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JP2003277040A - シリコンの精製方法および該方法により精製したシリコンを用いて製造する太陽電池 - Google Patents

シリコンの精製方法および該方法により精製したシリコンを用いて製造する太陽電池

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Publication number
JP2003277040A
JP2003277040A JP2002076220A JP2002076220A JP2003277040A JP 2003277040 A JP2003277040 A JP 2003277040A JP 2002076220 A JP2002076220 A JP 2002076220A JP 2002076220 A JP2002076220 A JP 2002076220A JP 2003277040 A JP2003277040 A JP 2003277040A
Authority
JP
Japan
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silicon
molten
slag
boron
gas
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP2002076220A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiaki Fukuyama
稔章 福山
Kenji Wada
健司 和田
Hisashi Hayakawa
尚志 早川
Toru Nunoi
徹 布居
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2002076220A priority Critical patent/JP2003277040A/ja
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/546Polycrystalline silicon PV cells

Landscapes

  • Silicon Compounds (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 粗精製金属シリコンを純度7−nine程度
に精製して、太陽電池用のシリコンを効率よく、かつ、
安価に提供する。 【解決手段】 本発明のシリコンの精製方法は、溶融シ
リコンからボロンなどの不純物を除去するシリコンの精
製方法であって、溶融スラグで溶融シリコンを精製する
工程と、酸化性ガスを含む気体で溶融シリコンを精製す
る工程と、を含むことを特徴とする。酸化性ガスを含む
気体、溶融スラグおよび溶融シリコンからなる群より選
ばれる少なくとも一つは撹拌することが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコンの精製方
法に関する。特に、太陽電池用シリコンの低コストな精
製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】環境問題から石油などの代替として自然
エネルギの利用が注目されている。その中で、シリコン
半導体の光電変換原理を用いる太陽電池は、太陽エネル
ギの電気への変換が容易に行なえる特徴を有するが、普
及拡大には太陽電池のコスト低減、とりわけ、半導体シ
リコンのコストダウンが大切である。
【0003】半導体集積回路用の高純度シリコンには、
珪石を炭素還元して得られる純度98%以上の金属シリ
コンを原料にし、化学的な方法でトリクロルシラン(S
iHCl3)を合成し、これを蒸留法で純化した後、還
元することで得られる(シーメンス法)11−nine
程度の高純度シリコンを使用する。しかし、この高純度
シリコンは、複雑な製造プラントや、還元に要するエネ
ルギ使用量が多くなるため、必然的に高価な素材であ
る。
【0004】太陽電池の低コスト化のために、半導体集
積回路の製作の各工程から得られる高純度シリコンの再
生利用と並行して、金属シリコンからの直接的な冶金的
精製が試みられている。再生利用では、シリコンウエ
ハ、CZインゴット端材などを原料に多結晶シリコンイ
ンゴットを作る際、シリコン融液の一方向凝固を行なう
ことで偏析により精製し、実用的な太陽電池特性が得ら
れるようになっている。しかし、金属シリコンからの一
方向凝固による精製は、多くの不純物元素を同時に除去
できる点で優れるものの、例外的にボロンについては、
偏析係数が0.8と大きいため、原理的に凝固偏析を効
率的には行なえず、実用的にはボロンの除去は困難であ
る。
【0005】より効率的なボロン精製を目指す技術とし
ては、ボロンを酸化ボロンとすることで、溶融シリコン
中から気相に移動させて除去する方法がある。たとえ
ば、特許第3205352号公報には、アルゴンまたは
アルゴンに水素を添加したガスに水蒸気ガス、さらには
シリカ粉末を含んだ混合ガスのプラズマを溶融シリコン
表面に照射することによりボロンの酸化を促進する方法
が紹介されている。この方法によれば、高温で酸化ボロ
ンは気化し、除去できる。しかし、プラズマ反応をする
部分は装置の構成上、局所的なものとならざるを得ない
ので、装置が大型化し、高価となり、また、長時間の精
製が必要となる。
【0006】特許第2851257号公報には、CaO
およびSiO2を主成分とする大量のスラグを溶融シリ
コン中に投入することにより、ボロンを酸化して、精製
する方法が紹介されている。しかし、ボロンを10pp
m〜50ppm程度含む金属シリコンを精製して、太陽
電池用シリコンに要求される0.3ppm程度にまでボ
ロンの濃度を低減するには、9時間程度の長時間の精製
を必要とし、スラグを加熱するための余計なエネルギが
必要なほか、シリコン量の3倍程度の多量の高純度スラ
グが必須であり、高コスト化を招く。
【0007】特開2001−58811公報には、撹拌
機やローレンツ力を用いて溶融シリコンを撹拌し、水蒸
気を含有するアルゴンなどの精製気体を吹き込むことに
より、ボロンを酸化物に変えて、溶融シリコンから除去
する方法が紹介されている。しかし、原理上、反応が飛
躍的に向上した方法ではなく、精製効率を高めることは
期待できない。
【0008】このように従来のシリコンの精製方法は、
いずれも精製効率が低く、コストが高く、いまだ実用化
は困難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、粗精製金属
シリコンを原料にして、純度7−nine程度に精製
し、太陽電池用のシリコンを効率よく、かつ、安価に提
供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のシリコンの精製
方法は、溶融シリコンからボロンなどの不純物を除去す
るシリコンの精製方法であって、溶融スラグで溶融シリ
コンを精製する工程と、酸化性ガスを含む気体で溶融シ
リコンを精製する工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】本発明のシリコンの別の精製方法は、酸化
性ガスを含む気体で溶融シリコンを精製する工程と、溶
融スラグで溶融シリコンを精製する工程と、を含むこと
を特徴とする。
【0012】本発明のシリコンの別の精製方法は、溶融
スラグで溶融シリコンを精製する工程と、酸化性ガスを
含む気体および溶融スラグで溶融シリコンを精製する工
程と、酸化性ガスを含む気体で溶融シリコンを精製する
工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】酸化性ガスを含む気体、溶融スラグおよび
溶融シリコンからなる群より選ばれる少なくとも一つは
撹拌することが好ましい。
【0014】本発明の太陽電池は、これらのいずれかの
方法により精製したシリコンを用いて製造することを特
徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のシリコンの精製方法は、
溶融スラグで溶融シリコンを精製してから、酸化性ガス
を含む気体で溶融シリコンを精製する。溶融スラグによ
る精製は、不純物であるボロンを酸化し、液相の酸化ボ
ロンをスラグ内に取込むことにより、ボロンを除去する
方法であり、酸化性ガスを含む気体(以下、「精製気
体」ともいう。)による精製は、ボロンを酸化し、酸化
ボロンを気化することにより、ボロンを除去する方法で
ある。本発明は、金属シリコンは多種類の不純物を含有
するが、含有不純物の一つであるボロンに着目し、ボロ
ンの酸化反応に基く精製方法という点で共通する2種類
の方法で同じ溶融シリコンを精製することにより、精製
効率が高く、コストの低い、実用的なボロンの除去方法
を提供しようとするものである。すなわち、溶融スラグ
で溶融シリコンを精製した後で、酸化性ガスを含む気体
で溶融シリコンを精製することにより、精製当初の不純
物量が多い段階では、スラグ精製によりボロン除去を行
ない、ボロン量が低減した段階で酸化性ガスを含む気体
により精製することで、精製効率を高めている。また、
一般的にスラグには不純物を多く含み、一方、アルゴン
(Ar)、水蒸気などは高純度の材料が利用しやすいこ
とから、この精製順に従うことにより、精製が進んだ段
階でのスラグによる不純物の持ち込みを防ぐことができ
る。
【0016】本発明の精製方法の実施においては、典型
的には図1に表す装置を使用する。図1に示す例では、
精製炉1の壁はステンレス製であり、原料シリコンおよ
びスラグを装入するるつぼ2は黒鉛製である。また、精
製炉1には、電磁誘導加熱装置3が設けられ、軸5と、
軸5の下端部に取付けられた回転体6と、軸5の上部に
取付けられた回転駆動機構(図示しない。)と、からな
る撹拌機を有し、溶融スラグと溶融シリコンを撹拌混合
することができる。軸5が精製炉1の壁を貫通する部分
には、精製炉1の密閉性を確保するとともに軸5の回転
を容易にするために、シール機構8を有する。軸5の上
部には、精製時には回転体6をるつぼ2内の溶融シリコ
ンに浸漬させ、精製後には回転体6を溶融シリコンから
引き上げるために、昇降機構(図示していない。)を有
する。軸5の内部には、酸化性ガスなどの精製気体導入
通路4があり、回転体6には、精製気体導入通路4と連
通した精製気体吹出し口7を有する。軸5および回転体
6と、精製気体を導入するための通路とを別々に設ける
構造としてもよく、図1の例に示すように軸5に精製気
体導入通路4を設け、さらに精製気体導入口9を精製炉
1に設けてもよい。
【0017】本発明の被精製材料は、工業的に広く利用
されている純度98%以上の金属シリコン、一方向凝固
精製後のやや高純度なシリコン、脱P(リン)後のシリ
コン、高純度シリコンと低純度シリコンを混合したシリ
コンなどである。
【0018】本発明のシリコンの精製方法では、最初に
溶融シリコンをスラグにより精製する。スラグによる精
製は、金属の精製方法の一つであり、被精製材料にスラ
グを添加して被精製材料と反応させ、ボロンなどの不純
物を除去する。スラグの主要な働きは、たとえば、溶融
シリコン中でスラグ成分のSiO2が分解し、溶融シリ
コン中に酸素が供給され、溶融シリコン中のボロンを酸
化し、酸化ボロンとして除去することによりシリコンが
精製される。除去される不純物元素にはボロンのほか、
炭素などがある。
【0019】スラグは、酸化ケイ素(SiO2)、酸化
カルシウム(CaO)、酸化アルミニウム(Al23
などにより構成され、SiO2とCaOの二元系スラグ
などもスラグに含まれる。これらの中では、強い酸化機
能を有する酸化ケイ素(SiO2)を主たる成分とする
スラグを使用する方が精製効率が高い点で好ましい。た
とえば、酸化ケイ素(SiO2)と酸化カルシウム(C
aO)とを混合したものをスラグとして用いる場合は、
酸化ケイ素−酸化カルシウムの二元系状態図から明らか
なとおり、シリコンの融点1414℃よりわずかに高い
1436℃以上で、酸化ケイ素と酸化カルシウムとの混
合物であるスラグを溶融状態にできる。スラグは、粉末
スラグではなく、溶融スラグとして用いることにより、
精製に必要となる酸化剤を多量に反応系内に導入できる
点で好ましい。
【0020】溶融スラグの粘度は、酸化ケイ素と酸化カ
ルシウムとの混合スラグの場合、1Pa・s程度であ
り、溶融シリコンの粘度0.001Pa・s程度と比較
して高く、また、スラグはシリコンよりも比重が大きい
ため、シリコン−スラグの溶融系においては、スラグは
沈降する傾向がある。シリコン原料の精製に適した融
点、粘性、比重などの性状となるように、酸化マグネシ
ウム(MgO)、酸化バリウム(BaO)、酸化リチウ
ム(Li2O)、フッ化カルシウム(CaF2)などを適
宜添加することができるが、スラグの酸化剤としての効
果を大きく損なうことなく融点または粘度を低減するこ
とが好ましいため、酸化カルシウムの一部または全部を
酸化マグネシウム、フッ化カルシウムあるいは酸化リチ
ウムに置き換えることがより好ましい。しかし、溶融ス
ラグと溶融シリコンの性状の違いにより、スラグの構成
成分を変えた場合においても、溶融スラグは溶融シリコ
ンと容易に混合しない傾向がある。このため、溶融スラ
グおよび溶融シリコンのうち少なくとも一つを撹拌する
ことが好ましい。撹拌をすることにより、均一に、か
つ、効率的にボロンの除去反応を進めることができる。
【0021】溶融スラグによる精製後、溶融スラグを取
出す。スラグの取出しは、まず、スラグによる精製工程
において融液の撹拌をしている場合には、図1におい
て、軸5および回転体6を昇降機構により溶融シリコン
から引上げ、溶融シリコンを静置させて溶融スラグをる
つぼ2の底部に沈降させる。この時、電磁誘導加熱装置
3(電磁誘導加熱装置3は、上部3aと中部3bと下部
3cとからなる。)のうち、下部3cのパワーを下げ
て、溶融スラグ10を高粘度化させると、スラグを取出
しやすい点で好ましい。つぎに、ゲート弁18を開け、
出湯口16から、比重のより軽い溶融シリコン部分を、
図1に示す容器と同様の別の容器に移した後で、この別
の容器内の溶融シリコンに対してつぎの精製を行なうこ
とが好ましい。または、上澄みの溶融シリコンを一旦、
第1の別の容器に移し、底部にある溶融スラグを第2の
別の容器に移した後、第1の別の容器の溶融シリコンを
元の容器に戻すなどの手順でスラグを取除くこともでき
る。底部にある高粘度スラグは、セラミックス製の熊手
形状をした掻き出し道具などによって取除いてもよい。
最も簡単なスラグの取出し方法としては、撹拌停止後の
静置状態で、上方からるつぼの底部まで耐熱パイプを下
ろし、底部にあるスラグを吸引して除去する方法が好ま
しい。
【0022】スラグの取出し後、酸化性ガスを含む気体
で溶融シリコンを精製する。酸化性ガスを含む気体は、
水蒸気、酸素、または、一酸化炭素などの酸素原子を含
有するガス、さらに広義の酸化反応を含めて、塩酸など
のハロゲン系ガスなどを含む精製気体である。酸化性ガ
スを含む気体は、キャリアガスとしてアルゴンなどの不
活性ガスをベースとしてもよい。また、反応状態を制御
する点で、水素ガスを適宜含んでいる気体も好ましい。
水蒸気の添加は、たとえば、加湿装置を用いて、ガス露
点を20℃〜90℃とすることにより、2容積%〜70
容積%の範囲内で水蒸気を容易に添加することができ
る。酸化性ガスを含む気体で溶融シリコンを精製する際
にも、精製を均一にし、精製効率を高める点で、酸化性
ガスを含む気体および溶融シリコンのうち少なくとも一
つを撹拌しておくことが好ましい。
【0023】本発明の太陽電池は、かかる方法により精
製した低コストのシリコンを用いて製造するため、低コ
ストである。
【0024】本発明のシリコンの別の精製方法は、酸化
性ガスを含む気体で溶融シリコンを精製してから、溶融
スラグで溶融シリコンを精製する。酸化性ガスを含む気
体による精製とスラグによる精製という2種類の方法で
同じ材料を精製することにより、精製効率を高め、コス
トの低い、実用的なボロン精製が可能となる。すなわ
ち、酸化性ガスを含む気体で溶融シリコンを精製する工
程の後に、溶融スラグで溶融シリコンを精製する工程を
行なうことにより、酸化性ガスを含む気体が、溶融シリ
コン中のボロンを気相の酸化ボロンに変化させて予め除
去するので、後工程においてスラグ内に取込む液相の酸
化ボロンを低減することができ、全体としてシリコンの
精製効率を高めることができる。
【0025】本発明の太陽電池は、かかる方法により精
製した低コストのシリコンを用いて製造するため、低コ
ストである。
【0026】本発明のシリコンの別の精製方法は、溶融
スラグで溶融シリコンを精製し、つぎに、酸化性ガスを
含む気体および溶融スラグで溶融シリコンを精製してか
ら、酸化性ガスを含む気体で溶融シリコンを精製する。
溶融スラグによる精製段階で、酸化性ガスを含む気体を
導入することにより、シリコン中のボロンが酸化し、液
相の酸化ボロンがスラグへ移行し、更に気相へ移行して
ボロンは除去される。スラグへ移行した液相の酸化ボロ
ンが、供給した酸化性ガスを含む気体により気相の酸化
ボロンとなってスラグから除去されるので、スラグ中の
ボロン濃度を高めることなく、効率よくシリコン中から
ボロンを除去することができる。このため、最も大きな
効果の得られる精製方法である。
【0027】精製方法の好ましい工程を図2に示す。シ
リコンの精製は、スラグによる精製を中心とする精製1
と、精製気体による精製を中心とする精製2から構成さ
れる。精製1の段階1では、被精製材料のシリコンとス
ラグを精製炉に装入して、シリコン及びスラグが溶解状
態になるまで加熱する。この状態からスラグによる精製
が開始される。
【0028】段階2では、精製気体を溶融シリコン、溶
融スラグに導入する。精製気体は、酸化性ガスを含む気
体である。この段階では、溶融スラグによるボロン除去
効果に、精製気体によるボロン除去効果が加わり、精製
効果が一層増大する。ボロンを含んでいるシリコン原料
とスラグを混合して溶融状態とし、精製気体を溶融シリ
コン中へ吹き込んで精製を行なう工程の前後において採
取した溶融スラグおよび溶融シリコン中のボロン濃度を
分析すると、溶融スラグ中のボロン濃度は精製前後で両
方とも3ppm程度であり、溶融スラグ中のボロン濃度の
増加は認められないにもかかわらず、溶融シリコン中の
ボロン濃度は著しく減少する。また、溶融スラグと精製
気体の両方により精製をする場合は、溶融スラグのみで
精製する場合、または、精製気体のみで精製する場合よ
りも、ボロン除去に要する時間は1/3程度以下に低減
することができる。精製気体の導入においては、シリコ
ン融液などを撹拌すると、精製効率を高める効果がある
点で好ましい。
【0029】段階3では、溶融スラグを精製の系から取
り除く。このように一旦、溶融スラグを除去すると、精
製2の段階4において、溶融スラグが除かれた状態で、
精製気体により精製を行なうことができるため、高純度
に精製することができる。段階4の精製においても、シ
リコン融液などの撹拌は、精製効率を高める効果がある
点で好ましい。粗製金属シリコンの含有不純物種や含有
量によっては、本発明の精製に併せて、他の精製方法を
実施してもよい。
【0030】精製1の段階1から精製2の段階4までの
工程について、図1に基き、順を追って詳述する。
【0031】段階1のシリコンとスラグの加熱溶融工程
では、まず、精製炉1の内部をアルゴンなどの不活性ガ
ス雰囲気とし、電磁誘導加熱装置3により加熱すること
で、るつぼサセプタ13を介した伝熱により原料シリコ
ンおよびスラグの温度が上昇し、ついには溶融する。そ
のようにしてできた融液を、るつぼ用断熱材14および
ゲート弁用断熱材17を利用して、所定温度に保持す
る。この段階では、溶融シリコンは上層、溶融スラグは
下層の2層に分離している。
【0032】段階2の精製気体導入と撹拌工程では、昇
降機構(図示していない。)により軸5を下降させなが
ら、精製気体導入通路4を通じて、精製気体を回転体6
の精製気体吹出し口7から吹出しつつ、回転体6を溶融
シリコンに浸漬させる。この際、精製気体導入圧力を、
たとえば、0.15MPa〜0.3MPa程度の範囲と
し、大気圧より大きくすることで、高粘度の溶融スラグ
を混合する場合でも、安定したガスの供給を継続でき
る。溶融シリコンの下層付近、好ましくは溶融スラグと
溶融シリコンとの界面付近へ回転体6を下降させた後、
回転駆動機構(図示していない。)により軸5を回転さ
せる。精製気体を精製気体吹出し口7から吹出すととも
に軸5の回転により精製気体および溶融スラグを撹拌
し、微細化して、均一に分散することが好ましい。撹拌
により、溶融シリコン15、溶融スラグ10、精製気体
11の3つが非常に効率よく混合され、接触界面が著し
く増大する状態となり、精製気体11および溶融スラグ
10から供給される酸素により、溶融シリコン15中の
ボロンの酸化反応が促進される。気化した酸化ボロンな
どは、排気管12より排出される。
【0033】段階3のスラグ取出し工程については、前
述と同様に行なう。つぎの段階4の精製気体導入と撹拌
工程では、若干残存した溶融スラグと溶融シリコンに対
し、再び、所望温度にまで加熱しながら、頂壁1aとゲ
ート弁18を閉じ、回転体6の精製気体吹出し口7が溶
融シリコンの深さの中央付近に達するまで昇降機構によ
り軸5を下降させ、水蒸気を含むアルゴンガスなどの精
製気体を導入しつつ、回転体6を回転し、精製気体を溶
融シリコン中に撹拌混合し、溶融シリコン中のボロンを
酸化除去して精製する。
【0034】精製気体および溶融スラグによる溶融シリ
コンの精製工程の後に、精製気体による精製を行なう方
法、すなわち、溶融スラグを精製の途中において、溶融
シリコンから反応系外へ除去する方法の有効性は、技術
的につぎのとおり推測される。溶融シリコンの精製の進
行により、スラグを構成しているSiO2成分は、ボロ
ンを酸化するために消費され、溶融シリコンからの不純
物除去速度が低下し、ついには溶融シリコンへの酸素供
給能力がなくなる。また、スラグ中に元々含まれるボロ
ンが、精製した溶融シリコン中へ混入し、溶融シリコン
の純度を悪化させる。このため、溶融スラグの不純物除
去速度が低下する前に、溶融スラグを反応系外へ除去す
ることが有効であると考えられる。
【0035】本発明の太陽電池は、かかる方法により精
製した低コストのシリコンを用いて製造するため、低コ
ストである。
【0036】
【実施例】実施例1 被精製材料である原料シリコンとして、ボロン65pp
m含有のスクラップシリコンと、半導体級シリコン(1
1−nine)とを、質量比1:8で調合することによ
り、ボロン濃度7ppmのシリコンを調製した。また、
スラグとして、酸化シリコン粉末と酸化カルシウム粉末
とを、質量比65:35で調合することにより、ボロン
濃度3ppmのスラグを調製した。ボロン濃度は、IC
P発光分析により測定した。
【0037】原料シリコンに、スラグを原料シリコンの
20質量%添加し、全量を1kgとして、図1に示すよ
うな精製炉1のるつぼ2に装入した。精製炉1の内部を
1気圧のアルゴンガス雰囲気として、電磁誘導加熱装置
3により、るつぼ2を加熱することにより原料シリコン
およびスラグを融解して1550℃に保持した。溶融ス
ラグは溶融シリコンに対して比重が大きいので、るつぼ
2の底部に沈殿した。
【0038】アルゴンガス中の水蒸気含有率が30容積
%である精製気体を、回転体6の精製気体吹出し口7か
ら流速1L/minで吹出しつつ、回転体6の精製気体
吹出し口7が溶融スラグと溶融シリコンとの界面付近に
達するまで昇降機構により軸5を下降させた後、軸5を
400rpmで回転させて、1時間の精製を行なった。
つぎに、溶融スラグを溶融シリコンから取出してから、
軸5を溶融シリコンに浸漬させて、精製気体を前述と同
様の条件で、回転体6の精製気体吹出し口7から吹出し
つつ、さらに1時間の精製を継続した。精製後のボロン
濃度を測定したところ、0.3ppmであった。この結
果を、図3に示す。
【0039】実施例2 スラグによる精製段階において、精製気体を導入しなか
った以外は実施例1と同様の条件でシリコンの精製を行
なった。精製後のボロン濃度を測定したところ、実施例
1の場合よりもやや高い0.4ppmであった。この結
果を、図3に示す。
【0040】実施例3 図1において、精製気体を精製気体導入口9から精製炉
1に導入し、回転体6の精製気体吹出し口7からは精製
気体を導入しなかった以外は実施例1と同様の条件でシ
リコンの精製を行なった。精製後のボロン濃度を測定し
たところ、0.6ppmであった。この結果を、図3に
示す。
【0041】実施例4 図1において、精製気体は精製気体導入口9から精製炉
1に導入し、回転体6の精製気体吹出し口7からは精製
気体を導入しなかった以外は実施例2と同様の条件でシ
リコンの精製を行なった。精製後のボロン濃度を測定し
たところ、0.7ppmであった。この結果を、図3に
示す。
【0042】比較例1 溶融スラグの取出しを行なわなかったこと以外は実施例
1と同様の条件でシリコンの精製を行なった。精製後の
ボロン濃度は0.8ppmであったが、精製開始後1時
間経過したときの溶融シリコンのボロン濃度は1.7p
pmであった。この結果を、図3に示す。図3から明ら
かなとおり、精製開始後1時間を経過するまでのボロン
の低減は良好であったが、スラグの残留により、精製開
始後1時間経過してからのボロンの低減速度は鈍ってく
ることがわかった。これは、溶融スラグ中に元々含まれ
ていたボロンが、精製した溶融シリコン中へ移動してし
まい、溶融シリコンの純度向上を妨げたためと考えられ
た。
【0043】比較例2 精製中に水蒸気を含有する精製気体を使用しなかったこ
と以外は実施例1と同様の条件でシリコンの精製を行な
った。精製後のボロンの濃度は、1.8ppmであっ
た。この結果を、図3に示す。
【0044】実施例5 実施例1によって、精製した溶融シリコンを鋳型に注湯
し、キャストして鋳塊を製造し、ワイヤーソーによりス
ライスして、板厚330μm、10cm角の多結晶シリコ
ン基板とした。セル化は公知のプロセスで行なった。ア
ルカリエッチングにより基板表面をテクスチャ化した。
受光面側に、POCl3によるn+拡散によりpn接合を形
成した。表面にCVD法によりSiN反射防止膜を形成
した。表面をマスクして、裏面を酸エッチングによりn
+層を除去した後、裏面電極を形成し、表面に櫛型の金
属電極を印刷・焼成することにより太陽電池を作製し
た。作成した太陽電池の特性を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】比較例3 実施例1において精製したシリコンの代わりに、市販多
結晶シリコン基板(スクラップシリコン)を用いた以外
は実施例5と同様にして太陽電池を作成した。作成した
太陽電池の特性を表1に示す。
【0047】表1の結果から明らかなとおり、実施例5
において作成した太陽電池は、市販シリコンを原料とす
る太陽電池とほぼ同等の特性を示した。
【0048】今回開示された実施の形態および実施例は
すべての点で例示であって制限的なものではないと考え
られるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではな
くて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と
均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるこ
とが意図される。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、溶融スラグによるボロ
ン除去効果に、気体精製による効果が加わり、シリコン
の精製効果が一層増大する。たとえば、ボロンを含んで
いるシリコン原料とスラグを混合して溶融状態とし、水
蒸気を含む精製気体を溶融シリコン中へ吹き込んで精製
を行なう場合、溶融スラグ中のボロン濃度の増加は認め
られないにもかかわらず、溶融シリコン中のボロン濃度
は著しく減少する。また、溶融スラグと精製気体の両方
で精製をする場合は、溶融スラグでのみ精製する場合、
または精製気体のみで精製する場合よりも、ボロン除去
に要する時間は1/3以下と大幅に減少する。
【0050】酸化性ガスを含む気体、溶融スラグおよび
溶融シリコンは、少なくとも一つを撹拌すると、精製の
効率を高めることができる。
【0051】したがって、本発明によれば、粗精製金属
シリコンを純度7−nine程度に精製して、太陽電池
用のシリコンを効率よく、かつ、安価に提供することが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の精製方法を実施する典型的な装置を
表す概略図である。
【図2】 本発明の精製方法を示す工程図である。
【図3】 精製前と精製後のボロン濃度を表す図であ
る。
【符号の説明】 1 精製炉、2 るつぼ、3 電磁誘導加熱装置、4
精製気体導入通路、5軸、6 回転体、7 精製気体吹
出し口、8 シール機構、9 精製気体導入口、10
溶融スラグ、11 精製気体、12 排気管、13 る
つぼサセプタ、14 るつぼ用断熱材、15 溶融シリ
コン、16 出湯口、17 ゲート用断熱材、18 ゲ
ート弁。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 早川 尚志 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 布居 徹 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 4G072 AA01 BB12 GG01 GG03 HH01 HH38 LL05 MM08 MM38 UU02 5F051 AA03 CB05 CB20 CB30 DA03 GA02 GA15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融シリコンからボロンなどの不純物を
    除去するシリコンの精製方法において、 溶融スラグで前記溶融シリコンを精製する工程と、 酸化性ガスを含む気体で前記溶融シリコンを精製する工
    程と、を含むことを特徴とするシリコンの精製方法。
  2. 【請求項2】 溶融シリコンからボロンなどの不純物を
    除去するシリコンの精製方法において、 酸化性ガスを含む気体で前記溶融シリコンを精製する工
    程と、 溶融スラグで前記溶融シリコンを精製する工程と、を含
    むことを特徴とするシリコンの精製方法。
  3. 【請求項3】 溶融シリコンからボロンなどの不純物を
    除去するシリコンの精製方法において、 溶融スラグで前記溶融シリコンを精製する工程と、 酸化性ガスを含む気体および溶融スラグで前記溶融シリ
    コンを精製する工程と、 酸化性ガスを含む気体で前記溶融シリコンを精製する工
    程と、を含むことを特徴とするシリコンの精製方法。
  4. 【請求項4】 酸化性ガスを含む気体、溶融スラグおよ
    び溶融シリコンからなる群より選ばれる少なくとも一つ
    を撹拌することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載のシリコンの精製方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の方法に
    より精製したシリコンを用いて製造する太陽電池。
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