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JP2002080676A - アクリル系樹脂層とポリカーボネート系樹脂層からなる積層体のリサイクル方法 - Google Patents

アクリル系樹脂層とポリカーボネート系樹脂層からなる積層体のリサイクル方法

Info

Publication number
JP2002080676A
JP2002080676A JP2000269307A JP2000269307A JP2002080676A JP 2002080676 A JP2002080676 A JP 2002080676A JP 2000269307 A JP2000269307 A JP 2000269307A JP 2000269307 A JP2000269307 A JP 2000269307A JP 2002080676 A JP2002080676 A JP 2002080676A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acrylic resin
meth
group
laminate
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000269307A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuhisa Noda
信久 野田
Kenji Shimizu
健次 清水
Takahiro Aoyama
孝浩 青山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2000269307A priority Critical patent/JP2002080676A/ja
Publication of JP2002080676A publication Critical patent/JP2002080676A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/62Plastics recycling; Rubber recycling

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクリル系樹脂とポリカーボネート系樹脂か
らなる透明性と耐候性を有する積層体から、透明性およ
び耐候性に優れたアクリル系樹脂/ポリカーボネート系
樹脂組成物を得ることができるリサイクル方法を確立す
る。 【解決手段】 重量平均分子量が2000〜35000
の、紫外線吸収性単量体、紫外線安定性単量体および特
定構造のアルキル基含有(メタ)アクリレートよりなる
群から選択される少なくとも1種を共重合成分として用
いたアクリル系樹脂層、または無機微粒子を含有するア
クリル系樹脂層と、ポリカーボネート系樹脂層からなる
積層体を用いて、透明性および耐候性に優れたアクリル
系樹脂/ポリカーボネート系樹脂組成物を得ることを特
徴とするリサイクル方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル系樹脂と
ポリカーボネート系樹脂からなる透明性と耐候性を有す
る積層体から透明性および耐候性に優れたアクリル系樹
脂/ポリカーボネート系樹脂組成物を得ることができる
リサイクル方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ポリカーボネート系樹脂は透明
性や耐熱性等に優れ、機械的性質も良好なことから、こ
れらの特性を利用して様々な用途に適用されている。他
方、ポリカーボネート系樹脂は、屋外に暴露されると黄
変や失透を起こす等、耐候性が劣るという欠点も抱えて
いる。
【0003】このようなポリカーボネート系樹脂の耐候
性を改善する方法として、該樹脂の成形体に表面保護層
として耐候性および透明性の優れたアクリル系樹脂を被
覆して積層体とする技術が開発されている。
【0004】低分子量のアクリル系樹脂は耐候性があま
り優れないため、上記のような積層体の表面保護層とし
て用いられているのは通常高分子量タイプのものであ
る。ところが、高分子量アクリル系樹脂とポリカーボネ
ート系樹脂との積層体をリサイクルして溶融再成形する
と、リサイクル前の積層体の段階では良好であった透明
性が失われてしまう。このようなことから、アクリル系
樹脂とポリカーボネート系樹脂との積層体をリサイクル
する技術について開示されているものはごくわずかであ
る。
【0005】開示されている上記積層体のリサイクル技
術としては、特開平4−361036号公報において、
ポリカーボネート系樹脂成形体の表面にフェニルメタク
リレート等を共重合成分としたアクリル系樹脂層を設け
た積層体が提案されている。かかる積層体は加熱溶融に
よってリサイクルしても高い透明性を保持している。し
かし、上記フェニルメタクリレートは芳香環構造を有し
ているので耐候性を低下させる成分であり、ポリカーボ
ネート系樹脂の表面保護層形成成分としては推奨し難い
ものである。
【0006】また、リサイクル技術としてではないが、
特開昭56−28937号公報において、ポリカーボネ
ートとの相溶性に優れた特定の組成を有する低分子量ア
クリル共重合体を混合させたポリカーボネート組成物が
提案されており、相溶性が良い故に、この組成物をシー
ト成形しても成形体内部での分離が見られず透明性を発
揮する旨記載されている。しかし、既述の通り、低分子
量のアクリル樹脂は耐候性が悪いため、このシートをポ
リカーボネートに積層したものは耐候性に劣るという欠
点がある。
【0007】すなわち、耐候性に優れたアクリル系樹脂
とポリカーボネート系樹脂との積層体を、透明性と耐候
性のいずれもが優れた形でリサイクルする技術は、いま
だ提案されていないのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記課題に着
目してなされたものであり、その目的は、アクリル系樹
脂とポリカーボネート系樹脂との、透明性および耐候性
に優れた積層体を用いて、透明性および耐候性に優れた
アクリル系樹脂/ポリカーボネート系樹脂組成物を得る
ことのできるリサイクル方法を確立することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明のリサイクル方法は、紫外線吸収性単量体、紫外線
安定性単量体および下記一般式(1)で表される特定の
アルキル基含有(メタ)アクリレートよりなる群から選
択される少なくとも1種を共重合成分として用いた重量
平均分子量が2000〜35000のアクリル系樹脂層
と、ポリカーボネート系樹脂層からなる透明性と耐候性
を有する積層体を用いることによって、透明性および耐
候性に優れたアクリル系樹脂/ポリカーボネート系樹脂
組成物を得るところに要旨を有するものである。
【0010】
【化2】
【0011】(式中、R1は水素原子またはメチル基を
表し、Zは側鎖を有するブチル基または炭素数が5以上
の炭化水素基を表す)。
【0012】さらに、本発明のリサイクル方法は、平均
粒径が5〜100nmの無機微粒子が分散し、且つ重量
平均分子量が2000〜35000である、無機微粒子
を含有するアクリル系樹脂層と、ポリカーボネート系樹
脂層からなる透明性と耐候性を有する積層体を用いるこ
とによって、透明性および耐候性に優れたアクリル系樹
脂/ポリカーボネート系樹脂組成物を得るところに要旨
を有するものである。
【0013】なお、上記無機微粒子を含有するアクリル
系樹脂が、紫外線吸収性単量体,紫外線安定性単量体お
よび上記一般式(1)で表されるアルキル基含有(メ
タ)アクリレートよりなる群から選択される少なくとも
1種を共重合成分として用いたものである場合も好まし
い態様である。
【0014】また、上記無機微粒子としては金属酸化物
が推奨される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明者らは、種々の組成の透明
性と耐候性に優れたアクリル系樹脂層と、ポリカーボネ
ート系樹脂層からなる透明性と耐候性を有する積層体
を、透明性および耐候性が優れた形でリサイクルする技
術について種々の検討を重ねた結果、従来よりも重量平
均分子量が低分子量でありながら極めて良好な耐候性を
有する特定組成のアクリル系樹脂の開発に成功すると共
に、特定の組成と特定の分子量とを持つ該アクリル系樹
脂層とポリカーボネート系樹脂層との積層体をリサイク
ルした場合には、透明性および耐候性に優れたアクリル
系樹脂/ポリカーボネート系樹脂組成物が得られること
を見出し、本発明を完成するに至った。なお、本発明に
おける「アクリル系樹脂/ポリカーボネート系樹脂組成
物」とは、アクリル系樹脂とポリカーボネート系樹脂を
主成分とする樹脂混合物を意味し、本発明の目的を阻害
しない範囲で他の成分(静電防止剤、酸化防止剤等の樹
脂改質剤等)をも含み得るものである。以下、本発明を
詳細に説明する。
【0016】本発明のリサイクル方法に係る積層体のう
ち、アクリル系樹脂は、表面保護層形成成分としてポリ
カーボネート系樹脂層の耐候性を改善すべく用いられる
ため、それ自体が良好な耐候性を有するものである。
【0017】本発明に係るアクリル系樹脂の内、第1の
態様は、ラジカル重合性を有する紫外線吸収性単量体、
紫外線安定性単量体および上記一般式(1)で表される
アルキル基含有(メタ)アクリレートよりなる群から選
択される少なくとも1種が共重合成分として用いられた
ものである。
【0018】上記紫外線吸収性単量体としては、下記の
ラジカル重合性を有するベンゾトリアゾール化合物、ベ
ンゾフェノン化合物およびトリアジン化合物等が挙げら
れ、これらの一種または二種以上が使用される。
【0019】ラジカル重合性を有するベンゾトリアゾー
ル化合物の具体例としては、2−[2’−ヒドロキシ−
5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−
2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−
5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−
5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−
ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシプロピ
ルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’
−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシプロ
ピルフェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾー
ル、2−[2’−ヒドロキシ− 3’−tert−ブチ
ル−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニ
ル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロ
キシ−3’−tert−ブチル−5’−(メタ)アクリ
ロイルオキシエチルフェニル]−5−クロロ−2H−ベ
ンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0020】ラジカル重合性を有するベンゾフェノン化
合物の具体例としては、2−ヒドロキシ−4−[2−
(メタ)アクリロイルオキシ]エトキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリロイル
オキシ]ブトキシベンゾフェノン、2−2’−ジヒドロ
キシ−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エトキ
シベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−[2−(メ
タ)アクリロイルオキシ]エトキシ−4’−(2−ヒド
ロキシエトキシ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0021】ラジカル重合性を有するトリアジン化合物
の具体例としては、2,4−ジフェニル−6−[2−ヒ
ドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)]
−s−トリアジン、2,4−ビス(2−メチルフェニ
ル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイル
オキシエトキシ)]−s−トリアジン、2,4−ビス
(2−メトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4
−(2−アクリロイルオキシエトキシ)]−s−トリア
ジン、2,4−ビス(2−エチルフェニル)−6−[2
−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキ
シ)]−s−トリアジン、2,4−ビス(2−エトキシ
フェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリ
ロイルオキシエトキシ)]−s−トリアジン、2,4−
ジフェニル−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−メタク
リロイルオキシエトキシ)]−s−トリアジン、2,4
−ビス(2−メチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ
−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)]−s−
トリアジン、2,4−ビス(2−メトキシフェニル)−
6−[2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキ
シエトキシ)]−s−トリアジン、2,4−ビス(2−
エチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−
メタクリロイルオキシエトキシ)]−s−トリアジン、
2,4−ビス(2−エトキシフェニル)−6−[2−ヒ
ドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキ
シ)]−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメ
トキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−
アクリロイルオキシエトキシ)]−s−トリアジン、
2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2
−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキ
シ)]−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジエ
トキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−
アクリロイルオキシエトキシ)]−s−トリアジン、
2,4−ビス(2,4−ジエチルフェニル)−6−[2
−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキ
シ)]−s−トリアジン等が挙げられる。
【0022】上記の紫外線吸収性単量体は、後述する他
の(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体や紫外線安
定性単量体、上記一般式(1)で示されるアルキル基含
有(メタ)アクリレートと共重合されるが、その場合、
紫外線吸収性単量体の仕込量の下限は、用いるモノマー
成分の合計量を100質量%として、0.5質量%以
上、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量
%以上が推奨される。仕込量が上記範囲を下回るとリサ
イクル前の積層体において、かかるアクリル系樹脂層の
紫外線吸収効果が期待できない。また、その上限は90
質量%以下、好ましくは70質量%以下、さらに好まし
くは50質量%以下が推奨される。上記範囲を超えると
アクリル系樹脂層が硬くもろくなり、リサイクル前の積
層体においてクラックが生じて該積層体の耐候性が低下
すると共に、リサイクル後の樹脂組成物の透明性が低下
する。
【0023】上記ラジカル重合性を有する紫外線安定性
単量体の具体例としては、4−(メタ)アクリロイルオ
キシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−
(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラ
メチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−
1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−
(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペ
ンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アク
リロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テト
ラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)ア
クリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)ア
クリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルア
ミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−
クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン等が挙げられ、これらの一
種または二種以上が使用される。
【0024】上記の紫外線安定性単量体は、後述する他
の(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体や上記紫外
線吸収性単量体、上記一般式(1)で表されるアルキル
基含有(メタ)アクリレートと共重合されるが、その場
合、紫外線安定性単量体の仕込量の下限は、用いるモノ
マー成分の合計量を100質量%として、0.1質量%
以上、好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは
0.5質量%以上が推奨される。仕込量が上記範囲を下
回るとリサイクル前の積層体において、かかるアクリル
系樹脂層の紫外線安定効果が期待できない。また、その
上限は20質量%以下、好ましくは10質量%以下、さ
らに好ましくは5質量%以下が推奨される。上記範囲を
超えると、リサイクル前の積層体において表面保護層で
あるアクリル系樹脂層が黄変し易く、また、紫外線安定
性単量体は塩基性を示すため、該積層体のリサイクル後
に樹脂組成物中のポリカーボネート系樹脂成分の加水分
解を招くおそれがある。
【0025】本発明に係るアルキル基含有(メタ)アク
リレートは、上記一般式(1)で表され、ラジカル重合
性を有するものである。
【0026】上記一般式(1)中、Zで表される置換基
は、側鎖を有するブチル基または炭素数が5以上の鎖状
あるいは環状炭化水素基である。具体的には、イソブチ
ル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基;シクロ
ヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロドデシル
基、などの炭素数5以上の脂環式炭化水素基;2−エチ
ルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デ
シル基、ウンデシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、
オクタデシル基など炭素数5以上の直鎖または分枝鎖の
アルキル基;ボルニル基、イソボルニル基の炭素数5以
上の多環式炭化水素基である。
【0027】上記アルキル基含有(メタ)アクリレート
の具体例としては、メチルシクロヘキシル(メタ)アク
リレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)ア
クリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シ
クロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメ
チル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メ
タ)アクリレート、4−メチロールシクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシル(メタ)
アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、
シクロオクチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メ
タ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレー
ト、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル
(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
ト、イソボルニル(メタ)アクリレート、ステアリル
(メタ)アクリレート、2―エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、オクチル(メタ)アクリレート等が挙げら
れ、これらの一種または二種以上が使用される。
【0028】上記のアルキル基含有(メタ)アクリレー
トは、後述する他の(メタ)アクリル系ラジカル重合性
単量体や上記の紫外線吸収性単量体、紫外線安定性単量
体と共重合されるが、その場合、アルキル基含有(メ
タ)アクリレートの仕込量の下限は、用いるモノマー成
分の合計量を100質量%として、10質量%以上、好
ましくは12質量%以上、さらに好ましくは15質量%
以上が推奨される。仕込量が上記範囲を下回るとリサイ
クル前の積層体において、かかるアクリル系樹脂層のア
ルキル基含有(メタ)アクリレートの導入に基づく耐候
性の向上がほとんど期待できない。また、その上限は9
0質量%以下、好ましくは70質量%以下、さらに好ま
しくは50質量%以下が推奨される。上記範囲を超える
とアクリル系樹脂層が硬くもろくなり、リサイクル前の
積層体においてクラックが生じて該積層体の耐候性が低
下する。
【0029】本発明に係る、上記第1の態様のアクリル
系樹脂においては、より高い耐候性を確保し得る点で、
上記紫外線吸収性単量体を共重合成分として用いた態様
が好ましく、上記紫外線吸収性単量体と、上記紫外線安
定性単量体および/または上記一般式(1)で表される
アルキル基含有(メタ)アクリレートを共重合成分とし
て用いた態様がさらに好ましい。
【0030】本発明に係るアクリル系樹脂の内、第2の
態様である無機微粒子を含有するアクリル系樹脂とは、
均一分散が困難なサブミクロン域の径の無機微粒子を均
一分散させるべく、1分子中に、酸基および/またはア
ミノ基を0.0002〜2mol/kgの範囲で有し、
かつ、2個のヘテロ原子の間に直接または炭素を介して
炭素数が3以上のアルキレン基が挟まれた構造を有する
アクリル系樹脂である。
【0031】かかるアクリル系樹脂においては、ヘテロ
原子に挟まれた炭素数3以上のアルキレン基が無機微粒
子に対する親和力を発揮し、また後述する酸基またはア
ミノ基が無機微粒子の吸着点となっていると推測され
る。すなわち、アクリル系樹脂中に上記特定のアルキレ
ン構造が存在することにより、該樹脂の無機微粒子に対
する親和性が向上すると共に、該樹脂中の酸基またはア
ミノ基がイオン的に無機微粒子を吸着するため、無機微
粒子が凝集していても機械的撹拌のみによって分散が進
み、均一な分散状態が得られるものと考えられる。そし
て、均一分散の結果、本発明に係る無機微粒子を含有す
るアクリル系樹脂から得られる塗膜あるいは成形体は、
透明性および色調に優れたものとなる。
【0032】アルキレン基の炭素数は3以上でなけれ
ば、無機微粒子の分散性が向上せず、最終的に良好な透
明性の塗膜や成形体を得ることができないため好ましく
ない。アルキレン基のより好ましい炭素数は4以上であ
る。また炭素数の好ましい上限は18である。
【0033】また、このアルキレン基は、直接または炭
素原子を介して、ヘテロ原子で挟まれている必要があ
る。これが良好であるのは、上記アルキレン基がヘテロ
原子で挟まれていることによって、無機微粒子に対する
親和性を示すのに適度な極性を発現するためと考えられ
る。なお、ヘテロ原子とは、主として酸素原子や窒素原
子等が挙げられる。
【0034】「2個のヘテロ原子の間に直接または『炭
素を介して』炭素数が3以上のアルキレン基が挟まれて
いる構造」の「炭素を介して」とは、ヘテロ原子にカル
ボニル基の炭素等、アルキレン基を構成しない炭素原子
が結合し、この炭素原子にアルキレン基が結合した構造
を意味している。一方、ヘテロ原子の間にアルキレン基
のみが存在していれば「直接」挟まれている構造を意味
する。
【0035】炭素数が3以上のアルキレン基としては、
特に限定はないが、メチレン基が3個以上連続した構造
が好ましい。例えばトリメチレン、テトラメチレン、ペ
ンタメチレン、ヘキサメチレン等が挙げられる。なお、
炭素数が3以上のアルキレン基としては、環式構造のも
のよりも鎖式構造のものの方が好ましい。
【0036】無機微粒子を含有するアクリル系樹脂の分
子中に炭素が3以上のアルキレン基がヘテロ原子に挟ま
れた構造が存在するとは、主鎖および/または側鎖にこ
のような構造が組み込まれていることを示し、下記
(a)〜(f)の形態が代表的な上記構造の例として挙
げられる。
【0037】
【化3】
【0038】上記構造(a)中、R2は、炭素数1以上
のアルキレン基、シクロ環または芳香環を表し構造
(c)および(d)中、nはカプロラクトンの付加モル
数を表す。なお、構造(a)にのみ、主鎖も併記してい
る。つまり、構造(a),(b),(c),(d)は、
上記アクリル系樹脂の側鎖に上記構造を持つ例である。
また、上記nは、特に限定されない整数であるが、具体
的には、1から50の整数である。上記のうち、特に、
構造(a)および(b)のように、2個のヘテロ原子の
間に特定のアルキレン構造を有し、かつ、側鎖末端にカ
ルボキシル基が位置している構造が側鎖に存在する場合
は、無機微粒子の分散性に非常に優れているため好まし
い。
【0039】また、主鎖中に上記特定の構造が存在する
場合には、下記(e),(f)の形態が代表例として挙
げられる。
【0040】
【化4】
【0041】炭素数が3以上のアルキレン基をヘテロ原
子に挟まれた状態で分子中に存在させるには、この構造
を有する単量体を用いてポリマーを作製する方法、ある
いはこの構造を有する化合物を側鎖に付加する方法等を
採ることができる。
【0042】上記特定のアルキレン構造を有するラジカ
ル重合性単量体の具体例としては、カプロラクトン変性
カルボキシ(メタ)アクリレート(例えば、ダイセル化
学工業社製「プラクセルFMA」シリーズ)等が挙げら
れる。「プラクセルFM4A」は、側鎖に特定のアルキ
レン構造を有する形態として例示した構造(a)を有す
る(メタ)アクリレートである。カプロラクトンが4モ
ル付加しており、ヘテロ原子にカルボニル炭素1個を介
して挟まれたペンタメチレン基(カプロラクトンに由来
する)部分が4つ連結している。なお、R2はエチレン
基である。「プラクセルFM10A」は、カプロラクト
ンを10モル付加させているので、上記ペンタメチレン
基部分が10個連結した構造である。これらの単量体
は、1分子中に無機微粒子に対する親和性に寄与すると
考えられる特定構造のアルキレン基と、無機微粒子への
吸着点となり得るカルボキシル基とを有しており、本発
明に係る無機微粒子を含有するアクリル系樹脂にこれら
の官能基を容易に導入することができ、上述の紫外線吸
収性単量体、紫外線安定性単量体、上記一般式(1)で
表されるアルキル基含有(メタ)アクリレートおよび後
述する他の(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体と
も共重合するため、特に好ましいものとして挙げること
ができる。
【0043】また、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メ
タ)アクリレート(例えば、ダイセル化学工業社製「プ
ラクセルF」シリーズ)、カプロラクトン変性アセトア
セチル(メタ)アクリレート(例えば、ダイセル化学工
業社製「プラクセルATF」シリーズ)等も、本発明に
係る無機微粒子を含有するアクリル系樹脂の側鎖に特定
のアルキレン構造を導入するための単量体として用いる
ことができる。これらは、後述する酸基および/または
アミノ基を有する単量体と併用すると、無機微粒子を含
有するアクリル系樹脂中の酸基および/またはアミノ基
を好ましい範囲内にすることができる。
【0044】これらの特定のアルキレン構造を有するラ
ジカル重合性単量体は、後述する他の(メタ)アクリル
系ラジカル重合性単量体と共重合することが好ましい
が、その場合は、無機微粒子との親和性を高める上で、
単量体全量中0.2質量%以上、50質量%以下用いる
ことが好ましい。
【0045】また、本発明に係る無機微粒子を含有する
アクリル系樹脂は、上記の通り、酸基および/またはア
ミノ基が、樹脂1kg中に0.0002〜2molの範
囲で存在しているものである。樹脂中に存在する酸基お
よび/またはアミノ基が、無機微粒子をイオン的に吸着
して、無機微粒子の分散を促進させるため、これらの官
能基を有さないポリマーでは、無機微粒子を均一に分散
させることができない。なお、かかるアクリル系樹脂の
性質上、酸基のみあるいはアミノ基のみを上記範囲で有
していることが好ましいが、両者を有していてもよい。
【0046】酸基とアミノ基の合計は、0.0002m
ol/kg以上、好ましくは0.002mol/kg以
上、さらに好ましくは0.009mol/kg以上が推
奨される。上記範囲を下回ると無機微粒子の分散効果が
発揮されない。また、その上限は2mol/kg以下、
好ましくは1mol/kg以下、さらに好ましくは0.
5mol/kg以下が推奨される。上記範囲を超えると
無機微粒子同士の間が樹脂分子で架橋する状態となり、
無機微粒子を含有するアクリル系樹脂が増粘してしまっ
て取り扱い上好ましくない。酸基の種類としては、カル
ボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等が挙げられ、ア
ミノ基にはイミノ基も含まれる。
【0047】なお、アクリル系樹脂中の酸基濃度は、下
記の方法によって測定することができる。100mlビ
ーカーに、アクリル系樹脂約1.0gを精秤し、混合溶
剤(トルエン/メタノール=7/3vol比)10ml
を加えて混合した後、自動滴定装置にセットし、0.0
2mol/lアルコール性KOHで電位差滴定を行う。
空試験として同様の操作を混合溶媒のみについて行う。
上記試験で得られた結果を下記式に代入して酸基濃度を
算出する。 酸基濃度(mol/kg)={(V1−V2)×f×0.
02}/S V1:本試験の0.02mol/lアルコール性KOH
の使用量(ml) V2:空試験の0.02mol/lアルコール性KOH
の使用量(ml) f:0.02mol/lアルコール性KOHのファクタ
ー(力価) S:試料の重さ(g)
【0048】また、アクリル系樹脂中のアミノ基濃度
は、上記の酸基濃度測定方法に準じ、滴定にパラトルエ
ンスルホン酸標準溶液(酢酸溶液)を用いて測定するこ
とができる。
【0049】無機微粒子を含有するアクリル系樹脂中に
上記官能基を導入する方法としては、これらの官能基を
有するラジカル重合性単量体を共重合単量体として用い
る方法、あるいはこれらの官能基を有する化合物を側鎖
に付加する方法等を採ることができる。
【0050】無機微粒子を含有するアクリル系樹脂中に
酸基を導入するために採用されるラジカル重合性単量体
の具体例としては、上記のカプロラクトン変性カルボキ
シ(メタ)アクリレートの他に、(メタ)アクリル酸、
イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキ
シル基含有単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエ
チルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイル
オキシプロピルアシッドホスフェート等の酸性リン酸基
含有単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、
アリルスルホン酸、イソプレンやブタジエン等のジエン
化合物の共役二重結合の1つをスルホン化した単量体、
スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルメタクリ
レート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスル
ホン酸等のスルホン酸基含有単量体が挙げられる。
【0051】無機微粒子を含有するアクリル系樹脂中に
アミノ基を導入するために採用されるラジカル重合性単
量体の具体例としては、アルキレンイミン、ビニルアミ
ン、アリルアミン、ジメチルアミノエチル(メタ)アク
リレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジ
エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、
アミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0052】また、本発明に係る無機微粒子を含有する
アクリル系樹脂には、上記の特定のアルキレン構造を有
するラジカル重合性単量体と共に、上記の紫外線吸収性
単量体,紫外線安定性単量体および上記一般式(1)で
表されるアルキル基含有(メタ)アクリレートよりなる
群から選択される少なくとも1種以上が共重合単量体と
して用いられても良い。
【0053】上記の紫外線吸収性単量体、紫外線安定性
単量体および上記一般式(1)で表されるアルキル基含
有(メタ)アクリレートよりなる群から選択される少な
くとも1種を共重合成分として用いたアクリル系樹脂、
および無機微粒子を含有するアクリル系樹脂(以下、単
に「アクリル系樹脂」ということがある)において、共
重合単量体として用いられる他の(メタ)アクリル系ラ
ジカル重合性単量体としては、メチル(メタ)アクリレ
ート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)
アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n
−ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸
のアルキルエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等
のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート類;フェニ
ル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレー
ト、トリル(メタ)アクリレート、チシリル(メタ)ア
クリレート、フェネチル(メタ)アクリレート等のアリ
ールアルキル(メタ)アクリレート類;グリシジル(メ
タ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメ
チル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)
アクリレート類;(メタ)アクリルアミド、イミド(メ
タ)アクリレート等の含窒素(メタ)アクリレート類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の2個以上
の重合性二重結合を有する(メタ)アクリレート類等が
挙げられる。この他、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の
ハロゲン含有単量体;スチレン、α−メチルスチレン、
ビニルトルエン等の芳香族単量体;酢酸ビニル等のビニ
ルエステル;ビニルエーテル;2−イソプロペニル−2
−オキサゾリン;マクロモノマー(例えば、東亞合成化
学工業社製「AA−6」、「AS−6」、「AB−6」
等)等のラジカル重合性単量体を用いてもよい。
【0054】特に、リサイクル時の溶融混練あるいは成
形工程中のアクリル系樹脂の熱分解を抑制する点から、
下記一般式で表されるN置換マレイミド類単量体を用い
ることが推奨される。
【0055】
【化5】
【0056】(Xはシクロヘキシル基または1〜5個の
置換基を有するシクロヘキシル基であり、該置換基は1
〜6個の炭素原子を有するアルキル基あるいはフェニル
基である)。
【0057】上記N置換マレイミドの具体例としては、
N−フェニルマレイミド,N−シクロヘキシルマレイミ
ド,N−2−メチルシクロヘキシルマレイミド,N−4
−メチルシクロヘキシルマレイミド,N−3,3,5−
トリメチルシクロヘキシルマレイミド,N−4−エチル
シクロヘキシルマレイミド,N−2−tert−ブチル
シクロヘキシルマレイミド,N−4−tert−ブチル
シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
【0058】上記他の(メタ)アクリル系ラジカル重合
性単量体、上記一般式で示されるN置換マレイミド類単
量体およびその他のラジカル重合性単量体は、必要に応
じて一種のみを用いても良く、また二種以上を用いても
良い。
【0059】なお、アクリル系樹脂においては、芳香環
を含む共重合単量体を用いると一般に耐候性が低下する
場合が多い。しかし、本発明に係るアクリル系樹脂で
は、上述の紫外線吸収性単量体、紫外線安定性単量体、
上記一般式(1)で表されるアルキル基含有(メタ)ア
クリレート、後述する無機微粒子を用いることで耐候性
の向上を図っているので、これらの効果による耐候性を
阻害しない範囲であれば、本発明に係るアクリル系樹脂
においては、上記具体例として挙げた芳香環を含む共重
合単量体も用いることができる。
【0060】本発明に係るアクリル系樹脂の重合におい
て、上記各種単量体の混合方法は、特に限定されるもの
ではなく、公知の混合方法が採用され得る。
【0061】また、単量体組成物を共重合させる際のラ
ジカル重合方法は、特に限定されるものではなく、公知
の重合方法が採用され得る。例えば、溶液重合、分散重
合、懸濁重合、乳化重合等の重合方法が使用できる。溶
液重合法を用いて単量体組成物を重合させる場合に用い
ることができる溶媒としては、例えばトルエン、キシレ
ン、その他の芳香族系溶媒;iso−プロピルアルコー
ル、n−ブチルアルコール、プロピレングリコールメチ
ルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル等
のアルコール系溶媒;酢酸ブチル、酢酸エチル、セロソ
ルブアセテート等のエステル系溶媒;アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶
媒;ジメチルホルムアミド等が挙げられ、これら溶媒は
1種類のみを使用してもよいし、2種類以上を混合して
使用してもよい。なお、溶媒の使用量は生成物の濃度等
を考慮して、適宜定めればよい。
【0062】また、単量体組成物をラジカル重合させる
際には重合開始剤を用いる。重合開始剤としては、例え
ば、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリ
ル)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサ
ノエート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベ
ンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオ
キサイド等の通常のラジカル重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤の使用量は、要求されるポリマーの特性値等
から適宜決定されるべきものであり、特に限定はない
が、単量体成分全量に対して0.01質量%以上、好ま
しくは0.05質量%以上が、また、50質量%以下、
好ましくは20質量%が推奨される。
【0063】反応温度は、特に限定されるものではない
が、室温以上、好ましくは40℃以上が、また、200
℃以下、好ましくは140℃以下が推奨される。なお反
応時間は、用いる単量体組成物の組成や重合開始剤の種
類等に応じて、重合反応が完結するように適宜設定すれ
ばよい。
【0064】本発明に係る紫外線吸収性単量体、紫外線
安定性単量体および上記一般式(1)で表されるアルキ
ル基含有(メタ)アクリレートよりなる群から選択され
る少なくとも1種を共重合成分として用いたアクリル系
樹脂、および無機微粒子を含有するアクリル系樹脂の重
量平均分子量の下限は2000以上、好ましくは400
0以上であり、その上限は35000以下、好ましくは
30000以下、さらに好ましくは25000以下であ
る。上記下限を下回るとリサイクル前の積層体におい
て、各アクリル系樹脂の耐候性が不足するため、ポリカ
ーボネート系樹脂層の表面保護層としては不十分であ
る。また、上記上限を超えると、このアクリル系樹脂を
表面保護層とした積層体をリサイクルした樹脂組成物の
透明性が低下する。
【0065】本発明に係る無機微粒子を含有するアクリ
ル系樹脂中に分散している無機微粒子の平均粒径は、該
無機微粒子を含有するアクリル系樹脂の透明性や色調を
良好なものとするためには100nm以下、好ましくは
50nm以下が推奨される。また、無機微粒子の、より
優れた分散性の観点からは、5nm以上、好ましくは1
0nm以上が推奨される。また、無機微粒子の粒径分布
が大きすぎると無機微粒子を含有するアクリル系樹脂層
の透明性が低下するおそれがあることから、該粒径の変
動係数は50%以下、好ましくは30%以下が推奨され
る。なお、上記の平均粒径とは、無機微粒子を含む分散
液を必要に応じて塗料溶媒で希釈して、動的光散乱方式
による粒径アナライザー(「NICOMPModel1
370」野崎産業社製)を用いて測定した質量基準の平
均分散粒径をいう。
【0066】本発明に係る無機微粒子を含有するアクリ
ル系樹脂中に分散している無機微粒子としては、特に制
限はなく、例えば金属、金属窒化物、金属酸窒化物、金
属炭化物、金属酸化物等の無機微粒子が挙げられる。無
機微粒子を含有するアクリル系樹脂の透明性および耐候
性が求められている点で、上記無機微粒子の中でも、熱
線および/または紫外線遮蔽能を有する金属酸化物の微
粒子が好ましく使用される。
【0067】上記の好ましい金属酸化物としては、例え
ば酸化亜鉛、酸化インジウムおよび/または酸化インジ
ウムにIV価金属元素および/またはFを含有させた酸化
インジウム系酸化物、酸化スズおよび/または酸化スズ
にV価金属元素および/またはFを含有させた酸化スズ
系酸化物、酸化亜鉛にIIIB族金属元素、IVB族金属元素
等のIII価金属元素、IV価金属元素、FおよびCのうち
少なくとも一つの元素を含有させた酸化亜鉛系酸化物、
スズ酸カドミウム等が挙げられる。これらの無機微粒子
の製造法は、例えば、特開平8−253317号、特開
平9−59591号等に開示されている。
【0068】本発明に係る無機微粒子の形状は、球状、
針状、板状、鱗片状、破砕状等任意の形状でよく、特に
限定されない。また、より一層の分散性向上を図るた
め、有機酸系、カップリング剤系、界面活性剤、金属石
鹸系、金属塩系、アルカリシリケート系、リン酸塩系、
金属アルコキシド系等から選択される1種または2種以
上の表面処理剤で無機微粒子表面を処理してもよい。
【0069】本発明に係る無機微粒子を含有するアクリ
ル系樹脂において、無機微粒子の含有量は、アクリル系
樹脂100質量部に対して1質量部以上、好ましくは1
0質量部以上が推奨され、また、90質量部以下、好ま
しくは80質量部以下が推奨される。無機微粒子の含有
量が上記範囲を下回ると充分な熱線および/または紫外
線遮蔽効果を得ることができないことがあり、他方、上
記範囲を超えると当該アクリル系樹脂から得られる塗膜
や成形体の透明性、色調の他、可撓性等の物性が低下す
るおそれがある。
【0070】本発明に係る無機微粒子を含有するアクリ
ル系樹脂において、無機微粒子を樹脂中に分散させるに
は、必要により溶剤の存在下で、単軸あるいは二軸押出
機、ラボプラストミル、ブラベンダ型ミキサー、ボール
ミル、アトライター、サンドグライダ、三本ロール、高
速インペラーミル、ジェットミル、ニーダ、ペイントシ
ェーカー、ホモジナイザー、超音波分散機等の公知の撹
拌機や分散機を使用して、両者を混合撹拌すればよい。
【0071】本発明に係る積層体のうち、ポリカーボネ
ート系樹脂は、ビスフェノールAに代表される二価のフ
ェノール系化合物から誘導される重合体が用いられる。
ポリカーボネート系樹脂の製造方法については特に限定
せず、ホスゲン法、エステル交換法あるいは固相重合法
のいずれにより製造されたものでも使用できる。また、
分子鎖中にアゾ基のような重合開始基を有するポリカー
ボネート系樹脂とラジカル重合性単量体とをラジカル重
合反応させて得られるポリカーボネート系ブロック共重
合体も使用できる。
【0072】本発明に係るアクリル系樹脂およびポリカ
ーボネート系樹脂には、必要に応じて種々の添加剤が含
有されていても良い。添加剤としては、例えば、紫外線
吸収剤;紫外線安定剤;塗料等の層形成用組成物に一般
に使用されるレベリング剤;カーボンブラック等の着色
剤;顔料分散剤;酸化防止剤;粘性改質剤;シランカッ
プリング剤;金属不活性化剤;過酸化物分解剤;充填
剤;補強剤;可塑剤;潤滑剤;防食剤;防錆剤;蛍光性
増白剤;有機・無機防炎剤;滴下防止剤;溶融流改質
剤;静電防止剤;難燃剤;熱安定剤等が挙げられる。ま
た、フタロシアニン化合物や、特開平9−59591号
に開示されているような近赤外域に吸収を持ち、かつ溶
解性と耐候性に優れている有機系色素等を配合してもよ
い。
【0073】本発明のリサイクル方法においては、上記
のアクリル系樹脂とポリカーボネート系樹脂との積層体
からアクリル系樹脂/ポリカーボネート系樹脂組成物
(以下、単に「樹脂組成物」ということがある)を得る
ためには、例えば該積層体を公知の方法を用いて溶融混
練して射出成形する方法や、溶媒に溶解させてアクリル
系樹脂とポリカーボネート系樹脂を混合した後、該溶媒
を除去する方法等が採用される。これらの場合、積層体
は粉砕されていることが、アクリル系樹脂とポリカーボ
ネート系樹脂を均一に混合し易くする上で好ましい。粉
砕方法は特に限定されず、公知の方法を採用することが
できる。
【0074】アクリル系樹脂とポリカーボネート系樹脂
との積層体を溶融混練する方法としては既述の通り、公
知の方法、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ラボプラ
ストミル、ブラベンダー型ミキサー、ボールミル、アト
ライター、サンドグライダ、三本ロール、高速インペラ
ーミル、ジェットミル、ニーダ等を用いることができ
る。
【0075】また、本発明のリサイクル方法では、得ら
れるアクリル系樹脂/ポリカーボネート系樹脂組成物を
成形体とする場合が多く、単軸押出機、二軸押出機等で
上記積層体を溶融混練し、射出成形、押出成形等をする
方法が採用される。なお、成形方法はこれらに限られ
ず、公知の成形方法が利用可能である。
【0076】この他、溶媒を用いて混合後、該溶媒を除
去する方法では、溶媒として上記の積層体を構成するア
クリル系樹脂とポリカーボネート系樹脂の両者を溶解し
得るもの(例えば、シクロヘキサノン等のケトン類等)
を用いる。積層体を溶媒に溶解させる方法は特に限定さ
れず、公知の方法が利用可能である。なお、溶媒に溶解
後の樹脂組成物溶液から該溶媒を除去して得られた樹脂
組成物を用いて、上記の成形方法により成形することが
可能であるが、該樹脂組成物溶液から、キャスト等の方
法により直接成形することも可能である。
【0077】本発明のリサイクル方法において、リサイ
クル後の用途に応じた性質を有する樹脂組成物を得るた
めに、アクリル系樹脂とポリカーボネート系樹脂との積
層体を溶融混練あるいは溶媒に溶解する際に、さらにア
クリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂を加えることも
可能である。例えば、リサイクル後の樹脂組成物を再び
表面保護層としてポリカーボネート系樹脂との積層体に
利用する場合には、該樹脂組成物の耐候性が不足するこ
とが考えられる。よって、樹脂組成物に十分な耐候性を
持たせるべく、リサイクルの際にはさらにアクリル系樹
脂を加えることが好ましい。なお、リサイクルの際に加
えられるアクリル系樹脂およびポリカーボネート系樹脂
は、リサイクル前の積層体に用いられていたものと同じ
ものに限られず、リサイクル後に得られる樹脂組成物の
透明性および耐候性を阻害しない範囲で、異なる構造の
アクリル系樹脂あるいはポリカーボネート系樹脂を用い
ることもできる。
【0078】具体的には、リサイクル前の積層体におい
て、アクリル系樹脂をA樹脂、ポリカーボネート系樹脂
をB樹脂とし、A樹脂とB樹脂の合計量を100質量部
とすると、A樹脂の含有量が0.1〜50質量部である
ことが好ましい。より具体的には、A樹脂の含有量が
0.1〜50質量部で、B樹脂の含有量が50〜99.
9質量部の範囲であることが好ましい。
【0079】そして、リサイクル後に得られる樹脂組成
物における前記A樹脂と前記B樹脂の合計量を100質
量部とするとき、該樹脂組成物が基材の表面保護層とし
て再利用され、耐候性が要求される場合には、該樹脂組
成物中のA樹脂の含有量がB樹脂の含有量よりも多くな
るように、リサイクル時にさらにA樹脂を加えることが
好ましく、A樹脂が70質量部以上となるようにするこ
とが好ましい。より具体的には、この耐候性を有するリ
サイクル材の場合、得られたリサイクル後の樹脂組成物
におけるA樹脂とB樹脂の合計量を100質量部とした
場合、A樹脂が70〜90質量部、B樹脂が10〜30
質量部の範囲になるように調整することが好ましい。
【0080】他方、リサイクル後の樹脂組成物が基材と
して再利用され、機械的強度が要求される場合には、該
樹脂組成物中のB樹脂の含有量がA樹脂の含有量よりも
多くなるように、リサイクル時にさらにB樹脂を加える
ことが好ましく、B樹脂が50質量部以上となるように
することが好ましい。より具体的には、この機械的強度
を有するリサイクル材の場合、得られたリサイクル後の
樹脂組成物におけるA樹脂とB樹脂の合計量を100質
量部とした場合、A樹脂が0.1〜50質量部、B樹脂
が50〜99.9質量部の範囲に調整することが好まし
い。
【0081】さらに、本発明のリサイクル方法において
は、リサイクル前のアクリル系樹脂とポリカーボネート
系樹脂との積層体、およびリサイクル後のアクリル系樹
脂/ポリカーボネート系樹脂組成物が、該積層体および
該樹脂組成物の透明性および耐候性を阻害しない範囲
で、該アクリル系樹脂およびポリカーボネート系樹脂以
外の熱可塑性樹脂を含むものであってもよい。このよう
な熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポ
リスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
樹脂、ポリアミド、メタクリル樹脂、熱可塑性ポリウレ
タン樹脂、ポリオレフィンなどが挙げられる。上記他の
熱可塑性樹脂の含有量は、特に限定されるものではない
が、例えば、本発明に係る上記A樹脂と上記B樹脂の合
計量を100質量部とすると、0〜40質量部の範囲が
好ましい。さらに好ましくは0〜30質量部、特に好ま
しくは0〜20質量部が推奨される。
【0082】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより、下記実施例によって制
限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る
範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、
それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。な
お、下記の例において「部」とあるのは「質量部」を、
「%」とは「質量%」を意味する。
【0083】[ポリカーボネート樹脂シートの製造]ポ
リカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製「パンライト
K−1285WP」)粉体を、Tダイ押出機を用いて2
80℃で、厚さ3mmのシートに成形した。
【0084】実施例1 撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口
を備えた300mlのフラスコにtert−ブチルメタ
クリレート(以下「tBMA」と略記する)40部、メ
チルメタクリレート(以下「MMA」と略記する)50
部、ブチルアクリレート(以下「BA」と略記する)1
0部、プロピレングリコールモノメチルエーテル75部
を仕込み、窒素ガスを導入して撹拌しながら120℃に
昇温した。重合開始剤としてtert−ブチルパーオキ
シ−2−エチルヘキサノエート(以下、単に「開始剤」
という)0.8部とプロピレングリコールモノメチルエ
ーテル25部の混合物を4時間かけて仕込物に滴下し、
滴下後さらに3時間加熱してアクリル系樹脂が49.9
%含まれたプロピレングリコールモノメチルエーテル溶
液を得た。
【0085】得られたアクリル系樹脂のポリスチレン換
算の重量平均分子量を、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー(東ソー社製「HLC−8120GPC」)
を使用して、カラムとして「TSKgel G―500
0HXL」と「TSKgelGMHXL―L」(いずれ
も東ソー社製)を直列につないで使用し、測定した。結
果を表2に示す。
【0086】上記アクリル系樹脂のプロピレングリコー
ルモノメチルエーテル溶液にレベリング剤(ビッグケミ
ー社製「BYK331」)0.03部を添加した。次に
これをプロピレングリコールモノメチルエーテルで適当
な粘度に希釈して、上記ポリカーボネート樹脂シートの
片側に、最終乾燥状態での厚さが20μmとなるように
塗工し、室温で10分間放置後、120℃で5分間乾燥
して、アクリル系樹脂とポリカーボネート樹脂との積層
体を得た。
【0087】上記積層体を粉砕し、Tダイ押出機を用い
て280℃で、厚さ3mmのアクリル系樹脂/ポリカー
ボネート樹脂組成物のリサイクルシートを得た。
【0088】上記リサイクル前の積層体、およびリサイ
クル後の樹脂組成物シートの透明性および耐候性を下記
の方法により測定した。
【0089】[透明性]上記リサイクル前の積層体、お
よびリサイクル後の樹脂組成物シートの透明性を、以下
の基準により目視にて評価した。 ◎:透明, ○:僅かに濁りあり, ×:白濁
【0090】[耐候性]サンシャインウェザーメーター
(スガ試験機社製「S−WOM」)を使用して、ブラッ
クパネル温度63℃、1サイクル120分で、内降雨時
間18分とした場合の、所定時間後の上記積層体および
樹脂組成物シートの、外観および耐候性試験前後での変
色度を目視にて評価した。なお、耐候性試験後の外観の
評価において、「微小クラック」とは試験片に微細なク
ラックがわずかに観察される場合を意味する。また、耐
候性試験前後での変色度の評価基準は次の通りである。 ◎:変色せず, ○:僅かに黄変, ×:黄変が激しい
【0091】結果を表2に示す。
【0092】実施例2〜5、比較例1〜2 表1に示す組成および配合量で実施例1と同様にしてア
クリル系樹脂を作製し、実施例1と同様にして重量平均
分子量を測定した。なお、表1中、RUVA93は2−
[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエ
チル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化
学社製「RUVA−93」)を、UVA−Bは2,4−
ビス(2−メチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−
4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)]−s−トリ
アジンを、LA82は4−メタクリロイルオキシ−1,
2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(旭電化工業
社製「アデカスタブLA−82」)を、CHMAはシク
ロヘキシルメタクリレートを、CHMIはN−シクロヘ
キシルマレイミドを、NVは不揮発分(%)を夫々示
す。
【0093】得られたアクリル系樹脂を用いて、実施例
1と同様にしてポリカーボネート樹脂との積層体を作製
し、該積層体を用いて実施例1と同様にしてアクリル系
樹脂/ポリカーボネート樹脂組成物シートを作製した。
これらの積層体および樹脂組成物シートについて実施例
1と同様にして透明性および耐候性を評価した。結果を
表2に示す。
【0094】実施例6〜9 表1に示す組成および配合量で実施例1と同様にしてア
クリル系樹脂を作製し、実施例1と同様にして重量平均
分子量を測定した。なお、表1中、FM4Aはカプロラ
クトン変性カルボキシル基含有メタクリレート(ダイセ
ル化学工業社製「プラクセルFM−4A」)を示す。
【0095】上記アクリル系樹脂のプロピレングリコー
ルモノメチルエーテル溶液100部に、上記特開平8−
253317号公報に記載された平均粒径20nmの熱
線吸収能を有する酸化亜鉛(表1中「ZnO」と記載す
る)75部を添加してペイントシェーカーで5分間撹拌
した溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてアクリル
系樹脂とポリカーボネート樹脂との積層体を作製し、該
積層体を用いて実施例1と同様にしてアクリル系樹脂/
ポリカーボネート樹脂組成物シートを作製した。これら
を実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
【0096】従来例 撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口
を備えた300mlのフラスコにシクロヘキシルアクリ
レート10部、ベンジルメタクリレート20部、フェニ
ルメタクリレート70部、プロピレングリコールモノメ
チルエーテル75部を仕込み、窒素ガスを導入して撹拌
しながら120℃に昇温した。開始剤0.2部とプロピ
レングリコールモノメチルエーテル25部の混合物を4
時間かけて仕込物に滴下し、滴下後さらに3時間加熱し
てアクリル系樹脂が49.9%含まれたプロピレングリ
コールモノメチルエーテル溶液を得た。かかるアクリル
系樹脂は、上記特開平4−361036号公報の実施例
3に係るアクリル樹脂と共重合単量体の仕込組成を同じ
くするものである。このアクリル系樹脂の重量平均分子
量を実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
【0097】得られたアクリル系樹脂を用いて、実施例
1と同様にしてポリカーボネート樹脂との積層体を作製
し、該積層体を用いて実施例1と同様にしてアクリル系
樹脂/ポリカーボネート樹脂組成物シートを作製した。
これらの積層体および樹脂組成物シートについて実施例
1と同様にして透明性および耐候性を評価した。結果を
表2に示す。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【0100】本発明の要件を満足する実施例1〜9で
は、いずれもリサイクル前の積層体の透明性および30
0時間試験下での耐候性、さらにはリサイクル後の樹脂
組成物シートの透明性および耐候性が良好であった。特
に実施例3,4,5,8,9はリサイクル前の積層体の
耐候性が3000時間試験下でも良好であり、本発明の
リサイクル方法では、このような極めて良好な耐候性を
有する積層体からであっても、透明性と耐候性に優れた
樹脂組成物を得ることができる。
【0101】これに対し、比較例1は、アクリル系樹脂
の組成が本発明の要件を満たすものではなく、リサイク
ル前の積層体、リサイクル後の樹脂組成物シートのいず
れにおいても耐候性が不足している。
【0102】また、比較例2は、アクリル系樹脂の重量
平均分子量が本発明の範囲を超える例であり、リサイク
ル後の樹脂組成物シートが白濁した。
【0103】なお、特開平4−361036号公報の実
施例3に係るアクリル樹脂と同じ仕込組成から得られた
アクリル系樹脂を用いた従来例では、リサイクル前の積
層体、リサイクル後の樹脂組成物シートのいずれにおい
ても耐候性が不足している。
【0104】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されており、
アクリル系樹脂層とポリカーボネート系樹脂層からな
る、透明性と耐候性を有する積層体から、透明性および
耐候性に優れたアクリル系樹脂/ポリカーボネート系樹
脂組成物を得ることのできるリサイクル方法を提供する
ことができた。本発明のリサイクル方法によれば、上記
積層体のオフ品、成形後のバリ、裁断後の切屑、さらに
は不要となった使用済みの該積層体を用いても上記樹脂
組成物を得ることができるため、廃棄物を減量すること
ができ、経済的である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 3/22 C08K 3/22 C08L 69/00 C08L 69/00 (72)発明者 青山 孝浩 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 Fターム(参考) 4F100 AA01A AA17A AH03A AK24A AK24J AK45B AL01A AL06A CA07A DE01A EH17 EH46 JA07A JD09 JL09 JL16 JN01 YY00A 4F301 AA20 AA26 BA21 BF11 BF15 BF16 BF32 4J002 BG031 BG071 BG081 CG002 DA066 DB016 DE096 DE106 DE166 DF016 FD016 4J100 AB02P AB03P AB04P AC03P AC04P AE02P AG04P AL03P AL03Q AL04Q AL05Q AL08P AL08Q AL09P AL10P AL11P AL16Q AL62P AL63P AL65Q AL66Q AM15P AM47Q AM48Q BA03Q BA05Q BA06Q BA12Q BA21Q BA30Q BA40Q BB01Q BC02Q BC03Q BC04Q BC08Q BC43P BC43Q BC54P BC65Q BC73Q BC75Q CA03 CA05 CA06 DA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紫外線吸収性単量体、紫外線安定性単量
    体および下記一般式(1)で表されるアルキル基含有
    (メタ)アクリレートよりなる群から選択される少なく
    とも1種を共重合成分として用いた重量平均分子量が2
    000〜35000のアクリル系樹脂層と、ポリカーボ
    ネート系樹脂層からなる透明性と耐候性を有する積層体
    を用いて、透明性および耐候性に優れたアクリル系樹脂
    /ポリカーボネート系樹脂組成物を得ることを特徴とす
    るリサイクル方法。 【化1】 (式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、Zは側
    鎖を有するブチル基または炭素数が5以上の炭化水素基
    を表す。)
  2. 【請求項2】 平均粒径が5〜100nmの無機微粒子
    が分散し、且つ重量平均分子量が2000〜35000
    である、無機微粒子を含有するアクリル系樹脂層と、ポ
    リカーボネート系樹脂層からなる透明性と耐候性を有す
    る積層体を用いて、透明性および耐候性に優れたアクリ
    ル系樹脂/ポリカーボネート系樹脂組成物を得ることを
    特徴とするリサイクル方法。
  3. 【請求項3】 前記無機微粒子を含有するアクリル系樹
    脂が、紫外線吸収性単量体、紫外線安定性単量体および
    前記一般式(1)で示されるアルキル基含有(メタ)ア
    クリレートよりなる群から選択される少なくとも1種を
    共重合成分として用いたものである請求項2に記載のリ
    サイクル方法。
  4. 【請求項4】 前記無機微粒子が金属酸化物である請求
    項3に記載のリサイクル方法。
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