JP2004334945A - 複合型磁気ヘッド及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気情報の再生出力が大きく、しかも磁気記録媒体のさらなる高記録密度化を図ることができる複合型磁気ヘッド及びその製造方法を提供する。
【解決手段】磁性膜21aが非磁性膜を介して複数積層された磁性コア17、この磁性コア17に磁束流を誘起させるコイル23及び前記磁束流が漏れ出る書き込みギャップGpを有する電磁誘導型磁気ヘッド16と、磁気抵抗効果型ヘッド30(MR型ヘッド)とを備える複合型磁気ヘッドであって、前記磁性コア17は、前記磁性膜21aの端面が前記書き込みギャップGpに向けて配置されている
【選択図】 図 5
【解決手段】磁性膜21aが非磁性膜を介して複数積層された磁性コア17、この磁性コア17に磁束流を誘起させるコイル23及び前記磁束流が漏れ出る書き込みギャップGpを有する電磁誘導型磁気ヘッド16と、磁気抵抗効果型ヘッド30(MR型ヘッド)とを備える複合型磁気ヘッドであって、前記磁性コア17は、前記磁性膜21aの端面が前記書き込みギャップGpに向けて配置されている
【選択図】 図 5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体に磁気情報を記録する記録ヘッドと、記録された磁気情報を再生する再生ヘッドとを備えた複合型磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今、磁気テープや磁気ディスクといった磁気記録媒体の高記録密度化が望まれるなか、このような磁気記録媒体に対して磁気情報の記録を行う記録ヘッドは、磁気記録媒体のトラック幅を狭小化するために、書き込みギャップの幅の狭小化と高周波特性の向上が図られている。
【0003】
従来、磁気ディスクに磁気情報を記録する電磁誘導型ヘッドと、記録された磁気情報を再生する磁気抵抗効果型ヘッドとを備えた複合型磁気ヘッドが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この複合型磁気ヘッドは、磁気抵抗効果型ヘッドが、磁気ディスクとの相対速度に依存せずに記録された磁気情報を再生することができるとともに、電磁誘導型ヘッドが、薄膜で形成された磁性コアを備えており、書き込みギャップの幅を狭小化することができる。したがって、このような複合型磁気ヘッドを磁気テープに応用すれば、磁性コアでの薄膜化が進めば進むほど、磁気テープに幅のより狭いトラックを形成することができる。しかも、この複合型磁気ヘッドによれば、磁気抵抗効果型ヘッドによって再生する磁気情報の出力を高めることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−183914号公報(段落番号(0023)、段落番号(0024)及び図1参照)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この複合型磁気ヘッドの電磁誘導型ヘッドでは、渦巻き状のコイルが、磁性コアを構成する上部磁極層と下部磁極層との間で、これら両磁性層を磁気的に接合する接合部を中心に巻回している。そして、この渦巻き状コイルに通電することによって、磁性コアを伝わって書き込みギャップで漏れ出る磁束(記録磁束)が誘起される。しかしながら、このような記録磁束が誘起される一方で、両磁極層に直交する方向に向けて磁束流が生起する。この磁束流によって、両磁極層には渦電流が生じる。そして、このような渦電流が両磁極層に生じると、電磁誘導型ヘッドの高周波数帯域における電磁変換特性が劣化するため、この電磁誘導型ヘッドでは、磁気テープのさらなる高記録密度化が図れない。
【0007】
本発明は、磁気情報の再生出力が大きく、しかも磁気記録媒体のさらなる高記録密度化を図ることができる複合型磁気ヘッド及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための請求項1に記載の複合型磁気ヘッドは、磁性膜が非磁性膜を介して複数積層された磁性コア、この磁性コアに磁束流を誘起させるコイル及び前記磁束流が漏れ出る書き込みギャップを有する電磁誘導型磁気ヘッドと、磁気抵抗効果型ヘッドとを備える複合型磁気ヘッドであって、前記磁性コアは、前記磁性膜の端面が前記書き込みギャップに向けて配置されていることを特徴とする。
【0009】
この複合型磁気ヘッドでは、コイルによって磁性コアで誘起された磁束流は、書き込みギャップに向けて配置された磁性膜の厚み方向の端面から漏れ出るように複数の磁性膜のそれぞれを伝わる。この際、これら複数の磁性膜のそれぞれは、非磁性膜を介して積層されているとともに、その端面が書き込みギャップに向くように配置されているので、磁性膜で生起する渦電流が著しく低減される。したがって、この複合型磁気ヘッドによれば、電磁誘導型ヘッドにおける高周波数帯域での電磁変換特性の劣化が著しく低減されるため、磁気記録媒体のさらなる高記録密度化を図ることができる。また、この複合型磁気ヘッドは、磁気抵抗効果型ヘッドを備えているので、磁気情報の再生出力を高めることができる。
【0010】
請求項2に記載の複合型磁気ヘッドは、請求項1に記載の複合型磁気ヘッドにおいて、前記コイルが、薄膜コイルであることを特徴とする。
【0011】
この複合型磁気ヘッドでは、コイルが薄膜コイルであるので、コイルを例えばフォトリソグラフ法でパターニングすることによって形成することができる。したがって、線材を巻いて構成したコイルと比較して、コイルをより細く形成することができるので、コイルの巻き数を著しく増加させることができる。また、コイルの絶縁不良を確実に回避することができる。
【0012】
請求項3に記載の複合型磁気ヘッドの製造方法は、第1基板上に磁気抵抗効果素子を形成して第1ヘッド部材を製造する工程と、第2基板上に磁性膜及び非磁性膜を交互に複数積層して第2ヘッド部材を製造する工程と、前記第1ヘッド部材及び前記第2ヘッド部材を接合する工程とを備えることを特徴とする。
【0013】
この複合型磁気ヘッドの製造方法では、第2ヘッド部材を製造する工程で、磁性膜及び非磁性膜を交互に複数積層することによって、請求項1又は請求項2に記載の複合型磁気ヘッドの磁性コアを製造することができる。そして、この複合型磁気ヘッドの製造方法では、磁気抵抗効果素子を形成した第1ヘッド部材と、磁性コアを形成した第2ヘッド部材とを別途に形成した後、これら第1ヘッド部材及び第2ヘッド部材を相互に接合することによって、複合型磁気ヘッドを製造している。
【0014】
したがって、この複合型磁気ヘッドの製造方法によれば、高磁束密度を実現する磁性コアの材料ではあるが、従来の複合型磁気ヘッドでは、その構造から使用することができなかったセンダスト(Fe−Al−Si系合金)を磁性コアに使用することができる。つまり、従来の複合型磁気ヘッドの製造方法では、先に作り込んだ磁気抵抗効果型ヘッド上に電磁誘導型ヘッドを重ねて作り込むため、成膜に高温処理を要するセンダストを磁性コアに使用すると、その高温によって磁気抵抗効果型ヘッドの磁気抵抗効果膜の性能が低下してしまう。これに対し、請求項3に記載の複合型磁気ヘッドの製造方法は、磁気抵抗効果型ヘッドと、磁性コアとを別々に製造するので、センダストを使用することができる。したがって、この複合型磁気ヘッドの製造方法によれば、センダストを磁性コアに使用した、磁気テープのさらなる高記録密度化を図ることができる複合型磁気ヘッドを製造することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下に、本発明に係る複合型磁気ヘッドの第1の実施の形態について、適宜図面を参照して詳細に説明する。参照する図面において、図1は、本発明に係る複合型磁気ヘッドの斜視図、図2は、図1の複合型磁気ヘッドにおける磁気抵抗効果型ヘッドを磁気テープ摺動面から見た様子を示す図、図3は、図2のX−X線における断面図、図4は、図1の複合型磁気ヘッドを磁気テープ摺動面から見た様子を示す図、図5は、図4のY−Y線における断面図である。
【0016】
本実施の形態の複合型磁気ヘッドは、ヘリカルスキャン方式の磁気テープ記録再生装置に使用される複合型磁気ヘッドであって、図1に示すように、第1ヘッド部材10と第2ヘッド部材20とで構成されている。そして、第1ヘッド部材10と第2ヘッド部材20とは、ガラス15で相互に接合されているとともに、第1ヘッド部材10から第2ヘッド部材20にかけて、所定の曲率で湾曲する磁気テープ摺動面MSを有している。
【0017】
[第1ヘッド部材]
第1ヘッド部材10は、図1に示すように、Al2O3・TiC(アルミナチタンカーバイド)からなるベース部材11と、第2ヘッド部材20側でこのベース部材11上に形成された絶縁膜12と、この絶縁膜12中に埋設されるとともに、磁気テープ摺動面MSで露出する磁気抵抗効果(以下、単に「MR」という)型ヘッド30とを備えている。
【0018】
絶縁膜12は、Al2O3(アルミナ)からなり、図2に示すように、角度θで傾斜するベース部材11の上端面13に均一な厚みで広がるように形成されている。
【0019】
MR型ヘッド30は、磁気テープに記録された磁気情報を再生する再生ヘッドであって、MR素子31と、このMR素子31を両側から挟みこむように配置される磁区制御膜32,32(ハード膜)と、磁区制御膜32,32上に広がる電極膜33,33と、これらMR素子31、磁区制御膜32,32及び電極膜33,33を上下から被覆する第1ギャップ層34a及び第2ギャップ層34bと、第1及び第2ギャップ層34a,34bを介してMR素子31を上下から挟み込む第1シールド層35a(上部シールド層)及び第2シールド層35b(下部シールド層)とで構成されている。
【0020】
MR素子31は、前記第2ギャップ層34b上に形成されたNi−Fe−Nb(ニッケル・鉄・ニオブ)系合金からなる軟磁性層31a(SAL層)と、この軟磁性層31a上に形成されたTa(タンタル)からなる非磁性層31b(SHUNT層)と、この非磁性層31b上に形成されたNi−Fe(ニッケル・鉄)系合金(パーマロイ)からなるMR膜31cとで構成されている。このMR素子31は、磁気テープ摺動面MSを摺動する磁気テープからの磁気を受けて、MR膜31cの磁化方向が磁気テープの磁気の向きに応じて変化する際に、その電気抵抗値が変化するようになっている。
【0021】
磁区制御膜32,32は、Co−Cr−Pt(コバルト・クロム・白金)系合金からなり、MR膜31cにバイアス磁界をかけることによって、MR膜31cの磁化方向が変化する際に発生するバルクハウゼンノイズを低減するためのものである。
【0022】
電極膜33,33は、Au(金)からなり、磁区制御膜32を介してMR素子31にセンス電流を供給するものである。この電極膜33は、この第1ヘッド部材10のMR型ヘッド用電極パッド14,14(図1参照)と電気的に接続されている。
【0023】
第1及び第2ギャップ層34a,34bは、アルミナからなり、MR素子31と、次に説明する第1及び第2シールド層35a,35bとを磁気的に絶縁するものである。
【0024】
第1及び第2シールド層35a,35bは、Ni−Fe(ニッケル・鉄)系合金からなり、図3に示すように、先端で磁気テープ摺動面MSに露出するとともに、第1ヘッド部材10と第2ヘッド部材20との接合面JSに沿うように後方に向けて延びている。そして、第1シールド層35aの後端は接合面JSで露出している。
【0025】
これら第1及び第2シールド層35a,35bは、前記したMR素子31並びに第1及び第2ギャップ層34a,34bを挟み込むことによって、第1及び第2シールド層35a,35b間に、磁気テープに記録された磁気情報を読み出すための読み出しギャップを形成している。また、第1シールド層35aは、後記する第2ヘッド部材20に配設される磁性膜21a(図4参照)とともに、磁性コアを構成している。つまり、第1シールド層35aは、下部磁極層をも兼ねている。
【0026】
このようなMR型ヘッド30及びこれを埋設した絶縁膜12は、再び図2を参照すると明らかなように、磁気テープの摺動方向に垂直な方向に対し、角度θで傾斜するベース部材11の上端面13上で、角度θで傾斜するように形成されている。
【0027】
[第2ヘッド部材]
第2ヘッド部材20は、再び図1を参照すると明らかなように、ラミネート層21と、このラミネート層21を挟み込む1対のアルミナからなる非磁性プレート22と、これらラミネート層21及び非磁性プレート22を巻回するコイル23とを備えている。コイル23には、磁気テープに記録する磁気情報(2値情報)に応じて極性が変化する電流が記録ヘッド用電極パッド24を介して付与されるようになっている。
【0028】
ラミネート層21は、図4に示すように、Fe−Al−Si系合金(センダスト)からなる5層の磁性膜21aと、各磁性膜21aに挟み込まれたSiO2(シリカ)からなる非磁性膜21bとで構成されている。これら磁性膜21aの端面は、角度θで傾斜するMR型ヘッド30の絶縁膜12と接触している。
【0029】
これら磁性膜21aは、図5に示すように、一端側(磁気テープ摺動面MS側)で、第1ヘッド部材10に近づくにつれて先細りになっているとともに、先細りになったその先端部が、第1ヘッド部材10の第1シールド層35aと絶縁膜12を介して向き合っている。そして、これら磁性膜21aと第1シールド層35aとの間に挟み込まれる絶縁膜12は、角度θで傾斜する所定幅の書き込みギャップGp(図4参照)として機能するようになっている。なお、この角度θは、予め決められたアジマス角に一致するように設定されている。
【0030】
また、これら磁性膜21aは、他端側で、第1ヘッド部材10の接合面JSで露出した第1シールド層35aと磁気的に接続されており、第1シールド層35aとで磁性コア17を構成している。また、磁性膜21a、非磁性層21b及び非磁性プレート22は、一端側と他端側の中程で、コイル23を受け入れる窪みPが形成されている。
【0031】
これら磁性膜21a及び第1シールド層35aからなる磁性コア17、書き込みギャップGp並びにコイル23は、本実施の形態に係る複合型磁気ヘッドにおいて、電磁誘導型ヘッド16(記録ヘッド)を構成している。
【0032】
次に、本実施の形態に係る複合型磁気ヘッドの動作を説明する。まず、磁気情報を磁気テープに記録する工程を説明すると、磁気テープに記録する磁気情報(2値情報)に応じて極性が変化する電流が、記録ヘッド用電極パッド24(図1参照)を介してコイル23に付与される。このような電流が付与されると、コイル23は、磁性コア17、つまりラミネート層21の磁性膜21a及びMR型ヘッド30の第1シールド層35aを伝わる磁束流を誘起する。そして、この磁束流は、磁気テープ摺動面MS上で磁性膜21a及び第1シールド層35a(図5参照)間に配置される絶縁膜12(書き込みギャップGp)を迂回する、いわゆる漏れ磁束M(図5参照)を生起する。この漏れ磁束Mは、コイル23に付与される電流の極性の変化に応じて、流れる方向が反転する。このような漏れ磁束Mによって、磁気テープ摺動面MS上を摺動する磁気テープには、磁気情報(2値情報)が記録されていく。
【0033】
この複合型磁気ヘッドでは、コイル23が磁束流を誘起した際に、磁性コア17が複数の磁性膜21aで構成されているとともに、各磁性膜21a同士が非磁性膜21b(図4参照)で隔てられているので、磁性コア17に発生する渦電流が著しく低減される。したがって、この複合型磁気ヘッドによれば、高周波特性に優れ、磁気情報の転送レートを高めることができるので、磁気テープの高記録密度化を図ることができる。
【0034】
次に、磁気情報を磁気テープから再生する工程を説明する。センス電流が、MR型ヘッド用電極パッド14(図1参照)を介してMR型ヘッド30の電極膜33(図2参照)に付与されると、このセンス電流は、磁区制御膜32を介してMR素子31に付与される。その一方で、MR膜31cが、磁気テープ摺動面MS上で摺動する磁気テープからの磁気(磁気情報)に晒されると、その磁気の極性の変化に応じてMR膜31cの磁化方向が変化する。そして、このMR膜31cが組み込まれたMR型ヘッド30は、MR膜31cの磁化方向の変化に応じて変化する電気抵抗値を、一定のセンス電流を付与することによって出力される電極膜33,33の間の電圧の変化として読み取ることによって、磁気テープに記録された磁気情報(2値情報)を再生する。したがって、このようなMR型ヘッド30を備えた複合型磁気ヘッドによれば、磁気テープに記録された磁気情報を電気抵抗値の変化として読み出すことができるので、磁気テープの走行速度に依存せずに高い再生出力を得ることができる。
【0035】
次に、本実施の形態に係る複合型磁気ヘッドの製造方法について適宜図面を参照して説明する。参照する図面において、図6(a)〜(e)、図7(a)〜(d)、図8(a)〜(c)並びに図9(a)及び(b)は、複合型磁気ヘッドの製造工程を示す図である。なお、図8(a)は、図7(d)のB−B線における断面図であり、図8(b)は、図8(a)と同じ方向からみた断面図である。
【0036】
[第1ヘッド部材の製造工程]
図6(a)に示すように、まず、アルミナチタンカーバイド製のウエハ40上に、アルミナ膜41を形成した後、このアルミナ膜41上にニッケル・鉄系合金からなる第2シールド層35bを形成する。この第2シールド層35bの形成には、フォトリソグラフ法及びイオンエッチング法が用いられればよい。次いで、図6(b)に示すように、さらにアルミナ膜41を積み重ねることによって第2シールド層35bを埋め込んだ後、その表面を平滑化し、第2シールド層35b上に第2ギャップ層34bを形成する。なお、ウエハ40は、特許請求の範囲にいう「第1基板」に相当する。
【0037】
次に、図6(c)に示すように、第2ギャップ層34bを含むアルミナ膜41上に、ニッケル・鉄・ニオブ系合金層42、タンタル層43及びパーマロイ層44をこの順番で形成する。そして、第2ギャップ層34b上に形成されたパーマロイ層44上で延びる断面形状がT字状のマスク45を形成した後、図6(d)に示すように、ニッケル・鉄・ニオブ系合金層42、タンタル層43及びパーマロイ層44をイオンエッチング法を使用することによって、両側に傾斜面を有するMR素子31を削り出す。なお、前記した各層34b,35b,42,43,44及びアルミナ膜41は、これらの材料をターゲットとするスパッタリング法で形成すればよい。
【0038】
次に、図6(e)に示すように、前記マスク45を残したままで、アルミナ膜41上でコバルト・クロム・白金系合金をターゲットとするスパッタリングを実施することによって、MR素子31の傾斜面に凭れかかるように接続される磁区制御膜32を形成する。
【0039】
次に、図7(a)に示すように、前記マスク45を取り除くとともに、フォトリソグラフ法及びイオンエッチング法によって、MR素子31を両側から挟み込むように配置された磁区制御膜32を所定の形状に削り出す。そして、アルミナ膜41上で電極膜33の輪郭を象ったパターニングをフォトリソグラフ法で形成するとともに、金をターゲットとするスパッタリング法によって、磁区制御膜32を覆う電極膜33を形成する。なお、この電極膜33には、後に形成するMR型ヘッド用電極パッド14と電気的に接続するための図示しない配線が形成される。
【0040】
電極膜33が形成された後、図7(b)に示すように、アルミナ膜41をさらに積み重ねることによって、MR素子31上にアルミナからなる第1ギャップ層34aを形成する。
【0041】
次に、図7(c)に示すように、第1ギャップ層34a上に、前記したと同様にして、ニッケル・鉄系合金からなる第1シールド層35aを形成した後、図7(d)に示すように、前記したと同様にしてアルミナ膜41をさらに積み重ねることによって、第1シールド層35aをアルミナ膜41に埋め込む。そして、図8(a)に示すように、第1シールド層35aの後端側で、この第1シールド層35aを被覆するアルミナ膜41をイオンミリング法によって削り取る。次いで、図8(b)に示すように、削り取った部分にニッケル・鉄系合金を前記接合面JSまでさらに積み重ねる。そして、接合面JSを研磨することによって、第1シールド層35aが接合面JSで部分的に露出するとともに、アルミナ膜41、つまり絶縁膜12(図2及び図3参照)に埋め込まれたMR型ヘッド30を形成する。
【0042】
次に、この絶縁膜12の上面を平滑化した後、図8(c)に示すように、絶縁膜12の上面が、前記した角度θで傾斜するようにウエハ40及びMR型ヘッド30を含んだ絶縁膜12を切り出す。そして、MR型ヘッド30が露出するような切り出し線CS(図8(b)参照)で、ウエハ40及びMR型ヘッド30を含んだ絶縁膜12を切断するとともに、この切断面を所定の曲率で湾曲するように研磨することによって磁気テープ摺動面MS(図3参照)を形成する。そして、前記電極膜33に接続された配線(図示せず)と電気的に接続されるMR型ヘッド用電極パッド14を配設することによって、第1ヘッド部材10を製造することができる。なお、このようにして製造された第1ヘッド部材10には、第1シールド層35a上に所定の厚みで広がって、角度θで傾斜する絶縁膜12、つまり書込みギャップGp(図4参照)が形成される。
【0043】
[第2ヘッド部材の製造工程]
図9(a)に示すように、まず、アルミナ製の非磁性プレート22上に、5層のセンダストからなる4μm程度の磁性膜21aを、SiO2(シリカ)からなる0.15μm程度の非磁性膜21bを挟み込んで積層する。これら磁性膜21a及び非磁性膜21bは、それぞれの材料をターゲットとするスパッタリング法を使用することによって形成すればよい。なお、非磁性プレート22は、特許請求の範囲にいう「第2基板」に相当する。
【0044】
次に、5層目の磁性膜21a上にアルミナ製の非磁性プレート22を接合することによって、非磁性プレート22,22で挟み込まれたラミネート層21を備える積層体46を得ることができる。なお、5層目の磁性膜21a上に接合する非磁性プレート22は、アルミナをターゲットとするスパッタリング法によって形成してもよい。
【0045】
次に、図9(b)に示すように、積層体46に切削加工を施すことによって、磁気テープ摺動面MS及びコイル23を受け入れる窪みPを形成する。そして、この窪みPに所定の巻き数でコイル23を巻回した後、このコイル23と電気的に接続する記録ヘッド用電極パッド24を配設することによって、第2ヘッド部材20を製造することができる。
【0046】
[複合型磁気ヘッドの製造工程]
第1ヘッド部材10の磁気テープ摺動面MSと、第2ヘッド部材20の磁気テープ摺動面MSとが所定の曲率で面一になるように位置決めする。この際、第1ヘッド部材10の第1シールド層35aと、第2ヘッド部材20のラミネート層21が、書き込みギャップGpを介して向き合うように、そして、第1ヘッド部材10の接合面JSで露出する第1シールド層35aと、第2ヘッド部材20の磁性膜21aとが磁気的に接続されるように第1ヘッド部材10及び第2ヘッド部材20を位置決めする。
【0047】
そして、このように位置決めした両ヘッド部材10,20を相互にガラス溶着するとともに、磁気テープ摺動面MSを研磨すれば、本実施の形態に係る複合型磁気ヘッドが完成する。
【0048】
このような複合型磁気ヘッドの製造方法では、従来の複合型磁気ヘッドのように、ウエハ上に薄膜を積層して作り込んだ再生ヘッド(MR型ヘッド)上に、さらに薄膜を積層して記録ヘッド(電磁誘導型磁気ヘッド)を作り込む方法とは異なり、MR型ヘッド30を備えた第1ヘッド部材10と磁性コア17を備えた第2ヘッド部材20とを別途に製造した後、これらを相互に接続することによって複合型磁気ヘッドが製造される。つまり、従来の製造方法では、センダストのように、成膜時の高温処理によって、先に作り込んだMR膜31cの性能が低下するために、磁性コアの材料として使用することができなかった高磁束密度材料を、本実施の形態の複合型磁気ヘッドの製造方法では使用することができる。したがって、この複合型磁気ヘッドの製造方法によれば、センダストのような高磁束密度材料からなる磁性コアを備えた複合型磁気ヘッドを製造することができ、延いては、磁気テープの高記録密度化を図ることができる複合型磁気ヘッドを製造することができる。
【0049】
(第2の実施の形態)
以下に、本発明に係る複合型磁気ヘッドの第2の実施の形態について、適宜図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分については同じ符合を付して説明を省略する。参照する図面において、図10は、第2の実施の形態の複合型磁気ヘッドの斜視図、図11は、図10の複合型磁気ヘッドを磁気テープ摺動面から見た様子を示す図、図12は、図11のZ−Z線における断面図である。
【0050】
本実施の形態の複合型磁気ヘッドは、第1の実施の形態と同様に、ヘリカルスキャン方式の磁気テープ記録再生装置に使用される複合型磁気ヘッドであって、図10に示すように、第1ヘッド部材50と第2ヘッド部材51とで構成されている。そして、これら第1ヘッド部材50及び第2ヘッド部材51は、相互にガラス15で相互に接合されているとともに、第1ヘッド部材50から第2ヘッド部材51にかけて、所定の曲率で湾曲する磁気テープ摺動面MSを有している。
【0051】
[第1ヘッド部材]
図11に示すように、第1ヘッド部材50は、第1の実施の形態で使用される第1ヘッド部材10(図2参照)と同様に、MR型ヘッド30が、角度θで傾斜するベース部材11の上端面13上で、角度θで傾斜するように形成されている。この第1ヘッド部材50は、第2ヘッド部材51との接合面JSが、前記角度θと相違する角度αで傾斜し、そして、図12に示すように、第1シールド層35aの後端が接合面JSで露出していないこと以外は、第1の実施の形態で使用される第1ヘッド部材10と同様に構成されている。
【0052】
[第2ヘッド部材]
本実施の形態の複合型磁気ヘッドに使用される第2ヘッド部材51は、図10に示すように、第1ヘッド部材50とガラス15で接合されており、その接合角は、図11に示すように、角度αに設定されている。
【0053】
この第2ヘッド部材51は、図10に示すように、第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bがガラス15で接合されたものであり、その接合角が、前記したMR型ヘッド30の傾斜に合わせて、角度θ(図11参照)に設定されている。
【0054】
これら第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bは、第1の実施の形態で使用される第2ヘッド部材20(図4参照)と同様に、ラミネート層21と、このラミネート層21を挟み込む1対の非磁性プレート22と、これらラミネート層21及び非磁性プレート22を巻回するコイル23とを備えている。
【0055】
ラミネート層21は、図11に示すように、これらは第1の実施の形態と同様な5層の磁性膜21aと、各磁性膜21aに挟み込まれた非磁性膜21bとで構成されている。
【0056】
そして、第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bの磁性膜21a同士は、図12に示すように、一端側、つまり磁気テープ摺動面MS側で、第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bを接合するガラス15の均一な厚みの膜を介して向き合っている。また、他端側では、第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bの磁性膜21a同士が磁気的に接続されている。なお、第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bの磁性膜21aは、磁性コアを構成し、向き合う磁性膜21aで挟み込まれたガラス15の前記した膜は、書き込みギャップGpとして機能している。
【0057】
これら磁性膜21aからなる磁性コア、書き込みギャップGp並びにコイル23は、本実施の形態に係る複合型磁気ヘッドにおいて、電磁誘導型ヘッド16a(記録ヘッド)を構成している。
【0058】
次に、本実施の形態に係る複合型磁気ヘッドの動作を説明する。まず、磁気情報を磁気テープに記録する工程を説明すると、第1の実施の形態と同様の電流が、第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bのそれぞれの記録ヘッド用電極パッド24(図10参照)を介してコイル23に付与される。このような電流が付与されると、コイル23は、第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bの磁性膜21aを伝わる磁束流を誘起する。そして、この磁束流は、図12に示すように、磁気テープ摺動面MS上で前記したガラス15の膜で形成された書き込みギャップGpを迂回する漏れ磁束M1(図12参照)を生起する。この漏れ磁束M1によって、磁気テープ摺動面MS上を摺動する磁気テープには、磁気情報(2値情報)が記録されていく。
【0059】
この複合型磁気ヘッドでは、第1の実施の形態と同様に、磁性コアが複数の磁性膜21aで構成されているとともに、各磁性膜21a同士が非磁性膜21bで隔てられているので、磁性コアに発生する渦電流が著しく低減される。したがって、この複合型磁気ヘッドによれば、高周波特性に優れ、磁気情報の転送レートを高めることができるので、磁気テープの高記録密度化を図ることができる。
【0060】
また、この複合型磁気ヘッドでは、図12に示すように、磁気テープ摺動面MS上で、第1ヘッド部材50の第1シールド層35aと、第2ヘッド部材51の磁性膜21aとの間で漏れ磁束M2が生起する場合がある。つまり、第1シールド層35aと磁性膜21aとの間に配置される絶縁膜12が擬似ギャップを形成する場合がある。この漏れ磁束M2は、妨害信号を磁気テープに記録する。その一方で、本実施の形態の複合型磁気ヘッドでは、第1ヘッド部材50の接合面JSが、前記角度θ、すなわちアジマス角と相違する角度αで傾斜している。したがって、この複合型磁気ヘッドを使用して磁気テープに記録された磁気情報を再生する際には、妨害信号を排除することができる。
なお、磁気情報を磁気テープから再生する工程は、第1の実施の形態と同様に実施すればよい。
【0061】
次に、本実施の形態に係る複合型磁気ヘッドの製造方法について説明する。
[第1ヘッド部材の製造工程]
第1ヘッド部材50は、第1の実施の形態と同様にして、ベース部材11(図10参照)上に、MR型ヘッド30が埋め込まれた絶縁膜12を形成することによって製造することができる。なお、この際、第1シールド層35aを接合面JSに露出させなくともよく、そして、図11に示すように、接合面JSの傾斜角が角度αになるように切削すればよい。
【0062】
[第2ヘッド部材の製造工程]
まず、第1の実施の形態と同様にして、積層体46(図9(a)参照)を製造する。そして、この積層体46に切削加工を施すことによって、磁気テープ摺動面MS及びコイル23を受け入れる窪みPを形成し、次いで、この窪みPに所定の巻き数でコイル23を巻回した後、このコイル23と電気的に接続する記録ヘッド用電極パッド24を配設することによって、第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bをそれぞれ製造する。
【0063】
そして、第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bの一端側、つまり磁気テープ摺動面MS側で、これらの磁性膜21a同士をガラス15の均一な厚みの膜を介して向き合うように接合する。そして、他端側で第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bの磁性膜21a同士を磁気的に接続することによって、第2ヘッド部材51を製造することができる。
【0064】
[複合型磁気ヘッドの製造工程]
第1ヘッド部材50の磁気テープ摺動面MSと、第2ヘッド部材51の磁気テープ摺動面MSとが所定の曲率で面一になるように位置決めする。そして、このように位置決めした両ヘッド部材50,51を相互にガラス溶着するとともに、磁気テープ摺動面MSを研磨すれば、本実施の形態に係る複合型磁気ヘッドが完成する。
【0065】
このような複合型磁気ヘッドの製造方法によれば、第1の実施の形態と同様に、従来の複合型磁気ヘッドでは、磁性コアとして使用することができなかったセンダストを使用することができる。したがって、この複合型磁気ヘッドの製造方法によれば、センダストのような高磁束密度材料からなる磁性コアを備えた複合型磁気ヘッドを製造することができ、延いては、磁気テープの高記録密度化を図ることができる複合型磁気ヘッドを製造することができる。
【0066】
(複合型磁気ヘッドの評価試験)
本発明の複合型磁気ヘッドの周波数特性(電磁変換特性)について評価試験を行った。この評価試験には、第1の実施の形態の複合型磁気ヘッド及び第2の実施の形態の複合型磁気ヘッドを使用した。なお、比較例には、記録ヘッドとしてMIG(Metal In Gap)ヘッドを搭載し、再生ヘッドとしてMR型ヘッドを搭載した複合型磁気ヘッドを使用した。
【0067】
評価試験は、複合型磁気ヘッドに対する磁気テープの相対走行速度を5m/sに設定するとともに、複合型磁気ヘッドの電磁誘導型ヘッド16,16a(記録ヘッド)に周波数11〜17MHzの矩形波信号を入力することによって、磁気テープに磁気情報を記録した。
【0068】
次に、この磁気テープに記録された磁気情報を複合型磁気ヘッドのMR型ヘッド30(再生ヘッド)で再生した際の出力(dBm)を測定した。その結果を図13に示す。なお、図13中、第1の実施の形態の複合型磁気ヘッドの測定結果は、実施例1で示し、第2の実施の形態の複合型磁気ヘッドの測定結果は、実施例2で示した。
【0069】
図13から明らかなように、本発明の複合型磁気ヘッドは、記録ヘッドとしてMIGヘッドを搭載した複合型磁気ヘッドに比較して、周波数特性に優れており、さらには、この傾向が、入力信号の周波数が増大するにしたがってより顕著になっている。
【0070】
以上、本発明は、前記実施の形態に限定されることなく、様々な形態で実施される。
例えば、第1の実施の形態の複合型磁気ヘッドでは、コイル23(図1参照)が線材を磁性コアに巻いた巻き線コイルで構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、このコイル23に代えて、フォトリソグラフ法でパターニングすることによって形成した薄膜コイルを備えた複合型磁気ヘッドであってもよい。
【0071】
この複合型磁気ヘッドは、第1の実施の形態に使用される第1ヘッド部材10(図1参照)と、図14(a)及び図14(b)に示すような第2ヘッド部材60とが接合されることによって構成されている。なお、図14(b)は、第2ヘッド部材60の斜視図である図14(a)のL−L線における断面図である。
【0072】
この第2ヘッド部材60は、第1の実施の形態に使用される第2ヘッド部材20(図4参照)と同様に、ラミネート層21を備えている。そして、第2ヘッド部材60は、第2ヘッド部材60の磁性膜21aと磁気的に接続された磁心部材61と、この磁心部材61を取り囲む絶縁部材62と、この絶縁部材62に埋め込まれるとともに、前記磁心部材61の周囲を巻回する薄膜コイル23aとを備えている。そして、薄膜コイル23aは、第2ヘッド部材60に配設された記録ヘッド用電極パッド24と電気的に接続されている。
【0073】
このような第2ヘッド部材60が第1ヘッド部材10(図1参照)と接合されることによって構成される複合型磁気ヘッドは、一端側(磁気テープ摺動面MS側)で先細りになった磁性膜21aの先端部63が、第1シールド層35aと向き合って、書き込みギャップGp(図5参照)を形成するとともに、他端側で、磁心部材61と、前記第1ヘッド部材10(図5参照)の接合面JSに露出する第1シールド層35aとが磁気的に接続されるようになっている。
【0074】
このような複合型磁気ヘッドでは、フォトリソグラフ法で、例えば、銅薄膜といった導電性金属箔膜をパターニングすることによって形成することができる薄膜コイル23aを備えているので、線材を巻いて構成したコイルと比較して、コイルをより細く形成することができる。したがって、この複合型磁気ヘッドによれば、コイルの巻き数を著しく増加させることができる。また、この複合型磁気ヘッドによれば、薄膜コイル23aが絶縁部材62に埋め込まれているので、コイルの絶縁不良を確実に回避することができる。また、この薄膜コイル23aは、ラミネート層21を形成する、例えばスパッタリング装置を使用して形成することができるので、線材を巻回する巻き線装置を別途に用意する必要がない。その結果、既存設備を有効に利用することができることから、複合型磁気ヘッドの製造コストを低減することができる。
【0075】
また、このような薄膜コイル23aは、第1ヘッド部材10の第1シールド層35a上に形成される絶縁膜12中に配設されてよい。
【0076】
また、第1及び第2の実施の形態の複合型磁気ヘッドでは、パーマロイからなるMR膜31cを備えたMR型ヘッド30を使用したが、これに代えて、スピンバルブ膜を備えたGMR型ヘッドやトンネル接合膜を備えたTMR型ヘッドが使用されてもよい
【0077】
【発明の効果】
本発明の複合型磁気ヘッド及びその製造方法によれば、磁気情報の再生出力が大きく、しかも磁気記録媒体のさらなる高記録密度化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る複合型磁気ヘッドの斜視図である。
【図2】図1の複合型磁気ヘッドにおける磁気抵抗効果型ヘッドを磁気テープ摺動面から見た様子を示す図である。
【図3】図2のX−X線における断面図である。
【図4】図1の複合型磁気ヘッドを磁気テープ摺動面から見た様子を示す図である。
【図5】図4のY−Y線における断面図である。
【図6】図6(a)〜(e)は、第1ヘッド部材の製造工程を示す図である。
【図7】図7(a)〜(d)は、第1ヘッド部材の製造工程を示す図である。
【図8】図8(a)〜(c)は、第1ヘッド部材の製造工程を示す図である。
【図9】図9(a)及び(b)は、第2ヘッド部材の製造工程を示す図である。
【図10】第2の実施の形態に係る複合型磁気ヘッドの斜視図である。
【図11】図10の複合型磁気ヘッドを磁気テープ摺動面から見た様子を示す図である。
【図12】図11のZ−Z線における断面図である。
【図13】図1の複合型磁気ヘッド及び図10の複合型磁気ヘッドの周波数特性を示すグラフである。
【図14】図14(a)は、他の実施の形態に係る複合型磁気ヘッドに使用される第2ヘッド部材の斜視図、図14(b)は、図14(a)のL−L線における断面図である。
【符号の説明】
10 第1ヘッド部材
16,16a 電磁誘導型ヘッド
17 磁性コア
20 第2ヘッド部材
21a 磁性膜
21b 非磁性膜
23 コイル
23a 薄膜コイル
30 MR型ヘッド(磁気抵抗効果型ヘッド)
Gp 書き込みギャップ
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体に磁気情報を記録する記録ヘッドと、記録された磁気情報を再生する再生ヘッドとを備えた複合型磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今、磁気テープや磁気ディスクといった磁気記録媒体の高記録密度化が望まれるなか、このような磁気記録媒体に対して磁気情報の記録を行う記録ヘッドは、磁気記録媒体のトラック幅を狭小化するために、書き込みギャップの幅の狭小化と高周波特性の向上が図られている。
【0003】
従来、磁気ディスクに磁気情報を記録する電磁誘導型ヘッドと、記録された磁気情報を再生する磁気抵抗効果型ヘッドとを備えた複合型磁気ヘッドが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この複合型磁気ヘッドは、磁気抵抗効果型ヘッドが、磁気ディスクとの相対速度に依存せずに記録された磁気情報を再生することができるとともに、電磁誘導型ヘッドが、薄膜で形成された磁性コアを備えており、書き込みギャップの幅を狭小化することができる。したがって、このような複合型磁気ヘッドを磁気テープに応用すれば、磁性コアでの薄膜化が進めば進むほど、磁気テープに幅のより狭いトラックを形成することができる。しかも、この複合型磁気ヘッドによれば、磁気抵抗効果型ヘッドによって再生する磁気情報の出力を高めることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−183914号公報(段落番号(0023)、段落番号(0024)及び図1参照)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この複合型磁気ヘッドの電磁誘導型ヘッドでは、渦巻き状のコイルが、磁性コアを構成する上部磁極層と下部磁極層との間で、これら両磁性層を磁気的に接合する接合部を中心に巻回している。そして、この渦巻き状コイルに通電することによって、磁性コアを伝わって書き込みギャップで漏れ出る磁束(記録磁束)が誘起される。しかしながら、このような記録磁束が誘起される一方で、両磁極層に直交する方向に向けて磁束流が生起する。この磁束流によって、両磁極層には渦電流が生じる。そして、このような渦電流が両磁極層に生じると、電磁誘導型ヘッドの高周波数帯域における電磁変換特性が劣化するため、この電磁誘導型ヘッドでは、磁気テープのさらなる高記録密度化が図れない。
【0007】
本発明は、磁気情報の再生出力が大きく、しかも磁気記録媒体のさらなる高記録密度化を図ることができる複合型磁気ヘッド及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための請求項1に記載の複合型磁気ヘッドは、磁性膜が非磁性膜を介して複数積層された磁性コア、この磁性コアに磁束流を誘起させるコイル及び前記磁束流が漏れ出る書き込みギャップを有する電磁誘導型磁気ヘッドと、磁気抵抗効果型ヘッドとを備える複合型磁気ヘッドであって、前記磁性コアは、前記磁性膜の端面が前記書き込みギャップに向けて配置されていることを特徴とする。
【0009】
この複合型磁気ヘッドでは、コイルによって磁性コアで誘起された磁束流は、書き込みギャップに向けて配置された磁性膜の厚み方向の端面から漏れ出るように複数の磁性膜のそれぞれを伝わる。この際、これら複数の磁性膜のそれぞれは、非磁性膜を介して積層されているとともに、その端面が書き込みギャップに向くように配置されているので、磁性膜で生起する渦電流が著しく低減される。したがって、この複合型磁気ヘッドによれば、電磁誘導型ヘッドにおける高周波数帯域での電磁変換特性の劣化が著しく低減されるため、磁気記録媒体のさらなる高記録密度化を図ることができる。また、この複合型磁気ヘッドは、磁気抵抗効果型ヘッドを備えているので、磁気情報の再生出力を高めることができる。
【0010】
請求項2に記載の複合型磁気ヘッドは、請求項1に記載の複合型磁気ヘッドにおいて、前記コイルが、薄膜コイルであることを特徴とする。
【0011】
この複合型磁気ヘッドでは、コイルが薄膜コイルであるので、コイルを例えばフォトリソグラフ法でパターニングすることによって形成することができる。したがって、線材を巻いて構成したコイルと比較して、コイルをより細く形成することができるので、コイルの巻き数を著しく増加させることができる。また、コイルの絶縁不良を確実に回避することができる。
【0012】
請求項3に記載の複合型磁気ヘッドの製造方法は、第1基板上に磁気抵抗効果素子を形成して第1ヘッド部材を製造する工程と、第2基板上に磁性膜及び非磁性膜を交互に複数積層して第2ヘッド部材を製造する工程と、前記第1ヘッド部材及び前記第2ヘッド部材を接合する工程とを備えることを特徴とする。
【0013】
この複合型磁気ヘッドの製造方法では、第2ヘッド部材を製造する工程で、磁性膜及び非磁性膜を交互に複数積層することによって、請求項1又は請求項2に記載の複合型磁気ヘッドの磁性コアを製造することができる。そして、この複合型磁気ヘッドの製造方法では、磁気抵抗効果素子を形成した第1ヘッド部材と、磁性コアを形成した第2ヘッド部材とを別途に形成した後、これら第1ヘッド部材及び第2ヘッド部材を相互に接合することによって、複合型磁気ヘッドを製造している。
【0014】
したがって、この複合型磁気ヘッドの製造方法によれば、高磁束密度を実現する磁性コアの材料ではあるが、従来の複合型磁気ヘッドでは、その構造から使用することができなかったセンダスト(Fe−Al−Si系合金)を磁性コアに使用することができる。つまり、従来の複合型磁気ヘッドの製造方法では、先に作り込んだ磁気抵抗効果型ヘッド上に電磁誘導型ヘッドを重ねて作り込むため、成膜に高温処理を要するセンダストを磁性コアに使用すると、その高温によって磁気抵抗効果型ヘッドの磁気抵抗効果膜の性能が低下してしまう。これに対し、請求項3に記載の複合型磁気ヘッドの製造方法は、磁気抵抗効果型ヘッドと、磁性コアとを別々に製造するので、センダストを使用することができる。したがって、この複合型磁気ヘッドの製造方法によれば、センダストを磁性コアに使用した、磁気テープのさらなる高記録密度化を図ることができる複合型磁気ヘッドを製造することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下に、本発明に係る複合型磁気ヘッドの第1の実施の形態について、適宜図面を参照して詳細に説明する。参照する図面において、図1は、本発明に係る複合型磁気ヘッドの斜視図、図2は、図1の複合型磁気ヘッドにおける磁気抵抗効果型ヘッドを磁気テープ摺動面から見た様子を示す図、図3は、図2のX−X線における断面図、図4は、図1の複合型磁気ヘッドを磁気テープ摺動面から見た様子を示す図、図5は、図4のY−Y線における断面図である。
【0016】
本実施の形態の複合型磁気ヘッドは、ヘリカルスキャン方式の磁気テープ記録再生装置に使用される複合型磁気ヘッドであって、図1に示すように、第1ヘッド部材10と第2ヘッド部材20とで構成されている。そして、第1ヘッド部材10と第2ヘッド部材20とは、ガラス15で相互に接合されているとともに、第1ヘッド部材10から第2ヘッド部材20にかけて、所定の曲率で湾曲する磁気テープ摺動面MSを有している。
【0017】
[第1ヘッド部材]
第1ヘッド部材10は、図1に示すように、Al2O3・TiC(アルミナチタンカーバイド)からなるベース部材11と、第2ヘッド部材20側でこのベース部材11上に形成された絶縁膜12と、この絶縁膜12中に埋設されるとともに、磁気テープ摺動面MSで露出する磁気抵抗効果(以下、単に「MR」という)型ヘッド30とを備えている。
【0018】
絶縁膜12は、Al2O3(アルミナ)からなり、図2に示すように、角度θで傾斜するベース部材11の上端面13に均一な厚みで広がるように形成されている。
【0019】
MR型ヘッド30は、磁気テープに記録された磁気情報を再生する再生ヘッドであって、MR素子31と、このMR素子31を両側から挟みこむように配置される磁区制御膜32,32(ハード膜)と、磁区制御膜32,32上に広がる電極膜33,33と、これらMR素子31、磁区制御膜32,32及び電極膜33,33を上下から被覆する第1ギャップ層34a及び第2ギャップ層34bと、第1及び第2ギャップ層34a,34bを介してMR素子31を上下から挟み込む第1シールド層35a(上部シールド層)及び第2シールド層35b(下部シールド層)とで構成されている。
【0020】
MR素子31は、前記第2ギャップ層34b上に形成されたNi−Fe−Nb(ニッケル・鉄・ニオブ)系合金からなる軟磁性層31a(SAL層)と、この軟磁性層31a上に形成されたTa(タンタル)からなる非磁性層31b(SHUNT層)と、この非磁性層31b上に形成されたNi−Fe(ニッケル・鉄)系合金(パーマロイ)からなるMR膜31cとで構成されている。このMR素子31は、磁気テープ摺動面MSを摺動する磁気テープからの磁気を受けて、MR膜31cの磁化方向が磁気テープの磁気の向きに応じて変化する際に、その電気抵抗値が変化するようになっている。
【0021】
磁区制御膜32,32は、Co−Cr−Pt(コバルト・クロム・白金)系合金からなり、MR膜31cにバイアス磁界をかけることによって、MR膜31cの磁化方向が変化する際に発生するバルクハウゼンノイズを低減するためのものである。
【0022】
電極膜33,33は、Au(金)からなり、磁区制御膜32を介してMR素子31にセンス電流を供給するものである。この電極膜33は、この第1ヘッド部材10のMR型ヘッド用電極パッド14,14(図1参照)と電気的に接続されている。
【0023】
第1及び第2ギャップ層34a,34bは、アルミナからなり、MR素子31と、次に説明する第1及び第2シールド層35a,35bとを磁気的に絶縁するものである。
【0024】
第1及び第2シールド層35a,35bは、Ni−Fe(ニッケル・鉄)系合金からなり、図3に示すように、先端で磁気テープ摺動面MSに露出するとともに、第1ヘッド部材10と第2ヘッド部材20との接合面JSに沿うように後方に向けて延びている。そして、第1シールド層35aの後端は接合面JSで露出している。
【0025】
これら第1及び第2シールド層35a,35bは、前記したMR素子31並びに第1及び第2ギャップ層34a,34bを挟み込むことによって、第1及び第2シールド層35a,35b間に、磁気テープに記録された磁気情報を読み出すための読み出しギャップを形成している。また、第1シールド層35aは、後記する第2ヘッド部材20に配設される磁性膜21a(図4参照)とともに、磁性コアを構成している。つまり、第1シールド層35aは、下部磁極層をも兼ねている。
【0026】
このようなMR型ヘッド30及びこれを埋設した絶縁膜12は、再び図2を参照すると明らかなように、磁気テープの摺動方向に垂直な方向に対し、角度θで傾斜するベース部材11の上端面13上で、角度θで傾斜するように形成されている。
【0027】
[第2ヘッド部材]
第2ヘッド部材20は、再び図1を参照すると明らかなように、ラミネート層21と、このラミネート層21を挟み込む1対のアルミナからなる非磁性プレート22と、これらラミネート層21及び非磁性プレート22を巻回するコイル23とを備えている。コイル23には、磁気テープに記録する磁気情報(2値情報)に応じて極性が変化する電流が記録ヘッド用電極パッド24を介して付与されるようになっている。
【0028】
ラミネート層21は、図4に示すように、Fe−Al−Si系合金(センダスト)からなる5層の磁性膜21aと、各磁性膜21aに挟み込まれたSiO2(シリカ)からなる非磁性膜21bとで構成されている。これら磁性膜21aの端面は、角度θで傾斜するMR型ヘッド30の絶縁膜12と接触している。
【0029】
これら磁性膜21aは、図5に示すように、一端側(磁気テープ摺動面MS側)で、第1ヘッド部材10に近づくにつれて先細りになっているとともに、先細りになったその先端部が、第1ヘッド部材10の第1シールド層35aと絶縁膜12を介して向き合っている。そして、これら磁性膜21aと第1シールド層35aとの間に挟み込まれる絶縁膜12は、角度θで傾斜する所定幅の書き込みギャップGp(図4参照)として機能するようになっている。なお、この角度θは、予め決められたアジマス角に一致するように設定されている。
【0030】
また、これら磁性膜21aは、他端側で、第1ヘッド部材10の接合面JSで露出した第1シールド層35aと磁気的に接続されており、第1シールド層35aとで磁性コア17を構成している。また、磁性膜21a、非磁性層21b及び非磁性プレート22は、一端側と他端側の中程で、コイル23を受け入れる窪みPが形成されている。
【0031】
これら磁性膜21a及び第1シールド層35aからなる磁性コア17、書き込みギャップGp並びにコイル23は、本実施の形態に係る複合型磁気ヘッドにおいて、電磁誘導型ヘッド16(記録ヘッド)を構成している。
【0032】
次に、本実施の形態に係る複合型磁気ヘッドの動作を説明する。まず、磁気情報を磁気テープに記録する工程を説明すると、磁気テープに記録する磁気情報(2値情報)に応じて極性が変化する電流が、記録ヘッド用電極パッド24(図1参照)を介してコイル23に付与される。このような電流が付与されると、コイル23は、磁性コア17、つまりラミネート層21の磁性膜21a及びMR型ヘッド30の第1シールド層35aを伝わる磁束流を誘起する。そして、この磁束流は、磁気テープ摺動面MS上で磁性膜21a及び第1シールド層35a(図5参照)間に配置される絶縁膜12(書き込みギャップGp)を迂回する、いわゆる漏れ磁束M(図5参照)を生起する。この漏れ磁束Mは、コイル23に付与される電流の極性の変化に応じて、流れる方向が反転する。このような漏れ磁束Mによって、磁気テープ摺動面MS上を摺動する磁気テープには、磁気情報(2値情報)が記録されていく。
【0033】
この複合型磁気ヘッドでは、コイル23が磁束流を誘起した際に、磁性コア17が複数の磁性膜21aで構成されているとともに、各磁性膜21a同士が非磁性膜21b(図4参照)で隔てられているので、磁性コア17に発生する渦電流が著しく低減される。したがって、この複合型磁気ヘッドによれば、高周波特性に優れ、磁気情報の転送レートを高めることができるので、磁気テープの高記録密度化を図ることができる。
【0034】
次に、磁気情報を磁気テープから再生する工程を説明する。センス電流が、MR型ヘッド用電極パッド14(図1参照)を介してMR型ヘッド30の電極膜33(図2参照)に付与されると、このセンス電流は、磁区制御膜32を介してMR素子31に付与される。その一方で、MR膜31cが、磁気テープ摺動面MS上で摺動する磁気テープからの磁気(磁気情報)に晒されると、その磁気の極性の変化に応じてMR膜31cの磁化方向が変化する。そして、このMR膜31cが組み込まれたMR型ヘッド30は、MR膜31cの磁化方向の変化に応じて変化する電気抵抗値を、一定のセンス電流を付与することによって出力される電極膜33,33の間の電圧の変化として読み取ることによって、磁気テープに記録された磁気情報(2値情報)を再生する。したがって、このようなMR型ヘッド30を備えた複合型磁気ヘッドによれば、磁気テープに記録された磁気情報を電気抵抗値の変化として読み出すことができるので、磁気テープの走行速度に依存せずに高い再生出力を得ることができる。
【0035】
次に、本実施の形態に係る複合型磁気ヘッドの製造方法について適宜図面を参照して説明する。参照する図面において、図6(a)〜(e)、図7(a)〜(d)、図8(a)〜(c)並びに図9(a)及び(b)は、複合型磁気ヘッドの製造工程を示す図である。なお、図8(a)は、図7(d)のB−B線における断面図であり、図8(b)は、図8(a)と同じ方向からみた断面図である。
【0036】
[第1ヘッド部材の製造工程]
図6(a)に示すように、まず、アルミナチタンカーバイド製のウエハ40上に、アルミナ膜41を形成した後、このアルミナ膜41上にニッケル・鉄系合金からなる第2シールド層35bを形成する。この第2シールド層35bの形成には、フォトリソグラフ法及びイオンエッチング法が用いられればよい。次いで、図6(b)に示すように、さらにアルミナ膜41を積み重ねることによって第2シールド層35bを埋め込んだ後、その表面を平滑化し、第2シールド層35b上に第2ギャップ層34bを形成する。なお、ウエハ40は、特許請求の範囲にいう「第1基板」に相当する。
【0037】
次に、図6(c)に示すように、第2ギャップ層34bを含むアルミナ膜41上に、ニッケル・鉄・ニオブ系合金層42、タンタル層43及びパーマロイ層44をこの順番で形成する。そして、第2ギャップ層34b上に形成されたパーマロイ層44上で延びる断面形状がT字状のマスク45を形成した後、図6(d)に示すように、ニッケル・鉄・ニオブ系合金層42、タンタル層43及びパーマロイ層44をイオンエッチング法を使用することによって、両側に傾斜面を有するMR素子31を削り出す。なお、前記した各層34b,35b,42,43,44及びアルミナ膜41は、これらの材料をターゲットとするスパッタリング法で形成すればよい。
【0038】
次に、図6(e)に示すように、前記マスク45を残したままで、アルミナ膜41上でコバルト・クロム・白金系合金をターゲットとするスパッタリングを実施することによって、MR素子31の傾斜面に凭れかかるように接続される磁区制御膜32を形成する。
【0039】
次に、図7(a)に示すように、前記マスク45を取り除くとともに、フォトリソグラフ法及びイオンエッチング法によって、MR素子31を両側から挟み込むように配置された磁区制御膜32を所定の形状に削り出す。そして、アルミナ膜41上で電極膜33の輪郭を象ったパターニングをフォトリソグラフ法で形成するとともに、金をターゲットとするスパッタリング法によって、磁区制御膜32を覆う電極膜33を形成する。なお、この電極膜33には、後に形成するMR型ヘッド用電極パッド14と電気的に接続するための図示しない配線が形成される。
【0040】
電極膜33が形成された後、図7(b)に示すように、アルミナ膜41をさらに積み重ねることによって、MR素子31上にアルミナからなる第1ギャップ層34aを形成する。
【0041】
次に、図7(c)に示すように、第1ギャップ層34a上に、前記したと同様にして、ニッケル・鉄系合金からなる第1シールド層35aを形成した後、図7(d)に示すように、前記したと同様にしてアルミナ膜41をさらに積み重ねることによって、第1シールド層35aをアルミナ膜41に埋め込む。そして、図8(a)に示すように、第1シールド層35aの後端側で、この第1シールド層35aを被覆するアルミナ膜41をイオンミリング法によって削り取る。次いで、図8(b)に示すように、削り取った部分にニッケル・鉄系合金を前記接合面JSまでさらに積み重ねる。そして、接合面JSを研磨することによって、第1シールド層35aが接合面JSで部分的に露出するとともに、アルミナ膜41、つまり絶縁膜12(図2及び図3参照)に埋め込まれたMR型ヘッド30を形成する。
【0042】
次に、この絶縁膜12の上面を平滑化した後、図8(c)に示すように、絶縁膜12の上面が、前記した角度θで傾斜するようにウエハ40及びMR型ヘッド30を含んだ絶縁膜12を切り出す。そして、MR型ヘッド30が露出するような切り出し線CS(図8(b)参照)で、ウエハ40及びMR型ヘッド30を含んだ絶縁膜12を切断するとともに、この切断面を所定の曲率で湾曲するように研磨することによって磁気テープ摺動面MS(図3参照)を形成する。そして、前記電極膜33に接続された配線(図示せず)と電気的に接続されるMR型ヘッド用電極パッド14を配設することによって、第1ヘッド部材10を製造することができる。なお、このようにして製造された第1ヘッド部材10には、第1シールド層35a上に所定の厚みで広がって、角度θで傾斜する絶縁膜12、つまり書込みギャップGp(図4参照)が形成される。
【0043】
[第2ヘッド部材の製造工程]
図9(a)に示すように、まず、アルミナ製の非磁性プレート22上に、5層のセンダストからなる4μm程度の磁性膜21aを、SiO2(シリカ)からなる0.15μm程度の非磁性膜21bを挟み込んで積層する。これら磁性膜21a及び非磁性膜21bは、それぞれの材料をターゲットとするスパッタリング法を使用することによって形成すればよい。なお、非磁性プレート22は、特許請求の範囲にいう「第2基板」に相当する。
【0044】
次に、5層目の磁性膜21a上にアルミナ製の非磁性プレート22を接合することによって、非磁性プレート22,22で挟み込まれたラミネート層21を備える積層体46を得ることができる。なお、5層目の磁性膜21a上に接合する非磁性プレート22は、アルミナをターゲットとするスパッタリング法によって形成してもよい。
【0045】
次に、図9(b)に示すように、積層体46に切削加工を施すことによって、磁気テープ摺動面MS及びコイル23を受け入れる窪みPを形成する。そして、この窪みPに所定の巻き数でコイル23を巻回した後、このコイル23と電気的に接続する記録ヘッド用電極パッド24を配設することによって、第2ヘッド部材20を製造することができる。
【0046】
[複合型磁気ヘッドの製造工程]
第1ヘッド部材10の磁気テープ摺動面MSと、第2ヘッド部材20の磁気テープ摺動面MSとが所定の曲率で面一になるように位置決めする。この際、第1ヘッド部材10の第1シールド層35aと、第2ヘッド部材20のラミネート層21が、書き込みギャップGpを介して向き合うように、そして、第1ヘッド部材10の接合面JSで露出する第1シールド層35aと、第2ヘッド部材20の磁性膜21aとが磁気的に接続されるように第1ヘッド部材10及び第2ヘッド部材20を位置決めする。
【0047】
そして、このように位置決めした両ヘッド部材10,20を相互にガラス溶着するとともに、磁気テープ摺動面MSを研磨すれば、本実施の形態に係る複合型磁気ヘッドが完成する。
【0048】
このような複合型磁気ヘッドの製造方法では、従来の複合型磁気ヘッドのように、ウエハ上に薄膜を積層して作り込んだ再生ヘッド(MR型ヘッド)上に、さらに薄膜を積層して記録ヘッド(電磁誘導型磁気ヘッド)を作り込む方法とは異なり、MR型ヘッド30を備えた第1ヘッド部材10と磁性コア17を備えた第2ヘッド部材20とを別途に製造した後、これらを相互に接続することによって複合型磁気ヘッドが製造される。つまり、従来の製造方法では、センダストのように、成膜時の高温処理によって、先に作り込んだMR膜31cの性能が低下するために、磁性コアの材料として使用することができなかった高磁束密度材料を、本実施の形態の複合型磁気ヘッドの製造方法では使用することができる。したがって、この複合型磁気ヘッドの製造方法によれば、センダストのような高磁束密度材料からなる磁性コアを備えた複合型磁気ヘッドを製造することができ、延いては、磁気テープの高記録密度化を図ることができる複合型磁気ヘッドを製造することができる。
【0049】
(第2の実施の形態)
以下に、本発明に係る複合型磁気ヘッドの第2の実施の形態について、適宜図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分については同じ符合を付して説明を省略する。参照する図面において、図10は、第2の実施の形態の複合型磁気ヘッドの斜視図、図11は、図10の複合型磁気ヘッドを磁気テープ摺動面から見た様子を示す図、図12は、図11のZ−Z線における断面図である。
【0050】
本実施の形態の複合型磁気ヘッドは、第1の実施の形態と同様に、ヘリカルスキャン方式の磁気テープ記録再生装置に使用される複合型磁気ヘッドであって、図10に示すように、第1ヘッド部材50と第2ヘッド部材51とで構成されている。そして、これら第1ヘッド部材50及び第2ヘッド部材51は、相互にガラス15で相互に接合されているとともに、第1ヘッド部材50から第2ヘッド部材51にかけて、所定の曲率で湾曲する磁気テープ摺動面MSを有している。
【0051】
[第1ヘッド部材]
図11に示すように、第1ヘッド部材50は、第1の実施の形態で使用される第1ヘッド部材10(図2参照)と同様に、MR型ヘッド30が、角度θで傾斜するベース部材11の上端面13上で、角度θで傾斜するように形成されている。この第1ヘッド部材50は、第2ヘッド部材51との接合面JSが、前記角度θと相違する角度αで傾斜し、そして、図12に示すように、第1シールド層35aの後端が接合面JSで露出していないこと以外は、第1の実施の形態で使用される第1ヘッド部材10と同様に構成されている。
【0052】
[第2ヘッド部材]
本実施の形態の複合型磁気ヘッドに使用される第2ヘッド部材51は、図10に示すように、第1ヘッド部材50とガラス15で接合されており、その接合角は、図11に示すように、角度αに設定されている。
【0053】
この第2ヘッド部材51は、図10に示すように、第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bがガラス15で接合されたものであり、その接合角が、前記したMR型ヘッド30の傾斜に合わせて、角度θ(図11参照)に設定されている。
【0054】
これら第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bは、第1の実施の形態で使用される第2ヘッド部材20(図4参照)と同様に、ラミネート層21と、このラミネート層21を挟み込む1対の非磁性プレート22と、これらラミネート層21及び非磁性プレート22を巻回するコイル23とを備えている。
【0055】
ラミネート層21は、図11に示すように、これらは第1の実施の形態と同様な5層の磁性膜21aと、各磁性膜21aに挟み込まれた非磁性膜21bとで構成されている。
【0056】
そして、第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bの磁性膜21a同士は、図12に示すように、一端側、つまり磁気テープ摺動面MS側で、第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bを接合するガラス15の均一な厚みの膜を介して向き合っている。また、他端側では、第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bの磁性膜21a同士が磁気的に接続されている。なお、第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bの磁性膜21aは、磁性コアを構成し、向き合う磁性膜21aで挟み込まれたガラス15の前記した膜は、書き込みギャップGpとして機能している。
【0057】
これら磁性膜21aからなる磁性コア、書き込みギャップGp並びにコイル23は、本実施の形態に係る複合型磁気ヘッドにおいて、電磁誘導型ヘッド16a(記録ヘッド)を構成している。
【0058】
次に、本実施の形態に係る複合型磁気ヘッドの動作を説明する。まず、磁気情報を磁気テープに記録する工程を説明すると、第1の実施の形態と同様の電流が、第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bのそれぞれの記録ヘッド用電極パッド24(図10参照)を介してコイル23に付与される。このような電流が付与されると、コイル23は、第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bの磁性膜21aを伝わる磁束流を誘起する。そして、この磁束流は、図12に示すように、磁気テープ摺動面MS上で前記したガラス15の膜で形成された書き込みギャップGpを迂回する漏れ磁束M1(図12参照)を生起する。この漏れ磁束M1によって、磁気テープ摺動面MS上を摺動する磁気テープには、磁気情報(2値情報)が記録されていく。
【0059】
この複合型磁気ヘッドでは、第1の実施の形態と同様に、磁性コアが複数の磁性膜21aで構成されているとともに、各磁性膜21a同士が非磁性膜21bで隔てられているので、磁性コアに発生する渦電流が著しく低減される。したがって、この複合型磁気ヘッドによれば、高周波特性に優れ、磁気情報の転送レートを高めることができるので、磁気テープの高記録密度化を図ることができる。
【0060】
また、この複合型磁気ヘッドでは、図12に示すように、磁気テープ摺動面MS上で、第1ヘッド部材50の第1シールド層35aと、第2ヘッド部材51の磁性膜21aとの間で漏れ磁束M2が生起する場合がある。つまり、第1シールド層35aと磁性膜21aとの間に配置される絶縁膜12が擬似ギャップを形成する場合がある。この漏れ磁束M2は、妨害信号を磁気テープに記録する。その一方で、本実施の形態の複合型磁気ヘッドでは、第1ヘッド部材50の接合面JSが、前記角度θ、すなわちアジマス角と相違する角度αで傾斜している。したがって、この複合型磁気ヘッドを使用して磁気テープに記録された磁気情報を再生する際には、妨害信号を排除することができる。
なお、磁気情報を磁気テープから再生する工程は、第1の実施の形態と同様に実施すればよい。
【0061】
次に、本実施の形態に係る複合型磁気ヘッドの製造方法について説明する。
[第1ヘッド部材の製造工程]
第1ヘッド部材50は、第1の実施の形態と同様にして、ベース部材11(図10参照)上に、MR型ヘッド30が埋め込まれた絶縁膜12を形成することによって製造することができる。なお、この際、第1シールド層35aを接合面JSに露出させなくともよく、そして、図11に示すように、接合面JSの傾斜角が角度αになるように切削すればよい。
【0062】
[第2ヘッド部材の製造工程]
まず、第1の実施の形態と同様にして、積層体46(図9(a)参照)を製造する。そして、この積層体46に切削加工を施すことによって、磁気テープ摺動面MS及びコイル23を受け入れる窪みPを形成し、次いで、この窪みPに所定の巻き数でコイル23を巻回した後、このコイル23と電気的に接続する記録ヘッド用電極パッド24を配設することによって、第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bをそれぞれ製造する。
【0063】
そして、第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bの一端側、つまり磁気テープ摺動面MS側で、これらの磁性膜21a同士をガラス15の均一な厚みの膜を介して向き合うように接合する。そして、他端側で第2ヘッド部材51a及び第2ヘッド部材51bの磁性膜21a同士を磁気的に接続することによって、第2ヘッド部材51を製造することができる。
【0064】
[複合型磁気ヘッドの製造工程]
第1ヘッド部材50の磁気テープ摺動面MSと、第2ヘッド部材51の磁気テープ摺動面MSとが所定の曲率で面一になるように位置決めする。そして、このように位置決めした両ヘッド部材50,51を相互にガラス溶着するとともに、磁気テープ摺動面MSを研磨すれば、本実施の形態に係る複合型磁気ヘッドが完成する。
【0065】
このような複合型磁気ヘッドの製造方法によれば、第1の実施の形態と同様に、従来の複合型磁気ヘッドでは、磁性コアとして使用することができなかったセンダストを使用することができる。したがって、この複合型磁気ヘッドの製造方法によれば、センダストのような高磁束密度材料からなる磁性コアを備えた複合型磁気ヘッドを製造することができ、延いては、磁気テープの高記録密度化を図ることができる複合型磁気ヘッドを製造することができる。
【0066】
(複合型磁気ヘッドの評価試験)
本発明の複合型磁気ヘッドの周波数特性(電磁変換特性)について評価試験を行った。この評価試験には、第1の実施の形態の複合型磁気ヘッド及び第2の実施の形態の複合型磁気ヘッドを使用した。なお、比較例には、記録ヘッドとしてMIG(Metal In Gap)ヘッドを搭載し、再生ヘッドとしてMR型ヘッドを搭載した複合型磁気ヘッドを使用した。
【0067】
評価試験は、複合型磁気ヘッドに対する磁気テープの相対走行速度を5m/sに設定するとともに、複合型磁気ヘッドの電磁誘導型ヘッド16,16a(記録ヘッド)に周波数11〜17MHzの矩形波信号を入力することによって、磁気テープに磁気情報を記録した。
【0068】
次に、この磁気テープに記録された磁気情報を複合型磁気ヘッドのMR型ヘッド30(再生ヘッド)で再生した際の出力(dBm)を測定した。その結果を図13に示す。なお、図13中、第1の実施の形態の複合型磁気ヘッドの測定結果は、実施例1で示し、第2の実施の形態の複合型磁気ヘッドの測定結果は、実施例2で示した。
【0069】
図13から明らかなように、本発明の複合型磁気ヘッドは、記録ヘッドとしてMIGヘッドを搭載した複合型磁気ヘッドに比較して、周波数特性に優れており、さらには、この傾向が、入力信号の周波数が増大するにしたがってより顕著になっている。
【0070】
以上、本発明は、前記実施の形態に限定されることなく、様々な形態で実施される。
例えば、第1の実施の形態の複合型磁気ヘッドでは、コイル23(図1参照)が線材を磁性コアに巻いた巻き線コイルで構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、このコイル23に代えて、フォトリソグラフ法でパターニングすることによって形成した薄膜コイルを備えた複合型磁気ヘッドであってもよい。
【0071】
この複合型磁気ヘッドは、第1の実施の形態に使用される第1ヘッド部材10(図1参照)と、図14(a)及び図14(b)に示すような第2ヘッド部材60とが接合されることによって構成されている。なお、図14(b)は、第2ヘッド部材60の斜視図である図14(a)のL−L線における断面図である。
【0072】
この第2ヘッド部材60は、第1の実施の形態に使用される第2ヘッド部材20(図4参照)と同様に、ラミネート層21を備えている。そして、第2ヘッド部材60は、第2ヘッド部材60の磁性膜21aと磁気的に接続された磁心部材61と、この磁心部材61を取り囲む絶縁部材62と、この絶縁部材62に埋め込まれるとともに、前記磁心部材61の周囲を巻回する薄膜コイル23aとを備えている。そして、薄膜コイル23aは、第2ヘッド部材60に配設された記録ヘッド用電極パッド24と電気的に接続されている。
【0073】
このような第2ヘッド部材60が第1ヘッド部材10(図1参照)と接合されることによって構成される複合型磁気ヘッドは、一端側(磁気テープ摺動面MS側)で先細りになった磁性膜21aの先端部63が、第1シールド層35aと向き合って、書き込みギャップGp(図5参照)を形成するとともに、他端側で、磁心部材61と、前記第1ヘッド部材10(図5参照)の接合面JSに露出する第1シールド層35aとが磁気的に接続されるようになっている。
【0074】
このような複合型磁気ヘッドでは、フォトリソグラフ法で、例えば、銅薄膜といった導電性金属箔膜をパターニングすることによって形成することができる薄膜コイル23aを備えているので、線材を巻いて構成したコイルと比較して、コイルをより細く形成することができる。したがって、この複合型磁気ヘッドによれば、コイルの巻き数を著しく増加させることができる。また、この複合型磁気ヘッドによれば、薄膜コイル23aが絶縁部材62に埋め込まれているので、コイルの絶縁不良を確実に回避することができる。また、この薄膜コイル23aは、ラミネート層21を形成する、例えばスパッタリング装置を使用して形成することができるので、線材を巻回する巻き線装置を別途に用意する必要がない。その結果、既存設備を有効に利用することができることから、複合型磁気ヘッドの製造コストを低減することができる。
【0075】
また、このような薄膜コイル23aは、第1ヘッド部材10の第1シールド層35a上に形成される絶縁膜12中に配設されてよい。
【0076】
また、第1及び第2の実施の形態の複合型磁気ヘッドでは、パーマロイからなるMR膜31cを備えたMR型ヘッド30を使用したが、これに代えて、スピンバルブ膜を備えたGMR型ヘッドやトンネル接合膜を備えたTMR型ヘッドが使用されてもよい
【0077】
【発明の効果】
本発明の複合型磁気ヘッド及びその製造方法によれば、磁気情報の再生出力が大きく、しかも磁気記録媒体のさらなる高記録密度化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る複合型磁気ヘッドの斜視図である。
【図2】図1の複合型磁気ヘッドにおける磁気抵抗効果型ヘッドを磁気テープ摺動面から見た様子を示す図である。
【図3】図2のX−X線における断面図である。
【図4】図1の複合型磁気ヘッドを磁気テープ摺動面から見た様子を示す図である。
【図5】図4のY−Y線における断面図である。
【図6】図6(a)〜(e)は、第1ヘッド部材の製造工程を示す図である。
【図7】図7(a)〜(d)は、第1ヘッド部材の製造工程を示す図である。
【図8】図8(a)〜(c)は、第1ヘッド部材の製造工程を示す図である。
【図9】図9(a)及び(b)は、第2ヘッド部材の製造工程を示す図である。
【図10】第2の実施の形態に係る複合型磁気ヘッドの斜視図である。
【図11】図10の複合型磁気ヘッドを磁気テープ摺動面から見た様子を示す図である。
【図12】図11のZ−Z線における断面図である。
【図13】図1の複合型磁気ヘッド及び図10の複合型磁気ヘッドの周波数特性を示すグラフである。
【図14】図14(a)は、他の実施の形態に係る複合型磁気ヘッドに使用される第2ヘッド部材の斜視図、図14(b)は、図14(a)のL−L線における断面図である。
【符号の説明】
10 第1ヘッド部材
16,16a 電磁誘導型ヘッド
17 磁性コア
20 第2ヘッド部材
21a 磁性膜
21b 非磁性膜
23 コイル
23a 薄膜コイル
30 MR型ヘッド(磁気抵抗効果型ヘッド)
Gp 書き込みギャップ
Claims (3)
- 磁性膜が非磁性膜を介して複数積層された磁性コア、この磁性コアに磁束流を誘起させるコイル及び前記磁束流が漏れ出る書き込みギャップを有する電磁誘導型磁気ヘッドと、磁気抵抗効果型ヘッドとを備える複合型磁気ヘッドであって、
前記磁性コアは、前記磁性膜の端面が前記書き込みギャップに向けて配置されていることを特徴とする複合型磁気ヘッド。 - 前記コイルが、薄膜コイルであることを特徴とする請求項1に記載の複合型磁気ヘッド。
- 第1基板上に磁気抵抗効果素子を形成して第1ヘッド部材を製造する工程と、第2基板上に磁性膜及び非磁性膜を交互に複数積層して第2ヘッド部材を製造する工程と、前記第1ヘッド部材及び前記第2ヘッド部材を接合する工程とを備えることを特徴とする複合型磁気ヘッドの製造方法。
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