のMoを添加するとSiやCr以上に高価であるために、製造コストが嵩む難点がある。しかし、Moは組織を微細化し、靭性を改善する効果も有する。これらの効果を得たい場合には添加しても良い。その効果を確実に得るためには含有量を0.01%以上とすることが望ましい。但し、0.5%を超えると効果が飽和するばかりでなく、鋼の製造コストが上昇する。
V:0.005〜0.5%
Vは微細な窒化物や炭窒化物として析出し、鋼の強度を向上させる。その効果は0.005%以上の含有により得ることが可能であるが、より確実に効果を得たい場合には、0.01%以上の含有が好ましい。しかし、0.5%を超えると、前記の効果が飽和するばかりでなく、窒化物や炭化物が過剰に生成するために、被削性の低下を招く。
Nb:0.005〜0.5%
Nbは微細な窒化物や炭窒化物として析出し、鋼の強度を向上させる。その効果は0.005%以上の含有により得ることが可能であるが、より確実に効果を得たい場合には、0.01%以上の含有が好ましい。しかし、0.5%を超えると、前記の効果が飽和するばかりでなく、窒化物や炭化物が過剰に生成するために、被削性の低下を招くばかりでなく、経済的でない。
(3)第3群の元素
第3群の元素は、鋼の浸炭特性を高めたい場合に、その一方または両方を下記の範囲内で含有させてよい元素である。
Si:0.1〜2.0%
請求項1から4までに係る発明の快削鋼では、Siを積極的に添加しない。従って、Siは不純物の一つであり、その含有量は0.1%未満である。なお、請求項1から4までに係る発明の快削鋼でも鋼中の酸素を適度な量にするためSiを脱酸元素として添加する場合があるが、その場合も積極的に残留させる必要はなく、鋼中に残存するSiは不純物であって、0.1%未満である。
また、Siはフェライトに固溶して鋼の強度を向上させると共に、鋼の焼入れ性を高める効果を有する。鋼の焼入れ性を高めることによって、自動車部品として望まれる浸炭特性の向上を図ることができる。その場合に限ってはSiを0.1%以上含有させればよい。より確実に浸炭特性を向上させたい場合には、0.6%を超える含有量が望ましい。但し2.0%を超えると熱間加工性が劣化したり、フェライト相を固溶強化するために切削抵抗が高くなる等、被削性に悪影響を及ぼす。なお、0.1%未満の不純物のレベルであっても、C、Mn、Alの適切な添加で鋼中酸素量が適切な範囲とすることができる。
Cr:0.03〜1.0%
Crは鋼の焼入れ性を高めるために、少量の添加によって浸炭特性を向上させることのできる元素である。Crを含有した鋼では浸炭特性が改善され、浸炭処理後の浸炭層硬さが高く、有効硬化深さも高めることができる。その効果を得るためには、Crを0.03%以上含有すればよい。また、より確実に浸炭特性を向上させたい場合には、0.05%を超える含有量が望ましい。但し、Cr含有量が1.0%を超えると被削性を劣化させるばかりでなく、製造コストが嵩む。
上記のSiまたは/およびCrを含有させると、優れた被削性および熱間加工性に加えて優れた浸炭特性を持つ鋼を得ることができる。
1.試料の作製
高周波加熱誘導炉を用いて表1および表2に示す種々の組成を有する150kg鋼塊(直径:約220mm)を作製した。表1に示すのが本発明鋼、表2に示すのが従来鋼または比較鋼である。これらの鋳片を「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」を安定して生成させるために、1250℃の高温まで加熱した後、2時間以上保持して1000℃以上で仕上げる鍛造を行い、空冷によって直径65mmの丸棒を得た。その後、この鍛伸材を950℃まで加熱し、1時間保持後、空冷する焼準処理を行った。なお、比較例の鋼No.51〜53は熱間加工性が劣悪であり、鍛造の際に割れが発生して鍛伸材とすることができなかったので、以下の調査を実施していない。
Figure 2005054227
Figure 2005054227
2.介在物形態の調査
圧延方向に平行な断面で観察される介在物は、加工方向に伸ばされたものや不特定形状のものが多い。介在物の個数や面積の調査に際しては、鍛伸材のDf/4(Df;鍛伸材の直径)部の縦断面方向からミクロ観察用試験片を切り出し、樹脂に埋め込んだ後、鏡面研磨を行って400倍の光学顕微鏡観察にて写真撮影を行い、画像解析等の手法によってその介在物の個数と面積を求めた。その際、同じ面積を有する円に換算した時の直径、円相当直径が1μm以上のものを対象とした。円相当直径が1μm以上に限定したのは、前述のとおり、1μm未満の介在物は被削性に及ぼす効果がほとんどないからである。
また、これらの介在物の組成は、次のようにして確認した。即ち、上記のように鍛伸材のDf/4(Df;鍛伸材の直径)部の縦断面方向から切り出したミクロ試験片を、樹脂に埋め込んだ後、鏡面研磨を行ってEPMA(電子線マイクロアナライザー)やEDX(エネルギー分散型X線分析装置)等によって面分析および定量分析を行った。このときの観察倍率は10000倍を超えない範囲で選べばよく、この観察倍率で一個の介在物中にMnSとTi炭化物または/およびTi炭窒化物が明白に相分離して観察され、かつMnSの面積率が50%以上であることが確認された介在物が「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」である。このようにして観察した結果から、円相当直径1μm以上の個々の「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」と「Ti炭化物およびTi炭窒化物が内在しない実質的なMnS」の面積を求めた上で、圧延方向断面1mm2におけるこれらの介在物の面積の合計を算出し、さらに、圧延方向断面1mm2における全介在物が占める面積の合計を算出した上で(A+B)/Cを求めた。
上記の結果から「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」の個数を測定し、圧延方向断面1mm2当たりの平均個数が5個以上存在した鋼については「○」とした。逆に、「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」が5個に満たなかった鋼については「×」とした。なお、表2に示す比較例の鋼No.35〜37はTiを含有しないPb快削鋼やS快削鋼であり、実質的に「Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnS」が存在しなかったので、これらの算出を行っていない。
3.被削性試験
被削性試験では、前記鍛伸材を直径60mmまで外削した丸棒を用いて、工具寿命と仕上げ表面粗さを調査するための試験を行った。工具寿命試験はコーティング処理が施されていないJISに規定されるP20種の超硬工具を用いて、切削速度;150m/min、送り;0.10mm/rev、切り込み;2.0mmで、乾式の条件で旋削を行い、切削開始から30分後の平均逃げ面摩耗量を測定した。なお、30分以内に平均逃げ面摩耗量が200μm以上に到達した供試材については、その到達時間とその時の平均逃げ面摩耗量(VB)を測定した。
評価は、平均逃げ面摩耗量(VB)が100μmに達する時間を工具寿命の目安として行った。なお、試験途中で耐摩耗性に優れ、摩耗進行速度が極めて小さいために供試材が不足したものについては、旋削時間-工具摩耗曲線から平均逃げ面摩耗量が100μmに達する時間を回帰により算出した。また、切屑処理性はこの時排出された切屑のうち代表的なものを200個採取し、その重量を測定した上で単位重量当たりの個数を算出して評価した。
仕上げ面粗さは仕上げ切削後の表面粗さによって評価されるので、以下の条件で切削した後の被削材の表面を触針粗さ計を用いて評価した。切削条件は、TiAlN多層コーティングが施されたJIS K種超硬工具を用いて、切削速度;100m/min、送り;0.05mm/rev、切り込み;0.5mmとし、水溶性エマルジョン型の潤滑油を用いた湿式の条件での旋削とした。供試鋼をこの条件にて1分間切削した後の試験片に対し、触針粗さ計にて軸方向に触針を移動させて平均仕上げ面粗さ(Ra)を測定し、仕上げ面粗さを評価した。
4.熱間加工性試験
熱間加工性は連続鋳造設備による製造条件を模擬するために、前記と同様の手法で作製した150kg鋼塊の表面部に近いDi/8(Di;鋼塊の直径)の位置を中心として、鋼塊高さ方向から直径10mm、長さ130mmの高温引張試験片とし、固定間隔を110mmとした上で直接通電によって1250℃まで加熱し、5分保持した後、10℃/secの冷却速度で1100℃まで冷却して10秒保持した後、歪み速度;10-3/sにて引張試験を行った。その際、破断部の絞りを測定して熱間加工性を評価した。
5.浸炭試験
浸炭試験は以下のとおりに実施した。即ち、試験片には直径24mm、長さ50mmの円柱状の鋼材を用いた。これは前述の直径65mmの焼準材のR/2の位置から採取した。この試験片を900℃に加熱して浸炭処理し、その後850℃にて拡散処理した。このときの浸炭時の炭素ポテンシャル(C.P.)値は0.8%、処理時間は75分であり、拡散時のC.P.値は0.7%、処理時間は20分である。浸炭処理を終えた試験片を80℃の油中で冷却することにより焼入れ処理を施した。最後に試験片を190℃に加熱し、この温度で60分間保持して焼戻し処理を施した。浸炭性の評価方法は以下のとおりである。
浸炭焼入れ・焼戻し処理した試験片の端から25mmの位置(すなわち長さ方向の中央)の横断面で、表面から内部へのビッカース硬さ分布を測定し、Hv400となる有効硬化深さを求め、その値が従来の鉛複合快削鋼よりも大きいか小さいかを判定した。従来の鉛複合快削鋼は、表2の鋼No.35であり、この有効硬化深さは0.25mmであった。浸炭性の評価としては、有効硬化深さが鋼No.35に対して±0.05mmの場合、すなわち0.20〜0.30mmの場合、同等であるとし、0.20mm未満の場合は劣るとし、0.30mmを超えるとき優れると判定した。その結果を表3および表4に○、×および◎で示す。同等の場合が「○」、劣る場合が「×」、優れる場合が「◎」である。
以上の試験結果をまとめて示したのが表3および表4である。また、図2にイ式の(A+B)/Cと仕上げ表面粗さの関係、図3に仕上げ面粗さと工具寿命の関係、図4に切屑処理性と工具寿命の関係をそれぞれ示す。
Figure 2005054227
Figure 2005054227
表2の鋼No.35および36は複合快削鋼、鋼No.37は硫黄快削鋼で、これまで被削性に最も優れるとされていた鋼である。表3、表4、図2および図3から明らかなように、本発明鋼は工具寿命と仕上げ面粗さが共に優れている。さらに本発明鋼No.1〜34は、優れた熱間加工性を有し、連続鋳造設備等による実用的な製造を模擬した高温引張試験による絞りも表3に示すように複合快削鋼や硫黄快削鋼と同等以上であって何ら問題がない。
表1の鋼No.12〜17は浸炭性向上のために、SiおよびCrの少なくとも1種を規定範囲内で含有させたものである。これらの鋼は本発明鋼の中でも特に優れた浸炭特性を示していることがわかる。一方、鋼No.35〜55のように、本発明で規定する介在物の状態や化学組成などの一つでも外れているものは、工具寿命、仕上げ面粗さ、切屑処理性、熱間加工性のうち、少なくとも一つが本発明鋼に比べて劣っている。
本発明の快削鋼は、Pbを含有しないにもかかわらず、従来のPb快削鋼および複合快削鋼と同等以上の被削性を有し、しかも切削後の仕上げ面性状も優れている。また、Siまたは/およびCrを含むものは優れた浸炭特性をも有する。さらにこの鋼は、熱間加工性にも優れ、連続鋳造法によっても安価に製造できる。Pbを含まないので環境汚染のおそれもない。従って、本発明の快削鋼は、各種機械部品の素材としてきわめて好適な鋼材である。
本発明鋼および比較鋼の介在物の形態を模式的に示す図である。 本発明鋼と比較鋼における(A+B)/Cと平均仕上げ面粗さとの関係を表す図である。 本発明鋼と比較鋼における平均仕上げ面粗さと工具寿命との関係を表す図である。 本発明鋼と比較鋼における切屑処理性と工具寿命の関係を表す図である。

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.05%から0.20%未満、Mn:0.4〜2.0%、S:0.21〜1.0%、Ti:0.002〜0.10%、P:0.001〜0.30%、Al:0.2%以下、O(酸素):0.001〜0.03%およびN:0.0005〜0.02%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼であって、鋼中に含有される介在物が下記イ式およびロ式を満たすことを特徴とする低炭素快削鋼。
    (A+B)/C≧0.8・・・・イ
    A≧5・・・・ロ
    ここで、A、B、CおよびNAの意味は下記の通りである。
    A;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のうち、Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnSが占める総面積。
    B;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のうち、Ti炭化物およびTi炭窒化物が内在しない実質的なMnSが占める総面積。
    C;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の全介在物が占める総面積。
    A;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のうち、Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnSの個数。
  2. 質量%で、C:0.05%から0.20%未満、Mn:0.4〜2.0%、S:0.21〜1.0%、Ti:0.002〜0.10%、P:0.001〜0.30%、Al:0.2%以下、O(酸素):0.001〜0.03%およびN:0.0005〜0.02%を含有し、並びにSe:0.0005〜0.10%、Te:0.0005〜0.10%、Bi:0.01〜0.3%、Sn:0.01〜0.3%、Ca:0.0001〜0.01%、Mg:0.0001〜0.005%、B:0.0002〜0.02%および希土類元素:0.0005〜0.02%からなる群から選んだ1種以上を含有し、残部がFe及び不純物からなる鋼であって、鋼中に含有される介在物が下記イ式およびロ式を満たすことを特徴とする低炭素快削鋼。
    (A+B)/C≧0.8・・・・イ
    A≧5・・・・ロ
    ここで、A、B、CおよびNAの意味は下記の通りである。
    A;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のうち、Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnSが占める総面積。
    B;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のうち、Ti炭化物およびTi炭窒化物が内在しない実質的なMnSが占める総面積。
    C;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の全介在物が占める総面積。
    A;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のうち、Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnSの個数。
  3. 質量%で、C:0.05%から0.20%未満、Mn:0.4〜2.0%、S:0.21〜1.0%、Ti:0.002〜0.10%、P:0.001〜0.30%、Al:0.2%以下、O(酸素):0.001〜0.03%およびN:0.0005〜0.02%を含有し、並びにCu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜2.0%、Mo:0.01〜0.5%、V:0.005〜0.5%およびNb:0.005〜0.5%からなる群から選んだ1種以上を含有し、残部がFe及び不純物からなる鋼であって、鋼中に含有される介在物が下記イ式およびロ式を満たすことを特徴とする低炭素快削鋼。
    (A+B)/C≧0.8・・・・イ
    A≧5・・・・ロ
    ここで、A、B、CおよびNAの意味は下記の通りである。
    A;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のうち、Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnSが占める総面積。
    B;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のうち、Ti炭化物およびTi炭窒化物が内在しない実質的なMnSが占める総面積。
    C;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の全介在物が占める総面積。
    A;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のうち、Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnSの個数。
  4. 質量%で、C:0.05%から0.20%未満、Mn:0.4〜2.0%、S:0.21〜1.0%、Ti:0.002〜0.10%、P:0.001〜0.30%、Al:0.2%以下、O(酸素):0.001〜0.03%およびN:0.0005〜0.02%を含有し、並びにSe:0.0005〜0.10%、Te:0.0005〜0.10%、Bi:0.01〜0.3%、Sn:0.01〜0.3%、Ca:0.0001〜0.01%、Mg:0.0001〜0.005%、B:0.0002〜0.02%および希土類元素:0.0005〜0.02%からなる群から選んだ1種以上と、Cu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜2.0%、Mo:0.01〜0.5%、V:0.005〜0.5%およびNb:0.005〜0.5%からなる群から選んだ1種以上を含有し、残部がFe及び不純物からなる鋼であって、鋼中に含有される介在物が下記イ式およびロ式を満たすことを特徴とする低炭素快削鋼。
    (A+B)/C≧0.8・・・・イ
    A≧5・・・・ロ
    ここで、A、B、CおよびNAの意味は下記の通りである。
    A;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のうち、Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnSが占める総面積。
    B;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のうち、Ti炭化物およびTi炭窒化物が内在しない実質的なMnSが占める総面積。
    C;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の全介在物が占める総面積。
    A;圧延方向に平行な断面の1mm2中における円相当直径1μm以上の介在物のうち、Ti炭化物または/およびTi炭窒化物が内在する実質的なMnSの個数。
  5. Si:0.1〜2.0質量%およびCr:0.03〜1.0質量%の1種または2種を含有する請求項1から請求項4までのいずれかに記載の低炭素快削鋼。





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