JP4700186B2 - 複合エラストマー組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合エラストマー組成物に関するものである。更に詳しくは、外観、色調、柔軟性(触感)、耐油性、機械的強度、及び溶融加工性に優れた複合エラストマー組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ラジカル架橋性オレフィン系エラストマー等のゴム状重合体とPP等のラジカル架橋性のないオレフィン系樹脂とをラジカル開始剤の存在下、押出機中で溶融混練させながら架橋する、いわゆる動的架橋による熱可塑性エラストマー組成物は、既に公知の技術であり、自動車部品等の用途に広く使用されている。
【0003】
このようなオレフィン系エラストマーとして、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)またはメタロセン触媒により製造されたオレフィン系エラストマー(特開昭60−231747号公報、特開平8−120127号公報、特開平9−137001号公報)が知られている。しかしながら、上記公報の組成物は特定の複合エラストマーが用いられていないために、外観、柔軟性(触感)、耐油性、機械的強度、及び溶融加工性が必ずしも充分でなく、実用的使用に耐えるエラストマー組成物が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち外観、色調、柔軟性(触感)、耐油性、機械的強度、及び溶融加工性に優れた複合エラストマー組成物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は外観、色調、柔軟性(触感)、耐油性、機械的強度、及び溶融加工性に優れたエラストマー組成物を鋭意検討した結果、ゴム状重合体として、特定の構造を有するオレフィン系ゴムを複数個組み合わせることにより、驚くべきことに柔軟性を保持しつつ、外観、色調、耐油性、機械的強度及び溶融加工性が飛躍的に向上する事を見出し、本発明を完成した。
【0006】
即ち本発明は、(A)エチレンと炭素数3〜5のα−オレフィンと不飽和結合を有する単量体をメタロセン系触媒を用いて重合してなるエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、(B)エチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンをメタロセン系触媒を用いて重合してなるエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、及び(C)オレフィン系樹脂を、ラジカル開始剤を用いて架橋してなり、前記(A)(B)の合計量100重量部において(B)の含有量が50〜99重量部であることを特徴とする複合エラストマー組成物を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関して詳しく述べる。
【0008】
本発明の組成物は、(A)(B)の特定のエチレン・α−オレフィン共重合体二種と(C)オレフィン系樹脂とを架橋してなるエラストマー組成物からなる。
【0009】
ここで、異なった構造のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)と(B)が同時に架橋反応の際に存在することが重要である。複数個のエチレン・α−オレフィン共重合体の存在により、共架橋反応もしくは相転移反応が促進されることが予想され、柔軟性を保持しつつ、卓越した外観、耐油性、機械的強度及び溶融加工性が発現することを見出し、本発明を完成した。
【0010】
以下に本発明の各成分について詳細に説明する。
【0011】
本発明において(A)は、エチレンと炭素数3〜5のα−オレフィンを含有するエチレンとα−オレフィンの共重合体であり、炭素数3〜5のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1等が挙げられる。中でもプロピレンが好ましい。
【0012】
また(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体は必要に応じて、不飽和結合を有する単量体を含有することができ、例えば、ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィン、1,4−ヘキサジエン等の非共役ジオレフィン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン誘導体(例えばエチリデンノルボルネン)等の環状ジエン化合物、及びアセチレン類が好ましく、とりわけエチリデンノルボルネン(ENB)、ジシクロペンタジエン(DCP)が最も好ましい。
【0013】
本発明において(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、公知のメタロセン系触媒を用いて製造することが好ましい。
【0014】
一般にはメタロセン系触媒は、チタン、ジルコニウム等のIV族金属のシクロペンタジエニル誘導体と助触媒からなり、重合触媒として高活性であるだけでなく、チーグラー系触媒と比較して、得られる重合体の分子量分布が狭く、共重合体中のコモノマーのα−オレフィンの分布が均一である。
【0015】
本発明において(B)は、エチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンを含有するエチレンとα−オレフィンの共重合体であり、炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、例えば、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1等が挙げられる。中でもヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1が好ましく、特に好ましくは炭素数6〜12のα−オレフィンであり、とりわけオクテン−1が最も好ましい。オクテン−1は少量でも柔軟化する効果に優れ、得られた共重合体は機械的強度に優れている。
【0016】
また(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体は必要に応じて、上記(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体に記載の不飽和結合を有する単量体を含有することができる。
【0017】
本発明において(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体と同様に公知のメタロセン系触媒を用いて製造することが好ましい。
【0018】
本発明にて用いられる(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、長鎖分岐を有していることが望ましい。長鎖分岐が存在することで、機械的強度を落とさずに、共重合されているα−オレフィンの比率(重量%)に比して、密度をより小さくすることが可能となり、低密度、低硬度、高強度の共重合体を得ることができる。長鎖分岐を有するエチレン・α−オレフィン共重合体としては、USP5278272等に記載されている。
【0019】
本発明において、(A)と(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体の最も好ましい組み合わせは、(A)がエチレン−プロピレンからなる共重合体、またはエチレン−プロピレン−不飽和結合を有する単量体からなる共重合体、(B)がエチレン−オクテンからなる共重合体である。
【0020】
本発明において(A)または(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、α−オレフィンの共重合比率が1〜60重量%であることが好ましく、更に好ましくは10〜50重量%、最も好ましくは20〜45重量%である。α−オレフィンの共重合比率が60重量%を越えると、組成物の硬度、引張強度等の低下が大きくなる傾向にあり、一方、1重量%未満では柔軟性、機械的強度が低下する傾向にある。
【0021】
また(A)または(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、0.8〜0.9g/cm3の範囲にあることが好ましい。この範囲の密度を有するエチレン・α−オレフィン共重合体を用いることにより、柔軟性に優れ、硬度の低いエラストマー組成物を得ることができる。
【0022】
そして、本発明にて用いられる(A)または(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体のメルトインデックスは、0.01〜100g/10分(190℃、2.16kg荷重)の範囲のものが好ましく用いられ、更に好ましくは0.2〜10g/10分である。100g/10分を越えると、組成物の架橋性が低下傾向にあり、また0.01g/10分より小さいと流動性が悪く、加工性が低下する傾向にある。
【0023】
また、(A)または(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、室温以上にDSCの融点ピークを有することが望ましい。融点ピークを有するとき、融点以下の温度範囲では形態が安定しており、取扱い性に優れ、ベタツキも少ない。
【0024】
本発明において、(A)及び(B)からなるエチレン・α−オレフィン共重合体は、2種に限定されるものではなく、本発明の要件を満足しておれば、2種以上含んでいてもよい。そして、(A)(B)の合計量100重量部において、(B)は、1〜99重量部のであることが好ましく、更に好ましくは5〜90重量部、最も好ましくは20〜80重量部である。1〜99重量部の範囲において、共架橋反応もしくは相転移反応が促進され、柔軟性を保持しつつ、卓越した外観、耐油性、機械的強度及び溶融加工性が発現する。
【0025】
本発明において(C)オレフィン系樹脂は、ポリエチレン、ホモのアイソタクチックポリプロピレン、プロピレンとエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1等の他のα−オレフィンとのアイソタクチック共重合樹脂(ブロック、ランダムを含む)等が挙げられる。
【0026】
本発明において、(C)オレフィン系樹脂の中でも、(C−1)エチレンとプロピレンとのランダム共重合樹脂等のプロピレン系ランダム共重合樹脂単独、または(C−1)プロピレン系ランダム共重合樹脂と(C−2)プロピレン系ブロック共重合樹脂またはホモポリプロピレン系樹脂との組み合わせが好ましい。このような架橋型オレフィン系樹脂と分解型オレフィン系樹脂の二種のオレフィン系樹脂を組み合わせることにより、外観と機械的強度が更に向上する。
【0027】
(C−1)プロピレン系ランダム共重合樹脂として、例えばエチレンとプロピレンのランダム共重合樹脂を挙げることができ、エチレン成分がポリマー主鎖中に存在する場合は、それが架橋反応の架橋点となり、架橋型オレフィン系樹脂の特性を示す。
【0028】
(C−2)プロピレン系ブロック共重合樹脂はα−オレフィンが主成分であり、ポリマー主鎖中にエチレン単位を含まないことが好ましい。但し、プロピレン系ブロック共重合樹脂のようにエチレン・α−オレフィン共重合体が分散相として存在する場合は、分解型オレフィン系樹脂の特性を示す。
【0029】
(C)オレフィン系樹脂は複数個の(C−1)プロピレン系ランダム共重合樹脂、(C−2)プロピレン系ブロック共重合樹脂の組み合わせでも良い。
【0030】
(C−1)プロピレン系ランダム共重合樹脂の中で最も好ましいプロピレンを主体としたα−オレフィンとのランダム共重合樹脂は、高圧法、スラリー法、気相法、塊状法、溶液法等で製造することができ、重合触媒としてZiegler−Natta触媒、シングルサイト、メタロセン触媒が好ましい。特に狭い組成分布、分子量分布が要求される場合には、メタロセン触媒を用いたランダム共重合法が好ましい。
【0031】
ランダム共重合樹脂の具体的製造法は、欧州特許0969043A1または米国特許5198401に開示されており、液状プロピレンを攪拌機付き反応器に導入した後に、触媒をノズルから気相または液相に添加する。次いで、エチレンガスまたはα−オレフィンを反応器の気相または液相に導入し、反応温度、反応圧力をプロピレンが還流する条件に制御する。重合速度は触媒濃度、反応温度で制御し、共重合組成はエチレンまたはα−オレフィンの添加量により制御する。
【0032】
また、本発明にて好適に用いられる(C)オレフィン系樹脂のメルトインデックスは、0.1〜100g/10分(230℃、2.16kg荷重)の範囲のものが好ましく用いられる。100g/10分を越えると、複合エラストマー組成物の耐熱性、機械的強度が不十分な傾向にあり、また0.1g/10分より小さいと流動性が悪く、成形加工性が低下する傾向にある。
【0033】
本発明において、(A)及び(B)からなるエチレン・α−オレフィン共重合体100重量部に対して、(C)オレフィン系樹脂は、1〜1000重量部の組成比で用いられる。好ましくは5〜500重量部、更に好ましくは10〜100重量部である。1重量部未満では組成物の流動性、加工性が低下傾向にあり、一方、1000重量部を越えると組成物の柔軟性が低下傾向にある。
【0034】
本発明の架橋してなる複合エラストマー組成物は、(D)架橋剤で架橋されることが好まい。(D)架橋剤は、(D−1)架橋開始剤を必須成分とし、必要に応じて(D−2)多官能単量体、(D−3)単官能単量体を含有する。
【0035】
上記(D)架橋剤は、(A)及び(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体100重量部に対し0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜3重量部の量で用いられる。0.01重量部未満では架橋が不十分である傾向にあり、10重量部を越えると組成物の外観、機械的強度が低下する傾向にある。
【0036】
ここで、(D−1)架橋開始剤は、有機過酸化物、有機アゾ化合物等のラジカル開始剤等が挙げられ、具体的な例として、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類を挙げることができる。
【0037】
また、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドおよびm−トリオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、およびクミルパーオキシオクテート等のパーオキシエステル類を挙げることができる。
【0038】
さらに、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイドおよび1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類を挙げることができる。
【0039】
これらの化合物の中では、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が好ましい。
【0040】
上記(D−1)架橋開始剤は、(D)架橋剤成分中で好ましくは1〜80重量%、更に好ましくは10〜50重量%の量が用いられる。1重量%未満では架橋が不十分である傾向にあり、80重量%を越えると機械的強度が低下する傾向にある。
【0041】
本発明において、(D)架橋剤の一つの(D−2)多官能単量体は、官能基としてラジカル重合性の官能基が好ましく、とりわけビニル基が好ましい。官能基の数は2以上であるが、(D−3)単官能単量体との組み合わせで特に3個以上の官能基を有する場合には有効である。具体例としては、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ダイアセトンジアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジイソプロペニルベンゼン、P−キノンジオキシム、P,P’−ジベンゾイルキノンジオキシム、フェニルマレイミド、アリルメタクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、1,2−ポリブタジエン等が好ましく用いられる。特にトリアリルイソシアヌレートが好ましい。これらの多官能単量体は複数のものを併用して用いてもよい。
【0042】
上記(D−2)多官能単量体は、(D)架橋剤成分中で好ましくは1〜80重量%、更に好ましくは10〜50重量%の量が用いられる。1重量%未満では架橋が不十分である傾向にあり、80重量%を越えると機械的強度が低下する傾向にある。
【0043】
本発明において用いられる前記(D−3)単官能単量体は、架橋反応速度を制御するために加えるビニル系単量体であり、ラジカル重合性のビニル系単量体が好ましく、芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体、アクリル酸エステル単量体、メタクリル酸エステル単量体、アクリル酸単量体、メタクリル酸単量体、無水マレイン酸単量体、N−置換マレイミド単量体等を挙げることができる。
【0044】
上記(D−3)単官能単量体は、(D)架橋剤成分中で好ましくは1〜80重量%、更に好ましくは10〜50重量%の量が用いられる。1重量%未満では架橋が不十分である傾向にあり、80重量%を越えると機械的強度が低下する傾向にある。
【0045】
本発明においては、複合エラストマー組成物の加工性を向上させるために、必要に応じて、(E)軟化剤を配合することができる。
【0046】
上記(E)軟化剤は、パラフィン系、ナフテン系などのプロセスオイルが好ましい。これらは組成物の硬度、柔軟性の調整用に、(A)及び(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体100重量部に対して、5〜500重量部、好ましくは10〜150重量部用いる。5重量部未満では柔軟性、加工性が不足する傾向にあり、500重量部を越えるとオイルのブリードが顕著となる傾向にある。
【0047】
本発明において、必要に応じて(A)(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体以外の架橋性ゴム状重合体を配合することができる。このようなゴム状重合体は、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下であることが好ましく、例えば、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム等の架橋ゴムまたは非架橋ゴム、並びに上記ゴム成分を含有する熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
【0048】
本発明において必要に応じて配合することができる架橋性ゴム状重合体の一つとして、熱可塑性エラストマーがあるが、その中でも特にポリスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましく、芳香族ビニル単位と共役ジエン単位からなるブロック共重合体、または上記共役ジエン単位部分が部分的に水素添加またはエポキシ変性されたブロック共重合体等が挙げられる。
【0049】
上記ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であり、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0050】
また、上記ブロック共重合体を構成する共役ジエン単量体は、1,3−ブタジエン、イソプレン等を挙げることができる。
【0051】
そして、ブロック共重合体のブロック構造は、芳香族ビニル単位からなる重合体ブロックをSで表示し、共役ジエン及び/またはその部分的に水素添加された単位からなる重合体ブロックをBで表示する場合、SB、S(BS)n、(但し、nは1〜3の整数)、S(BSB)n、(但し、nは1〜2の整数)のリニア−ブロック共重合体や、(SB)nX(但し、nは3〜6の整数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ化合物等のカップリング剤残基。)で示され、B部分を結合中心とする星状(スター)ブロック共重合体であることが好ましい。なかでもSBの2型、SBSの3型、SBSBの4型のリニアーブロック共重合体が好ましい。
【0052】
本発明において必要に応じて配合することができる架橋性ゴム状重合体のもう一つの水素添加共重合体は、主鎖および側鎖に二重結合を有する重合体及び/またはランダム共重合体からなる不飽和ゴムの全二重結合の50%以上が水素添加された水素添加ゴムである。
【0053】
上記水素添加ゴム中の全二重結合は、50%以上であり、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上が水素添加され、そして主鎖の残存二重結合が5%以下、側鎖の残存二重結合が5%以下であることが好ましい。このようなゴムの具体例としては、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等のジエン系ゴムを部分的または完全に水素添加したゴム状重合体を挙げることができ、特に水素添加ブタジエン系または水素添加イソプレン系ゴムが好ましい。
【0054】
このような水素添加ゴムは、上述のゴムを公知の水素添加方法で部分水素添加することにより得られる。例えば、F.L.Ramp,etal,J.Amer.Chem.Soc.,83,4672(1961)記載のトリイソブチルボラン触媒を用いて水素添加する方法、Hung Yu Chen,J.Polym.Sci.Polym.Letter Ed.,15,271(1977)記載のトルエンスルフォニルヒドラジドを用いて水素添加する方法、あるいは特公昭42−8704号公報に記載の有機コバルト−有機アルミニュウム系触媒あるいは有機ニッケル−有機アルミニュウム系触媒を用いて水素添加する方法等を挙げることができる。ここで、特に好ましい水素添加の方法は、低温、低圧の温和な条件下で水素添加が可能な触媒を用いる特開昭59−133203号、特開昭60−220147号公報あるいは不活性有機溶媒中にて、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム化合物と、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子またはセシウム原子を有する炭化水素化合物とからなる触媒の存在下に水素と接触させる特開昭62−207303号公報に示される方法である。
【0055】
また、水素添加ゴムの100℃で測定したムーニー粘度(ML)は20〜90、25℃における5重量%スチレン溶液粘度(5%SV)は、20〜300センチポイズ(cps)の範囲にあることが好ましい。特に好ましい範囲は25〜150cpsである。
【0056】
そして、水素添加ゴムの結晶性の指標である吸熱ピーク熱量の制御は、テトラヒドロフラン等の極性化合物の添加または重合温度の制御により行う。吸熱ピーク熱量の低下は、極性化合物を増量するか、または重合温度を低下させて、1,2−ビニル結合を増大させることにより達成される。
【0057】
本発明において、必要に応じて(C)オレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を配合することができる。たとえば、ポリスチレン系、ポリフェニレンエーテル系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカーボネート系、ポリメタクリレート系等の単独もしくは二種以上を混合したものを使用することができる。特に熱可塑性樹脂としてオレフィン系樹脂が好ましい。
【0058】
また、本発明の組成物には、その特徴を損ねない程度に無機フィラーおよび可塑剤を含有することが可能である。ここで用いる無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、カーボンブラック、ガラス繊維、酸化チタン、クレー、マイカ、タルク、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。また、可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート(DOP)等のフタル酸エステル等が挙げられる。また、その他の添加剤、例えば、有機・無機顔料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、シリコンオイル、アンチブロッキング剤、発泡剤、帯電防止剤、抗菌剤等も好適に使用される。
【0059】
本発明の組成物の製造には、通常の樹脂組成物、エラストマー組成物の製造に用いられるバンバリーミキサー、ニーダー、単軸押出機、2軸押出機、等の一般的な方法を採用することが可能である。とりわけ効率的に動的架橋を達成するためには2軸押出機が好ましく用いられる。2軸押出機は、(A)と(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体を均一かつ微細に分散させ、さらに他の成分を添加させて、架橋反応を生じせしめ、本発明の組成物を連続的に製造するのに、より適している。
【0060】
本発明の組成物は、好適な具体例として、次のような加工工程を経由して製造することができる。すなわち、(A)、(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体及び(C)オレフィン系樹脂とをよく混合し、押出機のホッパーに投入する。(D)架橋剤を、(A)、(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体及び(C)オレフィン系樹脂とともに当初から添加してもよいし、押出機の途中から添加してもよい。また(E)軟化剤を押出機の途中から添加してもよいし、当初と途中とに分けて添加してもよい。(A)、(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体及び(C)オレフィン系樹脂の一部を押出機の途中から添加してもよい。押出機内で加熱溶融し混練される際に、前記(A)及び(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体と(D)架橋剤とが架橋反応し、さらに(E)軟化剤等を添加して溶融混練することにより架橋反応と混練分散とを充分させたのち押出機から取り出すことにより、本発明の組成物のペレットを得ることができる。
【0061】
また特に好ましい溶融押出法としては、原料添加部を基点としてダイ方向に長さLを有し、かつL/Dが5から100(但しDはバレル直径)である二軸押出機を用いる場合である。二軸押出機は、その先端部からの距離を異にするメインフィード部とサイドフィード部の複数箇所の供給用部を有し、複数の上記供給用部の間及び上記先端部と上記先端部から近い距離の供給用部との間にニーディング部分を有し、上記ニーディング部分の長さが、それぞれ3D〜10Dであることが好ましい。
【0062】
また本発明において用いられる製造装置の一つの二軸押出機は、二軸同方向回転押出機でも、二軸異方向回転押出機でもよい。また、スクリューの噛み合わせについては、非噛み合わせ型、部分噛み合わせ型、完全噛み合わせ型があり、いづれの型でもよい。低いせん断力をかけて低温で均一な樹脂を得る場合には、異方向回転・部分噛み合わせ型スクリューが好ましい。やや大きい混練を要する場合には、同方向回転・完全噛み合わせ型スクリューが好ましい。さらに大きい混練を要する場合には、同方向回転・完全噛み合わせ型スクリューが好ましい。
【0063】
本発明において、特に外観と機械的強度の向上のためには、(A)(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体、(C)オレフィン系樹脂からなる組成物のモルフォロジーも重要であり、(A)及び(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体が独立粒子として存在し、かつ(C)オレフィン系樹脂が連続相となることが必要であり、そのためには、例えば、高せん断力下で、かつ架橋速度を抑制することが重要である。具体的には、(D−1)架橋開始剤または架橋助剤を減量し、かつ(D−1)架橋開始剤の分解温度以上の、できるだけ低温・長時間反応を行うことにより達成される。また架橋助剤として(D−2)多官能単量体と(D−3)単官能単量体の併用によっても達成することができる。(D−1)架橋開始剤、架橋助剤の過度の添加、または、過度に高活性な(D−1)架橋開始剤、架橋助剤、または高温反応条件は、ゴム状重合体の凝集が発生し、本発明の要件を満足しない。そして、(A)及び(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体に前もって少量(E)軟化剤を吸収させながら、(D−1)架橋開始剤、架橋助剤を(A)及び(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体に配合する事により、架橋反応が穏和に進行するために、小粒子で均一粒子を生成させることができる。
【0064】
優れた外観と機械的強度の向上を達成する製造方法として、以下の混練度Mを満足することがより好ましい。
M=(π2/2)(L/D)D3(N/Q)
10×106≦M≦1000×106
但し、L:原料添加部を基点としてダイ方向の押出機長(mm)、D:押出機バレル内径(mm)、Q:吐出量(kg/h)、N:スクリュー回転数(rpm)
【0065】
Mが10×106未満ではゴム粒子が肥大化、凝集するために外観が低下する傾向にあり、一方Mが1000×106を越えると過度のせん断力のために、機械的強度が低下する傾向にある。
【0066】
そして、更に良好な外観と機械的強度を達成するためには、以下の関係式の溶融温度を満足することが好ましい。即ち、溶融温度T2(℃)で、まず溶融混練し、次いで溶融温度T3(℃)で溶融混練し、とりわけ原料添加口を基点としてダイ方向に長さLを有する溶融押出機において、原料添加口から0.1L〜0.5Lの長さの押出機ゾーンを溶融温度T2(℃)で、まず溶融混練し、次いでその後の押出機ゾーンを溶融温度T3(℃)で溶融混練する。
【0067】
ここで、特にT1が150〜250℃であることが好ましく、溶融押出機の各ゾーンのT2またはT3は均一温度であっても良いし、または温度勾配を有していても良い。
T1:(D)架橋剤の1分間半減期温度(℃)
T1−100<T2<T1+40
T2+1<T3<T2+200
【0068】
本発明の複合エラストマー組成物において最も好ましい組合せは、(A)メタロセン触媒で製造されたエチレン−プロピレン系エラストマー、(B)メタロセン触媒で製造されたエチレン−オクテン系エラストマー、及び(C)ポリプロピレン系樹脂とを架橋してなる複合エラストマー組成物である。
【0069】
こうして得られたゴム系組成物は任意の成形方法で各種成型品の製造が可能である。射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、発泡成形等が好ましく用いられる。
【0070】
【実施例】
以下、本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、これら実施例および比較例において、各種物性の評価に用いた試験法は以下の通りである。
【0071】
(1)引張破断強度[MPa]
Tダイ押出シートから、JIS K6251に準じ、23℃にて評価した。
【0072】
(2)外観
Tダイ押出シート肌から以下の基準で外観評価を行った。
◎ 極めて良好。
○ 良好。
△ 良好であるが、ややざらつく。
× 全体的にざらつく。光沢無し。
【0073】
(3)柔軟性(触感)
Tダイ押出シート肌から以下の基準で柔軟性評価を行った。
◎ 極めて柔軟性、触感が良好。
○ 良好。
△ 良好であるが、やや硬さが感じられる。
× 全体的に硬く、触感が悪い。
【0074】
(4)色調
Tダイ押出シートから以下の基準で柔軟性評価を行った。
◎ 無色で極めて良好。
○ 良好。
△ 良好であるが、やや淡黄色。
× 全体的に着色し、色調が悪い。
【0075】
(5)溶融加工性
キャピラリーメーターとして、東洋精機製作所製キャピログラフ1C・3Aを用いて、溶融ポリマーの溶融張力、溶融伸びを測定した。
【0076】
ランド長10mm、オリフィス孔径1mm、溶融温度200℃、クロスヘッド速度50mm/分の条件で引き取り速度を変化させて、各引き取り速度での溶融張力を測定した。また、その際に糸切れ時の溶融張力、引き取り速度をそれぞれ、溶融張力(g)、溶融伸び(m/分)の指標とした。
【0077】
(6)真空成形性
底面が15cmの正方形で深さが5cmの直方体の金型に1mm厚さのシートを接触させて、赤外線ヒーターにてシート表面が140℃になるまで加熱した後に、真空下で成形体を作製した。得られた成形体の型再現性、転写性を目視で以下の基準で評価した。
◎ 極めて型再現性、転写性が良好
○ 良好。
△ 良好であるが、ややコーナー部の型再現性、転写性が悪い。
× 不良。
【0078】
(7)耐油性
前もって2mm厚さの組成物シートの重量W0を測定した後に、組成物シートを80℃の流動パラフィン中で20時間静置した後に、組成物シートの重量(W1)を測定し、以下のように重量変化率を算出する。ここで、数値が小さいほど耐油性が優れていることを示す。
重量変化率=(W1−W0)/W0×100(%)
【0079】
実施例、比較例で用いる各成分は以下のものを用いた。
【0080】
(イ)エチレン・α−オレフィン共重合体
通常のチーグラー触媒またはメタロセン触媒を用いた方法により、エチレン/α−オレフィンの種類、量比を変更し、不飽和単量体としてエチリデンノルボルネン(ENB)またはジシクロペンタジエン(DCP)を用い、各種上記共重合体を製造し、表1、表2に記載した。尚、メタロセン触媒を用いた方法は特開平3−163088号公報に従い製造した。
【0081】
(ロ)オレフィン系樹脂
(1)ホモポリプロピレン
日本ポリオレフィン(株)製、アイソタクチックホモポリプロピレン(PP−1と称する)。
【0082】
(2)エチレン−プロピレンランダム共重合樹脂
欧州特許0969043A1または米国特許5198401に従い、チーグラー触媒を用いて、エチレンとプロピレンの重量比が7/93のランダム共重合樹脂を製造した(PP−2と称する)。
【0083】
(ハ)架橋剤
1)架橋開始剤(D−1)
日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品名パーヘキサ25B)(POX−1と称する)
2)架橋開始剤(D−1)
日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(商品名パーヘキシン25B)(POX−2と称する)
3)多官能単量体(D−2)
和光純薬(株)製、ジビニルベンゼン(DVBと称する)
4)多官能単量体(D−2)
日本化成(株)製、トリアリルイソシアヌレート(TAICと称する)
5)多官能単量体(D−2)
大内新興化学(株)製、N,N’−mフェニレンビスマレイミド(PMIと称する)
6)単官能単量体(D−3)
旭化成工業(株)製、メタクリル酸メチル(MMAと称する)
【0084】
(ニ)パラフィン系オイル
出光興産(株)製、ダイアナプロセスオイル PW−90(MOと称する)
【0085】
<実施例1〜5、参考例1〜5>
表1記載の(A)(B)(C)を用い、(A)/(B)/(C)/POX−1/TAIC/MO(=50/50/80/0.3/0.6/30 重量比)からなる組成物を、バレル中央部に注入口を有した2軸押出機(40mmφ、L/D=47)を用いて以下の条件で製造した。スクリューとしては注入口の前後に混練部を有した2条スクリューを用いた。
【0086】
(押出条件)
1)溶融押出温度 220℃一定
2)吐出量Q=12kg/h
3)押出機 バレル内径D=25mm
4)押出機長さをL(mm)とした時のL/D=47
5)スクリュー回転数N=280rpm
【0087】
このようにして得られた組成物からTダイ押出機を用いて、200℃で2mm厚のシートを作製し、各種評価を行った。
【0088】
その結果を表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
表1によると、本発明の要件を満足する二種のエチレン・α−オレフィン共重合体を用いることにより、外観、柔軟性(触感)、耐油性、機械的強度、色調、及び溶融加工性に優れたエラストマー組成物を得ることができることが分かる。
【0091】
<実施例6〜9、比較例1〜3、参考例6〜8>
実施例1において、表2の(A)(B)(C)を用い、かつ(C)を100重量部に変更すること以外、同様の実験を繰り返した。その結果を表2に記載した。
【0092】
【表2】
【0093】
表2によると、単独のエチレン・α−オレフィン共重合体とオレフィン系樹脂を架橋してなるエラストマー組成物を二種混合しても(比較例3)、本発明の目的を達成することができず、複数のエチレン・α−オレフィン共重合体を混合した後に架橋することが重要であることが分かる。
【0094】
<実施例10〜19>
実施例1において、POX−1,TAICを表3の(D−1)〜(D−3)に変更し、かつ(C)を60重量部に変更し、更に以下の定義に従って、溶融温度T2(℃)で、まず溶融混練し、次いで溶融温度T3(℃)で溶融混練すること以外、同様の実験を繰り返した。その結果を表3に示した。尚、(D−2)(D−3)を併用する場合は、両者を等量使用した。
【0095】
【表3】
【0096】
表3によると、以下の溶融条件で製造することにより、引張破断強度、外観、柔軟性、耐油性及び溶融加工性が向上することが分かる。
T1:(D−1)の1分間半減期温度(℃)
T1−100<T2<T1+40
T2+1<T3<T2+200
【0097】
【発明の効果】
本発明の複合エラストマー組成物は、優れた外観、耐油性、柔軟性(触感)、機械的強度、色調及び溶融加工性を有している。
【0098】
本発明の組成物は、自動車用部品、自動車用内装材、エアバッグカバー、機械部品、電気部品、ケーブル、ホース、ベルト、玩具、雑貨、日用品、建材、シート、フィルム等を始めとする用途に幅広く使用可能であり、産業界に果たす役割は大きい。
Claims (3)
- (A)エチレンと炭素数3〜5のα−オレフィンと不飽和結合を有する単量体をメタロセン系触媒を用いて重合してなるエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、(B)エチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンをメタロセン系触媒を用いて重合してなるエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、及び(C)オレフィン系樹脂を、ラジカル開始剤を用いて架橋してなり、前記(A)(B)の合計量100重量部において(B)の含有量が50〜99重量部であることを特徴とする複合エラストマー組成物。
- 不飽和結合を有する単量体が、ブタジエン、イソプレン、1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエンから選ばれることを特徴とする請求項1記載の複合エラストマー組成物。
- (A)がエチレン−プロピレン−不飽和結合を有する単量体からなる共重合体であり、(B)がエチレン−オクテンからなる共重合体であることを特徴とする請求項1または2記載の複合エラストマー組成物。
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