JP2004292767A - 絶縁膜形成材料及びそれを用いた絶縁膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体素子などにおける層間絶縁膜として、適当な均一な厚さを有する塗膜が形成可能な、しかも耐熱性に優れ、クラックが生じ難く、更に誘電率特性に優れた膜形成用形成材料を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表わされる繰り返し単位を有する重合体(A)を含有することを特徴とする絶縁膜形成用材料。
【化1】
一般式(I)中、複数のR1は同一でも異なっていてもよく、それぞれ、1価の炭化水素基,又はディールス−アルダー反応と引き続く脱離反応により炭化水素基になり得る1価の基,あるいは1価の炭化水素基の炭素原子の一部を珪素原子に置き換えた基、又はディールス−アルダー反応と引き続く脱離反応により炭化水素基になり得る1価の基の炭素原子の一部を珪素原子に置き換えた基を表す。
nは、1〜10を表す。
【選択図】 なし
【解決手段】下記一般式(I)で表わされる繰り返し単位を有する重合体(A)を含有することを特徴とする絶縁膜形成用材料。
【化1】
一般式(I)中、複数のR1は同一でも異なっていてもよく、それぞれ、1価の炭化水素基,又はディールス−アルダー反応と引き続く脱離反応により炭化水素基になり得る1価の基,あるいは1価の炭化水素基の炭素原子の一部を珪素原子に置き換えた基、又はディールス−アルダー反応と引き続く脱離反応により炭化水素基になり得る1価の基の炭素原子の一部を珪素原子に置き換えた基を表す。
nは、1〜10を表す。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁膜形成用材料に関し、さらに詳しくは、半導体素子などにおける層間絶縁膜材料として、適当な均一な厚さを有する塗膜が形成可能な、しかもクラックが生じ難く、誘電率特性などに優れた絶縁膜形成用材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子などにおける層間絶縁膜として、CVD法などの真空プロセスで形成されたシリカ(SiO2)膜が多用されている。そして、近年、より均一な層間絶縁膜を形成することを目的として、SOG(Spin on Glass)膜と呼ばれるテトラアルコキシランの加水分解生成物を主成分とする塗布型の絶縁膜も使用されるようになっている。また、半導体素子などの高集積化に伴い、配線遅延の問題を解決する目的で有機SOGと呼ばれるポリオルガノシロキサンを主成分とする低誘電率の層間絶縁膜が開発されている。
【0003】
しかし、無機材料の膜の中で最も低い誘電率を示すCVD−SiO2膜で、誘電率は約4程度である。また、低誘電率CVD膜として最近検討されているSiOF膜で、誘電率は約3.3〜3.5であるが、この膜は吸湿性が高く、使用しているうちに誘電率が上昇するという問題がある。
【0004】
一方、2.5〜3.0と低い値の誘電率を示す有機高分子膜では、ガラス転移温度が200〜350℃と低く、熱膨張率も大きいことから、配線へのダメージが問題となっている。また、有機SOG膜では、多層配線パターン形成時においてレジスト剥離などに用いられている酸素プラズマアッシングにより酸化を受け、クラックを生じるという欠点がある。また、有機SOGを含む有機系樹脂は、配線材料であるアルミニウム及びアルミニウムを主体とした合金や、銅及び銅を主体とした合金に対する密着性が低いため、配線脇にボイド(配線と絶縁材料との間にできる空隙)を生じ、そこへ水分が侵入して配線腐食を招く可能性があり、更にこの配線脇ボイドは多層配線を形成するためのビアホール開口時に位置ずれが生じた際に配線層間でのショートを招き、信頼性を低下させる問題がある。
【0005】
かかる状況下、絶縁性、耐熱性、耐久性に優れた絶縁膜材料として、籠型構造を有するオルガノポリシロキサン、具体的には、水素化オクタシルセスキオキサンを含有する共重合体を含有する絶縁膜形成用塗布型組成物が知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。また、特許文献3には、T8籠型構造のシロキサン(シルセスキオキサン)を含有する絶縁膜形成用塗布型組成物が記載されており、架橋による高分子化で低密度な絶縁膜を形成することによって誘電率の低減化を達成できることが記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−265065号公報
【特許文献2】
特開2000−265066号公報
【特許文献3】
特開平11−40554号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、半導体素子などのさらなる高集積化や多層化に伴い、より優れた導体間の電気絶縁性が要求されており、より低誘電率でかつクラック耐性、耐熱性に優れる層間絶縁膜材料が求められるようになっている。上記のような公知の籠型構造を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサン)を含有する絶縁膜形成材料では、依然、耐熱性、耐クラック性、誘電率特性が不十分であった。
従って本発明は、上記問題点を解決するための膜形成用材料に関し、さらに詳しくは、半導体素子などにおける層間絶縁膜として、適当な均一な厚さを有する塗膜が形成可能な、しかも耐熱性に優れ、クラックが生じ難く、更に誘電率特性に優れた膜形成材料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の(1)〜(3)の構成により達成されることが見出された。
(1) 下記一般式(I)で表わされる繰り返し単位を有する重合体(A)を含有することを特徴とする絶縁膜形成用材料。
【0009】
【化2】
【0010】
一般式(I)中、複数のR1は同一でも異なっていてもよく、それぞれ、水酸基、1価の炭化水素基,又はディールス−アルダー反応と引き続く脱離反応により炭化水素基になり得る1価の基,あるいは1価の炭化水素基の炭素原子の一部を珪素原子に置き換えた基,又はディールス−アルダー反応と引き続く脱離反応により炭化水素基になり得る1価の基の炭素原子の一部を珪素原子に置き換えた基を表す。nは、1〜10を表す。
(2)式(I)においてR1のうち少なくとも1つが下記の(i)〜(iii)のうちの少なくとも1つの条件を満たすものであることを特徴とする(1)記載の絶縁膜形成材料。
(i) 炭素−炭素三重結合を少なくとも1つ有する。
(ii) 芳香族基と共役した炭素−炭素二重結合もしくは芳香族基と共役した炭素−窒素二重結合を少なくとも1つ有する。
(iii) 炭素数10以上の芳香環を少なくとも1つ有する。
(3)上記(1)ないし(2)項記載の絶縁膜形成用材料を用いて得られる絶縁膜。
【0011】
本発明の絶縁膜形成用材料は、上記の通り、式(I)で表される特定の籠型構造を有するオルガノポリシロキサン(ポリシルセスキオキサン)を含有することを大きな特徴とするものである。すなわち、本発明の上記式(I)のR1が特定の有機基を含有するT8〜T26籠型構造のシロキサン(シルセスキオキサン)は、立方体構造によって分子内に微小空間を有することに加え、熱処理による架橋反応により二次元から三次元的な構造をとり高分子化されることで、更に低密度な絶縁膜が形成され、優れた低誘電率化が達成される。特に、R1として水素原子を含有していないため、化学安定性が向上し、誘電率の経時上昇が抑制され、また収縮率が減少してクラックしにくいという優れた効果を有することが見出された。また、フッ素原子を含まないため、密着性(接着性ともいう)の低下がなく、また界面剥離の原因となるバリアメタルに用いられる金属との反応がないという点で優れていることも判った。
【0012】
本発明のポリオルガノシロキサン(ポリシルセスキオキサン)をベースポリマーとして含有する形成材料を、浸漬またはスピンコート法などにより、シリコンウエハなどの基材に塗布すると、例えば、微細パターン間の溝を充分に埋めることができ、加熱により、有機溶剤の除去と架橋反応を行なうと、ガラス質または巨大高分子あるいはこれらの混合体の膜を形成することができる。得られる膜は、耐熱性が良好で、低誘電率性に優れ、クラックの発生がない、厚膜の絶縁体を形成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に用いられる樹脂について詳述する。
上記一般式(I)で表される構造を有する樹脂は、上記の通り、R1として特定の有機基を有するT8〜T26籠型構造のオルガノポリシロキサン(ポリシルセスキオキサン)である。本発明に係る一般式(I)で表される構造を有する樹脂は、好ましい重量平均分子量が1,000〜10,000,000であり、この範囲内では分子量の高低にかかわらず本発明のオルガノポリシロキサン(ポリシルセスキオキサン)を絶縁膜形成用材料に用いることができる。
本発明の絶縁膜形成材料は、一般式(I)で表わされる繰り返し単位を有する重合体(A)を含有する。
【0014】
一般式(I)中、複数のR1は同一でも異なっていてもよく、それぞれ、水酸基、1価の炭化水素基、アルコキシ基、又はディールス−アルダー反応と引き続く脱離反応により炭化水素基になり得る1価の基、あるいは1価の炭化水素基の炭素原子の一部を珪素原子に置き換えた基、アルコキシ基の炭素原子の一部を珪素原子に置き換えた基、又はディールス−アルダー反応と引き続く脱離反応により炭化水素基になり得る1価の基の炭素原子の一部を珪素原子に置き換えた基を表す。nは、1〜10を表す。
【0015】
水酸基は、繰り返し単位あたり0〜4個であることが好ましく、より好ましくは、0〜1個であり、特に好ましくは0個である。
【0016】
R1としての、1価の炭化水素基とは以下の(a−1)〜(a―4)、及び(b−1)〜(b−4)である。これらは炭素数が20以下であることが好ましい。
(a−1) 1価の直鎖、分岐、環状の飽和炭化水素基(アルキル基)、
(a−2) エチレン性炭素−炭素二重結合を有する1価の直鎖、分岐又は環状の炭化水素基、
(a−3) 炭素−炭素三重結合を有する1価の直鎖、分岐又は環状の炭化水素基、
(a−4) エチレン性炭素−炭素二重結合と炭素−炭素三重結合を共に有する1価の直鎖、分岐、環状の炭化水素基、
(b−1)上記(a−1)〜(a−4)の基の水素原子の1〜10個を1価の芳香族炭化水素基で置換した基、
(b−2)上記(a−1)〜(a−4)、(b−1)の基のメチレン基の1〜10個を2価の芳香族炭化水素基で置き換えた基、
(b−3)上記(a−1)〜(a−4)、(b−1)〜(b−2)の基のメチン基の1〜10個を3価の芳香族炭化水素基で置き換えた基,
(b−4)上記(a−1)〜(a−4)、(b−1)〜(b−3)の基の4級炭素の1〜10個を4価の芳香族炭化水素で置き換えた基、
この場合、置き換える個数は1〜8個が好ましく、さらに好ましくは1〜4個である。
【0017】
(a−1)〜(a−4)の例としては、以下が挙げられる。
(a−1)メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の直鎖、分岐、あるいは環状のアルキル基、1−アダマンチル基、など架橋環式炭化水素基(脂環式基)、スピロビシクロヘキシル基などスピロ炭化水素基、
(a−2) ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチル−プロペン−1−イル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、2−メチル−ブテン−1−イル基、などの直鎖、分岐、あるいは環状のアルケニル基、5−ノルボルネン−2−イルなど二重結合を有する環式テルペン系炭化水素基、
(a−3)エチニル基、プロパルギル基などのアルキニル基、1,4−ヘキサジエニル基などのアルカンジエニル基、二重結合を3つ有するアルカントリエニル基、三重結合を2つ有するアルカンジイニル基、三重結合を3つ有するアルカントリイニル基、
(a−4)二重結合と三重結合を併せ持つ、5−エチニル−1,3,6−ヘプタトリエニル基などのエンイニル基などの基、
また(b−1)〜(b−4)の置換する芳香族炭化水素基としては、以下が挙げられる。
【0018】
(b−1)の置換する芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、ピレニル基などや以下に示す1価の芳香族炭化水素基、
【0019】
【化3】
【0020】
(b−2)の置換する芳香族炭化水素基としては、1,4−フェニレン基、2,7−フェナントレン基、4,4’−ビス(フェニル)基などのアリーレン基や以下に示す2価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0021】
【化4】
【0022】
(b−3)の置換する芳香族炭化水素基としては,1,3,5−ベンゼントリイル基、1,2,6−ナフタレントリイル基などの3価の芳香族炭化水素基、
(b−4)の置換する芳香族炭化水素基としては,1,2,4,5−ベンゼンテトライル基、1,4,5,8−アントラセンテトライル基など 4価の芳香族炭化水素基、
環状炭化水素を含有する(a−1)の炭素を1価の芳香族炭化水素基1個と2価の芳香族炭化水素基3個で置換した(b−2)の例としては以下の基が挙げられる。
【0023】
【化5】
三重結合を有する(a−3)の炭素を一価の芳香族炭化水素基2個、2価の芳香族炭化水素基1個及び3価の芳香族炭化水素基1個で置換した(b−3)の例としては以下の基が挙げられる。これらは反応して別の炭化水素基になりうる基であり、好ましい。
【0024】
【化6】
【0025】
また、(b−2)あるいは(b−3)のうち、シクロプロパン構造のメチレンあるいはメチンを2価あるいは3価のベンゼン環で置換した構造として、ベンゾシクロブテン構造が挙げられる。これは炭化水素基であって反応して別の炭化水素基になる構造であり、好ましい例である。さらに具体的には以下の例が挙げられる。
【0026】
【化7】
R1としての、ディールス−アルダー反応と引き続く脱離反応により炭化水素基になり得る1価の基とは,以下の(c)である。
(c)ヘテロ原子を有する共役ジエンあるいは共役した2つの芳香族性の弱い二重結合を有する基であり、置換アルケン、置換アルキンなどのジエノフィル(親ジエン体)と協奏的[4+2]付加を行い,その後へテロ原子を含む架橋部位が脱離してベンゼン環などの炭化水素基となる部位を有するものである。
(c)の反応形式の例を示す。
【0027】
【化8】
【0028】
【化9】
【0029】
(c)としては、以下のもの基が挙げられる。
(c−1)上記(b−1)〜(b−4)の芳香環の1個〜3個を、同じ価数のシクロペンタジエノン構造もしくは、芳香族炭化水素基で置換されたシクロペンタジエノン構造で置き換えた基、
(c−2)上記(b−1)〜(b−4)芳香環の1個〜3個を、同じ価数のフラン構造もしくは、芳香族炭化水素基で置換されたフラン構造で置き換えた基、
(c−3)上記((b−1)〜(b−4)の芳香環の1個〜3個を、同じ価数の、オキサゾール構造もしくは、芳香族炭化水素基で置換されたオキサゾール構造で置き換えた基。
(c−1)〜(c−3)のさらに具体的な例としては以下が挙げられる。
【0030】
【化10】
【0031】
【化11】
【0032】
R1において、 1価の炭化水素基の炭素原子の一部を珪素原子に置き換えた基とは以下の(d)である。これらは炭素数が20以下であることが好ましい。
(d)上記(a−1)〜(a−4)、(b−1)〜(b−4)の基の炭素原子の1個〜10個を珪素原子で置き換えた基。ただし、(d)は少なくとも1個の炭素を含む。
この場合、珪素原子への置き換えは好ましくは1〜8個、さらに好ましくは1〜4個である。
(d)の例としては、トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基などの他、以下の基が具体的に挙げられる。
【0033】
【化12】
【0034】
【化13】
【0035】
R1として、ディールス−アルダー反応と引き続く脱離反応により炭化水素基になり得る1価の基の炭素原子の一部を珪素原子に置き換えた基とは以下の(e)である。
(e)上記(c−1)〜(c−3)の基の炭素原子の1個〜10個を珪素原子で置き換えた基。ただし、(e)は少なくとも1個の炭素を含む。
この場合、珪素原子への置き換えは好ましくは、1〜8個、さらに好ましくは1〜6個である。
(e)の例としては以下の各基が挙げられる。
【0036】
【化14】
【0037】
R1は、上記の群の中から、任意に選ばれる。
さらに、一般式(I)のR1のうち少なくとも1つのR1が下記の(i)〜(iii)のうちの少なくとも1つの条件を満たすものが好ましい。
(i)炭素−炭素三重結合を少なくとも1つ有する。
(ii)芳香族基と共役した炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する。
(iii)炭素数10以上の芳香環を少なくとも1つ有する。
【0038】
条件(i)としては、T8構造1個あたりに1〜8個(T26構造1個あたりでは1〜26個)の三重結合を有することが好ましく、より好ましくは、1〜4個である。条件(ii)としては、T8構造1個あたりに1〜16個の芳香族基と共役した炭素―炭素二重結合あるいは、芳香族基と共役した炭素−窒素二重結合を有することが好ましい。より好ましくは、1〜4個である。条件(iii)としては、T8構造1個あたりに1〜8個の炭素数10以上の芳香環を有することが好ましい。より好ましくは、1〜2個である。
これらの条件の中では、さらに(i)及び/または(ii)が好ましい。
R1は、(a−3)〜(a−4)、(b−2)〜(b−4)、(c−1)〜(c−3)を含む組み合わせで選ばれることが好ましい。 (a−3)、(b−2)〜(b−3)、(c−1)〜(c−3)を含む組み合わせで選ばれることがさらに好ましい。
また、本発明に用いられる(A)成分の重合体は、単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いてもよい。(A)成分の重合体の使用量は、絶縁膜形成材料の全重量(溶媒を除く)を基準として40〜100重量%、好ましくは60〜100重量%である。
【0039】
本発明に用いられる(A)成分の重合体が有する一般式(I)で表わされる繰り返し単位の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。ここに示す具体的構造は、後述の合成法と同様の方法及びさらに官能基変換により合成することができる。
【0040】
【化15】
【0041】
【化16】
【0042】
【化17】
【0043】
【化18】
【0044】
上記式(23)〜(27)において、Raは芳香環を含まない炭化水素基を表し、Ar、Ar’は芳香族環を含む炭化水素基を表す。Si上置換基であるRaとArを含む基は、互いに置換されるSiの位置が交換されてもよい。
【0045】
Raの芳香環を含まない炭化水素基としては(a−1)のような基が例として挙げられる、Ar、Ar’としては、(b−1)〜(b−3)などが好ましく挙げられ、フェニル基、ナフチル基、フェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
【0046】
本発明においては、(A)成分の重合体以外の樹脂を併用することができる。併用し得る樹脂としては、ラダー型ポリシルセスキオキサン樹脂、アルコキシラン材料の加水分解物及び/又は縮合物,ポリアリーレンエーテル、炭化水素系ポリマーなどが挙げられる。
【0047】
本発明の一般式(I)で表される樹脂は、所望の目的物に応じて、R1として特定の基が置換したトリクロロシラン混合物を、速度論的な条件で加水分解−縮合することにより前駆体のT8トリシラノールを含む混合物として製造することができる。例えば、J. Am. Chem. Soc.1964.86,1120,J.Am.Chem.Soc.1965,87,4313, ACS Polym. Mat. Sci. & Eng. Preprints 1998, 79, 389 に記載の方法により合成することができる。
また、樹脂とした後、珪素原子上の置換基を所望の官能基R1に置換して製造することもできる。反応としては白金触媒を用いるハイドロシリレーションなどが挙げられる。このような反応例は特許文献1や特許文献2などにも開示されている。その他、公知のカップリング反応が好ましく用いられる。
【0048】
例えば以下のようにして合成できる。
【0049】
【化19】
(R1=CH3の場合)
【0050】
【化20】
【0051】
〔その他の添加剤〕
本発明の絶縁膜形成用材料には、さらにコロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、有機ポリマーなどの成分を添加してもよい。コロイド状シリカとは、例えば、高純度の無水ケイ酸を前記親水性有機溶媒に分散した分散液であり、通常、平均粒径が5〜30mμ、好ましくは10〜20mμ、固形分濃度が10〜40重量%程度のものである。このような、コロイド状シリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製、メタノールシリカゾルおよびイソプロパノールシリカゾル;触媒化成工業(株)製、オスカルなどが挙げられる。コロイド状アルミナとしては、日産化学工業(株)製のアルミナゾル520、同100、同200;川研ファインケミカル(株)製のアルミナクリアーゾル、アルミナゾル10、同132などが挙げられる。有機ポリマーとしては、例えば、ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物、糖鎖構造を有する化合物、ビニルアミド系重合体、(メタ)アクリレート化合物、芳香族ビニル化合物、デンドリマー、ポリイミド,ポリアミック酸、ポリアリーレン、ポリアミド、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、フッ素系重合体などを挙げることができる。
【0052】
[一般式(I)の構造を含む樹脂を用いた形成材料の調製方法]
本発明の膜形成形成材料は、上記各成分を溶解する溶剤に溶かして支持体上に塗布する。本発明の膜形成用形成材料を調製するに際しては、上記のように、溶媒中に、上記本発明の式(I)の構造を有する樹脂、および必要により他の成分を混合すればよく、特に限定されない。
【0053】
ここで使用する溶媒としては以下が好適である。エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、ジメチルイミダゾリジノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、イソプロパノール、エチレンカーボネート、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が好ましく、これらの溶剤を単独あるいは混合して使用する。
【0054】
上記の中でも、好ましい溶剤としてはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレンカーボネート、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、キシレン、メシチレン、ジイソプロピルベンゼンを挙げることができる。
【0055】
このようにして得られる本発明の形成材料の全固形分濃度は、好ましくは、2〜30重量%であり、使用目的に応じて適宜調整される。形成材料の全固形分濃度が2〜30重量%であると、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、保存安定性もより優れるものである。また、式(I)で表される構造を有する樹脂の数平均分子量は、通常500〜5,000,000、好ましくは1,000〜100,000程度である。さらに好ましくは,2,000〜20,000程度である。
【0056】
このようにして得られる本発明の絶縁膜形成用材料を、シリコンウエハ、SiO2 ウエハ、SiNウエハなどの基材に塗布する際には、スピンコート、浸漬法、ロールコート法、スプレー法などの塗装手段が用いられる。
【0057】
この際の膜厚は、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜1.5μm程度、2回塗りでは厚さ0.1〜3μm程度の塗膜を形成することができる。その後、常温で乾燥するか、あるいは80〜600℃程度の温度で、通常、5〜240分程度加熱して乾燥することにより、ガラス質または巨大高分子あるいはこれらの混成体の絶縁膜を形成することができる。この際の加熱方法としては、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することが出来、加熱雰囲気としては、大気下、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、真空下、酸素濃度をコントロールした減圧下などで行うことができる。
【0058】
より具体的には、本発明の絶縁膜形成材料を、例えばスピンコート法により、基板(通常は金属配線を有する基板)上に塗布し、300℃以下の温度で第一の熱処理を行うことにより溶媒を乾燥させるとともに一部を架橋させ、次いで300℃より高く450℃以下の温度で第二の熱処理(アニール)を行うことにより低誘電率の絶縁膜を形成できる。第一の熱処理を300℃以下とするのは、架橋が過度に進行しないようにして架橋の度合いを調節しやすくするためであり、第二の熱処理を300℃より高く450以下の温度とするのは、この温度範囲がアニールにとって一般に都合がよいからである。
第一の熱処理は、大気中でも行うことができる。また、形成した絶縁膜の示す誘電率を調節するために架橋の度合いを調整してもよく、この架橋度合いの調整は熱処理温度と時間を調整することで行うことができる。
【0059】
このようにして得られる層間絶縁膜は、絶縁性に優れ、塗布膜の均一性、誘電率特性、塗膜の耐クラック性、塗膜の表面硬度に優れることから、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAMなどの半導体素子用層間絶縁膜、半導体素子の表面コート膜などの保護膜、多層配線基板の層間絶縁膜、液晶表示素子用の保護膜や絶縁防止膜などの用途に有用である。
【0060】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中の部および%は、特記しない限り、それぞれ重量部および重量%であることを示している。また、実施例中における膜形成用形成材料の評価は、次のようにして測定したものである。
【0061】
〔重量平均分子量(Mw)〕
下記条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。
<試料> テトラヒドロフランを溶媒として使用し、試料0.01gを、2ccのテトラヒドロフランに溶解して調製した。
<標準ポリスチレン> 東ソー社製の標準ポリスチレンTSKスタンダードを使用した。
<装置> 東ソー社製の高速ゲル浸透クロマトグラム(HLC−8220GPC)
<カラム> 東ソー社製のTSK−gel(GMX)
<測定温度>40℃ 流速:1cc/分
【0062】
〔面内均一性〕
形成材料を、6インチシリコンウエハ上に、スピンコーターを用いて、回転数1,500〜2,500rpm、20秒の条件で以て塗布した。その後、80℃の温度に保持したホットプレートを用いて、形成材料を塗布したシリコンウエハを5分間加熱し、有機溶媒を飛散させた。次いで、200℃の温度に保持したホットプレートを用いて、膜形成材料を塗布したシリコンウエハを5分間加熱し、シリコンウエハ上に塗膜を形成させた。このようにして得られた塗膜の膜厚を、光学式膜厚計(大日本スクリーン社製、ラムダエース)を用いて塗膜面内で50点測定した。得られた膜厚の3σを計算し、下記基準で評価した。
○;塗膜の3σが80nm未満
×;塗膜の3σが80nm以上
【0063】
〔耐クラック性〕
6インチシリコンウエハ上に、スピンコート法を用いて形成材料試料を塗布し、ホットプレート上で80℃で5分間、200℃で5分間基板を乾燥し、さらに450℃の窒素雰囲気のオーブン中で60分基板を焼成した。得られた塗膜の外観をピーク社製ポケットマイクロルーペ(50倍)で観察し、下記基準で評価した。また、PCT(JDECJESD22−A102−B条件:121℃ 100%RH 15psig)を96h行い、同様な基準で評価した。
○;塗膜表面にクラックが認められない。
×;塗膜表面にクラックが認められる。
【0064】
〔誘電率〕
6インチシリコンウエハ上に、スピンコート法を用いて形成材料試料を塗布し、ホットプレート上で80℃で5分間、200℃で5分間基板を乾燥し、さらに450℃の窒素雰囲気のオーブン中で60分基板を焼成した。得られた基板上にアルミニウムを蒸着し、誘電率評価用基板を作製した。誘電率は、横川・ヒューレットパッカード(株)製のHP16451B電極およびHP4284AプレシジョンLCRメーターもしくはソーラトロン社製システム1296/1260を用いて、10kHzにおける容量値から算出した。また,PCT(JDECJESD22−A102−B条件:121℃ 100%RH 15psig)を96h行い,その後測定及び算出を行った。
【0065】
合成例1
<重合体(I−5)の合成>
フェニルトリクロロシラン25gをトルエン40mlに溶解した。この溶液を攪拌しながら64mlの水を加え、23℃にて2時間攪拌下、反応させた。反応後、水層を除去し、トルエン層を水洗した。23℃にて減圧下、トルエンを留去し、Mw(重量平均分子量)6500の重合体(I−5)を得た。
【0066】
合成例2
エチルトリクロロシラン/4ブロモフェニルトリクロロシランのモル比10/3混合物30gをトルエン200mlに溶解し,水10gを滴下により加えた。その後反応液を40℃にて12時間攪拌した。反応液を冷却して減圧下濃縮して得られた固体をクロマトグラム精製して中間体(A)を得た。収率80%。
【0067】
【化21】
【0068】
続いて、中間体(A)と当量のフェニルアセチレンの末端スズ塩をTHF中に溶解し、ゼロ価パラジウムを触媒としたカップリング反応により、三重結合を有する化合物を得た。常法で処理して得られた固体をクロマトグラム精製して試料A−1を得た(25g:Mw 14,000)。
【0069】
【化22】
【0070】
同様にして2−フェニルフランを反応させて、試料(A−2:Mw 9,000)を合成した。
【0071】
【化23】
【0072】
実施例1
合成例2で得られた試料(A−1)5gをジイソプロピルベンゼン/シクロヘキサノン/プロピレングリコールモノメチルエーテル混合溶媒45gに溶解した溶液を0.2μm孔径のテフロン製フィルターでろ過を行い、スピンコート法でシリコンウエハ上に塗布した。得られた塗膜の塗膜の膜厚は700nmであり、3σは40nmと良好であった。塗膜の膜厚を変えてクラックの発生しない最大膜厚を評価したところ、1,400nmと優れたクラック耐性を示した。また、塗膜の誘電率を評価したところ、2.63と非常に低い誘電率を示した。
【0073】
実施例2
試料(A−1)に10%重合体(I−5)を添加したものを使用した以外は、実施例1と同様に塗膜を評価した。評価結果を表1に示す。
実施例3
試料(A−1)/試料(A−2)の重量比1/1混合物5gを使用した以外は実施例1と同様に塗膜を評価した。溶媒量は調整した。評価結果を表1に示す。
【0074】
実施例4〜6
試料(A−1)/ジフェニルアセチレン、試料(A−2)/ジフェニルアセチレン及び試料(A−1)/重合体(I−5)/ジフェニルアセチレンのそれぞれ重量比約8/1/1混合物5gを使用した以外は実施例1と同様に塗膜を評価した。溶媒量は適宜調整した。評価結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
比較例として、特開平11−40554号の実施例1と同様にして作成した絶縁膜を,本実施例1の絶縁膜と同様にして評価したところ,誘電率2.80であり、PCT後に誘電率3.20と上昇していることが観察された。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、特定の籠型構造を有するオルガノポリシロキサン(ポリシルセスキオキサン)を含有させることにより、塗布膜における厚さの均一性、クラック耐性、誘電率特性などのバランスに優れた膜形成用形成材料(層間絶縁膜用材料)を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁膜形成用材料に関し、さらに詳しくは、半導体素子などにおける層間絶縁膜材料として、適当な均一な厚さを有する塗膜が形成可能な、しかもクラックが生じ難く、誘電率特性などに優れた絶縁膜形成用材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子などにおける層間絶縁膜として、CVD法などの真空プロセスで形成されたシリカ(SiO2)膜が多用されている。そして、近年、より均一な層間絶縁膜を形成することを目的として、SOG(Spin on Glass)膜と呼ばれるテトラアルコキシランの加水分解生成物を主成分とする塗布型の絶縁膜も使用されるようになっている。また、半導体素子などの高集積化に伴い、配線遅延の問題を解決する目的で有機SOGと呼ばれるポリオルガノシロキサンを主成分とする低誘電率の層間絶縁膜が開発されている。
【0003】
しかし、無機材料の膜の中で最も低い誘電率を示すCVD−SiO2膜で、誘電率は約4程度である。また、低誘電率CVD膜として最近検討されているSiOF膜で、誘電率は約3.3〜3.5であるが、この膜は吸湿性が高く、使用しているうちに誘電率が上昇するという問題がある。
【0004】
一方、2.5〜3.0と低い値の誘電率を示す有機高分子膜では、ガラス転移温度が200〜350℃と低く、熱膨張率も大きいことから、配線へのダメージが問題となっている。また、有機SOG膜では、多層配線パターン形成時においてレジスト剥離などに用いられている酸素プラズマアッシングにより酸化を受け、クラックを生じるという欠点がある。また、有機SOGを含む有機系樹脂は、配線材料であるアルミニウム及びアルミニウムを主体とした合金や、銅及び銅を主体とした合金に対する密着性が低いため、配線脇にボイド(配線と絶縁材料との間にできる空隙)を生じ、そこへ水分が侵入して配線腐食を招く可能性があり、更にこの配線脇ボイドは多層配線を形成するためのビアホール開口時に位置ずれが生じた際に配線層間でのショートを招き、信頼性を低下させる問題がある。
【0005】
かかる状況下、絶縁性、耐熱性、耐久性に優れた絶縁膜材料として、籠型構造を有するオルガノポリシロキサン、具体的には、水素化オクタシルセスキオキサンを含有する共重合体を含有する絶縁膜形成用塗布型組成物が知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。また、特許文献3には、T8籠型構造のシロキサン(シルセスキオキサン)を含有する絶縁膜形成用塗布型組成物が記載されており、架橋による高分子化で低密度な絶縁膜を形成することによって誘電率の低減化を達成できることが記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−265065号公報
【特許文献2】
特開2000−265066号公報
【特許文献3】
特開平11−40554号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、半導体素子などのさらなる高集積化や多層化に伴い、より優れた導体間の電気絶縁性が要求されており、より低誘電率でかつクラック耐性、耐熱性に優れる層間絶縁膜材料が求められるようになっている。上記のような公知の籠型構造を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサン)を含有する絶縁膜形成材料では、依然、耐熱性、耐クラック性、誘電率特性が不十分であった。
従って本発明は、上記問題点を解決するための膜形成用材料に関し、さらに詳しくは、半導体素子などにおける層間絶縁膜として、適当な均一な厚さを有する塗膜が形成可能な、しかも耐熱性に優れ、クラックが生じ難く、更に誘電率特性に優れた膜形成材料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の(1)〜(3)の構成により達成されることが見出された。
(1) 下記一般式(I)で表わされる繰り返し単位を有する重合体(A)を含有することを特徴とする絶縁膜形成用材料。
【0009】
【化2】
【0010】
一般式(I)中、複数のR1は同一でも異なっていてもよく、それぞれ、水酸基、1価の炭化水素基,又はディールス−アルダー反応と引き続く脱離反応により炭化水素基になり得る1価の基,あるいは1価の炭化水素基の炭素原子の一部を珪素原子に置き換えた基,又はディールス−アルダー反応と引き続く脱離反応により炭化水素基になり得る1価の基の炭素原子の一部を珪素原子に置き換えた基を表す。nは、1〜10を表す。
(2)式(I)においてR1のうち少なくとも1つが下記の(i)〜(iii)のうちの少なくとも1つの条件を満たすものであることを特徴とする(1)記載の絶縁膜形成材料。
(i) 炭素−炭素三重結合を少なくとも1つ有する。
(ii) 芳香族基と共役した炭素−炭素二重結合もしくは芳香族基と共役した炭素−窒素二重結合を少なくとも1つ有する。
(iii) 炭素数10以上の芳香環を少なくとも1つ有する。
(3)上記(1)ないし(2)項記載の絶縁膜形成用材料を用いて得られる絶縁膜。
【0011】
本発明の絶縁膜形成用材料は、上記の通り、式(I)で表される特定の籠型構造を有するオルガノポリシロキサン(ポリシルセスキオキサン)を含有することを大きな特徴とするものである。すなわち、本発明の上記式(I)のR1が特定の有機基を含有するT8〜T26籠型構造のシロキサン(シルセスキオキサン)は、立方体構造によって分子内に微小空間を有することに加え、熱処理による架橋反応により二次元から三次元的な構造をとり高分子化されることで、更に低密度な絶縁膜が形成され、優れた低誘電率化が達成される。特に、R1として水素原子を含有していないため、化学安定性が向上し、誘電率の経時上昇が抑制され、また収縮率が減少してクラックしにくいという優れた効果を有することが見出された。また、フッ素原子を含まないため、密着性(接着性ともいう)の低下がなく、また界面剥離の原因となるバリアメタルに用いられる金属との反応がないという点で優れていることも判った。
【0012】
本発明のポリオルガノシロキサン(ポリシルセスキオキサン)をベースポリマーとして含有する形成材料を、浸漬またはスピンコート法などにより、シリコンウエハなどの基材に塗布すると、例えば、微細パターン間の溝を充分に埋めることができ、加熱により、有機溶剤の除去と架橋反応を行なうと、ガラス質または巨大高分子あるいはこれらの混合体の膜を形成することができる。得られる膜は、耐熱性が良好で、低誘電率性に優れ、クラックの発生がない、厚膜の絶縁体を形成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に用いられる樹脂について詳述する。
上記一般式(I)で表される構造を有する樹脂は、上記の通り、R1として特定の有機基を有するT8〜T26籠型構造のオルガノポリシロキサン(ポリシルセスキオキサン)である。本発明に係る一般式(I)で表される構造を有する樹脂は、好ましい重量平均分子量が1,000〜10,000,000であり、この範囲内では分子量の高低にかかわらず本発明のオルガノポリシロキサン(ポリシルセスキオキサン)を絶縁膜形成用材料に用いることができる。
本発明の絶縁膜形成材料は、一般式(I)で表わされる繰り返し単位を有する重合体(A)を含有する。
【0014】
一般式(I)中、複数のR1は同一でも異なっていてもよく、それぞれ、水酸基、1価の炭化水素基、アルコキシ基、又はディールス−アルダー反応と引き続く脱離反応により炭化水素基になり得る1価の基、あるいは1価の炭化水素基の炭素原子の一部を珪素原子に置き換えた基、アルコキシ基の炭素原子の一部を珪素原子に置き換えた基、又はディールス−アルダー反応と引き続く脱離反応により炭化水素基になり得る1価の基の炭素原子の一部を珪素原子に置き換えた基を表す。nは、1〜10を表す。
【0015】
水酸基は、繰り返し単位あたり0〜4個であることが好ましく、より好ましくは、0〜1個であり、特に好ましくは0個である。
【0016】
R1としての、1価の炭化水素基とは以下の(a−1)〜(a―4)、及び(b−1)〜(b−4)である。これらは炭素数が20以下であることが好ましい。
(a−1) 1価の直鎖、分岐、環状の飽和炭化水素基(アルキル基)、
(a−2) エチレン性炭素−炭素二重結合を有する1価の直鎖、分岐又は環状の炭化水素基、
(a−3) 炭素−炭素三重結合を有する1価の直鎖、分岐又は環状の炭化水素基、
(a−4) エチレン性炭素−炭素二重結合と炭素−炭素三重結合を共に有する1価の直鎖、分岐、環状の炭化水素基、
(b−1)上記(a−1)〜(a−4)の基の水素原子の1〜10個を1価の芳香族炭化水素基で置換した基、
(b−2)上記(a−1)〜(a−4)、(b−1)の基のメチレン基の1〜10個を2価の芳香族炭化水素基で置き換えた基、
(b−3)上記(a−1)〜(a−4)、(b−1)〜(b−2)の基のメチン基の1〜10個を3価の芳香族炭化水素基で置き換えた基,
(b−4)上記(a−1)〜(a−4)、(b−1)〜(b−3)の基の4級炭素の1〜10個を4価の芳香族炭化水素で置き換えた基、
この場合、置き換える個数は1〜8個が好ましく、さらに好ましくは1〜4個である。
【0017】
(a−1)〜(a−4)の例としては、以下が挙げられる。
(a−1)メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の直鎖、分岐、あるいは環状のアルキル基、1−アダマンチル基、など架橋環式炭化水素基(脂環式基)、スピロビシクロヘキシル基などスピロ炭化水素基、
(a−2) ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチル−プロペン−1−イル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、2−メチル−ブテン−1−イル基、などの直鎖、分岐、あるいは環状のアルケニル基、5−ノルボルネン−2−イルなど二重結合を有する環式テルペン系炭化水素基、
(a−3)エチニル基、プロパルギル基などのアルキニル基、1,4−ヘキサジエニル基などのアルカンジエニル基、二重結合を3つ有するアルカントリエニル基、三重結合を2つ有するアルカンジイニル基、三重結合を3つ有するアルカントリイニル基、
(a−4)二重結合と三重結合を併せ持つ、5−エチニル−1,3,6−ヘプタトリエニル基などのエンイニル基などの基、
また(b−1)〜(b−4)の置換する芳香族炭化水素基としては、以下が挙げられる。
【0018】
(b−1)の置換する芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、ピレニル基などや以下に示す1価の芳香族炭化水素基、
【0019】
【化3】
【0020】
(b−2)の置換する芳香族炭化水素基としては、1,4−フェニレン基、2,7−フェナントレン基、4,4’−ビス(フェニル)基などのアリーレン基や以下に示す2価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0021】
【化4】
【0022】
(b−3)の置換する芳香族炭化水素基としては,1,3,5−ベンゼントリイル基、1,2,6−ナフタレントリイル基などの3価の芳香族炭化水素基、
(b−4)の置換する芳香族炭化水素基としては,1,2,4,5−ベンゼンテトライル基、1,4,5,8−アントラセンテトライル基など 4価の芳香族炭化水素基、
環状炭化水素を含有する(a−1)の炭素を1価の芳香族炭化水素基1個と2価の芳香族炭化水素基3個で置換した(b−2)の例としては以下の基が挙げられる。
【0023】
【化5】
三重結合を有する(a−3)の炭素を一価の芳香族炭化水素基2個、2価の芳香族炭化水素基1個及び3価の芳香族炭化水素基1個で置換した(b−3)の例としては以下の基が挙げられる。これらは反応して別の炭化水素基になりうる基であり、好ましい。
【0024】
【化6】
【0025】
また、(b−2)あるいは(b−3)のうち、シクロプロパン構造のメチレンあるいはメチンを2価あるいは3価のベンゼン環で置換した構造として、ベンゾシクロブテン構造が挙げられる。これは炭化水素基であって反応して別の炭化水素基になる構造であり、好ましい例である。さらに具体的には以下の例が挙げられる。
【0026】
【化7】
R1としての、ディールス−アルダー反応と引き続く脱離反応により炭化水素基になり得る1価の基とは,以下の(c)である。
(c)ヘテロ原子を有する共役ジエンあるいは共役した2つの芳香族性の弱い二重結合を有する基であり、置換アルケン、置換アルキンなどのジエノフィル(親ジエン体)と協奏的[4+2]付加を行い,その後へテロ原子を含む架橋部位が脱離してベンゼン環などの炭化水素基となる部位を有するものである。
(c)の反応形式の例を示す。
【0027】
【化8】
【0028】
【化9】
【0029】
(c)としては、以下のもの基が挙げられる。
(c−1)上記(b−1)〜(b−4)の芳香環の1個〜3個を、同じ価数のシクロペンタジエノン構造もしくは、芳香族炭化水素基で置換されたシクロペンタジエノン構造で置き換えた基、
(c−2)上記(b−1)〜(b−4)芳香環の1個〜3個を、同じ価数のフラン構造もしくは、芳香族炭化水素基で置換されたフラン構造で置き換えた基、
(c−3)上記((b−1)〜(b−4)の芳香環の1個〜3個を、同じ価数の、オキサゾール構造もしくは、芳香族炭化水素基で置換されたオキサゾール構造で置き換えた基。
(c−1)〜(c−3)のさらに具体的な例としては以下が挙げられる。
【0030】
【化10】
【0031】
【化11】
【0032】
R1において、 1価の炭化水素基の炭素原子の一部を珪素原子に置き換えた基とは以下の(d)である。これらは炭素数が20以下であることが好ましい。
(d)上記(a−1)〜(a−4)、(b−1)〜(b−4)の基の炭素原子の1個〜10個を珪素原子で置き換えた基。ただし、(d)は少なくとも1個の炭素を含む。
この場合、珪素原子への置き換えは好ましくは1〜8個、さらに好ましくは1〜4個である。
(d)の例としては、トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基などの他、以下の基が具体的に挙げられる。
【0033】
【化12】
【0034】
【化13】
【0035】
R1として、ディールス−アルダー反応と引き続く脱離反応により炭化水素基になり得る1価の基の炭素原子の一部を珪素原子に置き換えた基とは以下の(e)である。
(e)上記(c−1)〜(c−3)の基の炭素原子の1個〜10個を珪素原子で置き換えた基。ただし、(e)は少なくとも1個の炭素を含む。
この場合、珪素原子への置き換えは好ましくは、1〜8個、さらに好ましくは1〜6個である。
(e)の例としては以下の各基が挙げられる。
【0036】
【化14】
【0037】
R1は、上記の群の中から、任意に選ばれる。
さらに、一般式(I)のR1のうち少なくとも1つのR1が下記の(i)〜(iii)のうちの少なくとも1つの条件を満たすものが好ましい。
(i)炭素−炭素三重結合を少なくとも1つ有する。
(ii)芳香族基と共役した炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する。
(iii)炭素数10以上の芳香環を少なくとも1つ有する。
【0038】
条件(i)としては、T8構造1個あたりに1〜8個(T26構造1個あたりでは1〜26個)の三重結合を有することが好ましく、より好ましくは、1〜4個である。条件(ii)としては、T8構造1個あたりに1〜16個の芳香族基と共役した炭素―炭素二重結合あるいは、芳香族基と共役した炭素−窒素二重結合を有することが好ましい。より好ましくは、1〜4個である。条件(iii)としては、T8構造1個あたりに1〜8個の炭素数10以上の芳香環を有することが好ましい。より好ましくは、1〜2個である。
これらの条件の中では、さらに(i)及び/または(ii)が好ましい。
R1は、(a−3)〜(a−4)、(b−2)〜(b−4)、(c−1)〜(c−3)を含む組み合わせで選ばれることが好ましい。 (a−3)、(b−2)〜(b−3)、(c−1)〜(c−3)を含む組み合わせで選ばれることがさらに好ましい。
また、本発明に用いられる(A)成分の重合体は、単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いてもよい。(A)成分の重合体の使用量は、絶縁膜形成材料の全重量(溶媒を除く)を基準として40〜100重量%、好ましくは60〜100重量%である。
【0039】
本発明に用いられる(A)成分の重合体が有する一般式(I)で表わされる繰り返し単位の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。ここに示す具体的構造は、後述の合成法と同様の方法及びさらに官能基変換により合成することができる。
【0040】
【化15】
【0041】
【化16】
【0042】
【化17】
【0043】
【化18】
【0044】
上記式(23)〜(27)において、Raは芳香環を含まない炭化水素基を表し、Ar、Ar’は芳香族環を含む炭化水素基を表す。Si上置換基であるRaとArを含む基は、互いに置換されるSiの位置が交換されてもよい。
【0045】
Raの芳香環を含まない炭化水素基としては(a−1)のような基が例として挙げられる、Ar、Ar’としては、(b−1)〜(b−3)などが好ましく挙げられ、フェニル基、ナフチル基、フェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
【0046】
本発明においては、(A)成分の重合体以外の樹脂を併用することができる。併用し得る樹脂としては、ラダー型ポリシルセスキオキサン樹脂、アルコキシラン材料の加水分解物及び/又は縮合物,ポリアリーレンエーテル、炭化水素系ポリマーなどが挙げられる。
【0047】
本発明の一般式(I)で表される樹脂は、所望の目的物に応じて、R1として特定の基が置換したトリクロロシラン混合物を、速度論的な条件で加水分解−縮合することにより前駆体のT8トリシラノールを含む混合物として製造することができる。例えば、J. Am. Chem. Soc.1964.86,1120,J.Am.Chem.Soc.1965,87,4313, ACS Polym. Mat. Sci. & Eng. Preprints 1998, 79, 389 に記載の方法により合成することができる。
また、樹脂とした後、珪素原子上の置換基を所望の官能基R1に置換して製造することもできる。反応としては白金触媒を用いるハイドロシリレーションなどが挙げられる。このような反応例は特許文献1や特許文献2などにも開示されている。その他、公知のカップリング反応が好ましく用いられる。
【0048】
例えば以下のようにして合成できる。
【0049】
【化19】
(R1=CH3の場合)
【0050】
【化20】
【0051】
〔その他の添加剤〕
本発明の絶縁膜形成用材料には、さらにコロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、有機ポリマーなどの成分を添加してもよい。コロイド状シリカとは、例えば、高純度の無水ケイ酸を前記親水性有機溶媒に分散した分散液であり、通常、平均粒径が5〜30mμ、好ましくは10〜20mμ、固形分濃度が10〜40重量%程度のものである。このような、コロイド状シリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製、メタノールシリカゾルおよびイソプロパノールシリカゾル;触媒化成工業(株)製、オスカルなどが挙げられる。コロイド状アルミナとしては、日産化学工業(株)製のアルミナゾル520、同100、同200;川研ファインケミカル(株)製のアルミナクリアーゾル、アルミナゾル10、同132などが挙げられる。有機ポリマーとしては、例えば、ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物、糖鎖構造を有する化合物、ビニルアミド系重合体、(メタ)アクリレート化合物、芳香族ビニル化合物、デンドリマー、ポリイミド,ポリアミック酸、ポリアリーレン、ポリアミド、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、フッ素系重合体などを挙げることができる。
【0052】
[一般式(I)の構造を含む樹脂を用いた形成材料の調製方法]
本発明の膜形成形成材料は、上記各成分を溶解する溶剤に溶かして支持体上に塗布する。本発明の膜形成用形成材料を調製するに際しては、上記のように、溶媒中に、上記本発明の式(I)の構造を有する樹脂、および必要により他の成分を混合すればよく、特に限定されない。
【0053】
ここで使用する溶媒としては以下が好適である。エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、ジメチルイミダゾリジノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、イソプロパノール、エチレンカーボネート、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が好ましく、これらの溶剤を単独あるいは混合して使用する。
【0054】
上記の中でも、好ましい溶剤としてはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレンカーボネート、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、キシレン、メシチレン、ジイソプロピルベンゼンを挙げることができる。
【0055】
このようにして得られる本発明の形成材料の全固形分濃度は、好ましくは、2〜30重量%であり、使用目的に応じて適宜調整される。形成材料の全固形分濃度が2〜30重量%であると、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、保存安定性もより優れるものである。また、式(I)で表される構造を有する樹脂の数平均分子量は、通常500〜5,000,000、好ましくは1,000〜100,000程度である。さらに好ましくは,2,000〜20,000程度である。
【0056】
このようにして得られる本発明の絶縁膜形成用材料を、シリコンウエハ、SiO2 ウエハ、SiNウエハなどの基材に塗布する際には、スピンコート、浸漬法、ロールコート法、スプレー法などの塗装手段が用いられる。
【0057】
この際の膜厚は、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜1.5μm程度、2回塗りでは厚さ0.1〜3μm程度の塗膜を形成することができる。その後、常温で乾燥するか、あるいは80〜600℃程度の温度で、通常、5〜240分程度加熱して乾燥することにより、ガラス質または巨大高分子あるいはこれらの混成体の絶縁膜を形成することができる。この際の加熱方法としては、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することが出来、加熱雰囲気としては、大気下、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、真空下、酸素濃度をコントロールした減圧下などで行うことができる。
【0058】
より具体的には、本発明の絶縁膜形成材料を、例えばスピンコート法により、基板(通常は金属配線を有する基板)上に塗布し、300℃以下の温度で第一の熱処理を行うことにより溶媒を乾燥させるとともに一部を架橋させ、次いで300℃より高く450℃以下の温度で第二の熱処理(アニール)を行うことにより低誘電率の絶縁膜を形成できる。第一の熱処理を300℃以下とするのは、架橋が過度に進行しないようにして架橋の度合いを調節しやすくするためであり、第二の熱処理を300℃より高く450以下の温度とするのは、この温度範囲がアニールにとって一般に都合がよいからである。
第一の熱処理は、大気中でも行うことができる。また、形成した絶縁膜の示す誘電率を調節するために架橋の度合いを調整してもよく、この架橋度合いの調整は熱処理温度と時間を調整することで行うことができる。
【0059】
このようにして得られる層間絶縁膜は、絶縁性に優れ、塗布膜の均一性、誘電率特性、塗膜の耐クラック性、塗膜の表面硬度に優れることから、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAMなどの半導体素子用層間絶縁膜、半導体素子の表面コート膜などの保護膜、多層配線基板の層間絶縁膜、液晶表示素子用の保護膜や絶縁防止膜などの用途に有用である。
【0060】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中の部および%は、特記しない限り、それぞれ重量部および重量%であることを示している。また、実施例中における膜形成用形成材料の評価は、次のようにして測定したものである。
【0061】
〔重量平均分子量(Mw)〕
下記条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。
<試料> テトラヒドロフランを溶媒として使用し、試料0.01gを、2ccのテトラヒドロフランに溶解して調製した。
<標準ポリスチレン> 東ソー社製の標準ポリスチレンTSKスタンダードを使用した。
<装置> 東ソー社製の高速ゲル浸透クロマトグラム(HLC−8220GPC)
<カラム> 東ソー社製のTSK−gel(GMX)
<測定温度>40℃ 流速:1cc/分
【0062】
〔面内均一性〕
形成材料を、6インチシリコンウエハ上に、スピンコーターを用いて、回転数1,500〜2,500rpm、20秒の条件で以て塗布した。その後、80℃の温度に保持したホットプレートを用いて、形成材料を塗布したシリコンウエハを5分間加熱し、有機溶媒を飛散させた。次いで、200℃の温度に保持したホットプレートを用いて、膜形成材料を塗布したシリコンウエハを5分間加熱し、シリコンウエハ上に塗膜を形成させた。このようにして得られた塗膜の膜厚を、光学式膜厚計(大日本スクリーン社製、ラムダエース)を用いて塗膜面内で50点測定した。得られた膜厚の3σを計算し、下記基準で評価した。
○;塗膜の3σが80nm未満
×;塗膜の3σが80nm以上
【0063】
〔耐クラック性〕
6インチシリコンウエハ上に、スピンコート法を用いて形成材料試料を塗布し、ホットプレート上で80℃で5分間、200℃で5分間基板を乾燥し、さらに450℃の窒素雰囲気のオーブン中で60分基板を焼成した。得られた塗膜の外観をピーク社製ポケットマイクロルーペ(50倍)で観察し、下記基準で評価した。また、PCT(JDECJESD22−A102−B条件:121℃ 100%RH 15psig)を96h行い、同様な基準で評価した。
○;塗膜表面にクラックが認められない。
×;塗膜表面にクラックが認められる。
【0064】
〔誘電率〕
6インチシリコンウエハ上に、スピンコート法を用いて形成材料試料を塗布し、ホットプレート上で80℃で5分間、200℃で5分間基板を乾燥し、さらに450℃の窒素雰囲気のオーブン中で60分基板を焼成した。得られた基板上にアルミニウムを蒸着し、誘電率評価用基板を作製した。誘電率は、横川・ヒューレットパッカード(株)製のHP16451B電極およびHP4284AプレシジョンLCRメーターもしくはソーラトロン社製システム1296/1260を用いて、10kHzにおける容量値から算出した。また,PCT(JDECJESD22−A102−B条件:121℃ 100%RH 15psig)を96h行い,その後測定及び算出を行った。
【0065】
合成例1
<重合体(I−5)の合成>
フェニルトリクロロシラン25gをトルエン40mlに溶解した。この溶液を攪拌しながら64mlの水を加え、23℃にて2時間攪拌下、反応させた。反応後、水層を除去し、トルエン層を水洗した。23℃にて減圧下、トルエンを留去し、Mw(重量平均分子量)6500の重合体(I−5)を得た。
【0066】
合成例2
エチルトリクロロシラン/4ブロモフェニルトリクロロシランのモル比10/3混合物30gをトルエン200mlに溶解し,水10gを滴下により加えた。その後反応液を40℃にて12時間攪拌した。反応液を冷却して減圧下濃縮して得られた固体をクロマトグラム精製して中間体(A)を得た。収率80%。
【0067】
【化21】
【0068】
続いて、中間体(A)と当量のフェニルアセチレンの末端スズ塩をTHF中に溶解し、ゼロ価パラジウムを触媒としたカップリング反応により、三重結合を有する化合物を得た。常法で処理して得られた固体をクロマトグラム精製して試料A−1を得た(25g:Mw 14,000)。
【0069】
【化22】
【0070】
同様にして2−フェニルフランを反応させて、試料(A−2:Mw 9,000)を合成した。
【0071】
【化23】
【0072】
実施例1
合成例2で得られた試料(A−1)5gをジイソプロピルベンゼン/シクロヘキサノン/プロピレングリコールモノメチルエーテル混合溶媒45gに溶解した溶液を0.2μm孔径のテフロン製フィルターでろ過を行い、スピンコート法でシリコンウエハ上に塗布した。得られた塗膜の塗膜の膜厚は700nmであり、3σは40nmと良好であった。塗膜の膜厚を変えてクラックの発生しない最大膜厚を評価したところ、1,400nmと優れたクラック耐性を示した。また、塗膜の誘電率を評価したところ、2.63と非常に低い誘電率を示した。
【0073】
実施例2
試料(A−1)に10%重合体(I−5)を添加したものを使用した以外は、実施例1と同様に塗膜を評価した。評価結果を表1に示す。
実施例3
試料(A−1)/試料(A−2)の重量比1/1混合物5gを使用した以外は実施例1と同様に塗膜を評価した。溶媒量は調整した。評価結果を表1に示す。
【0074】
実施例4〜6
試料(A−1)/ジフェニルアセチレン、試料(A−2)/ジフェニルアセチレン及び試料(A−1)/重合体(I−5)/ジフェニルアセチレンのそれぞれ重量比約8/1/1混合物5gを使用した以外は実施例1と同様に塗膜を評価した。溶媒量は適宜調整した。評価結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
比較例として、特開平11−40554号の実施例1と同様にして作成した絶縁膜を,本実施例1の絶縁膜と同様にして評価したところ,誘電率2.80であり、PCT後に誘電率3.20と上昇していることが観察された。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、特定の籠型構造を有するオルガノポリシロキサン(ポリシルセスキオキサン)を含有させることにより、塗布膜における厚さの均一性、クラック耐性、誘電率特性などのバランスに優れた膜形成用形成材料(層間絶縁膜用材料)を提供することができる。
Claims (3)
- 式(I)においてR1のうち少なくとも1つが下記の(i)〜(iii)のうちの少なくとも1つの条件を満たすものであることを特徴とする請求項1記載の絶縁膜形成材料。
(i) 炭素−炭素三重結合を少なくとも1つ有する。
(ii) 芳香族基と共役した炭素−炭素二重結合もしくは芳香族基と共役した炭素−窒素二重結合を少なくとも1つ有する。
(iii) 炭素数10以上の芳香環を少なくとも1つ有する。 - 請求項1又は2記載の絶縁膜形成用材料を用いて得られる絶縁膜。
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-
2003
- 2003-03-28 JP JP2003090712A patent/JP2004292767A/ja active Pending
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