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JP2003249275A - 色素増感型太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

色素増感型太陽電池およびその製造方法

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JP2003249275A
JP2003249275A JP2002046809A JP2002046809A JP2003249275A JP 2003249275 A JP2003249275 A JP 2003249275A JP 2002046809 A JP2002046809 A JP 2002046809A JP 2002046809 A JP2002046809 A JP 2002046809A JP 2003249275 A JP2003249275 A JP 2003249275A
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dye
solar cell
porous
adsorbed
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良亮 山中
Reigen Kan
礼元 韓
Takehito Mitachi
武仁 見立
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

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  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光吸収波長領域が広く、かつ光吸収量が多い
高性能な色素増感型太陽電池を提供することを課題とす
る。 【解決手段】 導電性支持体上に、吸収スペクトルにお
ける最大感度波長領域が異なる少なくとも2種類の色素
を多孔性半導体層に吸着させた多孔性光電変換層、導電
層および対極が順次積層された色素増感型太陽電池にお
いて、多孔性光電変換層が、導電性支持体と平行な層形
状で色素を吸着した多層構造であり、その少なくとも1
層が1種類の色素を吸着した層であることを特徴とする
色素増感型太陽電池により、上記の課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色素増感型太陽電
池およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発
明は、多孔性半導体層に少なくとも2種類の分光増感色
素を層状に吸着させた多孔性光電変換層を備えた、広い
光吸収波長領域を有する色素増感型太陽電池およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】色素増感型太陽電池は、有機系太陽電池
の中で高変換効率を示すため、広く注目されている。こ
の色素増感型太陽電池の構造および動作原理について、
具体的に説明する。透明支持体の表面に形成された透明
導電体上に、酸化チタンなどの多孔性半導体層を形成
し、その多孔性半導体層に分光増感色素(光増感剤とし
て機能する色素であり、単に「色素」とも称する)を吸
着させ、多孔性光電変換層を形成する。他方、対極に白
金膜などの触媒をコーティングし、多孔性半導体層と白
金膜とが対向するように透明支持体と対極とを重ね合わ
せ、その間に導電層として電解液を注入し、透明支持体
と対極の側面をエポキシ樹脂などの封止材で封止するこ
とにより、色素増感型太陽電池を得る。
【0003】このようにして得られた色素増感型太陽電
池において、多孔性半導体層と色素とからなる多孔性光
電変換層(半導体電極)に光が照射されると、多孔性光
電変換層で電子が発生し、この電子が電気回路を通って
対極に移動し、対極に移動した電子が導電層をイオンと
して移動して多孔性光電変換層に戻り、このようなサイ
クルが繰り返されることにより電気エネルギーが取り出
される。
【0004】色素増感型太陽電池において光電変換に作
用する多孔性光電変換層としては、可視光領域に吸収を
もつ色素を表面に吸着させた多孔性半導体が用いられて
いる。例えば、特許第2664194号公報には、遷移
金属錯体からなる色素を半導体表面に吸着させた金属酸
化物半導体を用いた色素増感型太陽電池が開示されてい
る。しかし、この色素増感型太陽電池は、単一の色素を
用いるために、光電交換に作用する色素の吸収波長領域
が狭く、シリコン系太陽電池と比較して光電交換効率が
低いという問題があった。
【0005】また、特開2000−243466号公報
には、複数の色素を層状に吸着させた構造の多孔性光電
変換層を有する色素増感型太陽電池が開示されている。
この色素増感型太陽電池は、次のようにして製造され
る。まず、オリゴフェニレン色素のポリフェニル(短波
長吸収:紫外光〜可視光)を酸化チタン粒子に吸着させ
乾燥させたものを、アルコールに溶解したバインダーと
混合することによりペースト化し、透明導電膜上にスク
リーン印刷により成膜し乾燥させる。その後、キサンテ
ン系色素のローダミンB(中波長吸収:可視光)を用い
て、前記と同様にしてペーストを調製し、前記の工程で
形成した膜上に成膜し乾燥させる。さらに、シアニン系
色素のIR140(長波長吸収:可視光〜赤外光)を用
いて、前記と同様にしてペーストを調製し、前記の工程
で形成した膜上に成膜し乾燥させる。このようにして、
合計3種類の色素が層状に吸着した多孔性光電変換層を
有する色素増感型太陽電池が得られる。
【0006】この色素増感型太陽電池の製造方法では、
酸化物半導体(酸化チタン)粒子に色素を吸着させ、乾
燥させた後、アルコールに溶解したバインダーと混合し
ペースト化したものを使用して成膜・乾燥させる工程を
繰り返すことにより、それぞれの色素を吸着させた酸化
物半導体層を形成している。このような製造方法では、
焼結工程を行っていないため、酸化物半導体粒子間の導
電パスに大きな抵抗が生じ、それぞれの色素が光を吸収
しても、有効に光電流を取り出すことができなかった。
また、作業工程数が多く、それに伴って用いるペースト
製造装置や成膜装置などの数が多くなることから、コス
ト高になるという問題もあった。
【0007】また、複数の色素を層状に吸着させた構造
の多孔性光電変換層を有する色素増感型太陽電池を得る
方法として、1種類の色素を吸着させた多孔性光電変換
層上に、電気化学的手法を用いて別の色素を吸着させる
方法が考えられる。しかし、最初に吸着させた色素上に
別の色素を吸着させて、2層目の光電変換層を形成する
ことになるので、異なる色素が吸着した光電変換層の接
触界面において、多孔性半導体層のキャリア輸送抵抗が
大きくなるなどの悪影響が生じ、色素増感型太陽電池の
性能の低下につながるという問題があった。また、電気
化学的手法により2層目の光電変換層を形成する際に、
先に吸着させた色素が脱着し、1層および2層とも同一
の色素が吸着するという問題があった。色素増感型太陽
電池においては、色素の光吸収範囲が限定され、可視光
から近赤外領域の太陽光を有効に吸収できないため、シ
リコン系太陽電池のように高変換効率が得られ難いとい
う問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、光吸収波長
領域が広く、かつ光吸収量が多い高性能な色素増感型太
陽電池を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を行った結果、導電性支持体上
に、吸収スペクトルにおける最大感度波長領域が異なる
少なくとも2種類の色素を多孔性半導体層に吸着させた
多孔性光電変換層、導電層および対極が順次積層された
色素増感型太陽電池において、多孔性光電変換層が、導
電性支持体と平行な層形状で色素を吸着した多層構造で
あり、その少なくとも1層が1種類の色素を吸着した層
とすることにより、光吸収波長領域が広く、かつ光吸収
量が多い高性能な色素増感型太陽電池が得られることを
見出し、本発明を完成するに到った。また、多層構造の
多孔性半導体層の一部を多孔性半導体層とは異なる化合
物を用いて形成することにより、多孔性半導体層の任意
の層領域に色素を選択的に吸着させることができること
を見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】本発明によれば、導電性支持体上に、吸収
スペクトルにおける最大感度波長領域が異なる少なくと
も2種類の色素を多孔性半導体層に吸着させた多孔性光
電変換層、導電層および対極が順次積層された色素増感
型太陽電池において、多孔性光電変換層が、導電性支持
体と平行な層形状で色素を吸着した多層構造であり、そ
の少なくとも1層が1種類の色素を吸着した層であるこ
とを特徴とする色素増感型太陽電池が提供される。
【0011】また、本発明によれば、(a)導電性支持
体上に、皮膜層を有さない半導体粒子および皮膜層を有
する半導体粒子のそれぞれからなる、多層構造の多孔性
半導体層を形成し、(b)吸収スペクトルにおける最大
感度波長領域が異なる少なくとも2種類の色素を別々に
含む溶液を調製し、得られた溶液に多孔性半導体層を浸
漬して、導電性支持体と平行な層形状で多孔性半導体層
に色素を吸着させる工程と、皮膜層を有する半導体粒子
からなる多孔性半導体層の皮膜層を除去する工程とを繰
り返して、導電性支持体と平行な層形状で色素を吸着し
た多層構造であり、その少なくとも1層が1種類の色素
を吸着した層である多孔性光電変換層を形成し、(c)
導電性支持体上の多孔性光電変換層と対極とを対向さ
せ、それらの間に導電層を充填し、(d)任意に封止材
を用いて導電層を封止して、色素増感型太陽電池を製造
することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法が
提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の色素増感型太陽電池(以
下、「太陽電池」と称する)は、導電性支持体上に、吸
収スペクトルにおける最大感度波長領域が異なる少なく
とも2種類の色素を多孔性半導体層に吸着させた多孔性
光電変換層、導電層および対極が順次積層された太陽電
池において、多孔性光電変換層が、導電性支持体と平行
な層形状で色素を吸着した多層構造であり、その少なく
とも1層が1種類の色素を吸着した層であることを特徴
とする。
【0013】本発明における「最大感度波長領域」は、
色素の光吸収スペクトルのうち、最大の吸収感度を示す
ピーク波長(最大光吸収波長)において、ピーク波長を
中心として吸収感度がピーク波長の−20%となる波長
領域、およびピーク波長を中心とする50nm幅の波長
領域のいずれか広い方を意味する。
【0014】本発明の好適な実施形態について、図面を
用いて説明する。なお、この実施形態は一例であり、種
々の形態での実施が本発明の範囲内で可能である。図1
は、本発明の太陽電池の層構成を示す要部の概略断面図
である。図中、1は透明支持体、2は透明導電体、3は
多孔性光電変換層、4は第1色素が吸着した領域、5は
第2色素が吸着した領域、6は導電層(酸化還元性電解
液)、7は対極、8は白金膜、9は封止材である。透明
支持体1と透明導電体2とを合わせて、導電性支持体1
0ともいう。
【0015】導電性支持体10と対極7は、少なくとも
一方が透明であり、金属板基板、またはガラス板および
透明プラスチックシートなどの基板上に金、銀、アルミ
ニウム、インジウム、酸化インジウムスズ(ITO膜)
および酸化スズなどの導電膜が形成されたものから構成
される。基板上に導電膜を形成する方法としては、材料
となる成分の真空蒸着法、スパッタリング法、CVD
法、PVD法などの気相法、ゾルゲル法によるコーティ
ング法などの公知の方法が挙げられる。図1における導
電性支持体10は透明であり、上記の基板からなる透明
支持体1と上記の導電膜からなる透明導電体2から構成
されている。また、対極7には、触媒として作用する白
金膜8やカーボン膜などがコーティングされていてもよ
い。
【0016】多孔性光電変換層3は、導電性支持体と平
行な層形状で、吸収スペクトルにおける最大感度波長領
域が異なる少なくとも2種類の色素を多孔性半導体層に
吸着した多層構造であり、その少なくとも1層が1種類
の色素を吸着した層である。
【0017】多孔性半導体層は、例えば、TiO2、S
nO2、ZnO、Nb26、ZrO2、CeO2、WO3
SiO2、Al23、NiO、CuAlO2、SrCu2
2などの酸化物またはこれら複合酸化物から形成さ
れ、これらの中でも酸化チタン(TiO2)が特に好ま
しい。その形態としては粒子状、膜状などが挙げられ、
導電性支持体10上に形成された膜状の多孔性半導体が
特に好ましい。
【0018】導電性支持体10上に膜状の多孔性半導体
層を形成する方法としては、特に限定されず、公知の方
法が挙げられる。具体的には、(1)半導体粒子を含有
する懸濁液を導電性支持体上に塗布し、乾燥および焼成
して多孔性半導体層を形成する方法、(2)所望の原料
ガスを用いたCVD法およびMOCVD法などにより、
導電性支持体上に多孔性半導体層を形成する方法、
(3)原料固体を用いたPVD法、蒸着法、スパッタリ
ング法などにより、導電性支持体上に多孔性半導体層を
形成する方法、(4)ゾルーゲル法、電気化学的な酸化
還元反応を利用した方法などにより、導電性支持体上に
多孔性半導体層を形成する方法などが挙げられる。
【0019】多孔性半導体層の膜厚は、特に限定される
ものではないが、光透過性、光電変換効率などの観点か
ら、0.5〜20μm程度が好ましい。また、光電変換
効率を向上させるためには、より多くの色素を多孔性半
導体層に吸着させることが必要であり、このために多孔
性半導体の比表面積は大きなものが好ましく、10〜2
00m2/g程度が好ましい。
【0020】上記の多孔性半導体層の形成方法(1)に
ついて、具体的に説明する。材料となる半導体粒子を分
散剤、溶剤などに加え、分散させて懸濁液(ペースト)
を調製し、その懸濁液を導電性支持体10上に塗布す
る。塗布方法としては、ドクターブレード法、スキージ
法、スピンコート法、スクリーン印刷法など公知の方法
が挙げられる。
【0021】その後、塗膜を乾燥および焼成することに
より、多孔性半導体層を得る。乾燥・焼成においては、
使用する導電性支持体や半導体粒子の種類により、温
度、時間、雰囲気などの条件を適宜調整する必要があ
る。焼成は、例えば、大気雰囲気下または不活性ガス雰
囲気下、50〜800℃程度の範囲内で、10秒〜12
時間程度で行うことができる。この乾燥および焼成は、
単一の温度で1回または温度を変化させて2回以上行う
ことができる。
【0022】半導体粒子としては、市販されているもの
のうち適当な平均粒径、例えば1〜500nm程度の平
均粒径を有する、前記のような酸化物または複合酸化物
の半導体粒子などが挙げられる。また、この半導体粒子
を分散するために使用される溶剤は、エチレングリコー
ルモノメチルエーテルなどのグライム系溶剤、イソプロ
ピルアルコール、テルピネオールなどのアルコール系溶
剤、イソプロピルアルコール/トルエンなどの混合溶
剤、水などが挙げられる。
【0023】多孔性半導体層に吸着して光増感剤として
機能する色素としては、種々の可視光領域および/また
は赤外光領域に吸収をもつものであって、多孔性半導体
層に色素を強固に吸着させるために、色素分子中にカル
ボン酸基、カルボン酸無水基、アルコキシ基、ヒドロキ
シル基、ヒドロキシアルキル基、スルホン酸基、エステ
ル基、メルカプト基、ホスホニル基などのインターロッ
ク基を有するものが好ましく、これらの中でも、カルボ
ン酸基およびカルボン酸無水基が特に好ましい。なお、
インターロック基は、励起状態の色素と多孔性半導体の
導電帯との間の電子移動を容易にする電気的結合を提供
するものである。
【0024】インターロック基を有する色素としては、
例えば、ルテニウムビピリジン系色素、アゾ系色素、キ
ノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色
素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシア
ニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系
色素、ポリフィリン系色素、フタロシアニン系色素、べ
リレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色
素などが挙げられる。
【0025】多孔性半導体層に色素を吸着させる方法と
しては、例えば導電性支持体上に形成された多孔性半導
体層を、色素を溶解した溶液(色素吸着用溶液)に浸漬
する方法が挙げられる。
【0026】色素を溶解させる溶剤としては、色素を溶
解するものであればよく、具体的には、エタノールなど
のアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジエチルエ
ーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセト
ニトリルなどの窒素化合物類、クロロホルムなどのハロ
ゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水
素、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチルなどの
エステル類、水などが挙げられる。これらの溶剤は2種
以上を混合して用いることもできる。
【0027】溶液中の色素濃度は、使用する色素および
溶剤の種類により適宜調整することができるが、吸着機
能を向上させるためにはできるだけ高濃度である方が好
ましい。色素濃度は、例えば5×10-5モル/リットル
以上であればよい。
【0028】本発明においては、上記の色素のうち、吸
収スペクトルにおける最大感度波長領域が異なる少なく
とも2種類が用いられ、これにより幅広い波長領域の光
を有効利用することができる。このような観点から、2
種類の色素を用いる場合、色素は、400nm以上60
0nm未満の範囲と600nm以上1000nm以下の
範囲にそれぞれ吸収スペクトルにおける最大感度波長領
域を有する色素の組み合わせが好ましい。具体的には、
630〜800nmの最大感度波長領域を有するフタロ
シアニン系色素と450〜600nmの最大感度波長領
域を有するメロシアニン系色素との組み合わせ、前記の
フタロシアニン系色素と400〜550nmの最大感度
波長領域を有するキサンテン系色素との組み合わせが代
表的なものとして挙げられる。
【0029】多孔性光電変換層は、吸収スペクトルにお
ける最大感度波長領域を短波長側に有する色素から吸収
スペクトルにおける最大感度波長領域を長波長側に有す
る色素の順に受光面側から色素を吸着しているのが好ま
しい。これにより、最大感度吸収波長領域を短波長側に
有する色素で吸収できなかった光を、最大感度吸収波長
領域を長波長側に有する色素で吸収させることができ、
幅広い波長領域の光を有効利用することができる。
【0030】理論的には、吸収スペクトルにおける最大
感度波長領域が異なる少なくとも2種類の色素がそれぞ
れ単分子レベルで層状に区別されて多孔性半導体層に吸
着されている方が、色素間の相互作用がなく、効率的に
電子注入が行われる。しかし、各色素の吸光度および各
色素を単体で用いたときの太陽電池の量子効率などによ
り変化するが、色素を混合吸着した層領域が、多孔性光
電変換層の総膜厚に対して50%以下、好ましくは10
%以下の膜厚を有する場合には、色素を混合吸着した層
領域が存在しない場合よりも、多孔性光電変換層の総膜
厚を薄くすることができる。これにより、キャリア輸送
における抵抗が低減され、より効率のよい太陽電池を得
ることができる。
【0031】本発明の太陽電池の製造方法は、(a)導
電性支持体上に、皮膜層を有さない半導体粒子および皮
膜層を有する半導体粒子のそれぞれからなる、多層構造
の多孔性半導体層を形成し、(b)吸収スペクトルにお
ける最大感度波長領域が異なる少なくとも2種類の色素
を別々に含む溶液を調製し、得られた溶液に多孔性半導
体層を浸漬して、導電性支持体と平行な層形状で多孔性
半導体層に色素を吸着させる工程と、皮膜層を有する半
導体粒子からなる多孔性半導体層の皮膜層を除去する工
程とを繰り返して、導電性支持体と平行な層形状で色素
を吸着した多層構造であり、その少なくとも1層が1種
類の色素を吸着した層である多孔性光電変換層を形成
し、(c)導電性支持体上の多孔性光電変換層と対極と
を対向させ、それらの間に導電層を充填し、(d)任意
に封止材を用いて導電層を封止して、太陽電池を製造す
ることを特徴とする。
【0032】上記の工程(a)、(b)、すなわち多孔
性半導体層の形成から導電性支持体と平行な層形状で多
孔性半導体層に色素を吸着させて、多孔性光電変換層を
形成までの方法について、具体的に説明する。以下の説
明は、半導体粒子として酸化チタン、皮膜層を形成する
化合物として酸化マグネシウム、多孔性半導体層の形成
方法として半導体粒子を分散させたペーストによるドク
ターブレード法をそれぞれ用いた例であるが、本発明は
これらに限定されるものではない。
【0033】工程(a) 導電性支持体10上の透明導電体2側に、酸化チタンペ
ーストをドクターブレード法により成膜し、得られた塗
膜を乾燥させる(層A)。その後、皮膜層を形成する化
合物として酸化マグネシウム粉末を酸化チタンに対して
5〜30wt%程度、前記の酸化チタンペーストに混入
し分散させ、さらに塩酸などによりpHを1程度に調整
することにより、混合ペーストを調製する。得られた混
合ペーストを、先に成膜した酸化チタン膜(層A)上に
同じくドクターブレード法により成膜し、得られた塗膜
を乾燥させる(層B)。その後、層Aおよび層Bからな
る酸化チタン膜を焼成することにより、透明導電体2側
に酸化チタン膜のみ、反対側に表面に酸化マグネシウム
層(皮膜層)を有する酸化チタン膜が得られる。
【0034】混合ペーストの調製時に、pHを1程度に
調整することにより、含有粒子の分散安定性が向上し、
ペースト中に酸化マグネシウム粉末が溶解する。これに
より、酸化チタン上に層状に酸化マグネシウムが形成さ
れた層Bを形成することができる。
【0035】工程(b) 色素Aを含む色素吸着用溶液に層Aおよび層Bからなる
酸化チタン膜を浸漬して、酸化チタン膜に色素Aを吸着
させる。このとき、層Aでは酸化チタン上に色素Aが吸
着され、層Bでは酸化マグネシウム上に色素Aが吸着さ
れた状態となる。その後、酸性溶液に酸化チタン膜を浸
漬し、層Bの酸化マグネシウムを溶解する。これによ
り、層B上の色素Aが除去(脱着)されることになる。
酸性溶液としては、塩酸、硝酸などが挙げられ、その濃
度は、溶解時間や使用する色素にも影響されるが、0.
2〜2N(N:規定度)程度が好ましい。
【0036】次いで、色素Bを含む色素吸着用溶液に層
Aおよび層Bからなる酸化チタン膜を浸漬して、酸化チ
タン膜に色素Bを吸着させる。これにより、層Aには色
素A(一部、色素B)が、層Bには色素Bが、導電性支
持体と平行な層形状で吸着した多層構造の多孔性光電変
換層が得られる。このように本発明においては、多層構
造の少なくとも1層が1種類の色素を吸着した層であ
り、他の層は2種類以上の色素が吸着した層であっても
よい。図1では、前者を第1色素が吸着した領域4とし
て示し、後者を第2色素が吸着した領域5として示して
いる。それぞれの色素を吸着させた後には、アセトニト
リルなどの極性溶剤やアルコール系溶剤などの有機溶媒
を用いる公知の方法により、多孔性半導体層を洗浄、乾
燥すればよい。
【0037】ここで、酸化チタン膜に吸着させる色素の
うち、受光面側の層に吸着される色素Aは吸収スペクト
ルにおける最大感度吸収波長領域が短波長側あるもの、
色素Bは吸収スペクトルにおける最大感度吸収波長領域
が長波長側にあるものを用いるのが好ましい。一般に、
最大感度吸収波長領域が短波長側にあるものは分子量
(分子の大きさ)が小さいため、この色素Aを先に酸化
チタン膜に吸着させ、層Bの酸化マグネシウムを酸性溶
液にて除去し、次いで色素Bを酸化チタン膜に吸着させ
ることにより、層A上にも色素Bが吸着されることにな
る。
【0038】半導体粒子に皮膜層を形成する方法として
は、上記のように酸化マグネシウム粉末を用いる方法以
外に、コロイド溶液や金属アルコキシドを使用して半導
体粒子表面で加水分解などを行い、皮膜層を形成する方
法もある。これらの場合、形成した酸化チタン膜を金属
アルコキシド水溶液中に浸漬し、酸化チタン粒子で金属
アルコキシドを加水分解してその表面を修飾させ、焼成
することにより酸化チタン粒子の表面に皮膜層を形成す
る。この時に使用する金属アルコキシド水溶液中にエタ
ノールを加えることにより、表面張力が低下して、酸化
チタン膜中に金属アルコキシド水溶液を効率よく浸透さ
せることができる。
【0039】皮膜層を形成する化合物としては、酸性溶
液および塩基性溶液に溶解する酸化物であれば問題な
く、具体的には酸性溶液を使用する場合には、酸化マグ
ネシウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化ニッケル、酸化モリ
ブデンなどが挙げられ、塩基性溶液を使用する場合は、
酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化鉛などが挙げられる。ま
た、上記の化合物を溶解させる酸性溶液および塩基性溶
液としては、特に限定されない。酸性溶液としては、溶
解後の陰イオンが焼結時に蒸発するものが特に好まし
く、具体的には塩酸や硝酸などが挙げられ、塩基性溶液
としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙
げられる。これらの濃度は、溶解時間や使用する色素に
も影響されるが、0.2〜2N(N:規定度)程度が好
ましい。
【0040】また、使用する色素の組み合わせにより変
化するが、皮膜層を有する半導体粒子からなる多孔性半
導体層(層B)は受光面側にあっても問題はない。具体
的には下記のような場合に適応すると効果的である。例
えば、受光面側に耐酸性が弱い色素を吸着させる場合、
酸性溶液により酸化マグネシウムを除去する際に、酸化
チタン(受光面側)に吸着した色素も酸性溶液中に溶解
することが考えられる。このような場合には、吸収スペ
クトルにおける最大感度吸収波長領域が長波長側にある
色素B、吸収スペクトルにおける最大感度吸収波長領域
が短波長側ある色素Aの順に、色素を多孔性半導体層に
吸着させればよい。すなわち、多孔性半導体層に色素B
を吸着させ、酸性溶液で酸化マグネシウムおよびそれに
吸着した色素Bを除去した後、多孔性半導体層に色素A
を吸着させる。
【0041】上記のように酸性溶液で酸化マグネシウム
およびそれに吸着された色素Bを除去する際には、層A
と層Bの界面付近に酸化マグネシウムが残留して、電気
的な界面接触が悪くなることが予測される。しかし、p
Hを1程度の酸性に調整した混合ペーストを用いて層B
を成膜し、次いで酸化チタンペーストを用いて層Aを塗
布したときには、塗布した層A近傍の層B中の酸化マグ
ネシウムが溶解するので、層Aと層Bの界面付近の酸化
チタン粒子同士は酸化マグネシウムを介さずに接触する
ようになり、前記のように予想される界面接触の悪化に
よるキャリア輸送における抵抗上昇の問題は生じない。
【0042】多孔性光電変換層3と対極7との間に充填
される導電層7は、電子、ホール、イオンを輸送できる
導電性材料から構成される。例えば、ポリカルバゾール
などのホール輸送材料;テトラニトロフロオルレノンな
どの電子輸送材料;ポリピロールなどの導電性ポリマ
ー;液体電解質、高分子電解質などのイオン導電体;ヨ
ウ化銅、チオシアン酸銅などのp型半導体が挙げられ
る。
【0043】上記の導電性材料の中でもイオン導電体が
好ましく、酸化還元性電解質を含む液体電解質が特に好
ましい。このような酸化還元性電解質としては、一般に
電池や太陽電池などにおいて使用することができるもの
であれば特に限定されない。具体的には、LiI、Na
I、KI、CaI2などの金属ヨウ化物とヨウ素の組み
合わせおよびLiBr、NaBr、KBr、CaBr2
などの金属臭化物と臭素の組み合わせが好ましく、これ
らの中でも、LiIとヨウ素の組み合わせが特に好まし
い。
【0044】また、電解質の溶剤としては、プロピレン
カーボネートなどのカーボネート化合物、アセトニトリ
ルなどのニトリル化合物、エタノールなどのアルコール
類、その他、水や非プロトン極性物質などが挙げられる
が、これらの中でも、カーボネート化合物やニトリル化
合物が特に好ましい。電解質濃度は、0.1〜1.5モ
ル/リットル程度であり、0.1〜0.7モル/リット
ル程度が好ましい。
【0045】封止材9は、導電層7を構成する材料が漏
れ出さないように太陽電池をシールできるものであれ
ば、特に限定されない。例えば、エポキシ樹脂、シリコ
ン樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。また、導電層
7を構成する材料が固体であって、太陽電池からの流出
の恐れがない場合には、封止材9は必ずしも設けなくて
もよい。
【0046】
【実施例】本発明を実施例および比較例によりさらに具
体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定
されるものではない。なお、以下の実施例および比較例
については、本発明の太陽電池の層構成を示す要部の概
略断面図である図1に基づいて説明する。図1におい
て、1は透明支持体、2は透明導電体、3は多孔性光電
変換層、4は第1色素が吸着した領域、5は第2色素が
吸着した領域、6は導電層(酸化還元性電解液)、7は
対極、8は白金膜、9は封止材である。透明支持体1と
透明導電体2とを合わせて、導電性支持体10ともい
う。
【0047】実施例1 多孔性半導体層に2種類の色素を層状に吸着させた多孔
性光電変換層を用いた太陽電池を製造し、その性能を評
価した。まず、多孔性光電変換層3の多孔性半導体層と
なる酸化チタン膜を形成する塗液として、市販の酸化チ
タンペースト(Solaronix社製、商品名:D)
を用意した。透明導電体2としてSnO2膜を形成した
ガラス基板からなる透明支持体1の透明導電膜2側に、
ドクターブレード法を用いて酸化チタンペーストを塗布
し、膜厚10μm程度、面積10mm×10mm程度の
塗膜を得た。得られた塗膜を80℃で20分間予備乾燥
した(第1層)。
【0048】次に、上記の酸化チタンペースト中に、酸
化マグネシウム粉末(キシダ化学株式会社製)を酸化チ
タンに対して10wt%混入し、塩酸でpHを1程度に
調整し、10分間攪拌した後、超音波分散を10分間行
うことにより、酸化マグネシウムを酸化チタンペースト
中に分散させた混合ペーストを得た。予備乾燥を行った
酸化チタン膜(第1層)上にドクターブレード法を用い
て得られた混合ペーストを塗布し、膜厚5μm程度の塗
膜を得た。得られた塗膜を80℃で20分間予備乾燥し
(第2層)、酸素雰囲気下、約500℃で60分間焼成
することにより、膜厚4μm程度の多孔性半導体層を得
た。
【0049】次に、吸収スペクトルにおける最大感度吸
収波長領域を短波長側に有する色素(第1色素)とし
て、式(1)で表されるメロシアニン系色素(株式会社
林原生物化学研究所製、商品名:NK2684)をエタ
ノールに溶解して、濃度4×10-4モル/リットルの第
1色素の吸着用色素溶液を調製した。この吸着用色素溶
液と上述で得られた多孔性半導体層を具備する透明支持
体1を容器に入れ、約50℃で約10分間加熱浸漬する
ことにより、多孔性半導体層に第1色素を吸着させた。
その後、無水エタノールで数回洗浄し、約60℃で約2
0分間乾燥させた。
【0050】
【化1】
【0051】第1色素を吸着させた多孔性半導体層を具
備する透明支持体1を0.5N−塩酸中に約10分間浸
漬し、第1色素が吸着した酸化マグネシウムを塩酸中に
溶解させて、酸化マグネシウムに吸着した第1色素を脱
着し、約60℃で約20分間乾燥させた。
【0052】次に、吸収スペクトルにおける最大感度吸
収波長領域が長波長側に有する色素(第2色素)とし
て、式(2)で表されるフタロシアニン系色素を使用し
た。合成手法はJ.Porphyrins Phtha
locyanines 3,230−237(199
9)に記載の手法を使用した。式(2)で表されるフタ
ロシアニン系色素をジメチルホルムアミドに溶解して、
濃度4×10-4モル/リットルの第2色素の吸着用色素
溶液を調製した。この吸着用色素溶液と上述で得られた
多孔性半導体層を具備する透明支持体1を容器に入れ、
室温、常圧で約15分間浸漬することにより、多孔性半
導体層に第2色素を吸着させた。その後、無水エタノー
ルで数回洗浄し、約60℃で約20分間乾燥させた。
【0053】
【化2】
【0054】次に、3−メトキシプロピオニトリル溶媒
に、ジメチルプロピルイミダゾリウムヨージドが濃度
0.5モル/リットル、ヨウ化リチウムが濃度0.1モ
ル/リットル、ヨウ素が濃度0.05モル/リットルに
なるように溶解させて、酸化還元性電解液を調製した。
第1色素と第2色素を吸着させた多孔性光電変換層3を
具備した透明支持体1の多孔性光電変換層3側と、対向
電極層8として白金膜を具備したITOガラスからなる
対極7の白金膜側とが対向するように設置し、その間に
調製した酸化還元性電解液を注入し、周囲をエポキシ系
樹脂の封止材9により封止して、太陽電池を完成した。 得られた太陽電池を測定条件:AM−1.5(100m
W/cm2)で評価したところ、電流値(Jsc):1
0.1mA/cm2であった。
【0055】比較例1 多孔性半導体層3に吸着させる色素として、実施例1の
第1色素である式(1)で表されるメロシアニン系色素
のみを使用すること以外は、実施例1と同様にして太陽
電池を製造し、評価した。得られた太陽電池は、電流
値:8.5mA/cm2であった。
【0056】比較例2 多孔性半導体層3に吸着させる色素として、実施例1の
第2色素である式(2)で表されるフタロシアニン系色
素のみを使用すること以外は、実施例1と同様にして太
陽電池を製造し、評価した。得られた太陽電池は、電流
値:2.7mA/cm2であった。
【0057】以上の結果から、本発明の太陽電池(実施
例1)は、単一色素のみを用いた太陽電池(比較例1お
よび比較例2)よりも、広範囲の光を吸収する(光を有
効に利用する)ことができ、高い光電変換効率を有する
ことがわかる。
【0058】実施例2 多孔性光電変換層3の多孔性半導体層となる酸化チタン
膜の第1層と第2層の成膜順序を変えること以外は、実
施例1と同様にして多孔性光電変換層3を形成した。す
なわち、膜厚6μmの酸化マグネシウム皮膜を行った酸
化チタン膜(第1層)と、膜厚10μmの酸化チタン膜
(第2層)を得た。多孔性半導体層の第1層に吸着させ
る第1色素として、式(3)で表されるキサンテン系色
素(ACROS社製、商品名:EOSIN−Y)を使用
すること以外は、実施例1と同様にして太陽電池を製造
し、評価した。つまり、多孔性半導体層の第2層に吸着
させる第2色素としては、実施例1と同様にして式
(2)で表されるフタロシアニン色素を使用した。
【0059】
【化3】
【0060】得られた太陽電池を測定条件:AM−1.
5(100mW/cm2)で評価したところ、電流値:
3.8mA/cm2であった。
【0061】比較例3 多孔性半導体層3に吸着させる色素として、実施例2の
第2色素である式(3)で表されるキサンテン系色素の
みを使用すること以外は、実施例1と同様にして太陽電
池を製造し、評価した。得られた太陽電池は、電流値:
1.2mA/cm2であった。
【0062】以上の結果から、本発明の太陽電池(実施
例2)は、単一色素のみを用いた太陽電池(比較例2お
よび比較例3)よりも、広範囲の光を吸収する(光を有
効に利用する)ことができ、高い光電変換効率を有する
ことがわかる。
【0063】実施例3 実施例1と同様にして、酸化チタンペーストを塗布し、
第1層として酸化チタン多孔性膜を形成した。次に、容
量比1:1のイオン交換水とエタノールとの混合溶媒中
に、ニオブ(V)エトキシド(キシダ化学株式会社製)
を濃度0.1モル/リットルになるように添加して、皮
膜層形成用溶液を調製した。この溶液中に酸化チタン多
孔性膜を常温で30分間浸透させた後、酸素雰囲気下、
500℃で30分間焼成することにより、酸化チタン多
孔性膜上に酸化ニオブ皮膜を形成した。その後、酸化チ
タン多孔性膜を形成し、実施例2と同様にして太陽電池
を製造し、評価した。ただし、酸化ニオブを除去する際
に、0.5N−水酸化ナトリウム溶液を使用した。この
場合、酸化ニオブを除去した後に、酸化チタン多孔性膜
中にナトリウムイオンが残存する可能性があるため、イ
オン交換水で十分に洗浄した後、第2色素の吸着を行っ
た。得られた太陽電池は、電流値:3.6mA/cm2
であった。
【0064】
【発明の効果】本発明の太陽電池は、多孔性半導体層に
吸着させて多孔性光電変換層を形成する色素として、吸
収スペクトルにおける最大感度波長領域が異なる少なく
とも2種類の色素を用いるので、従来の太陽電池と比較
して、光吸収波長領域が広く、かつ光吸収量が多い高性
能な太陽電池を提供することができる。
【0065】また、本発明の太陽電池の製造方法は、そ
の一部を他の化合物でコーティングした多孔性半導体層
に色素を吸着させるので、多孔性半導体層に部分的に、
かつ層状に色素を吸着させることができる。したがっ
て、別の色素の混入吸着が避けれられた、すなわち単一
色素が吸着した少なくとも1層の多孔性半導体層と、色
素が混合吸着した多孔質半導体層との多層構造を有する
太陽電池が得られるので、多孔性半導体層の総膜厚を薄
くすることができ、キャリア輸送における抵抗を低減で
き、高性能な太陽電池の作製を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の色素増感型太陽電池の層構成を示す要
部の概略断面図である。
【符号の説明】
1 透明支持体 2 透明導電体 3 多孔性光電変換層 4 第1色素が吸着した領域 5 第2色素が吸着した領域 6 導電層(酸化還元性電解液) 7 対極 8 白金膜 9 封止材 10 導電性支持体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 見立 武仁 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 5F051 AA14 BA13 CB13 DA20 FA03 GA03 HA20 5H032 AA06 AS06 AS16 EE02 EE16 HH07

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に、吸収スペクトルにお
    ける最大感度波長領域が異なる少なくとも2種類の色素
    を多孔性半導体層に吸着させた多孔性光電変換層、導電
    層および対極が順次積層された色素増感型太陽電池にお
    いて、多孔性光電変換層が、導電性支持体と平行な層形
    状で色素を吸着した多層構造であり、その少なくとも1
    層が1種類の色素を吸着した層であることを特徴とする
    色素増感型太陽電池。
  2. 【請求項2】 多孔性光電変換層が、吸収スペクトルに
    おける最大感度波長領域を短波長側に有する色素から吸
    収スペクトルにおける最大感度波長領域を長波長側に有
    する色素の順に受光面側から色素を吸着している請求項
    1に記載の色素増感型太陽電池。
  3. 【請求項3】 (a)導電性支持体上に、皮膜層を有さ
    ない半導体粒子および皮膜層を有する半導体粒子のそれ
    ぞれからなる、多層構造の多孔性半導体層を形成し、
    (b)吸収スペクトルにおける最大感度波長領域が異な
    る少なくとも2種類の色素を別々に含む溶液を調製し、
    得られた溶液に多孔性半導体層を浸漬して、導電性支持
    体と平行な層形状で多孔性半導体層に色素を吸着させる
    工程と、皮膜層を有する半導体粒子からなる多孔性半導
    体層の皮膜層を除去する工程とを繰り返して、導電性支
    持体と平行な層形状で色素を吸着した多層構造であり、
    その少なくとも1層が1種類の色素を吸着した層である
    多孔性光電変換層を形成し、(c)導電性支持体上の多
    孔性光電変換層と対極とを対向させ、それらの間に導電
    層を充填し、(d)任意に封止材を用いて導電層を封止
    して、色素増感型太陽電池を製造することを特徴とする
    色素増感型太陽電池の製造方法。
  4. 【請求項4】 半導体粒子が、酸化チタン粒子である請
    求項3に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
  5. 【請求項5】 皮膜層が、酸化マグネシウム、酸化亜
    鉛、酸化銅、酸化ニッケル、酸化モリブデンから選択さ
    れる化合物からなる層であり、かつ工程(b)におい
    て、酸性溶液に多孔性半導体層を浸漬することにより多
    孔性半導体層の皮膜層を溶解除去する請求項3または4
    に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
  6. 【請求項6】 皮膜層が、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化
    鉛から選択される化合物からなる層であり、かつ工程
    (b)において、塩基性溶液に多孔性半導体層を浸漬す
    ることにより多孔性半導体層の皮膜層を溶解除去する請
    求項3または4に記載の色素増感型太陽電池の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 工程(b)において、吸収スペクトルに
    おける最大感度波長領域を短波長側に有する色素から吸
    収スペクトルにおける最大感度波長領域を長波長側に有
    する色素の順に受光面側から色素を多孔性光電変換層に
    吸着する請求項3〜6のいずれか1つに記載の色素増感
    型太陽電池の製造方法。
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