JP2000256803A - 高温強度と延性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents
高温強度と延性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼Info
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Abstract
ーステナイト系ステンレス鋼の提供。 【解決手段】Cu:2〜6%、Nb:0.1〜0.8
%、N:0.05〜0.3%を含み、かつNb(%)/
Cu(%):0.06〜0.2を満足し、溶体化熱処理
後の未固溶Nb量を0.03×Cu〜0.085×Cu
(重量%)の範囲内とした鋼。
Description
ント等の高温装置用材料として好適な高温強度と延性に
優れたオーステナイト系ステンレス鋼に関する。
化学プラント等における装置用材料としてSUS304
H、SUS316H、SUS321H、SUS347H
等の18−8系オーステナイトステンレス鋼が使用され
てきた。しかし、近年、このような高温環境下における
装置の使用条件が著しく苛酷化し、それに伴って使用材
料に対する要求性能が厳しくなり、従来用いられてきた
18−8系オーステナイトステンレス鋼では高温強度が
不十分となってきている。一般に、オーステナイト鋼の
高温強度の改善は、炭窒化物による析出強化に加え、高
価なMoやWの多量添加による固溶強化が有効である
が、後者による場合はオーステナイト組織の安定化を図
るため高価なNi含有量の増量が必要となり、製造コス
トが高くなる。
く高温強度を改善した鋼として、本発明者らは、特公平
8−30247号公報や特開平8−13102号公報に
開示されているオーステナイト系耐熱鋼を開発した。こ
の耐熱鋼は、クリープ破断強度を改善するためにCu、
Nb、Nを含有させたことを特徴としている。しかし、
高温強度は改善できたが、Cuを添加しているので、従
来の18−8系オーステナイトステンレス鋼と比較して
延性が低く、冷間加工性やクリープ破断延性が不十分で
あった。
延性に優れたCu、Nb、N含有オーステナイト系ステ
ンレス鋼を提供することにある。
(1)および(2)のオーステナイト系ステンレス鋼に
ある。
%、Si:1.5%以下、Mn:0.1〜2%、Cr:
15〜25%、Ni:6〜25%、Cu:2〜6%、N
b:0.1〜0.8%、Al:0.3%以下、N:0.
05〜0.3%およびMgとCaの1種以上を合計で0
〜0.015%、B:0〜0.01%を含有し、Nb
(%)/Cu(%)が0.05〜0.2で、かつ溶体化
熱処理後の未固溶Nb量が0.04×Cu(重量%)〜
0.085×Cu(重量%)の範囲内にあり、残部がF
eおよび不可避的不純物からなる高温強度と延性に優れ
たオーステナイト系ステンレス鋼。
%、W:0.5〜4%の1種または2種を含有する上記
(1)の高温強度と延性に優れたオーステナイト系ステ
ンレス鋼。
Cu、Nb、N含有オーステナイト系ステンレス鋼の延
性について鋭意研究をおこなった。その結果、Cu、N
と共に、Nb含有量とCu含有量の比、すなわちNb
(%)/Cu(%)が0.05〜0.2となるようNb
とCuを含有させ、さらに溶体化熱処理後の未固溶Nb
量を、0.04×Cu(%)〜0.085×Cu(%)
の範囲内になるように調整することにより、結晶粒が微
細化し、延性が改善され十分な冷間加工性やクリープ破
断延性等を発現するとの知見を得て本発明を完成させ
た。
明する。本発明例のオーステナイト系ステンレス鋼の化
学組成を限定した理由は次の通りである。なお、下記%
表示は重量%を示す。
素である。さらに高温環境下で使用される際に必要とな
る引張強さおよびクリープ破断強度を確保するためにも
有効な元素である。しかし、0.15%を超えて含有さ
せても溶体化後の未固溶炭化物量が過剰となり、延性、
靭性等の機械的性質が劣化する。したがって、C含有量
の上限は0.15%とする。本発明鋼ではNも含有させ
るためC含有量は低めであってもよいが、上記の効果を
発揮させるために下限は0.03%とする必要がある。
好ましくは、0.05%以上である。
が、含有量が多くなると溶接性や熱間加工性が劣化す
る。また、本発明鋼ではNも含有させるため、Siを多
量に含有させると高温での使用中に析出する窒化物量が
増加し、靭性や延性の低下を招く。従って、Si含有量
は1.5%以下とする。靭性や延性を重視する場合には
0.5%以下とするのが望ましく、さらに望ましくは
0.3%以下である。他の元素で脱酸作用が十分確保さ
れている場合には実質的に含有させなくともよい。
して熱間加工性を改善する元素である。その効果を十分
得るためには0.1%以上含有させる必要がある。しか
し2%を超えると、σ相等の金属間化合物の析出を招
き、高温強度および機械的性質が低下する。したがっ
て、Mn含有量は0.1〜2%とする。より望ましくは
0.3〜2%、さらに組織安定性を重視する場合には
0.5〜1.5%とする。
必要な元素であり、含有量の増加に伴いこれらの性能は
向上する。しかし、その含有量が15%未満では十分な
効果が得られず、一方、25%を超えるとオーステナイ
ト組織が不安定になる。したがってCr含有量は15〜
25%とした。
あり、その最適含有量は鋼中に含まれるCr、Mo、
W、Nb等のフェライト生成元素やC、N等のオーステ
ナイト生成元素の含有量によって定まる。本発明鋼にお
いては6%未満の量ではオーステナイト組織の安定化が
困難であり、一方、25%を超えて含有させると経済的
に不利となるため、その含有量は6〜25%とした。
ーステナイト母相に整合析出し、クリープ破断強度の向
上に大きく寄与するが、その効果を発揮させるには2%
以上含有させることが必要となる。しかし、6%を超え
て含有させるとクリープ破断延性や加工性が劣化する。
従ってCu含有量は2〜6%とした。
破断強度を向上させる元素である。また、本発明におい
ては未固溶炭窒化物の形成により溶体化熱処理後の結晶
粒を微粒化して延性を改善する重要な元素である。その
含有量が0.1%未満では十分な効果が得られず、一方
0.8%を超えて過剰に添加すると溶接性や加工性が劣
化するとともに未固溶の炭窒化物量が過剰となり、機械
的性質が劣化するので、Nbの含有量は0.1〜0.8
%とした。
u(%)を0.05〜0.2とし、かつ溶体化熱処理後
の未固溶Nb量を0.04×Cu(%)〜0.085×
Cu(%)の範囲内となるようにに制御する必要があ
る。
の場合、熱処理条件を最適化しても所定の未固溶Nb量
が確保できない。また、Nb(%)/Cu(%)が0.
2を超えると、溶接性や熱間加工性が低下する。したが
って、Nb(%)/Cu(%)は0.05〜0.2と規
定した。
ナイト系ステンレス鋼の延性を改善するためには、添加
したNbの一部は未固溶Nbとして結晶粒界をピニング
し、結晶微細化効果を発揮する必要がある。未固溶Nb
が0.04×Cu(%)未満の場合、結晶微細化効果が
十分得られない。未固溶Nbが0.085×Cu(%)
を超えると、清浄度が低下してかえって延性、靱性が低
下する。したがって、未固溶Nb量は、Nb炭窒化物を
生成するCやN量によって左右されるほか、最終熱処理
である溶体化処理温度を選定することによって目標の値
に調整することが可能である。
電気分解により地金を溶解して抽出した残渣分析をする
ことにより、含有するNb量を測定することにより簡単
に求めることができる。
超えて含有させると、高温下で長時間使用する際、σ相
等の金属間化合物の析出が促進され、靭性が劣化する。
したがって、Alの含有量は0.3%以下とする。望ま
しくは0.2%以下、さらに望ましくは0.1%以下で
ある。
素である。さらにCと同様、引張強さやクリープ破断強
度の向上に有効な元素であるが、その含有量が0.05
%未満では十分な効果を発揮させることができない。一
方、0.3%を超えて含有させると窒化物の多量析出に
より時効後靭性が低下する。したがって、Nの含有量は
0.05〜0.3%とした。
Sと結合して硫化物等を形成して、S固定により熱間加
工性が改善される。これらの元素はいずれも基本的に同
じ作用、効果をもたらすので、1種のみを含有させても
よく、また、2種複合して含有させてもよい。含有させ
る場合には、合計で0.015%以下とする。前記効果
を得るためには含有量を0.001%以上とするのが好
ましい。しかし、過剰に含有させると逆に熱間加工性が
低下するため、上限は0.015%とする。望ましくは
0.002〜0.01%である。
り微細に分散して、析出強化および粒界強化の作用があ
り、それによりクリープ破断強度の向上に寄与する。含
有させる場合、0.001%未満では前記効果が得られ
ず、一方0.01%を超えて含有させると溶接性が劣化
する。したがって、含有させる場合のB含有量は、0.
001〜0.01%とする。望ましくは0.001〜
0.008%である。
おり、必要に応じて1種又は2種含有させることができ
る。含有させる場合、Mo量が0.3%未満であった
り、W量が0.5%未満であるとその効果が十分発揮さ
れない。一方、Moについては2%、Wについては4%
を超えて含有させるとその効果は飽和傾向を示すととも
に、組織安定性と加工性が劣化する。そのため含有させ
る場合は、Moについては0.3〜2%、Wについては
0.5〜4%とする。
ト系ステンレス鋼を、真空高周波誘導炉により溶製し、
50kgインゴットとした。
さ10mm、幅60mm、長さ500mmの鋼板に仕上げた。
さらに表2に示す1050℃〜1275℃の各種温度で
溶体化熱処理を施し、下記の各試験片を採取した。
mmの試験片 2)曲げ試験片 JIS Z 2204 3号試験片 3)抽出残渣分析試験片 直径8mm、長さ15mm クリープ破断試験は、700℃で15kgf/mm2の応力を
負荷しておこない、破断時間と破断後の伸びを測定し
た。
い、曲げ試験の合否判定は、曲げ部の浸透探傷試験をお
こない、)割れの有無によりおこない、無いものを○印
で示した。
溶Nb量を下記の方法で分析した。すなわち、10体積
%アセチルアセトン+1重量%テトラメチルアンモニウ
ムクロライドのメタノール溶液を用いて電流密度20m
A/cm2で抽出残渣を分離して分析した。これらの試
験結果を表2に示す。
の未固溶Nb量が0.04×Cu(%)〜0.085×
Cu(%)の範囲内にある記号1〜9の本発明例では、
良好なクリープ破断延性と曲げ加工性を有することが分
かる。
化熱処理条件を変えて未固溶Nb量を変化させた本発明
例の表2の試験No.2,3,4および比較例の12、
13を比較すると、未固溶Nb量が本発明で規定する
0.04Cu(%)〜0.085Cu(%)の範囲内に
ある試験No.2、3および4はクリープ破断延性も良
好で曲げ加工性も全て良好である。それに対し、未固溶
Nb量が本発明で規定する範囲外である試験番号12お
よび13は破断延性も低く、曲げ加工性も不芳である。
4、No.8と15、No.10と16は、ほぼ同じ化
学組成の鋼(CとJ、FとK、HとL)を用いた試験結
果であるが、未固溶Nb量が本発明で規定する範囲外で
ある比較例の試験No.14、15および16に比べて
クリープ破断延性が高く、曲げ加工性も良好である。ま
た破断延性が向上し、加速クリープ域が長くなる効果で
クリープ破断時間も本発明鋼の方が長くなる傾向がみら
れる。
は、高温強度を備え、延性に優れており冷間加工が容易
である。しかも、このステンレス鋼は、高価なMoやW
のような合金元素を多量に含有させる必要が無いので経
済的に有利であり、ボイラ等の高温環境で使用される各
種装置部材に好適である。
Claims (2)
- 【請求項1】重量%で、C:0.03〜0.15%、S
i:1.5%以下、Mn:0.1〜2%、Cr:15〜
25%、Ni:6〜25%、Cu:2〜6%、Nb:
0.1〜0.8%、Al:0.3%以下、N:0.05
〜0.3%およびMgとCaの1種以上を合計で0〜
0.015%、B:0〜0.01%を含有し、Nb
(%)/Cu(%)が0.05〜0.2で、かつ溶体化
熱処理後の未固溶Nb量が0.04×Cu(重量%)〜
0.085×Cu(重量%)の範囲内にあり、残部がF
eおよび不可避的不純物からなる高温強度と延性に優れ
たオーステナイト系ステンレス鋼。 - 【請求項2】さらに、重量%でMo:0.3〜2%、
W:0.5〜4%の1種または2種を含有する請求項1
記載の高温強度と延性に優れたオーステナイト系ステン
レス鋼。
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JP05773999A JP3449282B2 (ja) | 1999-03-04 | 1999-03-04 | 高温強度と延性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼 |
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1999
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