JP2004185826A - 電極用スラリー組成物、電極および二次電池 - Google Patents
電極用スラリー組成物、電極および二次電池 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル由来の単量体単位含有量が90〜99モル%であり、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する単量体由来の単量体単位含有量が1〜10モル%であるポリマーXと、電極活物質と、ポリマーXを溶解する液状媒体とを含有する電極用スラリー組成物。このスラリー組成物を用いて製造した電極は結着性が高く、該電極を用いて製造した二次電池は、高い電池容量と良好な充放電サイクル特性およびレート特性を有する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電極用スラリー組成物、それを用いて製造される電極および該電極を有する二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ノート型パソコンや携帯電話、PDAなどの携帯端末の普及が著しい。
そしてこれらの電源には、リチウムイオン二次電池が多用されている。最近では、携帯端末の使用時間の延長や充電時間の短縮などの要望が高まり、これに伴い電池の高性能化、特に高容量化と充電速度(レート特性)の向上が強く求められている。
【0003】
リチウムイオン二次電池は、正極と負極とをセパレーターを介して配置し、電解液とともに容器内に収納した構造を有する。電極(正極および負極)は、電極活物質(以下、単に活物質ということがある)と、必要に応じて導電付与剤などとを電極用バインダーポリマー(以下、単にバインダーということがある)によりアルミニウムや銅などの集電体に結着させたものである。電極は、通常、バインダーを液状媒体に溶解または分散させ、これに活物質などを混合して得られる電極用スラリー組成物を集電体に塗布して、該液状媒体を乾燥などにより除去して、電極層として結着させて形成される。
【0004】
電池容量は、活物質の充填量に強く影響される。一方、レート特性は電子の移動の容易さに影響され、レート特性の向上にはカーボンなどの導電付与剤の増量が効果的である。電池という限られた空間内で活物質と導電付与剤を増量するには、バインダー量を低減する必要がある。しかしながら、バインダー量を少なくすると活物質の結着性が損なわれるという問題があった。そのため、使用量が少なくても電極活物質を強く結着できるバインダーが求められている。
【0005】
従来、リチウムイオン二次電池の正極用バインダーとしてはポリフッ化ビニリデンなどのフッ素含有ポリマーが汎用されているが、結着力や柔軟性が不足しているので電池の高容量化やレート特性の向上は困難であった。
【0006】
上記のフッ素含有ポリマーの欠点を改善する方法として、ゴム系高分子バインダーを用いることが提案された(特許文献1参照)。しかし、ゴム系高分子を用いて電極を作成すると結着力や柔軟性は改善し得るものの、電池のサイクル特性が劣り、繰り返し充放電により電池容量が低下したり、レート特性が悪化するという問題があった。これは、バインダーが電解液により膨潤するため、結着性が次第に低下して集電体から活物質が剥離したり、バインダーが集電体を覆って電子の移動を妨げたりするためと考えられる。
このように、これまで、電池の高容量化とレート特性の向上とを両立させることは困難であった。
【0007】
【特許文献1】
特開平4−255670号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電解液に対する膨潤度が低く、かつ結着性が良好なバインダーを含有する電極用スラリー組成物、および該スラリー組成物を用いて製造される電極を提供することである。
また本発明の他の目的は、高容量化と改良されたレート特性とを兼ね備えた二次電池を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、アクリロニトリル単位またはメタクリロニトリル単位と、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する単量体単位とを含有する特定組成の共重合体からなるバインダーは、電解液に対する膨潤度が低くかつ結着性が良好であることを見出した。さらに、該バインダーを含む電極用スラリー組成物を用いて製造したリチウムイオン二次電池は高い電池容量と良好な充放電サイクル特性およびレート特性を示すことを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】
かくして本発明によれば、下記[1]〜[5]が提供される。
[1]バインダーと電極活物質と液状媒体とを含有してなる電極用スラリー組成物であって、該バインダーが、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル由来の単量体単位含有量が90〜99モル%であり、かつヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する単量体由来の単量体単位含有量が1〜10モル%であるポリマーXを含有し、該液状媒体がポリマーXを溶解するものであることを特徴とする電極用スラリー組成物。
【0011】
[2]バインダーが、ガラス転移温度が−80〜0℃でかつN−メチルピロリドン不溶分量が50重量%以上であるポリマーYをさらに含み、ポリマーXとポリマーYとの量の割合が、重量比で5:1〜1:5である上記[1]記載の電極用スラリー組成物。
上記ポリマーYは、
(1)単官能エチレン性不飽和カルボン酸エステル由来の単量体単位(a)およびα,β−エチレン性不飽和ニトリル由来の単量体単位(b)を有し、(2)単量体単位(a)と単量体単位(b)との量の比が99:1〜60:40(重量比)であり、
(3)単量体単位(a)および単量体単位(b)の合計がポリマーYの全単量体単位に対して70重量%以上であり、
(4)エチレン性炭化水素由来の単量体単位と共役ジエン由来の単量体単位とエチレン性不飽和カルボン酸由来の単量体単位とを実質的に有さないポリマーであることが好ましい。
【0012】
[3]少なくともバインダーと電極活物質とを含有する電極層が集電体に結着してある電極であって、該バインダーが、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル由来の単量体単位含有量が90〜99モル%であり、かつヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する単量体由来の単量体単位含有量が1〜10モル%であるポリマーXを含有するものであることを特徴とする電極。
[4]バインダーが、ガラス転移温度が−80〜0℃でかつN−メチルピロリドン不溶分量が50重量%以上であるポリマーYをさらに含み、ポリマーXとポリマーYとの量の割合が、重量比で5:1〜1:5である上記[3]記載の電極。
[5]上記[3]または[4]に記載の電極を有する二次電池。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、1)電極用スラリー組成物、2)電極、3)二次電池に項分けして詳細に説明する。
1)電極用スラリー組成物
本発明の電極用スラリー組成物(以下、単に「スラリー組成物」と記すことがある。)は、バインダーと電極活物質と液状媒体とを含有してなるものである。
本発明のスラリー組成物におけるバインダーは、活物質を集電体に結着するために用いられ、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル由来の単量体単位と、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する単量体(以下、第2の単量体ということがある。)由来の単量体単位を含有するポリマーXを必須成分とする。
【0014】
ポリマーX中のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル由来の単量体単位含有量は、ポリマーXの全量に対して90〜99モル%、好ましくは91〜97モル%である。アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル由来の単量体単位含有量が少なすぎるとポリマーの電解液に対する膨潤度が大きくなるため、結着持続性が劣りサイクル特性が低下する。逆に、多すぎると活物質の結着性が劣る。
【0015】
ポリマーX中の、前記第2の単量体由来の単量体単位の含有量は1〜10モル%、好ましくは3〜9モル%である。第2の単量体由来の単量体単位の含有量が少なすぎると活物質の結着性が劣るとともに、スラリー組成物を集電体へ塗布する際に均一に塗布することが困難になる。逆に、過度に多い場合でも、集電体への塗布性が低下し、電池性能が低下する。また、活物質の結着性も低下する。
【0016】
ポリマーXの製法は特に限定されない。例えば、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルと第2の単量体とを、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、溶液重合法または塊状重合法などの公知の重合法により共重合して製造することができる。
【0017】
第2の単量体として用いられる、ヒドロキシル基を有する単量体としては、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチルなどのヒドロキシアルキル基を有するアクリル酸エステル;メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチルなどのヒドロキシアルキル基を有するメタクリル酸エステル;クロトン酸ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシアルキル基を有するクロトン酸エステル;アリルアルコールなどが挙げられ、中でもヒドロキシアルキル基を有する、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルが好ましい。
【0018】
カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、イタコン酸などのエチレン性不飽和ジカルボン酸;などが挙げられ、中でもエチレン性不飽和モノカルボン酸が好ましく、アクリル酸およびメタクリル酸が特に好ましい。
【0019】
また、アルコキシル基、エポキシ基、エステル基、酸無水物基などの基を有する単量体を原料単量体の一部として用いて得られた重合体を加水分解することにより第2の単量体単位由来の構造を有するようにしてもよい。これら第2の単量体単位由来の構造を形成し得る単量体は、単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0020】
ポリマーXは、本発明のスラリー組成物に用いる液状媒体に溶解するものであれば、その他の共重合可能な単量体由来の単位を含有していてもよい。これら共重合可能な単量体は2種以上併用してもよく、これらの単量体単位の含有量の合計は9モル%以下、好ましくは5モル%以下である。
【0021】
ポリマーXのTgは通常0℃より高く、好ましくは50〜90℃である。ポリマーXのTgが過度に低いと、電極をプレスして電極密度を高める際に十分に電極密度を上げられない場合がある。
【0022】
本発明の電極用スラリー組成物において、ポリマーXは単独でバインダーとして用いることができるが、他のポリマーと併用してもよい。ポリマーXと併用できるポリマーは特に限定されないが、好ましいポリマーとしては、Tgが−80〜0℃でN−メチルピロリドン(NMP)に対する不溶分量が50重量%以上であるポリマーYが挙げられる。
ポリマーYをポリマーXと併用することにより、バインダー全体としては液状媒体にある程度溶解してスラリー組成物が塗工に好適な粘度になるようにし、かつ、液状媒体に溶解しないバインダーが繊維状ないし粒子状を保持することによりバインダーが活物質の表面を覆い隠して電池反応を阻害することのないようにすることができる。また、スラリー組成物に用いる各成分の均一な混合分散が容易になる。
【0023】
ポリマーYのTgは、−80〜0℃、好ましくは−60〜−5℃、より好ましくは−50〜−10℃である。Tgが高すぎると、電極の柔軟性が低下し、充放電を繰り返した際に活物質の集電体からの剥離が起きやすくなる。また、Tgが低すぎると電池容量の低下を招く場合がある。
【0024】
また、ポリマーYのNMPに対する不溶分量は、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。NMP不溶分量が過度に小さいと活物質の結着持続性が低下し、繰り返し充放電による容量減が起こる場合がある。
【0025】
NMP不溶分量は、NMP20ミリリットルにポリマーY0.2gを温度60℃で72時間浸漬した後、80メッシュの篩でろ過し、篩上の成分を乾燥して求めた重量を浸漬前のポリマー重量(0.2g)で除して求められる百分率で表わす。
【0026】
ポリマーYの構成単位の単量体としては、特に限定はないが、単官能エチレン性不飽和カルボン酸エステル由来の単量体単位(a)(以下、単に(a)ということがある)とα,β−エチレン性不飽和ニトリル由来の単量体単位(b)(以下、単に(b)ということがある)とを有するのが好ましい。それぞれの含有量は、(a):(b)の重量比で、好ましくは99:1〜60:40、より好ましくは90:10〜70:30である。また、(a)および(b)の含有量の合計は、ポリマーYの全単量体単位中70重量%以上、好ましくは80重量%以上である。
【0027】
またポリマーYは、エチレンやプロピレンなどのエチレン性炭化水素由来の単量体単位、アクリル酸やメタクリル酸などのエチレン性不飽和カルボン酸由来の単量体単位、およびブタジエンやイソプレンなどの共役ジエン由来の単量体単位を実質的に含まないものが好ましい。これらの単量体単位を有する場合、電気化学的安定性が低下することがある。
【0028】
ポリマーYが上記範囲のNMP不溶分量を含有するためには、多官能エチレン性不飽和単量体を単量体成分に加えて架橋重合体を形成させることが好ましい。
ポリマーYが多官能エチレン性不飽和単量体由来の単量体単位(c)(以下、単に(c)ということがある)を含有する場合、その含有量は、通常0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは0.5〜15重量%である。また、各単量体単位の含有量の割合は、(a)+(c):(b)の重量比で、好ましくは99:1〜60:40、より好ましくは90:10〜70:30である。
【0029】
単官能エチレン性不飽和カルボン酸エステル由来の単量体単位(a)を与える単量体の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ラウリルなどのアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ラウリルなどのメタクリル酸アルキルエステル;
【0030】
クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸プロピル、クロトン酸ブチル、クロトン酸イソブチル、クロトン酸n−アミル、クロトン酸イソアミル、クロトン酸n−ヘキシル、クロトン酸2−エチルヘキシル、クロトン酸ヒドロキシプロピルなどのクロトン酸アルキルエステル;メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのアミノ基含有メタクリル酸エステル;メトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートなどのアルコキシル基を含有するアクリル酸エステル;メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、エトキシポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、などのアルコキシル基を含有するメタクリル酸エステル;
【0031】
アルキル基にリン酸残基、スルホン酸残基、ホウ酸残基などを有するアクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステル;などが挙げられる。
また、ポリマーXに用いられる単量体として例示した、ヒドロキシアルキル基を有する、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルも用いることができる。
【0032】
これらの単官能エチレン性不飽和カルボン酸エステルの中でも、アクリル酸アルキルエステルやメタアクリル酸アルキルエステルが好ましく、これらのアルキル部分の炭素数が1〜12であるものがより好ましく、2〜8であるものが特に好ましい。
【0033】
α,β−エチレン性不飽和ニトリル由来の単量体単位(b)を与える単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、クロトンニトリルなどが挙げられる。これらの中でもアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが好ましく、メタクリロニトリルが特に好ましい。
【0034】
多官能エチレン性不飽和単量体由来の単量体単位(c)を与える単量体の具体例としては、ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物;エチレンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートなどのジメタクリル酸エステル類;トリメチロールプロパントリメタクリレートなどのトリメタクリル酸エステル類;ジエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートなどのジアクリル酸エステル類;トリメチロールプロパントリアクリレートなどのトリアクリル酸エステル類;が挙げられる。
【0035】
ポリマーYの具体例としては、アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリロニトリル/エチレングリコールジメタクリレート共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリロニトリル/テトラエチレングリコールジメタクリレート共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリロニトリル/メトキシポリエチレングリコール/エチレングリコールジメタクリレート共重合体、アクリル酸ブチル/アクリロニトリル/ジエチレングリコールジメタクリレート共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/メタクリロニトリル/ポリエチレングリコールジアクリレート共重合体などのアクリルゴムが挙げられる。
【0036】
ポリマーYの粒子径は、好ましくは0.005〜1000μm、より好ましくは0.01〜100μm、特に好ましくは0.05〜10μmである。粒子径が大きすぎるとバインダーとして必要な量が多くなりすぎ、電極の内部抵抗が増加する。逆に、粒子径が小さすぎると活物質の表面を覆い隠して電池反応を阻害してしまう。ここで、粒子径は、透過型電子顕微鏡写真で無作為に選んだポリマー粒子100個の径を測定し、その算術平均値として算出される個数平均粒子径である。
【0037】
ポリマーYの製法は特に限定されず、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法または溶液重合法などの公知の重合法により重合して得ることができるが、乳化重合法で製造することが、液状媒体に分散したときの粒子径の制御が容易であるので好ましい。
【0038】
本発明のスラリー組成物におけるバインダーとして、ポリマーX、ポリマーY以外のポリマーを併用してもよい。そのような任意のポリマー成分としては、スラリー組成物に用いる液状媒体に可溶なポリマーが好ましく、具体的には、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体およびその水素化物、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/非共役ジエン三元共重合体(EPDM)、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが挙げられ、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体およびその水素化物が特に好ましい。ポリマーXおよびポリマーY以外のポリマー成分の使用量は、全バインダー量に対して通常70重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
【0039】
本発明における全バインダーの量は、活物質100重量部に対して、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.2〜4重量部、特に好ましくは0.5〜3重量部である。全バインダー量が少なすぎると電極から活物質が脱落しやすくなるおそれがあり、逆に多すぎると活物質がバインダーに覆い隠されて電池反応が阻害される可能性がある。
【0040】
本発明の電極用スラリー組成物に用いる液状媒体は、前記ポリマーXを溶解する液体であれば特に制限されないが、常圧における沸点が好ましくは80℃以上350℃以下、より好ましくは100℃以上300℃以下のものである。
【0041】
かかる液状媒体の例としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類が挙げられる。中でもN−メチルピロリドンが、集電体への塗布性やポリマーYの分散性が良好なので特に好ましい。
【0042】
液状媒体の使用量は特に限定されず、バインダーや後述する活物質および導電付与剤の種類に応じ、塗工に好適なスラリー粘度になるように適宜調整することができる。スラリー組成物において、バインダー、活物質および導電付与剤を合わせた固形分の濃度は、好ましくは50〜95重量%、より好ましくは70〜90重量%である。
【0043】
本発明のスラリー組成物に用いられる電極活物質は、電池やキャパシタの種類により適宜選択される。本発明のスラリー組成物は、正極、負極のいずれにも使用することができ、正極に使用するのが好ましく、リチウムイオン二次電池の正極に用いるのがより好ましい。
【0044】
リチウムイオン二次電池に用いる場合、活物質は、通常のリチウムイオン二次電池で使用されるものであれば、いずれであっても用いることができる。正極活物質としては、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4などのリチウム含有複合金属酸化物;TiS2、TiS3、非晶質MoS3などの遷移金属硫化物;Cu2V2O3、非晶質V2O−P2O5、MoO3、V2O5、V6O13などの遷移金属酸化物;が例示される。さらに、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレンなどの導電性高分子を用いることもできる。
【0045】
また、負極活物質としては、例えば、アモルファスカーボン、グラファイト、天然黒鉛、メゾカーボンマイクロビーズ(MCMB)、ピッチ系炭素繊維などの炭素質材料、ポリアセン等の導電性高分子などが挙げられる。活物質の形状や大きさについては特に制限はなく、機械的改質法により表面に導電付与剤を付着させたものも使用できる。
【0046】
電気化学キャパシタに用いる場合、活物質は、通常の電気化学キャパシタで使用されるものであれば、いずれも用いることができる。正極および負極の活物質としては、例えば、活性炭が挙げられる。
【0047】
本発明のスラリー組成物には、必要に応じて導電付与剤が添加される。導電付与剤の使用量は、活物質100重量部あたり、通常、1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部である。
【0048】
導電付与剤としては、リチウムイオン二次電池ではカーボンが用いられる。
ニッケル水素二次電池で用いられる導電付与剤は、正極では酸化コバルト、負極ではニッケル粉末、酸化コバルト、酸化チタン、カーボンなどを挙げることができる。
上記両電池において、カーボンとしては、グラファイト、活性炭、アセチレンブラック、ファーネスブラック、黒鉛、炭素繊維、フラーレン類を挙げることができる。中でも、グラファイト、活性炭、アセチレンブラック、ファーネスブラックが好ましい。
【0049】
本発明のスラリー組成物には、その他必要に応じて粘度調整剤、流動化剤などを添加してもよい。
【0050】
本発明のスラリー組成物は、前記各成分を混合して製造される。混合方法および混合順序は特に限定されない。例えば、ポリマーYを液状媒体に分散させた分散液にポリマーXと活物質と導電付与剤を加え、混合機により混合して製造できる。分散の程度は粒ゲージにより測定可能であり、凝集物の粒子径が100μm以下となるように混合分散することが好ましい。混合機としては、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、ホバートミキサーなどを用いることができる。
【0051】
2)電極
本発明の電極は、少なくともバインダーと電極活物質とを含有する電極層が集電体に結着してある電極であって、該バインダーが、前記ポリマーXを含有するものである。該バインダーは、前記ポリマーYをさらに含み、ポリマーXとポリマーYとの量の割合が、重量比で5:1〜1:5であることが好ましい。本発明の電極は、正極、負極のいずれとして使用することができ、正極に使用するのが好ましく、リチウムイオン二次電池の正極に用いるのがより好ましい。
【0052】
集電体は、導電性材料からなるものであれば特に制限されない。リチウムイオン二次電池では、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレスなどの金属製のものであるが、特に正極にアルミニウムを、負極に銅を用いた場合、本発明のバインダー組成物の効果が最もよく現れる。リチウムイオン二次電池の集電体の形状は特に制限されないが、通常、厚さ0.001〜0.5mm程度のシート状のものである。
ニッケル水素二次電池の集電体には、パンチングメタル、エキスパンドメタル、金網、発泡金属、網状金属繊維焼結体、金属メッキ樹脂板などを用いることができる。
【0053】
本発明の電極は、集電体に、本発明の電極用スラリー組成物を塗布し、乾燥することにより、バインダーおよび活物質、さらに必要に応じ加えられた導電付与剤、増粘剤などを含有する電極層を結着させることで製造することができる。
【0054】
スラリー組成物の集電体への塗布方法は特に制限されない。例えば、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などの方法が挙げられる。塗布するスラリー量も特に制限されないが、液状媒体を乾燥して除去した後に形成される、活物質、バインダーなどからなる電極層の厚さが、通常、0.005〜5mm、好ましくは0.01〜2mmになる量が一般的である。乾燥方法も特に制限されず、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。乾燥速度は、通常は応力集中によって電極層に亀裂が入ったり、電極層が集電体から剥離したりしない程度の速度範囲の中で、できるだけ早く液状媒体が除去できるように調整する。更に、乾燥後の集電体をプレスすることにより電極の活物質の密度を高めてもよい。プレス方法は、金型プレスやロールプレスなどの方法が挙げられる。
【0055】
3)二次電池
本発明の二次電池は、上記の電極を有するものである。二次電池としては、リチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池が挙げられ、リチウムイオン二次電池が好ましい。
二次電池は、上記の電極や電解液、セパレーター等の部品を用いて、常法に従って製造することができる。具体的な製造方法としては、例えば、負極と正極とをセパレーターを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口する。また必要に応じてエキスパンドメタルや、ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子、リード板などを入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電の防止をする事もできる。電池の形状は、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など何れであってもよい。
【0056】
電解液は、通常の二次電池に用いられるものであれば、液状でもゲル状でもよく、負極活物質、正極活物質の種類に応じて電池としての機能を発揮するものを選択すればよい。
【0057】
リチウムイオン二次電池の電解質としては、従来より公知のリチウム塩がいずれも使用でき、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiB10Cl10、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C2H5)4、LiCF3SO3、LiCH3SO3、LiC4F9S3、Li(CF3SO2)2N、低級脂肪酸カルボン酸リチウムなどが挙げられる。
【0058】
これらの電解質を溶解させる媒体は特に限定されるものではない。具体例としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート類;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類等が挙げられ、これらは単独もしくは二種以上の混合溶媒として使用することができる。
また、ニッケル水素二次電池の電解質としては、例えば、従来公知の濃度が5モル/リットル以上の水酸化カリウム水溶液を使用することができる。
【0059】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本実施例における部および%は、特に断りがない限り重量基準である。
実施例および比較例中の試験および評価は以下の方法で行った。
【0060】
(1)ポリマーの電解液溶媒膨潤度
ポリマー0.2gをN−メチルピロリドン(NMP)10ミリリットルに溶解させた液をポリテトラフロオロエチレン製シートにキャストし、乾燥してキャストフィルムを得る。このキャストフィルム4cm2を切り取って重量を測定した後、温度60℃の電解液溶媒中に浸漬する。浸漬したフィルムを72時間後に引き上げ、タオルペーパーで拭きとってすぐに重量を測定し、(浸漬後重量)/(浸漬前重量)の値を電解液溶媒膨潤度とした。なお、電解液溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートの5種の溶媒を20℃での体積比で1:1:1:1:1の割合で混合した混合溶媒を用いた。
【0061】
(2)NMP不溶分量
ポリマーのNMP不溶分量は、ポリマー0.2gをNMP20ミリリットルに60℃で72時間浸漬した後、80メッシュの篩で濾過し、篩上の成分を乾燥して求めた重量の、元のポリマー重量に対する百分率で示す。
(3)ガラス転移温度(Tg)
ポリマーのTgは、示差走査型熱量計(DSC)により、10℃/分で昇温して測定した。
【0062】
(4)ピール強度
電極の製造
正極用スラリーをアルミニウム箔(厚さ20μm)にドクターブレード法によって均一に塗布し、120℃で45分間乾燥機で乾燥した。さらに真空乾燥機にて0.6kPa、120℃で2時間減圧乾燥した後、2軸のロールプレスによって電極密度が3.3g/cm3となるように圧縮して正極を得た。
ピール強度の測定
上記により得た電極を幅2.5cm×長さ10cmの矩形に切り、電極表面にセロハンテープを貼り付け、電極を固定し、テープを50mm/分の速度で180°方向に剥離したときの強度(N/cm)を10回測定し、その平均値を求めた。この値が大きいほど結着強度が高く、活物質が集電体から剥離しにくいことを示す。
【0063】
(5)電池容量
コイン型電池(正極評価用)の製造
負極としては金属リチウムを用いた。
上記(4)に記す方法で製造した正極を直径15mmの円形に切り抜き、直径18mm、厚さ25μmの円形ポリプロピレン製多孔膜からなるセパレーターを介在させて、負極の金属リチウムが接触するように配置した。セパレーターとは反対側の金属リチウム上にエキスパンドメタルを入れ、ポリプロピレン製パッキンを設置したステンレス鋼製のコイン型外装容器(直径20mm、高さ1.8mm、ステンレス鋼厚さ0.25mm)中に収納した。この容器中に電解液を空気が残らないように注入し、ポリプロピレン製パッキンを介して外装容器に厚さ0.2mmのステンレス鋼のキャップをかぶせて固定し、電池缶を封止して、直径20mm、厚さ約2mmのコイン型電池(正極評価用)を製造した。電解液はエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを20℃での体積比で1:2の割合で混合した混合溶媒にLiPF6を1モル/リットルの濃度で溶解させた溶液を用いた。
【0064】
電池容量の測定
上記の方法で製造したコイン型電池を用いて、3Vから4.2Vまで25℃で0.1Cの定電流法によって測定した3サイクル目の放電容量(初期放電容量)として電池容量を求めた。単位はmAh/g(活物質当たり)である。
【0065】
(6)充放電サイクル特性
初期放電容量の測定と同様にして3サイクル目および50サイクル目の放電容量を測定し、3サイクル目の放電容量に対する50サイクル目の放電容量の割合を百分率で算出した。この値が大きいほど容量減が少ないことを示す。
【0066】
(7)充放電レート特性
測定条件を、定電流量を1Cに変更したほかは、初期放電容量の測定と同様に各定電流量における3サイクル目の放電容量を測定した。3サイクル目における0.1Cでの放電容量に対する1Cでの放電容量の割合を百分率で算出した。この値が大きいほど、高速充放電が可能なことを示す。
【0067】
バインダーとして用いた各ポリマーの組成および物性を、ポリマーX成分とポリマーY成分に分けてそれぞれ表1、2に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
実施例1
懸濁重合で製造したポリマーX−1 1.5部をNMPに溶解した溶液に、活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)100部、導電付与剤としてアセチレンブラック(電気化学社製:HS−100)3部を混合し、固形分が77%となるようにさらにNMPを添加して、プラネタリーミキサーで攪拌・混合して均一な正極用スラリーを得た。このスラリーを用いて正極およびリチウムイオン二次電池を作製した。正極のピール強度、およびこの正極を用いて製造したリチウムイオン二次電池の特性を測定した結果を表3に示す。
【0071】
【表3】
【0072】
実施例2〜8、比較例1〜4
ポリマーX成分として表3に示すポリマーを用いた他は実施例1と同様にしてスラリー組成物を調製した。これらのスラリー組成物を用いて作製した正極および二次電池について、実施例1と同様に特性を測定した結果を表3に記す。
【0073】
実施例9
2対のフック型回転翼を有するプラネタリーミキサーにコバルト酸リチウムを100部、導電付与剤としてアセチレンブラック(HS−100)を3部、バインダーとして0.4部のポリマーX−4のNMP溶液および0.8部のポリマーY−1のNMP分散液を仕込み、さらにNMPを加えて固形分濃度79%として10分間混合してリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物を得た。このスラリー組成物を用いて作製した正極および二次電池の特性を測定した結果を表4に記す。
【0074】
【表4】
【0075】
実施例10、11、比較例5〜8
表4に示す成分および量の配合で実施例9と同様にしてスラリー組成物を調製した。なお、ポリマーX成分、ポリマーY成分以外のバインダーとしては、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体水素化物(HNBR)またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)を使用し、ポリマーX成分と共にNMPに溶解して用いた。
これらのスラリー組成物を用いて作製した正極および二次電池の特性を実施例9と同様に試験した。試験結果を表4に記す。なお、比較例5においては、結着力が弱く、作成した電極にひびが入ったため、電池性能の測定はできなかった。
【0076】
実施例12
ポリマーX−4 0.4部と、HNBR 0.4部とのNMP溶液に導電付与剤としてアセチレンブラック(HS−100)3部を加えて顔料分散機で分散し、NMPを加えて固形分濃度35%のカーボン塗料を調製した。
次いで2対のフック型回転翼を有するプラネタリーミキサーにコバルト酸リチウム(LiCoO2)100部と、ポリマーY−4 0.4部をNMPに分散した分散液とを仕込み、ここに上記のカーボン塗料とNMPとを加えて固形分濃度85%として1時間混合した後、さらにNMPを加えて固形分濃度78%として10分間混合してリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物を得た。このスラリー組成物を用いて作製した正極および二次電池の特性を試験した結果を表4に記す。
【0077】
以上から明らかなように、本発明のスラリー組成物を用いて電極を作成すると、バインダーポリマーの使用量が少なくてもピール強度が大きく、高い結着性能を示す。また、この電極を有するリチウムイオン二次電池は、高い電池容量を有し、かつ良好な充放電サイクル特性およびレート特性を示した。
【0078】
【発明の効果】
本発明の電極用スラリー組成物を用いると、電解液に対する膨潤性が低く、活物質の結着性に優れた電極が得られるので、各種電池や電気化学キャパシタなどの電極の製造に好適に使用できる。特にリチウムイオン二次電池の正極用として優れており、この電極を備えたリチウムイオン二次電池は、高い充放電容量と良好なサイクル特性を有し、かつレート特性にも優れる。
Claims (6)
- バインダーと電極活物質と液状媒体とを含有してなる電極用スラリー組成物であって、該バインダーが、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル由来の単量体単位含有量が90〜99モル%であり、かつヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する単量体由来の単量体単位含有量が1〜10モル%であるポリマーXを含有し、該液状媒体がポリマーXを溶解するものであることを特徴とする電極用スラリー組成物。
- バインダーが、ガラス転移温度が−80〜0℃でかつN−メチルピロリドン不溶分量が50重量%以上であるポリマーYをさらに含み、ポリマーXとポリマーYとの量の割合が、重量比で5:1〜1:5である請求項1記載の電極用スラリー組成物。
- ポリマーYが、
(1)単官能エチレン性不飽和カルボン酸エステル由来の単量体単位(a)およびα,β−エチレン性不飽和ニトリル由来の単量体単位(b)を有し、
(2)単量体単位(a)と単量体単位(b)との量の比が99:1〜60:40(重量比)であり、
(3)単量体単位(a)および単量体単位(b)の合計がポリマーYの全単量体単位に対して70重量%以上であり、
(4)エチレン性炭化水素由来の単量体単位と共役ジエン由来の単量体単位とエチレン性不飽和カルボン酸由来の単量体単位とを実質的に有さないポリマーである、請求項2記載の電極用スラリー組成物。 - 少なくともバインダーと電極活物質とを含有する電極層が集電体に結着してある電極であって、該バインダーが、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル由来の単量体単位含有量が90〜99モル%であり、かつヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する単量体由来の単量体単位含有量が1〜10モル%であるポリマーXを含有するものであることを特徴とする電極。
- バインダーが、ガラス転移温度が−80〜0℃でかつN−メチルピロリドン不溶分量が50重量%以上であるポリマーYをさらに含み、ポリマーXとポリマーYとの量の割合が、重量比で5:1〜1:5である請求項4記載の電極。
- 請求項4または5に記載の電極を有する二次電池。
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