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JP2002167472A - 水素添加ゴム組成物 - Google Patents

水素添加ゴム組成物

Info

Publication number
JP2002167472A
JP2002167472A JP2000364088A JP2000364088A JP2002167472A JP 2002167472 A JP2002167472 A JP 2002167472A JP 2000364088 A JP2000364088 A JP 2000364088A JP 2000364088 A JP2000364088 A JP 2000364088A JP 2002167472 A JP2002167472 A JP 2002167472A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrogenated
rubber
weight
hydrogenated rubber
aromatic vinyl
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000364088A
Other languages
English (en)
Inventor
Hajime Nishihara
一 西原
Takeshi Yasui
武 安井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2000364088A priority Critical patent/JP2002167472A/ja
Publication of JP2002167472A publication Critical patent/JP2002167472A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 外観、熱・光安定性、耐傷つき性、耐油性及
び機械的強度に優れた水素添加ゴム組成物の提供。 【解決手段】 少なくとも一種の共役ジエン系単量体の
単独重合体ゴム、または共役ジエン系単量体と芳香族ビ
ニル単量体からなるランダム共重合体ゴムの全二重結合
の水素添加率が50%以上である水素添加ゴムであっ
て、芳香族ビニル単量体が5重量%未満である水素添加
ゴム(A)と芳香族ビニル単量体が5重量%以上、90
重量%以下である水素添加ゴム(B)とからなる水素添
加ゴムと、(C)熱可塑性樹脂とからなる、架橋された
水素添加ゴム組成物であり、かつ水素添加ゴム(B)中
の芳香族ビニル単量体と水素添加ゴム(A)中の芳香族
ビニル単量体の差が5重量%以上である水素添加ゴム組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素添加ゴム組成
物に関するものである。更に詳しくは、外観、熱・光安
定性、耐傷つき性、耐油性及び機械的強度に優れた水素
添加ゴム組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ラジカル架橋性エラストマーとPP等の
ラジカル架橋性のない樹脂とをラジカル開始剤の存在
下、押出機中で溶融混練させながら架橋する、いわゆる
動的架橋による熱可塑性エラストマー組成物は、既に公
知の技術であり、自動車部品等の用途に広く使用されて
いる。
【0003】このようなゴム系組成物として、エチレン
−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)により製造され
たオレフィン系エラストマー(特開平8−120127
号公報、特開平9−137001号公報)を用いる動的
架橋技術が知られているが、耐傷つき性に劣り、必ずし
も市場では満足されていない。
【0004】一方、飽和ゴムを用いた動的架橋技術とし
て例えば、オレフィン系共重合ゴムを主体に、水添ジエ
ン系ゴムを補助的に使用し、更に結晶性α−オレフィン
系重合体、エチレン系重合体、軟化剤を配合した動的架
橋エラストマー組成物(特開平9−302156号公
報)、ポリオレフィン系樹脂、共役ジエン−芳香族ビニ
ル単量体のランダム共重合体またはブロック共重合体を
架橋剤の存在下に溶融混合して得られた熱可塑性エラス
トマー組成物(特開平3−2240号公報)が知られて
いる。
【0005】しかし、上記組成物は機械的強度、耐傷つ
き性、外観及び熱・光安定性が必ずしも充分でないため
に、実用的使用に耐えるゴム組成物が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち熱・光安
定性、耐傷つき性及び機械的強度に優れたゴム組成物を
提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等はゴム組成物
の改良を鋭意検討した結果、特定の架橋性ゴム系重合体
を複数個組み合わせることにより、驚くべきことに熱・
光安定性、耐傷つき性、耐油性及び機械的強度が飛躍的
に向上する事を見出した。
【0008】即ち本発明は、少なくとも一種の共役ジエ
ン系単量体の単独重合体ゴム、または共役ジエン系単量
体と芳香族ビニル単量体からなるランダム共重合体ゴム
の全二重結合の水素添加率が50%以上である水素添加
ゴムであって、芳香族ビニル単量体が5重量%未満であ
る水素添加ゴム(A)と芳香族ビニル単量体が5重量%
以上、90重量%以下である水素添加ゴム(B)とから
なる水素添加ゴムと、(C)熱可塑性樹脂とからなる、
架橋された水素添加ゴム組成物であり、かつ水素添加ゴ
ム(B)中の芳香族ビニル単量体と水素添加ゴム(A)
中の芳香族ビニル単量体の差が5重量%以上であること
を特徴とする水素添加ゴム組成物を提供するものであ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関して詳しく述べ
る。
【0010】本発明の組成物は、(A)(B)の特定の
架橋性ゴム系重合体二種と(C)熱可塑性樹脂とを架橋
してなるゴム組成物である。
【0011】ここで、水素添加ゴム(A)及び(B)は
主鎖および側鎖に二重結合を有する重合体及び/または
ランダム共重合体からなる不飽和ゴムの全二重結合の5
0%以上が水素添加されていることが重要である。水素
添加率が50%未満では熱安定性、光安定性が低下す
る。
【0012】また、水素添加後のエチレンの連鎖構造は
ランダムであることが好ましく、その指標として、示差
走査熱量測定法(DSC法)において、結晶化ピーク熱
量が100J/g以下であることが好ましく、更に好ま
しくは50J/g以下である。特に水素添加ゴムがブロ
ック共重合体である場合、例えば芳香族ビニルブロック
単位と水素添加された共役ジエンブロック単位からなる
場合は、芳香族ビニルブロック単位のために架橋反応が
抑制され、得られたエラストマー組成物の機械的強度が
劣る。また水素添加された共役ジエンの中で、連続した
エチレン連鎖が存在する場合には、架橋反応が急激に進
行し、架橋ゴムの凝集が発生するために得られたエラス
トマー組成物の外観及び機械的強度が著しく低下する。
【0013】そして、異なった構造の水素添加ゴム
(A)と(B)が同時に架橋反応の際に存在することが
重要である。複数個の水素添加ゴムの存在により、両者
の相互作用が発現し、熱・光安定性、耐傷つき性、耐油
性及び機械的強度が飛躍的に向上する事を見出し、本発
明を完成した。
【0014】以下に本発明の各成分について詳細に説明
する。
【0015】本発明において、(A)水素添加ゴムは、
主鎖および側鎖に二重結合を有する、共役ジエン単独重
合体、または芳香族ビニル単量体が5重量%未満である
共役ジエン系単量体と芳香族ビニル単量体とのランダム
共重合体の水素添加ゴムであり、必要に応じて、例え
ば、オレフィン系、メタクリル酸エステル系、アクリル
酸エステル系、不飽和ニトリル系、塩化ビニル系単量体
等を添加することができる。
【0016】(A)水素添加ゴム中の芳香族ビニル単量
体は、5重量%未満が好ましく、更に好ましくは0〜3
重量%、最も好ましくは0重量%である。
【0017】上記(A)水素添加ゴム中の全二重結合
は、50%以上、好ましくは90%以上、更に好ましく
は95%以上が水素添加され、そして主鎖の残存二重結
合が5%以下、側鎖の残存二重結合が5%以下であるこ
とが好ましい。このようなゴムの具体例としては、ポリ
ブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等のジ
エン系ゴムを部分的または完全に水素添加したゴム状重
合体を挙げることができ、特に水素添加ブタジエン系ま
たは水素添加イソプレン系ゴムが好ましい。
【0018】本発明において、(B)水素添加ゴムは、
主鎖および側鎖に二重結合を有する、芳香族ビニル単量
体が5重量%以上、90重量%以下である、少なくとも
一種の共役ジエン系単量体と芳香族ビニル単量体とのラ
ンダム共重合体であり、必要に応じて、例えば、オレフ
ィン系、メタクリル酸エステル系、アクリル酸エステル
系、不飽和ニトリル系、塩化ビニル系単量体等を含有し
たランダム共重合体の水素添加ゴムである。
【0019】上記(B)水素添加ゴム中の全二重結合
は、50%以上、好ましくは90%以上、更に好ましく
は95%以上が水素添加され、そして主鎖の残存二重結
合が5%以下、側鎖の残存二重結合が5%以下であるこ
とが好ましい。このようなゴムの具体例として、ポリ
(スチレン−ブタジエン)が最も好ましい。
【0020】(B)水素添加ゴム中の芳香族ビニル単量
体は、5〜90重量%が好ましく、更に好ましくは5〜
60重量%、最も好ましくは10〜50重量%である。
【0021】このような水素添加ゴム(A)(B)は、
上述のゴムを公知の水素添加方法で部分水素添加するこ
とにより得られる。例えば、F.L.Ramp,eta
l,J.Amer.Chem.Soc.,83,467
2(1961)記載のトリイソブチルボラン触媒を用い
て水素添加する方法、Hung Yu Chen,J.
Polym.Sci.Polym.Letter E
d.,15,271(1977)記載のトルエンスルフ
ォニルヒドラジドを用いて水素添加する方法、あるいは
特公昭42−8704号公報に記載の有機コバルト−有
機アルミニュウム系触媒あるいは有機ニッケル−有機ア
ルミニュウム系触媒を用いて水素添加する方法等を挙げ
ることができる。ここで、特に好ましい水素添加の方法
は、低温、低圧の温和な条件下で水素添加が可能な触媒
を用いる特開昭59−133203号、特開昭60−2
20147号公報あるいは不活性有機溶媒中にて、ビス
(シクロペンタジエニル)チタニウム化合物と、ナトリ
ウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子またはセシウ
ム原子を有する炭化水素化合物とからなる触媒の存在下
に水素と接触させる特開昭62−207303号公報に
示される方法である。
【0022】また、水素添加ゴム(A)(B)の100
℃で測定したムーニー粘度(ML)は20〜90、25
℃における5重量%スチレン溶液粘度(5%SV)は、
20〜300センチポイズ(cps)の範囲にあること
が好ましい。特に好ましい範囲は25〜150cpsで
ある。
【0023】そして、水素添加ゴム(B)中の芳香族ビ
ニル単量体と水素添加ゴム(A)中の芳香族ビニル単量
体の差が5重量%以上でなければならない。5重量%未
満の場合は、水素添加ゴム(A)(B)が相溶し、本発
明の相乗効果が発現しない。
【0024】更には、水素添加ゴム(A)(B)の結晶
性の指標である結晶化ピーク熱量の制御は、テトラヒド
ロフラン等の極性化合物の添加または重合温度の制御に
より行う。結晶化ピーク熱量の低下は、極性化合物を増
量するか、または重合温度を低下させて、1,2−ビニ
ル結合を増大させることにより達成される。
【0025】水素添加ゴム(A)と(B)からなる重合
体中の(B)水素添加ゴムの含有量は、1〜99重量%
が好ましく、更に好ましくは10〜99重量%、最も好
ましくは20〜80重量%である。
【0026】本発明において(C)熱可塑性樹脂は、水
素添加ゴム(A)(B)と均一分散し得るものであれば
とくに制限はない。たとえば、ポリスチレン系、ポリフ
ェニレンエーテル系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニ
ル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリフェニレン
スルフィド系、ポリカーボネート系、ポリメタクリレー
ト系等の単独もしくは二種以上を混合したものを使用す
ることができる。特に熱可塑性樹脂としてプロピレン系
樹脂等のオレフィン系樹脂が好ましい。
【0027】本発明で最も好適に使用されるプロピレン
系樹脂を具体的に示すと、ホモのアイソタクチックポリ
プロピレン、プロピレンとエチレン、ブテン−1、ペン
テン−1、ヘキセン−1等の他のα−オレフィンとのア
イソタクチック共重合樹脂(ブロック、ランダムを含
む)等が挙げられる。
【0028】本発明において、(C)熱可塑性樹脂の中
でも、(C−1)エチレンとプロピレンとのランダム共
重合樹脂等のプロピレン系ランダム共重合樹脂単独また
は、(C−1)プロピレン系ランダム共重合樹脂と(C
−2)プロピレン系ブロック共重合樹脂またはホモポリ
プロピレン系樹脂との組み合わせが好ましい。このよう
な架橋型オレフィン系樹脂と分解型オレフィン系樹脂の
二種のオレフィン系樹脂を組み合わせることにより、外
観と機械的強度が更に向上する。
【0029】(C−1)プロピレン系ランダム共重合樹
脂として、例えばエチレンとプロピレンのランダム共重
合樹脂を挙げることができ、エチレン成分がポリマー主
鎖中に存在する場合は、それが架橋反応の架橋点とな
り、架橋型オレフィン系樹脂の特性を示す。
【0030】(C−2)プロピレン系ブロック共重合樹
脂またはホモポリプロピレン系樹脂はα−オレフィンが
主成分であり、ポリマー主鎖中にエチレン単位を含まな
いことが好ましい。但し、プロピレン系ブロック共重合
樹脂のようにエチレン−αオレフィン共重合体が分散相
として存在する場合は、分解型オレフィン系樹脂の特性
を示す。
【0031】(C)熱可塑性樹脂は複数個の(C−1)
プロピレン系ランダム共重合樹脂、(C−2)プロピレ
ン系ブロック共重合樹脂またはホモポリプロピレン系樹
脂の組み合わせでも良い。
【0032】(C−1)プロピレン系ランダム共重合樹
脂の中で最も好ましいプロピレンを主体としたα−オレ
フィンとのランダム共重合樹脂は、高圧法、スラリー
法、気相法、塊状法、溶液法等で製造することができ、
重合触媒としてZiegler−Natta触媒、シン
グルサイト、メタロセン触媒が好ましい。特に狭い組成
分布、分子量分布が要求される場合には、メタロセン触
媒を用いたランダム共重合法が好ましい。
【0033】ランダム共重合樹脂の具体的製造法は、欧
州特許0969043A1または米国特許519840
1に開示されており、液状プロピレンを攪拌機付き反応
器に導入した後に、触媒をノズルから気相または液相に
添加する。次いで、エチレンガスまたはα−オレフィン
を反応器の気相または液相に導入し、反応温度、反応圧
力をプロピレンが還流する条件に制御する。重合速度は
触媒濃度、反応温度で制御し、共重合組成はエチレンま
たはα−オレフィンの添加量により制御する。
【0034】また、本発明にて(C)熱可塑性樹脂とし
て好適に用いられるオレフィン系樹脂のメルトインデッ
クスは、0.1〜100g/10分(230℃、2.1
6kg荷重)の範囲のものが好ましく用いられる。10
0g/10分を越えると、熱可塑性エラストマー組成物
の耐熱性、機械的強度が不十分となる傾向にあり、また
0.1g/10分より小さいと流動性が悪く、成形加工
性が低下する傾向にある。
【0035】本発明において、水素添加ゴム(A)及び
(B)からなる重合体100重量部に対して、(C)熱
可塑性樹脂は、1〜1000重量部の組成比で用いられ
る。好ましくは5〜500重量部、更に好ましくは10
〜100重量部である。1重量部未満では組成物の流動
性、加工性が低下傾向にあり、一方、1000重量部を
越えると組成物の柔軟性が低下傾向にある。
【0036】本発明の水素添加ゴム組成物は、(D)架
橋剤で架橋されることが好ましい。(D)架橋剤は、
(D−1)架橋開始剤を必須成分とし、必要に応じて
(D−2)多官能単量体、(D−3)単官能単量体を含
有する。
【0037】上記(D)架橋剤は、水素添加ゴム(A)
及び(B)100重量部に対し0.01〜10重量部、
好ましくは0.05〜3重量部の量で用いられる。0.
01重量部未満では架橋が不十分となる傾向にあり、1
0重量部を越えると組成物の外観、機械的強度が低下す
る傾向にある。
【0038】ここで、(D−1)架橋開始剤は、有機過
酸化物、有機アゾ化合物等のラジカル開始剤等が挙げら
れ、具体的な例として、1,1−ビス(t−ブチルパー
オキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキ
シルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−
ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t
−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス
(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,
4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル
−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等
のパーオキシケタール類;ジ−t−ブチルパーオキサイ
ド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオ
キサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m
−イソプロピル)ベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメ
チル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
および2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド
類を挙げることができる。
【0039】また、アセチルパーオキサイド、イソブチ
リルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デ
カノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、
3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、
ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイ
ルパーオキサイドおよびm−トリオイルパーオキサイド
等のジアシルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシ
アセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t
−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−
ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシ
ベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレー
ト、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオ
キシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t
−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、および
クミルパーオキシオクテート等のパーオキシエステル類
を挙げることができる。
【0040】さらに、t−ブチルハイドロパーオキサイ
ド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベ
ンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキ
サン−2,5−ジハイドロパーオキサイドおよび1,
1,3,3−テトラメチルブチルパーオキサイド等のハ
イドロパーオキサイド類を挙げることができる。
【0041】これらの化合物の中では、1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミ
ルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメ
チル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン
−3が好ましい。
【0042】上記(D−1)架橋開始剤は、(D)架橋
剤成分中で好ましくは1〜80重量%、更に好ましくは
10〜50重量%の量が用いられる。1重量%未満では
架橋が不十分である傾向にあり、80重量%を越えると
機械的強度が低下する傾向にある。
【0043】本発明において、(D)架橋剤の一つの
(D−2)多官能単量体は、官能基としてラジカル重合
性の官能基が好ましく、とりわけビニル基がこのまし
い。官能基の数は2以上であるが、(D−3)単官能単
量体との組み合わせで特に3個以上の官能基を有する場
合には有効である。具体例としては、ジビニルベンゼ
ン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレ
ート、ダイアセトンジアクリルアミド、ポリエチレング
リコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコ
ールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタク
リレート、ジイソプロペニルベンゼン、P−キノンジオ
キシム、P,P’−ジベンゾイルキノンジオキシム、フ
ェニルマレイミド、アリルメタクリレート、N,N’−
m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、
テトラアリルオキシエタン、1,2−ポリブタジエン等
が好ましく用いられる。特にトリアリルイソシアヌレー
トが好ましい。これらの多官能単量体は複数のものを併
用して用いてもよい。
【0044】上記(D−2)多官能単量体は、(D)架
橋剤成分中で好ましくは1〜80重量%、更に好ましく
は10〜50重量%の量が用いられる。1重量%未満で
は架橋が不十分である傾向にあり、80重量%を越える
と機械的強度が低下する傾向にある。
【0045】本発明において用いられる前記(D−3)
単官能単量体は、架橋反応速度を制御するために加える
ビニル系単量体であり、ラジカル重合性のビニル系単量
体が好ましく、芳香族ビニル単量体、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体、ア
クリル酸エステル単量体、メタクリル酸エステル単量
体、アクリル酸単量体、メタクリル酸単量体、無水マレ
イン酸単量体、N−置換マレイミド単量体等を挙げるこ
とができる。
【0046】上記(D−3)単官能単量体は、(D)架
橋剤成分中で好ましくは1〜80重量%、更に好ましく
は10〜50重量%の量が用いられる。1重量%未満で
は架橋が不十分である傾向にあり、80重量%を越える
と機械的強度が低下する傾向にある。
【0047】本発明においては、水素添加ゴム組成物の
加工性を向上させるために、必要に応じて、(E)軟化
剤を配合することができる。
【0048】上記(E)軟化剤は、パラフィン系、ナフ
テン系などのプロセスオイルが好ましい。これらは組成
物の硬度、柔軟性の調整用に、水素添加ゴム(A)及び
(B)100重量部に対して、5〜500重量部、好ま
しくは10〜150重量部用いる。5重量部未満では柔
軟性、加工性が不足する傾向にあり、500重量部を越
えるとオイルのブリードが顕著となる傾向にある。
【0049】本発明において、必要に応じて水素添加ゴ
ム(A)(B)以外のゴム状重合体を配合することがで
きる。このようなゴム状重合体は、例えば、エチレンと
炭素数3〜20のα−オレフィンを含有するエチレンと
α−オレフィンの共重合体であり、炭素数3〜20のα
−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン−
1、ペンテン−1、オクテン−1等が挙げられる。この
ようなエチレン・α−オレフィン共重合体は、公知のメ
タロセン系触媒を用いて製造することが好ましい。
【0050】本発明において、必要に応じて配合できる
水素添加ゴム(A)(B)以外のゴム状重合体として、
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましく、芳香
族ビニル単位と共役ジエン単位からなるブロック共重合
体、または上記共役ジエン単位部分が部分的に水素添加
またはエポキシ変性されたブロック共重合体等が挙げら
れる。
【0051】上記ブロック共重合体を構成する芳香族ビ
ニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブ
ロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であ
り、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記
他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0052】また、上記ブロック共重合体を構成する共
役ジエン単量体は、1,3−ブタジエン、イソプレン等
を挙げることができる。
【0053】そして、ブロック共重合体のブロック構造
は、芳香族ビニル単位からなる重合体ブロックをSで表
示し、共役ジエン及び/またはその部分的に水素添加さ
れた単位からなる重合体ブロックをBで表示する場合、
SB、S(BS)n、(但し、nは1〜3の整数)、S
(BSB)n、(但し、nは1〜2の整数)のリニア−
ブロック共重合体や、(SB)nX(但し、nは3〜6
の整数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ
化合物等のカップリング剤残基。)で示され、B部分を
結合中心とする星状(スター)ブロック共重合体である
ことが好ましい。なかでもSBの2型、SBSの3型、
SBSBの4型のリニアーブロック共重合体が好まし
い。
【0054】また、本発明の組成物には、その特徴を損
ねない程度に無機フィラーおよび可塑剤を含有すること
が可能である。ここで用いる無機フィラーとしては、例
えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、カ
ーボンブラック、ガラス繊維、酸化チタン、クレー、マ
イカ、タルク、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウ
ム等が挙げられる。また、可塑剤としては、例えば、ポ
リエチレングリコール、ジオクチルフタレート(DO
P)等のフタル酸エステル等が挙げられる。また、その
他の添加剤、例えば、有機・無機顔料、熱安定剤、酸化
防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、シリコンオ
イル、アンチブロッキング剤、発泡剤、帯電防止剤、抗
菌剤等も好適に使用される。
【0055】本発明の組成物の製造には、通常の樹脂組
成物、エラストマー組成物の製造に用いられるバンバリ
ーミキサー、ニーダー、単軸押出機、2軸押出機、等の
一般的な方法を採用することが可能である。とりわけ効
率的に動的架橋を達成するためには2軸押出機が好まし
く用いられる。2軸押出機は、水素添加ゴム(A)と
(B)とを均一かつ微細に分散させ、さらに他の成分を
添加させて、架橋反応を生じせしめ、本発明の組成物を
連続的に製造するのに、より適している。
【0056】本発明の組成物は、好適な具体例として、
次のような加工工程を経由して製造することができる。
すなわち、水素添加ゴム(A)、(B)及び(C)熱可
塑性樹脂とをよく混合し、押出機のホッパーに投入す
る。架橋剤(D)を、水素添加ゴム(A)、(B)及び
(C)熱可塑性樹脂とともに当初から添加してもよい
し、押出機の途中から添加してもよい。また(E)軟化
剤を押出機の途中から添加してもよいし、当初と途中と
に分けて添加してもよい。水素添加ゴム(A)、(B)
及び(C)熱可塑性樹脂の一部を押出機の途中から添加
してもよい。押出機内で加熱溶融し混練される際に、前
記水素添加ゴム(A)及び(B)と(D)架橋剤とが架
橋反応し、さらに(E)軟化剤等を添加して溶融混練す
ることにより架橋反応と混練分散とを充分させたのち押
出機から取り出すことにより、本発明の組成物のペレッ
トを得ることができる。
【0057】また特に好ましい溶融押出法としては、原
料添加部を基点としてダイ方向に長さLを有し、かつL
/Dが5から100(但しDはバレル直径)である二軸
押出機を用いる場合である。二軸押出機は、その先端部
からの距離を異にするメインフィード部とサイドフィー
ド部の複数箇所の供給用部を有し、複数の上記供給用部
の間及び上記先端部と上記先端部から近い距離の供給用
部との間にニーディング部分を有し、上記ニーディング
部分の長さが、それぞれ3D〜10Dであることが好ま
しい。
【0058】また本発明において用いられる製造装置の
一つの二軸押出機は、二軸同方向回転押出機でも、二軸
異方向回転押出機でもよい。また、スクリューの噛み合
わせについては、非噛み合わせ型、部分噛み合わせ型、
完全噛み合わせ型があり、いづれの型でもよい。低いせ
ん断力をかけて低温で均一な樹脂を得る場合には、異方
向回転・部分噛み合わせ型スクリューが好ましい。やや
大きい混練を要する場合には、同方向回転・完全噛み合
わせ型スクリューが好ましい。さらに大きい混練を要す
る場合には、同方向回転・完全噛み合わせ型スクリュー
が好ましい。
【0059】本発明において、特に外観と機械的強度の
向上のためには、水素添加ゴム(A)(B)及び(C)
熱可塑性樹脂からなる組成物のモルフォロジーも重要で
あり、水素添加ゴム(A)及び(B)成分が独立粒子と
して存在し、かつ(C)熱可塑性樹脂が連続相となるこ
とが必要であり、そのためには、例えば、高せん断力下
で、かつ架橋速度を抑制することが重要である。具体的
には、(D−1)架橋開始剤または架橋助剤を減量し、
かつ(D−1)架橋開始剤の分解温度以上の、できるだ
け低温・長時間反応を行うことにより達成される。また
架橋助剤として(D−2)多官能単量体と(D−3)単
官能単量体の併用によっても達成することができる。
(D−1)架橋開始剤、架橋助剤の過度の添加、また
は、過度に高活性な(D−1)架橋開始剤、架橋助剤、
または高温反応条件は、ゴム状重合体の凝集が発生し、
本発明の要件を満足しない。そして、水素添加ゴム
(A)及び(B)に前もって少量(E)軟化剤を吸収さ
せながら、(D−1)架橋開始剤、架橋助剤を水素添加
ゴム(A)及び(B)に配合する事により、架橋反応が
穏和に進行するために、小粒子で均一粒子を生成させる
ことができる。
【0060】優れた外観と機械的強度の向上を達成する
製造方法として、以下の混練度を満足することがより好
ましい。 M=(π2/2)(L/D)D3(N/Q) 10×106≦M≦1000×106 但し、L:原料添加部を基点としてダイ方向の押出機長
(mm)、D:押出機バレル内径(mm)、Q:吐出量
(kg/h)、N:スクリュー回転数(rpm)
【0061】Mが10×106未満ではゴム粒子が肥大
化、凝集するために外観が低下する傾向にあり、一方M
が1000×106を越えると過度のせん断力のため
に、機械的強度が低下する傾向にある。
【0062】そして、更に良好な外観と機械的強度を達
成するためには、以下の関係式の溶融温度を満足するこ
とが好ましい。即ち、溶融温度T2(℃)で、まず溶融
混練し、次いで溶融温度T3(℃)で溶融混練し、とり
わけ原料添加口を基点としてダイ方向に長さLを有する
溶融押出機において、原料添加口から0.1L〜0.5
Lの長さの押出機ゾーンを溶融温度T2(℃)で、まず
溶融混練し、次いでその後の押出機ゾーンを溶融温度T
3(℃)で溶融混練する。
【0063】ここで、特にT1が150〜250℃であ
ることが好ましく、溶融押出機の各ゾーンのT2または
3は均一温度であっても良いし、または温度勾配を有
していても良い。 T1:(D)架橋剤の1分間半減期温度(℃) T1−100<T2<T1+40 T2+1<T3<T2+200
【0064】こうして得られたゴム系組成物は任意の成
形方法で各種成型品の製造が可能である。射出成形、押
出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、発泡
成形等が好ましく用いられる。
【0065】
【実施例】以下、本発明を実施例、比較例により更に詳
細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。なお、これら実施例および比較例において、各種
物性の評価に用いた試験法は以下の通りである。
【0066】1.水素添加ゴムの分析 1)水素添加率(%) NMRで以下の手順で測定した。
【0067】まず、水素添加前のポリブタジエンゴムを
重クロロホルムに溶解し、FT−NMR(270メガ、
日本電子製)にて化学シフト4.7〜5.2ppm(シ
グナルC0とする)の1,2−ビニルによるプロトン
(=CH2)と、化学シフト5.2〜5.8ppm(シ
グナルD0とする)のビニルプロトン(=CH−)の積
分強度より、次式で計算した。 (V)=〔0.5C0/{0.5C0+0.5(D0−
0.5C0)}〕×100
【0068】次に、部分水素添加後の水素添加ゴムを重
クロロホルムに溶解し、同様にFT−NMRにて、化学
シフト0.6〜1.0ppm(シグナルA1とする)の
水素添加された1,2結合によるメチル基プロトン(−
CH3)、化学シフト4.7〜5.2ppm(シグナル
C1とする)の水素添加されていない1,2−ビニルに
よるプロトン(=CH2)、化学シフト5.2〜5.8
ppm(シグナルD1とする)の水素添加されていない
ビニルプロトン(=CH−)の積分強度から次式により
計算した。
【0069】まず、p=0.5C0/(0.5C1+A
1/3)、A11=pA1,C11=pC1,D11=
pD1とし、 1,2−ビニル結合部分の水素添加率(B) (B)=〔(A11/3)/{A11/3+C11/
2}〕×100 1,4−二重結合部分の水素添加率(C) (C)=[{0.5(D0−0.5C0)−0.5(D
11−0.5C11)}/0.5(D0−0.5C
0)]×100 ブタジエン部全体の水素添加率(A) (A)=(V)×(B)/100+〔100−(V)〕
×(C)×100
【0070】2)ミクロ構造 上記で定義した記号で以下に記載した。 水素添加前の1,2−ビニル結合=(V)×(B)/1
00(%) 水素添加前の1,4結合={100−(V)}×(C)
/100(%) 水素添加後の1,2−ビニル結合=(V)×{100−
(B)}/100(%) 水素添加後の1,4−結合={100−(V)}×{1
00−(B)}/100(%)
【0071】2.結晶化温度、結晶化ピーク熱量 示差走査熱量測定法(DSC法)により測定した。具体
的には、日本国(株)マックサイエンス(MAK SC
IENCE)製、熱分析装置システムWS002を用い
て、10mg試料を窒素気流下、室温から10℃/分で
昇温し、100℃に到達した後に、直ちに10℃/分で
−100℃まで降温し、この段階で検出された結晶化ピ
ークから、本発明では結晶化温度及び結晶化ピーク熱量
を求めた。
【0072】ここで、結晶化温度はピークトップ温度
(℃)であり、結晶化ピーク熱量(J/g)は、ベース
ラインに対して変化した熱量変化を示す曲線に囲まれた
ピーク面積から算出した。上記曲線はブロードな曲線ま
たは鋭利な曲線のいずれをも含む。また、ピークトップ
温度とは、ベースラインと平行に直線を引き、熱量変化
を示す曲線との接線との交点を言う。
【0073】3.光安定性 光安定性試験機として米国ATLAS Electri
c DevicesCo.製 ATLAS CI35W
Weatherometerを用い、JIS K71
02に基づいた方法で行なった。照射条件としては、試
験機内部温度、55℃、湿度55%、雨無し、キセノン
光(波長340nm エネルギー0.30W/m2)3
00時間照射とした。スガ試験機(株)製SMカラーコ
ンピューター型式SM−3を用い、L.a.b.法によ
り試験前後での成形体の色差ΔEをもとめて、色調変化
を評価した。色調変化が小さいほど、光安定性(耐光
性)が高い。
【0074】4.熱安定性(熱重量天秤試験:TGA
法) 島津製作所製の島津熱分析装置DT−40を用いて、窒
素気流下、200℃で1時間保持し、初期の重量に対す
る保持率(%)を熱安定性の尺度とした。
【0075】5.外観 シート肌から以下の基準で外観評価を行った。 ◎ 極めて良好。 ○ 良好。 △ 良好であるが、ややざらつく。 × 全体的にざらつく、光沢無し。
【0076】6.引張破断強度[MPa] JIS K6251に準じ、23℃にて評価した。
【0077】7.耐傷つき性 先端が長さ10mm、幅1mmの長方形で、重さが30
0gのくさびを高さ5cmからシートに落下させてでき
た、シートの傷を目視で以下の基準で評価を行った。 ◎ 極めて良好。 ○ 良好。 △ 良好であるが、傷が目立つ。 × 傷つきが著しい。
【0078】8.耐油性 前もって2mm厚さの組成物シートの重量W0を測定し
た後に、組成物シートを80℃の流動パラフィン中で2
0時間静置した後に、組成物シートの重量(W 1)を測
定し、以下のように重量変化率を算出する。ここで、数
値が小さいほど耐油性が優れていることを示す。 重量変化率=(W1−W0)/W0×100(%)
【0079】実施例、比較例で用いる各成分は以下のも
のを用いた。
【0080】(イ)水素添加ゴムの製造 内容積10リッターの攪拌機付、ジャケット付きオート
クレーブを反応器として用いて、ブタジエン/n−ヘキ
サン溶液(ブタジエン濃度20重量%)を20リッター
/hrの速度で、n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶
液(濃度5重量%)を70ミリッター/hrで導入し、
重合温度110℃でブタジエンの連続重合を実施した。
得られた活性重合体をメタノールで失活させ、別の内容
積10リッターの攪拌機付、ジャッケット付きの反応器
に重合体溶液8リッターを移し、温度60℃にて水素添
加触媒としてジ−p−トリルビス(1−シクロペンタジ
エニル)チタニウム/シクロヘキサン溶液(濃度1ミリ
リッター/リッター)250ミリリッターと、n−ブチ
ルリチウム溶液(濃度5ミリリッター/リッター)50
ミリリッターとを、0℃、2.0×105Pa(2kg
/cm2)の水素圧下で混合したものを添加し、水素分
圧2.9×105Pa(3kg/cm2)にて30分間反
応させた。得られた水素添加重合体溶液は、酸化防止剤
として2,6−ジターシャルブチルヒドロキシトルエン
を重合体当たり、0.5部添加して、溶剤を除去した。
この際にブタジエン重合体を水素添加反応条件(水素添
加圧力、水素添加温度、時間及び触媒量)を変えて水素
添加して水素添加重合体を得た。その結果を表1、2に
記載した。
【0081】また結晶化ピーク熱量の制御は、極性化合
物テトラヒドロフラン(THF)の添加または重合温度
の制御により行う。結晶化ピーク熱量の低下は、極性化
合物を増量するか、または重合温度を低下させることに
より達成される。
【0082】そして、水素添加スチレン−ブタジエン共
重合体は、前記製造法において、スチレンを更に添加し
同様に重合を行うことにより得られる。その結果を表
1、2に記載した。
【0083】(ロ)オレフィン系樹脂 ポリプロピレン:日本ポリケム(株)製、アイソタクチ
ックポリプロピレン(PPと称する)。
【0084】(ハ)架橋剤 1)架橋開始剤(D−1) 日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−
ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品名パーヘキサ25
B)(POX−1と称する) 2)架橋開始剤(D−1) 日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−
ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(商品名パーヘキシン
25B)(POX−2と称する) 3)多官能単量体(D−2) 和光純薬(株)製、ジビニルベンゼン(DVBと称す
る) 4)多官能単量体(D−2) 日本化成(株)製、トリアリルイソシアヌレート(TA
ICと称する) 5)多官能単量体(D−2) 大内新興化学(株)製、N,N’−mフェニレンビスマ
レイミド(PMIと称する) 6)単官能単量体(D−3) 旭化成工業(株)製、メタクリル酸メチル(MMAと称
する)
【0085】(ニ)パラフィン系オイル 出光興産(株)製、ダイアナプロセスオイル PW−3
80(MOと称する)。
【0086】<実施例1〜24、比較例1〜8>表1、
2記載の(A)(B)(C)を用い、(A)+(B)/
(C)/POX−1/TAIC/MO(=100
((A)/(B)は表1,2に示す)/80/0.3/
0.6/30 重量比)からなる組成物を、バレル中央
部に注入口を有した2軸押出機(40mmφ、L/D=
47)を用いて以下の条件で製造した。スクリューとし
ては注入口の前後に混練部を有した2条スクリューを用
いた。
【0087】(押出条件) 1)溶融押出温度 220℃一定 2)吐出量Q=12kg/h 3)押出機 バレル内径D=25mm 4)押出機長さをL(mm)とした時のL/D=47 5)スクリュー回転数N=280rpm
【0088】このようにして得られた組成物からTダイ
押出機を用いて、200℃で2mm厚のシートを作製
し、各種評価を行った。その結果を表1、2に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】表1、2によると、本発明の要件を満足す
る二種の水素添加ゴム(A)(B)を用いることによ
り、熱・光安定性、耐傷つき性、及び機械的強度に優れ
た水素添加ゴム組成物を得ることができることが分か
る。
【0092】また、異なった構造の水素添加ゴム(A)
と(B)が同時に架橋反応の際に存在する場合には、熱
・光安定性、耐傷つき性、耐油性及び機械的強度が飛躍
的に向上することが分かる。
【0093】<実施例25〜34>実施例4において、
POX−1,TAICを表3の(D−1)〜(D−3)
に変更し、かつ(C)を60重量部に変更し、更に以下
の定義に従って、溶融温度T2(℃)で、まず溶融混練
し、次いで溶融温度T3(℃)で溶融混練すること以
外、同様の実験を繰り返した。その結果を表3に示し
た。尚、(D−2)(D−3)を併用する場合は、両者
を等量使用した。
【0094】
【表3】
【0095】表3によると、以下の溶融条件で製造する
ことにより、引張破断強度、外観及び耐傷つき性が向上
することが分かる。 T1:(D−1)の1分間半減期温度(℃) T1−100<T2<T1+40 T2+1<T3<T2+200
【0096】
【発明の効果】本発明の水素添加ゴム組成物は、優れた
外観、熱・光安定性、耐傷つき性、耐油性及び機械的強
度を有している。
【0097】本発明の組成物は、自動車用部品、自動車
用内装材、エアバッグカバー、機械部品、電気部品、ケ
ーブル、ホース、ベルト、玩具、雑貨、日用品、建材、
シート、フィルム等を始めとする用途に幅広く使用可能
であり、産業界に果たす役割は大きい。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AC11W AE044 BB12Y BB14Y BB15Y BC02Y BG05Y BP01W BP01X BP02Y CG00Y CH07Y CN01Y EA046 EH076 EK016 EK036 EK046 EK056 EU196 FD010 FD024 FD027 FD146

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一種の共役ジエン系単量体の
    単独重合体ゴム、または共役ジエン系単量体と芳香族ビ
    ニル単量体からなるランダム共重合体ゴムの全二重結合
    の水素添加率が50%以上である水素添加ゴムであっ
    て、芳香族ビニル単量体が5重量%未満である水素添加
    ゴム(A)と芳香族ビニル単量体が5重量%以上、90
    重量%以下である水素添加ゴム(B)とからなる水素添
    加ゴムと、(C)熱可塑性樹脂とからなる、架橋された
    水素添加ゴム組成物であり、かつ水素添加ゴム(B)中
    の芳香族ビニル単量体と水素添加ゴム(A)中の芳香族
    ビニル単量体の差が5重量%以上であることを特徴とす
    る水素添加ゴム組成物。
  2. 【請求項2】 示差走査熱量測定法(DSC法)におい
    て、水素添加ゴム(A)(B)の結晶化ピーク熱量が1
    00J/g以下であることを特徴とする請求項1に記載
    の水素添加ゴム組成物。
  3. 【請求項3】 水素添加ゴム(A)(B)の不飽和ゴム
    の全二重結合の90%以上が水素添加されているか、あ
    るいは側鎖の残存二重結合が5%以下であることを特徴
    とする請求項1または2に記載の水素添加ゴム組成物。
  4. 【請求項4】 (C)熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂
    であり、かつ(D)架橋剤で部分的または完全に架橋さ
    れ、更に(E)軟化剤を含有することを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載の水素添加ゴム組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7863378B2 (en) 2006-08-31 2011-01-04 Asahi Kasei Chemicals Corporation Thermoplastic elastomer composition and modifier composition using the same

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