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JP2004105087A - Photocatalyst film for agriculture - Google Patents

Photocatalyst film for agriculture Download PDF

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JP2004105087A
JP2004105087A JP2002272073A JP2002272073A JP2004105087A JP 2004105087 A JP2004105087 A JP 2004105087A JP 2002272073 A JP2002272073 A JP 2002272073A JP 2002272073 A JP2002272073 A JP 2002272073A JP 2004105087 A JP2004105087 A JP 2004105087A
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JP
Japan
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photocatalyst
carbon atoms
formula
film
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Application number
JP2002272073A
Other languages
Japanese (ja)
Inventor
Akira Nakabayashi
中林 亮
Kazuya Ota
太田 一也
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Asahi Kasei Chemicals Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Chemicals Corp
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Publication date
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
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    • Y02A40/25Greenhouse technology, e.g. cooling systems therefor

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  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Protection Of Plants (AREA)
  • Greenhouses (AREA)

Abstract

<P>PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a photocatalyst film for agriculture requiring no complex processes, causing no deterioration on a part between a resin film and a surface layer part comprising photocatalyst, or no deterioration of the surface layer part itself due to photocatalyst, and excellent in antifouling properties, drip-proof properties, and fog prevention over a long period of time due to photo irradiation so that the surface of the film exerts photocatalyst activity and/or hydrophilicity. <P>SOLUTION: The film comprises a resin film provided with a surface layer part containing photocatalyst (A) and a binder component (B). The film is made so that the concentration of the photocatalyst (A) in the surface layer part gets higher toward the surface from the inner side each of the resin film. <P>COPYRIGHT: (C)2004,JPO

Description

本発明は、長期間にわたり光触媒活性及び/または高度に親水性である農業用フィルムに関する。具体的には、防汚性、防滴性、防霧性を向上させ、かつこれらの特性が長期にわたって持続する農業用フィルムに関する。
【0001】
【従来の技術】
従来、グリーンハウス等の農業用施設の被覆材として、ポリ塩化ビニル等の塩化ビニル系樹脂;ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合樹脂等のオレフィン系樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;フッ素系樹脂;等の合成樹脂からなる樹脂フィルムが使用されている。
【0002】
これらの農業用施設の被覆材として使用される樹脂フィルムは、耐久性に優れるのは勿論のこと、これに加えて防汚性、防滴性、防霧性に優れていることが一般に要求されている。即ち、塵埃や藻等が付着して樹脂フィルム表面を汚染したり、樹脂フィルム表面に多量の水滴が付着したり、グリーンハウス等の施設内に霧が発生したりしたのでは、施設内への光線透過が不充分となるばかりでなく、作物に病害等が発生する要因ともなるため、これらを防止するような機能が要求されているのである。
【0003】
樹脂フィルムに防汚性を付与する手段としては、種々の提案がなされているが、特に汚れが付着し易い塩化ビニル系農業用フィルムの場合では、グリーンハウス等の外表面となる側の面に、汚れが付着しにくい性質の塗膜を形成する手段が一般的である。
また、樹脂フィルムに防滴性や防霧性を付与する手段としては、防滴剤としての非イオン系界面活性剤や、防霧剤としての含フッ素化合物を樹脂フィルム中に練り込んだり、樹脂フィルムのハウス内表面となる側の面に、コロイダルシリカやコロイダルアルミナ等の親水化物質を含有せしめた塗料を塗工したりする手段が一般的である。
【0004】
ところが、従来の提案技術では、樹脂フィルムの耐用年数に比べて、防汚性、防滴性、防霧性等の効果の持続期間は短く、長期間使用するとそれらの性能が低下してしまう欠点があった。
そこで、上記問題に対し、特開平11−10803号公報や特開平11−18589号公報では、農業用の樹脂フィルムの少なくとも片面に、光触媒を含有する被覆層を設けてなる農業用フィルムが提案されている。
【0005】
この方法は、光照射による光触媒の有機物分解作用による汚れ物質の除去効果と光触媒自体の光照射による親水化現象を利用し、長期間にわたり農業用フィルム表面を親水化するものであり、親水化された農業用フィルムは優れた防汚性、防滴性、防霧性をしめす。
しかしながら、これらの光触媒含有被覆層を設けた農業用フィルムの問題点として、基材である樹脂フィルムが光触媒含有被覆層の有機物分解作用によって分解劣化してしまうという大きな問題があった。
【0006】
なお、上記特開平11−18589号公報中では、樹脂フィルムの光触媒による劣化を防止する目的で、樹脂フィルムと光触媒含有被覆層の間にフッ素系樹脂からなる層(活性酸素に対して安定な層;保護層)を介在させ、樹脂フィルムを保護する方法も提案されているが、この方法では塗装工程が煩雑で作業性が悪く、生産ロス増加やコスト高になってしまう上、均質な皮膜を得るのが非常に困難であり、樹脂フィルムの劣化を完全に防止するのが難しいという欠点がある。また、この方法では光触媒層と保護層からなる層との間に明確な膜界面が存在するため、光触媒層の剥離等の問題も発生する。
【0007】
また、上記特開平11−10803号公報では、光触媒含有被覆層中における光触媒濃度が接着面より表面の方が高くなっている農業用フィルムを提案しているが、該農業用フィルムは、樹脂フィルムに最初に光触媒を含有しないバインダーを塗布乾燥させて保護層を形成させた後、光触媒とバインダーとの混合物を塗布乾燥することにより製造しており、この方法は実質的に上述した特開平11−18589号公報による保護層を介在させて光触媒含有被覆層を形成する方法となんら変わりがない。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−10803号公報
【特許文献2】
特開平11−18589号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、煩雑な工程を必要とせずに、樹脂フィルムと光触媒を含む表層部との間の界面劣化や表層部自体の光触媒による劣化を生じることが無く、光照射により長期にわたり、その表面が光触媒活性及び/または親水性を発現する防汚性、防滴性、防霧性に優れた農業用光触媒フィルムを提供する事を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は以下の通りである。
1.光触媒(A)及びバインダー成分(B)を含む表層部を備えた樹脂フィルムからなる農業用光触媒フィルムであって、該表層部中における光触媒(A)の濃度が樹脂フィルムの内部側から表面に向かって高くなることを特徴とする農業用光触媒フィルム。
2.該表層部が皮膜状であり、該皮膜中における光触媒(A)の濃度が樹脂フィルムに接する面から他方の露出面に向かって高くなることを特徴とする発明1に記載の農業用光触媒フィルム。
3.該表層部が、光触媒(A)及びバインダー成分(B)を含む光触媒組成物(C)から形成されることを特徴とする発明1または2に記載の農業用光触媒フィルム。
【0011】
4.該光触媒(A)が、式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及びフッ化メチレン(―CF−)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれ
る少なくとも1種の変性剤化合物(b)で変性された変性光触媒(A1)であることを特徴とする発明1〜3のいずれかに記載の農業用光触媒フィルム。
Si−         (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す)
−(RSiO)−       (2)
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
【0012】
【化4】

Figure 2004105087
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
【0013】
5.該バインダー成分(B)が、下記式(4)で表されるフェニル基含有シリコーン(BP)を含有することを特徴とする発明1〜4のいずれかに記載の農業用光触媒フィルム。
SiO(4−p−q−r)/2     (4)
(式中、各Rはフェニル基を表し、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。そしてp、q及びrは、0<p<4、0≦q<4、0≦r<4、及び0<(p+q+r)<4であり、そして0.05≦p/(p+q)≦1である。)
【0014】
6.該フェニル基含有シリコーン(BP)が、下記式(5)で表される、アルキル基を含有しないフェニル基含有シリコーン(BP1)であることを特徴とする発明5に記載の農業用光触媒フィルム。
SiO(4−s−t)/2     (5)
(式中、Rはフェニル基を表し、Xは各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。s及びtは、0<s<4、0≦t<4、そして0<(s+t)<4である。)
【0015】
7.該バインダー成分(B)が、下記式(6)で表されるアルキル基含有シリコーン(BA)を更に含有することを特徴とする発明5に記載の農業用光触媒フィルム。
SiO(4−u−v)/2       (6)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。そしてu及びvは、0<u<4、0≦v<4、そして0<(u+v)<4である。)
【0016】
8.該バインダー成分(B)が、式(5)で表される、アルキル基を含有しないフェニル基含有シリコーン(BP1)と式(6)で表されるアルキル基含有シリコーン(BA)を含有することを特徴とする発明1〜4のいずれかに記載の農業用光触媒フィルム。
SiO(4−s−t)/2     (5)
(式中、Rはフェニル基を表し、Xは各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。s及びtは、0<s<4、0≦t<4、そして0<(s+t)<4である。)
SiO(4−u−v)/2       (6)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。u及びvは、0<u<4、0≦v<4、そして0<(u+v)<4である。)
【0017】
9.該アルキル基含有シリコーン(BA)が、式(7)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位(D)と式(8)で表されるジオキシオルガノシラン単位(T)を有することを特徴とする発明7または8に記載の農業用光触媒フィルム。
−(R SiO)−       (7)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。
【0018】
【化5】
Figure 2004105087
(式中、Rは式(7)で定義した通りである。)
【0019】
10.該フェニル基含有シリコーン(BP)と該アルキル基含有シリコーン(BA)について相分離構造を有する表層部であることを特徴とする発明7〜9のいずれかに記載の農業用光触媒フィルム。
11.該光触媒(A)が該アルキル基含有シリコーン(BA)相に存在することを特徴とする発明10に記載の農業用光触媒フィルム。
12.該光触媒(A)の数平均粒子径が400nm以下であることを特徴とする発明3に記載の農業用光触媒フィルム。
13.該変性剤化合物(b)が、式(9)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)であることを特徴とする発明4に記載の農業用光触媒フィルム。
SiO(4−x−y)/2 (9)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。x及びyは、0<x<4、0<y<4であり、そして(x+y)≦4である。)
【0020】
14.該Si−H基含有ケイ素化合物(b1)が、式(10)で表されるモノSi−H基含有化合物、式(11)で表される両末端Si−H基含有化合物、式(12)で表されるHシリコーンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする発明13に記載の農業用光触媒フィルム。
【0021】
【化6】
Figure 2004105087
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、フェニル基、又は式(13)で表されるシロキシ基を表す。
−O−(R SiO)−SiR  ・・・(13)
(式中、Rはそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、又はフェニル基を表す。また、mは整数であり、0≦m≦1000である。))
H−(R SiO)−SiR −H ・・・(11)
(式中、Rは式(10)で定義した通りである。nは整数であり、0≦n≦1000である。)
(RHSiO)(R SiO)(R SiO1/2 ・・・(12)
(式中、Rは式(10)で定義した通りである。aは1以上の整数であり、bは0以上の整数であり、(a+b)≦10000であり、そしてcは0又は2である。但し、(a+b)が2以上の整数であり且つc=0の場合、式(12)の該Hシリコーンは環状シリコーンであり、c=2の場合、式(12)の該Hシリコーンは鎖状シリコーンである。)
【0022】
15.該表層部中のバインダー成分(B)が、相分離構造を形成していることを特徴とする発明1または2に記載の農業用光触媒フィルム。
16.該表層部に含まれる光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより光触媒活性及び/又は親水性を示すことを特徴とする発明1または2に記載の農業用光触媒フィルム。
17.該表層部に含まれる光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより、該光触媒(A)粒子の近傍に存在する珪素原子に結合した有機基の少なくとも一部が水酸基及び/又はシロキサン結合に置換されてなることを特徴とする発明4、5、7、8のいずれかに記載の農業用光触媒フィルム。
18.光触媒(A)とバインダー成分(B)を含む光触媒組成物(C)であって、発明1に記載の表層部を形成することを特徴とする農業用フィルム用光触媒被覆組成物。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の農業用光触媒フィルムは、光触媒(A)及びバインダー成分(B)を含む表層部を備えた樹脂フィルムからなり、該表層部中における光触媒(A)の濃度が樹脂フィルムの内部側から表面に向かって高くなることを特徴とする。
この際、全表層部中の光触媒含有量(濃度)100に対し、露出面と接する表面側近傍の相対濃度が120以上であることが光触媒能力や親水化能力の向上効果を発現し、防汚効果が大きくなるために好ましい。該表面側近傍の相対濃度はより好ましくは150以上、さらに好ましくは200以上であることがよい。また、樹脂フィルムに接する面の近傍の相対濃度が50以下であると樹脂フィルムの劣化防止効果の点で好ましい。該樹脂フィルムの近傍の相対濃度はより好ましくは10以下、さらに好ましくは0であると良い。
【0024】
また、本発明における表層部中における光触媒(A)の濃度は、該樹脂フィルムに接する面から他方の露出面に向かって徐々に高くなっても良いし、単に該樹脂フィルムに接する面での光触媒濃度が低く、他方の露出面における光触媒濃度が高く、その間の変化が不連続であっても良い。
さらに、本発明の表層部中において、保護層の上に光触媒層を塗布する場合に生じる様な明確な膜界面が存在しない方が好ましい。すなわち、保護層の上に光触媒層を塗布する場合に生じる様な明確な膜界面が存在しない場合、光触媒は強固に表層部中に固定化され、光触媒の剥離等の問題が発生しなくなる。
【0025】
本発明における樹脂フィルムとは、単体あるいは複合体を問わず適宜の樹脂フィルムを用いる。代表的なものとしては、ポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネイトフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、セロファンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ酢酸ビニルフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム等の単体あるいは複合体を用いることができる。コーティング層の接着性が良好なことから樹脂フィルムには特にその中でも単体、複合体あるいは延伸、未延伸を問わずポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、アクリルフィルム、ポリオレフィンフィルムおよびフッ素系樹脂フィルムが、機械特性、光学特性の面から好適であり、中でも、ポリエステルフィルム、フッ素系樹脂フィルムがより好適である。
【0026】
本発明においていうポリエステルとは、具体的には例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス−α,β(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の2官能カルボン酸の少なくとも1種と、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール等のグリコールの少なくとも1種とを重縮合して得られるポリエステルを用いることができる。また、該ポリエステルには本発明の目的を阻害しない範囲内で他種ポリマをブレンドしたり、共重合してもよいし、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、顔料、紫外線吸収剤などが含まれていてもよい。
【0027】
また本発明におけるフッ素系樹脂フィルムの材質は特に限定されるものではないが、各種のものを用いることができる。代表的なものとして、4フッ化エチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、6フッ化プロピレン、2フッ化ビニリデン、3フッ化エチレン、1フッ化エチレン、塩化3フッ化エチレン等の重合体、それらの共重合体、あるいはエチレンとこれらの共重合体からなる単体、複合体あるいは延伸、未延伸のフィルムを代表例として用いることができる。しかし、機械的特性、製膜性、加工適性の点から4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、エチレン−4フッ化エチレン共重合体を用いることが好ましく、中でもエチレン−4フッ化エチレン共重合体を主成分としたものが特に好ましい。更に、フッ素樹脂フィルムは未延伸、一軸延伸、二軸延伸のいずれでも用いうるが機械的強度が必要とされる場合には延伸フィルムが好ましい。
【0028】
また、フッ素系樹脂フィルムには必要に応じて、本発明の効果を損なわない量で添加剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、無機または有機の微粒子、分散剤、カップリング剤、充填剤等を配合してもよい。
本発明に使用される樹脂フィルムの厚さは特に制限されないが、0.5μm〜2mmが適当であり、特に10〜200μmが望ましい。
【0029】
また、上記の樹脂フィルムは、必要に応じて添加される各種添加剤、具体的には、防滴剤、防霧剤、可塑剤、安定剤、滑剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、保温剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、無機充填剤等を含んだものであってもよい。
また、本発明に使用される樹脂フィルムを成形するための手段としては、例えばカレンダー法、押出法、インフレーション法、溶液流延法(キャスティング法)等の手段が採用できる。また、農業用フィルムが積層フィルムである場合には、共押出法、押出ラミネート法、多層インフレーション法等の手段により成形することもできるし、上記のような手段にて別々に作製したフィルムを、必要に応じて接着剤を使用するなどしてラミネートして積層フィルムとすることも可能である。
【0030】
更に本発明では、樹脂フィルム表面に光触媒含有表層部を形成する場合においては、所望により表面処理や下塗り処理を施すことができる。
表面処理としては各種の方法、例えばコロナ放電処理(空気中、窒素中、炭酸ガス中、希ガス中等)やプラズマ(グロー放電)処理(高圧、低圧)、高周波スパッタエッチング処理等を行い、フィルム表面に高エネルギー粒子を衝突させる処理方法が用いられる。一方、薬液処理には、金属ナトリウムのアンモニア溶液や、ナトリウム・ナフタリン錯体のテトラヒドロフラン溶液に樹脂フィルムを浸漬する等のアルカリ溶液処理が用いられる。
【0031】
また、下塗り処理としては酸素および/または窒素を含む原子団を有する有機化合物からなる易接着剤を塗布してもよい。酸素および/または窒素を含む原子団としては、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、水酸基、カルボニル基、エーテル基、エポキシ基、イソシアネート基、アミド基、ウレタン基、エステル基、尿素基、シアノ基等が例示できる。このような原子団を有する有機化合物としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリカーボネイト、ポリスチレン、 ポリメチルペンテン、ポリオレフィン、ハロゲン化ポリオレフィン、アルキド樹脂、ポリアミドイミド、ポリビニールアルコール、ケイ酸樹脂などが用いられるが、中でもポリエステル、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリビニルアルコールを用いたものが表層部の密着性の点でより好ましい。
【0032】
本発明において、光触媒(A)とは、伝導帯と価電子帯との間のエネルギーギャップよりも大きなエネルギー(すなわち短い波長)の光(励起光)を照射したときに、価電子帯中の電子の励起(光励起)が生じて、伝導電子と正孔を生成しうる物質をいう。このとき、伝導帯に生成した電子の還元力および/または価電子帯に生成した正孔の酸化力を利用して、種々の化学反応を行うことができる。この光触媒によって促進される化学反応の例としては、種々の有機物の酸化分解反応を挙げることができる。従って、この光触媒を樹脂フィルムの表面に固定化させれば、樹脂フィルムに付着した種々の有機物(汚染物質)を、光エネルギーを利用して酸化分解することができ、さらに樹脂フィルムの表面を親水性に保つことが可能となる。
【0033】
本発明において光触媒活性とは、光照射によって酸化、還元反応を起こすことを言う。材料表面の、光照射時における色素等の有機物の分解性を測定することにより表面が光触媒活性であるか否かを判定できる。光触媒活性を有する表面は、優れた汚染有機物質の分解活性や耐汚染性を発現する。
また、本発明において親水性とは、好ましくは20℃での水の接触角が60゜以下である場合を言うが、特に水の接触角が20゜以下の親水性を有する表面は、降雨等の水による自己浄化能(セルフクリーニング)による耐汚染性を発現するので好ましい。さらに優れた耐汚染性発現や防曇性発現の点からは、表面の水の接触角は10゜以下であることが好ましく、更に好ましくは5゜以下である。
【0034】
本発明において、樹脂フィルムの表面を光触媒活性及び/又は親水性にするのに有用に使用できる光触媒(A)としては、例えばTiO、ZnO、SrTiO、CdS、GaP、InP、GaAs、BaTiO、BaTiO、BaTi、KNbO、Nb、Fe、Ta、KTaSi、WO、SnO、Bi、BiVO、NiO、CuO、SiC、MoS、InPb、RuO、CeO、Ta等、さらにはTi、Nb、Ta、Vから選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物(特開昭62−74452号公報、特開平2−172535号公報、特開平7−24329号公報、特開平8−89799号公報、特開平8−89800号公報、特開平8−89804号公報、特開平8−198061号公報、特開平9−248465号公報、特開平10−99694号公報、特開平10−244165号公報等参照)や、窒素ドープ酸化チタン(特開平13−278625号公報、特開平13−278627号公報、特開平13−335321号公報、特開平14−029750号公報、特開平13−207082号公報等参照)や、酸素欠陥型の酸化チタン(特開平13−212457号公報参照)の如き、可視光応答型酸化チタン光触媒も好適に使用することができる。また、TaON、LaTiON、CaNbON、LaTaON、CaTaON等のオキシナイトライド化合物やSmTi等のオキシサルファイド化合物は可視光による光触媒活性が大きく、好適に使用することができる。
【0035】
更に、これらの光触媒に、Pt、Rh、Ru、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属及び/又はこれらの酸化物を添加あるいは固定化したものや、多孔質リン酸カルシウム等で被覆された光触媒(特開平10−244166号公報参照)等を使用することもできる。
上記光触媒(A)の結晶粒子径(1次粒子径)は1〜400nmであることが好ましく、より好ましくは1〜50nmの光触媒が好適に選択される。
【0036】
これらの光触媒のうち、酸化チタンは無毒であり、化学的安定性にも優れると共に、光照射により、酸化チタン自体の親水性が非常に高まるため好ましい。
該酸化チタンとしては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のうち、いずれの結晶形を使用してもよい。また、可視光応答性である上記窒素ドープ酸化チタンや酸素欠陥型の酸化チタンも、該酸化チタンとして好適に使用できる。
本発明の光触媒(A)として、該光触媒(A)を、後述する少なくとも1種の変性剤化合物(b)を用いて変性処理した変性光触媒(A1)を用いることが好ましい。
【0037】
本発明において光触媒(A)の変性とは、後述する少なくとも1種の変性剤化合物(b)を、光触媒(A)粒子の表面に固定化することを意味する。上記の変性剤化合物の光触媒粒子の表面への固定化は、ファン・デル・ワールス力(物理吸着)やクーロン力または化学結合によるものと考えられる。特に、化学結合を利用した変性は、変性剤化合物と光触媒との相互作用が強く、変性剤化合物が光触媒粒子の表面に強固に固定化されるので好ましい。
【0038】
本発明の光触媒(A)を変性光触媒(A1)とすることにより、本発明の、樹脂フィルムに、上記光触媒(A)を含む表層部を形成する場合に、該表層部中における光触媒(A)の濃度が、該表層部の樹脂フィルムの内部側から他方の露出面に向かって高くなる構造の形成が、特に後述するバインダー成分(B)と組み合わせた場合に容易になるため、非常に好ましい。
本発明においては、変性に用いる光触媒(A)の性状が、変性光触媒(A1)の分散安定性、成膜性、及び種々の機能の発現にとって重要な因子となる。すなわち、本発明の変性に使用される光触媒(A)としては、1次粒子と2次粒子との混合物の数平均分散粒子径が400nm以下の光触媒が変性後の光触媒の表面特性を有効に利用できるために好ましい。特に数平均分散粒子径が100nm以下の光触媒を使用した場合、生成する変性光触媒(A1)と後述するバインダー成分(B)を含む光触媒組成物(C)から形成された本発明の表層部では、変性光触媒(A1)を効率的に該表層部の表面(露出面)に存在させることができるため非常に好ましい。より好ましくは80nm以下3nm以上、さらに好ましくは50nm以下3nm以上の光触媒(A)が好適に選択される。
【0039】
これらの光触媒(A)としては、以下の理由から、光触媒粉体ではなく光触媒ゾルを使用することが好ましい。一般に微細な粒子からなる粉体は、単結晶粒子(一次粒子)が強力に凝集した二次粒子を形成するため、無駄にする表面特性が多いが、一次粒子にまで分散させるのは非常に困難である。これに対して、光触媒ゾルの場合、光触媒粒子は溶解せずに一次粒子に近い形で存在しているため表面特性を有効に利用でき、それから生成する変性光触媒は分散安定性、成膜性等に優れるばかりか、種々の機能を有効に発現するので好ましく使用することができる。ここで、本発明に用いる光触媒ゾルとは、光触媒粒子が水及び/又は有機溶媒中に0.01〜70質量%、好ましくは0.1〜50質量%で一次粒子及び/または二次粒子として分散されたものである。
【0040】
ここで、上記光触媒ゾルに使用される上記有機溶媒としては、例えばエチレングリコール、ブチルセロソルブ、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等、さらにはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0041】
該光触媒ゾルとして酸化チタンのゾルを例にとると、例えば実質的に水を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が解膠された酸化チタンヒドロゾル等を挙げることができる。(ここで、実質的に水を分散媒とするとは、分散媒中に水が80質量%程度以上含有されていることを意味する。)かかるゾルの調整は公知であり、容易に製造できる(特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等参照)。例えば、硫酸チタンや四塩化チタンの水溶液を加熱加水分解して生成したメタチタン酸をアンモニア水で中和し、析出した含水酸化チタンを濾別、洗浄、脱水させると酸化チタン粒子の凝集物が得られる。この凝集物を、硝酸、塩酸、又はアンモニア等の作用の下に解膠させ水熱処理等を行うことにより酸化チタンヒドロゾルが得られる。また、酸化チタンヒドロゾルとしては、酸化チタン粒子を酸やアルカリの作用の下で解膠させたものや、酸やアルカリを使用せず、必要に応じてポリアクリル酸ソーダなどの分散安定剤を使用し、強力なせん断力の下で水中に分散させたゾルも用いることができる。さらに、pHが中性付近の水溶液中においても分散安定性に優れる、粒子表面がペルオキソ基で修飾されたアナターゼ型酸化チタンゾルも特開平10−67516号公報で提案された方法によって容易に得ることができる。
【0042】
上述した酸化チタンヒドロゾルはチタニアゾルとして市販されている。(例えば、石原産業株式会社製「STS−02」、田中転写株式会社製「TO−240」等)
上記酸化チタンヒドロゾル中の酸化チタンは好ましくは50質量%以下、好ましくは30質量%以下である。さらに好ましくは30質量%以下0.1質量%以上である。
【0043】
このようなヒドロゾルの粘度(20℃)は比較的低い。本発明においては、ヒドロゾルの粘度は、0.5mPa・s〜2000mPa・s程度の範囲にあるのが好ましい。より好ましくは1mPa・s〜1000mPa・s、さらに好ましくは1mPa・s〜500mPa・sである。
また、例えば酸化セリウムゾル(特開平8−59235号公報参照)やTi、Nb、Ta、Vよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物のゾル(特開平9−25123号公報、特開平9−67124号公報、特開平9−227122号公報、特開平9−227123号公報、特開平10−259023号公報等参照)等、様々な光触媒ゾルの製造方法についても酸化チタンゾルと同様に知られている。
【0044】
また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、その中に光触媒粒子が分散された光触媒オルガノゾルは、例えば上記光触媒ヒドロゾルをポリエチレングリコール類の如き相間移動活性を有する化合物(異なる第1の相と第2相との界面に第3の相を形成し、第1の相、第2の相、第3の相を相互に溶解及び/又は可溶化する化合物)で処理し有機溶媒で希釈したり(特開平10−167727号公報)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤で水に不溶性の有機溶剤中に分散移行させてゾルを調整する方法(特開昭58−29863号公報)やブチルセロソルブ等の水より高沸点のアルコール類を上記光触媒ヒドロゾルに添加した後、水を(減圧)蒸留等によって除去する方法等により得ることができる。また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が分散された酸化チタンオルガノゾルは市販されている(例えば、テイカ株式会社製「TKS−251」)。ここで、実質的に有機溶媒を分散媒とするとは、分散媒中に有機溶媒が80質量%程度以上含有されていることを意味する。
【0045】
本発明において、変性光触媒(A1)を得るのに用いられる少なくとも1種の変性剤化合物(b)は、式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及びフッ化メチレン(―CF−)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる。
Si−         (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す)
−(RSiO)−       (2)
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
【0046】
【化7】
Figure 2004105087
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
【0047】
上述した構造単位を有する変性剤化合物(b)で光触媒粒子表面が変性処理された変性光触媒(A1)は、その粒子表面の表面エネルギーが非常に小さくなる。
本発明において、光触媒(A)の変性剤化合物(b)による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、前述した光触媒(A)と、同じく前述した変性剤化合物(b)を好ましくは質量比(A)/(b)=1/99〜99.9/0.1、より好ましくは(A)/(b)=10/90〜99/1の割合で混合し、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜80℃にて加熱したり、(減圧)蒸留等により該混合物の溶媒組成を変化させる等の操作をすることにより得ることができる。
【0048】
ここで上記変性処理を行う場合、使用できる有機溶媒としては、例えばトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等やこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0049】
本発明の変性光触媒(A1)を得るのに使用される上記変性剤化合物(b)としては、例えばSi−H基、加水分解性シリル基(アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基、ハロゲン化シリル基、アセトキシシリル基、アミノキシシリル基等)、エポキシ基、アセトアセチル基、チオール基、酸無水物基等の光触媒粒子(a)と反応性を有するケイ素化合物やフルオロアルキル化合物、フルオロオレフィン重合体等を挙げることができる。
【0050】
また、上記変性剤化合物(b)の他の例としては、例えばポリオキシアルキレン基等の光触媒粒子(a)とファン・デル・ワールス力、クーロン力等により相互作用する構造を有するケイ素化合物等やフルオロアルキル化合物、フルオロオレフィン重合体等を挙げることができる。
本発明において、上記変性剤化合物(b)として、組成式(9)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)を用いると、非常に効率よく光触媒粒子表面を変性することができるため好ましい。
SiO(4−x−y)/2 (9)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。x及びyは、0<x<4、0<y<4であり、そして(x+y)≦4である。)
【0051】
本発明において、光触媒(A)の上記組成式(9)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、光触媒(a)と該Si−H基含有ケイ素化合物(b1)を好ましくは質量比(A)/(b1)=1/99〜99.9/0.1、より好ましくは(A)/(b1)=10/90〜99/1の割合で好ましくは0〜200℃にて混合することにより実施できる。この変性の操作により混合液からは水素ガスが発生すると共に、光触媒(A)として光触媒ゾルを用いた場合、その平均分散粒子径の増加が観察される。また、例えば光触媒(A)として酸化チタンを用いた場合、上記変性の操作により、Ti−OH基の減少がIRスペクトルにおける3630〜3640cm−1の吸収の減少として観測される。
【0052】
これらのことより、変性剤化合物(b)として上記式(9)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)を選択した場合は、本発明の変性光触媒(A1)は、Si−H基含有ケイ素化合物(b1)と光触媒(A)との単なる混合物ではなく、両者の間には化学反応に伴う何らかの相互作用を生じていることが予測できるため非常に好ましい。実際、この様にして得られた変性光触媒(A1)は、有機溶媒に対する分散安定性や化学的安定性、耐久性等等において非常に優れたものとなっている。
【0053】
本発明において、光触媒(A)の上記式(9)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)による変性処理は、Si−H基に対する脱水素縮合触媒を使用して好ましくは0〜150℃で実施することもできる。
この場合、あらかじめ光還元法等の方法で脱水素縮合触媒を光触媒(A)に固定し、上記Si−H基含有ケイ素化合物(b1)で変性処理しても良いし、脱水素縮合触媒の存在下に上記Si−H基含有化合物ケイ素(b1)で光触媒(A)を変性処理しても良い。
【0054】
ここでSi−H基に対する脱水素縮合触媒とは、Si−H基と光触媒表面に存在する水酸基(酸化チタンの場合はTi−OH基)やチオール基、アミノ基、カルボキシル基等の活性水素基、さらには水等との脱水素縮合反応を加速する物質を意味し、該脱水素縮合触媒を使用することにより温和な条件で光触媒表面を変性することが可能となる。
該脱水素縮合触媒としては、例えば白金族触媒、すなわちルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の単体及びその化合物や、銀、鉄、銅、コバルト、ニッケル、錫等の単体及びその化合物が挙げられる。これらの中で白金族触媒が好ましく、白金の単体及びその化合物が特に好ましい。
ここで、上記白金の化合物としては、例えば塩化白金(II)、テトラクロロ白金酸(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金酸(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)カリウム、水酸化白金(II)、二酸化白金(IV)、ジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−オレフィン錯体等を使用することができる。
【0055】
本発明の上記式(9)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物において、Si−H基は光触媒を穏和な条件で選択性良く変性するために好ましい官能基である。これに対し、加水分解性基は、同様に光触媒の変性に利用することもできるが、副反応を抑制し、得られる変性光触媒の安定性を向上するためには、その含有量は少ない方が好ましい。
本発明に好適に使用できる上記式(9)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)としては、例えば式(10)で表されるモノSi−H基含有化合物、式(11)で表される両末端Si−H基含有化合物、式(12)で表されるHシリコーンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の、加水分解性シリル基を有さないS−H基含有化合物を挙げることができる。
【0056】
【化8】
Figure 2004105087
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、フェニル基、又は式(13)で表されるシロキシ基を表す。
−O−(R SiO)−SiR  ・・・(13)
(式中、Rはそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、又はフェニル基を表す。また、mは整数であり、0≦m≦1000である。))
H−(R SiO)−SiR −H ・・・(11)
(式中、Rは式(10)で定義した通りである。nは整数であり、0≦n≦1000である。)
(RHSiO)(R SiO)(R SiO1/2 ・・・(12)
(式中、Rは式(10)で定義した通りである。aは1以上の整数であり、bは0以上の整数であり、(a+b)≦10000であり、そしてcは0又は2である。但し、(a+b)が2以上の整数であり且つc=0の場合、式(12)の該Hシリコーンは環状シリコーンであり、c=2の場合、式(12)の該Hシリコーンは鎖状シリコーンである。)
【0057】
本発明において、上記式(10)で表されるモノSi−H基含有化合物の具体例としては、例えばビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)エチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−プロピルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)i−プロピルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−ブチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−ヘキシルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)シクロヘキシルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)フェニルシラン、ビス(トリエチルシロキシ)メチルシラン、ビス(トリエチルシロキシ)エチルシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(トリエチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサン、1,1,1,3,3,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,5,6,6−ノナメチルテトラシロキサン、トリメチルシラン、エチルジメチルシラン、メチルジエチルシラン、トリエチルシラン、フェニルジメチルシラン、ジフェニルメチルシラン、シクロヘキシルジメチルシラン、t−ブチルジメチルシラン、ジ−t−ブチルメチルシラン、n−オクタデシルジメチルシラン、トリ−n−プロピルシラン、トリ−i−プロピルシラン、トリ−i−ブチルシラン、トリ−n−ヘキシルシラン、トリフェニルシラン、アリルジメチルシラン、1−アリル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、クロロメチルジメチルシラン、7−オクテニルジメチルシラン等を挙げることができる。
【0058】
これらのモノSi−H基含有化合物の中で、光触媒の変性処理時におけるSi−H基の反応性(脱水素縮合反応)の良さや表面エネルギーの低さから、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサン等の分子中にシロキシ基を有し、フェニル基を有さない下式(14)で表されるものが好ましい。
【0059】
【化9】
Figure 2004105087
(式中、Rはそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルケニル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、もしくは式(13b)で表されるシロキシ基から選ばれた1種以上からなる基であり、かつRの中の少なくとも1つは式(13b)で表されるシロキシ基である。
−O−(RSiO)−SiR ・・・(13b)
(式中、R’はそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基を表す。また、mは整数であり、0≦m≦1000である。))
【0060】
本発明において、上記式(11)で表される両末端Si−H基含有化合物の具体例としては、例えば1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下のH末端ポリジメチルシロキサン類や、1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタエチルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下のH末端ポリジエチルシロキサン類や、1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサフェニルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタフェニルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下のH末端ポリジフェニルシロキサン類や、1,3−ジフェニル−1,3−ジメチル−ジシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニル−トリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニル−テトラシロキサン等の数平均分子量50000以下のH末端ポリフェニルメチルシロキサン類や、ジメチルシラン、エチルメチルシラン、ジエチルシラン、フェニルメチルシラン、ジフェニルシラン、シクロヘキシルメチルシラン、t−ブチルメチルシラン、ジ−t−ブチルシラン、n−オクタデシルメチルシラン、アリルメチルシラン等を例示することができる。
【0061】
これらの中で、光触媒の変性処理時におけるSi−H基の反応性(脱水素縮合反応)の良さや表面エネルギーの低さから、数平均分子量が好ましくは10000以下、より好ましくは2000以下、さらに好ましくは1000以下のH末端ポリジアルキルシロキサン(式(15))が両末端Si−H基含有化合物として好適に使用できる。
H−(R SiO)−SiR −H  ・・・(15)
(式中、Rはそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基を表す。dは整数であり、0≦d≦1000である。)
本発明に用いる上記式(12)で表されるHシリコーンとしては、光触媒の変性処理時における分散安定性(光触媒粒子の凝集の防止)の点より、数平均分子量が好ましくは5000以下、より好ましくは2000以下、さらに好ましくは1000以下のHシリコーンが好適に使用できる。
【0062】
また、本発明の変性光触媒(A1)の好ましい形態は、変性光触媒の一次粒子と二次粒子との混合物の数平均分散粒子径が400nm以下、さらに好ましくは1nm以上100nm以下、特に好ましくは5nm以上80nm以下である。ゾルの状態であることが好ましい。
また、特に数平均分散粒子径が100nm以下の変性光触媒ゾルを本発明の光触媒組成物(C)に用いると、変性光触媒粒子の濃度が樹脂フィルムと接する界面近傍では小さく、表層部の表面近傍では大きく分布するような表面方向に異方分布した表層部を形成するのに有利となり、光触媒作用による樹脂フィルムとの界面劣化が無く、光触媒活性が大きい表層部を形成するため非常に好ましい。この様な変性光触媒ゾルは、上記変性剤化合物(b)で変性処理をする光触媒として前述した光触媒ゾルを用いることにより得ることができる。
【0063】
なお、従来、二酸化チタンなどで単に粒径として表示されている数値は、多くの場合一次粒子径(結晶子径)であり、凝集による二次粒子径を考慮した数値ではない。
本発明の表層部を形成する光触媒組成物(C)は、光触媒(A)(好ましくは変性光触媒(A1))とバインダー成分(B)を含むことを特徴とし、その質量比(A1)/(B)は0.1/99.9〜90/10であることが好ましく、(A1)/(B)が1/99〜50/50で含むことがより好ましい。
【0064】
本発明の変性光触媒(A1)は、表面エネルギーの非常に小さい構造(式(1)〜(3))を有する変性剤化合物(b)で変性処理されているため、表層部を形成する際、空気と接する側の表層部表面に移動しやすい性質を持っている。
ここで、本発明のバインダー成分(B)として、光触媒(A)、特に該変性光触媒(A1)より表面エネルギーが高いバインダー樹脂(B’)を用いることにより、変性光触媒(A1)の上記性質を助長するため、本発明の光触媒組成物(C)は、光触媒(A)、特に変性光触媒(A1)の分布について大きな自己傾斜性を有することが可能となる。ここで自己傾斜性とは、光触媒組成物(C)から表層部を形成する際、その形成過程において光触媒(A)、特に変性光触媒(A1)が、表層部が接する界面の性状(特に親水/疎水性)に対応して、光触媒(A)、特に変性光触媒(A1)の濃度勾配を有する構造を自律的に形成することを意味する。
【0065】
本発明のバインダー成分(B)としては、光触媒(A)(好ましくは変性光触媒(A1))より、表面エネルギーが2mN/m以上、好ましくは5mN/m以上大きい樹脂を選択すると、上記自己傾斜性が大きくなり非常に好ましい。
ここで、上記表面エネルギーや表面エネルギーの相対差は、例えばPolymer Handbook(米国 A Wiley−interscience publication 出版)等を参照したり、以下の方法で測定したりすることにより求めることができる。
すなわち、上記光触媒組成物(C)を構成する光触媒(A)、特に変性光触媒(A1)及びバインダー成分(B)から各々それらの表層部を有する基材を調整し、脱イオン水を滴下して20℃における接触角(θ)を測定し、下記のSellとNeumannの実験式により、各々の表面エネルギーを求めることができる。
【0066】
【数1】
Figure 2004105087
[式中、γsは脱イオン水の接触角を測定した表層部の表面エネルギー(mN/m)を表し、γlは水の表面エネルギー{72.8mN/m(20℃)}を表わす。]
【0067】
本発明の光触媒組成物(C)において、バインダー成分(B)に使用できる化合物としては、上記条件を満たす表面エネルギーを有すればよく特に制限されないが、各種単量体、合成樹脂及び天然樹脂等が挙げられ、また被膜の形成後に、乾燥、加熱、吸湿、光照射等により硬化するものも挙げることができる。また、その形態については、無溶媒の状態(ペレット、粉体、液体等)であっても溶媒に溶解あるいは分散した形態であっても良く、特に制限はない。
【0068】
上記合成樹脂としては、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂等)の使用が可能であり、例えばシリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンスルホン樹脂ポリエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン−アクリル樹脂等を挙げることができる。
また、上記天然高分子としては、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、天然ゴム等のイソプレン系樹脂、カゼイン等のタンパク質系樹脂やでんぷん等を挙げることができる。
【0069】
本発明において、光触媒組成物(C)に使用するバインダー成分(B)としては、下記式(4)で表されるフェニル基含有シリコーン(BP)が、本発明の変性光触媒(A1)より表面エネルギーが高く、その骨格を成すシロキサン結合(−O−Si−)は光触媒作用による酸化分解がおこらないため、最も好適に使用できる。
SiO(4−p−q−r)/2     (4)
(式中、各Rはフェニル基を表し、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。そしてp、q及びrは、0<p<4、0≦q<4、0≦r<4、及び0<(p+q+r)<4であり、そして0.05≦p/(p+q)≦1である。)
上記式(4)で示されるフェニル基含有シリコーン(BP)としては、例えば一般式(16)、(17)、(18)及び(19)で表されるシロキサン結合の少なくとも1種の構造を含むシリコーンを挙げることができる。
【0070】
【化10】
Figure 2004105087
−(R SiO)−    ・・・(17)
【0071】
【化11】
Figure 2004105087
(式中、Rはそれぞれ独立に、フェニル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基を表す。)
【0072】
【化12】
Figure 2004105087
【0073】
上述した構造を含むシリコーンは、例えば一般式RSiX(式中、Rは、フェニル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基を表す。各Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる一つの反応性基を表す。以下同様。)で表される3官能シラン誘導体及び/又は一般式R SiXで表される2官能シラン誘導体及び/又は一般式SiXで表される4官能シラン誘導体を部分的に加水分解・縮重合させ、必要により一般式R SiXで表される1官能シラン誘導体及び/又はアルコール類によって末端停止させることにより調製できる。この様にして得られるシラン誘導体モノマーの部分縮合物のポリスチレン換算重量平均分子量は、好ましくは100〜100,000、より好ましくは400〜50,000である。
【0074】
これらの中で、上記式(4)で示されるフェニル基含有シリコーンとして、上記式(16)で表されるラダー構造を10モル%以上、好ましくは40モル%以上含むものを選択すると、本発明の光触媒組成物(C)から形成される光触媒含有表層部は、硬度、耐熱性、耐候性、耐汚染性、耐薬品性等の点で非常に優れたものとなるため好ましい。特に、上記ラダー構造としてフェニルラダー構造〔式(16)におけるRが全てフェニル基のもの〕を有するものは上述した光触媒含有表層部の物性が非常に向上するため好ましい。この様なラダー構造は、例えば赤外線吸収スペクトルにおける1040cm−1と1160cm−1付近の2本のシロキサン結合に由来する吸収の存在により同定する事ができる。
(J.F.Brown.Jr.,etal.:J.Am.Chem.Soc.,82,6194(1960)参照。)
本発明に用いる上記式(4)で表されるフェニル基含有シリコーン(BP)は、Ph−Si結合(Ph:フェニル基)を有することが好ましい。
【0075】
すなわち、本発明の光触媒組成物(C)において、表面エネルギーの非常に小さい構造(式(1)〜(3))を有する変性剤化合物(b)で変性処理されている変性光触媒(A1)のバインダーとして、該変性光触媒(A1)より表面エネルギーが高いフェニル基含有シリコーン(BP)を含むバインダー成分(B)を用いることにより、本発明の光触媒組成物(C)は、変性光触媒(A1)の分布について高い自己傾斜性を有することが可能となる。
【0076】
この様な表面エネルギーの高いフェニル基含有シリコーン(BP)による自己傾斜性の発現効果は、フェニル基(R)を、フェニル基(R)とR(Rは直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基を表す。)の合計{以下(R+R)と表す。}に対し5モル%以上有する上記式(4)で示されるフェニル基含有シリコーン(BP)を用いることによってより顕著に発揮することができるので、このようなフェニル基含有シリコーン(BP)を用いることは好ましい。
【0077】
また、上述した自己傾斜性の発現効果は、フェニル基(R)の(R+R)に対する割合が増えるに従い増大する。よって、本発明の光触媒組成物に使用するバインダー成分(B)のフェニル基含有シリコーンとしてより好ましいものは、(R+R)に対するフェニル基(R)の割合が10モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上のものである。また、該フェニル基含有シリコーン(BP)は有機樹脂等の有機基材に対する密着性が良好であり、その骨格を成すシロキサン結合(−O−Si−)は光触媒作用による酸化分解がおこらないため、本発明の光触媒組成物(C)を樹脂フィルムにコーティングして得られる光触媒含有表層部は、非常に耐候性に優れたものになる。
【0078】
本発明の光触媒組成物(C)において、バインダー成分(B)に使用するフェニル基含有シリコーン(BP)として、上述した効果を発揮するより好ましいものは、下記式(5)で表されるアルキル基を含有しないフェニル基含有シリコーン(BP1)である。
SiO(4−s−t)/2     (5)
(式中、Rはフェニル基を表し、Xは各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表し、s及びtは、0<s<4、0≦t<4、そして0<(s+t)<4である。)
【0079】
また、バインダー成分(B)が、下記式(6)で表されるアルキル基含有シリコーン(BA)を更に含有すると、本発明の光触媒組成物から形成される表層部は、成膜性、硬度、耐熱性、耐汚染性、耐薬品性等の点で優れたものとなるため好ましい。
SiO(4−u−v)/2       (6)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。u及びvは、0<u<4、0≦v<4、そして0<(u+v)<4である。)
【0080】
さらに、上記フェニル基含有シリコーン(BP1)と混合する上記アルキル基含有シリコーン(BA)として、式(7)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位(D)と式(8)で表されるジオキシオルガノシラン単位(T)を、モル比が好ましくは(D)/(T)=100/0〜5/95、より好ましくは90/10〜10/90の割合で有する構造のものを用いると、アルキル基含有シリコーン(BA)の応力緩和作用が増加し、本発明の光触媒組成物(C)から生成する光触媒含有表層部の耐クラック性が向上する結果、耐候性が非常に優れたものとなる。
−(R SiO)−       (7)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。)
【0081】
【化13】
Figure 2004105087
(式中、Rは式(7)で定義した通りである。)
【0082】
本発明において、長期の耐候性向上には、バインダー成分(B)が相分離構造を形成することが好ましく、特にミクロ相分離した構造を形成することが好ましい。
たとえば、バインダー成分(B)として、上述した光触媒(A)、特に該変性光触媒(A1)より表面エネルギーが高いバインダー樹脂(B’)と上記式(6)で表されるアルキル基含有シリコーン(BA)とを、好ましくは質量比(B’)/(BA)=5/95〜95/5、より好ましくは(B’)/(BA)=30/70〜90/10で混合したものを用いると、本発明の光触媒組成物(C)から形成される光触媒含有表層部は、表面エネルギーが高いバインダー樹脂(B’)とアルキル基含有シリコーン(BA)が相分離したバインダー中に光触媒(A)が分散した構造となり、長期の耐候性に優れたものとなるため好ましい。
【0083】
ここで、表面エネルギーが高いバインダー成分(B’)とアルキル基含有シリコーン(BA)の相分離は、連続層でない相が好ましくは1nm〜1μm、より好ましくは10nm〜0.1μm、さらに好ましくは10nm〜0.001μmの大きさのドメインを形成してミクロ相分離した場合に、より効果を奏する。
また、光触媒(A)が、表面エネルギーの高いバインダー樹脂(B’)と相分離状態にあるアルキル基含有シリコーン(BA)相中に存在した状態は、表層部の表面により多く光触媒(A)が存在することができるため好ましい。
【0084】
本発明におけるアルキル基含有シリコーン(BA)と相分離する表面エネルギーの高いバインダー樹脂(B’)としては、上述したフェニル基含有シリコーン(BP)が、その骨格を成すシロキサン結合(−O−Si−)は光触媒作用による酸化分解がおこらないため好ましく、アルキル基を含有しないフェニル基含有シリコーン(BP1)が特に好ましい。
この際、上記フェニル基含有シリコーン(BP1)及び上記アルキル基含有シリコーン(BA)の各々の、GPCで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が、好ましくは100〜10,000、より好ましくは500〜6,000、さらに好ましくは700〜4,000であるものを使用すると、上述したバインダー成分(B)はミクロ相分離構造を容易に形成するため好ましい。
【0085】
本発明の光触媒組成物(C)に使用する前述したバインダー成分(B)は、溶剤に溶けたタイプ、溶媒に分散したタイプ、溶媒と混合されていないタイプ(液体、固体)のいずれであっても良い。
本発明の光触媒組成物(C)において上記式(4)で示されるフェニル基含有シリコーン(BP)は、反応性を有する基(式(4)中のX)を有しても、有さなくても良いが、反応性を有する基(式(4)中のX)を有する(即ち、式(4)において0<r)と、本発明の光触媒組成物(C)から得られる光触媒含有表層部は、硬度や耐熱性、耐薬品性、耐久性等に優れたものとなるため好ましい。また、同様の理由から、式(5)において0<t、式(6)において0<vが好ましい。
【0086】
本発明の光触媒組成物(C)において上記式(4)で示されるフェニル基含有シリコーン(BP)が反応性を有する基(式(4)中のX)として、水酸基及び/又は加水分解性基を有する場合、従来公知の加水分解触媒や硬化触媒を、フェニル基含有シリコーン(BP)に対し、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜5質量%の割合で添加することができる。
該加水分解触媒としては、酸性のハロゲン化水素、カルボン酸、スルホン酸、酸性あるいは弱酸性の無機塩、イオン交換樹脂などの固体酸などが好ましい。また、加水分解触媒の量は、ケイ素原子上の加水分解性基1モルに対して好ましくは0.001〜5モルの範囲内であることが好ましい。
【0087】
また上記硬化触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドのごとき塩基性化合物類;トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノールアミン類、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシランのごときアミン化合物;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートのようなチタン化合物;アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、過塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウムのようなアルミニウム化合物;錫アセチルアセトナート、ジブチル錫オクチレート、ジブチル錫ジラウレートのような錫化合物;コバルトオクチレート、コバルトアセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナートのごとき含金属化合物類;リン酸、硝酸、フタル酸、p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸のごとき酸性化合物類などが挙げられる。
【0088】
本発明の光触媒組成物(C)において上記式(4)で示されるフェニル基含有シリコーン(BP)がSi−H基を有する場合、多官能アルケニル化合物のごとき架橋剤を、Si−H基に対しアルケニル基が好ましくは0.01〜2当量、より好ましくは0.1〜1当量となるように添加することが好ましい。該多官能アルケニル合物としては、アルケニル基を有しSi−H基と反応して硬化を促進するものであれば何でもよいが、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基などの炭素数2〜30の1価不飽和炭化水素基を有するアルケニル基含有シリコーンが一般に用いられている。
【0089】
また、Si−H基と該多官能アルケニル化合物の反応を促進する目的で、触媒をフェニル基含有シリコーン(BP)と多官能アルケニル化合物の総量に対し、好ましくは1〜10000ppm、より好ましくは1〜1000ppmの割合で添加しても良い。該触媒としては白金族触媒、すなわちルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の化合物が適しているが、特に白金の化合物とパラジウムの化合物が好適である。白金の化合物としては、例えば塩化白金(II)、テトラクロロ白金酸(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金酸(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)カリウム、水酸化白金(II)、二酸化白金(IV)、ジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−オレフィン錯体や白金の単体、アルミナやシリカや活性炭に固体白金を担持させたものが挙げられる。パラジウムの化合物としては、例えば塩化パラジウム(II)、塩化テトラアンミンパラジウム(II)酸アンモニウム、酸化パラジウム(II)等が挙げられる。該白金族触媒はSi−H基含有シリコーンと多官能アルケニル化合物の合計量に対し白金族金属の量で好ましくは5〜1000ppmの範囲内で使用されるが、これは反応性、経済性及び所望の硬化速度等に応じて増減させることができる。また、所望により白金族触媒の活性を抑制し、ポットライフを延長させる目的で、各種の有機窒素化合物、有機リン化合物、アセチレン系化合物などの活性抑制剤を添加してもよい。
【0090】
また、本発明の光触媒組成物(C)には、それから形成される光触媒含有表層部の硬度や耐擦傷性、親水性を向上させる目的でシリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、希土類酸化物等の金属酸化物微粒子を粉末あるいはゾルの状態で添加しても良い。ただしこれら金属酸化物微粒子は、本発明におけるバインダー成分(B)の様なバインダーとしての能力はなく、光触媒と同様に表層部の柔軟性(耐屈曲性、耐衝撃性)を低下させる。よって、該金属酸化物の添加量は、光触媒組成物(C)から形成される光触媒含有表層部中において光触媒(A)と金属酸化物の総質量が50質量%以下とすることが好ましい。
【0091】
本発明の光触媒組成物(C)は、無溶媒の状態(液体、固体)であっても溶媒に溶解あるいは分散した状態であっても良く、特に制限はないが、コーティング剤として用いる場合は、溶媒に対し溶解あるいは分散した状態が好ましい。この際、該光触媒組成物(C)中の光触媒(A)とバインダー成分(B)の総量は、好ましくは0.01〜95質量%、より好ましくは0.1〜70質量%である。本発明の光触媒組成物(C)に用いる溶媒としては、例えば水やエチレングリコール、ブチルセロソルブ、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は組み合わせて用いられる。
【0092】
また、本発明の光触媒組成物(C)には、必要により通常、塗料に添加配合される成分、例えば顔料、充填剤、分散剤、光安定剤、湿潤剤、増粘剤、レオロジーコントロール剤、消泡剤、可塑剤、成膜助剤、防錆剤、染料、防腐剤等がそれぞれの目的に応じて選択、組み合わせて配合することができる。
本発明の光触媒組成物(C)において、自己傾斜性が非常に高い場合(即ち、表層部中の光触媒(A)含有量(濃度)100に対し、露出面と接する表面近傍の相対濃度が好ましくは150以上、より好ましくは200以上である場合)、該光触媒組成物(C)において光触媒(A)とバインダー成分(B)の質量比が好ましくは(A)/(B)=0.1/99.9〜40/60、より好ましくは(A)/(B)=0.1/99.9〜30/70という光触媒(A)の含有量が非常に少ない範囲においてさえ、形成される表層部は、光照射による十分な親水化能力(超親水化能力:20℃における水の接触角が10゜以下)や優れた光触媒活性を有する。また、この様に光触媒含有量が少ない表層部はバインダー成分(B)本来の物性を発現するため、強度や柔軟性(耐屈曲性、耐衝撃性)等に優れたものとなる。
【0093】
本発明における農業用光触媒フィルムは、光触媒(A)及びバインダー成分(B)を含む表層部を備え、該表層部中における光触媒(A)の濃度が樹脂フィルムの内部から表面に向かって高くなることを特徴とする。ただし、本発明における農業用光触媒フィルムは、本発明の効果を妨げない範囲で、表層部以外の部分に光触媒(A)及び/又はバインダー成分(B)を含むことができる。
本発明における農業用光触媒フィルムは、該表層部を皮膜状とし、基材である樹脂フィルム上に光触媒(A)及びバインダー成分(B)を含む当該皮膜を備えた形態とすることができる。この様な形態とすることにより、基材と表層部で機能を分担した構造が可能となり好ましい。
【0094】
また、表層部以外の部分例えば基材部に光触媒(A)及び/又はバインダー成分(B)を含むものは、成形を一度にすることが可能であり、また表層部の欠陥部を補うことができ好ましい。このような形態は、例えば薄膜状の部材とする場合に好ましい。
本発明における農業用光触媒フィルムの製造方法は、樹脂フィルム上に本発明の光触媒組成物から皮膜を形成する場合に限定されない。樹脂フィルムと本発明の光触媒組成物を同時に成形、たとえば、一体成形、してもよい。また、本発明の光触媒組成物を成形後、樹脂フィルムの成形を行ってもよい。また、本発明の光触媒組成物と樹脂フィルムを個別に成形後、接着、融着等により機能性複合体としてもよい。上記方法で、樹脂フィルムと接しない状態で成形する場合は、樹脂フィルムとしては任意のものを用いることができる。
【0095】
本発明の成形体または機能性複合体は、所望により、樹脂成形に用いる方法によって、フィルム、シート、ブロック、ペレット、さらに複雑な形状の成形体とすることができる。成形にあたり、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂を併用する事も可能である。
上記成形や上記併用のための混合を、本発明の成形体または機能性複合体や他の樹脂を粉体あるいは予めペレットとして行うことができる。一部に液状成分を含んでも良い。また、混合後の樹脂を下記方法でペレットに成形し、さらに成形に供する方法も可能である。ペレットは本発明の成形体または機能性複合体を他の樹脂中に高濃度に含有させた所謂マスターバッチとすることもできる。
【0096】
本発明のための成形方法は、押出し成形法、射出成形法、プレス成形法等が可能である。また、カレンダー成形法も、たとえば、熱可塑性樹脂を併用する等、樹脂の選定により使用可能である。また、天然繊維を含む有機繊維、ガラス等の無機繊維(及びこれらの織物を含む)などを補強材に用いて本発明の成形体または機能性複合体、及びこれらと他の樹脂混合物を含浸し、積層成形する事も可能である。
【0097】
本発明における農業用光触媒フィルムは、該表層部を皮膜状とする場合は、例えば上記光触媒組成物(C)を樹脂フィルムに塗布し、乾燥した後、所望により好ましくは20℃〜500℃、より好ましくは40℃〜250℃の熱処理や紫外線照射等を行い、皮膜を形成することにより得ることができる。上記塗布方法としては、例えばスプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スポンジ塗り法等が挙げられる。
この際、本発明の光触媒組成物(C)から形成される皮膜の膜厚は、好ましくは0.1〜200μm、より好ましくは0.5〜20μm、さらに好ましくは1.5〜10μmである。
【0098】
また、本発明においては、樹脂フィルムをグリーンハウス等に展張した後に、例えば上記光触媒組成物(C)をスプレー吹き付け法等の手段で該樹脂フィルム表面に塗布することも可能である。
本発明の農業用光触媒フィルムは、樹脂フィルムの片面に光触媒(A)を含む表層部を有するものであっても良いし、樹脂フィルムの両面に光触媒(A)を含む表層部を有するものであっても良い。
【0099】
なお、本明細書では、皮膜という表現を使用しているが、必ずしも連続膜である必要はなく、不連続膜、島状分散膜等の態様であっても構わない。
また、本発明の農業用光触媒フィルムの表面には、Ag、Cu、Znのような金属を添加することができる。前記金属を添加した表層部は、表面に付着した細菌や黴を暗所でも死滅させることができる。
本発明の農業用光触媒フィルムは、表層部に含まれる光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光(励起光)を照射することにより光触媒活性及び/又は親水性を示し、優れた防汚性、防滴性、防霧性を発現する。
【0100】
この際、光触媒(A)が、上述した式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)で変性処理された変性光触媒(A1)である場合、励起光照射により光触媒(A)粒子の近傍に存在する該変性剤化合物(b)の珪素原子に結合した有機基(R)の少なくとも一部は、光触媒の分解作用により水酸基に置換される。その結果、本発明の表層部表面の親水性が高まると共に、生成した水酸基同士が脱水縮合反応してシロキサン結合が生成した場合には、該表層部の硬度が非常に高くなる。この様な状態は、本発明の様態において好ましい。
【0101】
また、バインダー成分(B)として上述したシリコーンを用いたときも同様に、励起光照射により光触媒(A)粒子の近傍に存在するシリコーンの珪素原子に結合した有機基の少なくとも一部は、光触媒の分解作用により水酸基に置換され、本発明の表層部表面の親水性が高まると共に、生成した水酸基同士の脱水縮合反応が進行しシロキサン結合が生成した場合には、該表層部の硬度が非常に高くなる。この様な状態は、本発明の様態において好ましい。
【0102】
本発明において、光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光の光源としては、太陽光や街灯、常夜灯等の環境にある光源、さらには一般照明が利用できる。一般照明としては蛍光灯、白熱電灯、メタルハライドランプ、ブラックライトランプ、キセノンランプ、水銀灯などが好適に利用できる。光触媒の光励起により、基材表面が高度に親水化されるためには、励起光の照度は、0.001mW/cm以上あればよいが、0.01mW/cm以上だと好ましく、0.1mW/cm以上だとより好ましい。
【0103】
すなわち、本発明は、生活環境下の光により、樹脂フィルムを劣化すること無しに強い光触媒活性及び/または親水性(水の接触角が好ましくは20゜以下、より好ましくは10゜以下)を発現する表層部を有し、降雨や簡単な水洗浄で長期にわたり樹脂フィルムの美観を保つことができる農業用光触媒フィルムを、煩雑な工程を必用とせずに提供することができる。
【0104】
【実施例】
以下の実施例、参考例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例、参考例及び比較例中において、各種の物性は下記の方法で測定した。1.粒径分布及び数平均粒子径
試料中の光触媒含有量が1−20質量%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(日機装製マイクロトラックUPA−9230)を用いて測定した。
【0105】
2.重量平均分子量
ポリスチレン標品を用いて作成した検量線を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めた。
GPCの条件は以下の通りである。
・装置:東ソー製HLC−8020 LC−3A型クロマトグラフ
・カラム:TSKgel G1000HXL、TSKgel G2000HXLおよびTSKgel G4000HXL(いずれも東ソー製)を直列に接続して用いた。
・データ処理装置:島津製作所製CR−4A型データ処理装置
・移動相:
テトラヒドロフラン(フェニル基含有シリコーンの分析に使用)
クロロホルム(フェニル基を含有しないシリコーンの分析に使用)
・流速:1.0ml/min.
・サンプル調製法
移動相に使用する溶媒で希釈(濃度は0.5〜2質量%の範囲で適宜調節した)して分析に供した。
【0106】
3.赤外線吸収スペクトル
日本分光製FT/IR−5300型赤外分光計を用いて測定した。
4.29Si核磁気共鳴の測定
日本電子製JNM−LA400を用いて測定した。
5.皮膜硬度
JIS−K5400に準じ、鉛筆硬度(皮膜のすり傷)として求めた。
6.紫外線照射後の皮膜硬度
皮膜表面に、東芝ライテック製FL20S BLB型ブラックライトの光を7日間照射後、上記の方法(5)にて測定した。
なおこのとき、日本国トプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、日本国トプコン製UD−36型受光部(波長310〜400nmの光に対応)を使用}を用いて測定した紫外線強度が1mW/cmとなるよう調整した。
7.皮膜表面に対する水の接触角
皮膜の表面に脱イオン水の滴を乗せ、20℃で1分間放置した後、協和界面科学製CA−X150型接触角計を用いて測定した。
皮膜に対する水の接触角が小さいほど、皮膜表面は親水性が高い。
【0107】
8.紫外線照射前後の、皮膜表面の親水性(疎水性)の変化
皮膜の表面に、上記6の方法で紫外線を7日間照射した後、上記7の方法にて水の接触角を測定した。
9.皮膜の光触媒活性
皮膜表面にメチレンブルーの5質量%エタノール溶液を塗布した後、上記6の方法にて紫外線を5日間照射した。
その後、光触媒の作用によるメチレンブルーの分解の程度(皮膜表面の退色の程度に基づき、目視で評価)に基づき、光触媒の活性を以下の3段階で評価した。
◎:メチレンブルーが完全に分解。
△:メチレンブルーの青色がわずかに残る。
×:メチレンブルーの分解はほとんど観測されず。
10.皮膜の耐候性(光沢保持率)
スガ試験器製DPWL−5R型デューパネル光コントロールウェザーメーターを使用して曝露試験(照射:60℃4時間、暗黒・湿潤:40℃4時間)を行った。曝露1000時間後の60°−60°鏡面反射率を最終的な光沢値として測定し、これを初期光沢値で割り、この値を光沢保持率として算出した。
【0108】
11.光触媒の傾斜構造の評価
試料をエポキシ樹脂(Quetol812)に包埋後、独国Reichert社製ULTRACUT−N型ミクロトームにより50〜60nmの厚さの超薄切片を作成し、支持膜を張ったメッシュに積載した。続いて5分程度のRuO4蒸気染色を施した後、カーボン蒸着を行い検鏡用試料とし、TEMにより皮膜断面の観察を実施した。
TEM観察の条件は以下の通りである。
・装置:日立製HF2000型
・加速電圧:125kV
また、光触媒酸化チタンの存在場所は、Ti元素のEDX分析により解析した。
また、アクリルウレタン系のベースコート層を有するアルミ板上に形成させた皮膜の観察は、試料をDISCOエンジニアリングサービス製DAD321型ダイシングソーで粗切断した後、FIB(Focused Ion Beam)加工を行い、TEMによる皮膜断面の観察を実施した。
FIB加工条件は以下の通りである。
使用機器:日立製FB2000型
加工条件:加速電圧(30kV)
イオン源:Ga
また、TEM観察の条件は以下の通りである。
・装置:日立製HF2000型
・加速電圧:200kV
【0109】
12.耐衝撃性
JIS−K5400に準じ、デュポン式(500g×50cm)で評価した。
13.防曇性
試料に息を吹きかけた後の曇り発生の有無を、目視にて以下の2段階で評価した。
○:曇らない(防曇性有り)
×:曇る(防曇性無し)
【0110】
14.防滴寿命
200mlのビーカーに100mlの水を入れ、塗布層が内側になるように試料を被せ、ゴムバンドで試料を固定した。
試料で覆われたビーカーを高温水槽(70℃)につけ、20日加熱した後の試料に付着する水滴の様子を観察し、目視にて以下の3段階で評価した。
○:水滴による曇りがない
△:局部的に水滴が付着している
×:全体に水滴が付着している
【0111】
15.耐光性
試料に東芝ライテック製FL20S BLB型ブラックライトの光を30日間照射後、試料の外観(目視で評価)に基づき、耐光性を以下の3段階で評価した。
なおこのとき、日本国トプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、日本国トプコン製UD−36型受光部(波長310〜400nmの光に対応)を使用}を用いて測定した紫外線強度が1mW/cmとなるよう調整した。
○:外観変化なし
△:若干の白濁
×:白化
16.耐汚染性
試料を、建物の窓ガラスの外側に貼付させ、3ケ月後の窓ガラス外側表面の汚れを目視により、以下の3段階で評価した。
○:全く汚れは認められない
△:試料を貼付していない窓ガラスと同等の汚れ
×:試料が劣化し、試料を貼付していない窓ガラスより外観が悪い
【0112】
[参考例1]
フェニル基含有シリコーン(BP1−1)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれたジオキサン78gにフェニルトリクロロシラン26.0gを添加した後、室温にて約10分間撹拌した。これに水3.2gとジオキサン12.9gからなる混合液を、反応液を10〜15℃に保ちながら約30分かけて滴下した後、さらに10〜15℃で約30分撹拌し、続いて反応液を60℃に昇温させ3時間撹拌した。得られた反応液を25〜30℃に降温させ、392gのトルエンを約30分かけて滴下した後、再度反応液を60℃に昇温させ2時間撹拌した。
得られた反応液を10〜15℃に降温させ、メタノール19.2gを約30分かけて添加した。その後さらに25〜30℃にて約2時間撹拌を続行し、続いて反応液を60℃に昇温させ2時間撹拌した。得られた反応液から60℃で減圧下に溶媒を溜去することにより重量平均分子量3600のラダ−骨格を有するフェニル基含有シリコーン(BP1−1)を得た。(得られたフェニル基含有シリコーン(BP1−1)には、IRスペクトルにおけるラダ−骨格の伸縮振動に由来する吸収(1130cm−1及び1037cm−1)が観測された。)
また、29Si核磁気共鳴の測定結果より求めた上記フェニル基含有シリコーン(BP1−1)の式は、(Ph)(OCH0.58SiO1.21であった。(ここでPhはフェニル基を表す。)
【0113】
[参考例2]
アルキル基含有シリコーン(BA−1)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器に入れたメタノール300gにメチルトリメトキシシラン136g(1モル)、及びジメチルジメトキシシラン120g(1モル)を添加した後、室温にて約10分間撹拌した。これに氷冷下で、0.05Nの塩酸水溶液12.6g(0.7モル)とメタノール63gからなる混合液を、約40分かけて滴下し、加水分解を行った。滴下終了後、さらに10℃以下で約20分、室温で6時間それぞれ撹拌した。
その後、得られた反応液から60℃で減圧下に溶媒を溜去することにより重量平均分子量3600のアルキル基含有シリコーン(BA−1)を得た。得られたアルキル基含有シリコーン(BA−1)の構造を29Si核磁気共鳴によって測定したところ、T構造とD構造を示すシグナルが確認され、その比率はT構造:D構造=1:1であった。
また、29Si核磁気共鳴の測定結果より求めた上記アルキル基含有シリコーン(BA−1)の平均組成式は、(CH1.5(OCH0.27SiO1.12であった。
【0114】
[参考例3]
シリコーン組成物(B−1)の調整。
参考例1で合成したフェニル基含有シリコーン(BP1−1)6gと参考例2で合成したアルキル基含有シリコーン(BA−1)3gを混合したものに、トルエン14.7g、イソプロパノール29.8g、ブチルセロソルブ15.1gを添加し、室温で撹拌する事によりバインダー成分(B−1)の溶液を得た。
また、各々の組成物の平均組成式より、上記バインダー成分(B−1)の平均組成式は、(Ph)0.67(CH0.5(OCH0.47SiO1.18と計算できる。(ここでPhはフェニル基を表す。)
【0115】
[参考例4]
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれたTKS−251{酸化チタンオルガノゾルの商品名(テイカ製)、分散媒:トルエンとイソプロパノールの混合溶媒、TiO濃度20質量%、平均結晶子径6nm(カタログ値)}40gにビス(トリメチルシロキシ)メチルシランの20質量%トルエン溶液40gを50℃にて約5分かけて添加し、さらに50℃で12時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な変性光触媒オルガノゾル(A−1)を得た。この時、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシランの反応に伴い生成した水素ガス量は23℃において718mlであった。また、得られた変性酸化チタンオルガノゾルをKBr板上にコーティングしIRスペクトルを測定したところ、Ti−OH基の吸収(3630〜3640cm−1)の消失が観測された。
【0116】
また、図1、図2にそれぞれ変性処理前のTKS−251及び得られた変性光触媒オルガノゾル(A−1)の粒径分布を示す。得られた変性光触媒オルガノゾル(A−1)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は25nm)であり、さらに変性処理前のTKS−251の単一分散(数平均粒子径は12nm)の粒径分布が完全に消失していることが分かる。
続いて、参考例3で調整したシリコーン成分(B−1)の溶液68gに上記変性光触媒オルガノゾル(A−1)20gを室温にて撹拌下において添加し、さらに硬化触媒(ジラウリル酸ジブチル錫)0.5gを攪拌下に添加して光触媒組成物(C−1)を得た。
【0117】
50mm×60mmに裁断した厚さ1mmのアルミ板(JIS,H,4000(A1050P))にマイティラック白{アクリルウレタン樹脂塗料(2液混合型)の商品名(日本ペイント製)}をスプレー塗布し、室温にて3日間乾燥した。得られたアクリルウレタン塗装を行ったアルミ板に上記光触媒組成物(C−1)を膜厚が2μmとなるようにスプレー塗布した後、室温で1時間乾燥し、150℃で30分加熱する事により、光触媒皮膜を有する試験板(D−1)を得た。
【0118】
得られた光触媒皮膜を有する試験板(D−1)をFIB加工し、TEMによる皮膜断面の観察を行った結果を図3(a)の写真に示す。また、図3(a)の写真のイラストレーションが図3(b)である。変性光触媒粒子(図3(b)中の参照番号1で示す)を含む光触媒皮膜(図3(b)中の参照番号2で示す)と、基材である、顔料酸化チタン(図3(b)中の参照番号4で示す)を含むアクリルウレタン皮膜(図3(b)中の参照番号3で示す)との界面には変性光触媒粒子は存在せず、光触媒皮膜表面は全て変性光触媒粒子で覆われていることが観察された。
【0119】
得られた光触媒皮膜を有する試験板(D−1)の鉛筆硬度はHであり、水との接触角は105゜であった。また、耐衝撃性試験は合格した。
また、得られた光触媒皮膜を有する試験板(D−1)の紫外線(ブラックライト)照射後の鉛筆硬度は5H以上であり、水の接触角は0゜であった。さらに光触媒活性評価の結果も非常に良好(◎)であった。
さらに、デューパネル光コントロールウェザーメーターによる曝露試験(1000時間後)による光沢保持率は98%であり、非常に良好な耐候性を示した。
【0120】
続いて、光触媒組成物(C−1)をエポキシ樹脂(Quetol812)上にスプレー塗布した後、室温で2日間乾燥し、続いて50℃にて3日間加熱することにより平滑な光触媒皮膜を有するエポキシ樹脂(D−2)を得た。
得られた光触媒皮膜を有するエポキシ樹脂(D−2)をエポキシ樹脂(Quetol812)に包埋後、ミクロトームにより50〜60nmの厚さの超薄切片を作成し、RuOでフェニル基含有シリコーン(BP1−1)を染色した後、TEMによる皮膜断面の観察を行った結果を図4(a)の写真に示す。また、図4(a)の写真のイラストレーションが図4(b)である。
【0121】
変性光触媒粒子(図4(b)中の参照番号1で示す)を含む光触媒皮膜(図4(b)中の参照番号2で示す)と基材であるエポキシ樹脂(図4(b)中の参照番号5で示す)との界面には変性光触媒粒子はほとんど存在せず、光触媒皮膜表面は全て変性光触媒粒子で覆われていることが観察された。
また、図4(b)中の参照番号5(b)で示す部分が、変性光触媒粒子相1と変性光触媒粒子を含まないバインダー相7との境界部分で、その部分を拡大した写真が図5(a)である。また、図5(a)の写真のイラストレーションが図5(b)である。
【0122】
図5(a)には、変性光触媒粒子(図5(b)中の参照番号1で示す)を含むバインダー相と変性光触媒粒子を含まないバインダー相(図5(b)中の参照番号7で示す)が存在することが観察できる。また、変性光触媒粒子を含まないバインダー相(図5(b)中の参照番号7で示す)では、RuOで染色されたフェニル基含有シリコーンと染色されていないアルキル基含有シリコーンがミクロ相分離構造を有して存在していることが観察できる。
【0123】
[参考例5]
変性光触媒オルガノゾル(A−1)20gの代わりに変性処理をしていないTKS−251の10gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い光触媒組成物(C−2)を得た。
得られた光触媒組成物(C−2)を用い、参考例4と同様の操作を行って光触媒皮膜(酸化チタン含量は参考例4と同量)を有する試験板(D−3)を得た。
【0124】
得られた光触媒皮膜を有する試験板(D−3)の鉛筆硬度はHであり、水との接触角は97゜であった。
また、得られた光触媒皮膜を有する試験板(D−3)の紫外線(ブラックライト)照射後の鉛筆硬度は3Hであり、水の接触角は94゜であった。さらに光触媒活性評価は悪い結果(×)であった。
さらに、デューパネル光コントロールウェザーメーターによる200時間の曝露試験で、光沢保持率は10%以下となり、チョーキング現象が観察された。
【0125】
続いて、上記光触媒組成物(C−2)をエポキシ樹脂(Quetol812)上にスプレー塗布した後、室温で2日間乾燥し、続いて50℃にて3日間加熱することにより平滑な光触媒皮膜を有するエポキシ樹脂(D−4)を得た。
得られた光触媒皮膜を有するエポキシ樹脂(D−4)をエポキシ樹脂(Quetol812)に包埋後、ミクロトームにより50〜60nmの厚さの超薄切片を作成し、RuOでフェニル基含有シリコーン(BP1−1)を染色した後、TEMによる皮膜断面の観察を行った結果を図6(a)の写真に示す。また図6(a)の写真のイラストレーションが図6(b)である。
【0126】
変性光触媒粒子(図6(b)中の参照番号1で示す)を含む光触媒皮膜(図6(b)中の参照番号2で示す)と、基材であるエポキシ樹脂(図6(b)中の参照番号5で示す)との界面には変性光触媒粒子が多く存在し、光触媒皮膜の露出表面は全て変性光触媒粒子の存在しないアルキル基含有シリコーン(図6(b)中参照番号8で示す)で覆われており、光触媒活性の発現が期待できないことが観察された。
【0127】
[実施例1]
A4サイズで厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、参考例4で調整した光触媒組成物(C−1)を、膜厚が約3μmとなるようにスプレーコーティング法にて塗布した後、120℃で30分乾燥し農業用光触媒フィルム試料(E−1)を作成した。
この試料(E−1)の紫外線(ブラックライト)照射後の水の接触角は0゜であり、良好な防曇性(○)、及び良好な防滴寿命(○)を示した。さらに、耐光性も良好(○)であった。
また、この試料(E−1)の耐汚染性は非常に良好(○)であった。
【0128】
[比較例1]
参考例4で調整した光触媒組成物(C−1)の代わりに参考例5で調整した光触媒組成物(C−2)を使用した以外は実施例1と同様に実施し、農業用光触媒フィルム試料(E−2)を得た。
この試料(E−2)の紫外線(ブラックライト)照射後の水の接触角は96゜であり、防曇性は無く、防滴寿命は非常に悪い結果(×)であった。また、耐光性も悪い結果(△)となった。
さらに、この試料(E−2)の耐汚染性は悪い結果(△)であった。
【0129】
[比較例2]
A4サイズで厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、市販の光触媒コーティング液であるST−K03(石原産業(株)製)を、膜厚が約0.3μmとなるようにスプレーコーティング法にて塗布した後、120℃で30分乾燥し農業用光触媒フィルム試料(E−3)を作成した。
この試料(E−3)の紫外線(ブラックライト)照射後の水の接触角は0゜であり、良好な防曇性(○)を示した。しかし、防滴寿命は悪く(△)、耐光性も非常に悪い結果(×)となった。
また、この試料(E−3)の耐汚染性も非常に悪く(×)、光触媒表層部の剥がれや、下地のポリエチレンテレフタレートフィルムの劣化が観察された。
【0130】
【発明の効果】
本発明は、生活環境下の光により、樹脂フィルム自体を劣化すること無しに、長期間にわたり優れた防汚性、防滴性、防霧性を発現する農業用光触媒フィルムを、煩雑な工程を必用とせずに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、変性処理前のTKS−251(市販の酸化チタンオルガノゾル)の粒径分布を、湿式粒度分析計を使用して測定した結果を示す図である。
【図2】図2は、参考例4で上記TKS−251を変性処理して得られた変性光触媒オルガノゾル(A−1)の粒径分布を、湿式粒度分析計を使用して測定した結果を示す図である。
【図3】図3(a)は、参考例4で得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(D−1)の断面のTEM写真である。図3(b)は、図3(a)のイラストレーションである。
【図4】図4(a)は、参考例4で得られた光触媒含有皮膜を有するエポキシ樹脂(D−2)の断面のTEM写真である。図4(b)は、図4(a)のイラストレーションである。
【図5】図5(a)は、図4(a)のTEM写真の一部を拡大した写真である。図5(b)は、図5(a)のイラストレーションである。
【図6】図6(a)は、参考例5で得られた光触媒含有皮膜を有するエポキシ樹脂(D−3)の断面のTEM写真である。図6(b)は、図6(a)のイラストレーションである。
【符号の説明】
1   変性光触媒粒子
2   光触媒含有皮膜
3   アクリルウレタン皮膜
4   顔料である酸化チタン
5   エポキシ樹脂
5(b) 変性光触媒粒子相1と変性光触媒粒子を含まないバインダー相7との境界部分で、その拡大図を図5(b)に示す
6   包埋用エポキシ樹脂
7   変性光触媒粒子を含まないバインダー相
8   アルキル基含有シリコーンThe present invention relates to agricultural films that are photocatalytically active and / or highly hydrophilic for extended periods of time. Specifically, the present invention relates to an agricultural film having improved antifouling properties, drip-proof properties, and fog-proof properties, and having these properties lasting for a long time.
[0001]
[Prior art]
Conventionally, as a covering material for agricultural facilities such as greenhouses, vinyl chloride resins such as polyvinyl chloride; olefin resins such as polyethylene, ethylene-vinyl acetate copolymer resin, ethylene-alkyl (meth) acrylate copolymer resin; Resin films made of synthetic resins such as polycarbonate; polyesters such as polyethylene terephthalate; fluorine-based resins;
[0002]
Resin films used as coating materials for these agricultural facilities are generally required to have not only excellent durability but also excellent antifouling properties, drip-proof properties, and fog-proof properties. ing. That is, if dust or algae adhere to the surface of the resin film to contaminate the resin film, a large amount of water droplets adhere to the surface of the resin film, or fog is generated in a facility such as a green house, the inside of the facility may be damaged. Not only is light transmission insufficient, but it also causes disease and the like in crops. Therefore, a function to prevent these is required.
[0003]
Various means have been proposed as a means for imparting antifouling properties to a resin film. In particular, in the case of a vinyl chloride-based agricultural film to which dirt is liable to adhere, a surface on the side of an outer surface of a green house or the like is used. In general, means for forming a coating film having a property that dirt hardly adheres is used.
In addition, as a means for imparting drip-proof or fog-proof properties to the resin film, a non-ionic surfactant as a drip-proof agent or a fluorine-containing compound as a fog-proof agent is kneaded into the resin film, In general, means for coating a film containing a hydrophilic substance such as colloidal silica or colloidal alumina on the surface of the film which is to be the inner surface of the house is used.
[0004]
However, with the conventional proposed technology, the duration of the effects such as antifouling property, drip-proof property, and anti-fog property is short compared to the service life of the resin film, and their performance is deteriorated when used for a long time. was there.
In order to solve the above problem, JP-A-11-10803 and JP-A-11-18589 propose an agricultural film in which a coating layer containing a photocatalyst is provided on at least one surface of an agricultural resin film. ing.
[0005]
This method is to hydrophilize the agricultural film surface for a long period of time by utilizing the effect of removing dirt substances by the photocatalytic organic matter decomposition action by light irradiation and the hydrophilization phenomenon by light irradiation of the photocatalyst itself. Agricultural film has excellent antifouling, drip-proof and fog-proof properties.
However, as a problem of the agricultural film provided with the photocatalyst-containing coating layer, there is a serious problem that the resin film as the base material is decomposed and degraded by the organic substance decomposition action of the photocatalyst-containing coating layer.
[0006]
In JP-A-11-18589, a layer made of a fluororesin (a layer stable to active oxygen) is provided between the resin film and the photocatalyst-containing coating layer in order to prevent the resin film from being deteriorated by the photocatalyst. A method of protecting the resin film by interposing a protective layer) has been proposed. However, this method requires a complicated painting process, deteriorates workability, increases production loss and costs, and furthermore, forms a uniform film. It is very difficult to obtain and it is difficult to completely prevent the deterioration of the resin film. Further, in this method, since a clear film interface exists between the photocatalyst layer and the layer formed of the protective layer, a problem such as peeling of the photocatalyst layer also occurs.
[0007]
JP-A-11-10803 proposes an agricultural film in which the photocatalyst concentration in the photocatalyst-containing coating layer is higher on the surface than on the adhesive surface. The agricultural film is a resin film. First, a binder containing no photocatalyst is applied and dried to form a protective layer, and then a mixture of the photocatalyst and the binder is applied and dried. There is no difference from the method of forming a photocatalyst-containing coating layer by interposing a protective layer according to Japanese Patent No. 18589.
[0008]
[Patent Document 1]
JP-A-11-10803
[Patent Document 2]
JP-A-11-18589
[0009]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention does not require complicated steps, does not cause deterioration of the interface between the resin film and the surface layer containing the photocatalyst and deterioration of the surface layer itself due to the photocatalyst, and the surface thereof can be exposed to light for a long period of time. An object of the present invention is to provide an agricultural photocatalyst film which exhibits photocatalytic activity and / or hydrophilicity and has excellent antifouling property, dripproofing property and fogproofing property.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have intensively studied to solve the above-mentioned problems, and as a result, have reached the present invention. That is, the present invention is as follows.
1. An agricultural photocatalyst film comprising a resin film provided with a surface layer containing a photocatalyst (A) and a binder component (B), wherein the concentration of the photocatalyst (A) in the surface layer is from the inside to the surface of the resin film. A photocatalytic film for agriculture characterized by being higher.
2. The photocatalyst film for agriculture according to invention 1, wherein the surface layer is in the form of a film, and the concentration of the photocatalyst (A) in the film increases from the surface in contact with the resin film to the other exposed surface.
3. The agricultural photocatalyst film according to invention 1 or 2, wherein the surface layer is formed from a photocatalyst composition (C) containing a photocatalyst (A) and a binder component (B).
[0011]
4. The photocatalyst (A) comprises a triorganosilane unit represented by the formula (1), a monooxydiorganosilane unit represented by the formula (2), a dioxyorganosilane unit represented by the formula (3), and Methylene fluoride (-CF2-) Selected from the group consisting of compounds having at least one structural unit selected from the group consisting of units;
The agricultural photocatalyst film according to any one of Inventions 1 to 3, characterized in that the photocatalyst film is a modified photocatalyst (A1) modified with at least one modifier compound (b).
R3Si- (1)
(Wherein, R is each independently a straight-chain or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, a straight-chain or branched A fluoroalkyl group, a linear or branched alkenyl group having 2 to 30 carbon atoms, a phenyl group, an alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, or a hydroxyl group)
− (R2SiO)-(2)
(In the formula, R is as defined in the formula (1).)
[0012]
Embedded image
Figure 2004105087
(In the formula, R is as defined in the formula (1).)
[0013]
5. The agricultural photocatalyst film according to any one of Inventions 1 to 4, wherein the binder component (B) contains a phenyl group-containing silicone (BP) represented by the following formula (4).
R1 pR2 qXrSiO(4-pqr) / 2(4)
(Wherein each R1Represents a phenyl group;2Each independently represents a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, or a linear or branched alkenyl group having 2 to 30 carbon atoms. X independently represents a hydrogen atom, a hydroxyl group, an alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, an acyloxy group having 1 to 20 carbon atoms, an aminoxy group, an oxime group having 1 to 20 carbon atoms, or a halogen atom. And p, q and r are 0 <p <4, 0 ≦ q <4, 0 ≦ r <4, and 0 <(p + q + r) <4, and 0.05 ≦ p / (p + q) ≦ 1. is there. )
[0014]
6. The photocatalyst film for agriculture according to invention 5, wherein the phenyl group-containing silicone (BP) is a phenyl group-containing silicone (BP1) having no alkyl group and represented by the following formula (5).
R1 sXtSiO(4-st) / 2(5)
(Where R1Represents a phenyl group, and X independently represents a hydrogen atom, a hydroxyl group, an alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, an acyloxy group having 1 to 20 carbon atoms, an aminoxy group, an oxime group having 1 to 20 carbon atoms, or a halogen atom. . s and t are 0 <s <4, 0 ≦ t <4, and 0 <(s + t) <4. )
[0015]
7. The agricultural photocatalyst film according to invention 5, wherein the binder component (B) further contains an alkyl group-containing silicone (BA) represented by the following formula (6).
R2 uXvSiO(4-uv) / 2(6)
(Where R2Each independently represents a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, or a linear or branched alkenyl group having 2 to 30 carbon atoms. X independently represents a hydrogen atom, a hydroxyl group, an alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, an acyloxy group having 1 to 20 carbon atoms, an aminoxy group, an oxime group having 1 to 20 carbon atoms, or a halogen atom. U and v are 0 <u <4, 0 ≦ v <4, and 0 <(u + v) <4. )
[0016]
8. The binder component (B) contains a phenyl group-containing silicone (BP1) containing no alkyl group represented by the formula (5) and an alkyl group-containing silicone (BA) represented by the formula (6). The agricultural photocatalyst film according to any one of Inventions 1 to 4, which is characterized by the following.
R1 sXtSiO(4-st) / 2(5)
(Where R1Represents a phenyl group, and X independently represents a hydrogen atom, a hydroxyl group, an alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, an acyloxy group having 1 to 20 carbon atoms, an aminoxy group, an oxime group having 1 to 20 carbon atoms, or a halogen atom. . s and t are 0 <s <4, 0 ≦ t <4, and 0 <(s + t) <4. )
R2 uXvSiO(4-uv) / 2(6)
(Where R2Each independently represents a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, or a linear or branched alkenyl group having 2 to 30 carbon atoms. X independently represents a hydrogen atom, a hydroxyl group, an alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, an acyloxy group having 1 to 20 carbon atoms, an aminoxy group, an oxime group having 1 to 20 carbon atoms, or a halogen atom. u and v are 0 <u <4, 0 ≦ v <4, and 0 <(u + v) <4. )
[0017]
9. The alkyl group-containing silicone (BA) has a monooxydiorganosilane unit (D) represented by the formula (7) and a dioxyorganosilane unit (T) represented by the formula (8). Agricultural photocatalyst film according to invention 7 or 8.
− (R2 2SiO)-(7)
(Where R2Each independently represents a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, or a linear or branched alkenyl group having 2 to 30 carbon atoms.
[0018]
Embedded image
Figure 2004105087
(Where R2Is as defined in equation (7). )
[0019]
10. The agricultural photocatalyst film according to any one of Inventions 7 to 9, wherein the phenyl group-containing silicone (BP) and the alkyl group-containing silicone (BA) are surface layers having a phase-separated structure.
11. The agricultural photocatalyst film according to invention 10, wherein the photocatalyst (A) is present in the alkyl group-containing silicone (BA) phase.
12. The photocatalyst film for agriculture according to Invention 3, wherein the photocatalyst (A) has a number average particle size of 400 nm or less.
13. The agricultural photocatalyst film according to invention 4, wherein the modifier compound (b) is a Si-H group-containing silicon compound (b1) represented by the formula (9).
HxRySiO(4-xy) / 2(9)
(Wherein, R is each independently a straight-chain or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, a straight-chain or branched Represents a fluoroalkyl group, a linear or branched alkenyl group having 2 to 30 carbon atoms, a phenyl group, an alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, or a hydroxyl group, wherein x and y are 0 <x <4,0. <Y <4, and (x + y) ≦ 4.)
[0020]
14. The Si-H group-containing silicon compound (b1) is a mono-Si-H group-containing compound represented by the formula (10), a compound having both ends Si-H groups represented by the formula (11), a formula (12) 14. The agricultural photocatalyst film according to invention 13, which is at least one compound selected from the group consisting of H silicones represented by the formula:
[0021]
Embedded image
Figure 2004105087
(Where R3Each independently represents a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a linear or branched alkenyl group having 2 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, It represents a chain or branched C1-C30 fluoroalkyl group, a phenyl group, or a siloxy group represented by the formula (13).
-O- (R4 2SiO)m-SiR4 3・ ・ ・ (13)
(Where R4Are each independently a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, a linear or branched fluoroalkyl group having 1 to 30 carbon atoms. Represents a linear or branched alkenyl group having 2 to 30 carbon atoms, or a phenyl group. Further, m is an integer, and 0 ≦ m ≦ 1000. ))
H- (R3 2SiO)n-SiR3 2-H (11)
(Where R3Is as defined in equation (10). n is an integer and 0 ≦ n ≦ 1000. )
(R3HSiO)a(R3 2SiO)b(R3 3SiO1/2)c・ ・ ・ (12)
(Where R3Is as defined in equation (10). a is an integer of 1 or more, b is an integer of 0 or more, (a + b) ≦ 10000, and c is 0 or 2. However, when (a + b) is an integer of 2 or more and c = 0, the H silicone of the formula (12) is a cyclic silicone, and when c = 2, the H silicone of the formula (12) is a chain silicone. Silicone. )
[0022]
15. 3. The agricultural photocatalyst film according to the invention 1 or 2, wherein the binder component (B) in the surface layer portion forms a phase separation structure.
16. 3. The agricultural photocatalyst film according to invention 1 or 2, wherein the photocatalyst film exhibits photocatalytic activity and / or hydrophilicity when irradiated with light having an energy higher than the band gap energy of the photocatalyst (A) contained in the surface layer portion. .
17. By irradiating light having an energy higher than the band gap energy of the photocatalyst (A) contained in the surface layer portion, at least a part of the organic groups bonded to silicon atoms present near the photocatalyst (A) particles become hydroxyl groups. And / or a siloxane bond-substituted agricultural photocatalyst film according to any one of Inventions 4, 5, 7, and 8.
18. A photocatalyst composition (C) comprising a photocatalyst (A) and a binder component (B), wherein the photocatalyst coating composition for an agricultural film comprises the surface layer according to the first aspect.
[0023]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
The agricultural photocatalyst film of the present invention comprises a resin film having a surface layer containing a photocatalyst (A) and a binder component (B), and the concentration of the photocatalyst (A) in the surface layer is from the inside of the resin film to the surface. It is characterized by increasing toward.
At this time, the relative concentration of the photocatalyst content (concentration) of 100 in the entire surface portion is more than 120 in the vicinity of the surface side in contact with the exposed surface, so that the effect of improving the photocatalytic ability and the hydrophilizing ability is exhibited, and This is preferable because the effect is increased. The relative concentration near the surface side is more preferably 150 or more, and further preferably 200 or more. Further, it is preferable that the relative density in the vicinity of the surface in contact with the resin film is 50 or less from the viewpoint of the effect of preventing the deterioration of the resin film. The relative concentration in the vicinity of the resin film is more preferably 10 or less, and further preferably 0.
[0024]
In the present invention, the concentration of the photocatalyst (A) in the surface layer may gradually increase from the surface in contact with the resin film to the other exposed surface, or may simply increase in the surface in contact with the resin film. The concentration may be low, the photocatalyst concentration on the other exposed surface may be high, and the change during that period may be discontinuous.
Furthermore, in the surface layer portion of the present invention, it is preferable that there is no clear film interface as occurs when a photocatalytic layer is applied on the protective layer. That is, when there is no clear film interface which occurs when the photocatalyst layer is applied on the protective layer, the photocatalyst is firmly fixed in the surface layer portion, and the problem such as peeling of the photocatalyst does not occur.
[0025]
As the resin film in the present invention, an appropriate resin film is used regardless of a simple substance or a composite. Representative examples include polyolefin film, polystyrene film, polyester film, polycarbonate film, triacetyl cellulose film, cellophane film, polyamide film, polyimide film, polyphenylene sulfide film, polyether sulfone film, polysulfone film, polyacrylonitrile film, poly A single or composite such as a vinyl chloride film, a polyvinyl acetate film, a polyetheretherketone film, or the like can be used. Since the adhesiveness of the coating layer is good, the resin film is particularly a simple substance, a composite or stretched or unstretched polyvinyl chloride film, a polyethylene terephthalate film, an acrylic film, a polyolefin film and a fluororesin film. It is suitable in terms of mechanical properties and optical properties, and among them, a polyester film and a fluororesin film are more preferable.
[0026]
The polyester in the present invention specifically includes, for example, terephthalic acid, isophthalic acid, naphthalenedicarboxylic acid, bis-α, β (2-chlorophenoxy) ethane-4,4′-dicarboxylic acid, adipic acid, sebacic acid Polyester obtained by polycondensing at least one kind of bifunctional carboxylic acid such as ethylene glycol, triethylene glycol, tetramethylene glycol, hexamethylene glycol, decamethylene glycol and the like. it can. The polyester may be blended with another polymer or copolymerized within a range not to impair the object of the present invention, and may include an antioxidant, a heat stabilizer, a lubricant, a pigment, an ultraviolet absorber and the like. It may be.
[0027]
Further, the material of the fluorine-based resin film in the present invention is not particularly limited, but various materials can be used. Representative examples include polymers such as ethylene tetrafluoride, perfluoroalkyl vinyl ether, propylene hexafluoride, vinylidene difluoride, ethylene trifluoride, ethylene monofluoride, ethylene trichloride ethylene, and copolymers thereof. As a typical example, a coalesced substance, or a simple substance, a composite or a stretched or unstretched film composed of ethylene and a copolymer thereof can be used. However, from the viewpoint of mechanical properties, film forming properties, and processability, it is preferable to use a tetrafluoroethylene-hexafluoropropylene copolymer or an ethylene-tetrafluoroethylene copolymer. Those containing a copolymer as a main component are particularly preferred. Further, the fluororesin film can be used in any of unstretched, uniaxially stretched and biaxially stretched, but when mechanical strength is required, a stretched film is preferred.
[0028]
The fluorine-based resin film, if necessary, additives in an amount that does not impair the effect of the present invention, for example, heat stabilizers, oxidation stabilizers, weather stabilizers, ultraviolet absorbers, pigments, dyes, inorganic or Organic fine particles, dispersants, coupling agents, fillers and the like may be blended.
The thickness of the resin film used in the present invention is not particularly limited, but is suitably 0.5 μm to 2 mm, and particularly preferably 10 μm to 200 μm.
[0029]
In addition, the above-mentioned resin film contains various additives that are added as necessary, specifically, a drip-proof agent, an anti-fog agent, a plasticizer, a stabilizer, a lubricant, an anti-blocking agent, an ultraviolet absorber, and a light stabilizer. It may contain an agent, a warming agent, an antioxidant, an antistatic agent, a coloring agent, an inorganic filler and the like.
As a means for forming the resin film used in the present invention, for example, means such as a calendar method, an extrusion method, an inflation method, a solution casting method (casting method) and the like can be adopted. Further, when the agricultural film is a laminated film, it can be formed by means such as co-extrusion, extrusion lamination, multilayer inflation, etc. If necessary, a laminated film can be formed by laminating using an adhesive or the like.
[0030]
Further, in the present invention, when the photocatalyst-containing surface layer is formed on the surface of the resin film, a surface treatment or an undercoating treatment can be performed as desired.
As the surface treatment, various methods such as corona discharge treatment (in air, nitrogen, carbon dioxide gas, rare gas, etc.), plasma (glow discharge) treatment (high pressure, low pressure), high frequency sputter etching treatment, etc. A processing method in which high-energy particles are made to collide with the particles is used. On the other hand, the chemical solution treatment uses an alkali solution treatment such as immersing a resin film in an ammonia solution of metallic sodium or a tetrahydrofuran solution of sodium / naphthalene complex.
[0031]
In addition, as the undercoating treatment, an easy-adhesive made of an organic compound having an atomic group containing oxygen and / or nitrogen may be applied. Examples of atomic groups containing oxygen and / or nitrogen include amino groups, imino groups, carboxyl groups, hydroxyl groups, carbonyl groups, ether groups, epoxy groups, isocyanate groups, amide groups, urethane groups, ester groups, urea groups, cyano groups, and the like. Can be exemplified. Examples of the organic compound having such an atomic group include polyester, polyamide, polyvinyl acetal, polyvinyl chloride, poly (meth) acrylate, polyimide, polyurethane, polycarbonate, polystyrene, polymethylpentene, polyolefin, halogenated polyolefin, and alkyd. Resins, polyamide imides, polyvinyl alcohols, silicate resins, and the like are used. Among them, polyesters, polyurethanes, poly (meth) acrylates, and polyvinyl alcohols are more preferable in terms of the adhesion of the surface layer.
[0032]
In the present invention, the photocatalyst (A) refers to an electron in the valence band when irradiated with light (excitation light) having an energy (that is, a shorter wavelength) larger than the energy gap between the conduction band and the valence band. Refers to a substance that can generate conduction electrons and holes by being excited (photoexcitation). At this time, various chemical reactions can be performed by utilizing the reducing power of electrons generated in the conduction band and / or the oxidizing power of holes generated in the valence band. Examples of the chemical reaction promoted by the photocatalyst include oxidative decomposition reactions of various organic substances. Therefore, if this photocatalyst is immobilized on the surface of the resin film, various organic substances (contaminants) attached to the resin film can be oxidatively decomposed using light energy, and the surface of the resin film becomes hydrophilic. It is possible to keep the sex.
[0033]
In the present invention, the term "photocatalytic activity" means that an oxidation or reduction reaction is caused by light irradiation. It is possible to determine whether or not the surface has photocatalytic activity by measuring the degradability of an organic substance such as a dye at the time of light irradiation on the material surface. The surface having photocatalytic activity exhibits excellent decomposition activity of contaminating organic substances and contamination resistance.
Further, in the present invention, the term “hydrophilic” refers to a case where the contact angle of water at 20 ° C. is preferably 60 ° or less. It is preferable because it exhibits contamination resistance due to its self-cleaning ability (self-cleaning) with water. From the standpoint of exhibiting more excellent stain resistance and antifogging property, the contact angle of water on the surface is preferably 10 ° or less, more preferably 5 ° or less.
[0034]
In the present invention, the photocatalyst (A) that can be usefully used for making the surface of the resin film photocatalytically active and / or hydrophilic is, for example, TiO.2, ZnO, SrTiO3, CdS, GaP, InP, GaAs, BaTiO3, BaTiO4, BaTi4O9, K2NbO3, Nb2O5, Fe2O3, Ta2O5, K3Ta3Si2O3, WO3, SnO2, Bi2O3, BiVO4, NiO, Cu2O, SiC, MoS2, InPb, RuO2, CeO2, Ta3N5And layered oxides having at least one element selected from Ti, Nb, Ta and V (Japanese Patent Application Laid-Open Nos. 62-74452, 2-172535, 7-24329). JP-A-8-89799, JP-A-8-89800, JP-A-8-89804, JP-A-8-198061, JP-A-9-248465, JP-A-10-99694, JP-A-10-244165 and the like, and nitrogen-doped titanium oxide (JP-A-13-278625, JP-A-13-278627, JP-A-13-335321, JP-A-14-029750, No. 13-207082) and oxygen-deficient titanium oxide (see Japanese Patent Application Laid-Open No. 13-212457). Emissions photocatalyst can also be suitably used. In addition, TaON, LaTiO2N, CaNbO2N, LaTaON2, CaTaO2Oxynitride compounds such as N and Sm2Ti2S2O7The oxysulfide compound such as has a large photocatalytic activity by visible light and can be suitably used.
[0035]
Further, a metal such as Pt, Rh, Ru, Nb, Cu, Sn, Ni, Fe and / or an oxide thereof is added or fixed to these photocatalysts, or a photocatalyst coated with porous calcium phosphate or the like is used. (See Japanese Patent Application Laid-Open No. 10-244166) can also be used.
The crystal particle diameter (primary particle diameter) of the photocatalyst (A) is preferably 1 to 400 nm, and more preferably a photocatalyst having a diameter of 1 to 50 nm is suitably selected.
[0036]
Among these photocatalysts, titanium oxide is preferable because it is non-toxic, has excellent chemical stability, and extremely increases the hydrophilicity of titanium oxide itself by light irradiation.
As the titanium oxide, any crystal form among anatase type, rutile type and brookite type may be used. Also, the above-mentioned nitrogen-doped titanium oxide and oxygen-deficient titanium oxide which are responsive to visible light can be suitably used as the titanium oxide.
As the photocatalyst (A) of the present invention, it is preferable to use a modified photocatalyst (A1) obtained by modifying the photocatalyst (A) with at least one modifier compound (b) described below.
[0037]
In the present invention, the modification of the photocatalyst (A) means that at least one type of the modifier compound (b) described below is immobilized on the surface of the photocatalyst (A) particles. It is considered that the above-mentioned modifier compound is fixed to the surface of the photocatalyst particles by van der Waals force (physical adsorption), Coulomb force or chemical bonding. In particular, modification using a chemical bond is preferable because the interaction between the modifier compound and the photocatalyst is strong, and the modifier compound is firmly fixed to the surface of the photocatalyst particles.
[0038]
By forming the photocatalyst (A) of the present invention as the modified photocatalyst (A1), when forming the surface layer containing the photocatalyst (A) on the resin film of the present invention, the photocatalyst (A) in the surface layer is formed. Is very preferable because the formation of a structure in which the concentration increases from the inner side of the resin film in the surface layer portion toward the other exposed surface becomes easy particularly when combined with a binder component (B) described later.
In the present invention, the properties of the photocatalyst (A) used for the modification are important factors for the dispersion stability, film formability, and expression of various functions of the modified photocatalyst (A1). That is, as the photocatalyst (A) used in the modification of the present invention, a photocatalyst having a number average dispersed particle diameter of a mixture of primary particles and secondary particles of 400 nm or less effectively utilizes the surface characteristics of the modified photocatalyst. Preferred because it can. In particular, when a photocatalyst having a number average dispersed particle diameter of 100 nm or less is used, in the surface layer portion of the present invention formed from the resulting modified photocatalyst (A1) and a photocatalyst composition (C) containing a binder component (B) described below, It is very preferable because the modified photocatalyst (A1) can efficiently exist on the surface (exposed surface) of the surface layer portion. More preferably, a photocatalyst (A) having a size of 80 nm or less and 3 nm or more, further preferably 50 nm or less and 3 nm or more is suitably selected.
[0039]
As the photocatalyst (A), it is preferable to use a photocatalyst sol instead of a photocatalyst powder for the following reasons. In general, powder consisting of fine particles forms secondary particles in which single-crystal particles (primary particles) are strongly aggregated, so there are many wasted surface characteristics, but it is very difficult to disperse them into primary particles. It is. In contrast, in the case of a photocatalytic sol, the photocatalytic particles exist in a form close to the primary particles without dissolving, so that the surface characteristics can be effectively utilized, and the modified photocatalyst generated therefrom has dispersion stability, film forming property, etc. In addition to being excellent in the properties, various functions can be effectively exhibited, so that it can be preferably used. Here, the photocatalyst sol used in the present invention means that the photocatalyst particles are 0.01 to 70% by mass, preferably 0.1 to 50% by mass in water and / or an organic solvent as primary particles and / or secondary particles. It is distributed.
[0040]
Here, examples of the organic solvent used in the photocatalytic sol include alcohols such as ethylene glycol, butyl cellosolve, n-propanol, isopropanol, n-butanol, ethanol, and methanol; and aromatic hydrocarbons such as toluene and xylene. , Aliphatic hydrocarbons such as hexane, cyclohexane and heptane, esters such as ethyl acetate and n-butyl acetate, ketones such as acetone, methyl ethyl ketone and methyl isobutyl ketone, ethers such as tetrahydrofuran and dioxane, dimethylacetamide and dimethyl Examples include amides such as formamide, halogen compounds such as chloroform, methylene chloride, and carbon tetrachloride, dimethyl sulfoxide, nitrobenzene, and the like, and a mixture of two or more of these.
[0041]
Taking titanium oxide sol as an example of the photocatalyst sol, for example, titanium oxide hydrosol in which water is substantially used as a dispersion medium and titanium oxide particles are peptized therein can be used. (Here, “substantially using water as a dispersion medium” means that the dispersion medium contains about 80% by mass or more of water.) The preparation of such a sol is known and can be easily produced ( JP-A-63-17221, JP-A-7-819, JP-A-9-165218, JP-A-11-43327, etc.). For example, metatitanic acid produced by heating and hydrolyzing an aqueous solution of titanium sulfate or titanium tetrachloride is neutralized with aqueous ammonia, and the precipitated hydrous titanium oxide is filtered, washed, and dehydrated to obtain an aggregate of titanium oxide particles. Can be The aggregates are peptized under the action of nitric acid, hydrochloric acid, ammonia, or the like, and subjected to hydrothermal treatment or the like to obtain a titanium oxide hydrosol. In addition, as the titanium oxide hydrosol, one obtained by peptizing titanium oxide particles under the action of an acid or an alkali, or a dispersion stabilizer such as sodium polyacrylate as necessary without using an acid or an alkali, is used. Sols that are used and dispersed in water under strong shear can also be used. Furthermore, an anatase-type titanium oxide sol whose particle surface is modified with a peroxo group, which has excellent dispersion stability even in an aqueous solution having a pH around neutral, can be easily obtained by the method proposed in JP-A-10-67516. it can.
[0042]
The titanium oxide hydrosol described above is commercially available as titania sol. (For example, "STS-02" manufactured by Ishihara Sangyo Co., Ltd., "TO-240" manufactured by Tanaka Transcription Co., Ltd.)
The titanium oxide in the titanium oxide hydrosol is preferably at most 50% by mass, more preferably at most 30% by mass. More preferably, it is 30% by mass or less and 0.1% by mass or more.
[0043]
The viscosity (20 ° C.) of such hydrosols is relatively low. In the present invention, the viscosity of the hydrosol is preferably in the range of about 0.5 mPa · s to 2000 mPa · s. It is more preferably 1 mPa · s to 1000 mPa · s, and still more preferably 1 mPa · s to 500 mPa · s.
Also, for example, a cerium oxide sol (see JP-A-8-59235) or a layered oxide sol containing at least one element selected from the group consisting of Ti, Nb, Ta, and V (JP-A-9-25123) , JP-A-9-67124, JP-A-9-227122, JP-A-9-227123, JP-A-10-259023, etc.), and the like. Is known to.
[0044]
Further, a photocatalyst organosol in which an organic solvent is substantially used as a dispersion medium and photocatalyst particles are dispersed therein is, for example, a compound having a phase transfer activity such as polyethylene glycol (eg, a different first phase and a second phase). A third phase is formed at the interface with the phase, and the first phase, the second phase, and the third phase are treated with a compound that dissolves and / or solubilizes each other, and diluted with an organic solvent. JP-A-10-167727), a method of preparing a sol by dispersing and transferring in an organic solvent insoluble in water with an anionic surfactant such as sodium dodecylbenzenesulfonate (JP-A-58-29863), and butyl cellosolve. After adding alcohols having a higher boiling point than water to the photocatalytic hydrosol, water can be removed by distillation (under reduced pressure) or the like. A titanium oxide organosol in which an organic solvent is substantially used as a dispersion medium and titanium oxide particles are dispersed therein is commercially available (for example, “TKS-251” manufactured by Teica Corporation). Here, “substantially using an organic solvent as a dispersion medium” means that the dispersion medium contains about 80% by mass or more of an organic solvent.
[0045]
In the present invention, at least one kind of the modifier compound (b) used to obtain the modified photocatalyst (A1) comprises a triorganosilane unit represented by the formula (1) and a monooxy compound represented by the formula (2). A diorganosilane unit, a dioxyorganosilane unit represented by the formula (3), and methylene fluoride (—CF2-) Selected from the group consisting of compounds having at least one structural unit selected from the group consisting of units;
R3Si- (1)
(Wherein, R is each independently a straight-chain or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, a straight-chain or branched A fluoroalkyl group, a linear or branched alkenyl group having 2 to 30 carbon atoms, a phenyl group, an alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, or a hydroxyl group)
− (R2SiO)-(2)
(In the formula, R is as defined in the formula (1).)
[0046]
Embedded image
Figure 2004105087
(In the formula, R is as defined in the formula (1).)
[0047]
The modified photocatalyst (A1) in which the surface of the photocatalyst particles is modified with the modifier compound (b) having the above-mentioned structural unit has a very small surface energy on the particle surface.
In the present invention, the modification treatment of the photocatalyst (A) with the modifier compound (b) is carried out in the presence or absence of water and / or an organic solvent, with the photocatalyst (A) and the modifier compound ( b) is preferably mixed at a mass ratio of (A) / (b) = 1/99 to 99.9 / 0.1, more preferably (A) / (b) = 10/90 to 99/1. Preferably, it can be obtained by heating at 0 to 200 ° C., more preferably at 10 to 80 ° C., or changing the solvent composition of the mixture by (reduced pressure) distillation or the like.
[0048]
Here, in the case of performing the above-mentioned modification treatment, as the organic solvent that can be used, for example, aromatic hydrocarbons such as toluene and xylene, hexane, cyclohexane, aliphatic hydrocarbons such as heptane, ethyl acetate, n-butyl acetate and the like Esters, alcohols such as ethylene glycol, butyl cellosolve, isopropanol, n-butanol, ethanol and methanol; ketones such as acetone, methyl ethyl ketone and methyl isobutyl ketone; ethers such as tetrahydrofuran and dioxane; amides such as dimethylacetamide and dimethylformamide And halogen compounds such as chloroform, methylene chloride and carbon tetrachloride, dimethyl sulfoxide, nitrobenzene and the like, and a mixture of two or more thereof.
[0049]
Examples of the modifier compound (b) used to obtain the modified photocatalyst (A1) of the present invention include a Si—H group, a hydrolyzable silyl group (an alkoxysilyl group, a hydroxysilyl group, a halogenated silyl group, Acetoxysilyl groups, aminoxysilyl groups, etc.), epoxy compounds, acetoacetyl groups, thiol groups, acid anhydride groups, etc., reactive with photocatalyst particles (a), silicon compounds, fluoroalkyl compounds, fluoroolefin polymers, etc. Can be mentioned.
[0050]
Other examples of the modifier compound (b) include, for example, a silicon compound having a structure that interacts with photocatalyst particles (a) such as a polyoxyalkylene group by Van der Waals force, Coulomb force, or the like. Examples thereof include a fluoroalkyl compound and a fluoroolefin polymer.
In the present invention, when the Si—H group-containing silicon compound (b1) represented by the composition formula (9) is used as the modifier compound (b), the surface of the photocatalyst particles can be modified very efficiently. preferable.
HxRySiO(4-xy) / 2(9)
(Wherein, R is each independently a straight-chain or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, a straight-chain or branched Represents a fluoroalkyl group, a linear or branched alkenyl group having 2 to 30 carbon atoms, a phenyl group, an alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, or a hydroxyl group, wherein x and y are 0 <x <4,0. <Y <4, and (x + y) ≦ 4.)
[0051]
In the present invention, the modification of the photocatalyst (A) with the Si—H group-containing silicon compound (b1) represented by the above composition formula (9) is carried out in the presence or absence of water and / or an organic solvent. (A) and the Si-H group-containing silicon compound (b1) preferably have a mass ratio of (A) / (b1) = 1/99 to 99.9 / 0.1, and more preferably (A) / (b1). = 10/90 to 99/1, preferably at 0 to 200 ° C. Hydrogen gas is generated from the mixed solution by this modification operation, and when a photocatalyst sol is used as the photocatalyst (A), an increase in the average dispersed particle diameter is observed. Further, for example, when titanium oxide is used as the photocatalyst (A), the decrease of the Ti—OH group is caused by the above modification operation to be 3630 to 3640 cm in the IR spectrum.-1Is observed as a decrease in absorption.
[0052]
From these facts, when the Si—H group-containing silicon compound (b1) represented by the above formula (9) is selected as the modifier compound (b), the modified photocatalyst (A1) of the present invention has a Si—H This is not a simple mixture of the group-containing silicon compound (b1) and the photocatalyst (A), but is very preferable because it can be expected that some kind of interaction accompanying a chemical reaction occurs between the two. In fact, the modified photocatalyst (A1) obtained in this way has extremely excellent dispersion stability, chemical stability, durability and the like in an organic solvent.
[0053]
In the present invention, the modification of the photocatalyst (A) with the Si—H group-containing silicon compound (b1) represented by the above formula (9) is preferably performed using a dehydrocondensation catalyst for the Si—H group. It can also be carried out at 150 ° C.
In this case, the dehydrocondensation catalyst may be fixed to the photocatalyst (A) in advance by a method such as a photoreduction method, and may be modified with the Si—H group-containing silicon compound (b1). The photocatalyst (A) may be modified with the above Si-H group-containing compound silicon (b1) below.
[0054]
Here, the dehydrocondensation catalyst for the Si-H group means a Si-H group and an active hydrogen group such as a hydroxyl group (Ti-OH group in the case of titanium oxide), a thiol group, an amino group, a carboxyl group, etc. present on the surface of the photocatalyst. Further, it refers to a substance that accelerates the dehydrocondensation reaction with water or the like. By using the dehydrocondensation catalyst, the surface of the photocatalyst can be modified under mild conditions.
Examples of the dehydrocondensation catalyst include, for example, platinum group catalysts, that is, ruthenium, rhodium, palladium, osmium, iridium, a simple substance of platinum and its compound, and a simple substance of silver, iron, copper, cobalt, nickel, tin and the like and its compound. No. Of these, platinum group catalysts are preferred, and simple platinum and its compounds are particularly preferred.
Here, as the platinum compound, for example, platinum (II) chloride, tetrachloroplatinic acid (II), platinum chloride (IV), hexachloroplatinic acid (IV), ammonium hexachloroplatinum (IV), hexachloroplatinum (IV) Potassium, platinum hydroxide (II), platinum dioxide (IV), dichloro-dicyclopentadienyl-platinum (II), platinum-vinylsiloxane complex, platinum-phosphine complex, platinum-olefin complex and the like can be used. .
[0055]
In the Si—H group-containing silicon compound represented by the above formula (9) of the present invention, the Si—H group is a preferred functional group for modifying the photocatalyst under mild conditions with good selectivity. On the other hand, the hydrolyzable group can also be used for the modification of the photocatalyst, but in order to suppress the side reaction and improve the stability of the resulting modified photocatalyst, the smaller the content thereof, the better. preferable.
Examples of the Si—H group-containing silicon compound (b1) represented by the formula (9) that can be suitably used in the present invention include a mono-Si—H group-containing compound represented by the formula (10), At least one S—H group-containing compound having no hydrolyzable silyl group selected from the group consisting of a Si—H group-containing compound at both ends represented by Can be mentioned.
[0056]
Embedded image
Figure 2004105087
(Where R3Each independently represents a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a linear or branched alkenyl group having 2 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, It represents a chain or branched C1-C30 fluoroalkyl group, a phenyl group, or a siloxy group represented by the formula (13).
-O- (R4 2SiO)m-SiR4 3・ ・ ・ (13)
(Where R4Are each independently a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, a linear or branched fluoroalkyl group having 1 to 30 carbon atoms. Represents a linear or branched alkenyl group having 2 to 30 carbon atoms, or a phenyl group. Further, m is an integer, and 0 ≦ m ≦ 1000. ))
H- (R3 2SiO)n-SiR3 2-H (11)
(Where R3Is as defined in equation (10). n is an integer and 0 ≦ n ≦ 1000. )
(R3HSiO)a(R3 2SiO)b(R3 3SiO1/2)c・ ・ ・ (12)
(Where R3Is as defined in equation (10). a is an integer of 1 or more, b is an integer of 0 or more, (a + b) ≦ 10000, and c is 0 or 2. However, when (a + b) is an integer of 2 or more and c = 0, the H silicone of the formula (12) is a cyclic silicone, and when c = 2, the H silicone of the formula (12) is a chain silicone. Silicone. )
[0057]
In the present invention, specific examples of the mono-Si-H group-containing compound represented by the above formula (10) include, for example, bis (trimethylsiloxy) methylsilane, bis (trimethylsiloxy) ethylsilane, bis (trimethylsiloxy) n-propylsilane , Bis (trimethylsiloxy) i-propylsilane, bis (trimethylsiloxy) n-butylsilane, bis (trimethylsiloxy) n-hexylsilane, bis (trimethylsiloxy) cyclohexylsilane, bis (trimethylsiloxy) phenylsilane, bis (triethylsiloxy) ) Methylsilane, bis (triethylsiloxy) ethylsilane, tris (trimethylsiloxy) silane, tris (triethylsiloxy) silane, pentamethyldisiloxane, 1,1,1,3,3,5,5-heptamethyltrisilo Sun, 1,1,1,3,3,5,5,6,6-nonamethyltetrasiloxane, trimethylsilane, ethyldimethylsilane, methyldiethylsilane, triethylsilane, phenyldimethylsilane, diphenylmethylsilane, cyclohexyldimethylsilane , T-butyldimethylsilane, di-t-butylmethylsilane, n-octadecyldimethylsilane, tri-n-propylsilane, tri-i-propylsilane, tri-i-butylsilane, tri-n-hexylsilane, triphenyl Examples thereof include silane, allyldimethylsilane, 1-allyl-1,1,3,3-tetramethyldisiloxane, chloromethyldimethylsilane, and 7-octenyldimethylsilane.
[0058]
Among these mono-Si-H group-containing compounds, bis (trimethylsiloxy) methylsilane, tris (trimethylsiloxy) methylsilane, and tris (trimethylsiloxy) methylsilane are preferred because of their high reactivity (dehydrogenation condensation reaction) and low surface energy during the modification treatment of the photocatalyst. (Trimethylsiloxy) silane, pentamethyldisiloxane, and the like having a siloxy group in the molecule and not having a phenyl group are preferably represented by the following formula (14).
[0059]
Embedded image
Figure 2004105087
(Where R5Is independently a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a linear or branched alkenyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, A linear or branched fluoroalkyl group having 1 to 30 carbon atoms or a group consisting of at least one member selected from siloxy groups represented by the formula (13b);5At least one is a siloxy group represented by the formula (13b).
-O- (R42SiO)m-SiR43・ ・ ・ (13b)
(Where R4Is independently a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, or a linear or branched fluoro group having 1 to 30 carbon atoms. Represents an alkyl group. Further, m is an integer, and 0 ≦ m ≦ 1000. ))
[0060]
In the present invention, specific examples of the compound having a Si—H group at both ends represented by the above formula (11) include, for example, 1,1,3,3-tetramethyldisiloxane, 1,1,3,3,5 H-terminal polydimethylsiloxanes having a number average molecular weight of 50,000 or less, such as 1,5-hexamethyltrisiloxane and 1,1,3,3,5,5,7,7-octamethyltetrasiloxane; Number average molecular weight of 50,000 or less such as 3-tetraethyldisiloxane, 1,1,3,3,5,5-hexaethyltrisiloxane, 1,1,3,3,5,5,7,7-octaethyltetrasiloxane H-terminal polydiethylsiloxanes, 1,1,3,3-tetraphenyldisiloxane, 1,1,3,3,5,5-hexaphenyltrisiloxane, 1,1,3,3,5,5 , 7,7-octa H-terminal polydiphenylsiloxanes having a number average molecular weight of 50,000 or less such as phenyltetrasiloxane, 1,3-diphenyl-1,3-dimethyl-disiloxane, 1,3,5-trimethyl-1,3,5-triphenyl H-terminal polyphenylmethylsiloxanes having a number average molecular weight of 50,000 or less, such as trisiloxane, 1,3,5,7-tetramethyl-1,3,5,7-tetraphenyl-tetrasiloxane, dimethylsilane and ethylmethyl Examples thereof include silane, diethylsilane, phenylmethylsilane, diphenylsilane, cyclohexylmethylsilane, t-butylmethylsilane, di-t-butylsilane, n-octadecylmethylsilane, and allylmethylsilane.
[0061]
Among these, the number average molecular weight is preferably 10,000 or less, more preferably 2000 or less, from the viewpoint of the reactivity (dehydrocondensation reaction) of the Si—H group and the low surface energy during the modification treatment of the photocatalyst. Preferably, an H-terminal polydialkylsiloxane of 1000 or less (formula (15)) can be suitably used as a compound having a Si-H group at both ends.
H- (R6 2SiO)d-SiR6 2-H (15)
(Where R6Each independently represents a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, or a linear or branched fluoroalkyl group having 1 to 30 carbon atoms. d is an integer and 0 ≦ d ≦ 1000. )
The H silicone represented by the above formula (12) used in the present invention has a number average molecular weight of preferably 5,000 or less, more preferably 5,000 or less, from the viewpoint of dispersion stability (prevention of aggregation of photocatalyst particles) during the modification treatment of the photocatalyst. H silicone of 2000 or less, more preferably 1000 or less can be suitably used.
[0062]
Further, a preferred embodiment of the modified photocatalyst (A1) of the present invention is such that the number average dispersed particle diameter of the mixture of primary particles and secondary particles of the modified photocatalyst is 400 nm or less, more preferably 1 nm or more and 100 nm or less, particularly preferably 5 nm or more. It is 80 nm or less. It is preferably in a sol state.
In particular, when a modified photocatalyst sol having a number average dispersed particle diameter of 100 nm or less is used for the photocatalyst composition (C) of the present invention, the concentration of the modified photocatalyst particles is small near the interface in contact with the resin film, and is small near the surface of the surface layer. This is advantageous for forming a surface layer portion that is anisotropically distributed in the surface direction such that the surface layer portion is largely distributed, and is very preferable because a surface layer portion having a large photocatalytic activity without deterioration of an interface with a resin film due to a photocatalytic action is formed. Such a modified photocatalyst sol can be obtained by using the above-described photocatalyst sol as a photocatalyst to be modified with the modifier compound (b).
[0063]
Conventionally, a numerical value simply indicated as a particle size in titanium dioxide or the like is a primary particle size (crystallite size) in many cases, and is not a numerical value in consideration of a secondary particle size due to aggregation.
The photocatalyst composition (C) forming the surface layer of the present invention is characterized by containing a photocatalyst (A) (preferably a modified photocatalyst (A1)) and a binder component (B), and has a mass ratio of (A1) / ( B) is preferably 0.1 / 99.9 to 90/10, and more preferably (A1) / (B) is contained in 1/99 to 50/50.
[0064]
Since the modified photocatalyst (A1) of the present invention is modified with the modifier compound (b) having a structure (formulas (1) to (3)) having a very small surface energy, when forming the surface layer portion, It has the property of easily moving to the surface layer surface in contact with air.
Here, by using a photocatalyst (A), particularly a binder resin (B ′) having a higher surface energy than the modified photocatalyst (A1) as the binder component (B) of the present invention, the above-mentioned properties of the modified photocatalyst (A1) can be obtained. To facilitate this, the photocatalyst composition (C) of the present invention can have a large self-gradient in the distribution of the photocatalyst (A), especially the modified photocatalyst (A1). Here, the term “self-gradient” means that when a surface layer is formed from the photocatalyst composition (C), the photocatalyst (A), in particular, the modified photocatalyst (A1) in the formation process, has properties of the interface (particularly hydrophilic / (Hydrophobicity) means autonomously forming a structure having a concentration gradient of the photocatalyst (A), particularly the modified photocatalyst (A1).
[0065]
As the binder component (B) of the present invention, when a resin having a surface energy larger than that of the photocatalyst (A) (preferably the modified photocatalyst (A1)) by 2 mN / m or more, preferably 5 mN / m or more is selected, the above-mentioned self-gradient can be obtained. Is very preferable.
Here, the surface energy and the relative difference between the surface energies can be determined by referring to, for example, Polymer Handbook (published by A Wiley-interscience publication in the United States) or by the following method.
That is, from the photocatalyst (A) constituting the photocatalyst composition (C), in particular, the modified photocatalyst (A1) and the binder component (B), a base material having each of those surface layers is prepared, and deionized water is dropped. The contact angle (θ) at 20 ° C. is measured, and the respective surface energies can be determined by the following empirical formula of Sell and Neumann.
[0066]
(Equation 1)
Figure 2004105087
[In the formula, γs represents the surface energy (mN / m) of the surface layer portion where the contact angle of deionized water was measured, and γ1 represents the surface energy of water {72.8 mN / m (20 ° C.)}. ]
[0067]
In the photocatalyst composition (C) of the present invention, the compound that can be used for the binder component (B) is not particularly limited as long as it has a surface energy that satisfies the above conditions, and various compounds, synthetic resins, natural resins, and the like can be used. And those cured by drying, heating, moisture absorption, light irradiation and the like after the formation of the coating. The form may be in a solvent-free state (pellet, powder, liquid, or the like) or may be dissolved or dispersed in a solvent, and is not particularly limited.
[0068]
As the synthetic resin, a thermoplastic resin and a curable resin (a thermosetting resin, a photocurable resin, a moisture curable resin, etc.) can be used. For example, a silicone resin, an acrylic resin, a methacrylic resin, a fluororesin, Alkyd resin, amino alkyd resin, vinyl resin, polyester resin, styrene-butadiene resin, polyolefin resin, polystyrene resin, polyketone resin, polyamide resin, polycarbonate resin, polyacetal resin, polyetheretherketone resin, polyphenylene oxide resin, polysulfone resin, Polyphenylene sulfone resin Polyether resin, polyvinyl chloride resin, polyvinylidene chloride resin, urea resin, phenol resin, melamine resin, epoxy resin, urethane resin, silicone-acrylic resin and the like can be mentioned.
Examples of the natural polymer include cellulose resins such as nitrocellulose, isoprene resins such as natural rubber, protein resins such as casein, and starch.
[0069]
In the present invention, as the binder component (B) used in the photocatalyst composition (C), a phenyl group-containing silicone (BP) represented by the following formula (4) has a higher surface energy than the modified photocatalyst (A1) of the present invention. And the siloxane bond (—O—Si—) forming the skeleton thereof is most preferably used because it does not undergo oxidative decomposition due to photocatalysis.
R1 pR2 qXrSiO(4-pqr) / 2(4)
(Wherein each R1Represents a phenyl group;2Each independently represents a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, or a linear or branched alkenyl group having 2 to 30 carbon atoms. X independently represents a hydrogen atom, a hydroxyl group, an alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, an acyloxy group having 1 to 20 carbon atoms, an aminoxy group, an oxime group having 1 to 20 carbon atoms, or a halogen atom. And p, q and r are 0 <p <4, 0 ≦ q <4, 0 ≦ r <4, and 0 <(p + q + r) <4, and 0.05 ≦ p / (p + q) ≦ 1. is there. )
The phenyl group-containing silicone (BP) represented by the above formula (4) includes, for example, at least one structure of a siloxane bond represented by the general formulas (16), (17), (18) and (19). Silicone can be mentioned.
[0070]
Embedded image
Figure 2004105087
− (R7 2SiO)-(17)
[0071]
Embedded image
Figure 2004105087
(Where R7Each independently represents a phenyl group, a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, or a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms. )
[0072]
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Figure 2004105087
[0073]
The silicone having the above-described structure is, for example, a compound represented by the general formula R7Six3(Where R7Represents a phenyl group, a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, or a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms. Each X is independently selected from the group consisting of a hydrogen atom, a hydroxyl group, an alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, an acyloxy group having 1 to 20 carbon atoms, an aminoxy group, an oxime group having 1 to 20 carbon atoms, and a halogen atom. Represents one reactive group. The same applies hereinafter. And / or a trifunctional silane derivative represented by the general formula R7 2Six2And / or a general formula SiX4Is partially hydrolyzed and polycondensed, and if necessary, a general formula R7 3It can be prepared by terminating the terminal with a monofunctional silane derivative represented by SiX and / or an alcohol. The weight average molecular weight in terms of polystyrene of the partial condensate of the silane derivative monomer thus obtained is preferably 100 to 100,000, more preferably 400 to 50,000.
[0074]
When a phenyl group-containing silicone represented by the above formula (4) is selected from those containing 10 mol% or more, preferably 40 mol% or more of the ladder structure represented by the above formula (16), the present invention The photocatalyst-containing surface layer formed from the photocatalyst composition (C) is preferable because it is extremely excellent in hardness, heat resistance, weather resistance, stain resistance, chemical resistance and the like. In particular, a phenyl ladder structure [R in formula (16)]7Are all phenyl groups], since the physical properties of the photocatalyst-containing surface layer described above are greatly improved. Such a ladder structure is, for example, 1040 cm in an infrared absorption spectrum.-1And 1160cm-1It can be identified by the presence of absorption derived from two nearby siloxane bonds.
(See JF Brown. Jr., et al .: J. Am. Chem. Soc., 82, 6194 (1960).)
The phenyl group-containing silicone (BP) represented by the above formula (4) used in the present invention preferably has a Ph-Si bond (Ph: phenyl group).
[0075]
That is, in the photocatalyst composition (C) of the present invention, the modified photocatalyst (A1) that has been modified with the modifier compound (b) having a structure (formulas (1) to (3)) having a very small surface energy. By using a binder component (B) containing a phenyl group-containing silicone (BP) having a higher surface energy than that of the modified photocatalyst (A1) as a binder, the photocatalyst composition (C) of the present invention can be used as the modified photocatalyst (A1). It is possible to have a high self-gradient in distribution.
[0076]
The effect of expressing self-gradient by such a phenyl group-containing silicone (BP) having a high surface energy is due to the phenyl group (R1) With a phenyl group (R1) And R2(R2Represents a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, or an alkenyl group having 2 to 20 carbon atoms. ) Or less (R1+ R2). The use of such a phenyl group-containing silicone (BP), which can be more remarkably achieved by using a phenyl group-containing silicone (BP) represented by the above formula (4) having 5 mol% or more of}, Is preferred.
[0077]
Further, the above-described effect of expressing the self-gradient is due to the phenyl group (R1) Of (R1+ R2) Increases as the ratio increases. Therefore, the more preferable phenyl group-containing silicone of the binder component (B) used in the photocatalyst composition of the present invention is (R)1+ R2) To the phenyl group (R1) Is at least 10 mol%, more preferably at least 20 mol%, and even more preferably at least 50 mol%. In addition, the phenyl group-containing silicone (BP) has good adhesion to an organic substrate such as an organic resin, and the siloxane bond (—O—Si—) forming the skeleton thereof does not undergo oxidative decomposition due to photocatalysis, The photocatalyst-containing surface layer obtained by coating the photocatalyst composition (C) of the present invention on a resin film has extremely excellent weather resistance.
[0078]
In the photocatalyst composition (C) of the present invention, as the phenyl group-containing silicone (BP) used for the binder component (B), a more preferable one exhibiting the above-mentioned effects is an alkyl group represented by the following formula (5). Is a phenyl group-containing silicone (BP1) containing no.
R1 sXtSiO(4-st) / 2(5)
(Where R1Represents a phenyl group, X independently represents a hydrogen atom, a hydroxyl group, an alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, an acyloxy group having 1 to 20 carbon atoms, an aminoxy group, an oxime group having 1 to 20 carbon atoms, and a halogen atom. , S and t are 0 <s <4, 0 ≦ t <4, and 0 <(s + t) <4. )
[0079]
When the binder component (B) further contains an alkyl group-containing silicone (BA) represented by the following formula (6), the surface layer formed from the photocatalyst composition of the present invention has a film-forming property, hardness, It is preferable because it is excellent in heat resistance, stain resistance, chemical resistance and the like.
R2 uXvSiO(4-uv) / 2(6)
(Where R2Each independently represents a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, or a linear or branched alkenyl group having 2 to 30 carbon atoms. X independently represents a hydrogen atom, a hydroxyl group, an alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, an acyloxy group having 1 to 20 carbon atoms, an aminoxy group, an oxime group having 1 to 20 carbon atoms, or a halogen atom. u and v are 0 <u <4, 0 ≦ v <4, and 0 <(u + v) <4. )
[0080]
Furthermore, as the alkyl group-containing silicone (BA) mixed with the phenyl group-containing silicone (BP1), a monooxydiorganosilane unit (D) represented by the formula (7) and a dioxy compound represented by the formula (8) are used. When a structure having a molar ratio of oxyorganosilane units (T) of preferably (D) / (T) = 100/0 to 5/95, more preferably 90/10 to 10/90 is used. As a result, the stress relaxation effect of the alkyl group-containing silicone (BA) is increased, and the crack resistance of the photocatalyst-containing surface layer formed from the photocatalyst composition (C) of the present invention is improved, resulting in extremely excellent weather resistance. Become.
− (R2 2SiO)-(7)
(Where R2Each independently represents a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, or a linear or branched alkenyl group having 2 to 30 carbon atoms. )
[0081]
Embedded image
Figure 2004105087
(Where R2Is as defined in equation (7). )
[0082]
In the present invention, in order to improve long-term weather resistance, it is preferable that the binder component (B) forms a phase-separated structure, and particularly preferably forms a structure with microphase separation.
For example, as the binder component (B), the above-mentioned photocatalyst (A), in particular, a binder resin (B ′) having a higher surface energy than the modified photocatalyst (A1) and an alkyl group-containing silicone (BA) represented by the above formula (6) ) Is preferably mixed at a mass ratio of (B ′) / (BA) = 5/95 to 95/5, more preferably (B ′) / (BA) = 30/70 to 90/10. And the photocatalyst-containing surface layer formed from the photocatalyst composition (C) of the present invention comprises a photocatalyst (A) in a binder in which a binder resin (B ′) having a high surface energy and an alkyl group-containing silicone (BA) are phase-separated. Is preferable since it has a dispersed structure, and has excellent long-term weather resistance.
[0083]
Here, in the phase separation between the binder component (B ') having a high surface energy and the alkyl group-containing silicone (BA), a phase which is not a continuous layer is preferably 1 nm3~ 1 μm3, More preferably 10 nm3~ 0.1 μm3, More preferably 10 nm3~ 0.001 μm3Is more effective when micro-phase separation is performed by forming a domain having a size of
Further, when the photocatalyst (A) is present in the alkyl group-containing silicone (BA) phase in a phase separated state with the binder resin (B ′) having a high surface energy, the photocatalyst (A) is more present on the surface of the surface layer portion. Preferred because it can be present.
[0084]
As the binder resin (B ′) having a high surface energy that is phase-separated from the alkyl group-containing silicone (BA) in the present invention, the phenyl group-containing silicone (BP) described above is a siloxane bond (—O—Si— Is preferable since oxidative decomposition by photocatalysis does not occur, and a phenyl group-containing silicone (BP1) containing no alkyl group is particularly preferable.
At this time, the phenyl group-containing silicone (BP1) and the alkyl group-containing silicone (BA) have a weight average molecular weight in terms of polystyrene measured by GPC of preferably 100 to 10,000, more preferably 500 to 6, When the binder component having a molecular weight of 000, more preferably 700 to 4,000 is used, the above-mentioned binder component (B) is preferable because it easily forms a microphase separation structure.
[0085]
The binder component (B) used in the photocatalyst composition (C) of the present invention may be any of a type dissolved in a solvent, a type dispersed in a solvent, and a type not mixed with a solvent (liquid or solid). Is also good.
In the photocatalyst composition (C) of the present invention, the phenyl group-containing silicone (BP) represented by the above formula (4) has a reactive group (X in the formula (4)) even if it has a reactive group. The photocatalyst-containing surface layer obtained from the photocatalyst composition (C) of the present invention may have a reactive group (X in the formula (4)) (that is, 0 <r in the formula (4)). The portion is preferable because it has excellent hardness, heat resistance, chemical resistance, durability, and the like. For the same reason, it is preferable that 0 <t in Expression (5) and 0 <v in Expression (6).
[0086]
In the photocatalyst composition (C) of the present invention, the phenyl group-containing silicone (BP) represented by the above formula (4) has a reactive group (X in the formula (4)) as a hydroxyl group and / or a hydrolyzable group. In the case of having phenyl group-containing silicone (BP), a conventionally known hydrolysis catalyst or curing catalyst is added at a ratio of preferably 0.01 to 20% by mass, more preferably 0.1 to 5% by mass. be able to.
Preferred examples of the hydrolysis catalyst include acidic hydrogen halides, carboxylic acids, sulfonic acids, acidic or weakly acidic inorganic salts, and solid acids such as ion exchange resins. The amount of the hydrolysis catalyst is preferably in the range of 0.001 to 5 mol per mol of the hydrolyzable group on the silicon atom.
[0087]
Examples of the curing catalyst include basic compounds such as sodium hydroxide, potassium hydroxide, sodium methylate, sodium acetate, tetramethylammonium chloride, and tetramethylammonium hydroxide; tributylamine, diazabicycloundecene, ethylenediamine Amine compounds such as diethylenetriamine, ethanolamines, γ-aminopropyltrimethoxysilane, γ- (2-aminoethyl) -aminopropyltrimethoxysilane; titanium compounds such as tetraisopropyl titanate and tetrabutyl titanate; Aluminum compounds such as propoxide, aluminum acetylacetonate, aluminum perchlorate, aluminum chloride; tin acetylacetonate, dibutyltin octane Tin compounds such as tylate and dibutyltin dilaurate; metal-containing compounds such as cobalt octylate, cobalt acetylacetonate and iron acetylacetonate; acidic compounds such as phosphoric acid, nitric acid, phthalic acid, p-toluenesulfonic acid, and trichloroacetic acid And the like.
[0088]
In the photocatalyst composition (C) of the present invention, when the phenyl group-containing silicone (BP) represented by the above formula (4) has a Si—H group, a crosslinking agent such as a polyfunctional alkenyl compound is added to the Si—H group. It is preferable that the alkenyl group is added in an amount of preferably 0.01 to 2 equivalents, more preferably 0.1 to 1 equivalent. The polyfunctional alkenyl compound is not particularly limited as long as it has an alkenyl group and reacts with an Si-H group to promote curing, but may have any of 2 to 30 carbon atoms such as a vinyl group, an allyl group, and a hexenyl group. Alkenyl group-containing silicones having a monovalent unsaturated hydrocarbon group are generally used.
[0089]
In order to promote the reaction between the Si-H group and the polyfunctional alkenyl compound, the catalyst is preferably used in an amount of 1 to 10000 ppm, more preferably 1 to 10000 ppm based on the total amount of the phenyl group-containing silicone (BP) and the polyfunctional alkenyl compound. It may be added at a rate of 1000 ppm. As the catalyst, a platinum group catalyst, that is, a compound of ruthenium, rhodium, palladium, osmium, iridium, and platinum is suitable, and a compound of platinum and a compound of palladium are particularly preferable. Examples of the platinum compound include platinum chloride (II), tetrachloroplatinic acid (II), platinum chloride (IV), hexachloroplatinic acid (IV), ammonium hexachloroplatinum (IV), potassium hexachloroplatinum (IV), and hydroxide. Platinum (II), platinum dioxide (IV), dichloro-dicyclopentadienyl-platinum (II), platinum-vinylsiloxane complex, platinum-phosphine complex, platinum-olefin complex and platinum alone, alumina, silica and activated carbon What carried solid platinum is mentioned. Examples of the palladium compound include palladium (II) chloride, ammonium tetraammonium palladium (II) chloride, palladium (II) oxide and the like. The platinum group catalyst is used in an amount of preferably 5 to 1000 ppm in terms of platinum group metal based on the total amount of the Si-H group-containing silicone and the polyfunctional alkenyl compound. Can be increased or decreased according to the curing speed or the like. If desired, an activity inhibitor such as various organic nitrogen compounds, organic phosphorus compounds and acetylene compounds may be added for the purpose of suppressing the activity of the platinum group catalyst and extending the pot life.
[0090]
Further, the photocatalyst composition (C) of the present invention contains silica, alumina, zirconium oxide, antimony oxide, rare earth oxide, etc. for the purpose of improving the hardness, scratch resistance, and hydrophilicity of the photocatalyst-containing surface layer formed therefrom. May be added in the form of powder or sol. However, these metal oxide fine particles do not have the ability as a binder like the binder component (B) in the present invention, and lower the flexibility (bending resistance and impact resistance) of the surface layer portion like the photocatalyst. Therefore, it is preferable that the total amount of the photocatalyst (A) and the metal oxide in the photocatalyst-containing surface layer formed from the photocatalyst composition (C) be 50% by mass or less.
[0091]
The photocatalyst composition (C) of the present invention may be in a solvent-free state (liquid or solid) or in a state of being dissolved or dispersed in a solvent, and is not particularly limited. It is preferably in a state of being dissolved or dispersed in a solvent. At this time, the total amount of the photocatalyst (A) and the binder component (B) in the photocatalyst composition (C) is preferably 0.01 to 95% by mass, more preferably 0.1 to 70% by mass. Examples of the solvent used in the photocatalyst composition (C) of the present invention include water, alcohols such as ethylene glycol, butyl cellosolve, isopropanol, n-butanol, ethanol, and methanol; aromatic hydrocarbons such as toluene and xylene; hexane; Aliphatic hydrocarbons such as cyclohexane and heptane; esters such as ethyl acetate and n-butyl acetate; ketones such as acetone, methyl ethyl ketone and methyl isobutyl ketone; ethers such as tetrahydrofuran and dioxane; dimethylacetamide and dimethylformamide Examples include amides, halogen compounds such as chloroform, methylene chloride, and carbon tetrachloride, dimethyl sulfoxide, nitrobenzene, and the like. These solvents are used alone or in combination.
[0092]
In addition, the photocatalyst composition (C) of the present invention usually contains components that are usually added to the paint as necessary, such as pigments, fillers, dispersants, light stabilizers, wetting agents, thickeners, rheology control agents, An antifoaming agent, a plasticizer, a film forming aid, a rust inhibitor, a dye, a preservative, and the like can be selected and combined according to the respective purposes.
In the photocatalyst composition (C) of the present invention, when the self-gradient is very high (that is, relative to the photocatalyst (A) content (concentration) of 100 in the surface layer portion, the relative concentration near the surface in contact with the exposed surface is preferable. Is 150 or more, more preferably 200 or more). In the photocatalyst composition (C), the mass ratio of the photocatalyst (A) to the binder component (B) is preferably (A) / (B) = 0.1 / The surface layer formed even in the range where the content of the photocatalyst (A) is very small, that is, 99.9 to 40/60, more preferably (A) / (B) = 0.1 / 99.9 to 30/70. The portion has sufficient hydrophilicity by light irradiation (superhydrophilicity: contact angle of water at 20 ° C. of 10 ° or less) and excellent photocatalytic activity. Further, since the surface layer portion having a small content of the photocatalyst expresses the original physical properties of the binder component (B), it has excellent strength and flexibility (bending resistance, impact resistance) and the like.
[0093]
The photocatalyst film for agriculture in the present invention includes a surface layer containing a photocatalyst (A) and a binder component (B), and the concentration of the photocatalyst (A) in the surface layer increases from the inside of the resin film toward the surface. It is characterized by. However, the photocatalyst film for agriculture in the present invention can contain a photocatalyst (A) and / or a binder component (B) in a portion other than the surface layer portion within a range that does not impair the effects of the present invention.
The agricultural photocatalyst film according to the present invention may have a form in which the surface layer is formed into a film and the film containing the photocatalyst (A) and the binder component (B) is provided on a resin film as a substrate. By adopting such a configuration, a structure in which the function is shared between the base material and the surface layer portion becomes possible, which is preferable.
[0094]
In addition, a part containing a photocatalyst (A) and / or a binder component (B) in a portion other than the surface layer portion, for example, the substrate portion, can be molded at one time, and can compensate for a defective portion in the surface layer portion. And preferred. Such a form is preferable when, for example, a thin film member is used.
The method for producing an agricultural photocatalyst film in the present invention is not limited to the case where a film is formed from the photocatalyst composition of the present invention on a resin film. The resin film and the photocatalyst composition of the present invention may be simultaneously molded, for example, integrally molded. Further, after molding the photocatalyst composition of the present invention, a resin film may be molded. Further, after the photocatalyst composition of the present invention and the resin film are individually formed, a functional composite may be formed by adhesion, fusion or the like. In the case where the resin film is formed without being in contact with the resin film by the above method, an arbitrary resin film can be used.
[0095]
The molded article or the functional composite of the present invention can be formed into a film, a sheet, a block, a pellet, or a molded article having a more complicated shape, if desired, depending on the method used for resin molding. In molding, other resins can be used in combination as long as the effects of the present invention are not impaired.
The above-mentioned molding and the mixing for the above combined use can be performed by molding the molded article or the functional composite of the present invention or another resin into powder or pellets in advance. A liquid component may be partially contained. Further, a method in which the resin after mixing is formed into a pellet by the following method, and further subjected to the molding is also possible. The pellets may be a so-called master batch in which the molded article or the functional composite of the present invention is contained in another resin at a high concentration.
[0096]
The molding method for the present invention can be an extrusion molding method, an injection molding method, a press molding method, or the like. The calender molding method can also be used by selecting a resin, for example, by using a thermoplastic resin in combination. In addition, the molded article or the functional composite of the present invention and other resin mixtures are impregnated with organic fibers including natural fibers, inorganic fibers such as glass (including woven fabrics thereof), and the like as reinforcing materials. It is also possible to carry out lamination molding.
[0097]
When the surface layer portion of the agricultural photocatalyst film in the present invention is in the form of a film, for example, the above photocatalyst composition (C) is applied to a resin film and dried, and then preferably 20 ° C to 500 ° C, if desired. Preferably, it can be obtained by performing a heat treatment at 40 ° C. to 250 ° C., ultraviolet irradiation, or the like to form a film. Examples of the coating method include a spraying method, a flow coating method, a roll coating method, a brush coating method, a dip coating method, a spin coating method, a casting method, a screen printing method, a gravure printing method, a flexographic printing method, and a sponge coating method. Is mentioned.
At this time, the thickness of the film formed from the photocatalyst composition (C) of the present invention is preferably 0.1 to 200 μm, more preferably 0.5 to 20 μm, and still more preferably 1.5 to 10 μm.
[0098]
In the present invention, after the resin film is spread on a green house or the like, the photocatalyst composition (C) can be applied to the surface of the resin film by, for example, a spraying method.
The agricultural photocatalyst film of the present invention may have a surface layer containing the photocatalyst (A) on one side of the resin film, or have a surface layer containing the photocatalyst (A) on both sides of the resin film. May be.
[0099]
In this specification, the expression “coating” is used, but the coating is not necessarily a continuous film, and may be a discontinuous film, an island-shaped dispersion film, or the like.
Further, a metal such as Ag, Cu, or Zn can be added to the surface of the agricultural photocatalyst film of the present invention. The surface layer to which the metal is added can kill bacteria and fungi attached to the surface even in a dark place.
The agricultural photocatalyst film of the present invention exhibits photocatalytic activity and / or hydrophilicity by irradiating light (excitation light) having an energy higher than the band gap energy of the photocatalyst (A) contained in the surface layer portion, and has excellent protection. Develops stain, drip-proof and fog-proof properties.
[0100]
At this time, the photocatalyst (A) is composed of a triorganosilane unit represented by the above formula (1), a monooxydiorganosilane unit represented by the formula (2), and a dioxyorgano unit represented by the formula (3). In the case of a modified photocatalyst (A1) modified with at least one modifier compound (b) selected from the group consisting of compounds having at least one structural unit selected from the group consisting of silane units, the excitation light At least a part of the organic group (R) bonded to the silicon atom of the modifier compound (b) existing in the vicinity of the photocatalyst (A) particles by irradiation is replaced with a hydroxyl group by the decomposition action of the photocatalyst. As a result, the hydrophilicity of the surface of the surface layer of the present invention is increased, and when the generated hydroxyl groups are dehydrated and condensed to form a siloxane bond, the hardness of the surface layer is extremely increased. Such a state is preferable in the embodiment of the present invention.
[0101]
Similarly, when the above-mentioned silicone is used as the binder component (B), at least a part of the organic group bonded to the silicon atom of the silicone present in the vicinity of the photocatalyst (A) particle by the excitation light irradiation is used. When the hydroxyl group is substituted by the decomposition action, the hydrophilicity of the surface layer portion surface of the present invention is increased, and when the siloxane bond is generated by the progress of the dehydration condensation reaction between the generated hydroxyl groups, the hardness of the surface layer portion is extremely high. Become. Such a state is preferable in the embodiment of the present invention.
[0102]
In the present invention, as a light source of light having an energy higher than the band gap energy of the photocatalyst (A), a light source in an environment such as sunlight, a street lamp, a nightlight, and general lighting can be used. As general lighting, a fluorescent lamp, an incandescent lamp, a metal halide lamp, a black light lamp, a xenon lamp, a mercury lamp, and the like can be suitably used. In order for the substrate surface to be highly hydrophilized by photoexcitation of the photocatalyst, the illuminance of the excitation light is 0.001 mW / cm.2Or more, but 0.01 mW / cm2More preferably, it is 0.1 mW / cm2It is more preferable if it is above.
[0103]
That is, the present invention exhibits strong photocatalytic activity and / or hydrophilicity (water contact angle is preferably 20 ° or less, more preferably 10 ° or less) without deterioration of the resin film due to light in a living environment. It is possible to provide an agricultural photocatalyst film having a surface layer portion that can maintain the aesthetic appearance of the resin film for a long time by rainfall or simple water washing without requiring complicated steps.
[0104]
【Example】
The present invention will be specifically described with reference to the following examples, reference examples, and comparative examples, but these do not limit the scope of the present invention.
In Examples, Reference Examples and Comparative Examples, various physical properties were measured by the following methods. 1. Particle size distribution and number average particle size
The sample was appropriately diluted by adding a solvent so that the photocatalyst content in the sample was 1 to 20% by mass, and measured using a wet particle size analyzer (Nikkiso Microtrac UPA-9230).
[0105]
2. Weight average molecular weight
It was determined by gel permeation chromatography (GPC) using a calibration curve prepared using a polystyrene standard.
The GPC conditions are as follows.
-Equipment: Tosoh HLC-8020 @ LC-3A type chromatograph
・ Column: TSKgel @ G1000HXL, TSKgel @ G2000HXLAnd TSKgel @ G4000HXL(All manufactured by Tosoh Corporation) were used in series.
・ Data processor: Shimadzu CR-4A type data processor
・ Mobile phase:
Tetrahydrofuran (used for analysis of phenyl group-containing silicone)
Chloroform (used for analysis of silicone containing no phenyl group)
-Flow rate: 1.0 ml / min.
・ Sample preparation method
The solution was diluted with the solvent used for the mobile phase (the concentration was appropriately adjusted in the range of 0.5 to 2% by mass), and then subjected to analysis.
[0106]
3. Infrared absorption spectrum
It measured using the JASCO FT / IR-5300 type infrared spectrometer.
4.29Measurement of Si nuclear magnetic resonance
It measured using JEOL JNM-LA400.
5. Film hardness
According to JIS-K5400, it was determined as pencil hardness (scratch of the film).
6. Film hardness after UV irradiation
After irradiating the surface of the film with light of FL20S @ BLB type black light manufactured by Toshiba Lighting & Technology Corp. for 7 days, it was measured by the above method (5).
At this time, the UV intensity measured using a UVR-2 type UV intensity meter manufactured by Topcon of Japan (using a UD-36 type light receiving unit manufactured by Topcon of Japan (corresponding to light having a wavelength of 310 to 400 nm) as a light receiving unit). Is 1mW / cm2It was adjusted to become.
7. Water contact angle with film surface
Drops of deionized water were placed on the surface of the coating, left at 20 ° C. for 1 minute, and measured using a CA-X150 contact angle meter manufactured by Kyowa Interface Science.
The smaller the contact angle of water with the film, the higher the hydrophilicity of the film surface.
[0107]
8. Change in hydrophilicity (hydrophobicity) of the film surface before and after UV irradiation
After the surface of the film was irradiated with ultraviolet rays for 7 days by the above method 6, the contact angle of water was measured by the above method 7.
9. Photocatalytic activity of the coating
After applying a 5% by mass ethanol solution of methylene blue to the surface of the film, the film was irradiated with ultraviolet rays for 5 days by the above method 6.
Then, based on the degree of decomposition of methylene blue by the action of the photocatalyst (evaluated visually based on the degree of fading of the film surface), the activity of the photocatalyst was evaluated in the following three stages.
A: Methylene blue was completely decomposed.
Δ: Methylene blue blue slightly remained.
X: Decomposition of methylene blue was hardly observed.
10. Weather resistance of film (gloss retention)
An exposure test (irradiation: 60 ° C. for 4 hours, dark / wet: 40 ° C. for 4 hours) was performed using a DPWL-5R type due panel light control weather meter manufactured by Suga Test Instruments. The 60 ° -60 ° specular reflectance after 1000 hours of exposure was measured as the final gloss value, divided by the initial gloss value, and this value was calculated as the gloss retention.
[0108]
11. Evaluation of graded structure of photocatalyst
After embedding the sample in an epoxy resin (Quetol 812), an ultrathin section having a thickness of 50 to 60 nm was prepared using an ULTRACUT-N type microtome manufactured by Reichert, Germany, and mounted on a mesh with a support film. Subsequently, after performing RuO4 vapor staining for about 5 minutes, carbon vapor deposition was performed to obtain a sample for a microscope, and the cross section of the coating film was observed with a TEM.
The conditions for TEM observation are as follows.
・ Equipment: Hitachi HF2000
・ Acceleration voltage: 125 kV
The location of the photocatalytic titanium oxide was analyzed by EDX analysis of the Ti element.
Further, the observation of the film formed on the aluminum plate having the acrylic urethane base coat layer is performed by roughly cutting the sample with a DAD321 type dicing saw manufactured by DISCO Engineering Service, performing FIB (Focused Ion Beam) processing, and using a TEM. The cross section of the coating was observed.
FIB processing conditions are as follows.
Equipment used: Hitachi FB2000
Processing conditions: acceleration voltage (30 kV)
Ion source: Ga
The conditions for TEM observation are as follows.
・ Equipment: Hitachi HF2000
・ Acceleration voltage: 200 kV
[0109]
12. Impact resistance
According to JIS-K5400, it was evaluated by the Dupont method (500 g × 50 cm).
13. Anti-fog properties
The presence or absence of fogging after the sample was breathed was visually evaluated in the following two stages.
○: No fogging (with anti-fogging property)
×: cloudy (no antifogging property)
[0110]
14. Drip-proof life
100 ml of water was put into a 200 ml beaker, the sample was covered so that the coating layer was on the inside, and the sample was fixed with a rubber band.
The beaker covered with the sample was placed in a high-temperature water bath (70 ° C.), and after heating for 20 days, the state of water droplets adhering to the sample was observed and evaluated visually with the following three grades.
:: no fogging due to water droplets
Δ: Water droplets are locally attached
×: Water droplets adhered to the whole
[0111]
15. Lightfastness
After irradiating the sample with light of FL20S @ BLB type black light manufactured by Toshiba Lighting & Technology Corp. for 30 days, the light resistance was evaluated on the following three scales based on the appearance of the sample (evaluated visually).
At this time, the UV intensity measured using a UVR-2 type UV intensity meter manufactured by Topcon of Japan (using a UD-36 type light receiving unit manufactured by Topcon of Japan (corresponding to light having a wavelength of 310 to 400 nm) as a light receiving unit). Is 1mW / cm2It was adjusted to become.
○: No change in appearance
Δ: slight cloudiness
×: Whitening
16. Stain resistance
The sample was affixed to the outside of the window glass of the building, and stains on the outer surface of the window glass after three months were visually evaluated in the following three stages.
:: No stain is observed at all
Δ: Stain equivalent to a window glass with no sample attached
×: The sample deteriorated and its appearance was worse than that of the window glass on which the sample was not attached.
[0112]
[Reference Example 1]
Synthesis of phenyl group-containing silicone (BP1-1).
After 26.0 g of phenyltrichlorosilane was added to 78 g of dioxane in a reactor having a reflux condenser, a thermometer and a stirrer, the mixture was stirred at room temperature for about 10 minutes. A mixed solution consisting of 3.2 g of water and 12.9 g of dioxane was added dropwise thereto over about 30 minutes while maintaining the reaction solution at 10 to 15 ° C., followed by stirring at 10 to 15 ° C. for about 30 minutes. The reaction solution was heated to 60 ° C. and stirred for 3 hours. The temperature of the obtained reaction solution was lowered to 25 to 30 ° C., and 392 g of toluene was added dropwise over about 30 minutes. Then, the reaction solution was again heated to 60 ° C. and stirred for 2 hours.
The temperature of the obtained reaction solution was lowered to 10 to 15 ° C., and 19.2 g of methanol was added over about 30 minutes. Thereafter, stirring was further continued at 25 to 30 ° C. for about 2 hours, and then the reaction solution was heated to 60 ° C. and stirred for 2 hours. The phenyl group-containing silicone (BP1-1) having a ladder skeleton having a weight average molecular weight of 3600 was obtained by distilling off the solvent from the obtained reaction solution at 60 ° C. under reduced pressure. (The obtained phenyl group-containing silicone (BP1-1) has an absorption (1130 cm) derived from the stretching vibration of the ladder skeleton in the IR spectrum.-1And 1037cm-1) Was observed. )
Also,29The formula of the phenyl group-containing silicone (BP1-1) obtained from the measurement results of Si nuclear magnetic resonance is (Ph)1(OCH3)0.58SiO1.21Met. (Here, Ph represents a phenyl group.)
[0113]
[Reference Example 2]
Synthesis of alkyl group-containing silicone (BA-1).
136 g (1 mol) of methyltrimethoxysilane and 120 g (1 mol) of dimethyldimethoxysilane were added to 300 g of methanol in a reactor having a reflux condenser, a thermometer and a stirrer, and then stirred at room temperature for about 10 minutes. did. Under ice-cooling, a mixture of 12.6 g (0.7 mol) of a 0.05 N hydrochloric acid aqueous solution and 63 g of methanol was added dropwise over about 40 minutes to carry out hydrolysis. After completion of the dropwise addition, the mixture was further stirred at a temperature of 10 ° C. or lower for about 20 minutes and at room temperature for 6 hours.
Thereafter, the solvent was distilled off from the obtained reaction solution at 60 ° C. under reduced pressure to obtain an alkyl group-containing silicone (BA-1) having a weight average molecular weight of 3,600. The structure of the obtained alkyl group-containing silicone (BA-1)29When measured by Si nuclear magnetic resonance, a signal indicating a T structure and a D structure was confirmed, and the ratio was T structure: D structure = 1: 1.
Also,29The average composition formula of the alkyl group-containing silicone (BA-1) obtained from the measurement result of Si nuclear magnetic resonance is (CH3)1.5(OCH3)0.27SiO1.12Met.
[0114]
[Reference Example 3]
Preparation of silicone composition (B-1).
A mixture of 6 g of the phenyl group-containing silicone (BP1-1) synthesized in Reference Example 1 and 3 g of the alkyl group-containing silicone (BA-1) synthesized in Reference Example 2 was mixed with 14.7 g of toluene, 29.8 g of isopropanol, and butyl cellosolve. 15.1 g was added and stirred at room temperature to obtain a solution of the binder component (B-1).
From the average composition formula of each composition, the average composition formula of the binder component (B-1) is (Ph)0.67(CH3)0.5(OCH3)0.47SiO1.18Can be calculated. (Here, Ph represents a phenyl group.)
[0115]
[Reference Example 4]
Trade name of TKS-251 titanium oxide organosol (manufactured by Teica) in a reactor having a reflux condenser, a thermometer and a stirrer, dispersion medium: mixed solvent of toluene and isopropanol, TiO2To a solution having a concentration of 20% by mass and an average crystallite diameter of 6 nm (catalog value) of about 40 g, 40 g of a 20% by mass solution of bis (trimethylsiloxy) methylsilane in toluene was added at 50 ° C. over about 5 minutes, and further stirred at 50 ° C. for 12 hours. By repeating the above, a modified photocatalyst organosol (A-1) having very good dispersibility was obtained. At this time, the amount of hydrogen gas generated by the reaction of bis (trimethylsiloxy) methylsilane was 718 ml at 23 ° C. When the obtained modified titanium oxide organosol was coated on a KBr plate and the IR spectrum was measured, the absorption of Ti-OH group (3630-3640 cm) was measured.-1) Disappearance was observed.
[0116]
1 and 2 show the particle size distribution of TKS-251 before the modification treatment and the obtained modified photocatalyst organosol (A-1), respectively. The particle size distribution of the resulting modified photocatalyst organosol (A-1) is monodisperse (number-average particle size is 25 nm), and TKS-251 before modification (number-average particle size is 12 nm). It can be seen that the particle size distribution has completely disappeared.
Subsequently, 20 g of the modified photocatalyst organosol (A-1) was added to 68 g of the silicone component (B-1) solution prepared in Reference Example 3 with stirring at room temperature, and the curing catalyst (dibutyltin dilaurate) was added. 0.5 g was added with stirring to obtain a photocatalyst composition (C-1).
[0117]
Spray-coated aluminum plate (JIS, H, 4000 (A1050P)) having a thickness of 1 mm cut into 50 mm x 60 mm with Mighty Lac white (brand name of acrylic urethane resin paint (two-liquid mixed type) (Nippon Paint)). And dried at room temperature for 3 days. The above-mentioned photocatalyst composition (C-1) is spray-coated to a thickness of 2 μm on the obtained acrylic urethane-coated aluminum plate, dried at room temperature for 1 hour, and heated at 150 ° C. for 30 minutes. As a result, a test plate (D-1) having a photocatalytic film was obtained.
[0118]
The test plate (D-1) having the obtained photocatalyst film was subjected to FIB processing, and the result of observing the film cross section by TEM is shown in the photograph of FIG. FIG. 3B is an illustration of the photograph in FIG. A photocatalytic film (indicated by reference numeral 2 in FIG. 3 (b)) containing modified photocatalyst particles (indicated by reference numeral 1 in FIG. 3 (b)) and a pigment, titanium oxide (FIG. 3 (b)) ), The modified photocatalyst particles are not present at the interface with the acrylic urethane film (indicated by reference numeral 3 in FIG. 3 (b)) containing the modified photocatalyst particles. Observed to be covered.
[0119]
The pencil hardness of the test plate (D-1) having the obtained photocatalytic film was H, and the contact angle with water was 105 °. Also, the impact resistance test passed.
Further, the pencil hardness of the test plate (D-1) having the obtained photocatalytic film after irradiation with ultraviolet light (black light) was 5H or more, and the contact angle of water was 0 °. Furthermore, the result of the evaluation of the photocatalytic activity was also very good (◎).
Furthermore, the gloss retention by an exposure test (after 1000 hours) using a Dupanel light control weather meter was 98%, indicating very good weather resistance.
[0120]
Subsequently, the photocatalyst composition (C-1) is spray-coated on an epoxy resin (Quetol 812), dried at room temperature for 2 days, and then heated at 50 ° C. for 3 days to form an epoxy having a smooth photocatalytic film. Resin (D-2) was obtained.
After embedding the obtained epoxy resin (D-2) having a photocatalytic film in an epoxy resin (Quetol 812), an ultrathin section having a thickness of 50 to 60 nm was prepared by a microtome, and RuO was used.4After dyeing the phenyl group-containing silicone (BP1-1) with, the result of observing the cross section of the film by TEM is shown in the photograph of FIG. FIG. 4B is an illustration of the photograph in FIG.
[0121]
A photocatalytic film (indicated by reference numeral 2 in FIG. 4 (b)) containing the modified photocatalyst particles (indicated by reference numeral 1 in FIG. 4 (b)) and an epoxy resin as a substrate (in FIG. 4 (b)) (Indicated by reference numeral 5), almost no modified photocatalyst particles were present, and it was observed that the entire surface of the photocatalytic film was covered with the modified photocatalyst particles.
Further, the portion indicated by reference numeral 5 (b) in FIG. 4 (b) is a boundary portion between the modified photocatalyst particle phase 1 and the binder phase 7 not containing the modified photocatalyst particles, and FIG. (A). FIG. 5B is an illustration of the photograph in FIG.
[0122]
FIG. 5 (a) shows a binder phase containing modified photocatalyst particles (indicated by reference numeral 1 in FIG. 5 (b)) and a binder phase not containing modified photocatalyst particles (reference numeral 7 in FIG. 5 (b)). Can be observed. In the binder phase containing no modified photocatalyst particles (indicated by reference numeral 7 in FIG. 5B), RuO4It can be observed that the phenyl group-containing silicone and the undyed alkyl group-containing silicone which are dyed in the above have a microphase-separated structure.
[0123]
[Reference Example 5]
A photocatalyst composition (C-2) was obtained in the same manner as in Example 1, except that 20 g of the modified photocatalyst organosol (A-1) was used instead of 10 g of TKS-251 which had not been modified.
Using the obtained photocatalyst composition (C-2), the same operation as in Reference Example 4 was performed to obtain a test plate (D-3) having a photocatalyst film (the content of titanium oxide was the same as in Reference Example 4). .
[0124]
The pencil hardness of the test plate (D-3) having the obtained photocatalytic film was H, and the contact angle with water was 97 °.
Moreover, the pencil hardness of the test plate (D-3) having the obtained photocatalyst film after irradiation with ultraviolet light (black light) was 3H, and the contact angle of water was 94 °. Furthermore, the evaluation of the photocatalytic activity was a poor result (x).
Furthermore, in a 200-hour exposure test using a Dupanel light control weather meter, the gloss retention was 10% or less, and a chalking phenomenon was observed.
[0125]
Subsequently, the photocatalyst composition (C-2) is spray-coated on an epoxy resin (Quetol 812), dried at room temperature for 2 days, and subsequently heated at 50 ° C. for 3 days to have a smooth photocatalyst film. An epoxy resin (D-4) was obtained.
After embedding the obtained epoxy resin (D-4) having a photocatalyst film in epoxy resin (Quetol 812), an ultrathin section having a thickness of 50 to 60 nm was prepared by a microtome, and RuO was prepared.4After dyeing the phenyl group-containing silicone (BP1-1) with, the result of observing the cross section of the film by TEM is shown in the photograph of FIG. FIG. 6B is an illustration of the photograph shown in FIG.
[0126]
A photocatalytic film (indicated by reference numeral 2 in FIG. 6 (b)) containing the modified photocatalyst particles (indicated by reference numeral 1 in FIG. 6 (b)) and an epoxy resin as a base material (in FIG. 6 (b)) And the exposed surface of the photocatalytic film is an alkyl group-containing silicone without any modified photocatalyst particles (indicated by reference numeral 8 in FIG. 6 (b)). It was observed that no photocatalytic activity could be expected.
[0127]
[Example 1]
The photocatalyst composition (C-1) prepared in Reference Example 4 was applied to an A4 size polyethylene terephthalate film having a thickness of 50 μm by a spray coating method so as to have a thickness of about 3 μm. After drying for minutes, an agricultural photocatalytic film sample (E-1) was prepared.
The contact angle of water of this sample (E-1) after irradiation with ultraviolet light (black light) was 0 °, showing good anti-fogging property (○) and good drip-proof life (○). Further, the light resistance was good (良好).
The stain resistance of this sample (E-1) was very good (良好).
[0128]
[Comparative Example 1]
A photocatalytic film sample for agriculture was carried out in the same manner as in Example 1 except that the photocatalyst composition (C-2) prepared in Reference Example 5 was used instead of the photocatalyst composition (C-1) prepared in Reference Example 4. (E-2) was obtained.
The contact angle of water of this sample (E-2) after irradiation with ultraviolet light (black light) was 96 °, there was no antifogging property, and the drip-proof life was very poor (x). Also, the light resistance was poor (悪 い).
Further, the stain resistance of this sample (E-2) was poor (△).
[0129]
[Comparative Example 2]
A commercially available photocatalyst coating solution ST-K03 (manufactured by Ishihara Sangyo Co., Ltd.) was applied to an A4 size 50 μm thick polyethylene terephthalate film by a spray coating method so as to have a thickness of about 0.3 μm. Then, it dried at 120 degreeC for 30 minutes, and produced the photocatalyst film sample for agricultural use (E-3).
The contact angle of water on this sample (E-3) after irradiation with ultraviolet light (black light) was 0 °, indicating good anti-fogging property (○). However, the drip-proof life was poor (△), and the light resistance was very poor (×).
Further, the stain resistance of this sample (E-3) was very poor (x), and peeling of the photocatalyst surface layer and deterioration of the underlying polyethylene terephthalate film were observed.
[0130]
【The invention's effect】
The present invention is an agricultural photocatalytic film that exhibits excellent antifouling properties, drip-proof properties, and anti-fog properties for a long period of time without deteriorating the resin film itself due to light in a living environment, through a complicated process. Can be provided without need.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing the results of measuring the particle size distribution of TKS-251 (a commercially available titanium oxide organosol) before a denaturation treatment using a wet particle size analyzer.
FIG. 2 shows the results of measuring the particle size distribution of a modified photocatalyst organosol (A-1) obtained by modifying the TKS-251 in Reference Example 4 using a wet particle size analyzer. FIG.
FIG. 3A is a TEM photograph of a cross section of a test plate (D-1) having a photocatalyst-containing film obtained in Reference Example 4. FIG. 3B is an illustration of FIG. 3A.
FIG. 4A is a TEM photograph of a cross section of an epoxy resin (D-2) having a photocatalyst-containing film obtained in Reference Example 4. FIG. 4B is an illustration of FIG. 4A.
FIG. 5 (a) is an enlarged photograph of a part of the TEM photograph of FIG. 4 (a). FIG. 5B is an illustration of FIG. 5A.
FIG. 6A is a TEM photograph of a cross section of an epoxy resin (D-3) having a photocatalyst-containing film obtained in Reference Example 5. FIG. 6B is an illustration of FIG. 6A.
[Explanation of symbols]
1 modified photocatalyst particles
2) Photocatalyst containing film
3 Acrylic urethane film
4. Pigment titanium oxide
5 epoxy resin
5 (b) FIG. 5 (b) is an enlarged view of the boundary between the modified photocatalyst particle phase 1 and the binder phase 7 containing no modified photocatalyst particles.
6 Epoxy resin for embedding
7 Binder phase without modified photocatalyst particles
8-alkyl group-containing silicone

Claims (18)

光触媒(A)及びバインダー成分(B)を含む表層部を備えた樹脂フィルムからなる農業用光触媒フィルムであって、該表層部中における光触媒(A)の濃度が樹脂フィルムの内部側から表面に向かって高くなることを特徴とする農業用光触媒フィルム。An agricultural photocatalyst film comprising a resin film provided with a surface layer containing a photocatalyst (A) and a binder component (B), wherein the concentration of the photocatalyst (A) in the surface layer is from the inside to the surface of the resin film. A photocatalytic film for agriculture characterized by being higher. 該表層部が皮膜状であり、該皮膜中における光触媒(A)の濃度が樹脂フィルムに接する面から他方の露出面に向かって高くなることを特徴とする請求項1記載の農業用光触媒フィルム。The agricultural photocatalyst film according to claim 1, wherein the surface layer is in the form of a film, and the concentration of the photocatalyst (A) in the film increases from the surface in contact with the resin film toward the other exposed surface. 該表層部が、光触媒(A)及びバインダー成分(B)を含む光触媒組成物(C)から形成されることを特徴とする請求項1または2記載の農業用光触媒フィルム。The agricultural photocatalyst film according to claim 1 or 2, wherein the surface layer portion is formed from a photocatalyst composition (C) containing a photocatalyst (A) and a binder component (B). 該光触媒(A)が、式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及びフッ化メチレン(―CF−)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)で変性処理された変性光触媒(A1)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の農業用光触媒フィルム。
Si−         (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す)
−(RSiO)−       (2)
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
Figure 2004105087
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
The photocatalyst (A) comprises a triorganosilane unit represented by the formula (1), a monooxydiorganosilane unit represented by the formula (2), a dioxyorganosilane unit represented by the formula (3), and A modified photocatalyst modified with at least one modifier compound (b) selected from the group consisting of compounds having at least one structural unit selected from the group consisting of methylene fluoride (—CF 2 —) units ( The photocatalyst film for agricultural use according to any one of claims 1 to 3, wherein A1).
R 3 Si- (1)
(Wherein, R is each independently a straight-chain or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, a straight-chain or branched A fluoroalkyl group, a linear or branched alkenyl group having 2 to 30 carbon atoms, a phenyl group, an alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, or a hydroxyl group)
— (R 2 SiO) — (2)
(In the formula, R is as defined in the formula (1).)
Figure 2004105087
(In the formula, R is as defined in the formula (1).)
該バインダー成分(B)が、下記式(4)で表されるフェニル基含有シリコーン(BP)を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の農業用光触媒フィルム。
SiO(4−p−q−r)/2     (4)
(式中、各Rはフェニル基を表し、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。そしてp、q及びrは、0<p<4、0≦q<4、0≦r<4、及び0<(p+q+r)<4であり、そして0.05≦p/(p+q)≦1である。)
The agricultural photocatalyst film according to any one of claims 1 to 4, wherein the binder component (B) contains a phenyl group-containing silicone (BP) represented by the following formula (4).
R 1 p R 2 q X r SiO (4-p-q-r) / 2 (4)
(Wherein each R 1 represents a phenyl group, and each R 2 is independently a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, or a linear or branched X represents a hydrogen atom, a hydroxyl group, an alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, an acyloxy group having 1 to 20 carbon atoms, an aminoxy group, a carbon atom having 1 to 30 carbon atoms, each independently representing a branched alkenyl group having 2 to 30 carbon atoms. Represents an oxime group of 2020, a halogen atom, and p, q and r are 0 <p <4, 0 ≦ q <4, 0 ≦ r <4, and 0 <(p + q + r) <4; .05 ≦ p / (p + q) ≦ 1.)
該フェニル基含有シリコーン(BP)が、下記式(5)で表される、アルキル基を含有しないフェニル基含有シリコーン(BP1)であることを特徴とする請求項5に記載の農業用光触媒フィルム。
SiO(4−s−t)/2     (5)
(式中、Rはフェニル基を表し、Xは各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。s及びtは、0<s<4、0≦t<4、そして0<(s+t)<4である。)
The agricultural photocatalyst film according to claim 5, wherein the phenyl group-containing silicone (BP) is a phenyl group-containing silicone (BP1) having no alkyl group and represented by the following formula (5).
R 1 s Xt SiO (4- st ) / 2 (5)
(Wherein, R 1 represents a phenyl group, X is each independently a hydrogen atom, a hydroxyl group, an alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, an acyloxy group having 1 to 20 carbon atoms, an aminoxy group, an oxime having 1 to 20 carbon atoms. And s and t are 0 <s <4, 0 ≦ t <4, and 0 <(s + t) <4.)
該バインダー成分(B)が、下記式(6)で表されるアルキル基含有シリコーン(BA)を更に含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の農業用光触媒フィルム。
SiO(4−u−v)/2       (6)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。そしてu及びvは、0<u<4、0≦v<4、そして0<(u+v)<4である。)
The agricultural photocatalyst film according to any one of claims 1 to 4, wherein the binder component (B) further contains an alkyl group-containing silicone (BA) represented by the following formula (6).
R 2 u X v SiO (4 -u-v) / 2 (6)
(Wherein R 2 is independently a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, or a linear or branched 2 to 30 carbon atoms. X independently represents a hydrogen atom, a hydroxyl group, an alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, an acyloxy group having 1 to 20 carbon atoms, an aminoxy group, an oxime group having 1 to 20 carbon atoms, or a halogen atom. And u and v are 0 <u <4, 0 ≦ v <4, and 0 <(u + v) <4.)
該バインダー成分(B)が、式(5)で表される、アルキル基を含有しないフェニル基含有シリコーン(BP1)と式(6)で表されるアルキル基含有シリコーン(BA)を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の農業用光触媒フィルム。
SiO(4−s−t)/2     (5)
(式中、Rはフェニル基を表し、Xは各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。s及びtは、0<s<4、0≦t<4、そして0<(s+t)<4である。)
SiO(4−u−v)/2       (6)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。u及びvは、0<u<4、0≦v<4、そして0<(u+v)<4である。)
The binder component (B) contains a phenyl group-containing silicone (BP1) not containing an alkyl group represented by the formula (5) and an alkyl group-containing silicone (BA) represented by the formula (6). The agricultural photocatalyst film according to any one of claims 1 to 4, which is characterized in that:
R 1 s Xt SiO (4- st ) / 2 (5)
(Wherein, R 1 represents a phenyl group, X is each independently a hydrogen atom, a hydroxyl group, an alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, an acyloxy group having 1 to 20 carbon atoms, an aminoxy group, an oxime having 1 to 20 carbon atoms. And s and t are 0 <s <4, 0 ≦ t <4, and 0 <(s + t) <4.)
R 2 u X v SiO (4 -u-v) / 2 (6)
(Wherein R 2 is independently a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, or a linear or branched 2 to 30 carbon atoms. X independently represents a hydrogen atom, a hydroxyl group, an alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, an acyloxy group having 1 to 20 carbon atoms, an aminoxy group, an oxime group having 1 to 20 carbon atoms, or a halogen atom. U and v are 0 <u <4, 0 ≦ v <4, and 0 <(u + v) <4.)
該アルキル基含有シリコーン(BA)が、式(7)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位(D)と式(8)で表されるジオキシオルガノシラン単位(T)を有することを特徴とする請求項7または8記載の農業用光触媒フィルム。
−(R SiO)−       (7)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。)
Figure 2004105087
(式中、Rは式(7)で定義した通りである。)
The alkyl group-containing silicone (BA) has a monooxydiorganosilane unit (D) represented by the formula (7) and a dioxyorganosilane unit (T) represented by the formula (8). The agricultural photocatalyst film according to claim 7 or 8, wherein
- (R 2 2 SiO) - (7)
(Wherein R 2 is independently a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, or a linear or branched 2 to 30 carbon atoms. Represents an alkenyl group of
Figure 2004105087
(In the formula, R 2 is as defined in the formula (7).)
該フェニル基含有シリコーン(BP)と該アルキル基含有シリコーン(BA)について相分離構造を有する表層部であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の農業用光触媒フィルム。The agricultural photocatalyst film according to any one of claims 7 to 9, wherein the phenyl group-containing silicone (BP) and the alkyl group-containing silicone (BA) are surface layers having a phase-separated structure. 該光触媒(A)が該アルキル基含有シリコーン(BA)相に存在することを特徴とする請求項10に記載の農業用光触媒フィルム。The agricultural photocatalyst film according to claim 10, wherein the photocatalyst (A) is present in the alkyl group-containing silicone (BA) phase. 該光触媒(A)の数平均粒子径が400nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の農業用光触媒フィルム。The agricultural photocatalyst film according to claim 3, wherein the photocatalyst (A) has a number average particle diameter of 400 nm or less. 該変性剤化合物(b)が、式(9)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)であることを特徴とする請求項4に記載の農業用光触媒フィルム。
SiO(4−x−y)/2 (9)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。x及びyは、0<x<4、0<y<4であり、そして(x+y)≦4である。)
The agricultural photocatalyst film according to claim 4, wherein the modifier compound (b) is a Si-H group-containing silicon compound (b1) represented by the formula (9).
H x R y SiO (4- x-y) / 2 (9)
(Wherein, R is each independently a straight-chain or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, a straight-chain or branched Represents a fluoroalkyl group, a linear or branched alkenyl group having 2 to 30 carbon atoms, a phenyl group, an alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, or a hydroxyl group, wherein x and y are 0 <x <4,0. <Y <4, and (x + y) ≦ 4.)
該Si−H基含有ケイ素化合物(b1)が、式(10)で表されるモノSi−H基含有化合物、式(11)で表される両末端Si−H基含有化合物、式(12)で表されるHシリコーンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項13に記載の農業用光触媒フィルム。
Figure 2004105087
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、フェニル基、又は式(13)で表されるシロキシ基を表す。
−O−(R SiO)−SiR  ・・・(13)
(式中、Rはそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、又はフェニル基を表す。また、mは整数であり、0≦m≦1000である。))
H−(R SiO)−SiR −H ・・・(11)
(式中、Rは式(10)で定義した通りである。nは整数であり、0≦n≦1000である。)
(RHSiO)(R SiO)(R SiO1/2 ・・・(12)
(式中、Rは式(10)で定義した通りである。aは1以上の整数であり、bは0以上の整数であり、(a+b)≦10000であり、そしてcは0又は2である。但し、(a+b)が2以上の整数であり且つc=0の場合、式(12)の該Hシリコーンは環状シリコーンであり、c=2の場合、式(12)の該Hシリコーンは鎖状シリコーンである。)
The Si-H group-containing silicon compound (b1) is a mono-Si-H group-containing compound represented by the formula (10), a compound having both ends Si-H groups represented by the formula (11), a formula (12) The agricultural photocatalyst film according to claim 13, which is at least one compound selected from the group consisting of H silicone represented by the formula:
Figure 2004105087
(Wherein, R 3 is each independently a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a linear or branched alkenyl group having 2 to 30 carbon atoms, and 5 to 20 carbon atoms. , A linear or branched fluoroalkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a phenyl group, or a siloxy group represented by the formula (13).
-O- (R 4 2 SiO) m -SiR 4 3 ··· (13)
(Wherein, R 4 is independently a linear or branched alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 20 carbon atoms, a linear or branched carbon group having 1 to 30 carbon atoms) Represents a 30 fluoroalkyl group, a linear or branched alkenyl group having 2 to 30 carbon atoms, or a phenyl group, and m is an integer and 0 ≦ m ≦ 1000.))
H- (R 3 2 SiO) n -SiR 3 2 -H ··· (11)
(In the formula, R 3 is as defined in the formula (10). N is an integer and 0 ≦ n ≦ 1000.)
(R 3 HSiO) a (R 3 2 SiO) b (R 3 3 SiO 1/2) c ··· (12)
(Wherein R 3 is as defined in formula (10). A is an integer of 1 or more, b is an integer of 0 or more, (a + b) ≦ 10000, and c is 0 or 2 However, when (a + b) is an integer of 2 or more and c = 0, the H silicone of the formula (12) is a cyclic silicone, and when c = 2, the H silicone of the formula (12) Is a chain silicone.)
該表層部中のバインダー成分(B)が、相分離構造を形成していることを特徴とする請求項1または2に記載の農業用光触媒フィルム。The agricultural photocatalyst film according to claim 1 or 2, wherein the binder component (B) in the surface layer portion forms a phase separation structure. 該表層部に含まれる光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより光触媒活性及び/又は親水性を示すことを特徴とする請求項1または2に記載の農業用光触媒フィルム。The agricultural photocatalyst according to claim 1 or 2, wherein the photocatalyst (A) contained in the surface layer exhibits photocatalytic activity and / or hydrophilicity when irradiated with light having an energy higher than the band gap energy of the photocatalyst (A). the film. 該表層部に含まれる光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより、該光触媒(A)粒子の近傍に存在する珪素原子に結合した有機基の少なくとも一部が水酸基及び/又はシロキサン結合に置換されてなることを特徴とする請求項4、5、7、8のいずれか一項に記載の農業用光触媒フィルム。By irradiating light having an energy higher than the band gap energy of the photocatalyst (A) contained in the surface layer portion, at least a part of the organic groups bonded to silicon atoms present in the vicinity of the photocatalyst (A) particles become hydroxyl groups. The agricultural photocatalyst film according to any one of claims 4, 5, 7, and 8, which is substituted with a siloxane bond. 光触媒(A)とバインダー成分(B)を含む光触媒組成物(C)であって、請求項1に記載の表層部を形成することを特徴とする農業フィルム用光触媒被覆組成物。It is a photocatalyst composition (C) containing a photocatalyst (A) and a binder component (B), The photocatalyst coating composition for agricultural films characterized by forming the surface layer part of Claim 1.
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016138446A1 (en) * 2015-02-27 2016-09-01 Nano Photo Sciences, LLC A composition containing an organosilane and a photocatalyst, and methods of treating flowering plants infected with a bacterial disease using the composition

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