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JP2000051708A - 光触媒皮膜およびその形成方法 - Google Patents

光触媒皮膜およびその形成方法

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JP2000051708A
JP2000051708A JP10225736A JP22573698A JP2000051708A JP 2000051708 A JP2000051708 A JP 2000051708A JP 10225736 A JP10225736 A JP 10225736A JP 22573698 A JP22573698 A JP 22573698A JP 2000051708 A JP2000051708 A JP 2000051708A
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titanium dioxide
silver
film
photocatalytic film
copper
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Hideki Nishimori
秀樹 西森
Akira Hashimoto
明 橋本
Kiyoshi Tada
清志 多田
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Altemira Co Ltd
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Showa Aluminum Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光照射環境あるいは暗所のいずれにおいて
も、優れた抗菌、防かび、および消臭機能を有しかつ加
工性・耐光性に優れた光触媒効果を持ち、また皮膜焼成
時の熱による変色が小さくかつ防かび機能を発揮できる
程度の銀塩を添加した場合にも紫外線による変色が小さ
いうえに、金属、プラスチックス等のあらゆる基材の表
面に形成することができる光触媒皮膜を提供する。 【解決手段】 光触媒皮膜は、式RSi(X)3 で表さ
れる3官能シランと、式Si(X)4 で表される4官能
シランとの加水分解・重縮合物と、光触媒としての二酸
化チタン粒子と、抗菌剤・防かび剤としての銀と、抗菌
剤としての銅とよりなる。光触媒皮膜の形成方法は、上
記3官能シランと4官能シランとを、有機溶媒、水、お
よび酸触媒、銀塩、銅塩の存在下で、加水分解・重縮合
して光触媒皮膜形成用ゾルを形成する。このゾルを光触
媒としての二酸化チタン粒子と混合し、混合物を基材に
塗布し、乾燥および/または熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消臭、抗菌、およ
び防かび機能を有しかつ加工性・耐光性に優れた光触媒
皮膜およびその形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、二酸化チタン等の光触媒に紫外
線を含む光を照射すると、有機物が酸化分解することは
古くから知られている。近年このような二酸化チタンの
効果を利用した消臭、抗菌、防かび等の用途への応用が
検討されている。二酸化チタンを基材に固定する方法と
して、基材に二酸化チタン粒子が水や有機溶媒に分散さ
れたゾルを塗布し乾燥後、高温で処理し焼結させる方法
と、二酸化チタン粒子をバインダーに混入する方法とが
あるが、前者の焼結させる場合は、基材がタイルなどの
高温焼成に耐えられるものに限定される。一方、バイン
ダーを用いる方法では、比較的低温での焼成が可能であ
るため、様々な基材に塗布することができる。アルコキ
シシランやクロロシラン等の加水分解・重縮合生成物
は、低温焼成が可能で、様々な基材に塗布することがで
き、比較的安価であるため、二酸化チタン粒子のバイン
ダーとして優れている。
【0003】そこで、従来、特開平8−164334号
公報記載の光触媒用酸化チタン塗膜形成性組成物及びそ
の製法の発明では、アルコキシシランやクロロシラン等
の加水分解性ケイ素化合物を二酸化チタンのバインダー
に用い、特許第2618287号公報記載の光反応性有
害物質除去剤及びこれを用いる有害物質除去方法では、
アルコキシシラン等の金属アルコキシドの加水分解生成
物を二酸化チタンのバインダーに用いることにより、優
れた光触媒効果を持つ皮膜が得られることが報告されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
皮膜は、成分のすべてもしくはほとんどが無機成分から
なるため、加工性に乏しく、また後者においても加工性
に優れた皮膜が得られるという記載は見当たらない。ま
た、加工性を必要としない用途においても、例えば従来
の無機成分からなるバインダーと二酸化チタン粒子とを
含んだ塗料は、薄く均一に塗布した場合は剥離しない
が、膜厚が0.5〜1μm程度になるとクラックが生じ
剥離しやすいため、皮膜を塗布する成形体の形状が複雑
かもしくは平板への塗布でも均一な皮膜の形成が困難な
方法の場合、膜が厚くなった部分からクラックが生じ剥
離しやすいため、ポストコートへの利用も難しいという
問題点があった。
【0005】このようなアルコキシシランやクロロシラ
ン等の加水分解性ケイ素化合物を二酸化チタンのバイン
ダーの原料として用いた従来法の場合、加工性に優れた
皮膜が得られないという問題点を解決するため、本発明
者らは先に、式RSi(X)3 (式中、Rはアルキル
基、フェニル基、またはビニル基よりなる炭化水素基、
Xはアルコキシル基、またはハロゲンである)で表され
る3官能シランと、式Si(X)4 (式中、Xはアルコ
キシル基、またはハロゲンである)で表される4官能シ
ランとの加水分解・重縮合物を、光触媒としての二酸化
チタン粒子のバインダー原料とした加工性・耐光性に優
れた光触媒皮膜の発明を提案した(例えば特願平10−
183631号参照)。
【0006】しかしながら、光触媒としての二酸化チタ
ン粒子にバインダーを加えて作製した先提案の光触媒皮
膜では、使用環境と用途によっては光触媒機能が不充分
な場合が生じることも考えられ、特に紫外線量が少ない
環境では、抗菌力が発揮でないという問題があった。
【0007】一方、例えばP.Pichat,M.-N.Mozzanega,J.
Disdier,and J.-M. Herrmann,Nouv.J.Chim.,6,559,(198
2),やH.Harada,Chem.Express,6[12],961(1991),等の研
究のように、光触媒に適当な金属を少量担持することに
より、光触媒機能が向上することが既に知られている。
ここで、光触媒に少量担持する金属としては、白金、
銀、銅、鉄、コバルト等多数挙げられるが、これらのう
ち、銀、銅等は金属自体の抗菌力が大変強いことが古く
から知られている。二酸化チタンによる光触媒反応は、
太陽光、蛍光灯、紫外線ランプ等に含まれる紫外線を必
要とするため、暗所においては抗菌効果を発揮すること
ができないが、銀や銅を添加することにより、暗所にお
ける抗菌力を付与することができる。
【0008】ところで、二酸化チタンによる光触媒反応
は、二酸化チタン表面で起こるため、防かびに利用した
場合、二酸化チタンと接しているかびの部分は分解され
るが、表面から少し離れた位置では、かびは分解せず、
成長し続けるため、光照射下においても二酸化チタンの
みで防かび効果を発揮するのは非常に困難である。これ
に対し、銀は、抗菌のみならず、防かびにも非常に効果
があることから、防かびのために銀を添加して二酸化チ
タンを含む光触媒皮膜を作製することは非常に好まし
い。
【0009】二酸化チタンを含む光触媒皮膜に銀や銅を
担持する場合、銀や銅は金属塩として原料に添加される
のが一般的であるが、銀イオンは光化学反応や酸化によ
り金属銀の凝集体あるいは酸化物となり、褐色あるいは
黒色に変化するという性質を有するため、防かび効果を
発揮できる程度の銀を添加した場合には、皮膜焼成時の
熱や皮膜使用時の紫外線により変色するという問題があ
り、特に美観を重視する用途においては使用できないと
いう問題があった。一方、銅塩を使用した場合には、皮
膜使用時の変色は小さいものの、防かび効果を発揮する
のが困難であるという問題があった。
【0010】本発明の目的は、上記の本発明者らの先提
案の発明技術の問題点を解決し、式RSi(X)3 (式
中、Rはアルキル基、フェニル基、またはビニル基より
なる炭化水素基、Xはアルコキシル基、またはハロゲン
である)で表される3官能シランと、式Si(X)
4 (式中、Xはアルコキシル基、またはハロゲンであ
る)で表される4官能シランとの加水分解・重縮合物
を、光触媒としての二酸化チタン粒子のバインダー原料
とした加工性・耐光性に優れた光触媒皮膜において、原
料に銀塩と共に銅塩を添加することにより、作製した皮
膜の抗菌、防かび、消臭などの光触媒機能を大幅に向上
させ、光照射環境あるいは暗所のいずれにおいても、優
れた抗菌、防かび、および消臭機能を有しかつ加工性・
耐光性に優れた光触媒皮膜を提供すること、さらに、防
かび効果を発揮できる程度の銀塩を添加した場合にも皮
膜焼成時の熱や皮膜使用時の紫外線による変色が小さ
く、特に美観を重視する用途にも使用できるうえに、金
属、プラスチックス等のあらゆる基材の表面に形成する
ことができ、加工性に優れた基材であれば、プレコート
により光触媒皮膜の形成が可能である、光触媒皮膜およ
びその形成方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明による消臭、抗菌、および防かび機能を有
しかつ加工性・耐光性に優れた光触媒皮膜は、式RSi
(X)3 (式中、Rはアルキル基、フェニル基、または
ビニル基よりなる炭化水素基、Xはアルコキシル基、ま
たはハロゲンである)で表される3官能シランと、式S
i(X)4 (式中、Xはアルコキシル基、またはハロゲ
ンである)で表される4官能シランとの加水分解・重縮
合物と、光触媒としての二酸化チタン粒子と、抗菌剤・
防かび剤としての銀と、抗菌剤としての銅とよりなるこ
とを特徴としている。
【0012】つぎに、本発明による光触媒皮膜の形成方
法は、式RSi(X)3 (式中、Rはアルキル基、フェ
ニル基、またはビニル基よりなる炭化水素基、Xはアル
コキシル基、またはハロゲンである)で表される3官能
シランと、式Si(X)4(式中、Xはアルコキシル
基、またはハロゲンである)で表される4官能シランと
を、アルコールもしくはその他の有機溶媒、水、および
酸触媒、抗菌剤・防かび剤としての銀塩、抗菌剤として
の銅塩の存在下で、加水分解・重縮合して光触媒皮膜形
成用ゾルを形成し、この光触媒皮膜形成用ゾルを光触媒
としての二酸化チタン粒子と混合するか、または上記シ
ラン化合物の反応開始時から二酸化チタン粒子を混合
し、二酸化チタン粒子含有ゾルを金属板等の基材に塗布
し、乾燥するか、または乾燥後さらに500℃以下の温
度で熱処理させることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を説
明する。
【0014】まず、本発明による消臭、抗菌、および防
かび機能を有しかつ加工性・耐光性に優れた光触媒皮膜
は、二酸化チタンと3官能シランと4官能シランと、抗
菌剤・防かび剤としての銀と、抗菌剤としての銅とを含
んでいる。
【0015】本発明で用いられる二酸化チタンは、硫酸
法、塩素法等の工業的手法により調製された粒子あるい
は水熱法、ゾル−ゲル法により得られた粒子などのあら
ゆる手法で調製された物が用いられ、粒子の状態として
は、粉末状あるいは粉末を液体に分散させた状態のいず
れでもよい。
【0016】なお、硫酸法および塩素法では、調製条件
により一次粒子径が0.2〜0.3μm程度の顔料用二
酸化チタンと、一次粒子径が100nm未満の微粒子二
酸化チタンが得られるが、一次粒子が小さく比表面積が
大きい塩素法により調製した微粒子二酸化チタンが特に
好ましい。
【0017】工業的に調製される二酸化チタンの結晶形
は、ルチル型、アナターゼ型、あるいはルチル型とアナ
ターゼ型の混合物であり、水熱法では、ブルカイト型の
結晶が析出する場合がある。本発明では、いかなる結晶
形の二酸化チタン粒子をも用いることができるが、場合
によっては、無定形の酸化チタンが含まれていても良
い。結晶形としては、アナターゼ型、あるいはルチル型
とアナターゼ型との混合物が好ましく、量子効率の高い
アナターゼ型を結晶成分中の比率で30重量%以上含む
物が、さらに好ましい。
【0018】また、二酸化チタンは必要な皮膜特性に従
って皮膜中濃度で80重量%以下の好適な量が添加され
るが、二酸化チタン粒子濃度が低い場合には光触媒効果
が小さく、二酸化チタン粒子濃度が高い場合には皮膜の
加工性が劣るため、二酸化チタン濃度は、皮膜中濃度に
おいて5〜60重量%であるのが、好ましい。
【0019】また上記において、本発明で用いる3官能
シランは、式RSi(X)3 (式中、Rはアルキル基、
フェニル基、またはビニル基よりなる炭化水素基、Xは
アルコキシル基、またはハロゲンである)で表されるも
のである。
【0020】具体的には、メチルトリエトキシシラン、
エチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシ
ラン、メチルトリクロロエシラン、エチルトリクロロエ
シラン、ビニルトリクロロエシラン等が挙げられ、少な
くとも1種類以上用いられる。
【0021】本発明で用いる4官能シランは、式Si
(X)4 (式中、Xはアルコキシル基、またはハロゲン
である)で表されものである。
【0022】具体的には、テトラエトキシシラン、テト
ラメトキシシラン、テトラクロロシシラン等が挙げら
れ、少なくとも1種類以上用いられる。
【0023】本発明においては上記3官能シランと4官
能シランとを混合した後、加水分解・重縮合させた物を
バインダーとして用いる場合と、上記3官能シランと4
官能シランをそれぞれ加水分解・重縮合させた物、ある
いはこれらのシラン化合物のオリゴマーを混合して加水
分解・重縮合させた物を用いる場合がある。
【0024】本発明で用いる3官能シランと4官能シラ
ンの混合比は、3官能シラン:4官能シラン=x:(1
−x)のモル比で表すと、0.3≦x<0.7、好まし
くは0.4≦x≦0.6である。なお、上記シラン化合
物のオリゴマーをバインダーの原料に用いる場合には、
上記モル比はモノマー換算値に相当する。ここで、xの
範囲を上記のように限定したのは、xが小さすぎると、
皮膜中にR(炭化水素基)が少なくなるため皮膜の加工
性が低下し、xが大きすぎると、二酸化チタン粒子表面
が親水性である場合、上記シラン化合物より生成したバ
インダーを含んだゾル中での二酸化チタン粒子の分散性
が低下するからである。
【0025】本発明において用いる銀塩および銅塩は、
特に限定されないが、例えば硝酸銀、硫酸銀、硝酸銅、
硫酸銅、塩化第一銅、塩化第二銅、炭酸銅があげられ
る。これらの中から少なくとも1種の銀塩および銅塩が
用いられる。
【0026】本発明による光触媒皮膜中における銀塩お
よび銅塩の金属の存在状態は、不明であるが、銀成分と
して少なくとも銀イオンおよび/または金属銀を含み、
さらに、酸化銀も含まれる場合もあると思われる。ま
た、皮膜中の銅成分として少なくとも銅イオンおよび/
または金属銅を含み、さらに、酸化銅も含まれる場合も
あると思われる。作製した皮膜において、銀イオンおよ
び/または金属銀は抗菌剤・防かび剤として働き、銅イ
オンおよび/または金属銅は抗菌剤として働く。
【0027】上記組成において、銀塩を、金属銀換算に
して二酸化チタンの0.01〜5重量%、また銅塩を、
金属銅換算にして二酸化チタンの0.1〜40重量%添
加する。
【0028】上記のように、金属塩として銀塩と銅塩を
同時に添加するのは、銀塩のみを添加した場合には、抗
菌、防かび力は充分であるが、皮膜が焼成あるいは使用
時に変色するのに対し、銅塩のみを添加した場合には、
皮膜の焼成あるいは使用時に変色が小さくかつ抗菌力は
あるものの、充分な防かび効果が得られないからであ
る。
【0029】銀塩の添加量が上記のように限定されるの
は、下限未満の添加量では、防かび力が充分に発揮され
ず、上限より多量に添加すると、皮膜焼成および使用時
の変色が大きいからである。
【0030】銅塩の添加量が上記のように限定されるの
は、下限未満の添加量では、銀塩の添加による皮膜焼成
時あるいは使用時における変色を抑制することができ
ず、上限より多量に添加すると、銅塩自体の添加による
皮膜焼成時あるいは使用時における変色が大きくなるか
らである。
【0031】本発明の光触媒の原料として、皮膜の結合
力、および耐熱性を向上させるため、水酸化アルミニウ
ムを添加するのが好ましい。水酸化アルミニウムは、こ
れを多く添加しすぎると、皮膜中の二酸化チタンの比率
が小さくなり、光触媒効果が低下するため、二酸化チタ
ンに対して水酸化アルミニウムが0〜50重量%の割合
で含まれているのが、好ましい。
【0032】なお、本発明による光触媒皮膜の膜厚は、
0.05〜5μmであるのが、好ましい。
【0033】つぎに、本発明の光触媒皮膜の形成方法
は、光触媒皮膜形成用ゾルの調製と皮膜形成とからな
る。
【0034】 光触媒皮膜形成用ゾルの調製 本発明における光触媒皮膜形成用ゾルは、二酸化チタン
粒子、3官能シランと、4官能シランとを、アルコール
もしくはその他の有機溶媒、水、酸触媒、銀塩、および
銅塩を、所定の比率で混合、攪拌することにより得られ
る。なお、上記原料に加えて、皮膜の結合力、および耐
熱性を向上させるため、水酸化アルミニウムを添加する
ことが好ましい。
【0035】ここで、酸触媒は、硫酸、硝酸、塩酸など
の無機酸、酢酸、シュウ酸などの有機酸が用いられる。
【0036】なお、二酸化チタンのバインダーの原料で
ある3官能シランと4官能シランとは、それぞれ加水分
解・重縮合させたものあるいはこれらシラン化合物のオ
リゴマーを混合して用いても良く、二酸化チタン粒子は
シランの反応前、反応後のいずれのタイミングで添加し
ても良い。
【0037】上記ゾル原料の中で二酸化チタン、銀塩、
銅塩および水酸化アルミニウム以外の原料の比率を、3
官能シラン:4官能シラン:アルコールもしくはその他
の有機溶媒:水:酸触媒=x:(1−x):y:z:a
のモル比で表すと、x、y、z、aの値がそれぞれ0.
3≦x<0.7、0.5≦y≦1000、0.5≦z≦
1000、0.00001≦a≦1である。
【0038】上記組成において、まずxの値については
前掲の通りである。yが0.5未満であれば、粒子を分
散させるのが困難であり、yが1000を越えると、調
製した光触媒皮膜形成用ゾルの固形成分濃度が低すぎる
ため均一な皮膜形成が困難であるので、好ましくない。
また、zが0.5未満であれば、シランの加水分解に時
間がかゝり、zが1000を越えると、ゾルが流動性を
失い、ゲル化する可能性があるので、好ましくない。ま
たaが0.00001未満であれば、シランの加水分解
反応の進行が遅くなり、aが1を越えると、反応が早く
進みすぎ、光触媒皮膜形成用ゾルを均一に塗布できる期
間が短くなるため、好ましくない。
【0039】上記光触媒皮膜形成用ゾルの調製に用いる
二酸化チタンの製法は、とくに限定されないが、一次粒
子が小さく比表面積が大きい塩素法により調製した微粒
子二酸化チタンがとくに好ましい。
【0040】なお、液体に分散させた二酸化チタン粒子
を用いる場合には、分散媒の液体も上記組成に含まれ
る。
【0041】上記光触媒皮膜形成用ゾルの調製に用いる
二酸化チタンは、あらゆる結晶形の粒子を用いることが
でき、無定形の酸化チタンが含まれていても良いが、結
晶形としては、アナターゼ型、あるいはルチル型とアナ
ターゼ型との混合物が好ましく、量子効率の高いアナタ
ーゼ型を結晶成分中の比率で30重量%以上含む物が、
さらに好ましい。
【0042】また、二酸化チタンは必要な皮膜特性に従
って皮膜中濃度で80重量%以下の好適な量が添加され
るが、二酸化チタン粒子濃度が低い場合には光触媒効果
が小さく、二酸化チタン粒子濃度が高い場合には皮膜の
加工性が劣るため、二酸化チタン濃度は、皮膜中濃度に
おいて5〜60重量%であるのが、好ましい。
【0043】なお、上記組成においてシラン中のSi1
個あたりのR(炭化水素基)の平均数が0.3個以上
0.7個未満の範囲内であれば、本発明で用いる上記3
官能シランの組成の一部を、一般式R2 Si(X)
2 (式中、Rはアルキル基、フェニル基、またはビニル
基よりなる炭化水素基、Xはアルコキシル基、またはハ
ロゲンである)で表される2官能シランにしても良い。
【0044】 皮膜形成 本発明において、上記光触媒皮膜形成用ゾルは、金属
板、パネル、タイル、プラスチックス等の基材に、直接
あるいはバリヤー層を介して塗布される。塗布方法は、
ディップコート、スプレーコート、バーコート、ロール
コートなどいかなる方法をも用いることができる。
【0045】上記光触媒皮膜形成用ゾルを塗布した基材
を、室温以上の温度で乾燥することにより、光触媒膜を
得ることができる。短時間で皮膜を形成する場合には、
乾燥に加えて500℃以下で熱処理しても良いが、40
0〜500℃で長時間熱処理した場合、Si原子に結合
したR(炭化水素基)が焼成脱離し、皮膜の柔軟性が低
下するため、加工性を保つためには300℃以下の熱処
理が好ましい。
【0046】光触媒皮膜の厚さはとくに限定されない
が、膜厚が0.05μm未満の場合、欠陥の無い皮膜の
形成が困難であり、また必要以上に厚い場合は、厚さに
見合う光触媒効果の向上がなく、不経済なため、膜厚
は、0.05〜5μmであるのが、好ましい。ただし、
二酸化チタンによる紫外線遮蔽などの機能も兼ねて使用
する場合には、5μm以上の膜厚でも差し支えない。
【0047】なお、上記の皮膜形成において、基材がプ
ラスチックスの場合は、二酸化チタンにより基材が分解
されるため、一般的には基材と光触媒皮膜の間にバリヤ
ー層を設けるが、光触媒皮膜中の二酸化チタン粒子が基
材に触れる箇所が少なく、実際の使用においてチョーキ
ングが起こらない場合には、バリヤー層を設けなくても
よい。
【0048】本発明による光触媒皮膜の製造は、光触媒
ゾルの調製と皮膜作製とからなる。
【0049】なお、光触媒皮膜をプラスチックス基材に
塗布する場合には、プラスチックスが直接二酸化チタン
に触れて分解されるのを防止ぐため、プラスチックスと
二酸化チタンを含む皮膜との間にバリヤー層を設ける。
さらに、基材がソーダライムガラスの場合には、光触媒
皮膜焼成時にナトリウムが光触媒膜中に拡散し、光触媒
活性が低下するのを防止するため、バリヤー層を設ける
ものである。
【0050】上記バリヤー層としては、主として二酸化
ケイ素、無定形二酸化チタン等の無機物が利用できる
が、本発明者らが先に提案した特願平10−18363
2号に記載の光触媒皮膜用下地膜は、表面に凹凸を有す
る無機−有機複合体であることから、表面の凹凸により
光触媒皮膜の密着性を向上させることができ、加工性に
優れていることから、本発明の光触媒皮膜のバリヤー層
として好適に利用でき、特に加工性を必要とする場合に
は、最適である。
【0051】上記において、本発明による光触媒皮膜
が、優れた加工性を有しているのは、3官能シランに由
来するSiに結合したR(炭化水素基)が、皮膜中に残
留し柔軟性を与えるからである。また、本発明による光
触媒皮膜が耐光性に優れているのは、皮膜中のRよりな
る有機基成分が、Si−O−Si成分よりなる無機骨格
成分に比べて少なく、仮にバインダー中の有機基成分が
二酸化チタンの光触媒効果により酸化分解されたとして
も、皮膜中のバインダーの大部分は、二酸化チタンの光
触媒効果によって分解されないSi−O−Si成分から
なり、チョーキングが起こらないからである。
【0052】本発明による光触媒皮膜は、加工性・耐光
性に優れ、しかも光照射下および光なしのいずれの環境
においても優れた消臭、抗菌、および防かび機能を有す
るため、あらゆる環境下での使用に耐え得るものであ
る。
【0053】また本発明による光触媒皮膜は、皮膜焼成
時あるいは使用時において、変色が小さいため、特にパ
ネル材等の美観を保つ必要のある用途の基材に塗布し
て、好適に用いることができる。
【0054】なお、本発明による光触媒皮膜をパネル表
面材等の基材に塗布し、光を照射すると、酸化チタンの
光触媒効果により臭気成分等有害物質を酸化分解して、
空気清浄を図ることができる。また本発明による光触媒
皮膜は、無機成分を主とするため、例えば厨房等の壁や
備品に本発明による光触媒皮膜を塗布した場合、汚れが
付着しにくく、水洗いなどで残留した調味料などの汚れ
も光触媒効果により酸化分解できるため、長期において
美しさを保つことができる。
【0055】
【実施例】つぎに、本発明の実施例を比較例と共に説明
する。
【0056】実施例1 基材として、アルミニウム表面にポリエステルを主成分
とする塗膜を設けたパネル表面材を用意した。まずこの
基材の表面に光触媒皮膜用下地膜を、つぎのようにして
形成させた。
【0057】すなわち、メチルトリエトキシシランと、
溶媒である2−プロパノールと、水と、塩酸と、2−プ
ロパノールに分散させた粒径0.01〜0.02μmの
SiO2 粒子を原料として用意した。なお、SiO2
子を分散させている2−プロパノールは溶媒の一部とし
て用いた。メチルトリエトキシシラン、溶媒(2−プロ
パノール)、水、塩酸のモル比が1:5:4:0.00
5、粒子濃度が10重量%となるように原料を混合し、
メチルトリエトキシシランを加水分解、縮合重合させる
ことによりゾルを得た。ついで、このゾル中にアルミニ
ウム表面にポリエステルを主成分とする皮膜を塗布した
パネル表面材を浸漬し、2mm/秒の引き上げ速度で引
き上げ、乾燥させた後、200℃で5分間熱処理し、ア
ルミニウム表面にポリエステルを主成分とする塗膜を設
けたパネル表面材上に、膜厚0.6μmの光触媒皮膜用
下地膜を形成した。
【0058】ついで、この下地膜上に、以下の方法によ
り光触媒皮膜を形成した。
【0059】二酸化チタン(商品名P−25、日本アエ
ロジル株式会社製)、その他の原料としてメチルトリエ
トキシシラン、テトラエトキシシラン、2−プロパノー
ル、水、硝酸、水酸化アルミニウム、硝酸銅3水和物、
硝酸銀を用意した。これらの割合は、メチルトリエトキ
シシラン:テトラエトキシシラン:2−プロパノール:
水:硝酸=0.5:0.5:5:4:0.005(モル
比)(水には硝酸銅の水和水も含まれる)とし、二酸化
チタン濃度5重量%、水酸化アルミニウム濃度1重量
%、硝酸銅濃度2重量%(水和水は除いた濃度)、硝酸
銀濃度0.1重量%になるように混合し、攪拌して、光
触媒皮膜形成用ゾルを調製した。
【0060】つぎに、このゾルに上記下地膜付きパネル
表面材を浸漬し、2mm/秒の引き上げ速度で引き上
げ、5分間室温で乾燥させた後、5分間200℃で熱処
理し、光触媒皮膜を形成した。得られた光触媒皮膜の断
面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、膜厚は0.5
μmであった。
【0061】実施例2 実施例1と同じパネル表面材上に、実施例1と同じ方法
で光触媒皮膜用下地膜を形成した。ついで、ゾル中の硝
酸銀濃度が0.075重量%であること以外は実施例1
と同じ方法で下地膜付きパネル表面材上に、光触媒皮膜
を形成した。得られた光触媒皮膜の膜厚は0.5μmで
あった。
【0062】実施例3 実施例1と同じパネル表面材上に、実施例1と同じ方法
で光触媒皮膜用下地膜を形成した。ついで、ゾル中の硝
酸銀濃度が0.05重量%であること以外は実施例1と
同じ方法で下地膜付きパネル表面材上に、光触媒皮膜を
形成した。得られた光触媒皮膜の膜厚は0.5μmであ
った。
【0063】実施例4 実施例1と同じパネル表面材上に、実施例1と同じ方法
で光触媒皮膜用下地膜を形成した。ついで、ゾル中の硝
酸銀濃度が0.025重量%であること以外は実施例1
と同じ方法で下地膜付きパネル表面材上に、光触媒皮膜
を形成した。得られた光触媒皮膜の膜厚は0.5μmで
あった。
【0064】実施例5 実施例1と同じパネル表面材上に、実施例1と同じ方法
で光触媒皮膜用下地膜を形成した。ついで、熱処理温度
が100℃であること以外は実施例3と同じ方法で下地
膜付きパネル表面材上に、光触媒皮膜を形成した。得ら
れた光触媒皮膜の膜厚は0.5μmであった。
【0065】実施例6 実施例1と同じパネル表面材上に、実施例1と同じ方法
で光触媒皮膜用下地膜を形成した。ついで、熱処理を行
なわずに24時間乾燥させたこと以外は実施例3と同じ
方法で下地膜付きパネル表面材上に、光触媒皮膜を形成
した。得られた光触媒皮膜の膜厚は0.5μmであっ
た。
【0066】実施例7 実施例1と同じパネル表面材上に、実施例1と同じ方法
で光触媒皮膜用下地膜を形成した。ついで、ゾル中の硝
酸銅濃度が1重量%であること以外は実施例4と同じ方
法で下地膜付きパネル表面材上に、光触媒皮膜を形成し
た。得られた光触媒皮膜の膜厚は0.5μmであった。
【0067】比較例1 実施例1と同じパネル表面材上に、実施例1と同じ方法
で光触媒皮膜用下地膜を形成した。ついで、ゾル中に硝
酸銅を添加しないこと以外は実施例5と同じ方法で下地
膜付きパネル表面材上に、光触媒皮膜を形成した。得ら
れた光触媒皮膜の膜厚は0.5μmであった。
【0068】比較例2 実施例1と同じパネル表面材上に、実施例1と同じ方法
で光触媒皮膜用下地膜を形成した。ついで、ゾル中に硝
酸銀を添加しないこと以外は実施例5と同じ方法で下地
膜付きパネル表面材上に、光触媒皮膜を形成した。得ら
れた光触媒皮膜の膜厚は0.5μmであった。
【0069】比較例3 実施例1と同じパネル表面材上に、実施例1と同じ方法
で光触媒皮膜用下地膜を形成した。ついで、ゾル中に硝
酸銀および硝酸銅を添加しないこと以外は実施例5と同
じ方法で下地膜付きパネル表面材上に、光触媒皮膜を形
成した。得られた光触媒皮膜の膜厚は0.5μmであっ
た。
【0070】評価試験 上記実施例と比較例で得られた光触媒皮膜について、耐
屈曲性(加工性)試験、皮膜熱処理時の変色試験、耐光
性試験、抗菌力試験および消臭試験を行なった。
【0071】まず耐屈曲性(加工性)試験は、JIS
K5400の方法に従い、直径2mmの心棒を用いて1
80°曲げ、目視により割れ、剥がれがないかを確認し
て、評価した。得られた耐屈曲性試験の結果を下記表1
にまとめて示した。
【0072】つぎに、皮膜熱処理時の変色試験は実施例
および比較例における光触媒皮膜の熱処理前後の基材の
Lab系における色差ΔEを、スガ試験器株式会社製カ
ラーテスターSC−3−CH型を用いて測定することに
より評価した。なお実施例6は熱処理を行なわず24時
間乾燥させているため、本試験は実施しなかった。得ら
れた皮膜熱処理時の変色試験の結果を下記表1にまとめ
て示した。
【0073】つぎに、耐光性試験は、JIS B775
1規定の紫外線カーボンアーク燈式耐光試験機を用いて
光触媒を塗布した基材に紫外線を300時間照射した
後、皮膜にチョーキングが起こっていないかを確認する
とともに、紫外線照射前後の基材のLab系における色
差ΔEを、スガ試験器株式会社製カラーテスターSC−
3−CH型を用いて測定し評価した。得られた耐光性試
験の結果を下記表1にまとめて示した。
【0074】抗菌力試験は、大腸菌(Escherichia coil
IFO 3972)、クロカワカビ(Cladosporium cladospori
oides IFO 6348)について行なった。菌液は大腸菌に関
しては、普通寒天培地で37℃、16〜24時間前培養
した試験菌液を普通寒天培地に再度接種し、37℃、1
6〜20時間培養した菌体をリン酸緩衝液に均一に分散
差せ、1ml当たりの菌数が2.0×105 〜1.0×
106 となるように調製し、クロカワカビに関しては、
ポテトデキストロース寒天培地で25℃、7〜10日間
培養した後、胞子(分生子)を0.005%スルホコハ
ク酸ジオクチルナトリウム溶液に浮遊させ、ガーゼで濾
過後、1ml当たりの菌数が2.0×105 〜1.0×
106 となるように調製し、下地膜を塗布した後さらに
最表面に光触媒皮膜を塗布した基材(大きさ:5cm×
5cm)を、予め99.5%エタノールをしみこませた
脱脂綿でかるく拭いたのち、風乾したものを試料とし
た。
【0075】各試料の表面にそれぞれ菌液1mlを添加
した。これらを昼白色蛍光灯照射下あるいは光を完全に
遮断して、細菌は35℃、カビは25℃で保存した。な
お、蛍光灯で光を照射する場合は照度計で試験面が10
00ルクスとなるように照射位置を調整した。またポリ
エチレンフィルムを対照試料として、同様に試験した。
4時間後にSCDLP培地で試料から生残菌を洗い出
し、この洗い出し液の生菌数を、大腸菌は標準寒天培
地、クロカワカビはを用いた寒天平板培養法(大腸菌は
35℃、2日間培養、クロカワカビは25℃、7日間培
養)により測定し、試料1個当たりに換算した。また接
種直後の測定は対照試料で行なった。抗菌力試験の結果
を、下記表2に示した。
【0076】消臭試験は、光触媒皮膜を塗布した基材
(有効面積200cm2 )をポリフッ化ビニル製の袋に
固定した後、袋をヒートシールにより密封し、ついでア
ンモニア100ppmを含んだ空気3リットルを封入
し、この上から20Wブラックライトにより光を照射
し、光照射下開始から24時間後にガス検知管により袋
内のガス濃度を測定する方法により行ない、24時間後
のアンモニア除去率%を測定した。
【0077】なお、基材とブラックライトの距離は30
cmとし、光触媒皮膜を塗布した基材を入れずに同様に
光照射後のガス濃度を測定し、これを空試験とした。ま
た、光を完全に遮断すること以外は上記と同様にして皮
膜の消臭試験を行なった。形成した皮膜の消臭試験の結
果を、下記表3に示した。
【0078】
【表1】
【表2】
【表3】 上記表1〜3から明らかなように、実施例1〜7による
光触媒皮膜は、耐屈曲性(加工性)、耐光性にも優れて
おり、かつ光照射下および光なしのいずれの環境におい
ても優れた消臭、抗菌、および防かび機能を有するもの
であった。また光触媒皮膜を熱処理した実施例1〜5お
よび実施例7の基材は熱処理前後の変色が非常に小さい
ものであった。なお、光を照射した場合には、光触媒効
果が発揮されるため、光照射なしの場合に比べ消臭力が
より優れた結果となった。これに対し、比較例1による
光触媒皮膜は、耐屈曲性(加工性)、消臭、抗菌、およ
び防かび効果には優れており、耐光性試験後にチョーキ
ングは起こらなかったものの、銅塩を添加せずに銀塩を
添加したため、耐光性試験前後の色差や皮膜熱処理前後
の色差が大きくなった。また比較例2による光触媒皮膜
は、耐屈曲性(加工性)、耐光性、消臭、抗菌効果は優
れており、皮膜熱処理前後の色差も小さいが、銀塩を添
加せずに銅塩を添加したため、防かび効果がほとんど見
られなかった。比較例3による光触媒皮膜は、耐屈曲性
(加工性)、耐光性、消臭効果は優れており、皮膜熱処
理前後の色差も小さいが、銀塩および銅塩を添加してい
ないため、今回の試験条件では、抗菌および防かび効果
はほとんど見られなかった。
【0079】なお、消臭試験において、空試験では、ア
ンモニアの除去率が34%であった。これは試験に用い
た袋に、アンモニアが吸着するためと考えられる。
【0080】
【発明の効果】本発明による光触媒皮膜は、上述のよう
に、式RSi(X)3 (式中、Rはアルキル基、フェニ
ル基、またはビニル基よりなる炭化水素基、Xはアルコ
キシル基、またはハロゲンである)で表される3官能シ
ランと、式Si(X)4 (式中、Xはアルコキシル基、
またはハロゲンである)で表される4官能シランとの加
水分解・重縮合物と、光触媒としての二酸化チタン粒子
と、抗菌剤・防かび剤としての銀と、抗菌剤としての銅
とよりなるもので、加工性・耐光性に優れ、しかも光照
射下および光なしのいずれの環境においても優れた消
臭、抗菌、および防かび機能を有するため、あらゆる環
境下での使用に耐え得るものである。また本発明による
光触媒皮膜は、皮膜焼成時あるいは使用時において、変
色が小さいため、特にパネル材等の美観を保つ必要のあ
る用途の基材に塗布して、好適に用いることができると
いう効果を奏する。
【0081】また本発明による光触媒皮膜の形成方法
は、上述のように、式RSi(X)3(式中、Rはアル
キル基、フェニル基、またはビニル基よりなる炭化水素
基、Xはアルコキシル基、またはハロゲンである)で表
される3官能シランと、式Si(X)4 (式中、Xはア
ルコキシル基、またはハロゲンである)で表される4官
能シランとを、アルコールもしくはその他の有機溶媒、
水、および酸触媒、抗菌剤・防かび剤としての銀塩、抗
菌剤としての銅塩の存在下で、加水分解・重縮合して光
触媒皮膜形成用ゾルを形成し、この光触媒皮膜形成用ゾ
ルを光触媒としての二酸化チタン粒子と混合するか、ま
たは上記シラン化合物の反応開始時から二酸化チタン粒
子を混合し、二酸化チタン粒子含有ゾルを金属板等の基
材に塗布し、乾燥するか、または乾燥後さらに500℃
以下の温度で熱処理させることを特徴とするもので、本
発明の方法によれば、加工性・耐光性に優れかつ消臭、
抗菌、および防かび効果を持った光触媒皮膜を、金属、
プラスチックス等のあらゆる基材の表面に形成すること
ができ、また基材自体が加工性の良いものであれば、プ
レコートにより光触媒皮膜の形成が可能であるという効
果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A01N 59/16 AJA A01N 59/16 AJAZ 59/20 59/20 Z C08K 3/08 C08K 3/08 3/22 3/22 C08L 83/04 C08L 83/04 // C01G 23/047 C01G 23/047 (72)発明者 多田 清志 堺市海山町6丁224番地 昭和アルミニウ ム株式会社内 Fターム(参考) 4G047 CA05 CB06 CC03 4G069 AA04 AA08 BA01A BA01B BA04A BA04B BA48A BB02A BB06A BB06B BC31A BC31B BC32A BC32B BD05A BD05B BE01A BE01B BE01C CA01 CA17 DA06 EA20 FA06 FC08 4H011 AA02 AA03 BA01 BA06 BB18 BC19 DA11 DC10 DH07 4J002 CP031 CP081 CP141 DA077 DD077 DE097 DE136 DE148 DE247 DF037 DG047 FD187 GH00 HA04

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式RSi(X)3 (式中、Rはアルキル
    基、フェニル基、またはビニル基よりなる炭化水素基、
    Xはアルコキシル基、またはハロゲンである)で表され
    る3官能シランと、式Si(X)4 (式中、Xはアルコ
    キシル基、またはハロゲンである)で表される4官能シ
    ランとの加水分解・重縮合物と、光触媒としての二酸化
    チタン粒子と、抗菌剤・防かび剤としての銀と、抗菌剤
    としての銅とよりなる、消臭、抗菌、防かび機能を有し
    かつ加工性・耐光性に優れた光触媒皮膜。
  2. 【請求項2】 二酸化チタン濃度が皮膜中濃度において
    5〜80重量%である、請求項1記載の光触媒皮膜。
  3. 【請求項3】 二酸化チタンの結晶形としてアナターゼ
    型、ルチル型、ブルカイト型よりなる群の中から選ばれ
    た少なくとも1種の型が含まれている、請求項1記載の
    光触媒皮膜。
  4. 【請求項4】 さらに、無定形の酸化チタンが含まれて
    いる、請求項3記載の光触媒皮膜。
  5. 【請求項5】 二酸化チタンの結晶形としてアナターゼ
    型、あるいはルチル型とアナターゼ型とが含まれてお
    り、かつアナターゼ型が二酸化チタンの結晶成分中の比
    率で30重量%以上含まれている、請求項1記載の光触
    媒皮膜。
  6. 【請求項6】 皮膜中の銀成分として銀イオンおよび/
    または金属銀を含み、銀イオン、金属銀および/または
    銀化合物の濃度が金属銀換算にして二酸化チタンの0.
    01〜5重量%であり、皮膜中の銅成分として銅イオン
    および/または金属銅を含み、銅イオン、金属銅および
    /または銅化合物の濃度が金属銅換算にして二酸化チタ
    ンの0.1〜40重量%である、請求項1記載の光触媒
    皮膜。
  7. 【請求項7】 さらに二酸化チタンに対して水酸化アル
    ミニウムが0〜50重量%の割合で含まれている、請求
    項1〜6のうちのいずれか1項記載の光触媒皮膜。
  8. 【請求項8】 膜厚が0.05〜5μmである、請求項
    1記載の光触媒皮膜。
  9. 【請求項9】 式RSi(X)3 (式中、Rはアルキル
    基、フェニル基、またはビニル基よりなる炭化水素基、
    Xはアルコキシル基、またはハロゲンである)で表され
    る3官能シランと、式Si(X)4 (式中、Xはアルコ
    キシル基、またはハロゲンである)で表される4官能シ
    ランとを、アルコールもしくはその他の有機溶媒、水、
    酸触媒、抗菌剤・防かび剤としての銀塩、抗菌剤として
    の銅塩の存在下で、加水分解・重縮合して光触媒皮膜形
    成用ゾルを形成し、この光触媒皮膜形成用ゾルを光触媒
    としての二酸化チタン粒子と混合するか、または上記シ
    ラン化合物の反応開始時から二酸化チタン粒子を混合
    し、二酸化チタン粒子含有ゾルを金属板等の基材に塗布
    し、乾燥するか、または乾燥後さらに500℃以下の温
    度で熱処理させることを特徴とする、消臭、抗菌、防か
    び機能を有しかつ加工性・耐光性に優れた光触媒皮膜の
    形成方法。
  10. 【請求項10】 二酸化チタン、銀塩および銅塩以外の
    光触媒皮膜形成用ゾルの原料の比率を、3官能シラン:
    4官能シラン:アルコールもしくはその他の有機溶媒:
    水:酸触媒=x:(1−x):y:z:aのモル比で表
    すと、x、y、z、aの値がそれぞれ0.3≦x<0.
    7、0.5≦y≦1000、0.5≦z≦1000、
    0.00001≦a≦1である、請求項9記載の光触媒
    皮膜の形成方法。
  11. 【請求項11】 二酸化チタンの結晶形としてアナター
    ゼ型、ルチル型、ブルカイト型よりなる群の中から選ば
    れた少なくとも1種の型が含まれている、請求項9記載
    の光触媒皮膜の形成方法。
  12. 【請求項12】 さらに、無定形の酸化チタンが含まれ
    ている、請求項9記載の光触媒皮膜の形成方法。
  13. 【請求項13】 二酸化チタンの結晶形としてアナター
    ゼ型、あるいはルチル型とアナターゼ型とが含まれてお
    り、かつアナターゼ型が二酸化チタンの結晶成分中の比
    率で30重量%以上含まれている、請求項9記載の光触
    媒皮膜の形成方法。
  14. 【請求項14】 銀塩濃度が金属銀換算にして二酸化チ
    タンの0.01〜5重量%であり、銅塩濃度が金属銅換
    算にして二酸化チタンの0.1〜40重量%である、請
    求項9記載の光触媒皮膜の形成方法。
  15. 【請求項15】 さらに二酸化チタンに対して水酸化ア
    ルミニウムが0〜50重量%の割合で含まれている、請
    求項9〜14のうちのいずれか1項記載の光触媒皮膜の
    形成方法。
  16. 【請求項16】 熱処理温度が300℃以下である、請
    求項9〜15のうちのいずれか1項記載の光触媒皮膜の
    形成方法。
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