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JP2002275611A - 亜鉛合金めっき製柱材とその製造方法および該製造方法で用いるフラックス - Google Patents

亜鉛合金めっき製柱材とその製造方法および該製造方法で用いるフラックス

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Publication number
JP2002275611A
JP2002275611A JP2001075004A JP2001075004A JP2002275611A JP 2002275611 A JP2002275611 A JP 2002275611A JP 2001075004 A JP2001075004 A JP 2001075004A JP 2001075004 A JP2001075004 A JP 2001075004A JP 2002275611 A JP2002275611 A JP 2002275611A
Authority
JP
Japan
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plating
steel
phase
column
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001075004A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidekazu Endo
英一 遠藤
Masahiro Yamamoto
正弘 山本
Akihiro Miyasaka
明博 宮坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2001075004A priority Critical patent/JP2002275611A/ja
Publication of JP2002275611A publication Critical patent/JP2002275611A/ja
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  • Coating With Molten Metal (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高塩素濃度環境から低塩素濃度環境に至る広
い腐食環境において、優れた耐食性を有する亜鉛合金め
っき製柱材、および、亜鉛合金めっき製柱材を用いて構
造体とした鋼製柱を提供する。さらに、この亜鉛合金め
っき製柱材を1段階の乾式どぶづけ法により製造する方
法を提供する。 【解決手段】 鋼材の表面に、ZnとMgとAlを主成
分とするめっき層を有し、そのめっき層の中にZn−M
g系金属間化合物(MgZn2 、Mg2Zn11)相が存在
し、Zn−Mg系金属間化合物相のめっき層全体に占め
る割合が体積%で50%以下であることを特徴とする亜
鉛合金めっき製柱材。上記Zn−Mg系金属間化合物相
はZn粒界に沿って連続的な相を示しているか、また
は、隣接間距離0.05μ以上で島状の相を示してい
る。また、Al−Zn合金相が樹枝状または島状の相を
なし、めっき層の80体積%以下を占める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性に優れた亜
鉛合金めっき製の柱材に関するものである。さらに詳し
くは、Zn、MgおよびAlを主成分としたZn−Mg
−Al合金を溶融めっきした亜鉛合金めっき製の柱材
と、そのめっき方法、および該方法において被めっき材
である鋼材表面を前処理する前処理剤組成物に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】一般に、街路の照明電灯用に立てられた
柱や鉄道の架線や電線、電話線などの保持のために用い
られる柱材においては、古くは木材やその表面処理をし
た材料が使用され、その後、鉄筋コンクリート材も使用
されていた。しかしながら、景観上優れていることや数
十年にわたる長期の耐久性を持っていること、また、施
工時の取り扱い易さなどにより、鋼材にZnめっきや塗
装による耐食性表面処理が用いられるようになった。し
かしながら、通常の亜鉛めっきや塗装では定期的な補修
が施されるのであるが、めっきの耐食性が向上すること
により、塗装の省略化もしくは簡略化や、補修頻度の低
減が可能となり、ひいては、工期短縮や維持・管理に要
するランニングコストの抑制にもつながる。
【0003】上記柱材に要求される条件は、機械的に摩
耗されたり、小物体が衝突することにより疵が発生した
場合に、その疵部において発錆しにくいことである。こ
れに対して、耐食性に優れためっきとして古くから知ら
れているAlめっきは、塩化物イオン濃度が低い環境で
は疵付き部から赤錆が発生しやすく、陸地に用いる鉄塔
用途には必ずしも適さない。一方、ZnにAlを添加す
ることによって耐食性を強化したZn−Al合金めっき
が提供されている。その代表的なものにZn−55%A
lめっきがある。このめっきは、Al主体のめっきであ
るために、めっき層自身の耐食性はAlめっきにほぼ匹
敵し、また、Znを含むために、疵付き部からの赤錆発
生もおこり難いものである。
【0004】Zn−55%Alめっき以外では、Alの
含有量を5〜10%程度に抑えたZn−Al合金めっき
がある。このZn−Al合金めっきは、Zn−55%A
lめっき程ではないにしても、Znめっきに比べ圧倒的
に良好な耐食性を有するので、今日では、構造物などに
も広く用いられている。しかし、上記のZn−Al合金
めっきは、コンクリート中のような高pH環境に曝され
ると急激に溶出する傾向があり、その耐アルカリ性は、
伝統的なZnめっきに劣る場合すらしばしば散見され
る。このように、コンクリート構造物の鉄筋部材や鋼構
造物のコンクリート基礎部材等の、いわゆる複合構造体
としての用途には、Zn−Al系のめっきは必ずしも適
当でない。
【0005】次に、めっき性の点からみると、上記のZ
n−Al合金めっきは、Alの添加量が10質量%程度
以下であれば、鋼材を水溶性フラックスで前処理するこ
とによって1段階のどぶづけめっきが可能なものであ
る。しかし、Al添加量が多くなると、浴中のAlがフ
ラックス成分と化学反応を起こし易くなり、不めっきや
異物付着等の品質低下が著しくなる。
【0006】そのため、めっき浴面に溶融塩フラックス
を浮遊させる湿式法、もしくは、Znめっきを施した
後、Zn−Al合金をめっきする2段階のめっき法を用
いることが多い。前者の方法は、フラックス成分がめっ
き浴中へ混入し易く、めっき浴の組成管理が複雑であ
る。また、後者の方法は、めっき浴を少なくとも2つ準
備する必要があるため、めっきに要するコストが高くな
り易い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題に
鑑み、海岸地域などの塩化物イオン濃度の高い環境から
内陸部、山間地などの塩化物イオン濃度の低い環境、さ
らには、強アルカリ環境に至る広い腐食環境において、
優れた耐食性を有する亜鉛合金めっき製柱材を提供する
ものである。
【0008】さらに、この亜鉛合金めっき製柱材を、品
質管理が比較的容易で経済的にも有利な1段階の乾式ど
ぶづけ法により製造する方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Zn−M
g−Al系合金めっきがZn−Al系めっきと同等以上
の高い耐食性を有すること、および、上記組成に加え、
めっき層中にZn−Mg系金属間化合物相が存在する
と、特に耐食性が向上することを見い出し、溶融Zn−
Mg−Al系合金めっき鋼線を提供した。
【0010】そして、さらなる高耐食性と線材以外の用
途への拡大を目指して鋭意検討を重ねた結果、新たに次
のことを見い出した。すなわち、(1)Zn−Mg系金
属間化合物相のめっき層全体に占める割合が50%を超
えると、耐食性は低下すること、(2)Zn−Mg系金
属間化合物相はMgの含有量によって連続相または島状
相になるが、後者の場合に、隣接するZn−Mg系金属
間化合物相間の距離が0.05μを下回ると耐食性が低
下すること、(3)Alの含有量が高くなるとAl−Z
n合金相が生じるようになるが、このAl−Zn合金相
のめっき層全体に占める割合が80%を超えると耐食性
は低下すること、(4)Zn−Mg−Al系合金めっき
は通常2層構造を呈するのであるが、各層の厚みの比と
金属組成を適正な範囲に制御することによって、耐食性
を向上させ得ること、および、(5)めっき浴中のMg
とAlの量的な関係を一定の範囲内に制御することによ
って、Zn−Mg−Al系合金めっきを線材以外の鋼材
にも適用できること、を見い出した。
【0011】本発明は、上記の一連の知見に基づいて、
めっき組成およびめっき層の凝固組織と層構造を限定
し、さらに、どぶづけめっきに適したフラックス組成を
規定することによって完成に至ったものであり、以下に
その要旨とするところを列記する。すなわち、 (1)鋼製の柱もしくは柱を構成する部材の表面に、Z
nとMgとAlを主成分とするめっき層を有し、そのめ
っき層の中にZn−Mg系の金属間化合物相が存在し、
Zn−Mg系の金属間化合物相のめっき層全体に占める
割合が体積%で50%以下であることを特徴とする亜鉛
合金めっき製柱材。
【0012】(2)前記ZnとMgとAlを主成分とす
るめっき層において、Zn−Mg系の金属間化合物がθ
(Mg2Zn11)相であり、Zn粒界に沿って連続的な相
をなしていることを特徴とする上記(1)に記載の亜鉛
合金めっき製柱材。 (3)前記ZnとMgとAlを主成分とするめっき層に
おいて、Zn−Mg系の金属間化合物がη(MgZn
2 )相であり、島状の相をなし、隣接するη相間の距離
が0.05μ以上であることを特徴とする上記(1)に
記載の亜鉛合金めっき製柱材。
【0013】(4)前記ZnとMgとAlを主成分とす
るめっき層において、Al−Zn合金相が樹枝状または
島状の相をなし、Al−Zn合金相のめっき層全体に占
める割合が体積%で80%以下であることを特徴とする
上記(3)に記載の亜鉛合金めっき製柱材。 (5)前記ZnとMgとAlを主成分とするめっき層に
おいて、鋼材表面の直上に、少なくともFeとAlを含
有し、FeとAlの総量に占めるAlの比率が49質量
%以上である下層と、その上に、少なくともZnとMg
を含有する上層とによって構成される2層構造を呈し、
下層の厚みが全めっき厚に対して90%以下であり、下
層と上層の合計の厚みがZn換算の付着量で100〜8
00g/m2 であることを特徴とする上記(1)〜
(4)のいずれかに記載の亜鉛合金めっき製柱材。
【0014】(6)前記鋼製の柱が、等辺山形鋼、不等
辺山形鋼、不等辺不等厚山形鋼、平鋼、H形鋼、I形
鋼、鋼管、テーパー管、異径管、鋼板、並びに、これら
を変形加工、さらには接合し、いくつかを組み合わせて
作製した鋼製柱材であることを特徴とする上記(1)〜
(5)のいずれかに記載の亜鉛合金めっき製柱材。 (7)前記柱を構成する部材が、等辺山形鋼、不等辺山
形鋼、不等辺不等厚山形鋼、平鋼、H形鋼、I形鋼、鋼
管、テーパー管、異径管、鋼板、ボルト、ナット、座
金、リベット、並びに、これらを変形加工、さらには接
合し、いくつかを組み合わせて作製した鋼製部材である
ことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載
の亜鉛合金めっき製柱材。
【0015】(8)前記鋼製柱材および鋼製部材が、そ
のめっき面全体、もしくは部分的に有機被膜で塗装され
たものであることを特徴とする、上記(6)または
(7)のいずれかに記載の亜鉛合金めっき製柱材。 (9)めっき面の一部または全部がコンクリートと接触
した部位を有することを特徴とする上記(6)〜(8)
のいずれかに記載の亜鉛合金めっき製柱材。
【0016】(10)質量%で、ZnCl2 を60〜9
5%、アルカリ金属元素もしくはアルカリ土類金属元素
のフッ化水素化物またはケイフッ化物のいずれか1種類
以上を合計で0.1〜10%、アルカリ金属元素もしく
はアルカリ土類金属元素のフッ化物または塩化物のいず
れか1種類以上を合計で1〜30%、および、Sn、P
b、In、Tl、SbまたはBiの塩化物のいずれか1
種類以上を合計で0.1〜10%を含有し、全体の濃度
が10〜60(質量/容量%)であることを特徴とする
フラックス。
【0017】(11)質量%で、ZnCl2 を60〜9
5%、アルカリ金属元素もしくはアルカリ土類金属元素
のフッ化物のいずれか1種類以上を合計で0.1〜10
%、アルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素の塩
化物のいずれか1種類以上を合計で1〜30%を含有
し、全体の濃度が10〜60(質量/容量%)であるこ
とを特徴とするフラックス。
【0018】(12)鋼材表面を脱脂、酸洗した後、該
鋼材を、上記(10)または(11)に記載のフラック
スに浸漬し、次いで、鋼材表面に付着したフラックスを
乾燥した後、質量%でMg:0.05〜7%、Al:
0.01〜20%含有し、残部がZnと不可避的不純物
からなり、Mgの含有量([Mg])とAlの含有量
([Al])が、質量%で、 [Mg]<(7[Al]+28)/9.8 および [Mg]<(25[Al]+0.4)/1.8 の関係を同時に満たす溶融めっき浴に浸漬し、その後
に、該鋼材を、鋼材表面の温度が少なくともめっき層の
融点に到達するまで、0.1〜50℃/秒の速度で冷却
することを特徴とする亜鉛合金めっき製柱材の製造方
法。 (13)前記溶融めっき浴において、Al含有量に対し
て10質量%以下のSiを添加した溶融めっき浴を用い
ることを特徴とする上記(12)に記載の亜鉛合金めっ
き製柱材の製造方法。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明における亜鉛合金めっき製
柱材とは、等辺山形鋼、不等辺山形鋼、不等辺不等厚山
形鋼、平鋼、H形鋼、I形鋼、鋼管、テーパー管、異径
管、鋼板、ボルト、ナット、座金、リベット、並びに、
これらのいくつかを変形し接合して、組み合わせて作製
した鋼製部材であり、これらの鋼製部材のうち一部また
は全部を用いて構成された鋼製の柱および柱用製品であ
る。本発明の亜鉛合金めっき製柱材は、Zn−Mg−A
l系合金を溶融めっきしたことを特徴とする。
【0020】このZn−Al−Mg系合金めっきの断面
を走査型電子顕微鏡または光学顕微鏡を用いて500〜
1000倍程度で観察すると、めっき層が2層構造にな
っているのが確認できる。さらに、これらの層をEPM
A等の機器分析的手法で分析すると、地鉄直上の下層は
Fe−Al系合金層であり、その上の上層はZnとMg
を含んだ層であることが認められる。
【0021】最初に、上層の凝固組織について説明す
る。Znめっき浴中にMgが混在すると、めっき層内部
および表面にZn−Mg系の金属間化合物が生成する。
この金属間化合物は、EPMA(線分析)等の解析によ
り、η(MgZn2 )相とθ(Mg2Zn11)相であるこ
とがわかる。これらの金属間化合物はZn主体の母相に
優先して溶出する傾向があり、その際、母相に対して犠
牲防食効果を有するため、めっき層の主体であるZnの
腐食を遅くする効果がある。
【0022】また、Zn−Mg系金属間化合物相が溶出
した箇所は小孔または連続的な微小クラックとなるが、
その溶出部は腐食生成物によって密に充填されるため、
腐食は進行しにくくなる。また、腐食生成物は緻密で化
学的に安定な塩基性化合物であって、これが皮膜となっ
てめっき面を覆うので、これによっても耐食性は向上す
る。めっき浴中のMg濃度が低い場合には、Zn−Mg
系金属間化合物相はθ相であり、Zn結晶の粒界にほぼ
連続的に生成しやすくなる。一方、Mg濃度が高くなる
と、Zn−Mg系金属間化合物相はη相となり、Znの
母相中に島状に析出した海島構造を呈するようになる。
いずれの形態であっても、めっきの高耐食化への寄与に
は変化がないが、Zn−Mg系金属間化合物相のめっき
全体に占める体積比率が50%を超えると、めっき層が
脆くなり、割れや剥離が生じやすくなるので、該体積比
率は50%以下が好ましい。
【0023】また、η相が島状に析出した場合には、隣
接したη相が近くなるとη相の溶出部が互いに連結する
ようになって、大きな孔に成長する。そのため、この場
合にも、腐食生成物による充填が不完全となり、局部的
な腐食となりやすい。このような傾向は、隣接したη相
の距離が0.05μ未満になると顕著になるので、該距
離は0.05μ以上が好ましい。
【0024】Znめっき浴中にAlが混在すると、Al
は主にFe−Al合金の下層の形成に消費されるが、浴
中Al濃度が高くなると、Alは、上層に、島状または
樹枝状のAl−Zn合金相として析出する。この相は、
Znに比べて溶出しにくので、η相のようにZnに対す
る犠牲防食効果はない。Al−Zn合金相がめっき層に
おいて大きな体積を占めると、Zn母相の体積が減少す
ることになり、赤錆が発生しやすくなる。この傾向は、
Al−Zn合金相がめっき層全体の80%を超えると顕
著になるので、Al−Zn合金相の割合は80%以下が
好ましい。
【0025】Al−Zn合金相の腐食は、Znの溶出と
Alの酸化という2種類の化学変化によって進行する。
これによって生成したAlの酸化物は化学的に安定であ
るから、Al−Zn合金相が鋼面を一様に被覆すれば、
高い耐食性が期待できる。しかし、これを可能にするた
めには、Alを高濃度に添加しためっき浴にする必要が
あり、必然的にめっき温度が高くなって好ましくない。
【0026】次に、上層と下層の金属組成について説明
する。上層の金属組成は、めっき浴組成、めっき条件、
冷却条件等によって変動するが、ZnとMgを含有する
ことが必須であり、好ましくは、Znに対してMgが
0.05〜30質量%の範囲とする。Mgが0.05質
量%未満では高い耐食性が得られず、一方、30質量%
を超えるとめっき層が脆くなり、曲げ加工時に割れが発
生しやすくなる。
【0027】下層のFe−Al系合金層は、Fe−Zn
合金の脆い層の生成を抑制する効果を有し、めっきの加
工性を保持するのに有効である。このFe−Al系合金
層の組成は、FeとAlの総量に占めるAlの割合が4
9質量%以上であることが好ましく、この範囲を外れる
と、この層自体が脆くなる。めっき後に再加熱すると、
Alの含有量が49質量%を下回るFe−Al合金層に
変化する場合がある。例えば、Feが70〜80質量
%、Alが20〜30質量%程度の合金層は、比較的柔
軟性があり、加工性も良好であるが、Fe含有量が多い
ので耐食性は大きく劣る。
【0028】下層と上層における金属組成を個別に求め
るには、化学分析的な方法が、最も高精度で測定できて
好ましいが、各層の分離が難しく誤差が生じやすいか
ら、簡易的であるが、ビーム径が4mm程度のGDSを
用いて機器分析的手法で測定するのがよい。このFe−
Al系合金層の厚みは、全めっき厚に対して90%以下
であることが好ましい。90%を超えると、Zn−Al
−Mg系合金めっき本来の耐食性が得られないばかり
か、めっき面の光沢が損なわれるようになって、好まし
くない。
【0029】さらに、これら下層と上層を合わせた全め
っき厚みは、Znの質量に換算した付着量で100〜8
00g/m2 が好ましい。100g/m2 未満では、め
っきへの機械的な衝撃によって疵が発生しやすくなる。
一方、800g/m2 を超えると、めっき外観の均一性
が損なわれることがある。上述のようなZn−Al−M
g系合金めっきは、等辺山形鋼、不等辺山形鋼、不等辺
不等厚山形鋼、平鋼、H形鋼、I形鋼、鋼管、テーパー
管、異径管、鋼板、ボルト、ナット、座金、リベット等
の鋼材に適用することができる。もちろん、これら以外
の鋼材に用いても、なんら支障がない。そして、これら
のZn−Al−Mg系合金めっき鋼材のうち1種類以上
を部材として、柱材もしくは柱を構成する部材とするこ
ともできる。この柱を構成する部材において、上記めっ
き鋼材を一部分に用いてもよいし、全部に用いてもよ
い。
【0030】また、等辺山形鋼、不等辺山形鋼、不等辺
不等厚山形鋼、H形鋼、I形鋼、平鋼、鋼管、テーパー
管、異径管、鋼板、ボルト、ナット、座金、リベットの
うち、少なくとも1種類以上の鋼材を用いて、予め柱材
もしくは柱を構成する部材を組み上げて、その後にZn
−Al−Mg系合金めっきを施してもよい。上記Zn−
Al−Mg系合金めっきは、強アルカリ性の環境におい
ても良好な耐食性を有するので、柱の基礎のように、鋼
材の一部または全部がコンクリート等のアルカリ性材料
と接触、もしくは埋設されるような箇所に用いることも
できる。
【0031】次に、上述のZn−Al−Mg系めっきを
施すのに用いるめっき方法について説明する。まず、め
っき浴としては、Mg、Al、Znおよび不可避不純物
からなるめっき浴を用いる。浴中Mgが0.05%未満
ではZn−Mg系金属間化合物相が析出せず、7%を超
えるとZn−Mg系金属間化合物相がめっき層の50%
を超える程に析出する。また、浴中Alが0.01%未
満では、Fe−Al合金層が生成せずに、Fe−Zn合
金層が生成し、20%を超えると、Al−Zn合金相が
めっき層の80%を超える程に析出する。
【0032】これらは、前述のように、いずれも、めっ
きの耐食性や加工性を低下させる要因となるので、めっ
き浴としては、Mg:0.05〜7質量%、Al:0.
01〜20質量%をそれぞれ含有し、残部がZnおよび
不可避不純物からなるめっき浴を用いるのが好ましい。
MgとAlの含有量は、少なくとも次の2つの関係式を
同時に満足する必要がある。すなわち、 [Mg]<(7[Al]+28)/9.8 …(1) [Mg]<(25[Al]+0.4)/1.8 …(2) これらの式において、[Mg]と[Al]は、それぞ
れ、MgとAlの含有量を質量%で表したものである。
【0033】MgとAlの含有量が式(1)で規定する
範囲を外れると、めっき浴面で酸化物の生成が促進さ
れ、[Mg]が大過剰の場合には、酸化物が浴面を厚く
覆うようになって、作業効率が大きく低下することにな
る。このことは、形鋼や鋼管などのように、バッチ式で
めっきする場合に注意を要する。すなわち、線材などの
ように連続的にめっきする場合には、鋼材をめっき浴か
ら排出した直後に、付着量を調節する目的で砂浴などを
通過させるが、このとき、めっき面に付着した異物を同
時に除去することができるので、MgとAlの含有量の
関係の重要性は比較的低い。しかし、バッチ式でめっき
する場合は、異物を除去する工程を設けることが困難で
あるので、異物付着の原因となるめっき浴面の酸化物生
成には厳密な注意を要し、MgとAlの含有量の関係が
極めて重要になる。酸化物の生成を回避するには、Mg
とAlの添加量が上式の関係を満たすことが必要であ
る。
【0034】また、MgとAlの含有量が式(2)で規
定する範囲を外れると、浴面の酸化物を十分に除去して
めっきしても、そのめっき層は、時間の経過にともなっ
て広範囲に割れを生じ、剥離しやすくなる。めっき層
に、さらに、化学的および/または物理的性質を付与す
るために、浴中に、IA〜VA族に属する典型金属元
素、IB〜VIII族に属する遷移金属元素およびミッ
シュメタルのうち、1種類以上の金属を添加することも
できる。ただし、これらの添加量は、典型金属元素では
0.001〜5質量%、遷移金属元素では0.001〜
10質量%、ミッシュメタルでは0.001〜5質量%
の範囲が好ましく、この範囲を外れると、不めっき等の
外観不良や、浴温度の上昇等の不都合が発生し易い。
【0035】具体的なめっき方法は、鋼材を脱脂、酸洗
を行なった後、フラックスで前処理して、上記Zn−M
g−Al系合金浴に浸漬することによって、1段階でめ
っきする方法を採用する。ここで用いるフラックスは以
下の組成のものから選ぶとよい。すなわち、質量%で、
(フラックス−1)(1)ZnCl2 :60〜95%、
(2)アルカリ金属元素のフッ化水素化物、アルカリ土
類金属元素のフッ化水素化物、アルカリ金属元素のケイ
フッ化物、アルカリ土類金属元素のケイフッ化物のうち
1種類以上を合計で:0.1〜10%、(3)アルカリ
金属元素のフッ化物、アルカリ土類金属元素のフッ化
物、アルカリ金属元素の塩化物、アルカリ土類金属元素
の塩化物のうち1種類以上を合計で:1〜30%、およ
び、(4)Sn、Pb、In、Tl、Sb、Biの塩化
物のうち1種類以上を合計で:0.1〜10%を含有し
た組成物であり、この組成物を水に溶解または分散さ
せ、全体の濃度を10〜60(質量/容量%)に調整し
たフラックスである。
【0036】また、(フラックス−2)(1)ZnCl
2 :60〜95%、(2)アルカリ金属元素のフッ化物
またはアルカリ土類金属元素のフッ化物のうち1種類以
上を合計で:0.1〜10%、(3)アルカリ金属元素
の塩化物またはアルカリ土類金属元素の塩化物のうち1
種類以上を合計で:1〜30%を含有した組成物であ
り、この組成物を水に溶解または分散させ、全体の濃度
を10〜60(質量/容量%)に調整したフラックスを
用いてもよい。このフラックスは濃度や温度によって懸
濁液になる場合があるが、その場合は、pHを6以下に
調整するとよい。なお、Sn、Pb、In、Tl、S
b、Biの塩化物のうち1種類以上を合計で0.1〜1
0質量%添加することも可能である。これによって、め
っき性は向上するが、沈殿物を生成するために扱いにく
くなる。
【0037】フラックスの組成が上記の範囲を外れる
と、ドロス付着、不めっき、ピンホール等を多量に含ん
だ外観の劣悪なめっきとなり、実用に供することはでき
ない。めっき浴の最低温度は、めっき組成によって異な
るので一概に規定できないが、一応の目安として、42
0℃以上、好ましくは450℃以上とする。420℃未
満では、浴中のMgやAlの濃度が高い場合に、めっき
浴が凝固する場合があるので好ましくない。めっき浴温
の上限はとくに規定しないが、鋼材の強度が要求される
場合は、500℃以下が必須条件である。
【0038】また、強度が厳密に要求されない場合で
も、500℃を超えると、Fe−Al系の合金層が地鉄
/めっき界面で成長し易くなり、めっき時間によって
は、全めっき厚に占めるFe−Al合金層の厚みが90
%を超えることがあり、そのために、耐食性や表面光沢
が低下し易い。したがって、500℃を超えない温度が
好ましい。
【0039】めっき浴中への鋼材の浸漬時間は1〜60
0秒が好ましい。1秒未満では、不めっきの発生やめっ
きの密着性低下が起こる。一方、600秒を超えると、
Fe−Al系合金層の成長が促進されて、該合金層の厚
さが、前述のように、良好なめっき外観を得る上の厚み
限界800g/m2 を超える程に厚くなり易い。また、
このFe−Al系合金層の成長は、地鉄からめっき層へ
のFeの供給によるものであるので、合金層中のFeの
含有量が増加し、Al含有量は相対的に低下する。そし
て、FeとAlの総量に占めるAlの割合が49質量%
を下回るようになって、めっき層のぜい化を引き起こ
す。めっき浴中のAl濃度が低い場合には、Fe−Al
合金層の替わりにFe−Zn合金層が生成することもあ
り、このようになると耐食性は大きく低下する。
【0040】このようにしてめっきした鋼材を、めっき
層が少なくとも融点に達するまで0.1〜50℃/秒、
好ましくは、平均1〜30℃/秒の速度で冷却する。冷
却速度が0.1℃/秒未満になると、めっき浴中のAl
の添加量が多い場合には、Fe−Al系合金層が必要以
上に成長し、全めっき厚に占めるFe−Al合金層の厚
み割合が増加する。
【0041】また、Alの添加量が少ない場合には、F
e−Al系合金層のかわりにFe−Zn合金層が生成す
ることがあり、いずれにしても、耐食性の低下を招くこ
とになる。一方、冷却速度が50℃/秒を超えると、上
記Fe−Al系合金層の必要以上の成長やFe−Zn合
金層の生成は抑制されるが、同時に、上層のZn−Mg
合金相が微細化しやすくなり、とくにZn−Mg合金相
がη相である場合は隣接するη相間の距離が部分的に
0.05μを下回るようになって、やはり高い耐食性は
得られない。ところで、Fe−Al系合金層は成長がは
やいために、めっき浴の温度や浸漬時間によって、その
厚みは大きく変動する。そして、このことがめっき全体
の厚みの変動に影響をおよぼす。めっき浴中にSiを添
加すると、Fe−Al系合金層の形成が抑制されるよう
になるので、めっき厚みの管理が容易になる。Si添加
量としては、めっき浴中のAl含有量に対して10質量
%以下とする。これを超えて添加しても、めっき層中に
島状のSi相が形成されるだけで、Fe−Al系合金層
の形成抑制効果はもはや向上しない。また、Si添加量
の下限はとくに規定するものではないが、通常はめっき
浴中のAl含有量に対して0.1〜0.5質量%程度と
するのがよい。
【0042】以上のようにして製造した柱材並びに柱を
構成する部材は、そのめっき面の全面、もしくは部分的
に有機合成樹脂塗料を塗装して用いてもよい。また、部
材を組み立てる際に、部分的にめっき面に疵やはがれが
生じた場合には、その部分を塗装することが望ましい。
さらに、コンクリートとの接合部や雨水の通り道、排水
口の近傍など水が溜まり易い箇所には塗装することによ
り、さらに寿命を長くすることができる。また、本発明
では、めっき後の部材を溶接により接合した場合でも、
構造的には問題が生じない。ただし、溶接部では、めっ
きによる防食機能が確保できないために、補修の目的で
塗装をすることが望ましい。塗料としては、アクリル
系、塩化ゴム系、塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリ
エステル系など種々の市販品を用いることができるが、
腐食環境や景観等を考慮して、適切な塗料を選定する。
必要な塗膜厚は、鋼材の腐食環境等を考慮して個別に決
めることが肝要であるので、ここではとくに限定しな
い。しかし、防食性を有するためには、塗膜厚は、少な
くとも5μm以上が望ましい。
【0043】また、Zn−Mg−Al系合金めっき層と
有機合成樹脂塗膜との間にクロメート、リン酸塩、有機
ジルコニウム塩、有機チタン塩、ジルコニウム塩などの
化成処理皮膜を介在させてもよい。化成処理をおこなう
場合は、めっき面を十分に脱脂してから行なうことが好
ましい。脱脂に用いる薬液としては、揮発性のある有機
溶剤や専用の市販品を用いることができ、化成処理は、
浸漬法やスプレー法またはその他適当な方法で行なうと
よい。
【0044】
【実施例】つぎに、本発明を実施例に基づいて詳細に説
明する。 (実施例1)市販のアルカリ脱脂剤で脱脂した150×
75×1mmtの鋼板を60℃の10%硫酸中に1分間
浸漬して酸洗した後、質量%でZnCl2 :85%、N
aF:1.5%、NaCl:10%からなり、全体の濃
度を25質量/容量%に調整したフラックスに浸漬し
た。フラックスの温度は80℃、浸漬時間は5秒とし
た。浸漬後、直ちに、150℃に設定したオーブン中に
5分放置して乾燥させた。
【0045】つぎに、この鋼板を、MgとAlを任意の
濃度で含有し残部がZnからなるめっき浴(浴温度47
0℃)に30秒浸漬した。そして、めっき層が一定の厚
みになるように引き上げ速度を制御しながら鋼板を引き
上げ、200℃まで5℃/秒で空冷した後、水冷した。
めっきの厚みは、Zn付着量に換算して、いずれも、3
00〜400g/m2程度であった。めっき断面をEP
MA(面分析、1000倍)を用いて解析したところ、
めっきは2層構造を呈し、下層はAlを50〜60質量
%程度含むFe−Al合金層で、その厚さはZn付着量
換算で15g/m2 以下であった。また、上層はめっき
浴組成に応じて異なる組織形態を示した。
【0046】耐食性は、上記めっき鋼板を100×50
mmに切断し、その切断面をシール剤でシールした後、
(1)塩水噴霧試験(以下、SSTと略記する)を10
00時間、(2)乾湿繰返し試験(40℃の3%NaC
l水溶液中に16時間浸漬後、60℃オーブン中8時間
放置)を60日、(3)複合サイクル試験(純水噴霧:
4時間→70℃乾燥:4時間→49℃×95%RH:4
時間→−20℃冷凍:4時間、各モード間のインターバ
ル:2時間)を30サイクル、(4)温水浸漬試験(4
0℃純水)を2000時間、および、(5)アルカリ浸
漬試験(pH12〜13、40℃水溶液)を2000時
間、行ない、腐食減量を測定した。
【0047】また、曲げ加工性は、めっき鋼板を5mm
φの太さの棒鋼の円周方向に沿って曲げて(5T曲
げ)、その時のめっき外観を評価した。これらの試験結
果を表1に示す。この表から、めっき上層に、連続的で
あれ島状相であれ、Zn−Mg系金属間化合物相が存在
することによって耐食性が向上することがわかる。しか
し、Zn−Mg系金属間化合物相がめっき層全体に占め
る割合が体積%で50%を超えると、5T曲げによって
めっきの割れや剥離も発生しやすくなった。また、Al
−Zn合金相のめっき層全体に占める割合が80%を超
えると、耐食性は低下することがわかる。
【0048】そして、めっき上層が上述の組織を形成す
るためには、めっき浴中のMgおよびAl含有量が、そ
れぞれ、0.05〜7質量%および0.01〜20質量
%の範囲内にあればよいことも判明した。
【0049】
【表1】
【表2】 (実施例2)実施例1と同様の方法で前処理した150
×75×1mmtの鋼板を、Mg:3質量%、Al:1
0質量%を含み残部がZnからなるめっき浴に浸漬し
た。この時、めっき浴の温度、および、めっき時間を任
意に変化させた。
【0050】次いで、任意の引き上げ速度で鋼板を引き
上げ、200℃まで5℃/秒の冷却速度で空冷した後、
水冷した。このようにして作製しためっきサンプルの一
部をEPMA(1000倍、面分析)とGDSにより解
析し、層構造、金属組成等を特定した。耐食性は、上記
めっき鋼板を100×50mmに切断し、その切断面を
シール剤でシールした後、SSTを1000時間おこな
い、腐食減量を測定した。また、めっき鋼板を5mmφ
の太さの棒鋼の円周方向に沿って曲げて(5T曲げ)、
その時のめっき外観から曲げ加工性を評価した。
【0051】これらの結果を表2に示す。この表から、
めっき浴温度、めっき時間によって、下層(Fe−Al
合金層)の金属組成や厚みが変化する様子が窺われる。
そして、それによって、耐食性、曲げ加工性および外観
が変化することがわかる。すなわち、次のことがわか
る。 (1)下層のFe−Al層において、FeとAlの総量
に対するAlの占める割合が49質量%を下回ると、曲
げ加工による割れが生じ易くなり、耐食性も低下する。 (2)下層の厚みが全めっき厚に対して90%を超える
と、曲げ加工性、耐食性、外観(とくに、光沢)が低下
する。 (3)付着量(Zn換算)が100g/m2 未満では赤
錆が発生しやすくなり、一方、800g/m2 を超える
と、めっき外観が著しく損なわれる。
【0052】以上の結果から、下層としては、FeとA
lの総量に占めるAlの比率は49質量%以上であり、
その厚みは全めっき厚に対して90%以下であるのがよ
いことが判明した。そして、下層と上層の合計の厚み
は、Zn換算の付着量で100〜800g/m2 である
のがよいことも判明した。
【0053】
【表3】
【表4】 (実施例3)断面のサイズが50×50×4mm、長さ
が300mmの等辺山形鋼を、市販のアルカリ脱脂剤で
脱脂し、60℃の10%硫酸(過酸洗防止剤を0.2容
量%添加)中に、表面の酸化皮膜が完全に除去されるま
で浸漬して酸洗を行なった。
【0054】ついで、十分に水洗をおこなった後、質量
%で、ZnCl2 :85%、NaF:1.5%、NaC
l:10%およびSnCl2 :2%からなり、全体の濃
度を25質量/容量%に調整したフラックスに浸漬し
た。フラックスの温度は80℃、浸漬時間は5秒とし
た。浸漬後、直ちに、150℃に設定したオーブン中に
5分放置して乾燥させた。
【0055】次に、この等辺山形鋼を、(a)MgとA
lを、それぞれ、0.5質量%および0.2質量%含有
し残部がZnからなるめっき浴(浴温度450℃)、ま
たは、(b)MgとAlを、それぞれ、3質量%および
10質量%含有し残部がZnからなるめっき浴(浴温度
470℃)に浸漬してめっきした。また、比較のため
に、(c)Alを0.2質量%含有し残部がZnからな
るめっき浴(浴温度450℃)、および、(d)Alを
10質量%含有し残部がZnからなるめっき浴(浴温度
450℃)も用いた。浸漬時間は、いずれも100秒と
した。そして、200mm/秒の速度で鋼板を引き上
げ、200℃まで1℃/秒の冷却速度で空冷した後、水
冷した。
【0056】めっきの厚みは、サンプルの部位によって
ばらつきを生じたが、Zn付着量換算で、いづれも、4
00〜750g/m2 であった。このようにして作製し
ためっき材の両端をそれぞれ50mmずつ切り落とし
て、長さ200mmのサンプルとし、両切断端部をエポ
キシ塗料でシールした。このようなサンプルを上記
(a)〜(d)のめっき浴あたり2個づつ準備し、ボル
ト接合により連結した後、一端をコンクリート中に埋め
て、図1に示すような試験体を作製した。
【0057】なお、図1の試験体において、ボルトとナ
ットも上記(a)〜(d)のめっき浴でめっきして用い
た。また、ボルト穴は、最終的に連結試験体とすること
を考慮して事前に開けておいたものであり、穴の内面も
めっきが施されている。また、これとは別に、めっき前
にボルト接合した連結試験体を準備し、これを上記
(a)〜(d)のめっき浴でめっきした後、一端をコン
クリート中に埋めて、図1と同じ寸法・形状の試験体を
作製した。
【0058】これらの試験体について、複合サイクル試
験([SST:4時間]→[70℃乾燥:4時間]→
[49℃×95%RH:4時間]→[−20℃冷凍:4
時間]、各モード間のインターバル:2時間)を30サ
イクル行ない、外観を観察した。この結果を以下に示
す。
【0059】(1)浴(a)でめっきした試験体のう
ち、めっき後にボルト接合したものは、接合部で僅かに
赤錆が認められたが、めっきは全体的に良好であった。
ボルト接合の後にめっきしたものは、赤錆がほとんど認
められなかった。コンクリート部を破壊して、内部のめ
っき材を観察したが、腐食生成物は確認できなかった。 (2)浴(b)でめっきしたサンプルは、めっき後にボ
ルト接合したものと、ボルト接合の後にめっきしたもの
の両者において、赤錆は認められなかった。また、コン
クリート内部でも腐食生成物は確認できなかった。
【0060】(3)浴(c)でめっきした試験体は、め
っき後にボルト接合したものと、ボルト接合の後にめっ
きしたものの両者において、顕著な赤錆が認められた。
特に、ボルトとナットの腐食が激しく、めっきはほとん
ど残存していなかった。また、コンクリート内部では、
わずかながら腐食生成物が点状に確認された。 (4)浴(d)でめっきしたサンプルは、大気中にさら
された箇所については、浴(a)でめっきした試験体と
ほぼ同等の腐食状態であった。しかし、コンクリート部
上面から側面にかけて、ひび割れが認められたため、こ
れを破壊して、内部のめっき材を観察したところ、広い
範囲にわたって、黒〜黒褐色様の腐食生成物が認められ
た。
【0061】以上の結果から、本発明のめっき鋼材を用
いて構造体とした鉄鋼製品、または、予め鋼材を組んで
構造体とした後、本発明のめっきを施した鉄鋼製品は、
いずれも、優れた耐食性を示すことが判明した。そし
て、コンクリートとの複合体として用いた場合も、良好
な耐食性を発現することが判明した。(実施例4)直径
7mm、長さ200mmの鋼線を市販のアルカリ脱脂剤
で脱脂をおこない、続いて、60℃の10%硫酸で酸洗
した後、フラックス処理を行なった。フラックス処理
は、種々の組成のフラックスを試作し、10〜40質量
%水溶液(80℃)として、これに鋼線を5秒間浸漬し
て行なった。ついで、この鋼線を120℃の電気オーブ
ン中に4分間保定して、フラックスを完全に乾燥させ、
めっきに供した。
【0062】Mgを1質量%、Alを5質量%含有する
溶融Zn−Mg−Alめっき浴(450℃)に、上述の
フラックス処理を施した鋼線を30秒間浸漬してめっき
を施した。そして、200mm/秒の速度で鋼板を引き
上げ、200℃まで5℃/秒の冷却速度で空冷した後、
水冷した。めっき後の外観を、不めっき、ピンホール、
ドロス付着、凹凸等の欠陥の有無により判定した。その
結果を表3および表4に示す。
【0063】これらの表から明らかなように、本発明の
フラックスを用いると、不めっき、ピンホール、ドロス
付着、凹凸等の欠陥がなく、表面の平滑なめっきが得ら
れるが、組成が本発明の範囲を外れたフラックスを用い
ると、欠陥の発生、ないしは、めっき面の平滑性の低下
が顕著になる。
【0064】
【表5】
【表6】
【0065】
【表7】
【表8】 (実施例5)実施例1と同様の方法で前処理した150
×75×1mmtの鋼板を、MgとAlを任意の濃度で
含有し残部が実質的にZnからなる合金塊を溶解して得
ためっき浴(浴温度450〜500℃)に30秒浸漬し
た。そして、めっき層が所定の厚みになるように引き上
げ速度を制御しながら鋼板を引き上げ、200℃まで5
℃/秒で空冷した後、水冷した。
【0066】このようにして作製しためっき鋼板の外観
を目視で観察した。これらの結果を図2に示す。この図
から、Mgの含有量が増すと良好なめっきを得難くなる
ことがわかる。これは、めっき浴面に酸化物が発生し易
くなり、その結果、その酸化物がめっき面に付着して外
観が劣化する場合と、めっきに割れが発生する場合があ
る。しかし、一定量以上のAlを浴中に共存させると、
良好な外観で割れの無いめっきを容易に得ることができ
る。
【0067】このことを、MgとAlの含有量をそれぞ
れ[Mg]と[Al]として数式で表現したのが、式
(1)および式(2)である。このうち、式(1)は良
好な外観を得るための条件であり、式(2)は割れを生
じないための条件である。すなわち、[Mg]と[A
l]が、これらの式で定まる範囲内にあれば、良好なめ
っきが比較的容易に得られることが判明した。 [Mg]<(7[Al]+28)/9.8 …(1) [Mg]<(25[Al]+0.4)/1.8 …(2)
【0068】(実施例6)市販のアルカリ脱脂剤で脱脂
した150×75×1mmtの鋼板を60℃の10%硫
酸中に1分間浸漬して酸洗した。この鋼板を水洗し、フ
ラックスに浸漬した。フラックスとして、ZnCl2
215g、NaF:3.5g、NaCl:25g、およ
び、SnCl2 :5gからなる組成物を、純水1リット
ルに分散させて、全体の濃度が22.85質量/容量%
に調製したものを用いた。フラックスの温度は80℃、
浸漬時間は5秒とした。浸漬後、直ちに、150℃に設
定したオーブン中に5分放置して乾燥させた。
【0069】つぎに、上記鋼板を、(a)MgおよびA
lを、それぞれ、0.5質量%および0.2質量%含有
し残部がZnからなるめっき浴(浴温度450℃、融点
380℃)、または、(b)MgおよびAlを、それぞ
れ、3質量%および10質量%含有し残部がZnからな
るめっき浴(浴温度470℃、融点420℃)に1分間
浸漬してめっきした。
【0070】そして、200mm/秒の速度で鋼板を引
き上げ、任意の条件で冷却した。冷却過程におけるめっ
き鋼板の温度は、鋼板に取り付けた熱電対によって測定
した。めっきの付着量は、Zn換算で400〜500g
/m2 であった。めっき断面をEPMA(面分析、10
00倍)を用いて解析したところ、めっきは、Feを含
む下層と、Znを主体とした上層からなる2層構造をな
していた。
【0071】耐食性は、上記めっき鋼板を100×50
mmに切断し、その切断面をシール剤でシールした後、
SSTを500時間行ない、腐食減量を測定した。めっ
き浴(a)を用いた場合の結果を表5に、めっき浴
(b)を用いた場合の結果を表6に、それぞれ示す。こ
れらの表からわかることを要約すると、次のとおりであ
る。 (1)めっき後の鋼板の温度が融点以下になるまで大気
中で放冷した場合には、冷却速度が0.1〜50℃/秒
であると、高い耐食性が得られ易い。特に、冷却速度が
1〜30℃/秒のとき、耐食性向上効果が顕著になる。
このときのめっき断面は、Znに換算した付着量で、数
g/m2 程度以下の薄いFe−Al合金層である下層
と、Zn主体の厚い上層とからなる2層構造をなし、上
層は、Zn−Mg系金属間化合物が混在した形態を呈し
た。 (2)上記(1)の冷却方法において、冷却速度が0.
1℃/秒未満であると、耐食性は低下する。めっき断面
は、Feを含み厚さが全体の90%を超える下層と、Z
n主体の薄い上層からなる2層構造をなし、上層にMg
の混在はほとんど認められなかった。下層は、浴(a)
を用いた場合は、Fe−Zn系合金層であり、浴(b)
を用いた場合は、Fe−Al合金層であった。 (3)上記(1)の冷却方法において、冷却速度が50
℃/秒超の場合も、耐食性は低下する。この場合のめっ
き断面は、浴(a)、浴(b)とも、Znに換算した付
着量で数g/m2 程度の薄いFe−Al合金層である下
層と、微細なZn−Mg金属間化合物相が均一に分散し
たZn主体の厚い上層とからなる2層構造をなしてい
た。この上層において、隣接するZn−Mg金属間化合
物相間の距離は短く、特に、浴(b)を用いた場合は、
0.05μを下回る程に近接した箇所が頻繁に認められ
た。 (4)めっき鋼板の温度が融点以上のうちに没水して急
冷すると、めっき表面に細かい凸部が多数発生した。こ
れは、没水急冷によって生じた気泡がめっき内部に滞留
したものであり、この部分から優先的に赤錆が生じた。
【0072】以上の結果から、冷却条件によってめっき
層の構造が大きく変化し、それにともなって耐食性が変
化することがわかった。そして、高い耐食性を有するめ
っきを得るためには、めっき層が少なくとも融点に達す
るまで0.1〜50℃/秒、好ましくは、1〜30℃/
秒の速度で冷却する必要のあることが判明した。
【0073】
【表9】
【表10】
【0074】
【表11】
【表12】
【0075】(実施例7)実施例1と同様の方法で前処
理した150×75×1mmtの鋼板を、Mg:3質量
%、Al:2〜10質量%、Siを任意の割合で含み、
残部がZnからなるめっき浴にそれぞれ浸漬した。この
時、めっき浴の温度を470℃、めっき時間を5分とし
た。次いで、任意の引き上げ速度で鋼板を引き上げ、2
00℃まで5℃/秒の冷却速度で空冷した後、水冷し
た。このようにして作製しためっきサンプルの断面をE
PMA(1000倍、面分析)により観察した。めっき
は、Fe−Al合金の下層と、Zn母相中に島状のη相
が分散した上層とからなる2層構造を呈した。EPMA
の2次電子像から下層の厚みを測定した結果である。こ
の図3から、めっき浴中Al含有量に対するSi添加量
が多くなると、下層の厚みが低下することがわかる。し
かし、Al含有量に対して10質量%を超えると、ほと
んど低下しなくなる。このことから、めっき厚安定化の
ためには、Si添加量はめっき浴中Al含有量に対して
10質量%以下であればよいことが判明した。 (実施例8)板厚9mm、外径300mmの鋼管を長さ
2000mmに切断し、片側に9mmの平鋼板と補強材
を溶接し、下部の部材とした。もう一端はフランジ加工
した部材を溶接した。同一サイズのフランジ加工した鋼
管を組み合わせ、柱部材を製造した。これらの部材をボ
ルトナットとともに、市販のアルカリ脱脂剤で脱脂し、
60℃の10%硫酸中(過酸洗防止剤添加)に5分間浸
漬して酸洗した後、質量%でZnCl2 :85%、Na
F:1.5%、NaCl:10%からなり、全体の濃度
を25質量/容量%に調整したフラックスに浸漬した。
フラックスの温度は80℃、浸漬時間は約30秒とし
た。浸漬後、直ちに、温風により乾燥させた。これを、
Mgが3質量%およびAlを10質量%、Siを0.5
質量%含有し、残部がZnからなり浴温度を470℃に
設定しためっき浴中に約5分間浸漬した。引き上げ後、
80℃の温水に浸漬し、冷却してめっき部材を製造し
た。これを海岸部の護岸コンクリートにスタッドボルト
を立てて設置し、柱材の暴露試験体を製造した。比較の
ために、亜鉛めっきで製造した同位置部材も暴露した
が、約1.5年間の暴露試験で、亜鉛めっき部材は一
部、鉄亜鉛合金層の腐食による赤っぽい外観を呈するよ
うになったが、本発明のZn−Mg−Al合金は金属光
沢のままであり、その耐食性の高さが実証できた。 (実施例9)板厚6mmの鋼板を最大外径が150mm
の管状に加工して端部を溶接し、長さ5mのテーパー鋼
管を作製した。これを実施例8に示した条件でめっき処
理し、めっき鋼管柱を作製した。あわせて、鋼管頭部の
部材と配線用の電線を設置するための枝材、並びに接合
用のボルトナットを同一のめっき条件で作製した。これ
らを1m深さで経500mmの掘削穴中に立て込み、モ
ルタルで固めて、鋼管柱とした。鋼管柱上部は鋼管頭部
部材と配線用部材をめっき後に現場にて溶接し、その後
グラインダーで研削後、ジンクリッチペイントで塗装し
た。その外観形状を図4に示す。立て込み後、9ヶ月経
過後も外観の変化は認められず、本発明によるめっき材
が実部材での適用に向いており、現場での溶接と補修に
も適していることが明確になった。
【0076】
【発明の効果】本発明の亜鉛合金めっき製柱材は、溶融
Zn−Mg−Al系合金めっきを施したものである。こ
のめっき層は2層構造をなし、下層はFe−Al系合金
層であり、上層はZnを主体とした層である。この上層
にはZn−Mg金属間化合物(MgZn2 、Mg2Zn
11)相が混在する。このめっきを施すことにより、海岸
地域などの塩化物イオン濃度が高い環境から河川、山間
地などの塩化物イオン濃度が低い環境、さらには、強ア
ルカリ環境に至る広い腐食環境に耐え得る優れた耐食性
を鉄鋼製品に付与することができる。そして、上記鋼製
柱部材は、特に、照明用鉄柱や架線用鉄柱として長期間
使用することができる。
【0077】さらに、本発明に含まれるめっき浴、フラ
ックス、および、めっき方法を用いることによって、上
記の鋼製柱部材を、品質管理が容易で経済的にも有利な
1段階の乾式どぶづけ法により製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3で用いた試験体を示す図である。
【図2】めっき浴中のAlとMgの含有量が、めっきに
及ぼす影響を示す図である。
【図3】めっき浴中Al含有量に対するSi添加量が、
Fe−Al合金層の厚みに及ぼす影響を示す図である。
【図4】実施例9で製造した柱の外観を示す図である。
【符号の説明】
1…等辺山形鋼(50×50×4mmt) 2…等辺山形鋼(50×50×4mmt) 3…ボルト 4…コンクリート 5…コンクリート 6…めっき後のテーパー鋼管(6mm厚、最大150m
m径) 7…めっき後のボルト・ナット 8…めっき後の鋼管頭部部材 9…めっき後の配線用枝材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮坂 明博 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 Fターム(参考) 4K027 AA05 AA07 AA08 AA12 AA15 AA22 AB05 AB14 AB32 AB35 AB44 AC03 AC72

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼製の柱もしくは柱を構成する部材の表
    面に、ZnとMgとAlを主成分とするめっき層を有
    し、そのめっき層の中にZn−Mg系の金属間化合物相
    が存在し、Zn−Mg系の金属間化合物相のめっき層全
    体に占める割合が体積%で50%以下であることを特徴
    とする亜鉛合金めっき製柱材。
  2. 【請求項2】 前記ZnとMgとAlを主成分とするめ
    っき層において、Zn−Mg系の金属間化合物がθ(M
    2Zn11)相であり、Zn粒界に沿って連続的な相をな
    していることを特徴とする請求項1に記載の亜鉛合金め
    っき製柱材。
  3. 【請求項3】 前記ZnとMgとAlを主成分とするめ
    っき層において、Zn−Mg系の金属間化合物がη(M
    gZn2 )相であり、島状の相をなし、隣接するη相間
    の距離が0.05μ以上であることを特徴とする請求項
    1に記載の亜鉛合金めっき製柱材。
  4. 【請求項4】 前記ZnとMgとAlを主成分とするめ
    っき層において、Al−Zn合金相が樹枝状または島状
    の相をなし、Al−Zn合金相のめっき層全体に占める
    割合が体積%で80%以下であることを特徴とする請求
    項3に記載の亜鉛合金めっき製柱材。
  5. 【請求項5】 前記ZnとMgとAlを主成分とするめ
    っき層において、鋼材表面の直上に、少なくともFeと
    Alを含有し、FeとAlの総量に占めるAlの比率が
    49質量%以上である下層と、その上に、少なくともZ
    nとMgを含有する上層とによって構成される2層構造
    を呈し、下層の厚みが全めっき厚に対して90%以下で
    あり、下層と上層の合計の厚みがZn換算の付着量で1
    00〜800g/m2 であることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれか1項に記載の亜鉛合金めっき製柱材。
  6. 【請求項6】 前記鋼製の柱が、等辺山形鋼、不等辺山
    形鋼、不等辺不等厚山形鋼、平鋼、H形鋼、I形鋼、鋼
    管、テーパー管、異径管、鋼板、並びに、これらを変形
    加工、さらには接合し、いくつかを組み合わせて作製し
    た鋼製柱材であることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れか1項に記載の亜鉛合金めっき製柱材。
  7. 【請求項7】 前記柱を構成する部材が、等辺山形鋼、
    不等辺山形鋼、不等辺不等厚山形鋼、平鋼、H形鋼、I
    形鋼、鋼管、テーパー管、異径管、鋼板、ボルト、ナッ
    ト、座金、リベット、並びに、これらを変形加工、さら
    には接合し、いくつかを組み合わせて作製した鋼製部材
    であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載
    の亜鉛合金めっき製柱材。
  8. 【請求項8】 前記鋼製柱材および鋼製部材が、そのめ
    っき面全体、もしくは部分的に有機被膜で塗装されたも
    のであることを特徴とする請求項6または7のいずれか
    1項に記載の亜鉛合金めっき製柱材。
  9. 【請求項9】 めっき面の一部または全部がコンクリー
    トと接触した部位を有することを特徴とする請求項6〜
    8のいずれか1項に記載の亜鉛合金めっき製柱材。
  10. 【請求項10】 質量%で、ZnCl2 を60〜95
    %、アルカリ金属元素もしくはアルカリ土類金属元素の
    フッ化水素化物またはケイフッ化物のいずれか1種類以
    上を合計で0.1〜10%、アルカリ金属元素もしくは
    アルカリ土類金属元素のフッ化物または塩化物のいずれ
    か1種類以上を合計で1〜30%、および、Sn、P
    b、In、Tl、SbまたはBiの塩化物のいずれか1
    種類以上を合計で0.1〜10%を含有し、全体の濃度
    が10〜60(質量/容量%)であることを特徴とする
    フラックス。
  11. 【請求項11】 質量%で、ZnCl2 を60〜95
    %、アルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素のフ
    ッ化物のいずれか1種類以上を合計で0.1〜10%、
    アルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素の塩化物
    のいずれか1種類以上を合計で1〜30%を含有し、全
    体の濃度が10〜60(質量/容量%)であることを特
    徴とするフラックス。
  12. 【請求項12】 鋼材表面を脱脂、酸洗した後、該鋼材
    を、請求項10または11に記載のフラックスに浸漬
    し、次いで、鋼材表面に付着したフラックスを乾燥した
    後、質量%でMg:0.05〜7%、Al:0.01〜
    20%含有し、残部がZnと不可避的不純物からなり、
    Mgの含有量([Mg])とAlの含有量([Al])
    が、質量%で、 [Mg]<(7[Al]+28)/9.8 および [Mg]<(25[Al]+0.4)/1.8 の関係を同時に満たす溶融めっき浴に浸漬し、その後
    に、該鋼材を、鋼材表面の温度が少なくともめっき層の
    融点に到達するまで、0.1〜50℃/秒の速度で冷却
    することを特徴とする亜鉛合金めっき製柱材の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 前記溶融めっき浴において、Al含有
    量に対して10質量%以下のSiを添加した溶融めっき
    浴を用いることを特徴とする請求項12に記載の亜鉛合
    金めっき製柱材の製造方法。
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