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JP2002540127A - コレステロールのレベルをもたらすための組成物および方法 - Google Patents

コレステロールのレベルをもたらすための組成物および方法

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JP2002540127A
JP2002540127A JP2000607588A JP2000607588A JP2002540127A JP 2002540127 A JP2002540127 A JP 2002540127A JP 2000607588 A JP2000607588 A JP 2000607588A JP 2000607588 A JP2000607588 A JP 2000607588A JP 2002540127 A JP2002540127 A JP 2002540127A
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lipg
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polypeptide
vector
cholesterol
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JP2000607588A
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マイケル ジェイ,
ケビン ジェイ. リンチ,
ディリップ ブイ. アミン,
キム−アン チ ドーン,
ドーン マーチャディア,
シリル モージエ,
ダニエル ジェイ. レイダー,
ジョン エイ. クローイエック,
ビクトリア ジェイ. サウス,
Original Assignee
アベンティス ファーマスーティカルズ プロダクツ インコーポレイテッド
ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルベニア
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、患者においてHDLコレステロールおよびアポリポタンパク質AIのレベルを上昇させるため、そして患者においてVLDLコレステロールおよびLDLコレステロールのレベルを低下させるための、組成物および方法に関する。この組成物および方法は、遺伝子LIPGの発現をもたらす組成物および方法を含み、この遺伝子は、トリアシルグリセロールリパーゼファミリーのメンバーであるリパーゼ酵素をコードするか、またはこの酵素の酵素的活性をもたらす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本出願は、1999年3月26日に出願した米国出願第09/277,401
号に対する優先権を主張し、そしてこの出願の一部継続出願である。米国出願第
09/277,401号は、1997年12月5日に出願した米国出願第08/
985,492号の一部継続出願である。米国出願第08/985,492号は
、米国特許法第119条(e)の下の仮出願第60/032,254号および第
60/032,783号の利益を主張する。仮出願第60/032,254号お
よび第60/032,783号は両方とも、1996年12月6日に出願した。
これらの出願の開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】 (発明の分野) 本発明は、患者における高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールおよ
びアポリポタンパク質AIのレベルを上昇させるための方法および組成物、なら
びに患者における超低密度リポタンパク質(VLDL)コレステロールおよび低
密度リポタンパク質(LDL)コレステロールのレベルを低下させるための方法
および組成物に関する。本発明は、その範囲内に、遺伝子LIPGの発現を低下
させるかまたはその活性を阻害する、方法および組成物を含む。LIPGは、H
DLコレステロールおよびアポリポタンパク質AIのレベルを低下させるリパー
ゼ酵素をコードする。本発明はさらに、その範囲内に、リパーゼ酵素の発現を増
加させるかまたはその活性を増強して、VLDLコレステロールおよびLDLコ
レステロールのレベルの低下をもたらす、方法および組成物を含む。
【0003】 (脂質) 脂質は、水不溶性の有機生体分子であり、これは、エネルギーの貯蔵、輸送お
よび代謝、ならびに膜の構造および流動性を含む、多様な生物学的機能の必須成
分である。脂質は、ヒトおよび他の動物における2つの供給源に由来する:いく
つかの脂質は食物脂肪および油として摂取され、他の脂質は、ヒトまたは動物に
よって生合成される。哺乳動物では、体重の少なくとも10%が脂質であり、そ
の大部分は、トリアシルグリセロールの形態である。
【0004】 トリアシルグリセロールは、トリグリセリドおよびトリアシルグリセリドとし
ても公知であり、グリセロールに対してエステル化された3つの脂肪酸から構成
される。食物トリアシルグリセロールは、脂肪組織内にエネルギー源として貯蔵
されるか、または消化管内でトリアシルグリセロールリパーゼによって加水分解
される。トリアシルグリセロールリパーゼのうち最も重要であるのは、膵臓リパ
ーゼである。トリアシルグリセロールは、リポタンパク質の形態で組織間を輸送
される。
【0005】 リポタンパク質は、種々の比率の異なる型の脂質およびタンパク質(アポタン
パク質と呼ばれる)を含む、血漿中に見出されるミセル様集合体である。5つの
主なクラスの血漿リポタンパク質が存在する。これらの血漿リポタンパク質の主
な機能は、脂質輸送である。これらのクラスは、密度が増加する順番で、以下の
通りである:カイロミクロン;超低密度リポタンパク質(VLDL);中間密度
リポタンパク質(IDL);低密度リポタンパク質(LDL);および高密度リ
ポタンパク質(HDL)。多くの型の脂質が、各々のリポタンパク質クラスに関
連して見出されているが、各々のクラスは、主に1つの型の脂質を輸送する:上
記のトリアシルグリセロールは、カイロミクロン、VLDLおよびIDLで輸送
される;一方、リン脂質およびコレステロールエステルはそれぞれ、HDLおよ
びLDLで輸送される。
【0006】 リン脂質は、ホスフェートに結合した極性基を含むグリセロールホスフェート
の二脂肪酸エステルである。リン脂質は、細胞膜の重要な構造成分である。リン
脂質は、ホスホリパーゼと呼ばれる酵素によって加水分解される。代表的なリン
脂質であるホスファチジルコリンは、大部分の真核生物細胞膜の主な成分である
【0007】 コレステロールは、ステロイドホルモンおよび胆汁酸の代謝前駆体、ならびに
細胞膜の必須の構成要素である。ヒトおよび他の動物では、コレステロールは、
食物において摂取され、そして肝臓および他の組織によっても合成される。食物
コレステロールは、血液中の大きなリポタンパク質分子によって腸から肝臓へと
輸送される。肝臓は、超低密度リポタンパク質(VLDL)を分泌する。VLD
Lは、コレステロールおよびコレステロールエステルならびに種々の他の化合物
を血流中へと輸送する。VLDLは、脂肪組織において部分的に低密度リポタン
パク質(LDL)へと変換される。LDLは、遊離のコレステロールおよびエス
テル化したコレステロールの両方を身体組織へと輸送する。高密度リポタンパク
質(HDL)は、コレステロールを肝臓へと輸送して、ここでコレステロールが
分解および排出される。
【0008】 膜は、全ての生存細胞を取り囲み、そして細胞内区画と細胞外区画との間の障
壁として役立つ。膜はまた、真核生物核を取り囲み、小胞体を構成し、そして例
えば、軸索を取り囲むミエリン鞘において特殊化された機能を務める。代表的な
膜は、約40%の脂質および60%のタンパク質を含むが、かなりの変動がある
。主な脂質成分は、リン脂質(特にホスファチジルコリンおよびホスファチジル
エタノールアミン)ならびにコレステロールである。膜の物理化学的特性(例え
ば、流動性)は、リン脂質の脂肪酸プロフィールまたはコレステロール含量のい
ずれかの改変によって変更され得る。膜脂質の組成および組織を調節することは
また、膜依存性細胞機能(例えば、レセプター活性、エンドサイトーシスおよび
コレステロールの流れ)を調節する。
【0009】 (酵素) トリアシルグリセロールリパーゼは、身体における脂質代謝においていくつか
の中心的な役割を果たす酵素ファミリーである。ヒトトリアシルグリセロールリ
パーゼファミリーの3つのメンバーが記載されている:膵臓リパーゼ、リポタン
パク質リパーゼおよび肝臓リパーゼ(Goldberg,I.J.,Le,N.
−A.,Ginsberg,H.N.,Krauss,R.M.およびLind
gren,F.T.(1988)J.Clin.Invest.81,561−
568;Goldberg,I.J.,Le,N.,Paterniti J.
R.,Ginsberg,H.N.,Lindgren,F.T.およびBro
wn,W.V.(1982)J.Clin.Invest.70,1184−1
192;Hide,W.A.,Chan,L.およびLi,W.−H.(199
2)J.Lipid.Res.33,167−178)。膵臓リパーゼは、食物
脂質の加水分解を主に担う。膵臓リパーゼの改変体が記載されているが、それら
の生理学的役割は決定されていない(Giller,T.,Buchwald,
P.,Blum−Kaelin,D.およびHunziker,W.(1992
)J.Biol.Chem.267,16509−16516)。リポタンパク
質リパーゼは、身体中でのトリグリセリドの分配および利用を担う主な酵素であ
る。リポタンパク質リパーゼは、カイロミクロンおよびVLDLの両方における
トリグリセリドを加水分解する。肝臓リパーゼは、IDLおよびHDLにおける
トリグリセリドを加水分解し、そしてリポタンパク質再編を担う。肝臓リパーゼ
はまた、ホスホリパーゼとして機能し、そしてHDLにおけるリン脂質を加水分
解する。
【0010】 ホスホリパーゼは、リポタンパク質のリン脂質成分ならびに膜のリン脂質の異
化および再編において重要な役割を果たす。ホスホリパーゼはまた、アラキドン
酸の放出、およびその後のプロスタグランジン、ロイコトリエンおよび種々の炎
症プロセスに関与する他の脂質の形成において役割を果たす。
【0011】 上記のリパーゼは約450アミノ酸長であり、そして分泌を促進するリーダー
シグナルペプチドを有する。リパーゼは、2つの主なドメインから構成される(
Winkler,K.,D’Arcy,A.およびHunziker,W.(1
990)Nature 343,771−774)。アミノ末端ドメインは触媒
部位を含むが、カルボキシルドメインは基質結合、補因子会合および細胞レセプ
ターとの相互作用を担うと考えられる(Wong,H.,Davis,R.C.
,Nikazy,J.,Seebart,K.E.およびSchotz,M.C
.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88,112
90−11294;van Tilbeurgh,H.,Roussel,A.
,Lalouel,J.−M.およびCambillau,C.(1994)J
.Biol.Chem.269,4626−4633;Wong,H.,Dav
is,R.C.,Thuren,T.,Goers,J.W.,Nikazy,
J.,Waite,M.およびSchotz,M.C.(1994)J.Bio
l.Chem.269,10319−10323;Chappell,D.A.
,Inoue,I.,Fry,G.L.,Pladet,M.W.,Bowen
,S.L.,Iverius,P.H.,Lalouel,J.−M.およびS
trickland,D.K.(1994)J.Biol.Chem.269,
18001−18006)。ファミリーのメンバーの間のアミノ酸相同性の全体
的レベルは22%〜65%であり、相同性の高い局所領域は、酵素機能に結び付
けられる構造的類似性に対応する。
【0012】 天然に存在するリポタンパク質リパーゼは、グリコシル化されている。グリコ
シル化は、LPL酵素活性に必要である(Semenkovich,C.F.,
Luo,C.−C.,Nakanishi,M.K.,Chen,S.−H.,
Smith,L C.およびChan L.(1990)J.Biol.Che
m.265,5429−5433)。肝臓リパーゼおよびリポタンパク質リパー
ゼにおけるN結合型グリコシル化のための2つの部位、ならびに膵臓リパーゼに
おける1つのN結合型グリコシル化のための部位が存在する。さらに、4つのセ
ットのシステインは、酵素活性のために構造的統合性を維持する際に必須である
、ジスルフィド架橋を形成する(Lo,J.−Y.,Smith,L.C.およ
びChan,L.(1995)Biochem.Biophys.Res.Co
mmun.206,266−271;Brady,L.,Brzozowski
,A.M.,Derewenda,Z.S.,Dodson,E.,Dodso
n G.,Tolley,S.,Turkenburg,J.P.,Chris
tiansen,L.,Huge−Jensen B.,Norskov,L.
,Thim,L.およびMenge,U.(1990)Nature 343,
767−770)。
【0013】 トリアシルグリセロールリパーゼファミリーのメンバーは、多数の保存された
構造的特徴を共有する。1つのこのような特徴は、「GXSXG」モチーフであ
り、このモチーフでは、中心のセリン残基が、「触媒性三つ組(catalyt
ic triad)」を含む3つの残基のうちの1つである(Winkler,
K.,D’Arcy,A.およびHunziker,W.(1990)Natu
re 343,771−774;Faustinella,F.,Smith,
L.C.およびChan,L.(1992)Biochemistry 31,
7219−7223)。保存されたアスパラギン酸残基およびヒスチジン残基は
、触媒性三つ組の平衡を構成する。19〜23アミノ酸の短いスパン(span
)(「リド(lid)領域」)は、両親媒性ヘリックス構造を形成し、そして酵
素の触媒ポケットを覆う(Winkler,K.,D’Arcy,A.およびH
unziker,W.(1990)Nature 343,771−774)。
この領域は、このファミリーのメンバーの間でかなり多様である。このスパンが
、この酵素に対して基質特異性を付与することが近年決定された(Dugi,K
.A.,Dichek H.L.およびSantamarina−Fojo,S
.(1995)J.Biol.Chem.270,25396−25401)。
肝臓リパーゼとリポタンパク質リパーゼとの間の比較は、これらの酵素のトリア
シルグリセロールリパーゼ活性およびホスホリパーゼ活性における相違が部分的
に、このふた領域によって媒介されることを実証した(Dugi,K.A.,D
ichek H.L.およびSantamarina Fojo,S.(199
5)J.Biol.Chem.270,25396−25401)。
【0014】 トリアシルグリセロールリパーゼは、種々の程度のヘパリン結合活性を保有す
る。リポタンパク質リパーゼは、ヘパリンについての最大の親和性を有する。こ
の結合活性は、アミノ末端ドメインにおいて正に荷電した残基のストレッチに対
してマッピングされている(Ma,Y.,Henderson,H.E.,Li
u,M.−S.,Zhang,H.,Forsythe,I.J.,Clark
e−Lewis,I.,Hayden,M.R.およびBrunzell,J.
D.J.Lipid Res.35,2049−2059)。内皮表面に対する
リポタンパク質リパーゼの局在化(Cheng,C.F.,Oosta,G.M
.,Bensadoun,A.およびRosenberg,R.D.(1981
)J.Biol.Chem.256,12893−12896)は、主に表面プ
ロテオグリカンに対する結合を通して媒介される(Shimada K.,Gi
ll,P.J.,Silbert,J.E.,Douglas,W.H.J.お
よびFanburg,B.L.(1981)J.Clin.Invest.68
,995−1002;Saxena,U.,Klein,M.G.およびGol
dberg,I.J.(1991)J.Biol.Chem.266,1751
6−17521;Eisenberg,S.,Sehayek,E.,Oliv
ecrona,T.およびVlodavsky,I.(1992)J.Clin
Invest.90,2013−2021)。LDLと細胞表面との間で架橋
として作用して、酵素がLDL取り込みを加速するのを可能にするのは、この結
合活性である(Mulder,M.,Lombardi,P.,Jansen,
H.,vanBerkel T.J.,Frants R.R.およびHave
kes,L.M.(1992)Biochem.Biophys.Res.Co
mm.185,582−587;Rutledge,J.C.およびGoldb
erg,I.J.,(1994)J.Lipid Res.35.1152−1
160;Tsuchiya,S.,Yamabe,M.,Yamaguchi,
T.,Kobayashi,Y.,Konno,T.およびTada,K.(1
980)Int.J.Cancer 26,171−176)。
【0015】 リポタンパク質リパーゼおよび膵臓リパーゼはいずれも、コアクチベーター(
co−activator)タンパク質(リポタンパク質リパーゼについてのア
ポリポタンパク質CII;および膵臓リパーゼについての補リパーゼ)と関連し
て機能することが公知である。
【0016】 ヒト膵臓リパーゼ、肝臓リパーゼおよびリポタンパク質リパーゼをコードする
遺伝子配列が報告されている(それぞれ、Genbank登録#M93285、
#J03540および#M15856)。ヒト肝臓リパーゼおよび膵臓リパーゼ
のメッセンジャーRNAは、それぞれ、長さが約1.7キロベースおよび1.8
キロベースである。3.6キロベースおよび3.2キロベースの2つのmRNA
転写物は、ヒトリポタンパク質リパーゼ遺伝子から産生される。これらの2つの
転写物は、代替ポリアデニル化シグナルを利用し、そしてそれらの翻訳効率にお
いて異なる(Ranganathan,G.,Ong,J.M.,Yukht,
A.,Saghizadeh,M.,Simsolo,R.B.,Pauer,
A.およびKern,P.A.(1995)J.Biol.Chem.270,
7149−7155)。
【0017】 (生理学的プロセス) 脂質の代謝には、脂質、アポタンパク質、リポタンパク質、および酵素の相互
作用が関わる。
【0018】 肝臓のリパーゼおよびリポタンパク質リパーゼは、リポタンパク質およびリン
脂質の結合、取り込み、異化、および再構築を媒介する多機能タンパク質である
。リポタンパク質リパーゼおよび肝臓のリパーゼは、末梢組織および肝臓のそれ
ぞれにおいて、内皮細胞の管腔の表面に結合しながら機能する。両方の酵素は、
逆向きのコレステロール輸送(これは、身体からの排出または再利用のいずれか
のための、末梢組織から肝臓へのコレステロールの移動である)に関与する。肝
臓のリパーゼおよびリポタンパク質リパーゼの両方における遺伝的欠損は、リポ
タンパク質代謝の家族性障害の原因であることが知られている。リポタンパク質
の代謝における欠損は、重篤な代謝障害を生じ、この障害には、高コレステロー
ル血症、高脂質血症、およびアテローム性動脈硬化症が含まれる。
【0019】 (報告された発生) アテローム性動脈硬化症は、複合的な、多遺伝子性疾患であり、これは、血管
壁(とりわけ、大きな動脈(大動脈、冠状動脈、頸動脈))における脂質および
他の血管誘導体の沈着物(脂質プラークまたは線維脂肪プラーク)による組織学
的用語において規定される。アテローム性動脈硬化症のプロセスの進行の度合い
に従って、より多くまたはより少なく石灰化されているこれらのプラークは、傷
害と連関され得、そして本質的にコレステロールエステルからなる脂肪沈着物の
血管中での蓄積に関連する。これらのプラークには、血管壁の肥厚、平滑筋の肥
大、泡沫細胞の外見(補充されたマクロファージによる制御されないコレステロ
ールの取り込みから生じる脂質を積んだ細胞)、および線維組織の蓄積が付随す
る。じゅく状斑は、壁から顕著に突出する。このことは、アテローム、血栓症、
または塞栓症(これらは、最も影響を受ける患者において起こる)による血管の
閉塞の原因である狭窄の性質をじゅく状斑に与える。これらの傷害は、重篤な心
臓血管の病理(例えば、梗塞形成、突然死、心不全、および発作)をもたらし得
る。
【0020】 (高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールレベルおよびアテローム性
動脈硬化症疾患) 高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールレベルは、心臓血管疾患の危
険性と逆比例する(Gordonら、N.Engl.J.Med.、321、1
311−1316(1989))。HDLコレステロールレベルにおける少なく
とも50%の変動が、遺伝的に決定された(Breslow,J.L、The
Metabolic Basis of Inhereited Diseas
e、2031−2052、McGraw−Hill、New York(199
5);Hellerら、N.Engl.J.Med.、328、1150−11
56(1993))が、HDLレベルの変動の原因である遺伝子は、十分に説明
されていない。リポタンパク質リパーゼ(LPL)および肝臓のリパーゼ(HL
)は、トリアシルグリセロール(TG)リパーゼファミリーの2つのメンバーで
あり、両方がHDL代謝に影響を与え(Breslow、前出;Murthyら
、Pharmacol.Ther.70、101−135(1996);Gol
dberg,J.I.、J.Lipid Res.、37、693−707(1
996);Bensadounら、Curr.Opin.Lipidol.、7
、77−81(1996))、そしてHL(LIPC)遺伝子座は、ヒトにおけ
るHDLコレステロールレベルの変動に関連する(Cohenら、J.Clin
.Invest.、94、2377−2384(1994);Guerraら、
Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94、4532−4537(
1997))。HDLコレステロールについての正常な範囲は、約35〜65m
g/dLであり、そしてHDLレベルは、全コレステロールの25%より多くを
占めるはずである。
【0021】 (超低密度リポタンパク質(VLDL)コレステロールレベルおよび低密度リ
ポタンパク質(LDL)コレステロールレベルならびにアテローム性動脈硬化症
疾患) 高レベルの循環しているLDLコレステロールおよびVLDLコレステロール
は、アテローム性動脈硬化症の危険性の増加と関連する。
【0022】 VLDLは、LDLの前駆体である。より低い血漿のVLDLコレステロール
レベルおよびLDLコレステロールレベルは、これらの脂質パラメーターと冠状
動脈心臓疾患との間の既知の強力な関係ゆえに、非常に望ましい。
【0023】 疫学的研究は、LDLコレステロールの上昇と、冠状動脈心臓疾患(CHD)
および他のアテローム性血管疾患との間の強力な関連性を実証する(Kenne
ll,W.B.Am.J.Cardiol.、76、69C−77C(1995
))。スタチンを用いて実行する3つの主要な二次的な予防試験は、LDLコレ
ステロールレベルの低下が、CHD事象および全体の死亡率における有意な低下
を生じることを実証した(Scandinavian Simvastatin
Survival Study Group、Lancet、344、138
3−1389(1994);Sacksら、N.Engl.J.Med.、33
5、1001−1009(1996);Tonkinら、N.Engl.J.M
ed.、339、1349−1357(1998);Grundy,S.M.、
Circulation、1436−1439(1998))。スタチンを用い
る大規模な2つの一次予防試験もまた、心臓血管事象の減少におけるスタチンに
よるLDLコレステロール減少の有意な利点を実証した(Grundy、前出;
Shepherdら、N.Engl.J.Med.、333、1301−130
7(1995);Downsら、JAMA、279、1615−1622(19
98))。しかし、現在の治療法は、すべての人においてLDLコレステロール
レベルを十分に低下させない。VLDLコレステロールレベルもまた、CHDの
危険性の増加に関連することが認識されてきた(Kannel、前出)。現在の
治療法は、VLDLコレステロールの減少においてLDLコレステロールと同程
度に高い効果を有しない。従って、LDLコレステロールおよびVLDLコレス
テロールの両方を減少するための新規なアプローチがなお必要とされる。
【0024】 理想的には、VLDLコレステロールについての範囲は、約1〜30mg/d
Lであり、そしてLDLコレステロールについての範囲は、約60〜160mg
/dLである。LDL対HDLの比は、理想的には3.5未満である。
【0025】 (アテローム性動脈硬化症疾患におけるトリアシルグリセロールリパーゼの役
割) 血管病理(例えば、アテローム性動脈硬化症)におけるトリアシルグリセロー
ルリパーゼの役割は、熱心な研究の分野であった(Olivecrona,G.
およびOlivecrona,T.(1995)Curr.Opin.Lipi
d.6、291−305において概説されている)。一般的には、リポタンパク
質リパーゼの作用は、抗アテローム発生性であると考えられている。なぜなら、
この酵素は、血清トリアシルグリセロールレベルを下げ、そしてHDL形成を促
進するからである。ヒトリポタンパク質リパーゼを発現するトランスジェニック
動物は、低下したレベルの血漿トリグリセリドおよび増加したレベルの高密度リ
ポタンパク質(HDL)を有する(Shimada,M.、Shimano,H
.、Gotoda,T.,Yamamoto,K.、Kawamura,M..
、Inaba,T.、Yazaki,T.、およびYamada,N.(199
3)J.Biol.Chem.268,17924−17929;Liu,M.
−S.、Jirik,F.R.、LeBoeuf,R.C.、Henderso
n,H.、Castellani,L.W.、Lusis,A.、ma,Y.、
Forsythe,I.J.、Zhang,H.、Kirk,E.、Brunz
ell,J.D.、およびHayden,M.R.(1994)J.Biol.
Chem.269、11417−11424)。リポタンパク質リパーゼ活性の
レベルの低下を生じる遺伝的欠損を有するヒトは、高トリグリセリド血症を有す
ることが見出されてきたが、冠状動脈心臓疾患の危険性の増加はなかった。この
ことは、内皮下の領域に蓄積し得る中間の大きさの、アテローム発生性リポタン
パク質の産生の欠如に起因すると報告されている(Zilversmit,D.
B.(1973)Circ.Res.33、633−638)。
【0026】 リポタンパク質リパーゼ(LPL)とは対称的に、HLの生理機能は、リポタ
ンパク質残余物およびHDLの代謝に関連するようである(Bensadoum
ら、Curr.Opin.Lipidol.、7、77−81(1996))。
HLの遺伝的欠乏は、ヒト(Hegeleら、Arterioscler.Th
romb.13、720−728(1993))および変異マウス(Homan
icsら、J.Biol.Biol.、270、2974−2980(1995
))における残余物およびHDLコレステロールの中程度に増加したレベルと関
連する。増加した血漿コレステロールレベルに関わらず、HL欠乏は、apoE
変異マウスにおけるアテローム性動脈硬化症の減少に関連する(Medzdou
rら、J.Biol.Chem.、272、13570−13575(1997
))HLを過剰発現するトランスジェニック動物は、HDLを減少した(Bus
chら、J.Biol.Chem.、269、16376−16382(199
4);Fanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、91、87
24−8728(1994))。ヒトにおける増加したHL活性は、低いHDl
コレステロールに関連する。染色体15q21上のHL遺伝子座は、ヒトにおけ
る血漿HDLコレステロールレベルの変動に関連する(Cohenら、J.Cl
in.Invest.94、2377〜2384(1994);Guerraら
、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94、4532−4537
(1997))が、HDLコレステロールレベルの変動に対する遺伝的寄与の一
部のみを説明する。ヒトにおけるHDLコレステロールレベルに影響を与える少
なくとも1つの主要な遺伝子座が存在し、この遺伝子座は、HL遺伝子座とは別
個である(Mahaneyら、Arterioscler.Thromb.Va
sc.Biol.、15、1730−1739(1995))。
【0027】 アテローム性動脈硬化症傷害の局在化領域において、リパーゼ活性のレベルの
増加は、アテローム発生プロセスを加速すると仮定されている(Zilvers
mit,D.B.(1995)Clin.Chem.41、153−158;Z
ambon,A.、Torres,A.、Bijvoet,S.、Gagne,
C.、Moojani,S.Lupien,P.J.、Hayden M.R.
、およびBrunzell,J.D.(1993)Lancet 341、11
19−1121)。このことは、リパーゼによって媒介される血管組織によるリ
ポタンパク質の結合および取り込みの増加に起因し得る(Eisenberg,
S.、Sehayek,E.、Olivecrona,T.、Vlodavsk
y,I.(1992)J.Clin.Invest.90、2013−2021
;Tabas,I.、Li、I.、Brocia R.W.、Xu,S.W.、
Swenson T.L.Williams,K.J.(1993)J.Bio
l.Chem.268、20419−20432;Nordestgaard,
B.G.およびNielsen,A.G.(1994)Curr.Opin.L
ipid.5、252−257;Williams,K.J.、およびTaba
s,I.(1995)Art.Thromb.and Vasc.Biol.1
5、551−561)。さらに、局所的に高いレベルのリパーゼ活性は、アテロ
ーム性動脈硬化症の傷害の前駆体において産生される、細胞傷害性のレベルの脂
肪酸およびリゾホスファチジルコリンを生じる。
【0028】 脂質のレベルおよび種々の血漿リポタンパク質のレベルを調節する際のリパー
ゼ酵素活性の役割に関する理解が進んできたにも関わらず、HDLコレステロー
ルのレベルを増加させ得る治療法、ならびにアテローム性動脈硬化症の心臓血管
疾患を発症する危険性を減少するためにVLDLおよびLDLコレステロールの
レベルを低くし得る治療法を同定および開発するための必要性が存在する。
【0029】 (発明の要旨) 本発明に従って、患者においてLIPG遺伝子の発現を低下させるための組成
物が提供され、この組成物は、アンチセンス核酸を含み、例えば、そのアンチセ
ンス核酸を含む発現ベクターを含む。好ましい発現ベクターの例は、レトロウイ
ルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ヘルペ
スウイルスベクター、および裸のDNAベクターである。アンチセンス核酸は、
例えば、化学修飾された塩基を含むオリゴヌクレオチドであり得る。
【0030】 本発明の別の局面は、患者においてLIPGポリペプチドの酵素活性を低下さ
せるための組成物の提供であり、この組成物は、LIPGポリペプチドに結合し
得、そしてその酵素活性を低下させ得る中和抗体を含み、例えば、その抗体をコ
ードするDNA配列を含む発現ベクターを含む。好ましい発現ベクターの例は、
レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクタ
ー、ヘルペスウイルスベクター、および裸のDNAベクターである。
【0031】 本発明のさらに別の局面は、患者におけるLIPGポリペプチドの酵素活性を
低下させるための組成物の提供であり、この組成物は、細胞内結合タンパク質を
含み、例えば、その細胞内結合タンパク質をコードするDNA配列を含む発現ベ
クターを含む。好ましい発現ベクターの例は、レトロウイルスベクター、アデノ
ウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、
および裸のDNAベクターである。
【0032】 なお他の本発明の局面は、以下の組成物の提供である:(A)患者においてL
IPGポリペプチドの酵素活性を阻害し得るインヒビターを含む組成物;(B)
患者においてLIPG遺伝子の発現を低下させ得るインヒビターを含む組成物;
および(C)患者においてLIPGの発現を低下させ得る組成物であって、この
組成物はリボザイムを含み、例えば、そのリボザイムをコードするDNA配列を
含む発現ベクターを含む、組成物。好ましい発現ベクターの例は、レトロウイル
スベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ヘルペス
ウイルスベクター、および裸のDNAベクターである。好ましいリボザイムは、
ハンマーヘッド型リボザイムである。
【0033】 本発明はまた、以下の組成物を提供する:(D)患者においてLIPGポリペ
プチドのレベルを増加させる組成物、ここでこの組成物は、LIPGポリペプチ
ドをコードするDNA配列またはLIPG遺伝子の発現を増加させ得るエンハン
サーを含む発現ベクターを含む;および(E)患者においてLIPGポリペプチ
ドの酵素活性を増加する組成物、ここでこの組成物は、LIPGポリペプチドに
結合し、そしてその酵素活性を増強するエンハンサーを含む。
【0034】 さらに、本発明は、例えば、患者におけるLIPGポリペプチドのレベルを低
下させることによって、その患者におけるLIPGの酵素活性を低下させる組成
物をその患者に投与することによって、患者において高密度リポタンパク質(H
DL)コレステロールおよびアポリポタンパク質AIのレベルを上昇させるため
の方法を提供する。好ましい形態において、この方法は、アンチセンス核酸(特
に、核酸の化学的安定性を増加させるように改変されているもの)を含む組成物
の使用を包含する。上述の方法は、LIPGポリペプチドに結合し得、そしてそ
の酵素活性を低下させ得る中和抗体を含む組成物、またはLIPGポリペプチド
の酵素活性を阻害するインヒビター(例えば、LIPG遺伝子の発現を低下させ
る化合物)を含む組成物、またはLIPGをコードするmRNAを切断するリボ
ザイムを含む組成物、またはDNA分子およびリポソーム(例えば、カチオン性
リポソーム)を含む組成物の使用によってもまた、実施され得る。
【0035】 好ましい形態において、上記の方法はまた、上記患者においてアポリポタンパ
ク質 AIを発現し得る、組成物の投与を含む。
【0036】 本発明の別の局面は、患者においてLIPGの酵素活性を増加させ得る組成物
を患者に投与することによって、患者において超低密度リポタンパク質(VLD
L)コレステロールのレベルを低下させるための方法を提供し、これには、例え
ば、LIPGポリペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含み、そして好
ましくは、LIPGポリペプチドを発現可能な発現ベクター(好ましくは、レト
ロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、またはアデノ随伴ウイルスベク
ター)を含む組成物を使用する。上記の方法は、LIPGポリペプチドの酵素的
活性を増強するエンハンサーまたはLIPG遺伝子の発現を増加させるエンハン
サーを含む組成物を使用することによって実施され得る。
【0037】 本発明のさらに別の局面は、患者においてLIPGの酵素活性を増加させ得る
組成物を患者に投与することによって、患者において低密度リポタンパク質(L
DL)コレステロールのレベルを低下させるための方法を提供し、これには、好
ましくは、LIPGポリペプチドを使用し、例えば、LIPGポリペプチドを発
現させ得る発現ベクターを使用し、好ましくは、レトロウイルスベクター、アデ
ノウイルスベクター、またはアデノ随伴ウイルスベクターを使用する。上記の方
法は、好ましくは、LIPGポリペプチドの酵素的活性を増強するエンハンサー
またはLIPG遺伝子の発現を増加させるエンハンサーを含む組成物の使用を含
む。
【0038】 本発明はまた、LIPGポリペプチドとHDLコレステロールおよびアポリポ
タンパク質AIとの間の酵素的活性に対して、LIPGポリペプチドとLDLコ
レステロールとの間の酵素的反応を優先的に増強するエンハンサーを患者に投与
することによって、患者のLDLコレステロールのレベルを低下させるための方
法を提供する。
【0039】 さらに、本発明は、LIPGポリペプチドとHDLコレステロールおよびアポ
リポタンパク質AIとの間の酵素的活性に対して、LIPGポリペプチドとVL
DLコレステロールとの間の酵素的反応を優先的に増強するエンハンサーを患者
に投与することによって、患者のVLDLコレステロールのレベルを低下させる
ための方法を提供する。
【0040】 本発明のさらに別の局面は、患者から組織サンプルを入手し、そしてサンプル
中のLIPGポリペプチドのレベルを測定することによって、低HDLコレステ
ロールレベルおよび低アポリポタンパク質AIレベルに対する素因を診断するた
めの方法を提供し、これは、例えば、血液組織を使用し、そして測定のためにイ
ムノアッセイを使用する。本発明の別の局面において、LIPGポリペプチドの
レベルは、LIPG mRNAのレベルを測定することによって測定される。
【0041】 本発明のさらなる局面は、試験化合物がLIPGポリペプチドとHDLコレス
テロールおよびアポリポタンパク質AIとの間の酵素的反応を阻害し得るか否か
を決定するための方法を提供し、この方法は、以下: (A)第1のサンプル中のHDLコレステロールおよびアポリポタンパク質AI
のレベルを、別のサンプル中のHDLコレステロールおよびアポリポタンパク質
AIのレベルと比較する工程であって、この第1のサンプルが:(1)HDLコ
レステロールおよびアポリポタンパク質AI、(2)LIPGポリペプチド、お
よび(3)試験化合物を含み、そして別のサンプルが:(4)HDLコレステロ
ールおよびアポリポタンパク質AI、および(5)LIPGポリペプチドを含む
、工程;ならびに (B)この第1のサンプルが上記別のサンプルよりも高いHDLコレステロール
およびアポリポタンパク質AIのレベルを有するか否かを観察することによって
、試験化合物がLIPGポリペプチドとHDLコレステロールおよびアポリポタ
ンパク質AIとの間の酵素的反応を阻害する際に有効であるか否かを同定する工
程、を包含する。
【0042】 本発明はまた、試験化合物がLIPGポリペプチドとVLDLコレステロール
との間の酵素的反応を増強し得るか否かを決定するための方法を提供し、この方
法は、以下: (A)第1のサンプル中のVLDLコレステロールのレベルを、別のサンプル中
のVLDLコレステロールのレベルと比較する工程であって、この第1のサンプ
ルが:(1)VLDLコレステロール、(2)LIPGポリペプチド、および(
3)試験化合物を含み、そしてこの別のサンプルが:(4)VLDLコレステロ
ールおよび(5)LIPGポリペプチドを含む工程;ならびに (B)この第1のサンプルが上記別のサンプルよりも低いVLDLコレステロー
ルのレベルを有するか否かを観察することによって、試験化合物がLIPGポリ
ペプチドとVLDLコレステロールとの間の酵素的反応を増強する際に有効であ
るか否かを同定する工程、を包含する。
【0043】 本発明のさらに別の局面は、試験化合物がLIPGポリペプチドとLDLコレ
ステロールとの間の酵素的反応を増強し得るか否かを決定するための方法を提供
し、この方法は、以下: (A)第1のサンプル中のLDLコレステロールのレベルを、別のサンプル中の
LDLコレステロールのレベルと比較する工程であって、この第1のサンプルが
:(1)LDLコレステロール、(2)LIPGポリペプチド、および(3)試
験化合物を含み、そして別のサンプルが;(4)LDLコレステロールおよび(
5)LIPGポリペプチドを含む工程;ならびに (B)この第1のサンプルが上記別のサンプルよりも低いLDLコレステロール
のレベルを有するか否かを観察することによって、試験化合物がLIPGポリペ
プチドとLDLコレステロールとの間の酵素的反応を阻害する際に有効であるか
否かを同定する工程、を包含する。
【0044】 (発明の詳細な説明) 以下の詳細な説明は、本発明の基礎、続いて定義の節を記載している。定義の
節の後に、本発明の実施に有用な種々の組成物が、議論されており、続いてLI
PG活性レベルを低下または上昇させるために使用される方法が、議論される。
【0045】 (LIPG遺伝子産物の酵素活性) 本発明は、LIPGリパーゼ酵素の活性を低下または上昇させる方法および組
成物を利用して、HDLコレステロールおよびアポリポタンパク質AI、VLD
LコレステロールおよびLDLコレステロールのレベルを調節するための方法に
関する。特に、本発明は、HDLコレステロールおよびアポリポタンパク質AI
、VLDLコレステロールおよびLDLコレステロールにおける、LIPG遺伝
子のポリペプチド産物の酵素活性の発見に部分的に基づく。LIPGのポリペプ
チド産物は、トリアシルグリセロールリパーゼファミリーのメンバーであり、そ
してトリアシルグリセロールリパーゼファミリーのおよそ39kDの触媒ドメイ
ン(例えば、配列番号10の配列を有する)を含む。この新規に発見されたリパ
ーゼは、内皮細胞によって合成されることが見出されており、そしてこれは、ト
リアシルグリセロールリパーゼファミリーの他のメンバーと比べて独特な特徴で
あることから、このリパーゼは、「内皮リパーゼ」(EL)と呼ばれている。L
IPG遺伝子は以下の節において広範に議論されているので、ELは、明確にす
る目的のために、本明細書中以降、LIPGポリペプチドといわれる。一般に、
LIPGポリペプチドは、2つの主要な形態(本明細書中以降、「LLGNポリ
ペプチド」および「LLGXLポリペプチド」といわれる)において見出される
。LLGNポリペプチドは、354個のアミノ酸を有する。LLGXLポリペプ
チドは、500個のアミノ酸を有し、そしてヒトリポタンパク質リパーゼに対し
て43%の類似性およびヒト肝リパーゼに対して37%の類似性を示す。本明細
書中で使用される場合、用語「LIPGポリペプチド」または「LIPGタンパ
ク質」は、LLGNおよびLLGXLの両方を含む。
【0046】 LIPGポリペプチドの配列は、特徴的なGXSXGリパーゼモチーフ、保存
された触媒3構造(triad)、19残基のlid領域、保存されたヘパリン
結合部位および保存されたリポタンパク質結合部位、ならびに5つの潜在的N結
合型グリコシル化部位を含む。トリアシルグリセロールリパーゼファミリーで最
大の配列多様性を有する領域は、lidドメインである。このlidドメインは
、この酵素の触媒ポケットを覆う両親媒性ヘリックスを形成し(Winkler
ら、Nature,343,771〜774(1990);van Tilbe
urghら、J.Biol.Chem.269,4626〜4633(1994
))、そしてこのファミリーの酵素に対して基質特異性を付与する(Dugiら
,J.Biol.Chem.,270,25396〜25401(1995))
。LIPGの19残基のlid領域は、異なる酵素プロフィールと一致して、リ
ポタンパク質リパーゼおよび肝リパーゼにおいて見出される領域よりも3残基短
く、そしてより両親媒性ではない。この成熟タンパク質の推定分子量は、およそ
55kDであり;68kD形態は、グリコシル化形態のようであり、一方、40
kD形態は、特異的タンパク質分解切断の産物であり得る。
【0047】 LIPGポリペプチドは、HDLコレステロールおよびアポリポタンパク質A
Iのレベル、ならびにVLDLコレステロールおよびLDLコレステロールのレ
ベルを低下させる能力を有する。HDLコレステロールレベルの低下は、アテロ
ーム性動脈硬化症に対する感受性の増大を生じ、そしてHDLコレステリルエス
テルのレベルの増大は、アテローム性動脈硬化症に対する感受性を劇的に低下し
得ることが十分に確立されている。
【0048】 LIPGの1つの生理学的役割は、末梢組織中のHDLリン脂質を加水分解し
て、そして肝臓中では、HDLレセプターSR−BIを介して、HDLコレステ
ロールエステルの選択的な取り込みを促進することであり得る(Kozarsk
yら、Nature,387,414〜417(1997))。別の可能性のあ
る役割は、肝リパーゼの役割と同様に、apoB含有レムナントリポタンパク質
の取り込みの促進である(Mahleyら、J.Lipid Res.,40,
1〜16(1999))。さらに、LIPGは、胎盤中に多量に発現され、そし
て発生におけるこの酵素の役割は、胎児発生における脂質輸送の重要性を考慮す
るとあり得る(Fareseら、Trends Genet.,14,115〜
120(1998))。
【0049】 HDLコレステロールの有益な特性に基づいて、LIPGの酵素活性を低下さ
せることによって、HDLコレステロールレベルを上昇させることが所望される
。従って、本発明は、LIPG遺伝子の発現を低下させることによって、または
LIPGポリペプチドの酵素活性を低下させることによって、身体中のLIPG
活性を低下させる方法および組成物に関する。
【0050】 LIGPポリペプチドがVLDLコレステロールおよびLDLコレステロール
のレベルを低下させる能力、ならびに高レベルのこれらの化合物とアテローム性
動脈硬化症との間の相関性を実証する研究を考慮すると、患者において、これら
の化合物のレベルを低下させることが所望される。従って、本発明はさらに、L
IPG遺伝子の発現を増大するための、およびLIPGポリペプチドの酵素活性
を増大させるための方法および組成物を提供する。
【0051】 本明細書中で使用される用語の定義、および本発明の好ましい実施形態の説明
が、本明細書中以降に示されている。
【0052】 (定義) 以下に定義される用語は、本明細書全体にわたって使用され、そして本発明の
範囲および実施の理解に役立つはずである。
【0053】 「ポリペプチド」は、共有結合したアミノ酸残基から構成されるポリマー性化
合物である。アミノ酸は、側鎖に基づいて以下の7つの群に分類される:(1)
脂肪族側鎖、(2)ヒドロキシル(OH)基を含む側鎖、(3)イオウ原子を含
む側鎖、(4)酸性すなわちアミド基を含む側鎖、(5)塩基性基を含む側鎖、
(6)芳香族環を含む側鎖、および(7)プロリン(側鎖がアミノ基に縮合され
ているイミノ酸)。
【0054】 「タンパク質」は、生きている細胞において構造的役割または機能的役割を果
たすポリペプチドである。
【0055】 本発明のポリペプチドおよびタンパク質は、グリコシル化されていてもグリコ
シル化されていなくともよい。
【0056】 「相同性」は、共通の進化の起源を反映する配列の類似性を意味する。ポリペ
プチドまたはタンパク質は、それらのアミノ酸の実質的な数が、(1)同一であ
るか、または(2)化学的に類似する側鎖を有するか、のいずれかである場合に
、相同性、すなわち類似性を有するといわれる。核酸は、それらのヌクレオチド
の実質的な数が同一である場合に、相同性を有するといわれる。
【0057】 「単離されたポリペプチド」または「単離されたタンパク質」は、その天然状
態においてポリペプチドまたはタンパク質に通常付随している化合物(例えば、
他のタンパク質またはポリペプチド、核酸、糖質、脂質)を実質的に含まないポ
リペプチドまたはタンパク質である。「単離された」は、他の化合物を含む人工
混合物または合成混合物、あるいは生物学的活性を妨害せず、かつ例えば、不完
全な精製、安定化剤の添加、または薬学的に受容可能な調製物中への配合に起因
して存在し得る不純物の存在を排除することを意味しない。
【0058】 分子は、免疫系の抗原認識分子(例えば、免疫グロブリン(抗体)またはT細
胞抗原レセプター)と特異的に相互作用し得る場合に、「抗原性」である。抗原
性ポリペプチドは、少なくとも約5個、および好ましくは、少なくとも約10個
のアミノ酸を含む。分子の抗原性部分は、抗体またはT細胞レセプター認識に対
して免疫優勢(immunodominant)の部分であり得るか、あるいは
これは、免疫のためにキャリア分子に抗原性部分を結合体化することによって、
この分子に対する抗体を生成するために使用される部分であり得る。抗原性であ
る分子はそれ自体、免疫原性を必要としない、すなわち、キャリアがなくとも免
疫応答を誘発し得る。
【0059】 「LLGNポリペプチド」および「LLGNタンパク質」は、配列番号6の配
列を含むポリペプチド(このポリペプチドは、グリコシル化されているか、また
はグリコシル化されていない)を意味する。
【0060】 「LLGXLポリペプチド」および「LLGXLタンパク質」は、配列番号8
の配列を含むポリペプチド(このポリペプチドは、グリコシル化されているか、
またはグリコシル化されていない)を意味する。
【0061】 「LIPGポリペプチド」および「LIPGタンパク質」は、LIPG遺伝子
によってコードされるリパーゼ酵素を記載しており、そして包括的に、LLGN
ポリペプチドおよびLLGXLポリペプチドの両方を記載している。
【0062】 「内皮リパーゼ」すなわち「EL」は、LIPG遺伝子によりコードされるリ
パーゼ酵素をいい、そして用語LIPGポリペプチドに等価である。
【0063】 本発明のLIPGポリペプチドまたはタンパク質は、LIPGポリペプチドか
ら誘導され、かつLIPGポリペプチドの少なくとも1つの生物学的特性を保持
する、任意のアナログ、フラグメント、誘導体、または変異体を含む。LIPG
ポリペプチドの異なる改変体は、天然に存在する。これらの改変体は、このタン
パク質をコードする構造遺伝子のヌクレオチド配列の差異によって特徴付けられ
る対立遺伝子の変異物であり得るか、または示差的なスプライシングまたは翻訳
後改変を含み得る。当業者は、1個または複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、
またたは交換を有する改変体を生成し得る。これらの改変体としては、とりわけ
、以下が挙げられ得る:(a)1以上のアミノ酸残基が、保存的アミノ酸または
非保存的アミノ酸で置換されている改変体、(b)1以上のアミノ酸が、LIP
Gポリペプチドに付加されている改変体、(c)1以上のアミノ酸が置換基を含
む改変体、ならびに(d)LIPGポリペプチドが別のポリペプチド(例えば、
血清アルブミン)と融合している改変体。本発明の他のLIPGポリペプチドと
しては、ある種由来のアミノ酸残基が、保存位置または非保存位置のいずれかで
、別の種の対応する残基に対して代用されている改変体、が挙げられる。別の実
施形態において、非保存位置のアミノ酸残基は、保存性残基または非保存性残基
で置換される。これらの改変体を得るための技術(遺伝子技術(抑制、欠失、変
異など)、化学技術、および酵素技術が挙げられる)は、当業者に公知である。
【0064】 このような対立遺伝子のバリエーション、アナログ、フラグメント、誘導体、
変異体、および改変(代替のmRNAスプライシング形態を含む)、ならびに代
替の後翻訳改変形態が、LIPGポリペプチドの誘導体(これらは、LIPGポ
リペプチドの生物学的特性にいずれかを保持する)を生じる場合、それらは、本
発明の範囲内に含まれる。
【0065】 「核酸」は、ヌクレオチドと呼ばれる共有結合されたサブユニットから構成さ
れるポリマー化合物である。核酸は、ポリリボ核酸(RNA)およびポリデオキ
シリボ核酸(DNA)を含み、その両方が、1本鎖または2本鎖であり得る。D
NAは、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA、および半合成DNAを含む。タ
ンパク質をコードするヌクレオチドの配列は、センス配列と呼ばれる。
【0066】 「アンチセンス核酸」は、センス配列と相補的であるヌクレオチドの配列であ
る。アンチセンス核酸を使用して、センス鎖によってコードされるポリペプチド
の発現を下方制御し得るか、またはブロックし得る。
【0067】 「単離された核酸」とは、その天然の状態において通常それと会合した化合物
が実質的にない核酸を意味する。「単離された」は、他の化合物を有する人工的
または合成混合物、あるいは生物学的活性を妨害せず、そして例えば、不完全な
精製、安定剤の添加、薬学的に受容可能な調製物への配合に起因して存在し得る
不純物の存在を排除することは意味しない。
【0068】 語句「高いストリンジェンシーでハイブリダイズする核酸」は、ハイブリダイ
ズされた核酸が、高いストリンジェンシー条件下で洗浄に耐えることが可能であ
ることを意味する。DNA−DNAハイブリッドについての高いストリンジェン
シー洗浄条件の例は、68℃での0.1×SCC、0.5% SDSである。高
いストリンジェンシー洗浄の他の条件は、当業者に公知である。
【0069】 「調節領域」は、核酸の発現を調節する核酸配列を意味する。調節領域は、特
定の核酸の発現の天然の原因である配列(相同領域)を含み得るか、または異な
る起源の配列(異なるタンパク質または合成タンパク質でさえの発現の原因であ
る)を含み得る。特に、配列は、真核生物またはウイルスの遺伝子の配列、ある
いは特異的または非特異的な様式で、および誘導性または非誘導性の様式で遺伝
子の転写を刺激するか、または抑制する誘導配列であり得る。調節領域は、複製
起点、RNAスプライシング部位、エンハンサー、転写終結配列、シグナル配列
(これは、ポリペプチドを、標的細胞の分泌経路に指向させる)、およびプロモ
ーターを含む。
【0070】 「異種供給源」からの調節領域は、発現された核酸と天然では関係のない調節
配列である。異種調節領域の中に、異なる種からの調節領域、異なる遺伝子から
の調節領域、ハイブリッド調節領域、および天然には発生しない調節領域が含ま
れるが、これらは、当業者によって設計される。
【0071】 「ベクター」は、本発明に従う核酸を宿主細胞に移入するための任意の手段で
ある。用語「ベクター」は、核酸を、原核生物細胞または真核生物細胞に、イン
ビトロ、エキソビボ、またはインビボで導入するためのウイルス的な手段および
非ウイルス的な手段の両方を含む。非ウイルス性ベクターには、プラスミド、リ
ポソーム、電気的に荷電した脂質(サイトフェクチン)、DNA−タンパク質複
合体、および生体高分子が挙げられる。ウイルス性ベクターには、レトロウイル
ス、アデノ関連ウイルス、ポックス、バキュロウイルス、痘疹、単純ヘルペス、
エプスタイン−バー、およびアデノウイルスのベクターが挙げられる。本発明に
従う核酸に加えて、ベクターはまた、1つ以上の調節領域、および/または核酸
移入の結果(どの組織への移入、発現の持続期間など)の選択、測定、およびモ
ニタリングにおいて有用な選択可能なマーカーを含み得る。
【0072】 「組換え細胞」は、細胞内に天然に存在しない核酸を含む細胞である。「組換
え細胞」は、より高度の真核生物細胞(例えば、哺乳動物細胞)、より低度の真
核生物細胞(例えば、酵母細胞)、原核生物細胞、および古細菌細胞を含む。
【0073】 「薬学的に受容可能なキャリア」とは、投与方法のために薬学的に受容可能で
ある希釈剤および充填剤を含み、滅菌されており、そして適切な分散剤またな湿
潤剤および懸濁剤を使用して処方された水性または油性の懸濁液であり得る。特
定の薬学的に受容可能なキャリアおよびキャリアに対する活性化合物に比は、組
成物の溶解性および化学的特性、投与の特定の様式、および標準的な薬学的慣習
によって決定される。
【0074】 「リパーゼ」は、脂質物質を酵素的に切断し得るタンパク質である。
【0075】 「ホスホリパーゼ」は、リン脂質物質を酵素的に切断し得るタンパク質である
【0076】 「トリアシルグリセロールリパーゼ」は、トリアシルグリセリド物質を酵素的
に切断し得るタンパク質である。
【0077】 「ホスファチジルコリン」は、グリセロールリン脂質である。ホスファチジル
コリンはまた、レシチンとして公知である。
【0078】 「脂質プロフィール」とは、ヒトまたは他の動物の身体におけるコレステロー
ル、トリグリセリド、リポタンパク質コレステロール、および他の脂質の濃度の
セットを意味する。
【0079】 「所望ではない脂質プロフィール」は、コレステロール、トリグリセリド、ま
たはリポタンパク質コレステロールの濃度が、年齢および性別で調整された参照
範囲の外にある状態である。一般に、総コレステロールの濃度>200mg/d
l、血漿グリセリドの濃度>200mg/dl、LDLコレステロールの濃度>
130mg/dl、HDLコレステロールの濃度<39mg/dl、またはHD
Lコレステロールに対する総コレステロールの比>4.0は、所望ではない脂質
プロフィールであると考えられる。所望ではない脂質プロフィールは、種々の病
理学的な状態(高脂血症、高コレステロール血症糖尿病、アテローム性動脈硬化
症、および他の形態の冠状動脈疾患を含む)と関連する。
【0080】 「リボザイム」は、酵素として機能し得るRNA分子である。
【0081】 「中和抗体」は、LIPGポリペプチドに結合し得、そしてLIPGポリペプ
チドの酵素活性を低下させ得るかまたは排除し得る抗体である。これらの抗体は
、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であり得る。本発明は、キメラ
抗体、単鎖抗体およびヒト化抗体、ならびにFabフラグメントおよびFab発
現ライブラリーの産物、ならびにFvフラグメントおよびFv発現ライブラリー
の産物を含む。
【0082】 「阻害分子」または「インヒビター」は、LIPGポリペプチドの発現を低下
されるか、または排除するか、あるいはLIPGポリペプチドの酵素活性を低下
させるか、または排除する分子である。
【0083】 「エンハンサー分子」または「エンハンサー」は、LIPGポリペプチドの発
現を増加させるか、あるいはLIPGポリペプチドの酵素活性を増加させる分子
である。
【0084】 「リポソーム」は、人工的、または天然に存在するリン脂質ベシクルである。
【0085】 「カチオン性リポソーム」は、正味の正の電荷を有するリポソームである。
【0086】 以下の節は、特許請求された方法において使用される要素、および組成物およ
びこれらの要素の好ましい実施形態を議論する。
【0087】 (ポリペプチド) 本発明は、トリアシルグリセロールリパーゼファミリーのメンバーであり、そ
して例えば、配列番号10を有する、トリアシルグリセロールリパーゼファミリ
ーの39kDの触媒ドメインを含むLIPGによってコードされるポリペプチド
を利用する。本発明の特定の実施形態において、単離されたLIPGポリペプチ
ド(配列番号6を含み、そして10%SDS−PAGEゲルで約40kDの見か
けの分子量を有する)が利用される。本発明の別の実施形態において、単離され
たLIPGポリペプチド(配列番号8を含み、そして10%SDS−PAGEゲ
ルで約55kDまたは68kDの見かけの分子量を有する)が利用される。なお
別の実施形態において、本発明において利用されるポリペプチドは、これらのポ
リペプチドのサブフラグメントである。まだなお別の実施形態において、本発明
において使用されるポリペプチドは、LIPGポリペプチドに結合し得る抗体で
ある。
【0088】 本発明において利用されるポリペプチドまたはタンパク質は、組換えポリペプ
チド、天然のポリペプチド、または合成ポリペプチドであり得、そしてヒト、ウ
サギ、または他の動物起源であり得る。ポリペプチドは、再現性のある単一の分
子量および/または分子量の複数のセット、クロマトグラフ応答および溶離プロ
フィール、アミノ酸組成および配列、ならびに生物学的活性によって特徴付けら
れる。
【0089】 本発明において利用されるポリペプチドは、天然の供給源(例えば、胎盤抽出
物、ヒト血漿、または培養された細胞(例えば、マクロファージまたは内皮細胞
)からの馴化培地)から、当業者に公知の精製手順を使用することによって単離
され得る。
【0090】 あるいは、本発明において利用されるポリペプチドは、組換えDNA技術を利
用して調製され得、この技術には、それらのポリペプチドをコードする核酸を適
切なベクターに組み合わせる工程、得られたベクターを適切な宿主細胞に挿入す
る工程、得られた宿主細胞によって産生されたポリペプチドを回収する工程、お
よび回収されたポリペプチドを精製する工程を包含する。
【0091】 (核酸) 本発明は、LIPGポリペプチドをコードする単離された核酸を利用する。
【0092】 本発明はまた、LIPGポリペプチドの発現を、インビトロ、エキソビボまた
はインビボで下方制御またはブロックするために使用され得るアンチセンス核酸
を利用する。
【0093】 組換えDNA技術の技術は、当業者に公知である。組換え分子のクローニング
または発現のための一般的な方法は、Maniatis(Molecular
Cloning、Cold Spring Harbor Laborator
ies,1982)、およびAusubel(Current Protoco
ls in Molecular Biology,Wiley and So
ns,1987)に記載され、これらは、参考として援用される。
【0094】 本発明の核酸は、1つ以上の調節領域に連結され得る。適切な調節領域(単数
または複数)の選択は、慣用的な問題であり、当業者のレベル内にある。調節領
域は、プロモーターを含み、そしてエンハンサー、サプレッサーなどを含み得る
【0095】 本発明で使用され得るプロモーターは、構成的プロモーターおよび調節プロモ
ーター(誘導性)プロモーターの両方を含む。これらのプロモーターは、宿主に
依存して、原核生物性、または真核生物性であり得る。本発明の実施において有
用な原核生物性(バクテリオファージを含む)プロモーターには、lacI、l
acZ、T3、T7、λPr、Pl、およびtrpプロモーターが挙げられる。本
発明の実施において有用な真核生物性(ウイルス性を含む)プロモーターには、
普遍的なプロモーター(例えば、HPRT、ビメンチン、アクチン、チューブリ
ン)、中間フィラメントプロモーター(例えば、デスミン、神経フィラメント、
ケラチン、GFAP)、治療的遺伝子プロモーター(MDR型、CFTR、第V
III因子)、組織特異性プロモーター(例えば、平滑筋細胞内のアクチンプロ
モーター、または内皮細胞内で活性なFltおよびFlkプロモーター)であり
、動物転写制御領域を含み、これらは、組織特異性を示し、トランスジェニック
動物において利用されてきた:エラスターゼI遺伝子制御領域(これは、膵臓腺
房細胞において活性である)(Swiftら,1984,Cell 38:63
9−646;Ornitzら,1986,Cold Spring Harbo
r Symp.Quant.Biol.,50:399−409;MacDon
ald,1987,Hepatology 7:425−515);インスリン
遺伝子制御領域(これは、膵臓β細胞において活性である)(Hanahan,
1985,Nature 315:115−122)、免疫グロブリン遺伝子制
御領域(これは、リンパ系細胞において活性である)(Grosschedlら
,1984,Cell 38:647−658;Adamesら,1985,N
ature 318:533−538;Alexanderら,1987、Mo
l.Cell.Biol.,7:1436−1444)、マウス乳房腫瘍ウイル
ス制御領域(これは、精巣細胞、乳房細胞、リンパ系細胞および肥胖細胞におい
て活性である)(Lederら,1986,Cell 45:485−495)
、アルブミン遺伝子制御領域(これは、肝臓において活性である)(Pinke
rtら,1987,Genes and Devel.1:268−276)、
α−フェトプロテイン遺伝子制御領域(これは、肝臓において活性である)(K
rumlaufら,1985,Mol.Cell.Biol.,5:1639−
1648;Hammerら,1987,Science 235:53−58)
、α1−抗トリプシン遺伝子制御領域(これは、肝臓において活性である)(K
elseyら,1987,Gene and Devel.,1:161−17
1)、β−グロブリン遺伝子制御領域(これは、骨髄性細胞において活性である
)(Mogramら,1985,Nature 315:338−340;Ko
lliasら,1986,Cell 46:89−94)、ミエリン塩基性タン
パク質遺伝子制御領域(これは、脳内の稀突起膠細胞において活性である)(R
eadheadら,1987,Cell 48:703−712)、ミオシン軽
鎖−2遺伝子制御領域(これは、骨格筋において活性である)(Sani,19
85,Nature 314:283−286)、および性腺刺激ホルモン放出
ホルモン遺伝子制御領域(これは、視床下部において活性である)(Mason
ら,1986,Science 234:1372−1378)。
【0096】 本発明の実施において用いられ得る他のプロモーターとしては、分裂する細胞
において優先的に活性化されるプロモーター、刺激(例えば、ステロイドホルモ
ンレセプター、レチン酸レセプター)に反応するプロモーター、テロラサイクリ
ンで調節された転写モジュレータープロモーター、サイトメガロウイルス最初期
プロモーター、レトロウイルスLTRプロモーター、メタロチオネインプロモー
ター、SV−40プロモーター、E1aプロモーターおよびMLPプロモーター
が挙げられる。テトラサイクリン調節転写モジュレーターおよびCMVプロモー
ターは、その内容が本明細書において参考として援用されているWO 96/0
1313、米国特許第5,168,062号および同第5,385,839号に
記載されている。
【0097】 (ウイルスベクター系) 好ましくは、本発明の遺伝子治療方法において用いられるウイルスベクターは
、複製欠損性である。すなわち、それらは、標的細胞において自立的に複製し得
ない。一般に、本発明の範囲内で用いられる複製欠損ウイルスベクターのゲノム
は、感染した細胞におけるウイルスの複製のために必要な少なくとも1つの領域
を欠失する。これらの領域は、当業者に公知の任意の技術で、(全体としてかま
たは部分的に)排除され得るか、または非機能的にされ得る。これらの技術とし
ては、(複製に関して)必須の領域に対する1つ以上の塩基の、総除去(tot
al removal)、置換(特に挿入された核酸による、他の配列による)
、部分的欠失または付加が挙げられる。このような技術は、遺伝子操作の技術を
用いて、または変異性薬剤での処理により、(単離されたDNA上で)インビト
ロで、またはインサイチュで実行され得る。
【0098】 好ましくは、複製欠損ウイルスは、ウイルス粒子をキャプシド形成するのに必
要なゲノムの配列を保持する。
【0099】 レトロウイルスは、分裂する細胞に感染する組み込みウイルスである。レトロ
ウイルスゲノムは、2つのLTR、キャプシド化配列および3つのコード領域(
gag、polおよびenv)を含む。組換えレトロウイルスベクターの構築は
、以下に記載されている:特にEP 453242、EP178220、Ber
nsteinら、Genet.Eng.7(1985)235;McCormi
ck、BioTechnology 3(1985)689などを参照のこと。
組換えレトロウイルスベクターにおいて、gag、polおよびenv遺伝子は
、一般的に全てまたは部分的に欠失しており、そして目的の異種核酸配列と置換
されている。これらのベクターは、以下のような異なる型のレトロウイルスから
構築され得る:MoMuLV(「マウスモロニー白血病ウイルス」)、MSV(
「マウスモロニー肉腫ウイルス」)、HaSV(「ハーベイ肉腫ウイルス」);
SNV(「脾臓壊死ウイルス」);RSV(「ラウス肉腫ウイルス」)およびフ
レンドウイルス。レンチウイルスベクター系はまた、本発明の実施において用い
られ得る。レンチウイルスゲノムは、全てのレトロウイルスに代表的な5’〜3
’に組織化された3つの構造遺伝子(gag、pol、env)を含む9,00
0〜10,000塩基対の正鎖ポリアデニル化RNAである。レンチウイルス系
の広範な概説については、Fields Virology、第2版、第2巻、
第55章、第1571〜1589頁「レンチウイルス」(Raven Pres
s、New York、1990)を参照のこと。
【0100】 一般に、LIPGをコードする配列を含む組換えレトロウイルスを構築するた
めに、LTR、キャプシド形成配列およびコード配列を含むプラスミドを構築す
る。この構築物を用い、プラスミドを欠くレトロウイルス機能をトランスで供給
し得るパッケージング細胞株をトランスフェクトする。従って、一般に、このパ
ッケージング細胞株は、gag、polおよびenv遺伝子を発現し得る。この
ようなパッケージング細胞株は、先行技術で記載されている。詳細には、PA3
17細胞株(米国特許第4,861,719号);PsiCRIP細胞株(WO
90/02806)およびGP+envAm−12細胞株(WO89/0715
0)。さらに、組換えレトロウイルスベクターは、転写活性を抑制するためにL
TR内に改変を含み得る、そしてgag遺伝子の一部を含み得る広範なキャプシ
ド形成配列を含み得る(Benderら、J.Virol.61(1987)1
639)。組換えレトロウイルスベクターは、当業者に公知の標準的技術により
精製され得る。
【0101】 アデノ随伴ウイルス(AAV)は、比較的小さいサイズのDNAウイルスであ
る、これは感染する細胞のゲノム内に、安定かつ部位特異的な様式で組み込み得
る。それらは、細胞増殖、形態または分化になんらかの影響を誘導することなく
、広範なスペクトルの細胞に感染し得る。そしてそれらは、ヒト病理に関与しな
いようである。AAVゲノムはクローニングされ、配列決定され、そして特徴付
けされている。それは、約4700塩基を含み、そして各末端で約145塩基の
逆方向末端反復(ITR)領域を含む。これは、ウイルスの複製起点として働く
。ゲノムの残部は、キャプシド形成機能を有する2つの必須の領域に分割される
:ゲノムの左側部分(ウイルス複製およびウイルス遺伝子の発現に関与するre
p遺伝子を含む);およびゲノムの右側部分(ウイルスのキャプシドタンパク質
をコードするcap遺伝子を含む)。
【0102】 インビトロおよびインビボにおいて遺伝子を移入するためのAAV由来のベク
ターの使用は、記載されている(WO 91/18088;WO 93/092
39;米国特許第4,797,368号、米国特許第5,139,941号、E
P488 528を参照のこと)。これらの刊行物は、種々のAAV由来構築物
(ここでは、repおよび/またはcap遺伝子が、欠失しており、そして目的
の遺伝子により置換されている)、ならびにインビトロ(培養細胞へ)またはイ
ンビボ(生物体に直接)において、目的のこのような遺伝子を移入するためのこ
れらの構築物の使用を記載している。本発明において利用される複製欠損組換え
AAVは、2つのAAVの逆方向末端反復(ITR)領域に隣接する目的の核酸
配列を含むプラスミド、およびAAVキャプシド形成遺伝子(repおよびca
p遺伝子)を保有するプラスミドを、ヒトヘルパーウイルス(例えば、アデノウ
イルス)で感染した細胞株へ同時トランスフェクトすることにより調製され得る
。次に、産生されるAAV組換え体を標準的技術により精製する。従って、本発
明はまた、AAV由来組換えウイルスに関する。このウイルスのゲノムは、AA
V ITRに隣接するLIPGポリペプチドをコードする配列を包含する。本発
明はまた、AAV由来の2つのITRに隣接するLIPGポリペプチドをコード
する配列を包含するプラスミドに関する。このようなプラスミドは、プラスミド
を用いて、適切な位置にLIPG配列を移入するためにそのまま用いられる。こ
れは、リポソームベクター(偽ウイルス(pseudo−virus))に組み
込まれる。
【0103】 好ましい実施形態において、本発明に利用されるベクターはアデノウイルスベ
クターである。
【0104】 アデノウイルスは、種々の細胞型に対して核酸を効率的に送達するために改変
され得る真核生物DNAウイルスである。
【0105】 種々の血清型のアデノウイルスが存在する。これらの血清型のうちで、本発明
の範囲内には、2型もしくは5型のヒトアデノウイルス(Ad 2またはAd
5)、または動物由来のアデノウイルスを用いることが好ましい(WO94/2
6914を参照のこと)。本発明の範囲内で用いられ得る動物起源のこれらのア
デノウイルスとしては、イヌ、ウシ、マウス(例えば、Mav1、Beardら
、Virology 75(1990)81)、ヒツジ、ブタ、トリおよびサル
(例えば:SAV)起源のアデノウイルスが挙げられる。好ましくは、動物起源
のアデノウイルスは、イヌアデノウイルス、より好ましくは、CAV2アデノウ
イルス(例えば、ManhattanまたはA26/61株(ATCC VR−
800))である。
【0106】 好ましくは、複製欠損アデノウイルスベクターは、ITR、キャプシド形成配
列および目的の核酸を含む。なおより好ましくは、アデノウイルスベクターの少
なくともE1領域は、非機能性である。E1領域における欠損は、好ましくはA
d5アデノウイルスの配列のヌクレオチド455〜3329に伸びる。他の領域
がまた、詳細には、E3領域(WO95/02697)、E2領域(WO94/
28938)、E4領域(WO94/28152、WO94/12649および
WO95/02697)において、または後期遺伝子L1〜L5のいずれかにお
いて、改変され得る。欠損レトロウイルスベクターは、WO95/02697に
開示されている。
【0107】 好ましい実施形態において、アデノウイルスベクターは、E1およびE4領域
において欠損を有する。別の好ましい実施形態において、アデノウイルスベクタ
ーは、E1領域において欠損を有する。ここでE1領域にE4領域およびLLG
をコードする配列が挿入される(FR94 13355を参照のこと)。
【0108】 複製欠損組換えアデノウイルスは、当業者に公知の任意の技術により調製され
得る(Levreroら、Gene 101(1991)195、EP 185
573;Graham,EMBO J.3(1984)2917)。詳細には
、それらは、アデノウイルスとプラスミド(とりわけ、目的のDNA配列を保有
する)との間の相同組換えにより調製され得る。この相同組換えは、適切な細胞
株へのこのアデノウイルスとプラスミドの同時トランスフェクションにより達成
される。使用される細胞株は、好ましくは(i)このエレメントにより形質転換
可能でなければならず、そして(ii)複製欠損アデノウイルスのゲノムの一部
に相補的であり得る配列、好ましくは、組換えの危険性を回避するために組み込
み型で、含むべきである。用いられ得る細胞株の例は、ヒト胚性腎細胞株293
(Grahamら、J.Gen.Virol.36(1977)59)であり、
これは、そのゲノムに組み込まれたAd5アデノウイルスのゲノムの左側部分(
12%)を含み、そしてこの細胞株は、出願WO 94/26914およびWO
95/02697に記載のようにE1機能およびE4機能を補完し得る。組換え
アデノウイルスは、当業者に周知の標準的な分子生物学的技術を用いて回収およ
び精製され得る。
【0109】 (アンチセンス核酸) アンチセンス核酸を用いる遺伝子発現のダウンレギュレーション(下方制御)
は、翻訳レベルまたは転写レベルで達成され得る。本発明のアンチセンス核酸は
、好ましくは、LIPGをコードする核酸または対応するメッセンジャーRNA
の全てまたは一部に特異的にハイブリダイズし得る核酸フラグメントである。さ
らに、その主な転写物のスプライシングを阻害することによりLIPG遺伝子の
発現を低下させるアンチセンス核酸は、示されるかまたは同定され得る。LIP
G遺伝子の構造配列および部分配列の知見に関して、このようなアンチセンス核
酸は、効力について指定され、そして試験され得る。
【0110】 アンチセンス核酸は、好ましくは、オリゴヌクレオチドであり、そして全体と
してデオキシリボヌクレオチド、改変デオキシリボヌクレオチド、または両者の
組み合わせから構成され得る。アンチセンス核酸は、合成オリゴヌクレオチドで
あり得る。オリゴヌクレオチドは、所望の場合、安定性および/または選択性を
改善するために、化学的に改変され得る。オリゴヌクレオチドは、細胞内ヌクレ
アーゼによる分解に感受性であるので、改変としては、例えば、イオウ基の使用
によるホスホジエステル結合の遊離の酸素の置き換えが挙げられ得る。この改変
は、ホスホロチオエート連結と呼ばれる。ホスホロチオエートアンチセンスオリ
ゴヌクレオチドは、水溶性、ポリアニオン性であり、そして内因性ヌクレアーゼ
に対して抵抗性である。さらに、ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレ
オチドがその標的部位にハイブリダイズする場合、RNA−DNA二重鎖は、内
因性酵素リボヌクレアーゼ(Rnase)Hを活性化する。これは、ハイブリッ
ド分子のmRNA成分を切断する。
【0111】 さらに、ホスホロアミダイト結合およびポリアミド(ペプチド)結合を有する
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、合成され得る。これらの分子は、ヌクレア
ーゼ分解に対して非常に耐性であるべきである。さらに、化学基は、糖部分の2
’炭素およびピリミジンの5炭素(C−5)に付加され、アンチセンスオリゴヌ
クレオチドのその標的部位への結合の安定性を増強し、結合を容易にする。改変
としては、2’デオキシ、O−ペントキシ、O−プロポキシ、O−メトキシ、フ
ロロ、メトキシエトキシホスホロ−チオエート、改変塩基、ならびに当業者に公
知の他の改変が挙げられ得る。
【0112】 アンチセンス核酸はまた、DNA配列(細胞中でのその発現が、LIPG m
RNAの全てまたは一部に相補的なRNAを産生する)であり得る。アンチセン
ス核酸は、EP 140308に記載のように、反対方向で、配列番号2、配列
番号3、配列番号7または配列番号11からなる群より選択される配列の全てま
たは一部の発現により調製され得る。任意の長さのアンチセンス配列は、それが
LIPGの発現を下方制御し得るかまたはブロックし得る限り、本発明の実施に
ついて適切である。好ましくは、アンチセンス配列は、少なくとも20ヌクレオ
チドの長さである。アンチセンス核酸、アンチセンスRNAをコードするDNA
の調製および使用ならびにオリゴおよび遺伝的アンチセンスの使用は、WO92
/15680に開示され、その内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0113】 アンチセンス核酸処置方法において使用するためのLIPGの最適フラグメン
トを決定するための1つのアプローチは、フラグメントを機械的にせん断し、酵
素処理をし、そして本明細書中に記載されるベクター系のいずれかにクローニン
グすることによって、LIPG DNAのランダムなフラグメントを調製する工
程を含む。個々のクローンまたはクローンのプールは、LIPG発現細胞を感染
させるために使用され、そして効果的なアンチセンスLIPG cDNAフラグ
メントが、RNAレベルまたはタンパク質レベルでLIPG発現をモニターする
ことによって同定される。
【0114】 本明細書中上で議論されるレトロウイルスベクター系、アデノ随伴ウイルスベ
クター系、およびアデノウイルスベクター系は、すべて、アンチセンス核酸を細
胞中に導入して、発現させるために使用され得る。アンチセンス合成オリゴヌク
レオチドは、本明細書中以下に議論される方法を含む種々の方法で導入され得る
【0115】 (リボザイム) LIPGポリペプチドのレベルにおける低下は、リボザイムを使用して達成さ
れ得る。リボザイムは、別々の触媒ドメインおよび基質結合ドメインを有する触
媒性RNA分子(RNA酵素)である。基質結合配列は、ヌクレオチド相補性に
よって、そしておそらく非水素結合相互作用によってその標的配列と結合する。
触媒部分は、標的RNAを特異的部位で切断する。リボザイムの基質ドメインは
、それを特定のmRNA配列に指向させるために操作され得る。リボザイムは、
標的mRNAを認識し、次いで、相補的な塩基対合を介して標的mRNAを結合
する。一旦、リボザイムが正しい標的部位に結合すると、リボザイムは、酵素的
に作用して標的mRNAを切断する。リボザイムによるLIPG mRNAの切
断は、LIPGポリペプチドの合成を指向するLIPG mRNAの能力を破壊
する。一旦、リボザイムがその標的配列を切断すると、リボザイムは放出されて
、他のLIPG mRNAにおいて繰り返し結合および切断し得る。
【0116】 本発明の好ましい実施形態において、リボザイムは、ハンマーヘッドモチーフ
で形成される。他の形態としては、ヘアピンモチーフ、デルタ肝炎ウイルス、グ
ループIイントロンまたは(RNAガイド配列と会合した)RnaseP RN
AモチーフまたはNeurospora VS RNAモチーフが挙げられる。
ハンマーヘッドモチーフは、Rossiら、1992、Aids Resear
ch and Human Retroviruses、8、183によって記
載される。ヘアピンモチーフは、HampelおよびTritz、1989、B
iochemistry、28、4929、およびHampelら、1990、
Nucleic Acids Res.、18、299に記載される。デルタ肝
炎ウイルスモチーフは、PerrottaおよびBeen、1992、Bioc
hemistry、31、16によって記載され、RnasePモチーフは、G
uerrier−Takadaら、1983、Cell、35、849によって
記載され、Neurospora VS RNAリボザイムモチーフは、Col
lins(SavilleおよびCollins、1990、Cell、61、
685−696;SavilleおよびCollins、1991、Proc.
Natl.Acad.Sci.USA、88、8826−8830;Colli
nsおよびOlive、1993、Biochemistry、32、2795
−2799)によって記載され、グループIイントロンモチーフは、Cechら
、米国特許第4,987,071号によって記載される。
【0117】 リボザイムを調製する際の1つのアプローチは、転写後に標的LIPG mR
NAにハイブリダイズする配列に隣接するリボザイム触媒性ドメイン(約20ヌ
クレオチド)を有するオリゴデオキシリボヌクレオチドを化学的に合成すること
である。オリゴデオキシリボヌクレオチドは、プライマーとして基質結合配列を
使用することによって増幅される。増幅産物は、真核生物発現ベクターにクロー
ン化される。
【0118】 ハンマーヘッド構造またはへアピン構造を有するリボザイムは、容易に調製さ
れる。なぜなら、これらの触媒性RNA分子は、真核生物プロモーターから細胞
内で発現され得るからである(例えば、Scanlonら、1991、Proc
.Natl.Acad.Sci.USA、88、10591−5;Kashan
i−Sabetら、1992、Antisense Res.Dev.、2、3
−15;Dropulicら、1992、J.Virol.、66、1432−
41;Weerasingheら、1991、J.Virol.、65、553
1−4;Ojwangら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.
USA、89、10802−6;Chenら、1992、Nucleic Ac
ids Res.、20、4581−9;Sarverら、1990、Scie
nce、247、1222−1225))。本発明のリボザイムは、適切なDN
Aベクターから真核生物細胞において発現され得る。望ましい場合、リボザイム
の活性は、第2のリボザイムによる一次転写物からのその放出によって増強され
得る(Ohkawaら、1992、Nucleic Acids Symp.S
er.、27、15−6;Tairaら、1991、Nucleic Acid
s Res.、19、5125−30;Venturaら、1993、Nucl
eic Acids Res.、21、3249−55)。
【0119】 リボザイムを調製するための1つのアプローチにおいて、リボザイムは、DN
A、RNAまたはウイルスベクターに挿入された転写単位から発現される。リボ
ザイム配列の転写は、真核生物RNAポリメラーゼI(pol(I))、RNA
ポリメラーゼII(pol II)、またはRNAポリメラーゼIII(pol
III)に対するプロモーターから駆動される。pol IIまたはpol
IIIプロモーターからの転写物は、全ての細胞において高レベルで発現される
。所与の細胞タイプにおける所与のpol IIプロモーターのレベルは、すぐ
近くの遺伝子調節配列に依存する。原核生物RNAポリメラーゼプロモーターは
また、原核生物RNAポリメラーゼ酵素が、適切な細胞で発現される場合、使用
される(Elroy−SteinおよびMoss、1990、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA、87、6743−7;GaoおよびHuang
1993、Nucleic Acids Res.、21、2867−72;
Lieberら、1993、Methods Enzymol.、217、47
−66;Zhouら、1990、Mol.Cell.Biol.、10、452
9−37)。これらのプロモーターから発現されるリボザイムが哺乳動物細胞に
おいて機能し得ることが示された(Kashani−Sabetら、1992、
Antisense Res.Dev.、2、3−15;Ojwangら、19
92、Proc.Natil.Acad.Sci.USA、89、10802−
6;Chenら、1992 Nucleic Acids Res.、20、4
581−9;Yuら、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.US
A、90、6340−4;L’Huillierら、1992、EMBO J.
、11、4411−8;Lisziewiczら、1993、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA、90、8000−4)。
【0120】 本発明の1つの実施形態において、LIPG RNAを切断するリボザイムを
発現する転写単位が、プラスミドDNAベクター、レトロウイルスベクター、ア
デノウイルスDNAウイルスベクターまたはアデノ随伴ウイルスベクターに挿入
される。組換えベクターは、好ましくは、DNAプラスミドまたはアデノウイル
スベクターである。しかし、RNAの発現を指向する他の哺乳動物細胞ベクター
は、この目的のために使用され得る。ベクターは、組換えウイルス粒子として送
達される。DNAは、単独でまたは種々のビヒクルと複合体化されて送達され得
る。DNA、DNA/ビヒクル複合体、または組換えウイルス粒子は、以下に議
論されるように、処置部位に局所的に投与される。好ましくは、リボザイムを発
現し得る組換えベクターは、以下に記載されるように局所的に送達され、標的細
胞において持続する。一旦発現されると、リボザイムは標的LIPG mRNA
を切断する。
【0121】 リボザイムは、種々の方法によって患者に投与され得る。リボザイムは、直接
標的組織に加えられ得るか、カチオン性脂質と複合体化され得るか、リポソーム
にパッケージングされ得るか、または当該分野で公知の他の方法によって標的細
胞に送達され得る。所望の組織に対する局所的投与は、本明細書中以下に議論さ
れるように、カテーテル、注入ポンプ、またはステントによって、生体高分子中
へのリボザイムの取り込みを伴うかまたは伴わないでなされ得る。代替の送達経
路としては、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射、エアロゾル吸入、経口(錠剤
または丸剤形態)、局所的、全身的、眼、腹腔内、および/または髄腔内の送達
が挙げられるが、これらに限定されない。リボザイムの送達および投与について
のより詳細な記載は、Sullivanら、PCT WO94/02595およ
びDraperら、PCT WO93/23569に提供され、これらは、本明
細書中に参考として援用される。
【0122】 (非ウイルス送達系) 特定の非ウイルス系は、当該分野において使用されており、LIPGポリペプ
チドをコードするDNAまたはアンチセンス核酸の患者への導入を容易にし得る
【0123】 所望のLIPGポリペプチドまたはアンチセンス配列をコードするDNAベク
ターは、リポフェクションによってインビボで導入され得る。過去10年におい
て、インビトロでの核酸のカプセル化およびトランスフェクションのためのリポ
ソームの使用が増加している。リポソーム媒介トランスフェクションで遭遇する
困難および危険を制限するために設計される合成カチオン性脂質は、マーカーを
コードする遺伝子のインビボトランスフェクションのためにリポソームを調製す
るために使用され得る[Felgnerら、Proc.Natl.Acad.S
ci.U.S.A.84:7413−7417(1987);Mackeyら、
Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:8027−803
1(1988)を参照のこと;Ulmerら、Science 259:174
5−1748(1993)]。カチオン性脂質の使用は、負に荷電された核酸の
カプセル化を促進し得、そしてまた負に荷電された細胞膜との融合を促進し得る
[FelgnerおよびRingold、Nature 337:387−38
8(1989)]。核酸の移入のために特に有用な脂質化合物および組成物は、
国際特許公開WO95/18863およびWO96/17823、ならびに米国
特許第5,459,127号に記載される。インビボで外来性遺伝子を特定の器
官に導入するためのリポフェクションの使用は、特定の実際的な利点を有する。
特定の細胞に対するリポソームの分子標的化は、利益の有る1つの領域を表す。
特定の細胞型に対してトランスフェクションを指向させることが、細胞的不均質
性を有する組織、例えば、膵臓、肝臓、腎臓、および脳において特に有利である
ことは明かである。脂質は、標的化の目的のために他の分子に化学的に結合され
得る[Mackeyら、上記を参照のこと]。標的化されたペプチド(例えば、
ホルモンまたは神経伝達物質)およびタンパク質(例えば、抗体または非ペプチ
ド分子)は、化学的にリポソームに結合され得る。
【0124】 他の分子(例えば、カチオン性オリゴペプチド(例えば、国際特許公開WO9
5/21931)、DNA結合タンパク質から誘導されるペプチド(例えば、国
際特許公開WO96/25508)、またはカチオン性ポリマー(例えば、国際
特許公開WO95/21931))もまた、核酸のインビボでのトランスフェク
ションを容易にするために有用である。
【0125】 裸のDNAプラスミドとしてインビボでLIPGポリペプチドをコードするD
NAベクターまたはアンチセンス配列を導入することもまた可能である(米国特
許第5,693,622号、同第5,589,466号、および同第5,580
,859号を参照のこと)。遺伝子治療のための裸のDNAベクターは、当該分
野で公知の方法(例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マ
イクロインジェクション、形質導入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸
カルシウム沈澱、遺伝子銃の使用、またはDNAベクタートランスポーターの使
用)によって望ましい宿主細胞に導入され得る[例えば、Wilsonら、J.
Biol.Chem.267:963−967(1992);WuおよびWu、
J.Biol.Chem.263:14621−14624(1988);19
90年3月15日に出願された、Hartmutら、カナダ国特許出願第2,0
12,311号;Williamsら、Proc.Natl.Acad.Sci
.USA 88:2726−2730(1991)を参照のこと]。レセプター
媒介DNA送達アプローチもまた、使用され得る[Curielら、Hum.G
ene Ther.3:147−154(1992);WuおよびWu、J.B
iol.Chem.262:4429−4432(1987)]。
【0126】 (抗体) 本発明は、LIPGポリペプチドに対する抗体を提供する。これらの抗体は、
モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であり得る。本発明は、キメラ抗
体、単鎖抗体、およびヒト化抗体、そしてFabフラグメントおよびFab発現
ライブラリーの産物、ならびにFvフラグメントおよびFv発現ライブラリーの
産物を含む。
【0127】 ポリクローナル抗体は、本明細書中以下の実施例の節に記載されるように、L
IPGポリペプチドの抗原性フラグメントに対して調製され得る。抗体はまた、
インタクトなLIPGタンパク質またはポリペプチドに対して、あるいはこのタ
ンパク質またはポリペプチドのフラグメント、誘導体、またはエピトープに対し
て作製され得る。抗体は、当該分野で公知の技術および手順を使用して、動物に
対するタンパク質、ポリペプチド、フラグメント、誘導体またはエピトープの投
与に従って得られ得る。
【0128】 モノクローナル抗体は、Mishell,B.B.ら、Selected M
ethods In Cellular Immunology(W.H.Fr
eeman編)San Francisco(1980)の方法を使用して調製
され得る。手短には、本発明のポリペプチドは、Balb/Cマウスの脾臓細胞
を免疫するために使用される。免疫された脾臓細胞は、ミエローマ細胞に融合さ
れる。脾臓およびミエローマ細胞の特徴を含む融合細胞は、HAT培地(両方の
親細胞を殺すが、融合産物を生き残らせ、そして増殖させ得る培地)での増殖に
よって単離される。
【0129】 本発明のモノクローナル抗体は、宿主が抗体に対する免疫応答を開始すること
を妨げるために、「ヒト化」され得る。「ヒト化抗体」は、相補性決定領域(C
DR)ならびに/あるいは軽鎖可変ドメインフレームワークおよび/または重鎖
の他の部分が非ヒト免疫グロブリンから誘導されるが、分子の残りの部分が1つ
以上のヒト免疫グロブリンから誘導される抗体である。ヒト化抗体はまた、ドナ
ーもしくはアクセプターの非改変軽鎖、またはキメラ軽鎖と関連したヒト化重鎖
によって特徴付けられる抗体を含み、その逆も含む。抗体のヒト化は、当該分野
で公知の方法によって達成され得る(例えば、G.E.MarkおよびE.A.
Padlan、「Chapter 4.Humanization of Mo
noclonal Antibodies」、The Handbook of
Experimental Pharmacology 第113巻、Spr
inger−Verlag、New York、1994を参照のこと)。トラ
ンスジェニック動物は、ヒト化抗体を発現するために使用され得る。
【0130】 単鎖抗体の産生のための当該分野で公知の技術を適用して、本発明の免疫原性
ポリペプチドおよびタンパク質に対する単鎖抗体を産生し得る。
【0131】 好ましい実施形態では、抗LIPG抗体を用いて、タンパク質に結合させ、そ
してタンパク質におけるLIPGの酵素活性を阻害する。
【0132】 抗LIPG抗体はまた、LIPGのレベルを検出または定量するためのアッセ
イに有用である。1つの実施形態では、これらのアッセイは、種々の疾患におけ
るLIPGの臨床的診断および評価、ならびに処置効果をモニタリングするため
の方法を提供する。これらの抗LIPG抗体をさらに用いて、組織サンプルにお
けるLIPGを定量して、低下したレベルのHDLコレステロールおよびアポリ
ポタンパク質AIに対する、さらなる感受性を予想する。
【0133】 (阻害分子およびエンハンサー分子を同定および利用する方法) 本発明は、LIPG活性のエンハンサー(アゴニスト)または活性化補助因子
(co−activator)(タンパク様の補助活性化因子またはインヒビタ
ー(アンタゴニスト)を含む)についての低分子ライブラリーまたは天然物供給
源をスクリーニングする方法を提供する。潜在的なエンハンサーまたはインヒビ
ターを、LIPGタンパク質およびLIPGの基質と接触させて、そしてLIP
G活性を増加させるか、または阻害する潜在的なエンハンサーまたはインヒビタ
ーの能力を測定する。
【0134】 これらのスクリーニング法をまた用いて、化合物が基質特異的なエンハンサー
またはインヒビターとして機能し得るか否か(すなわち、化合物が、ある基質に
対するLIPGの酵素活性を増加させる一方、異なる基質(例えば、本発明のL
IPGポリペプチドは、基質としてHDLコレステロールを利用し、そして同様
に、基質としてLDLコレステロールおよびVLDLコレステロールを利用する
)についての酵素活性の所定のレベルを低下または維持するか否か)を決定し得
る。特定の実施形態では、LDLコレステロールまたはVLDLコレステロール
に対するLIPGポリペプチドの酵素活性を増加する一方、HDLコレステロー
ルについての酵素活性の正常なレベルを低下または維持する、基質特異的エンハ
ンサーまたはインヒビターを単離および同定することが所望される。
【0135】 LIPGタンパク質は、種々の宿主細胞(哺乳動物細胞、バキュロウイルス感
染昆虫細胞、酵母、および細菌を含む)において組換え的に産生され得る。安定
にトランスフェクトされたCHO細胞におけるLIPG発現は、細胞のメトトレ
キセート増幅により最適化され得る。LIPGタンパク質はまた、天然の供給源
(例えば、ヒト血漿、胎盤抽出物、または培養した内皮細胞、THP−1細胞、
もしくはマクロファージ由来の馴化培地)から精製され得る。
【0136】 pH、イオン濃度、温度、基質の濃度、および乳化条件を含むアッセイパラメ
ーターの最適化は、当業者により経験的に決定される。
【0137】 基質の脂肪酸置換基は、鎖の長さ、ならびに不飽和の程度および部位で変化し
得る。基質は、いくつかの位置のいずれかにおいて放射性標識され得る。ホスフ
ァチジルコリンのようなリン脂質基質は、例えば、Sn−1脂肪酸位、Sn−2
脂肪酸位において、あるいはグリセロール基、リン酸基、または極性先端基(p
olar head group)(ホスファチジルコリンの場合コリン)にお
いて放射性標識され得る。
【0138】 放射性標識基質に対する代替物として、他のクラスの標識基質(例えば、蛍光
基質、またはチオ含有基質)もまた、スクリーニング法に用いられ得る。
【0139】 蛍光基質は、スクリーニングアッセイにおいて特に有用である。なぜならば、
酵素触媒は、蛍光強度を、基質からの産物の物理的分離(抽出)なしに、測定す
ることにより、連続的に測定され得るからである。蛍光ホスファチジルコリンの
例は、C6NBD−PC[1−アシル−2−[6−(ニトロ−2,1,3−ベンズ
オキサジアゾール−4−イル)アミノ]カプロイルホスファチジルコリンである
【0140】 チオ含有基質としては、1,2−ビス(ヘキサノイルチオ)−1,2−ジデオ
キシ−sn−グリセリロ−3−ホスホリルコリン(L.J.Reynolds、
W.N.Washburn、R.A.Deems、およびE.A.Dennis
、1991.Methods in Enzymology 197:3−23
;L.YuおよびE.A.Dennis、1991.Methods in E
nzymology 197:65−75;L.A.Wittenauer、K
.Shirai、R.L.Jacson、およびJ.D.Johnson、19
84.Biochem.Biophys.Res.Commn.118:894
−901)。
【0141】 酵素活性のレベルで作動する阻害分子およびエンハンサー分子に加えて、LI
PG遺伝子の発現のレベルで作動する阻害分子およびエンハンサー分子が存在す
る。LIPGの発現を増加または阻害し得る化合物を同定する1つの方法は、レ
ポーター遺伝子系を用いることである。これらの系は、所定のプロモーターが、
容易に検出および定量され得る「レポーター遺伝子」の上流でクローニングされ
得るクローニング部位を含む、レポーター遺伝子発現ベクターを利用する。当業
者は、LIPG遺伝子についてのプロモーターおよび他の制御配列を容易に同定
し得、そして市販のレポーター遺伝子発現ベクターにサブクローニングし得る。
発現ベクターは、宿種細胞に移され、そしてこの細胞を、試験化合物(推定のイ
ンヒビター分子またはエンハンサー分子)暴露させて、レポーター遺伝子産物の
発現に対する試験化合物の効果を決定する。詳細には、この細胞は、レポーター
mRNAの量、レポータータンパク質自体の量、またはレポータータンパク質の
酵素活性を直接的に測定することにより、レポーター遺伝子産物の割合について
アッセイされる。理想的には、レポーター遺伝子は、目的の細胞型において内因
的に発現されず、そして感受性アッセイ、定量アッセイ、および迅速なアッセイ
にそれ自身が役立つ。種々のレポーターアッセイ構築物が市販されており、そし
ていくつかのレポーター遺伝子およびアッセイは、当業者により開発されており
、そして当業者により容易に調製され得る。真核生物細胞における遺伝子活性を
モニタリングするための最も有名な系としては、クロラムフェニコールアセチル
トランスフェラーゼ(CAT)、β−ガラクトシダーゼ、ホタルルシフェラーゼ
、成長ホルモン(GH)、β−グルクロシダーゼ(GUS)、アルカリホスファ
ターゼ(AP)、グリーン蛍光タンパク質(GFP)、およびRenillaル
シフェラーゼが挙げられる。レポーターアッセイ構築物は、Promegaおよ
びInvitrogenを含む種々の供給元から購入できる。
【0142】 上記のように、レポーター遺伝子活性は、レポーターmRNAまたはレポータ
ータンパク質についてアッセイすることにより検出され得る。レポーターmRN
Aは、ノーザンブロット分析、リボヌクレアーゼ保護アッセイまたはRT−PC
Rにより検出され得る。これらのアッセイは、タンパク質発現を測定するよりも
、より直接的であるが、多くのアッセイが、細胞に存在するmRNAよりむしろ
、レポータータンパク質の存在を測定するために開発されている。レポータータ
ンパク質は、分光光度法により、または酵素活性を検出することによりアッセイ
され得る。レポータータンパク質レベルはまた、抗体ベースのアッセイを用いて
測定され得る。一般に、酵素アッセイは、非常に敏感であり、そしてレポーター
遺伝子発現をモニタリングする好ましい方法である。
【0143】 (組成物) 本発明は、本発明のポリペプチド、核酸、ベクター、および抗体を含む、生物
学的に適合性(生体適合性)の溶液中の組成物を提供する。生物学的に適合性の
溶液は、本発明のポリペプチド、核酸、ベクター、または抗体が、活性形態で(
例えば、生物学的活性をもたらし得る形態で)維持される。例えば、本発明のポ
リペプチドは、ホスファチジル活性を有し;核酸は、相補的核酸に、複製し得る
か、メッセージを翻訳し得るか、またはハイブリダイズし得;ベクターは、標的
細胞をトランスフェクトし得;抗体は、本発明のポリペプチドを結合し得る。一
般に、このような生物学的に適合性の溶液は、水性緩衝液(例えば、塩イオンを
含む、Tris緩衝液、リン酸緩衝液、またはHEPES緩衝液)である。通常
、塩イオンの濃度は、生理学的レベルに類似する。特定の実施形態では、生体適
合性溶液は、薬学的に受容可能な組成物である。生物学的に適合性の溶液は、安
定化剤および保存剤を含み得る。
【0144】 このような組成物は、局所経路、経口経路、非経口経路、鼻内経路、皮下経路
、および眼内経路による投与のために処方され得る。非経口投与とは、静脈注射
、筋肉内注射、動脈内注射、または注入の技術を含むことを意味する。組成物は
、所望される場合、標準的な、周知の無毒性の生理学的に受容可能な、キャリア
、アジュバント、およびビヒクルを含む投薬単位処方物で、非経口的に投与され
得る。
【0145】 好ましい滅菌の注射可能な調製物は、無毒性の非経口的に受容可能な溶媒また
は希釈剤中の溶液または懸濁液であり得る。薬学的に受容可能なキャリアの例と
しては、生理食塩水、緩衝化生理食塩水、等張生理食塩水(例えば、リン酸1ナ
トリウムもしくはリン酸2ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カ
ルシウム、または塩化マグネシウム、またはこのような塩の混合物)、リンガー
液、デキストロース、水、滅菌水、グリセロール、エタノール、およびこれらの
組み合わせが挙げられる。1,3−ブタンジオールおよび滅菌不揮発性油は、溶
媒または懸濁媒体として便利に用いられる。任意の混合不揮発製油は、合成モノ
グリセリドまたは合成ジグリセリドを含ませて用いられ得る。オレイン酸のよう
な脂肪酸はまた、注射可能物の調製における用途を見出す。
【0146】 組成物媒体はまた、任意の生体適合性ポリマーまたは非細胞傷害性(ホモまた
はヘテロ)ポリマー(例えば、薬物吸収スポンジとして作用し得る、親水性ポリ
アクリル酸ポリマー)から調製されるヒドロゲルであり得る。このようなポリマ
ーは、例えば、、WO93/08845(この内容の全体が本明細書中で参照と
して援用される)の出願に記載されている。一定のこれらは、例えば、特に、エ
チレンおよび/またはプロピレンオキシドから得られるものが、市販されている
。ヒドロゲルは、例えば、外科的処置の間に、処置される組織の表面上に直接的
に蓄積され得る。
【0147】 本発明の別の好ましい実施形態は、複製欠損組換えウイルスおよびポロキサマ
ー(poloxamer)を含む薬学的組成物に関する。より詳細には、本発明
は、LIPGポリペプチドをコードする核酸およびポロキサマーを含む複製欠損
組換えウイルスを含む組成物に関する。好ましいポロキサマーは、Poloxa
mer 407(これは市販されており(BASF,Parsippany,N
J)、そして無毒性の生体適合性ポリオールであり、そして最も好ましい)であ
る。組換えウイルスを浸込ませたポロキサマーは、例えば、外科的処置の間に、
処置される組織の表面上に直接的に蓄積され得る。ポロキサマーは、ヒドロゲル
と同じ利点を本質的に有するが、より低い粘度を有する。
【0148】 (処置の方法) 本発明は、本発明の組成物の有効量のヒトまたは他の動物への投与を包含する
、処置の方法を提供する。
【0149】 有効量は、年齢、処置される状態の型および重篤度、体重、処置の所望される
持続期間、投与の方法、ならびに他のパラメーターに依存して変化し得る。有効
量は、医師または他の資格のある医療専門家により決定される。ほとんどの場合
、投薬レベルは調整され得、HDLコレステロールおよびアポリポタンパク質A
Iの所望のレベルが、達成および維持される。同様に、投薬レベルは、VLDL
コレステロールおよびLDLコレステロールのレベルを受容可能なレベルまで低
くし、そして所HDLコレステロール対LDLコレステロールの割合、およびV
LDLコレステロールを、所望のレベル内にするように調整され得る。
【0150】 本発明に従うポリペプチドは、一般に、1日当たり体重の、約0.01mg/
kg〜約100mg/kg、好ましくは、約0.1mg/kg〜約50mg/k
g、そして最も好ましくは、約1mg/kg〜約10mg/kgの容量で投与さ
れる。
【0151】 本発明に従う中和抗体は、ボーラスのみとして送達され得るか、経時的注入さ
れ得るか、またはボーラスとして投与されかつ経時的に注入され得る。この投薬
量は、上記のパラメーター、および抗体の結合能力に基づいて変化するが、0.
2〜0.6mg/kgの用量が、ボーラスと引き続く2〜12時間の注入時間の
場合に与えられる。あるいは、複数のボーラス注入が、必要な場合に、1日おき
、3日または4日ごとに投与される。投薬レベルは、HDLコレステロールレベ
ルおよび/またはVLDLおよびLDLコレステロールレベルにより決定される
ように調整され得る。
【0152】 上記で議論したように、組換えウイルスを用いて、LIPGをコードするDN
AおよびLIPGのサブフラグメントの両方、ならびにアンチセンス核酸を導入
し得る。本発明に従う組換えウイルスは、一般に、約104〜約1014pfuの
間の用量の形態で処方および投与される。AAVおよびアデノウイルスの場合、
約106〜約1011pfuの用量が、好ましくは用いられる。用語pfu(「プラ
ーク形成単位」)は、ウイルスの懸濁液の感染力に対応し、そして適切な細胞培
養物を感染させ、そして形成されたプラークの数を測定することにより決定され
る。ウイルス溶液のpfu力価を測定するための技術は、先行技術で十分に考証
されている。
【0153】 本発明によるリボザイムは、薬学的に受容可能なキャリア中で、約5〜約50
mg/kg/日の範囲の量で、投与され得る。投薬量レベルは、測定された治療
効力に基づいて、調整され得る。
【0154】 インヒビター分子またはエンハンサー分子の適切なレベルは、上記で議論した
パラメーターを用いて、資格を有する医療職員により決定され得る。
【0155】 本発明は、患者において、HDLコレステロールおよびアポリポタンパク質A
Iのレベルを増加させ、そしてVLDLおよびLDLコレステロールのレベルを
低下させるための、組成物および方法を提供する。本発明は、所望でない脂質プ
ロフィールを有するヒトまたは他の動物を処置する方法をさらに提供し、ここで
、この所望でない脂質プロフィールは、LIPGポリペプチド活性の異常に高い
発現の結果である。
【0156】 (LIPGポリペプチド活性のレベルを低下させるための方法および組成物) HDLコレステロールおよびアポリポタンパク質AIのレベルを増加させる目
的、ならびにLIPGポリペプチド活性が所望でない脂質プロフィールに関連す
る疾患または障害に寄与する状態を正す目的での、LIPGポリペプチドの発現
を減少させるための方法としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない
:アンチセンス核酸を含有する組成物の投与、抗体のような細胞内結合タンパク
質を含有する組成物の投与、LIPGの酵素的活性を阻害する阻害分子(例えば
、LIPGのサブフラグメント(例えば、LLGNポリペプチドまたは低分子量
分子)をコードする発現ベクターを含有する組成物)の投与(LIPG発現を、
転写、翻訳または翻訳後のレベルでダウンレギュレートする低分子量化合物の投
与を含む)、およびLIPGをコードするmRNAを切断するリボザイムの投与
【0157】 (アンチセンス核酸を利用する方法) 1つの実施形態において、アンチセンス核酸を含有する組成物を使用して、L
IPGの発現をダウンレギュレートまたはブロックする。1つの好ましい実施形
態において、この核酸は、アンチセンスRNA分子をコードする。この実施形態
において、この核酸は、この核酸配列の発現を可能にするシグナルに作動可能に
連結され、そして一旦組換えベクターが細胞に導入されるとアンチセンス核酸を
発現する組換えベクター構築物を、好ましくは利用して、細胞に導入される。適
切なベクターの例としては、プラスミド、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス
、レトロウイルス、およびヘルペスウイルスが挙げられる。好ましくは、このベ
クターは、アデノウイルスである。最も好ましくは、このベクターは、このウイ
ルスのE1および/またはE3領域において欠失を含む、複製欠損アデノウイル
スである。
【0158】 別の実施形態において、アンチセンス核酸が合成され、そして上記で議論され
るように、細胞内ヌクレアーゼによる分解に耐性であるように化学的に修飾され
得る。合成アンチセンスオリゴヌクレオチドは、リポソームを用いて、細胞に導
入され得る。細胞取り込みは、アンチセンスオリゴヌクレオチドがリポソーム内
にカプセル化される場合に起こる。効果的な送達系を用いて、低い非毒性の濃度
のアンチセンス分子を使用して、標的mRNAの翻訳を阻害し得る。さらに、細
胞特異的結合部位と結合体化されるリポソームは、アンチセンスオリゴヌクレオ
チドを特定の組織に指向する。
【0159】 (中和抗体および他の結合タンパク質を利用する方法) 別の実施形態において、LIPGの発現は、LIPGと選択的に相互作用し得
る細胞内結合タンパク質をコードする核酸配列の発現により、ダウンレギュレー
トまたはブロックされる。WO94/29446およびWO94/02610(
これらの内容は、本明細書中に参考として援用される)は、細胞内結合タンパク
質をコードする遺伝子での細胞トランスフェクションを開示する。細胞内結合タ
ンパク質は、LIPGが発現される細胞内のLIPGと選択的に相互作用または
結合し得、そして結合LLGの機能を中和し得る、任意のタンパク質を含む。好
ましくは、細胞内結合タンパク質は、中和抗体または中和抗体のフラグメントで
ある。より好ましくは、細胞内結合タンパク質は、単鎖抗体である。
【0160】 WO94/02610は、抗体の調製および特定の抗体をコードする核酸の同
定を開示する。LIPGまたはそのフラグメントを使用して、特定のモノクロー
ナル抗体が、当業者に公知の技術により、調製される。細胞内結合タンパク質ま
たはその一部をコードする核酸を含み、宿主細胞中で発現し得るベクターは、引
き続いて、本発明の方法における使用のために、調製される。
【0161】 あるいは、LIPG活性は、中和抗体を循環に投与することにより、ブロック
され得る。このような中和抗体は、タンパク質として直接投与され得るか、また
は(分泌シグナルとともに)ベクターから発現され得る。
【0162】 (LIPGの酵素的活性を阻害する阻害分子を利用する方法) 別の実施形態において、LIPG活性は、LIPGポリペプチドのサブフラグ
メント(例えば、LLGN)を含有する組成物の投与により、阻害される。この
組成物は、従来の様式(例えば、経口経路、局所経路、静脈内経路、腹腔内経路
、筋内経路、皮下経路、鼻腔内経路、または皮内経路による)において、投与さ
れ得る。この組成物は、直接投与され得るか、またはカプセル化され得る(例え
ば、脂質系、アミノ酸ミクロスフェア、または球状デンドリマー中)。ポリペプ
チドは、いくつかの場合において、血清アルブミンまたはポリビニルピロリドン
のような別のポリマーに付着され得る。
【0163】 別の実施形態において、LIPG活性は、遺伝子治療の使用により、すなわち
、LIPGのサブセグメント(例えば、LLGN)をコードし、そしてこれの発
現を指向する核酸を含む組成物の投与により、阻害される。
【0164】 別の実施形態において、LIPG活性は、阻害分子の使用により阻害される。
これらの低分子量化合物は、LIPGの酵素特性を干渉するか、または細胞結合
部位によるその適切な認識を防止する。
【0165】 特定の実施形態において、本発明のLIPGポリペプチドはまた、ヘパリンに
対する親和性を有する。血管の管腔内の細胞外ヘパリンに結合するLIPGポリ
ペプチドは、LIPGがLDLと細胞外ヘパリンとの間の架橋として作用するこ
とにより、LIPGがLDLと結合し、そしてLDL取り込みを加速することを
可能にする。アテローム性動脈硬化症病変の局在化した領域において増加したレ
ベルのリパーゼ活性が、アテローム発生プロセスを加速することが、仮定されて
いる(Zilversmit,D.B.(1995)Clin.Chem.41
、153−158;Zambon,A.、Torres,A.、Bijvoet
,S.、Gagne,C.、Moojani,S.、Lupien,P.J.、
Hayden M.R.、およびBrunzell,J.D.(1993)La
ncet 341、1119−1121)。これは、リパーゼにより媒介される
、血管組織によるリポタンパク質の結合および取り込みの増加に起因し得る(E
isenberg,S.、Sehayek,E.、Olivecrona,T.
、Vlodavsky,I.(1992)J.Clin.Invest.90、
2013−2021;Tabas,I.、Li.I.、Brocia R.W.
、Xu,S.W.、Swenson T.L.、Williams,K.J.(
1993)J.Biol.Chem.268、20419−20432;Nor
destgaard,B.G.、およびNielsen.A.G.(1994)
Curr.Opin.Lipid.5、252−257;Williams,K
.J.、およびTabas,I.(1995)Art.Thromb,and
Vasc.Biol.15、551−561)。さらに、リパーゼ活性の高い局
所レベルにより、細胞傷害性レベルの脂肪酸およびリポホスファチジルコリンが
、アテローム性動脈硬化症病変の前駆細胞において産生され得る。LLGのこの
特定の活性は、特に、食事および遺伝の因子に起因する、被験体における過剰の
脂質レベルの観点において、アテローム性動脈硬化症の発症または進行に寄与し
得る。従って、本発明は、LIPGポリペプチドの発現またはリポタンパク質(
例えば、LDL)への結合を阻害することにより、リポタンパク質の蓄積の阻害
を可能にする。
【0166】 (LIPG遺伝子発現を妨げる阻害分子を利用する方法) 別の実施形態において、阻害分子(低分子量化合物を含む)は、転写、翻訳ま
たは翻訳後のレベルで、LIPG発現をダウンレギュレートし得る。このような
阻害分子を同定するために、上記レポーター遺伝子系を使用し得る。これらの阻
害分子は、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせられ得、そして当該分野に
おいて公知の従来の方法を使用して投与され得る。
【0167】 (リボザイムを利用する方法) リボザイムは、リポソームへのカプセル化によるか、イオン電気泳動によるか
、ヒドロゲル、シクロデキストリン、生体分解性ナノカプセル、および生体接着
性ミクロスフェアへの組込みによるか、または上で議論した種々の他の方法のい
ずれかにより、細胞に投与され得る。リボザイムは、直接の注射によるか、また
はカテーテル、注入ポンプもしくはステントの使用により、標的組織に送達され
得る。代替の送達経路としては、静脈内注射、筋内注射、皮下注射、エアロゾル
吸入、口腔(錠剤もしくは丸剤形態)、局所的、全身的、眼内、腹腔内および/
または鞘内の送達が挙げられる。
【0168】 好ましい実施形態において、リボザイムをコードする配列を、DNA発現ベク
ターにクローン化する。このリボザイム配列の転写は、真核生物RNAポリメラ
ーゼII(pol II)プロモーター、またはRNAポリメラーゼIII(p
ol III)プロモーターから駆動される。この発現ベクターは、ウイルスD
NAベクター(例えば、上で議論したアデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルス
ベクター)を含む種々のベクターに組み込まれ得る。
【0169】 本発明の好ましい実施形態において、LIPG RNAを切断するリボザイム
を発現する転写単位が、アデノウイルスDNAウイルスベクターに挿入される。
このベクターは、組換えウイルス粒子として送達され、そしてカテーテル、ステ
ントまたは注入ポンプの使用により、処置の部位に局所的に投与される。
【0170】 (アポリポタンパク質AIの投与) 別の実施形態において、LIPGポリペプチド活性のレベルを低下させるため
の、上に議論した方法のいずれかを、アポリポタンパク質AIの投与または患者
においてアポリポタンパク質AIを発現し得る発現系の投与と組み合わせて利用
し得る(例えば、米国特許第5,866,551号(これは、本明細書中に参考
として援用される)を参照のこと)。
【0171】 (LIPGポリペプチド活性のレベルを増加させるための方法および組成物) LIPGポリペプチドの発現または活性を増加させて、VLDLおよびLDL
コレステロールのレベルを低下させるための方法としては、以下が挙げられるが
、これらに限定されない:LIPGポリペプチドを含有する組成物の投与、LI
PGポリペプチドをコードする発現ベクターを含有する組成物の投与、LIPG
ポリペプチドの酵素的活性を増強するエンハンサー分子を含有する組成物の投与
、およびLIPG遺伝子の発現を増加させるエンハンサー分子の投与。
【0172】 (LIPGポリペプチドを利用する方法) 1つの実施形態において、LIPG活性のレベルを、LIPGポリペプチドを
含有する組成物の投与により、増加する。この組成物は、従来の様式で(例えば
、経口、局所的、静脈内、腹腔内、筋内、皮下、鼻腔内、または皮内の経路によ
り)投与され得る。この組成物は、直接投与され得るか、またはカプセル化(例
えば、脂質系内、アミノ酸ミクロスフェア内、もしくは球状デンドリマー内)さ
れ得る。このポリペプチドは、いくつかの場合において、血清アルブミンまたは
ポリビニルピロリドンのような別のポリマーに、付着され得る。
【0173】 (LIPGを発現するベクターを利用する方法) 別の実施形態において、LIPGのレベルを、遺伝子治療の使用により、すな
わち、LIPGポリペプチドをコードし、そしてこれの発現を指向する核酸を含
む組成物の投与によって増加する。この実施形態において、LIPGポリペプチ
ドは、適切な発現ベクターにクローニングされる。可能なベクター系およびプロ
モーターは、上で広範囲に議論される。この発現ベクターは、上で議論したベク
ター送達系の1つを用いて、標的組織に移入される。この移入は、核酸が実験室
において細胞に移入され、次いで改変された細胞がヒトまたは他の動物に投与さ
れる、エキソビボ手順において、あるいは核酸がヒトまたは他の動物内の細胞に
直接移入される、インビボ手順においてのいずれかで実施される。好ましい実施
形態において、アデノウイルスベクター系を使用して、この発現ベクターを送達
する。所望であれば、組織特異的プロモーターが、上で議論されたように、この
発現ベクターにおいて利用される。
【0174】 非ウイルス性ベクターを、当該分野で公知の任意の方法(リン酸カルシウム共
沈、リポフェクション(合成アニオン性およびカチオン性リポソーム)、レセプ
ター媒介性遺伝子送達、裸のDNAの注入、エレクトロポレーション、および生
物弾道的(bioballistic)加速または粒子加速を含む)を使用して
、細胞に移入し得る。
【0175】 (LIPGの酵素活性を増強するエンハンサー分子を使用する方法) 別の実施形態では、LIPGの酵素活性を増加させるか、または細胞の結合部
位によるその適切な認識を増加させるエンハンサー分子によって、LIPGの活
性を増強する。これらのエンハンサー分子は、ポリペプチドの投与について上記
で考察されたものと同じ方法によって導入され得る。
【0176】 (LIPG遺伝子発現を増加するエンハンサー分子を使用する方法) 別の実施形態では、転写、翻訳または翻訳後のレベルでLIPG発現をアップ
レギュレートし得る低分子量化合物の使用を通して、LIPGのレベルを増加さ
せる。これらの化合物は、ポリペプチドの投与について上記で考察されたものと
同じ方法によって投与され得る。
【0177】 (胆汁排出欠陥に関する処置方法) 肝内胆汁うっ滞は、血清のコレステロールおよびリン脂質レベルの増加によっ
て特徴付けられ得る。近年記載された、ラットにおけるファロイジン薬物誘導性
肝内胆汁うっ滞モデルによって、コレステロールおよびリン脂質の血清レベルに
おける有意な増加が実証された(Ishizaki,K.、Kinbara,S
.、Miyazawa,N.、Takeuchi,Y.、Hirabayash
i,N.、Kasai,H.およびAraki,T.(1997)Toxico
l.Letters 90、29−34)。本発明の産物を使用して、増加した
血清コレステロールおよび/またはリン脂質を有する患者における肝内胆汁うっ
滞を処置し得る。さらに、このラットモデルはまた、胆汁コレステロール排出率
において、かなりの低下を示した。本発明のLIPGポリペプチドおよび核酸産
物を使用して、胆汁排出系の欠陥を有する患者を処置し得る。
【0178】 肝内胆汁うっ滞はまた、肝臓からの胆汁の流動の欠損によって特徴付けられる
。近年、進行性家族性肝内胆汁うっ滞(PFICまたはバイラー病)および良性
再発性肝内胆汁うっ滞(BRIC)についての遺伝子座が、18q21−q22
にマッピングされた(それぞれ、Carlton,V.E.H.、Knisel
y,A.S.、およびFreimer,N.B.(1995)Hum.Mol.
Genet.4、1049−1053、ならびにHouwen,R.H.,Ba
harloo,S.、Blankenship,K.、Raeymaekers
,P.、Juyn,J.、Sandkuijl,L.A.およびFreimer
,N.B.(1994)Nature Genet.8、380−386)。L
LG遺伝子は、18q21でこの染色体領域内にマッピングされたので、本発明
のLLG遺伝子および産物を使用して、PFIC/BRIC疾患遺伝子の変異ま
たは発現欠損によって引き起こされる肝内胆汁うっ滞を有する患者を処置し得る
【0179】 別の実施形態では、本発明のLLG遺伝子またはポリペプチド産物を使用して
、18q21−q22でのPFIC/BRIC疾患遺伝子における欠損に起因し
ない肝内胆汁うっ滞を有する患者を処置し得る。近年の研究により、18q21
−q22領域の外側に位置付けられる別の遺伝子座もまた、PFIC表現型を生
成し得ることが示唆された(Strautnieks,S.S.、Kagalw
alla,A.F.、Tanner,M.S.、Gardiner,R.M.お
よびThompson,R.J.(1996)J.Med.Genet.33、
833−836)。にもかかわらず、LLGポリペプチドの投与は、直接的また
は遺伝子送達を介してのいずれかで、この形態の状態を緩和し得る。
【0180】 (低HDLレベルへの素因を診断するための方法および組成物) LIPGポリペプチドが、HDLコレステロールおよびアポリポタンパク質A
Iのレベルを低下させる能力を考慮し、身体内におけるLIPGポリペプチドの
レベルを使用して、個体が、低レベルのHDLコレステロールおよびアポリポタ
ンパク質AIへの素因を有するか否かを決定し得る。この方法では、組織サンプ
ルを患者から採取する。この組織は、血液、または実施例の節で考察されるよう
な、LIPGを発現することが実証されている組織の1つであり得る。LIPG
のレベルの測定は、当業者に公知の種々の方法によって実施され得る。好ましい
実施形態では、LIPGポリペプチドに対する抗体を使用して、組織サンプルに
おけるLIPGのレベルを測定し得る。
【0181】 (実施例) 以下の実施例は、本発明を例証する。この実施例は、例示としてのみであり、
本発明の範囲を制限しない。
【0182】 (実施例1−示差的に発現されたcDNAの同定) (RNA調製) ヒト単球THP−1細胞(Smith,P.K.、Krohn,R.I.、H
ermanson,G.T.、Mallia,A.K.、Gartner,F.
H.Provenzano,M.D.、Fujimoto,E.K.、Goek
e,N.M.、Olson,B.J.およびKlenk,D.C.(1985)
Anal.Biochem.150,76−85)を、25mM HEPES、
10%胎仔ウシ血清、100ユニット/mlナトリウムペニシリンGおよび10
0ユニット/ml硫酸ストレプトマイシンを有するRPMI−1640培地(G
IBCO)において培養した。細胞を、1.5×107細胞/プレートで、15
cm組織培養ディッシュにプレーティングし、そして40ng/mlホルボール
12−ミリステート13−アセテート(Sigma)で48時間処理して、細胞
の分化を誘導した。ヒト低密度リポタンパク質(LDL)をCalbioche
mから購入し、そして4℃にてPBSに対して徹底的に透析した。次いで、LD
Lを500μg/mlに希釈し、そしてPBS中で37℃にて16時間、5μM
CuSO4に対して透析した。酸化を停止するために、LDLを150mM
NaCl、0.3mM EDTAに対して徹底的に透析し、次いで、濾過滅菌し
た。タンパク質濃度を、BCA方法(Schuh,J.Fairchlough
,G.F.、およびHaschemeyer、R.H.(1978)Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 75、3173−3177)(Pier
ce)によって決定した。酸化の程度を、TBARS(Chomczynski
,P.(1993)Biotechniques 15、532−537)によ
って決定した。この酸化の程度は、25〜30nmol MDA当量/mgタン
パク質であった。分化したTHP−1細胞を、10%リポタンパク質欠損胎仔ウ
シ血清(Sigma)を有するRPMI培地において、50μg/mlの酸化型
LDLまたはNaCl−EDTA緩衝液のいずれかに24時間曝露した。RNA
を収集するために、このプレートを10mlのPBSでリンスし、次いで、14
mlのTRIZOL(Liang,P.およびPardee,A.B.(199
2)Science 257、967−971)(GIBCO)を、各プレート
に添加した。この溶液を数回ピペッティングして混合し、次いで、類似のサンプ
ルを遠心チューブにプールし、そして1プレートあたり3mlのクロロホルムを
添加し、そして混合した。このチューブを12000×gで15分間遠心分離し
た。遠心分離後、上層を新しいチューブに移し、そして1プレートあたり7.5
mlのイソプロパノールを添加し、そして混合した。このチューブを12000
×gで20分間遠心分離した。このペレットを、氷冷70%エタノールでリンス
し、そして室温で乾燥させた。このペレットを、500μlのTE(Tris−
EDTA)中に懸濁し、そして200ユニットのRNaseフリーのDNAse
Iおよび200ユニットのRNasin placental RNaseイ
ンヒビター(Promega)で、37℃にて30分間処理した。このRNAを
、フェノール、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(25:24
:1)、およびクロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)、次いでエタ
ノール沈殿による連続的抽出によって精製した。
【0183】 (cDNA合成) cDNA合成およびPCR増幅を、Differential Displa
y Kitバージョン1.0(Display Systems Biotec
hnology,Inc.)からのプロトコールを使用して、達成した。このシ
ステムは、LiangおよびPardee(Mead,D.A.、Pey,N.
K.、Herrnstadt,C.、Marcil,R.A.およびSmith
,L.M.(1991)Bio/Technology 9、657−663)
によってもともと記載された技術に基づく。リパーゼ様遺伝子の第1の情報を含
むcDNAフラグメントを生成したプライマー対は、下流プライマー7および上
流プライマー15であった。増幅のためのcDNAを、緩衝液または酸化型LD
Lのいずれかに曝露されたPMA処理THP−1細胞に由来するRNAを用いて
、以下の通りに合成した:3μlの25μM下流プライマー7および7.5μl
のジエチルピロカルボネート(DEPC)処理水を、いずれかのTHP−1 R
NAサンプルに由来する300ng(3.0μl)のRNAに添加した。これを
10分間70℃まで加熱し、次いで、氷上で冷却した。このチューブに、3μl
の5×PCR緩衝液(250mM Tris−HCl(pH8.3)、375m
M KCl)(GIBCO)、3μl 25mM MgCl2、3μl 0.1
M DTT、1.2μl 500μM dNTPs、0.7μl RNasin
、および5.6μl DEPC処理水を添加した。このチューブを室温で2分間
インキュベートし、その後、1.5μl(300ユニット)のSuperscr
ipt II RNase H−逆転写酵素(GIBCO)を添加した。このチ
ューブを、連続的に、室温で2分間、37℃で60分間、そして95℃で5分間
インキュベートし、次いで、氷上で冷却した。PCR増幅を、117μlの10
×PCR緩衝液(500mM KCl、100mM Tris−HCl(pH8
.3)、15mM MgCl2、および0.01%(w/v)ゼラチン)、70
.2μlの25mM MgCl2、5.9μl α−33P dATP(10m
Ci/ml、DuPont NEN)、4.7μl 500μM dNTP混合
物、11μl AmpliTaq DNA ポリメラーゼ(5ユニット/μl、
Perkin−Elmer)および493.3μl DEPC処理水を含むマス
ター混合物(master mix)を使用して実施した。各反応について、1
2μlのマスター混合物を、2μlの下流プライマー#7、1μlのcDNA、
および5μlの上流プライマー#15に添加した。反応混合物を、1分間94℃
まで加熱し、次いで、94℃で15秒間の変性工程、40℃で1分間のアニーリ
ング工程、および72℃で30秒間の伸長工程により40回熱サイクルした。4
0サイクル後、この反応物を72℃で5分間インキュベートし、そして10℃に
て保存した。PCR反応を、Perkin−Elmer GeneAmp Sy
stem 9600サーモサイクラーにおいて実施した。
【0184】 4μlの増幅産物を、等量のローディング緩衝液(0.2%ブロモフェノール
ブルー、0.2%キシレンシアノール、10mM EDTA(pH8.0)およ
び20%グリセロール)と混合した。この4μlの混合物を、6%非変性アクリ
ルアミド配列決定様式ゲルにおいて、1200ボルト(定電圧)で3時間泳動し
た。このゲルを、80℃で1.5時間乾燥させ、そしてKodak XARフィ
ルムに露光した。酸化型LDLに曝露されたTHP−1細胞由来のcDNAを含
む反応物においてのみ見出される増幅産物を同定し、そしてゲルから切り出した
。100μlのDEPC処理水を、切り出したゲル断片を含む微小遠心チューブ
に添加し、そして室温で30分間、次いで95℃で15分間インキュベートした
【0185】 PCR産物を増幅するために、26.5μlの溶出DNAを増幅反応に使用し
た。この増幅反応はまた、5μlの10×PCR緩衝液、3μlの25mM M
gCl2、5μlの500μM dNTPs、5μlの2μM下流プライマー7
、7.5μlの上流プライマー15、および0.5μlのAmpliTaqポリ
メラーゼを含んだ。PCRサイクルのパラメーターおよび装置は、上記の通りで
あった。増幅後、20μlの再増幅物をアガロースゲルにおいて分析し、そして
4μlを使用し、TAクローニングシステム(Frohman,M.A.、Du
sh,M.K.、およびMartin,G.R.(1988)Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 85、8998−9002)(Invitro
gen)を用いて、PCR産物をベクターpCRIIにサブクローニングした。
14℃での一晩の連結の後、連結生成物を使用して、E.coliを形質転換し
た。生じた形質転換体を拾い、そして一晩の培養物3mlを、プラスミドミニ調
製に使用した。挿入物サイズを、プラスミドのEcoRI消化物を用いて決定し
、そして本来のPCR産物の適切なサイズの挿入物を含むクローンを、蛍光色素
ターミネーター試薬(Prism、Applied Biosystems)お
よびApplied Biosystems 373 DNAシークエンサーを
使用して配列決定した。このPCR産物の配列を、図2に示す。増幅プライマー
の配列に下線を付す。
【0186】 (5’RACE反応) RT−PCRを通して同定されたcDNAの伸長は、5’RACEシステム(
Loh,E.Y.、Eliot,J.F.、Cwirla,S.、Lanier
,L.L.およびDavis,M.M.(1989)Science 243、
217−219;Simms,D.、Guan,N.、およびSitarama
n,K.(1991)Focus 13、99−100)(GIBCO)を使用
して達成した。ディファレンシャルディスプレイ反応において最初に使用された
1μgのTHP−1 RNA(酸化型LDL処理)を、以下の5’RACE手順
において利用した。
【0187】 1μl(1μg)のRNAを、3μl(3pmol)のプライマー2aおよび
11μlのDEPC処理水と合わせ、そして10分間70℃に加熱し、次いで氷
上に1分間置いた。2.5μlの10×反応緩衝液(200mM Tris−H
Cl pH8.4、500mM KCl)、3μlの25mM MgCl2、1
μlの10mM dNTP混合物、および2.5μlの0.1M DTTを添加
した。この混合物を、42℃で2分間インキュベートし、次いで1μlのSup
erscript II逆逆転写酵素を添加した。この反応系を42℃でさらに
30分間、70℃で15分間、そして氷上で1分間インキュベートした。1μl
のRNase H(2単位)を添加し、そしてこの混合物を55℃で10分間イ
ンキュベートした。cDNAを、キットに含まれるGlassMaxカラム(S
ambrook,J.Fritsch,E.F.,およびManiatis,T
.(1989)Molecular Cloning:A Laborator
y Manual,第2版、Cold Spring Harbor Labo
ratory Press,Plainview,NY)を使用して精製した。
cDNAをこのカラムから50μlのdH2Oで溶出し、凍結乾燥し、そして2
1μlのdH2Oに再懸濁した。cDNAのテーリング(tailing)を、
以下の反応で達成した:7.5μlのdH2O、2.5μlの反応緩衝液(20
0mM Tris−HCl pH8.4、500mM KCl)、1.5μlの
25mM MgCl2、2.5μlの2mM dCTP、および10μlのcD
NAを94℃で3分間、次いで1分間氷上でインキュベートした。1μl(10
単位)の末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを添加し、そしてこの
混合物を37℃で10分間インキュベートした。この酵素を、70℃で10分間
インキュベーションすることにより熱不活化し、そしてその混合物を氷上に置い
た。cDNAのPCR増幅を、以下の工程で行った:5μlのテーリングした(
tailed)cDNAを、反応系に含めた。この反応系はまた、5μlの10
×PCR緩衝液(500mM KCl、100mM Tris−HCl pH8
.3、15mM MgCl2、および0.01%(w/v)ゼラチン)、1μl
の10mM dNTP混合物、2μl(10pmol)アンカープライマー、1
μl(20pmol)のプライマー3a、および35μlのdH2Oを含有する
。この反応系を1分間95℃まで加熱し、次いで0.9μl(4.5単位)のA
mplitaqポリメラーゼを添加した。この反応系を、以下の条件下で40回
循環させた:94℃で5秒間、50℃で20秒間、そして72℃で30秒間。1
μlのこの反応系を、続く単離のための特定の産物のレベルを増大させるために
、入れ子状(nested)再増幅で使用した。この再増幅は以下を含んだ:1
μlの一次増幅物、5μlの10×PCR緩衝液、1μlの10mM dNTP
混合物、2μl(20pmol)のユニバーサル(universal)増幅プ
ライマー、2μl(20pmol)のプライマー4a、および38μlのdH2
O。この反応系を、1分間95℃まで加熱し、次いで0.7μl(3.5単位)
のAmplitaqポリメラーゼを添加した。この反応系を以下の条件下で40
回循環させた;94℃で5秒間、50℃で20秒間、そして72℃で30秒間。
増幅産物を0.8%アガロースゲル電気泳動を介して分析した。約1.2キロ塩
基対の主な産物を検出した。2μlの反応産物をTAクローニングキット(In
vitrogen)からのpCRIIベクター中にクローニングし、そして14
℃で一晩インキュベートした。この連結産物をE.coliを形質転換するため
に使用した。生じた形質転換体の挿入サイズを、EcoRI消化に従って決定し
た。およそのサイズのPCR産物のインサートを含むクローンを、蛍光色素−タ
ーミネーター試薬(Prism,Applied Biosystems)およ
びApplied Biosystems 373DNAシーケンサーを使用し
て、配列決定した。TAベクターからのEcoRI部位を含むRACE産物の配
列を、図3に示す。アンプリマー(amplimer)(ユニバーサル増幅プラ
イマーおよび5’RACEプライマー4aに対する相補体)に下線を付す。
【0188】 (実施例2−LIPG遺伝子のクローニングおよび染色体位置決定) (cDNAライブラリースクリーニング) ヒト胎盤cDNAライブラリー(Oligo dTおよびランダムプライム(
random primed)、カタログ番号5014b、ロット番号5203
3)をClontech(Palo Alto,CA)から得た。放射性標識さ
れたプローブを、上記の5’RACE反応PCR産物を含有するプラスミドのイ
ンサートを切り出すことにより作製した。このプローブを、以下のようなランダ
ムプライミング技術を使用して放射標識した:DNAフラグメント(50〜10
0ng)を1μgのランダムヘキサマー(Gibco)とともに95℃で10分
間、次いで氷上で1分間インキュベートした。室温で以下を添加した:3μlの
10×Klenow緩衝液(100mM Tris−HCl pH7.5、50
mM MgCl2、57mMジチオトレイトール;New England B
iolabs)、3μlの0.5mM dATP、dGTP、dTTP)、10
0μCi α−32PdCTP(3000Ci/mmol、New Englan
d Nuclear)、および1μlのDNAポリメラーゼIのKlenowフ
ラグメント(5単位、Gibco)。この反応系を2〜3時間室温でインキュベ
ートし、次いでこの反応を、TE pH8.0で容量を100μlにし、そして
EDTAを最終濃度1mMになるまで添加することにより終結させた。組込まれ
ていないヌクレオチドを反応系の容量を100μlに上昇させ、そしてG−50
スピンカラム(Boehringer Mannheim)を通すことにより除
去した。生じたプローブは、5×108cpm/μg DNAより大きい特異的
な活性を有した。
【0189】 このライブラリーを、確立された方法(Walter,P.,Gilmore
,R.およびBlobel,G.(1984)Cell 38,5−8)を使用
して調べた。簡単には、4.8×SSPE(20×SSPE=3.6M NaC
l、0.2M NaH2PO4、0.02M EDTA、pH7.7)、20mM
Tris−HCl pH7.6、1× Denhardt溶液(100×=2
%Ficoll 400、2%ポリビニルピロリドン、2%BSA)、10%硫
酸デキストラン、0.1%SDS、100μg/mlサケ精子DNA、および1
×106cpm/ml放射標識プローブ中で、フィルターを65℃で24時間ハ
イブリダイズさせた。次いでフィルターを15分間室温で2×SSC(1×SS
C=150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム pH7.0)、0.
1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)で3回洗浄し、次いで各々15分間65
℃で0.5×SSC、0.1%SDS中で3回洗浄した。このプローブにハイブ
リダイズしたファージを、単離し、そして増幅した。DNAを増幅したファージ
から、LambdaSorb試薬(Promega)を使用して、製造者の使用
説明書に従って精製した。これらのインサートを、ファージDNAから、Eco
RIを用いる消化により切り出した。これらのインサートをプラスミドベクター
(Bluescript II SK,Stratagene)のEcoRI部
位にサブクローニングした。このcDNAの2.6kb EcoRIフラグメン
ト内に含まれるオープンリーディングフレームの配列を、上記のような自動化配
列決定により決定した。その配列を図4に示す。オープンリーディングフレーム
によりコードされる推定タンパク質のアミノ酸配列が、図5に示され、そしてL
LGXLと呼ばれる。最初のメチオニンが、ヌクレオチド対252〜254によ
りコードされると推定される。推定タンパク質は、500アミノ酸長である。最
初の18アミノ酸は、分泌シグナルペプチド(Higgins,D.G.,およ
びSharp,P.M.(1988)Gene 73,237−244)に特徴
的な配列を形成する。プロペプチドは、56,800ダルトンの分子量を有する
と推定される。18位におけるシグナルペプチドの切断を仮定すると、改変され
ていない成熟タンパク質は、54,724ダルトンの分子量を有する。
【0190】 このタンパク質とトリアシルグリセロールリパーゼファミリーの他の公知のメ
ンバーとの間の全体的な類似性は、図6および表1に示される。図6に示される
整列において、LIPGは、実施例1に記載されるcDNA(配列番号5)によ
ってコードされるポリぺプチド(配列番号6)であり、本明細書の以下ではLL
GNといわれる。このタンパク質は、アミノ末端の345残基においてLLGX
Lタンパク質と同一である。9つの独特な残基に、終止コドンが続き、39.3
kDのプロポリぺプチドおよび37.3kDの成熟タンパク質を産生する。LL
GNおよびLLGXLに共通の配列は、配列番号9の核酸配列および配列番号1
0のアミノ酸配列である。
【0191】 興味深いことに、LLGNおよびLLGXLタンパク質が分岐する位置は、他
のリパーゼの構造からのこれらのタンパク質のアミノドメインとカルボキシドメ
インとの間にある、公知である領域にある。従って、LLGNタンパク質は、ト
リアシルグリセロールリパーゼの2つのドメインのうちの1つのみからなるよう
である。この配列は、位置167〜171における特徴的な「GXSXG」リパ
ーゼモチーフならびにSer169、Asp193、およびHis274におけ
る触媒性三つ組(catalytic triad)残基の保存を含む。システ
イン残基(位置64、77、252、272、297、308、311、316
、463、および483)の保存は、他のリパーゼにおいてはジスルフィド結合
に関係しており、この保存は、LLGXLタンパク質が、他の酵素と構造的類似
性を有しているということを示唆する。N−連結グリコシル化についての5つの
推定部位が存在する;アミノ酸位置80、136、393、469、および49
1。比較に使用されるタンパク質配列は、以下である:ヒトリポタンパク質リパ
ーゼ(LPL;Genbank登録番号M15856、配列番号13)、ヒト肝
臓リパーゼ(HL;Genbank登録番号J03540、配列番号14)、ヒ
ト膵臓リパーゼ(PL;Genbank登録番号M93285、配列番号15)
、ヒト膵臓リパーゼ関連タンパク質−1(PLRP−1;Genbank登録番
号M93283)、およびヒト膵臓リパーゼ関連タンパク質−2(PLRP−2
;Genbank登録番号M93284)。 (表1.トリアシルグリセロールリパーゼ遺伝子ファミリーの類似性)
【0192】
【表1】 類似性パーセントは、Lasergene Biocomputing Sof
tware Suite(Dnastar)のMegalignプログラムにお
けるClustalアルゴリズム(Camps,L.,Reina,M.,Ll
obera,M.,Vilaro,S.,およびOlivecrona,T.(
1990)Am.J.Physiol.258,C673−C681)を使用し
た対をなす(pairwise)整列に基づく。
【0193】 (染色体位置決定) ゲノムLLG DNAを含むP1クローン(Sternberg,N.,Ru
ether,J.およびDeRiel,K.The New Biologis
t 2:151−62,1990)由来のDNAを、ジゴキシゲニンUTPでニ
ックトランスレーション(nick translation)により標識した
。標識化プローブを剪断したヒトDNAと合わせ、そして50%ホルムアミド、
10%硫酸デキストラン、および2×SSCを含有する溶液中で、雄性ドナー由
来のPHA刺激末梢血液リンパ球にハイブリダイズさせた。特異的ハイブリダイ
ゼーションシグナルを、このハイブリダイズした細胞をフルオレセイン化抗ジゴ
キシゲニン抗体中でインキュベートし、次いでDAPIで対比染色することによ
り検出した。この最初の実験は、E群染色体の特異的標識化を生じ、このE群染
色体は、DAPI染色に基づいて第18染色体にあると考えられた。
【0194】 第2の実験を行い、この実験において、第18染色体のセントロメアに特異的
なビオチン標識化プローブを、LLGプローブと同時ハイブリダイズ(cohy
bridize)させた。この実験は、赤色の第18染色体および緑色の第18
染色体の長腕という特異的標識化を生じた。11の特異的に標識されたハイブリ
ダイズされた第18染色体の測定は、LLGが、0.67のフィルター(Flt
er)(0.38のFranke測定)を有するということを実証し、これは、
18q21のバンドに対応する。いくつかの遺伝的疾患(肝臓内胆汁うっ滞、錐
杆体(cone rod)ジストロフィー、および家族性拡大性骨溶解を含む)
は、この染色体領域における欠損を含むと考えられる。
【0195】 (実施例3−LIPG RNA分析) (THP−1細胞におけるLIPG RNAの発現) cDNAが由来するmRNAの分析を、THP−1 RNAのノーザン分析に
より行った。これらの細胞由来のRNAを、上記のように調製した。このmRN
Aをポリ−dT−磁気ビーズ系(Polyattract system,Pr
omega)の使用により、全体のRNAから精製した。3μgのポリ(A)含
有mRNAを、1%アガロース−ホルムアミドゲル上で電気泳動した.このゲル
を、30分間dH2O中で洗浄した。RNAを、アルカリトランスファー緩衝液
(3M NaCl、8mM NaOH、2mM サルコシル)を使用してナイロ
ン膜に真空トランスファーした。トランスファーした後、ブロットを、200m
Mホスフェート緩衝液pH6.8中で5分間インキュベーションすることにより
中和した。このRNAを、紫外線架橋装置(Stratagene)を使用して
膜に架橋させた。
【0196】 上記の5’RACE反応PCR産物を含むプラスミドのインサートを切り出す
ことにより、プローブを作製した。このプローブを、実施例2に記載のランダム
プライミング技術を使用して放射標識した。
【0197】 フィルターを、QuikHyb高速ハイブリダイゼーション溶液(Strat
agene)中で30分間65℃で前ハイブリダイズした。放射標識プローブ(
1〜2×106cpm/ml)および超音波処理したサケ精子DNA(最終濃度
100μg/ml)を、95℃に10分間加熱することにより変性し、そしてQ
uikHyb中のフィルターに添加する前に、氷上で急速冷却した。ハイブリダ
イゼーションは、65℃で3時間であった。フィルターを15分間2×SSC、
0.1%ドデシル硫酸ナトリウムで室温で2回洗浄し、次いで62℃で15分間
0.1×SSC、0.1%SDSで2回洗浄することにより、ハイブリダイズし
ていないプローブを、除去した。洗浄に続いて、これらのフィルターを簡単に乾
燥させ、次いで−80℃で増感スクリーンを有するKodak XAR−2フィ
ルムに曝露した。結果を図7に示す。この図は、約4.5キロベースの主要なm
RNA種を示す。4.3および1.6キロベースの少量の種も存在する。LLG
N cDNAの予測されたサイズは、1.6kbである。LLGXL配列は、検
出されたmRNAの主要な種によりコードされるようである。
【0198】 (種々のヒト組織におけるLIPG RNAの発現) ヒト組織(心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、および膵臓)由来のm
RNAを各々3μg含む、商業的に調製されたフィルターを、Clontech
(カタログ#7760−1)から購入した。このフィルターを、上記のようにプ
ローブし、そして処理した。放射標識したLLGフラグメントおよびオートラジ
オグラフィーを用いてプローブした後、プローブを、65℃のインキュベーター
中で、沸騰している0.1×SSC、0.1%SDSで2×15分間洗浄するこ
とにより、ストリップした。次いで、この膜を、ヒトリポタンパク質リパーゼを
コードする、1.4キロベース対DNAフラグメントでプローブした。このフラ
グメントは、図1に記載される5’LPLおよび3’LPLプライマーおよび上
記のRT−PCR条件を用いる、THP−1 RNA(PMAおよびoxLDL
処理)のRT−PCRにより得られた。オートラジオグラフィーの後、この膜を
再びストリップし、そしてヒトβアクチンcDNAの放射標識したフラグメント
を用いて再プローブして、RNA含量について規格化した。これらの分析の結果
は、図8に示される。LIPGメッセージの最も高いレベルは、胎盤RNAにお
いて検出され、最も低いレベルは、肺組織、肝臓組織、および腎臓組織由来のR
NA中に見出された。他者による先の研究(Verhoeven,A.J.M.
,Jansen,H.(1994)Biochem.Biophys.Acta
1211,121−124)に従って、リポタンパク質リパーゼメッセージは
、多くの組織において見出され、心臓組織および骨格筋組織において最も高いレ
ベルで見出された。この分析の結果は、LIPG発現の組織分布は、LPL発現
の組織分布と非常に異なることを示す。LIPG発現のパターンもまた、他者(
Wang,C.−S.およびHartsuck,J.A.(1993)Bioc
hem.Biophys.Acta 1166,1−19;Semenkovi
ch,C.F.,Chen,S.−W.,Wims,M.,Luo,C.−C,
Li,W.−H.およびChan,L.(1989)J.Lipid Res.
30,423−431;Adams,M.D.,Kerlavage,A.R.
,Fields,C.およびVenter,C.(1993)Nature G
enet.4,256−265)によって報告されたように肝臓リパーゼまたは
膵臓リパーゼのいずれかの発現パターンと異なる。
【0199】 さらなるヒト組織における発現パターンを決定するために、別の商業的に調製
された膜を、LLGXL cDNAでプローブした。このドットブロット(ヒト
RNA Master Blot、Clontechカタログ#7770−1)
は、50の異なる組織由来の100〜500ngのmRNAを含み、そして等価
なハウスキーピング遺伝子発現について規格化されている(Chen,L.およ
びMorin,R.(1971)Biochim.Biophys.Acta
231,194−197)。LLGXL cDNAの1.6kbのDraI−S
rfIフラグメントを、ランダムオリゴヌクレオチドプライミングシステム(P
rime It II,Stratagene)を用いて、製造者の指示に従っ
て、32PdCTPで標識した。65℃での30分間のプレハイブリダイゼーショ
ンの後、プローブを、1.3×106cpm/mlのQuikHybハイブリダ
イゼーション溶液に加えた。ハイブリダイゼーションは、65℃で2時間であっ
た。フィルターを、室温で2×SSC、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム、続い
て62℃で、0.1×SSC、0.1%SDS中で15分間2回、洗浄すること
により、ハイブリダイズしていないプローブを除去した。洗浄後、フィルターを
簡単に乾燥させ、次いで増感紙を用いて、−80℃で、様々な時間で、Koda
k XAR−2フィルムに曝露した。得られた画像は、デンシトメトリーによっ
て定量化した。結果を表2に示す。複数の組織ノーザンブロットおよび複数の組
織ドットブロットの両方において提示された、組織の相対的な発現レベルは類似
しており、胎盤において最も高いレベルであり、そして肺、肝臓および腎臓にお
いてより低いレベルである。胎児肝臓、腎臓、および肺もまた、成体組織とほぼ
同様のレベルで発現する。驚くべきことに、甲状腺組織発現レベルは、提示され
たすべての組織の中で最も高く、胎盤組織における発現の122%の発現であっ
た。胎盤によるリパーゼ発現についての先例が存在する(Rothwell,J
.E.,Elphick,M.C.(1982)J.Dev.Physiol.
4,153−159;Verhoeven,A.J.M.,Carling,D
.およびJansen,H.(1994)J.Lipid Res.35,96
6−975;Burton,B.K.,Mueller,H.W.(1980)
Biochim.Biophys.Acta 618,449−460)が、甲
状腺は、いかなるリパーゼも発現することは以前に知られていなかった。これら
の結果は、LIPG発現が、胎盤の維持に関与し得ることを示唆するが、LIP
Gは、基質(例えば、リン脂質)からエネルギー源として遊離脂肪酸を遊離させ
るために役立ち得る。甲状腺において発現されたLIPGは、甲状腺による生理
活性分子の合成のための前駆体を提供し得る。
【0200】
【表2】 与えられた値は、任意に100%に設定した胎盤組織におけるレベルに対する、
発現のパーセンテージである。値は、2つのオートラジオグラフ曝露からのデン
シトメトリー測定の平均である。N.D.=検出不可能。
【0201】 (培養内皮細胞におけるLIPG RNAの発現) ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)およびヒト冠状動脈内皮細胞(HCAEC
)を、Cloneticsから購入した。HUVECを、3mg/mlウシ脳抽
出物を補充した商業的に調製された内皮細胞増殖培地(EGM、Cloneti
cs)中で増殖させ(Maciag,T.,Cerundolo,J.,Ils
ley,S.,Kelley,P.R.およびForand,R.(1979)
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76,5674−5678、
Clonetics)、一方HCAECを、3mg/mlウシ脳抽出物および3
%ウシ胎児血清(5%最終濃度)を補充したEGM中で増殖させた。細胞を、コ
ンフルエンとになるまで増殖させ、次いで培地をウシ脳抽出物なしのEGMに交
換した。培養物を、100ng/mlのホルボールミリステート(Sigma)
を加えることによって刺激した。24時間のインキュベーションの後、上記のT
rizol法を介して、RNAを細胞から抽出した。20マイクログラムの全R
NAを電気泳動し、分析のための膜に移した。この膜を、上記のようにLIPG
およびLPLプローブでプローブした。結果を図9に示す。PMAで刺激された
THP−1細胞由来の20マイクログラムの全RNAを、比較のためにブロット
を行った。LIPGプローブにハイブリダイズするRNAを、刺激していないH
UVEC細胞およびPMA刺激したHUVEC細胞において検出した。対照的に
、検出可能なレベルのLIPG mRNAは、PMAでの刺激後のHCAEC培
養物においてのみ見出された。他者の先の研究に従って、いかなる内皮RNAに
おいても、検出可能なリポタンパク質リパーゼmRNAは検出されなかった(V
erhoeven,A.J.M.,Jansen,H.(1994)Bioch
em.Biophys.Acta 1211,121−124)。
【0202】 (実施例4−LIPGタンパク質分析) (抗体の調製) 抗血清を、LIPG cDNAオープンリーディングフレームによりコードさ
れる推定タンパク質の領域に対応する配列を有するペプチドに対して産生させた
。このペプチドは、その高い推定抗原性指標(Jameson,B.A.および
Wolf,H.(1988)Comput.Applic.in the Bi
osciences 4,181−186)のため、選択した。免疫ペプチドの
配列は、Genbankデータベースのいかなるタンパク質においても、翻訳さ
れたDNA配列においても、見出されなかった。LIPGタンパク質におけるそ
の対応する位置を、図10に示す。このペプチドのカルボキシ末端システインは
、LIPG推定タンパク質における残基と一致しなかったが、キャリアタンパク
質との結合を容易にするために導入された。このペプチドは、Applied
Biosystems Model 433Aペプチド合成機で合成した。2ミ
リグラムのペプチドを、Imject Activated Immunoge
n Conjugation Kit(Pierce Chemical)に含
まれるプロトコルに従って、2ミリグラムのマレイミド活性化キーホールリンペ
ットヘモシアニンに結合させた。脱塩後、2分の1の結合体を、等容積のFre
und’s完全アジュバント(Pierce)を用いて乳化した。この乳化物を
、ニュージーランド白ウサギに注射した。最初の接種の4週間後、Freund
’s不完全アジュバント(Pierce)を用いたこと以外は、正確に上記のと
おり作製した乳化物を用いて、追加免疫接種を行った。追加免疫の2週間後、試
験採血を行い、固定化ペプチドを用いるELISAを介して特異的抗体の力価を
決定した。最初の追加免疫の1ヶ月後、次の追加免疫を行った。
【0203】 (内皮細胞培養物由来の培地のウエスタン分析) HUVECおよびHCEAC細胞を、PMAで48時間刺激したこと以外は、
実施例3Cに記載されているように培養し、そしてPMAで刺激した。馴化培地
のサンプル(9ml)を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS、150mM 塩化
ナトリウム、100mM リン酸ナトリウム、pH7.2)中のヘパリン−セフ
ァロースCL−6Bの50%スラリー(500μl)とインキュベートした。ヘ
パリン−セファロースを、LPLのヘパリン結合活性に対する臨界として同定さ
れているLLGXL配列中の残基の保存のため(Ma,Y.,Henderso
n,H.E.,Liu,M.−S.,Zhang,H.,Forsythe,I
.J.,Clarke−Lewis,I.,Hayden,M.R.およびBr
unzell,J.D. J.Lipid Res.35,2049−2059
;および図6)、LIPGタンパク質を部分的に精製し、そして濃縮するために
選択した。4℃で1時間の回転後、このサンプルを150×gで5分間遠心分離
した。培地を吸引し、セファロースを14mlのPBSで洗浄した。遠心分離お
よび吸引後、ペレット化したヘパリン−セファロースを、200μlの2×SD
Sローディング緩衝液(4% SDS、20% グリセロール、2% β−メル
カプトエタノール、0.002% ブロムフェノールブルー、および120mM
Tris pH6.8)中に懸濁させた。このサンプルを、95℃まで5分間
加熱し、そして40μlを10% Tris−グリシン SDSゲル上にロード
した。140Vで約90分間の電気泳動後、このタンパク質を、Novexエレ
クトロブロッティング装置(210V、1時間)を介して、ニトロセルロース膜
に移した。この膜を、ブロッキング緩衝液(5% 脱脂粉乳、0.1% Twe
en20、150mM 塩化ナトリウム、25mM Tris pH7.2)中
で30分間ブロック化した。抗ペプチド抗血清および正常なウサギ血清を、ブロ
ッキング緩衝液中で1:5000に希釈し、そして穏やかに攪拌しながら、この
膜と4℃で終夜でインキュベートした。次いで、この膜をTBST(0.1%
Tween 20、150mM 塩化ナトリウム、25mM Tris pH
7.2)で4×15分間洗浄した。ヤギ抗ウサギペルオキシダーゼ結合体化抗血
清(Boehringer Mannheim)をブロッキング緩衝液中で1:
5000に希釈し、そして攪拌しながら、1時間この膜とともにインキュベート
した。膜を上記のように洗浄し、Renaissance化学発光試薬(DuP
ont NEN)と反応させ、そしてKodak XAR−2フィルムに曝露し
た。結果を図11に示す。免疫反応性タンパク質の2つの種は、刺激していない
HUVEC細胞およびHCAEC細胞由来のサンプル中に存在する。刺激してい
ないHCAECサンプル中の免疫反応性タンパク質のレベルは、対応するHUV
ECサンプルよりもかなり低い。PMAでの刺激の際に、3つの免疫反応性タン
パク質が内皮細胞培養物によって分泌される。PMA曝露は、HCAEC培養物
によって産生されるLIPGタンパク質のレベルを大いに増加させた。LLGタ
ンパク質のPMA誘導は、HUVEC培養物においてはそれ程劇的ではなかった
【0204】 (実施例5−組換えLIPGタンパク質産生) (LIPG発現構築物) LLGNおよびLLGXLタンパク質をコードするcDNAを、哺乳動物発現
ベクターpCDNA3(Invitrogen)にクローン化した。このベクタ
ーは、サイトメガロウイルス主要後期プロモーターの使用を通して、多くの哺乳
動物細胞中で外来遺伝子の発現を可能にした。LLGN 5’RACE産物を、
pCDNA3のEcoRI部位にクローン化した。LLGXL cDNAを、D
raIおよびSrfIを用いて消化し、1.55kbのcDNAを得た(図4を
参照のこと)。このベクターを、制限酵素(EcoRV)で消化し、そしてベク
ターおよび挿入物を、T4 DNAリガーゼおよびRapid Ligatio
n Kit(Boehringer Mannheim)からの試薬を用いて、
製造者の指示に従って連結した。連結生成物を使用して、コンピテントなE.c
oliを形質転換した。得られたコロニーを、制限分析によってスクリーニング
し、そして発現ベクター中の挿入物の存在および配向について配列決定した。
【0205】 (COS−7細胞におけるLIPGの一過性トランスフェクション) LIPG発現ベクターを、Lipofectaminカチオン性脂質試薬(G
IBCO)の使用を介して、COS−7細胞に導入した。トランスフェクション
の24時間前に、COS−7細胞を60mmの組織培養皿に、2×105細胞/
プレートの密度でプレートした。この細胞を、10%ウシ胎仔血清、100U/
mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンを補充したDulb
ecco改変Eagle培地(DMEM;GIBCO)にて増殖させた。1マイ
クログラムのプラスミドDNAを、300μlのOptimem I無血清培地
(Gibco)に添加した。10マイクロリットルのLipofectamin
試薬を、300μlのOptimem I培地に希釈し、そしてこれをこのDN
A溶液と合わせ、そして30分間室温に放置した。この培地をプレートから除去
し、そして細胞を2mlのOptimem培地でリンスした。このDNA−Li
pofectamin溶液を、2.7mlのOptimem培地と共にプレート
に添加し、そしてこのプレートを37℃で5時間インキュベートした。インキュ
ベートした後、無血清培地を除去し、2%FBSおよび抗生物質を補充したDE
MEで置換した。トランスフェクションの12時間後に、培養物のうちのいくら
かを、0.25mMのPefabloc SC(Boehringer Man
nheim)(プロテアーゼインヒビター)、または10U/mlのヘパリンの
いずれかで処理した。収集の30分前に、ヘパリン処理サンプルを、さらに40
U/mlのへパリンで処理した。トランスフェクションの60時間後に、細胞か
ら培地を除去した。ヘパリン−Sepharose CL−4B(pH7.2の
PBS中の50%スラリー200μl)を、1mlの培地に添加し、そして4℃
で1時間混合した。このSepharoseを、低速遠心分離によってペレット
化し、そして1mlの冷PBSで3回洗浄した。このSepharoseをペレ
ット化し、そして100μlの2×ローディング緩衝液中に懸濁した。このサン
プルを、95℃まで5分間加熱した。40μlの各サンプルを、10%SDS−
PAGEゲルにロードした。上記のような抗LIPG抗血清を使用して、電気泳
動およびウエスタンブロットを行った。結果を図12に示す。HCAEC馴化培
地からのタンパク質を、サイズ基準のために含ませた。LLGNは、約40kD
で移動し、HCAECにおける最も下のバンドと一致する。LLGXL cDN
AでトランスフェクトされたCOS細胞からの培地は、68kDおよび40kD
の両方の種を含む。これらの細胞をヘパリンで処理した場合、培地から回収した
68kDおよび40kDの両方のタンパク質の量は、劇的に増加した。これは細
胞表面からのプロテオグリカン結合タンパク質の放出、またはヘパリンによるタ
ンパク質の安定化のいずれかを示す。この細胞をプロテアーゼインヒビターのP
efablocで処理した場合、68kDのタンパク質の量は、40kD種の量
に対して増加した。このことは、これらの細胞から産生される低分子量である方
のタンパク質が、より大きな68kD形態のタンパク質分解産物であることを示
唆する。ディファレンシャルディスプレイを介して同定された、より短い40k
D種をコードするmRNAの役割は、未知である。しかし、肝リパーゼの選択的
にスプライスされた形態の報告が存在し、この形態は明らかに組織特異的様式で
発現され、そして切断タンパク質を生成する。
【0206】 (実施例6 動物種におけるLIPG) (LIPGのウサギホモログのクローニング) ウサギ肺組織由来の市販のλcDNAライブラリー(Clonteck,Ca
t.#TL1010b)を、LIPG遺伝子のウサギホモログのフラグメントを
単離するために使用した。5マイクロリットルのストックライブラリーを、45
μlの水に添加し、そして95℃まで10分間加熱した。以下を、最終体積10
0μlで添加した:200μMのdNTPs、20mMのTris−HCl p
H8.4、50mMのKCl、1.5mMのMgCl2、各100μMのプライ
マーDLIP774およびLLGgen2a、ならびに2.5UのTaqポリメ
ラーゼ(GIBCO)。この反応を、以下のパラメータで35回熱サイクルさせ
た:94℃で15秒、50℃で20秒、72℃で30秒。この反応物の10マイ
クロリットルを、アガロースゲル電気泳動を介して分析した。約300塩基対の
産物を検出した。この反応混合物の部分(4μl)を、TAクローニング系を介
する産物のクローニングのために使用した。得られたクローンのインサートを配
列決定した(配列番号11)。推定ウサギアミノ酸配列(配列番号12)と対応
するヒトcDNAの配列との間のアライメントもまた、図14に示す。いずれの
増幅プライマーの部分でもないヌクレオチドについて、ウサギとヒトのLLG配
列の間に85.8%の同一性がある。このウサギcDNAによってコードされる
推定タンパク質は、ヒトタンパク質と94.6%の同一性を共有し、ヌクレオチ
ド置換のほとんどがコドンの3番目の位置または「ゆらぎ」位置である。特に、
この領域は、推定LLGタンパク質の「リド(lid)」配列にまたがり、そし
てリパーゼ遺伝子ファミリーの可変ドメインである。これは、種間でのこの遺伝
子の高度な保存が存在するという証拠である。
【0207】 (他の種におけるLIPG) 他の種におけるLLG遺伝子の存在を実証するために、種々の種由来のゲノム
DNAを、EcoRIで制限消化し、アガロースゲル中の電気泳動によって分離
し、そしてニトロセルロース膜にブロットした。
【0208】 この膜を、6X SSC、10%の硫酸デキストラン、5×Dendardt
溶液、1%SDS、および5μg/mlのサケ精子DNAのハイブリダイゼーシ
ョン溶液において、2.5×106cpm/mlのランダムプライムされた32
−LLGまたは32P−LPL(リポタンパク質リパーゼ)プローブで、65℃で
一晩ハイブリダイズした。この膜を0.1X SSC、0.5%SDSで10分
間室温で洗浄し、次いで連続的に40℃、50℃、および55℃で10分間洗浄
した。このブロットのオートラジオグラムを図16に示す。
【0209】 図16は、ラットDNAに対してLLGプローブでのハイブリダイゼーション
が観察されなかったことを除いて、試験した全ての種におけるLLG遺伝子およ
びLPL遺伝子の存在を示す。ラットからの例外的データは、LLG配列を含む
異常なサイズの制限フラグメントの生成により生じる人工産物を示し得る。この
ようなフラグメントは、アガロースゲルの分画範囲の外側であり得るか、または
非能率的にブロットし得る。この2つのプローブによって検出される異なるバン
ドは、LPLおよびLIPGが、別個の進化的に保存された遺伝子であることを
示す。
【0210】 (実施例7 LLGXLの酵素活性) (ホスホリパーゼ活性) ヒトリポタンパク質リパーゼ(LPL)、LLGN、またはLLGXLを一過
性発現するCOS−7からの馴化培地を、ホスホリパーゼ活性についてアッセイ
した。10%FBS含有MEM(MEM)をブランクとして使用し、そしてアン
チセンスLLGXLプラスミド(AS)でトランスフェクトしたCOS−7細胞
からの馴化培地を、陰性コントロールとして使用した。
【0211】 ホスファチジルコリン(PC)エマルジョンを、10μlのホスファチジルコ
リン(10mM)、40μlのsnの1位または2位で標識した14C−ホスファ
チジルコリン(ジパルミトイル)(2μCi)、および100μlのTris−
TCNB(100mMのTris、1%のTriton、5mMのCaCl2
200mMのNaCl、0.1%のBSA)を使用して作製した。このエマルジ
ョンを、10分間エバポレートし、次いでTris−TCNB中で最終体積を1
mlにした。
【0212】 反応を2連で実施し、そして50μlのPCエマルジョンおよび950μlの
培地を含有させた。サンプルを、振盪水浴中で、37℃で2〜4時間インキュベ
ートした。この反応を、1NのHClを1ml添加して停止させ、次いで4ml
の2−プロパノール:ヘキサン(1:1)で抽出した。上側の1.8mlのヘキ
サン層をシリカゲルカラムに通し、そしてフロースルーフラクション中に含まれ
る遊離した14C−遊離脂肪酸を、シンチレーションカウンターで定量化した。こ
れらのアッセイの結果を図14に示す。
【0213】 (トリアシルグリセロールリパーゼ活性) ヒトリポタンパク質リパーゼ(LPL)、LLGN、またはLLGXLを一過
性発現するCOS−7からの馴化培地を、トリグリセロールリパーゼ活性につい
てアッセイした。10%FBS含有MEMをブランクとして使用し、そしてアン
チセンスLLGXLプラスミド(AS)でトランスフェクトしたCOS−7細胞
からの馴化培地を、陰性コントロールとして使用した。
【0214】 標識トリオレイン、[9,10−3H(N)]および非標識トリオレインの無
水エマルジョン(最終総トリオレイン=150mgおよび6.25×108cp
m)として、濃縮基質を調製し、これを100%グリセロール中の9mgのレシ
チンの添加によって安定化した。0.56mlの3H−トリオレイン(0.28
mCi)を、0.17mlの非標識トリオレインおよび90μlのレシチン(9
mg)と混合した。この混合物を、窒素流下でエバポレートした。乾燥した脂質
混合物を、2.5mlの100%グリセロール中でソニケーションすることによ
って乳化した(パルスレベル2で30秒に続いて2秒間の冷却のサイクルを、5
分間)。
【0215】 アッセイ基質を、1容量の濃縮基質を、3%w/vの脂肪酸除去ウシ血清アル
ブミンを含む4容量の0.2M Tris−HCl緩衝液(pH8.0)で希釈
することによって調製した。希釈基質を、5秒間激しくボルテックスした。
【0216】 反応を、0.1mlのアッセイ基質および0.1mlの指示馴化培地を含む総
容量0.2mlで2連で実施した。この反応物を、37℃で90分間インキュベ
ートした。この反応を、3.25mlのメタノール−クロロホルム−ヘプタン
1.41:1.25:1(v/v/v)、続いて1.05mlの0.1M炭酸カ
リウム−ボレート緩衝液(pH10.5)の添加によって停止した。15秒間激
しく混合した後、このサンプルを5分間1000rpmで遠心分離した。上側の
水相の1.0mlのアリコートを、シンチレーションカウンターで計測した。こ
れらのアッセイの結果を図15に示す。
【0217】 (実施例8 エンハンサーまたはインヒビターについてのスクリーニングのた
めのLIPGポリペプチドの使用) 組換えLIPGを、バキュロウイルス感染昆虫細胞または安定にトランスフェ
クトされたCHO細胞、あるいは他の条件の合った哺乳動物宿主細胞において産
生した。組換えLIPGを、血清含有馴化培地または無血清馴化培地から、ヘパ
リン−Sepharose上でのクロマトグラフィー、続いてカチオン交換樹脂
上でのクロマトグラフィーにより精製した。必要な場合、第三のクロマトグラフ
工程またはさらなるクロマトグラフ工程(例えば、分子ふるい)を、LIPGの
精製において使用する。精製の間、抗ペプチド抗体を、LIPGタンパク質をモ
ニターするために使用し、そしてホスホリパーゼアッセイを、LIPG活性を追
跡するために使用する。
【0218】 蛍光アッセイにおいて、最終アッセイ条件は、約10mMのTris−HCl
(pH7.4)、100mMのKCl、2mMのCaCl2、5μMのC6NBD
−PC{1−アシル−2−[6−(ニトロ−2,1,3−ベンゾキサジアゾール
−4−イル)アミノ]カプロイルホスファチジルコリン}、およびLIPGタン
パク質(約1〜100ng)である。この反応物を470nmでの蛍光励起に供
し、そして540nmでの蛍光発光により測定される酵素活性を、連続的にモニ
ターする。LIPG活性の刺激および/または阻害について試験される化合物お
よび/または基質を、ジメチルスルホキシド中の10〜200mM溶液として添
加する。LIPG活性を刺激または阻害する化合物を、540nmでの蛍光発光
の増加または低下の発生として同定する。
【0219】 チオアッセイにおいて、最終アッセイ条件は、約25mMのTris−HCl
(pH8.5)、100mMのKCl、10mMのCaCl2、4.24mMの
Triton X−100、0.5mMの1,2−ビス(ヘキサノイルチオ)−
1,2−ジデオキシ−sn−グリセロ−3−ホスホリルコリン、5mMの4,4
’−ジチオビスピリジン(エタノール中の50mMストック溶液から)、および
1〜100ngの組換えLIPGである。ホスホリパーゼ活性を、342nmで
の吸収の増加を測定することで決定する。LIPG活性の刺激および/または阻
害について試験される化合物および/または基質を、ジメチルスルホキシド中の
10〜200mM溶液として添加する。LIPG活性を刺激または阻害する化合
物を、342nmでの吸収の増加または低下の発生として同定する。
【0220】 (実施例9 ヒトLIPGを発現するトランスジェニックマウス) LIPGの生理的役割のさらなる研究のために、ヒトLIPGを発現するトラ
ンスジェニックマウスを作製する。
【0221】 LLGXLをコードする1.53kbのDraI/SrfI制限フラグメント
(図4を参照のこと)を、遍在的に発現された3−ヒドロキシ−3−メチルグル
タリル補酵素A(HMG CoA)レダクターゼ遺伝子についてのプロモーター
の下流に、プラスミドベクター(pHMG)中にクローニングした。異なるレベ
ルのヒトLLGXLを発現するトランスジェニックマウスを、標準的な方法を使
用して作製する(例えば、G.L.Trempら、Gene 156:199−
205、1995を参照のこと)。このトランスジェニックマウスを、脂質プロ
フィール、脈管病理学、アテローム硬化症の発達の速度および重症度、ならびに
他の生理的パラメータに対するLLGXLの過剰発現の影響を決定するために使
用する。
【0222】 (実施例10:アテローム性動脈硬化症組織におけるLIPGの発現) アテローム性動脈硬化症におけるLLGXL発現を、アテローム性動脈硬化症
を有する4人の患者の脈管の生検材料から単離されたmRNAを使用する逆転写
ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を実行することによって実験した。この
組織サンプルは、大動脈壁(1サンプル)、腸骨の動脈(2サンプル)、および
頸動脈(1サンプル)由来である。
【0223】 アテローム性動脈硬化症生検材料をGloucestershire Roy
al Hospital(英国)から受け取り、そしてポリA+mRNAを調製
し、そして0.5μg/μl mRNAの濃度にジエチルピロカルボネート(D
EPC)処理水において再懸濁した。逆転写酵素反応を、第1鎖cDNA合成に
ついてSuperscript Preamplification Syst
emに関するGibcoBRLプロトコルに従い実行した。手短には、cDNA
を、以下のように合成した:2μlの各mRNAを、1μlのオリゴ(dT)12 -18 プライマーおよび9μlのDEPC水に添加した。このチューブを、70℃
で10分間インキュベートし、そして氷上に1分間置いた。各チューブに、以下
の成分を添加した:2μlの10×PCR緩衝液、2μlの25mM MgCl 2 、1μlの10mM dNTP 混合物および2μlの0.1M DTT。4
2℃で5分後、1μl(200ユニット)のSuper Script II
逆転写酵素を添加した。この反応系を緩やかに混合し、次いで、42℃で50分
間インキュベートした。この反応系を、70℃で15分間のインキュベーション
によって終結し、次いで氷上に置いた。残存しているmRNAを、1μlのRN
aseの各チューブへ添加することによって破壊し、そして37℃で20分間イ
ンキュベートした。
【0224】 PCR増幅を、2μlのcDNA反応系を使用して行った。各チューブに、以
下のものを添加した:5μlの10×PCR緩衝液、5μlの2mM dNTP
、1μlのhllg−gsp1プライマー(20pmol/ml、図1を参照の
こと)、1μlのhllg−gsp2aプライマー(20pmol/ml、図1
を参照のこと)、1.5μlの50mM MgCl2、0.5μlのTaqポリ
メラーゼ(5U/ml)および34μlの水。この反応系を95℃で2分間保持
した後、PCRを30回、以下のように行った:94℃で15秒、52℃で20
秒、72℃で30秒。最後の反応を、72℃で10分間保持し、その後アガロー
スゲル電気泳動によって分析した。hllg−gspプライマーは、LIPG特
異的であり、そして300bpの予期した産物を得た。cDNA合成反応が成功
したことを示す平行PCRにおいて、ハウスキーピング遺伝子に特異的なプライ
マーであるG3PDH(ヒトグリセルアルデヒド3−ホスフェートデヒドロゲナ
ーゼ)を使用した(20pmol/mlで各1μl)。
【0225】 このG3PDHプライマー(図1を参照のこと)は、全ての4つの脈管生検サ
ンプルにおいて983bpの予期した産物を得た。LIPG発現を4つのサンプ
ルのうち3つにおいて検出し、頸動脈サンプルにおいては、発現は検出されなか
った。
【0226】 (実施例11:ディファレンシャルディスプレイ、RT−PCRおよびcDN
Aライブラリースクリーニング) 実施例12〜16において議論される実験を実行するために、以下の手順(実
施例1に概説される手順に基づく)を使用して、LIPGのcDNAを得た。T
HP−1細胞を、13−酢酸12−ミリスチン酸ホルボール(PMA,40ng
/ml;Sigma)の存在下に48時間置いた。この示差的なTHP−1細胞
を、oxLDL(50μg/ml)またはコントロール培地のいずれかに24時
間曝露した。全RNAを収集し、そして標準的な手順を使用して精製した。ポリ
(A)+RNAを、全RNAからポリdT磁気ビーズ系(Promega)を使
用して精製した。cDNA合成およびPCR増幅を、Differential
Displayキット、バージョン1.0(Display Systems
Biotechnology)のプロトコルを使用して達成した。ELの最初
のcDNAフラグメントを得るプライマー対は、下流プライマー 7(5’−T
TTTTTTTTTTGA−3’)および上流プライマー 15(5’−GAT
CCAATCGC−3’)であった。増幅反応物を、6%未変性アクリルアミド
配列決定型ゲルで分画し、そしてoxLDLに曝露されたTHP−1細胞由来の
cDNAを含む反応系においてのみ見出された増幅産物を同定し、そしてゲルか
ら切り出した。同一のプライマーを使用する再増幅を行い、そしてその産物を切
り出し、そしてTAクローニング系(Invitrogen)を使用してpCR
IIベクターにサブクローニングした。挿入サイズを、このプラスミドのEco
RI消化物を使用して決定し、そして元のPCR産物のおおよその大きさの挿入
物を含むクローンを、蛍光色素ターミネーター試薬(Prism,Applie
d Biosystems)およびApplied Biosystems 3
73 DNA配列決定機を使用して配列決定した。本発明者らは、最初のゲル切
り出しcDNAのcDNA配列を5’−RACE系(GIBCO)を使用して伸
長した。ディファレンシャルディスプレイ反応において最初に使用されたTHP
−1細胞由来のRNA(1μg)を、第1鎖cDNA合成のための遺伝子特異的
プライマー(5’−TAGGACATGCACAGTGTAATCTG−3’)
を使用して5’−RACE手順において使用した。本発明者らは、アンカープラ
イマーおよび遺伝子特異的プライマー2(5’−GATTGTGCTGGCCA
CTTCTC−3’)を使用してcDNAのPCR増幅を行った。この反応系(
1μl)を、ユニバーサル増幅プライマー(5’−CUACUACUACUAG
GCCACGCGTCGACTAGTAC−3’)および遺伝子特異的プライマ
ー3(5’−GACACTCCAGGGACTGAAG−3’)を使用するネス
ト化再増幅において使用し、引き続く単離のための特異的な産物のレベルを上昇
した。この反応産物を、TAクローニングキットのpCRIIベクターにクロー
ン化し、そして配列を決定した。ヒト胎盤cDNAライブラリー(オリゴdTお
よびランダムプライム)を、Clontechから入手し、そして5’−RAC
E反応PCR産物を用いてプローブした。ハイブリダイズするクローン由来のD
NAを、LambdaSorb試薬(Promega)を使用して精製した。挿
入物を、EcoRIでの消化によってファージDNAから切り出し、Blues
cript II SKプラスミドベクター(Stratagene)のEco
RI部位にサブクローン化し、そして配列決定した。
【0227】 (実施例12:抗体の調製) 17残基のペプチド(GPEGRLEDKLHKPKATC)を、Model
433Aペプチド合成機(Applied Biosystems)で分泌L
IPG遺伝子産物の残基8〜23に対応して合成した。ペプチド(2mg)を、
Imject Activated Immunogen Conjugati
onキット(Pierce Chemical)に含まれるプロトコルに従って
マレイミド活性化キーホールリンペット(keyhole limpet)ヘモ
シアニン(2mg)に結合体化した。脱塩後、半分の共役物を、等量のフロイン
ト完全アジュバント(Pierce)を用いて乳化し、そしてニュージーランド
シロウサギに注射した。最初の注射から4週間後、追加免疫注射を、フロイント
不完全アジュバント(Pierce)の使用を除いて上記のように正確に作製さ
れた乳化を用いて投与した。追加免疫から2週間後、特定の抗体の力価を、固定
化ペプチドを使用するELISAを介して試験採血において決定した。
【0228】 (実施例13:遺伝子発現研究) HUVECを、ウシ脳抽出物(3mg/ml;Clonetics)を補充し
た市販の調製された内皮細胞増殖培地(EGM,Clonetics)において
増殖した。一方、HCAECを、ウシ脳抽出物(3mg/ml)および5%ウシ
胎仔血清を含有するEGMにおいて増殖した。培養を、PMA(100ng/m
l)の添加によって刺激した。インキュベーションから24時間後、RNAを、
Trizol法によりこの細胞から抽出し、1%アガロースホルムアルデヒドゲ
ル上で電気泳動し、Turboblotter装置(Schleicherおよ
びSchuell)上でNytran膜に転写し、そしてStratalink
er紫外線架橋剤(Stratagene)を使用して膜に架橋した。5’−R
ACE反応PCR産物を、ランダムプライム技術を使用して放射能標識した。こ
の放射能標識したプローブ(1〜2×106cpm/ml)を、95℃で10分
間加熱することによって変性し、そして氷上で急冷し、その後、QuikHyb
における濾過材に添加した。ハイブリダイゼーションを、65℃で3時間で進行
させた。濾過材を、Kodak XAR−2フィルムに−80℃で強化スクリー
ンを用いて曝露した。本発明者らは、HUVEC馴化培地およびHCEAC馴化
培地をヘパリンセファロースCL−6Bとともに4℃で1時間インキュベートし
た。遠心分離後、ペレット化したヘパリンセファロースを、SDSローディング
緩衝液に懸濁し、95℃で5分間加熱し、そして10% Tris−Glyci
ne SDSゲル(NOVEX)上にロードした。140Vで90分間の電気泳
動後、タンパク質を、ニトロセルロース膜に転写し、そしてウサギ抗LIPGペ
プチド抗血清(1:5,000)、二次抗体としてヤギ抗ウサギペルオキシダー
ゼ結合体化抗血清(1:5,000;Boehringer)を用いて検出した
。この膜を、Renaissance化学発光試薬(DuPont NEN)と
反応させ、そしてKodak XAR−2フィルムに曝露した。商業的に調製さ
れたヒト心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓および膵臓由来のポリ(A) + RNA(Clontech)(各3μg)を含む濾過材を、放射能標識化フラ
グメントを用いてハイブリダイズし、そして上記のように進行した。オートラジ
オグラフィーの後、ブロットを、0.1×SSC、0.1% SDSで2×15
分間65℃での煮沸において洗浄することによってストリップし、次いでヒトL
PLをコードする1.4kb cDNAフラグメントを用いて上記のようにプロ
ーブ化した。このフラグメントを、5’LPLプライマーおよび3’LPLプラ
イマー(それぞれ、5’−ACCACCATGGAGAGCAAAGCCCTG
−3’および5’−CCAGTTTCAGCCTGACTTCTTATTC−3
’)を使用してTHP−1 RNAのRT−PCR(PMAおよびoxLDL処
理した)によって得た。フィルムに曝露後、この膜を、再度ストリップし、そし
てRNA含量を正規化するためにヒトβアクチンcDNAの放射能標識化フラグ
メントを用いて再プローブ化した。
【0229】 ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)は、予期したようにLPL mRNA発現
について陰性であったが、LIPG遺伝子について高いレベルのmRNAを構成
的に発現することを見出した(図9)。
【0230】 ヒト冠状動脈内皮細胞(HCAEC)がまた、これらの細胞のホルボールエス
テルでの処置の際にさらにアップレギュレートされるmRNAを発現することを
見出した(図9)。
【0231】 刺激されたHUVECおよびHCAEC由来の馴化培地は、約68kDおよび
40kDの免疫反応性タンパク質、ならびに55kDのわずかに顕著なバンドを
含んだ(図11)。
【0232】 インビボでのLIPG産生の組織部位を決定するために、LIPGおよびLP
Lの両方のプローブを用いて多数のヒト組織ノーザンブロット分析を行った。高
いレベルのLIPG mRNAを、肺、肝臓そして腎臓の組織において見出した
(図8)。この組織は、低レベルのLPL発現を示した。LIPGはまた、胎盤
において高レベルで発現し(図8)、これは、発達における役割の可能性を示唆
する。
【0233】 最高量のLPLを発現した心臓および骨格筋のような組織(先の報告を確認の
こと、Goldberg,J.I.,J.Lipid Res.,37,693
−707(1996))において、本発明者らは、LIPG発現を検出しなかっ
た。この分析は、LIPG発現の組織分布は、LPLの組織分布ならびにHLお
よびPLについて報告された組織分布とは非常に異なることを示した。本発明者
らは、副腎または卵巣においてLIPG mRNAを見出さなかったが、精巣に
おいて非常に低レベルのLIPG mRNAを見出した(データは示さず)。本
発明者らはまた、HepG2細胞が、インビトロでLIPG mRNAおよびタ
ンパク質を発現するが(データは示さず)、HUVECによって発現されるそれ
の10%未満のレベルであることを見出した。
【0234】 (実施例14:リパーゼアッセイ) cDNAおよび1.4kb LPL cDNAを、哺乳動物発現ベクターpC
DNA3(Invitrogen)のEcoRV部位にクローン化した。アンチ
センスpCDNA3ベクターを、陰性コントロールとして使用した。組換え発現
ベクター(3μg)を、リポフェクトアミン(Life Technologi
es)と混合し、そして4通りに60mm皿においてセミコンフルエントなCO
S7細胞にトランスフェクトした。確立された方法を使用して、TGリパーゼ活
性およびホスホリパーゼ活性についてトランスフェクトされたCOS7細胞由来
の馴化培地のサンプルをアッセイした(Goldberg,J.I.,J.Li
pid Res.,37、693−707(1996))。TGリパーゼアッセ
イについて、9,10−3H(N)−トリオレイン(250μCi;NEN)を
、未標識のグリセロール中トリオレイン(150mg)およびVI型S−αレシ
チン(9mg;Sigma)と混合した。この混合物を、窒素下でエバポレート
し、そしてグリセロール(2.5ml)においてBranson Sonifi
er 450を用いる超音波処理によって乳化した。このアッセイ基質を、1容
量の乳化基質、4容量の3%(w/v)無脂肪酸ウシ血清アルブミン(BSA)
含有Tris−HCl(0.2M,pH8.0)および1容量の熱非動化ウシ血
清を混合することによって調製した。反応を、アッセイ基質(0.1ml)およ
び馴化培地(0.1ml)を含有する全量(0.2ml)において3通り行った
。この反応系を、37℃で2時間インキュベートし、そしてメタノール−クロロ
ホルム−ヘプタン(1.41:1.25:1;3.25ml)を添加することに
よって終結し、続いて炭酸カリウム−ホウ酸緩衝液(1.05ml;0.1M,
pH10.5)を添加した。15秒間の激しい混合の後、このサンプルを、1,
000rpmで5分間遠心分離し、そして上部の水層(1.0ml)を、シンチ
レーションカウンターで計測した。ホスホリパーゼアッセイについて、ホスファ
チジルコリン(PC)エマルジョンを、14C−ジパルミトイルPC(2μCi;
NEN)およびレシチン(10μl)をTris−TCNB(100μl;10
0mM Tris−HCl pH7.4、1% Triton X−100、5
mM CaCl2、200mM NaCl、0.1% BSA)と混合すること
によって作製した。この混合物を2分間ボルテックスし、次いで窒素下でエバポ
レートした。乾燥脂質を、TCNB(1ml)で再構成し、10秒間ボルテック
スした。反応は、3通り行い、PCエマルジョン(50μl)、馴化培地(60
0μl)およびMEM(350μl)を含んだ。サンプルを、37℃で2時間イ
ンキュベートし、HCl(1ml)の添加によって終結し、そして2−プロパノ
ール:ヘキサン(1:1;4ml)を用いて抽出した。上部のヘキサン層のサン
プル(1.8ml)を、シリカゲルカラムに通し、そしてフロースルーフラクシ
ョンに含まれる遊離した無14C脂肪酸をシンチレーションカウンターにおいて定
量化した。両アッセイについて、10% FBSを含むMEMをブランクとして
使用し、そしてアンチセンスプラスミド(AS)でトランスフェクトしたCOS
7細胞由来の馴化培地を、陰性コントロールとして使用した。
【0235】 (実施例15−組換えアデノウイルスの構築および動物研究) ヒトLIPGをコードする組換えアデノウイルスを、記載されるように構築し
た(Tsukamotoら、J.Clin.Invest.100、107〜1
14(1997);Tsukamotoら、J.Lipid Res.38、1
869〜1876(1997))。手短かに言うと、全長ヒトcDNAをシャト
ルプラスミドベクターpAdCMVLink1にサブクローニングした。制限分
析により適切な方向についてスクリーニングした後、そのプラスミドをNheI
で線状化し、そしてClaIで消化したアデノウイルスDNAとともに293細
胞に同時トランスフェクトした。細胞を寒天上に置き、そして37℃で15日間
インキュベートした。6つのプラークを拾い、そしてPCRによりスクリーニン
グした;cDNAについて陽性の2つのプラークを2回目のプラーク精製に供し
た。cDNAの存在を確認した後、組換えアデノウイルスを37℃で293細胞
中で増殖させた。馴化培地のウェスタンブロットによるヒトLIPGの発現の確
認のために、細胞溶解物を使用してHeLa細胞に感染させた。組換えアデノウ
イルス(AdhEL)を293細胞中でさらに増殖させ、そして塩化セシウム超
遠心分離により精製した。cDNAインサートを含まないコントロールアデノウ
イルス(Adnull)もまた、上記のようにプラーク精製に供して精製した。
精製したウイルスを、10%グリセロール/PBX中に−80℃にて貯蔵した。
野生型C57BL/6マウス、ヒトApoA−Iトランスジェニックマウスおよ
びLDLレセプター変異体マウスを、Jackson Laboratoryか
ら得た。すべてのマウスに食餌を与えた。野生型マウスおよびヒトapoA−I
トランスジェニックマウスに、尾の静脈を介して、AdhELまたはAdnul
lを1×1011粒子(約2×109pfu)を静脈注射し、そしてLDLP欠損
マウスに1×1010粒子を注射した。すべての実験において、注射の1日前およ
び注射後の複数の時点で、眼窩叢後部から血液を得た。
【0236】 野生型C57BL/6マウスへのAdhELの静脈内注射によって、肝臓にお
ける発現(図17)、およびHDLコレステロールの血漿レベルの低下をもたら
し、これは、注射後少なくとも14日間を通してコントロールウイルスを注射し
たマウスより有意に低いままであった(図18)。リポタンパク質をFPLCゲ
ル濾過により分離した。このことは、HDLがアデノウイルス注射の14日後に
検出不能であったことを示した(図19)。ヒトapoA−Iトランスジェニッ
クマウス(かなりより高いレベルのHDLコレステロールおよびapoA−Iを
有する)に組換えLIPGアデノウイルスを注射すると、HDLコレステロール
(図20)およびapoA−I(図21)の両方のレベルを低下させた。apo
B含有リポタンパク質であるVLDLおよびLDLと比較した、HDLに対する
LIPG発現の相対的効果を決定するために、本発明者らは、給餌したLDLレ
セプター欠損マウスにより低用量のLIPGアデノウイルスを注射した。このL
DLレセプター欠損マウスは、VLDL/LDLにおいて約70%のコレステロ
ールそしてHDLにおいて約30%のコレステロールを有する。上記のように、
LIPGの発現によって、HDLコレステロールレベルが低下した(図23)。
同じマウスにおいてLIPG発現はVLDL/LDLコレステロールレベルを低
下させた(図24)が、その効果は比例して、より小さかった。LIPGの過剰
発現はVLDL/LDLコレステロールを低下させた。従って、apoB含有リ
ポタンパク質の調節におけるLIPGの役割は、除外され得る。
【0237】 (実施例16−脂質/リポタンパク質分析) 血漿の総コレステロールレベルおよびHDLコレステロールレベルを、Sig
maの試薬を使用してCobas Fara(Roche Diagnosti
c Systems)において酵素的に測定した。apoA−Iを、Cobas
Faraにおいて濁度アッセイ(Sigma)を使用して定量した。プールし
た血漿サンプルを、記載されるように(Tsukamotoら、J.Clin.
Invest.、前出)、2つのSuperose 6カラムを連続して使用し
て、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)ゲル濾過(Pharm
acia LKB Biotechnology)に供した。画分(0.5ml
)を収集し、そしてコレステロール濃度を、酵素的アッセイ(Wako Pur
e Chemical Industries)を使用して決定した。
【0238】 (実施例17−LIPGのインヒビターの同定) EL活性の調節因子を、以下の方法を使用して見出し得る: 組換えLIPGを、安定にトランスフェクトされたチャイニーズハムスター卵
巣細胞、バキュロウイルスに感染した昆虫細胞、酵母(Pichia past
oris、Kluveromyces Lactis)または他の供給源の馴化
培地から精製する。LIPGの非組換え供給源(例えば、ヒト血漿、内皮細胞馴
化培地など)もまた使用し得る。LIPG活性の調節因子を探すための一次スク
リーニングの例は、可溶性蛍光基質4−メチルウンベリフェリルヘパタノエート
を利用する。このアッセイは、連続的かつ均一的である。LIPGによるこの基
質の加水分解は、マイクロプレート蛍光分析計において測定され得る、非常に蛍
光性の4−メチルウンベリフェロンの生成を生じる。使用し得る他の一次スクリ
ーニング形態は、ホスホリパーゼ活性を測定するシンチレーション近接(pro
ximity)アッセイ(Amersham)、実施例7に記載され(そして以
下に2次アッセイとして提案され)る、低スループット放射性ホスホリパーゼア
ッセイ、または実施例8に記載される代替的ホスホリパーゼアッセイである。
【0239】 LIPGの触媒中心は、他のTGリパーゼと同様に、セリンプロテアーゼにお
いて見出される同じ触媒三つ組(triad)(セリン、ヒスチジン、アスパラ
ギン酸)からなる。実際、他のTGリパーゼ(例えば、リポタンパク質リパーゼ
)は、セリンプロテアーゼインヒビター(例えば、PMSFおよびDFP)によ
り阻害される。これらの化合物のいずれか1つは、LIPG活性のインヒビター
についての陽性コントロールとして作用し得る。
【0240】 (2次アッセイ) 上記のエステラーゼアッセイまたは代替的スクリーニング
アッセイにおいて活性な化合物を、標準的放射性ホスホリパーゼAアッセイにお
いてアッセイする。このアッセイは、[14C]−ジパルミトイル−ホスファチ
ジルコリンを含有する混合ミセルからの放射性標識パルミチン酸の放出を測定す
る。蛍光基質を利用する他のアッセイ形態およびより高スループットにされ得る
他のアッセイ形態を想定し得る。
【0241】 (選択性アッセイ) 化合物を、関連酵素であるリポタンパク質リパーゼ(L
PL)および膵リパーゼ(PL)の阻害についてアッセイする。ヒトPLおよび
ウシLPLは市販されており、アッセイを容易に実行し得る。PLのホスホリパ
ーゼ活性を、LIPGの2次アッセイについて上記されたのと全く同じ様式で測
定する。LPLは主にTGリパーゼであるので、その2次アッセイは、放射性T
G(トリオレイン)基質からの放射性脂肪酸(オレイン酸)放出を測定する(実
施例7に記載される)。このアッセイは、同様の能力を有し、そして蛍光基質を
利用する他のアッセイ形態およびより高スループットにされ得る他のアッセイ形
態に適合され得る。
【0242】 LIPGのホスホリパーゼ活性を、そのインビボ基質であるHDLに対して、
インビトロアッセイにて試験する。放射性標識HDLは、放射性標識リン脂質で
の交換によって生成し得、次いでこの放射性標識HDLを使用して、LIPGホ
スホリパーゼ活性およびこのスクリーニングから出現する化合物の活性を測定す
る。
【0243】 さらなるアッセイは、培養細胞(例えば、ラットFu5AH肝細胞癌株)から
の放射性標識コレステロール流出に対する、LIPG、HDL、+/−化合物の
プレインキュベーションの影響を測定し得る。
【0244】 化合物の評価のためのインビボアッセイを、野生型マウス、LIPG過剰発現
マウス、およびコントロールとしてのLIPGヌルマウスにて実行し得る。ad
enoEL発現の場合においてのように、トランスジェニックマウスがコントロ
ールマウスに対して低下したHDLを示す場合、LIPG阻害化合物でのトラン
スジェニックマウスの処置が、コントロールマウスのレベルまでHDLを上昇さ
せると予測される。他の動物(例えば、LDLR−/−マウス、apoAIトラ
ンスジェニックマウス、apoAIトランスジェニックハムスター、またはap
oAIトランスジェニックウサギ)において、化合物をそのLIPG阻害活性(
HDLの上昇)について試験し得ることもまた、可能である。LIPGまたはL
IPG活性を上昇させた化合物は、これらの動物モデルまたは他の動物モデルに
おいてHDLを上昇させると予期される。
【0245】 (実施例18−阻害低分子処置法) 実施例17に概説されるスクリーニングにおいて、インビトロでLIPGポリ
ペプチドを阻害し得ると同定された低分子(本明細書中で以後、「阻害低分子」
)を、インビボでLIPGポリペプチドを阻害するその能力について試験する。
野生型マウスおよびLIPGトランスジェニックマウスを、その低分子を経口投
与すること(経口的に生物学的に利用性である場合)によってか、または静脈内
注射によって、研究する。LIPGポリペプチドの活性を、(結合部位から酵素
を遊離させるための)ヘパリン注射の前および後に、血漿において測定する。さ
らに、コレステロールレベル、VLDLコレステロールレベル、LDLコレステ
ロールレベル、およびHDLコレステロールレベルならびにapoA−Iレベル
を、阻害低分子を受ける動物においてモニターする。最終的に、LDLレセプタ
ー欠損マウスにアテローム発生食を給餌し、そして阻害低分子またはプラシーボ
を8週間投与する。阻害低分子の投与がアテローム性硬化症の進行を低下するか
または後退を誘導するか否かを決定するために、マウスの大動脈においてアテロ
ーム性動脈硬化症を定量する。これらの臨床前データに基づいて、さらなる動物
モデル(例えば、ハムスター、ウサギ、またはブタ)を、阻害低分子がHDLコ
レステロールレベルを上昇させ、VLDLコレステロールレベルおよびLDLコ
レステロールレベルを低下させ、そして/またはアテローム性動脈硬化症の進行
を阻害する能力について、研究する。
【0246】 所望の特性を有することが見出された阻害低分子を、薬学的に受容可能なキャ
リアと組み合わせて患者に投与する。この阻害低分子は、経口投与および静脈内
注射を含む、種々の様式にて投与し得る。患者のHDLコレステロールレベル、
VLDLコレステロールレベルおよびLDLコレステロールレベルをモニターし
て、その阻害低分子の効力を決定し、そして投薬量および投与プロトコルを最適
にする。
【0247】 (実施例19−阻害ペプチド処置法) 治療ペプチドを、LIPGポリペプチドのフラグメントを試験して、これらの
うちのどのフラグメントがインビトロにてLIPGポリペプチド活性を阻害する
かを決定することによって同定する。一旦同定すると、次いで「阻害ペプチド」
を、インビボでLIPGポリペプチドを阻害するその能力について試験する。阻
害ペプチドは、当該分野で公知の方法により、E.coliにおいて組換え産生
し、そして精製する。阻害ペプチドの効果を、静脈注射により阻害ペプチドを投
与することによって、野生型マウスおよびLIPGトランスジェニックマウスに
おいて研究する。LIPGポリペプチドの活性を、(結合部位から酵素を遊離さ
せるための)ヘパリン注射の前および後に血漿において測定する。さらに、コレ
ステロールレベル、VLDLコレステロールレベル、LDLコレステロールレベ
ル、およびHDLコレステロールレベルおよびapoA−Iレベルを、阻害ペプ
チドを受ける動物においてモニターする。最終的に、LDLレセプター欠損マウ
スにアテローム発生食を給餌し、そして阻害ペプチドまたはプラシーボを8週間
投与する。阻害ペプチドの投与がアテローム性硬化症の進行を低下するかまたは
後退を誘導するかを決定するために、マウスの大動脈においてアテローム性動脈
硬化症を定量する。これらの臨床前データに基づいて、さらなる動物モデル(例
えば、ハムスター、ウサギ、またはブタ)を、その阻害ペプチドがHDLコレス
テロールレベルを上昇させ、VLDLコレステロールレベルおよびLDLコレス
テロールレベルを低下させ、そして/またはアテローム性動脈硬化症の進行を阻
害する能力について、研究する。
【0248】 所望の特性を有することが見出された阻害ペプチドを、薬学的に受容可能なキ
ャリアと組み合わせて患者に投与する。この阻害ペプチドは、経口投与および静
脈内注射を含む、種々の様式にて投与し得る。患者のHDLコレステロールレベ
ル、VLDLコレステロールレベルおよびLDLコレステロールレベルをモニタ
ーして、その阻害ペプチドの効力を決定し、そして投薬量および投与プロトコル
を最適にする。
【0249】 (実施例20−アンチセンス処置方法) 各々がLIPG cDNAの約20個の塩基に相補的である一連のアンチセン
スオリゴヌクレオチドを、標準的な技術によって化学的に合成する。治療的に使
用するために最も有効なオリゴヌクレオチドを決定するために、各々のオリゴヌ
クレオチドを、標準的なトランスフェクションプロトコルを使用してLIPG遺
伝子を発現する細胞中に個別にトランスフェクトする。
【0250】 オリゴヌクレオチドのトランスフェクションの約24〜48時間後、細胞中の
LIPG mRNAレベルを、定量的PCR、ノーザンブロット、RNAse保
護、または他の適切な方法によって決定する。あるいは、LIPG発現を、有効
なアンチセンスオリゴヌクレオチドについてスクリーンするために使用され得る
特異的な抗体を用いてモニターし得る。次いで、LIPG mRNAレベルを有
効に低下させるオリゴヌクレオチドを、治療としてインビボ送達のために処方す
る。
【0251】 アンチセンスLIPG配列を、遺伝子治療ベクター(例えば、アデノウイルス
、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、裸のDNA)または詳細な説明におい
て議論される他の系において送達し得る。遺伝子治療ベクター中で送達する場合
、このようなフラグメントを治療的に使用し得る。このような組換えベクターの
肝臓発現は、好ましいアプローチである。あるいは、合成アンチセンスオリゴヌ
クレオチドを、上記のように治療としてインビボ送達のために処方し得る。
【0252】 アンチセンスオリゴヌクレオチドを、以下の経路によって投与し得る:静脈内
経路、皮下経路、皮内経路、肺動脈経路、経口経路、脳室内経路、髄腔内経路、
および局所的経路。この投与経路は、血管壁(すなわち、内皮平滑筋および/ま
たは血管平滑筋)への直接投与を含み得る。例として、低いHDL−Cを有する
患者に、一日おきに2〜3週間まで静脈内に注入される、一用量0.5〜2mg
/kgの有効なアンチセンスオリゴヌクレオチドを与え得る。LIPGは肝臓内
で発現するので、アンチセンス試薬を門脈循環に送達することは望ましくあり得
る。これは、オリゴヌクレオチドを肝臓標的化部分(例えば、アシアログリコプ
ロテイン)と結合体化させるか、または複合体化させることによって達成され得
る。用量および治療のタイミングは、アンチセンス送達の有効性、ならびに半減
期、アンチセンスオリゴヌクレオチドの特異性および毒性のようなパラメーター
に依存する。
【0253】 HDL−Cの増加を、標準的な臨床実験手順を使用してモニターし得る。本来
の投薬スケジュール(上記のようなもの)を、HDL−Cを35mg/dLより
多く維持するために必要とされるだけ繰り返す。
【0254】 (実施例21−リボザイム処置方法) LIPG cDNA配列に基づいて、LIPG mRNAレベルを効果的に低
下するハンマーヘッドリボザイムを調製する。これらは、ヌクレオチド配列の各
々がLIPG mRNAに相補的である6〜7塩基の2つの「アーム」からなり
、これらはリボザイムの触媒部分によって分離される。このようなハンマーヘッ
ドモチーフの例は、Rossiら、1992、Aids Research a
nd Human Retroviruses,8,183によって記載される
。リボザイムを適切なDNAベクターから真核生物細胞において発現する。
【0255】 リボザイムを、上記のようにリポソーム中にカプセル化して投与し得る。
【0256】 リボザイム/リポソーム組成物を、直接注射によってかあるいはカテーテル、
注入ポンプ、またはステントの使用によって肝臓に送達する。投与の経路は、血
管壁(すなわち、内皮平滑筋および/または脈管平滑筋)への直接投与を含み得
る。患者を、薬学的に有効なカテーテル中の5〜50mg/kg/日のリボザイ
ムを用いて、2週間までの間、処置する。HDL−Cの増加および投薬レジメン
をアンチセンスオリゴヌクレオチド関してモニターし、そして決定する。
【0257】 (実施例22−中和抗体処置方法) 少なくとも1つのLIPG結合部分からなり、実施例12に記載するように調
製される、抗LIPG抗体、抗体フラグメント、またはキメラ抗体を、インビボ
でLIPG活性を阻害するために使用する。抗体を、単にボーラスとしてか、経
時的に注入するか、またはその両方かで送達し得る。代表的には、0.2〜0.
6mg/kgの用量をボーラスとして、次いで2〜12時間の注入として与える
。あるいは、複数ボーラス注射を、LIPGを低下しそしてHDL−Cを増加さ
せるために必要とされるだけ、一日おきか、または3日に4日ごとに与える。反
復投薬を、HDL−Cレベルの測定によって決定されるように行う。LIPGに
対する抗体をまた、インビボでの発現を容易にするために遺伝子治療ビヒクルに
おいて送達し得る。抗体の発現のレベルを、HDL−Cの測定によって間接的に
決定し、そしてさらなるベクターを必要なだけ導入し得る。
【0258】 (実施例23−阻害分子またはエンハンサー分子の使用) 完全なLIPG、必要な活性化補助因子、細胞表面レセプター、または結合タ
ンパク質への結合について競合することによってLIPG活性を阻害し得る、L
IPGタンパク質のフラグメントを、治療的組換えタンパク質としてか、または
遺伝子治療ベクターから送達し得る。
【0259】 一例として、LIPGに基づいたLLGNポリペプチドを、記載されるように
組換えアデノウイルス中にクローン化する(Tsukamotoら、J.Cli
n.Invest.,100,107−114(1997);Tsukamot
oら、J.Lipid Res.,38,1869−1876(1997))。
LIGN cDNAを、シャトルプラスミドベクターpAdCMVLink1中
にクローンする。分析後、このプラスミドを、NheIを用いて線形化し、そし
てClaIで消化されたアデノウイルスDNAと共に293個の細胞中に同時ト
ランスフェクトする。次いで、細胞を寒天で薄く覆い、そして37°で15日間
インキュベートする。プラークを採取し、そしてPCRによってスクリーンする
;cDNAに対して陽性なプラークを2回目のプラーク精製に供する。cDNA
の存在の確認後、組換えアデノウイルスを37°で、293個の細胞中で増殖さ
せる。細胞溶解物を使用して、馴化培地のウエスタンブロットによるヒトELの
発現の確認のために、HeLA細胞を感染させる。組換えアデノウイルスを、2
93個の細胞中でさらに増殖させ、そして塩化セシウム超遠心分離によって精製
する。精製されたウイルスを、−80°で10%グリセロール/PBX中に貯蔵
する。患者に、組換えアデノウイルスの1×1011個の粒子(約2×109pf
u)を静脈内で注射する。
【0260】 (実施例24−発現ベクターからのLIPGの発現によって患者におけるLI
PGのレベルを増加させる方法) 全長LIPG cDNAを、ヒトLIPGをコードする組換えアデノウイルス
中にクローン化する(Tsukamotoら、J.Clin.Invest.,
100,107−114(1997);Tsukamotoら,J.Lipid
Res.,38,1869−1876(1997))。全長ヒトLIPG c
DNAを、シャトルプラスミドベクターpAdCMVLink1中にクローン化
する。制限分析によって適切な配向についてスクリーニングした後、プラスミド
を、NheIを用いて線形化し、そしてClaIで消化されたアデノウイルスD
NAと共に293個の細胞中に同時トランスフェクトする。細胞を寒天で薄く覆
い、そして37°で15日間インキュベートする。プラークを採取し、そしてP
CRによってスクリーンする;cDNAに対して陽性なプラークを2回目のプラ
ーク精製に供する。cDNAの存在の確認後、組換えアデノウイルスを37°で
、293個の細胞中で増殖させる。細胞溶解物を使用して、馴化培地のウエスタ
ンブロットによるヒトLIPGの発現の確認のために、HeLa細胞を感染させ
る。組換えアデノウイルス(AdhEL)を、293個の細胞中でさらに増殖し
、そして塩化セシウム超遠心分離によって精製する。精製されたウイルスを、−
80°で10%グリセロール/PBX中に貯蔵する。患者に、AdhELまたは
Adnullの1×1011個の粒子(約2×109pfu)を静脈内で注射する
【0261】 (実施例25−全長野生型LIPGタンパク質または操作された組換えLIP
Gタンパク質の投与によってLIPG活性のレベルを増加させる方法) 野生型LIPGタンパク質は、VLDLコレステロールおよびLDLコレステ
ロールのレベルを低下させ、そしてLIPGは、HDLコレステロールに対する
影響を有することなくVLDLコレステロールおよびLDLコレステロールのレ
ベルに特異的に作用するように操作され得る。野性型LIPGまたは操作された
組換えLIPGの投与を、特定の場合において、VLDLコレステロールおよび
/またはLDLコレステロールのレベルを低下させるための治療として使用し得
る。野性型LIPGタンパク質または操作された組換えLIPGタンパク質(「
組換えLIPGタンパク質」)を、E.coli中で組換え的に産生し、そして
当該分野で公知の方法を使用して精製する。野性型マウスを、静脈内注射によっ
て組換えLIPGタンパク質を投与することにより研究する。LIPGの活性を
血漿中で測定する。さらに、コレステロール、VLDLコレステロール、LDL
コレステロール、およびHDLコレステロール、ならびにapoA−Iのレベル
を、組換えLIPGタンパク質を受け入れる動物においてモニターする。最後に
、LDLレセプター欠損マウスにアテローム性食餌を与え、そして8週間の間、
組換えLIPGタンパク質またはプラシーボを投与する。アテローム硬化症を、
組換えLIPGタンパク質の投与がアテローム性硬化症の進行を減少するかまた
は後退を誘導するかを決定するために、マウスの大動脈において定量する。これ
らの症状発現前のデータに基づいて、さらなる動物モデル(例えば、ハムスター
、ウサギ、またはブタ)を、組換えLIPGタンパク質の、VLDLコレステロ
ールおよびLDLコレステロールのレベルを低下し、そして/またはアテローム
性硬化症の進行を阻害する能力について研究する。VLDLコレステロールおよ
びLDLコレステロールのレベルを低下し、そして/またはアテローム性硬化症
の進行を阻害する、所望の能力を有することが見出された組換えLIPGタンパ
ク質を、薬学的に受容可能なキャリアと組合せ、そして患者に投与する。組換え
LIPGポリペプチドは、経口投与および静脈内投与を含む、種々の方法で投与
され得る。
【0262】 本明細書中で議論された全ての参考文献は、参考として援用される。
【0263】 当業者は、本発明が、目標を果たし、そして本来備わっているものに加えて言
及した目的および利点を得るように十分に適合化されていることを容易に理解す
る。本明細書中に記載されたペプチド、ポリヌクレオチド、方法、手順、および
技術は、好ましい実施形態の代表として示され、そして例示であることを意図さ
れ、本発明の範囲に対する限定を意図しない。本発明の精神に含まれるか、また
は添付の特許請求の範囲によって規定される、本明細書中での変化および他の使
用は、当業者が想到する。
【0264】 (実施例26−グリコシル化の実施およびLIPGの生物学的活性) LIPGをさらに特徴付けるために、多数の実験を行った。引き続く実験は、
LIPG(これらの実験および図面において「内皮リパーゼ」、または「EL」
といわれる)の生物学的活性をさらに規定する。
【0265】 図24は、内皮リパーゼが糖タンパク質であることを示す。ELを、グリコシ
ダーゼEndoF、グリコシダーゼEndoH、およびノイラミニダーゼで処理
した。これは、ポリペプチド鎖からの糖質の除去に呼応して、ウエスタンブロッ
ティングでのELバンドの大きさに減少を生じた。グリコシル化はまた、EL発
現細胞においてツニカマイシンで阻害された。これは、ELバンドの大きさに実
質的な減少を生じた。グリコシダーゼおよびツニカマイシンの実験は、ELが糖
タンパク質であることを示す。
【0266】 図25は、内皮リパーゼがヘパリン結合タンパク質であることを示す。アデノ
ウイルスベクターを発現するEL AdhEL(実施例15を参照のこと)を、
マウスに注射した。ヘパリン注射の前(pre)および後(post)に、血液
を取り出した。全長68kDのELバンドの強度は、ヘパリンの投与によってヘ
パリン硫酸プロテオグリカンに結合し、そして放出されたELに一致して、ヘパ
リン注射の後、大いに増大した。
【0267】 図26Aおよび26Bおよび27Aおよび27Bは、リポタンパク質リパーゼ
(LPL)および肝リパーゼ(HL)に関する内皮リパーゼの脂肪分解活性を示
す。この実験は、内皮リパーゼがトリグリセリド(TG)リパーゼ活性を有する
か否かを決定するために実施した(図27A)。異なる馴化培地上での複数の研
究により、TGリパーゼ活性の明らかな証拠が繰返し見出された。内皮リパーゼ
のホスホリパーゼ活性を、同じ馴化培地サンプルにおいてアッセイした(図27
B)。TGリパーゼ活性に対するホスホリパーゼの比は、異なるバッチの馴化培
地中でアッセイした場合、非常に一貫していた。定数項において、馴化培地体積
当たりで生成された脂肪酸のモルは、TGリパーゼ活性に対してよりも、ホスホ
リパーゼに対して有意に大きかった。次いで、血清が内皮リパーゼ活性に影響を
与える能力を試験した(図27Aおよび27B)。予期されたように、血清の添
加により、いずれのapoC−IIの他の供給源の非存在下において、リポタン
パク質リパーゼTGリパーゼ活性は、有意に上昇した。興味深いことに、血清は
、再現可能かつ実質的に内皮リパーゼの活性を減少した。これより、apoC−
IIもいずれの他の血清因子も、要求される内皮リパーゼに対する補因子ではな
いことが確認される。これはまた、血清中に内皮リパーゼの内因性インヒビター
が存在することを示す。
【0268】 図28Aおよび28Bは、ELの発現が、用量依存的様式においてヘパリン後
(post−heparin)血漿ホスホリパーゼ活性を増加したことを示す。
3つの異なる用量(1×1011、3×1010または1×1010の粒子)のAdh
ELのマウスへの注射により、ヘパリン後の血漿にELタンパク質が存在するよ
うになった。68kDおよび40kDの主なバンドならびに55kDの小さいバ
ンドが観察された(図28A)。68kDのバンドは、ELの全長グリコシル化
型であると考えられ、そして40kDのバンドは、タンパク質分解フラグメント
と考えられる。ウエスタンブロットによって評価された血漿中のELタンパク質
の量は、注射されたベクターの用量と比例している(図28B)。異なるレベル
のヒトELの発現は、Adnull注射マウスと比較して、ヘパリン後血漿ホス
ホリパーゼ活性に有意かつ用量依存的な増加を引き起こした(それぞれ、977
9+/−733、6501+/−1299、3963+/−796nmol.m
-1.hr-1対952+/−258nmol.mo-1.hr-1)。ヘパリン後ホ
スホリパーゼ活性は、ヒトELタンパク質のレベルと相関していた(68kDの
バンドについて(r=0.98、P<0.01)、55kDのバンドについて(
r=0.83、P<0.05)、および40kDのバンドについて(r=0.9
4、P<0.05))。
【0269】
【表3】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、例示的なPCR増幅で使用されるプライマーの配列(配列番号17〜
31)を示す。
【図2】 図2は、LIPG遺伝子cDNAを含むディファレンシャルディスプレイRT
−PCR産物の核酸配列(配列番号1)および推定アミノ酸配列(配列番号2)
を示す。この増幅で使用される2個のプライマーに対応する配列に、下線を引く
。この終止コドンおよびポリアデニル化シグナルを、四角で囲む。このGAAT
TCモチーフおよび隣接配列は、この産物がクローン化されるpCRIIベクタ
ー由来のものである。
【図3】 図3は、LIPG cDNAの5’RACE伸長物の核酸配列(配列番号3)
および推定アミノ酸配列(配列番号4)を示す。この増幅で使用される2個のプ
ライマーに対応する配列に、下線を引く。このGAATTCモチーフおよび隣接
配列は、この産物がクローン化されるpCRIIベクター由来のものである。
【図4】 図4は、LIPG遺伝子の完全オープンリーディングフレーム(LLGXL)
を含むcDNAの配列(配列番号7)を示す。この開始コドン(ATG)および
終止コドン(TGA)を四角で囲う。発現ベクターの構築に使用される、Dra
I部位(TTTAAA)およびSrfI部位(GCCCGGGC)に、下線を引
く。
【図5】 図5は、LLGXLタンパク質の推定アミノ酸配列(配列番号8)を示す。予
想されるシグナル配列に、下線を引く。
【図6】 図6は、トリアシルグリセロールリパーゼ遺伝子ファミリーのメンバーのタン
パク質配列アライメント(配列番号13〜15)を示す。影の部分の残基は、L
LGXLタンパク質(配列番号8)と同一である。ヒトLIPG(EL)の推定
アミノ酸配列を1番上の線に提供し、そしてTGリパーゼファミリーの他の主な
メンバー(LPL、HLおよびPL)と比較する。ファミリー少なくとも1つの
他のメンバーの残基と同じである、EL残基に影を付け、そして残りのファミリ
ーのメンバーの残基と対応させる。アミノ酸は、シークエンスされたタンパク質
の開始残基で開始する変換に従って、番号付けする。シグナルペプチドの予想さ
れる切断部位は、アミノ酸残基の間の実線で印を付ける。活性なセリンを含むG
XSXGリパーゼモチーフを、四角で囲う。触媒作用に関与する3組(cata
lytic triad)のアミノ酸に、アスタリスクで印をつける。変換され
たシステインを、黒丸で印をつける。強力なN−結合グルコシル化部位を、矢印
で印をつける。リッド領域(lid region)を太線で示す。ギャップは
、CLUSTALプログラムを使用してアライメント値を最大化するようにこの
配列に導入させた。
【図7】 図7は、THP−1細胞中のLIPG mRNAのノーザン分析を示す。細胞
を、PMAまたはPMAのいずれか、および酸化LDL(PMA+oxLDL)
を用いて刺激した。左の数字は、RNA標準(キロベース)の位置を示す。
【図8】 図8は、ヒト組織のLPLと比較するLIPG mRNAの発現のノーザンブ
ロット分析を示す。示されるヒト組織由来のmRNAを含むブロットを、記載さ
れるように放射標識しLPLプローグおよびβアクチン(ACTB)プローブと
共にインキュベートした。
【図9】 図9は、培養された細胞株のノーザンブロット分析を示す。左側のパネル(レ
ーン1〜6)を、LIPG(EL)プローブでハイブリダイズし、そして右側の
パネル(レーン7〜12)を、LPLプローブでハイブリダイズした。レーン1
、7(未刺激のHUVEC);レーン2、8(PMAで刺激されたHUVEC)
;レーン3、9(トロンビンで刺激されたHUVEC);レーン4,10(未刺
激のHCAEC);レーン5、11(PMAで刺激されたHCAEC);レーン
6、12(PMAで刺激されたTHP−1)。
【図10】 図10は、免疫化ペプチドの配列(配列番号16)およびLLGXLタンパク
質配列との関係を示す。このペプチドを、影を付けた四角の中に示す。末端シス
テインを、キャリアタンパク質にペプチドを結合する目的で導入した。
【図11】 図11は、HUVECおよびHCAEC由来の馴化培地を、ウサギの抗ELペ
プチド抗血清を用いて、イムノブロット分析に供した場合に得られる結果を示す
。レーン1(未馴化培地);レーン2(未刺激HUVEC);レーン3(PMA
で刺激されたHUVEC);レーン4(未刺激HCAEC);レーン5(PMA
で刺激された(HCAEC)。
【図12】 図12は、LLGNまたはLLGXLのcDNA含むか、あるいはDNAを含
まない(Mock)、発現ベクターで一過的にトランスフェクトされたCOS−
7細胞由来の馴化培地中におけるヘパリン−セファロース結合タンパク質のウエ
スタン分析を示す。PMA刺激した内皮細胞(HCAEC+PMA)由来のタン
パク質を、サイズ参照のため用いた。左側の数字は、主な免疫反応性タンパク質
の見かけ上の分子量を示し、タンパク質標準と比較して分子量を決定する。
【図13】 図13は、ウサギのLIPG PCR産物の配列(RLLG.配列、配列番号
12)およびウサギのLIPG PCR産物とヒトcDNAの対応する配列(L
LG7742A)との間の配列アライメントを示す。同じヌクレオチドに、影を
つけた。
【図14】 図14は、ホスファチジルコリン基質を使用するヒトEL−AS、ELおよび
LPLのホスホリパーゼA活性を示す。アッセイを実施するために、pcDNA
3.0/LIPG−AS、LIPG、またはLPL発現構築物のいずれかで一過
的にトランスフェクトされたCOS−7細胞から採取される馴化培地(700μ
l)を、以下に記載されるようにホスホリパーゼ活性について3連でアッセイし
た。37℃で2時間インキュベートした後、この反応を終結させ、そして14C
で標識化した遊離脂肪酸を抽出し、そして産生された遊離脂肪酸の量を決定する
ために計測した。
【図15】 図15は、トリオレイン基質を使用するヒトのEL−AS、ELおよびLPL
のトリアシルグリセリドリパーゼの活性を示す。このアッセイを実施するために
、pcDNA3.0/LIPG−AS、LIPG、またはLPL発現構築物のい
ずれかで一過的にトランスフェクトされたCOS−7細胞から採取される馴化培
地(700μl)を、以下に記載されるようにトリグリセリド活性について3連
でアッセイした。37℃で2時間インキュベートした後、この反応を終結させ、
そして14Cで標識化した遊離脂肪酸を抽出し、そして産生された遊離脂肪酸の
量を決定するために測定した。
【図16】 図16は、LIPGおよびLPLプローブの、異なる種由来のゲノムDNAへ
のハイブリダイゼーションを示す。
【図17】 図17は、AdhEL注射の5日後の野生型マウスの肝臓でのLIPGの発現
を示す。レーン1(Adnullを注射されたマウス由来の肝臓);レーン2(
AdhELを注射されたマウス由来の肝臓)。
【図18】 図18は、AdhEL−およびAdnull−注射の野生型マウスのHDLコ
レステロールの血漿レベルを示す。
【図19】 図19は、注射前(左)および注射の14日後(右)のベースラインでのAd
hELおよびAdnullを注射された野生型マウスのリポタンパク質プロフィ
ールを示す。
【図20】 図20は、AdnullまたはAdhELを注射した後の、ヒトApoA−I
トランスジェニックマウスにおけるHDLコレステロールレベルを示す。
【図21】 図21は、AdnullまたはAdhELを注射した後の、ヒトApoA−1
トランスジェニックマウスにおけるApoA−Iレベルを示す。
【図22】 図22は、VLDL/LDLコレステロールレベルに対する、LDLレセプタ
ー欠損マウスにおけるAdhELの注射の効果を示す。
【図23】 図23は、HDLコレステロールレベルに対する、HDLレセプター欠損マウ
スにおけるAdhELの注射の効果を示す。
【図24】 図24は、LIPG(EL)に対するグリコシダーゼおよびツニカマイシン効
果を実証する、ELのウエスタンブロット分析である。レーンは、左から右へと
順番に以下の通りである:未処理ELコントロール;EndoF処理EL;En
doH処理EL;ノイラミニダーゼ処理EL;マーカー(血漿サンプル);EL
未処理溶解物;ELツニカマイシン処理溶解物;EL未処理ペレット;ELツニ
カマイシン処理ペレット;EL未処理培地;ELツニカマイシン処理培地(マー
カー);血漿。
【図25】 図25は、ヘパリン投与のELに対する効果を示すウエスタンブロットである
。「前」レーンは、ヘパリン注射前にマウスから採取した血液サンプルである;
「後」レーンは、ヘパリン注射後に採取した血液サンプルである。「コントロー
ルウイルス」は、ELを含まなかった;「ELウイルス」は、ELを発現するア
デノウイルスベクターであった。
【図26】 図26Aおよび26Bは、LPL(リポタンパク質リパーゼ)、HL(肝リパ
ーゼ)およびEL(内皮リパーゼ)のトリグリセリダーゼ活性(図26A)およ
びホスホリパーゼ活性(図26B)を示す棒グラフである。
【図27】 図27Aおよび27Bは、リポタンパク質リパーゼのトリグリセリダーゼ活性
(図27A)および内皮リパーゼのトリグリセリダーゼ活性(図27B)に対す
る、ヒト血清の効果を示すグラフである。
【図28】 図28Aおよび図28Bは、異なるウイルス用量でのELの発現を示す。図2
8Aは、異なるウイルス用量で存在するELを示すウエスタンブロットである。
図28Bは、異なるウイルス投薬量でのホスホリパーゼ活性を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/395 A61K 45/00 4C087 45/00 A61P 3/06 A61P 3/06 43/00 111 43/00 111 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 33/53 D 33/53 33/566 33/566 A61K 37/64 // C12N 15/09 ZNA C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EE ,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR, HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,K P,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU ,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX, NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,S G,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (71)出願人 ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバー シティ オブ ペンシルベニア アメリカ合衆国 19104 ペンシルベニア, フィラデルフィア,サウス サーティシク スス ストリート 133 (72)発明者 ジェイ, マイケル アメリカ合衆国 ペンシルベニア 19038, グレンサイド, ノース リンウッド アベニュー 142 (72)発明者 リンチ, ケビン ジェイ. アメリカ合衆国 ペンシルベニア 19446, ランズデイル, ウエスト ハンプシャ ー ドライブ 17904 (72)発明者 アミン, ディリップ ブイ. アメリカ合衆国 ペンシルベニア 19446, ランズデイル, アレンバック レーン 2204 (72)発明者 ドーン, キム−アン チ アメリカ合衆国 ペンシルベニア 19475, スプリング シティー, キャスリン レーン 76 (72)発明者 マーチャディア, ドーン アメリカ合衆国 ニュー ジャージー 08043, ボーアヒース, ウッドストー ン ドライブ 58 (72)発明者 モージエ, シリル アメリカ合衆国 ペンシルベニア 19102, フィラデルフィア, サウス 15ティー エイチ ストリート 348 (72)発明者 レイダー, ダニエル ジェイ. アメリカ合衆国 ペンシルベニア 19146, フィラデルフィア, ケイター ストリ ート 2103 (72)発明者 クローイエック, ジョン エイ. アメリカ合衆国 ペンシルベニア 19406, ガルフ ミルズ, アーデン ロード 360 (72)発明者 サウス, ビクトリア ジェイ. アメリカ合衆国 ペンシルベニア 19426, カレッジビル, リージェンツ ロード 122 Fターム(参考) 2G045 AA40 CA25 DA20 DA36 DA62 DA69 FB01 FB03 FB07 4B024 AA01 AA11 BA11 CA04 EA02 HA17 4C084 AA02 AA17 BA44 DC32 ZC202 ZC332 4C085 AA13 AA14 BB22 DD62 DD63 DD88 4C086 AA01 AA02 AA03 AA04 EA16 MA01 MA04 ZC20 ZC33 4C087 AA01 AA02 BC83 CA12 ZC20 ZC33

Claims (65)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 患者においてLIPG遺伝子の発現を低下させるための組成
    物であって、アンチセンス核酸を含む、組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の組成物であって、前記アンチセンス核酸を
    含む発現ベクターを含む、組成物。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の組成物であって、前記発現ベクターが、レ
    トロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター
    、ヘルペスウイルスベクター、および裸のDNAベクターからなる群より選択さ
    れる、組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の組成物であって、前記アンチセンス核酸が
    合成アンチセンス核酸である、組成物。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の組成物であって、前記アンチセンス核酸が
    オリゴヌクレオチドである、組成物。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の組成物であって、前記オリゴヌクレオチド
    が化学的に改変された塩基を含む、組成物。
  7. 【請求項7】 患者においてLIPGポリペプチドの酵素的活性を低下させ
    るための組成物であって、該LIPGポリペプチドに結合し得かつ該LIPGポ
    リペプチドの酵素的活性を低下させ得る、中和抗体を含む、組成物。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の組成物であって、前記抗体をコードするD
    NA配列を含む発現ベクターを含む、組成物。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の組成物であって、前記発現ベクターが、レ
    トロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター
    、ヘルペスウイルスベクター、および裸のDNAベクターからなる群より選択さ
    れる、組成物。
  10. 【請求項10】 患者においてLIPGポリペプチドの酵素的活性を低下さ
    せるための組成物であって、細胞内結合タンパク質を含む、組成物。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の組成物であって、前記細胞内結合タン
    パク質をコードするDNA配列を含む発現ベクターを含む、組成物。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の組成物であって、前記発現ベクターが
    、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベク
    ター、ヘルペスウイルスベクター、および裸のDNAベクターからなる群より選
    択される、組成物。
  13. 【請求項13】 患者においてLIPGポリペプチドの酵素的活性を阻害し
    得るインヒビターを含む、組成物。
  14. 【請求項14】 患者においてLIPG遺伝子の発現を低下させ得るインヒ
    ビターを含む、組成物。
  15. 【請求項15】 患者においてLIPGの発現を低下させ得る組成物であっ
    て、リボザイムを含む、組成物。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の組成物であって、前記リボザイムをコ
    ードするDNA配列を含む発現ベクターを含む、組成物。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載の組成物であって、前記発現ベクターが
    、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベク
    ター、ヘルペスウイルスベクター、および裸のDNAベクターからなる群より選
    択される、組成物。
  18. 【請求項18】 請求項15に記載の組成物であって、前記リボザイムがハ
    ンマーヘッドリボザイムである、組成物。
  19. 【請求項19】 患者においてLIPGポリペプチドのレベルを増加させる
    ための組成物であって、該LIPGポリペプチドをコードするDNA配列を含む
    発現ベクターを含む、組成物。
  20. 【請求項20】 患者においてLIPGポリペプチドのレベルを増加させる
    ための組成物であって、LIPGポリペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリ
    アを含む、組成物。
  21. 【請求項21】 患者においてLIPGポリペプチドのレベルを増加させる
    ための組成物であって、LIPG遺伝子の発現を増加させ得るエンハンサーを含
    む、組成物。
  22. 【請求項22】 患者においてLIPGポリペプチドの酵素的活性を増加さ
    せるための組成物であって、該LIPGポリペプチドに結合しかつ該LIPGポ
    リペプチドの酵素的活性を増強するエンハンサーを含む、組成物。
  23. 【請求項23】 患者において高密度リポタンパク質(HDL)コレステロ
    ールおよびアポリポタンパク質AIのレベルを上昇させるため医薬の製造のため
    の組成物の使用であって、該組成物はLIPGの酵素的活性を低下させる、使用
  24. 【請求項24】 請求項23に記載の使用であって、前記組成物が患者にお
    いてLIPGポリペプチドのレベルを低下させる、使用。
  25. 【請求項25】 請求項23に記載の使用であって、前記組成物がアンチセ
    ンス核酸を含む、使用。
  26. 【請求項26】 請求項25に記載の使用であって、前記アンチセンス核酸
    が合成アンチセンス核酸である、使用。
  27. 【請求項27】 請求項26に記載の使用であって、前記アンチセンス核酸
    が該核酸の化学的安定性を増加するように改変されている、使用。
  28. 【請求項28】 請求項23に記載の使用であって、前記組成物が、LIP
    Gポリペプチドに結合し得かつ該LIPGポリペプチドの酵素的活性を低下させ
    得る、中和抗体を含む、使用。
  29. 【請求項29】 請求項23に記載の使用であって、前記組成物が、LIP
    Gポリペプチドの酵素的活性を阻害するインヒビターを含む、使用。
  30. 【請求項30】 請求項29に記載の使用であって、前記インヒビターがL
    IPG遺伝子の発現を低下させる化合物を含む、使用。
  31. 【請求項31】 請求項23に記載の使用であって、前記組成物がLIPG
    をコードするmRNAを切断するリボザイムを含む、使用。
  32. 【請求項32】 請求項23に記載の使用であって、前記組成物がDNA分
    子およびリポソームを含む、使用。
  33. 【請求項33】 請求項32に記載の使用であって、前記リポソームがカチ
    オン性リポソームである、使用。
  34. 【請求項34】 請求項23に記載の使用であって、前記組成物がDNAお
    よび薬学的に受容可能なキャリアを含む、使用。
  35. 【請求項35】 請求項23に記載の使用であって、前記組成物が発現ベク
    ターを含む、使用。
  36. 【請求項36】 請求項35に記載の使用であって、前記発現ベクターが、
    レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクタ
    ー、ヘルペスウイルスベクター、および裸のDNAベクターからなる群より選択
    される、使用。
  37. 【請求項37】 請求項35に記載の使用であって、前記発現ベクターがリ
    ボザイムをコードするDNA配列を含む、使用。
  38. 【請求項38】 請求項37に記載の使用であって、前記発現ベクターが、
    レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクタ
    ー、ヘルペスウイルスベクター、および裸のDNAベクターからなる群より選択
    される、使用。
  39. 【請求項39】 請求項35に記載の使用であって、前記発現ベクターがア
    ンチセンス核酸をコードするDNA配列を含む、使用。
  40. 【請求項40】 請求項35に記載の使用であって、前記発現ベクターがL
    IPGに結合する中和抗体をコードするDNA配列を含む、使用。
  41. 【請求項41】 請求項35に記載の使用であって、前記発現ベクターが、
    LIPGに結合し得かつ該LIPGを中和し得る細胞内結合タンパク質をコード
    するDNA配列を含む、使用。
  42. 【請求項42】 請求項41に記載の使用であって、前記細胞内結合タンパ
    ク質が抗体である、使用。
  43. 【請求項43】 請求項35に記載の使用であって、前記発現ベクターが、
    LIPGの酵素的活性を阻害する阻害分子をコードするDNA配列を含む、使用
  44. 【請求項44】 請求項23に記載の使用であって、前記組成物は、前記患
    者においてアポリポタンパク質AIを発現し得る組成物と組み合わせて投与され
    る、使用。
  45. 【請求項45】 患者において超低密度リポタンパク質(VLDL)コレス
    テロールのレベルを低下させるための医薬の製造のための組成物の使用であって
    、該組成物はLIPGの酵素的活性を増加させ得る、使用。
  46. 【請求項46】 請求項45に記載の使用であって、前記組成物がLIPG
    ポリペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアである、使用。
  47. 【請求項47】 請求項45に記載の使用であって、前記組成物がLIPG
    ポリペプチドを発現し得る発現ベクターである、使用。
  48. 【請求項48】 請求項47に記載の使用であって、前記発現ベクターが、
    レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、およびアデノ随伴ウイルス
    ベクターからなる群より選択される、使用。
  49. 【請求項49】 請求項45に記載の使用であって、前記組成物がLIPG
    ポリペプチドの酵素的活性を増強するエンハンサーを含む、使用。
  50. 【請求項50】 請求項45に記載の使用であって、前記組成物がLIPG
    遺伝子の発現を増加させるエンハンサーを含む、使用。
  51. 【請求項51】 患者において低密度リポタンパク質(LDL)コレステロ
    ールのレベルを低下させるための医薬の製造のための組成物の使用であって、該
    組成物はLIPGの酵素的活性を増加させ得る、使用。
  52. 【請求項52】 請求項51に記載の使用であって、前記組成物がLIPG
    ポリペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアである、使用。
  53. 【請求項53】 請求項51に記載の使用であって、前記組成物がLIPG
    ポリペプチドを発現し得る発現ベクターである、使用。
  54. 【請求項54】 請求項53に記載の使用であって、前記発現ベクターが、
    レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、およびアデノ随伴ウイルス
    ベクターからなる群より選択される、使用。
  55. 【請求項55】 請求項53に記載の使用であって、前記組成物がLIPG
    ポリペプチドの酵素的活性を増強するエンハンサーを含む、使用。
  56. 【請求項56】 請求項53に記載の使用であって、前記組成物がLIPG
    遺伝子の発現を増加させるエンハンサーを含む、使用。
  57. 【請求項57】 患者においてLDLコレステロールのレベルを低下させる
    ための医薬の製造のためのエンハンサーの使用であって、該エンハンサーは、L
    IPGポリペプチドとHDLコレステロールおよびアポリポタンパク質AIとの
    間の酵素的反応に対して、LIPGポリペプチドとLDLコレステロールとの間
    の酵素的反応を優先的に増強する、使用。
  58. 【請求項58】 患者においてVLDLコレステロールのレベルを低下させ
    るための医薬の製造のためのエンハンサーの使用であって、該エンハンサーは、
    LIPGポリペプチドとHDLコレステロールおよびアポリポタンパク質AIと
    の間の酵素的反応に対して、LIPGポリペプチドとVLDLコレステロールと
    の間の酵素的反応を優先的に増強する、使用。
  59. 【請求項59】 低HDLコレステロールレベルおよび低アポリポタンパク
    質AIレベルへの傾向を予測するための方法であって、患者から得た組織サンプ
    ル中のLIPGポリペプチドのレベルを測定する工程を包含する、方法。
  60. 【請求項60】 請求項59に記載の方法であって、前記組織が血液である
    、方法。
  61. 【請求項61】 請求項60に記載の方法であって、前記サンプル中のLI
    PGポリペプチドのレベルをイムノアッセイにより測定する、方法。
  62. 【請求項62】 請求項59に記載の方法であって、LIPG mRNAの
    レベルを測定することによって前記LIPGポリペプチドのレベルを測定する、
    方法。
  63. 【請求項63】 試験化合物がLIPGポリペプチドとHDLコレステロー
    ルおよびアポリポタンパク質AIとの間の酵素的反応を阻害し得るか否かを決定
    するための方法であって、以下: (A)第1のサンプル中のHDLコレステロールおよびアポリポタンパク質A
    Iのレベルを、別のサンプル中のHDLコレステロールおよびアポリポタンパク
    質AIのレベルと比較する工程であって、該第1のサンプルが(1)HDLコレ
    ステロールおよびアポリポタンパク質AI、(2)LIPGポリペプチド、およ
    び(3)該試験化合物を含み、そして該別のサンプルが(4)HDLコレステロ
    ールおよびアポリポタンパク質AIおよび(5)LIPGポリペプチドを含む、
    工程;ならびに (B)該第1のサンプルが該別のサンプルよりも高いHDLコレステロールお
    よびアポリポタンパク質AIのレベルを有するか否かを観察することによって、
    該試験化合物が該LIPGポリペプチドとHDLコレステロールおよびアポリポ
    タンパク質AIとの間の酵素的反応を阻害する際に有効であるか否かを同定する
    工程、 を包含する、方法。
  64. 【請求項64】 試験化合物がLIPGポリペプチドとVLDLコレステロ
    ールとの間の酵素的反応を増強し得るか否かを決定するための方法であって、以
    下: (A)第1のサンプル中のVLDLコレステロールのレベルを、別のサンプル
    中のVLDLコレステロールのレベルと比較する工程であって、該第1のサンプ
    ルが(1)VLDLコレステロール、(2)LIPGポリペプチド、および(3
    )該試験化合物を含み、そして該別のサンプルが(4)VLDLコレステロール
    および(5)LIPGポリペプチドを含む、工程;ならびに (B)該第1のサンプルが該別のサンプルよりも低いVLDLコレステロール
    のレベルを有するか否かを観察することによって、該試験化合物が該LIPGポ
    リペプチドとVLDLコレステロールとの間の酵素的反応を増強する際に有効で
    あるか否かを同定する工程、 を包含する、方法。
  65. 【請求項65】 試験化合物がLIPGポリペプチドとLDLコレステロー
    ルとの間の酵素的反応を増強し得るか否かを決定するための方法であって、以下
    : (A)第1のサンプル中のLDLコレステロールのレベルを、別のサンプル中
    のLDLコレステロールのレベルと比較する工程であって、該第1のサンプルが
    (1)LDLコレステロール、(2)LIPGポリペプチド、および(3)該試
    験化合物を含み、そして該別のサンプルが(4)LDLコレステロールおよび(
    5)LIPGポリペプチドを含む、工程;ならびに (B)該第1のサンプルが該別のサンプルよりも低いLDLコレステロールの
    レベルを有するか否かを観察することによって、該試験化合物が該LIPGポリ
    ペプチドとLDLコレステロールとの間の酵素的反応を増強する際に有効である
    か否かを同定する工程、 を包含する、方法。
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